説明

新規ポリペプチド

【課題】本発明は、PHA−活性化リンパ球、内皮細胞、または樹状細胞(DC)から単離されたポリペプチド(タンパク質)をコードするポリヌクレオチドを提供することを課題とする。本発明は、また、このようなポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド(タンパク質)の作用を阻害または活性化することを課題とする。
【解決手段】単離DINO遺伝子およびポリペプチド;このようなポリペプチド/タンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストを同定する方法におけるそれらの使用;ならびにこのようなポリペプチド/タンパク質のアンタゴニストまたはアゴニストおよび医薬としてのその使用の提供により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PHA−活性化リンパ球、内皮細胞、または樹状細胞(DC)から単離されたポリペプチド(タンパク質)をコードするポリヌクレオチドに関する。本発明は、また、このようなポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド(タンパク質)の作用を阻害または活性化することに関する。
【背景技術】
【0002】
内皮細胞(EC)は、大小の血管の内部表面を構成し、そして基底組織(underlying tissue)への免疫系細胞の遊出を仲介する。刺激されていないECは、遮られていない血流を保証する抗凝血性表面を表す。TNFα、IL−1またはリポポリサッカライド(LPS)のような炎症メディエーターで刺激すると、ECは細胞接着分子(例えば、E−セレクチン、ICAM−1およびVCAM−1を含む。)、サイトカイン(IL−1、IL−6、IL−8)、凝固系の構成成分(組織因子、PAI−1)およびその他(iNOS)を含むさまざまな分子を発現する。これらの発現された分子は、ケモタキシス、免疫細胞の接着および遊出、ならびにいくつかの他の機能を仲介する(de Martin et al. Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 20 [2000] e83-e88.)。したがって、免疫応答は、例えば炎症、動脈硬化症、再狭窄、再灌流障害、炎症性腸疾患、乾癬およびアトピー性皮膚炎を含むさまざまな疾患の共通の基本メカニズムである。
【0003】
上記の発現分子の大部分は、転写因子NF−kBを含む誘導可能かつ一過性の方法で上方調節される。薬理学的または遺伝学的インヒビターによるNF−kBの阻害が、炎症およびEC活性化の他の観点をブロックすることが示された(Wrighton et al. J. Exp. Med. 183 [1996] 1013-1022; Oitzinger et al. Blood 97 [2001] 1611-1617)。したがって、NF−kBのインヒビターは、広い治療可能性を有する。
【0004】
NF−kBの活性化をもたらす調節工程の現在の理解は、次のものを含む:刺激後、NF−kB(例えば、p65/p50ヘテロダイマー)は、阻害サブユニットIkBa、−bまたは−eを含む不活性細胞質複合体から放出される。IkBサブユニットは、NF−kBと結合した場合に、NF−kB核局在性シグナルをマスクし、したがってその核転座を妨げる。NF−kBの遊離は、IkBa中の2つのセリン残基Ser32およびSer36のIkBリン酸化により開始され、続いて、IkBb中の対応する部位が、E3ユビキチンリガーゼ複合体のb−TrCP様構成成分(Skp1/Cul1/ROC1/F−boxタンパク質FWD1)により認識され、ユビキチン化され、そして26Sプロテアソームを介して分解される。
【0005】
当分野における主要な飛躍的進歩は、IkBaを特異的にリン酸化する2つのキナーゼ(IKK1/IKKaおよびIKK2/IKKb)の同定である。これらのキナーゼは、それらのロイシンジッパードメインを通じてホモ−およびヘテロダイマーを形成し、そして第3のタンパク質(NEMO/IKKg)に結合する。IKK1、IKK2およびNEMOからなる、このIkBキナーゼ複合体(IKC)は、シグナロソームと呼ばれる分子量の大きい(500〜700kD)複合体内に含まれ、これはPKAの触媒サブユニット(csPKA)およびホスホ−チロシン含有タンパク質のような他のタンパク質を含み得る。ノックアウトマウスを用いる遺伝的証拠により、炎症のシグナル伝達におけるIKK2の顕著な役割が明らかにされたが、IKK1は分化のプロセスに関与するようである。
【0006】
IKKに加えて、pp90rskおよびDNA−PKは、IkBを直接リン酸化および活性化できることが示された。さらに、2つの新規のIKKが記載され、1つはマクロファージ(IKK−i)においてmRNAレベルでLPSにより誘導可能なものであり、そして1つ(TBK1)はTRAF2およびTANKと複合体を形成し、したがって、NF−kB活性化をもたらすTNFaのための代替的シグナル伝達経路を表すものである。いくつかのグループにより、正または負のいずれかでIKK活性に影響するモジュレーターが記載され(例えば、TAK1;Hofer-Warbinek et al. J. Biol. Chem. 275 [2000] 22064-22068)、これは、さらなる重要なレベルのNF−kB活性の調節を示している。
【0007】
さまざまな細胞型において、IKCの複数の上流アクチベーター(multiple upstream activator)が記載されている。これらには、MAP3K型キナーゼNIK(NF−kB誘導キナーゼ)およびMEKK1(MAPK/ERKキナーゼキナーゼ1)、TGFb誘導可能キナーゼTAK1ならびにAktおよびPKCアイソフォームゼータおよびシータを含み、これは不均質性ならびに異なる細胞型および刺激に関してNF−kBシグナル伝達経路の一定の程度の特異性の両方を反映している。これらの上流アクチベーターは、刺激、例えばTNF−Rに関してTRAF1、TRAF2およびTRADD、ならびにIL−1RおよびTollファミリーレセプターに関してTRAF6によりレセプターへ補充されたレセプター特異的細胞質性シグナル伝達複合体の異なる構成成分に結合する。したがって、IKK2は、NF−kBシグナル伝達において中心的に重要であるように見える。
【0008】
今回、単離PHA−活性化リンパ球のcDNAライブラリーから、例えば配列番号1で示されるヌクレオチド配列を有し、かつ、配列番号2で示されるアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の同一性の配列を有するポリペプチドをコードする、IKK2−55遺伝子が単離され得ることが示された。
【0009】
内皮細胞(EC)は、脈管構造に局在化している。それらは接合部複合体によりつながっており、そして内皮を形成し、これは血管系全体を裏打ちしている。それらは、循環(circulation)と特定の器官との間の物質の流動を制御し、そして炎症応答の主要な部位である。さらに、それらは、体自体の免疫防御システムの循環細胞と特定の臓器の改変細胞との間の相互作用が起こる部位である。血流と体のさまざまな組織との間での物質、ペプチドおよび免疫細胞の交換は、ECバリアーにより制御される。このECバリアーの選択性は、それぞれの器官の完全性を維持するために不可欠ないくつかのいわゆる「血液−組織」バリアーの形成に非常に重要である。
【0010】
さまざまな病理学的刺激に応答して、ECはそれらの構成的機能を調整し得、内皮機能障害(endothelial dysfunction)と呼ばれる、それらの機能的状態のいくつかのタイプの可逆的変化がもたらされる。ECは、適切な血流の維持に必須の多数の生理学的シグナルに対して釣合いの取れた方法で応答しなければならず、これはすべての組織に酸素および栄養を供給し、そして微生物、ウイルスおよび寄生生物感染と戦う。さらに、ECは、また、新しい血管、癌の進行、およびアテローム性動脈硬化症の進行の増殖および後退の誘導により損傷修復に関与する(例えば、Cines et al. Blood 91 [1998] 3527-3561参照)。
【0011】
キャピラリーECは、特異的モノクローナル抗体を用いる免疫磁気ビーズにより、または、磁気ビーズを被覆しているUlex europaeusレクチン タイプ1により、ヒト組織から単離され得る(例えば、Manconi et al. Meth. Cell Science [2000] 22 89-99参照)。ECのcDNAライブラリーを作成し得、そしてECの遺伝子発現パターンが、オリゴヌクレオチドフィンガープリント、サブトラクティブ・ハイブリダイゼーションまたはRNAプロファイリングのようなさまざまなハイブリダイゼーション技術により、および慣用的方法の配列決定により、得られ得る。
【0012】
今回、単離ECのcDNAライブラリーから、例えば配列番号3で示されるヌクレオチド配列を有し、かつ、配列番号4で示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも80%の同一性を有するDINOポリペプチドをコードする、DINO遺伝子が単離され得ることも見出された。
【0013】
樹状細胞(DC)は、初期の免疫応答および免疫寛容の誘発に中心的な役割を果たす専門的な抗原提示白血球である。未分化の状態において、DCは、侵入病原体の抗原を捕捉するために作られた体のさまざまな組織に存在し得る。抗原の捕捉後、DCは抗原提示細胞へと成熟し、そしてリンパ器官へと移動してT細胞を活性化する(Banchereau, M. and R.M. Steinman Nature 329 [1998] 245-252)。例えば、皮膚に存在するランゲルハンス細胞(LC)は、皮膚において産生されたかまたは皮膚へと浸透し得るさまざまな抗原を提示することが示された。接触過敏症において、反応性ハプテンの局所投与はLCを活性化し、表皮の外に出て流入領域リンパ節(draining lymph node)の中へと移動し得、この部位でLCは、選択されたT細胞に対して抗原を提示し得る。LCとT細胞との接触中、LCは、T細胞に、増殖およびエフェクター細胞への分化を誘導するシグナルを提供し得る。
【0014】
T細胞のタイプおよび相互作用する分子の種類に依存して、関与する細胞障害性、調節性およびヘルパーT細胞が形成され得る。DCは、また、すべての種類のアポトーシス細胞を貪食し、したがって、自己抗原に対する寛容の維持において重大な役割を果たし得ることが示された(Steinman R.M. and K. Inaba J. Leukoc. Biol. 66 [1999] 205-208)。DCが、免疫応答の主要な調節物質として、原因的または結果的役割を果たす疾患は、DC特異的な医薬的または医原性診療に関して、例えば慢性炎症性疾患、自己免疫疾患または移植拒絶において、ならびに接触過敏症またはアトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚疾患を含む疾患、および有意な病理学的成分がAIDSおよび癌におけるように免疫抑制性である疾患または症候群において、標的化され得る。
【0015】
DCは、ネガティブセレクションにより、すなわち、特異的mAB被覆マグネチックビーズ上で捕捉することまたは常法にしたがってパニングすることによる単球(CD14+)、T細胞(CD3+)、B細胞(CD19+)およびNK細胞(CD16+)からの単離により、末梢血から単離され得る。DCのcDNAライブラリーを作成し得、そしてDCの遺伝子発現のパターンは、オリゴヌクレオチドフィンガープリント、サブトラクティブ・ハイブリダイゼーションまたはRNAプロファイリングのようなさまざまなハイブリダイゼーション技術により、および慣用的方法にしたがう配列決定により、得られ得る。
【0016】
DCの膜貫通レセプターは重要である。何故なら、1つには、それらはDCによる抗原提示をもたらす寄生生物およびアポトーシス細胞の取り込みに関与するからである。他方には、これらのレセプターは、可溶性リガンド、ならびにT細胞および他の免疫細胞上の表面結合性リガンドと相互作用する。これらの相互作用は、DCの機能ならびにT細胞のような相互作用性細胞の機能の調節に関与する。細胞の分化状態および相互作用性リガンドに依存する、これらの調節事象としては、DC、T細胞および他の免疫細胞の活性化および阻害が挙げられる。
【0017】
II型膜貫通配向性および細胞外部分にC型レクチン様ドメインを有するレセプターが、さまざまな造血細胞上に頻繁に発現されることが見出され、そしていくつかのものは初期の免疫応答において重要な役割を果たすことが示された(Weis W.I., Taylor M.E. and Drickamer K. Immunol. Rev. 163 [1998] 19-34)。造血系の細胞において広く発現されるCD69およびAICL(Santis A.G. et al. Eur. J. Immunol. 24 [1994] 1692-7; Hamann et al., Immunogenetics 45 [1997] 295-300)のようなタンパク質は別として、いくつかのものは、細胞型発現、例えば近年集中的に研究されているレクチン様NK細胞レセプターにおいてさらに制限されている。
【0018】
げっ歯類のNK細胞において最初に検出されたレクチン様NKR−P1およびLy49遺伝子(Yokoyama W.M. et al. J. Immunol. 147 [1991] 3229-3236)、ならびにヒトNK細胞から最初に記載されたCD94およびNKG2遺伝子(Chang C. et al. Eur. J. Immunol 25 [1995] 2433-2437; Houchins J. P. et al. J. Exp. Med. 173 [1991] 1017-1020; Hofer E. et al. Immunol. Today 13 [1992] 429-430)は、マウス第6染色体(Brown M.G. et al. Genomics 42 [1997] 16-25)、ラット第4染色体およびヒト12p12.3−p13.2染色体(Sobanov Y. et al. Immunogenetics 49 [1999] 99-105)の合成領域に現れる。したがって、これらの領域は、NK遺伝子複合体と呼ばれる。自然の免疫細胞の機能のために重要ないくつかの遺伝子を含む染色体領域(chromosomal area)の概念と矛盾することなく、ウイルス感染への抵抗を仲介するかまたは同種異系リンパ球の溶解を仲介する遺伝子座が、げっ歯類においてこの領域にマッピングされた。
【0019】
今日において、レクチン様NKレセプターが適切なMHCクラスIの発現をモニターするのに重要な役割を有することが十分に確立されている(Lopez-Botet M. et al. Semin. Immunol. 12 [2000] 109-119; Hoglund P. Immunol. Rev. 155 [1997] 11-28)。ヒトNK細胞において、CD94鎖は、異なるNKG2アイソフォームとヘテロダイマー性レセプターを形成し、これは非古典的MHCクラスIb分子HLA−Eと結合できる。CD94/NKG2Aは阻害性レセプターとして機能し、CD94/NKG2CレセプターはNK細胞を活性化できる。HLA−Eは、他のクラスIa分子のリーダー配列からペプチドを提示し、そして適当なペプチドが負荷された場合に表面上に輸送されるのみである。
【0020】
したがって、CD94/NKG2AレセプターによるHLA−Eの認識は、MHCクラスI分子の適切な生合成をモニターするための罹病性の高い機構であり、これは多くのウイルスにより下方調節され得る(Alcami A. and U.H. Koszinowski Immunol. Today 21 [2000] 447-55)。この文脈におけるCD94/NKG2Cレセプターを活性化する機能は、まだ理解されていない。他のNKG2分子とわずかしか関連がない活性化NKG2Dレセプターはヘテロダイマーを形成し、そしてクラスI様分子MICAを認識し、これはストレス、例えばウイルス感染により、およびいくつかの腫瘍細胞上で上方調節される(Bauer S. et al., Science 285 [1999] 727-729)。マウスにおける対応するCD94およびNKG2レセプターは、同様の機能を有すると思われる。
【0021】
ヒトNKレセプター遺伝子のゲノム構造および転写(Glienke J. et al. Immunogenetics 48 [1998] 163-173)ならびにそれらのタンパク質産物の機能(Duchler M. et al. Eur. J. Immunol. 25 [1995] 2923-31)は、従来から研究されてきた。NKG2およびCD94レセプター遺伝子に対する進化および機能に関連する遺伝子を発見する試みにおいて、これらの研究は、約1Mbの両側のこれらの遺伝子に隣接するNK遺伝子複合体の領域を包含するように拡張されてきた。Ly49L偽遺伝子以外に、動原体側でさらなるヒトLy49遺伝子を検出することはできなかったが(Bull C. et al. Genes and Immunity 1 [2000] 280-287)、今回、CD94の4つの関連性レクチン様テロメア性遺伝子の新規クラスターが見出された。このクラスターは、LOX−1(Sawamura T. et al. Nature 386 [1997] 73-77)、新規ヒトレクチン様レセプター(LLR−J24)遺伝子および最近報告されたClec−1およびClec−2遺伝子(Colonna M., Samaridis J., Angman L. Eur. J. Immunol. 30 [2000] 697-704)を含む。それらの染色体上の局在性、発現パターンおよびNKレセプター遺伝子に対する相同性は、DC、単球および内皮細胞における重要な固有の免疫機能を示唆している。
【0022】
DCは、リンパ性および非リンパ性器官における抗原提示細胞集団である(Hart D.N. Blood 90 [1997] 3245-87)。それらは、抗原特異的なT細胞の増殖の開始において重要な役割を果たす。未成熟なDCは末梢非リンパ性器官に現れ、ここで、それらの主要な機能は、外来性抗原および病原体に関して周囲組織を濾過することである。これらの未成熟DCは抗原取り込みおよびプロセシングにおいて高度に分化し、そして非リンパ性組織に長期間滞在する。抗原取り込み後、これらのDCは、リンパ節または脾臓のような二次リンパ器官のT細胞に富む領域に移動することができる。これは、DC成熟(DC maturation)として知られる表現型および機能的変化と深く関連している。このプロセスにおいて、DCは、MHCクラスIおよびII分子ならびにCD80およびCD86のようなT細胞共刺激性分子を上方調節する。
【0023】
成熟DCは、ヘルパーT細胞および細胞障害性T細胞の強力な刺激物質である。DCの分化を先導し、次に、リンパ球の分化をプログラムする分子シグナルを理解することは、ワクチン接種戦略(vaccination strategy)に関してより効果的な免疫応答の操作を可能にするため、または損傷を受けている免疫応答をスイッチオフにすることを可能にするために極めて重要である。DCにおけるLLR−J24の特異的発現および成熟プロセス中のその下方調節についての現在の知見に基づいて、このレセプターがDC成熟またはT細胞刺激の間に役割を果たすと考えられる。
【0024】
LLR−J24遺伝子は、今回、見出され、単離され、そして単球由来および臍帯血前駆細胞由来DC(MoDCおよびCBDC)において選択的に発現された。ヌクレオチド配列番号5で示されるLLR−J24−1遺伝子およびヌクレオチド配列番号7で示されるそのスプライスバリアントLLR−J24−2は、NKG2およびCD94 NKレセプター鎖に関係するが同一ではなく(Houchins J.P. et al., J. Exp. Med. 173 [1991] 1017-1020; Chang C. et al., Eur. J. Immunol. 25 [1995] 2433-7; GenBank受託番号: NKG2A [X54867], NKG2C [X54869], NKG2E [L14542], NKG2H [AF078550], NKG2D [54780])、oxLDLレセプターLOX−1(Sawamura T. et al. Nature 386 [1997] 73-77; GenBank受託番号 AF035776)および2つの他のレセプター遺伝子がDC、CLEC−1およびCLEC−2において選択的に発現することが最近見出された(Colonna M. et al. Eur. J. Immunol. 30 [2000] 697-704; GenBank受託番号 CLEC-1 [AF200949], CLEC-2 [AF124841])。
【0025】
ヒト第12染色体上のいわゆるNKレセプター遺伝子複合体の他のメンバーに対して、幾分さらに離れた関係のものが存在する(Sobanov Y. et al. Immunogenetics 49 [1999] 99-105)。LLR−J24−1遺伝子は、配列番号5で示されるヌクレオチド配列およびヌクレオチド357〜358の間に挿入されたstalkペプチドをコードしている追加的エキソンからなるスプライスバリアントLLR−J24−2として単離DC中に現れ得る。したがって、配列番号5で示されるスプライスバリアントは、スプライスアウトされたヌクレオチド358〜495を欠くこと以外は、配列番号7と同じである。
【0026】
LLR−J24遺伝子は、細胞外部分にC型レクチン様ドメイン(CTLD)を有するII型膜貫通レセプターのサブファミリーの新規メンバーをコードする(Weis W.I. et al. Immunol Rev. 163 [1998] 19-34)。その最も近い類縁体は、マウスDECTIN−1(59%同一性、Ariizumi et al. J. Biol. Chem. 275 [2000] 20157-20167, 受託番号 AF262985)、ヒトLOX−1(CTLDにおいて44%相同性、Sawamura T. Nature 386 [1997] 73-77; 受託番号 AF035776)、CLEC−1(CTLDにおいて37%相同性、Colonna M. et al. Eur. J. Immunol. 30 [2000] 697-704, 受託番号 AF200949)、CLEC−2(CTLDにおいて37%相同性、Colonna M. et al. Eur. J. Immunol. 30 [2000] 697-704, 受託番号 AF124841)、NKG2−D(CTLDにおいて33%相同性、Houchins J.P. et al. J. Exp. Med. 173 [1991] 1017-1020, 受託番号 X54870)、NKG2−A(CTLDにおいて30%相同性、受託番号 X54867)、NGK2−C(CTLDにおいて30%相同性、受託番号 X54869)およびCD94レセプター(CTLDにおいて31%相同性、Chang C. et al. Eur. J. Immunol. 25 [1995] 2433-7)鎖である。
【0027】
LLR−J24遺伝子は、NKレセプター遺伝子複合体中の第12染色体上に位置し、これはまた、上記のホモログおよび幾分さらに離れた関係の追加的遺伝子を含む。配列番号5で示されるLLR−J24−1遺伝子および配列番号7は、典型的なCTLDおよびその細胞質側末端におけるITAM様配列をコードする。CTLDの配列は、該スーパーファミリーの他のメンバーのすべてのCTLDと明らかに相同であり、細胞質側末端は他のファミリーのメンバーとあまり関係がないかまたは全く関係がないが、マウスのDECTIN−1配列とは明らかに相同性がある。配列番号7で示されるLLR−J24−2遺伝子は、配列番号5と同一であるが、stalkペプチドをコードする追加的エキソンを含む。stalkペプチドを有する対応するタンパク質は、配列番号8において示される。stalkエキソンヌクレオチド配列は、配列番号9で表され、そして対応するstalkペプチドは配列番号10で表される。
【0028】
これまでに、stalkペプチドは細胞表面上のレセプターの発現に必要であり、stalkのないレセプターは細胞内で発現することが見出された。CTLDは、T細胞のような他の免疫細胞上の表面ペプチド構造に結合する。これは、T細胞活性化に調節性、例えば共刺激性シグナルを提供し得る。DC成熟の間、該レセプターは下方調節される。これは、また、T細胞活性化に対する阻害シグナルを軽減し得る。レセプターの細胞質側ドメインは、リガンドへのCTLDの結合によりDC成熟を制御する。CTLDは、例えば、寄生生物、oxLDLおよびアポトーシス細胞膜の膜構造のようなリポタンパク質構造に結合する。これらの構造を含む細胞および化合物は内在化されて、効率のよい抗原提示をもたらす。DCの貪食作用が減少した場合、レセプターはDC成熟の間、下方調節される。レセプターの細胞質側ドメインは、リガンドへのCTLDの結合により、DC成熟の内在化および活性化を仲介する。
【0029】
stalkペプチドのないレセプターの細胞内部分は、異常型細胞内構造および寄生生物のモニターに関与し、したがって、配列番号10で示されるstalkペプチドを含む部分とは別の機能を有する。
【発明の開示】
【0030】
したがって、本発明は、単離された、
・配列番号2で示されるIKK2−55ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるIKK2−55遺伝子;
・配列番号4で示されるDINOポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるDINO遺伝子;または
・配列番号10で示されるLLR−J24−stalkペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるLLR−J24−stalkヌクレオチド
を提供する。
【0031】
さらに、本発明は、単離された、
・配列番号2で示されるIKK2−55ポリペプチドをコードする、例えば、配列番号1で示されるヌクレオチド配列を含んでなるIKK2−55遺伝子;
・配列番号4で示されるDINOポリペプチドをコードする、例えば、配列番号3で示されるヌクレオチド配列を含んでなるDINO遺伝子;または
・配列番号10で示されるstalkペプチドをコードする、例えば、配列番号9で示されるヌクレオチド配列を含んでなるLLR−J24−stalkヌクレオチド
を提供する。
【0032】
さらに、本発明は、単離された、
・配列番号2で示されるIKK2−55ポリペプチド;
・配列番号4で示されるDINOポリペプチド;または
・配列番号10で示されるLLR−J24−stalkペプチド
を提供する。
【0033】
IKK2−55遺伝子、DINO遺伝子、LLR−J24−stalk遺伝子、膜貫通タンパク質LLR−J24をコードする単離ポリヌクレオチドおよびLLR−J24の細胞外ドメインをコードする単離ポリヌクレオチドを、本明細書において、「本発明の遺伝子(複数も可)」と称する。
【0034】
IKK2−55ポリペプチド、DINOポリペプチド、LLR−J24−stalkペプチド、LLR−J24の細胞外ドメインである単離ポリペプチドおよび膜貫通タンパク質LLR−J24である単離ポリペプチドを、本明細書において、「本発明のポリペプチド(複数も可)」と称する。
【0035】
本発明のポリペプチドには、配列番号2、配列番号4および配列番号10のアミノ酸配列のポリペプチドが含まれ、そして、それぞれ、配列番号2、配列番号4または配列番号10の対応するアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性、および対応する本発明のポリペプチドと同一の生物学的活性、を有するアミノ酸配列が含まれる。本発明のポリペプチドには、対応する本発明の遺伝子によりコードされたポリペプチドが含まれ、これには;例えば、遺伝コードの重複性(縮重)の結果として、また、対応する本発明のポリペプチドをコードする配列;あるいは、例えば、対立遺伝子変異体(allelic variant)および/または本発明の遺伝子の相補物を含む、本発明の遺伝子のヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドが含まれる。
【0036】
本発明のポリペプチドは、「成熟」ポリペプチド、例えばタンパク質の形態であってもよく、または、より大きいポリペプチド、例えばタンパク質、例えば融合タンパク質の部分であってもよい;例えば、分泌性またはリーダー配列、プロ配列、精製において役立つ配列、例えばマルチプルヒスチジン残基(multiple histidine residue)、または本発明のポリペプチドへの組換え産生中の安定性のための追加的配列を含むことは、有利であり得る。
【0037】
本発明のポリペプチドは、また、本発明のポリペプチドのポリペプチドフラグメントも含む。このようなポリペプチドフラグメントは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列と一部が完全に同一であるが、全体は同じでないアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。このようなポリペプチドフラグメントは「独立(free-standing)」であってもよく、またはこのようなポリペプチドフラグメントが、最も好ましくは単一連続領域(single continuous region)として、部分または領域を形成するより大きいポリペプチドの部分であってもよい。好ましくは、このようなポリペプチドフラグメントは、対応する本発明のポリペプチドの生物学的活性を保持する。
【0038】
本発明の定義されたポリペプチド(フラグメント)配列の変異体も、また、本発明の一部を形成する。好適な変異体は、保存的アミノ酸の置換により指示物から変化したもの、例えば、同様の特徴の別のものと残基を置換したものである。典型的には、このような置換は、Ala、Val、LeuおよびIleの間;SerおよびThrの間;酸性残基AspおよびGluの間;AsnおよびGlnの間;塩基性残基LysおよびArgの間;または、芳香族残基PheおよびThrの間である。任意の組合せで、数個、5〜10、1〜5、または1もしくは2のアミノ酸が、置換、欠失または追加された変異体が特に好ましい。
【0039】
本発明のポリペプチド、またはそのフラグメントは、本発明の
・単離天然型ポリペプチド
・組換えにより製造されたポリペプチド
・合成的に製造されたポリペプチドおよび
・このようなポリペプチドの組合せ、
ならびにそれらのフラグメントを含む。
【0040】
したがって、本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントは、適当に、例えば慣用的方法で製造され得る。本明細書において特記しない限り、「単離(isolated)」は、「共存物質から分離された」、例えば天然の状態から「ヒトの手により改変された」という意味を含む。
【0041】
本発明の遺伝子には、それぞれ、配列番号1、配列番号3および配列番号9で示される対応するヌクレオチド配列、およびそれらの対立遺伝子変異体、およびその相補物、ならびにそれらのスプライスバリアントが含まれ;例えばストリンジェント条件下で、例えば本発明の遺伝子のヌクレオチド配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドが含まれ、例えば本発明の遺伝子の個々のヌクレオチド配列は、例えば遺伝コードの重複性(縮重)の結果として、本発明の遺伝子の配列と異なるが、本発明の対応するポリペプチドをコードするか、または、それぞれ、配列番号2、配列番号4もしくは配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくと80%の同一性を有するアミノ酸配列の本発明のポリペプチドをコードし、そして本発明のポリペプチドと同じ生物学的活性を有する配列を含む。「ストリンジェント条件」は、本発明の遺伝子のヌクレオチド配列と、それとハイブリダイズする対応するポリヌクレオチド配列との間に、少なくとも80%、例えば90%、例えば95%、97%または99%の同一性が存在する場合にのみハイブリダイゼーションが起きることを含む。
【0042】
本発明の遺伝子は、対応するポリペプチド、もしくは本発明の対応するポリペプチドの部分(フラグメント)をコードするか、または本発明の対応するコードされたポリペプチドと、例えば該対応するアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも80%の同一性;例えば80%〜100%、例えば90%、例えば95%、例えば97%、例えば99%または100%の同一性;を有するアミノ酸配列のポリペプチドまたはポリペプチドの部分をコードし;該同一性は
【数1】

〔式中、nはアミノ酸変更の数であり、xは当該対応するアミノ酸配列中のアミノ酸の総数であり、そしてyは100で除した同一性パーセントである。〕
により計算され;例えば、該遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされたポリペプチド、または対応する遺伝子からの転写物の代替的スプライシングにより作成された対応するアミノ酸配列のアイソフォームを含む。「同一性」は、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の同一性の尺度であり、そして、慣用的技術により、例えば市販のコンピュータープログラムを用いて、計算され得る。
【0043】
本明細書において特記しない限り、「ポリペプチド」は、ペプチド結合により互いに結合した2またはそれ以上のアミノ酸を含んでなる任意のペプチドまたはタンパク質を含む。本明細書において特記しない限り、「ポリヌクレオチド」は、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを含み、これは、修飾されていないRNAまたはDNAであるか、あるいは修飾されたRNAまたはDNAであり得、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖の領域の混合物であるRNA;ならびにRNAハイブリッド分子を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0044】
本発明の対応するポリペプチドをコードする本発明の遺伝子は、例えば、DCのmRNAを用いる逆転写PCRにより、例えば、発現配列タグ(EST)解析を用いて、PHA−活性化リンパ球もしくは内皮細胞、またはDC中のmRNA由来のcDNAライブラリーから、標準的クローニングおよびスクリーニング法を用いて得られ得る(Adams M.D. et al. Science 252 [1991] 1651-1656; Adams M.D. et al. Nature 355 [1992] 632-634; Adams M.D. et al. Nature 377 Suppl.3 [1995] 174)。本発明の遺伝子は、天然の供給源、例えばゲノム性DNAライブラリーから得られ得るか、または慣用的方法にしたがって合成され得る。
【0045】
本発明の遺伝子は、本発明の対応するポリペプチド(フラグメント)の組換えによる製造に有用であり、そして、このような組換えによる製造に用いられる場合、遺伝子配列はそれ自身で成熟ポリペプチド(フラグメント)のためのコード配列;あるいは他のコード配列、例えば、リーダーまたは分泌性配列、プレ−もしくはプロ−もしくはプレプロ−タンパク質配列、または他の融合タンパク質の部分をコードする配列を有するリーディングフレーム中の成熟ポリペプチド(フラグメント)についてのコード配列、を含み得る。例えば、融合ポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列がコードされ得る。該マーカー配列は、適当な慣用的マーカー配列、例えばpQEベクター(Qiagen, Inc.)において提供されそしてGentz et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 86 [1989] 821-824において記載されたようなFLAG−tag(Sigma)またはヘキサ−ヒスチジンペプチド、あるいはHAタグであり得る。本発明の任意の遺伝子は、また、非コード5'および3'配列、例えば転写され、翻訳されない配列、スプライシングおよびポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位ならびにmRNAを安定化する配列を含み得る。
【0046】
本発明の遺伝子のヌクレオチド配列と同一であるかまたは十分に同一であるヌクレオチド配列、例えばそのフラグメントまたはそのスプライスバリアントを含むものは、本発明の対応するポリヌクレオチド(フラグメント)をコードする完全長cDNAおよびゲノム性クローンを単離するために;そして、例えば、本発明の遺伝子と高い配列相同性を有する他の遺伝子のcDNAおよびゲノム性クローン(ヒト以外の種からのホモログおよびオーソログをコードする遺伝子を含む)を単離するために、cDNAおよびゲノム性DNAのためのハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。
【0047】
ハイブリダイゼーションは、例えば、慣用的方法にしたがって行われ得る。典型的には、ある遺伝子配列に類似する配列は、本発明の遺伝子(フラグメント)の配列と80%同一、好ましくは90%同一、さらに好ましくは95%同一である。ハイブリダイゼーションプローブは、例えば、少なくとも15ヌクレオチド、たとえば少なくとも30ヌクレオチド、例えば少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは約30〜約50ヌクレオチド;または全体のcDNA配列のコード領域に相当するcDNA配列もしくはその任意の部分を含み得る。ヒト以外の種からのホモログまたはオーソログを含む本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを得るために、適当なハイブリダイゼーション技術、例えば、適当なライブラリーを、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、対応するポリヌクレオチド配列またはそのスプライスバリアントもしくはそのフラグメントの配列を有する標識プローブでスクリーニングする工程、および該ポリヌクレオチド配列を含有する完全長cDNAおよびゲノム性クローンを単離する工程を含んでなる技術が使用され得る。
【0048】
例えばストリンジェントの、ハイブリダイゼーション技術は、周知である。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、例えば上で定義された通りであるか、代わりに、適当な溶液、例えばホルムアミド、SSC、リン酸ナトリウム、Denhardt's溶液、デキストランおよびサケ精子DNAを含んでなる溶液、例えば50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhardt's溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性、切断サケ精子DNAを含んでなる溶液中にて、40℃付近で一夜インキュベーションし、続いて0.1×SSC中で約65℃にてフィルターを洗浄するという条件である。
【0049】
さらなる観点において、本発明は、本発明の遺伝子、例えば、ポリヌクレオチドを含んでなるベクターを提供する。
【0050】
このようなベクターは、適当に、例えば慣用的方法で製造され得る。適当なベクターは、慣用的方法にしたがって提供され得る。本発明の遺伝子を含んでなるベクターは、例えば宿主細胞において、例えば適合性宿主細胞(compatible host cell)において本発明の遺伝子によりコードされたポリペプチドを組換え的に製造することができる発現系を得るために有用であり得る。本発明のポリペプチドの組換え的製造のために、宿主細胞を、例えば本発明の遺伝子、またはその部分を含んでなるベクターの使用により、例えば遺伝子操作をして、本発明のポリペプチド(フラグメント)を発現させるために、宿主細胞中に発現系を組み込み得る。細胞を使用しない翻訳系は、また、例えば慣用的方法で、例えば本発明のDNA構築物由来のRNAを用いて、本発明の遺伝子を製造するために使用され得る。
【0051】
さらなる観点において、本発明は、例えば自然環境から単離された、DNAまたはRNA分子を含んでなる発現系、例えば単離前の本発明の遺伝子を含んでなる発現系を提供し、当該発現系またはその部分が適合性宿主細胞中に存在する場合に、当該発現系またはその部分は本発明のポリペプチドを製造することができる。
【0052】
さらなる観点において、本発明は、
・本発明の発現系を含んでなる単離宿主細胞;
・培養物中での本発明のポリペプチドの製造に十分な条件下で、本発明の発現系を含んでなる単離宿主細胞を培養すること、および培養物から本発明のポリペプチドを回収することを含んでなる本発明のポリペプチドの製造方法;
・適当な培養条件下で、宿主細胞が本発明のポリペプチドを製造するように、宿主細胞を本発明の発現系で形質転換またはトランスフェクトすることを含んでなる、本発明のポリペプチドを製造する組換え宿主細胞の製造方法;ならびに
・適当な培養条件下で、宿主細胞が本発明のポリペプチドを製造するように、宿主細胞を本発明の発現系で形質転換またはトランスフェクトすることにより製造された組換え宿主細胞、
を提供する。
【0053】
組換え体製造に関して、宿主細胞は、本発明の遺伝子についての発現系またはその部分を組み込むために遺伝子操作され得る。
【0054】
宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、適当に、例えば慣用的方法にしたがって、例えば、Davis et al. BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1986); Sambrook et al. MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)にしたがって、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン介在性トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、カチオン性脂質介在性トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング(scrape loading)、衝撃導入(ballistic introduction)もしくは感染、またはタンパク質形質導入にしたがって、行われ得る。適当な宿主細胞は、容易に見出され得る。適切な宿主細胞の例として、例えば連鎖球菌(streptococci)、ブドウ球菌(staphylococci)、大腸菌(E.coli)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、枯草菌(Bacillus subtilis)のような細菌類の細胞;酵母細胞(yeast cell)およびコウジカビ属の細胞(Aspergillus cell)のような真菌の細胞;Drosophila S2 および Spodoptera Sf9 細胞のような昆虫細胞;CHO、COS、HeLa、C127、CCL39、3T3、BHK、HEK 293、およびBowesメラノーマ細胞のような単離された動物細胞;および植物細胞が挙げられる。
【0055】
適切な発現系は、例えば、染色体系、エピソーム系、およびウィルス由来系、例えばバクテリアプラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、イーストエピソーム、挿入エレメント、イースト染色体エレメント、ウイルス、例えばバキュロウィルス、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、フォールポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスなどを由来とするベクター、ならびにそれらの組合せ由来のベクター、例えばプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝エレメント由来のベクター、例えばコスミドやファージミドを含む。発現系は、発現を規定しそして発生させる制御領域を含む。一般的に、維持するか、増殖するか、または宿主細胞内でポリペプチドを生産するためのポリヌクレオチドを発現するのに適した、任意の系またはベクターが使用され得る。適当なヌクレオチド配列は、適当に、例えば慣用的方法にしたがって、例えば Sambrook et al., MOLECULAR CLONING A LABORATORY MANUAL (supra) にしたがって、発現系に挿入され得る。
【0056】
小胞体の内腔への、細胞膜周辺腔への、または細胞外環境への、翻訳されたタンパク質の分泌のために、適当な分泌シグナルが、所望のポリペプチドに組み込まれてもよい。これらは、異種性のシグナルであり得る。
【0057】
本発明のポリペプチドをスクリーニングアッセイに使用するために発現させるのであれば、一般的に、ポリペプチドは細胞表面で作られ得る。この場合において、細胞は、スクリーニングアッセイに使用する前に採取され得る。代わって、ポリペプチドは細胞内で作られてもよい。
【0058】
本発明のポリペプチドは、組換え細胞培地から、適当に、例えば洗剤抽出(detergent extraction)、超遠心、硫酸アンモニウム沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロース・クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィーなどを含む、慣用的方法にしたがって、回収され、そして精製され得る。本発明のポリペプチドが、単離および/または精製の間に変性した場合は、活性なコンホメーションの再生、例えば変性した本発明のポリペプチドのリフォールディングが、適当な方法、例えば慣用的方法にしたがって行われ得る。
【0059】
本発明のポリペプチドが細胞内で産生される場合、該細胞を、ポリペプチドの回収前に、例えば溶解し得る。
【0060】
本発明の遺伝子(フラグメント)、または本発明のポリペプチド(フラグメント)は、動物およびヒトの疾患に対して、処置の発見と診断のための、検査試薬および検査物質として使用され得る。
【0061】
転写因子NF−kBは、免疫性および炎症性遺伝子の発現の調節において重要な調節的役割を果たす。NF−kBの活性化をもたらすシグナル伝達経路の中心的構成成分の1つは、IKK2である。IKK2と相互作用するタンパク質は、IKK2活性に対する調節機能を有し得る。IKK2−55は、酵母ツーハイブリッドスクリーンおよび共免疫沈降においてIKK2と相互作用することが見出された。それは、NF−kB活性ならびに一定のプロモーターの活性を調節することが見出された。したがって、IKK2−55ならびにその薬理学的アゴニストまたはアンタゴニストは、例えば炎症、動脈硬化症、再狭窄、再灌流障害、炎症性腸疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植拒絶、自己免疫疾患、アレルギーおよび癌を含む多様な免疫または炎症関連疾患を処置するために使用され得る。
【0062】
本発明のDINO遺伝子は、約350のアミノ酸のC末端HECTドメインおよびN末端にさまざまな数のRCC1リピートを典型的に含むHERCタンパク質ファミリーに属することが見出された。HECTドメインタンパク質は、ユビキチンを、E2結合酵素から、プロテアソームによる分解が運命付けられた特異的基質に、移動させるE3ユビキチンリガーゼのサブファミリーを構成する。HERCファミリーのメンバーのための基質は、細胞サイクルの制御(サイクリンE、p21およびp53)、癌(E6−AP)およびTGF−βファミリーのメンバーのBMPシグナル伝達の調節に関与することが示された(Mitsui et al. BBRC 266 [1999] 115-122; Cruz et al. FEBS letters 488 [2001] 74-80; Scheffner et al. Cell 75 [1993] 495-505; Zhu et al. Nature 400 [1999] 687-693)。
【0063】
酵母ツーハイブリッドスクリーニングにより、DINOはTSG101遺伝子と相互作用できることが見出された。TSG101は、TSG101/MDM2調節ループを形成することによりMDM2分解およびMDM2/p53フィードバック制御を調節する(Li et al. PNAS 98 [2000] 1619-1624)。さらに、レポーター遺伝子アッセイを用いて、DINOの発現はp53転写活性を増大させることが見出された。DINOは、TSG101とMDM2/p53ループとの間の機能的相互作用に深く関与し、したがって、細胞増殖、アポトーシスおよび炎症性応答のメディエーターであると考えられる。
【0064】
DINOは、5つのRCC1リピートをN末端に有し、そして3つの完全および半分のリピートを有するCep1と異なる。RCC1は、低分子量GTPase Ranのグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)である(Bischoff and Ponstingl Nature 354 [1991] 80-82)。DINOは、低分子量GTPaseを同定するために今のところGEF活性を発揮すると考えられ得、したがって、細胞増殖、細胞骨格形態および細胞内輸送の調節に関与し得る。
【0065】
DINOは、Herc3およびCep1を含むクラスターとして染色体4.21−23上に位置し得る。
【0066】
LLR−J24−1および−2遺伝子は、細胞外部分にCTLDを有するII型膜貫通レセプターのスーパーファミリーに属することが見出された(Weis W.I. et al. Immunol. Rev. 163 [1998] 19-34)。これらのレセプターの遺伝子の重要な部分は、ヒト第12染色体上のNKレセプター複合体中に位置する(Sobanov, Y. et al. Immunogenetics 49 [1999] 99-105)。レセプターのCTLDは、典型的には、3つのエキソンによりコードされる。CTLDは、進化の過程で、C型糖認識ドメイン(carbohydrate recognition domain)から発達した。これはレクチン折りたたみ結合Ca++を含み、そして肝アシアロ糖タンパク質レセプターのような糖リガンドを有していた。
【0067】
LLR−J24遺伝子の結合ドメインは、CTLDの修飾された特徴を有し、例えばそれはCa++と独立して折りたたむことができ、そして非糖性リガンドと結合することができる。他のCTLDファミリーの遺伝子とLLR−J24遺伝子との関係を確立するために、CTLDの予想アミノ酸配列を比較した。得られたデータにより、LLR−J24が、LOX−1、CLEC−1およびCLEC−2とともに、NKCのより近い関係のレクチン様レセプターのサブファミリーを形成することが示される。LLR−J24との最も高い相同性は、LOX−1において見られ(44%)、CLEC−1およびCLEC−2は幾分さらに離れた関係である(37%)。NKG2およびCD94タンパク質からなるCTLD NKレセプターのサブファミリーは、その次に近い関係のタンパク質である(NKG2−Eに関して28%およびNKG2−Dに関して33%)。AICL/LLT−1/CD69グループならびにKLRF1、MAFAおよびNKR−P1レセプターは、さらに幾分、より離れており、そしてマルチプルアラインメントにおいて別々の枝に示される。
【0068】
LOX−1は、血管内皮細胞およびマクロファージにより発現されることが見出された。それは、TNF−α、リポポリサッカライドおよびoxLDLのような炎症性の刺激により、in vivo で動力学的に調節されるが、高血圧においてはTGF−β、アンギオテンシンIIおよび流体せん断力(fluid shear stress)によっても調節される。重要なことに、LOX−1は、泡沫細胞形成および内皮機能障害に寄与すると信じられているアテローム性動脈硬化症の病変において上方調節されいることが見出された。oxLDLおよび陰イオン性リン脂質ならびに加齢赤血球細胞およびアポトーシス細胞を結びつけることが記載された(Sawamura T. et al. Nature 386 [1997] 73-77)。加齢またはアポトーシス細胞における最初の事象の1つは、細胞膜の外側のホスファチジルセリンの曝露であり、これはLOX−1により認識されそして結合する。したがって、LOX−1は、血流からそれらの細胞を除去することに関与すると提案されている。CD94/NKG2レセプターのような他のレクチン様レセプターのリガンド結合により開始されたシグナル伝達事象とは対照的に、LOX−1に結合した分子および細胞フラグメントは、エンドサイトーシスにより内面化される。
【0069】
LOX−1と同様に、LLR−J24遺伝子は、oxLDLのような酸化されたリポタンパク質、寄生生物の表面構造およびアポトーシス細胞のフラグメントと結合すると考えられ得る。
【0070】
他の2つの密接に関係した遺伝子は、CLEC−1およびCLEC−2と呼ばれ、対応するcDNAは、近年、ESTデータベースにおいて同定され、そして記載された(Colonna M. et al. Eur. J. Immunol. 30. [2000] 697-704)。CLEC−1 mRNAはDCにおいて選択的に発現されることが示され、そして、胎盤、肺および胸腺においても見出される。CLEC−2 mRNAも、DCにおいて検出されるが、さらに、造血系においてさらに広範な発現を示した。さらに、CLEC−2 mRNAレベルは、肝臓においてとりわけ高い。CLEC−1およびCLEC−2のリガンドは、まだ、同定されていない。
【0071】
その次に近い関係の遺伝子は、NKG2 NKレセプターの遺伝子である。今日においては、レクチン様NKレセプターは、ミッシング−セルフ(missing-self)仮説にしたがって適切なMHCクラスI発現をモニターするのに重要な役割を有することが十分に確立されている(Hoglund P. et al. Immunol. Rev. 155 [1997] 11-28)。ヒトNK細胞において、CD94鎖は異なるNKG2アイソフォームとヘテロダイマー性レセプターを形成し、これは非古典的MHCクラスIb分子HLA−Eと結合することができる(Lopez-Botet M. et al. Semin. Immunol. 12 [2000] 109-119)。CD94/NKG2Aは、阻害性レセプターとして機能し、CD94/NKG2Cレセプターは、NK細胞を活性化することができる。HLA−Eは、優勢的に、他のクラスI分子のリーダー配列からペプチドを提示し、そして、適当なペプチドとともに負荷された場合に、表面上に輸送されるのみである。したがって、CD94/NKG2AレセプターによるHLA−Eの認識は、MHCクラスI分子の生合成をモニターするための感度の高いメカニズムであり、これは多くのウイルスにより下方調節され得る。この文脈における活性化CD94/NKG2Cレセプターの機能は、まだ十分には理解されていない。
【0072】
他のNKG2分子と少し離れた関係の、活性化NKG2Dレセプターは、ホモダイマーを形成し、そしてクラスI様分子MICAおよびMICBを認識し、これはストレス、例えばウイルス感染により、およびいくつかの腫瘍細胞において、上方調節される(Bauer S. et al. Science 285 [1999] 727-729)。さらなるリガンドは、いわゆるUL16結合タンパク質であり、これはCMVコードUL16タンパク質と結合し、そしてまた、腫瘍細胞において上方調節される。したがって、NKG2−Dは、ウイルスに感染しそして形質転換した細胞の、NK介在性殺傷に直接関連する活性化レセプターである。NKG2タンパク質の中で、LLR−J24がNKG2−Dに最も近く関係していることに注目すべきである。マウスにおける対応するCD94およびNKG2タンパク質は、比較可能な機能を有するように見える。さらに、マウスにおいて、Ly49レセプターの14を超えるアイソフォームが、さまざまなMHCクラスI分子の発現のモニターに関係している。
【0073】
NKG2レセプターと同様に、LLR−J24は一定のMHCクラスI/ペプチド複合体に、またはウイルス感染および腫瘍細胞で上方調節されたクラスI関連分子に、結合できると考えられている。
【0074】
LLR−J24遺伝子の配列は、最初に単離されたヒトcDNAからstalkエキソンが失われていることを除いて、最近記載されたネズミDECTIN−1 cDNAと高い相同性を示す。これは、約5〜10%の転写物の細分画(subfraction)において正しくスプライシングされることが見出されると測定され得(図9および10)、マウスおよびヒトDECTIN−1の対応する予想完全長タンパク質配列を比較した。両配列は、59%の同一性(相同性69%)を示す。高い相同性が、細胞質、およびstalkドメインを含む細胞外ドメインにおいて保存されている。細胞質ドメインのN末端の近くに、ITAM様配列が、ヒトならびにネズミのそれにおいて存在する。
【0075】
この配列は、CD3−γ鎖またはDAP12分子において見出された古典的ITAMモチーフとは少し異なる(Lanier L.L. et al. Nature 391 [1998] 703-707)。該モチーフにおける最初のチロシン(残基3)は、ロイシン(残基7)の4アミノ酸前に位置するが、この距離は、古典的YxLx6〜8YxLモチーフにおける3アミノ酸の位置である。該モチーフの次の残基は正しく配置されている。両タンパク質は、さらに、N−グリコシル化のためのコンセンサス部位を示す。ヒトおよびネズミのレクチン様ドメインは、非糖リガンドを提示するCa++結合に関与すると記載された残基のほとんどを欠いている。膜貫通ドメインは、荷電アミノ酸を示さず、これはDAP分子のようなITAM含有アダプターとの会合が起きていないことを示している。
【0076】
一次ヒトDC、単球、TおよびBリンパ球ならびに内皮細胞におけるLLR−J24 mRNAの発現も、また、調べられた。得られたデータにより、ヒトLLR−J24 mRNAは、単球由来DC(MoDC)においておよびCD34造血前駆細胞由来のDC(HPDC)において、大量にそして選択的に発現している。少量のLLR−J24 mRNAが一次単球中に存在するが、さまざな刺激で処理されたまたは処理されていない、一次TおよびBリンパ球ならびに内皮細胞は、検出可能なLLR−J24転写物を発現しない。いくつかのさらなる細胞株、すなわちJurkat、RPMI8866、NKLおよびNK92を含むノーザンブロットにおいて、発現は見られない。DCにおけるRNAのサイズは、ノーザンブロットから3.0〜3.5kbと見積もられ、これは、停止コドンから1.6〜1.9kb下流の領域の遺伝子において検出された第1のまたはいくつかの連続的ポリアデニル化シグナルの使用を仮定して期待される転写物のサイズに相当する。
【0077】
DCの活性化および最終的成熟は、それらの移動および機能を調節する遺伝子の改変された発現と関連する。したがって、炎症メディエーター、CD40−リガンドまたはザイモサンAによるDCの活性化がLLR−J24 mRNAの発現レベルに変化をもたらすかどうかについて試験された。図8において示された通り、IL−1βおよびTNF−αと組み合せたMoDCの18〜24時間の処理は、再生可能な、LLR−J24 mRNAの3〜5倍の減少をもたらした。代わって、HPDCは、酵母粒子のファゴサイトーシスを刺激するザイモサンAの非存在または存在下で、CD40レセプターに特異的なmAbにより活性化された。これらの結果に基づいて、LLR−J24 mRNAの下方調節が、TNF−αおよびIL−1βのような成熟の強力な誘発剤またはファゴサイトーシス刺激と組み合せたCD40ライゲーションで処理した培養物において特異的に表わされる。MDCケモカイン(CCL22)は、DCにおいて成熟後に強力に誘導されることが知られているので、同じノーザンブロットを、MoDCまたはHPDCの活性化の成功を確認するために、MDCのための特異的プローブとハイブリダイズさせた。図8において見られるように、MDCの強力な誘導は、両方のタイプのDCにおけるLLR−J24転写物の下方調節と平行する。
【0078】
LLR−J24−1は、stalkエキソン領域を欠いているので、DCからのLLR−J24転写物中のstalkエキソンの存在が調べられた。ノーザンブロット解析では、141塩基のみ異なることが予想された転写物を区別することができなかった。したがって、第2および第4のエキソンの間のフラグメントを増幅するためのプライマー対を用いて、逆転写PCRを行った。505bpおよび367bpの2つの生成物を得、これらは、それぞれ、stalkエキソンを有するおよび有さない予想フラグメントのサイズに対応する(図9および10)。該生成物の約5〜10%がstalkエキソンを含むサイズであると見積もられる。
【0079】
この上側のバンドをゲルから削り取り、サブクローニングし、2つの得られたクローンを配列決定した。両クローンは、ゲノム配列から予想された通り、正しくスプライシングされたstalkエキソンを表した。プライマー対で得られたPCRフラグメントをさらに解析し、これは、それぞれ、5'−非翻訳領域からstalkエキソンまで、およびstalkエキソンから第6エキソンまでのmRNAのフラグメントを増幅する。両方の場合において、得られた主生成物は、正しくスプライシングされたエキソンについて予想されたサイズに対応した。これらのデータにより、LLR−J24転写物がstalkエキソンを含み、そして他のエキソンの位置でも正しくスプライシングされることが示される。
【0080】
II型レクチン様レセプターは、通常、ダイマーを形成し、そしてホモダイマーまたは2つの異なるレセプター鎖を組み合せたヘテロダイマーのいずれかを形成することが示されている。一定の場合において、異種性レクチン様レセプター鎖とのダイマー形成は、表面発現に必要であることが示されている。このことは、例えば、NKG2/CD94レセプターについて当てはまる(Carretero M. et al. Eur J Immunol. 27 [1997] 563-567)。したがって、それぞれの発現構築物で一過性にトランスフェクトした後に、293細胞およびHUVECにおけるFLAGタグ化組換えLLR−J24の表面発現を評価した。表面発現を評価するために、抗−FLAG抗体での非浸透細胞の染色を、染色手順の前にTriton X−100を浸透させた細胞のサンプルと平行化するために比較した。LLR−J24について、stalkエキソンを有するおよび有さない構築物が使用された。
【0081】
完全長LLR−J24は、非浸透細胞の強い染色により示されるように、HUVECの細胞表面に効率的に蓄積した(図6A)。対照的に、stalkを有さない検出可能なレベルのLLR−J24アイソフォームは、非浸透細胞上で観察されなかったが、浸透細胞の有意な細胞内染色が得られた。より高い倍率での浸透細胞の、より精密な解析により、完全長LLR−J24−2発現構築物でトランスフェクトされた細胞が核周辺細胞構成成分ならびに全細胞に及んで観察可能な表面発現の強い染色を示すことが明らかにされた(図6B)。stalkのないLLR−J24−1は、細胞質全体に均質に分配されることが観察されるが、表面上では観察されない。同様の結果が、293細胞に関して得られた(データ示さず)。
【0082】
さらなる観点において、本発明は、
・膜貫通タンパク質LLR−J24をコードする単離ポリヌクレオチド;
・LLR−J24の細胞外ドメインをコードする単離ポリヌクレオチド;
・LLR−J24の細胞外ドメインである単離ポリペプチド;および
・膜貫通タンパク質LLR−J24である単離ポリペプチド
を提供する。
【0083】
本発明は、また、診断試薬としての、本発明の遺伝子の使用を提供する。
機能障害と関係する、本発明の遺伝子の変異形の検出は、例えば、加え得る、または対応する遺伝子もしくはその変異体、および/または本発明のポリペプチドの、過少発現、過剰発現、または改変された発現に起因する疾患の診断または疾患の罹病性(susceptability)を定義し得る、例えば診断アッセイにおける、診断ツールを提供する。対応する遺伝子において変異を有する個体は、慣用的方法にしたがって、DNAレベルで検出され得る。
【0084】
診断のための核酸は、対象の細胞、例えば、血液、尿、唾液、細胞診の組織、または検死の試料から得られ得る。ゲノムDNAは、検出に直接的に使用されるか、または分析の前にPCRもしくは他の増幅技術を用いることによって、酵素的に増幅され得る。RNAまたはcDNAもまた、同様に分析において使用され得る。欠失と挿入は、通常の遺伝子型と比べて、増幅された生成物のサイズの変化によって検出され得る。点変異(point mutation)は、本発明の標識遺伝子ヌクレオチド配列に、増幅したDNAをハイブリダイズさせることによって同定され得る。
【0085】
完全に一致した配列は、RNase消化によって、または融点の違いによって、一致しない二重鎖と区別され得る。DNA配列の違いは、また、変性試薬での、または変性試薬なしでの、ゲルにおけるDNAフラグメントの電気泳動での移動度の変化によって、または例えば Myers et al. Science 230 (1985) 1242 にしたがって、直接DNA配列決定によって検出され得る。特異的な位置での配列の変化は、また、ヌクレアーゼ保護アッセイにより、例えばRNaseおよびS1保護法、または化学的切断方法、例えば、Cotton et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1985) 4397-4401 にしたがって、明らかにされ得る。本発明の遺伝子ヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含んでなるオリゴヌクレオチド・プローブのアレイは、例えば遺伝子の変異などの効果的なスクリーニングを実施するために構成され得る。アレイ技術方法は、例えば M. Chee et al. Science 274 (1996) 610-613 にしたがって、遺伝子発現、遺伝子結合、および遺伝子可変性を含む、分子遺伝子学における様々な問題を扱うために使用され得る。
【0086】
本発明のIKK2−55遺伝子の場合において、診断アッセイは、本発明の遺伝子における変異の検出を通して、疾患、例えば、炎症、動脈硬化症、再狭窄、再灌流障害、炎症性腸疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植拒絶、自己免疫疾患、アレルギーおよび癌を含む、例えば免疫性または炎症性疾患の罹病性を診断または測定する方法を提供する。
【0087】
本発明のDINO遺伝子の場合において、診断的アッセイは、例えば炎症性疾患、例えば急性または慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶、癌、アテローム性動脈硬化症および再狭窄を含む疾患の罹病性を診断または測定する方法を提供する。
【0088】
本発明のLLR−J24遺伝子の場合において、診断的アッセイは、例えば慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶、接触過敏症およびアトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚疾患、またはウイルス誘導性免疫抑制、例えばAIDSを含む不釣合いの、増加したまたは減少したDC機能に関連する疾患の罹病性、例えばあらゆる形態のウイルス、細菌、寄生生物感染疾患および癌の罹病性を診断または測定する方法を提供する。
【0089】
疾患は、例えば慣用的方法にしたがって、例えば、対象由来の試料から、異常に減少したまたは増加したレベルの本発明の遺伝子またはポリペプチドまたは遺伝子mRNAを測定することを含んでなる方法により、診断され得る。減少したまたは増加した発現は、RNAレベルで、例えばポリヌクレオチドの定量のための慣用的方法にしたがって、例えばPCR、RT−PCR、RNase保護法、ノーザンブロッティングおよび他のハイブリダイゼーション法にしたがって、測定され得る。宿主由来の試料において、タンパク質、例えば本発明のポリペプチドのレベルを測定するために使用され得るアッセイ技術は、例えば常法としての慣用的方法にしたがって行われ得る。このようなアッセイ技術としては、例えばラジオイムノアッセイ、競合的結合アッセイ(competitive-binding assay)、ウエスタンブロット解析およびELISAアッセイが挙げられる。
【0090】
したがって、さらなる観点において、本発明は、疾患または疾患の罹病性、例えば上記のもの、のための診断用キットであって;主な構成要素として、
a)本発明の遺伝子(例えば、その対立遺伝子変異体、またはそのフラグメント、またはスプライスバリアントを含む);
b)(a)のヌクレオチド配列に相補的な配列;
c)本発明のポリペプチド(例えば、それと少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列のポリペプチドを含み、例えば、本発明のポリペプチドのフラグメントもしくは変異体、または本発明の当該ポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列のポリペプチドのフラグメントまたは変異体を含む);あるいは、
d)本発明のポリペプチドに対する抗体;
を含んでなるキットを提供し、
例えば、いずれの該キット(a)、(b)、(c)、または(d)も、例えば試験されるべき試料の適当な環境、例えば試験されるべき試料中のa)、b)、c)もしくはd)のいずれかの効果を測定するのに適当な方法、を含む本質的構成要素を含み得る。
【0091】
本発明の遺伝子は、また、染色体同定に有用である。配列は、特異的に標的化され、そして個々のヒト染色体上の特定の場所でハイブリダイズし得る。染色体に対する本発明の関連配列のマッピングは、それらの配列を、遺伝子関連疾患と相関させる重要な第1段階である。配列は、一旦正確な染色体の位置にマップされれば、染色体上の配列の天然の位置を、遺伝子マップデータに相関し得る。相当するデータは、例えば V. McKusick Mendelian Inheritance in Man (Johns Hopkins University Welch Medical Libraryを通じてオンラインで利用可能である)に開示されている。同じ染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患との間の関係は、連鎖解析(物理的に隣接した遺伝子の同時受継)によって同定され得る。影響がある個体と影響がない個体の間の、cDNAもしくはゲノム配列における相違もまた、測定され得る。変異が、幾つかのまたは全ての影響がある個体において観察されるが、普通の個体において全く観察されなければ、該変異は疾患を引き起こす原因である可能性がある。
【0092】
したがって、例えばIKK2−55は、長い形態のAPAF1(アポトーシス性プロテアーゼ活性化因子1)に非常に近接して、染色体12q23.1に位置し、そして本発明のLLR−J24遺伝子は、NKレセプター遺伝子複合体の第12染色体の短腕での染色体同定に使用され;ウイルス性疾患および関節炎の罹病性が、げっ歯類において同様の合成領域にマッピングされた。
【0093】
本発明のポリペプチドまたはそのフラグメント、あるいはこのような本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントを発現している細胞は、また、本発明のポリペプチドに免疫特異的な抗体を作成するための免疫原として使用され得る。「免疫特異的(immunospecific)」なる用語は、抗体が、他の関係のあるまたは関係のないポリペプチドとの親和性よりも、本発明のポリペプチドに関して実質的により大きい親和性を有することを意味する。
【0094】
本発明のポリペプチドに対して作成された抗体は、例えば、このようなポリペプチド、またはエピトープ−担持フラグメント−アナログまたは細胞を、動物、好ましくは非ヒトに、通常の手順を用いて投与することにより得られ得る。モノクローナル抗体の調製のために、例えば連続継代細胞系培養(continuous cell line culture)により製造された、抗体を提供する適当な技術、例えばハイブリドーマ技術(Kohler, G. and C. Milstein Nature 256 [1975] 495-497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al. Immunology Today 4 [1983] 72)およびEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al., MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc. [1985] 77-96)が使用され得る。
【0095】
また、一本鎖抗体を製造するための技術(例えば、米国特許第4,946,778号)は、本発明のポリペプチドに対する一本鎖抗体を製造するために適用され得る。また、トランスジェニックマウスまたは他の哺乳動物を含む他の生物が、ヒト化抗体を発現させるために使用され得る。上記の抗体は、例えば、本発明のポリペプチドを発現しているクローンの単離または同定において、あるいは、アフィニティークロマトグラフィーによる本発明のポリペプチド(フラグメント)の精製のために、使用され得る。
【0096】
本発明のポリペプチドに対する抗体は、また、疾患の処置において、例えば、DINO遺伝子に対する抗体の場合には、炎症性疾患、例えば急性または慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶、癌、アテローム性動脈硬化症および再狭窄のような疾患において;あるいはLLR−J24遺伝子に対する抗体の場合には、例えば接触過敏症、アトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚疾患を含む、慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶において、またはウイルス誘導性免疫抑制、例えばAIDS、例えばウイルス、細菌、寄生生物感染疾患および癌に対するあらゆる形態での罹病性において、有用であり得る。
【0097】
さらなる観点において、本発明は、本発明のポリペプチドに対する抗体を提供する。本発明の抗体としては、LLR−J24ポリペプチドおよびウイルス、細菌または真核性寄生生物あるいは癌細胞に結合する二重特異性抗体(bispecific antibody)が挙げられる。
さらなる観点において、本発明は、LLR−J24ポリペプチドおよびウイルス、細菌または真核性寄生生物に結合する二重特異性抗体を提供する。
【0098】
さらなる観点において、本発明は、LLR−J24ポリペプチドおよび癌細胞に結合する二重特異性抗体を提供する。
二重特異性抗体の代わりに、LLR−J24ポリペプチドおよびウイルス、細菌または真核性寄生生物あるいは癌細胞に結合する能力を有する別の二重特異性試薬も使用され得る。
【0099】
さらなる観点において、本発明は、抗体でなく、かつ、LLR−J24ポリペプチドおよびウイルス、細菌または真核性寄生生物あるいは癌細胞に結合する能力を有する、二重特異性試薬を提供する。
【0100】
さらなる観点において、本発明は、哺乳動物において免疫応答を誘導する方法であって、ベクターを介して本発明のポリペプチドを送達すること、該動物を疾患から保護するための抗体を産生する免疫応答を誘導するために、in vivo で対応する本発明の遺伝子の発現を指示することを含んでなる方法;ならびに、
いっそうさらなる観点において、哺乳動物の宿主に導入された場合に、その哺乳動物において本発明のポリペプチドに対する免疫応答を誘導する免疫/ワクチン製剤(組成物)であって、本発明のポリペプチドまたは本発明の遺伝子を含んでなる組成物;
を提供する。
【0101】
さらなる観点において、本発明は、哺乳動物において免疫応答を誘導する方法であって、哺乳動物に、それぞれ、疾患、例えば上記の疾患から該動物を保護するための抗体および/またはT細胞免疫応答を産生するのに適当な、本発明のDINOポリペプチドもしくはそのフラグメント、または本発明のLLR−J24ポリペプチドもしくはそのフラグメントを接種することを含んでなる方法を提供し、ここで、本発明のLLR−J24ポリペプチドは、好ましくは配列番号6または配列番号8で示されるもの、さらに好ましくは配列番号8で示されるものである。
【0102】
ワクチン製剤は、さらに、適当な担体を含み得る。本発明のポリペプチドは、胃において分解され得るので、好ましくは非経腸的に(皮下、筋肉内、静脈内、皮内などの注射を含む)投与され得る。非経腸投与に適した免疫/ワクチン製剤としては、例えば、レシピエントの血液と等張な製剤を与える抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含み得る水性および非水性の滅菌注射用溶液;ならびに懸濁化剤または増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。該製剤は、単回投与または複数回投与容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで提供され得、そして、使用直前に滅菌液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥条件で保存され得る。ワクチン製剤は、また、その製剤の免疫原性を増大させるアジュバントシステム、例えば水中油(oil-in-water)システムおよび他の適当なシステムを含み得る。投与量は、ワクチンの特定の活性に依存し、そして通常の実験により容易に決定され得る。
【0103】
本発明のポリペプチドは、多くの生物学的機能、例えば多くの病的状態の基礎をなす機能に関与し得る。したがって、例えば生物学的に適合して、例えば転写的に、活性化し、そして/または本発明のポリペプチドの活性を刺激するか、あるいは一方において本発明の遺伝子の発現を刺激し(アゴニスト)、そして他方において本発明のポリペプチドの機能または本発明の遺伝子の発現を阻害できる(アンタゴニスト)、化合物および薬物を発見することが望ましい。したがって、本発明のポリペプチドまたはその機能ミメティクス(functional mimetics)、例えば、Coligan et al., Current Protocols in Immunology 1(2) Chapter 5 (1991)に記載のものは、例えば細胞、細胞の入っていない製剤、化学ライブラリー、および天然物の混合物において、例えばスクリーニングアッセイにおいて、本発明のレセプターポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストの結合を評価するために使用され得る。
【0104】
本発明のIKK2−55ポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストは、例えば免疫または炎症関連疾患を含む疾患、例えば炎症、動脈硬化症、再狭窄、再灌流障害、炎症性腸疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植拒絶、自己免疫疾患、アレルギーおよび癌の処置において使用され得る。
【0105】
本発明のDINOポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストは、例えば炎症性疾患、急性または慢性、自己免疫疾患、移植拒絶、癌、アテローム性動脈硬化症および再狭窄の処置において使用され得る。
【0106】
本発明のLLR−J24ポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストは、例えば慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶を含む疾患、例えば炎症性皮膚疾患、例えば接触過敏症、アトピー性皮膚炎、またはウイルス誘導性免疫抑制、例えばAIDS、例えばウイルス、細菌、寄生生物感染、および癌に対するあらゆる形態の罹病性の処置において使用され得る。
【0107】
例えば低分子量化合物(LMW)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドによる、本発明の遺伝子の発現の刺激または阻害は、好ましくは、それぞれ、ECまたはDCの生理/機能に対して、対応する本発明のポリペプチドおよびそのリガンドの効果を調節し得る。
【0108】
スクリーニング手順は、IKK2−55またはLLR−J24の場合において、その表面に本発明のポリペプチドのレセプターを発現している適当な細胞の作成を含み得る。適当な細胞としては、例えば哺乳動物、酵母およびショウジョウバエからの細胞が挙げられる。IKK2−55の場合において、IKK2−55を発現している細胞;およびLLR−J24の場合において、そのレセプターを発現している細胞(またはその発現レセプターを含む細胞膜)は、結合、または機能的応答の刺激もしくは阻害を観察するために、試験(候補)化合物と接触させられてもよい。
【0109】
スクリーニングアッセイは、候補化合物の結合を試験するために使用され得、ここで、それぞれ、IKK2−55またはLLR−J24レセプターを担持する細胞が、候補化合物と直接的もしくは間接的に結合した標識により、または標識競合性物質での競合を含むアッセイにおいて、検出され得る。スクリーニングアッセイは、さらに、候補化合物が、それぞれ、表面にIKK2−55またはLLR−J24レセプターを担持する細胞に適した検出系を用いて、レセプターの活性化により産生されたシグナルをもたらすかどうかを試験するために使用され得る。活性化のインヒビターは、既知のアゴニストの存在下でアッセイされ得、そして、候補化合物の存在下でアゴニストによる活性化に対する効果が観察され得る。
【0110】
スクリーニングアッセイは、混合物を形成させるために、候補化合物を、本発明のポリペプチドを含有する溶液と混合する工程、該混合物中の該ポリペプチドの活性を測定する工程、および該混合物の活性を標準物質の活性と比較する工程を含み得る。
【0111】
本発明の遺伝子(cDNA)、本発明のポリペプチドおよび本発明のポリペプチドに対する抗体は、また、細胞における当該遺伝子(mRNA)および当該ポリペプチドの産生に対する候補化合物の効果を検出するためのスクリーニングアッセイを提供するために使用され得る。例えば、ELISAは、慣用的方法にしたがって、例えばモノクローナル抗体とポリクローナル抗体を用いて、該ポリペプチドの細胞結合レベルを測定するために作られ得、そしてELISAは、適当に処理された細胞または組織中で、該ポリペプチドの産生または活性を、阻害し得るまたは増加し得る薬剤(アンタゴニストまたはアゴニスト)を発見するために使用され得る。スクリーニングのためのアッセイは、例えば慣用的方法にしたがって、実施され得る。
【0112】
本発明の遺伝子のアゴニスト(アンタゴニスト)候補物の例は、抗体、または幾つかの場合においては、該遺伝子のリガンド(該遺伝子のポリペプチドに結合するアンタゴニスト)に密接に関連した、オリゴヌクレオチドまたはタンパク質(ポリペプチド)、例えば該リガンドのフラグメント、あるいは、レセプターに結合するが応答を誘発せず、その結果、レセプターの活性を妨げる小分子を含む。
【0113】
本発明のアゴニスト(アンタゴニスト)の候補物の例としては、例えばオリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、ミメティクス、小分子、例えば低分子量(LMW)化合物を含む、本発明のポリペプチドに結合する化合物が挙げられる。
【0114】
したがって、さらなる観点において、本発明は、本発明のポリペプチドのアゴニストもしくはアンタゴニストを同定するためのスクリーニングアッセイを提供し、該アッセイは、主な構成要素として、
a)本発明のポリペプチド;
b)本発明のポリペプチドを発現する組換え細胞;
c)本発明のポリペプチドを発現する細胞膜;または
d)本発明のポリペプチドに対する抗体;
および、例えば候補化合物と接触させる手段;例えば、a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する候補化合物の効果を測定する手段;
例えば、候補化合物の存在下で、本発明のポリペプチドの産生および/または生物学的活性が、減退するかまたは増加するかを測定する手段、例えば候補化合物の存在下および非存在下での、a)、b)、c)またはd)のいずれかの活性を比較することによる手段を含んでなり;そして
別の観点において、本発明のポリペプチドの産生および/または生物学的活性を、減退させるかまたは増加させる、例えばリガンド、レセプター、抗体、またはLMW分子を含む、アゴニストまたはアンタゴニスト、好ましくはアゴニストを同定する方法であって、該方法は、
A)候補化合物と、
a)本発明のポリペプチド;
b)本発明のポリペプチドを発現する組換え細胞;
c)本発明のポリペプチドを発現する細胞膜;または
d)本発明のポリペプチドに対する抗体;
を接触させること;
B)a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する候補化合物の効果を測定すること;例えば、候補化合物の存在下で、本発明のポリペプチドの産生および/または生物学的活性が減退するかまたは増加するかを測定すること、例えば、候補化合物の存在下および非存在下での、a)、b)、c)またはd)のいずれかの活性の比較によって測定すること;ならびに
C)工程B)で測定されたアゴニストまたはアンタゴニストを選択すること、
例えば、アゴニスト/アンタゴニストの効果が、工程B)においてポジティブに測定された適当な候補化合物を選択すること、
ことを含んでなる。
【0115】
任意のこのようなスクリーニングアッセイにおいて、a)、b)、c)またはd)は、本質的な構成要素を含み得る。候補化合物は、a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する効果が未知である化合物(ライブラリー)を含む。化合物(ライブラリー)は、本発明のポリペプチドに対するアゴニスト(アンタゴニスト)として、上に示した化合物を含む。アゴニスト(アンタゴニスト)は、a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する効果が、スクリーニングアッセイにおいて、または上記のアゴニスト(アンタゴニスト)を同定するための方法において、見出された候補化合物である。アゴニスト(アンタゴニスト)は、本発明のポリペプチドの産生および/または生物学的活性を減退させるかまたは増加させ得る。
【0116】
さらなる観点において、本発明は、本発明のポリペプチドのアンタゴニストまたはアゴニスト、好ましくはアンタゴニストを提供し、該アンタゴニストまたはアゴニストは、下記の工程:
A)候補化合物と、
a)本発明のポリペプチド;
b)本発明のポリペプチドを発現する組換え細胞;
c)本発明のポリペプチドを発現する細胞膜;または
d)本発明のポリペプチドに対する抗体;
を接触させること;
B)a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する該候補化合物の効果を測定すること;例えば、候補化合物の存在下で、本発明のポリペプチドの産生および/または生物学的活性が減退するかまたは増加するかを測定すること;例えば、候補化合物の存在下および非存在下での、a)、b)、c)またはd)のいずれかの活性の比較によって測定すること;ならびに
C)工程B)で測定されたアゴニストまたはアンタゴニストを選択すること、
例えば、アゴニスト/アンタゴニストの効果が、工程B)においてポジティブに測定された適当な候補化合物を選択すること、
により提供され得ることを特徴とする。
【0117】
本発明のIKK2−55(ポリペプチド)のアゴニスト(アンタゴニスト)は、例えば、免疫または炎症関連疾患、例えば、炎症、動脈硬化症、再狭窄、再灌流障害、炎症性腸疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植拒絶、自己免疫疾患、アレルギーおよび癌を含む疾患の処置において使用され得る。
【0118】
本発明のDINO(ポリペプチド)のアゴニスト(アンタゴニスト)は、免疫調節活性を有し得、そして、例えば、炎症性疾患、例えば、急性または慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶、癌、アテローム性動脈硬化症および再狭窄を含む疾患の処置において使用され得る。
【0119】
本発明のLLR−J24(ポリペプチド)のアゴニスト(アンタゴニスト)は、免疫調節活性を有し得、そして、例えば、慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶、例えば、炎症性皮膚疾患、例えば接触過敏症、アトピー性皮膚炎、またはウイルス誘発性免疫抑制、例えばAIDS、例えばウイルス、細菌、寄生生物感染および癌のあらゆる形態の罹病性を含む疾患の処置において使用され得る。したがって、本発明のポリペプチドのアゴニスト(アンタゴニスト)は、医薬として有用であり得る。
【0120】
このような使用のために、いくつかの方法が利用可能である:
もし、本発明の遺伝子および/またはポリペプチドの活性が過剰であるならば、1つの方法は、ポリペプチドに対するリガンドの結合をブロックすることにより、またはセカンドシグナルを阻害することにより、本発明の遺伝子および/またはポリペプチドの活性化を阻害するのに有効な量で、例えば薬学的に許容される賦形剤と組み合せて、本発明のポリペプチドのアンタゴニストを対象に投与すること、そしてその結果、例えば、該遺伝子(またはその変異体)の過剰−、過少−または改変された発現により引き起こされる異常状態を緩和することを含んでなる。
【0121】
別の方法において、例えばDINOまたはLLR−J24の場合において、内因性ポリペプチドと競合的にリガンドに結合できる、可溶形態の対応する本発明のポリペプチドが、投与され得る。このような競合剤の典型的な実施態様は、本発明の当該ポリペプチドのフラグメントを含み得る。
【0122】
さらなる観点において、本発明は、T細胞または他の免疫細胞上でリガンドに結合し、そして免疫機能および例えばアレルギーを活性化できる、本発明の可溶性LLR−J24ポリペプチドを提供する。
【0123】
いっそうさらなる方法において、本発明は、発現ブロック技術(expression blocking technique)を用いる本発明の内因性ポリペプチドをコードする遺伝子の発現の阻害を含む。
【0124】
既知のこのような技術には、例えば O'Connor, J. Neurochem. 56 (1991) 560、Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, Fla. (1988)にしたがって、内部に生じたかまたは別に投与した、アンチセンス配列の使用が含まれる。代わりに、オリゴマー、例えば本発明の遺伝子と三重鎖を形成するオリゴヌクレオチドは、例えば Lee et al. Nucleic Acids Res. 6 (1979) 3073; Cooney et al. Science 241 (1988) 456; Dervan et al. Science 251 (1991) 1360 にしたがって供給され得る。このようなオリゴマーは、そのまま投与するか、または in vivo で発現させ得る。
【0125】
本発明のポリペプチドの過少発現およびその活性に関する異常状態の処置のために、1つの方法は、本発明のポリペプチドの発現を増やす必要がある対象に、本発明の遺伝子を活性化する治療上有効量の化合物(アゴニスト)を、例えば薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて投与し、それによって異常状態を緩和することを含む。
【0126】
代わって、遺伝子治療を行い、対象において、関連する細胞によって、本発明のポリペプチドの内因的産生に影響を与え得る。例えば、本発明の遺伝子は、例えば上記の方法にしたがって、複製欠損レトロウイルスベクターにおける発現のために操作され得る。得られたレトロウイルス発現構築物は、単離され、そして、本発明の該遺伝子に対応するポリペプチドをコードするRNAを含む、レトロウイルス・プラスミド・ベクターで形質転換したパッケージング細胞に導入され得、その結果、パッケージング細胞は、目的の遺伝子を含む感染性ウイルス粒子を産生する。これらの産生細胞は、 in vivo で細胞を操作し、 in vivo でポリペプチドを発現させるために、対象に投与され得る。遺伝子治療の概観については、例えば、Chapter 20, Gene Therapy and other Molecular Genetic-based Therapeutic Approaches(およびこの中に引用された参考文献)in Human Molecular Genetics, T Strachan および A P Read, BIOS Scientific Publishers Ltd. (1996) を参照のこと。
【0127】
別の観点において、本発明は、医薬として使用するための、例えば上に示した疾患の処置または予防のための、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニスト、好ましくはアンタゴニストを提供し、そして、別の観点において:
・上に示した疾患の処置または予防のための医薬の製造における本発明のアゴニストまたはアンタゴニストの使用;および
・医薬として使用するための、例えば、それぞれ、IKK2−55またはLLR−J24、本発明のアゴニスト(アンタゴニスト)が適当である同じ疾患の処置のための、それぞれ、可溶形態の、本発明のIKK2−55ポリペプチドまたはLLR−J24ポリペプチド
を提供する。
【0128】
本発明のポリペプチドの(アンタ)アンタゴニストは、医薬組成物の形態で投与され得る。
【0129】
別の観点において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤(複数も可)/担体(複数も可)と組み合せて、活性成分として本発明のアゴニストまたはアンタゴニスト、好ましくはアンタゴニストを含んでなる医薬組成物;例えば、該アンタゴニストまたはアゴニストは、下記の工程:
A)候補化合物と、
a)本発明のポリペプチド;
b)本発明のポリペプチドを発現する組換え細胞;
c)本発明のポリペプチドを発現する細胞膜;または
d)本発明のポリペプチドに対する抗体;
を接触させること、
B)a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する候補化合物の効果を測定すること;例えば、候補化合物の存在下で、本発明のポリペプチドの産生および/または生物学的活性が減退するかまたは増加するかを測定すること;例えば、候補化合物の存在下および非存在下での、a)、b)、c)またはd)のいずれかの活性の比較によって測定すること;ならびに
C)工程B)で測定されたアゴニストまたはアンタゴニストを選択すること;例えば、アゴニスト/アンタゴニストの効果が、工程B)においてポジティブに測定された適当な候補化合物を選択すること、
により提供され得る、医薬組成物を提供する。
【0130】
このような医薬組成物は、適当に、例えば慣用的方法にしたがって、例えば工程A)、B)およびC)により提供されたアゴニスト(アンタゴニスト)を賦形剤(複数も可)/担体(複数も可)と混合すること、およびさらに、得られた混合物を加工して適当な投与のための医薬組成物を得ることにより、製造され得る。
【0131】
さらなる観点において、本発明は、本発明の遺伝子の過剰または不十分なレベルの両方、好ましくは過剰、に関連する;または、本発明のポリペプチドの過剰なおよび不十分な、好ましくは過剰な、活性に関連する、異常状態を処置する方法を提供する。例えば、IKK2−55の場合において、免疫または炎症関連疾患、例えば、炎症、動脈硬化症、再狭窄、再灌流障害、炎症性腸疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植拒絶、自己免疫疾患、アレルギーおよび癌を含む疾患を処置する方法;例えば、DINOの場合において、炎症性疾患、例えば、急性または慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶、癌、アテローム性動脈硬化症および再狭窄を含む疾患を処置する方法;LLR−J24の場合において、慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶、例えば、炎症性皮膚疾患、例えば接触過敏症、アトピー性皮膚炎、またはウイルス誘発性免疫抑制、例えばAIDS、例えばウイルス、細菌、寄生生物感染疾患および癌に対するあらゆる形態の罹病性を含む疾患を処置する方法が提供される。該方法は、例えば、上に示したA)、B)またはC)の工程により提供され得る、治療上有効量の本発明のアゴニストまたはアンタゴニストを、例えば、薬学的に許容される賦形剤(複数も可)/担体(複数も可)と組み合せて、投与することを含んでなり;例えば、それぞれ、IKK2−55またはLLR−J24の場合において、治療上有効量の可溶形態の、それぞれ、IKK2−55またはLLR−J24、本発明のポリペプチドを、例えば薬学的に許容される賦形剤(複数も可)/担体(複数も可)と組み合せて;このような処置を必要とする対象に、投与することを含んでなる。
【0132】
別の観点において、本発明は、感染または癌の処置方法であって、そのような処置を必要とする対象に、抗原の取り込みならびにDCによるT細胞の提示および活性化を増加させることができる、有効量の本発明の二重特異性抗体または試薬を投与することよる方法を提供する。
【0133】
別の観点において、本発明は、感染または癌の処置方法であって、そのような処置を必要とする対象に、免疫機能を活性化することができる、有効量の可溶性LLR−J24タンパク質を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0134】
IKK2−55は細胞内のタンパク質である。本発明の医薬組成物の全身的投与の好適な形態としては、注射、典型的には静脈注射が挙げられる。他の注射経路、例えば皮下注射、筋肉内注射、または腹膜内注射も使用され得る。全身投与のための他の手段として、例えば胆汁酸塩もしくはフジシン酸のような浸透剤または他の洗浄剤を用いる、経粘膜および経皮投与が挙げられる。さらに、腸溶性製剤またはカプセル製剤で適切に製剤化されれば、経口投与もまた可能であり得る。本発明の組成物の投与は、また、例えばクリーム剤、ペースト剤、ゲル剤などの形態で、局所的(topical)および/または局所限定的(localized)であり得る。
【0135】
必要な投与量の範囲は、本発明のポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニスト、投与経路、医薬組成物の性質、患者の状態の性質、診察した医者の判断に依存し得る。しかしながら、適当な投与量は、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、例えば約0.1mg/kg〜約1mg/kg(対象の重量)の範囲であり得る。しかしながら、必要な投与量の変動が、利用された化合物の多様性および様々な投与経路の異なる効率を考慮すると、予期され得る。例えば、経口投与は、静脈注射による投与よりも、より高い投与量が必要であると予期される。これらの投与量の変化は、例えば最適化のための標準的な経験則にしたがって、調整され得る。
【0136】
処置に用いられるポリペプチドは、また、例えばこのような処置を必要とする対象において、例えば上記のような“遺伝子治療”としてしばしば述べられる処置様式において、内因的に生成され得る。したがって、例えば対象由来の細胞は、例えばレトロウイルスのプラスミド・ベクターを用いることによって、IKK2−55ポリペプチドをコードする、DNAまたはRNAのようなポリヌクレオチドで、ex vivo で操作され得る。操作された細胞は、例えばこのような処置を必要とする対象に導入され得る。
【0137】
本発明にしたがって、抗原取り込みおよび提示を改善することができる、例えばT細胞および免疫系の活性化を改善することができる、LLR−J24構築物を発現する、遺伝子的に修飾されたDCが提供され得る。
【0138】
別の観点において、本発明は、抗原取り込みおよび提示を改善することができる、例えばT細胞および免疫系の活性化を改善することができる、LLR−J24構築物を発現する、遺伝子的に修飾された樹状細胞を提供する。
【0139】
LLR−J24ポリペプチドに結合する抗体、リガンドまたは試薬は、DC形成/成熟を阻害し得、そしてその結果、例えば免疫機能およびアレルギーを改善し得る。
別の観点において、本発明は、DC形成/成熟を阻害する、本発明のLLR−J24ポリペプチドに結合する抗体、リガンドまたは試薬を提供する。
【0140】
図1(IKK2−55)
IKK2のCoIPとIKK2−55との相互作用。Flag−タグ化IKK2−55およびmyc−タグ化IKK2を、示した通りにHela細胞にトランスフェクトした。溶解物を調製し、そしてIKK2−55を抗−Flag抗体で沈澱させ、そして沈澱物を、抗−Myc抗体を用いるウエスタンブロッティングにより解析した(上側のパネル)。細胞抽出物におけるFlag−IKK2−55およびmyc−IKK2の存在が、ウエスタンブロッティングにより確認された(下側のパネル)。
【0141】
図2(IKK2−55)
IKK2−55の亜細胞性局在。HUVECを、異なる細胞区画についてのCFP融合遺伝子とともに、YFP−IKK2−55融合構築物でトランスフェクトし、そして蛍光顕微鏡下で観察した。左側の列は、イエローチャンネル(yellow channel)におけるIKK2−55の局在を示し、右側の列はシアンチャンネル(cyan channel)におけるマーカーの局在を示す。上段のパネル:小胞体(ER);中段のパネル:ミトコンドリア(mito);下段のパネル:ゴルジ体。
【0142】
図3(IKK2−55)
NF−kB依存プロモーターに対するIKK2−55の影響。HUVECを、異なる量のIKK2−55ならびに内部標準としてユビキチン−bgalとともに、5xNF−kB−Luc構築物でトランスフェクトし、そして2日後に、100U/mlのTNFαで6時間刺激した。ルシフェラーゼ値(相対的な光度単位)を、b−gal発現に関して標準化した。
prom=プロモーター;unstim=未刺激;stim=刺激。
【0143】
図4(IKK2−55)
NF−kB依存プロモーターに対する(異なるキナーゼと組み合せた)IKK2−55の影響。HUVECを、5xNF−kB−Luc構築物で、IKK2−55とともに、示した異なるキナーゼ(IKK2、NIK、TAK1、p38)ならびに内部標準としてのユビキチン−bgalで、トランスフェクトした。1つの場合において、細胞を100U/mlのTNFαで6時間刺激した。ルシフェラーゼ値を、相対的な光度単位として表し、そしてβ−gal発現に関して標準化した。
濃色カラム:500ng IKK2−55;斜線付きカラム:0ng IKK2−55
RLU−βgal:β−galあたりの相対光度単位。
【0144】
図5(LLR−J24)
ヒトNKレセプター複合体のすべての既知のレクチン様遺伝子を含む系統樹:
表された遺伝子のCTLDの配列をアラインし、そして実施例において記載したように、系統樹を作成した。すべての配列を、ドメインにおいて必ず保存されている最初のシステインの、2つ前のアミノ酸から開始するように選択した。NKG2EおよびHは、同じ遺伝子からの、2つの別々にスプライシングされた転写物である。LY49Lについて、他の遺伝子と比較できるほどにスプライシングされたすべての3つのCTLDエキソンを含む仮定的配列を選択したが、異常型にスプライシングされた転写物のみが、この遺伝子に関して検出された。この遺伝子は、一貫して、アラインメントのための異なるパラメーター設定を用いて、互いにより近い関係にあることが見出され、そして樹構造は、右側のカッコにより示される。下のスケールは、置換事象の尺度である。NK細胞、T細胞、内皮細胞(EC)、単球細胞(MO)、樹状細胞(DC)におけるまたはさらに広範に白血球(LEUK)におけるサブファミリーの選択的発現が示される。
【0145】
図6および7(LLR−J24)
HUVECにおける組換えLOX−1、LLR−J24およびCLEC−1の発現:
C末端をFLAG−タグ化LOX−1、LLR−J24およびCLEC−1の発現プラスミドを、HUVEC中にトランスフェクトした。タンパク質の発現を、抗−FLAG抗体および二次Texas Red−標識抗体で染色した後に、感染の24時間後に解析した。
【0146】
非浸透および浸透細胞の染色の比較。左列において、ホルムアルデヒドで固定した非浸透細胞(固定)、および右列において、浸透細胞(固定/浸透)を示す。上段は抗−FLAG抗体での染色を示し、下段は総細胞数を可視化するためのHoechst333258でのDNAの染色を示す。
【0147】
stalkエキソンを含まないLLR−J24構築物を、図2Bにおいて示す(ΔLLR−J24−1)。より高い倍率での4つの発現構築物全てについての浸透細胞の染色の比較。
【0148】
図8(LLR−J24)
樹状細胞の成熟中のLLR−J24 mRNAの下方調節:
図8A:
未成熟MoDC、ならびにTNF−αおよびIL−βと組み合せて18時間刺激された培養物から単離された全RNAのノーザンブロット。対照として、LLR−J24 cDNAおよびβ−アクチンプローブのハイブリダイゼーションを示す。
【0149】
図8B:
未成熟MoDCおよびHPDCから、抗−CD40抗体で処理されたMoDCおよびHPDCから、または抗−CD40抗体とザイモサンAとの組合せで24時間処理したMoDCから、単離されたRNAでのノーザンブロット。該ブロットを、負荷対照(loading control)として、LLR−J24、MDCおよびGAPDHのためのプローブと連続的にハイブリダイズさせた。18sおよび28s rRNAの位置が示されている。
【0150】
図9および図10(LLR−J24)
ヒトLLR−J24 mRNAのフラクションは、stalkエキソン配列を含む:
【0151】
LLR−J24 mRNAのRT−PCR。MoDCからのRNAを、特異的LLR−J24プライマーを用いて逆転写し、そしてPCRを、得られたcDNA上で、示された異なるプライマー対を用いて行った。(a)は、MoDC RNAのためのstalkエキソンを有するおよび有さない転写物の増幅を示し、(b)は5'−部分の増幅を示し、そして、(c)は、図4A中のBで示されたMoDCおよびHL60 RNAのための転写物を含むstalkの3'−部分を示す。レーン6は、完全長LLR−J24 cDNAを含むプラスミドから得られた生成物を示す。
【0152】
RT−PCRに使用するためのオリゴヌクレオチドプライマーの概略図。第1のプライマー対(a)を、stalkエキソンフラグメンを有するおよび有さない、それぞれ、予想された505bpおよび367bpのPCR生成物をもたらすstalkエキソンフラグメントの存在を試験するために設計した。第2のプライマー対(b)により、5'−部分の正確なスプライシングを試験し、第3のプライマー対(c)により、stalkエキソンを含む転写物の3'−部分のスプライシングを訂正する。
c=細胞質性;TM=膜貫通性;CTLD=C型レクチン様ドメイン1;
CTLD2=C型レクチン様ドメイン2;CTLD3=C型レクチン様ドメイン3。
【0153】
下記の実施例において、すべての温度は、セ氏温度であり、そして補正していない。
【表1】

【実施例】
【0154】
実施例1:IKK2−55遺伝子
IKK2−55遺伝子の配列番号1を含んでなるcDNAクローンは、PHA−活性化リンパ球mRNAのライブラリーから、およびGenBankデータベースとともにBLASTアルゴリズムを用いる配列比較により、単離する。
【0155】
ベイト(bait)としてIKK2のC末端HLHドメインを用いる酵母ツーハイブリッドスクリーンにおいて、IKK2−55遺伝子が見出された。C末端フラグメントを含んでなる最初のクローンを、ESTs、およびさらなる2つのIMAGEクローン(#1:クローンID=2048289;GenBank受託番号=AI375687および#2:クローンID=2382861;GenBank受託番号=AI759984)の配列を用いて伸張させる。核酸およびアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1および配列番号2において与えられる。58〜60位のヌクレオチドの最初のATGは、16〜18位のインフレーム停止コドン(in-frame stop codon)により先行される。オープンリーディングフレームは、1189〜1191位の停止コドンまで伸張する。IKK2−55は、データベースの登録事項と有意な相同性を全く示さない377のアミノ酸タンパク質をコードする。
【0156】
それは、また、45〜58位のアミノ酸の低組成複雑性領域ならびに116〜259位および287〜323位の2つのコイルドコイル領域を除いて、PfamおよびPrositeデータベースに存在する明確なタンパク質モチーフを含まない。ヒト遺伝子に似ているゲノム性クローンは、該データベース(AC013283.htgs)に存在する。ESTクローンでのヒトドラフトゲノム配列、例えばAI375687の調査により、IKK2−55は染色体12q23.1に位置することが判明した。その結果、IKK2−55転写開始部位は、APAF1(アポトーシスプロテアーゼ活性化因子1)の転写部位に対して2kb以内に位置し、このことは、これら2つの遺伝子の調節のクロストークを意味している。
【0157】
実施例2:IKK2−55遺伝子
Y2HSは2つのタンパク質間の相互作用に関する最初の情報を提供するが、これらの結果は生化学的手段により確認された。(Flagタグが結合した)IKK2のおよび(mycタグが結合した)IKK2−55の発現ベクターを、HeLa細胞中にトランスフェクトする。2日後、抽出物を調製し、そしてIKK2を抗Flag抗体で沈澱させる。沈澱を、抗myc抗体を用いるウエスタンブロッティングにより解析する。図1のレーン3における特異的バンドの存在は、IKK2でのIKK2−55の共免疫沈澱を示唆する。下段のパネルにおいて、全細胞抽出物を、細胞がそれぞれの遺伝子を発現することを示すために、それぞれ、抗−Flagおよび抗−myc抗体を用いてIKK2−55およびIKK2のためにプローブする。
【0158】
実施例3:IKK2−55遺伝子
細胞内局在化は、タンパク質の機能の証明を提供し得る。小胞体に似ているように見える異なる特異的マーカーの共トランスフェクションにより、YFP−IKK2−55融合遺伝子のトランスフェクションは、核周囲領域(図2)への局在化をもたらす(ER;該構築物はCFPに融合したカルレティキュリンの標的配列を含む;Clontech Living Colors ER Subcellular Localization Vector)。
【0159】
実施例4:IKK2−55遺伝子(発現パターン)
MTN(マルチプル・ティシュー・ノーザンブロット(Multiple Tissue Northern Blot); Clontech)を、IKK2−55プローブとハイブリダイズさせ、そして、2.4および4.3kbの2つのバンドが腎臓、肝臓、胎盤、脾臓および心臓において選択的に検出される。
【0160】
TIGRヒト遺伝子インデックスを用いるESTの検索において、限定された発現が見出される:
【表2】

【0161】
Virtual SAGEを行い(aaaataagcc鎖が該プログラムにより選択される)、そしてPTEN -/- であるヒト乳癌系MDA−MB−468において高度の発現が検出される。RT−PCRを、IKK2−55特異的プライマーおよび刺激されかつ制御されたECからのmRNAを用いて行う。増大したIKK2−55発現が、IL−1で、LPSで、またはVEGFで刺激されたECにおいて見出される。
【0162】
実施例5:IKK2−55遺伝子
IKK2−55は、遺伝的および生化学的手段により示されるようにIKK2と相互作用するので、NF−kB活性に対するIKK2−55の影響を試験した。5コピーのNF−kB結合部位を含む、NF−kB依存プロモーター−ルシフェラーゼレポーター構築物、すなわち5xNF−kB−Lucを、TNFα刺激有りまたは無しで、HUVECの一過性トランスフェクションにおいて使用する。結果を図3に示し、そして、使用された量に依存して、IKK2−55は刺激性(低い、生理学的量)または阻害性(多量で)活性のいずれかを有することが示される。5xNF−kBプロモーターを用いると、NF−kBシグナル伝達に関与することが知られているキナーゼ、例えばIKK2、TAK1、NIK、p38とのIKK2−55の共トランスフェクションは、レポーター遺伝子の発現をさらに誘発した(図4)。
【0163】
実施例6:DINO遺伝子(相同性)
皮膚微小血管内皮細胞mRNAのライブラリーから、およびSWISSPROT ProteinデータベースとともにBLASTXアルゴリズムを用いる配列比較により、単離されたDINO遺伝子の配列番号3を含んでなるcDNAクローンが、HERCタンパク質(E6結合タンパク質C末端の相同ドメインおよびRCC1ドメイン)のファミリーに、特にHERC3(受託番号D25215)およびCep1(受託番号AB027289)に相同的であることが見出される。
【0164】
配列番号3のDINO遺伝子は、HERC3およびCep1に対して全体的な相同性は37.8%であるが、該相同性は、規定されたタンパク質ドメインにおいて有意に高い(70%まで)。DINOとCep1との間には、Cep1が約100アミノ酸のN末端伸展(N-terminal extension)を有するという特徴的な相違が存在する。HERCタンパク質のHECTドメインは、分解またはプロセシングされることになる特異的細胞標的タンパク質へのユビキチンの移動に関与する。
【0165】
実施例7:DINO遺伝子(経路プロファイリングシステム)
p53転写活性を誘導するDINOの潜在能力を、in vivoでシグナル伝達経路プロファイリングシステム(signaling pathway profiling system)においてアッセイし得る。該システムは、ルシフェラーゼレポーター遺伝子から上流のcis作用性エレメント(cis-acting element)に基づく。経路が、トランスフェクトされたHeLaまたは内皮細胞におけるDINOの過剰発現により活性化される場合、ルシフェラーゼの発現が測定され得る。この方法で、さまざまな薬物、刺激または共トランスフェクトされた遺伝子の効果が、ルシフェラーゼ発現のアッセイにより研究され得る。
【0166】
実施例8:LLR−J24遺伝子(相同性)
配列番号5のLLR−J24−1遺伝子を含んでなるcDNAクローンは、DC mRNAのライブラリーから単離され、そしてGenBank発現配列タグ化データベース(dbEST)において検出される。ライブラリーを、NKG2−A、−C、−DおよびヒトLy49遺伝子から確立された短コンセンサス配列を用いて調べる(Houchins J.P. et al. J. Exp. Med. 173 [1991] 1017-1020; Bull C. et al. Genes and Immunity 1 [2000] 280-287)。スプライスバリアントLLR−J24−2の配列番号7を含んでなるcDNAクローンは、単球由来のDCのmRNAから、逆転写PCRにより単離される。配列番号5および配列番号7を含んでなるcDNAクローンは、BLASTXアルゴリズムを用いる配列比較により、CTLDレセプターのスーパーファミリーと相同的であることが見出された。
【0167】
NKCの他の既知の遺伝子に対するLLR−J24の関係を確立するために、CTLDの予想アミノ酸配列を比較する。NKレセプター複合体のすべての既知のレクチン様遺伝子のCTLDドメインのマルチプルアラインメントを、下記のパラメーターを有するMac Vector 6.5ソフトウエアのClustal W法を用いて行う:Open gap penalty -7.0, extend gap penalty for pairwise alignment -2.5, および for multiple alignment -1.0。アラインメントにおいて使用された分子の受託番号は、NKG2A(X54867)、NKG2C(X54869)、NKG2E(L14542)、NKG2H(AF078550)、NKG2D(X54870)、LOX−1(AF035776)、CLEC−1(AF200949)、CLEC−2(AF124841)、DCIR(AJ133532)、AICL(X96719)、LLT−1(AF133299)、CD69(L07555)、KLRF1(AF175206)、MAFA(AF081675)、およびNKR−P1A(U11276)である。
【0168】
仮定的LY49L(hypLy49L)CTLD配列は、該遺伝子(AF213453)の対応する3つのエキソンを組み合せることにより得られたが、他のCTLD遺伝子にしたがう正しくスプライシングされるCRDエキソンを有する転写物は、LY49Lについてこれまで検出されていない。系統樹を、ニアレスト・ネイバー法(nearest neighbor method)にしたがって、DNASTARソフトウエア バージョン3.0のMegAlignプログラムにより構築する。
【0169】
ClustalWアルゴリズムを用いるマルチプルアラインメントにしたがって、系統樹を構築する(図5)。得られたデータにより、LLR−J24は、LOX−1、CLEC−1およびCLEC−2とともに、より関係が近いNKCのレクチン様レセプターのサブファミリーを形成することが示される。LLR−J24の最高の相同性は、LOX−1(44%)で見られ、CLEC−1およびCLEC−2は、幾分離れた関係(37%)である。NKG2およびCD94 NKレセプターからなるCTLD NKレセプターのサブファミリーは、その次に近い関係のタンパク質である(NKG2−Eについて28%およびNKG2−Dについて33%)。AICL/LLT−1/CD69グループならびにKLRF1、MAFAおよびNKR−P1レセプターは、そのうえさらに幾分離れており、そしてマルチプルアラインメントにおいて別々の枝(branch)で示される。LLR−J24−1の配列は、stalkエキソンがヒトcDNAから失われていることを除いて、近年報告されたネズミDECTIN−1 cDNAと高い相同性を示した。stalkエキソンは、配列番号7におけるスプライスバリアントLLR−J24−2について示された約5〜10%の転写物の細分画(図9および10)においてスプライシングされていることが見出されると示され得る。
【0170】
ヒトLLR−J24−2およびマウスDECTIN−1の対応する予想完全長タンパク質配列の比較により、59%の同一性(相同性69%)が示される。高い相同性が、細胞質、およびstalkドメインを含む細胞外ドメインにおいて保存されている。細胞質ドメインのN末端の近くに、ITAM様配列が、LLR−J24ならびにネズミDECTIN−1おいて存在する。この配列は、CD3−γ鎖またはDAP12分子において見出されるような古典的ITAMモチーフと少し異なる。モチーフにおける最初のチロシン(残基3)は、ロイシン(残基7)の4アミノ酸前の位置であるが、この距離は、古典的YxLx6〜8YxLモチーフにおいては3アミノ酸の位置である。該モチーフの次の残基は正しく配置されている。両タンパク質は、さらに、N−グリコシル化のためのコンセンサス部位を示す。ヒトおよびネズミのレクチン様ドメインは、非糖リガンドを提示するCa++結合に関与すると記載された残基のほとんどを欠いている。膜貫通ドメインは、荷電アミノ酸を示さず、これはDAP分子のようなITAM含有アダプターとの会合が起きていないことを示している。
【0171】
他のレクチン様レセプターに対するCTLDにおけるLLR−J24の相同性およびその発現プロフィール(下記参照)から、LLR−J24レセプターは、リポタンパク質、MHCクラスIホモログまたは細胞もしくは寄生生物由来の別の膜貫通もしくは分泌性タンパク質のようなタンパク質性のリガンドを有すると考えられる。
【0172】
実施例9:LLR−J24遺伝子
単離および配列決定:
配列番号5の遺伝子の完全cDNAは、下記の方法のいずれかにより得られ得る:
a)cDNA末端の急速増幅(Rapid Amplification of cDNA Ends; RACE)法が、5'末端を得るために利用され得る(Frohman et al. Proc. Nat. Acad. Sci USA 85 [1988] 8998-9002参照)。簡便には、特異的オリゴヌクレオチドをmRNAにアニーリングさせ、そしてcDNA鎖の合成を開始させるために使用する。RNaseHでのmRNAの分解後に、ポリCアンカー配列をcDNAの3'末端に付加し、そして得られたフラグメントを、アンチセンスプライマーおよびアンカー配列プライマーの入れ子状セット(nested set)を用いて、増幅する。増幅されたフラグメントを適当なベクター中にクローニングし、そして制限および配列解析にかける。
【0173】
b)ポリメラーゼ連鎖反応は、2セットのプライマーとともにネステッドPCRの連続的試行を用いて、ヒトcDNAライブラリーからcDNAの5'末端を増幅するために使用され得る。一方のセットのアンチセンスプライマーは、部分的cDNAの5'末端に特異的であり、そして他方のセットのプラ−マーは、ベクター特異的配列にアニーリングする。
【0174】
LLR−J24を得るために、RT−PCRを次のプロトコールにしたがって行った:最初に、40pgのLLR−J24に特異的なオリゴヌクレオチドプライマー(5'−GATTCCATGTCTAGGGATCTAC−3')を、50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KClおよび3mM MgClを含有する10μlの容積の3μgの全RNAとともに、85℃に加熱し、続いて30〜60分かけて42℃まで冷却することにより、アニーリングさせる。次いで、第1鎖合成を、50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCl、0.5mM dNTPs、20mM DTTおよび100U Superscript Reverse Transcriptase (GIBCO/BRL, Rockville, MD)を含有する20μlにおいて行う。次いで、1μlの第1鎖反応混合物に含まれるcDNAを、標準的手順にしたがって、PCR反応における鋳型として使用する。下記のプライマーが使用される:
【表3】

【0175】
増幅した生成物を適当なベクター中にクローニングし、そして制限および配列解析にかける。この方法において、配列番号5および配列番号6が得られる。
【0176】
細胞培養、細胞の単離およびRT−PCRのためのRNA単離:
臍帯血前駆細胞由来DC(CBDC):臍帯血(CB)サンプルを、母親のインフォームドコンセントを得て、産科(Lainzer Hospital, Vienna, Austria)にて、健康な満期産から収集した。単核細胞(MNC)を、Lymphoprep(登録商標)(Nycomed Pharma AS, Oslo, Norway)密度勾配遠心分離法により、収集の10時間以内に単離する。CD34細胞をCB−MNCから、Mitenyi社(Miltenyi Biotech, Bergisch Gladbach, Germany)のMACS CD34+細胞単離キットを用いて、製造者の指示にしたがって、ポジティブ免疫磁気細胞選別法により単離する。単離されたCD34+細胞の純度は、95〜99%の範囲である。
【0177】
免疫磁気的に精製されたCD34前駆細胞を、6−ウェルプレート(Costar, Cambridge, MA, USA)において、5×10細胞/mlの初期細胞密度にて播種し、そして、10%ウシ胎児血清(FCS)、2mMグルタミンならびにそれぞれ50μg/mlのストレプトマイシンおよびペニシリンを補ったRPMI1640培地(Life Technologies Ltd., Paisley, UK)において培養する。このCMに、さらに、SCF(50U/ml)およびFlt3−L(25U/ml)(これらはともに、R&D Systems Inc., Minneapolis, MN, USAから購入されたものである。)を補給する。6日目(day 6)に、細胞培養物を分けて、2×10細胞/mlの細胞密度を得、そして、SCF(25U/ml)、Flt3−L(12.5U/ml)、GM−CSF(300U/ml、Novartis, Basel, Switzerland)、TNFα(50U/ml; R&D)およびTGFβ(5ng/ml; R&D)を含有するCMを加える。
【0178】
単球由来DC(MoDC):
向流洗浄(countercurrent elutriation)により得られたヒト単球を、Costar6−ウェルプレート(Costar, Cambridge, MA, USA)に、GM−CSF(300U/ml)およびrIL−4(200U/ml)を補ったCM中で8×10細胞/mlにて播種する。培養物は、3日目(day 3)に、上に示した最終濃度を達成するようにGM−CSFおよびIL−4を補った新たなCMのために、培地の半分を交換することにより培養される。
【0179】
T細胞、B細胞、単球細胞またはDCの刺激:
向流洗浄T細胞またはB細胞により得られたヒトT細胞、B細胞および単球細胞を、CM中で培養し、そして、それぞれ、PHA(10μg/ml、Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)またはPWM(10μg/ml、Sigma, St. Louis, MO, USA)およびrhIL−4(100U/ml、Novartis Pharma, Basel, Switzerland)の存在下で24時間刺激する。単球細胞、MoDCまたはHPDCを、100ng/ml LPS(Sigma)で、またはヤギ−抗マウスIgGのF(ab')2−フラグメント(Pierce Chemical Corp, Rockford, IL, USA)の2μg/mlの添加により溶液中で37℃で6時間さらに架橋された4μg/mlの抗−CD40 mAb(mAbクローン626.2)の存在下で、刺激する。いくつかの場合において、ザイモサンA(25μg/ml、Sigma)を、ヤギ−抗マウスIgGのF(ab')2−フラグメントにより架橋された抗−CD40 mAbと結合させて使用する。代わりに、MoDCの最終成熟を、「図面の簡単な説明」において示したように、TNFα(200U/ml)およびIL−1β(100U/ml)のような炎症性サイトカインの存在下でのインキュベーションにより、18〜24時間誘導する。
【0180】
RNAの単離:
全細胞性RNAは、TRIzol試薬(GIBCO/BRL, Rockville, MD, USA)における細胞溶解、クロロホルムでのDNAおよびタンパク質の抽出、ならびにイソプロパノールによるRNAの沈澱後に、細胞から単離される。
【0181】
実施例10:LLR−J24遺伝子
哺乳動物細胞における発現:
配列番号5および配列番号6で示される遺伝子のレセプターは、ヒト胚性腎臓293(HEK293)細胞または付着性CCL39またはdhfr CHO細胞のいずれかにおいて発現し、そして、本発明のLLR−J24遺伝子は、ヒト胚性腎臓293(HEK293)細胞または付着性CCL39またはdhfr CHO細胞または組換えバキュロウイルス感染Sf9細胞のいずれかにおいて発現する。発現ベクターは、典型的には、強力なプロモーター、例えばCMV−IEおよびKoscak配列の下流の5'および3'UTRの無いコード領域ならびにネオマイシンまたはゼオシンなどの抗生物質抵抗遺伝子を含む。
【0182】
細胞を、リポフェクチンにより個々のレセプターのcDNAでトランスフェクトし、そして600mg/ml G418(ネオマイシン)の存在下で選択する。選択の3週間後、個々のクローンを取り出し、そして、さらなる解析のために増殖させる。ベクター単独でトランスフェクトされたHEK293またはCHO細胞は、陰性対照(negative control)として機能する。個々のレセプターを安定的に発現している細胞株を単離するために、約96のクローンが、典型的には、選択され、そしてRT−PCR解析により解析される。レセプターのmRNAは、一般的に、解析されたG418−耐性クローンの約50%において検出可能である。該遺伝子の発現のための組換えバキュロウイルスを、標準的技術を用いて、作成し、選択し、精製し、そして増殖させる。
【0183】
細胞表面上のまたは細胞内分画におけるLLR−J24の発現を試験するために、発現構築物を、サイトメガロウイルスエンハンサー/プロモーターを提供する修飾pcDNA3.1/HisAベクター(Invitrogen, Groningen, Netherlands)において得、そして一過性トランスフェクションにおいて試験した。ベクターを、Flagペプチドをコードする配列を含有するオリゴヌクレオチドの挿入により修飾する。pcDNA3.1/N−Flag修飾ベクターにおいて、Flagコード配列を、多重クローニング部位のHindIIIとBamHI部位との間に挿入し、pcDNA3.1/C−Flag修飾ベクターにおいて、XhoIとApaI部位との間に挿入する。
【0184】
2つの異なって修飾されたベクターが、それぞれ、Flag配列の前または後に、対応する制限切断部位へとそれぞれのcDNAをクローニングすることにより、タンパク質に対するN末端またはC末端Flagエピトープを提供するために使用され得る。次いで、3つすべての遺伝子のコード領域を、pcDNA3.1/N−Flagベクターへの挿入のためのEcoRIおよびNotI切断部位またはpcDNA3.1/C−Flagベクターへの挿入のためのEcoRIおよびXhoI切断部位を提供する特異的オリゴヌクレオチドを用いるPCRにより、cDNAから増殖させる。PCR、制限酵素消化、フラグメント精製、およびベクターへのライゲーションは、確立された手順にしたがって行われる。すべての構築物は、挿入されたDNAフラグメントの完全配列決定により確かめられる。
【0185】
トランスフェクションの24時間前に、6ウェル組織培養プレートにおいて、293細胞およびHUVECを播種すると、翌朝に80〜90%のコンフルエントに達する。293細胞を、哺乳動物トランスフェクションキット(Stratagene, La Jolla, CA, USA)を用いるリン酸カルシウム法によりトランスフェクトする。HUVEC細胞の一過性トランスフェクションを、Lipofectamine(商標)試薬(GIBCO/BRL, Rockville, MD)を用いることにより行う。
【0186】
免疫蛍光アッセイは、主として下記に記載したように行われる:トランスフェクションの24時間後、適当な発現プラスミドでトランスフェクトされた細胞を、PBSで2回洗浄し、3.7%ホルムアルデヒド、2%スクロース(抗−Flag M2モノクローナル抗体、Sigma, St. Louis, MO, USA)で室温にて10分間固定し、PBS、1%BSA中で希釈し、そして該細胞を室温にて1時間インキュベートする。細胞をPBSで5分間3回洗浄し、Texas Red−標識ロバ抗−マウスIgG(Accurate Chemical, Westbury, NY, USA)で室温にて1時間インキュベートし、そして再びPBSで洗浄する。細胞核を可視化するために、DNAのための蛍光性溝結合プローブ(Hoechst 333258, Sigma Chemicals, St. Louis, MO, USA)を、500ng/mlにて二次抗体溶液に加える。結果を、冷却電荷結合デバイスカメラ(Kappa Gmbh, Gleichen, Germany)に接続したNikon Diaphot TMD蛍光顕微鏡(Nikon Ltd.)において解析する。
【0187】
組換え後の発現LLR−J24−2は細胞表面上に見出されるが、LLR−J24−1は細胞内に蓄積する:
II型レクチン様レセプターは、通常、ダイマーを形成し、そしてホモダイマーまたは2つの異なるレセプター鎖を組み合せたヘテロダイマーを形成することが示されている。一定の場合において、異種性レクチン様レセプター鎖とのダイマー形成は、表面発現に必要であることが示されている。このことは、例えば、NKG2/CD94レセプターについて当てはまる。したがって、それぞれの発現構築物での一過性トランスフェクションの後に、293細胞およびHUVECにおけるCLEC−1およびLOX−1との比較において、FLAG−タグ化組換えLLR−J24の表面発現を評価した。表面発現を評価するために、抗−FLAG抗体での非浸透細胞の染色を、染色手順の前にTriton X−100を浸透させた細胞のパラレルサンプルと比較した。
【0188】
(stalkエキソンを有するまたは有さない)LLR−J24−2およびLLR−J24−1での構築物が使用された。LOX−1および完全長LLR−J24は、非浸透細胞の強い染色により示されるHUVECの細胞表面に効果的に蓄積した(図6)。対照的に、検出可能なレベルの、stalkを有さないLLR−J24−1アイソフォームおよび完全長CLEC−1タンパク質は、非浸透細胞上で観察されないが、浸透細胞の有意な細胞内染色が得られる。より高い倍率での浸透細胞のより精密な解析により、LOX−1およびLLR−J24−2発現構築物でトランスフェクトされた細胞が、核周辺細胞構成成分の強い染色ならびに全細胞に及んで観察可能な表面発現を示すことが明らかにされた(図7)。stalkのないLLR−J24−1は、細胞質全体に均質に分配されることが観察されるが、表面上では観察されない。同様の結果が、293細胞に関して得られる。
【0189】
したがって、これらのデータから、配列番号10で示されるstalk配列がLLR−J24の表面発現に必要とされることが示される。その理由は、おそらく、該配列が表面への輸送のためのシグナルを含み、そしてホモダイマー形成を促進し得ることである。これらのデータにより、LLR−J24−2は表面レセプターとして機能するが、LLR−J24−1は細胞内の機能を有し得ることが示される。
【0190】
実施例11:LLR−J24遺伝子(組換え細胞および組換えタンパク質の調製)
NKレセプターでの先の経験および組換えレクチン様レセプターの調製における経験に基づいて、発現構築物は、完全長膜貫通レセプターの発現のため、ならびに可溶性のもののために、調製され得る。完全長の形態の組換え発現を有する安定的にトランスフェクトされた細胞は、モノクロナール抗体の作成のため、および機能研究のために使用される。可溶性レセプターは、精製された形態で、より容易に、より大量に得られ得、したがって、免疫化のため、ならびにリガンドの同定および単離のために使用される。本計画の初期段階において、発現をモニターするための抗体が利用可能ではないので、該分子のN末端およびC末端にタグを供給する構築物が使用され得る。
【0191】
完全長発現のために、pCDNAベクター(InVitrogen)中にFLAG−タグを有さないおよび有する構築物を調製した。これらの構築物は、2つの異なる細胞株を安定的にトランスフェクトするために使用される。安定的にトランスフェクトされた細胞は、モノクローナル抗体を得るために、マウスの免疫化に使用され得る。次に、マウスハイブリドーマとヒトDCとの間のハイブリッド細胞株が使用され得る。このようなハイブリッド細胞は、内因性LLR−J24を発現せず、したがって、ヒト由来の部分的樹状細胞的特性のために、安定トランスフェクタントでの機能研究の候補物質となり得る。
【0192】
さらに、構築物は、細胞外への輸送のためのシグナル配列と融合した細胞外部分をコードするcDNAを用いる、より大量の可溶性LLR−J24レセプターを調製するために設計され得る。この目的のために、InVitrogenから入手可能なバキュロウイルス系が使用され得る。公表されたデータに基づいて、このようなタンパク質は、また、NKレセプターのHLA−Eリガンドと適切に結合する能力を有する。mgの量のタンパク質が製造され、このことは、免疫化のため、ならびに単離実験およびT細胞のようなDCと相互作用する細胞型からの発現クローン潜在性リガンドの実験に有利である。代わりに、免疫グロブリン融合タンパク質が、免疫グロブリン部分のC末端と融合した細胞外ドメインを有するCOS細胞において製造される。これは、該レセプターがII型の方向性を有し、したがって、適切な結合のために遊離のカルボキシ末端を必要とし得るからである。
【0193】
実施例12:LLR−J24遺伝子(ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の作成)
レクチン様レセプターに対する抗体は製造が困難な場合があるので、LLR−J24のC末端(最後の15アミノ酸)からの合成ペプチドが使用される。その理由は、これが、組換え体の発現をモニターするのに役立つウエスタンブロットにおいてポリクローナルウサギ抗体の機能を得るための方法だからである。これらの抗体は、また、免疫化ペプチドでアフィニティー精製され得、そして、FACS解析における細胞発現を研究するために使用され得る。さらに、ウサギの免疫化のための、およびアフィニティー精製抗体の調製のための、可溶性組換えレセプターが使用される。これは、フローサイトメトリーによるレセプターの表面発現を測定するのに有用な抗体を与え、そしてまた、レセプター−リガンド相互作用に対して中和作用を発揮し得る。
【0194】
さらに、モノクローナル抗体は、レセプターの構造−機能相関を研究するのに有用なエピトープ特異的試薬を最終的に入手するために得られ得る。リガンド結合を模倣するモノクローナル抗体、ならびにレセプター−リガンド相互作用をブロックする他のモノクローナル抗体が作成される。この目的は、ヒト遺伝子を安定的にトランスフェクトされたマウス細胞株を使用することにより達成され得る。ネズミMT細胞のような細胞における発現は、適切な表面発現および分子の適切な抗原構造をもたらし、その結果、ヒト樹状細胞上のタンパク質に対して良好な結合特性を有する試薬が得られる。精製組換えタンパク質ならびに組換え細胞を使用する組合せ免疫化プロトコールが使用される。
【0195】
実施例13:LLR−J24遺伝子(潜在的結合性タンパク質鎖の特徴付け)
いくつかの例において、レクチン様レセプターは、異なるレクチン様タンパク質とのジスルフィド結合性へテロダイマーおよびシグナル伝達アダプター分子との非共有結合性会合体を形成することが示された。例えば、NKG2タンパク質のいくつかのアイソフォームは、CD94タンパク質とへテロダイマー化して、阻害および活性NK細胞レセプターのいくつかの変異体を形成する。さらに、トリガー性NKG2/CD94レセプターは、それらのNKG2部分を介して、シグナル伝達アダプターDAP12と会合する(Lanier L.L. et al. Immunity 8 [1998] 693-701)。DAP12はITAMモチーフを含み、そして細胞に活性化シグナルを与える機能を有する。他方、阻害的形態のNKG2−A/CD94は、NKG2−Aの細胞質側テイル上にITIMモチーフを含み、これは、SHP−1および−2ホスファターゼを介して阻害性シグナルを補充しそして引き起こす(Palmieri G. et al., J. Immunol. 162 [1999] 7181-8)。ビオチンでの組換え細胞および一次ヒトDCの表面標識(EZ−Linkビオチン化試薬, Pierce)の後に、LLR−J24を免疫沈降させ、そして潜在的共免疫沈降鎖を、対応するアビジン−HRP試薬を用いて沈降物のウエスタンブロットにおいてスコアをつける。表面に露出したタンパク質鎖を共免疫沈降させ、したがって、サイズの異なるLLR−J24を本方法により検出しそして単離し得る。
【0196】
十分には表面に露出していないシグナル伝達アダプターを検出するために、S35メチオニンで代謝的に標識されたDCが使用され得、そして沈降したタンパク質のポリアクリルアミドゲル分離の後に、共免疫沈降したタンパク質に関してスコアをつけ得る。さらに、DAP分子のようなレセプターと相互作用し得る既知のタンパク質が試験され得る。このようにして、活性的および阻害的シグナル伝達分子との潜在的相互作用が確立される。
【0197】
実施例14:LLR−J24遺伝子(LLR−J24ポリヌクレオチドでのリガンドスクリーニング)
推定的レセプターリガンドのコレクションを、スクリーニングのために集める。該コレクションは:さまざまなoxLDL化合物および誘導体、炭水化物性化合物、寄生生物の膜、MHCクラスIの可溶性化合物およびそのホモログ、MICA、MICB対立遺伝子形態、関係のあるLOX−1およびNKG2を介して作用することが知られているさまざまなUL16結合タンパク質または他のレクチン様レセプター;ヒトレクチン様レセプターの推定的アゴニスト、非哺乳動物性の、哺乳動物対応物がまだ同定されていない生物学的に活性なペプチドであり得る天然物;および自然において見出されていないが、未知の天然リガンドでレクチン様レセプターを活性化する化合物、を含んでなる。このコレクションは、機能的アッセイ(すなわち、カルシウムおよびcAMPの放出、チロシンおよびセリンキナーゼの活性化、SHP−1および−2のようなホスファターゼ)ならびにさまざまな標識化合物での結合アッセイの両方を用いて、既知のリガンドのためのレセプターを最初にスクリーニングするために使用される。
【0198】
潜在的リガンドの探索は、組換え細胞および単離可溶性レセプターを用いて行われる。最初に、2つの潜在的リガンド源が調査され得る。LOX−1およびNKレセプターに関するLLR−J24の相同性および近接した染色体局在化に基づいて、糖リガンドはあり得ないと考えられるが、残余的な糖リガンド特性がいくつかのレクチン様レセプターにおいて見出されている。NKレセプターまたはLOX−1との類推によって、タンパク質性リガンドまたはリポタンパク質が予想される。LOX−1と同様に、酸化LDLが結合し得る。関係のあるマウスDectin−1での予備的実験により示唆されるように(Ariizumi K. et al. J. Biol. Chem. 275 [2000] 20157-20167)、LLR−J24は、さらに、むしろT細胞の表面分子と携わることが予想される。
【0199】
LLR−J24発現組換え細胞対LLR−J24陰性親細胞株の活性化が評価され得る。Ca++、NFκBおよびいくつかのMApキナーゼ経路の活性化が試験される。代わりに、LLR−J24組換え体を、活性化を評価するために、T細胞およびT細胞膜分画と組み合わせる。一方では、oxLDLに結合する性質は、また、アポトーシス細胞への結合を媒介し、そして、このような機能は、DCの文脈において意味をなすと考えられる。エンドサイトーシスされたアポトーシス細胞物質は、さらに、T細胞に対してMHC分子を介して提示され、したがって、アポトーシスの原因の細胞の感染が認識される。寄生生物上のリポタンパク質への直接的結合が試験され得る。代わりに、LLR−J24は、T細胞、例えばMHCホモログ上の表面タンパク質との相互作用に関与し得、そして、この相互作用は、T細胞の活性化のための補助的機能を有し得る。
【0200】
可溶性レセプターは、リガンドを同定、単離およびクローニングするために使用される。これは、レトロウイルスベクターにおいてT細胞cDNAの発現ライブラリーを使用することにより行われ、これは入手可能であり、そして可溶性レセプターが結合しない細胞においてcDNAライブラリーを発現させるために使用され得る。タグ化可溶性レセプターは、FACSソーティングにより適切なリガンドを発現している形質導入細胞を単離するために使用され得、そして、cDNAはソートされた細胞から回収され得る。リガンドがさらに複雑な構造を有する場合、例えば、それが2本の鎖からなり、そしてこれらが記載した方法を用いて1つの細胞において発現され得ない場合には、可溶性レセプターでのアフィニティークロマトグラフィーを用いる生化学的精製および標準的タンパク質分離技術が使用され得る。
【0201】
実施例15:LLR−J24遺伝子(リガンド結合アッセイ)
リガンド結合アッセイは、レセプター薬理を確かめるための直接的方法を提供し、そして、ハイスループットフォーマットに適用可能である。レセプターのための精製リガンドは、結合研究のために、高度に特異的な活性(50〜2000Ci/mmol)に放射性標識される。次いで、放射性標識の過程において、レセプターに対するリガンドの活性が減少することのない測定を行う。緩衝液、イオン、pHおよびヌクレオチドのような他のモジュレーターのためのアッセイ条件は、膜および全細胞レセプター源の両方についての実行可能なノイズに対するシグナル比を確立するために最適化される。これらのアッセイのために、特異的レセプター結合が、総結合放射活性から、過剰の非標識競合リガンドの存在下で測定された放射活性を引いたものとして定義される。可能な場合には、1を超える競合リガンドを使用して残りの非特異的結合を定義する。
【0202】
実施例16:LLR−J24遺伝子(機能アッセイ)
LLR−J24を発現しない、組換えDC様DC/Sp20対非組換え細胞における細胞シグナル伝達の潜在的活性化または阻害を、評価する。第2の方法は、単球由来および臍帯血由来一次DCならびにCD40リガンドでの誘導により成熟させた培養物の製剤を使用することであり、これらはMLRを刺激する活性がある。第1の方法において、抗体、ならびに組換え細胞対その親細胞における細胞内シグナルの潜在的活性化のための、酸化LDLまたはアポトーシス細胞フラグメントのような潜在的可溶性リガンドの、スコアをつける。遊離のCa++、NFκBの誘導および主要MAPキナーゼ経路MEK/ERK、p38およびJNKの増加を、試験する。トリガー化合物での抗体の妨害またはレセプターの阻害的機能の解消が試験され得る。
【0203】
DCの成熟に対するおよびT細胞の活性化に対するレセプターの潜在的貢献は、次のように評価され得る。アッセイ1において、未成熟のランゲルハンス型DCを調製し、そして、抗体を、それらがCD40リガンド刺激の間にDC成熟/活性化を阻害または促進するかどうかについて試験する。この目的のために、CD80/CD86の上方調節がフローサイトメトリーにより測定される。アッセイ2において、抗体および調製された可溶性レセプターが、同種異系T細胞を刺激するDCの能力を改変するかどうかについて評価する。
【0204】
未成熟ならびに成熟DCは、抗体での樹状細胞の、または可溶性レセプターでのT細胞の、プレインキュベーションの後の、同種異系T細胞の刺激剤として使用される。T細胞刺激の好適な読み取りは、5日後のチミジンの組み込みである。これらの実験により、DC成熟に対する、ならびに、T細胞活性化に対する、レセプターの影響が検出される。したがって、T細胞との相互作用におけるLLR−J24の補助的機能が検出される。T細胞上でのリガンドとのLLR−J24の潜在的相互作用をブロックし得る抗体および可溶性レセプターは、免疫応答を調節するために重要である。
【0205】
実施例17:LLR−J24遺伝子(抽出/細胞上清スクリーニング)
同族の活性化リガンド(アゴニスト)がもう残っていない数多くのレクチン様レセプターが存在する。したがって、これらのレセプターの活性リガンドは、今日までに同定されたリガンドバンク(ligand bank)内に含まれ得ない。したがって、本発明のCTLDレセプターは、また、天然リガンドを同定するために組織抽出物に対して(カルシウム、cAMP、キナーゼ機能スクリーニングを用いて)機能的にスクリーニングされる。陽性の機能応答を産生する抽出物は、活性化リガンドが単離および同定されるまで、経時的にサブフラクション化され得る。
【0206】
実施例18:LLR−J24遺伝子(カルシウムおよびcAMP機能アッセイ)
HEK293細胞内に発現されたレクチン様レセプターは、PLCおよびカルシウム移動の活性化、cAMP刺激および/またはチロシンおよびセリン/スレオニンキナーゼの活性化または阻害と機能的に共役していることが示される。レセプターがトランスフェクトされたHEK293細胞またはベクター制御細胞における基底カルシウムレベルは、通常では、100nM〜200nMの範囲であると観察された。組換えレセプターを発現しているHEK293細胞に、fura2を負荷し、そして、1日に150を超える選択リガンドまたは組織/細胞抽出物が、アゴニスト誘導性カルシウム移動について評価される。同様に、組換えレセプターを発現しているHEK293細胞は、標準的cAMP定量アッセイを用いて、cAMP産生の刺激または阻害について評価される。カルシウム過渡応答またはcAMP変動を提供するアゴニストは、該応答がレセプターを発現しているトランスフェクト細胞に独特のものであるかどうかを測定するために、ベクター制御細胞において試験される。
【0207】
実施例19:LLR−J24遺伝子
本発明のLLR−J24遺伝子のRNA調節:
LLR−J24は、DCにおいて選択的に発現する:
LOX−1、LLR−J24およびCLEC−1は1つのサブファミリーのメンバーであるので、一次ヒトDC、単球、TおよびBリンパ球ならびに内皮細胞におけるLLR−J24およびCLEC−1 mRNAの発現を調べる。得られたデータにより、LLR−J24 mRNAは、単球由来DC(MoDC)において、およびCD34造血前駆細胞由来DC(HPDC)において、豊富かつ選択的に発現していることが示される。少量のLLR−J24 mRNAが一次単球にも存在するが、さまざまな刺激で処理されたまたは処理されていない一次TおよびBリンパ球ならびに内皮細胞は、検出可能なレベルでLLR−J24転写物を発現していなかった。いくつかのさらなる細胞株、すなわち、Jurkat、RPMI8866、NKLおよびNK92を含むノーザンブロットにおいて、発現は見られなかった。DCにおけるRNAのサイズは、ノーザンブロットから3.0〜3.5kbと見積もられ、これは、停止コドンから1.6〜1.9kb下流の領域の遺伝子において検出された第1またはいくつかの連続的ポリアデニル化シグナルの使用から推定される転写物のサイズに相当する。
【0208】
LLR−J24の発現は、DCの機能的成熟の間に下方調節される:
DCの活性化および最終的成熟は、それらの移動および機能を調節する遺伝子の改変された発現と関連する。したがって、炎症性メディエーター、CD40−リガンドまたはザイモサンAによるDCの刺激が、LLR−J24 mRNAの発現レベルにおいて変化をもたらすかどうかについて試験された。図8Aにおいて示されるように、IL−1βおよびTNF−αの組合せでのMoDCの18〜24時間の処理は、再生可能な、LLR−J24 mRNAの3〜5倍の減少をもたらした。代わりに、HPDCを、酵母粒子のファゴサイトーシスを刺激するザイモサンAの非存在または存在下で、CD40レセプターに特異的なmAbにより活性化する(図8B)。これらの結果に基づいて、LLR−J24 mRNAの下方調節は、TNF−αおよびIL−1βのような強力な成熟誘導剤またはファゴサイトーシス刺激と組み合せたCD40ライゲーションで処理された培養物において特に表される。MDCケモカイン(CCL22)は、それらの成熟後にDCにおいて強力に誘導されることが知られているので、同じノーザンブロットを、MoDCまたはHPDCの活性化の成功を確認するために、MDCの特異的プローブとハイブリダイズさせた。図8において示されるように、MDCの強力な誘導は、両方のタイプのDCにおけるLLR−J24転写物の下方調節と平行する。
【0209】
LLR−J24転写物は、可変的にスプライシングされる:
ノーザンブロット解析では、LLR−J24−1および−2に関して、141塩基のみ異なることが予想された転写物を区別することができなかった。したがって、第2および第4のエキソンの間のフラグメントを増幅するためのプライマー対を用いる逆転写PCRが行われる。505bpおよび367bpの2つの生成物を得、これらは、それぞれ、stalkエキソンを有するおよび有さない予想フラグメントのサイズに相当する(図9および図10)。該生成物の約5〜10%がstalkエキソンを含むサイズであると見積もられる。この上側のバンドをゲルから削り取り、サブクローニングし、2つの得られたクローンを配列決定する。両クローンは、配列番号7および配列番号9において示される、正しくスプライシングされたstalkエキソンを表した。得られたPCRフラグメントを、さらに、それぞれ、5'−非翻訳領域からstalkエキソンまで、およびstalkエキソンから第6エキソンまでのmRNAのフラグメントを増幅するプライマー対で解析した(図8B参照)。両方の場合において、得られた主生成物は、正しくスプライシングされたエキソンについて予測されたサイズに対応していた。これらのデータにより、LLR−J24転写物のフラクションがstalkエキソンを含み、そしてまた、他のエキソンでも正しくスプライシングされることが示される。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】IKK2のCoIPとIKK2−55との相互作用。Flag−タグ化IKK2−55およびmyc−タグ化IKK2を、示した通りにHela細胞にトランスフェクトした。溶解物を調製し、そしてIKK2−55を抗−Flag抗体で沈澱させ、そして沈澱物を、抗−Myc抗体を用いるウエスタンブロッティングにより解析した(上側のパネル)。細胞抽出物におけるFlag−IKK2−55およびmyc−IKK2の存在が、ウエスタンブロッティングにより確認された(下側のパネル)。
【図2】IKK2−55の亜細胞性局在。HUVECを、異なる細胞区画についてのCFP融合遺伝子とともに、YFP−IKK2−55融合構築物でトランスフェクトし、そして蛍光顕微鏡下で観察した。左側の列は、イエローチャンネル(yellow channel)におけるIKK2−55の局在を示し、右側の列はシアンチャンネル(cyan channel)におけるマーカーの局在を示す。上段のパネル:小胞体(ER);中段のパネル:ミトコンドリア(mito);下段のパネル:ゴルジ体。
【図3】NF−kB依存プロモーターに対するIKK2−55の影響。HUVECを、異なる量のIKK2−55ならびに内部標準としてユビキチン−bgalとともに、5xNF−kB−Luc構築物でトランスフェクトし、そして2日後に、100U/mlのTNFαで6時間刺激した。ルシフェラーゼ値(相対的な光度単位)を、b−gal発現に関して標準化した。 prom=プロモーター;unstim=未刺激;stim=刺激。
【図4】NF−kB依存プロモーターに対する(異なるキナーゼと組み合せた)IKK2−55の影響。HUVECを、5xNF−kB−Luc構築物で、IKK2−55とともに、示した異なるキナーゼ(IKK2、NIK、TAK1、p38)ならびに内部標準としてのユビキチン−bgalで、トランスフェクトした。1つの場合において、細胞を100U/mlのTNFαで6時間刺激した。ルシフェラーゼ値を、相対的な光度単位として表し、そしてβ−gal発現に関して標準化した。 濃色カラム:500ng IKK2−55;斜線付きカラム:0ng IKK2−55 RLU−βgal:β−galあたりの相対光度単位。
【図5】ヒトNKレセプター複合体のすべての既知のレクチン様遺伝子を含む系統樹: 表された遺伝子のCTLDの配列をアラインし、そして実施例において記載したように、系統樹を作成した。すべての配列を、ドメインにおいて必ず保存されている最初のシステインの、2つ前のアミノ酸から開始するように選択した。NKG2EおよびHは、同じ遺伝子からの、2つの別々にスプライシングされた転写物である。LY49Lについて、他の遺伝子と比較できるほどにスプライシングされたすべての3つのCTLDエキソンを含む仮定的配列を選択したが、異常型にスプライシングされた転写物のみが、この遺伝子に関して検出された。この遺伝子は、一貫して、アラインメントのための異なるパラメーター設定を用いて、互いにより近い関係にあることが見出され、そして樹構造は、右側のカッコにより示される。下のスケールは、置換事象の尺度である。NK細胞、T細胞、内皮細胞(EC)、単球細胞(MO)、樹状細胞(DC)におけるまたはさらに広範に白血球(LEUK)におけるサブファミリーの選択的発現が示される。
【図6】非浸透および浸透細胞の染色の比較。左列において、ホルムアルデヒドで固定した非浸透細胞(固定)、および右列において、浸透細胞(固定/浸透)を示す。上段は抗−FLAG抗体での染色を示し、下段は総細胞数を可視化するためのHoechst333258でのDNAの染色を示す。
【図7】stalkエキソンを含まないLLR−J24構築物を、図2Bにおいて示す(ΔLLR−J24−1)。より高い倍率での4つの発現構築物全てについての浸透細胞の染色の比較。
【図8】樹状細胞の成熟中のLLR−J24 mRNAの下方調節:
【図9】LLR−J24 mRNAのRT−PCR。MoDCからのRNAを、特異的LLR−J24プライマーを用いて逆転写し、そしてPCRを、得られたcDNA上で、示された異なるプライマー対を用いて行った。(a)は、MoDC RNAのためのstalkエキソンを有するおよび有さない転写物の増幅を示し、(b)は5'−部分の増幅を示し、そして、(c)は、図4A中のBで示されたMoDCおよびHL60 RNAのための転写物を含むstalkの3'−部分を示す。レーン6は、完全長LLR−J24 cDNAを含むプラスミドから得られた生成物を示す。
【図10】RT−PCRに使用するためのオリゴヌクレオチドプライマーの概略図。第1のプライマー対(a)を、stalkエキソンフラグメンを有するおよび有さない、それぞれ、予想された505bpおよび367bpのPCR生成物をもたらすstalkエキソンフラグメントの存在を試験するために設計した。第2のプライマー対(b)により、5'−部分の正確なスプライシングを試験し、第3のプライマー対(c)により、stalkエキソンを含む転写物の3'−部分のスプライシングを訂正する。c=細胞質性;TM=膜貫通性;CTLD=C型レクチン様ドメイン1;CTLD2=C型レクチン様ドメイン2;CTLD3=C型レクチン様ドメイン3。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4で示される単離されたDINOポリペプチド、または配列番号4で示されるポリペプチドと少なくとも90%の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるDINO遺伝子。
【請求項2】
配列番号3で示されるヌクレオチド配列を含んでなる単離されたDINO遺伝子、またはストリンジェント条件下で配列番号3で示されるヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号4で示される単離されたDINOポリペプチド、または配列番号4で示されるポリペプチドと少なくとも90%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項4】
請求項1または2に記載の遺伝子を含んでなるベクター。
【請求項5】
DNAまたはRNA分子を含んでなる発現系であって、該発現系またはその部分が適合性の宿主細胞中に存在する場合に、該発現系またはその部分が請求項3に記載のポリペプチドを産生することができる、発現系。
【請求項6】
宿主細胞が、適当な培養条件下で、請求項3に記載のポリペプチドを産生するように請求項5に記載の発現系で宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることにより産生された組換え宿主細胞。
【請求項7】
請求項6に記載の発現系を含んでなる単離宿主細胞。
【請求項8】
請求項3に記載のポリペプチドに対する抗体。
【請求項9】
請求項3に記載のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストを同定するためのスクリーニングアッセイであって、主要な構成要素として、
a)請求項3に記載のポリペプチド、
b)請求項3に記載のポリペプチドを発現する組換え細胞、
c)請求項3に記載のポリペプチドを発現する細胞膜、または
d)請求項3に記載のポリペプチドに対する抗体、
を含んでなるアッセイ。
【請求項10】
請求項3に記載のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストを同定する方法であって、
A)a)請求項3に記載のポリペプチド、
b)請求項3に記載のポリペプチドを発現する組換え細胞、
c)請求項3に記載のポリペプチドを発現する細胞膜、または
d)請求項3に記載のポリペプチドに対する抗体、
を候補化合物と接触させること、
B)a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する候補化合物の効果を測定すること;
C)工程B)において測定されたアゴニストまたはアンタゴニストを選択すること、
を含んでなる方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−253269(P2008−253269A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118824(P2008−118824)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【分割の表示】特願2002−576659(P2002−576659)の分割
【原出願日】平成14年3月26日(2002.3.26)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】