説明

新規のジカルバニオン性のイニシエータ、その調製方法及び使用

【課題】新規のジカルバニオン性のイニシエータ、その調製方法及び使用
【解決手段】本発明は、式(I)の新規のジカルバニオン性のイニシエータを提供する:
【化1】


本発明はさらに、式(I)のジカルバニオン性のイニシエータの調製方法であって、非極性溶媒の存在下、0〜25℃の温度範囲で、ハロゲン-リチウム交換反応をもたらすために、式(II)の1-ブロモ-4-(4’-ブロモフェノキシ)-2-ペンタデシルベンゼンを、アルキルリチウム化合物と反応させることを含む方法、並びに、テレケリックポリジエン及びポリスチレン及びSBS又はSISトリブロックコポリマーの合成のためのイニシエータとしてのその使用を提供する:
【化2】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の式(I)のジカルバニオン性のイニシエータ及びその調製方法に関する。また、本発明は、何らの添加剤を用いることなく、非極性溶媒中でのアニオン性のルートによる、α,ω-二官能性ポリジエン、ポリスチレン及びSBS又はSISトリブロックコポリマーの調製のための、ジカルバニオン性のイニシエータの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
「リビング」アニオン性重合は、連鎖移動反応及び停止反応が存在しないために、ブロックコポリマーの合成のための最も有用な技術である。異なるブロックコポリマーの中で、ABAトリブロックコポリマーは重要なクラスであり、例えば、最も良く知られているのは、アモルファスポリジエンブロックに連結された2つのガラス状エンドブロックを有するスチレン性の熱可塑性エラストマーである。そのようなトリブロックコポリマーの合成のための最も多目的に使用できる方法の一つは、2工程の経時的なモノマー添加シークエンスによる、ジカルバニオン性のイニシエータの使用である。しかしながら、直面する一つの大きな困難は、最適なエラストマーの性質のために要求される、高い割合の1,4-ポリブタジエン又は1,4-cis-ポリイソプレンユニットから成るミクロ構造を有する、ポリブタジエン又はポリイソプレンの中心的なブロックの調製のために必要である、ジカルバニオン性のイニシエータの非極性溶媒媒体中での溶解性が限定されていることである。後者の目的は、多くの特許及び論文が、種々のカルバニオン性の種の及び特に非極性溶媒に溶解性の有機リチウムイニシエータの合成をクレームし或いは試みている理由を説明する。
【0003】
ジエン及び/又はビニル芳香族炭化水素モノマーのアニオン性の重合のための炭化水素溶媒中で用いることができる理想的な二官能性有機リチウムイニシエータの開発は、過去40年間継続的に試みられてきた。有機リチウム化合物の強力な会合のために、ジリチウムイニシエータのほとんどは、それらを炭化水素溶媒に溶解させるためにある量の極性添加剤を必要とする1,3-ジビニルベンゼンのsec-BuLi付加物は研究された二官能性イニシエータの最初の例であった(U.S. 3,862,251 (1974), C. R. Hebd. Seances Acad. Sci. 283, 123 (1976), Plaste Kaustch, 26, 263 (1979), Makromol. Chem., 1985, 186, 2017)。ジビニルベンゼンの可能な重合のために、2より高い官能性を有する、溶解性モノ-及びジリチウム化(dilithiated)及びオリゴマーの種の混合物が、ジエン重合の良好な制御を保証せずに得られた。他のジアニオン性のイニシエータは、m-ジイソプロペニルベンゼンへのBuLiのビス付加物であり、これは、複数付加物(multiadduct)、二付加物(diadduct)及び非反応性のsec-BuLiの混合物の存在下であってもモル質量及び狭いモル質量分布に良好な制御を有する、無極性溶媒における効率的な二官能イニシエータである(Makromol. Chem., 1978, 179, 551.;ポリマー, 1982, 23, 1953)。イニシエータの沈殿を避けるためには、トリエチルアミンのようなσ-錯化極性剤が添加された(Macromolecules, 1977, 10, 287.;Polymer, 1979, 20, 1129)。しかしながら、トリエチルアミンの存在下であっても、複数種の混合物がなお、m-ジイソプロペニルベンゼン及びsec-BuLiの間の反応後に観察された。ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)及びTHFのような、他のσ-錯化極性剤(complexing polar agents)の中には、効率的な極性添加剤であることが発見されたものもあるが、しかし、ポリブタジエンブロックの高い1,2-ミクロ構
造をもたらす(Macromolecules, 1997, 30, 4254)。イニシエータシード添加技術とtert-BuOLi及びアニソールのような弱極性添加剤との組合せは、残留するイニシエータの存在を防ぐために必要であり、両方の末端の活性中心の等しい反応性を達成し、1,4-ポリブタジエンユニットの高い含有量を有するSBSトリブロックコポリマーを得ることが観察された(Macromolecules, 1997, 30, 4254.; Macromolecules, 1997, 30, 7356)。1,2,4,5-テトラメチルベンゼン(ズレン)又はテトラフェニルエチレン(TPhE)のようなπ-錯化剤も、Li+カチオンを有するσ-錯化剤が有機リチウム凝集体の解離をもたらすほどに強力には相互作用しないと提案された(Polymer, 2003, 44, 4109.; Polymer, 2003, 44, 6205, Polymer, 2005, 46, 303)。その他の研究者は、彼らの労力を、二重ジフェニルエチレン型の分子と非極性溶媒中の化学量論的な量のsec-BuLiとの反応に集中させた(Polym. Prepr., 1984, 25 (2) 85)。この二官能性イニシエータは、ブタジエン重合の場合においては効率的であるが、低モノマー転換においてのみであることが実証されている。1,3-ジ(1-フェニルエテニル)ベンゼン(PEB)に基づくジリチウムイニシエータは、炭化水素溶媒に溶解性ではあるが、ポリスチレン及びポリブタジエンの場合において、それぞれ、50,000及び150,000 g.mol-1 より低いモル質量の二峰性のモル質量分布をもたらす(Polym. Int., 1991, 24, 197)。二重ジフェニルエチレン型分子の異なる誘導体に基づくジリチウムイニシエータは、非極性溶媒中に溶解性であるように開発されている。それらの誘導体のsec-BuLiの付加反応はクリーンで迅速であることが見出されたにも関わらず、得られたジリチウムイニシエータは、不溶性で微細な懸濁液を形成し、これは、数時間後に硬い粒子に凝固する(Macromolecules, 1994, 27, 2225.; Macromolecules, 1994, 27, 1680.; Macromolecules, 1994, 27, 2219)。最後に、α,ω-ビス(フェニルビニリデニル)アルカン、1,2-ビス(イソプロペニル-4-フェニル)エタン又は(1,1,4,4-テトラフェニル)ブタンのようなより複雑な前駆体が開発され、ジエンの重合には効率的であるが、合成が困難であることが見出された(Polymer, 1981, 22, 1724.; Polymer, 1982, 23, 73.; Polymer, 1987, 28, 2093.; Makromol. Chem., 1983, 184, 1983)。
【0004】
1,4-ポリブタジエン又は1,4-cis-ポリイソプレンユニットの高含量が望まれる時はいつでも、ジエンのアニオン性重合が、リチウムを対イオンとして用いて非極性溶媒媒体中で行われなければならない。sec-ブチルリチウムは、優れた一官能性イニシエータであると判明された。しかしながら、現在まで、炭素-リチウム結合を示し、さらになお添加剤なしで、非極性溶媒媒体中で溶解性である二官能イニシエータであって、高1,4-ポリジエンミクロ構造を有する、SBS又はSIS熱可塑性のエラストマー及びα,ω-二官能性ポリジエンのようなポリマーの合成に本当に適していると判明されたものはない。それ故、非極性溶媒に溶解性の新しい二官能有機リチウムイニシエータの合成、並びに、非極性溶媒中で添加剤なしで、ポリジエン中の高含量の1,4-ユニットを有する、アニオン性のルートによる、テレケリックポリジエン及びポリスチレン及びSBS又はSISトリブロックコポリマーの合成のためのイニシエータとしてのその使用は、極めて関心が高く、また重要である。
【発明の目的】
【0005】
本発明の主な目的は、式(I)の新規のジカルバニオン性の(dicarbanionic)イニシエータを提供することである;
【化3】

【0006】
本発明の他の目的は、式(I)のジカルバニオン性のイニシエータの調製方法を提供することである。
【0007】
さらに他の目的は、ポリジエン中に高含量の1,4-ユニットを有する、周知の定義されたテレケリックポリジエン、ポリスチレン及びSBS又はSISトリブロックコポリマーを、非極性溶媒中で、添加剤なしで、式(I)の二官能有機リチウムイニシエータを用いて調製する方法を提供することである。
【発明の詳細な説明】
【0008】
従って、本発明は、式(I)の新規のジカルバニオン性のイニシエータを提供する;
【化4】

【0009】
本発明はさらに、非極性溶媒の存在下、0〜25℃の温度範囲で、ハロゲン-リチウム交換反応をもたらすために、式(II)の1-ブロモ-4-(4’-ブロモフェノキシ)-2-ペンタデシルベンゼンを、アルキルリチウム化合物と反応させることを含む、式(I)のジカルバニオン性のイニシエータの調製方法を提供する;
【化5】

【0010】
本発明の一つの態様において、凍結乾燥された1-ブロモ-4-(4’-ブロモフェノキシ)-2-ペンタデシルベンゼンは、最初に非極性溶媒と混合され、続いて、アルキルリチウム化合物が添加される。
【0011】
本発明のさらに他の態様において、用いられるアルキルリチウム化合物は一般式R1Liにより表され、ここで、R1は、分子当たり2〜20の炭素原子を含む一級、二級又は三級アルキルである。
【0012】
さらに他の態様において、用いられるアルキルリチウムは、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム及びtert-オクチルリチウムからなる群から選択される。
【0013】
さらに他の態様において、用いられる非極性溶媒は、ベンゼン、トルエン及びシクロヘキサンからなる群から選択される。
【0014】
本発明はさらに、式(I)のジカルバニオン性のイニシエータを用いる、α,ω-二官能性ポリマー及びトリブロックコポリマーの調製方法を提供する。前記方法は、次の工程を含む:
(a)5〜25℃の温度範囲で、約24時間の間、非極性溶媒中で式(I)のジカルバニオン性のイニシエータを用いてモノマーを重合し、溶液中に所望のα,ω-二官能性ポリマーを得ること、
(b)上記の前記重合反応を、過剰のエチレンオキシドを添加してキャッピングすること、及び、該反応を脱気した酸性メタノールを用いて非活性化すること、続いて、該反応混合物を濃縮すること、及び、メタノールを用いてα,ω-二官能性ポリマーの所望の生成物を沈殿すること;或いは、
(c)さらに、工程(a)で得られる反応混合物にスチレンを添加することによって、工程(a)で得られるα,ω-二官能性ポリマーをスチレンと共重合すること、及び、それを非極性溶媒の混合物で希釈すること、及び、該反応を2〜6時間の間、20〜30℃の温度範囲で継続させること、続いて、工程(b)において与えられる方法と同様に、所望のトリブロックコポリマーを、キャッピング、脱気、濃縮及び沈殿すること。
【0015】
本発明の一つの態様において、得られるα,ω-二官能性ポリマーは、α,ω-二官能性ポリブタジエン、ポリイソプレン及びポリスチレンから選択される。
【0016】
さらに他の態様において、得られるトリブロックコポリマーは、スチレン-ブタジエン-スチレン及びスチレン-イソプレン-スチレンから選択される。
【0017】
さらに他の態様において、工程(a)で用いられる非極性溶媒は、ベンゼン、トルエン及びシクロヘキサンから選択される。
【0018】
さらに他の態様において、工程(c)で用いられる非極性溶媒の混合物は、シクロヘキサン及びテトラヒドロフランの混合物である。
【0019】
さらに他の態様において、シクロヘキサン及びテトラヒドロフランの混合物中のテトラヒドロフランの濃度は、約1vol%である。
【0020】
さらに他の態様において、得られるα,ω-二官能性の収率は、98〜99%の範囲である。
【0021】
さらに他の態様において、得られるスチレン-ブタジエン-スチレンの収率は、98〜99%の範囲である。
【0022】
さらに他の態様において、スチレン-イソプレン-スチレンの収率は、97〜98%である。
【0023】
共役のジエン及び/又はビニル芳香族炭化水素及び/又は他のモノマーの、アニオン的に重合されたポリマーは、米国特許第3,734,973号に開示されているような従来のプラクティスに従って、ジリチウムイニシエータによりつくられることができる。機能付与されたアニオン性ポリマーは(該機能付与は末端及び/又は内部である)、米国特許第5,393,843号に開示されているように、ジリチウムイニシエータを用いて生成される。
【0024】
新規のジカルバニオン性のイニシエータの合成の方法、及び、添加剤なしで、非極性溶媒中でのα,ω-二官能性ポリブタジエン、ポリイソプレン及びポリスチレン及びSBS又はSISトリブロックコポリマーの合成におけるその適用は、以下に実施例を参照して記載されるが、それは説明のためのみのものであって本発明の範囲を如何なる方法によっても限定するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0025】
例1
熱して(flamed)吸引乾燥した三つ口フラスコ中で、75.0 mg (1.39*10-4 mol)の1-ブロモ-4-(4’-ブロモフェノキシ)-2-ペンタデシルベンゼンを凍結乾燥した。3.0 mLのシクロヘキサンを加え、5.3*10-2 mol.L-1の前駆体溶液濃度にした。0.43 mL (5.56*10-4 mol)のsec-ブチルリチウムを1.3 Mの濃度で該溶液に添加した。20分の反応後、11.5 mL (7.3 g)のブタジエンを温度5℃でジカルバニオン性のイニシエータにより形成された物理的なゲルに添加した。この重合を、24時間、室温で進行させ、次いで、エンドキャッピングを、大過剰のエチレンオキシドの添加によって達成した。該反応を、脱気した酸性メタノール(50 mLのメタノール中、3 mL の濃HCl)により非活性化した。この反応混合物を、回転エバポレータで濃縮した。メタノールを用いてα,ω-ジヒドロキシルポリブタジエンを最終的に沈殿させ、7.1 gの生成物を得た(98 %)。Mn(SEC in THF)= 51,900 g/mol; Mw/Mn=1.08; % 1,4-ポリブタジエン = 90%。
【0026】
例2
熱して吸引乾燥した三つ口フラスコ中で、75.0 mg (1.39*10-4 mol)の1-ブロモ-4-(4’-ブロモフェノキシ)-2-ペンタデシルベンゼンを凍結乾燥した。3.0 mLのシクロヘキサンを加え、5.3*10-2 mol.L-1の前駆体溶液濃度にした。0.43 mL (5.56*10-4 mol)のsec-ブチルリチウムを1.3 Mの濃度で該溶液に添加した。20分の反応後、15.5 mL (9.7 g)のブタジエンを温度5℃で添加した。この重合を、24時間、室温で進行させた。モノマーが完全に消費された後、該反応媒体を120 mLのシクロヘキサン/THF (1 vol % THF)の混合物で希釈した。4.0 mL (3.6 g)のスチレンの添加により、該媒体の色は、ポリブタジエニルリチウムカルバニオンの特徴的な黄色から、ポリスチリルリチウムカルバニオンのオレンジ色に瞬時に変化した。この重合を4時間、室温で進行させた。該反応を、脱気したメタノールにより非活性化した。この反応混合物を、回転エバポレータで濃縮した。メタノールを用いてSBSトリブロックコポリマーを最終的に沈殿させ、13.0 gの生成物を得た(98 %)。Mn,(PB)2(SEC in THF)= 67,400 g/mol; Mw/Mn=1.1. Mn,SBS(SEC in THF)= 110,900 g/mol; Mw/Mn= 1.2. Mn(1H NMR) = 93,500 g/mol; % 1,4-ポリブタジエン = 91%。
【0027】
例3
熱して吸引乾燥した三つ口フラスコ中で、75.0 mg (1.39*10-4 mol)の1-ブロモ-4-(4’-ブロモフェノキシ)-2-ペンタデシルベンゼンを凍結乾燥した。3.0 mLのシクロヘキサンを加え、5.3*10-2 mol.L-1の前駆体溶液濃度にした。0.43 mL (5.56*10-4 mol)のsec-ブチルリチウムを1.3 Mの濃度で該溶液に添加した。20分の反応後、14.1 mL (9.6 g)のイソプレンを室温で添加した。この重合を、8時間の間、室温で進行させた。モノマーが完全に消費された後、該反応媒体を120 mLのシクロヘキサン/THF (1 vol % THF)の混合物で希釈した。3.5 mL (3.2 g)のスチレンの添加により、媒体の色がポリイソプレニルリチウムカルバニオンの特徴的な黄色から、ポリスチリルリチウムカルバニオンのオレンジ色に瞬時に変化した。この重合を4時間の間、室温で進行させた。この反応を、脱気したメタノールにより非活性化した。この反応混合物を、回転エバポレータで濃縮した。メタノールを用いてSISトリブロックコポリマーを最終的に沈殿させ、12.4 gの生成物を得た(97 %)。Mn,(PI)2(SEC in THF)= 69,100 g/mol; Mw/Mn=1.1. Mn,SIS(SEC in THF)= 108,900 g/mol; Mw/Mn= 1.2. Mn(1H NMR) = 92,300 g/mol; % 1,4-ポリイソプレン = 90%。
【0028】
本発明の利点
本発明は、1-ブロモ-4-(4’-ブロモフェノキシ)-2-ペンタデシルベンゼンのsec-ブチルリチウムによるリチウム-ハロゲン交換反応によって得られる新規のジカルバニオン性のイニシエータの合成、及び、添加剤なしで、非極性溶媒中で、1,4-ポリブタジエン又は1,4-cis-ポリイソプレンの高含量を有する、テレケリックポリジエン及びポリスチレン及びSBS又はSISトリブロックコポリマーの合成におけるその使用を提供する。
【0029】
典型的な態様は説明のために述べられており、上述の記述及び例は、本発明の範囲を限定するよう判断されるべきではない。従って、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、当業者によって種々の改変、適応、及び選択が行われ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の新規のジカルバニオン性のイニシエータ。
【化1】

【請求項2】
式(I)のジカルバニオン性のイニシエータの調製方法であって、非極性溶媒の存在下、0〜25℃の温度範囲で、ハロゲン-リチウム交換反応をもたらすために、式(II)の1-ブロモ-4-(4’-ブロモフェノキシ)-2-ペンタデシルベンゼンを、アルキルリチウム化合物と反応させることを含む方法。
【化2】

【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、凍結乾燥した1-ブロモ-4-(4’-ブロモフェノキシ)-2-ペンタデシルベンゼンが、最初に非極性溶媒と混合され、続いて、アルキルリチウム化合物が添加される方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、用いられるアルキルリチウム化合物が一般式R1Liにより表され、ここで、R1は、分子当たり2〜20の炭素原子を含む一級、二級又は三級アルキルである方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、用いられるアルキルリチウムが、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム及びtert-オクチルリチウムからなる群から選択される方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、用いられる非極性溶媒が、ベンゼン、トルエン及びシクロヘキサンからなる群から選択される方法。
【請求項7】
式(I)のジカルバニオン性のイニシエータを用いる、α,ω-二官能性ポリマー及びトリブロックコポリマーの調製方法であって、次の工程を含む方法:
(a)5〜25℃の温度範囲で、約24時間の間、非極性溶媒中で式(I)のジカルバニオン性のイニシエータを用いてモノマーを重合し、溶液中に所望のα,ω-二官能性ポリマーを得ること、
(b)上記の前記重合反応を、過剰のエチレンオキシドを添加してキャッピングすること、及び、該反応を脱気した酸性メタノールを用いて非活性化すること、続いて、該反応混合物を濃縮すること、及び、メタノールを用いてα,ω-二官能性ポリマーの所望の生成物を沈殿すること;或いは、
(c)さらに、工程(a)で得られる反応混合物にスチレンを添加することによって、工程(a)で得られるα,ω-二官能性ポリマーをスチレンと共重合すること、及び、それを非極性溶媒の混合物で希釈すること、及び、該反応を2〜6時間の間、20〜30℃の温度範囲で継続させること、続いて、工程(b)において与えられる方法と同様に、所望のトリブロックコポリマーを、キャッピング、脱気、濃縮及び沈殿すること。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、工程(a)で用いられる非極性溶媒が、ベンゼン、トルエン及びシクロヘキサンからなる群から選択される方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、工程(c)で用いられる非極性溶媒の混合物が、シクロヘキサン及びテトラヒドロフランの混合物である方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、シクロヘキサン及びテトラヒドロフランの混合物中のテトラヒドロフランの濃度が約1vol%である方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であって、得られた前記α,ω-二官能性ポリマーが、α,ω-二官能性ポリブタジエン、ポリイソプレン及びポリスチレンから選択される方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法であって、得られたトリブロックコポリマーが、スチレン-ブタジエン-スチレン及びスチレン-イソプレン-スチレンから選択される方法。
【請求項13】
請求項7に記載の方法であって、得られたα,ω-二官能性の収率が、98〜99%の範囲である方法。
【請求項14】
請求項7に記載の方法であって、得られたスチレン-ブタジエン-スチレンの収率が、98〜99%の範囲である方法。
【請求項15】
請求項7に記載の方法であって、前記スチレン-イソプレン-スチレンの収率が97〜98%である方法。

【公表番号】特表2009−527619(P2009−527619A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555950(P2008−555950)
【出願日】平成19年1月2日(2007.1.2)
【国際出願番号】PCT/IN2007/000001
【国際公開番号】WO2007/096897
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(596020691)カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (42)
【氏名又は名称原語表記】COUNCIL OF SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH
【Fターム(参考)】