説明

新規細胞

【課題】 硫酸基を有する物質(硫酸化物質:多糖やタンパク質等)の作用メカニズムを解明するために有用な、「特定の機能」を喪失した、細胞やノックアウト動物を得る。
【解決手段】 活性硫酸を運搬する作用を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は当該遺伝子に90%以上の相同性を有する遺伝子を欠損させ、「機能を持った前記タンパク質」の発現を抑制又は欠失させた細胞、及び活性硫酸を運搬する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を欠損させ、「機能を持った前記タンパク質」の発現を抑制又は欠失させたノックアウト動物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンドロイチン硫酸をはじめとする硫酸化糖の合成に関与する活性硫酸運搬因子の発現を抑制して得られる細胞に関する。
【背景技術】
【0002】
コンドロイチン硫酸は、グルクロン酸とN−アセチルガラクトサミンとが1−3グリコシド結合で結合した二糖が1−4グリコシド結合で連なった骨格(本明細書中においては「基本骨格」とも記載する)を有し、硫酸基を有する多糖である、グリコサミノグリカンの一種である。
このようなコンドロイチン硫酸等のグリコサミノグリカンをはじめ、プロテオグリカン、糖タンパク質及び糖脂質は硫酸基を有しているものが多く、その生合成には多くの硫酸基転移酵素 が関与している。たとえば非特許文献1に記載された酵素や、それによって生ずるいわゆるコンドロイチン硫酸E(非特許文献2)等は、免疫系・神経系又は炎症反応に深く関与していることが示唆されており、当該酵素の阻害剤は免疫抑制剤(例えばアトピー性皮膚炎、喘息、クローン病の治療薬等)や神経調節剤・疾患治療剤(神経症、アルツハイマー、躁鬱症、精神病、自律神経失調症、神経性腸炎等の治療薬、神経修復調節剤、抗炎症剤等)に応用できる可能性が高いことが示唆されている(特許文献1、特許文献2等)。
【0003】
また、ヘパリンやヘパラン硫酸は、ウロン酸残基とグルコサミン残基から成る二糖単位の連なったヘパリン骨格を有し、そのウロン酸残基の2位水酸基並びにグルコサミン残基の2位アミノ基及び6位水酸基が様々な程度に硫酸化されているグリコサミノグリカンの一種である。この物質は一般にアンチトロンビンIII結合部位を有し(非特許文献3)、ATIIIとの結合の結果としてトロンビン活性を阻害して抗凝固活性を発現するため、古くから透析治療薬等の成果を向上させるための医薬品として盛んに用いられてきた。また、ヘパリンがリポプロテインリパーゼと相互作用すること(非特許文献4)、塩基性繊維芽細胞増殖因子と親和性を有すること(非特許文献5)など、様々な生理活性因子と相互作用することが明らかになって、疾病と関連することが数多く示唆されている。
【特許文献1】米国特許第6265192号
【特許文献2】米国特許第6365365号
【非特許文献1】J.Biol.Chem.,276,43894-43900(2001)
【非特許文献2】J.Biol.Chem.,264,14916-14922(1989)
【非特許文献3】FEBSLett.,117, 203-206(1980)
【非特許文献4】J. Biol. Chem.,256, 12893-12898(1981)
【非特許文献5】J. Cell Biol.,111, 1651-1659(1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにコンドロイチン硫酸、ヘパリンなど、硫酸基を有する物質(硫酸化物質:多糖やタンパク質等)はヒトの様々な疾患や体調変化に関係しており、その作用メカニズムを解明することは、前記疾患等の治療法や治療薬の開発に必須である。そしてそれらの疾患等は、生体内の様々な組織、器官の相互作用によって顕在化することから、モデル動物を用いたin vivo系における検討が不可欠である。
【0005】
硫酸化物質の合成に関与する活性硫酸運搬因子に変異を導入し、硫酸化糖の硫酸化度を変化させたときの効果を正確に判定することのできるモデル動物系の開発が強く望まれていた。またこのようなモデル動物を作成するための細胞は、硫酸化物質が関係する各種疾患等に対する治療薬等の開発のための強力なツールとなるものと期待されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題の解決のために鋭意検討をした結果、活性硫酸運搬因子の発現を抑制又は欠失させた細胞を見いだし、本発明を完成した。
【0007】
本発明の要旨は以下の通りである。
1.活性硫酸を運搬する作用を有するタンパク質をコードする遺伝子を欠損させ、「機能を持った前記タンパク質」の発現を抑制又は欠失させた細胞。
2.配列番号1又は配列番号3いずれかに記載された塩基配列又はそれらに90%以上の相同性を有する塩基配列からなる遺伝子を欠損させ、「機能を持った前記タンパク質」の発現を抑制又は欠失させた細胞。
3.胚性幹細胞である請求項1又は2記載の細胞。
4.活性硫酸を運搬する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を欠損させ、「機能を持った前記タンパク質」の発現を抑制又は欠失させたノックアウト動物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により活性硫酸運搬作用が抑制された新規な細胞が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳説する。
1.本発明細胞
本発明細胞は、活性硫酸を運搬する作用を有するタンパク質をコードする核酸を欠損させ、「機能を持った前記タンパク質」の発現を抑制又は欠失させた細胞である。
【0010】
本発明細胞における「活性硫酸」とは、アデノシン5'−ホスホ硫酸(以下「APS」とも記載する)および3'−ホスホアデノシン5'−ホスホ硫酸(以下、「PAPS」とも記載する)が好ましく、特にPAPSが好ましい。
【0011】
本発明細胞における「活性硫酸を運搬する作用」は、例えば、J. Biol. Chem., 275, pp.13580-13587 (2000)の方法等に従って行うことができる。すなわち、[14C]、[3H]、又は[35S]などの放射性同位元素(特に[35S]が好ましい)で放射能標識した活性硫酸(PAPS等)と、本発明タンパク質又はこれを含む抽出物とを混合し、移行した放射能標識した活性硫酸の放射能を測定する方法で行うことができる。
【0012】
かかる「活性硫酸を運搬する作用」により活性硫酸が運搬される対象物は硫酸基転移酵素である。硫酸基転移酵素の作用対象は特に限定はされず、例えば多糖、タンパク質、脂質、糖タンパク質、糖脂質など、様々である。かかる作用を有する物質の一例である活性硫酸運搬因子(PAPST)は、細胞内のゴルジ体や小胞体でかかる作用を発揮していることが知られている。
【0013】
本発明細胞における「核酸」とは、デオキシリボ核酸、リボ核酸の両者を含む語として使用し、かかる核酸は1本鎖であると2本鎖であるとを問わず、いずれも包含するものとする。
【0014】
このような核酸の例としては、例えば配列番号2記載のアミノ酸配列をコードする核酸、配列番号4記載のアミノ酸配列をコードする核酸、又はこれらの相補的な配列からなる核酸、及びこれらの核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸をいう。
【0015】
ここで「ストリンジェントな条件下」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)等参照)。一般に「核酸のハイブリダイズを使用する実験手法(例えばノザンブロットハイブリダイゼーション、サザンブロットハイブリダイゼーション)」等で用いられる条件が挙げられ、好ましくは37.5%ホルムアミド、5×SSPE(塩化ナトリウム/リン酸ナトリウム/EDTA(エチレンジアミン四酢酸)緩衝液)、5×デンハルト溶液(Denhardt's solution)、0.5% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)存在下での42℃の条件が例示される。
【0016】
このような条件下でハイブリダイゼーションする核酸は、配列番号1又は配列番号3記載の塩基配列と、90%以上、好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列からなる遺伝子である。
【0017】
遺伝子を発現を抑制又は欠失させた本発明細胞は、例えば以下の方法により調製できる。
【0018】
例えば、ノックアウトしたいPAPSTの遺伝子(PAPST1(配列番号1)、PAPST2(配列番号3))の活性硫酸(PAPS)結合ドメインを含むexonを中心としたゲノム断片(約10〜15kb)、又はPAPSTのcDNAを挿入したターゲティングベクターを調製する。かかるターゲッティングベクターは、常法(例えば、Science 244:1288-1292, 1989等)に準じて作製することができる。例えば、PAPST遺伝子のゲノムDNAの一部をG418等の薬剤に耐性の遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子)に置換することにより、あるいは薬剤耐性遺伝子をPAPST遺伝子のゲノムDNAの一部に挿入することで、PAPSTゲノムDNAと相同な配列を両端に有する変異遺伝子を保有する組換えプラスミドDNA、すなわちターゲティングベクターを作製することができる。なお、薬剤に対する耐性遺伝子には、その発現を制御するためのPGK1プロモーター等の配列およびポリアデニレーションシグナル等を連結することもできる。薬剤耐性遺伝子により置換、または挿入されるPAPST遺伝子のゲノムDNA部位は、開始コドンや機能ドメインを含んだエクソン領域を含むゲノムDNA領域であることが好ましい。なお、目的の相同組換が起こらなかった場合に発現して選別を行うことのできる陰性マーカーである細胞毒遺伝子には、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリア毒素A遺伝子など、一般に使用されている遺伝子を広く使用することができる。かかる陰性マーカー遺伝子はゲノムDNAの外側に配置することが好ましい。
【0019】
次に、調製したターゲッティングベクターを対象細胞に対してトランスフェクションする
【0020】
また、別な方法では、例えばステムループ型のsiRNA発現ベクターに、PAPST1またはPAPST2のターゲット配列を含むオリゴヌクレオチド(例えば後述の表1記載のsenseとantisenseのそれぞれの組み合わせ)をアニーリング後にライゲーションし、トランスフォーメーション後、精製して得られたベクターを、対象の細胞に情報によりトランスフェクションする。
【0021】
上述のトランスフェクションの方法は、エレクトロポレーション法、リポソーム法、リン酸カルシウム法等の公知の方法により行うことができる(導入遺伝子の相同遺伝子組換え効率を勘案した場合、ES細胞への電気パルス法が好ましい)。
【0022】
上述の細胞とは、特に限定されることはないが、好ましくは分化全能性細胞(例えばES(embryonic stem)細胞。ES細胞としては、マウス(Nature 292:154-156, 1981)、ラット(Dev. Biol. 163(1):288-292, 1994)、サル(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92(17):7844-7848, 1995)、ウサギ(Mol. Reprod. Dev. 45(4):439-443, 1996)などの動物由来のES細胞を使用することができる。従ってPAPST欠損動物は、これらの動物種を対象に作製することができる(特に遺伝子ノックアウト動物の作製に関して技術が整っているマウスが好ましい)。
【0023】
このような核酸の対象となる細胞への導入は、上述のように適宜ベクターに核酸を結合して行うことができるが、ベクターへの導入に際して、核酸の機能を損なわない限りにおいて、例えば制限酵素断片を連結したり、又は核酸の末端領域の一部を切断してベクターへの導入を行うことも、当業者であれば容易である。
【0024】
かかるベクターとしては、本発明自己再生制御方法を適用する対象の細胞で発現するベクターである限りにおいて特に限定はされず、当業者であれば目的の細胞に合わせて適宜選択して使用することが容易である。
【0025】
2.ノックアウト動物の調製方法
本発明細胞を用いることで、PAPSTの発現を抑制又は欠失させたノックアウト動物作成することができる。すなわち、PAPSTの発現を抑制又は欠失させた本発明細胞(ヒト以外の動物(特にほ乳類由来の細胞が好ましい)由来のES細胞を用いて調製した本発明細胞)を野生型動物の胚盤胞に注入し、つづいてこのキメラ胚を仮親の子宮に移植する。出生した動物を里親につけて飼育させた後、PAPST変異遺伝子が生殖系細胞に入ったキメラ動物を選別する。選別は毛色の違いや、尾部先端からゲノムDNAを抽出し、サザンブロット分析やPCRアッセイ等により分析することによって行う。PAPST変異遺伝子が生殖系細胞に入ったキメラ動物と野生型動物の交配により得られる子孫について、さらに尾部先端からの抽出ゲノムDNAを材料とした、サザンブロット分析やPCRアッセイ等を行い、PAPST変異遺伝子が導入されたヘテロ接合体を同定する。さらにヘテロ接合体同士の交配により、PAPST変異遺伝子に関してホモ接合体となった個体動物を得ることができる。作出されたPAPST変異遺伝子を保有するヘテロ接合体、あるいはホモ接合体は生殖細胞および体細胞のすべてに安定的にPAPST遺伝子変異を保有しており、交配等により、効率よくその変異を子孫動物に伝達することができる。
【0026】
このようにして作製されたPAPST遺伝子に変異を有する本発明ノックアウト動物は、例えばPAPST遺伝子産物を全く持たないホモ接合体の場合、PAPSTが発現している領域においてコンドロイチン硫酸等の硫酸化多糖への硫酸基付加が低下するため、関連する各種疾患の発症メカニズムの解明や、同疾患治療用の薬剤スクリーニングのための最適のモデル動物となる。
【実施例1】
【0027】
本発明細胞の調製
ステムループ型のsiRNA発現ベクターであるpsilencer3.0-H1puro(Ambion)のBamHI-HindIII領域に、PAPST1またはPAPST2のターゲット配列を含むオリゴヌクレオチドである下記表記載のsenseとantisenseをアニーリング後にライゲーションし、トランスフォーメーション後、精製して得られたベクターをES細胞(R1:生理学研究所 等 誠司 博士より恵与)にリポフェクトアミン2000でトランスフェクションした。トランスフェクション24時間後からピューロマイシンにてセレクションを行った。コントロール(mock)として、EGFP(緑色蛍光タンパク質)のターゲット配列を含むベクターを使用して細胞1〜4を調製した。
【0028】
【表1】

【0029】
細胞1〜4を、それぞれ24時間セレクション後、細胞を回収し、常法に従ってcDNAを作製し、realtimePCR(細胞よりインビトロジェン社製のTRIZOL試薬により全RNAを抽出し、インビトロジェン社製のオリゴ-dTプライマーとSuperscriptII first strand合成キットを使用し、アプライドバイオシステムズ社製のABI PRISM 7700により行った。)によりmRNAの発現量を定量した。その結果、細胞1〜4いずれもPAPSTのmRNA量が著しく低下していることが明らかとなった(図1)。
【実施例2】
【0030】
細胞1〜4を、硫酸不含の培地で培養し、35S放射標識した。左のパネルの細胞全体での硫酸取り込みについては、48時間標識を行い、細胞を回収後、可溶化し、トリクロロ酢酸沈澱で蛋白を精製し、放射活性を測定した。右のパネルでは、24時間標識後、フリーの35SをPBSで洗浄して除き、へパリチナーゼ処理(heparitinase(生化学工業製)5m unit/ml (血清不含のES培養用培地)で37℃、2時間インキュベーション)により細胞表面のへパラン硫酸を上清に遊離させ、上清中の放射能を測定した(図2)。
【0031】
その結果、細胞1〜4いずれもで有意にヘパラン硫酸量の低下が確認された。
【実施例3】
【0032】
細胞1及び2を、抗コンドロイチン硫酸または抗SM3(ラクトシルセラミド硫酸)抗体で染色し、FACS解析を行った(図3)。
【0033】
すなわち各細胞を0.02%EDTAで洗浄して回収し、氷冷下でFACS緩衝液(0.5%牛血清アルブミン、0.1%アザイドナトリウムを含むPBS)中で、標準化のためのマウスIgM抗体(ケミコン社製)又は抗コンドロイチン硫酸抗体 2H6(生化学工業株式会社製)で30分間処理をした。反応度、細胞をFACS緩衝液で洗浄した後、氷冷下で30分間、FACS緩衝液に懸濁させた二次抗体(FITC結合:シグマ社製)と結合させた。セルソートと分析はベクトンディッキンソン社製のFACS Aria Cell Sorterを使用した。
【0034】
その結果、いずれの細胞も、細胞表面のコンドロイチン硫酸の量が低下していることが確認された(図3A及びB)。また、抗SM3抗体で染色した際には、SM3量も減少していることも判明した(図3C及びD)。
【実施例4】
【0035】
細胞1〜4を左のパネルでは96wellプレートに播種後、24,48時間における増殖能についてWSTアッセイ法により検討した(図4)。その結果、いずれも増殖能が若干低下することが確認された。
【実施例5】
【0036】
細胞1〜4を左のパネルでは96wellプレートに播種後、48時間に細胞を回収後、低密度で細胞をまき直し、5日間培養後、アルカリホスファターゼ染色によりアルカリホスファターゼ陽性のコロニー数を計測し、細胞の未分化性を確認した(図5)。
【0037】
その結果、細胞1〜4のいずれもがアルカリホスファターゼ陽性のコロニー数が有意に減少しており、未分化性が低下していることが示された。
【実施例6】
【0038】
細胞1〜4の調製時に、psilencerと同時にwntシグナルのレポータープラスミド(FOPFLASH,ネガティブコントロール;TOPFLASH,ポジティブコントロール)を同時にトランスフェクションし、セレクション2日後に細胞を回収し、可溶化後、ルシフェラーゼ活性を測定した(図6)。その結果、いずれの細胞においてもTOPFLASHのみが低下し、Wntシグナルが低下していることが判明した。
【実施例7】
【0039】
細胞2及び4を、24時間セレクション後、4時間血清およびLIF不含培地で培養後、それぞれの因子で20分刺激し、細胞を回収、可溶化後、WesternBlotを行った(図7)。その結果、細胞2及び4のいずれもで、FGFシグナル及びBMPシグナルが低下していることを示す結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明により新規細胞が提供され、硫酸化糖の合成に関連する疾病の解明のためのツールとして役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】細胞1〜4それぞれにおけるsiRNAによるPAPST発現の変化を示す図である。mockは対照を示し、p1-1は細胞1、p1-2は細胞2、p2-1は細胞3、p2-2は細胞4を示し、縦軸はβアクチンのmRNAを基準としたmRNA量の相対値を示している。
【図2】細胞1〜4それぞれにおける細胞への硫酸取り込み量を示す図である。図中mockは対象を示し、p1-1は細胞1、p1-2は細胞2、p2-1は細胞3、p2-2は細胞4を示し、縦軸は、対照と比較した放射能量を相対値で示す。Aは細胞溶解液内における35S放射能を測定した結果を示し、Bはヘパラン硫酸フラグメントにおける35S放射能を測定した結果を示す。
【図3】細胞2及び4におけるコンドロイチン硫酸A量とSM3量を、それぞれ抗体により染色してフローサイトメトリーを用いて定量した図である。
【図4】細胞1〜4の24時間、48時間培養による細胞増殖能を示す図である。mockは対照を示し、p1-1は細胞1、p1-2は細胞2、p2-1は細胞3、p2-2は細胞4を示し、縦軸は450nmにおける吸光を示す。
【図5】細胞1〜4の未分化性をアルカリホスファターゼ活性より確認した図である。mockは対照を示し、p1-1は細胞1、p1-2は細胞2、p2-1は細胞3、p2-2は細胞4を示し、縦軸はアルカリホスファターゼ活性を有するコロニー数の対照との相対比を示す。
【図6】細胞1〜4のレポーターアッセイ結果を示す図である。mockは対照を示し、p1-1は細胞1、p1-2は細胞2、p2-1は細胞3、p2-2は細胞4を示し、縦軸はルシフェラーゼの相対活性を示している。本発明細胞では、いずれもTopflashのみが対照と比して低下し、シグナルが減少していることが示されている。
【図7】細胞2及び4のWesternBlotによるFGFシグナル及びBMPシグナルの変化を確認した図である。mockは対照を示し、p1-1は細胞1、p1-2は細胞2、p2-1は細胞3、p2-2は細胞4を示し、+FGFはFGF添加群を、+BMP4はBMP4添加群を示している。FGFシグナルもBMPシグナルも対照と比してリン酸化の程度が下がりシグナルが減少していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性硫酸を運搬する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を欠損させ、「機能を持った前記タンパク質」の発現を抑制又は欠失させた細胞。
【請求項2】
配列番号1又は配列番号3いずれかに記載された塩基配列又はそれらに90%以上の相同性を有する塩基配列からなる遺伝子を欠損させ、「機能を持った前記タンパク質」の発現を抑制又は欠失させた細胞。
【請求項3】
胚性幹細胞である請求項1又は2記載の細胞。
【請求項4】
活性硫酸を運搬する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を欠損させ、「機能を持った前記タンパク質」の発現を抑制又は欠失させたノックアウト動物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−38997(P2009−38997A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205078(P2007−205078)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(598123138)学校法人 創価大学 (49)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)
【Fターム(参考)】