説明

新規なピペラジン、ピペリジン及び1,2,5,6−テトラヒドロピリジン化合物、これらの製造方法及びこれらを含む医薬組成物

【課題】 ドーパミン受容体のうち、D2 受容体よりもD4 受容体に高い選択性を有するために、D2 リガンドに見られる副作用の少ない、ドーパミン作用系の機能不全の治療に有効な新規化合物、その製法及びそれを含有する医薬組成物を提供する。
【解決手段】 式(I):
【化52】


(式中、A−Bは、CH2 −CH、CH=C又はCH2 −N;nはゼロ又は1−6の整数;Dは、置換又は非置換のベンゾシクロブタニル、ベンゾシクロペンタニル、ナフチルなど;Eは、2,2−ジヒドロベンゾフラン−6−イル、2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルなどである)で示される化合物、その製法及びそれを含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なピペラジン、ピペリジン及び1,2,5,6−テトラヒドロピリジン化合物、これらの製造方法及びこれらを含む医薬組成物に関する。
【0002】
【課題を解決するための手段】本発明はより詳しくは、式(I):
【0003】
【化9】


【0004】〔式中、A−Bは、CH2 −CH、CH=C又はCH2 −Nを表し;nは、ゼロ又は1〜6の整数を表し;Dは、下記式:
【0005】
【化10】


【0006】(式中、R1 及びR2 は、同一か又は異なり、各々水素若しくはハロゲン原子、1〜5個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル若しくはアルコキシ基、又はヒドロキシ基を表す)で示される二環系の1つを表し;そしてEは、下記式:
【0007】
【化11】


【0008】で示される複素環の1つを表すが、Dが、下記式:
【0009】
【化12】


【0010】を表すとき、Eは、下記式:
【0011】
【化13】


【0012】を表すことはない〕で示される化合物に関する。
【0013】不斉炭素原子の存在は、本発明の分子がラセミ混合物又はラセミ化合物及び光学異性体又はエナンチオマーの形で存在することを意味し、これらも本発明に含まれる。更に、本発明の化合物は、薬学的に許容しうる酸と共に、鉱酸塩又は有機酸塩を形成してもよく、本発明はこれらにも関連する。
【0014】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ドーパミン作用系は、この系の活動亢進(例えば、精神分裂症など)又は活動低下(例えば、パーキンソン病など)のいずれかに関連する多くの中枢神経系の疾患に関連する。抑鬱、衝動障害及び記憶障害も、その病因においてドーパミンの果す役割が証明されている病気に属する。今日まで、これらの病気の治療は、D2 ドーパミン作用遮断薬(活動亢進に関連した疾患に対して)及びD2 ドーパミン作用賦活剤(活動低下に関連した疾患に対して)により確実になされてきた。しかし、D2 ドーパミン受容体遮断薬である従来の神経弛緩薬は多くの副作用(遅発性ジスキネジア、悪性神経弛緩症候群、高プロラクチン血症及び無月経)を有する。更に、D2 ドーパミン受容体刺激薬は、悪心及びやっかいな運動及び心血管系の副作用を引き起こす。最近、既に公知のD1 及びD2 受容体に加えて、3つの他のドーパミン受容体が発見された:即ちD3 (P. Sokoloff ら, Nature, 1990, 347, 147)、D4 (Van Tol ら, Nature, 1991, 350, 610)及びD5(Sunhara ら, Nature, 1991, 350, 614)である。本発明はより詳しくは、他のドーパミン受容体、特にD2 受容体よりもD4 受容体に高い選択性を有する(したがって、下垂体や大脳核構造(basal ganglia structure)にはD4 受容体が相対的に少ないため、及び同時にD2 リガンドの公知のような副作用がないため、これらの生成物は治療上有用である)、D4 受容体作用性又は拮抗性リガンドに関する。
【0015】大脳皮質のドーパミン作用性伝達の増加が精神分裂症の脱落症状の治療に重要な役割を担うことにも言及しなければならない。本発明に最も近い先行技術は、1−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)ピペラジン化合物に関するもので、米国特許明細書第5 242 925 号(セロトニン作用薬/拮抗薬)、EP特許 0 300 908(抗不整脈薬)、EP特許 0 072 960及びEP特許 0 072 961(抗アレルギー薬)に記載されている。これらの特許明細書は、本発明の目的を達成する化合物をどこにも含んでおらず、また示唆してもいない。したがって、これらは本出願の特許性に影響を与えることはない。
【0016】即ち本発明の化合物は、化学構造のみでなく、薬理学的及び治療活性の点においても、先行技術の化合物とは異なる。これらの活性は以下の試験により証明された:
【0017】インビトロ(試験管内)
クローン化したヒトD2 及びD4 受容体結合試験及びインビボ(生体内)
a)薬理学的モデルを使用して:下記組織におけるドーパミン合成(代謝回転)試験:前頭皮質(メソ皮質性経路(mesocortical pathway))、側坐核及び嗅結節(メソ辺縁性経路(mesolimbic pathway))、線条体(黒線条体性経路(nigrostriatal pathway))。機能的ドーパミン作用拮抗物質は、これらの組織におけるドーパミンの合成を上昇させる。
上述の組織における透析試験:この試験において、本発明の化合物は、ドーパミン作用性、ノルアドレナリン作用性又はセロトニン作用性活性に及ぼすこれらの効果の関数として特徴付けられる。側坐核や線条体に比較して前頭皮質におけるドーパミンの放出が選択的に上昇することにより、抗抑鬱、抗精神病及び向記憶型(pro-mnesic type)の治療効果の予測が可能になる。上記活性は確認された。
b)治療モデルを使用して:及び特に以下の試験を用いて:マウスにおいてアポモルヒネにより誘発した垂直化(verticalisation)の阻害(抗精神病性)
隔離したマウスにおける攻撃性の阻害(抗衝動性及び抗不安性)。
【0018】他方では、副作用のないことが、特に、ラットにおける強直症誘発試験において作用がないことにより証明された。
【0019】このようにD4 受容体の選択的リガンドとしてのこれらの活性において、本発明の化合物は、ドーパミン作用系の機能不全の予防、又はこれに関連した疾患において使用することができる。より詳しくは、衝動障害及び記憶障害の治療における抗精神病薬及び抗抑鬱薬、及び抗不安薬としてのこれらの有用性が、上述の試験におけるこれらの活性に関して特許請求されている。
【0020】本発明はまた、式(I)の化合物の製造方法に関し、この方法は、式(II):
【0021】
【化14】


【0022】(式中、A−B及びEは、上記に定義したとおりである)で示される化合物を、式(III):D−(CH2)n −X (III)(式中、n及びDは、上記に定義したとおりであり;そしてXは、ハロゲン原子又はメシルオキシ若しくはトシルオキシ基を表す)で示される化合物と縮合させることを特徴とする。
【0023】この縮合は、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドのような適切な溶媒中で、反応中に生成する酸の受容体の存在下で、20〜150℃の温度で特に適切に行われる。受容体としては、例えば、炭酸ナトリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、又はトリエチルアミンのような三級アミンを使用することができる。
【0024】更に、nがゼロ以外の意味を有する式(I)の化合物、即ちより正確には式(I′):
【0025】
【化15】


【0026】(式中、A−B、D及びEは、上記に定義したとおりであり;そしてn′は、1〜6の整数を表す)に対応する化合物もまた、上記方法の変法により製造され、この方法は、上記と同義の式(II)の化合物を、式(IV):D−(CH2)n'-1−CO2 H (IV)
(式中、D及びn′は、上記に定義したとおりである)で示される化合物と縮合させ、得られた式(V):
【0027】
【化16】


【0028】(式中、A−B、D、E及びn′は、上記に定義したとおりである)で示されるアミドを還元することを特徴とする。
【0029】化合物(II)と(IV)の縮合は、例えば、塩化メチレンのような適切な溶媒中で、カルボニルジイミダゾールの存在下で特に適切に行われる。
【0030】アミド(V)の還元は、エーテル又はテトラヒドロフラン中のリチウムアルミニウムヒドリドにより、あるいはテトラヒドロフラン中のボラン−ジメチルスルフィドか、又はレッドAl(Red Al)(登録商標)のようなトルエン中のナトリウムアルコキシアルミノヒドリドにより、有利に行われる。
【0031】化合物(I′)の製造方法もまた、本発明に含まれる。
【0032】更に、式(V)のアミドは、新規な中間体化合物であり、これ自体本発明の一部を形成する。
【0033】式(II)、(III)及び(IV)の出発物質は、公知の化合物であるか、又は以下の実施例に具体的に示されるような公知の方法により公知の化合物から調製される化合物である。
【0034】式(I)の化合物は、薬学的に許容しうる酸との塩を生成する。これらの塩も本発明に含まれる。
【0035】本発明はまた、適切な薬学的賦形剤(例えば、グルコース、ラクトース、タルク、エチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム又はココアバターなど)と混合した、又はこれらと一緒にした、一般式(I)の化合物又は薬学的に許容しうるその塩を活性成分として含む医薬組成物に関する。こうして得られた医薬組成物は、一般に、投薬形態として提供され、0.1〜100mgの活性成分を含有することができる。これらは、例えば、錠剤、糖衣錠、ゼラチンカプセル剤、注射用又は飲用液剤の形で、問題の症例に依存して、経口、直腸内又は非経口経路により、0.1〜100mgの活性成分の用量を1日に1〜3回投与することができる。
【0036】以下の実施例は、本発明を例示するものであり、融点はコフラー(Kofler)ホットプレートで測定し(K)、必要な場合は顕微鏡下で行った(M.K.)。
【0037】実施例11−(ベンゾシクロブタン−1−イルメチル)−4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジン
【0038】
【化17】


【0039】1−ヒドロキシメチルベンゾシクロブタントシレート2.26g(7.8×10-3mol)、4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジン1.7g(7.8×10-3mol)及びK2 CO3 2.16g(15.6×10-3mol)をメチルイソブチルケトン50ml中で混合した。混合物を100℃で8時間加熱し、次に冷却した。混合物を濃縮して、残渣を水と酢酸エチル中にとった。分離を行い、次に有機相を1N のHClで抽出した。水相を1N のNaOHで塩基性にして、次に塩化メチレンで抽出してMgSO4 で乾燥した。得られた油状物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2 Cl2 /CH3 OH:95/5)により精製した。標題化合物に相当する油状物1g(収率=38%)を得て、アセトニトリル中で二塩酸塩を調製した。融点242〜245℃。
【0040】実施例24−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−(インダン−2−イル)ピペラジン
【0041】
【化18】


【0042】1−ヒドロキシメチルベンゾシクロブタントシレートの代わりにインダン−2−オールトシレートを使用した他は、実施例1と同じ方法で調製した。得られた標題化合物は183〜185℃で融解した。
【0043】実施例31−〔2−(ベンゾシクロブタン−1−イル)エチル〕−4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン
【0044】
【化19】


【0045】メチルイソブチルケトン33ml中の4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン(調製例1)2.21g(8.2mmol)、2−(ベンゾシクロブタン−1−イル)−1−ブロモエタン1.72g(8.2mmol)及び炭酸ナトリウム3.48g(32.8mmol)を還流しながら14時間加熱した。全体を蒸発乾固し、酢酸エチル200mlと1N 水酸化ナトリウム溶液100ml中にとり、デカントし、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液100mlで洗浄した。MgSO4 で乾燥して溶媒を留去後、得られた残渣をシリカのクロマトグラフィー(溶離液:CH2 Cl2 /CH3 OH:98/2)に付して、目的生成物2.1gを得た。エタノール中の2%フマル酸溶液を添加することにより、標題化合物のフマル酸塩1.7gを得た。融点193〜194℃。
【0046】実施例41−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)−4−〔2−(ナフタ−1−イル)エチル〕ピペラジン
【0047】
【化20】


【0048】2−(ベンゾシクロブタン−1−イル)−1−ブロモエタンの代わりに2−(ナフタ−1−イル)−1−ブロモエタンを使用した他は、実施例3の生成物と同じ方法で調製した。生じた標題化合物のフマル酸塩は、エタノールから再結晶後177〜179℃で融解した。
【0049】実施例54−〔2−(ベンゾシクロヘプタン−1−イル)エチル〕−1−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン
【0050】
【化21】


【0051】2−(ベンゾシクロブタン−1−イル)−1−ブロモエタンの代わりに2−(ベンゾシクロヘプタン−1−イル)エタノールメシレートを使用した他は、実施例3の生成物と同じ方法で調製した。生じた標題化合物のフマル酸塩は、エタノールから再結晶後225〜227℃で融解した。
【0052】実施例64−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペラジン
【0053】
【化22】


【0054】工程1:「アミド」
カルボニルジイミダゾール4.9g(29.5mmol)を、塩化メチレン50mlに溶解したインダン−2−イルカルボン酸4.9g(29.5mmol)に一度に添加した。この反応物を、ガス発生の停止後1時間放置して接触させ、次に塩化メチレン50mlに溶解した4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジン6.4g(29.5mmol)を急速に滴下した。この反応物を一晩放置して接触させ、分液ロートに移し、1N のHClで抽出した。酸性相を塩基性にして冷却し、酢酸エチルで抽出した。目的のアミド8.3g(収率=69%)を得て、これを精製することなく使用した。
【0055】工程2:標題化合物THF100ml中の上記で得られたアミド8g(21.9mmol)の溶液を、THF30mlに懸濁したLiAlH4 0.8g中に注ぎ入れた。この反応物を一晩放置して接触させ、混合物を、H2 O(0.54ml)、20%NaOH(0.44ml)及びH2 O(2ml)で連続的に分解した。沈殿物を濾過し、THFで洗浄し、溶媒を留去して、目的生成物に相当する油状物を得た。アセトニトリルに溶解したこの塩基にエーテル性塩化水素をゆっくり添加することにより、標題化合物の二塩酸塩1.5gを得た。融点:220〜222℃。
【0056】実施例71−(インダン−2−イルメチル)−4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン
【0057】
【化23】


【0058】工程1で、4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジンの代わりに4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン(調製例1)を使用した他は、実施例6の生成物と同じ方法で、標題化合物を得た。エーテルに溶解したこの塩基にエーテル性塩化水素をゆっくり添加することにより得られた標題化合物の塩酸塩は、201〜204℃で融解した。
【0059】実施例84−〔2−(ベンゾシクロヘプタ−1−エン−1−イル)エチル〕−1−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン
【0060】
【化24】


【0061】工程1で、4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジンの代わりに4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンを使用し、インダン−2−イルカルボン酸の代わりに2−(ベンゾシクロヘプタ−1−エン−1−イル)酢酸を使用した他は、実施例6の生成物と同じ方法で得た。標題化合物のフマル酸塩は、エタノールから再結晶後207〜209℃で融解した。
【0062】実施例91−〔2−(ベンゾシクロブタン−1−イル)エチル〕−4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジン
【0063】
【化25】


【0064】工程1:「アミド」
インダン−2−イルカルボン酸の代わりにベンゾシクロブタン−1−イル酢酸を使用した他は、実施例6の工程1と同様に行った。
【0065】工程2:標題化合物ボラン−硫化ジメチル7.92ml(79.2mmol)を、無水THF150ml中の上記で得られたアミド7.9mmolに滴下した。全体を還流しながら6時間加熱した。室温に戻した後、メタノール16mlを滴下し、次に還流しながら3時間加熱することにより、混合物を分解した。溶媒の留去後、標題化合物に相当する油状物(収率=93%)を得た。塩酸塩は200〜204℃で融解した。
【0066】実施例101−〔3−(ベンゾシクロブタン−1−イル)プロピル〕−4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジン
【0067】
【化26】


【0068】インダン−2−イルカルボン酸の代わりに3−(ベンゾシクロブタン−1−イル)プロピオン酸を用いた他は、実施例6の工程1の方法を使用し、実施例9の標題化合物と同じ方法でアミドを調製した(収率=79%)。二塩酸塩は196〜199℃で融解した。
【0069】実施例114−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペリジン
【0070】
【化27】


【0071】工程1:「アミド」
4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジンの代わりに4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペリジン(調製例2)を使用した他は、実施例6の工程1と同様に行った。CH2 Cl2 /CH3 COOC25 (95/5)混合物よりなる溶離液によるシリカのフラッシュクロマトグラフィー後、目的のアミドを収率61%で得た。
【0072】工程2:標題化合物実施例9の工程2と同様に行った。標題化合物の二塩酸塩は218〜220℃で融解した(収率=42%)。
【0073】実施例121−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)−4−〔2−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)エチル〕ピペラジン
【0074】
【化28】


【0075】1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル酢酸と4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は、エタノールから再結晶後219〜220℃で融解した。
【0076】実施例131−(2,3−ジヒドロ−5−エトキシベンゾフラン−6−イル)−4−(インダン−2−イルメチル)ピペラジン
【0077】
【化29】


【0078】4−(2,3−ジヒドロ−5−エトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン(調製例4)から出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は183〜185℃で融解した(エタノール)。
【0079】実施例141−〔3−(ベンゾシクロブタン−1−イル)プロピル〕−4−(ベンゾ−1,5−ジオキセピン−7−イル)ピペラジン
【0080】
【化30】


【0081】3−(ベンゾシクロブタン−1−イル)プロピオン酸と4−(ベンゾ−1,5−ジオキセピン−7−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は168〜170℃で融解した(エタノール)。
【0082】実施例154−(ベンゾ−1,5−ジオキセピン−7−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペラジン
【0083】
【化31】


【0084】4−(ベンゾ−1,5−ジオキセピン−7−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物の半フマル酸塩は179〜181℃で融解した(エタノール)。
【0085】実施例164−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルメチル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペラジン
【0086】
【化32】


【0087】4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルメチル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物の二フマル酸塩は217〜220℃で融解した(エタノール)。
【0088】実施例174−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)−1−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエン−5−イルメチル)ピペラジン
【0089】
【化33】


【0090】4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエン−5−イルカルボン酸と4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は198〜200℃で融解した(エタノール)。
【0091】実施例181−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−4−〔2−(ナフタ−1−イル)エチル〕ピペラジン
【0092】
【化34】


【0093】ナフタ−1−イル酢酸から出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物の二塩酸塩は223〜232℃で融解した(メタノール)。
【0094】実施例191−(シクロペンタ〔b〕チエン−5−イルメチル)−4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン
【0095】
【化35】


【0096】(シクロペンタ〔b〕チエン−5−イル)カルボン酸(調製例8)と4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は186〜190℃で融解した(エタノール)。
【0097】実施例201−(シクロペンタ〔c〕チエン−5−イルメチル)−4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン
【0098】
【化36】


【0099】(シクロペンタ〔c〕チエン−5−イル)カルボン酸(調製例7)と4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物は156〜158℃で融解した。
【0100】実施例214−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−〔2−(ナフタ−1−イル)エチル〕ピペリジン
【0101】
【化37】


【0102】工程1でインダン−2−イルカルボン酸の代わりにナフタ−1−イル酢酸を使用した他は、実施例11に記載したように調製した。標題化合物の塩酸塩は220〜223℃で融解した(シアン化メチル)。
【0103】実施例221−(アセナフテン−1−イルメチル)−4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン
【0104】
【化38】


【0105】アセナフテン−1−イルカルボン酸と4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は226〜228℃で融解した(エタノール)。
【0106】実施例234−(2,3−ジヒドロ−7−メトキシベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペラジン
【0107】
【化39】


【0108】4−(2,3−ジヒドロ−7−メトキシベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジン(調製例5)から出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は176〜178℃で融解した(エタノール)。
【0109】実施例244−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタ−2−イルメチル)ピペラジン
【0110】
【化40】


【0111】1,2,3,4−テトラヒドロナフタ−2−イルカルボン酸から出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物の塩酸塩は226〜229℃で融解した(メタノール)。
【0112】実施例254−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)−1−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタ−2−イルメチル)ピペラジン
【0113】
【化41】


【0114】1,2,3,4−テトラヒドロナフタ−2−イルカルボン酸と4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は219〜221℃で融解した(エタノール)。
【0115】実施例261−(アセナフテン−1−イルメチル)−4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジン
【0116】
【化42】


【0117】アセナフテン−1−イルカルボン酸から出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物の塩酸塩は192〜196℃で融解した(エーテル)。
【0118】実施例27:1−(インダン−2−イルメチル)−4−(8−メトキシベンゾ−1,5−ジオキセピン−7−イル)ピペラジン
【0119】
【化43】


【0120】4−(8−メトキシベンゾ−1,5−ジオキセピン−7−イル)ピペラジン(調製6)から出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物は120〜122℃で融解した(エタノール)。
【0121】実施例28:4−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペラジン
【0122】
【化44】


【0123】4−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は180〜182℃で融解した(エタノール)。
【0124】実施例29:4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)−1−(インダン−1−イルメチル)ピペラジン
【0125】
【化45】


【0126】インダン−1−イルカルボン酸と4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は195〜197℃で融解した(エタノール)。
【0127】実施例30:4−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−6−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペラジン
【0128】
【化46】


【0129】4−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−6−イル)ピペラジンから出発して、実施例9に記載したように調製した。標題化合物の半フマル酸塩は171〜173℃で融解した(エタノール)。
【0130】実施例31:4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
【0131】
【化47】


【0132】工程1:「アミド」
4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジンの代わりに4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(調製例3)を使用した他は、実施例6の工程1と同様に実施した。
【0133】工程2:標題化合物トルエン中の3.5M のレッドAl(Red-Al)(登録商標)4.4ml(15.8mmol)を、トルエン60ml中の上記で調製したアミド1.9g(5.2mmol)の溶液中に滴下した。全体を50℃で2時間加熱して、次に室温で一晩撹拌した。次いで全体を氷浴で冷却し、エタノール2.2mlと水2.6mlで連続的に加水分解した。アルミニウム塩を濾過し、瀘液を蒸発乾固した。油状物1.4gを得て、これをフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。標題化合物のフマル酸塩は160〜167℃で融解した(エタノール)。
収率:25%
【0134】実施例32:4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−〔2−(ナフタ−1−イル)エチル〕−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
【0135】
【化48】


【0136】工程1でインダン−2−イルカルボン酸の代わりにナフタ−1−イル酢酸を使用した他は、実施例28に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は170〜180℃で融解した(エタノール)。
【0137】実施例33:4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)−1−(1,2−ジヒドロナフタレン−3−イルメチル)ピペラジン
【0138】
【化49】


【0139】工程1で1,2−ジヒドロナフタレン−3−イルカルボン酸と4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンを使用した他は、実施例31に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は180〜184℃で融解した(エタノール)。
【0140】実施例34:1−(インダン−2−イルメチル)−4−(5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン
【0141】
【化50】


【0142】工程1で4−(5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンを使用した他は、実施例31に記載したように調製した。標題化合物のフマル酸塩は188〜192℃で融解した(エタノール)。
【0143】実施例35:4−(ベンゾフラン−6−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペラジン
【0144】
【化51】


【0145】工程1で4−(ベンゾフラン−6−イル)ピペラジンを使用した他は、実施例31に記載したように調製した。標題化合物の二フマル酸塩は168〜170℃で融解した(エタノール)。
【0146】新規な出発物質の調製調製例14−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン工程1:2,3−ジヒドロ−5−メトキシ−6−ニトロベンゾフラン氷酢酸15mlに溶解した2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン15g(100mmol)を、0℃で15分かけて、水37.5ml中の発煙硝酸18.7mlに滴下した。全体を0℃で1時間、次に室温で1時間30分間撹拌した。この反応混合物を水125mlに注ぎ入れて、生じた固体を濾過し、水で充分に洗浄した。乾燥後、目的生成物16.9gを得た(収率=87%)。融点=108〜109℃。
【0147】工程2:6−アミノ−2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン酸化白金100mgを含有するメタノール100ml中の前工程で得られた化合物7.1g(36.4mmol)を、室温と常圧で3時間水素化した。触媒を濾過して溶媒を留去後、油状物の形で目的のアミン5.85gを得た(収率=97%)。
【0148】工程3:標題化合物クロロベンゼン90mlに溶解した、上記で得られたアミン5.75g(34.8mmol)、ビス(2−クロロエチル)アミン塩酸塩6.2g(34.8mmol)及び炭酸カリウム4.81g(34.8mmol)を還流しながら22時間加熱した。全体を水中に注ぎ入れて、クロロベンゼンをデカントした。水相を濃水酸化ナトリウム溶液12mlで塩基性にして、各回酢酸エチル250mlで2回抽出した。有機相を飽和NaCl溶液250mlで洗浄した。乾燥後、塩酸塩の形で精製された目的生成物5.95gを得た。融点>260℃。
【0149】調製例24−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペリジン工程1:6−ブロモ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシンのマグネシウム化合物THF100mlに溶解した6−ブロモ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン10g(46mmol)を、THF20ml中のマグネシウム1.1g(0.046グラム原子)の懸濁液に急速に添加した。ヨウ素結晶とヨウ化メチル数滴の存在下で加熱することにより反応を開始した。添加終了後(約15分)、全体を還流しながら1時間加熱した。完全に清澄な溶液を得た。
【0150】工程2:1−ベンジル−4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−4−ヒドロキシピペリジンTHF80mlに溶解したN−ベンジルピペリド−4−オン6.9g(37mmol)を0℃で、上記で得られたグリニャール試薬の溶液に添加した。添加終了後、全体を室温で2時間撹拌して、次に飽和NH4 Cl溶液で加水分解した。全体を乾固するまで濃縮し、次に残渣をエーテルにとり、1N のHClで抽出した。この酸性の相を1N 水酸化ナトリウム溶液で塩基性にして、次にエーテルで抽出した。このエーテル相を乾燥し、次に蒸発乾固した。目的生成物8g(収率=67%)を得た。融点=154〜156℃。
【0151】工程3:1−ベンジル−4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン工程2で得られた生成物4g(12.3mmol)をトリフルオロ酢酸50mlに添加した。全体を60℃で30分間加熱し、冷却して、35%水酸化ナトリウム溶液で中和した。エーテルで抽出を行い、抽出物を水で洗浄し、MgSO4 で乾燥し、濾過して蒸発乾固した。得られた残渣を、シリカのクロマトグラフィー(溶離液:CH2 Cl2 /CH3 OH:95/5)により精製した。油状物の形で目的生成物1.5gを得た(収率=40%)。
【0152】工程4:標題化合物工程3で得られた生成物3.2g(10.4mmol)をエタノール150mlに溶解した。20%Pd(OH)2担持活性炭1.5gを添加して、全体を室温で24時間、4×105 Paの圧力下で水素化した。触媒を濾過し、瀘液を蒸発乾固した。油状物の形で目的生成物1.7gを得た(収率=77%)。
【0153】調製例34−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン調製2の工程3で得られた化合物2g(6.5mmol)を1,2−ジクロロエタン30mlに溶解した。クロロギ酸エチル1.2ml(13mmol)を添加して、次に全体を還流しながら2時間加熱し、冷却して蒸発乾固した。残渣をエタノール30mlと水酸化カリウム0.7g(13mmol)にとり、次に還流しながら一晩加熱した。全体を冷却し、水20mlと更に水酸化カリウム1.05g(19.5mmol)を添加し、全体を再度還流しながら2日間加熱した。エタノールの留去後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、MgSO4 で乾燥し、濾過、蒸発乾固して、標題化合物1.4gを得た(収率:100%)。
【0154】調製例44−(2,3−ジヒドロ−5−エトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジン工程1で2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフランの代わりに2,3−ジヒドロ−5−エトキシベンゾフランを使用した他は、調製例1の生成物と同じ方法で得た。栗色の固体(融点=68〜69℃)
【0155】調製例54−(2,3−ジヒドロ−7−メトキシベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)ピペラジン工程1で2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフランの代わりに2,3−ジヒドロ−7−メトキシベンゾ−1,4−ジオキシンを使用した他は、調製例1の生成物と同じ方法で得た。標題化合物の塩酸塩は180〜182℃で融解した。
【0156】調製例64−(8−メトキシベンゾ−1,5−ジオキセピン−7−イル)ピペラジン工程1で2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフランの代わりに8−メトキシベンゾ−1,5−ジオキセピンを使用した他は、調製例1の生成物と同じ方法で得た。標題化合物の塩酸塩は187〜189℃で融解した。
【0157】調製例7シクロペンタ〔c〕チエン−5−イルカルボン酸工程1:シクロペンタ〔c〕チオフェン−5,5−ジカルボン酸ジエチルエステル室温で、3,4−ビス−(ブロモメチル)チオフェン(これの合成は、J. Prakt. Chem. 1972, 314(2), 334-352 に記載されている)4.5g(15.0mmol)、マロン酸ジエチル2.3ml(15.0mmol)、炭酸カリウム4.3g(31.0mmol)及びメチルエチルケトン75mlを、混合した。全体を還流しながら20時間加熱し、次に蒸発乾固し、ジクロロメタン200mlにとり、各回水50mlで2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、次に溶媒を留去後、残渣をシリカのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)に付して、目的化合物1.8gを得た(収率:45%)。
【0158】工程2:シクロペンタ〔c〕チオフェン−5,5−ジカルボン酸水2.2ml中の水酸化カリウム2.2g(38.8mmol)の溶液を、エタノール5ml中の上記化合物2.6g(9.7mmol)に一度に添加した。全体を還流しながら6時間加熱し、次に蒸発乾固した。残渣を1N 塩酸50mlにとり、各回エーテル80mlで3回抽出した。合わせたエーテル相を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濃縮して、目的化合物1.85gを得た(収率:88%)。
【0159】工程3:シクロペンタ〔c〕チエン−5−イルカルボン酸N,N−ジメチルアセトアミド8.5ml中の上記化合物1.8g(8.5mmol)を還流しながら1時間加熱した。次に全体を蒸発乾固し、続いてエーテル100mlにとり、各回水50mlで4回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、次に溶媒を留去後、目的化合物1.32gを得た(収率:94%)。
【0160】調製例8シクロペンタ〔b〕チエン−5−イルカルボン酸工程1:3−(チエン−3−イル)−3−オキソプロパン酸メチルナトリウムヒドリド(60%)24g(0.6mmol)を0℃で10分かけて、炭酸ジメチル600ml中の3−アセチルチオフェン25.2g(0.2mmol)に少量ずつ添加し、次に全体を還流しながら30分間加熱し、放置冷却して、酢酸53mlを含有する水/氷混合物1リットル中に注ぎ入れた。各回エーテル250mlで3回抽出を行った。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)に付して、目的化合物17gを得た(収率:46%)。
【0161】工程2:4−オキソシクロペンタ〔b〕チエン−5−イルカルボン酸メチルエステル室温で、上記ケトエステル4.9g(26.6mmol)を、ニトロメタン75ml中の塩化アルミニウム7.8g(58.5mmol)に添加し、次に全体を15分間撹拌した。次いでニトロメタン25ml中の塩化2−メトキシアセチル2.9ml(31.9mmol)を10分かけて滴下し、全体を80℃で3時間加熱し、冷却し、10%シュウ酸水溶液100ml中に注ぎ入れて、次に各回エーテル100mlで3回抽出した。合わせたエーテル相を各回飽和炭酸水素ナトリウム水溶液150mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、残渣をシリカのクロマトグラフィーに付して、目的化合物2.85gを得た(収率:55%)。
【0162】工程3:シクロペンタ〔b〕チエン−5−イルカルボン酸メチルエステル乳鉢中で、亜鉛7g(107.2グラム原子)を塩化水銀0.78g(2.9mmol)と完全に混合し、次に全体を、濃塩酸0.3mlを含有する水10ml中で10分間激しく撹拌した。水相をデカントし、次いで水6ml、濃塩酸12ml及びトルエン15ml中の上記化合物2.8g(14.3mmol)を連続的に添加した。全体を還流しながら18時間加熱し、次いで冷却し、アマルガムを分離し、各回エーテル20mlで2回抽出した。合わせた有機相を各回10%炭酸ナトリウム水溶液20mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、残渣をシリカのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン+2%酢酸エチル)に付して、目的化合物1.15gを得た(収率:44%)。
【0163】工程4:シクロペンタ〔b〕チエン−5−イルカルボン酸メタノール6ml中の上記化合物1.05g(5.8mmol)と2N 水酸化ナトリウム溶液3.5ml(7mmol)を室温で24時間撹拌し、次に蒸発乾固し、水50mlにとり、各回エーテル25mlで2回洗浄し、1N 塩酸で酸性にして、各回エーテル40mlで3回抽出した。合わせたエーテル相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、目的化合物0.86gを得た(収率:88%)。
【0164】実施例30薬理学的検討インビトロ:ヒトD4 受容体に対する親和性の測定ヒトD4 受容体でトランスフェクションしたCHO細胞から調製した膜をリセプターバイオロジー社(Receptor Bioloby Inc.)(メリーランド州、米国)から購入した。この膜を、膜蛋白30μg 、0.5mmolの〔 3H〕スピペロン(spiperone)及び非放射性(Cold)リガンドを最終体積1mlで25℃で60分間、三組インキュベートした。インキュベーション緩衝液は、50mMトリス−HCl(pH7.4)、120mMNaCl、5mMKCl、5mMMgCl2 及び1mMEDTAを含有していた。インキュベーション後、インキュベーション媒体を、0.1%ポリエチレンイミンに浸漬したワットマンGF/B(WHATMAN GF/B)フィルターを通して濾過し、冷却した緩衝液各回2mlで3回洗浄した。フィルターに残った放射活性を液体シンチレーション計測により測定した。結合等温式を、得られた(informed)非線形回帰法により解析してIC50値を決定した。これらを以下に示すCheng-Prusoff 方程式:
【0165】
【数1】


【0166】(式中、Lは、遊離〔 3H〕スピペロンの濃度であり;そしてKd は、ヒトD4受容体の〔 3H〕スピペロン解離定数である(70pM))により、阻害定数(Ki)に変換した。本発明の化合物は、D4 受容体に対して5×10-8M 未満のKi値であった。
【0167】ヒトD2 受容体に対する親和性の測定ここで使用した方法は、既に文献に詳述されている。CHO細胞を、ヒトD2受容体をコードするcDNAで安定な方法でトランスフェクションし、結合試験のために、膜を0.1nM〔 125I〕−ヨードスルピリドと共にインキュベートした結果、特異的結合は90%以上であった。IC50とKi 値は、上記のとおり測定して計算した。本発明の化合物は、D2 受容体に対して10-6M 以上のKi 値を有していた。
【0168】インビボa)薬理学的モデル体重250〜280gのオスのウィスターラット(Iffa Credo, Illskirchen,フランス)を12時間/12時間の明/暗サイクル(照明は午前7:30に開始した)で維持した。水と食餌は自由に摂取させた;実験室温度は21±1℃であり、湿度は60±5%であった。
【0169】ドーパミン代謝回転:ドーパミン代謝回転に及ぼす本発明の化合物と参照物質の皮下注射後の影響を測定した。30分後、ラットを断頭し、開頭して線条体、側坐核、前頭皮質及び嗅結節を摘出した。これらの組織を、0.5%Na225 と0.5%EDTA・Na2 を含有する0.1M のHClO4 500μl 中でホモジナイズし、15,000gで4℃で15分間遠心分離した。上澄液を移動相で希釈し、サーモスタットで25℃に調節したHPLCカラム(ハイパーシルODS(Hypersil ODS)5μm 、C18、150×4.6mm、サーモ・セパレーション・プロダクツ(Thermo Separation Products)、Les Ulis, フランス)に注入した。このHPLC移動相は、100mMKH2 PO4 、0.1mMEDTA、0.5mMオクチルスルホン酸ナトリウム及び5%メタノールよりなり、H3 PO4 でpH3.15に調整してあった。この移動相を、ベックマン(Beckman)116ポンプで流速1ml/分で注入した。Ag/AgCl参照電極に対して作用電極の電位が850mVであるウォーターズ(Waters)M460検出器により電気化学的検出を行った。ドーパミンと、ドーパミンの代謝物であるジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)の量を、取り出した脳組織に含有される蛋白の量に関連して表した。参照物質としてウシ血清アルブミン(シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Co)、セントルイス、ミズーリ州)を使用した。DOPAC/ドーパミン比を計算して、これを代謝回転指数として使用した。各実験について、担体で処理したラットで得られた値(100%)との比較により、ドーパミンとDOPACの平均量(±SD)間の比を決定した。本発明の化合物と参照物質の活性を、対照値との相対値で表し、例として下記の表に示した。
【0170】
【表1】


【0171】これらの結果は、本発明の化合物がハロペリドールのように、検討した各領域においてドーパミン作用性伝達に対して相当の影響を有することを示した。このことは、インビボの良好な活性と経口投与経路による良好な生物学的利用性を示している。
【0172】透析:ラットをペントバルビタール(60mg/kg 、腹腔内)麻酔した。ラットをコプフ(Kopf)の定位装置に入れて、カニューレガイド(大脳内ガイド、カーネギー・メディシン(Carnegie Medicine)、ストックホルム、スウェーデン)を、以下のとおりPaxinos and Watson atlas(1982年)に記載された各々の座標により、線条体と反対側の側坐核、又は帯状前頭皮質中に埋め込んだ:側坐核(CMA/12、AP:+1.6、L:±1.4、DV:−5.7);線条体(CMA/12、AP:+0.5、L:±2.8、DV:−3)及び帯状前頭皮質(CMA/11、AP:+2.2、L:±0.6、DV:−0.2)。ラットを別々のケージに入れて、5日後に透析を行った。透析当日に、ポリカーボネート製のCMA/12プローブ(線条体:長さ3mm、外径0.5mm;側坐核:長さ2mm、外径0.5mm)とクプロファン(cuprophan)製のCMA/11プローブ(帯状前頭皮質:長さ4mm、外径0.24mm)をゆっくり下ろし、定位置に固定した。これらのプローブを、147.2mMNaCl、4mMKCl及び2.3mMCaCl2 の溶液(リン酸緩衝液(0.1M)でpH7.3に調整した)で流速1ml/ 分で灌流した。埋め込みの2時間後、試料を20分毎に4時間集めた。試験化合物の投与前に3つの基準試料を採取した。全実験中ラットは個々のケージに入れておいた。実験終了後、ラットを断頭し、脳を取り出し冷イソペンタン中で凍結した。厚さ100μm の切片を切り出し、クレシルバイオレットで染色してプローブの局在の確認ができるようにした。
【0173】ドーパミン、ノルエピネフリン及びセロトニンの同時定量を以下のとおり行った:透析試料20μl を移動相(NaH2 PO4 :75mM、EDTA:20μM、ドデカンスルホン酸ナトリウム:1mM、メタノール:17.5%、トリエチルアミン:0.01%、pH:5.70)20μl で希釈して、33μl を、サーモスタットで45℃に制御した、逆相カラム(ハイパーシルODS(Hypersil ODS)5μm 、C18、150×4.6mm、サーモ・セパレーション・プロダクツ(Thermo Separation Products)、les Ulis、フランス)のHPLCにより分析し、比色検出器(ESA5014、クーロケムII(Coulochem II)、ベッドフォード、マサチューセッツ州、米国)により定量した。この検出器の第1電極を−90mV(還元)に、第2電極を+280mV(酸化)に設定した。移動相をベックマン(Beckman)116ポンプで流速2ml/ 分で注入した。ドーパミン、ノルエピネフリン及びセロトニンの感度限界は試料当り0.55fmolであった。本発明の全ての化合物と参照物質を、容量1.0ml/kg で皮下注射した。化合物は蒸留水に溶解し、必要であればここに数滴の乳酸を添加した。神経伝達物質の量を3つの基準値の平均の関数として表した。本化合物の影響の統計的評価のために、繰り返し測定した時間因子による分散分析、続いてニューマン・コイルズ(Newman-Keuls)検定(p<0.05)を行った。本発明の化合物と参照物質の活性を、基準値(=100%)と比較した化合物投与後の神経伝達物質の量の変動百分率として表した。例として、ドーパミンの量に関して記録した変化を以下の表に示した。
【0174】
【表2】


【0175】これらの結果は、参照物質とは反対に、本発明の化合物がメソ皮質性ドーパミン作用性神経伝達を増加させることを示した。これらの効果は、本発明の化合物が精神分裂症の欠乏症状のより有効な制御を可能にし、また抗抑鬱及び向記憶性を有することを示した。
【0176】b)治療モデル1.マウスにおいてアポモルヒネ(0.75mg/kg 、皮下投与)により誘発した垂直化Protais ら(Psychopharmacologie, 1976, 50, 1-6)により記載された本試験により、可能な抗精神病性物質のドーパミン拮抗活性の評価が可能である。アポモルヒネを投与して垂直棒のついたケージに入れたマウスは、ほとんどの時間その4つの足でこの棒にしがみついてケージの頂上に不動のままいる。この垂直化行動は、アポモルヒネの前にドーパミン作用拮抗物質を投与すると阻止される。
【0177】試験:本願化合物又は溶媒(対照群)の皮下(s.c.)投与後、垂直棒を有する円筒形の棒付ケージ(直径14cm×高さ14cm)にマウスを入れた。30分後、マウスにアポモルヒネを投与(0.75mg/kg 、s.c.)した。アポモルヒネ注射の10及び20分後にマウスを観察して、測定を行ったたびにスコア0(4つの足とも地上)、スコア1(2つの前足を棒上に置いて直立したマウス)又はスコア2(4つの足で棒にしがみついているマウス)のいずれかの評価を与えた。結果として使用したこの垂直化スコアは、0〜4(2回測定の合計)であった。各実験群は、少なくとも5匹のマウスよりなった。
【0178】統計解析:マン・ホイットニーU検定(Mann and Whitney U test )を用いて、確率p<0.05で、ある用量の化合物を投与した各群で得られたスコアを、対照群(溶媒)で得られたスコアと比較することにより、垂直化に及ぼす本化合物の影響を評価した。ID50は、対照群の垂直化スコアの平均に比較してこれが半分に減少する生成物の用量である。
【0179】結果:例として、かつ本発明の化合物の効果を説明するために、実施例6の化合物のID50は、皮下投与経路により3.88mg/kg であった。
【0180】2.隔離したマウスにおける攻撃性の試験本試験は、数ケ月間隔離したマウスにおける生成物の同一種内抗攻撃性の評価を可能にする。
【0181】実験動物:本実験では、動物舎に到着時に体重22〜25gのオスのCDマウス(チャールズ・リバー(Charles River))を使用した。到着時、マウスを、格子フタ付の不透明の黒いポリカーボネート製の個々のケージ(23×14×13cm)に隔離し、実験室内に長期間(約6ケ月)閉じ込めておいた。
【0182】マウスの対の選択:マウスを1ケ月間隔離後、試験時に長期的に使用する攻撃的マウスの対の選択を開始した。週に1〜2回別のケージからのマウス(侵入者)をもう一匹の(居住)マウスのケージに入れて、試験中にこれらが相互に攻撃(鼻でかぐ、追跡する、噛む、喰いつく)するかどうか2匹のマウスを観察した。試験(最大10分間)の最後に、各マウスを再度個々のケージに隔離した。攻撃が起これば、この対の各マウスを次の試験で再度試験を行い、攻撃が起きなければ、次の試験でこの対の各々のマウスを別のマウスと対面させた。即ち、週に1〜2回の割合で行った逐次試験の間に、実験に使用するマウスの最終的な対を選択した。この対は、1つの試験から次の試験までのマウスの闘争性の安定性、最初の攻撃までの潜伏期の短さ、及び攻撃の頻度と期間に基づいて選択した。こうして選択した対で、迅速試験により各週、試験日の2日前に、化合物による処理なしに、これらのパラメーターをチェックした。
【0183】試験:本試験は週に1回行った。一緒にする30分前に、対の2匹のマウスに各々同一の処理(化合物又は溶媒)をして、各々のケージに隔離した。試験開始時に、侵入者マウスを居住マウスのケージに3分間入れた。最初の攻撃までの潜伏期(秒単位)及び攻撃の数と持続期間(秒単位)を記録した。一方のマウスの他方に対する優勢の逆転があれば記録した(一般に、居住マウスが優勢なマウスである)。試験の最後に、侵入者マウスをもとのケージに戻した;次の迅速試験と次の週の試験までマウスを隔離しておいた。
【0184】統計解析:分散分析(ANOVA)と次にダネット検定(Dunnett's test)を用いて、確率p<0.05で、化合物を投与したマウス(処理群)の対による攻撃の数と期間を、溶媒を投与した対(対照群)と比較することにより、攻撃性に及ぼす化合物の効果を評価した。攻撃の数と期間のID50は、対照群で得られたこれらの値のそれぞれの平均に比較して、各々これらを半分に減少する化合物の用量である。
【0185】結果:例として、かつ本発明の化合物の活性を説明するために示すと、実施例6の化合物のID50は、皮下投与経路で0.99mg/kg であった。
【0186】3.ラットにおける強直症誘発精神分裂症患者への「典型的」神経弛緩薬又は抗精神病薬(ハロペリドール、クロルプロマジン)の長期投与は、しばしばパーキンソン病型の好ましくない錐体外路系症状(EPS)の出現、特に不動化現象(Davis ら, 1983)を引き起こす。これに対して、「非定型」の抗精神病薬(クロザピン(clozapine))は、錐体外路系症状を引き起こさない。動物への「典型的」抗精神病薬の急激な投与は、強直症(即ち動物が、実験者が意図的に取らせたしばしば異常な姿勢を維持すること)を誘発する(Waldmeirer, 1979)。即ち、ラットにおける化合物の強直症誘発性の評価により、ヒトに投与した場合にその生成物が錐体外路型症状を引き起こすリスクを有するか否かを知ることが可能である。
【0187】試験:ラットを個々のケージに入れて、試験前日に絶食させたが水は自由に与えた。本強直症試験は、ラットの各後足を同じ側の前足に重ねさせて、ラットがこの「交差足」位置のままでいる時間(秒)(最大30秒)を測定することよりなる。各ラットに3回逐次試験(2分おきに1回)を行い、ラットをケージから取り出し、作業表面に置いた。これらの試験は、化合物又は溶媒の皮下注射又は経口投与の1時間後に行った。3回の試験の平均値で、各ラットの強直症期間(秒)を表した。実験群当り5又は6匹のラットを使用した。
【0188】統計解析:ANOVAと次にダネット検定を用いて、確率p<0.05で、強直症期間に及ぼす本化合物の効果を評価した。強直症誘発のED50は、強直症持続期間の最大値30秒に比較して50%の持続期間を提供する用量(溶媒対照群の値により補正)である。
【0189】結果:例として、かつ本発明の化合物に強直症誘発性が存在しないことを説明するために、実施例6の化合物は、皮下投与経路により80mg/kg を超えるED50値であったことを示す。比較すると、参照抗精神病薬であるハロペリドールは、同じ投与経路の場合0.146mg/kg のED50値であった。この結果は、とりわけD2 受容体の遮断に基づく作用機序を有する抗精神病薬により遭遇する錐体外路型副作用を避ける上で、D2 受容体に比較してD4 受容体への選択的遮断の大きな価値を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(I):
【化1】


〔式中、A−Bは、CH2 −CH、CH=C又はCH2 −Nを表し;nは、ゼロ又は1〜6の整数を表し;Dは、下記式:
【化2】


(式中、R1 及びR2 は、同一か又は異なり、各々、水素若しくはハロゲン原子、1〜5個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル若しくはアルコキシ基、又はヒドロキシ基を表す)で示される二環系の1つを表し;そしてEは、下記式:
【化3】


で示される複素環の1つを表すが、Dが、下記式:
【化4】


を表すとき、Eは、下記式:
【化5】


を表すことはない〕で示される化合物、これらのラセミ混合物若しくはラセミ化合物又は光学異性体若しくはエナンチオマー、あるいは更に薬学的に許容しうる酸とのこれらの塩。
【請求項2】 1−〔2−(ベンゾシクロブタン−1−イル)エチル〕−4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンである、請求項1記載の化合物、又はそのフマル酸塩。
【請求項3】 4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペラジンである、請求項1記載の化合物、又はその二塩酸塩。
【請求項4】 1−(インダン−2−イルメチル)−4−(2,3−ジヒドロ−5−メトキシベンゾフラン−6−イル)ピペラジンである、請求項1記載の化合物、又はその塩酸塩。
【請求項5】 4−(2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イル)−1−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルメチル)ピペラジンである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】 4−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−1−(インダン−2−イルメチル)ピペラジンである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】 請求項1記載の化合物の製造方法であって、式(II):
【化6】


(式中、A−B及びEは、請求項1と同義である)で示される化合物を、式(III ):D−(CH2)n −X (III)(式中、n及びDは、請求項1と同義であり;そしてXは、ハロゲン原子又はメシルオキシ若しくはトシルオキシ基を表す)で示される化合物と縮合させることを特徴とする方法。
【請求項8】 式(I′):
【化7】


(式中、A−B、D及びEは、請求項1と同義であり;そしてn′は、1〜6の整数を表す)に相当する請求項1記載の化合物の製造方法であって、請求項7記載の式(II)の化合物を、式(IV):D−(CH2)n'-1−CO2 H (IV)
(式中、D及びn′は、上記と同義である)で示される化合物と縮合させ、得られた式(V):
【化8】


(式中、A−B、D、E及びn′は、上記と同義である)で示されるアミドを還元することを特徴とする方法。
【請求項9】 請求項8記載の式(V)の化合物。
【請求項10】 1つ以上の適切な薬剤賦形剤と共に、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物を活性成分として含む、医薬組成物。
【請求項11】 ドーパミン作用系の機能不全に関連する疾患の治療に用いられる、請求項10記載の医薬組成物。