説明

新規ピペラジン誘導体

本発明は、活性成分としての(I)の新規のピリダジン誘導体であって、微生物活性、特に殺真菌活性を有し、ここでR1が、水素、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はC3-C6シクロアルキルであり;R2が、場合により置換されるヘテロアリールであり;R3が、場合により置換されるヘテロアリールであり;そしてR4が、水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ、ヒドロキシ又はシアノである、誘導体、又はその農薬として使用可能な塩形態に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌活性、特に抗真菌活性を有する活性成分としての新規ピリダジン誘導体に関する。本発明は、これらの活性成分の製法、これらの活性成分の製造における中間体として使用される新規複素環誘導体、これらの新規中間体の製法、少なくとも1の新規活性成分を含む農薬組成物、これらの組成物の製法、及び植物病原性微生物、好ましくは真菌による植物、収穫された作物又は非生物物質(non-living materials)の感染を防除又は予防するための農業又は園芸における活性成分又は組成物の使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、以下の式I:
【化1】

[式中、
1が、水素、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はC3-C6シクロアルキルであり;
2が、場合により置換されるヘテロアリールであり;
3が、場合により置換されるヘテロアリールであり;そして
4が、水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ、ヒドロキシ又はシアノである]
で表される化合物又はその農薬として使用可能な塩形態を提供する。
【0003】
ヘテロアリールは、単環、二環、又は三環系を含み、ここで少なくとも1の酸素、窒素、又は硫黄原子が、環のメンバーとして存在する芳香環系を表す。その例は、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、キノリニル、イソキノリル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル及びナフチリジニルである。各ヘテロアリールは、炭素原子により又は窒素原子によりピリダジンに結合されうる。
【0004】
上記ヘテロアリール基は、場合により置換されてもよい。このことは、ヘテロアリールが1以上の同一又は異なる置換基を有していてもよいということを意味する。通常、3以下の置換基が同時に存在する。ヘテロアリール基の置換基の例は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルケニルオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アルコキシアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノである。場合により置換されるヘテロアリールの典型的な例として3,5-ジフルオロピリジン-2-イル、3,5-ジクロロピリジン-2-イル、3-クロロ-5-フルオロピリジン-2-イル、5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-フルオロピリジン-2-イル、3-クロロピリジン-2-イル、5-フルオロ-3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-クロロ-3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、2,4-ジフルオロピリジン-3-イル、2,4-ジクロロピリジン-3-イル、2,4,6-トリフルオロピリジン-3-イル、2,4,6-トリクロロピリジン-3-イル、3,5-ジフルオロピリジン-4-イル、3,5-ジクロロピリジン-4-イル、3-クロロ-5-フルオロピリジン-4-イル、5-クロロピリミジン-4-イル、5-フルオロピリミジン-4-イル、5-トリフルオロメチルピリミジン-4-イル、4-クロロピリダジン-3-イル、4-フルオロピリダジン-3-イル、4-トリフルオロメチルピリダジン-3-イル、3-クロロピラジン-2-イル、3-フルオロピラジン-2-イル、3-トリフルオロメチルピラジン-2-イル、3-フルオロチオフェン-2-イル、3-クロロチオフェン-2-イル、3-トリフルオロメチルチオフェン-2-イル、2-フルオロチオフェン-3-イル、2-クロロチオフェン-3-イル、2-トリフルオロメチルチオフェン-3-イル、2,5-ジフルオロチオフェン-3-イル、2,5-ジクロロチオフェン-3-イル、2-クロロ-4-トリフルオロメチルチアゾール-5-イル、5-クロロフラン-2-イル、5-ブロモフラン-5-イル、5-クロロチオフェン-2-イル、5-ブロモチオフェン-2-イル、2-クロロピリジン-4イル、6-クロロピリジン-2-イル、6-メチルピリジン-2-イル、6-クロロピリジン-3-イル、6-メチルピリジン-3-イル、5,6-ジクロロピリジン-3-イル、2-クロロピリジン-4-イル、2-メチルピリジン-4-イル、2,6-ジクロロピリジン-4-イル、2-メチルピリミジン-4-イル又は5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イルが挙げられる。
【0005】
上記の定義では、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0006】
上記のアルキル、アルケニル又はアルキニルラジカルは、直鎖又は分岐鎖であってもよい。
【0007】
置換基自体又は別の置換基の一部としてのアルキルは、言及された炭素原子の数に依存して、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及びその異性体、例えば、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル又はtert-ペンチルである。
【0008】
ハロアルキル基は、1以上の同一又は異なるハロゲン原子を含んでもよいし、そして例えば、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2F、CHF2、CF3、CF3CH2、CH3CF2、CF3CF2又はCCl3CCl2を表してもよい。
【0009】
置換基自体又は別の置換基の一部としてのシクロアルキルは、言及される炭素原子の数に依存して、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0010】
置換基自体又は別の置換基の一部としてのアルケニルは、言及される炭素原子の数に依存して、例えばエテニル、アリル、1-プロペニル、ブテン-2-イル、ブテン-3-イル、ペンテン-1-イル、ペンテン-3-イル、ヘキセン-1-イル又は4-メチル-3-ペンテニルである。
【0011】
置換基自体又は別の置換基の一部としてのアルキニルは、言及される炭素原子の数に依存して、例えば、エチニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、1-メチル-2-ブチニル、ヘキシン-1-イル又は1-エチル-2-ブチニルである。
【0012】
式Iの化合物における1以上の潜在的な不斉炭素原子の存在は、当該化合物が光学異性体、すなわちエナンチオマー又はジアステレオマー形態、として生じうるということを意味する。潜在的な脂肪性のC=C二重結合の存在の結果として、幾何異性、すなわちシス-トランス又は(E)-(Z)異性、が生じることもある。単結合についての制限された回転の結果としてアトロプ異性体も生じうる。式Iは、これらの潜在的な異性体の全て、及びその混合物を含むことを意図する。本発明は、式Iの化合物についてのこれらの潜在的な異性体の全て、及びその混合物を含むことを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第一の実施態様では、R1は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はC3-C6シクロアルキルである。
【0014】
第二の実施態様では、R2は、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、キノリニル、イソキノリル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル又はナフチリジニルである。
【0015】
第三の実施態様では、R3は、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、キノリニル、イソキノリル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル又はナフチリジニルである。
【0016】
第四の実施態様では、R4は、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ又はヒドロキシである。
【0017】
本発明に記載される式Iの化合物の好ましいサブグループは、以下の:
1が、C1-C6アルキル又はC1-C6ハロアルキルであり;
2が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル又はキノリルであり;
3が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル又はテトラジニルであり;そして
4が、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ又はヒドロキシである化合物である。
【0018】
本発明に従った式Iの化合物の最も好ましいサブグループは、以下の:
1が、C1-C3アルキル又はC1-C3ハロアルキルであり;
2が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル又はピリミジニル又はキノリルであり;
3が、場合により置換されるチエニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル又はピラジニルであり;そして
4が、クロロ、フルオロ、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ又はヒドロキシである化合物である。
【0019】
本発明に従った式Iの化合物の特に好ましいサブグループは、以下の:
1がメチル又はエチルであり;
2が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピリジル又はピリミジニル又はキノリルであり;
3が、場合により置換されるチエニル、チアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル又はピラジニルであり;そして
4が、クロロ、フルオロ、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ又はヒドロキシである、化合物である。
【0020】
本発明に従った式Iの化合物の得に好ましいサブグループは、以下の:
1がメチルであり;
2が、2-クロロ-ピリジン-4イル、6-クロロ-ピリジン-3-イル、6-メチル-ピリジン-3-イル又は5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イルであり;
3が、3,5-ジクロロピリジン-2-イルであり;そして
4が、クロロ、メチル又はメトキシである、化合物である。
【0021】
好ましい個々の化合物は、以下の:
3-クロロ-5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-ピリダジン;
4-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-5-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メトキシ-3-メチル-ピリダジン;
3-クロロ-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ピリダジン;
4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-3-メトキシ-6-メチル-5-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ピリダジン;
3-クロロ-5-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-ピリダジン;
4-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-5-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メトキシ-3-メチル-ピリダジン;
3-クロロ-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン;及び
4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-3-メトキシ-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン
である。
【0022】
4位及び5位において2つのフェニル基を有するあるピリダジン誘導体は、例えばWO2005/121104及びWO2006/001175において、植物害性の真菌を防除するために提供された。しかしながら、これらの調製品の作用は、農業的必要性の全ての観点で、満足いくものではない。驚くべきことに、式Iの化合物について、高レベルの生物学的活性を有する新種の抗真菌薬が発見された。
【0023】
1、R2、R3、R5及びR6が、上の記載で与えられた意味を有する式(I.1)、(I.2)、(I.3)、(I.4)及び(I.5)の化合物が、一般式(I)の化合物の全ての例であり、そして以下のスキームにおいて示されるように製造することができる。
【0024】
式I.2の化合物(式中、R1、R2、R3及びR5が、式Iの化合物について定義される通りであり、そしてR5が、C1-C6アルキル又はC1-C6ハロアルキルである)は、式I.1の化合物(式中、R1、R2及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりであり、そしてHalがハロゲン、好ましくはフッ素、塩素、又は臭素である)を、アルコールR5OH(式中、R5は、C1-C6アルキル又はC1-C6ハロアルキルである)及び塩基と、又はナトリウムアルコキシドNaOR5(式中、R5は、C1-C6アルキル又はC1-C6ハロアルキルである)と反応させることにより得ることができる。
【化2】

【0025】
式I.3の化合物(式中、R1、R2、R3及びR6は、式Iの化合物について定義されたとおりであり、かつR6がC1-C6アルキルである)は、式I.1の化合物(式中R1、R2及びR3は式Iの化合物について定義されるとおりであり、かつHalはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)を、グリニャール試薬R6MgHal(式中、R6がC1-C6アルキルであり、かつHalはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)と、遷移金属触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。
【化3】

【0026】
式I.4の化合物(式中、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されたとおりである)は、式I.1の化合物(式中、R1、R2、及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりであり、そしてHalがハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)を無機フッ素、例えばフッ化カリウムと反応させることにより得ることができる。
【化4】

【0027】
式I.1の化合物(式中、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されるとおりであり、そしてHalはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)は、式I.5の化合物(式中、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されるとおりである)を、オキシハロゲン化リン、例えばオキシ塩化リン又はオキシ臭化リン、又はハロゲン化チオニル、例えば塩化チオニル又は臭化チオニル、と反応させることにより得ることができる。
【化5】

【0028】
式I.5の化合物(式中、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されるとおりである)は、式IIの化合物(式中、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されるとおりである)を、ヒドラジン誘導体、例えばヒドラジン水和物と反応させることにより得ることができる。
【化6】

【0029】
式IIの化合物(式中、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されるとおりである)は、式IIIの化合物を、酸素、空気、又は3-クロロ過安息香酸で酸化することにより得ることができる。ここで、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されるとおりである。
【化7】

【0030】
式IIIの化合物(式中、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されるとおりである)は、式IVの化合物(式中、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されるとおりである)を、塩基、例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンと反応させることにより得ることができる。
【化8】

【0031】
式IVの化合物(式中、R1、R2及びR3は、式Iの化合物について定義されるとおりである)は、式Vの化合物(式中、R1及びR2は、式Iの化合物について定義されるとおりであり、かつHalはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)を、式VIの化合物(式中、R3は、式Iの化合物について定義されるとおりである)及び塩基、例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンと反応させることにより得ることができる。
【化9】

【0032】
驚くべきことに、式Iの新規化合物が、実用的な目的で、真菌、並びに細菌及びウイルスにより引き起こされる疾病に対して植物を保護するかなり有利な活性スペクトルを有するということが発見された。
【0033】
式Iの化合物は、病虫害を防除するための活性成分として農業部門及び用途の関連分野において使用することができ、又はヒトに対して潜在的に有害な腐敗性微生物又は生物を防除するために非生物物質に対して使用することができる。新規化合物は、低用量を使用することで生じる優れた活性により、植物による良好な耐性により、そして環境安全性により区別される。新規化合物は、かなり有用な治療性質、予防性質、及び全体性質を有し、そして多くの栽培植物を保護するために使用される。式Iの化合物は、有用植物の種々の作物の植物又は植物の一部(フルーツ、花、葉、茎、塊茎、根)に生じる病害虫を抑制又は破壊する一方で同時に、後に成長する植物の一部を、例えば植物病原性微生物から保護するために使用できる。
【0034】
式Iの化合物を、植物繁殖体、例えば種、フルーツ、塊茎又は穀物粒、又は植物の切片(例えば稲)の処理のため、又は真菌感染並びに土壌において生じる植物病原菌に対する保護のための塗沫剤(dressing agent)として式Iの化合物を使用することも可能である。繁殖体は、作付け前に、式Iの化合物を含む組成物で処理することができる:例えば種は、種まき前に塗沫することができる。本発明に記載の活性成分は、種を液体製剤中に含浸させるか、又は固体製剤で種を被膜することにより穀物粒に施用できる(被膜)。組成物は、繁殖体が植えられる場合、植え付け部位、例えば種まきの間の畝間に施用できる。本発明は、植物繁殖体を処理するこのような方法にも関し、そしてこのように処理された植物繁殖体に関する。
【0035】
さらに、本発明の化合物は、関連領域、例えば工業材料(technical material)、例えば木材及び木材関連の工業製品の保護、食品貯蔵、衛生管理において、真菌を防除するために使用できる。
【0036】
さらに、本発明は、真菌の攻撃から、非生物物質、例えば材木、板壁、及び塗装を保護するために使用することができる。
【0037】
式Iの化合物は、例えば以下のクラスの植物病原性真菌に対して有効である:不完全菌類(例えばボトリチス属、アルテルナリア属)及び担子菌類(例えば、リゾクトニア属、ヘミレイア属、プッキニア属、ファコプスラ属、ウスチラゴ属、チレチア属)。さらに、当該化合物は、子嚢菌類(例えば、ベンチュリア属、ブルメリア属、ポドスフェラ・ロイコトリカ(Podosphera leucotricha)、モニリニア属、フザリウム属、ウンキヌラ属、マイコスフェレラ属、ピレノフォラ属、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)、マグナポルテ属、コレトトリクム属、ガエウマノマイシス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)、タペシア属、ラムラリア属、ミクロドチウム・ニバル(Microdochium nivale)、スクレロチニア属)及びと卵菌類(例えば、フィトフトラ属、ピチウム属、プラスモパラ属、シュードペロノスポラ・キュベンシス(Pseudoperonospora cubensis))に対しても有効である。うどん粉病菌(例えば、ウニシヌラ・ネカトール(Unicinula necator))、さび菌類(例えば、プッシニア属)、及び斑点病菌(例えば、セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)に対して、目立った活性が観測された。さらに、式Iの新規化合物は、植物病原性細菌及びウイルスに対して、(例えば、ザトモナス属、シュードモナス属、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)に対して、並びにタバコモザイクウイルスに対して)有効である。
【0038】
本発明の範囲内のものとして保護される標的作物は、典型的に以下の種の植物を含む:穀物(コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、イネ、トウモロコシ、モロコシ、及び関連する種);ビート(サトウダイコン及び飼料ビート);梨果、核果及び小果実(リンゴ、ナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー);マメ類(インゲンマメ、レンズマメ、エンドウマメ、ダイズ);油性植物(セイヨウアブラナ、カラシ、ポピー、オリーブ、ヒマワリ、ココナツ、ヒマ、カカオマメ、ラッカセイ);ウリ科植物(カボチャ、キュウリ、メロン);繊維植物(ワタ、アマ、アサ、ジュート);柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ミカン);野菜(ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、パプリカ);クスノキ科(アボカド、シナモン、ショウノウ);タバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、茶、コショウ、ブドウの木、ホップ、バナナ、及び天然ゴムの木、ならびに芝および観賞植物。
【0039】
本発明に従った標的作物には、慣用の品種並びに遺伝的に高められるか又は操作された品種、例えば昆虫耐性(例えば、Bt.及びVIP品種)並びに疾病耐性、除草剤耐性(例えば、商標名:RoundupReady(登録商標)及びLibertyLink(登録商標)で市販されているグリフォセート及びグルフォシネート耐性トウモロコシ品種)、及び線虫耐性品種が含まれる。例として、適切な遺伝的に高められるか又は操作された作物品種として、Stoneville5599BR綿及びStoneville4892BR綿品種が挙げられる。
【0040】
式Iの化合物は、未改変形態で使用されるか、又は好ましくは製剤技術において慣用的に使用されるアジュバントとあわせて使用される。そのためには、式Iの化合物を通常は公知の方法で乳化可能な濃縮液、コーティング可能なペースト、直接スプレーできるか又は希釈可能な溶液又は懸濁液、希釈エマルジョン、湿潤化可能な粉末、可溶性粉末、ダスト、顆粒へ剤形され、並びにポリマー製物質中へ封入されて剤形されてもよい。組成物のタイプと同様に、施用方法、例えばスプレー、噴霧、振りかけ、散布、コーティング又は注入は、意図される対象及び一般的な周囲環境に応じて選択される。組成物は、さらなるアジュバント、例えば安定剤、消泡剤、粘度調節剤、結合剤、又は粘着付与剤、並びに肥料、微量栄養素付与剤又は特殊な効果を得るための他の製剤を含んでもよい。
【0041】
適切な担体及びアジュバントは、固体又は液体であり、そして製剤技術において有用な物質、例えば天然又は再生ミネラル物質、溶媒、分散剤、湿潤剤、粘度調節剤、肥厚剤、結合剤又は肥料である。このような担体は、例えばWO97/33890に記載される。
【0042】
式Iの化合物は、通常組成物の形態で使用され、そして処理される作付け領域又は植物に、更に別の化合物と同時に又はさらに別の化合物に続いて施用できる。さらに別の化合物としては、例えば、肥料又は微量栄養素付与剤、又は植物の成長に影響を与える他の調製物が可能である。さらに別の化合物としては、選択的除草剤、並びに殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺線虫剤、殺陸貝剤、植物生長調節剤、植物活性剤、またはこれら調製物をいくつかを混合したものも可能であり、所望される場合あれば、製剤技術において一般に使用されているさらに別の基剤、界面活性剤、又は施用促進アジュバントとともに使用することができる。
【0043】
式Iの化合物は、植物病原性微生物に対して防除又は保護するための殺真菌組成物の形態で通常使用されており、活性成分として、遊離形態又は農薬として使用可能な塩形態の式Iの少なくとも1の化合物、そして少なくとも1の上記アジュバントを含む。
【0044】
式Iの化合物は、他の殺真菌剤と混合して使用することができ、幾つかの場合、予期することができない相乗活性をもたらす。特に好ましい混合成分は、以下のものである:
アゾール類、例えば、アザコナゾール、BAY14120、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアフォル、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロチオコナゾール、ピリフェノックス、プロクロラズ、プロピコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリフミゾール、トリチコナゾール;
ピリミジニル・カルビノール類、例えば、アンシミドール、フェナリモール、ヌアリモール;
2-アミノ-ピリミジン類、例えば、ブピリメート、ジメチリモール、エチリモール;
モルホリン類、例えば、ドデモルフ、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、スピロキサミン、トリデモルフ;
アニリノピリミジン類、例えば、シプロジニル、ピリメタニル、メパニピリム;
ピロール類、例えば、フェンピクロニル、フルジオキソニル;
フェニルアミド類、例えば、ベナラキシル、フララキシル、メタラキシル、R-メタラキシル、オフレース、オキサジキシル;
ベンゾイミダゾール類、例えば、ベノミル、カルベンダジム、デバカルブ、フベリダゾール、チアベンダゾール;
ジカルボキシイミド類、例えば、クロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
カルボキサミド類、例えば、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド;
グアニジン類、例えば、グアザチン、ドジン、イミノクタジン;
ストロビルリン類、例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロビン(enestroburin)、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン;
ジチオカルバメート類、例えば、フェルバム、マンコゼブ、マネブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム);
N-ハロメチルチオテトラヒドロフタルイミド類、例えば、キャプタフォル、キャプタン、ジクロフルアニド、フルオロミド、フォルペット、トリフルアニド;
銅化合物、例えば、ボルドー混合物、水酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、酸化第一銅、マンコッパー、オキシン-銅;
ニトロフェノール誘導体、例えば、ジノキャップ、ニトロタール-イソプロピル;
有機リン誘導体、例えば、エジフェンホス、イプロベンホス、イソプロチオラン、ホスジフェン、ピラゾホス、トルクロホス-メチル;
既知であり、そしてWO 05/121104, WO 06/001175及び WO 07/066601に記載される方法により製造されうるピラダジン誘導体、例えば3-クロロ-5-(4-クロロ-フェニル)-6-メチル-4-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-ピリダジン(式P.1)、3-クロロ-6-メチル-5-p-トリル-4-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-ピリダジン(式P.2)及び3-クロロ-4-(3-クロロ-5-メトキシ-ピリジン-2-イル)-5-(4-クロロ-フェニル)-6-メチル-ピリダジン(式P.3);
【化10】

既知であり、そしてWO98/46607において記載される方法により調製されうるトリアゾロピリミジン誘導体、例えば5-クロロ-7-(4-メチル-ピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン(式T.1);
【化11】

既知であり、そしてWO04/035589及びWO06/37632において記載される方法により調製されうるカルボキサミド誘導体、例えば3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(9-イソプロピル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-メタノ-ナフタレン-5-イル)-アミド(式U.1);
【化12】

既知であり、そしてWO 2004/016088に記載される方法により調製されうるベンズアミド誘導体、例えばN-{-2-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]エチル}-2-トリフルオロメチルベンズアミド (当該化合物は、フルオピラム(式V.1)の名称でも知られている);
【化13】

並びにさまざまな他の化合物、例えば、アシベンゾラル-S-メチル、アニラジン、ベンチアバリカルブ、ブラスチシジン-S、キノメチオネート、クロロネブ、クロロタロニル、シフルフェンアミド、シモキサニル、ジクロン、ジクロシメト、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジメトモルフ、フルモルフ、ジチアノン、エタボキサム、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェノキサニル、フェンチン、フェリムゾン、フルアジナム、フルオピコリド、フルスルファミド、フェンヘキサミド、フォセチル-アルミニウム、ヒメキサゾール、イプロバリカルブ、シアゾファミド、カスガマイシン、マンジプロパミド、メタスルホカルブ、メトラフェノン、ニコビフェン、ペンシクロン、フタライド、ポリオキシン、プロベナゾール、プロパモカルブ、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、イオウ、チアジニル、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリホリン、バリダマイシン、ゾキサミド及びグリホセート
である。
【0045】
本発明の別の態様は、植物、収穫された作物、又は非生物物質への植物病原性微生物、好ましくは真菌生物の侵入を防除又は予防するための式Iの化合物、少なくとも1の式Iの化合物を含む組成物、又は少なくとも1の式Iの化合物を他の殺真菌剤と混合して含む殺真菌混合物の使用に関する。
【0046】
本発明の更なる態様は、ヒトに対して潜在的に有害である植物病原性又は腐敗性微生物又は生物、特に真菌生物による、作物又は非生物物質への侵入を防除又は予防する方法であって、式Iの化合物を活性成分として植物、植物の一部、又はその作付け領域、又は非生物物質の任意の部分に施用することを含む方法に関する。防除又は予防は、ヒトに対して潜在的に有害である植物病原性又は腐敗性微生物又は生物、特に真菌生物による作物又は非生物物質の侵入を、改善が示されるレベルにまで低減することを意味する。
【0047】
病原性微生物、特に真菌生物による作物への侵入を防除又は予防する好ましい方法であって、式Iの化合物、又は当該化合物の少なくとも1を含む農薬組成物の施用を含む方法は、葉への施用である。施用頻度及び施用量は、対応する病原体による感染リスクに左右されるであろう。しかしながら、式Iの化合物は、作付け領域を液体製剤に浸すことにより、又は固体形態(例えば顆粒形態)の化合物を土壌に施用(土壌施用)することにより、土壌から根を介して植物に浸透することができる(全体作用)。水稲では、このような顆粒は、水田に施用することができる。式Iの活化合物は、種子又は塊茎を殺真菌剤の液体製剤に浸漬することによって、又は種子又は塊茎を固体製剤でコーティングすることによって、種子に施用することもできる(コーティング)。
【0048】
製剤(つまり、式Iの化合物を含む組成物)及び所望される場合、固体若しくは液体アジュバント又は式Iの化合物を封入するモノマーは、既知の様式で製造されており、一般的には、当該化合物を、増量剤、例えば溶媒、固体担体および場合により表面活性化合物(界面活性剤)と密接に混合及び/又は粉砕することにより既知の様式で調製した。
【0049】
農薬製剤は通常0.1〜99重量%、好ましくは0.1〜95重量%の式Iの化合物、99.9〜1重量%、好ましくは99.8〜5重量%の固体又は液体アジュバント、及び0〜25重量%、好ましくは0.1〜25重量%の界面活性剤を通常含む。
【0050】
施用の有利な比率は、通常1ヘクタール(ha)あたり5g〜2kgの活性成分(a.i.)であり、好ましくは10g〜1kg a.i./ha、最も好ましくは20g〜600g a.i./haである。種子浸漬剤として用いた場合、都合のよい用量は、種子1kgあたり10mg〜1gの活性物質である。
【0051】
濃縮物として市販の製品を剤形することが好ましい一方で、末端消費者は、通常、希釈製剤を使用するであろう。
【実施例】
【0052】
以下の非限定的な例は、上記発明をより詳細に例示する。
【0053】
実施例1:本実施例は、3-クロロ-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン(化合物番号第I.u.008)の製法を示す。
a)2-ブロモ-5-メチルスルファニル-ピリジンの製法
n-ブチルリチウム(ヘキサン中に1.6M、32ml)を、窒素雰囲気下-75℃で2,5-ジブロモピリジン(10g)を含む100mlのジエチルエーテルの溶液に滴下して加える。-75℃で1時間攪拌したのちに、ジメチルジスルフィド(5g)を加え、そして攪拌を1時間続ける。続いて、50mlの1N塩酸を-20℃で加え、反応混合物を水に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧下で蒸発させる。2-ブロモ-5-メチルスルファニル-ピリジンを茶色固体として得る。当該物質をさらに精製することなく次のステップで用いる。
【0054】
b)1-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-プロパン-1-オンの製法
n-ブチルリチウム(ヘキサン中に1.6M、30 ml)を2-ブロモ-5-メチルスルファニル-ピリジン(8.1g)を含む370mlのトルエン溶液に、窒素雰囲気下-75℃で滴下して加える。-75℃で2時間攪拌した後に、プロピオニトリル(2.8g)を加え、そして攪拌を1時間続ける。続いて、60mlの1N塩酸をゆっくり-10℃で加え、そして反応混合物を2N NaOHで中和する。反応混合液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で蒸発させる。ヘプタン/酢酸エチル9:1を溶出液として用いて残渣をシリカゲル上で精製し、1-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)プロパン-1-オンを黄色固体として得る(m.p.52〜53℃)。
【0055】
c)2-ブロモ-1-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-プロパン-1-オンの製法
臭素(3.4g)を1-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)プロパン-1-オン(3.8g)、0.05mlの臭化水素酸(33%溶液)及び40mlの酢酸の混合物に室温にて窒素雰囲気下で加える。続いて、90℃で1時間混合物を攪拌する。冷却後、tert-ブチルメチルエーテルを加え、得られた個体をろ過し、tert-ブチルメチルエーテルで洗浄し、そして吸引下で乾燥させて、黄色固体を与えた。この臭化水素酸塩を含む100mlのtert-ブチルメチルエーテルの懸濁物を、80mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と15分間攪拌する。Tert-ブチルメチルエーテルで抽出後、合わされた有機層を塩類溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧下で蒸発させた。2-ブロモ-1-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-プロパン-1-オンを茶色油として得る。
【0056】
d)3-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-5-ヒドロキシ-5-メチル-4-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-5H-フラン-2-オン(化合物番号第II.u.002)の製法
2-ブロモ-1-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-プロパン-1-オン(2.3g)、(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-酢酸(2.0g)、1.0mlのトリエチルアミン及び60mlのアセトニトリルの混合物を室温で16時間攪拌する。続いて、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU、3.2g)を冷却下で加え、そしてさらに2時間攪拌を続ける。次に1時間空気を反応混合物に通気させる。反応混合物を水に注ぎ、2N塩酸で酸性にし、そして次に酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で蒸発させる。残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、ヘプタン/酢酸エチル(2:1)を溶出液として用いて精製して、3-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-5-ヒドロキシ-5-メチル-4-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-5H-フラン-2-オン(化合物番号第II.u.002)を黄色泡として得る。
【0057】
e)4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-2H-ピリダジン-3-オン(化合物番号第I.u.006)の製法
3-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-5-ヒドロキシ-5-メチル-4-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-5H-フラン-2-オン(化合物番号第II.u.002、2.1g)、ヒドラジン水和物(0.3g)及び30mlの1-ブタノールを120℃で5時間加熱する。続いて、混合物を室温に冷却し、そして減圧下で蒸発させる。残渣をtert-ブチルメチルエーテルと攪拌する。これにより得られた固体をろ過し、そしてtert-ブチルメチルエーテルで洗浄して、4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-2H-ピリダジン-3-オン(化合物番号第I.u.006)をベージュ色の固体、m.p.229℃として得る。
【0058】
f)4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-2H-ピリダジン-3-オン(化合物番号第I.u.006、1.2g)及び4mlのオキシ塩化リンを混合し、そして110℃で3時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、そして減圧下で蒸発させる。残渣を酢酸エチル及び水に溶解させ、そして相を分離する。有機相を水及び塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で蒸発させる。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン/酢酸エチル(3:1)の混合物を溶出液として用いて残渣を精製して、3-クロロ-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン(化合物番号I.u.008)を黄色固体、m.p.163℃として得る。
【0059】
実施例2:本実施例は、4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-3-メトキシ-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン(化合物番号第I.u.009)及び4-(3-クロロ-5-メトキシ-ピリジン-2-イル)-3-メトキシ-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジンの製法を示す。
3-クロロ-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン(化合物番号第I.u.008、0.3g)、ナトリウムメトキシド(30%のメタノール溶液、0.15g)及び7mlのメタノールを16時間60℃に加熱する。続いて、反応混合物を冷却し、水で希釈し、そして酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を水及び塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧下で蒸発させる。残渣を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン/酢酸エチル(1:3)の混合物を溶出液として用いて精製して、4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-3-メトキシ-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン(化合物番号I.u.009)、m.p.170〜171℃、及び4-(3-クロロ-5-メトキシ-ピリジン-2-イル)-3-メトキシ-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン、m.p.147〜149℃を得る。
【0060】
実施例3:本実施例は、4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-3,6-ジメチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン(化合物番号第I.u.010)の製法を示す。
メチルマグネシウム・ブロミド(ジエチルエーテル中に3M、1.0ml)を、3-クロロ-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン(化合物番号第I.u.008、0.3g)及び鉄(III)アセチルアセトネート(0.03g)を含む15mlのテトラヒドロフラン及び2mlの1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)の溶液にゆっくり加える。この混合物を室温で3時間攪拌し、次に希塩酸を添加することにより反応をとめ、そして酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で蒸発させた。残渣を、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより、ヘプタン/酢酸エチル(1:2)を溶出液として用いて精製して、4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-3,6-ジメチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン(化合物番号第I.u.010)を茶色油として与える。
【0061】
以下の表1及び2は、本発明に記載される式I及び式IIの個々の化合物の例を示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
【表7】

【0069】
【表8】

【0070】
【表9】

【0071】
【表10】

【0072】
ここで、
a)以下の式(I.a):
【化14】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0073】
b)以下の式(I.b):
【化15】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0074】
c)以下の式(I.c):
【化16】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0075】
d)以下の式(I.d):
【化17】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0076】
e)以下の式(I.e):
【化18】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0077】
f)以下の式(I.f):
【化19】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0078】
g)以下の式(I.g):
【化20】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0079】
h)以下の式(I.h):
【化21】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0080】
i)以下の式(I.i):
【化22】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0081】
j)以下の式(I.j):
【化23】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0082】
k)以下の式(I.k):
【化24】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0083】
l)以下の式(I.l):
【化25】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0084】
m)以下の式(I.m):
【化26】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0085】
n)以下の式(I.n):
【化27】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0086】
o)以下の式(I.o):
【化28】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0087】
p)以下の式(I.p):
【化29】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0088】
q)以下の式(I.q):
【化30】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0089】
r)以下の式(I.r):
【化31】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0090】
s)以下の式(I.s):
【化32】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0091】
t)以下の式(I.t):
【化33】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0092】
u)以下の式(I.u):
【化34】

[式中、R1、R3、及びR4は表1に定義されるとおりである]
で表される252個の化合物。
【0093】
【表11】

【0094】
【表12】

【0095】
【表13】

【0096】
ここで、
a)以下の式(II.a):
【化35】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0097】
b)以下の式(II.b):
【化36】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0098】
c)以下の式(II.c):
【化37】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0099】
d)以下の式(II.d):
【化38】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0100】
e)以下の式(II.e):
【化39】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0101】
f)以下の式(II.f):
【化40】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0102】
g)以下の式(II.g):
【化41】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0103】
h)以下の式(II.h):
【化42】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0104】
i)以下の式(II.i):
【化43】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0105】
j)以下の式(II.j):
【化44】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0106】
k)以下の式(II.k):
【化45】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0107】
l)以下の式(II.l):
【化46】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0108】
m)以下の式(II.m):
【化47】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0109】
n)以下の式(II.n):
【化48】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0110】
o)以下の式(II.o):
【化49】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0111】
p)以下の式(II.p):
【化50】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0112】
q)以下の式(II.q):
【化51】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0113】
r)以下の式(II.r):
【化52】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0114】
s)以下の式(II.s):
【化53】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0115】
t)以下の式(II.t):
【化54】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0116】
u)以下の式(II.u):
【化55】

[式中、R1及びR3は表2に定義されるとおりである]
で表される72個の化合物。
【0117】
明細書の記載を通して、温度は摂氏で与えられており;「NMR」は、核磁気共鳴スペクトルを意味し;そして「%」は、対応する濃度が他の単位で示されていない限り重量パーセントである。
【0118】
以下の略語が明細書の記載を通して使用される:
m.p. = 融点 br = ブロード
s = 一本線 dd = 二重線のダブレット
d = 二重線 dt = 三重線のダブレット
t = 三重線 q = 四重線
m = 多重線 ppm = 百万分の1
【0119】
表3は、選択された融点及び選択されたNMRデータを示す。その全ては、表1及び2の化合物について溶媒としてCDCl3を用いた(他に記載がない限り、全ての場合における特徴決定データーの全てを記載する試みは行われていない)。
【0120】
【表14】

【0121】
本発明の化合物は、上に記載される反応スキームに従って製造することができる。ここで他に記載がない限り、各変動箇所は、式(I)の化合物について上で定義されたものと同じである。
【0122】
生物学的実施例
アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)/トマト/予防(トマトに付いたアルテルナリアに対する作用)
4週目のトマト(品種:RoterGnom)をスプレーチャンバーにいれた剤形済み試験化合物で処理する。施用後2日目に、試験植物に胞子懸濁液をスプレーすることにより、トマトに植菌する。温室内で20℃及び95%rhで3日間インキュベートした後に、疾病の発生を評価する。
【0123】
本発明に記載の式Iの化合物、特に化合物I.u.008及びI.u.009は、200ppmでこの試験において真菌の蔓延を少なくとも80%に抑制する。一方で、同一の条件下で、未処理対照植物では80%超が病原性真菌に感染する。
【0124】
ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)/トマト/予防(トマトに付いたボトリチスに対する作用)
4週目のトマト(品種:Roter Gnom)をスプレーチャンバーに入れた剤形済み試験化合物で処理する。施用後2日目に、胞子懸濁液を試験植物にスプレーすることにより、トマトに植菌する。温室内で20℃及び95%r.h.で3日間インキュベートした後に、疾病の発生を評価する。
【0125】
本発明に記載の式Iの化合物、特に化合物I.u.008及びI.u.009は、200ppmでこの試験において真菌の蔓延を少なくとも80%に抑制する。一方で、同一の条件下で、未処理対照植物では80%超が病原性真菌に感染する。
【0126】
プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)/小麦/予防(小麦に付いた茶色サビ病に対する作用)
1週目のコムギ(品種:Arina)をスプレーチャンバーに入れた在家泉試験化合物で処理する。施用後1日目に、胞子懸濁液(1×105夏胞子/ml)を試験植物にスプレーすることにより、小麦に植菌する。20℃及び95%r.h.で1日のインキュベート期間の後に、温室内で植物を10日間20℃/18℃(日/夜)及び60%rhに維持した。疾病の発生を植菌後11日目に評価する。
【0127】
本発明に記載の式Iの化合物、特に化合物I.I.008及びI.u.009は、200ppmでこの試験において真菌の蔓延を少なくとも80%に抑制する。一方で、同一の条件下で、未処理対照植物では80%超が病原性真菌に感染する。
【0128】
マンガポルテ・グリセア(Mangaporthe grisea)(ピリクラリア・オリゼ)(Pyricularia oryzae)/稲/予防(イモチ病に対する作用)
3週目の稲(品種:コシヒカリ)をスプレーチャンバーに入れた剤形済みの試験化合物で処理する。施用後2日目に、胞子懸濁液(1×105分生子/ml)を試験植物にスプレーすることにより、稲に植菌する。25℃及び95%rhで6日間インキュベートした後に、疾病の発生を評価する。
【0129】
本発明に記載の式Iの化合物、特に化合物I.I.008及びI.u.010は、200ppmでこの試験において真菌の蔓延を少なくとも80%に抑制する。一方で、同一の条件下で、未処理対照植物では80%超が病原性真菌に感染する。
【0130】
ピレノフォラ・テレス(Pyenophora teres)(ヘルミンソスポリウム・テレス(Helminthosporium teres))/大麦/予防(大麦に付く網斑病に対する作用)
1週目の大麦(品種:Regina)をスプレーチャンバーに入れた剤形済みの試験化合物で処理する。施用後2日目に、胞子懸濁液(2.6×104分生子/ml)を試験植物にスプレーすることにより、大麦に植菌する。20℃及び95%rhで4日間インキュベートした後に、疾病の発生を評価する。
【0131】
本発明に記載の式Iの化合物、特に化合物I.u.008及びI.u.010は、200ppmでこの試験において真菌の蔓延を少なくとも80%に抑制する。一方で、同一の条件下で、未処理対照植物では80%超が病原性真菌に感染する。
【0132】
セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)/小麦/予防(小麦に付くセプトリア斑点病に対する作用)
2週目の小麦(品種:Riband)をスプレーチャンバーに入れた剤形済みの試験化合物で処理する。施用後1日目に、胞子懸濁液(106分生子/ml)を試験植物にスプレーすることにより、小麦に植菌する。22℃/21℃及び95%rhで1日のインキュベートした後に、温室内で植物を22℃/21℃及び70%rhに維持する。疾病の発生は、植菌後16〜18日目で評価する。
【0133】
本発明に記載の式Iの化合物、特に化合物I.I.008は、200ppmでこの試験において真菌の蔓延を少なくとも80%に抑制する。一方で、同一の条件下で、未処理対照植物では80%超が病原性真菌に感染する。
【0134】
ウンシヌラ ネカトール(Uncinula necator)/ブドウ/予防(ブドウに付くうどん粉病に対する作用)
5週目のブドウ苗木(品種:Gutedel)をスプレーチャンバーに入れた剤形済みの試験化合物で処理する。施用後1日目に、試験植物の上からブドウうどん粉病に感染した植物を揺らすことによりブドウに植菌する。24℃/22℃及び70%rhで、14/10h(明/暗)光サイクルで7日間インキュベートした後に、疾病の発生を評価する。
【0135】
本発明に記載の式Iの化合物、特に化合物I.I.008及びI.u.008は、200ppmでこの試験において真菌の蔓延を少なくとも80%に抑制する。一方で、同一の条件下で、未処理対照植物では80%超が病原性真菌に感染する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

[式中、
1は、水素、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はC3-C6シクロアルキルであり;
2は、場合により置換されるヘテロアリールであり;
3は、場合により置換されるヘテロアリールであり;そして
4は、水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ、ヒドロキシ又はシアノである]
で表される化合物、又は農薬として有用なその塩形態。
【請求項2】
1が、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はC3-C6シクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
2が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾールyl、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル又はナフチリジニルである、請求項1又は2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
3が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、キノリニル、イソキノリル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル又はナフチリジニルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
4が、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ又はヒドロキシである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
1が、C1-C6アルキル又はC1-C6ハロアルキルであり;
2が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル又はキノリルであり;
3が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル又はテトラジニルであり;そして
4が、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ又はヒドロキシである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
1が、C1-C3アルキル又はC1-C3ハロアルキルであり;
2が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル又はキノリルであり;
3が、場合により置換されるチエニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル又はピラジニルであり;そして
4が、クロロ、フルオロ、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ又はヒドロキシである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
1が、メチル又はエチルであり;
2が、場合により置換されるフリル、チエニル、ピリジル又はピリミジニル又はキノリルであり;
3が、場合により置換されるチエニル、チアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル又はピラジニルであり;そして
4が、クロロ、フルオロ、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ又はヒドロキシである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
1が、メチルであり;
2が、2-クロロ-ピリジン-4イル、6-クロロ-ピリジン-3-イル、6-メチル-ピリジン-3-イル又は5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イルであり;
3が、3,5-ジクロロピリジン-2-イルであり;そして
4が、クロロ、メチル又はメトキシである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
以下の:
3-クロロ-5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-ピリダジン;
4-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-5-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メトキシ-3-メチル-ピリダジン;
3-クロロ-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ピリダジン;
4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-3-メトキシ-6-メチル-5-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ピリダジン;
3-クロロ-5-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-ピリダジン;
4-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-5-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メトキシ-3-メチル-ピリダジン;
3-クロロ-4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン;及び
4-(3,5-ジクロロ-ピリジン-2-イル)-3-メトキシ-6-メチル-5-(5-メチルスルファニル-ピリジン-2-イル)-ピリダジン
から選ばれる化合物。
【請求項11】
以下の式I.1:
【化2】

[式中、R1、R2、及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりであり、そしてHalがハロゲンである]
で表される化合物の製造方法であって、以下の式I.5:
【化3】

[式中、R1、R2及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりである]
で表される化合物を、オキシハロゲン化リン又はハロゲン化チオニルと反応させることを含む、前記方法。
【請求項12】
以下の式I.5:
【化4】

[式中、R1、R2及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりである]
で表される化合物の製造方法であって、式II:
【化5】

[式中、R1、R2及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりである]
で表される化合物を、ヒドラジン誘導体と反応させることを含む、前記方法。
【請求項13】
以下の式II:
【化6】

[式中、R1、R2及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりである]
で表される化合物の製造方法であって、以下の式III:
【化7】

[式中、R1、R2及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりである]
で表される化合物を、酸素、空気、又は3-クロロ過安息香酸で酸化することを含む、前記方法。
【請求項14】
以下の式III:
【化8】

[式中、R1、R2及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりである]
で表される化合物の製造方法であって、以下の式IVの化合物:
【化9】

[式中、R1、R2及びR3が、式Iの化合物について定義されるとおりである]
で表される化合物を、塩基と反応させることを含む、前記方法。
【請求項15】
植物病原性微生物に対して防除又は保護をするための殺真菌組成物であって、活性成分として、遊離形態又は農薬として使用可能な塩形態の請求項1〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1の化合物、及び少なくとも1のアジュバントを含む、前記組成物。
【請求項16】
好ましくは、アゾール類、ピリミジニルカルビノール類、2-アミノ-ピリミジン類、モルホリン類、アニリノピリミジン類、ピロール類、フェニルアミド類、ベンズイミダゾール類、ジカルボキシイミド類、カルボキサミド類、ストロビルリン類、ジチオカルバメート類、N-ハロメチルチオテトラヒドロフタルイミド類、銅化合物、ニトロフェノール類、有機リン誘導体、ピリダジン類、トリアゾロピリミジン類、カルボキサミド類又はベンズアミド類からなる群から選ばれる、少なくとも1の追加の殺真菌活性の化合物を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
植物、収穫された作物又は非生物物質の植物病原性微生物による感染の防除又は予防のための請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
植物病原性又は腐敗性微生物又は生物による作物の感染、収穫された作物、又は非生物物質の感染を防除又は予防する方法であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物を活性成分として植物、植物の一部、又は植物の作付け領域、種子又は非生物物質の任意の部分に施用することを含む、前記方法。
【請求項19】
前記植物病原性微生物が真菌生物である、請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2009−543821(P2009−543821A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519851(P2009−519851)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006303
【国際公開番号】WO2008/009405
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】