新規吸収性物品
本発明は、おむつ、パンティライナー、生理用ナプキン、成人用失禁ガードなどの吸収性物品であって、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート、第一シートと第二シートとの間に吸収性コアを含むコア部位を備え、そのコア部位が部分的にスキンケア物質処理されている吸収性物品に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体透過性第一シート、液体不透過性第二シート、第一シートと第二シートとの間のコア部位からなる吸収性物品に関する。コア部位は、スキンケアに配慮した物質を含む吸収性コアから成る。とりわけ、スキンケア物質は第一シートと第二シートとの間の不織ストリップに付与することができる。また、スキンケア物質は脂質相に含ませる、好ましくはビーズのかたちで吸収性コアと第一及び/又は第二シートとの間に配置することができる。
【背景技術】
【0002】
パンティライナー、生理用ナプキン、成人用失禁ガード、及びおむつなどの吸収性物品の主な機能は、体外浸出物を吸収及び保持することである。これらは、体外浸出物による衣類の汚れ、濡れ、汚染を防ぎ、また衣類との接触を防ぐことを目的としている。さらに、該物品は皮膚炎を引き起こす可能性がある体外浸出物が、着用者の皮膚に集積するのを防ぐ目的を有する。しかしながら、すべての潜在的着用者に適合し、かつ耐漏出性を有する吸収性物品を構成するのは困難である。また、吸収性物品の他の問題点として、該物品と皮膚との間の摩擦抵抗がある。このような擦れは皮膚炎の要因となり、特に皮膚が湿っている場合に著しい。
【0003】
吸収性物品からの漏出、関連した汚染及び皮膚炎等の問題は、吸収剤製品とローションやスキンケアを配慮した物質を併用することで部分的に解決される。このようなローションやスキンケア物質は、皮膚に塗布することにより“隔壁”が形成され、体外浸出物の皮膚への付着を抑制することができる。また、肌に優しい脂質成分及び抗菌作用成分を添加することにより皮膚炎を直接抑制、治療することができる。特許文献1には吸収性物品と共に利用することを意図された差込材が開示されている。ここでは、第一の表面はスキンケア物質処理され、第二の表面は上述のスキンケア物質に対して不浸透性である。このような差込材は吸収性製品に対して柔軟な方法で配置されるが、一つの製品のみと比較して同時にいくつかの製品を使用することはより複雑である。さらに、特許文献1による解決策では多くの廃棄物を排出する場合がある。
【0004】
同様に、特許文献2は、おむつに関連して利用できる薄織物について開示している。薄織物は固体のスキンケア物質によって被覆された毛被材料からなる。それゆえ、特許文献2の主題も消費者が利用するには複雑であり、多くの製品が同時に使われるので多くの廃棄物を排出することになる。
【0005】
特許文献3は、おむつなどの使い捨て吸収性物品について開示しており、液体透過性の親水性の上層シートの少なくとも一部分がローション被覆を備えることで、排便が着用者の皮膚へ固着するのを軽減する。ローションは上層シートに縞上に塗布され、ローションなしの縞によって分離されている。ローションが物品の外側に配置されていることから、物品の装着前にローション層が剥れるリスクがある。
【0006】
特許文献4には、少なくとも一部分にスキンケア物質が含まれている吸収性物品について記載されている。また、前記物品は上述のスキンケア物質の移動を軽減するように処理されたバリアーシートを有する。
【0007】
特許文献5では、前記物品の端部に沿って脚部遮蔽用折り返し部を有する吸収性物品について開示している。少なくとも脚部折り返し部の一部はローションによって被膜されており、使用時に着用者へ移行するよう意図されている。ローションが物品の外側に配置されていることから、物品の装着前にローション膜が剥離するリスクがある。
【0008】
特許文献6及び特許文献7は共に、製品を製造するために使用される接着剤にスキンケア成分を添加した吸収性製品に関する。接着剤が前記スキンケア成分の放出の際に少なくとも一部溶解し、その結果、吸収性製品の強度の低下を招いてしまう。
【0009】
さらに、吸収性製品内に臭気抑止システムのような補助的な要素を含有することが知られている。このような吸収性製品は、特許文献8及び特許文献9に開示されている。上記特許文献は、いくつかの臭気抑制のための代替法について開示している。臭気はゼオライトなどによって吸収されたり、又は吸収性物品の吸収性コアに隣接した箇所に埋め込まれた酸化剤によって酸化されたりする。この場合、臭気抑制系からは放出されるものはない。代わりに、芳香性の気体が放出される。スキンケアを配慮した物質の放出に関する開示はない。
【0010】
従って、吸収性製品においてスキンケアを配慮した物質の付与方法について改良が必要である。
【特許文献1】国際公開第03/04965号パンフレット
【特許文献2】西独国実用新案第20117973号明細書
【特許文献3】米国特許第6426444号明細書
【特許文献4】国際公開第00/124748号パンフレット
【特許文献5】国際公開第98/24931号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0100877号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2004/0043049号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0122387号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0127866号明細書
【特許文献10】米国特許第5059282号明細書
【特許文献11】米国特許第5174027号明細書
【特許文献12】米国特許第4011389号明細書
【特許文献13】国際公開第96/16682号パンフレット
【特許文献14】国際公開第96/16681号パンフレット
【特許文献15】国際公開第97/05909号パンフレット
【特許文献16】国際公開第99/45973号パンフレット
【特許文献17】国際公開第99/45974号パンフレット
【特許文献18】国際公開第99/45976号パンフレット
【特許文献19】独国実用新案第3309530号明細書
【特許文献20】独国実用新案第4136540号明細書
【特許文献21】米国特許第3489148号明細書
【特許文献22】国際公開第00/64502号パンフレット
【特許文献23】国際公開第00/64501号パンフレット
【特許文献24】国際公開第00/64500号パンフレット
【特許文献25】国際公開第00/64503号パンフレット
【特許文献26】国際公開第99/22684号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、連続する液体透過性第一シートと、液体不透過性第二シートと、これらの間に配置されたスキンケア物質処理されたコア部位から成る吸収性物品に関するものであり、上述の問題点は本発明によって解決される。
【0012】
本実施形態で用いられる用語“吸収性物品”は、パンティライナー、生理用ナプキン、失禁用下着、おむつ類の吸収性物品を意味する。吸収性物品は着用者側に面している液体透過性第一シートと、着用者から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シートから成る。
【0013】
本実施形態で用いられる用語“コア部位”は、吸収性物品の第一シートと第二シートとの間に収容された部位を意味する。本実施形態で用いられる用語“吸収性コア”は、吸収性物品によって吸収された殆ど全ての液体を吸収もしくは保持することができるコア部位の部分を意味する。本実施形態で用いられる用語“スキンケア物質”は、肌に有益な効果を有する物質を意味する。例えば、肌を柔軟にさせたり、肌の問題の手入れに有益であるなどの物質とすることができる。
【0014】
本実施形態で用いられる用語“脂質相”は、脂肪族を有する水不溶性の有機相を意味する。本発明の脂質相に使用するに適した脂質には、石油系脂質、合成脂質、動物脂質、植物脂質がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
既述したように、本発明は、パンティライナー、生理用ナプキン、失禁用下着、オムツ類の吸収性物品に関するものである。吸収性物品は着用者側に面している液体透過性第一シートと、着用者に面しないように意図される液体不透過性第二シートを備える。
【0016】
第一シートは、好ましくは着用者の肌にとってしなやかであり、柔らかな風合いを有し、刺激を与えない。さらに、前述のように第一シートは、液体(例えば、月経や尿などの体外浸出物)がその厚みを容易に浸透できる程度の液体透過性を有する。好適な第一シートは、織布又は不織布(繊維からなる不織ウェブ)材、有孔成形熱可塑性フィルム、有孔可塑性フィルム、流体形成熱可塑性フィルムなどの高分子材料、多孔質発泡体、網状発泡体、網状熱可塑性フィルム、及び熱可塑性スクリムのような広範囲の材料から作成することができる。好適な織布又は不織布材料は、天然の繊維(例えば、木質繊維や綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、又はポリエチレンファイバーなどの高分子繊維)、もしくは天然繊維及び合成繊維の組み合わせを備えることができる。第一シートが不織ウェブを備える場合、ウェブはスパンボンド、カーデド、ウェットレイド、メルトブロー、水流交絡、上述のものの組み合わせ、若しくはその種のものとすることができる。
【0017】
既述したように、第二シートは液体(例えば、月経や尿などの体外浸出物)に対して不浸透性であり、薄いプラスチックフィルムもしくは当業者に知られた他の柔軟な液体不透過性物質から作成される。第二シートは吸収性物品と接触する部位において、コア部位に吸収し、保持した浸出物による浸潤を阻止する。第二シートは、例として織布又は不織布、ポリエチレンもしくはポリプロピレンのような熱可塑性フィルム高分子フィルム、又はフィルムコート不織布材料のような複合材料を備えることができる。さらに、第二シートはコア部位からの蒸気放出を可能(すなわち、第二シートは通気性を有する)としながら、依然として体外浸出物の第2シートを通じた透過を阻止することができる。このようなシートは当業においてよく知られている。
【0018】
また、吸収性物品は、吸収性コアと任意的に補助的構成要素とから成るコア部位を備えている。コア部位は、第一シートと第二シートとの間に配置されている。
【0019】
吸収性コアは、液体(例えば月経や尿などの体外浸出物)を吸収及び保持することができる。吸収性コアは圧縮性、形状適合性を有し、着用者の肌に刺激がないことが好ましい。吸収性コアは多種多様の大きさや形状にて製作することができる。吸収性コアには、エアフェルト(air felt)、ちりめん状のセルロース製詰め物、メルトブローンポリマー、化学的に剛化され、改良されるか、又は架橋したセルロース繊維、合成繊維、薄葉紙、吸収性発泡体、超吸収ポリマー、もしくは同等の材料、材料の組み合わせ、又は上記の混合物など、吸収性物品に一般に用いられる、幅広い種類の液体吸収材料を含むことができる。吸収性コアの構成及び構造は、最先端技術に応じて変わり得る。
【0020】
補助的構成要素は、前記液体透過性第一シートを透過する有効な物質を蓄積及び放出することできる成分である。このような補助的構成要素の例は、ストリップ又は脂質調合剤である。本発明に係るコア部位は、少なくとも一部はスキンケア物質によって処理されている。
【0021】
<スキンケア物質>
本発明のスキンケア物質は、20℃、すなわち周囲温度において、固体、もしくは大抵の場合半固体である。ここで用いられる用語“半固体”は、スキンケア物質の成分がレオロジー典型的な流動疑似塑性もしくは可塑性流体を有することを意味する。
【0022】
剪断応力を作用させない場合、スキンケア成分は半固体の外観を有することができるが、剪断速度を上昇させることにより流動させることができる。これは、スキンケア成分が主に固体成分を含有するにもかかわらず、多少液体成分を含有するという事実によるものである。
【0023】
本発明のスキンケア成分は、スキンケア物質の流動を最小限にすべく室温においては少なくとも半固体である。さらに、スキンケア成分の100%液体、固体が完全に溶け終わる融点が、潜在的“負担の大きい”保管環境においても、45℃以上であることが望ましい。
【0024】
好ましくは、本発明に係るスキンケア成分の2-50%は20℃にて液体であるべきであり、成分の25‐95%は37℃にて液体であるべきである。固体が融け終わる融点は38℃より高くあるべきである。さらに本発明のさらに好ましい実施態様によれば、成分の3−25%が20℃にて液体であるべきであり、成分の30−90%が37℃にて液体であるべきである。この実施形態では、固体が融け終わる融点は45℃以上となる。室温において固体もしくは半固体であることにより、おむつ内部において上記スキンケア成分が、それらスキンケア成分が付与されるオムツの内部から外面に流動及び移動することはない。
【0025】
本発明に係るスキンケア物質の成分は、(1)皮膚軟化剤、(2)固定化剤、(3)任意に親水性界面活性剤、及び(4)他の随意要素を備えることができる。
【0026】
20℃において、皮膚柔軟剤、固定化剤、他の随意要素が配合されたスキンケア成分の粘性は、吸収性製品の内部からローションが流出しないよう出来る限り高粘性なものにすべきである。残念なことに、粘性が高いと処理加工の問題無くしてスキンケア成分を添加するのは困難である。それ故に、スキンケア成分を吸収性物品の所望部位に保持するために十分な高粘性であるようなバランスが不可欠である。スキンケア物質の成分に好適な粘性は、一般的に1から5000センチポアズに及び、約5から200センチポアズが好ましく、60℃にて測定された場合に約10から100センチポアズがいっそう好ましい。
【0027】
これらスキンケア物質の成分の主要な有効成分は、一以上の皮膚軟化剤である。本明細書において、皮膚軟化剤は皮膚を軟化し、和らげ、しなやかにし、被膜し、潤滑し、加湿し、又は洗浄する物質である。概して、皮膚軟化剤は皮膚を柔軟にし、加湿し、潤滑するなど上記いくつかの目的を達成する。本発明の目的のため、これら皮膚柔軟剤は20℃、すなわち周囲温度にて可塑性もしくは流動性コンシステンシーを有する。この特有の軟化コンシステンシー(emollient consistency)によりスキンケア物質成分は柔らかく、滑らかなローションのような風合いを付与することが可能である。
【0028】
また、本発明に係る有用な皮膚軟化剤は、実質的には水分を含まない。 “実質的には水分を含まない”とは、皮膚軟化剤に意図的に水分を添加していないという意味である。本発明に係るスキンケア構成要素を調製及び使用する際に軟化剤に水分を添加する必要はなく、さらなる乾燥工程が必要となる場合がある。しかしながら、軟化剤に例えば周囲湿度の結果として取り込まれる微量もしくはわずかな水分は、負の影響なく耐用性を示し得る。実際、本発明に係る軟化剤は水分含有率が約5%以下であり、約1%以下が好ましく、約0.5%がよりいっそう好ましい。
【0029】
本発明に係る有用な皮膚軟化剤は、石油由来の脂肪酸エステル類、アルキルエトキシレート類、脂肪酸エステルエトキシレート、脂肪アルコール類、ポリシロキサン類、又はこれら軟化剤の混合である。好適な石油由来の柔軟剤は、炭素数16から32の鎖長を有する炭化水素、もしくは炭化水素の混合物を有する。これらの鎖長を有する石油由来の炭化水素には、鉱油(別称:流動ペトロラタム)及びペトロラタム(別称:鉱蝋、ワセリン、及びミネラルゼリー)を含む。大抵、鉱油は粘性の低い、炭素数16から20の炭化水素の混合物を示す。ペテロラタムは、一般的に粘性の高い、炭素数16から32の炭化水素の混合物を示す。ペテロラタム及び鉱油は、本発明で用いるスキンケア物質成分用の、とりわけ好ましい軟化剤である。
【0030】
好ましい脂肪酸エステルタイプの軟化剤は、C12−C28脂肪酸、好ましくはC16−C22飽和脂肪酸と短鎖(C1−C8、好ましくはC1−C3)の一価アルコールの構造から導かれる。このようなエステルの代表的な例として、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
また、好ましい脂肪酸エステル軟化剤は、鎖が長い脂肪アルコール(C12-C28、好ましくはC12−C16)と鎖が短い脂肪酸、例えば、乳酸ラウリルや乳酸セチルなどの乳酸からも導かれる。
【0032】
好適なアルキルエトキシレート軟化剤は、平均エトキシ化度約2〜30を有するC12−C22脂肪アルコールエトキシレートを含む。好ましくは、脂肪アルコールエトキシレート軟化剤は、平均エトキシ化度約2〜23を有する、ラウリル、セチル、ステアリルエトキシレート、及びそれらの混合物からなるグループから選択される。
【0033】
このようなアルキルエトキシレートの代表的な例として、ラウレス−3(平均エトキシ化度3を有するラウリルエトキシレート)、ラウレス−23(平均エトキシ化度23を有するラウリルエトキシレート)、セテス−10(平均エトキシ化度10を有するセチルアルコールエトキシレート)、及びステアレス−10(平均エトキシ化度10を有するステアリルアルコールエトキシレート)が挙げられる。
【0034】
これらアルキルエトキシレート軟化剤は、通常ペテロラタムなどの石油由来皮膚軟化剤と併用され、アルキルエトキシレート軟化剤と石油由来皮膚軟化剤の重量比が約1:1〜約1:5、好ましくは、1:2〜1Aである。
【0035】
好ましい脂肪アルコール類皮膚軟化剤は、C12−C22脂肪アルコール、好ましくはC16−C18脂肪アルコールを含む。代表的な例として、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びそれらの混合物が挙げられる。通常、これら脂肪アルコール類皮膚軟化剤は、ペテロラタムなどの石油由来皮膚軟化剤と併用され、脂肪アルコールと石油由来皮膚軟化剤の重量比が約1:1から約1:5、好ましくは、約1:1から約12が好ましい。
【0036】
本発明で用いるうえで他の好ましい皮膚軟化剤として、ポリシロキサン化合物が含まれる。一般的に、本発明で用いる好適なポリシロキサン材料は、R1−(SiO−)−R2で表されるシロキサンモノマー単位を含有する。式中、シロキサンモノマー単位それぞれにて、各R1及び各R2は独立して、水素、もしくは任意のアルキル、アリル、アルケニル、アルカリル、アラキル、シクロアルキル、ハロゲン化炭化水素、又は他の基ある。前記基は置換されていてもいなくてもよい。特定のモノマー単位のR1及びR2は、隣接する次のモノマー単位に対応する官能基と異なっていてもよい。さらに、ポリシロキサンは直鎖、分岐鎖、もしくは環状構造を有していてもよい。さらに、R1基及びR2基は互いに無関係で、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、及びポリシラン(但し、これらに限定はされない)の他のシラス官能基とすることができる。R1基及びR2基には、例えばアルコール、カルボン酸、フェニル、アミノ基などを含む様々な有機官能基のうち、いかなるものも含まれる。
【0037】
代表的なアルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、オクタデシル、が挙げられる。代表的なアルケニル基の例として、ビニル、アリル、及びその種のものが挙げられる。代表的なアリール基の例として、フェニル、ジフェニル、ナフチルなどが挙げられる。代表的なアルカリル基の例として、トイル、キシイル、エチルフェニル、及びその種のものが挙げられる。
【0038】
代表的なアラルキル基の例として、ベンジル、アルファ−フェニルエチル、ベータ−フェニルエチル、アルファ−フェニルブチル、及びその種のものが挙げられる。代表的なシクロアルキル基の例として、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びその種のものが挙げられる。代表的なハロゲン化炭化水素基の例として、クロロメチル、ブロモエチル、テトラフルオロエチル、フルオロエチル、トリフルオロエチル、トリフルオロトイル、ヘキサフルオロキシリル、及びその種のものが挙げられる。
【0039】
吸収性物品にポリシロキサン処理する際、ポリシロキサンが流動性を有する、もしくは流動性を持たせるように作られる限り、有用なポリシロキサンの粘性は、一般的にポリシロキサンの粘性が変化するように、広く変化させることができる。このことは、粘性係数として5から約20,000,000センチストークスの値(37℃にてガラス粘度計で測定)を含むが、この値にとどまらない。ポリシロキサンの粘性係数が、37℃にて約5から約5,000センチストークであることが好ましく、約5から約2,000センチストークであることがより好ましく、約から約1,000センチストークであることが最も好ましい。ポリシロキサンの粘性率が高くなると、ポリシロキサン自身は流れにくくなるが、例えば界面活性剤中にポリシロキサンを乳化させるか、もしくはヘキサン(例示目的のためのみに挙げられている)などの溶媒を用いてポリシロキサンを溶液にすることにより、ポリシロキサンを効果的に吸収製品に塗布することができる。ポリシロキサン由来の軟化剤を吸収性物品に塗布する特定の方法については、後ほど詳しく述べる。
【0040】
本発明において用いるうえで好ましいポリシロキサン化合物は、特許文献10に開示されている。本発明に係るローション成分において軟化剤として用いるポリシロキサン化合物は、フェニル基を有するポリメチルシロキサン(例:ダウコーニング556コスメチック・グレード流体のポリフェニルメチルシロキサン)、ジメチコーン化合物、及びダウ2502及びダウ2503ポリシロキサン流体などの、それぞれセチル基及びステアリル官能性のジメチコーン(dimethicone)を含むことが特に好ましい。このようなフェニル基及びアルキル基による置換のほかに、アミノ、カルボキシ、ヒドロキシ、エーテル、ポリエーテル、アルデヒド、ケトン、アミド、エステル、及びチオールの官能基を用いた置換も効果的である。これらの効果的な置換基のうち、フェニル、アミノ、アルキル、カルボキシ、ヒドロキシの官能基を含む基の族が、他の基よりも好まれ、さらにフェニル基が最も好まれている。
【0041】
石油由来軟化剤、脂肪酸エステル軟化剤、脂肪酸エステルエトキシレート、アルキルエトキシレート軟化剤、脂肪アルコール軟化剤、及びポリシロキサンの他に、本発明に係る有用な軟化剤には、他の従来の軟化剤が微量(例えば、軟化剤の総量に対して上限約10%まで)含まれていてもよい。他の従来の軟化剤には、プロピレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、鯨蝋もしくは他のワックス、脂肪酸、ステアリン酸やプロポキシレン脂肪アルコールなどの炭素鎖12から28の脂肪差を有する脂肪アルコールエーテル、グリセリド、アセトグリセリド、C12−C28脂肪酸を有するエトキシグリセリド、ポリヒドロキシアルコールのその他の脂肪エステル、ラノニン及びその誘導体、肝油が含まれる。
【0042】
これら他の軟化剤は、スキンケア成分の固体及び半固体の特性が保持されるよう含有する必要性がある。スキンケア物質成分に含まれる軟化剤の量は、含有される軟化剤、所望のローションのような効果、組成物に含まれる他の物質など、様々な要因に依存する。スキンケア物質成分には、約10から約95%の軟化剤が含まれる。この成分は約20から約80%の軟化剤が含まれていることが好ましく、約40から約75%の軟化剤が含まれていることが最も好ましい。
【0043】
本発明に係るスキンケア物質の成分の中で特に鍵となる成分は、スキンケア物質が塗布された吸収性製品の中で軟化剤を固定化するための作用物質である。20℃において成分中の軟化剤に可塑性及び流動性があるため、加えられたせん断力が適度であったとしても、流動もしくは移動する傾向がある。それ故に、状況によっては、固定化剤が添加されて、本発明に係るスキンケア物質が融解する性質を得る必要がある。
【0044】
軟化剤と混和すること(もしくは軟化剤に溶解すること)に加え、固定化剤の融点は少なくとも約35℃である必要がある。これにより、固定化剤自体が移動もしくは流れ出す傾向を有することがない。固定化剤の融点は、少なくとも約40℃であることが好ましい。通常、固定化剤の融点は、約50℃から約150℃である。
【0045】
本発明のための好適な固定化剤は、C14−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、平均エトキシ化度2から約30のC12−C22脂肪アルコールエトキシレート、及びこれらの混合物からなる群より選択された一つの要素を備えることができる。C16−C18脂肪アルコールを含んだ固定化剤が好まれ、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びこれらの混合物からなる群より選択された要素を含むことが最も好ましい。
【0046】
セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物が特に好ましい。他にC16−C18脂肪酸を含む固定化剤が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、及びこれらの混合物からなる群より選択された要素を含むことが最も好ましい。なかでも、パルミチン産及びステアリン酸の混合物が特に好ましい。他の好ましい固定化剤は、平均エトキシ化度約5から約20のC16−C18脂肪アルコールエトキシレートを含む。脂肪アルコール、脂肪酸及び脂肪アルコールは直鎖であることが好ましい。
【0047】
重要なことは、C16−C18脂肪アルコールのようなこれらの好ましい固定化剤は、ローションの結晶化速度を上昇させ、基板の表面にてローションが急速に結晶化させる。よって、使用するローションの量が少なくて済むか、もしくはローションの優れた感触がもたされる。従来は、これら液体がオムツのコア部に流出していたため、柔らかさを作り出すため多量のローションが必要とされた。
【0048】
他の種の固定化剤は、単独で使用するか、上述した脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪アルコールエトキシレートの組み合わせで使用することができる。その他の種の固定化の例として、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、及びこれらの混合物が含まれる。エステル及びアミドは、ポリヒドロキシ部位に3もしくはそれ以上の遊離の水酸基を有し、通常は非イオン性であることが好ましい。ローション構成要素が用いられるオムツの脚部の折り返し部を使用する皮膚が敏感であることがあるので、これらのエステル及びアミドは皮膚に比較的マイルドで、刺激がないことが必要である。
【0049】
本発明における使用に適したポリヒドロキシ脂肪酸エステルは、化学式[R-COO]n-Yの構造を有し、式中、Rは、C5−C31ヒドロカルビル基であり、C7−C19アルキルもしくはアルケニル基の直鎖であることが好ましく、C11−C17アルキルもしくはアルケニル基の直鎖、又はこれらの混合物が最も好まれ、またYは、少なくとも2つの遊離の水酸基が鎖に直接結合しているヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル基である。適したY基は、グリセロール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類、ラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、スクロース、グルコース、キシロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、マンノース、エリトロースなどの糖類、エリトリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコール類、ソルビタンなどの無水糖アルコール類から得ることができる。
【0050】
本発明において使用する上で適したポリヒドロキシ脂肪酸エステルの一つの種類に、所定のソルビタンエステル類が含まれ、C16−C22飽和脂肪酸を構造に有するソルビタンエステルが好ましい。これらのソルビタンエステルが製造されている典型的な手法により、通常、該化合物はモノ−、ジ−、トリ−などのエステルの混合物を含有する。適したソルビタンエステルの代表例として、ソルビタンパルミテート(例:SPAN40)、ソルビタンステアレート(例:SPAN60)、ソルビタンベヘネートが挙げられ、一つもしくはそれ以上のモノ−、ジ−、及びトリエステル型のソルビタンエステル(例えばソルビタンモノ−、ジ−、及びトリパルミテート、ソルビタンモノ−、ジ−、及びトリステアレート、ソルビタンモノ−、ジ−、及びベヘネート、同様に混合された獣脂(tallow)脂肪酸ソルビタンモノ−、ジ−、トリエステル)が含まれる。ソルビタンパルミテートとソルビタンステアレートの混合物のように、異なる種類が混合されたソルビタンエステルを用いることもできる。ソルビタンエステル類で、ソルビタンステアレートが特に好ましく、典型的にはSPAN60などのモノ−、ジ−、トリ−エステル(一部テトラエステルを含む)の混合物、及びGLYCOMUL−S(登録商標)というロンザ社(Lonza, Inc.)より販売されているソルビタンステアレートが挙げられる。典型的にこれらのソルビタンエステルはモノ−、ジ−、及びトリ−エステル、さらに若干テトラエステルの混合物を含有しているが、通常、これらの混合物においてモノ−及びジエステルが主物質である。
【0051】
本発明において使用する上で好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの他の種類に、所定のグリセリルモノエステル類が含まれ、モノステアリン酸グリセリン、モノパルチミン酸グリセリン、ならびにモノベヘン酸グリセリンなど、C16−C22飽和脂肪酸を構造に有するグリセリルモノエステルが好ましい。重ねて、ソルビタンエステルと同様、グリセリルモノエステル混合物には、典型的にジ−、トリエステルが含まれる。しかしながら、本発明において有用であるためには、このような混合物に主にグリセリルモノエステル類を含まなくてはならない。
【0052】
本発明において使用する上で好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの他の種類に、ショ糖脂肪酸エステル類が含まれ、なかでもC12−C22脂肪酸エステルを有するショ糖が好ましい。ショ糖モノエステル及びジエステルが特に好ましく、スクロースモノ−及びジ−ステアレート、及びスクロースモノ−及びジ−ラウレートが含まれる。
【0053】
本発明において使用する上で好適なポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、R2-CO-NR1-Zの構造を有し、式中、R1は、水素原子、C1−C4ヒドロカルビル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、又はこれらの混合物を示し、C1−C4アルキル、メトキシエチル、及びメトキシプロピルが好ましく、C1もしくはC2アルキル、メトキシプロピルがより好ましく、C1アルキル(例えば、メチル基)もしくはメトキシプロピルが最も好ましく、R2は、C5−C31ヒドロカルビル基を示し、直鎖C7−C19アルキルもしくはアルケニルが好ましく、直鎖C11−C17アルキルもしくはアルケニルもしくはこれらの混合物が最も好ましく、Zは、ポリヒドロキシヒドロカルビル部位を示し、少なくとも3つのヒドロキシ基が鎖に直接結合している線状のヒドロカルビル鎖を有する。ポリヒドロキシ脂肪酸アミド及びその製法について特許文献11を参照されたい。
【0054】
Z基は、還元糖から還元的アミノ化反応より得られることが好ましく、グリシチル(glycityl)が最も好ましい。適した還元糖には、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、及びキシロースが含まれる。
【0055】
高デキストロースコーンシロップ(high dextrose corn syrup)、高マルトースコーンシロップ(high maltose corn syrup)、及び個々の上記糖類も用いることができる。これらのコーンシロップより、Z基の糖成分の混合物を生成することができる。
【0056】
Z基は、−CH2−(CHOHCHOH)n−CH2OH、−CH(CH2OH)−[(CHOH)n−1]−CH2OH、−CH2OH−CH2(CHOH)2(CHOR3)(CHOH)−CH2OHからなる群より選択し、ここでnは3から5の整数であり、R3は、水素原子もしくは脂肪族単糖であることが好ましい。nが4であるグリシチル、特に−CH2−(CHOH)4−CH2OHが最も好ましい。
【0057】
上述の化学式において、R1基は、例えば、N−メチル、N−エチル、N−プロピル、N−イソプロピル、N−ブチル、N−2−ヒドロキシエチル、N−2−エトキシプロピル、又はN−2−ヒドロキシプロピルでもよい。
【0058】
R2基は、例えば、コカミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリルアミド、ミリストアミド、カプリカミド、パルミチン酸アミド、タロウアミドなどから選択し、定めることができる。Z基は、1−デオキシグルシチル、2−デオキシフルクチチル、1−デオキシマルチチル、1−デオキシラクチチル、1−デオキシがラクチチル、1−デオキシマンニチル、1−デオキシマルトトリオチチルなどでもよい。最も好ましいポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、化学式R2−CO−NR1−CH2−[CHOH]4−CH2−OHを有する。ここで、R1は、メチルもしくはメトキシプロピル基を示し、R2は、C11−C17直鎖アルキルもしくはアルケニル基を示す。これらには、N−ラウリル−N−メチルグルカミド、N−ラウリル−N−メトキシプロピルグルカミド、N−ココイル−N−メチルグルカミド、N−ココイル−N−メトキシプロピルグルカミド、N−パルミチル−N−メトキシプロピルグルカミド、N−タロウィル−N−メチルグルカミド、又はN−タロウィル−N−メトキシプロピルグルカミドが含まれる。
【0059】
前述のように、一部の固定化剤は、軟化剤を溶解するのに乳化剤を必要とする。これは、少なくとも約7のHLB値を有するN−アルキル−N−メトキシプロピルグルカミドのような、所定のグルカミドの場合である。適した乳化剤には、典型的にHLB値約7以下の乳化剤を含む。この関連で、HLB値約4.9もしくはそれ以下を有するソルビタンステアレートなど、前述のソルビタンエステルは、グルカミド固定化剤をペトロラタムに溶解するのに有用であることが見出された。その他の適した乳化剤には、ステアレス−2(構造式CH3(CH2)17(OCH2CH2)nOH、nの平均値2が表される、ステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル)、ソルビタントリステアレート、イソソルビドラウレート、及びグリセリルモノステアレートが含まれる。乳化剤は、固定化剤を軟化剤に溶解させる為に十分な量を投入することにより、十分均一な混合物が得られる。例として、N−ココイル−N−メチルグルカミドとペテロラタムが約1:1の混合物は、通常、融解して単一相混合物にはならないが、ステアレス−2とソルビタントリステアレートの1:1混合物を乳化剤として20%添加により、融解して単一相混合物になる。
【0060】
固定化剤として、単独でもしくは上述した固定化剤との混合物として用いることができるその他の原材料には、カルナバ(carnauba)、蜜ろう、カンデリラ(candelilla)、パラフィン、セレシン(ceresin)、エスパルト(esparto)、オウリクリ(ouricuri)、レゾ蝋(rezowax)、及び他の既存のワックスが含まれる。ワックスは、パラフィンワックスが好ましい。
【0061】
特に好ましいパラフィンワックスの例として、パラフィンS.P. 434(ストラール・アンド・ピッシュ社製、アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ウェストバビロン 私書箱1098)がある。
【0062】
スキンケア構成要素に含まれるべきである固定化剤の量は、個々に含まれる軟化剤、個々に含まれる固定化剤、固定化剤を軟化剤に溶解させるために乳化剤が必要かどうか、ローション構成成分に含まれる他の成分など、様々な要因に依存する。この成分には約5から約90%の固定化剤が含まれる。
【0063】
スキンケア成分には、約5から約50%の固定化剤が含まれることが好ましく、約10から約40%の固定化剤が含まれることが最も好ましい。
【0064】
本発明で用いるスキンケア成分に使用される個々の固定化剤によって、組成物の加工性及び安定性を改善するために、追加の親水性界面活性剤(もしくは親水性界面活性剤の混合物)を随意に用いることができる。
【0065】
好適な親水性界面活性剤は、軟化剤及び固定化剤と混合し均一な混合物を形成する。スキンケア成分が塗布された使い捨て吸収性製品使用による皮膚感受性の可能性があるため、これら界面活性剤は比較的皮膚にマイルドかつ低刺激であるべきである。典型的に、これら親水性界面活性剤は、皮膚に対して低刺激のみならず、引張力の低下など、下に敷かれているティッシュ積層構造に好ましくない影響を生じないように非イオン性である。
【0066】
適した非イオン性界面活性剤は、ローション組成物がオムツの脚部折り返し部に塗布後、本質的に非移動性であってもよく、一般的に、HLB値が約4から約20であり、好ましくは、約7から約20である。非移動性とするためには、これら非イオン性界面活性剤は、保管、輸送、販売、及び使い捨て吸収性製品使用時の温度、例えば少なくとも約30℃より高い融点となっている。この点において、これらの非イオン性界面活性剤は、前述の固定化剤と同等の融点を有することが望ましい。本発明に係るローション組成物に使用する上で適した非イオン性界面活性剤は、アルキルグリコシド、特許文献12に開示されたアルキルグリコシドエーテル、Pegosperse(登録商標)1000MS(Lonza社、アメリカ合衆国 ニュージャージー州 フェアローンより入手可能)のようなアルキルポリエトキシレートエステル、TWEEN(登録商標)60(平均エトキシ化度約20であるステアリン酸のソルビタンエステル)及びTWEEN(登録商標)61(平均エトキシ化度約4であるステアリン酸のソルビタンエステル)のような、平均エトキシ化度約2から約10(約2から約10が好ましい)のC12−C18脂肪酸を有するエトキシ化ソルビタンモノ−、ジ−、及びトリ−エステル、約1から約54モルのエチレンオキシドと脂肪族アルコールとの縮合生成物が含まれる。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、一般的に直鎖(線状)構造になっており、約8から約22の炭素原子を有する。特に、約11から約22の炭素原子からなるアルキル基を有するアルコールとアルコール1モル当たり約2〜約30モルのエチレンオキシドとの縮合生成物が好ましい。このようなエトキシ化アルコールの例として、ミリスチルアルコールとアルコール1モル当たり7モルのエチレンオキシドとの縮合生成物ならびにココナッツアルコール(coconut alcohol)(長さ異なる炭素数10から14のアルキル鎖を有する脂肪酸の混合物)と約6モルのエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。多くの適したエトキシ化アルコールが市販されており、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから販売されているTERGITOL(登録商標)15−S−9(C11−C15直鎖アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、ザ・プロクター・アンド・ギャンブル社から販売されているKYRO EOB(登録商標)(C13−C15直鎖アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、シェル・ケミカルから販売されているNEODOLという商標名の界面活性剤のうち、とりわけNEODOL 23−12(C12−C15直鎖アルコールと12モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)及びNEODOL 23−6.5T(C12−C13直鎖アルコールと6.5モルのエチレンオキシドの縮合生成物で、不純物を取り除くために蒸留(常圧蒸留)したもの)、BASF社から販売されているPLURAFACという商標名の界面活性剤のうち、とりわけPLURAFAC(登録商標)A−38(C18直鎖アルコールと27モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)などが含まれる。(所定の親水性界面活性剤は、とりわけNEODOL(登録商標)25−12は、アルキルエトキシレート軟化剤としても機能を果たす。)
【0067】
その他の好ましいエトキシル化アルコール界面活性剤の例としては、ICIクラスのBrij(登録商標)界面活性剤及びその混合物があり、Brij(登録商標)72(すなわち、ステアレス−2)及びBrij(登録商標)76(すなわち、ステアレス−10)が特に好まれる。セチルアルコールと平均エトキシ化度約 から約20のエトキシル化ステアリルアルコールとの混合物も親水性界面活性剤として用いることができる。
【0068】
本発明において使用する上で、他の適切な界面活性剤には、ナトリウムスルホコハク酸のジオクチルエステルであり、アメリカン・シアナミド社から販売されているAerosol OT(登録商標)が含まれる。
【0069】
さらに、本発明で用いる上で、その他の好適な界面活性剤には、General Electric SIF(登録商標)1188(ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンエーテルの共重合体)及びGeneral Electric SF(登録商標)1228(シリコーンポリエーテル共重合体)などのシリコーン共重合体が含まれる。これらシリコーン界面活性剤は、エトキシ化アルコールのような、前述したその他の種の親水性界面活性剤との組合せで用いることができる。これらシリコーン界面活性剤は、ローション組成物の重量による0.1%の低い濃度において、より好ましくは約0.25から約1%の濃度において、効果が見出せる。
【0070】
ローション組成物の加工性及び/又は安定性を改善するために必要な親水性界面活性剤の量は、使用する軟化剤及び固定化剤の種類、界面活性剤のHLB値などに依存する。本発明で用いるローション組成物は、親水性界面活性剤の重量による約1から約50%の親水性界面活性剤、より好ましくは約1から約25%である。
【0071】
スキンケア構成要素は、一般に皮膚軟化剤、クリーム、及び前述のローションに、他の任意成分を含むことができる。このような成分の例として、粘土鉱物(ベントナイト、ケオリン(keolin)、モンモリナイトなど)、酸化ケイ素化合物(石英、ゼオライト、水ガラスなど)もしくは活性炭など、尿及び排泄物の刺激性成分を吸収する物質がある。これらの物質は、例えば第四級アンモニウム化合物などを用いた様々な処理方法によって、より吸収するよう有利に活性される。その他の任意成分には、酵素阻害剤がある。そのような阻害剤の例には、鉄及び亜鉛金属塩、微量の銅及び銀などの重金属イオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、大豆トリプシン阻害剤(soybean trypsin inhibitor)、リマ豆由来プロテアーゼ阻害剤(lima bean protease inhibitor)、トウモロコシ由来プロテアーゼ阻害剤(maize protease inhibitor)、ステアリルグリシレチネート(stearylglycyrrhetinate)、グリセリン三酢酸、ベタイン化合物、スルホベタイン化合物、コレスチラミン、及びパラ−グアニジノベンゾアートがある。
【0072】
さらに、スキンケア構成要素には、随意に、例えばアジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸、塩酸などの有機もしくは無機酸のpH調整添加剤を含むことができる。さらに、有用な緩衝剤は、当該酸を有する対応する塩から生成される。また、緩衝剤には、例えばポリリン酸又はポリアクリル酸などの、ポリマー酸も含むことができる。
【0073】
また、スキンケア構成要素には、随意に、例えば尿路病原体(urinary tract pathogens)及び皮膚感染性病原体(skin infection pathogens)など、望ましくない微生物に対し拮抗性を有するプロバイオティック微生物を含むことができる。使用することができるプロバイオティック微生物の例には、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスカルバツス(Lactobacillus curvatus)、 ラクトバチルスプランタラム(Lactobacillus plantaram)、又はラクトコシスラクティス(Lactococis lactis)種から採取された乳酸菌の個々の株及びいくつかの株の混合がある。スキンケア構成要素には、以下の有効成分をある程度含むことができる:例えば、アセチルサリチル酸、アラントイン(allantoin)、アズレン(azulen)、アルファ−ビサボロール(alpha bisabolol)(カモミール)、フラボノイド、グリシルリジン酸(glycyrrhizinic acid)、イクタモール(ichthammol)(Inotyol(登録商標))、タンニンなどの抗炎症薬、TiO、ZnO(及び他のZn化合物)、酢酸アルミニウム溶液、酒石酸アルミニウム溶液(及び他Al化合物)、エタノール又はエタノール溶液などの収斂剤(血管収縮剤)がある。
【0074】
さらなる任意成分には、アルファヒドロキシ酸(クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸など)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンA化合物(レチノール、レチナール、トレチノイン(tretinoin)、イソトレチノイン(isotretinoin))、アボカドステロールズ(avocado sterols)、ベタイン(トリメチルグリシン)、セラミド、ブドウ種子エキス、必須脂肪酸、フラボノイド、フィトスフィンゴシン(phytosphingosine)、フィトステロール(phytosterols)、ヒアルロン酸、酵母エキス、チトサン、乳蛋白質(Lactis proteinum)、パンテノール(プロビタミンB5)、多糖類、トコフェロール(ビタミンE)、ユビキノン(ubiquinone)(コエンザイムQ10)、ペクチン及び尿素がある。
【0075】
さらなる任意成分には、香油及び、例えば天然及び合成香料の混合物など、植物から単離された有効成分がある。天然の香料は、アロエベラ(アロエ・バーバデンシス(Aloe barbadensis))などの花、藻類抽出物、ローズマリー抽出物(百合、ラベンダー、薔薇、ジャスミン、ネロリ(neroli)、イランイラン(ylangylang))、茎葉(ゼラニウム、パチョリ(patchouli)、プチグレン(petitgrain))、果実(アニシード(aniseed)、コリアンダー、クミン、ジュニパー(juniper))、果皮(ベルガモット(bergamot)、レモン、オレンジ)、根(メース(mace)、アンゼリカ(angelica)、セロリ、ショウズク(cardomom)、コスツス(costus)、アイリス、菖蒲)、木材(松、白檀、グアヤック(guaiac wood)、ヒマラヤスギ、シタン)、ハーブと草(タラゴン、レモングラス、セージ葉、タイム)、針状葉と枝(トウヒ、モミ、松、ハイマツ(dwarf-pine))、樹脂とバルサム(ガルバナム(galbanum)、エレミ(elemi)、ベンゾイン、ミルラ(myrrh)、オリバナム(olibanum)、オポポナクス(opoponax))の抽出物がある。ジャコウネコやカストリウム(castorerum)などの動物性原料も適した香料の原料である。典型的な合成芳香性化合物として、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、炭化水素型の物質がある。エステル型の芳香性化合物の例として、ベンジルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、p−ターシャル−ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチルアリルプロピオネート及びサリチル酸ベンジルがある。成分にはアロエベラが含まれていることが好ましい。
【0076】
エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルを含み、アルデヒドは、炭素数8から18の直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドキシシトロネラール、フィリアル(filial)、及びブーゲオナールを含み、ケトンは、例えば、イオノン、α−イソメチルイオノン、メチルセドリルケトンを含み、アルコールは、アネトール、シトロネロール、ユージノール、イソユージノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、及びテルピネオールを含み、炭化水素には、主にテルペン及びバルサムが含まれる。しかしながら、好ましいものは異なる香料の混合物であり、混ざり合うことにより心地良い香りを作り出す。香料成分として多く用いられている揮発性の低い精油は、香油としても好適であり、例として、セージ油、カモミール油、丁子油、バーム油、ハッカ油、桂皮油、ライム花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油、ラボラナム油、及びラバンジン油がある。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、フィリアル(filial)、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ(boisambrene forte)、アムブロキサン、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコラート、シクロベルタール、ラバンジン油(lavandin oil)、クラリーセージ油、p−ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックスケール(Vertofix coeur)、イソ・イー・スーパー(Iso-E-Super)、フィクソリドNP(Fixolide NP)、エベルニル(Evernyl)、イラルデインガンマ(iraldein gamma)、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミラート(Romillat)、イロチル(Irotyl)、フローラマット(Floramat)、が単独もしくは混合物として使用されることが好ましい。
【0077】
スキンケア物質に好適な原材料の一覧は、CTFA(米国化粧品工業会)より入手できる。
【0078】
さらに、例えばアモロフィンなどの抗生物質、バシトラシン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド(cetrimde)、フシジン酸、ゲンチアン紫(塩化メチルローザニリン)、ヘキサクロロフェン、ヘキシルレソルシノール、イミダゾール誘導体(例えば、ビホナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール(chlotrimazol)、ミノナゾールなど)、クロルヘキシジン、ニスタチン、ポピドンヨード、テルビナフィン、トリクロサン、及び過酸化水素などの抗菌薬を含むことができる。
【0079】
さらに、アシクロビル、イミキモド(imiquimod)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ポドフィロックス(podophilox)、シドフォビル(cidofovir)、ペンシクロビル(penciclovir)、ビダラビン(vidarabin)、トリフルリジン(trifluridine)、トロマンタジン(tromantadine)、及びラミブジン(lamivudine)などの抗ウィルス薬を含むことができる。
【0080】
スキンケア構成要素には、ヒドロコルチゾンなど比較的効力の弱い糖類コルチコイド又は抗ヒスタミン剤や局所麻酔剤(例えば、リドカイン)などの鎮痒剤を随意含有することができる。
【0081】
スキンケア物質成分には、軟膏、クリーム、及びローションの既成合剤を任意で含むことができる。例えば、ネセシローション(Necesse Lotion)(原材料:水、プロピレングリコール、流動パラフィン、オクチルオクタノエート、尿素、ジステアリン酸PEG−8、ステアレス−2、ステアレス−21、ベタイン、乳酸、酢酸トコフェロール、ジメチコン(dimethicone)、トロメタミン(tromethamine)、メチルパラベン、プロピルパラベン、香料)、ネセシスキンクリーム(Necesse(R) Skin Cream)(原材料:水、流動パラフィン、オクチルステアレート、塩化ナトリウム、尿素、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸、セテアリルアルコール、ステアリン酸PEG−30、酢酸トコフェロール、トロメタミン、ジメチコン、メチルパラベン、ソルビン酸、プロピルパラベン、香料)、ネセシバリアークリーム(Necesse(R) Barrier Cream)(原材料:ペテロラタム、グリセロール、ラッカセイ、クエン酸トリエチル、酢酸トコフェロール)及びネセシ亜鉛華軟膏(原材料:ペテロラタム、ラッカセイ(Arachis hypogaea), 酸化亜鉛, レチニルパルミテート、トコフェロール)である。ネセシ製品は、スェーデン国、ヨーテボリのエスシーエー・ハイジーン・プロダクツによって市販されている。
【0082】
本発明において随意に用いることができるその他の物質の例は、開示された特許文献13〜26に記載されている。
【0083】
<補助的構成要素>
スキンケア物質がコア部位の補助的要素内にのみ存在し、吸収性コアには存在しないことが好ましい。
【0084】
好適な実施形態では、コア部位の補助要素は不織ストリップである。スキンケア物質は連続的にストリップ部に適用されるか、あるいは代替的にストリップ部の複数の不連続な部位に塗布することができる。また、不織ストリップは部分的に吸収性コアを取り囲むことが好まれる。不織ストリップは、上記第一シートの記述に関連にて開示された同種の材料で生成することができる。
【0085】
また、前述のように、補助成分は脂質製剤もしくは脂質相であってよい。この場合、スキンケア物質は脂質相に含まれる。さらに、スキンケア物質は脂質相が固体の状態である限り該相内に固定化され、脂肪相の融点以下におけるスキンケア物質の望ましくない拡散を阻止することができる。したがって、こうした相が25℃で実質的に固体であることが好都合であり、37℃で実質的に液体であることが好ましい。それ故、吸収性物品保管時には脂質相は固体であるが、使用時において融解しスキンケア物質は放出される。着用者の身体機能が活発であり、皮膚の温度が上昇すると、多くのスキンケア物質が必要とされ、よって、より多くの成分が放出される。
【0086】
脂質相が補助要素として含まれている場合、脂質相は吸収性物品内においてビーズとして有益に実在する。大きなビーズより小さなビーズのほうが早く融解し、全ての層が温度の上昇に対応して融解するので、スキンケア物質は望む箇所において正確に放出される。さらに、本発明に係る吸収性物品においてビーズを適した箇所に配置するのは比較的容易である。
【0087】
通常、ビーズの大きさは、0.5mmから5mmの範囲内である。
【0088】
好適な実施形態において、前述のコア部位の、着用者の大腿部内側に面する箇所はスキンケア物質で処理される。
【0089】
好適な実施形態において、前述のコア部位の、物品の端及び羽根付近はスキンケア物質で処理される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0090】
[実施例]
本発明に基づいて具体的な実施例を示す。ここに示す具体例は例示の目的のみのためであり、何ら発明の範囲を狭く限定するものではない。
【0091】
<例1>
図1及び図2は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート112、及び着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート110から成る生理用ナプキン100を示す図である。スキンケア物質処理されたストリップ116は、吸収性コア114と第一シート112との間に配置されている。剥離紙102、104で覆われた粘着部位106、108は、第二シート110の中心部及び羽根部118に配置されている。
【0092】
<例2>
図3及び図4は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート202と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート208を備えるパンティライナー200を示す図である。吸収性コア206は、パンティライナー200の中心部に位置する。スキンケア物質を含む脂質相のビーズ204は、第一シート202及び第二シート208の間の端部に沿って、また吸収性コア206に隣接して配置されている。
【0093】
<例3>
図5及び図6は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート302と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート308を備えるパンティライナー300を示す図である。吸収性コア310は、パンティライナー300の中心部に位置する。スキンケア物質処理されたストリップ306は、吸収性コア310の上であって第一シート302の下に配置される。スキンケア物質を含む脂質相のビーズ304は、吸収性コア310の縁に沿って、及び第一シート302と第二シート308との間に配置される。
【0094】
<例4>
図7及び図8は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート406と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート408を備えるパンティライナー400を示す図である。吸収性コア404は、パンティライナー400の中心部に位置する。スキンケア物質処理されたストリップ402は、パンティライナー400の長端410、412に沿い、吸収性コア404に隣接した、第一シート406と第二シート408との間に配置される。
【0095】
<例5>
図9及び図10は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート502と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート504を備えるパンティライナー500を示す図である。吸収性コア506は、パンティライナー500の中心部に位置する。スキンケア物質を含む脂質相のビーズ508は、吸収性コアの端部に沿って配置される。ビーズ508は、吸収性コアに隣接した比較的厚めの部位510及びパンティライナーの柔軟な端部514にある薄めの部位512の双方に配置される。
【0096】
<例6>
図11及び図12は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート602と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート604とを備えるパンティライナー600を示す図である。吸収性コア606は、パンティライナー600の中心部に位置する。スキンケア物質を含む脂質相のビーズ608は、吸収性コアの端部に沿って配置される。ビーズ608は、パンティライナーの柔軟な端部612にある比較的薄めの部位610に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る吸収性物品の具体例として生理用ナプキンを示し、スキンケア物質処理されたストリップが吸収性コアと液体透過性シートとの間に配置されている図である。
【図2】図1に示した生理用ナプキンの線I−IIに沿った断面図である。
【図3】液体透過性シート及び液体不透過性シートの間の端部にスキンケア物質を有する脂質相のビーズが配置されたパンティライナーを示す図である。
【図4】図3に示したパンティライナーの線III−IVに沿った断面図である。
【図5】スキンケア物質処理された二つのストリップが吸収性コアと液体透過性シートとの間に配置され、スキンケア物質を含む脂質相のビーズが液体透過性シートと液体不透過性シートとの間の端部に沿って配置されているパンティライナーを示す図である。
【図6】図5に示したパンティライナーの線V−VIに沿った断面図である。
【図7】二箇所の端部に沿った、スキンケア物質処理されたストリップを備えるパンティライナーを示す図である。
【図8】図7に示したパンティライナーの線VII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】液体透過性シートと液体不透過性シートとの間の端部において、比較的厚い中心部から、より薄く、かつより柔軟性のある端部に沿って、スキンケア物質含有の脂質相のビーズが配置されたパンティライナーを示す図である。
【図10】図9に示したパンティライナーの線IX−Xに沿った断面図である。
【図11】液体透過性シート及び液体不透過性シート間の柔軟な端部に沿って、スキンケア物質含有の脂質相のビーズが配置されたパンティライナーを示す図である。
【図12】図11に示したパンティライナーの線XI−XIIに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0098】
100 生理用ナプキン
102、104 剥離紙
106、108 粘着部位
110、208、308、408、504、604 液体不透過性第二シート
112、202、302、406、502、602 液体透過性第一シート
114、206、310、404、506、606 吸収性コア
116、306、402 ストリップ
200、300、400、500、600 パンティライナー
204、304、508、608 ビーズ
410、412 長端
510 厚めの部位
512、610 薄めの部位
514、612 端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体透過性第一シート、液体不透過性第二シート、第一シートと第二シートとの間のコア部位からなる吸収性物品に関する。コア部位は、スキンケアに配慮した物質を含む吸収性コアから成る。とりわけ、スキンケア物質は第一シートと第二シートとの間の不織ストリップに付与することができる。また、スキンケア物質は脂質相に含ませる、好ましくはビーズのかたちで吸収性コアと第一及び/又は第二シートとの間に配置することができる。
【背景技術】
【0002】
パンティライナー、生理用ナプキン、成人用失禁ガード、及びおむつなどの吸収性物品の主な機能は、体外浸出物を吸収及び保持することである。これらは、体外浸出物による衣類の汚れ、濡れ、汚染を防ぎ、また衣類との接触を防ぐことを目的としている。さらに、該物品は皮膚炎を引き起こす可能性がある体外浸出物が、着用者の皮膚に集積するのを防ぐ目的を有する。しかしながら、すべての潜在的着用者に適合し、かつ耐漏出性を有する吸収性物品を構成するのは困難である。また、吸収性物品の他の問題点として、該物品と皮膚との間の摩擦抵抗がある。このような擦れは皮膚炎の要因となり、特に皮膚が湿っている場合に著しい。
【0003】
吸収性物品からの漏出、関連した汚染及び皮膚炎等の問題は、吸収剤製品とローションやスキンケアを配慮した物質を併用することで部分的に解決される。このようなローションやスキンケア物質は、皮膚に塗布することにより“隔壁”が形成され、体外浸出物の皮膚への付着を抑制することができる。また、肌に優しい脂質成分及び抗菌作用成分を添加することにより皮膚炎を直接抑制、治療することができる。特許文献1には吸収性物品と共に利用することを意図された差込材が開示されている。ここでは、第一の表面はスキンケア物質処理され、第二の表面は上述のスキンケア物質に対して不浸透性である。このような差込材は吸収性製品に対して柔軟な方法で配置されるが、一つの製品のみと比較して同時にいくつかの製品を使用することはより複雑である。さらに、特許文献1による解決策では多くの廃棄物を排出する場合がある。
【0004】
同様に、特許文献2は、おむつに関連して利用できる薄織物について開示している。薄織物は固体のスキンケア物質によって被覆された毛被材料からなる。それゆえ、特許文献2の主題も消費者が利用するには複雑であり、多くの製品が同時に使われるので多くの廃棄物を排出することになる。
【0005】
特許文献3は、おむつなどの使い捨て吸収性物品について開示しており、液体透過性の親水性の上層シートの少なくとも一部分がローション被覆を備えることで、排便が着用者の皮膚へ固着するのを軽減する。ローションは上層シートに縞上に塗布され、ローションなしの縞によって分離されている。ローションが物品の外側に配置されていることから、物品の装着前にローション層が剥れるリスクがある。
【0006】
特許文献4には、少なくとも一部分にスキンケア物質が含まれている吸収性物品について記載されている。また、前記物品は上述のスキンケア物質の移動を軽減するように処理されたバリアーシートを有する。
【0007】
特許文献5では、前記物品の端部に沿って脚部遮蔽用折り返し部を有する吸収性物品について開示している。少なくとも脚部折り返し部の一部はローションによって被膜されており、使用時に着用者へ移行するよう意図されている。ローションが物品の外側に配置されていることから、物品の装着前にローション膜が剥離するリスクがある。
【0008】
特許文献6及び特許文献7は共に、製品を製造するために使用される接着剤にスキンケア成分を添加した吸収性製品に関する。接着剤が前記スキンケア成分の放出の際に少なくとも一部溶解し、その結果、吸収性製品の強度の低下を招いてしまう。
【0009】
さらに、吸収性製品内に臭気抑止システムのような補助的な要素を含有することが知られている。このような吸収性製品は、特許文献8及び特許文献9に開示されている。上記特許文献は、いくつかの臭気抑制のための代替法について開示している。臭気はゼオライトなどによって吸収されたり、又は吸収性物品の吸収性コアに隣接した箇所に埋め込まれた酸化剤によって酸化されたりする。この場合、臭気抑制系からは放出されるものはない。代わりに、芳香性の気体が放出される。スキンケアを配慮した物質の放出に関する開示はない。
【0010】
従って、吸収性製品においてスキンケアを配慮した物質の付与方法について改良が必要である。
【特許文献1】国際公開第03/04965号パンフレット
【特許文献2】西独国実用新案第20117973号明細書
【特許文献3】米国特許第6426444号明細書
【特許文献4】国際公開第00/124748号パンフレット
【特許文献5】国際公開第98/24931号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0100877号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2004/0043049号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0122387号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0127866号明細書
【特許文献10】米国特許第5059282号明細書
【特許文献11】米国特許第5174027号明細書
【特許文献12】米国特許第4011389号明細書
【特許文献13】国際公開第96/16682号パンフレット
【特許文献14】国際公開第96/16681号パンフレット
【特許文献15】国際公開第97/05909号パンフレット
【特許文献16】国際公開第99/45973号パンフレット
【特許文献17】国際公開第99/45974号パンフレット
【特許文献18】国際公開第99/45976号パンフレット
【特許文献19】独国実用新案第3309530号明細書
【特許文献20】独国実用新案第4136540号明細書
【特許文献21】米国特許第3489148号明細書
【特許文献22】国際公開第00/64502号パンフレット
【特許文献23】国際公開第00/64501号パンフレット
【特許文献24】国際公開第00/64500号パンフレット
【特許文献25】国際公開第00/64503号パンフレット
【特許文献26】国際公開第99/22684号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、連続する液体透過性第一シートと、液体不透過性第二シートと、これらの間に配置されたスキンケア物質処理されたコア部位から成る吸収性物品に関するものであり、上述の問題点は本発明によって解決される。
【0012】
本実施形態で用いられる用語“吸収性物品”は、パンティライナー、生理用ナプキン、失禁用下着、おむつ類の吸収性物品を意味する。吸収性物品は着用者側に面している液体透過性第一シートと、着用者から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シートから成る。
【0013】
本実施形態で用いられる用語“コア部位”は、吸収性物品の第一シートと第二シートとの間に収容された部位を意味する。本実施形態で用いられる用語“吸収性コア”は、吸収性物品によって吸収された殆ど全ての液体を吸収もしくは保持することができるコア部位の部分を意味する。本実施形態で用いられる用語“スキンケア物質”は、肌に有益な効果を有する物質を意味する。例えば、肌を柔軟にさせたり、肌の問題の手入れに有益であるなどの物質とすることができる。
【0014】
本実施形態で用いられる用語“脂質相”は、脂肪族を有する水不溶性の有機相を意味する。本発明の脂質相に使用するに適した脂質には、石油系脂質、合成脂質、動物脂質、植物脂質がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
既述したように、本発明は、パンティライナー、生理用ナプキン、失禁用下着、オムツ類の吸収性物品に関するものである。吸収性物品は着用者側に面している液体透過性第一シートと、着用者に面しないように意図される液体不透過性第二シートを備える。
【0016】
第一シートは、好ましくは着用者の肌にとってしなやかであり、柔らかな風合いを有し、刺激を与えない。さらに、前述のように第一シートは、液体(例えば、月経や尿などの体外浸出物)がその厚みを容易に浸透できる程度の液体透過性を有する。好適な第一シートは、織布又は不織布(繊維からなる不織ウェブ)材、有孔成形熱可塑性フィルム、有孔可塑性フィルム、流体形成熱可塑性フィルムなどの高分子材料、多孔質発泡体、網状発泡体、網状熱可塑性フィルム、及び熱可塑性スクリムのような広範囲の材料から作成することができる。好適な織布又は不織布材料は、天然の繊維(例えば、木質繊維や綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、又はポリエチレンファイバーなどの高分子繊維)、もしくは天然繊維及び合成繊維の組み合わせを備えることができる。第一シートが不織ウェブを備える場合、ウェブはスパンボンド、カーデド、ウェットレイド、メルトブロー、水流交絡、上述のものの組み合わせ、若しくはその種のものとすることができる。
【0017】
既述したように、第二シートは液体(例えば、月経や尿などの体外浸出物)に対して不浸透性であり、薄いプラスチックフィルムもしくは当業者に知られた他の柔軟な液体不透過性物質から作成される。第二シートは吸収性物品と接触する部位において、コア部位に吸収し、保持した浸出物による浸潤を阻止する。第二シートは、例として織布又は不織布、ポリエチレンもしくはポリプロピレンのような熱可塑性フィルム高分子フィルム、又はフィルムコート不織布材料のような複合材料を備えることができる。さらに、第二シートはコア部位からの蒸気放出を可能(すなわち、第二シートは通気性を有する)としながら、依然として体外浸出物の第2シートを通じた透過を阻止することができる。このようなシートは当業においてよく知られている。
【0018】
また、吸収性物品は、吸収性コアと任意的に補助的構成要素とから成るコア部位を備えている。コア部位は、第一シートと第二シートとの間に配置されている。
【0019】
吸収性コアは、液体(例えば月経や尿などの体外浸出物)を吸収及び保持することができる。吸収性コアは圧縮性、形状適合性を有し、着用者の肌に刺激がないことが好ましい。吸収性コアは多種多様の大きさや形状にて製作することができる。吸収性コアには、エアフェルト(air felt)、ちりめん状のセルロース製詰め物、メルトブローンポリマー、化学的に剛化され、改良されるか、又は架橋したセルロース繊維、合成繊維、薄葉紙、吸収性発泡体、超吸収ポリマー、もしくは同等の材料、材料の組み合わせ、又は上記の混合物など、吸収性物品に一般に用いられる、幅広い種類の液体吸収材料を含むことができる。吸収性コアの構成及び構造は、最先端技術に応じて変わり得る。
【0020】
補助的構成要素は、前記液体透過性第一シートを透過する有効な物質を蓄積及び放出することできる成分である。このような補助的構成要素の例は、ストリップ又は脂質調合剤である。本発明に係るコア部位は、少なくとも一部はスキンケア物質によって処理されている。
【0021】
<スキンケア物質>
本発明のスキンケア物質は、20℃、すなわち周囲温度において、固体、もしくは大抵の場合半固体である。ここで用いられる用語“半固体”は、スキンケア物質の成分がレオロジー典型的な流動疑似塑性もしくは可塑性流体を有することを意味する。
【0022】
剪断応力を作用させない場合、スキンケア成分は半固体の外観を有することができるが、剪断速度を上昇させることにより流動させることができる。これは、スキンケア成分が主に固体成分を含有するにもかかわらず、多少液体成分を含有するという事実によるものである。
【0023】
本発明のスキンケア成分は、スキンケア物質の流動を最小限にすべく室温においては少なくとも半固体である。さらに、スキンケア成分の100%液体、固体が完全に溶け終わる融点が、潜在的“負担の大きい”保管環境においても、45℃以上であることが望ましい。
【0024】
好ましくは、本発明に係るスキンケア成分の2-50%は20℃にて液体であるべきであり、成分の25‐95%は37℃にて液体であるべきである。固体が融け終わる融点は38℃より高くあるべきである。さらに本発明のさらに好ましい実施態様によれば、成分の3−25%が20℃にて液体であるべきであり、成分の30−90%が37℃にて液体であるべきである。この実施形態では、固体が融け終わる融点は45℃以上となる。室温において固体もしくは半固体であることにより、おむつ内部において上記スキンケア成分が、それらスキンケア成分が付与されるオムツの内部から外面に流動及び移動することはない。
【0025】
本発明に係るスキンケア物質の成分は、(1)皮膚軟化剤、(2)固定化剤、(3)任意に親水性界面活性剤、及び(4)他の随意要素を備えることができる。
【0026】
20℃において、皮膚柔軟剤、固定化剤、他の随意要素が配合されたスキンケア成分の粘性は、吸収性製品の内部からローションが流出しないよう出来る限り高粘性なものにすべきである。残念なことに、粘性が高いと処理加工の問題無くしてスキンケア成分を添加するのは困難である。それ故に、スキンケア成分を吸収性物品の所望部位に保持するために十分な高粘性であるようなバランスが不可欠である。スキンケア物質の成分に好適な粘性は、一般的に1から5000センチポアズに及び、約5から200センチポアズが好ましく、60℃にて測定された場合に約10から100センチポアズがいっそう好ましい。
【0027】
これらスキンケア物質の成分の主要な有効成分は、一以上の皮膚軟化剤である。本明細書において、皮膚軟化剤は皮膚を軟化し、和らげ、しなやかにし、被膜し、潤滑し、加湿し、又は洗浄する物質である。概して、皮膚軟化剤は皮膚を柔軟にし、加湿し、潤滑するなど上記いくつかの目的を達成する。本発明の目的のため、これら皮膚柔軟剤は20℃、すなわち周囲温度にて可塑性もしくは流動性コンシステンシーを有する。この特有の軟化コンシステンシー(emollient consistency)によりスキンケア物質成分は柔らかく、滑らかなローションのような風合いを付与することが可能である。
【0028】
また、本発明に係る有用な皮膚軟化剤は、実質的には水分を含まない。 “実質的には水分を含まない”とは、皮膚軟化剤に意図的に水分を添加していないという意味である。本発明に係るスキンケア構成要素を調製及び使用する際に軟化剤に水分を添加する必要はなく、さらなる乾燥工程が必要となる場合がある。しかしながら、軟化剤に例えば周囲湿度の結果として取り込まれる微量もしくはわずかな水分は、負の影響なく耐用性を示し得る。実際、本発明に係る軟化剤は水分含有率が約5%以下であり、約1%以下が好ましく、約0.5%がよりいっそう好ましい。
【0029】
本発明に係る有用な皮膚軟化剤は、石油由来の脂肪酸エステル類、アルキルエトキシレート類、脂肪酸エステルエトキシレート、脂肪アルコール類、ポリシロキサン類、又はこれら軟化剤の混合である。好適な石油由来の柔軟剤は、炭素数16から32の鎖長を有する炭化水素、もしくは炭化水素の混合物を有する。これらの鎖長を有する石油由来の炭化水素には、鉱油(別称:流動ペトロラタム)及びペトロラタム(別称:鉱蝋、ワセリン、及びミネラルゼリー)を含む。大抵、鉱油は粘性の低い、炭素数16から20の炭化水素の混合物を示す。ペテロラタムは、一般的に粘性の高い、炭素数16から32の炭化水素の混合物を示す。ペテロラタム及び鉱油は、本発明で用いるスキンケア物質成分用の、とりわけ好ましい軟化剤である。
【0030】
好ましい脂肪酸エステルタイプの軟化剤は、C12−C28脂肪酸、好ましくはC16−C22飽和脂肪酸と短鎖(C1−C8、好ましくはC1−C3)の一価アルコールの構造から導かれる。このようなエステルの代表的な例として、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
また、好ましい脂肪酸エステル軟化剤は、鎖が長い脂肪アルコール(C12-C28、好ましくはC12−C16)と鎖が短い脂肪酸、例えば、乳酸ラウリルや乳酸セチルなどの乳酸からも導かれる。
【0032】
好適なアルキルエトキシレート軟化剤は、平均エトキシ化度約2〜30を有するC12−C22脂肪アルコールエトキシレートを含む。好ましくは、脂肪アルコールエトキシレート軟化剤は、平均エトキシ化度約2〜23を有する、ラウリル、セチル、ステアリルエトキシレート、及びそれらの混合物からなるグループから選択される。
【0033】
このようなアルキルエトキシレートの代表的な例として、ラウレス−3(平均エトキシ化度3を有するラウリルエトキシレート)、ラウレス−23(平均エトキシ化度23を有するラウリルエトキシレート)、セテス−10(平均エトキシ化度10を有するセチルアルコールエトキシレート)、及びステアレス−10(平均エトキシ化度10を有するステアリルアルコールエトキシレート)が挙げられる。
【0034】
これらアルキルエトキシレート軟化剤は、通常ペテロラタムなどの石油由来皮膚軟化剤と併用され、アルキルエトキシレート軟化剤と石油由来皮膚軟化剤の重量比が約1:1〜約1:5、好ましくは、1:2〜1Aである。
【0035】
好ましい脂肪アルコール類皮膚軟化剤は、C12−C22脂肪アルコール、好ましくはC16−C18脂肪アルコールを含む。代表的な例として、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びそれらの混合物が挙げられる。通常、これら脂肪アルコール類皮膚軟化剤は、ペテロラタムなどの石油由来皮膚軟化剤と併用され、脂肪アルコールと石油由来皮膚軟化剤の重量比が約1:1から約1:5、好ましくは、約1:1から約12が好ましい。
【0036】
本発明で用いるうえで他の好ましい皮膚軟化剤として、ポリシロキサン化合物が含まれる。一般的に、本発明で用いる好適なポリシロキサン材料は、R1−(SiO−)−R2で表されるシロキサンモノマー単位を含有する。式中、シロキサンモノマー単位それぞれにて、各R1及び各R2は独立して、水素、もしくは任意のアルキル、アリル、アルケニル、アルカリル、アラキル、シクロアルキル、ハロゲン化炭化水素、又は他の基ある。前記基は置換されていてもいなくてもよい。特定のモノマー単位のR1及びR2は、隣接する次のモノマー単位に対応する官能基と異なっていてもよい。さらに、ポリシロキサンは直鎖、分岐鎖、もしくは環状構造を有していてもよい。さらに、R1基及びR2基は互いに無関係で、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、及びポリシラン(但し、これらに限定はされない)の他のシラス官能基とすることができる。R1基及びR2基には、例えばアルコール、カルボン酸、フェニル、アミノ基などを含む様々な有機官能基のうち、いかなるものも含まれる。
【0037】
代表的なアルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、オクタデシル、が挙げられる。代表的なアルケニル基の例として、ビニル、アリル、及びその種のものが挙げられる。代表的なアリール基の例として、フェニル、ジフェニル、ナフチルなどが挙げられる。代表的なアルカリル基の例として、トイル、キシイル、エチルフェニル、及びその種のものが挙げられる。
【0038】
代表的なアラルキル基の例として、ベンジル、アルファ−フェニルエチル、ベータ−フェニルエチル、アルファ−フェニルブチル、及びその種のものが挙げられる。代表的なシクロアルキル基の例として、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びその種のものが挙げられる。代表的なハロゲン化炭化水素基の例として、クロロメチル、ブロモエチル、テトラフルオロエチル、フルオロエチル、トリフルオロエチル、トリフルオロトイル、ヘキサフルオロキシリル、及びその種のものが挙げられる。
【0039】
吸収性物品にポリシロキサン処理する際、ポリシロキサンが流動性を有する、もしくは流動性を持たせるように作られる限り、有用なポリシロキサンの粘性は、一般的にポリシロキサンの粘性が変化するように、広く変化させることができる。このことは、粘性係数として5から約20,000,000センチストークスの値(37℃にてガラス粘度計で測定)を含むが、この値にとどまらない。ポリシロキサンの粘性係数が、37℃にて約5から約5,000センチストークであることが好ましく、約5から約2,000センチストークであることがより好ましく、約から約1,000センチストークであることが最も好ましい。ポリシロキサンの粘性率が高くなると、ポリシロキサン自身は流れにくくなるが、例えば界面活性剤中にポリシロキサンを乳化させるか、もしくはヘキサン(例示目的のためのみに挙げられている)などの溶媒を用いてポリシロキサンを溶液にすることにより、ポリシロキサンを効果的に吸収製品に塗布することができる。ポリシロキサン由来の軟化剤を吸収性物品に塗布する特定の方法については、後ほど詳しく述べる。
【0040】
本発明において用いるうえで好ましいポリシロキサン化合物は、特許文献10に開示されている。本発明に係るローション成分において軟化剤として用いるポリシロキサン化合物は、フェニル基を有するポリメチルシロキサン(例:ダウコーニング556コスメチック・グレード流体のポリフェニルメチルシロキサン)、ジメチコーン化合物、及びダウ2502及びダウ2503ポリシロキサン流体などの、それぞれセチル基及びステアリル官能性のジメチコーン(dimethicone)を含むことが特に好ましい。このようなフェニル基及びアルキル基による置換のほかに、アミノ、カルボキシ、ヒドロキシ、エーテル、ポリエーテル、アルデヒド、ケトン、アミド、エステル、及びチオールの官能基を用いた置換も効果的である。これらの効果的な置換基のうち、フェニル、アミノ、アルキル、カルボキシ、ヒドロキシの官能基を含む基の族が、他の基よりも好まれ、さらにフェニル基が最も好まれている。
【0041】
石油由来軟化剤、脂肪酸エステル軟化剤、脂肪酸エステルエトキシレート、アルキルエトキシレート軟化剤、脂肪アルコール軟化剤、及びポリシロキサンの他に、本発明に係る有用な軟化剤には、他の従来の軟化剤が微量(例えば、軟化剤の総量に対して上限約10%まで)含まれていてもよい。他の従来の軟化剤には、プロピレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、鯨蝋もしくは他のワックス、脂肪酸、ステアリン酸やプロポキシレン脂肪アルコールなどの炭素鎖12から28の脂肪差を有する脂肪アルコールエーテル、グリセリド、アセトグリセリド、C12−C28脂肪酸を有するエトキシグリセリド、ポリヒドロキシアルコールのその他の脂肪エステル、ラノニン及びその誘導体、肝油が含まれる。
【0042】
これら他の軟化剤は、スキンケア成分の固体及び半固体の特性が保持されるよう含有する必要性がある。スキンケア物質成分に含まれる軟化剤の量は、含有される軟化剤、所望のローションのような効果、組成物に含まれる他の物質など、様々な要因に依存する。スキンケア物質成分には、約10から約95%の軟化剤が含まれる。この成分は約20から約80%の軟化剤が含まれていることが好ましく、約40から約75%の軟化剤が含まれていることが最も好ましい。
【0043】
本発明に係るスキンケア物質の成分の中で特に鍵となる成分は、スキンケア物質が塗布された吸収性製品の中で軟化剤を固定化するための作用物質である。20℃において成分中の軟化剤に可塑性及び流動性があるため、加えられたせん断力が適度であったとしても、流動もしくは移動する傾向がある。それ故に、状況によっては、固定化剤が添加されて、本発明に係るスキンケア物質が融解する性質を得る必要がある。
【0044】
軟化剤と混和すること(もしくは軟化剤に溶解すること)に加え、固定化剤の融点は少なくとも約35℃である必要がある。これにより、固定化剤自体が移動もしくは流れ出す傾向を有することがない。固定化剤の融点は、少なくとも約40℃であることが好ましい。通常、固定化剤の融点は、約50℃から約150℃である。
【0045】
本発明のための好適な固定化剤は、C14−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、平均エトキシ化度2から約30のC12−C22脂肪アルコールエトキシレート、及びこれらの混合物からなる群より選択された一つの要素を備えることができる。C16−C18脂肪アルコールを含んだ固定化剤が好まれ、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びこれらの混合物からなる群より選択された要素を含むことが最も好ましい。
【0046】
セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物が特に好ましい。他にC16−C18脂肪酸を含む固定化剤が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、及びこれらの混合物からなる群より選択された要素を含むことが最も好ましい。なかでも、パルミチン産及びステアリン酸の混合物が特に好ましい。他の好ましい固定化剤は、平均エトキシ化度約5から約20のC16−C18脂肪アルコールエトキシレートを含む。脂肪アルコール、脂肪酸及び脂肪アルコールは直鎖であることが好ましい。
【0047】
重要なことは、C16−C18脂肪アルコールのようなこれらの好ましい固定化剤は、ローションの結晶化速度を上昇させ、基板の表面にてローションが急速に結晶化させる。よって、使用するローションの量が少なくて済むか、もしくはローションの優れた感触がもたされる。従来は、これら液体がオムツのコア部に流出していたため、柔らかさを作り出すため多量のローションが必要とされた。
【0048】
他の種の固定化剤は、単独で使用するか、上述した脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪アルコールエトキシレートの組み合わせで使用することができる。その他の種の固定化の例として、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、及びこれらの混合物が含まれる。エステル及びアミドは、ポリヒドロキシ部位に3もしくはそれ以上の遊離の水酸基を有し、通常は非イオン性であることが好ましい。ローション構成要素が用いられるオムツの脚部の折り返し部を使用する皮膚が敏感であることがあるので、これらのエステル及びアミドは皮膚に比較的マイルドで、刺激がないことが必要である。
【0049】
本発明における使用に適したポリヒドロキシ脂肪酸エステルは、化学式[R-COO]n-Yの構造を有し、式中、Rは、C5−C31ヒドロカルビル基であり、C7−C19アルキルもしくはアルケニル基の直鎖であることが好ましく、C11−C17アルキルもしくはアルケニル基の直鎖、又はこれらの混合物が最も好まれ、またYは、少なくとも2つの遊離の水酸基が鎖に直接結合しているヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル基である。適したY基は、グリセロール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類、ラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、スクロース、グルコース、キシロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、マンノース、エリトロースなどの糖類、エリトリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコール類、ソルビタンなどの無水糖アルコール類から得ることができる。
【0050】
本発明において使用する上で適したポリヒドロキシ脂肪酸エステルの一つの種類に、所定のソルビタンエステル類が含まれ、C16−C22飽和脂肪酸を構造に有するソルビタンエステルが好ましい。これらのソルビタンエステルが製造されている典型的な手法により、通常、該化合物はモノ−、ジ−、トリ−などのエステルの混合物を含有する。適したソルビタンエステルの代表例として、ソルビタンパルミテート(例:SPAN40)、ソルビタンステアレート(例:SPAN60)、ソルビタンベヘネートが挙げられ、一つもしくはそれ以上のモノ−、ジ−、及びトリエステル型のソルビタンエステル(例えばソルビタンモノ−、ジ−、及びトリパルミテート、ソルビタンモノ−、ジ−、及びトリステアレート、ソルビタンモノ−、ジ−、及びベヘネート、同様に混合された獣脂(tallow)脂肪酸ソルビタンモノ−、ジ−、トリエステル)が含まれる。ソルビタンパルミテートとソルビタンステアレートの混合物のように、異なる種類が混合されたソルビタンエステルを用いることもできる。ソルビタンエステル類で、ソルビタンステアレートが特に好ましく、典型的にはSPAN60などのモノ−、ジ−、トリ−エステル(一部テトラエステルを含む)の混合物、及びGLYCOMUL−S(登録商標)というロンザ社(Lonza, Inc.)より販売されているソルビタンステアレートが挙げられる。典型的にこれらのソルビタンエステルはモノ−、ジ−、及びトリ−エステル、さらに若干テトラエステルの混合物を含有しているが、通常、これらの混合物においてモノ−及びジエステルが主物質である。
【0051】
本発明において使用する上で好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの他の種類に、所定のグリセリルモノエステル類が含まれ、モノステアリン酸グリセリン、モノパルチミン酸グリセリン、ならびにモノベヘン酸グリセリンなど、C16−C22飽和脂肪酸を構造に有するグリセリルモノエステルが好ましい。重ねて、ソルビタンエステルと同様、グリセリルモノエステル混合物には、典型的にジ−、トリエステルが含まれる。しかしながら、本発明において有用であるためには、このような混合物に主にグリセリルモノエステル類を含まなくてはならない。
【0052】
本発明において使用する上で好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの他の種類に、ショ糖脂肪酸エステル類が含まれ、なかでもC12−C22脂肪酸エステルを有するショ糖が好ましい。ショ糖モノエステル及びジエステルが特に好ましく、スクロースモノ−及びジ−ステアレート、及びスクロースモノ−及びジ−ラウレートが含まれる。
【0053】
本発明において使用する上で好適なポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、R2-CO-NR1-Zの構造を有し、式中、R1は、水素原子、C1−C4ヒドロカルビル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、又はこれらの混合物を示し、C1−C4アルキル、メトキシエチル、及びメトキシプロピルが好ましく、C1もしくはC2アルキル、メトキシプロピルがより好ましく、C1アルキル(例えば、メチル基)もしくはメトキシプロピルが最も好ましく、R2は、C5−C31ヒドロカルビル基を示し、直鎖C7−C19アルキルもしくはアルケニルが好ましく、直鎖C11−C17アルキルもしくはアルケニルもしくはこれらの混合物が最も好ましく、Zは、ポリヒドロキシヒドロカルビル部位を示し、少なくとも3つのヒドロキシ基が鎖に直接結合している線状のヒドロカルビル鎖を有する。ポリヒドロキシ脂肪酸アミド及びその製法について特許文献11を参照されたい。
【0054】
Z基は、還元糖から還元的アミノ化反応より得られることが好ましく、グリシチル(glycityl)が最も好ましい。適した還元糖には、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、及びキシロースが含まれる。
【0055】
高デキストロースコーンシロップ(high dextrose corn syrup)、高マルトースコーンシロップ(high maltose corn syrup)、及び個々の上記糖類も用いることができる。これらのコーンシロップより、Z基の糖成分の混合物を生成することができる。
【0056】
Z基は、−CH2−(CHOHCHOH)n−CH2OH、−CH(CH2OH)−[(CHOH)n−1]−CH2OH、−CH2OH−CH2(CHOH)2(CHOR3)(CHOH)−CH2OHからなる群より選択し、ここでnは3から5の整数であり、R3は、水素原子もしくは脂肪族単糖であることが好ましい。nが4であるグリシチル、特に−CH2−(CHOH)4−CH2OHが最も好ましい。
【0057】
上述の化学式において、R1基は、例えば、N−メチル、N−エチル、N−プロピル、N−イソプロピル、N−ブチル、N−2−ヒドロキシエチル、N−2−エトキシプロピル、又はN−2−ヒドロキシプロピルでもよい。
【0058】
R2基は、例えば、コカミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリルアミド、ミリストアミド、カプリカミド、パルミチン酸アミド、タロウアミドなどから選択し、定めることができる。Z基は、1−デオキシグルシチル、2−デオキシフルクチチル、1−デオキシマルチチル、1−デオキシラクチチル、1−デオキシがラクチチル、1−デオキシマンニチル、1−デオキシマルトトリオチチルなどでもよい。最も好ましいポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、化学式R2−CO−NR1−CH2−[CHOH]4−CH2−OHを有する。ここで、R1は、メチルもしくはメトキシプロピル基を示し、R2は、C11−C17直鎖アルキルもしくはアルケニル基を示す。これらには、N−ラウリル−N−メチルグルカミド、N−ラウリル−N−メトキシプロピルグルカミド、N−ココイル−N−メチルグルカミド、N−ココイル−N−メトキシプロピルグルカミド、N−パルミチル−N−メトキシプロピルグルカミド、N−タロウィル−N−メチルグルカミド、又はN−タロウィル−N−メトキシプロピルグルカミドが含まれる。
【0059】
前述のように、一部の固定化剤は、軟化剤を溶解するのに乳化剤を必要とする。これは、少なくとも約7のHLB値を有するN−アルキル−N−メトキシプロピルグルカミドのような、所定のグルカミドの場合である。適した乳化剤には、典型的にHLB値約7以下の乳化剤を含む。この関連で、HLB値約4.9もしくはそれ以下を有するソルビタンステアレートなど、前述のソルビタンエステルは、グルカミド固定化剤をペトロラタムに溶解するのに有用であることが見出された。その他の適した乳化剤には、ステアレス−2(構造式CH3(CH2)17(OCH2CH2)nOH、nの平均値2が表される、ステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル)、ソルビタントリステアレート、イソソルビドラウレート、及びグリセリルモノステアレートが含まれる。乳化剤は、固定化剤を軟化剤に溶解させる為に十分な量を投入することにより、十分均一な混合物が得られる。例として、N−ココイル−N−メチルグルカミドとペテロラタムが約1:1の混合物は、通常、融解して単一相混合物にはならないが、ステアレス−2とソルビタントリステアレートの1:1混合物を乳化剤として20%添加により、融解して単一相混合物になる。
【0060】
固定化剤として、単独でもしくは上述した固定化剤との混合物として用いることができるその他の原材料には、カルナバ(carnauba)、蜜ろう、カンデリラ(candelilla)、パラフィン、セレシン(ceresin)、エスパルト(esparto)、オウリクリ(ouricuri)、レゾ蝋(rezowax)、及び他の既存のワックスが含まれる。ワックスは、パラフィンワックスが好ましい。
【0061】
特に好ましいパラフィンワックスの例として、パラフィンS.P. 434(ストラール・アンド・ピッシュ社製、アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ウェストバビロン 私書箱1098)がある。
【0062】
スキンケア構成要素に含まれるべきである固定化剤の量は、個々に含まれる軟化剤、個々に含まれる固定化剤、固定化剤を軟化剤に溶解させるために乳化剤が必要かどうか、ローション構成成分に含まれる他の成分など、様々な要因に依存する。この成分には約5から約90%の固定化剤が含まれる。
【0063】
スキンケア成分には、約5から約50%の固定化剤が含まれることが好ましく、約10から約40%の固定化剤が含まれることが最も好ましい。
【0064】
本発明で用いるスキンケア成分に使用される個々の固定化剤によって、組成物の加工性及び安定性を改善するために、追加の親水性界面活性剤(もしくは親水性界面活性剤の混合物)を随意に用いることができる。
【0065】
好適な親水性界面活性剤は、軟化剤及び固定化剤と混合し均一な混合物を形成する。スキンケア成分が塗布された使い捨て吸収性製品使用による皮膚感受性の可能性があるため、これら界面活性剤は比較的皮膚にマイルドかつ低刺激であるべきである。典型的に、これら親水性界面活性剤は、皮膚に対して低刺激のみならず、引張力の低下など、下に敷かれているティッシュ積層構造に好ましくない影響を生じないように非イオン性である。
【0066】
適した非イオン性界面活性剤は、ローション組成物がオムツの脚部折り返し部に塗布後、本質的に非移動性であってもよく、一般的に、HLB値が約4から約20であり、好ましくは、約7から約20である。非移動性とするためには、これら非イオン性界面活性剤は、保管、輸送、販売、及び使い捨て吸収性製品使用時の温度、例えば少なくとも約30℃より高い融点となっている。この点において、これらの非イオン性界面活性剤は、前述の固定化剤と同等の融点を有することが望ましい。本発明に係るローション組成物に使用する上で適した非イオン性界面活性剤は、アルキルグリコシド、特許文献12に開示されたアルキルグリコシドエーテル、Pegosperse(登録商標)1000MS(Lonza社、アメリカ合衆国 ニュージャージー州 フェアローンより入手可能)のようなアルキルポリエトキシレートエステル、TWEEN(登録商標)60(平均エトキシ化度約20であるステアリン酸のソルビタンエステル)及びTWEEN(登録商標)61(平均エトキシ化度約4であるステアリン酸のソルビタンエステル)のような、平均エトキシ化度約2から約10(約2から約10が好ましい)のC12−C18脂肪酸を有するエトキシ化ソルビタンモノ−、ジ−、及びトリ−エステル、約1から約54モルのエチレンオキシドと脂肪族アルコールとの縮合生成物が含まれる。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、一般的に直鎖(線状)構造になっており、約8から約22の炭素原子を有する。特に、約11から約22の炭素原子からなるアルキル基を有するアルコールとアルコール1モル当たり約2〜約30モルのエチレンオキシドとの縮合生成物が好ましい。このようなエトキシ化アルコールの例として、ミリスチルアルコールとアルコール1モル当たり7モルのエチレンオキシドとの縮合生成物ならびにココナッツアルコール(coconut alcohol)(長さ異なる炭素数10から14のアルキル鎖を有する脂肪酸の混合物)と約6モルのエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。多くの適したエトキシ化アルコールが市販されており、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから販売されているTERGITOL(登録商標)15−S−9(C11−C15直鎖アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、ザ・プロクター・アンド・ギャンブル社から販売されているKYRO EOB(登録商標)(C13−C15直鎖アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、シェル・ケミカルから販売されているNEODOLという商標名の界面活性剤のうち、とりわけNEODOL 23−12(C12−C15直鎖アルコールと12モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)及びNEODOL 23−6.5T(C12−C13直鎖アルコールと6.5モルのエチレンオキシドの縮合生成物で、不純物を取り除くために蒸留(常圧蒸留)したもの)、BASF社から販売されているPLURAFACという商標名の界面活性剤のうち、とりわけPLURAFAC(登録商標)A−38(C18直鎖アルコールと27モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)などが含まれる。(所定の親水性界面活性剤は、とりわけNEODOL(登録商標)25−12は、アルキルエトキシレート軟化剤としても機能を果たす。)
【0067】
その他の好ましいエトキシル化アルコール界面活性剤の例としては、ICIクラスのBrij(登録商標)界面活性剤及びその混合物があり、Brij(登録商標)72(すなわち、ステアレス−2)及びBrij(登録商標)76(すなわち、ステアレス−10)が特に好まれる。セチルアルコールと平均エトキシ化度約 から約20のエトキシル化ステアリルアルコールとの混合物も親水性界面活性剤として用いることができる。
【0068】
本発明において使用する上で、他の適切な界面活性剤には、ナトリウムスルホコハク酸のジオクチルエステルであり、アメリカン・シアナミド社から販売されているAerosol OT(登録商標)が含まれる。
【0069】
さらに、本発明で用いる上で、その他の好適な界面活性剤には、General Electric SIF(登録商標)1188(ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンエーテルの共重合体)及びGeneral Electric SF(登録商標)1228(シリコーンポリエーテル共重合体)などのシリコーン共重合体が含まれる。これらシリコーン界面活性剤は、エトキシ化アルコールのような、前述したその他の種の親水性界面活性剤との組合せで用いることができる。これらシリコーン界面活性剤は、ローション組成物の重量による0.1%の低い濃度において、より好ましくは約0.25から約1%の濃度において、効果が見出せる。
【0070】
ローション組成物の加工性及び/又は安定性を改善するために必要な親水性界面活性剤の量は、使用する軟化剤及び固定化剤の種類、界面活性剤のHLB値などに依存する。本発明で用いるローション組成物は、親水性界面活性剤の重量による約1から約50%の親水性界面活性剤、より好ましくは約1から約25%である。
【0071】
スキンケア構成要素は、一般に皮膚軟化剤、クリーム、及び前述のローションに、他の任意成分を含むことができる。このような成分の例として、粘土鉱物(ベントナイト、ケオリン(keolin)、モンモリナイトなど)、酸化ケイ素化合物(石英、ゼオライト、水ガラスなど)もしくは活性炭など、尿及び排泄物の刺激性成分を吸収する物質がある。これらの物質は、例えば第四級アンモニウム化合物などを用いた様々な処理方法によって、より吸収するよう有利に活性される。その他の任意成分には、酵素阻害剤がある。そのような阻害剤の例には、鉄及び亜鉛金属塩、微量の銅及び銀などの重金属イオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、大豆トリプシン阻害剤(soybean trypsin inhibitor)、リマ豆由来プロテアーゼ阻害剤(lima bean protease inhibitor)、トウモロコシ由来プロテアーゼ阻害剤(maize protease inhibitor)、ステアリルグリシレチネート(stearylglycyrrhetinate)、グリセリン三酢酸、ベタイン化合物、スルホベタイン化合物、コレスチラミン、及びパラ−グアニジノベンゾアートがある。
【0072】
さらに、スキンケア構成要素には、随意に、例えばアジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸、塩酸などの有機もしくは無機酸のpH調整添加剤を含むことができる。さらに、有用な緩衝剤は、当該酸を有する対応する塩から生成される。また、緩衝剤には、例えばポリリン酸又はポリアクリル酸などの、ポリマー酸も含むことができる。
【0073】
また、スキンケア構成要素には、随意に、例えば尿路病原体(urinary tract pathogens)及び皮膚感染性病原体(skin infection pathogens)など、望ましくない微生物に対し拮抗性を有するプロバイオティック微生物を含むことができる。使用することができるプロバイオティック微生物の例には、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスカルバツス(Lactobacillus curvatus)、 ラクトバチルスプランタラム(Lactobacillus plantaram)、又はラクトコシスラクティス(Lactococis lactis)種から採取された乳酸菌の個々の株及びいくつかの株の混合がある。スキンケア構成要素には、以下の有効成分をある程度含むことができる:例えば、アセチルサリチル酸、アラントイン(allantoin)、アズレン(azulen)、アルファ−ビサボロール(alpha bisabolol)(カモミール)、フラボノイド、グリシルリジン酸(glycyrrhizinic acid)、イクタモール(ichthammol)(Inotyol(登録商標))、タンニンなどの抗炎症薬、TiO、ZnO(及び他のZn化合物)、酢酸アルミニウム溶液、酒石酸アルミニウム溶液(及び他Al化合物)、エタノール又はエタノール溶液などの収斂剤(血管収縮剤)がある。
【0074】
さらなる任意成分には、アルファヒドロキシ酸(クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸など)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンA化合物(レチノール、レチナール、トレチノイン(tretinoin)、イソトレチノイン(isotretinoin))、アボカドステロールズ(avocado sterols)、ベタイン(トリメチルグリシン)、セラミド、ブドウ種子エキス、必須脂肪酸、フラボノイド、フィトスフィンゴシン(phytosphingosine)、フィトステロール(phytosterols)、ヒアルロン酸、酵母エキス、チトサン、乳蛋白質(Lactis proteinum)、パンテノール(プロビタミンB5)、多糖類、トコフェロール(ビタミンE)、ユビキノン(ubiquinone)(コエンザイムQ10)、ペクチン及び尿素がある。
【0075】
さらなる任意成分には、香油及び、例えば天然及び合成香料の混合物など、植物から単離された有効成分がある。天然の香料は、アロエベラ(アロエ・バーバデンシス(Aloe barbadensis))などの花、藻類抽出物、ローズマリー抽出物(百合、ラベンダー、薔薇、ジャスミン、ネロリ(neroli)、イランイラン(ylangylang))、茎葉(ゼラニウム、パチョリ(patchouli)、プチグレン(petitgrain))、果実(アニシード(aniseed)、コリアンダー、クミン、ジュニパー(juniper))、果皮(ベルガモット(bergamot)、レモン、オレンジ)、根(メース(mace)、アンゼリカ(angelica)、セロリ、ショウズク(cardomom)、コスツス(costus)、アイリス、菖蒲)、木材(松、白檀、グアヤック(guaiac wood)、ヒマラヤスギ、シタン)、ハーブと草(タラゴン、レモングラス、セージ葉、タイム)、針状葉と枝(トウヒ、モミ、松、ハイマツ(dwarf-pine))、樹脂とバルサム(ガルバナム(galbanum)、エレミ(elemi)、ベンゾイン、ミルラ(myrrh)、オリバナム(olibanum)、オポポナクス(opoponax))の抽出物がある。ジャコウネコやカストリウム(castorerum)などの動物性原料も適した香料の原料である。典型的な合成芳香性化合物として、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、炭化水素型の物質がある。エステル型の芳香性化合物の例として、ベンジルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、p−ターシャル−ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチルアリルプロピオネート及びサリチル酸ベンジルがある。成分にはアロエベラが含まれていることが好ましい。
【0076】
エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルを含み、アルデヒドは、炭素数8から18の直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドキシシトロネラール、フィリアル(filial)、及びブーゲオナールを含み、ケトンは、例えば、イオノン、α−イソメチルイオノン、メチルセドリルケトンを含み、アルコールは、アネトール、シトロネロール、ユージノール、イソユージノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、及びテルピネオールを含み、炭化水素には、主にテルペン及びバルサムが含まれる。しかしながら、好ましいものは異なる香料の混合物であり、混ざり合うことにより心地良い香りを作り出す。香料成分として多く用いられている揮発性の低い精油は、香油としても好適であり、例として、セージ油、カモミール油、丁子油、バーム油、ハッカ油、桂皮油、ライム花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油、ラボラナム油、及びラバンジン油がある。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、フィリアル(filial)、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ(boisambrene forte)、アムブロキサン、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコラート、シクロベルタール、ラバンジン油(lavandin oil)、クラリーセージ油、p−ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックスケール(Vertofix coeur)、イソ・イー・スーパー(Iso-E-Super)、フィクソリドNP(Fixolide NP)、エベルニル(Evernyl)、イラルデインガンマ(iraldein gamma)、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミラート(Romillat)、イロチル(Irotyl)、フローラマット(Floramat)、が単独もしくは混合物として使用されることが好ましい。
【0077】
スキンケア物質に好適な原材料の一覧は、CTFA(米国化粧品工業会)より入手できる。
【0078】
さらに、例えばアモロフィンなどの抗生物質、バシトラシン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド(cetrimde)、フシジン酸、ゲンチアン紫(塩化メチルローザニリン)、ヘキサクロロフェン、ヘキシルレソルシノール、イミダゾール誘導体(例えば、ビホナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール(chlotrimazol)、ミノナゾールなど)、クロルヘキシジン、ニスタチン、ポピドンヨード、テルビナフィン、トリクロサン、及び過酸化水素などの抗菌薬を含むことができる。
【0079】
さらに、アシクロビル、イミキモド(imiquimod)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ポドフィロックス(podophilox)、シドフォビル(cidofovir)、ペンシクロビル(penciclovir)、ビダラビン(vidarabin)、トリフルリジン(trifluridine)、トロマンタジン(tromantadine)、及びラミブジン(lamivudine)などの抗ウィルス薬を含むことができる。
【0080】
スキンケア構成要素には、ヒドロコルチゾンなど比較的効力の弱い糖類コルチコイド又は抗ヒスタミン剤や局所麻酔剤(例えば、リドカイン)などの鎮痒剤を随意含有することができる。
【0081】
スキンケア物質成分には、軟膏、クリーム、及びローションの既成合剤を任意で含むことができる。例えば、ネセシローション(Necesse Lotion)(原材料:水、プロピレングリコール、流動パラフィン、オクチルオクタノエート、尿素、ジステアリン酸PEG−8、ステアレス−2、ステアレス−21、ベタイン、乳酸、酢酸トコフェロール、ジメチコン(dimethicone)、トロメタミン(tromethamine)、メチルパラベン、プロピルパラベン、香料)、ネセシスキンクリーム(Necesse(R) Skin Cream)(原材料:水、流動パラフィン、オクチルステアレート、塩化ナトリウム、尿素、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸、セテアリルアルコール、ステアリン酸PEG−30、酢酸トコフェロール、トロメタミン、ジメチコン、メチルパラベン、ソルビン酸、プロピルパラベン、香料)、ネセシバリアークリーム(Necesse(R) Barrier Cream)(原材料:ペテロラタム、グリセロール、ラッカセイ、クエン酸トリエチル、酢酸トコフェロール)及びネセシ亜鉛華軟膏(原材料:ペテロラタム、ラッカセイ(Arachis hypogaea), 酸化亜鉛, レチニルパルミテート、トコフェロール)である。ネセシ製品は、スェーデン国、ヨーテボリのエスシーエー・ハイジーン・プロダクツによって市販されている。
【0082】
本発明において随意に用いることができるその他の物質の例は、開示された特許文献13〜26に記載されている。
【0083】
<補助的構成要素>
スキンケア物質がコア部位の補助的要素内にのみ存在し、吸収性コアには存在しないことが好ましい。
【0084】
好適な実施形態では、コア部位の補助要素は不織ストリップである。スキンケア物質は連続的にストリップ部に適用されるか、あるいは代替的にストリップ部の複数の不連続な部位に塗布することができる。また、不織ストリップは部分的に吸収性コアを取り囲むことが好まれる。不織ストリップは、上記第一シートの記述に関連にて開示された同種の材料で生成することができる。
【0085】
また、前述のように、補助成分は脂質製剤もしくは脂質相であってよい。この場合、スキンケア物質は脂質相に含まれる。さらに、スキンケア物質は脂質相が固体の状態である限り該相内に固定化され、脂肪相の融点以下におけるスキンケア物質の望ましくない拡散を阻止することができる。したがって、こうした相が25℃で実質的に固体であることが好都合であり、37℃で実質的に液体であることが好ましい。それ故、吸収性物品保管時には脂質相は固体であるが、使用時において融解しスキンケア物質は放出される。着用者の身体機能が活発であり、皮膚の温度が上昇すると、多くのスキンケア物質が必要とされ、よって、より多くの成分が放出される。
【0086】
脂質相が補助要素として含まれている場合、脂質相は吸収性物品内においてビーズとして有益に実在する。大きなビーズより小さなビーズのほうが早く融解し、全ての層が温度の上昇に対応して融解するので、スキンケア物質は望む箇所において正確に放出される。さらに、本発明に係る吸収性物品においてビーズを適した箇所に配置するのは比較的容易である。
【0087】
通常、ビーズの大きさは、0.5mmから5mmの範囲内である。
【0088】
好適な実施形態において、前述のコア部位の、着用者の大腿部内側に面する箇所はスキンケア物質で処理される。
【0089】
好適な実施形態において、前述のコア部位の、物品の端及び羽根付近はスキンケア物質で処理される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0090】
[実施例]
本発明に基づいて具体的な実施例を示す。ここに示す具体例は例示の目的のみのためであり、何ら発明の範囲を狭く限定するものではない。
【0091】
<例1>
図1及び図2は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート112、及び着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート110から成る生理用ナプキン100を示す図である。スキンケア物質処理されたストリップ116は、吸収性コア114と第一シート112との間に配置されている。剥離紙102、104で覆われた粘着部位106、108は、第二シート110の中心部及び羽根部118に配置されている。
【0092】
<例2>
図3及び図4は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート202と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート208を備えるパンティライナー200を示す図である。吸収性コア206は、パンティライナー200の中心部に位置する。スキンケア物質を含む脂質相のビーズ204は、第一シート202及び第二シート208の間の端部に沿って、また吸収性コア206に隣接して配置されている。
【0093】
<例3>
図5及び図6は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート302と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート308を備えるパンティライナー300を示す図である。吸収性コア310は、パンティライナー300の中心部に位置する。スキンケア物質処理されたストリップ306は、吸収性コア310の上であって第一シート302の下に配置される。スキンケア物質を含む脂質相のビーズ304は、吸収性コア310の縁に沿って、及び第一シート302と第二シート308との間に配置される。
【0094】
<例4>
図7及び図8は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート406と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート408を備えるパンティライナー400を示す図である。吸収性コア404は、パンティライナー400の中心部に位置する。スキンケア物質処理されたストリップ402は、パンティライナー400の長端410、412に沿い、吸収性コア404に隣接した、第一シート406と第二シート408との間に配置される。
【0095】
<例5>
図9及び図10は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート502と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート504を備えるパンティライナー500を示す図である。吸収性コア506は、パンティライナー500の中心部に位置する。スキンケア物質を含む脂質相のビーズ508は、吸収性コアの端部に沿って配置される。ビーズ508は、吸収性コアに隣接した比較的厚めの部位510及びパンティライナーの柔軟な端部514にある薄めの部位512の双方に配置される。
【0096】
<例6>
図11及び図12は、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート602と、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート604とを備えるパンティライナー600を示す図である。吸収性コア606は、パンティライナー600の中心部に位置する。スキンケア物質を含む脂質相のビーズ608は、吸収性コアの端部に沿って配置される。ビーズ608は、パンティライナーの柔軟な端部612にある比較的薄めの部位610に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る吸収性物品の具体例として生理用ナプキンを示し、スキンケア物質処理されたストリップが吸収性コアと液体透過性シートとの間に配置されている図である。
【図2】図1に示した生理用ナプキンの線I−IIに沿った断面図である。
【図3】液体透過性シート及び液体不透過性シートの間の端部にスキンケア物質を有する脂質相のビーズが配置されたパンティライナーを示す図である。
【図4】図3に示したパンティライナーの線III−IVに沿った断面図である。
【図5】スキンケア物質処理された二つのストリップが吸収性コアと液体透過性シートとの間に配置され、スキンケア物質を含む脂質相のビーズが液体透過性シートと液体不透過性シートとの間の端部に沿って配置されているパンティライナーを示す図である。
【図6】図5に示したパンティライナーの線V−VIに沿った断面図である。
【図7】二箇所の端部に沿った、スキンケア物質処理されたストリップを備えるパンティライナーを示す図である。
【図8】図7に示したパンティライナーの線VII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】液体透過性シートと液体不透過性シートとの間の端部において、比較的厚い中心部から、より薄く、かつより柔軟性のある端部に沿って、スキンケア物質含有の脂質相のビーズが配置されたパンティライナーを示す図である。
【図10】図9に示したパンティライナーの線IX−Xに沿った断面図である。
【図11】液体透過性シート及び液体不透過性シート間の柔軟な端部に沿って、スキンケア物質含有の脂質相のビーズが配置されたパンティライナーを示す図である。
【図12】図11に示したパンティライナーの線XI−XIIに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0098】
100 生理用ナプキン
102、104 剥離紙
106、108 粘着部位
110、208、308、408、504、604 液体不透過性第二シート
112、202、302、406、502、602 液体透過性第一シート
114、206、310、404、506、606 吸収性コア
116、306、402 ストリップ
200、300、400、500、600 パンティライナー
204、304、508、608 ビーズ
410、412 長端
510 厚めの部位
512、610 薄めの部位
514、612 端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おむつ、パンティライナー、生理用ナプキン、成人用失禁ガードなどの吸収性物品であって、該吸収性物品が、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート、及び第一シートと第二シートとの間に配置された吸収性コアを含むコア部位を備え、該コア部位の少なくとも一部がスキンケア物質で処理されている吸収性物品において、該スキンケア物質が、25℃において固体で、好ましくは37℃において液体状態である脂質相に包含されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記コア部位が、吸収性コア及び前記第一シートと前記第二シートとの間に配置された少なくとも一つの不織ストリップを備え、前記ストリップはスキンケア物質で処理されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記スキンケア物質が前記ストリップに連続的に付与されていることを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記スキンケア物質が前記ストリップの不連続な点に投与されることを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記不織ストリップが前記吸収性コアを部分的に取り囲んでいることを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記脂質相が、吸収性コアと第一シート及び第二シート間に配置された一もしくはそれ以上のビーズに含まれていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記コア部位の、着用者の大腿部内側に面する箇所がスキンケア物質で処理されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記コア部位の、物品の端部及び羽根付近の箇所がスキンケア物質で処理されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項1】
おむつ、パンティライナー、生理用ナプキン、成人用失禁ガードなどの吸収性物品であって、該吸収性物品が、着用者の側に向けられる液体透過性第一シート、着用者側から離れる方に面するように意図された液体不透過性第二シート、及び第一シートと第二シートとの間に配置された吸収性コアを含むコア部位を備え、該コア部位の少なくとも一部がスキンケア物質で処理されている吸収性物品において、該スキンケア物質が、25℃において固体で、好ましくは37℃において液体状態である脂質相に包含されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記コア部位が、吸収性コア及び前記第一シートと前記第二シートとの間に配置された少なくとも一つの不織ストリップを備え、前記ストリップはスキンケア物質で処理されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記スキンケア物質が前記ストリップに連続的に付与されていることを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記スキンケア物質が前記ストリップの不連続な点に投与されることを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記不織ストリップが前記吸収性コアを部分的に取り囲んでいることを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記脂質相が、吸収性コアと第一シート及び第二シート間に配置された一もしくはそれ以上のビーズに含まれていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記コア部位の、着用者の大腿部内側に面する箇所がスキンケア物質で処理されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記コア部位の、物品の端部及び羽根付近の箇所がスキンケア物質で処理されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−517172(P2009−517172A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543229(P2008−543229)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001812
【国際公開番号】WO2007/064264
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001812
【国際公開番号】WO2007/064264
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】
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