説明

断片化した試料の分別のための挟持チャンネル

【解決手段】 本発明は、試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の当該試料成分を単離する装置、システム、および方法を提供する。前記装置は、第1の挟持チャンネルおよび第2の挟持チャンネルと、前記第1の挟持チャンネルと前記第2の挟持チャンネルの間に延長する分離チャンネルと、収集ウェルを含む収集脚部と、廃棄脚部と含み、これら全てはスイッチング領域と流体流通している。前記方法において、試料物質が前記装置で複数の分離成分に分離されて、1若しくはそれ以上の当該分離成分は前記収集ウェルで単離される。前記分離成分は、前記スイッチング領域で第1のバッファー流動体および第2のバッファー流動体によって抑制されて引き延ばされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試料成分の分離および単離のための装置およびシステム、ならびにそれらの使用方法の分野に関する。特に、本明細書に記載するものは、試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質を1若しくはそれ以上の当該試料成分に単離するシステム、装置、および方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年7月26日付けで出願の米国特許出願第12/843,557号、2009年8月12日付けで出願の米国仮特許出願第61/233,392号、および2009年12月2日付けで出願の米国仮特許出願第61/266,030号の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
分離分析法は、異なる生体試料、反応生成物、および同類のものを特徴付けることが可能であり、生物学的研究における顕著な役割を果たす。広く普及している分離分析法の幾つかの例として、高分子種(例えば、タンパク質および核酸)の電気泳動分離が含まれる。電気泳動(例えば、キャピラリー電気泳動)は、高分子種を分離し、高分子種を更に特徴付けるための非常に有効な方法として確立されている。タンパク質および核酸は、電気泳動システムを使用して日常的に分別され特徴付けられる高分子種の代表的な2つの例である。
【0004】
マイクロ流体装置およびマクロ流体装置の両方が、分離分析法で使用されている。分子および特に高分子種の電気泳動手段による分離に用いられる新規なマイクロ流体装置および方法の例は、例えば米国特許第5,958,694号、第6,032,710号、および第7,419,784号に記載されている。このような装置において、分離が望ましい高分子種を含む試料はマイクロ流体基板に設けられた分離チャンネルの一端に配置され、電圧勾配が当該チャンネル長さに沿って印加される。試料成分が前記チャンネル長さに沿っておよび当該チャンネルの中に配置される分離(篩分け)マトリックスを通り抜けて電気泳動して移動することにより、当該試料成分は分解される。分離された成分は、次に、通常前記チャンネル長さに沿った、前記試料が導入された地点から下流の前記分離チャンネルの終端部に近接する検出ポイントで検出される。前記検出の後、前記分離された成分は、通常、後続の抽出または処理のため前記装置の収集槽/ウェル(または例えばキャピラリー分注器を使用して例えばマルチウェルプレートのような外部装置)に導かれる。
【0005】
多くの状況において、更なる処理または分析(例えば、制限酵素修飾、T4ライゲーション、PCR増幅、質量分析、またはポリヌクレオチドキナーゼ反応)のため、分離マトリックスで前記断片をバンドに分離した後、目的とする選択された断片(例えば、DNA断片)を抽出することが望ましい。分離マトリックス(例えば、アガロースゲルなど)から目的とする選択されたDNA断片(および他の望ましい核酸およびタンパク質断片)を抽出して単離する、実験室の研究者によって利用される典型的な方法は、前記分離マトリックスから前記望ましい断片を摘出する工程と、当該摘出された断片を抽出および純化する工程とを含む。最初に、前記分離された断片は、分離されたバンドを可視化するため前記断片に紫外線(UV)光を当てることによって染色され、彩色が施される。次に、前記篩分けの1若しくはそれ以上の薄片が取り除けるように目的の各断片の上下を剃刀の刃を使用して手作業で切除する。次に、前記篩分けマトリックスを溶解するため様々な溶液を使用しおよび加熱して、前記取り除いた薄片から前記DNAが抽出される。前記DNAは、標準の固相抽出(前記DNAを例えばガラスなどの固体表面に吸着させ、続いて洗浄して最後に溶出する)によってさらに純化される。回収されたDNAは、次に、更なる処理または分析のために使用される。しかしながら、この抽出する工程は、時間がかかり、面倒な上、前記DNAに損傷を与えかねない(例えば、分析対象の断片が切除のために照射されている間、紫外線光にDNAがあまりにも長い時間曝されると、当該DNAにニッキングが起こる可能性がある)。
【0006】
この様に、分離分析法を実行する中で、更なる分析または処理のため、前記装置自体の中で前記分離された成分の1若しくはそれ以上を単離または抽出することも可能であることが望ましい。前記回収されたまたは単離された断片は、次に、以下のような様々な異なる処理のために使用することも可能であり、例えば:ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)を使用する増幅;化学分析を可能にするのに充分な量の純粋なDNAの生産を可能とするため細菌プラスミド、バクテリオファージ、および小動物ウイルスの中に小サイズ〜中サイズのDNA鎖のクローンを作る連結反応;高性能配列解読装置を使用するアダプタライゲーション;例えばマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(Matrix−Assisted Laser Desorption Ionization:MALDI)を使用して質量分析計によって更に分析するため、適切なマトリックスで分離したタンパク質成分または核酸成分を溶解する反応;更なる分析のため、1若しくはそれ以上の分離したタンパク質成分または核酸成分に標識剤を結合する結合反応;または類似の検知後の処理を含む。さらに、PCR試料の場合には、前記試料内の主な核酸断片から比較的小さい二量体分子および十五プライマー分子を分離し、その後前記比較的小さい二量体分子およびプライマー分子を除去およびその後の処分のため廃棄槽/セルに導く間、更に分析または処理するため前記主な核酸断片を単離して収集できることが重要である。
【0007】
従って、試料物質を異なる試料成分または断片に分離し、その後更に処理または分析するため前記試料成分の1若しくはそれ以上の成分を単離するのに用いられる改良された装置、システム、および方法を提供することは有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1観点は、試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の当該試料成分を単離する装置である。前記装置は、第1の端部と第2の端部とをそれぞれ有する、第1の挟持チャンネルおよび第2の挟持チャンネルと、前記第1の挟持チャンネルと前記第2の挟持チャンネルとの間延在し、第1の端部と第2の端部とを有する分離チャンネルと、第1の端部と第2の端部とを有する収集脚部と、前記収集脚部の前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置される収集ウェルと、第1の端部と第2の端部とを有する廃棄脚部と、入口端と出口端とを有するスイッチング領域とを有する。前記第1の挟持チャンネル、前記第2の挟持チャンネル、および前記分離チャンネルの各々の第2の端部は、前記スイッチング領域の入口端と流体流通しており、前記収集脚部の第1の端部および前記廃棄脚部の第1の端部は、前記スイッチング領域の出口端と流体流通している。
【0009】
本発明の別の観点は、試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の当該試料成分を単離するシステムである。前記システムは、第1の装置と、前記装置と知覚連通する(in sensory communication with)検出器と、流体方向指示システム(fluid direction system)と、前記検出器および前記流体方向指示システムと動作可能に連結するプロセッサとを有する。前記第1の装置は、第1の挟持チャンネルおよび第2の挟持チャンネルと、前記第1の挟持チャンネルと前記第2の挟持チャンネルとの間に延在する分離チャンネルと、収集脚部であって、当該収集脚部の第1の端部と第2の端部との間に収集ウェルを含むものである、前記収集脚部と、廃棄脚部とを有する。前記第1の挟持チャンネル、前記第2の挟持チャンネル、および前記分離チャンネルは前記スイッチング領域の入口端と流体流通しており、前記収集脚部および前記廃棄脚部は前記スイッチング領域の出口端と流体流通している。
【0010】
本発明の更に別の観点は、試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の当該試料成分を単離する方法である。前記方法は、装置の分離チャンネルと流体流通する装填ウェルに試料物質を装填する工程と、前記分離チャンネルにおいて前記試料物質を複数の分離成分に分離する工程であって、当該分離成分は流動体(stream)を形成するものである、前記分離する工程と、前記分離成分の流動体を前記装置のスイッチング領域内に移動させる工程と、前記分離成分の流動体のいずれかの側部から第1のバッファー流動体および第2のバッファー流動体を前記スイッチング領域の中に移動させる工程であって、これにより当該第1のバッファー流動体および当該第2のバッファー流動体は、前記スイッチング領域を通って移動する際に前記分離成分の流動体を抑制して引き延ばするものである、前記移動させる工程と、前記分離成分の流動体の第1の部分、前記第1のバッファー流動体の第1の部分、および前記第2のバッファー流動体の第1の部分を前記スイッチング領域から流出させて前記装置の廃棄脚部に向かわせる工程と、前記分離成分の流動体の第2の部分、前記第1のバッファー流動体の第2の部分、および前記第2のバッファー流動体の第2の部分を前記スイッチング領域から流出させて前記装置の収集脚部に向かわせる工程と、前記分離成分の流動体の第3の部分、前記第1のバッファー流動体の第3の部分、および前記第2のバッファー流動体の第3の部分を前記スイッチング領域から出して前記装置の廃棄脚部に向わせる工程と、前記収集脚部に配置される収集ウェルから分離成分を収集する工程とを有する。
【0011】
本発明についての前述のおよび他の特徴および利点は、以下の記載の好ましい実施形態の詳細な説明を、添付の(正確な縮尺ではない)図面と共に読むことによってさらに明らかになるであろう。詳細な説明および図面は限定するものと言うよりむしろ単に本発明の例示的な説明であり、本発明の範囲は添付の特許請求項の範囲およびその均等物によって定義されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に従った、試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の試料成分を単離する装置の略図である。
【図2】図2は、本発明に従った、試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の試料成分を単離する別の装置の略図である。
【図3】図3は、本発明に従った、動作中の装置の一部分の写真である。
【図4】図4は、装置の挟持チャンネルを使用して達成される流線を示す図1の装置の一部分の略図である。
【図5】図5は、図1の装置の挟持チャンネルの利点を取り入れないで達成される流線を示す、挟持チャンネルのない装置の一部分の略図である。
【図6】図6は、フィードバック制御機構の情報を含む図1の装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の1観点は、試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の当該試料成分を単離する装置である。本発明の実施形態に従った前記装置の1実施形態を図1に図示する。図示の装置は、第1の挟持チャンネル1および第2の挟持チャンネル2と、スイッチング領域3と、装填ウェル4と、収集ウェル5と、収集脚部6と、廃棄脚部7と、分離チャンネル8と、篩分けマトリックス9と、槽部(reservoirs)10〜12とを有する。本実施形態において、槽部10および11は廃棄槽であり、槽部12はバッファー槽である。
【0014】
図1に示すように、挟持チャンネル1および2は、槽部12からスイッチング領域3に向かって延長している。分離チャンネル8もまた、槽部12からスイッチング領域3に向かって延長し、且つ挟持チャンネル1と挟持チャンネル2との間に位置付けられている。前記3つのチャンネルはスイッチング領域3の入口端で合流する。挟持チャンネル1および2が前記スイッチング領域の直前の上流で分離チャンネル8と結合されることによって、試料のバッファー流動体への拡散はほとんど起こらない。分離チャンネル8は外部環境に開かれた装填ウェル4を含み、例えば分注器を使用して手作業で当該装填ウェルに試料を置くことが可能であり、または自動試料移動装置によって試料が置くこともできる。
【0015】
脚部6および7は、スイッチング領域3の出口端から槽部10および11にそれぞれ延長している。図1に示すように、収集ウェル5は収集脚部6の中に配置されている。前記収集ウェルは、前記収集脚部内のスイッチング領域3と槽部10の間のあらゆる位置に配置可能である。前記収集ウェルを前記槽部より前記スイッチング領域3寄りに配置することにより、前記分離された試料物質のより狭い(すなわち、より正確に選択された)バンドを収集することが可能である。収集ウェルが大きければ、より広いバンドの収集が可能である。収集ウェル5は、前記装置から単離された試料成分の取り出しが可能なように外部環境に開かれている。収集ウェル5は、図1に示すように円形であるか、または単離した試料成分の収集を促進する他のあらゆる形状である。例えば、図2に示すような自由造形の形状である。前記図では前記収集ウェルは脚部6内に示されているが、別の実施形態では代わりに脚部7に配置されてもよい。この代替実施形態においては、脚部6は前記廃棄脚部であり、脚部7は前記収集脚部となる。
【0016】
分離チャンネル8は、当該分離チャンネル内に試料の電気泳動分離を促進するため篩分けマトリックス9を含んでもよい。前記篩分けマトリックスは、例えばアガロースまたは架橋ゲルである。挟持チャンネル1および2、スイッチング領域3、脚部6および7、ならびに槽部10〜12もまた、前記篩分けマトリックスを含む場合があるが、槽部10〜12は前記篩分けマトリックスで完全に満たされているわけではなく、追加的なバッファーを含んでいる。装填ウェル4および収集ウェル5は、試料物質の導入および引き出しを促進するため前記篩分けマトリックスを含まない。別の実施形態において、前記装置は、挟持チャンネル1および2、スイッチング領域3、脚部6および7、分離チャンネル8、ならびに槽部10〜12の一部分だけに篩分けマトリックスを含むか若しくは含まないものである。
【0017】
スイッチング領域3は、当該領域に出入りする前記チャンネルの単純な交差点であるか、または前記スイッチング領域は1つのチャンネルを形成するように延長している。スイッチング領域3は、図1および2に幅狭形状の「首」として示されている(すなわち、前記分離チャンネルの断面の寸法[幅]が前記スイッチング領域の断面の寸法[幅]より大きく示されている)。他の幾何学形状も可能である。前記スイッチング領域は前記のように幅狭形状のものが望ましい。理由としては、当該幅狭形状のスイッチング領域は前記領域内の電場を増加させるため、それにより前記領域内の移動速度が増加し、前記装置の充填中に気泡が分離マトリックスに閉じ込められるのを防ぐことを助長するためである。しかしながら、下記でより詳細に説明するように、前記スイッチング領域は、当該スイッチング領域で分離された試料内で電場を増加させるために著しく狭くする必要はない。なぜなら前記試料流動体は前記2つの挟持チャンネルから前記スイッチング領域の中に移送されるバッファーによって「狭持される」(すなわち、抑制または封じ込められることにより引き延ばされる)ため、前記スイッチ領域内の前記試料物質での電流密度が増加し、より速い電気泳動速度が生成されるためである。前記試料流動体の狭持が図3に示されており、前記スイッチング領域において、前記試料流動体が明色で、バッファー流動体が暗色で表されている。
【0018】
前記試料の狭持は図4にも示されており、図1の装置の一部分を通る試料物質の移動を具象化している。図4の20で図示されている流動ラインによって示されているように、試料流動体は全体として収集脚部6および収集ウェル5から離れる方向に向かっている。図4を、挟持チャンネルを含まない装置の一部分を通る試料物質の移動を具象化している図5と比較する。図5の流動ライン20は、試料流動体の一部分が図5の装置の収集脚部および収集ウェル内へ流入していることを示しており、流動体が狭持されない場合、結果的に望ましくない試料成分が前記収集ウェルに存在することになる。
【0019】
本発明に従った前記装置の別の実施形態が図2に図示されている。注意する点として、図面全体を通して同様の要素には同様の参照番号が振り分けられている。図示の装置は、第1の挟持チャンネル1および第2の挟持チャンネル2と、スイッチング領域3と、装填ウェル4と、収集ウェル5と、収集脚部6と、廃棄脚部7と、分離チャンネル8と、篩分けマトリックス9と、槽部(reservoirs)10〜14とを有する。図2に図示する実施形態において、槽部10および11は廃棄槽であり、槽部12〜14はバッファー槽である。要素1〜12の説明に関する上記の考察を参照されたい。図2に示す実施形態は、図2の装置が単一のバッファー槽ではなく3つのバッファー槽を含む点で図1および4で示す実施形態と異なる。
【0020】
図1の実施形態において、挟持チャンネル1および挟持チャンネル2は、分離チャンネル8と共に同一の槽部(槽部12)を共有している。この実施形態において、前記挟持率(pinching ratio)(前記分離チャンネルの電流の前記挟持チャンネルの電流に対する比率)は前記挟持チャンネルの抵抗の前記分離チャンネルの抵抗に対する比率によって制御され、当該抵抗は前記チャンネルの幾何学形状(例えば、幅、深さ、長さ)の関数である。前記分離チャンネルおよび前記2つの挟持チャンネルのための共有槽部を有することは、前記装置により要求される電極の数および電源を最小限にするために有効であり、結果として極めて小型の装置にすることが可能となる。
【0021】
図2の実施形態において、チャンネル1、2、および8の各々は、それ自体の槽部である槽部13、12、および14をそれぞれ有している。前記挟持チャンネルおよび前記分離チャンネルの各々が独立した槽部を有することによって、前記挟持率は前記チャンネルの幾何学形状に関係なく制御できる。これは、例えば電源などの外部ハードウェアを使用して直接、異なる槽部に異なる電圧を印加する、または前記分離チャンネルと前記挟持チャンネルの間の電流比率を制御することによって達成される。前記挟持率が増加することにより、前記試料が前記スイッチング領域内により効果的に保持されるが、電流/電力がより必要となることに注意されたい。
【0022】
上述の実施形態のいずれかは、検出領域(図示せず)を含み、所望の要素を前記収集脚部に送るため収集される試料成分が検出される。或いは、前記試料成分は前記装置を通過する既知の経過時間に基づいて特定される。
【0023】
前記装置の物質は、電気泳動分離に適しており且つ前記装置で分離および単離される要素に対して不活性であるものが選択される。前記装置に好適な物質は、(これに限定されるものではないが)ガラスおよびその他のセラミック、石英、シリコン、およびポリマー基材(例えば、プラスチック)を含む。
【0024】
本発明の別の観点は、試料材料を複数の試料成分に分離した後、当該試料材料の1若しくはそれ以上の当該試料成分を単離するシステムである。前記システムは、上述したような装置と、当該装置を制御する計装とを有する。例えば、前記システムは、前記装置の検出領域と知覚連通するように配置される検出器と、前記検出器から受け取った情報に基づいて1若しくはそれ以上の試料成分の前記分離チャンネルから前記収集脚部の収集ウェル内への移動を制御するように構成された流体方向指示システムおよび前記検出器に動作可能に連結されるプロセッサとを有する。本明細書で使用される用語「知覚連通(sensory communication)」は、検出器が前記装置に動作可能に接続されるように配置する、すなわち、前記装置の内容物から検出可能な信号を受け取ることができるように配置することを指す。光信号の場合、前記検出器を光信号を受け取るように配置することのみが必要となる。前記システムは複数の流体回路を同時に制御するように構成されている(例えば、図1においては単一流体回路が示されている)。この様な構成において、前記流体方向指示システムは、並列回路を有する前記検出器によって受け取られた情報に基づいて1つの流体回路で1若しくはそれ以上の試料成分の移動を制御するように構成される。(すなわち、能力がある)
【0025】
本発明の更に別の観点は、試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の当該試料成分を単離する方法である。前記方法は、図1および2で図示されまた上述されたような装置およびシステムを使用して実行されるものである。以下の説明は、前記装置の図で示した実施形態について言及しているが、前記方法は、使用される前記装置の幾何学形状、可能であり且つ予測できる前記装置への様々な変更および修正に応じて変更される。
【0026】
1若しくはそれ以上のバッファーが、前記バッファー槽の中に装填される。本発明の別の実施形態において、前記装置はバッファーが前記槽部に既に装填された状態で供給される。低イオン強度バッファーが収集ウェル5の中に装填され、高イオン強度バッファーが他の全ての槽部およびチャンネルの中に装填される。前記単離された試料成分が後でPCRを使用した増幅を受ける場合は、前記収集ウェルには低イオン強度バッファーが好ましい。高イオン強度バッファーは、追加のバッファー能力を提供するため前記槽部に装填するのが好ましい。電流はこれらのチャンネルを通って長期間(例えば、60分)流れており、前記装置内を電流が流れるため、より高いバッファー濃度により前記装置内のpHの変化が少なくなる。より導電率の高いバッファーが前記分離チャンネルで使用され、前記入力試料が導電率の低いバッファーに装填される場合、電場増幅試料スタッキング(field amplified sample stacking:FASS)が生じる。FASSは前記分離の感度および分解を増大する。
【0027】
試料は、図1および図2の4で示すように装填ウェルの中に配置される。前記試料は例えば分注器を使用して手作業で配置されるか、または自動試料移動装置によって配置される。電圧がバッファー槽に印加され、また異なる電圧が廃棄槽11に印加されて前記分離チャンネル8で前記試料を複数の試料成分に電気泳動的に分離する。最初は、収集脚部6内の零電流を維持するため、廃棄槽10に電気的接続は行われない。これにより、単離および収集が要求される前記試料の成分がスイッチング領域3に到達するまで、前記分離された試料は廃棄脚部7および廃棄槽11の方向に向けられる。或いは、前記流体方向指示システムが、零電流を維持するため廃棄槽10での前記電圧を制御する。本明細書の用語「零電流」は、他の脚部における電流と比較して無視できるほど小さい電流(例えば、他の脚部における電流の2%より小さい電流)と定義されることに注意されたい。
【0028】
前記試料が前記分離チャンネル8で分離されているのと同時に、廃棄槽11と、前記挟持チャンネルの各々と連結している前記バッファー槽(図1の槽部12および図2の槽部13および14)との間の電圧差により、バッファーは挟持チャンネル1および挟持チャンネル2を通って移動されている。前記分離された試料がスイッチング領域3を通過する過程で、前記2つの挟持チャンネルからの前記バッファー流動体により、前記分離された試料は、図3および4に示されるように、「狭持され」(すなわち、抑制または封じ込められ)、これにより前記スイッチング領域内の前記電場が増加し、前記試料物質の電気泳動速度がより速くなる。前記試料の狭持により、前記試料が非対象脚部内へ漏出するのことが防止される。このような漏出は、挟持チャンネルを含まない装置を図示する図5に示されている。当初は、前記収集脚部6が非対象脚部である。廃棄脚部7は、単離される成分がスイッチング領域3に流入するまで前記対象脚部のままであり、前記試料流動体が瞬時に収集脚部6に切り替わると(すなわち、方向転換すると)、次に前収集脚部6が記対象脚部になる。
【0029】
分離および収集される1若しくはそれ以上の成分がスイッチング領域3内に一旦入ると、電圧が廃棄槽10に印加され、零電流が廃棄槽11で維持される。これにより前記試料の流動方向が廃棄脚部7から収集脚部6に切り替わる。前記試料流動体の方向変換は、前記試料の望ましい成分のみを単離するように時間調整される。前記1若しくはそれ以上の所望の成分が収集脚部6内に入り、収集ウェル5のある場所に位置付けられると、再度廃棄槽10に対して零電流が制御され、且つ廃棄槽11に対して元の電圧が再印加されることによって、前記試料流動体は廃棄脚部7および廃棄槽11の方向に再度方向転換される。零電流が廃棄槽10に対する電気的接続部で印加されると、収集脚部6内への移動は停止し、前記試料の所望される1若しくはそれ以上の成分は、収集脚部6内の収集ウェル5がある場所の所定の位置に残る。前記試料成分は、次に、例えば分注器などを使用して手作業で収集ウェル5から取り出され、あるいは自動試料移動装置によって引き出される。
【0030】
上述したように、図1に図示する挟持率は、前記挟持チャンネルの抵抗の前記分離チャンネルの抵抗に対する比率によって制御され、当該抵抗は前記チャンネルの幾何学的形状の関数である。図2に図示する装置の挟持率は、前記幾何学的形状と関係なく制御することができ、例えば前記様々な槽部に異なる電圧を印加することによって、または例えば電源などの外部ハードウェアを使用して前記分離チャンネルと前記挟持チャンネルの間の電流比率を制御することによって制御することができる。前記挟持率が増加することにより、前記試料が前記スイッチング領域内により効果的に保持されるが、電流/電力をより必要とする。
【0031】
上記で説明したように、スイッチング領域3内に移送される前記試料流動体を挟持することにより、電場を増大させて前記スイッチング領域内の前記試料物質の電気泳動速度を前記分離チャンネル内の電気泳動速度より速くする。挟持の有用性については本明細書の説明から容易に理解される。DNAを分割するとき、例えば、速度がより速いと距離当たりの塩基対の数が減少する。すなわち、前記スイッチング領域の速度に対する前記分離チャンネルの速度の比率が増加すると、スイッチング領域3内の塩基対の数が減少する、要するに前記分離された試料を「引き延ばし」て前記試料流動体を伸長させる。これにより、前記スイッチング交差点の物理的サイズがゲルからの1若しくはそれ以上のバンドを含む薄片を切り取るのに使用される手術用メスの刃の厚さにある意味で相当するため、前記所望の成分を有する小さいバンドを収集脚部6に方向に逸らす正確性が高まる。ゲルを切り取るとき、前記刃の厚さより薄い薄片を切り取ることは困難(実質的に不可能)であるため、当該ゲルから切り取られる薄片の最小サイズは前記刃の厚さにより決定される。ゲルが延びる場合、同一サイズの外科用メスを使用して当該ゲルからより正確な選択の切り取りが得られるであろう。同様に、本発明の方法においても、前記挟持率を増加することにより、前記装置によって実行される前記「切り取り」における分解能を高めるであろう。前記挟持率を増加することの他にまたはそれに加えて、他の方法も前記スイッチング領域で速度を速めるために使用される。電場または種の移動度のいずれかを高めるあらゆる方法が効果的である。この様な方法は、(これに限定されるものではないが)前記スイッチング領域での前記チャンネルの深さを変更する工程、(種の移動性を高めるため)前記スイッチング領域に近傍の前記篩分けマトリックスを変更または除去する工程、または前記領域の近傍に導電率の段階的低減を作成する工程を含む。
【0032】
前記試料が分解されている間、前記試料が左側(収集脚部6)または右側(廃棄脚部7)のいずれに送られているかに関わらず、前記分離チャンネル内に同じ分離場を維持することが望ましい。前記収集ウェル(図1および2の5で示される)は、例えば、前記移動しているバッファー(すなわち、分離チャンネル8を通って移動する前記バッファー)と異なる導電率のバッファーを含む。上述したように、異なる導電率のバッファーが前記装置の中で使用され、1若しくはそれ以上の前記チャンネル内のバッファーの方が収集ウェル5に存在するバッファーの導電率よりより高い導電率を有する。このように、前記2つの脚部の抵抗は異なり、当該抵抗の厳密の値は未知である。前記チャンネルの抵抗がこの様に不確かであるということは、前記対象脚部が切り替わるとき、前記流体方向指示システムが分離チャンネル8で同じ電場を維持することができないことを意味する。この問題を解決するため、前記脚部で電圧が零電流であるかを読み取ることによって前記スイッチング領域の電圧が制御される。図6を参照。すなわち、1つの脚部(例えば、脚部6)で零電流が維持されるので、脚部6の前記電圧はスイッチング領域3まで前記脚部全体にわたって同じである。従って、脚部6の電圧を読み取ることは前記スイッチング領域(Vi)の電圧を測定することになる。他の脚部(脚部7)の電圧および/または電流を調整することによって、望ましいViが前記スイッチング領域で維持される。
【0033】
このような方法において、たとえ前記2つの脚部の抵抗が未知であっても(およびあるいは同等でなくても)、(図1および2の5で示す)前記試料装填ウェルと(図1および2の3で示す)前記スイッチング領域との間での電圧降下は実質的に同じままである。このフィードバック制御は、図6に図示するように前記脚部の1つで零電流であっても前記挟持チャンネルが前記スイッチング領域で前記試料の閉じ込めを可能にするため、前記装置の設計によって可能である。
【0034】
フィードバック制御は、前記装置の槽部に接続する電極に電圧および電流を制御および印加する電気回路を使用することにより達成される。前記電気回路は、スイッチとして使用される半導体および/または電気機械装置を含む。前記スイッチは、動作の線形(比例)モードおよび/または非線形(オン/オフ)モードで使用される。前記電気回路はコンピュータ制御であり、これにより前記印加される電圧および電流の大きさ、およびこれら印加のタイミングがコンピュータアルゴリズムによって特定され、前記電気回路はまた前記検出器からの信号によっても駆動される。
【0035】
前記装置を使用して、特定サイズの断片が広いサイズ分布を有する初期試料から単離される。多くの用途において、目的は前記収集ウェルに狭いサイズ分布のバンドを単離することである。しかしながら、他の用途において、より多量の収集と引き換えにより広いサイズ分布が望ましいまたは許容される。図1で示されるように、収集ウェル5は必ずしも前記電気回路の終端である必要はない。従って、物質が入っている収集ウェル5は、最終的にには前記収集ウェルから流れ出て槽部10に向かって電気泳動を続ける。このような方法において、比較的大きく比較的遅速な断片が入り続けると、前記最小かつ最速で移動する断片は最終的に収集ウェルを出るため、収集ウェル5のサイズは収集される物質の最大量に影響を与える。
【0036】
収集される物質の量は、前記収集ウェルのサイズを増大することによって、このウェルに前記電気回路の終端を取り付けることによって、または収集ウェル5により高い導電率(またはより高い粘度、または増強した篩分け)バッファーを使用することによって増加させることができる。これは、前記チャンネル内の前記篩分けマトリックスが架橋またはゲル化している場合に可能である。この場合、前記収集ウェルは、異なるバッファーで満たすことができる前記マトリックスの「穴部」として定義される。前記収集バッファー(前記収集ウェル内のバッファー)が前記移動バッファー(収集脚部内のバッファー)より導電率が高いとき、前記ウェルに入る物質は集結して遅くなる(すなわち、積層される)。この様に例えば、前記収集バッファーの導電率が前記流れるバッファーの導電率より2倍高い場合、結果として前記収集ウェルの能力は2倍になる。或いは、積層させる他の方法としては、例えば前記粘度を増加させる、篩分けを強化する、または(前記収集ウェルの断面積を増やすことによって)電流密度を減少させることが用いられる。前記粘度は、例えばグリセロールなどの試剤を前記収集バッファーに追加することによって増加される。前記篩分けは、前記分離された分子の進行を妨げるポリマー(例えばPDMAなど)を使することによって強化される。
【0037】
本明細書に開示される本発明の実施形態が現在好ましいと考えられるとしても、様々な変更および修正が本発明の精神と範囲から逸脱することなく行うことが可能である。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に示されているものであり、均等物の意味および範囲内で生じる全ての変更および修正は、本明細書に包含されることを目的とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の試料成分を単離する装置であって、
第1の端部と第2の端部とをそれぞれ有する、第1の挟持チャンネル[1]および第2の挟持チャンネル[2]と、
前記第1の挟持チャンネルと前記第2の挟持チャンネルとの間に延在し、第1の端部と第2の端部とを有する分離チャンネル[9]と、
第1の端部と第2の端部とを有する収集脚部[6]と、
前記収集脚部の前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置される収集ウェル[5]と、
第1の端部と第2の端部とを有する廃棄脚部[7]と、
入口端と出口端とを有するスイッチング領域[3]と
を有し、
前記第1の挟持チャンネル、前記第2の挟持チャンネル、および前記分離チャンネルの各々の第2の端部は、前記スイッチング領域の入口端と流体流通しており、前記収集脚部の第1の端部および前記廃棄脚部の第1の端部は、前記スイッチング領域の出口端と流体流通しているものである、
装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、さらに、
第1のバッファー槽[12]と、第1の廃棄槽[10]と、第2の廃棄槽[11]とを有し、前記分離チャンネルの第1の端部は当該第1のバッファー槽と流体流通し、前記収集脚部の第2の端部は前記第1の廃棄槽と流体流通し、さらに前記廃棄脚部の第2の端部は当該第2の廃棄槽と流体流通するものである装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、前記第1の挟持チャンネルの第1の端部および前記第2の挟持チャンネルの第1の端部は、前記第1のバッファー槽と流体流通するものである装置。
【請求項4】
請求項2記載の装置において、さらに、
第2のバッファー槽[13]と、第3のバッファー槽[14]とを有し、前記第1の挟持チャンネルの第1の端部は当該第2のバッファー槽と流体流通し、前記第2の挟持チャンネルの第1の端部は当該第3のバッファー槽と流体流通するものである装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、さらに、
前記分離チャンネル内に配置される篩分けマトリックスを有するものである装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、さらに、
前記分離チャンネル内に配置される装填ウェル[4]を有するものである装置。
【請求項7】
請求項1記載の装置において、さらに、
前記収集脚部の中に配置される篩分けマトリックスを有するものである装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、前記分離チャンネルの断面直径は、前記スイッチング領域の断面直径より大きいものである装置。
【請求項9】
試料物質を複数の試料成分に分離した後、当該試料物質の1若しくはそれ以上の試料成分を単離するシステムであって、
第1の装置であって、第1の挟持チャンネル[1]および第2の挟持チャンネル[2]と、前記第1の挟持チャンネルと前記第2の挟持チャンネルとの間に延在する分離チャンネル[9]と、収集脚部[6]であって、当該収集脚部の第1の端部と第2の端部との間に配置される収集ウェル[5]を含むものである、前記収集脚部[6]と、廃棄脚部[7]と、スイッチング領域[3]とを有し、前記第1の挟持チャンネル、第2の挟持チャンネル、および前記分離チャンネルは前記スイッチング領域の入口端と流体流通し、前記収集脚部および前記廃棄脚部は前記スイッチング領域の出口端と流体流通するものである、
前記第1の装置と、
前記装置と知覚連通する検出器と、
流体方向指示システムと、
前記検出器および前記流体方向指示システムと動作可能に連結するプロセッサと
を有するシステム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムにおいて、前記流体方向指示システムは、1若しくはそれ以上の試料成分の、前記分離チャンネルから前記収集脚部および前記廃棄脚部のうちのいずれか1つへの移動を制御するように構成されているものであるシステム。
【請求項11】
請求項9記載のシステムにおいて、さらに、
第2の装置を有し、この第2の装置は、
第1の挟持チャンネルおよび第2の挟持チャンネルと、
前記第1の挟持チャンネルと前記第2の挟持チャンネルとの間に延在する分離チャンネルと、
収集脚部であって、当該収集脚部の第1の端部と第2の端部との間に配置される収集ウェルを含むものである、前記収集脚部と、
廃棄脚部と、
スイッチング領域とを有し、
前記第1の挟持チャンネル、第2の挟持チャンネル、および前記分離チャンネルは前記スイッチング領域の入口端と流体流通し、前記収集脚部および前記廃棄脚部は前記スイッチング領域の出口端と流体流通するものであるシステム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムにおいて、前記流体方向指示システムは、前記第1の装置の1若しくはそれ以上の試料成分および前記第2の装置の1若しくはそれ以上の試料成分の移動を同時に制御するように構成されているものであるシステム。
【請求項13】
請求項12記載のシステムにおいて、前記流体方向指示システムは、前記第1の装置の1若しくはそれ以上の試料成分および前記第2の装置の1若しくはそれ以上の試料成分の移動を、並列回路内の前記検出器によって受け取られた情報に基づいて制御するように構成されているものであるシステム。
【請求項14】
装置の内で試料物質を複数の分離成分に分離して、1若しくはそれ以上の当該分離成分を単離する方法であって、
前記装置の分離チャンネルと流体流通する装填ウェルに試料物質を装填する工程と、
前記分離チャンネルにおいて前記試料物質を複数の分離成分に分離する工程であって、当該分離成分は流動体(stream)を形成するものである、前記分離する工程と、
前記分離成分流動体を前記装置のスイッチング領域内に移動させる工程と、
前記分離成分の流動体のいずれかの側部から第1のバッファー流動体および第2のバッファー流動体を前記スイッチング領域に移動させる工程であって、これにより当該第1のバッファー流動体および当該第2のバッファー流動体は、前記スイッチング領域を通って移動する際に前記分離成分の流動体を抑制して引き延ばすものである、前記移動させる工程と、
前記分離成分の流動体の第1の部分、前記第1のバッファー流動体の第1の部分、および前記第2のバッファー流動体の第1の部分を前記スイッチング領域から流出させて前記装置の廃棄脚部の中に向かわせる工程と、
前記分離成分の流動体の第2の部分、前記第1のバッファー流動体の第2の部分、および前記第2のバッファー流動体の第2の部分を前記スイッチング領域から流出させて前記装置の収集脚部の中に向かわせる工程と、
前記分離成分の流動体の第3の部分、前記第1のバッファー流動体の第3の部分、および前記第2のバッファー流動体の第3の部分を前記スイッチング領域から流出させて前記装置の廃棄脚部の中に向かわせる工程と、
前記収集脚部内に配置される収集ウェルから前記分離成分を収集する工程と
を有する方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記収集脚部および前記廃棄脚部のうちのいずれか1つのみが零電流であり、さらに、
零電流を有する前記脚部の電圧を決定する工程であって、これにより前記スイッチング領域の第1の電圧を決定するものである、前記決定する工程と、
零電流を有さない前記脚部の電圧および電流の一方若しくは両方を調整する工程であって、これにより前記スイッチング領域の第2の電圧を発生させるものである、前記調整する工程と
を有するものである方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法において、さらに、
前記収集ウェル内の前記複数の分離成分の1若しくはそれ以上を積み重ねる工程を有するものである方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記収集脚部は、架橋またはゲル化マトリックスのうちの1つである第1の篩分けマトリックスを含むものである方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記収集ウェルは篩分けマトリックスを含まないものであり、前記収集脚部は第1の導電率を有するバッファーを含み、前記収集ウェルは第2の導電率を有するバッファーを含み、当該第2の導電率は当該第1の導電率より高いものである方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法において、前記収集脚部は第1の粘度を有するバッファーを含み、前記収集ウェルは第2の粘度を有するバッファーを含み、当該第1の粘度は当該第2の粘度より小さいものである方法。
【請求項20】
請求項17記載の方法において、前記収集ウェルは、前記第1の篩分けマトリックスより篩過性を提供する第2の篩分けマトリックスを含むものである方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−501936(P2013−501936A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524730(P2012−524730)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/043759
【国際公開番号】WO2011/019515
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(506076709)カリパー・ライフ・サイエンシズ・インク. (11)
【Fターム(参考)】