説明

新規な赤色エレクトロルミネセント化合物及びこれを使用する有機エレクトロルミネセントデバイス

【課題】中乃至大サイズのOLEDパネルに適用可能な、新規なりん光化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、高い発光効率を示す新規な赤色りん光化合物及びこれを含有する有機エレクトロルミネセント素子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い発光効率を示す新規な赤色エレクトロルミネセント化合物及びこれを使用する有機エレクトロルミネセント素子(organic electroluminescent device)に関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDに於ける発光効率を決定するための最も重要な要素は、エレクトロルミネセント材料の種類である。現在まで、エレクトロルミネセント材料として蛍光材料が広く使用されてきたが、りん光材料の開発は、エレクトロルミネセントの機構に鑑みて、理論的に4倍まで発光効率を向上させるための最良の方法の一つである。
【0003】
現在まで、りん光材料として、赤色、緑色及び青色について、それぞれ(acac)Ir(btp)、Ir(ppy)及びFirpicを含む、イリジウム(III)錯体が広く知られている。特に、数多くのりん光材料が、日本、ヨーロッパ及び米国に於いて、最近研究されている。
【0004】
【化1】

【0005】
従来の赤色りん光材料の中で、幾つかの材料が、良好なEL特性を有すると報告されている。しかしながら、これらの中で非常に希な材料が、商業化のレベルに到達したにすぎない。最良の材料として、1−フェニルイソキノリンのイリジウム錯体を挙げることができ、これは、優れたEL特性を有し、高い発光効率で暗赤色の色純度を示すことが知られている。[A.Tsuboyamaら、J.Am.Chem.Soc.2003,125(42),12971−12979参照]。
【0006】
【化2】

【0007】
更に、寿命の顕著な問題を有しない赤色材料は、それらが、良好な色純度又は発光効率を有する場合、容易に商業化される傾向にある。従って、上記のイリジウム錯体は、その優れた色純度及び発光効率のために、非常に高い商業化の可能性を有する材料である。
【0008】
しかしながら、中乃至大サイズのOLEDパネルには、既知の材料のEL特性よりも高いEL特性のレベルが実際に必要であるが、このイリジウム錯体は、まだ、小さいディスプレイに適用可能な材料としてのみ理解されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.2003,125(42),pp.12971−12979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の従来技術の問題点を克服するため、鋭意研究の結果、本発明者らは、優れた発光効率及び驚くほど改良された寿命を有する有機EL素子を実現するための、新規な赤色りん光化合物を開発した。
【0011】
本発明の目的は、従来の赤色りん光材料の特性と比較したとき、一層優れたエレクトロルミネセント特性を与える骨格を有する化合物を提供することである。本発明の他の目的は、中乃至大サイズのOLEDパネルに適用可能な、新規なりん光化合物を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、このりん光化合物を含有する有機エレクトロルミネセント素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明は、新規な赤色りん光化合物及びエレクトロルミネセント層内にこれを使用する有機エレクトロルミネセント素子に関する。特に、本発明に従った赤色りん光化合物は、それらが、化学式1:
【0014】
【化3】

【0015】
[式中、Lは有機配位子であり、
AがNである場合にBはCであり、AがCである場合にBはNであり、
は、直鎖状若しくは分枝状の及び飽和若しくは不飽和の(C〜C60)アルキル又は(C〜C60)アリールを表し、
〜Rは、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の及び飽和若しくは不飽和の(C〜C60)アルキル、(C〜C30)アルコキシ、(C〜C60)シクロアルキル、(C〜C60)アリール、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル又はトリ(C〜C30)アリールシリルを表し、
及びRは、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、(C〜C60)アリール若しくはハロゲンを表し、又はR及びRは、縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによって結合して、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、R及びRのアルキル若しくはアリール、又は縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによる結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有するか又は有しない線状又は枝分かれした(C〜C60)アルキル、(C〜C30)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル及び(C〜C60)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、
〜Rのアルキル、アルコキシ、シクロアルキル及びアリールは、ハロゲン置換基を有するか又は有しない線状又は枝分かれした(C〜C60)アルキル、(C〜C30)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル及び(C〜C60)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、および
nは、1〜3の整数である]
によって表されることで特徴付けられる。
【0016】
縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン又は(C〜C12)アルケニレンによる結合によって、本発明に従った化学式(1)の化合物のR及びRから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、インデン、フェナントレン又はピリジンであってよい。化学式(1)に於いて、大括弧([])によって囲まれた種は、イリジウムの主配位子として機能し、Lは副配位子として機能する。本発明に従ったりん光化合物には、副配位子(L)を含有しないトリス−キレート化錯体(n=3)に加えて、主配位子:副配位子=2:1の比を有する錯体(n=2)が含まれる。
【0017】
本発明に従った化学式(1)によって表される有機りん光化合物は、化学式(2)〜(7)の一つによって表される化合物によって例示することができる。
【0018】
【化4】

【0019】
【化5】

【0020】
[式中、L、R、R、R、R、R及びnは、化学式(I)に於けるように定義され、
〜R14及びR17〜R24は、独立に、水素、ハロゲン置換基を有する又は有しない線状又は枝分かれした(C〜C60)アルキル、(C〜C30)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル又は(C〜C60)アリールを表し、そして
15及びR16は、独立に、水素又は直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキルを表す]。
【0021】
本発明の実施形態は、化学式(2)〜(7)のRが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、t−ブチルフェニル又はフルオロフェニルを表し、R〜Rが、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル又はt−ブチルを表し、R〜R14及びR17〜R24が、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、フルオロ、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、フェニル、ビフェニル、トリメチルシリル、トリフェニルシリル又はトリフルオロメチルを表し、R15及びR16が、独立に、水素又はメチルを表すことで特徴付けられる。
【0022】
本発明に従った化学式(1)の有機りん光化合物は、下記の化合物によって特に例示することができるが、これは下記のものに限定されない。
【0023】
【化6】

【0024】
【化7】

【0025】
【化8】

【0026】
[式中、Lは有機配位子であり、nは1〜3の整数である]。
【0027】
本発明に従った化学式(1)の副配位子Lは、下記の構造の一つを含む。
【0028】
【化9】

【0029】
[式中、R31及びR32は、独立に、水素、ハロゲン置換基を有するか若しくは有しない直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル又はハロゲンを表し、
33〜R39は、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル、トリ(C〜C30)アルキルシリル又はハロゲンを表し、
40〜R43は、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル又は直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニルを表し、および
44は、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル又はハロゲンを表す]。
【0030】
本発明に従った化学式(1)の副配位子(L)は、下記の構造によって例示することができるが、これは下記のものに限定されない。
【0031】
【化10】

【0032】
本発明に従った有機りん光化合物の製造方法は、下記に示される反応図式(1)〜(3):
【0033】
【化11】

【0034】
[式中、A、B、R〜R及びLは、化学式(I)に於けるように定義される]
を参照することによって説明される。
【0035】
反応図式(1)は、n=1を有する化学式(I)の化合物をもたらし、ここでは、三塩化イリジウム(IrCl)及び副配位子(L)化合物が、1:2〜3のモル比で、溶媒中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、単離されたジイリジウム二量体を得る。この反応段階に於いて、好ましい溶媒は、アルコール又はアルコール/水の混合溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−エトキシエタノール/水混合物である。単離されたジイリジウム二量体は、次いで、有機溶媒中で主配位子化合物と共に加熱されて、最終生成物として、1:2の主配位子:副配位子の比を有する有機りん光イリジウム化合物をもたらす。この反応は、有機溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−メトキシエチルエーテルと共に混合されているAgCFSO、NaCO又はNaOHと共に実施される。
【0036】
反応図式(2)は、n=2を有する化学式(I)の化合物をもたらし、ここでは、三塩化イリジウム(IrCl)及び主配位子化合物が、1:2〜3のモル比で、溶媒中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、単離されたジイリジウム二量体を得る。この反応段階に於いて、好ましい溶媒は、アルコール又はアルコール/水の混合溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−エトキシエタノール/水混合物である。単離されたジイリジウム二量体は、次いで、有機溶媒中で副配位子(L)化合物と共に加熱されて、最終生成物として、2:1の主配位子:副配位子の比を有する有機りん光イリジウム化合物をもたらす。
【0037】
最終生成物中の主配位子と副配位子とのモル比は、組成に応じた反応剤の適切なモル比によって決定される。この反応は、有機溶媒、例えば、2−エトキシエタノール、2−メトキシエチルエーテル及び1,2−ジクロロメタンと共に混合されているAgCFSO、NaCO又はNaOHにより実施することができる。
【0038】
反応図式(3)は、n=3を有する化学式(I)の化合物をもたらし、ここでは、反応図式(2)に従って製造されたイリジウム錯体及び主配位子化合物が、1:2〜3のモル比でグリセロール中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、3個の主配位子で配位された有機りん光イリジウム錯体を得る。
【0039】
本発明に於いて主配位子として使用される化合物は、従来のプロセスに基づいて、反応図式(4)又は(5)に従って製造することができる。
【0040】
【化12】

【0041】
[式中、R〜Rは、化学式(I)に於けるように定義される]。
【0042】
本発明は、第一電極、第二電極及び第一電極と第二電極との間に介在させられた少なくとも1個の有機層を含む有機エレクトロルミネセント素子であって、この有機層が、化学式(I)によって表される1種以上の化合物を含有する素子を提供する。
【0043】
本発明に従った有機エレクトロルミネセント素子は、有機層がエレクトロルミネセント領域を含有し、この領域が、0.01〜10重量%の量で、エレクトロルミネセントドーパントとしての化学式(1)によって表される1種以上の化合物及び1種以上のホスト(host)を含有することで特徴付けられる。本発明に従った有機エレクトロルミネセント素子中に使用することができるホストは、特に制限されないが、1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン、4,4′−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカルバゾリルフェニル、4,4′−ビスカルバゾリル−2,2′−ジメチルビフェニル、4,4′,4″−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリ(2−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シラン又は化学式(8)〜(11)の一つによって表される化合物によって例示される。
【0044】
【化13】

【0045】
化学式(8)に於いて、R91〜R94は、独立に、直鎖状若しくは分枝状の及び飽和若しくは不飽和の(C〜C60)アルキル若しくは(C〜C60)アリールを表すか、又はR91〜R94のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによって、隣接する置換基と結合して、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、R91〜R94のアルキル若しくはアリール、又は縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによる結合によって、それらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有するか又は有しない直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、トリ(C〜C30)アルキルシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル及び(C〜C60)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0046】
【化14】

【0047】
化学式(11)に於いて、配位子、L及びLは、独立に、下記の構造:
【0048】
【化15】

【0049】
から選択され、
は、2価又は3価金属であり、
が2価金属であるときyは0であり、他方、Mが3価金属であるときyは1であり、
Qは、(C〜C60)アリールオキシ又はトリ(C〜C60)アリールシリルを表し、Qのアリールオキシ及びトリアリールシリルは、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル又は(C〜C60)アリールによって更に置換されていてよく、
Xは、O、S又はSeを表し、
環Aは、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン又はキノリンを表し、
環Bは、ピリジン又はキノリンを表し、環Bは、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル又は直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル若しくはナフチルによって更に置換されていてよく、
101〜R104は、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル若しくは(C〜C60)アリールを表し、又はR101〜R104のそれぞれは、(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによって、隣接する置換基と結合して、縮合環を形成することができ、ピリジン又はキノリンは、R101と一緒に化学結合を形成して、縮合環を形成することができ、
環A及びR101〜R104のアリール基は、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、フェニル、ナフチル、トリ(C〜C30)アルキルシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル又はアミノ基によって更に置換されていてよい。
【0050】
配位子、L及びLは、独立に、下記の構造:
【0051】
【化16】

【0052】
[式中、Xは、O、S又はSeを表し、
101〜R104は、独立に、水素、ハロゲン置換基を有するか若しくは有しない(C〜C60)アルキル、ハロゲン、(C〜C60)アリール、(C〜C60)ヘテロアリール、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル、ジ(C〜C30)アルキルアミノ、ジ(C〜C30)アリールアミノ、チオフェニル若しくはフラニルを表し、又はR101〜R104のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによって、隣接する置換基と結合して、縮合環を形成することができ、
111〜R116、R121及びR122は、独立に、水素、(C〜C60)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C〜C60)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル、ジ(C〜C30)アルキルアミノ、ジ(C〜C30)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、
123は、(C〜C60)アルキル、フェニル又はナフチルを表し、
124〜R139は、独立に、水素、(C〜C60)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C〜C60)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル、ジ(C〜C30)アルキルアミノ、ジ(C〜C30)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、
111〜R116及びR121〜R139のフェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、チオフェニル又はフラニルは、(C〜C60)アルキル、ハロゲン、ナフチル、フルオレニル、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル、ジ(C〜C30)アルキルアミノ及びジ(C〜C30)アリールアミノから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい]
から選択される。
【0053】
化学式(11)に於いて、Mは、Be、Zn、Mg、Cu及びNiから選択された2価金属又はAl、Ga、In及びBから選択された3価金属であり、Qは、下記の構造:
【0054】
【化17】

【0055】
から選択される。
【0056】
化学式(8)の化合物は、下記の構造式:
【0057】
【化18】

【0058】
の一つによって表される化合物により特に例示することができるが、これらは上記のものに限定されない。
【0059】
化学式(11)によって表される化合物は、下記の構造の一つを有する化合物によって特に例示することができるが、これらは下記のものに限定されない。
【0060】
【化19】

【0061】
【化20】

【0062】
【化21】

【0063】
【化22】

【0064】
【化23】

【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、OLEDの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図面を参照して、図1は、ガラス1、透明電極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、エレクトロルミネセント層5、電子輸送層6、電子注入層7及びAlカソード8を含有する、OLEDを示す。
【実施例】
【0067】
以下、本発明に従った新規な有機りん光化合物の製造方法に関し、実施例を参照してさらに説明するが、それらは説明のみのために示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0068】
製造実施例
[製造実施例1]化合物(101)の製造
【0069】
【化24】

【0070】
化合物(201)の製造
【0071】
2000mLの丸底フラスコに、2,5−ジブロモピリジン(25.0g、105ミリモル)を装入し、次いでこれを、アルゴン雰囲気下でジエチルエーテル(1240mL)と共に溶解した。−75℃の温度条件下で、これに、n−BuLi(80mL)(ヘキサン中1.6M、127ミリモル)を、ゆっくり滴下により添加した。30分間撹拌した後、ジエチルエーテル(200mL)中に溶解したN,N−ジメチルベンズアミド(23.6g、158ミリモル)の溶液をゆっくり添加し、得られた混合物を35分間撹拌した。反応が終了したとき、この反応混合物に、NHCl水溶液を添加した。ジエチルエーテルによる抽出及びシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(201)(18.0g、68.9ミリモル、収率:65.6%)を得た。
【0072】
化合物(202)の製造
500mLの丸底フラスコに、化合物(201)(18.0g、68.9ミリモル)、フェニルボロン酸(9.24g、75.8ミリモル)、トルエン(160mL)、エタノール(80mL)及びPd(PPh)4(3.18g、2.76ミリモル)を装入し、この混合物をアルゴン雰囲気下で撹拌した。2M NaCO水溶液(80mL)を添加した後、得られた混合物を、撹拌しながら還流下で4時間加熱した。反応が終了したとき、蒸留水を添加した。酢酸エチルによる抽出及びシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(202)(15.5g、59.6ミリモル、収率:86.5%)を得た。
【0073】
化合物(203)の製造
500mLの丸底フラスコに、化合物(202)(15.5g、59.6ミリモル)、塩化イリジウム(IrCl)(8.09g、27.1ミリモル)、2−エトキシエタノール(210mL)及び蒸留水(70mL)を装入し、この混合物を、還流及びアルゴン雰囲気下で24時間加熱した。反応が終了したとき、反応混合物を環境温度にまで冷却した。沈殿を濾過し、完全に乾燥して、化合物(203)(18.2g、24.4ミリモル)を得た。
【0074】
化合物(101)の製造
500mLの丸底フラスコに、化合物(203)(18.2g、24.4ミリモル)、2,4−ペンタンジオン(3.67g、36.6ミリモル)、NaCO(7.76g、73.2ミリモル)及び2−エトキシエタノール(300mL)を装入し、この混合物を4時間加熱した。反応が終了したとき、反応混合物を室温にまで冷却した。固体沈殿を、濾過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶によって精製して、標題化合物、イリジウム錯体(101)(8.47g、10.5ミリモル、収率:38.6%)を赤色結晶として得た。
【0075】
mp.>350℃
H NMR(300MHz,CDCl):δ=8.89(d,J=1.2Hz,2H),8.30(dd,J=1.8Hz,8.4Hz,2H),7.98(d,J=8.7Hz,2H),7.83−7.80(m,4H),7.65−7.58(m,4H),7.53−7.48(m,4H),6.86(td,J=1.2Hz,7.5Hz,2H),6.74(td,J=1.5Hz,7.5Hz,2H),6.30(dd,J=1.2Hz,7.8Hz,2H),5.29(s,1H),1.55(s,6H)。
HRMS(FAB)C4131IrNに対する計算値808.1913:実測値808.1910。
【0076】
[製造実施例2]化合物(131)の製造
【0077】
【化25】

【0078】
化合物(204)の製造
500mLの丸底フラスコに、4−ブロモベンゾフェノン(17.0g、65.2ミリモル)、Pd(PPh)4(3.14g、2.72ミリモル)及びLiCl(69.0g、163ミリモル)を装入し、この混合物をトルエン(250mL)と共に、アルゴン雰囲気下で撹拌した。5分間後に、これに、トルエン(20mL)中に溶解させたトリブチル(2−ピリジル)スズ(20.0g、54.3ミリモル)の溶液を、滴下により添加した。この混合物を還流下で18時間攪拌し、次いで室温まで冷却した。反応が終了したとき、KF水溶液を反応混合物に添加した。酢酸エチルによる抽出及びシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(204)(11.9g、45.9ミリモル、収率:84.5%)を得た。
【0079】
化合物(205)の製造
500mLの丸底フラスコに、化合物(204)(11.9g、45.9ミリモル)、塩化イリジウム(IrCl)(6.24g、20.9ミリモル)、2−エトキシエタノール(210mL)及び蒸留水(70mL)を装入し、この混合物を、還流及びアルゴン雰囲気下で24時間加熱した。反応が終了したとき、反応混合物を環境温度にまで冷却した。沈殿を濾過し、完全に乾燥して、化合物(205)(10.6g、14.2ミリモル)を得た。
【0080】
化合物(131)の製造
500mLの丸底フラスコに、化合物(205)(10.6g、14.2ミリモル)、2,4−ペンタンジオン(2.13g、21.3ミリモル)、NaCO(4.52g、42.6ミリモル)及び2−エトキシエタノール(300mL)を装入し、この混合物を6時間加熱した。反応が終了したとき、反応混合物を室温まで冷却した。固体沈殿を、濾過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。再結晶によって、標題化合物のイリジウム錯体(131)(9.19g、11.4ミリモル、収率:54.4%)を赤色結晶として得た。
【0081】
mp.>350℃
H NMR(300MHz,CDCl):δ=8.51−8.49(m,2H),7.86(d,J=8.1Hz,2H),7.68(dd,J=1.5Hz,7.5Hz,2H),7.63(d,J=8.4Hz,2H),7.57−7.54(m,4H),7.49−7.44(m,2H),7.34−7.28(m,6H),7.16−7.11(m,2H),6.59(d,J=1.5Hz,2H),5.25(s,1H),1.80(s,6H)。
HRMS(FAB)C4131IrNに対する計算値808.1913:実測値808.1918。
【0082】
[製造実施例3]化合物(149)の製造
【0083】
【化26】

【0084】
化合物(206)の製造
500mLの丸底フラスコに、化合物(201)(18.0g、68.9ミリモル)、4−t−ブチルフェニルボロン酸(13.5g、75.8ミリモル)、トルエン(160mL)、エタノール(80mL)及びPd(PPh)4(3.18g、2.76ミリモル)並びに2M NaCO水溶液(80mL)を装入した。製造1に記載したのと同じ手順に従って、化合物(206)(17.8g、56.5ミリモル、収率:82.0%)を得た。
【0085】
化合物(207)の製造
アセトフェノン(50g、416ミリモル)及びo−アミノベンゾフェノン(82g、416ミリモル)を、濃硫酸(4mL)及び氷酢酸(600mL)と共に、還流下で24時間撹拌した。室温にまで冷却した後、反応混合物を冷濃水酸化アンモニウム(450mL)及び蒸留水(1.6L)で洗浄した。沈殿を集め、エタノール及び水から再結晶して、化合物(207)(81.9g、291ミリモル)を得た。
【0086】
化合物(208)の製造
化合物(207)(81.9g、291ミリモル)、塩化イリジウム(IrCl)(39.1g、131ミリモル)、2−エトキシエタノール(600mL)及び蒸留水(200mL)を、還流下で24時間撹拌し、この反応混合物を室温まで冷却した。沈殿を水及びメタノールで洗浄し、濾過し、ヘキサンから再結晶して、化合物(208)(67.8g、43ミリモル)を得た。
【0087】
化合物(149)の製造
化合物(208)(67.8g、43ミリモル)及び化合物(206)(40.7g、129ミリモル)、AgCFSO(27.6g、107.5ミリモル)及び2−メトキシエチルエーテル(500mL)を、還流下で12時間攪拌した。室温まで冷却した後、この反応混合物を水及びメタノールで洗浄した。得られた固体を、塩化メチレン中に溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物のイリジウム錯体(149)(32g、30ミリモル、35%)を赤色結晶として得た。
【0088】
mp.>350℃
H NMR(300MHz,CDCl):δ=9.03(s,1H),8.1(d,J=8.1Hz,2H),8.01(d,J=7.6Hz,1H),8(d,J=7.5Hz,2H),7.91−7.81(m,6H),7.7(d,J=8.1Hz,2H),7.6−7.4(m,13H),7.3−7.2(m,12H),1.34(s,9H)。
HRMS(FAB)C6448IrNOに対する計算値1067.00:実測値1067.34。
【0089】
[製造実施例4〜70]
表1に列挙した有機エレクトロルミネセント化合物を、製造実施例1〜3に記載した手順に従って製造した。これらの化合物のH NMR、融点(mp.)及びMS/FABデータを表2に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
【表5】

【0095】
【表6】

【0096】
【表7】

【0097】
【表8】

【0098】
【表9】

【0099】
【表10】

【0100】
【表11】

【0101】
【表12】

【0102】
【表13】

【0103】
【表14】

【0104】
【表15】

【0105】
【表16】

【0106】
【表17】

【0107】
【表18】

【0108】
【表19】

【0109】
【表20】

【0110】
【表21】

【0111】
実施例1
OLEDの製造
本発明に従った赤色リン光化合物を使用することによって、OLED素子を製造した。
【0112】
最初に、OLED用のガラス(サムスン・コーニング社(Samsung Corning)によって製造された)から得られた透明電極ITO薄膜(15Ω/□)(2)を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール及び蒸留水による超音波洗浄に逐次的に付し、そして使用前にイソプロパノール中に貯蔵した。
【0113】
次いで、ITO基体を、真空蒸着装置の基体ホルダー内に装着し、4,4′,4″−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を、真空蒸着装置のセル内に置き、次いで、この装置を、10−6トールの真空度までチャンバー内を排気した。電流をセルに適用して、2−TNATAを蒸発させ、それによって、ITO基体の上に、60nmの厚さを有する正孔注入層(3)の蒸着物を設けた。
【0114】
【化27】

【0115】
次いで、真空蒸着装置の他のセルに、N,N′−ビス(α−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミン(NPB)を装入し、電流をこのセルに適用して、NPBを蒸発させ、それによって、正孔注入層の上に、20nmの厚さの正孔輸送層(4)の蒸着物を設けた。
【0116】
【化28】

【0117】
真空蒸着装置の他のセル内に、本発明に従ったホスト材料(H−10)を装入し、そして本発明に従った赤色りん光化合物(化合物101)を、更に他のセルに装入した。この2種の材料を、異なった速度で蒸発させて、正孔輸送層の上に30nmの厚さのエレクトロルミネセント層(5)を蒸着した。適切なドーピング濃度は、ホスト基準で4〜10モル%である。
【0118】
【化29】

【0119】
次いで、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(III)(Alq)を、20nmの厚さで電子輸送層(6)として蒸着し、次いで、リチウムキノラート(Liq)を、1〜2nmの厚さで電子注入層(7)として蒸着した。その後、Alカソード(8)を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0120】
【化30】

【0121】
エレクトロルミネセント材料の光学特性の評価
【0122】
高い合成収率を有する錯体を、10−6トールで真空昇華によって精製し、OLEDのエレクトロルミネセント層用のドーパントとして使用したが、低い合成収率を有する材料の場合、フォトルミネセンスピークが簡単に確認された。フォトルミネセンスピークは、10−4M以下の濃度を有する塩化メチレン中の溶液を調製することによって測定した。それぞれの材料のフォトルミネセンスの各測定に於いて、励起の波長は250nmであった。
【0123】
実施例1に従って製造したOLEDの性能を確認するために、OLEDの発光効率を10mA/cmで測定した。種々の特性を、表3及び4に示す。
【0124】
【表22】

【0125】
表3は、本発明に従って開発されたエレクトロルミネセント材料のデバイス特性を示し、ここで、n=2及びL=1であり、特に、本発明によって開発された材料の一般的構造に於いて、このLは、acac型の副配位子のみを含有している。
【0126】
にフェニルを有し、R、R、R、R、R、R及びR10に水素を有する、合成された材料(101)は、優れた特性、即ち、616nmの波長、カラーコーディネート(0.65,0.35)及び8.9cd/Aの発光効率を示す。
【0127】
、R又はRに導入されたアルキル基又は芳香族環を有する、エレクトロルミネセント材料(102、104、105、107及び108)は、材料(101)と比較して、2〜14nmの波長変化を示した。エレクトロルミネセント材料(102)は、約4nm、より短い波長の方へのシフトを有するが、カラーコーディネートの変化無しに狭い幅のELピークを示し、発光効率を増加した。芳香族環がRに導入されたエレクトロルミネセント材料(113〜116)は、結合位置に応じて幾らか異なる波長のシフトを示した。材料(101)のものと比較したとき、6nmほどより短い波長へのシフトを有するエレクトロルミネセント材料(116)は、カラーコーディネート(0.63,0.37)を示した。
【0128】
【表23】

【0129】
表4は、本発明に従って開発された材料のR又はRで置換されたアルキル又は芳香族環を有する主配位子及び副配位子からなるりん光材料のデバイス特性を示す。このエレクトロルミネセント材料は、主配位子又は副配位子の種類に依存して、種々の範囲のEL波長を有することが認められる。
【0130】
本発明に従って開発された材料が、種々の発光体(n=1)の副配位子として使用されるとき、カラーコーディネート及び効率、特に、主発光体の化学的安定性を向上させることができる。piq発光体を使用する材料(140)及び副配位子として本発明に従って開発された材料は、良好な特性、即ち、624nmのエレクトロルミネセント波長、カラーコーディネート(0.67,0.33)及び8.6cd/Aの発光効率を有する素子を提供する。特に、カラーコーディネートは、NTSCのものを満足する深赤色範囲に相当する。Ir(piq)は、Irコア金属に対する配位子の僅かに歪んだ結合で多少不安定な結合を有する。構造的安定性は、3個のPiq配位子の代わりに、副配位子として本発明に従って開発された材料を使用することによって増強された。図1は、OLEDの断面図である。
【0131】
工業的応用
本発明に従った赤色エレクトロルミネセント化合物は、従来の赤色りん光材料よりも良い特性という点で、一層有利な骨格の化合物であり、一層優れたEL特性を示す。従って、本発明に従った赤色エレクトロルミネセント化合物をOLEDパネルに適用した場合、中乃至大サイズのOLEDを開発する際の進歩をもたらすことが期待される。
【符号の説明】
【0132】
1 ガラス
2 透明電極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 エレクトロルミネセント層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 Alカソード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極、第二電極、及び第一電極と第二電極との間に介在させられた少なくとも1個の有機層を含む有機エレクトロルミネセント素子であって、前記有機層が、化学式(1)によって表される1種以上の有機りん光化合物並びに1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン、4,4′−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカルバゾリルフェニル、4,4′−ビスカルバゾリル−2,2′−ジメチルビフェニル、4,4′,4″−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリ(2−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シラン及び化学式(8)〜(11)の一つによって表される化合物から選択された1種以上のホストを含有する有機エレクトロルミネセント素子;
化学式1:
【化1】

[式中、Lは有機配位子であり、
AがNである場合にBはCであり、AがCである場合にBはNであり、
は、直鎖状若しくは分枝状の及び飽和若しくは不飽和の(C〜C60)アルキル又は(C〜C60)アリールを表し、
〜Rは、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の及び飽和若しくは不飽和の(C〜C60)アルキル、(C〜C30)アルコキシ、(C〜C60)シクロアルキル、(C〜C60)アリール、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル又はトリ(C〜C30)アリールシリルを表し、
及びRは、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、(C〜C60)アリール若しくはハロゲンを表し、又はR及びRは、縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによって結合して、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、R及びRのアルキル若しくはアリール、又は縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによる結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有するか又は有しない直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、(C〜C30)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル及び(C〜C60)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、
〜Rのアルキル、アルコキシ、シクロアルキル及びアリールは、ハロゲン置換基を有するか又は有しない線状又は枝分かれした(C〜C60)アルキル、(C〜C30)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル及び(C〜C60)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、および
nは、1〜3の整数である];
【化2】

[式中、R91〜R94は、独立に、直鎖状若しくは分枝状の及び飽和若しくは不飽和の(C〜C60)アルキル若しくは(C〜C60)アリールを表し、又はR91〜R94のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによって、隣接する置換基と結合して、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、R91〜R94のアルキル若しくはアリール又は縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによる結合によって、それらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有するか又は有しない直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、(C〜C30)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル及び(C〜C60)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい];
【化3】

[式中、配位子、L及びLは、独立に、下記の構造:
【化4】

から選択され、
は、2価又は3価金属であり、
が2価金属であるときyは0であり、他方、Mが3価金属であるときyは1であり、
Qは、(C〜C60)アリールオキシ又はトリ(C〜C60)アリールシリルを表し、Qのアリールオキシ及びトリアリールシリルは、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル又は(C〜C60)アリールによって更に置換されていてよく、
Xは、O、S又はSeを表し、
環Aは、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン又はキノリンを表し、
環Bは、ピリジン又はキノリンを表し、環Bは、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル又は直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル若しくはナフチルによって更に置換されていてよく、
101〜R104は、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル若しくは(C〜C60)アリールを表し、又はR101〜R104のそれぞれは、(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによって、隣接する置換基と結合して、縮合環を形成することができ、ピリジン又はキノリンは、R101と一緒に化学結合を形成して、縮合環を形成することができ、
環Aのアリール基及びR101〜R104は、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、フェニル、ナフチル、トリ(C〜C30)アルキルシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル又はアミノ基によって更に置換されていてよい]。
【請求項2】
縮合環を有するか若しくは有しない(C〜C12)アルキレン又は(C〜C12)アルケニレンによる結合によって、R及びRから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環が、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、インデン、フェナントレン又はピリジンである有機りん光化合物を含有する、請求項1記載の有機エレクトロルミネセント素子。
【請求項3】
化学式(2)〜(7):
【化5】

【化6】

[式中、L、R、R、R、R、R及びnは、請求項1に於けるように定義され、
〜R14及びR17〜R24は、独立に、水素、ハロゲン置換基を有するか又は有しない線状又は枝分かれした(C〜C60)アルキル、(C〜C30)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル又は(C〜C60)アリールを表し、および
15及びR16は、独立に、水素又は直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキルを表す]
の一つによって表される化合物から選択される有機りん光化合物を含有する、請求項2記載の有機エレクトロルミネセント素子。
【請求項4】
下記の化学式:
【化7】

【化8】

【化9】

[式中、Lは有機配位子であり、nは1〜3の整数である]
の一つによって表される化合物から選択される有機りん光化合物を含有する、請求項3記載の有機エレクトロルミネセント素子。
【請求項5】
配位子(L)が、下記の化学式:
【化10】

[式中、R31及びR32は、独立に、水素、ハロゲン置換基を有するか若しくは有しない直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル又はハロゲンを表し、
33〜R39は、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル、トリ(C〜C30)アルキルシリル又はハロゲンを表し、
40〜R43は、独立に、水素、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル又は直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニルを表し、および
44は、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル、直鎖状若しくは分枝状の(C〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル又はハロゲンを表す]
の一つによって表される構造を有する、有機りん光化合物を含有する、請求項4記載の有機エレクトロルミネセント素子。
【請求項6】
配位子(L)が、下記の化学式:
【化11】

の一つによって表される構造を有する、有機りん光化合物を含有する、請求項5記載の有機エレクトロルミネセント素子。
【請求項7】
が、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、t−ブチルフェニル又はフルオロフェニルを表し、R〜Rが、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル又はt−ブチルを表し、R〜R14及びR17〜R24が、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、フルオロ、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、フェニル、ビフェニル、トリメチルシリル、トリフェニルシリル又はトリフルオロメチルを表し、ならびにR15及びR16が、独立に、水素又はメチルを表す、有機りん光化合物を含有する、請求項3記載の有機エレクトロルミネセント素子。
【請求項8】
配位子、L及びLが、独立に、下記の構造:
【化12】

[式中、Xは、O、S又はSeを表し、
101〜R104は、独立に、水素、ハロゲン置換基を有するか若しくは有しない(C〜C60)アルキル、ハロゲン、(C〜C60)アリール、(C〜C60)ヘテロアリール、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル、ジ(C〜C30)アルキルアミノ、ジ(C〜C30)アリールアミノ、チオフェニル若しくはフラニルを表し、又はR101〜R104のそれぞれは、(C〜C12)アルキレン若しくは(C〜C12)アルケニレンによって、隣接する置換基と結合して、縮合環を形成することができ、
111〜R116、R121及びR122は、独立に、水素、(C〜C60)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C〜C60)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル、ジ(C〜C30)アルキルアミノ、ジ(C〜C30)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、
123は、(C〜C60)アルキル、フェニル又はナフチルを表し、
124〜R139は、独立に、水素、(C〜C60)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C〜C60)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル、ジ(C〜C30)アルキルアミノ、ジ(C〜C30)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、
111〜R116及びR121〜R139のフェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、チオフェニル又はフラニルは、(C〜C60)アルキル、ハロゲン、ナフチル、フルオレニル、トリ(C〜C30)アルキルシリル、ジ(C〜C30)アルキル(C〜C30)アリールシリル、トリ(C〜C30)アリールシリル、ジ(C〜C30)アルキルアミノ及びジ(C〜C30)アリールアミノから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい]
から選択される、請求項1記載の有機エレクトロルミネセント素子。
【請求項9】
が、Be、Zn、Mg、Cu及びNiから選択された2価金属又はAl、Ga、In及びBから選択された3価金属である、請求項1記載の有機エレクトロルミネセント素子。
【請求項10】
Qが、下記の構造:
【化13】

から選択される、請求項1記載の有機エレクトロルミネセント素子。
【請求項11】
ホストが、下記の化合物:
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

から選択される、請求項1記載の有機エレクトロルミネセント素子。

【図1】
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【公開番号】特開2009−164614(P2009−164614A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−412(P2009−412)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(508223435)グラセル・ディスプレイ・インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】