説明

新規なサステナブル建築モデル

本発明は、新規なサステナブル建築に関し、その囲い壁、屋根および基礎が、ドア、窓および煙突を除いて、蓄熱容量が大きい中心の芯材(5)と、該中心の芯材と密着した熱伝導度が大きい内側ライナすなわちメンブレン(4)と、機械的に耐性のある断熱外側表面(6)とで形成されるエンベロプを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖冷房のエネルギー要求を大きく低減する新規なサステナブル住宅/建築モデルに関し、現在のエネルギーの無駄と、現在の従来技術の使用に由来する居住者の健康および環境に対する害がなくなり、同時に、欧州議会により決議案A3−0054/94で要求されている生態系における自然エネルギー流の利用が可能になる、新規なサステナブル住宅/建築モデルに関する。
【0002】
サステナブル建築の設計は、従来の建築物と同様に様々なものがあり得る。このサステナブル建築は基本的に、最も重要な分野である住宅のことを指すが、このモデルは、学校、診療所、病院、大学の棟、オフィス、工業施設、温室、蓄熱庫などの全てのタイプの建築物にも適用される。
【背景技術】
【0003】
迫り来る深刻なエネルギー危機や、すでに80%に達したスペインなどの大部分の国の外国のエネルギー源に対する依存、現在のところ社会で利用される総エネルギーの40%を超える住宅の過大な消費量、気候変動による懸念される影響とにより、住宅が政府機関の最優先事項になった(例えば欧州議会・評議会の指令2002/91/ECなど)。
【0004】
住宅を暖冷房するためのエネルギー要求がこれ以上遅れることなく大幅に低減されなければ、京都議定書は遵守されず、気候変動は留められない。
【0005】
今日において、住宅の冷暖房は、互いに必要とされ補完し合う基本的な2つのポイントに支えられている。第1のポイントは、囲い壁および屋根に優れた断熱材を設置し、同時に、仕切り、胴つなぎ、屋根などに軽量の材料を広範囲にわたって使用することで成り立つ。それによって構造が経済的になり、輸送および現場設置コストが節減される。それにもかかわらず、断熱材を優先しても、下記から分かるように、これに関わるその他の決定的な要因が存在することから、住宅におけるエネルギーの無駄は継続する。
【0006】
第2のポイントは、従来の住宅における機械的な機器、一般に熱ポンプ(季節に応じて温かいまたは冷たい空気を提供する)の設置に関係する。しかしながら、この機器の運転が中止または停止されると、住宅は短時間で冷え込む、または暑くなる。このとき、上記2つのポイントすなわちコンセプトは互いに補完し合い、コストに対する目的を満たすが、恒久的な運転によってエネルギー消費が高くなることは明らかである。しかしながら、機器の恒久的な消費を食い止めることができる節約策も、そこに供給する十分なエネルギーもないため、断熱と軽量材料の目的が何であるか問わなければならない。
【0007】
実際の現象は、複数の関わる要因が存在する、幾分無秩序なプロセスに則る。まず、好むと好まざるとにかかわらず、従来の住宅は気密性に欠けている。すなわち、直接的に開放されているものすなわち台所や風呂場の煙突や通気口に加えて、閉鎖部分の隙間/凹凸すなわちドアや窓の合い具合により、家屋に屋外の空気が入ったり、家屋から空気が出て行くことはかなり容易である。機械的な空気の取り出しでさえ一部で行われる。ただし、空気の主要な移動経路は、家屋内部と外部の圧力差である。したがって、家屋から一定量の空気が出ると、屋内の空気に一定の圧力降下が生じ、それにより、家屋の空気圧と外部の大気圧の均衡をとるために、屋外から同じ量の空気が入ってくる必要が生じる。これは全て、変動する様々な一連の屋内外の温度範囲内で行われる。この一連の温度によって、様々な密度、上下移動、およびあらゆるタイプの運動が生じ、それにより、従来の家屋における真に自然かつ恒久的な空気の入れ換えが行われる。このことは、申し分のない目的に役立つ、すなわち悪臭をなくし、呼吸のための酸素をもたらすが、家屋に入ってくる空気が、屋外からもたらされるエネルギーと共に入り、出ていく空気が、家屋に含まれている全てのエネルギーを引き出すので、非常に無駄の多いエネルギー・モデルを助長することになる。したがって、これが、今日のところ普及している使い捨てのエネルギー・モデルである。
【0008】
さらに、機械的な暖房/冷房機器は、冷暖熱を人工的に取り入れることによって内部空気を頻繁にリサイクルし、通常は、家屋における自然の空気の入れ換えを強化する特定の設備以外には、住宅に屋外の空気を機械的に採り込むことはない。しかしながら、機械的な暖房/冷房機器が設置されているがどうかに関わらず、いずれの場合も、上記の従来の住宅における空気の入れ換えが確認される。
【0009】
さらに、家屋内の空気全体が、気候および国に応じて1時間ごとに1回〜複数回入れ換えられる。これは、広く見られる解決せねばならない問題である。物理学的観点から、従来の住宅が、単なる空気の容器、エネルギー活動における、消極的な傍観者に成り下がっていることは明らかある。このように、従来の住宅がエネルギー活動に積極的に関与しないのは、その材質が、断熱性および軽量性のような、エネルギーを熱の形で回収し伝送するのに適していない特性に従って決定されることから、エネルギー活動に関わる能力に欠けているためである。
【0010】
上述の使い捨てのエネルギー・モデルは、今日の住宅における無駄の主要な原因である。また、ラジエータやパネルなどの従来のシステムの派生品はいずれも、家屋がこのエネルギー・プロセスにほとんど関与しないことから、恒久的にエネルギーを放出する必要があるため、結局同じことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
熱という形をしたエネルギーの観点から、住宅と環境との関係は実に複雑である。同様に上述の短所を解決するのも複雑である。したがって、サステナビリティそれ自体は、環境に配慮した、長期間持続する解決策を要する。しかし、現在の無駄の多い再生不能なエネルギー・モデルをなくして、別の、生態系の自然エネルギー流を好んで使用する、真に長持ちする、より自然で健全な、環境に組み込まれたモデルと置き換えなければならない限り、この解決策は長期間持続しなければならない。ここで、環境に示すことができる最大の配慮とは、環境に統合することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
しかしながら、この複雑な関係は、単一の多少なりともパワフルな措置ではなく、種々の相補的な措置の集合を同時に実施できる、やはり複雑な新しい機構すなわち戦略によって、解決することができる。
【0013】
物理学の観点から5種類の措置と、建造を工業化するための第6の措置がある。
【0014】
本発明の主要なコンセプトである第1のコンセプトは、サステナブル建築/住宅を熱式のエネルギー貯蔵体に変えることで成り立つ。そのため、この建築物の材料は熱の回収と蓄熱に優れた能力を有し、それと同時に、建築物はそれを環境から隔離するエンベロプ全体によって保護される。
【0015】
本発明の第2のコンセプトは、エネルギー貯蔵体全体に対してエネルギーを出し入れするデバイスおよび方法に関わる。
【0016】
本発明の第3のコンセプトは、建築物内の熱エネルギーの振る舞いすなわち作用に関し、詳細には、居住可能なスペースで生じるエネルギー活動を考慮することに関する。
【0017】
第4のコンセプトは、サステナブル住宅に出入する空気流を制御し、内部空気にわずかな過剰圧力を作り出して、従来の住宅内における空気の入れ換えで生じる無秩序をなくす。
【0018】
第5のコンセプトは、サステナブル住宅に採り込まれた入れ換え空気に適用される、エネルギーおよび相対湿度の制御処理に関する。
【0019】
第6のコンセプトは、工場で製造されたプレハブ式ユニットすなわち現場で行われる工業的解決策を使用することによって、サステナブル建築の建造を工業化するものである。
【0020】
このため、本発明によると、ドア、窓および煙突を除く、囲い壁、屋根および基礎で形成された建築物エンベロプは、蓄熱容量が大きい中心芯材と、中心の芯材と密着した熱伝導度が大きい内側ライナすなわちメンブレンと、機械的に耐性のある断熱外側表面とからなる。芯材とメンブレンの両方と、建築物の構造躯体、仕切り、および残りの要素が、優れた蓄熱容量を有する材料を使用していることと、エンベロプの外側表面が断熱性を有していることと、をベースとする蓄熱体として考案される。さらに、本発明によると、空気が、適切に入れ換えるために各区画の内部から取り出され、同時に、外側の空気の自然な侵入を妨げるのに十分な、外側に対してわずかな過剰圧力を作り出すために、取り出された量を超える量の空気が、各区画に押し込まれる。
【0021】
さらに、内部および外側の空気の温度に関する情報と、芯材および基礎の温度と、屋内および屋外の空気の圧力値および相対湿度値に関する情報と、建築物内の空気の調整に影響を及ぼす、場所に関するその他の気候データとをもたらすインテリジェント電子デバイスが提供される。この電子デバイスは、最も適切なエネルギー選択肢をプログラムされた選択肢から選択する。
【0022】
本発明はまた、追加の熱エネルギー外部貯蔵システムを提供する。このシステムは、熱源として使用することができ、蓄熱体、集熱器、および上記蓄熱体用の断熱ライナを備える。上記蓄熱体は、土および結合材と熱伝導度が大きい金属材料との混合物をベースにした本体で構成され、さらにその蓄熱体に対するエネルギーの出し入れを促進する熱伝達のための特別な経路すなわちリブを有する。
【0023】
上記結合材はセメントで構成することができ、その結合材が硬化した後に、上記蓄熱体を構成する上記本体に水分を追加することができる。
【0024】
熱伝達経路は金属材料で構成することができる(例えば熱流体が循環する管など)。こういった管は、蓄熱本体に含まれる金属材料と接触して、上記蓄熱体と熱伝達経路の間の熱伝達を向上させる。また、上記管は、その壁にオリフィスを有して、水分を蓄熱本体へ供給する手段として働くことができる。
【0025】
土および結合材からなり、金属要素を含んだ上記本体を、プレハブ式ユニットの形成に使用することができる。そのユニットは、一旦硬化すると、建築物の建造に組み込まれ、すなわち使用される。
【0026】
熱回収手段は、例えば日光を屋根の透明な開放領域を介して蓄熱体の内部に向けるように方向付け可能な鏡をベースにするなど、太陽エネルギー利用システムをベースにすることができる。上記太陽エネルギー回収手段はまた、太陽電池パネルを含むことができる。
【0027】
最後に、エネルギーを最大限利用するために、本発明によると、上記空気の入れ換えプロセス中に建築物に含まれる空気の熱エネルギーを回収する手段が存在する。このため、建築物から取り出された空気と、外側から入ってきた空気が、熱交換器を対向流の形で通って循環する。この交換器は、2つの循環経路を規定する2つの同軸ダクトで構成することができる。内側の循環経路は、外からの清浄な空気が循環でき、2本の管の間に画成される環状の循環経路は、建築物の内部から取り出された空気が循環する。少なくとも内側ダクトの壁は、例えば金属製の壁など熱伝導性に優れた材料でできていて、対向流の形で循環する両空気流の間の熱伝達に有利である。上記伝送および熱交換は、内部経路と環状経路の両方における、ウィングが空気流に乱流を作り出す構成によって向上させることができる。
【0028】
本発明をより理解するために、任意の設計、高さ、寸法または床数を備えるサステナブル建築の、非限定的で簡略化された図面すなわち図を一式(縮尺なし)を提示する。混乱が生じる可能性のある特定の要素は削除した。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に従って形成された複数の階層を有する建築物の縦断面概略図である。
【図2】図1と同様の断面拡大図である。
【図3】図2のAに対応する拡大図である。
【図4】図2のBに対応する拡大図である。
【図5】図2のCに対応する拡大図である。
【図6】建築物の囲い壁の一部分を形成するプレハブ式ユニットの斜視図である。
【図7】図6のユニットの断面線S−S’に沿った縦断面図である。
【図8】2つのユニットが重ねて結合された場合の縦断面図である。
【図9】図6と同様の、別の形態を示す斜視図である。
【図10】図9のユニットの断面線X−X’に沿った縦断面図である。
【図11】図9に示されているようなユニットについて、2つのユニットが重ねて結合された場合の縦断面図である。
【図12】本発明による建築物の囲い壁の縦断面図である。
【図13】内側仕切りの縦断面図である。
【図14】水平ダクトを示すプレハブ式ユニットの側面図である。
【図15】垂直ダクトを示すプレハブ式ユニットの平面図である。
【図16】下側の入口から上側の出口へ囲い壁すなわち仕切りを通過する熱流体の循環を示す概略図である。
【図17】囲い壁の別の実施形態の縦断面詳細図である。
【図18】囲い壁、仕切りおよび胴つなぎによる、各区画の方への熱の伝達をそれぞれ示す図1と同様の図である。
【図19】囲い壁、仕切りおよび胴つなぎによる、各区画からの熱の回収をそれぞれ示す図1と同様の図である。
【図20】可能な流体循環ダクトの解決策の縦断面図である。
【図21】3つの取り付けられたパネルの平面図である。
【図22】図21の断面線A−A’に沿った3つの取り付けられたパネルの断面図である。
【図23】芯材を形成するためのプレハブ式ユニットの平面図である。
【図24】図23のプレハブ式ユニットの側面図である。
【図25】図23のプレハブ式ユニットの断面線A−A’に沿った横断面図である。
【図26】熱保護を含んだ図23と同様の図である。
【図27】熱保護と機械的保護を含んだ図23と同様の図である。
【図28】本発明による囲い壁の各種要素の斜視断面図である。
【図29】熱源として使用できる蓄熱体の縦断面図である。
【図30】熱交換器として使用できる管構造の横断面図である。
【図31】熱交換器として使用できる管構造の縦断面図である
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、建築物の縦断面概略図で、囲い壁(1)、屋根(2)、床、基礎(3)の他に、ドア(1’)、窓(1”)、煙突(2’)、ならびに柱、胴つなぎ、仕切りといった複数の要素が認められる。
【0031】
本発明の主要なコンセプトである第1のコンセプトを実現するために、すなわちサステナブル建築をエネルギー蓄熱体に変えるために、まずエンベロプを定義する必要がある。エンベロプは、ドア、窓および煙突または通気口を除いて、上述のサステナブル建築を包み、画成、断熱し、土壌と外環境の両方から隔離し、保護する、サステナブル建築の一部分を形成するフレームのようなものである。
【0032】
図2は、エンベロプの3つの主要な部分すなわち領域を示す。この3つの領域とは、メンブレン(4)、芯材(5)および外側表面すなわち保護(6)である。
【0033】
実際は、上記表面は、囲い壁を形成し、さらに上記建築物の屋根および基礎も備え、含む。この表面は、メンブレン(4)と一体になっている囲い壁の内側表面を始点とする。メンブレン(4)はまず第1に、芯材(5)を裏打ちし、保護するという機能に適合する。このメンブレンは、その機能に適した材料からなる薄い層であるだけでなく、厚くすることもでき、芯材に連結されその一部分を形成するはずの補強パネルなどの構造的な要素に、組み込むことができる。
【0034】
いずれの場合も、上記メンブレンは、エネルギーを回収し、両方向に伝送するという、もう1つのよりいっそう重要な目的を有する。したがって、メンブレンに使用される材料は、その複数の機能に適していなければならず、その材料としてはセメントモルタル、コンクリート、石材、大理石などがある。
【0035】
メンブレン(4)の次に芯材(5)が配置される。この芯材は、エンベロプの要となる中心的要素である。そして芯材は、メンブレン(4)と外側表面(6)の間に閉じ込められる。芯材を形成する材料は、その基本的な目的であるエネルギー貯蔵を最大限に利用するために、熱容量に優れていなければならない。土、砂礫、コンクリートおよび水分が適した材料になるが、新たな実施形態が除外されることはない。
【0036】
上記芯材は、様々な形状および構成に適合させることができる。一般に、建造に対する経済的な要件、特に高い地価を考慮して、より薄手の芯材がしばしばコンクリートで形成され、さらにはプレハブ式に組み立てられる。
【0037】
それにもかかわらず、低層の住宅で、地価がより低く、特に非常に厳しい気候の場合には、厚みのある中空でない芯材を設計したり、あるいは、ばらばらの粒状の物質で形成された、モルタルを含まない中空の大型エネルギー貯蔵体を実現できる芯材を適合させたりすることもある。
【0038】
図2の詳細A、B、Cが、より大きな縮尺で拡大図3、4、5に示されている。この拡大図3、4、5には、適当な断熱材(7)と、特に水平領域すなわち地面との接触領域に防水材(8)と、従来の機械的保護(9)として中空でないライナが示されている。
【0039】
エンベロプの構成を確認したが、そこに含まれている全ての要素は、外側表面(6)と、ドア、窓および煙突を除いて、芯材すなわち本発明の主要な要素を始めとする、サステナブル建築のエネルギー蓄熱体の一部分を形成する。ただし、上述のエネルギー蓄熱体を形成する他の重要な要素として、構造躯体、胴つなぎ、仕切り、基礎、床、階段なども包まれる。上記エネルギー蓄熱体は場合により、サステナブル建築の外側に拡張して、基礎、通り、庭などの下に、熱容量に優れた材料でエネルギー・ポケットを作り出すこともできる。それには、その材料が他の内部蓄熱体すなわちエンベロプの芯材と接続されていることが条件である。
【0040】
建築物を真のエネルギー蓄熱体にするために、すなわちその熱容量に優れた各種構成部品を配置するために、エンベロプには、蓄熱体がエネルギー伝送の法則に簡単に従うことができるよう、蓄熱体の内部においてエネルギーの自由な循環を妨げる、間に挟まれる障壁すなわち断熱材がない。
【0041】
強調すべき点は、エンベロプが、基礎、または建築物の地面と接触しているその他任意の要素を、内部に含んでいることである。基礎が地面と接触し、断熱材がなければ、気温が高い期間には、余分な熱が建築物から地面の方へ吸い出される可能性があることは確かである。しかし、かかる接触はなくされており、断熱材(7)全体が、より剛性を有する下層基礎断熱材(7’)も含めて、家屋には好ましくないはずの気温が低い期間の伝熱を妨げるのに使用される。そして、それによって、クラウジウスの原理による季節に応じた双方間の、制御が欠如したエネルギー移動がなくなる。
【0042】
サステナブル建築のエネルギー蓄熱体全体を定義したが、そのエネルギー蓄熱体全体に対してエネルギーを出し入れするデバイスまたは方法が、本発明の第2のコンセプトを成す。
【0043】
サステナブル建築の部屋仕切りの主芯材および小芯材が、建築物の内部または外部に貯蔵されたすべてのエネルギーがまず最初に達する要素になる。
【0044】
エンベロプの内部には断熱材すなわち障壁が存在しないので、芯材にまずエネルギーが投入されると、構造躯体、仕切り、胴つなぎ、床、基礎、階段などのエネルギーを貯蔵できる建築物の残りの要素には、伝導、輻射または対流によって実際にエネルギー投入が行われる。
【0045】
居住者に酸素を供給する建築物内の空気の品質の優先性について指摘しなければならない。この優先性のため、屋外の空気、すなわち住宅の中の空気を入れ換えるのに使用される唯一の空気は、決して別の流体と、それがエネルギー・キャリア流体であっても接触しない。したがって、芯材に対するエネルギーの出し入れは、住宅内の空気の入れ換えプロセスに使用される経路と異なり、その経路から独立した、直接的な内部経路を使用することによって行われる。
【0046】
建築物の芯材に対してエネルギーを出し入れする最も一般的な方法は、図6および9に斜視図で示されているものなどの、プレハブ式ユニットの使用をベースとする。両モデルで、その水平と垂直の両方に跨って延びる、開放型のクラックすなわち隙間を確認することができる。この隙間は、下側部分から始まり、仕切りを形成するための下側のプレハブ式ユニットとの結合部に加えて、上側部分に水平管またはケーブルの差し込みを可能にする広がった幅を有する。各プレハブ式ユニットの隙間の上側部分ごとに、同じ目的のために存在する別の中空がある。図7および10に、2つのプレハブ式ユニット・モデルの縦断面S−S’およびX−X’が示されている。これらの断面で、熱流体を妨げずに通過させるための開放型の隙間を確認することができる。図8および11に、流体が通過する2つのプレハブ式ユニットの垂直の結合部が示されている。最後に、図9のプレハブ式ユニットには、その側面に固定するアンカーを除いて宙に浮いている保温性の高い蓄熱本体が示されている。上述の2つのプレハブ式ユニットはどちらも、はっきり区別をつけずに使用することができる。
【0047】
図12に、サステナブル建築の囲い壁が示されている。この囲い壁の内側メンブレンは、上述のプレハブ式ユニットの任意のものを用いて形成された仕切りによって形成される。こういった仕切りは、その外側の面が芯材に取り付けられる。もう一方の面すなわち内側の面は、エンベロプのメンブレンと一体になっている。上記囲い壁の外側表面は、熱的かつ機械的な保護を備える。
【0048】
住宅の内部仕切り(図13)は、上述のプレハブ式ユニットをやはり使用して建造されなければならない。そのユニットの隙間に、芯材へと送られる同じエネルギー・キャリア流体が循環する。いずれの場合も、プレハブ式ユニットの両方の部分、すなわち隙間の両側は、同時にメンブレン、芯材と同様にふるまう。
【0049】
図14および15に、垂直のダクトを形成し、双方の水平空洞を保持しながらそのダクトに結合できるプレハブ式ユニットの側面図および平面図を示されている。
【0050】
流体すなわち空気は、水平方向と垂直方向の2つの主要な方向に分割されている隙間の内部を通過しなければならない。水平方向は、摩擦のほとんどない空気の水平移動を実現するために、各プレハブ式ユニットのフレア加工すなわち空洞を利用する。第2の支配的な方向すなわち垂直方向では、上昇する空気が起伏のある領域と衝突するときすなわち方向の急な変化時に生じる乱流の結果として、空気とプレハブ式ユニットの2つの部分との間のエネルギー交換が強化される。
【0051】
気温が低い期間中にエネルギーすなわち熱を囲い壁の芯材にもたらすために、まず、熱源とプレハブ式ユニット仕切りの隙間の下側開始点Eとの間に必要な接続が構成される。プレハブ式ユニット仕切りは、囲い壁の一部分、つまり、床Pすなわち地面に支持され、天井Tすなわち上側の胴つなぎに達する内部仕切りを形成する(図16)。
【0052】
空気を起点から仕切りの隙間の端部にある流出点まで機械的に押しやると、摩擦による空気の投入損失に打ち勝つために不必要なエネルギー・コストが伴なうはずである。しかしながら、空気を経路の端部から取り出すと、空気の起点に常に存在する大気圧が空気に作用して、空気を取り出すことによって端点で生じる圧力降下を埋めるように、その空気を押しやる、すなわちその空気に圧力がかかる。したがって、この働きを、空気を図16の反対側の上側端部Fから機械的に吸引すなわち取り出すことによって行う。仕切りの内側の循環は、プレハブ式ユニットの設計による多数の乱流を伴って基本的に上向きになるようになっている。
【0053】
図12では、芯材と接触するプレハブ式ユニット仕切りの右側の領域が、かかる芯材の一部分になり、空気から受け取ったエネルギーを伝導によってその芯材に伝達する。上記仕切りの左側の領域は、そのエネルギーを伝導によってメンブレンに伝達し、それをメンブレンは輻射によって各区画に伝達する。
【0054】
気温が高い期間に家屋からエネルギーを取り出すために、図12では、流体は低温に保たれ、このときエネルギー伝達現象は反対方向に生じる。吸引によって上昇する低温の空気が隙間によって導かれている場合、各区画と芯材の両方が、それぞれの熱を、仕切りのプレハブ式ユニットの2つの部品のうちの隣接する部分に伝達し、その隣接する部分はその熱を、循環する低温の空気に伝達する。
【0055】
プレハブ式ユニット全ての設計は、限定的なものではなく、同じエネルギー挙動を維持することを条件として、変更することができる。
【0056】
図8のFに配置される取り出し装置は、連続的、または一時的な停止を含んで断続的に動作させることができる。この2番目の断続的システムは、エネルギーを低速の再投入源から使用しているときに適用することができる。
【0057】
流体を循環させるための長い経路には、また乱流によって過大な投入損失が生じることから、大気圧で流体を押しやるのを補助するために、小型の換気装置を、空気出口の外部起点に配置することができる。
【0058】
土地のコストが高いこと、または建築物の高さを理由に、芯材がある程度薄くなっている建築物では、構成される芯材のエネルギー貯蔵容量は、エネルギーを必要な頻度でもたらすには不十分なものとなる。その場合でも、このシステムの快適さおよび健全性は、通常の厚さを有する芯材の場合と同程度になる。エネルギーの節約さえもまた、使い捨てのモデルが省かれている限りかなりのものになる。
【0059】
通例、任意の設計すなわち大きさの芯材に対してエネルギーを出し入れするには、熱伝達に優れたダクトすなわち管をかかる芯材の内部に差し込み、それをエネルギー・キャリア流体を通すために使用しなければならない。
【0060】
モルタルを用いない、熱容量に優れ、流体透過性を有する中空を備える、ばらばらの粒状の要素によって形成された、図17のような芯材が厚い特定の場合は、気温が低い期間中は高温流体、気温が高い期間中は低温流体を、エネルギー伝送に優れた壁を備える上記中空すなわち管(10、11)に通すことができる。この中空すなわち管(10、11)は開放型の亀裂すなわち接合部を有する。この亀裂すなわち接合部によって、そこからエネルギー・キャリア流体が出て、中空を横切って上記粒状の要素とエネルギーを交換し、再び管に入って、上記の使用されると好ましい芯材の内部を貫通するその経路を進み続けることが可能になる。
【0061】
したがって、上記と同様に、エネルギーを含んでいる流体の吸引すなわち取り出しが、流体を押しやるすなわち注入する代わりに使用されるだけでなく、上述の断続形態でも使用される。
【0062】
基礎および屋根も、エネルギーの出し入れを行うためにエネルギー蓄熱体のエンベロプの一部分を形成しているものの、エネルギー・キャリア流体を循環させるための隙間を備えるメンブレンを配置するには、垂直要素すなわち囲い壁を使用するのが好ましい。というのは、こうした垂直の芯材からは、エネルギーが蓄熱体の全ての構成部品に到達し易いからである。それでも、サステナブル建築の設計上要求される場合は、床および天井または屋根にも、隙間を備えるメンブレンが配置される。
【0063】
上述の第2のコンセプトを実現するには、インテリジェント電子デバイスが必要であることがはっきりしている。このデバイスは、恒久的な情報の提供、適当なエネルギー源の選択、エネルギー流を吸引する機器の開始および一時的な停止に関する決定を行う。
【0064】
本発明の第3のコンセプトは、区画すなわち部屋と芯材すなわちエネルギー蓄熱体との間に生じるエネルギー活動に特に重きをおく、建築物に貯蔵されるエネルギーの挙動に関する。
【0065】
全般的なエネルギー蓄熱体、すなわち建築物の内部に配置された蓄熱体と、建築物の外側に配置されるがそれに接続されている蓄熱体の両方は、各区画で適当な温度を常に維持するために、その区画からエネルギーを出し入れするという目的を有する。
【0066】
実際に、サステナブル建築/住宅の区画はいずれも、それを包む大きなエネルギー蓄熱体の内部に含まれた中空の空間であり、その区画の全ての壁(床および天井を含む)は、隙間を備えるプレハブ式ユニットが無くても、エネルギーの通過に対して透過性を有する。
【0067】
気温が低い期間では、蓄熱体すなわち芯材は、熱が投入され続ける。もし、輻射(図10)によってエネルギーを蓄熱体からより低温の空間へ投射するメンブレン、前室および芯材からなるドアがなければ、その各区画の温度は、ドア、窓または煙突を介した外部環境からの攻撃によって低下する可能性がある。この輻射は、人、家具および対向する壁に作用し、空気も、メンブレンから輻射される赤外線輻射を取り込める温室効果ガスを含んでいる限りにおいてその作用を受ける。
【0068】
また、気温が高い期間では、エネルギー蓄熱体すなわち芯材は、熱が低減されたまま、あるいは快適なレベルの値に達する、またはそれより低下するまで冷却されなければならない。部屋に入ってくる余分の熱を輻射および対流によって回収し、それを芯材に伝達する(図19)メンブレンがなければ、外の熱が各区画に影響を及ぼすはずである。
【0069】
図6および9のプレハブ式ユニットを使用すると、芯材すなわち蓄熱体と各区画との間に生じるエネルギーの各プロセスが改善、促進される。こういったプレハブ式ユニットの隙間は、蓄熱体すなわち芯材に対してエネルギーの出し入れが行われる流体を循環させるための流路であることに加えて、気温が低い期間は上記区画の方に移動し、気温が高い期間はその反対方向、上記区画から芯材の方に移動する輻射すなわち上記芯材のエネルギー流の往来において重要な要素である。
【0070】
こういったプレハブ式ユニットの主要な利点の1つは、気温が低い期間中、各区画が、芯材にエネルギー投入されるのを待つ必要がなく、プレハブ式ユニットの、メンブレンのすぐ近傍にある側を取りまくエネルギーを優先して受け取ることで成り立つ。気温が高い期間で芯材がまだ冷却されていない場合は、プレハブ式ユニットの、メンブレンの近傍にある側は、蓄熱体が冷却されるとすぐに、冷却中の各区画の余分の熱を回収すなわち取り込む。全ての動作は、インテリジェント電子デバイスから調整を受ける。
【0071】
エネルギーの各プロセスで満足な結果を得るために、かつ人の快適レベルを向上させるために、メンブレンおよび芯材は水蒸気透過性を有し、それによって、各区画における空気の余分の相対湿度が隙間へ通過できるようになり、それが循環する流体によって吸収される。
【0072】
サステナブル建築の居住者は、蓄熱体から生じる赤外線輻射の輻射に対応する、快適で健康に良く自然な形で壁、天井および床を介して投射される輻射エネルギーに気づくであろう。ただし、建築物の内部の空気が、その壁、天井、床との摩擦の結果と、温室効果分子を遮断できる空間に投射する赤外線輻射、すなわち入れ換え空気で生じ得るエネルギー投入の結果として、一定量のエネルギーを受け取ることは確かだが、このエネルギー量は常に、蓄熱体に含まれているエネルギー量に対して二義的なものである。
【0073】
本発明によって具体化される第4のコンセプトは、サステナブル住宅に出入する空気の流れを制御して、従来の建築物すなわち住宅における空気の入れ換えによって生じるエネルギーの無駄と制御の欠如をなくすものである。
【0074】
呼吸用の空気が、特にその純度と悪臭がないことに関して最低限の品質を確保する必要がある一方で、住宅の中で使用される使い捨てのモデルは、今日においては、是正されるか、いっそのことなくさなければならない。
【0075】
本発明のサステナブル建築/住宅はまた、煙突やドアおよび窓の隙間によって形成される不規則な経路を、縮小するのが適切であるはずとはいえ、そのままの可能性もあり、そういった経路は常に完全な空気の気密性を妨げる。
【0076】
不規則な経路を通って出る空気に関係なく戦略的に住宅内部に取り出しポイントすなわち空気出口を位置決めする、第1の対策として、出口空気の流量を制御する制御デバイスが配置される。それと同時に、上記取り出しポイントから離れた、やはり住宅の内部に、他の注入ポイントすなわち投入ポイントが配置される。こういった投入ポイントにより、取り出されている空気と不規則な経路の制御されていない空気の合計よりも大きな空気流の採り込みが可能になり、この大きな空気流によって、外の大気圧よりも大きい、住宅内部の空気の過剰圧力すなわち加圧が維持される。この過剰圧力があることによって、内部の空気が、取り出しポイントと上述の不規則な経路を使用して外に出され、それと同時に、屋外で採り込まれたエネルギーを含んだ外の空気の、無秩序な入り込みが妨げられる。この各種プロセスは、インテリジェント電子デバイスによって制御され、支配される。
【0077】
エネルギーと、サステナブル建築/住宅に採り込まれた入れ換え空気に適用される相対湿度のための制御処理とに関する、第5のコンセプトを具体化するには、前述した第4のコンセプトと同じ設備が使用されるが、物理学の観点からは、この2つのコンセプトは、同時に解決されながらも異なったものになっている。
【0078】
実際には、住宅の中に採り込まれた空気が、かかる住宅から取り出された空気に含まれているエネルギーを受け取る。これは、出ていく空気が入ってくる空気を汚すことから、熱交換によってこの2タイプの空気を直接接触させることなく行われる。採り込まれた空気は、その相対湿度を制御する処理を予め受けることができ、例えば外部蓄熱体を通過した別の流体から提供されるエネルギーを交換することなどによって、温度調整プロセスを受けることもできる。
【0079】
最後に、第6のコンセプトは、コストを下げ、精度、品質管理および適正な運転の確保を向上させるようにサステナブル建築/住宅の建造を工業化することに関する。
【0080】
複数の解決策が存在するが、まず第1に、工場で製造され、建造現場へ輸送するためにパレット化された、上述の広く汎用性を有するプレハブ式ユニット(図6、9、14)がある。
【0081】
ただし、より大きなユニットが必要な場合は、設計に変更を行わなければならない。まず、空気に乱流を引き起こし、投入損失を引き起こすリブを、隙間全体で有する必要はない。こういったリブは、垂直かつ平坦にできる、すなわちほとんど凹凸がない別のタイプの隙間を設計して、一定の領域でなくすことができる。図20に、水平ダクトが、垂直ダクトならびに平坦な縦断面すなわち比較的凹凸のない断面を有するリブと交互に並んでいる、非限定的な解決策が示されている。
【0082】
図12、13および20を分析すると、隙間およびそれを取り囲む領域の建造を工業化する様々な可能性を推論することができる。隙間を含んでいる仕切りの2つの部品は、工場で別々に製造してから、現場で組み立てることができる。または、左半分はやはり工場で構築することができ、隙間のもう一方の右半分は、予め建造された芯材に彫り込みを入れてもよい。後で取り出す型枠や、ユニットが固まった後に化学的に溶解される特殊な型枠の使用など、隙間を実現するための他の解決策も可能である。
【0083】
スペース不足による特殊な場合、あるいは本発明の技術要素が導入される独特の設計または既設の建築物が関わっていることから特殊な場合では、上述の隙間すなわちクラックを含んでいるプレハブ式ユニットは、その厚さが過大なため不可能である。したがって、それより薄いが、乱流が形成される流体の通過を可能にする隙間すなわちクラックをやはり含むことができ、前述のプレハブ式ユニットと同じエネルギー伝送材料で構築される、他のプレハブ式ユニットが必要になる。
【0084】
かかる状況では、図6および9で説明したものと異なるプレハブ式ユニットの設計を使用しなければならない。
【0085】
2つの選択肢が提供されるが、これらは限定的なものではない。1つ目は、プレハブ式ユニットが、表になる面と隠れる面の2つの平坦な面を備える薄いパネルからなる。これらのパネルは、設計に応じて、予め彫り込まれている開放型の流路を有する壁または床および天井に取り付けられる。この流路は、上記の平坦なプレートが取り付けられたときに覆われて、上述のプレハブ式ユニットのうちの様々な設計による、やはり乱流を伴なう流体の循環を可能にする隙間を形成するようになっている。2つ目は、プレハブ式ユニットが、表になる平坦な面ともう一方の隠れる面を備える薄いパネルからなり、この隠れる面が、平坦な壁または床および天井が取り付けられたときに覆われる、彫り込まれている開放型の流路を含み、したがって、上述のプレハブ式ユニットのものとは異なる設計による、やはり乱流を伴なう流体の循環を可能にする隙間すなわちクラックを形成する。図21に、取り付けられた3つのパネルの平面図が示されており、図22に、仕切りに取り付けられた上記パネルの縦断面が示されている。
【0086】
芯材は、エネルギー蓄熱体であるので、かなりの重量を有する。このため、工場で部分的に製造し、現場で残りを製造するという、ハイブリッドな工業的製造プロセスが提供される。
【0087】
芯材を形成するために、図23に、下側部分が開放されたU字形のプレハブ式ユニットの平面図が示されている。この形状により、現場で設置されると、充填に好都合な恒久的な型枠としてその手作業による配置が可能になる。図24および25に、それぞれ側面A−Lと断面A−A’も示されている。このプレハブ式ユニットにより、輸送および配置の助けとなる補強を含んだより大きなサイズのものが可能になる。中空の空間を現場で充填するときに、芯材を蓄熱体に変えると同時に構造的要素に変える他の補強材を差し込んでもよい。この他の、上記プレハブ式ユニットと相補的な解決策を、同様に実現することもできる。第1に熱保護(7)(図26)、さらには熱保護(7)と機械的保護(9)といった2つの保護を同時に(図27)、工場で組み込むことができる。
【0088】
熱保護(7)に関しては、発泡粘土などの工場で製造されたものだけでなく、天然の軽量の骨材でできた気泡コンクリートまたはモルタルが使用されるはずである。
【0089】
図27の機械的保護(9)は、全天候型の耐候性を有する補強材すなわち化粧煉瓦または合板の有無にかかわらず、のろ引きを使用して、従来の形に従って剛性を備え、さらに、上記機械的保護は断熱材とよく接着し、その接着した両方は芯材とよく接着する。
【0090】
図28に、かなりの工業化可能性を有する囲い壁の各要素の全体図が示されている。
【0091】
図29に、上述の建築物で熱源として使用できる、熱エネルギー蓄熱体が示されている。
【0092】
このエネルギー蓄熱体は、土・金属要素と水分および結合材すなわち一般にセメントとの混合物をベースに構成される。金属要素は、小片(20)の場合はコンクリート・ミキサーに直接挿入され、より長い金属片(21)の場合はエネルギー・リブ(energy rib)の方向付け可能な成形部品に配置される。本体が硬化したら、水分を追加することができる。正確には、結合材すなわちセメントが、水分による土の粉砕を防止する。
【0093】
土は高い比熱をもたらし、金属要素は本体の平均伝導度を向上させる。練混ぜ水は、硬化プロセスで吸収されるか、または蓄熱体の表面から出てくる。その水の戻し供給により、蓄熱体が高い伝導度を有さないにもかかわらず、伝導度が水分の29分の1である大量の閉じ込められた空気の泡を除去し、その泡を置き換えることが可能になる。
【0094】
したがって、蓄熱体に対するエネルギーの出し入れを可能にするだけでなく、そのエネルギーの出し入れをサステナブル建築の構造で可能にする要素全てで使用される、高い比熱と適切な伝導度を有する本体(12)が得られる。
【0095】
蓄熱体に対するエネルギーの出し入れは、特別な本体によって形成されるエネルギー・リブによって促進される。この特別な蓄熱体は、上記のエネルギーの出し入れを促進するために、土を含む他に、セメントと適切に方向付け可能な長い金属要素の割合が高くなっており、流体、一般に空気を通過させる金属管と接触している。
【0096】
この管(18)は、アルミニウムまたは伝導度に優れたその他の材料でできており、波形を付けることができる。さらに、こういった管は、通過する流体を循環させる際に乱流を発生させるために湾曲を有して、流体と蓄熱体の本体(12)との間のエネルギーの伝達を促すことができる。管(18)はまた、比熱および伝導度を各場合とも最適にするために、蓄熱本体の硬化後に、その本体(12)へ水分を供給させるオリフィスすなわち開口を有することができる。
【0097】
蓄熱体(12)は断熱層(13)で覆われ、断熱層(13)は、閉じ込められた空気および水分を出入させる。つまり、この断熱層は、必須の2つの要素に対して透過性を有する。
【0098】
上記蓄熱体は、方向付け可能な鏡(14)からなる直接的な太陽エネルギー投入デバイスを有する。鏡(14)は、屋根に配置された開放領域または透明な領域(16)を介して、日光(15)を本体(12)へと方向付ける。屋根は、上記開放領域(16)の下端にライナ(17)を有することが可能であり、ライナは、選択的な処理を施した金属製のシートで構成される。金属製のシートは、熱を取り込み、その熱を、本体(12)で分配するために取り付けられたエネルギー経路へ伝達する。方向付け可能な鏡の使用をベースにしたこの太陽集熱タイプはまた、サステナブル建築の屋根またはテラスに組み込むこともできる。
【0099】
硬化後に蓄熱体(12)に取り込まれた水分は、その比熱および伝導度を高めるだけでなく、熱的に処理して、季節に応じて蓄熱本体(12)に冷暖熱を供給することもできる。したがって、蓄熱体は、冬に暖を、夏に涼をもたらす。
【0100】
上記に述べたように、本発明に従って建造された建築物から取り出され、外から採り込まれたより多くの空気と置き換えられる空気から、熱エネルギーを回収するために、取り出された空気の流れと差し入れられた空気の流れは、対向流の形で熱交換器を通って循環する。
【0101】
この熱交換器は、図30および31に示されているように、2つの同軸ダクト(23および24)で構成することができる。この同軸ダクトは、2つの循環経路、すなわち内部経路(25)と、壁(23)と壁(24)の間に画成された環状経路(26)とを画成する。これらの壁のうち少なくとも内側の壁(23)は、熱伝導性に優れた、金属製であると好ましい材料でできている。内部経路(25)は例えば外から差し入れられた清浄な空気が循環し、環状経路(26)は内部から取り出された空気が循環する。2つの空気流の間の壁(23)を介して熱交換が行われる。この熱交換を最大にするために、ダクト(23)の内部にはウィング(27)が、環状経路(26)にはウィング(28)があってもよい。ウィングは両方共、環状経路(26)を通る取り出された空気流から、内部経路(25)を通る差し入れられた空気流への熱交換に有利な、乱流を作り出す働きをする。外側壁(24)は、断熱材料(29)で覆うことができる。
【符号の説明】
【0102】
1 囲い壁
1’ ドア
1” 窓
2 屋根
2’ 煙突
3 基礎
4 メンブレン
5 芯材
6 保護、外側表面
7 断熱材
7’ 下層基礎断熱材
8 防水材
9 機械的保護
10 管
11 管
12 蓄熱本体
13 断熱層
14 鏡
15 日光
16 開放領域
17 ライナ
18 管
20 金属小片
21 長い金属片
23 同軸ダクト
24 同軸ダクト
25 ダクト内部経路
26 ダクト環状経路
27 ウィング
28 ウィング
29 断熱材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規なサステナブル建築モデルであって、
その囲い壁、屋根および基礎は、ドア、窓および煙突を除いて、蓄熱容量が大きい中心芯材と、該中心芯材と密着した熱伝導度が大きい内側ライナすなわちメンブレンと、断熱性及び機械的耐性のある外側表面と、で形成されるエンベロプを形成し、
前記芯材と前記メンブレンの両方と、包み込まれた建築物の構造躯体、仕切り、および熱容量を有する残りの要素が、優れた蓄熱容量を有する材料を使用していることと、前記エンベロプの前記外側表面が断熱性を有していることと、をベースとする蓄熱体として考案され、
空気が、適切に入れ換えるために各区画の内部から取り出され、同時に、外側の空気の自然な侵入を妨げるのに十分な、外側に対してわずかに過剰な圧力を作り出すために、取り出された量を超える量の空気が、前記区画に押し込まれることを特徴とする、新規なサステナブル建築モデル。
【請求項2】
前記エンベロプの前記芯材の前記内側メンブレンすなわち前記ライナが隙間を含み、該隙間の壁が、前記隙間の中を循環する流体に、一般に空気に乱流を引き起こすのに適したリブおよび方向の急な変化を有することを特徴とする、請求項1に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項3】
前記メンブレンが、互いに結合されるプレハブ式ブロックで建造される仕切りで形成され、
前記プレハブ式ブロックが、リブおよび方向の変化を有する前記隙間を含むことを特徴とする、請求項2に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項4】
前記メンブレンが、2つの部品になった大型のプレハブ式パネルで形成され、
前記2つの部品が互いに結合されて、リブおよび方向の変化を有する前記隙間を形成することを特徴とする、請求項2に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項5】
前記メンブレンが、後で取り出されるまたはユニットが固まった後に化学的に溶解される特殊な型枠によって工場と現場の両方で建造される大型のパネルで形成され、
該大型のパネルが、リブおよび方向の変化を有する前記隙間を含むことを特徴とする、請求項2に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項6】
前記メンブレンが2つの要素で形成され、
第1の要素が、前記区画の壁、床または天井の表面に彫り込まれている流路からなり、
第2の要素が、前記表面に取り付けられた薄く平坦なプレートで形成されることを特徴とする、請求項2に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項7】
前記メンブレンが2つの要素で形成され、
第1の要素が、薄い平坦なプレートである表面と、彫り込まれた流路を含んでいる薄いプレートである一方の面と、を有し、
第2の要素が、前記区画の壁、床または天井の平坦な表面で形成され、該平坦な表面に、前記パネルの前記流路の面が取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項8】
流体、一般に空気が、前記隙間の中を循環し、吸気すなわち吸引によって動かされ、前記リブまたは方向変化によって空気に乱流が引き起こされた結果、前記流体がそのエネルギーを前記隙間の壁と交換することを特徴とする、請求項2に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項9】
エネルギー伝送能力に優れたダクトが前記芯材を貫通し、前記ダクトの中をエネルギー・キャリア流体が循環することを特徴とする、請求項1に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項10】
前記芯材が、蓄熱容量に優れた、中空を備える粒状の材料で形成され、
前記中空が前記エネルギー・キャリア流体の通過を可能にし、
該エネルギー・キャリア流体が優れたエネルギー伝送体である管によって送られると好ましく、
該管が、前記芯材を貫通する経路における流体の出入を可能にする開放型の亀裂すなわち接合部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項11】
前記芯材が、熱伝達経路によって1つまたは複数の外部蓄熱体と接続されることを特徴とする、請求項1に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項12】
前記外側表面が、前記芯材と接触する第1の層すなわち断熱層と、垂直面では防水も行う別の外側の機械的な保護層と、からなり、
水平面では前記2つの層の間に防水材が挿入されることを特徴とする、請求項1に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項13】
前記建築物の内部仕切りが、前記芯材の前記内側ライナすなわち前記メンブレンと同様に形成されるが、その両面には外側表面が無いことを特徴とする、請求項1〜12の何れか1項に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項14】
前記建築物の内部から取り出される空気が、前記建築物内に押し込まれる空気との熱交換を、空気間で直接的な接触を行わずに受けることを特徴とする、請求項1に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項15】
住宅に採り込まれる空気が、自然エネルギーすなわち再生可能エネルギーを起源とする外部エネルギー蓄熱体によって、予め温度調整プロセスを受けることを特徴とする、請求項1に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項16】
前記建築物内に押し込まれる空気が、事前除湿プロセスを受けることを特徴とする、請求項1に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項17】
前記メンブレンおよび前記芯材が、水蒸気透過性を有することを特徴とする、請求項1〜16の何れか1項に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項18】
インテリジェント電子デバイスが、前記芯材および前記基礎の温度と、屋内および屋外の空気の温度および相対湿度と、を考慮して、利用可能なエネルギーの利用を最適化することを特徴とする、請求項1に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項19】
前記外部蓄熱体が、蓄熱体と、集熱器と前記蓄熱体用の断熱ライナと、を備え、
前記蓄熱体が、土と結合材と熱伝導度が大きい金属材料との混合物をベースにした本体で構成され、該蓄熱体に対するエネルギーの出し入れを促進する特別な熱伝達経路すなわちリブを含むことを特徴とする、請求項11に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項20】
前記結合材がセメントからなることを特徴とする、請求項19に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項21】
前記結合材の固定後、水分が前記蓄熱体を構成する前記本体に追加されることを特徴とする、請求項19に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項22】
前記熱伝達経路が、セメントおよび金属材料からなり、その量が、前記蓄熱本体に含まれるものよりも多いことを特徴とする、請求項19に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項23】
前記熱伝達経路が、熱流体が循環する金属製の管を有することを特徴とする、請求項19に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項24】
前記管が、前記経路に含まれる金属材料と接触することを特徴とする、請求項19および23に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項25】
土および金属要素と結合材をベースとする前記本体が、一旦硬化すると前記建築物に組み込まれるプレハブ式ユニットを形成することを特徴とする、請求項22に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項26】
前記管がその壁にオリフィスを有し、該オリフィスを通過して、水分が前記蓄熱本体に供給されることを特徴とする、請求項23に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項27】
熱回収手段が、日光を前記屋根の透明な開放領域を介して前記蓄熱体の内部に向けるように方向付け可能な鏡からなることを特徴とする、請求項19に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項28】
太陽エネルギー回収手段が、太陽電池パネルも含むことを特徴とする、請求項27に記載の新規なサステナブル建築モデル。
【請求項29】
前記建築物から取り出された空気と、前記建築物に差し入れられた空気とが、2つの同軸ダクトで構成される熱交換器を通過する対向流の形で循環し、
前記2つの同軸ダクトが内側経路と環状経路を画成し、その両方が、前記空気流に乱流を作り出すウィングを備えることを特徴とする、請求項14に記載の新規なサステナブル建築モデル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2011−516759(P2011−516759A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502400(P2011−502400)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/ES2009/000180
【国際公開番号】WO2009/121990
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(510264280)エディフィシオス ソステニブルス ジェテック,エス.エル. (1)
【Fターム(参考)】