説明

断熱箱体、冷蔵庫及び貯湯式給湯器

【課題】断熱箱体1の辺となる屈曲部2bにも、真空断熱材9を配置可能な断熱箱体1を提供する。
【解決手段】外箱2と内箱3の間に硬質発泡ウレタン4を充填した断熱箱体1において、外箱2の辺を成す屈曲部2bの内箱3側に設けられたフィルム5とコアマット6を有し、外箱2とフィルム5とで、コアマット6を収納するガスバリア容器8を構成し、ガスバリア容器8内は、密封され減圧状態になっている。フィルム5は金属蒸着膜を含む積層構造を有している。コアマット6は、外箱2の屈曲部2bに沿って切欠6aを有している。外箱2に、複数の屈曲部2bを互いに近接させて設けている。外箱2の内周面2aの屈曲部2bにおける曲率半径は、コアマット6の厚さより大きくなっている。外箱2は、屈曲部2bにおいて互いに連結した複数の内周面2aを有し、コアマット6は、複数の内周面2aにわたって連続的に、複数の内周面2aに圧接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱箱体、及び、それを搭載した冷蔵庫と貯湯式給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点また省エネルギ化の観点から、家電製品や産業機器に用いられる断熱箱体の断熱性向上が検討されている。断熱箱体に用いる断熱材としては、樹脂フォームや有機、無機の繊維が用いられているが、断熱箱体の断熱性を向上しようとした場合、断熱材の厚さを厚くする必要がある。断熱材の厚さが厚くなると家電製品や産業機器等の製品の全容量に対して断熱材以外の部品を実装できる容量の割合が低くなってしまう。そこで、樹脂フォーム等より約10倍程度、断熱性に優れる真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−300005号公報
【特許文献2】特開平11−141796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
断熱箱体は、内部にものが収納できるように、外観は、直方体の形状をしている。そのため、断熱箱体には直方体の辺となる屈曲部が存在する。通常、真空断熱材は、平板状のパネルの形状をしているので、断熱箱体の直方体の各面毎に真空断熱材を配置することになり、その屈曲部には、隣接する真空断熱材の間に隙間が生じていた。屈曲部にも真空断熱材を配置できれば、断熱箱体の断熱性を一層高められると考えられる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、断熱箱体の辺となる屈曲部にも、真空断熱材を配置可能な断熱箱体を提供することにある。また、このような断熱箱体を搭載する冷蔵庫又は貯湯式給湯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、外箱と内箱の間に硬質発泡ウレタンを充填した断熱箱体において、
前記外箱の辺を成す屈曲部の内箱側に設けられたフィルムとコアマットを有し、
前記外箱と前記フィルムとで、前記コアマットを収納するガスバリア容器を構成し、
前記ガスバリア容器内は、密封され減圧状態になっていることを特徴としている。また、このような断熱箱体を搭載する冷蔵庫又は貯湯式給湯器であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、断熱箱体の辺となる屈曲部にも、真空断熱材を配置可能な断熱箱体を提供できる。そして、このような断熱箱体を搭載する冷蔵庫又は貯湯式給湯器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る断熱箱体の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る断熱箱体の分解斜視図であり、(a)は内箱の斜視図であり、(b)はフィルムの斜視図であり、(c)は展開したコアマットの斜視図であり、(d)は外箱の斜視図である。
【図3】(a)は外箱に挿入前のコアマットの一部分の断面図であり、(b)は外箱に挿入後のコアマットの一部分(屈曲部の周辺)の断面図であり、(c)はフィルム装着後の真空断熱材の一部分(屈曲部の周辺)の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る断熱箱体の一部分(屈曲部の周辺)の断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る断熱箱体の分解斜視図であり、(a)は内箱の斜視図であり、(b)は展開したフィルムの斜視図であり、(c)は展開したコアマットの斜視図であり、(d)は展開した外箱の斜視図である。
【図6】(a)は本発明の第2の実施形態の箱成形前の真空断熱材の一部分の断面図であり、(b)は本発明の第2の実施形態に係る断熱箱体の一部分(屈曲部の周辺)の断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る断熱箱体の一部分(屈曲部の周辺)の断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る断熱箱体の一部分(屈曲部の周辺)の断面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る冷蔵庫(冷凍庫を含む)の正面図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る貯湯式給湯器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。また、本発明は、ここで取り上げた複数の実施形態の個々に限定されることはなく、適宜組み合わせてもよい。
【0010】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る断熱箱体1の断面図を示す。断熱箱体1は、内部にものが収納できるように、内部空間を有し、その内部空間と外部とを連通させる開口1aを有している。断熱箱体1は、その開口1aを塞いだとすれば、その外観は、概ね直方体の形状をしている場合が多く、以下でも、直方体を例に説明する。ただ、本発明は、直方体に限らず、円柱や三角柱等の形状にも適用できるのは明らかである。その例とする直方体形状の断熱箱体1には、複数の面と、辺となる複数の屈曲部2bが存在する。
【0011】
断熱箱体1は、外箱2と、内箱3とを有している。外箱2と内箱3の間の空間には、硬質発泡ウレタン4が充填されている。また、外箱2と内箱3の間の外箱2側には、すなわち、外箱2の内箱側には、フィルム5とコアマット6が設けられている。
【0012】
外箱2は、屈曲部2bにおいて互いに連結した複数の内周面2aを有している。フィルム5とコアマット6は、外箱2の複数の内周面2aと複数の屈曲部2bに、沿い、対向するように配置されている。コアマット6は、外箱2とフィルム5とに挟まれている。外箱2とフィルム5とで、空気等のガスが内部に入るバリアとなる気密性の高いガスバリア容器8が構成されている。外箱2の縁部の全周にわたって、フィルム5の縁部に配置されたフィルム溶着部5aが溶着されている。ガスバリア容器8の内部には、コアマット6が収納されている。ガスバリア容器8内は、密封され、前記内周面2aにおいても、前記屈曲部2bにおいても、減圧状態になっている。これにより、コアマット6は、大気圧によって、内周面2aにわたって連続的に、複数の内周面2aに圧接している。また、コアマット6は、フィルム5に圧接している。すなわち、コアマット6は、外箱2の複数の内周面2aと複数の屈曲部2bにおいて、片側がフィルム5に、もう一方の片側が外箱2に圧接している。なお、コアマット6内には、水分や二酸化炭素等のガスを吸着するゲッター剤7が設けられている。
【0013】
コアマット6を収納するガスバリア容器8は、内部が減圧状態になっていることから、真空断熱材9として機能していると考えることができる。そして、この真空断熱材9を1部材として考えると、この真空断熱材9は、内箱3との間の空間に硬質発泡ウレタン4を充填する外箱として機能していると考えることができる。外箱2の内箱3側に外箱2を部材の一部とした真空断熱材9を形成することで熱伝導率が低く断熱特性に優れる断熱箱体1を実現できる。そして、断熱箱体1を形成する外箱2と真空断熱材9が一体となっていることから、外箱2の屈曲部2bにも真空断熱材9を配置することが可能となり、断熱性が一層高められた断熱箱体1を実現することができる。
【0014】
外箱2には、鋼板を用いることができる。その鋼板には、通常、一般構造用鋼板を用いることが望ましい。鋼板の厚さは加工性を考慮して1.0mm以下が望ましい。1.0mmを超える厚さの鋼板を用いることも可能であるが、後の加工が困難になることがあるため注意が必要である。また、鋼板の外周面は塗装等により適宜色付けすることができる。さらに、鋼板の内周面2aに、フィルム5のフィルム溶着部5aを溶着するための下地層を形成して、接着性を改良するための処理を施してもよい。
【0015】
外箱2と一対となって真空断熱材9の外包材となるフィルム5については、さまざまな有機樹脂のフィルムを用いることができる。フィルム5には、金属蒸着膜を有するフィルム積層体を用いることができる。フィルム5の表面にアルミニウム(Al)等の金属を蒸着してガスのバリア性を向上することができる。ガスバリア性を向上させるため、アルミ箔をフィルム5に接着して用いることも可能であるが、アルミニウムの蒸着膜と比較してヒートブリッジが大きくなることがあるので注意が必要である。また、フィルム5は、複数のフィルムを積層して用いることが望ましい。フィルム5を積層フィルムとすることで、外箱2の鋼板と接着する面については鋼板と接着性の良いフィルムを配置することができ、断熱箱体1を構成する硬質発泡ウレタン4と接触する面には発泡ウレタンと接着性の良いフィルムを配置することができる。
【0016】
外箱2とフィルム5とで区切られた空間を減圧すると大気圧により押され、空間を維持することができなくなってしまうため、この空間にスペーサとしてコアマット6を挿入しておくことが好ましい。コアマット6に、平均繊維径が約3〜6μmのグラスウール製のマットを用いると、断熱箱体1の断熱性を最もよくすることができる。平均繊維径が6μmを超えるグラスウールを用いることも可能であるが、断熱箱体1の断熱性が低下する可能性がある。また、平均繊維径が3μm未満のグラスウールを用いることも可能であるが、平均繊維径が3〜6μmの繊維と比較して価格が高くなってしまい、環境への影響も懸念されることから今回は用いていない。グラスウールはガラスからできていることから、表面に水分を吸着していることが懸念される。吸着している水分は減圧された際に空間に放出され、断熱性能を低下させてしまうため、200℃以上に加熱する前処理を行ってから使用することが望ましい。外箱2とフィルム5とで区切られた空間の減圧状態を保持するためガスを吸着するゲッター剤7を用いることができる。ゲッター剤7としては、二酸化炭素、酸素、窒素等のガスや、水蒸気を吸収するものであればよく、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、金属水酸化物のゲッター剤、または、モレキュラーシーブ、シリカゲル、酸化カルシウム、ゼオライト、疎水性ゼオライト、活性炭、水酸化リチウム等を用いることができる。
【0017】
発泡断熱材の一例である硬質発泡ウレタン(ウレタンフォーム)4は、ウレタン結合やウレア結合とイソシアヌレート結合を有するものである。硬質発泡ウレタン4は、独立気泡率が概ね80%以上であり、独立気泡率を上げれば断熱性能を向上できる。硬質発泡ウレタン4を、外箱2と内箱3の間の空間に用いることで、断熱箱体1の断熱性を向上できる。
【0018】
図2に、本発明の第1の実施形態に係る断熱箱体1の分解斜視図を示す。図2(a)は内箱3を示し、図2(b)はフィルム5を示し、図2(c)は展開したコアマット6を示し、図2(d)は外箱2を示している。
【0019】
まず、図2(d)に示すように外箱2を用意する。そして、外箱2の5面の内周面2aと屈曲部2bに合わせて、図2(c)に示すように、コアマット6を成形する。コアマット6は、図2(c)と図3(a)に示すように、外箱2の屈曲部2bに対応する位置に沿って切欠6aを有している。これにより、図3(b)に示すように、屈曲部2bにおける曲げによるコアマット6のつぶれを抑制することができる。そして、断熱箱体1の屈曲部2bにおいても、高い断熱性を得ることができる。この切欠6aの形成には、コアマット6の成形時の切断に使用するカッタ等を用いることができる。コアマット6は、開口1aから外箱2の内側に入れられる。そして、コアマット6の各部分が、対応する外箱2の内周面2aに沿い対向するように配置される。コアマット6は、グラスウール同士が互いに絡み合い、こしがあるので、直立した内周面2aにも立て掛けておくことができる。コアマット6のグラスウールには平均繊維径が4.5μmのものを用い、使用前に200℃の温度で30分間のエージングを行っている。ゲッター剤7には合成ゼオライト(ユニオン昭和(株)製 モレキュラーシーブ13X)を用いている。なお、コア材は折り曲げ可能であれば、その構成を特に限定するものではない。例えば、バインダーによって硬化していない柔軟性を有する構成、バインダーによる硬化層を有する構成、熱プレスによって圧縮された構成、抄紙の手法による構成、不織布の手法による構成等、公知のあらゆる構成のコア材を含むものとする。
【0020】
次に、図2(b)に示すように、箱型形状のフィルム5を用意する。フィルム5では、開口1aが内部断面より広がり、その縁が全周にわたってフィルム溶着部5aになっている。そして、フィルム5は、外箱2の開口1aから、既にコアマット6が入っている外箱2の内側に入れられる。図3(c)に示すように、フィルム5の各部分が、対応するコアマット6の各部分に沿い対向するように配置される。フィルム5には、ナイロンフィルム(厚さ15μm)と、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)と、アルミ蒸着ビニルアルコール共重合体フィルム(厚さ30μm)と、ポリプロピレンフィルム(厚さ50μm)とを、ドライラミネート法で積層したものを用いている。フィルム5は、もともとシート状であるが、箱型形状の展開図の形状に裁断される。そして、裁断されたフィルム5の対応する縁部同士を重ねて熱溶着し、箱型形状のフィルム5を作製している。外箱2とフィルム5のフィルム溶着部5aは、あらかじめ、外箱2の接着面に下地層を形成した後、フィルム5を重ね熱圧着により接着している。なお、接着は、後記する真空引きの際の排気のために、フィルム溶着部5aの一部を除いて行っている。
【0021】
フィルム5として積層されているアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムと、アルミ蒸着ビニルアルコール共重合体フィルムには、アルミニウムが蒸着され、アルミニウム蒸着層が積層されている。これにより、フィルム5には、複数層のアルミニウム蒸着層が積層されている。アルミニウム蒸着層に限らず、金属蒸着膜は、高いガスバリア性を有している。このため、フィルム5に、アルミニウム蒸着層に限らず、金属蒸着膜を積層することで、ガスバリア性が高くガスの透過を抑制し経時劣化が少なく信頼性の高いフィルム5を得ることができる。
【0022】
次に、外箱2とフィルム5とで区切られ、コアマット6が収められた空間を真空引きする。真空引きは、ロータリーポンプで略10分間粗引きし、拡散ポンプで略10分間本引きし、その空間の圧力が絶対圧で1.5Paに達するまで排気を行っている。この排気の後、一部接着していなかったフィルム溶着部5aを外箱2に接着し、その空間を封止している。
【0023】
次に、図2(a)に示すように、開口1aを有する内箱3を用意する。内箱3と、既にコアマット6とフィルム5が入っている外箱2は、発泡装置内に入れられて固定される。発泡装置内では、内箱3は、外箱2の開口1aから、既にコアマット6とフィルム5が入っている外箱2の内側に入れられ、内箱3の各部分が、対応するフィルム5の各部分に沿い対向するように配置される。発泡装置は、図4に示すように、フィルム5(真空断熱材9)と内箱3で挟まれた空間に、硬質発泡ウレタン4を充填し、断熱箱体1が完成する。
【0024】
作製した断熱箱体1の壁面(屈曲部2bを含まない)の熱伝導率を熱伝導率測定装置(英弘精機(株)製 AUTO−Λ)を用い、測定温度条件10℃で熱伝導率を測定した。測定結果は、従来の真空断熱材と同程度の10mW/m・Kであった。これより、断熱箱体1における真空断熱材9(図1参照)も、従来の真空断熱材を用いた従来の断熱箱体と同程度の断熱性能を発揮していると考えられる。
【0025】
次に、作製した断熱箱体1(屈曲部2bも含む)からの熱漏洩量を測定するため、断熱箱体1を−(マイナス)10℃等の低温に設定した恒温槽内に設置し、断熱箱体1の箱内の温度を+(プラス)5℃等の高温(一定)に保つために必要な熱量を測定した。測定結果の必要な熱量は、70Wであった。従来の真空断熱材を用いた従来の断熱箱体では、必要な熱量は、85Wであり、第1の実施形態の断熱箱体1の方が、略20%少ない熱量で同一の温度に保てることが分かった。断熱箱体1の壁については、前記より、従来と同程度の断熱性能を発揮していると考えられるので、この熱漏洩量の差は、断熱箱体1の屈曲部2bにおける断熱性が向上したことによるものと考えられる。第1の実施形態の断熱箱体1を、保冷、保温が必要な民生機器や産業機器へ適用することで、省エネルギ化を推進することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
図5に、本発明の第2の実施形態に係る断熱箱体の分解斜視図を示す。図5(a)は内箱3を示し、図5(b)は展開したフィルム5を示し、図5(c)は展開したコアマット6を示し、図5(d)は展開した外箱2を示している。
【0027】
まず、図5(d)に示すように、展開されたままの外箱2が用意される。そして、図5(c)に示すように、第1の実施形態と同様に成形されたコアマット6が用意される。次に、図5(b)に示すように、図5(d)の外箱2と略同形状のフィルム5を用意する。
【0028】
次に、図6(a)に示すように、展開されたままの外箱2と、コアマット6と、フィルム5とを、重ねる。外箱2とフィルム5のフィルム溶着部5a(図5(b)参照)は、あらかじめ、外箱2の接着面に下地層を形成した後、フィルム5を重ね熱圧着により接着している。なお、接着は、後記する真空引きの際の排気のために、フィルム溶着部5aの一部を除いて行っている。
【0029】
次に、第1の実施形態と同様に、コアマット6が収められた空間を真空引きする。この真空引きの後、一部接着していなかったフィルム溶着部5aを外箱2に接着し、その空間を封止している。図6(a)に示すように、大気圧によって、フィルム5は、コアマット6に圧接するので、切欠6aに沿って張り付く。以上で、平坦な真空断熱材9が形成される。
【0030】
次に、図6(b)に示すように、真空断熱材9を、屈曲部2bで折り曲げ、箱形状にする。切欠6aでは、フィルム5が折り重なるので、大きなボリュームを要せず、コアマット6が過度に圧迫されることはない。
【0031】
最後は、第1の実施形態と同様に、内箱3を用意し、外箱2と共に、発泡装置内に入れて固定する。発泡装置は、図6(b)に示すように、フィルム5(真空断熱材9)と内箱3で挟まれた空間に、硬質発泡ウレタン4を充填し、断熱箱体1が完成する。第2の実施形態の断熱箱体1によっても、第1の実施形態の断熱箱体1と同様の断熱性能を発揮することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
図7に、本発明の第3の実施形態に係る断熱箱体1の一部分(屈曲部2bの周辺)の断面図を示す。第3の実施形態が、第1と第2の実施形態と異なる点は、外箱2に、複数の屈曲部2bを互いに近接させて設けている点である。これによれば、複数の屈曲部2bで、多段階に外箱2を曲げることになり、1つの屈曲部2bにおける曲げ角度を小さくすることができる。そして、切欠6aがなくても、屈曲部2bにおける曲げによるコアマット6のつぶれを抑制することができる。屈曲部2bにおいても断熱性に優れる断熱箱体1を得ることができる。なお、切欠6aと併用してもよいのはもちろんである。また、第3の実施形態において、第1の実施形態のように外箱2の箱形状の形成が真空断熱材9の形成より先でも、第2の実施形態のように外箱2の箱形状の形成が真空断熱材9の形成より後でも、かまわない。
【0033】
(第4の実施形態)
図8に、本発明の第4の実施形態に係る断熱箱体1の一部分(屈曲部2bの周辺)の断面図を示す。第4の実施形態が、第1と第2と第3の実施形態と異なる点は、外箱2の内周面の屈曲部2bにおける曲率半径Rが、コアマット6の厚さTより大きい点である(R>T)。これによっても、切欠6aがなくても、屈曲部2bにおける曲げによるコアマット6のつぶれを抑制することができる。そして、屈曲部2bにおいても断熱性に優れる断熱箱体1を得ることができる。なお、切欠6aと併用してもよいのはもちろんである。また、第4の実施形態において、第1の実施形態のように外箱2の箱形状の形成が真空断熱材9の形成より先でも、第2の実施形態のように外箱2の箱形状の形成が真空断熱材9の形成より後でも、かまわない。
【0034】
(第5の実施形態)
図9に、本発明の第5の実施形態に係る冷蔵庫(冷凍庫を含む)11の正面図を示す。冷蔵庫(冷凍庫を含む)11には、下段に冷蔵庫(室)が設けられ、上段に冷凍庫(室)が設けられている。冷蔵庫(冷凍庫を含む)11には、冷蔵庫用(下段)と冷凍庫用(上段)にそれぞれ、断熱箱体1と扉11bが設けられている。それぞれの断熱箱体1の開口1aは、正面方向に開いている。冷蔵庫(冷凍庫を含む)11の冷蔵庫用(下段)と冷凍庫用(上段)それぞれの断熱箱体1に、第1〜第4の実施形態に記載の断熱箱体1を用いることで、断熱性に優れた冷凍冷蔵庫を提供できる。一度、庫内を冷却すれば、その冷気を長期にわたって保持可能となるこのことから、冷却用のコンプレッサーで使用する電気量が少なくなり、省エネルギな冷凍冷蔵庫を提供できる。
【0035】
(第6の実施形態)
図10に、本発明の第6の実施形態に係る貯湯式給湯器12の斜視図を示す。貯湯式給湯器12には、蛇口12aの上方に、断熱箱体1が設けられている。断熱箱体1の開口1aは、下方向に開き、断熱箱体1内に収められるタンクの加熱を可能にしている。貯湯式給湯器12の断熱箱体1に、第1〜第4の実施形態に記載の断熱箱体1を用いることで、断熱性に優れた貯湯式給湯器12を提供できる。沸かしたお湯が温度を保ったまま貯蔵できることから、お湯の沸かし直しが少なくなり、省エネルギな貯湯式給湯器を提供できる。
【0036】
このように、本発明の断熱箱体1は、保温や保冷が必要な各製品に、適用することが可能であり、たとえば、車両、建築部材、搬送用機器、医療機器等における保温や保冷が必要な各製品にも適用することができる。特に、熱交換部を含み断熱性が必要な機器全般に有効である。
【符号の説明】
【0037】
1 断熱箱体
1a 開口
2 外箱(鋼板)
2a 外箱の内周面
2b 屈曲部
3 内箱
4 硬質発泡ウレタン(発泡断熱材)
5 フィルム(フィルム積層体;外箱の一部とも見なせる)
5a フィルム溶着部
6 コアマット(グラスウール製マット;外箱の一部とも見なせる)
6a 切欠
7 ゲッター剤
8 ガスバリア容器(外箱の一部とも見なせる)
9 真空断熱材
11 冷蔵庫(冷凍庫を含む)
12 貯湯式給湯器
R 曲率半径
T コアマットの厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と内箱の間に発泡断熱材を充填した断熱箱体において、
前記外箱の辺を成す屈曲部の内箱側に設けられたフィルムとコアマットを有し、
前記外箱と前記フィルムとで、前記コアマットを収納するガスバリア容器を構成し、
前記ガスバリア容器内は、密封され減圧状態になっていることを特徴とする断熱箱体。
【請求項2】
前記フィルムは、金属蒸着膜を含む積層構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の断熱箱体。
【請求項3】
外箱と内箱の間に発泡断熱材を充填した断熱箱体において、
前記外箱は、その辺を成す屈曲部で、コアマットを収納して密封され減圧状態になっているガスバリア容器になっていることを特徴とする断熱箱体。
【請求項4】
前記コアマットは、前記外箱の屈曲部に沿って切欠を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の断熱箱体。
【請求項5】
前記外箱に、複数の屈曲部を互いに近接させて設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の断熱箱体。
【請求項6】
前記外箱の内周面の屈曲部における曲率半径は、前記コアマットの厚さより大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の断熱箱体。
【請求項7】
前記外箱は、屈曲部において互いに連結した複数の内周面を有し、
前記コアマットは、複数の前記内周面にわたって連続的に、複数の前記内周面に圧接していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の断熱箱体。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の断熱箱体を搭載したことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の断熱箱体を搭載したことを特徴とする貯湯式給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−88036(P2013−88036A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229331(P2011−229331)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】