説明

新規ペッパー植物

本発明は、新規植物、特に完全に色づいた後に延長された保存可能性を有する果実を生産することができるトウガラシ植物、並びに上記植物の種子及び果実に関する。また、本発明は、そのような植物及びその果実の製造方法及び使用方法に関する。特に、本発明の植物の果実は、現在入手可能なペッパーと比べて長期間にわたって市場性を持ち続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、新規植物、特に延長された保存可能性を有する果実を生産することができるペッパー植物(pepper plants)、並びに上記植物の種子及び果実に関する。同様に、本発明は、そのような植物及びその果実の作製方法、及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
ペッパーは、1年に約5億ドルの推定商品価値をもつ世界的に重要な農作物である。ペッパーは、トウガラシ(Capsicum annuum)及びキダチトウガラシ(Capsicum frutescens)種を含むトウガラシ属から成るナス科である。市販のペッパーはn=12染色体の二倍体である。ペッパーは、甘トウガラシ、例えばピーマンとして;又は辛味のあるチリ・ペッパー、ハラペーニョ・ペッパー、及びTABASCO(登録商標)ペッパーとして;あるいは例えばパプリカのような様々な色の乾燥粉末の源として世界中で栽培され、そして使用されている。栽培されるペッパーの種類は、辛さ、果実形、色、及びサイズによって区別することができる(例えば、米国特許第6,498,287号を参照のこと)。
【0003】
ペッパー果実(一般に「ペッパー」とも呼ばれる)は、非常に腐りやすい。それらは水分を失いやすく、そしてしなびやすく、顧客に対してそれらの魅力をなくす。ペッパー作物はほぼ同時に成熟する果実のピークをもたらし、そして損失を避けるために速やかにそれを収穫しなければならない。これは産物の急増、そして続いて低供給期間に通じる。
【0004】
この問題に対処して、かつ、供給網における柔軟性をもたらすために、収穫後保存中のペッパー果実の品質を改善するために多大な努力がなされてきた。熱湯及びポリエチレン包装(Gonzalez-Aguilar et al (1999) Journal of Food Quality 22: 287-299)、CO2(Wang (1977) J. Amer. Soc. Hort. Sci. 102: 808-812)、又は他の化学薬品、例えば塩素及びイマザリル(Miller et al. (1983) Proc. Fla. State Hort. Soc. 96: 345-350)又はキトサン(El Ghaouth et al. (1991) Journal of Food Processing and Preservation 15: 359-368)の適用を含む処理が説明されてきた。しかし、これらの処理は多大な投資を必要として、生産コストを上げる。しかも、それらのいくつかは、カビの増殖及び望ましくない臭気の発生を促す(El Ghaouth et al. (1991) Journal of Food Processing and Preservation 15: 359-368)。
【0005】
ペッパー果実の収穫後保存期間を延ばす試みが、遺伝子工学的アプローチでも行われた。例えば、US5,945,580はヘミセルラーゼ遺伝子のDNA塩基配列をもつトウガラシの形質転換を報告している。形質転換した植物の果実中のヘミセルラーゼ活性の減少が、4℃での収穫後保存後の許容される果実の割合の中程度の増加をもたらすことが計測された。しかし、このアプローチの商業的実現可能性は報告されていない。
【0006】
代替戦略は、果実の完熟を遅らせることに集中し、そのため通常、未熟な果実を収穫し、そして収穫後に完熟させる。例えば、米国特許第4,843,186号は、天然のトマトRin遺伝子を含むトマト、及びその遅れた成熟を開示する。しかし、ペッパー果実の成熟はゆっくりとした過程であり、ペッパー果実の収穫後の成熟は、しおれた及び低品質の果実をもたらす。従って、ペッパーにおいて果実の成熟を遅らせることは、好ましい戦略ではない。
【0007】
そのため、生産のピークを減らして、新鮮な産物の一定供給を助ける一方で、生産原価を低く維持するペッパー取引におけるまだ満たされていないニーズがある。同様に、改善されたペッパー植物に関する、及びペッパー果実のための代替の及び改善された保存方法に関するまだ満たされていないニーズも存在する。
【発明の開示】
【0008】
本発明の概要
本発明は、ペッパー果実のより一定な供給のニーズ、及びペッパー取引網の柔軟性を提供することに対処する。この問題を解決するために、本発明は、現在入手可能なペッパー果実、特に現在入手可能な市販のペッパー果実のそれを上回る長期間にわたって市場性をもち続ける果実を産生することができる新規トウガラシ属植物、好ましくはトウガラシ植物を提供する。特に、本発明のトウガラシ属植物は、果実が収穫されずに植物上に留められた場合に、現在入手可能な市販のトウガラシ属果実のそれを上回る長期間市場性をもち続ける果実を産生できる。
【0009】
1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、その果実が完全に色づいた後約3週間でもなお市場性を有している。
【0010】
1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、完全に色づいた後、約4週間、1つの態様において約5週間、1つの態様において約6週間でもなお市場性を有している。
【0011】
他の態様において、本発明の植物の果実は、現在入手可能な市販のペッパー果実のそれを上回る長期間、以下の特性、例えば硬度、クライマクテリック・スポットへの抵抗性、しおれへの抵抗性、光沢の1つ以上を持ち続ける。したがって、1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、その果実が完全に色づいた後、約3週間しっかりとしたままである。1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、その果実が完全に色づいた後、約4週間、1つの態様において約5週間、1つの態様において約6週間しっかりしたままである。他の態様において、本発明のペッパー植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、その果実が完全に色づいた後、約3週間しおれない。1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、その果実が完全に色づいた後、約4週間、1つの態様において約5週間、1つの態様において約6週間しおれない。他の態様において、本発明の植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、完全に色づいた後、約3週間、せいぜい5つ以下の黄斑しか示さない。1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、その果実が完全に色づいた後、約4週間、1つの態様において約5週間、1つの態様において約6週間、せいぜい5つ以下の黄斑しか示さない。他の態様において、本発明の植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、完全に色づいた後、約3週間光沢をもったままである。1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、当該果実が植物上に留められた場合に、その果実が完全に色づいた後、約4週間、1つの態様において約5週間、1つの態様において約6週間、光沢をもったままである。
【0012】
他の態様において、本発明のペッパー果実は、現在入手可能な市販のペッパー果実と比べて遅い劣化を示す。
【0013】
他の態様において、本発明の植物は、近交のもの、雑種、又は二倍性半数体である。他の態様において、本発明の植物は雄性不稔である。1つの態様において、本発明の植物は、商業的に許容される農学的特性がある。
【0014】
したがって、本発明は、現在入手可能な市販のペッパー果実のそれを上回る延長された保存可能性、好ましくは植物上での延長された保存可能性を示す果実を産生することができる新規ペッパー植物を提供する。1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、完全に色づいた後に、現在存在しているペッパーと比べて植物上での延長された保存可能性を示す。従って、本発明の植物は、当該植物の果実に本願明細書中に記載の延長された保存可能性を与える形質を含む。1つの態様において、本発明による延長可能な保存可能性の形質は、代表的な種子が登録番号NCIMB41187という名称で寄託されている雑種Y1194の植物から得ることができる。1つの態様において、本発明による延長可能な保存可能性の形質は、代表的な種子が登録番号NCIMB41241という名称で寄託されているZORO.27.42.7: DH1004の植物から得ることができる。
【0015】
本発明は、前記特性が欠けているトウガラシ植物の果実に植物上での延長された保存可能性を与えるために本発明による形質の使用をさらに提供する。
【0016】
同様に、本発明は、本発明のペッパー植物及びその果実の製造及び使用方法、例えば本発明によるペッパー植物及びその種子の生産方法、又は本発明によるペッパー果実の生産方法、ペッパー果実の保存方法、並びにペッパー果実の収穫時期の延長方法を提供する。
【0017】
本発明の植物は、より長い収穫期間とより低い農作物の収穫頻度を可能にさせると同時に、高い果実品質を維持しながら、損失を避けるのに特に有利である。完熟果実を植物上で保存することができ、本発明の植物から育った果実の収穫は数週間遅らせることができる。よって、本発明は、頻繁ではないが、植物につきより高い果実量を収穫する可能性を栽培者に提供する。より良い収穫計画、優れた収穫効率、及びより多くの1回の収穫あたりの完熟果実が、同じ果実品質を守りながら達成される。同様に、本発明は、産物の収穫、等級を付け、及び包装のより良い労働計画、並びにより良い産物販売及びデリバリー計画、それによる取引網の損失の実質的な削減、及びそれによる生産原価の削減を可能にする。よって、本発明は収穫を決定する方法、及びペッパー作物の利益を増やす方法をさらに提供する。
【0018】
定義
市場性がある:買い手によって望まれる、市場における販売のために提供されるのに適すること。ペッパー果実について言及する時、例えば許容される外観といった市場性は消費者に訴える基準に基づいて果実を判断することによって評価される。同様に、市場性は、例えば果実の硬度、クライマクテリック・スポットの有無、果実のしおれ、又は光沢といった特性の1つ以上によって評価される。
【0019】
保存可能性:果実について言及する時、市場性をもち続けながら、特定の条件下、一定期間保持される又は維持される能力。
「植物上での」保存可能性:市場性を有したまま、一定期間植物に留められる、すなわち、収穫されない、果実の能力について言及する。この場合、果実は植物上で保存される。
【0020】
「収穫後の」保存可能性:市場性を有したまま、収穫後に一定期間保持される果実の能力について言及する。これは収穫後の保存とも呼ばれる。収穫後の保存は、消費者に至る取引網の異なる段階における保存、及び消費前の消費者による保存を含んでいる。
完全な色づき:果実がその表面の約90%までその成熟色に達した時。
【0021】
硬度:接触又は圧力に負けない、しっかり構成された、引き締まったもの。同様に、硬度は、例えばペッパー果実が柔らかくなく、しなびておらず、グニャッとしていないか、又は、わずかな圧力に負けるかもしれないが、柔軟である場合と規定される(例えば、http://www.jams.usda.gov/standards/peperswt.pdf、米国のピーマンの等級基準、USDA/AMS, Fruit and Vegetable Division, Fresh Products Branch)。
【0022】
クライマクテリック・スポット:果実構造の劣化の結果としての果実の肩部に完熟後に現われる黄斑。
しおれ:果実について言及する場合、鮮度の低下、垂れ下がり。しおれは一般に果実の滑らかさの喪失をもたらし、果実の収縮を典型的に伴う。
光沢:多くの光を放つか又は反射する特性、輝き。
【0023】
形質:特徴又は表現型、例えば病気に対する抵抗性。本発明の文脈において、形質は、例えば本願明細書中に記載の果実の延長された保存可能性である。形質は、優性又は劣性の様式で、あるいは部分又は不完全優性の様式で遺伝する。形質は、一遺伝子性又は多遺伝子性であるか、あるいは同様に、環境中の1つ以上の遺伝子の相互作用から起こるかもしれない。
【0024】
耐性:症状、例えば病気、の兆候を示さないか又は小さな徴候しか示さない植物の形質又は表現型。
一遺伝子性:単独の遺伝子座によって決定される。
多遺伝子性:1つ以上の遺伝子座によって決定される。
優性である:ヘテロ接合又はホモ接合状態で完全な表現型出現をもたらす。
劣性である:ホモ接合状態で存在するときどけそれ自体が出現する。
【0025】
部分又は不完全優性:ヘテロ接合段階で存在するとき、ホモ接合段階のそれの中間の表現型を決定する場合、あるいは形質が不存在である場合。
遺伝子座:形質に寄与する遺伝子を含む染色体上の領域。
遺伝的連鎖:同じ染色体上の近接遺伝子の配置による遺伝特徴の関連性。遺伝子座間の再結合の百分率によって計測される(centi-Morgan、cM)。
【0026】
同質遺伝子:それらが遺伝子の存在又は不存在、形質又は非相同DNA配列を与える遺伝子座によって異なる以外、遺伝学的に同一である植物。
マーカー利用選択:植物由来の1つ以上の核酸を検出することによって植物の所望の形質を選択する方法に言及する。ここで、前記核酸は所望の形質に関係する。
二倍性半数体:(例えば葯培養又は小胞子培養によって)完全なホモ接合植物を与えるゲノムの半数体(単染色体)状態の倍加。
【0027】
「テスター」植物:試験される植物の形質を遺伝学的に特徴づけるために使われる植物。一般に、試験される植物は、「テスター」植物と交配させて、交配の子孫における形質の分離比を採点する。
遺伝子:遺伝の単位。遺伝子は染色体内の決められた遺伝子座に配置され、対立遺伝子と呼ばれる一連の選択的形態で存在できる。
【0028】
対立遺伝子:相同染色体内の同じ遺伝子座にあるため遺伝において選択的であるペア又は一連の遺伝子形態の一方。
ホモ接合:相同染色体上の対応する遺伝子座の1つ以上で類似の対立遺伝子をもつこと。
ヘテロ接合:相同染色体上の対応する遺伝子座の1つ以上で異なる対立遺伝子をもつこと。
【0029】
本発明の詳細な説明
本発明は、取引網におけるペッパー果実のより一定の供給のための、及びペッパー果実を保存する代替方法のための必要性に対処する。したがって、本発明は、現在入手可能なペッパー、特に現在入手可能な市販のペッパー果実のそれを上回る長期間の市場性を有したままである果実を産生することができる新規ペッパー植物を提供する。特に、本発明の植物の果実は、植物上で保持された場合、現在入手可能な市販のペッパー果実のそれを上回る長期間その市場性を維持する。そのため、本発明は、植物上の果実に延長された保存可能性を与える形質を含むペッパー植物を開示する。
【0030】
本発明は、市場の需要、収穫後保存の利用可能性、及び消費者への適当な輸送に依存して果実の収穫を遅らせることを可能にする。そのため、収穫後保存の使用は、避けられるか又は実質的に削減される。
【0031】
本発明の植物とその果実、並びにそのような植物と果実を生産及び使用方法は、以下により詳細に説明される。
【0032】
ペッパー種子は、苗床又はガラスハウスで一般に発芽させる。そして、普通サイズの植物を育てるために、発芽させた苗は移植される。実を結んだ後に、緑色の果実を成熟サイズに達するまで植物上で育てる。そして、成熟サイズで果実は、変色して最終色(例えば赤色、オレンジ色、又は黄色)に達する。果実の最終色の展開は、クロロフィルの劣化と一般に関連する(Wang (1977) J. Amer. Soc. Hort. Sci. 102: 808-812)。
【0033】
種を蒔いてから最初に実を結び、そしてその後の最初の果実の色づきまでの期間は、生育条件に依存する。一般的に、あたたかく湿度が高い条件下で、植物の成長及び発育はより速い一方、寒冷条件はより緩慢な成長をもたらす。
【0034】
ペッパーの品種又はタイプ間の相違は、他のものより速く成長し、そして成熟果実を産生するいくつかの品種又はタイプでも観察される。一般的に、種を蒔いてから実を結ぶまでの時間の間隔は、約7〜10週間で変動する一方で、最初の実を結んでから最初の果実が完全に色づくまでの時間の間隔は、約6〜8週間で変動する。オランダのガラスハウスで、ペッパー植物は、30週間にわたり約60〜70個の果実を一般につける。露地で約2ヶ月、そしてガラスハウスで約7ヶ月の収穫期間を含めて、ペッパー植物を露地又はガラスハウスで栽培する。
【0035】
いったん収穫されれば、通常、果実は、それらが短期間(約1日)、好ましくは涼しい温度(例えば、約8〜14℃)で保存されるパッキング・ステーションに持って行かれる。その後、果実は小売り業者(例えば、スーパーマーケット)に一般に保冷トラックで運ばれる。輸送には2〜3日かかるかもしれない。スーパーマーケットにおいて、果実は約17〜18℃の温度で約1〜2日間棚の上に置かれる。そのため、畑から消費者まで5〜10日かかり、消費者はあと数日間満足できる外観で果実を保つことを求める。
【0036】
本発明のペッパー植物は、果実が完全に色づいた後の植物上で延長された保存可能性を示す果実を生産できる。そのような果実は、果実が植物に留められて、そして収穫されない場合に、現在入手可能なペッパーと比べて長期間市場性を有する品質を維持することができる。
【0037】
1つの態様において、本発明は、その果実が植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約5週間でもなお市場性を有している果実を産生することができる植物を開示する。1つの態様において、本発明は、その果実が植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約6週間でもなお市場性を有している果実を生産することができる植物を開示する。1つの態様において、本発明は、果実が植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約11週間まで市場性を有している果実を生産することができる植物を開示する。
【0038】
1つの態様において、本発明の植物の果実の約100%が、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約3週間でもなお市場性を有している。これは、本発明の果実が完全に色づいた頃からその後約3週間まで市場性を有していることを意味する。1つの態様において、本発明の果実は、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約4週間、1つの態様において完全に色づいた後、約5週間、1つの態様において完全に色づいた後約6週間でもなお市場性を有している。これは、そのような果実が、完全に色づいた後約4週間、約5週間、又は約6週間まで市場性を有していることを意味する。本発明の1つの態様において、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後、約3週間〜約6週間まで果実の約100%が市場性を有しているような果実を生産する植物を提供する。
【0039】
1つの態様において、本発明の植物の果実の約90%が、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約4週間、1つの態様において完全に色づいた後約5週間でもなお市場性を有している。本発明の1つの態様において、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後、約4週間〜7週間まで果実の約90%が市場性を有しているような果実を生産する植物が提供される。
【0040】
本発明の1つの態様において、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約4週間〜9週間まで果実の約80%が市場性を有しているような果実を生産する植物を提供する。
【0041】
本発明の1つの態様において、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約4週間〜9週間まで果実の約60%が市場性を有しているような果実を生産する植物を提供する。
【0042】
1つの態様において、本発明の植物の果実の約50%が、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約4週間、1つの態様において完全に色づいた後約5週間、1つの態様において完全に色づいた後約6週間、1つの態様において完全に色づいた後約8週間でもなお市場性を有している。
【0043】
1つの態様において、本発明の植物の果実の約20%が、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約10週間市場性を有している。
【0044】
1つの態様において、本発明の植物は、例えば以下の実施例に記載の条件下、ガラスハウスで栽培される。
【0045】
対照的に、現在入手可能なペッパー果実は、一般に、同じ条件下で完全に色づいた後2週間で市場性を失い始めて、そして現在入手可能なペッパー植物は、これらの条件下、完全に色づいた後約4週間で市場性を有する果実を約40%未満しか持たず、完全に色づいた後5週間で市場性のある果実を約0%しか持たない。そのため、本発明は、果実の損失を招くことなく、現在入手可能なペッパー果実のそれより実質的に長い収穫期間を可能にする。1つの態様において、本発明の植物のペッパー果実の収穫期間は、現在入手可能なペッパー植物の果実と比べて約1週間、1つの態様において約2週間まで延長される。
【0046】
したがって、1つの態様において、本発明のペッパー果実は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、特に商業的に入手可能なペッパー、例えば雑種Sprinter、の果実より長い市場性をもち続ける。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterよりもさらに1週間、市場性を有した果実を約100%持ち続けることができる。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterと比べてさらに2週間、1つの態様においてさらに3週間、1つの態様においてさらに4週間、市場性を有した果実を約100%持ち続けることができる。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterよりもさらに1週間、市場性を有した果実を約90%持ち続けることができる。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterよりもさらに2週間、1つの態様においてさらに3週間、1つの態様においてさらに4週間、市場性を有した果実を約90%持ち続けることができる。
【0047】
1つの態様において、果実の市場性は果実の外観によって判断される。特に、ペッパー果実の市場性は、形質、例えば果実の硬度、クライマクテリック・スポットの有無、果実のしおれ、又は光沢の1つ以上によって評価される。1つの態様において、ペッパー果実の前述の市場性基準は、例えば以下の実施例に記載の条件下、ガラスハウスで栽培した植物について判断される。
【0048】
したがって、同様に、本発明は、長期間にわたり植物上のペッパー果実の市場性を保つ方法、あるいは本発明による延長された保存可能性の形質をその形質を欠く植物中に導入することを含むペッパー植物の果実の市場性を延ばす方法を開示する。
【0049】
1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、植物上に留められた場合に、長期間しっかりしたままであることができる。1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterの果実を上回る高い硬度を示す。
【0050】
1つの態様において、原則的に本発明の植物の全ての果実が、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約3週間その硬度を保つ。1つの態様において、原則的に本発明の植物の全ての果実が、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約4週間、1つの態様において約5週間、1つの態様において約6週間その硬度を保つ。
【0051】
対照的に、現在入手可能なペッパー果実は、一般に、同じ条件下で完全に色づいた後2週間で硬度を失い始め、完全に色づいた後4〜5週間以内に容認できないほど柔らかくなる。
【0052】
したがって、1つの態様において、本発明のペッパー果実は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterの果実を上回る長期間しっかりとした状態のままでいる。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的な雑種Sprinterの植物よりもさらに約1週間しっかりとした状態のままでいる果実を約100%持ち続けることができる。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的な雑種Sprinterの植物よりもさらに約2週間、1つの態様においてさらに約3週間、1つの態様においてさらに約4週間、しっかりとした状態のままでいる果実を約100%持ち続けることができる。
【0053】
ペッパー果実の硬度は、指圧を用いて手によって、又は硬度試験器を使って測定される。ペッパー果実の硬度を評価するために様々な等級が使われ、そして以下の実施例で詳細に記載される。
【0054】
1つの態様において、ペッパー果実の硬度は、以下の実施例で開示されるように0〜9の等級を使って測定され、そして完全に色づいた時点で5と評価された硬度を有する本発明によるペッパー植物の果実は、先に開示した期間で5と評価された。他の態様において、完全に色づいた時点で先の0〜9の等級の異なるレベルに評価された、例えばレベル4又は6の、硬度を持つ果実は、完全に色づいた時点のそれらの評価で、先に開示した期間も評価され続けた。1つの態様において、ペッパー果実の硬度は、例えば以下の実施例に記載の条件下、ガラスハウスで栽培した植物で測定される。
【0055】
したがって、本発明は、本発明による延長された保存可能性の形質をその形質を欠く植物に導入することを含む、長期間にわたり植物上でペッパー果実の硬度を保ち続ける方法を開示する。
【0056】
他の態様において、本発明のペッパー植物の果実は、植物上に留められた場合に、しおれに対する延長された抵抗性を示す。1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実は、植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば、雑種Sprinterと比べて、しおれに対する高い抵抗性を示す。
【0057】
1つの態様において、原則的に本発明による植物の全ての果実は、植物上に留められた場合に、滑らかなままであり、完全に色づいた後約3週間しおれなかったとみなされた。他の態様において、原則的に本発明の全ての果実が、植物上に留められた場合に、滑らかなままであり、完全に色づいた後約4週間、1つの態様において完全に色づいた後約5週間、1つの態様において完全に色づいた後約6週間しおれなかったとみなされた。
【0058】
対照的に、現在入手可能なペッパー果実は、標準的な温室条件下で植物上に留められた場合に、完全に色づいた後2週間でしぼんで、そして植物上に留められた場合に、完全に色づいた後4〜5週間で植物上でのそのような果実のほとんど全てがしおれた。
【0059】
したがって、他の態様において、本発明のペッパー果実は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterの果実よりも長いしおれ抵抗性がある。1つの態様において、果実が植物上に留められた場合に、本発明の植物は、標準的な雑種Sprinterの植物よりもさらに約1週間、しおれに抵抗性がある果実を約100%持ち続けることができる。1つの態様において、果実が植物上に留められた場合に、本発明の植物は、標準的な雑種Sprinterの植物よりもさらに約2週間、1つの態様においてさらに約3週間、1つの態様においてさらに約4週間、しおれに抵抗性がある果実を約100%持ち続けることができる。
【0060】
1つの態様において、しおれは、以下の実施例で述べられるようにしおれによって影響された果実の概算の表面に基づいた1〜5の等級に従って測定される。
【0061】
1つの態様において、しおれていない果実は、しおれに関する1〜5の等級のうちレベル5で採点される。1つの態様において、本発明の果実は、先に説明した期間にレベル4以下の等級で採点されることは原則的にない。他の態様において、本発明による植物の果実の約40%は、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後、約8週間で先の等級のレベル4以下で採点される。
【0062】
1つの態様において、ペッパー果実のしおれに対する抵抗性は、例えば以下の実施例で説明した条件下、ガラスハウスで栽培された植物で測定される。
【0063】
したがって、本発明は、本発明による延長された保存可能性の形質をその形質を欠く植物に導入することを含む、長期間にわたり植物上に留められた場合に、ペッパー果実のしおれを遅れさせるか又は滑らかさを維持する方法を同様に開示する。
【0064】
しおれは一般に果実の脱水の結果である。したがって、1つの態様において、本発明は、脱水に対する延長された抵抗性を有する果実を生産することができるペッパー植物を開示する。脱水を計測するために、一般に果実は植物から切り離されて、計量される。完全に色づいた後、経時的に平均重量減少が測定される。
【0065】
他の態様において、本発明のペッパー植物の果実は、植物上に留められた場合に、長期間にわたるクライマクテリック・スポット又は黄斑に対する抵抗性を示す。
【0066】
1つの態様において、5つ以下の黄斑しか示さない場合、果実が許容されるとみなされる。1つの態様において、許容されるスポット・サイズは約2mm以下である。1つの態様において、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約3週間で本発明による植物の果実は5つを超える黄斑を原則的に示さなかった。他の態様において、本発明による植物の果実は、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約4週間、1つの態様において完全に色づいた後約5週間、1つの態様において完全に色づいた後約6週間、1つの態様において完全に色づいた後約8週間で5つを越える黄斑を原則的に示さなかった。
【0067】
対照的に、現在入手可能なペッパー植物の果実は、同じ条件下で植物上に留められた場合に、完全に色づいた後2週間ですでにたくさんのクライマクテリック・スポットを示した。
【0068】
したがって、他の態様において、本発明のペッパー果実は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterの果実よりも長くクライマクテリック劣化に対する抵抗性がある。1つの態様において、本発明のペッパー果実は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterの果実と比べてクライマクテリック劣化に対する高い抵抗性を示した。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的な雑種Sprinterの植物よりもさらに約1週間クライマクテリック劣化に対する抵抗性がある果実を約100%持ち続けることができる。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的な雑種Sprinterの植物よりもさらに約2週間、1つの態様においてさらに約3週間、1つの態様においてさらに約4週間、1つの態様においてさらに約8週間クライマクテリック劣化に対する抵抗性がある果実を約100%持ち続けることができる。
【0069】
1つの態様において、ペッパー果実のクライマクテリック劣化に対する抵抗性は、例えば以下の実施例に説明された条件下、ガラスハウスで栽培した植物で測定される。
【0070】
したがって、本発明は、本発明による延長された保存可能性の形質をその形質を欠く植物に導入することを含む、植物上のペッパー果実の黄斑に対する抵抗性を延長する方法を同様に示す。
【0071】
他の態様において、本発明のペッパー植物の果実は、植物上に留められた場合に、長期間その光沢を保つ。
【0072】
1つの態様において、完全に色づいた約3週間後に、植物に留められた本発明の植物の果実は、以下の実施例で説明の光沢に関する0〜5の等級のレベル2以下で採点されることは原則的になかった。1つの態様において、本発明の果実は、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約4週間、1つの態様において完全に色づいた後約5週間、1つの態様において完全に色づいた後約6週間、等級のレベル2以下で採点されることは原則的になかった。他の態様において、本発明による植物上の果実の約40%が、植物上に留められた場合に、完全に色づいた後約8週間、前記等級のレベル2以下で採点された。
【0073】
対照的に、現在入手可能なペッパー植物の大部分の果実が、同じ条件下で植物上に留められた場合に、完全に色づいた後2週間以内に光沢を失う。
【0074】
したがって、他の態様において、本発明のペッパー果実は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterの果実より長く光沢をもったままである。1つの態様において、本発明のペッパー果実は、果実が植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物、とりわけ商業的に入手可能なペッパー植物、例えば雑種Sprinterの果実と比べて高い光沢を示す。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的な雑種Sprinterの植物よりもさらに1週間、光沢をもったままの果実を約100%持ち続けることができる。1つの態様において、本発明の植物は、果実が植物上に留められた場合に、標準的な雑種Sprinterの植物よりもさらに2週間、1つの態様においてさらに3週間、1つの態様においてさらに4週間、光沢をもったままの果実を約100%持ち続けることができる。
【0075】
1つの態様において、ペッパー果実の光沢は、例えば以下の実施例で説明する条件下、ガラスハウスで栽培された植物で測定される。1つの態様において、ガラスハウスの条件は、標準的なオランダのガラスハウスの条件である。
【0076】
したがって、本発明は、本発明による延長された保存可能性の形質をその形質を欠く植物に導入することを含む、長期間にわたり植物上のペッパー果実の光沢を持たせ続ける方法も開示する。
【0077】
他の態様において、本発明のペッパー果実は、他の現在入手可能なペッパーと比べて肉厚である。果肉(wall)の厚さを、横に切った果実の果肉の最も薄い部分で計測する。本発明の植物の果実は、約6mm〜約8mm、1つの態様において約6.5mm〜約7.5mmの厚さの果肉を有する。
【0078】
他の態様において、本発明の植物の果実は、遅れた成熟を示さない。本発明の植物の果実は、例えば生育条件、又は試験した植物の遺伝的背景に依存してわずかな相違が観察されるかもしれないが、対照植物のそれらに匹敵する時間枠の範囲内で成熟する。特に、本発明のペッパー植物は、標準的なペッパー植物とほぼ同じ時期に実を結び、そして完全に色づく。遅れた果実成熟がないことは、最初の成熟果実の収穫を遅らせることがないので有利な点である。
【0079】
他の態様において、本発明のペッパー植物の果実は、際立った収穫後保存可能性を示す。1つの態様において、本発明のペッパー果実は、約16〜約18℃の温度で保存した場合、収穫後約16〜約24日間、1つの態様において収穫後約18〜約22日間、市場性を有したままである。
【0080】
他の態様において、本発明のペッパー植物は、説明した特徴の1つ以上を示す果実を生産することができる。1つの態様において、本発明のペッパー植物は、高い硬度、しおれに対する高い抵抗性、クライマクテリック劣化に対する高い抵抗性、及び高い光沢から成る特徴の1つ以上を組み合わせて示す果実を生産することができる。したがって、1つの態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、高い硬度としおれに対する高い抵抗性を示す。他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、高い硬度とクライマクテリック劣化に対する高い抵抗性を示す。他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、高い硬度と高い光沢を示す。他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、しおれに対する抵抗性とクライマクテリック劣化に対する高い抵抗性を示す。他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、しおれに対する高い抵抗性と高い光沢を示す。他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、クライマクテリック劣化に対する高い抵抗性と高い光沢を示す。
【0081】
他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、高い硬度、しおれに対する高い抵抗性、及びクライマクテリック劣化に対する高い抵抗性を示す。他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、高い硬度、しおれに対する高い抵抗性、及び高い光沢を示す。他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、高い硬度、クライマクテリック劣化に対する高い抵抗性、及び高い光沢を示す。他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、しおれに対する高い抵抗性、及びクライマクテリック劣化に対する高い抵抗性、並びに高い光沢を示す。
【0082】
他の態様において、本発明の果実は、本願明細書中に記載のとおり、高い硬度、クライマクテリック劣化に対する高い抵抗性、しおれに対する高い抵抗性、及び高い光沢を示す。
【0083】
先に記載の本発明の果実の特徴は、ガラスハウス条件下で計測された。しかし、ペッパー植物は、他の条件下、例えば様々な条件下で露地において栽培される可能性がある。当業者は、異なる成長条件が延長された保存可能性に関して期間の変化をもたらすかもしれないことを理解している。例えば暑く乾燥した条件は、一般に前述の期間の継続時間を短くする一方で、寒い気候と弱い日射は、一般に前述の期間の継続時間を延ばす。そのような異なった条件下で、本発明の果実は、現在入手可能なペッパーと比べての優れた特徴も示す。
【0084】
ペッパー果実が市場性を持ち続けている期間は、本発明の形質が存在するか又は導入されたペッパー植物の遺伝的背景にも依存する。例えば保存可能性の期間の延長は、高い硬度を有する果実を生産する植物ほど一般的に長く、一方で、一般に低い硬度の果実しか生産しない植物ほど顕著さを欠く。そのような異なった遺伝的背景において、本発明の優れた形質を含むペッパー果実が、本発明の形質を含んでいない同程度の背景のペッパー植物の果実と比べて優れた形質を示す。
【0085】
1つの態様において、本発明の形質を含むペッパー植物の果実の保存可能性は、対照として使われた標準的なペッパー植物の果実のそれと比べた時に延長されている。1つの態様において、標準的なペッパー植物は、商業的に入手可能なペッパー品種である。1つの態様において、商業的に入手可能なペッパー品種はSprinterである。
【0086】
したがって、1つの態様において、本発明のペッパー植物の果実の特徴は計測されて、標準的な雑種Sprinter(Enza Zaden、エンクハウゼン、オランダ)と比較される。しかし、他の類似したペッパー植物、例えばExpress(Enza Zadenの赤色雑種)、Pronto(Syngenta Seedsの赤色雑種)、Fiesta(Enza Zadenの黄色雑種)、Derby(de Ruiter、オランダ)、又はFerrari(Enza Zaden、オランダ)を、本願明細書中に記載の測定の好適な基準として使用することができる。
【0087】
1つの態様において、本発明の形質を含むペッパー植物の果実の保存可能性は、その形質を含んでいないペッパー植物のそれと比べた場合に延長されている。他の態様において、本発明のペッパー果実の保存可能性は、その植物と同質遺伝子的ではあるが上記形質を含まないペッパー植物と比べて延長されている。
【0088】
ペッパー果実の特徴は、例えば本願明細書中に開示されたとおり様々な試験を使って計測される。1つの態様において、測定は個々の果実で実施されて、平均が計算される。標準偏差及び信頼区間(例えば、カイ二乗)は、適切な場合に計算される。また、当該技術分野で周知の他の統計ツールが、必要に応じて使われる。植物上の果実のデータは、一般に果実が完全に色づいた後に1週間間隔で記録される。収穫後データは、一般に収穫後毎日記録される。
【0089】
本発明のペッパー果実の特徴は、実施例に記載の方法によって測定された。しかし、当該技術分野で知られて、そして受け入れられている別の方法が、現在入手可能なペッパーと比較した優れた形質を証明するために同様に使用される。同様に、当業者はペッパー果実の他の特徴をどのように計測するか知っている。例えば、ペッパー果実の品質は、Gonzalez-Aguilar et al (1999) Journal of Food Quality 22: 287-299に準ずる1〜9の等級に従って判断される。ペッパー果実の呼吸数は、例えばCO2及びO2濃度を計測することによって計測される。例えば、CO2及びO2濃度は、果実が完全に色づいた後に経時的に、例えば、Gonzalez and Tiznado (1993) Lebensm.-Wiss. u.-Technol. 26: 450-455に記載のプロトコールに従って測定される。果実のエチレン産生は、例えば(Wang (1977) J. Amer. Soc. Hort. Sci. 102: 808-812)に記載のプロトコールを使って、果実が完全に色づいた後に経時的に計測される。可溶性固体、滴定酸性、又はpHは、ペッパー果実が完全に色づいた後に経時的に計測される。例えば、Gonzalez and Tiznado (1993) Lebensm.-Wiss. u.-Technol. 26: 450-455に記載のプロトコールが使用される。ペッパー果実の酵素活性は、完全に色づいた後に計測される。ペクチン分解酵素、例えばポリガラクツロナーゼ又はペクチンエステラーゼの活性は、例えばJen and Robinson (1984) Journal of Food Science 49: 1085-1087中に記載の方法によって測定される。これらの測定は、本発明のペッパー果実の優れた品質を証明することにも使用されうる。
【0090】
本願明細書中の記載の、例えば市場性及び他の形質の試験に基づいて、当業者は、様々な成長条件下で本発明の形質を含むペッパー植物を見分けることができる。
【0091】
したがって、本発明は、ペッパー植物をその植物の果実が完全に色づいた状態に達するまで栽培し、本発明による延長された市場性を示すその果実の市場性を経時的に測定することを含む、本発明のペッパー植物の同定方法を同様に開示する。1つの態様において、前記果実の硬度、しおれに対する抵抗性、クライマクテリック劣化に対する抵抗性、又は光沢は、本願明細書中に記載のとおり経時的に測定される。
【0092】
本発明による代表的なトウガラシ属植物、ペッパー雑種Y1194の種子は、2003年7月31日に登録番号NCIMB 41187の名称でNCIMB、アバディーンAB2 1RY、スコットランド、英国によってブダペスト条約の下で寄託された。雑種Y1194は、本発明の形質に関してヘテロ接合体であり、また遺伝子的雄性不稔に関してもヘテロ接合体である。雑種Y1194は以下の実施例でさらに説明される。
【0093】
保存可能性を有する期間の延長はY1194よりもY1301の方が顕著ではないが、ペッパー雑種Y1301は、現在入手可能な市販のペッパー果実のそれを上回る植物上での延長された保存可能性を有する果実を同様に生産した。
【0094】
本発明による代表的なペッパー植物、ペッパー系統ZORO.27.42.7:DH1004の種子は、2004年8月12日に登録番号NCIMB 41241の名称でNCIMB、アバディーンAB2 1RY、スコットランド、英国によってブダペスト条約の下で寄託された。系統ZORO.27,42.7:DH1004は、二倍性半数体の系統であり、以下の実施例でさらに説明される。
【0095】
1つの態様において、本発明の形質は、登録番号NCIMB 41187の名称で寄託されたペッパー雑種Y1194から得られるか、又は上記形質を含む上記系統の子孫又は先祖から得られる。他の態様において、本発明の形質は、登録番号NCIMB 41187の名称で寄託されたペッパー雑種Y1194から、あるいは上記形質を含む上記系統の子孫又は先祖から得られるか又はそれらに由来する。
【0096】
1つの態様において、本発明の形質は、ペッパー系統ZORO.27.42.7:DH1004から、あるいは上記形質を含む上記系統の子孫又は先祖から得られる。
【0097】
他の態様において、本発明の形質は、ペッパー系統ZORO.27.42.7:DH1004から、あるいは上記形質を含む上記系統の子孫又は先祖から得られるか又はそれらに由来する。したがって、本発明の記載に基づいて、登録番号NCIMB 41187の名称で寄託されたペッパー雑種Y1194又はZORO.27.42.7:DH1004を入手した当業者は、当該技術分野で周知の育種技術を使って本発明の延長された保存可能性の形質を様々なタイプの他のペッパー植物に移行させ、それによってそのペッパー植物の果実の保存可能性を延ばすことに何の困難もない。本発明の形質は、例えば様々なタイプ又は形状、例えば長円錐型のペッパー又はブロッキー・タイプのペッパーを含むピーマン、甘トウガラシ、大きい長方形型のペッパー、円錐型のペッパー、並びに様々な成熟色、例えば赤色、黄色、オレンジ色、又は象牙色の果実を生産するペッパー植物に移行される。
【0098】
したがって、1つの態様において、本発明の植物、トウガラシ植物は、本発明によるピーマン、甘トウガラシ、大きい長方形型のペッパー、円錐型のペッパー、又は長円錐型のペッパーである果実を生産することができる。1つの態様において、本発明の植物は、本発明による赤色、黄色、オレンジ色、又は象牙色のペッパー果実を生産することができる。
【0099】
他の態様において、本発明の形質に関して異なる起源が、例えば本発明の2つの植物を交配することによって、組み合わされる。1つの態様において、雑種Y1194あるいはその先祖又は子孫に由来する本発明の形質が、系統ZORO.27.42.7:DH1004、あるいはその先祖又は子孫に由来する本発明の形質と組み合わされる。1つの態様において、そのような組み合わせに由来する植物の果実の植物上で保存期間は、その親たちと比べた場合にさらに高められる。
【0100】
したがって、他の態様において、本発明は、以下のステップ:a)その形質を含む植物を得;b)それをその形質を欠く植物と交配し;c)ステップb)の交配から植物を得;d)本発明による延長された保存可能性を有する果実を生産することができるステップc)の植物を選ぶ、を含む、本発明による延長された保存可能性の形質をその形質を欠くペッパー植物に移行する方法を開示する。1つの態様において、前記方法は、以下のステップ:e)ステップd)に由来する植物とペッパー植物とを戻し交配し、そしてf)本発明による延長された保存可能性を有する果実を生産することができるペッパー植物を選ぶ、をさらに含む。1つの態様において、前記方法は、本発明による延長された保存可能性を有する果実を生産することができる近交ペッパー植物を得るステップをさらに含み、そして1つの態様において、上記近交ペッパー植物を他のペッパー植物と交配して、本発明による延長された保存可能性を有する果実を生産することができる雑種ペッパー植物を製造するステップをさらに含む。1つの態様において、ペッパー植物は、本願明細書中に記載のとおり、長期間にわたってその果実の市場性、硬度、しおれに対する抵抗性、クライマクテリック劣化に対する抵抗性、又は光沢を測定することによって選ばれる。1つの態様において、前記形質を含むステップa)の植物は、雑種Y1194の植物、又はその植物の子孫若しくは先祖、あるいは系統ZORO.27.42.7:DH1004の植物、又はその植物の子孫若しくは先祖である。1つの態様において、前記形質を含むステップa)の植物は、雑種Y1194の子孫、及び系統ZORO.27.42.7.:DH1004、またはその子孫である。
【0101】
1つの態様において、本発明は、前記方法のいずれか1つによって得ることができるトウガラシ植物(C. annuum plant)を開示し、ここで、上記植物は本願明細書中に記載の果実を生産することができる。
【0102】
さらに他の態様において、本発明は、以下のステップ:a)その形質を含む植物を得;b)それをその形質を欠く植物と交配し;c)ステップb)の交配から植物を得;d)本発明による延長された保存可能性を有する果実を生産することができるステップc)の植物を選ぶ、を含む、その形質を欠くペッパー植物に本発明による延長された保存可能性の形質を含む植物の製造方法を開示する。1つの態様において、前記方法は、以下のステップ:e)ステップd)に由来する植物とペッパー植物とを戻し交配し、そしてf)本発明による延長された保存可能性を有する果実を生産することができるペッパー植物を選ぶ、をさらに含む。1つの態様において、前記方法は、本発明による延長された保存可能性を有する果実を生産することができる近交ペッパー植物を得るステップをさらに含み、そして1つの態様において、上記近交ペッパー植物を他のペッパー植物と交配して、本発明による延長された保存可能性を有する果実を生産することができる雑種ペッパー植物を製造するステップをさらに含む。1つの態様において、ペッパー植物は、本願明細書中に記載のとおり、長期間にわたってその果実の市場性、硬度、しおれに対する抵抗性、クライマクテリック劣化に対する抵抗性、又は光沢を測定することによって選ばれる。1つの態様において、前記形質を含むステップa)の植物は、雑種Y1194の植物、又はその植物の子孫若しくは先祖、あるいは系統ZORO.27.42.7:DH1004の植物、又はその植物の子孫若しくは先祖である。1つの態様において、前記形質を含むステップa)の植物は、雑種Y1194の子孫、及び系統ZORO.27.42.7.:DH1004、またはその子孫である。
【0103】
1つの態様において、本発明は、前記方法のいずれか1つによって得ることができるトウガラシ植物を開示し、ここで、上記植物は本願明細書中に記載の果実を生産することができる。
【0104】
本発明の教示に基づいて、当業者は、本発明による形質について新しい起源を探すための計画を設計できる。例えばそのような計画において、植物は苗床で栽培されて、そして果実の商業的に許容される外観(例えば、硬度、滑らかさ、光沢)を有する系統又は個々の植物を同定するために収穫の最後に採点される。これらの選ばれた系統又は個々の植物の子孫は、次の苗床において同じ特徴に関して、しかし成熟データ(系統の平均、毎週表記法)の追加を伴って採点される。データが陽性のままである場合には、次の苗床がより詳述され、そしてその植物の保存可能性が本願明細書中に記載のとおり採点される。1つの態様において、選ばれた候補は本発明による植物を製造するための育種計画に使用される。
【0105】
他の態様において、本発明は、ペッパー植物の果実の保存可能性を延ばす方法であって、上記ペッパー植物に本発明による形質を導入することを含む方法を同様に開示する。1つの態様において、前記形質は、ペッパー系統Y1194、系統ZORO.27.42.7:DH1004、又は雑種Y1194と系統ZORO.27.42.7:DH1004の子孫に由来するか又はそれらから得られる。1つの態様において、果実は本願明細書中に記載されるようなものである。
【0106】
1つの態様において、本発明は、本願明細書中に記載の果実を生産することができるトウガラシ植物を開示し、ここで、上記植物は、トウガラシ植物を雑種のY1194又はその子孫若しくは先祖の植物と、あるいは系統ZORO.27.42.7:DH1004又はその子孫若しくは先祖の植物と交配し、そして本願明細書中に記載されるような果実を生産することができるトウガラシ植物を選択する処理によって得られる。
【0107】
1つの態様において、本発明による延長された保存可能性の形質を決定する遺伝情報は、優性遺伝子を含む。この遺伝子は、登録番号NCIMB 41187の名称で寄託されたペッパー系統Y1194から、又は上記形質を包含する上記系統の子孫若しくは先祖から得られる遺伝子座上に存在する。1つの態様において、この遺伝子座は、登録番号NCIMB 41187の名称で寄託されたペッパー系統Y1194から、又は上記形質を包含する上記系統の子孫若しくは先祖から得られるか又はそれらに由来する。
【0108】
1つの態様において、本発明による延長された保存可能性の形質を決定する遺伝情報は、雑種Y1194から又は系統ZORO.27.42.7:DH1004から得られる。本発明の教示を使用することによって、そのような遺伝情報を、例えば雑種Y1194、系統ZORO.27.42.7:DH1004、又はその先祖若しくは子孫と、他の植物を交配し、そして上記交配の子孫における本発明の形質の存在を測定することによって他の植物に移行される。
【0109】
形質、特に採点することができる表現型による形質、例えば特別な情況に対する抵抗性を、交配を通じて遺伝学的に追跡することができ、そして形質の分離を上記交配に由来する子孫において採点することができる。これは、例えば形質が優性であるか、劣性であるか、又は部分優性であるかどうか当業者が判断することを可能にする。これは、形質を決定する遺伝子が同じ遺伝子座に存在するか、又は異なる連鎖若しくは又は非連鎖遺伝子座に存在するかどうか当業者が試験することも可能にする。これは、形質が一遺伝子性であるか又は多遺伝子性であるかどうか当業者が試験することも可能にする。
【0110】
例えば、形質に関してホモ接合の植物を、同じ表現型を持った形質に関してホモ接合の「テスター」植物と交配する場合、交配からの子孫は形質の表現型に関して分離しない(1:0の比)。この1:0の比は、形質に関する遺伝子が同じ遺伝子座に又は異なる遺伝子座にある時に記録される。前記交配の第1世代の子孫植物を自家受粉させた場合、1:0の比は、試験した植物と「テスター」植物について同じ遺伝子座の遺伝子に基づいた優性形質に関して観察される。
【0111】
対照的に、15:1の比が、試験した植物について及び「テスター」植物について異なる、非連鎖遺伝子座の遺伝子に基づく優性形質特徴に関して観察される。遺伝子が異なる遺伝子座に存在するが、遺伝学的に関連する場合、比率は一般に1:0〜15:1になる。
【0112】
他の実施例において、優性形質についてヘテロ接合である試験した植物を、同様に同じ表現型を有する優性形質についてヘテロ接合である「テスター」植物と交配した場合、上記交配の子孫は抵抗性表現型に関して3:1を分離する。この3:1比率は、形質についての遺伝子が同じ遺伝子座に又は異なる遺伝子座に存在する場合に記録される。先の交配の第1世代の子孫植物に自家受粉させた場合、個々の植物の第2世代の子孫は、同じ遺伝子座の遺伝子に関して再び3:1で分離した50%の子孫植物、1:0で分離した25%の子孫植物、そして0:1で分離した25%の子孫植物を生じる。試験した植物の非連鎖遺伝子によって、第2世代において、自家受粉後に、個々の植物は、再び3:1で分離した50%の子孫植物、15:1で分離した25%の子孫植物、0:1で分離した25%の子孫植物を生じる(植物は、第2世代において形質に関して固定されなかった)。
【0113】
同様に、例えばホモ接合植物又はヘテロ接合植物の他の組み合わせを用いるか、あるいは前記形質を含まない植物を用いるといった他の交配戦略が使用される。子孫における形質の分離がその後採点される。これらの交配戦略とその対応する分離比は、適当な「テスター」植物をどのように得、そしてどのように使うかも知っており、かつ、そのような交配から得られた分離比をどのように解釈するか知っている当業者に周知である。
【0114】
他の態様において、先に説明された交配スキームが本発明の形質に利用される。
【0115】
市販のペッパーは、一般に2つの親系統の交配(近交)から製造された雑種である。雑種の開発は、一般的にホモ接合近交系統の開発、これらの系統の交配、及び交配の評価を必要とする。系統育種法及び循環選抜育種法が、育種集団から純系を開発するために使われる。育種計画は、自殖及び所望の表現型の選定によってそこから新しい純系が開発される育種プールに2以上の純系又は様々な他の遺伝資源の起源からの遺伝的背景を組み合わせる。新しい純系を他の純系と交配し、この交配からの雑種を評価しそれらが市販の可能性を持っているか判断する。植物育種及び雑種開発は、高価で、かつ、時間がかかる方法である。
【0116】
系統育種は、その各々が他方に欠けている1以上の所望の形質を有するか、又は他方を補完する2つの遺伝子型の交配によって始まる。2つの最初の親が全ての所望の形質を提供しない場合には、他の起源を育種集団に含むことができる。前記系統法において、優れた植物が自殖され、そして代々の世代で選ばれる。成功した世代において、ヘテロ接合状態が、自家受粉と選択の結果として同質系統に変わる。一般に、系統育種法において、5世代以上の自殖及び選択が行われる:F1からF2へ;F3からF4へ;F4からF5へなど。
【0117】
単交雑雑種は、その各々が他の遺伝子型を補完する遺伝子型を有する2つの純系の交配から起こる。第1世代の雑種の子孫はF1と表される。市販の雑種の開発において、F1雑種植物だけが求められる。好ましいF1雑種は、それらの近交の親より力強い。この雑種強勢又はヘテロシスは、高い生長力のある成長及び高い収量を含む、多くの多遺伝子性形質で証明することができる。
【0118】
葯培養によって得られた二倍性半数体の使用によって、ペッパーにおける育種を加速することができる。そのような技術が、規則的な系統育種法より短期間に純系を製造することによる方法を確立する可能性を与える。
【0119】
トウガラシ種内の植物は、容易に他花受粉させることができる。同様に、伝統的な育種技術を使って、例えば市販の系統をさらに得るために、1つのペッパー植物から異なるタイプのペッパー植物を含む他の植物に形質が容易に移行される。優良系統内への形質の遺伝子移入は、例えば循環選抜育種、例えば戻し交配によって達成される。この場合、優良系統(反復親)を、形質を担持する供与近交植物(非反復親)とまず交配させる。その後、この交配の子孫を、反復親に対して戻し交配し、続いてその形質に関して得られた子孫の選択をおこなう。形質に関する選択を伴う3世代、好ましくは4世代、より好ましくは5世代以上の反復親との戻し交配の後に、子孫は耐性を持っている遺伝子座についてはヘテロ接合であるが、他の遺伝子の大部分又はほとんど全てについて反復親に類似する(例えば、本明細書中に援用されるPoehlman & Sleper (1995) Breeding Field Crops, 4th Ed., 172-175; Fehr (1987) Principles of Cultivar Development, Vol. 1: Theory and Technique, 360-376を参照のこと)。形質の選択を各交配の後に実施する。
【0120】
雄性不稔がペッパーにおいて利用可能である。特に、遺伝的雄性不稔が広く市販の系統で使用されている(例えば、Daskaloff S. (1972) Male sterile pepper mutants and their utilization in heterosis breeding.Eucarpia, meetings on genetic and breeding.Turin 1971,205-210を参照のこと)。
【0121】
したがって、1つの態様において、本発明の植物は、近交のもの、雑種、又は二倍性半数体であり、1つの態様において、系統育種又は循環選抜育種によって製造される。1つの態様において、本発明の植物は、商業的に許容される農学的特徴を有する。
【0122】
他の態様において、本発明は、以下のステップ:a)本発明の植物を栽培し;b)上記植物に自家受粉させ;c)上記植物から種子を収穫する、を含む本発明のペッパー植物の種子を生産する方法を開示する。ペッパー植物は、例えば当該技術分野で周知の方法を使った接ぎ木によって栄養繁殖させることも可能である。したがって、本発明は、以下のステップ:a)本発明の植物の一部を収集し;b)上記の植物の一部を他のペッパー植物に接ぎ木する、を含む本発明によるペッパー植物を繁殖させる方法を開示する。1つの態様において、本発明の植物の栄養繁殖方法は、以下の:a)本発明の植物の組織を収集し;b)上記組織を培養して増殖させた芽を得;c)上記の増殖させた芽を根付かせて根付いた苗を得;d)上記の根付いた苗から植物を栽培し;そして上記植物から種子を収穫する、を含む。
【0123】
同様に、本発明のペッパー植物を、例えばUS 5,945,580中に記載のとおり、着目の遺伝子によって遺伝学的に形質転換することができる。
【0124】
本発明の本発明者らは、ペッパー植物の果実を植物上で保存することができることに最初に気付き、それにより果実の収穫を遅らせることができることに気付いた。これは多くの利益を栽培者、及びペッパー取引網の関係者にもたらした。1つの態様において、本発明の植物は、高い果実品質を維持し、かつ、損失を避けると同時に、長い収穫期間をもたらす。同様に、本発明の植物は低い作物収穫頻度をもたらす。よって、本発明は、栽培者が植物あたり又は面積あたり、より高い果実量をより低い頻度で収穫できる可能性を提供する。これは、同じ果実品質を保つと同時に、より良い収穫計画、より良い労働計画、より高い収穫効率、及び収穫につきより多くの成熟した果実をもたらす。ペッパー果実の生産におけるより高い効率と柔軟性が見込まれる。同様に、本発明は、産物のより良い等級付け及び包装の計画、産物のより良い販売及びデリバリーの計画を与え、それにより取引網及び生産原価の損失を実質的に減少させる。
【0125】
1つの態様において、本発明は、市場の需要、ペッパー果実に提示された価格、収穫後保存の利用可能性、労働力の利用可能性、又は消費者への適当な輸送、あるいはその組み合わせに依存して果実の収穫を遅らせることを可能にする。1つの態様において、収穫後保存の使用を避けられるか又は実質的に減少させる。これは、コストを軽減し、かつ、取引網を、例えば小売店に又は顧客の利益まで、さらに下ってペッパーの収穫後保存期間の使用を同様に可能にする。
【0126】
例えば、オランダのブロッキー・タイプペッパーの生産は、急激に変動する。これは、高い生産量の期間中の低い価格と、低い生産量の期間中の高い価格をもたらす。低い価格と高い価格の間の違いは100%以上であるかもしれない。本発明の植物は、要求に応じて供給するためのより良い計画、より安定した収穫を伴うより良い労働計画及びより低い経費、並びに高い生産量の期間中のより良い価格を待つ可能性により、栽培者に利益をもたらす。同様に、これは栽培者が固定価格での一定の収穫を実現することを可能にする。
【0127】
例えば、オランダのガラスハウスにおいて、標準的な収穫は1週間に1回であり、生産量は一般に1m2につき1回の収穫で約0.3〜約2.0kgである。例えば、栽培者は、本発明の植物を栽培することによって、一定期間内に1m2につき1週間で約1kgを収穫することができた。
【0128】
本発明の植物は、新鮮な生産物の一定供給を保障し、そしてより良い計画を有するため、コストを節約できるので、卸業者のためにもなる。1つの態様において、前記卸業者はより高い価格でこれらの製品を提供することもできる。
【0129】
したがって、本発明は、以下のステップ:a)トウガラシ植物を栽培し;b)上記植物に実を結ばせ;c)上記植物上に上記果実を保存する、を含むトウガラシ果実の保存方法をさらに開示する。1つの態様において、前記方法は、以下ステップ:d)上記果実を収穫する、をさらに含む。1つの態様において、前記果実は、その果実が完全に色づいた後約3週間、植物上で保存される。1つの態様において、前記果実は、その果実が完全に色づいた後約4週間、1つの態様において約5週間、1つの態様において約6週間、植物上で保存される。1つの態様において、前記果実の約100%が市場性を有する。1つの態様において、前記のステップa)のトウガラシ植物は、本発明による植物である。1つの態様において、前記果実は本願明細書中に説明される一定期間、植物上で保存される。1つの態様において、前記果実は、本願明細書中に説明される条件下、植物上で保存される。
【0130】
同様に、本発明は、以下のステップ:a)トウガラシ植物を栽培し;b)上記植物に実を結ばせ;c)上記果実の収穫を遅らせ;d)上記果実を収穫する、を含むペッパー果実の収穫時期を延ばす方法をさらに開示する。1つの態様において、前記果実の収穫は、その果実が完全に色づいた後約3週間、1つの態様においてその果実が完全に色づいた後約4週間、1つの態様において約5週間、遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫は、その果実が完全に色づいた後、最長約6週間まで遅らせる。1つの態様において、前記果実の約100%が市場性を有する。1つの態様において、前記のステップa)のトウガラシ植物は、本発明による植物である。1つの態様において、前記果実の収穫は、本願明細書中に説明された期間遅らせる。1つの態様において、前記果実は、本願明細書中に説明された条件下、植物上で保存される。
【0131】
同様に、本発明は、以下のステップ:a)いつトウガラシ植物の果実が完全に色づいた状態に達するかを判断し;b)市場におけるペッパー作物の供給量をペッパー作物の目標供給量と比較し;c)市場におけるペッパー作物の供給量が目標供給量に達したか又はそれを下回るまで果実の収穫を遅らせる決定をする、を含む収穫を決定する方法をさらに開示する。1つの態様において、前記方法は、ペッパー作物の供給量が目標供給量に達したか又はそれを下回った時に果実を収穫するステップをさらに含む。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後、最長6週間まで遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後、最長5週間まで遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後、最長4週間まで遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも3週間遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも4週間遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも3週間遅らせ、ここで上記果実の約100%が市場性を有したままである。1つの態様において、前記果実に収穫を、その果実が完全に色づいた後、最長4週間まで遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも3週間遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後の少なくとも4週間遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも4週間遅らせて、ここで上記果実の約90%が市場性を有したままである。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも5週間遅らせ、ここで上記果実の約90%が市場性を有したままである。1つの態様において、前記トウガラシ植物は本発明による植物である。1つの態様において、前記果実の収穫は、本願明細書中で説明した期間遅らせる。1つの態様において、前記果実は、本願明細書中で説明した条件下、植物上に保存される。
【0132】
同様に、本発明は、以下のステップ:a)いつトウガラシ植物の果実が完全に色づいた状態に達するかを判断し;b)市場のペッパー果実の価格をペッパー果実の目標価格と比較し;c)市場のペッパー果実の価格が目標価格に達するか又はそれを超えることを期待して果実の収穫を遅らせる決定をする、を含む収穫を決定する方法をさらに開示する。1つの態様において、前記方法は、ペッパー果実の価格が目標価格に達したか又はそれを超えた時に果実を収穫するステップをさらに含む。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後、最長6週間まで遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後、最長5週間まで遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後、最長4週間まで遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも3週間遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも4週間遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも3週間遅らせ、ここで上記果実の約100%が市場性を有したままである。1つの態様において、前記果実に収穫を、その果実が完全に色づいた後、最長4週間まで遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも3週間遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも4週間遅らせる。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも4週間遅らせ、ここで上記果実の約90%が市場性を有したままである。1つの態様において、前記果実の収穫を、その果実が完全に色づいた後少なくとも5週間遅らせ、ここで上記果実の約90%が市場性を有したままである。1つの態様において、前記トウガラシ植物は本発明による植物である。1つの態様において、前記果実の収穫は、本願明細書中で説明した期間遅らせる。1つの態様において、前記果実は、本願明細書中で説明した条件下、植物上に保存される。
【0133】
他の態様において、収穫の決定は、その果実の収穫への労働力の利用可能性を、若しくはそのペッパー果実を第三者に輸送する手段の利用可能性を、又はその両方を評価した後に、あるいは市場での作物の供給量若しくは価格、又はその両方に関連して決定する。
【0134】
他の態様において、本発明は、以下のステップ:a)いつトウガラシ植物の果実が完全に色づいた状態に達するかを判断し;b)市場のペッパー作物の価格をペッパー作物の目標価格と比較し;c)市場のペッパー作物の価格が上記目標価格に届くか又はそれを超えるまで上記果実の収穫を遅らせ;d)上記ペッパー作物を上記目標価格で又はそれより高く販売する、を含むペッパー作物の収益を増やす方法を開示する。1つの態様において、前記トウガラシ植物は本発明による植物である。
【0135】
他の態様において、本発明は、以下のステップ:a)関係者にペッパー植物の栽培を委託し;b)市場のペッパー果実の供給量を設定レベルと比較し;c)上記市場のペッパー果実の供給量が上記設定レベルを下回った時に、上記植物から果実を収穫するように上記関係者に指示する、を含むペッパー産物の供給を確保する方法を開示する。1つの態様において、前記ペッパー果実は、完全に色づいた後、少なくとも3週間植物上で保存され、ここで上記果実の約100%が依然として市場性を有している。1つの態様において、前記ペッパー植物は本発明による植物である。1つの態様において、前記関係者は栽培者である。
【0136】
他の態様において、本発明は、以下のステップ:a)関係者に一定期間にわたるペッパー果実の一定供給の提供を委託し;b)上記関係者に上記期間にわたる上記ペッパー果実の一定供給の提供に対する報奨金を支払う、を含む市場における新鮮な産物の供給を確保する方法を開示する。1つの態様において、前記関係者は栽培者である。1つの態様において、前記ペッパー果実が本発明による植物の果実である。
【0137】
本願明細書中に引用された全ての参考文献の全体を本明細書中に援用する。
以下の実施例は、本発明の利用の説明を提供することを目的とする。以下の実施例は、本発明の範囲を完全に規定するか、又はその反対で制限することを目的としない。
【実施例】
【0138】
実施例1:ペッパー雑種Y1194の育種履歴
ペッパー雑種Y1194は、オランダのSyngenta Seedsによって開発された雄性不稔F1雑種である。それはスイート・ベル型の生食用ペッパーである。
【0139】
Y1194の雌性の親は、独自のSyngenta Seeds系統である雄性不稔4P181系統である。4P181系統は、市販の雑種FIESTA(Enza Zaden、エンクハウゼン、オランダ)の7世代の自家受粉によって得られた。
【0140】
Y1194の雄性の親は、同様に独自のSyngenta Seeds系統である4P287系統である。4P287系統は、以下の一連の交配によって得られた。ペッパー・マイルド・モットル・ウイルスに対する耐性を与えるためにL3遺伝子を含むde Ruiter(ベルフスヘンフーク、オランダ)のブロッキーな黄色ペッパー雑種由来である独自のSyngenta Seeds系統である9948系統を、Syngenta Seedsの市販の雑種BLONDYと交配させた。この交配の子孫を、3世代で自家受粉させた。得られた子孫の1つを、FIESTAの3世代の自家受粉から得られた子孫の1つと交配させた。後の交配から得られた子孫を、6世代にわたり自家受粉させて、4P287系統を得た。
【0141】
実施例2:ペッパー系統Y1194の説明
雑種Y1194の説明を表1に示す。以下の特徴は、ガラスハウスで栽培された植物について記録された。
【0142】
【表1】

【0143】
【表2】

【0144】
実施例3: ペッパー植物の栽培条件
植物を、オランダのガラス温室で栽培した。播種を、ロックウール・プラグを使った標準的な方法に従っておこなった(Tray T 240, plug PL 2027、クルチレン、ブライスワイク、オランダ)。2週間後に、苗木を10cmのロックウール・ブロック(注文番号B0353、クルチレン、ブライスワイク、オランダ)に移植した。播種の5週間後に、前記移植した苗木を、幅6.40mのガラスハウス建造物につき8列、1平方メートルにつき3本の植物、そして1本の植物につき2本の茎の標準的なオランダの栽培システムに従って、200×20×10cmのロックウール・スラブ(クルチレン、ブライスワイク、オランダ)に植えた。
【0145】
前記ガラスハウス内の平均栽培条件は、以下の通りだった:
日中の平均温度:23.3℃、夜間の平均温度:18.5℃、24時間の平均温度:21.1℃
日中の平均相対湿度:74.4%、夜間の平均相対湿度:78.7%、24時間の平均相対湿度:75.6%
日中の平均CO2濃度:500ppm、夜間の平均CO2濃度:578ppm、24時間の平均CO2濃度:536ppm
【0146】
実施例4:雑種Y1194植物のペッパー果実の植物上での延長された保存可能性
実施例3で前述のとおり植物を栽培した。黄色い果実を生産する雑種Y1194を、赤い果実を生産する標準的な雑種Sprinterと比較した。着果の観察を、1つの系統につき8つの植物で、合計で1つの系統につき約30個の果実についておこなった。最初の着果は、Y1194では播種後9週間に、そしてSprinterでは播種後10週間に観察された。植物上で完全に色づいた最初の果実は、Y1194で播種後16週間に、そしてSprinterで播種後17週間に観察された。サイズが1〜2cmの着果した果実に各週の初めに標識し、そしてその週数を書き留めた。1つの植物につき合計で少なくとも5個の果実を、実験を通して追跡調査した。
【0147】
これらの果実に関して果実が色づき始めた時点で、それらの果実の各週数の全カラー・ステージの初めにその週数を書き留めた。完全に色づいた時点で市場性を有しているとみなされた果実だけ追跡調査し、そして採点した。
【0148】
4.1.植物上に留められた果実の市場性
表2は、Y1194とSprinterについて植物上で完全に色づいた後の数週間について市場性を有している果実のパーセンテージを示す。市場性を有した果実を、それらの外観について、及びどのように消費者に訴えるかで判断した。
【0149】
完全に色づいた後に、毎週、各果実を視覚的に調査した。1つの系統につき約30個の果実を追跡調査した。
【0150】
【表3】

【0151】
表2は、Y1194の果実の約100%が植物上で完全に色づいた後6週間で依然として市場性を有していることを示す。これは、Sprinterの果実と比べてY1194の果実の延長された保存可能性を示す。
【0152】
4.2.植物上に留められた果実の硬度
表3は、植物上で完全に色づいた後の数週間についてY1194とSprinterの果実の硬度を示す。完全に色づいた後に、各果実を硬度について手で確認し、以下に記載のとおり0〜9の等級で採点した。1つの雑種につき約20個の果実を追跡調査した。
【0153】
【表4】

【0154】
表3は、Y1194の果実の約100%が完全に色づいた後6週間それらの硬度を維持しており、Sprinterと比べた場合にY1194の果実の硬度が長期間維持されることを示す。
【0155】
ペッパー果実の硬度を、以下の0〜9までの範囲の等級によって手で採点した:
0:非常に柔らかい
1:かなり柔らかい、指圧に対して非常に限られた抵抗
2:例えばF1雑種Orobelle(Syngenta Seeds)のように、「スポンジ状の」堅さ
3:弾力がある〜スポンジ状の中間
4:例えばF1雑種Volga(Syngenta Seeds)のように、弾力があるが、高い指圧に対する抵抗性なし
5:適度な中程度の硬度
6:例えばスペインの冬期条件で栽培したF1雑種Roxy(Syngenta Seeds)のように、優れた硬度
7:優れた硬度、高い指圧に対して果肉のわずかな変形
8:非常に堅い、「石のようなペッパー」とも言われる、高い指圧に対して果肉の変形がほとんどない
9:非常に堅い、「石のようなペッパー」とも言われる、高い指圧に対して果肉が完全に抵抗する
【0156】
あるいは、1〜5の等級を、(Miller et al. (1983) Proc. Fla. State Hort. Soc. 96: 345-350)中、又は(Gonzalez-Aguilar et al (1999) Journal of Food Quality 22: 287-299)中に記載のとおり果実の硬度を測定するために使用する。この1〜5の等級は、果実の硬度を以下のとおり規定する:1=軟弱、2=わずかに堅い、3=適度に堅い、4=堅い、5=非常に堅い
あるいは、果実の硬度は、例えばGonzalez and Tiznado (1993) Lebensm.-Wiss. u.-Technol. 26: 450-455中に記載のとおり、硬度テスターを使って計測される。そこに記載された硬度テスターは、Chatillon Model DFG 50(John Chatillon & Sons, Inc.、ニューヨーク、NY)である。追加の硬度テスターが、Hampshire-TJ et al. American-Society-of-Agricultural-Engineers. 1987, No. 87-6005, 19pp中にも記載されている。
【0157】
4.3.植物上に留められた果実のしおれ
表4は、植物上で完全に色づいた後の数週間についてY1194の果実と、Sprinterの果実についてのしおれを示す。完全に色づいた後に、各果実を、先に記載のとおり1〜5の等級で採点した。1つの雑種につき約20個の果実を追跡調査した。
【0158】
【表5】

【0159】
前記表は、先の等級の4以下に採点された果実のパーセンテージを示す。原則的に、完全に色づいた後6週間でしぼみを示したY1194の果実はない。果実のしおれを、以下の等級に従って測定した:
等級: 5 滑らか
4 表面の20%がしおれの影響を受けている
3 表面の40%がしおれの影響を受けている
2 表面の60%がしおれの影響を受けている
1 表面の80%がしおれの影響を受けている
0 表面の100%がしおれの影響を受けている
【0160】
4.4.植物上に留められた果実のクライマクテリック劣化に対する抵抗性
表5は、植物上で完全に色づいた後の数週間について記録したY1194とSprinterの果実のクライマクテリック劣化に対する抵抗性を記載する。
【0161】
【表6】

【0162】
表5は、5つを超える黄斑を示す果実のパーセンテージを示す。1つの雑種につき20個の果実を観察した。表5は、植物上で完全に色づいた後8週間、原則的にY1194の全ての果実が1個の果実につき5つ未満の黄斑しか示していないことを示す。
【0163】
4.5.植物上に留められた果実の光沢
表6は、植物上で完全に色づいた後の数週間についてY1194とSprinterの果実の光沢を記載する。
【0164】
【表7】

【0165】
表6は、先に記載の0〜5の等級で2以下に採点された果実のパーセンテージを示す。1つの雑種につき20個の果実を観察した。表6は、完全に色づいた後6週間、原則的に全てのY1194の果実が許容される光沢を示すことを示す。果実の光沢を以下の等級に従って視覚的に測定した:
等級: 5 光っていて、みずみずしく見える
4 果実表面の約90%がまだ光っている
3 果実表面の約70%がまだ光っている
2 果実表面の約50%がまだ光っている
1 果実表面の約20%がまだ光っている
0 光っておらず、「古く」見える
前記等級の3以上のレベルが、許容されるとみなされる。
【0166】
実施例5:ペッパー果実の果肉(wall)の厚さ
ペッパー植物の成熟した果実を切り開いた。前記果実の果肉の厚さを、その果実の果肉の最も薄い部分で計測した。1つの雑種につき10個の成熟した果実を計測して、6つの雑種の果実を計測した。果実のサイズは、幅が70〜85mmの間で異なった。
【0167】
計測は暑い夏の条件でおこなった。春条件において、果肉がより厚いことが一般に予想される。
【0168】
雑種: 厚さ(mm): 注釈:
Sprinter 5.3 Y1194よりわずかに小さい平均的な果実サイズ
Y1194 6.92
Y1301 7.33 平均してY1194より大きい果実
Ottavo 5.10 薄い果肉で知られるSyngenta Seedsの黄色雑種
Bossanova 5.80 低い収穫後保存可能性で知られるRijk Zwaan
(エンクハウゼン、オランダ)の雑種
Troppo 4.92 低い収穫後保存可能性と薄い果肉で知られる
Syngenta Seedsの赤色雑種
【0169】
実施例6:Y1194の果実の収穫後の市場性
雑種Y1194のペッパー植物を、実施例3に記載のとおり栽培した。成熟したペッパー果実を、収穫直後に約16〜約18℃で保存し、収穫後10〜12、16〜18、及び22〜24日で評価した。雑種Y1194の果実は市場性を保っていた。
【0170】
実施例7:Y1194の果実の収穫後の保存可能性
雑種Y1194のペッパー植物を、実施例3に記載のとおり栽培した。成熟したペッパー果実を、収穫直後に約16〜約18℃で保存した。前記果実を、収穫後から開始して収穫後40日目まで毎日評価した。ペッパー果実の特徴、とりわけ市場性、硬度、しおれに対する抵抗性、クライマクテリック劣化に対する抵抗性、光沢を、本願明細書中に記載のとおり計測した。
【0171】
実施例8:Y1301の果実の収穫後の保存可能性
雑種Y1301のペッパー植物を、実施例3に記載のとおり栽培した。成熟したペッパー果実を、収穫直後に約16〜約18℃で保存した。前記果実を、収穫後から開始して収穫後40日目まで毎日評価した。ペッパー果実の特徴、とりわけ市場性、硬度、しおれに対する抵抗性、クライマクテリック劣化に対する抵抗性、光沢を、本願明細書中に記載のとおり計測した。
【0172】
実施例9:典型的なペッパー取引網における収穫後の保存可能性
ペッパー植物を先の実施例3に記載のとおり露地で、又はガラスハウス内で栽培した。ペッパー果実を、果実が消費者に届くまでの典型的なペッパー取引網に相当する以下の条件にさらした。
【0173】
収穫、畑、(25〜30℃)、0.5〜0.5日
包装、パッキング・ステーション、18℃、0.5〜1日
予冷、チャンバー、8℃、0.25〜0.5日
輸送、保冷トラック、10℃、2〜3日
受け取り、スーパーマーケットのプラットフォーム、12℃、0.5〜1日
販売、スーパーマーケット、17〜18℃、1〜2日
消費、家/冷蔵庫、5〜18℃、1〜4日
【0174】
本願明細書中に記載のとおり、果実の市場性を、各ステップの後、及び実験の終わりで測定する。同様に、本願明細書中に記載のとおり、果実の他の特徴、例えば果実の硬度、クライマクテリック・スポットの有無、光沢、又は果実のしおれを、各ステップの後、及び実験の終わりで測定する。
【0175】
ペッパー系統Y1194の果実を評価する。
ペッパー系統Y1301の果実を評価する。
【0176】
実施例10:雑種Y1301のペッパー果実の植物上での延長された保存可能性
雑種Y1301のペッパー植物を、先の実施例3に記載のとおり栽培する。Y1301の果実の保存可能性を、先の実施例4に記載のとおり測定する。
【0177】
実施例11:ペッパー植物の栽培条件
植物を、以下の平均栽培条件を用いて、実施例3に従ってオランダのガラス温室内で栽培した:
日中の平均温度:25.2℃、夜間の平均温度:20.3℃、24時間の平均温度:23.5℃
日中の平均相対湿度:69%、夜間の平均相対湿度:80%、24時間の平均相対湿度:73%
日中の平均CO2濃度:596ppm、夜間の平均CO2濃度:502ppm、平均CO2濃度:563ppm
【0178】
実施例12:雑種Y1194のペッパー果実の植物上での延長された保存可能性
植物を実施例11において先に記載のとおり栽培した。標準的な品種Sprinterの果実、雑種Y1194、及び雑種Y1194のF3子孫植物を評価した。同じF2植物を起源とするF3子孫植物を、一緒にまとめた(5865〜5869)。最初の着果は、Y1194については播種の9週間後に、及びSprinterについては播種の10週間後に観察された(F3植物はどうなったか?)。植物上で完全に色づいた最初の果実は、Y1194について播種の16週間後に、及びSprinterについて播種の17週間後に観察された。1〜2cmのサイズの着果した果実を、毎週の初めに標識し、そしてその週数を書き留めた。
【0179】
これらの果実に関して果実が色づき始めた時点で、それらの果実の各週数の全カラー・ステージの初めにその週数を書き留めた。完全に色づいた時点で市場性を有しているとみなされた果実だけ追跡調査し、そして採点した。Y1194の8つの果実について果実腐敗病(fruitrot)のいくつかの徴候を示したが、研究及び以下の表に組み入れたことを留意する。果実腐敗病の徴候は、一般に、これらの果実に与えられたスコアを下げた。
【0180】
植物上に留められた果実の市場性
表7は、Sprinter、Y1194、及びY1194のF3子孫植物の5つのグループについて、植物上で完全に色づいた後の数週間について市場性を有している果実のパーセンテージを示す。市場性を有した果実を、それらの外観、及びそれらがどのように消費者に訴えるかで判断した。特に、本願明細書中に記載のとおり、硬度の不足、しおれ、クライマクテリック劣化、又は光沢の不足が観察された場合、その果実が市場性をもたないと判断した。
【0181】
完全に色づいた後に、各果実を毎週確認した。下記の数の植物及び果実を評価して、表7に報告する:
Sprinter:4つの植物、22個の果実;Y1194:8つの植物、44個の果実;5865:6つの植物、31個の果実;5866:6つの植物、29個の果実;5867:5つの植物、22個の果実;5868:6つの植物、39個の果実;5869:4つの植物、20個の果実
【0182】
【表8】

【0183】
表7は、例えばY1194の果実の約100%が植物上で完全に色づいた後4週間でもなお市場性を有しており、そしてY1194の果実の約90%が植物上で完全に色づいた後5週間でもなお市場性を有していることを示す。これは、Sprinterの果実と比べてY1194の果実の延長された保存可能性を示す。同様に、表7は、植物上での延長された保存可能性の形質が雑種Y1194の子孫に伝えられることも示す。例えば、第5869群の植物の果実の約100%が植物上で完全に色づいた後5週間でもなお市場性を有しており、そして第5869群の植物の果実の約90%が植物上で完全に色づいた後6週間でもなお市場性を有している。
【0184】
表8
表8のデータは、表7で使用した果実の生データを示す。表8の数字は、評価された果実がそれ以後市場性をもたなくなる週数を示した。例えば、「5」は、果実が5週間後には市場性をもたないことを意味する。Y1194を、二つに異なる畑で栽培した(5801と5907)。
【0185】
【表9】

【0186】
【表10】

【0187】
実施例14:ペッパー系統ZORO.27.42.7:DH1004系統の育種履歴
ZORO.27.42.7:DH1004は、(ニューメキシコ州立大学から入手した)ハラペーニョのメキシコ在来品種87C307由来のハラペーニョ系統を赤色又は黄色のブロッキー系統と3回交配することによって得られた。前記交配で使われたハラペーニョ系統は、完全に色づく前の緑色の段階で収穫される果実を生産する市販のハラペーニョ品種Firenza(Syngenta Seeds)の親である。F1植物(ハラペーニョ×ブロッキー)を2つの黄色のブロッキー系統由来のF2植物と交配した。得られた子孫植物を、ROXY(Syngenta Seeds)の雄性の親と交配し、そして得られた子孫を4回自家受粉させた。
【0188】
実施例15:ZOR0.27.42.7:DH1004(ZORO 1004)及びZORO.27.42.7:DH1005(ZORO 1005)系統のペッパー果実の植物上での延長された保存可能性
系統ZORO 1004及びZORO 1005は、同じ原系統に由来する二倍性半数体系統である。植物を実施例11で先に記載のとおり栽培した。最初の着果は播種の9週間後に観察された。植物上で完全に色づいた最初の果実は、播種の16週間後に観察された。1〜2cmのサイズの着果した果実を、毎週の初めに標識し、そしてその週数を書き留めた。
【0189】
完全に色づいた時点で市場性を有しているとみなされた果実のみ追跡調査し、そして採点した。果実腐敗病のものがあったが、研究及び以下の表に組み入れたことに留意する。
【0190】
植物上に留められた果実の市場性
表9は、系統ZORO 1004及びZORO 1005に関して、植物上で完全に色づいた後の数週間について市場性を有している果実のパーセンテージを示す。市場性を有した果実を、それらの外観、及びそれらがどのように消費者に訴えるかについて判断した。特に、本願明細書中に記載のとおり、硬度の不足、しおれ、クライマクテリック劣化、又は光沢の不足が観察された場合、果実は市場性を有していないと判断した。
【0191】
完全に色づいた後に、各果実を毎週確認した。以下の数の植物と果実を評価し、そして表7に報告した:
ZORO1004:4つの植物、22個の果実;ZORO1005:4つの植物、25個の果実
【0192】
【表11】

【0193】
表9は、例えば系統ZORO 1004及びZORO 1005の果実の約100%が、植物上で完全に色づいた後5週間でもなお市場性を有しており、そして系統ZORO 1004及びZORO 1005の果実の約85%が植物上で完全に色づいた後6週間でもなお市場性を有していることを示している。
【0194】
表10
表10のデータは、表9で使用した全ての果実に関する生データを、表7に記載のとおり示している。
【0195】
【表12】

【0196】
実施例16:Y1194の雄性の親の子孫、及び系統ZORO.27.42.7:DH1004の前駆体のペッパー果実の植物上での延長された保存可能性
植物を、実施例11で先に記載のとおり栽培した。Y1194の雄性の親を、二倍性半数体化処理の前に系統ZORO.27.42.7:DH1004の前駆体と交配させた。特定の群(5870〜5885)の植物は、交配からの同じF1植物に由来するF3植物である。
【0197】
完全に色づいた時点で市場性を有しているとみなされた果実だけを追跡調査し、そして採点した。5873の畑において、果実腐敗病の1つの植物が観察された。
【0198】
植物上に留められた果実の市場性
表11は、植物上で完全に色づいた後の数週間について市場性を有している果実のパーセンテージを示す。市場性を有した果実を、それらの外観、及びそれらがどのように消費者に訴えるかで判断した。特に、本願明細書中に記載のとおり、硬度の不足、しおれ、クライマクテリック劣化、又は光沢の不足が観察された場合、その果実が市場性を有していないと判断した。
【0199】
完全に色づいた後で、各果実を毎週視覚的に確認した。以下の数の植物と果実を評価し、そして表11に報告した:
5870:4つの植物、27個の果実;5871:4つの植物、16個の果実;5872:6つの植物、46個の果実;5873:6つの植物、45個の果実;5874:6つの植物、38個の果実;5875:5つの植物、44個の果実;5876:6つの植物、36個の果実;5877:3つの植物、22個の果実;5878:4つの植物、25個の果実;5879:6つの植物、42個の果実;5880:6つの植物、22個の果実;5881:4つの植物、21個の果実;5882:6つの植物、32個の果実;5883:6つの植物、31個の果実;5884:3つの植物、13個の果実;5885:6つの植物、34個の果実
【0200】
【表13】

【0201】
表11は、例えば第5870群の植物の果実の約100%が、植物上で完全に色づいた後6週間でもなお市場性を有しており、そして第5870群の植物の果実の約90%が、植物上で完全に色づいた後7週間でもなお市場性を有していることを示している。
【0202】
表12
表12のデータは、表11で使用した全ての果実に関する生データを、表7に記載のとおり示している。
【0203】
【表14】

【0204】
【表15】

【0205】
【表16】

【0206】
実施例17:Y1194の雌性の親の子孫、及び系統ZORO.27.42.7:DH1004の前駆体のペッパー果実の植物上での保存可能性
植物を、実施例11で先に記載のとおり栽培した。Y1194の雌性の親を、二倍性半数体化処理の前に系統ZORO.27.42.7:DH1004の前駆体と交配させた。特定の群(5886〜5897)の植物は、交配からの同じF1植物に由来するF3植物である。
【0207】
最初の着果は、播種の9週間後に観察された。植物上で完全に色づいた最初の果実は、播種の16週間後に観察された。1〜2cmのサイズの着果した果実を、毎週の初めに標識し、そしてその週数を書き留めた。
【0208】
完全に色づいた時点で市場性を有しているとみなされた果実だけを追跡調査し、そして採点した。
【0209】
植物上に留められた果実の市場性
表13は、植物上で完全に色づいた後の数週間について市場性を有している果実のパーセンテージを示す。市場性を有した果実を、それらの外観、及びそれらがどのように消費者に訴えるかで判断した。特に、本願明細書中に記載のとおり、硬度の不足、しおれ、クライマクテリック劣化、又は光沢の不足が観察された場合、その果実が市場性を有していないと判断した。
【0210】
完全に色づいた後で、各果実を毎週視覚的に確認した。以下の数の植物と果実を評価し、そして表13に報告した:
5886:6つの植物、33個の果実;5887:6つの植物、58個の果実;5888:6つの植物、43個の果実;5889:6つの植物、59個の果実;5890:6つの植物、38個の果実;5891:6つの植物、39個の果実;5892:5つの植物、37個の果実;5893:5つの植物、38個の果実;5894:5つの植物、37個の果実;5895:4つの植物、25個の果実;5896:6つの植物、56個の果実;5897:5つの植物、20個の果実
【0211】
【表17】

【0212】
表13は、例えば第5886群の植物の果実の約100%が、植物上で完全に色づいた後6週間でもなお市場性を有しており、そして第5870群の植物の果実の約90%が、植物上で完全に色づいた後7週間でもなお市場性を有していることを示している。
【0213】
【表18】

【0214】
【表19】

【0215】
【表20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全に色づいた後の植物上での延長された保存可能性を示す果実を生産することができるトウガラシ植物。
【請求項2】
前記果実が、植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物の果実と比べて約1週間の延長された市場性を示す、請求項1に記載の植物。
【請求項3】
前記果実が、植物上に留められた場合に、標準的なペッパー植物の果実と比べて約2週間の延長された市場性を示す、請求項1に記載の植物。
【請求項4】
前記植物が、当該植物上に留められた場合に、完全に色づいてから約5週間〜最長約11週間、市場性を有したままである果実を生産することができる、請求項1に記載の植物。
【請求項5】
前記植物が、当該植物上に留められた場合に、完全に色づいてから約6週間〜最長約11週間、市場性を有したままである果実を生産することができる、請求項1に記載の植物。
【請求項6】
植物上に留められた場合に、前記果実の約100%が、完全に色づいてから約3週間〜最長約6週間、市場性を有している、請求項1に記載の植物。
【請求項7】
植物上に留められた場合に、前記果実の約100%が、完全に色づいてから約4週間〜最長約6週間、市場性を有している、請求項1に記載の植物。
【請求項8】
植物上に留められた場合に、前記果実の約90%が、完全に色づいてから約4週間〜最長約7週間、市場性を有している、請求項1に記載の植物。
【請求項9】
植物上に留められた場合に、前記果実の約90%が、完全に色づいてから約5週間〜最長約7週間、市場性を有している、請求項1に記載の植物。
【請求項10】
植物上に留められた場合に、前記果実の約100%が、完全に色づいてから約3週間〜最長約6週間、硬度を保っているか、しおれていないか、5つ以下の黄斑しか示さないか、又は光沢を保っている、請求項1に記載の植物。
【請求項11】
植物上に留められた場合に、前記果実の約100%が、完全に色づいてから約4週間〜最長約6週間、硬度を保っているか、しおれていないか、5つ以下の黄斑しか示さないか、又は光沢を保っている、請求項1に記載の植物。
【請求項12】
植物上に留められた場合に、前記果実の約100%が、完全に色づいてから約3週間〜最長約6週間、硬度を保っているか、しおれていないか、5つ以下の黄斑しか示さないか、又は光沢を保っている、請求項1に記載の植物。
【請求項13】
前記植物の果実が、甘トウガラシ、ピーマン、大きい長方形のペッパー、円錐形のペッパー、長円錐形のペッパー、又はブロッキー・タイプのペッパーである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の植物。
【請求項14】
前記植物の果実が、黄色、オレンジ色、象牙色、又は赤色である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の植物。
【請求項15】
前記植物が、近交のもの、二倍性半数体、又は雑種である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の植物。
【請求項16】
前記植物が雄性不稔である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の植物。
【請求項17】
前記延長された保存可能性を、代表的な種子が登録番号NCIMB 41187の名称で寄託されている雑種Y1194から、又は代表的な種子が登録番号NCIMB 41241の名称で寄託されている系統ZORO.27.42.7:DH1004から、あるいは上記延長された保存可能性を包含するその子孫又は先祖から得ることができる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の植物。
【請求項18】
請求項の1〜17のいずれか1項に記載の植物の種子。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の植物の胚珠、花粉、又は胚。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の植物の果実。
【請求項21】
植物上での延長された保存可能性を示す、請求項20に記載の果実。
【請求項22】
植物上での延長された保存可能性を、その延長された保存可能性を欠くトウガラシ植物の果実に与えるための、代表的な種子が登録番号NCIMB 41187の名称で寄託されている雑種Y1194、又は代表的な種子が登録番号NCIMB 41241の名称で寄託されている系統ZORO.27.42.7:DH1004から入手することができる遺伝子の使用方法。
【請求項23】
完全に色づいた後の植物上での延長された保存可能性を示す果実を生産することができるトウガラシ植物であって、トウガラシ植物を、代表的な種子が登録番号NCIMB 41187の名称で寄託されている雑種Y1194の植物、又は代表的な種子が登録番号NCIMB 41241の名称で寄託されている系統ZORO.27.42.7:DH1004の植物、あるいはその子孫と交配し;そして完全に色づいた後の植物上での延長された保存可能性を有する果実を生産することができるステップb)の植物を選ぶことによって得ることができる前記植物。
【請求項24】
以下のステップ:
(a)請求項1〜17のいずれか1項に記載の植物を栽培し;
(b)上記植物に実を結ばせ;そして
(c)植物上での延長された保存可能性を有する上記植物の果実を収穫する、
を含む植物上での延長された保存可能性を有するペッパー果実の生産方法。
【請求項25】
以下のステップ:
a)請求項1〜17のいずれか1項に記載のトウガラシ植物を栽培し;
b)上記植物に実を結ばせ;そして
c)上記果実が完全に色づいてから約3週間、上記植物上にその果実を保存する、
を含むペッパー果実の保存方法。
【請求項26】
約100%が市場性を有する前記果実を収穫するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
以下のステップ:
(a)請求項1〜17のいずれか1項に記載のトウガラシ植物を栽培し;
(b)上記植物の果実を収穫し;そして
(c)上記果実から種子を取り出す、
を含むペッパー種子の生産方法。
【請求項28】
以下のステップ:
(a)いつトウガラシ植物の果実が完全に色づいた状態に達するかを判断し;
(b)市場のペッパー果実の供給量を、ペッパー果実の目標供給量と比較し;
(c)市場のペッパー果実の供給量が目標供給量に達するか、又はそれより低くなるまで収穫を遅らせる決定をし、ここで、上記果実の収穫を、その果実が完全に色づいてから約3週間〜最長約6週間まで遅らせる、
を含む収穫を決定する方法。
【請求項29】
前記植物が、請求項1〜17のいずれか1項に記載の植物である、請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2007−502105(P2007−502105A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523001(P2006−523001)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009127
【国際公開番号】WO2005/015984
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】