説明

方位表示機能付き電子時計

【課題】 指針により所定方向を指し示させる際に、ユーザに不可解な印象を与えることなく、指針に位置ずれが生じていないか確認することのできる方位表示機能付き電子時計を提供する。
【解決手段】 第1および第2の指針(3,4)が一直線になる所定位置(6時00分00秒)まで移動するように運針処理手段を制御する所定位置移動制御手段と、所定位置移動制御手段の制御の終了後に、第1および第2の指針(3,4)が所定位置(6時00分00秒)にあるか検出する検出手段と、方位検出手段により得られた方位データと位置データ記憶手段の位置データとに基づいて、一直線の配置関係にされた第1および第2の指針(3,4)が所定方向を指し示すように運針処理手段を制御する方位表示制御手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指針により所定方向を指し示す方位表示機能付き電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、指針により方位を表示する電子コンパスの機能を備えた電子時計が開発されている。
【0003】
また、本願発明に関連する従来技術として、特許文献1には、コンパスモードにおいて2本の指針を一直線の配置にして北の方向を指し示す構成が開示されている。
【0004】
指針により種々の情報を表示する多機能の電子時計においては、内部に指針位置カウンタを設け、ステッピングモータを駆動して指針を回転させるごとに指針位置カウンタの計数値を更新して、指針の現在位置を計数するのが一般的である。
【0005】
また、電子時計においては、外部から大きな磁力や衝撃が加えられた場合に、ステッピングモータを駆動していないのに指針が回転してしまったり、ステッピングモータに駆動信号を出力したのに指針が回転しなかったりして、指針位置カウンタの計数値と実際の指針の位置とが一致しなくなることがある。
【0006】
そのため、従来、指針に運動を伝達する歯車に透過穴を設け、この透過穴が所定の時刻(例えば分針は毎時55分、時針は11時55分など)に検出位置に現れるように組み付けるとともに、上記所定の時刻に検出位置で歯車の透過穴を検出することで、指針の位置ずれの有無の確認を行う指針位置検出機構を備えた電子時計が開発されている(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−157954号公報
【特許文献2】特開2009−085674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子コンパスの動作中に、指針の位置がずれていると、指針により正しい方向を指し示せなくなる。従って、電子コンパスの動作を開始する前に、指針の位置ズレがないか確認すると良い。
【0009】
しかしながら、電子コンパスのモードへ切り替えた際に、時刻表示モードで行われる針位置検出の処理を同様に行ってから電子コンパスの動作を開始したのでは、次のように、指針の動きが不自然なものとなって、ユーザに不可解な印象を与えてしまうという課題が生じる。例えば、ユーザが電子コンパスのモードへ切り替えた際、先ず、時針と分針とが位置検出用の所定時刻(例えば11時55分)の箇所まで移動して位置ずれのないことが確認された後、時針と分針とが電子コンパス用の位置まで移動し、その後、指針により北の方位を指し示す動作が開始される。このような処理では、指針が一旦、方位の表示とは無関係な所定時刻(例えば11時55分)の位置まで移動するので、ユーザに不可解な印象を与えてしまう。
【0010】
この発明の目的は、指針により所定方向を指し示させる際に、ユーザに不可解な印象を与えることなく、指針に位置ずれが生じていないか確認することのできる方位表示機能付き電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するため、
第1のモータおよび第2のモータと、
第1の指針および第2の指針と、
前記第1および第2のモータの回転を前記第1および第2の指針にそれぞれ伝達して当該第1および第2の指針をそれぞれ回転させる第1の輪列機構および第2の輪列機構と、
前記第1および第2の指針の位置データを記憶する指針位置データ記憶手段と、
前記第1および第2の指針を移動させるために前記第1および第2のモータに駆動パルスを供給して前記位置データを更新する運針処理を実行する運針処理手段と、
前記第1および第2の指針の位置を、前記第1および第2の輪列機構の状態により検出する指針位置検出手段と、
前記位置データに基づいて、前記第1および第2の指針が一直線になる所定位置まで移動するように前記運針処理手段を制御する所定位置移動制御手段と、
この所定位置移動制御手段の制御の終了後に、前記指針位置検出手段により前記第1および第2の指針が前記所定位置にあると検出されたか否かを判断する判断手段と、
この判断手段により前記所定位置にあることが検出されてないと判断された場合に、前記第1および第2の指針の位置と前記指針位置データ記憶手段の位置データとを対応させる修正手段と、
方位データを得る方位検出手段と、
この方位検出手段により得られた方位データと前記位置データ記憶手段の位置データとに基づいて、一直線の配置関係にされた前記第1および第2の指針が前記方位データに基づく所定方向を指し示すように前記運針処理手段を制御する方位表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする方位表示機能付き電子時計とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明に従うと、所定位置移動制御手段および指針位置検出手段により、第1および第2の指針が一直線となる所定位置まで移動されて位置ズレが生じていないか確認され、また、方位表示制御手段により、第1および第2の指針が一直線となる配置関係で所定方向が指し示されることになる。従って、指針に位置ズレが生じていないか確認するときの第1および第2の指針の配置と、方位表示の際の第1および第2の指針の配置とが、互いに関連したものとなって、ユーザに不可解な印象を与えずに、方位表示を行う際に指針の位置ズレの有無の確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の電子時計の全体構成を示すブロック図である。
【図2】時刻表示モードから方位計測モードへ切り替えたときの指針の動きを説明する図である。
【図3】CPUにより実行されるキー入力処理の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】輪列機構のうち指針近傍の歯車部分を示す断面図である。
【図5】秒針が固定される秒針車を示す正面図である。
【図6】秒針車に設けられた透過穴のパターンを説明する図である。
【図7】秒針に回転運動を伝達する歯車列を示す図である。
【図8】分針に回転運動を伝達する歯車列を示す図である。
【図9】時針に回転運動を伝達する歯車列を示す図である。
【図10】指針位置の毎時検査と指針位置の完全補正の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS1の毎時秒針検査処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図12】図10のステップS3,S5の秒針検出処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図13】図10のステップS4の分針検出処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図14】図10のステップS7の時針検出処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の方位表示機能付き電子時計1の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
この実施形態の電子時計1は、秒針2、分針3および時針4(以下、指針2〜4とも記す;図2と図4を参照)によって時刻表示と方位表示とを切り替えて行うことのできる腕時計である。この電子時計1は、図1に示すように、全体的な制御を行うCPU(中央演算処理装置)10と、指針2〜4をそれぞれ独立的に駆動可能なアナログムーブメント30と、秒針2と分針3の位置を検出する第1検出部31と、時針4の位置を検出する第2検出部32と、2方向の磁気の強さを検出する磁気センサ33と、磁気センサ33の出力から磁北の方向を示す信号を生成する方位検出部34と、CPU10が実行する制御プログラムや制御データを格納したROM36と、CPU10に作業用のメモリ空間を提供するRAM37と、一定周波数のタイミング信号を生成する発振回路38および分周回路39と、各部に動作電圧を供給する電源部40と、タイムコードを含んだ標準電波を受信するアンテナ41および検波回路42と、文字板を照らす照明部43および照明駆動回路44と、アラーム音を出力するスピーカー45およびブザー回路46と、外部からユーザが操作可能なスイッチ部47等を備えている。
【0017】
アナログムーブメント30は、秒針2を駆動するモータ51と、分針3を駆動するモータ52と、時針4を駆動するモータ53と、モータ51〜53の回転運動を指針2〜4までそれぞれ独立的に伝達する複数の歯車列を有する輪列機構20等から構成される。モータ51〜53は2極のステッピングモータである。輪列機構20は、それぞれ独立的に、モータ51が60ステップ回転することで秒針2が一周し、モータ52が360ステップ回転することで分針3が一周し、モータ53が360ステップ回転することで時針4が一周するように構成されている。
【0018】
第1検出部31と第2検出部32とは、所定の検出位置P,P2(図4と図9参照)において、輪列機構の歯車を挟んで一方から光を照射する発光部311,321(例えば発光ダイオード)と、他方で光を受ける光センサ312,322(例えばフォトトランジスタ)とを備えている。これら発光部311,321の発光動作と、光センサ312,322の受光動作によって、歯車の透過穴が検出位置P,P2で重なっている状態にあるか否かを判別することが可能になっている。
【0019】
磁気センサ33は、例えば磁気抵抗素子を用いて2方向の磁気の強さを検出する構成である。方位検出部34は、磁気センサ33に4方向のバイアス磁界を順次印加させながら磁気センサ33のセンサ出力を受けるとともに、これらのセンサ出力をデータ化して所定の演算を行うことで、磁北の方向(磁北に対応する文字板上の方向)を表わす方位データを生成してCPU10に供給する。
【0020】
RAM37には、分周回路39のタイミング信号を計数して現在時刻を表わす計時カウンタと、秒針2、分針3、時針4の指針位置をそれぞれ記憶する秒針位置データ記憶部37a、分針位置データ記憶部37b、時針位置データ記憶部37cが設けられている。これらの位置データ記憶部37a〜37cの計数値は、各指針2〜4の位置を基準位置(0時0分0秒位置)から移動したステップ数を表わし、CPU10がモータ51〜53の駆動制御を行うごとにCPU10が計数値の更新を行う。すなわち、この処理を行うCPU10により運針処理手段が構成される。例えば、1ステップの駆動制御を行うごとに、対応する位置データ記憶部37a〜37cの計数値を1ステップ分更新する。
【0021】
ROM36には、計時カウンタに同期させて指針2〜4を駆動して時刻を表示させる時刻表示処理のプログラム、所定の条件で標準電波を受信して計時カウンタの値を修正する電波受信処理のプログラム、所定の検出時刻に第1検出部31や第2検出部32を動作させて指針2〜4に位置ズレが生じていないか確認する毎時検査処理のプログラム、指針2〜4に位置ズレが生じている場合に位置ズレを解消する完全補正処理のプログラム、および、キー入力に応じて方位計測モードに移行したり時刻表示モードに戻したりするキー入力処理のプログラムなどが格納されている。
【0022】
次に、方位計測モードへの切り替えの際の動作について説明する。
【0023】
図2には、時刻表示モードから方位計測モードへ切り替えたときの指針の動きを説明する図を示す。図2(a)はモード切替前の時刻表示中、(b)はモード切替直後、(c)はモード切替後の方位表示中の状態を、それぞれ示す。
【0024】
この実施形態の電子時計1では、例えばユーザがスイッチ部47を操作して、時刻表示モードから方位計測モードへ切り替えると、先ず、図2(a)→(b)に示すように、各指針2〜4が早送りされて所定位置(例えば6時00分00秒の位置)まで移動する。ここで、所定位置は、少なくとも分針3と時針4が互いに180°向きを異ならせて一直線となる位置である。
【0025】
この実施形態では、詳細な構造は後述するが、第1検出部31の検出動作により秒針2と分針3が上記所定位置にあるか否かの判別が可能になっており、また、第2検出部32の検出動作により時針4が上記所定位置にあるか否かの判別が可能になっている。
【0026】
従って、方位計測モードへ切り替えられて、指針2〜4が図2(b)の所定位置まで移動したら、第1検出部31と第2検出部32とを動作させて指針2〜4の位置検出を実行する。ここで、指針2〜4に位置ズレが無ければ、位置検出により位置ズレなしと判別される。
【0027】
分針3と時針4に位置ズレが無いと判断されたら、図2(c)に示すように、分針3と時針4により磁北を指し示す処理が開始される。すなわち、磁気センサ33と方位検出部34により磁北の向きが計測されるとともに、分針3と時針4が一直線の配置関係を保ったまま共に早送り駆動されて、分針3が磁北の向き(図中の「N」)を指し示し、時針4が磁北から180°の向きを指し示す位置へ運針される。このような方位計測と運針処理が、例えば所定時間ごと(1秒ごとなど)に繰り返し実行されて、指針3,4により磁北が連続的に表示される。
【0028】
このように、位置ズレの有無が確認される指針3,4の配置関係と、方位を指し示して表示する指針3,4の配置関係とが、ともに一直線という同種の配置関係にあるので、ユーザに不可解な印象を与えることなく、位置ズレが無いことの確認と方位の表示とを連続的に実施することができる。
【0029】
方位計測モードへ切り替えた際、分針3又は時針4に位置ズレが生じていると、図2(a)→(b)の早送り駆動の期間に、CPU10により、位置データ記憶部37a〜37cの計数値が所定位置(6時00分00秒)に対応する値になるまで各指針2〜4が駆動制御されるが、早送り駆動後の分針3又は時針4の到達位置は所定位置(6時00分00秒)から外れている。そのため、第1検出部31と第2検出部32が動作して位置ズレの有無を確認した際に、位置ズレが生じていることが検出される。
【0030】
この実施形態の電子時計1では、位置ズレが生じていることが検出されたら、後述する完全補正処理により、指針2〜4の実際の位置と位置データ記憶部37a〜37bの計数値とが合致するように修正する処理が実行される。完全補正処理を実行する際には、指針2〜4に位置ズレが生じていることを示す表示(例えば、文字板上の表示灯の点灯、液晶による表示、或いは、秒針2により文字板上の針位置NGマークを指し示す表示等)を行って、ユーザに指針2〜4の位置ズレの修正を行っていることを知らせる。そして、完全補正処理が完了したら、上述の方位計測モードの処理へ移行する。
【0031】
図3には、CPU10により実行されるキー入力処理のフローチャートを示す。
【0032】
上述したモード切替時の動作は、図3のキー入力処理によって実現される。スイッチ部47の操作がなされて、このキー入力処理が開始されると、先ず、CPU10は、スイッチ部47の方向計測キーのオン操作であるか否か判別する(ステップJ1:モード切替手段)。その結果、このオン操作であれば、続く処理へ進むが、別の操作であれば、このキー入力処理を終了する。
【0033】
方向計測キーのオン操作であると判別されて、次に進んだら、CPU10は、指針2〜4を所定位置(6時00分00秒の位置)まで早送りする(ステップJ2:所定位置移動制御手段)。ここで、CPU10は、指針2〜4の位置を位置データ記憶部37a〜37cの計数値によって認識する。
【0034】
所定位置まで早送りしたら、次いで、CPU10は、第1検出部31を作動させて(ステップJ3)、光センサ312で所定量以上の光が検出されたか判別する(ステップJ4:判断手段)。ここで、光検出と判別されたら、さらに、第2検出部32を作動させて(ステップJ5)、光センサ322で所定量以上の光が検出されたか判別する(ステップJ6:判断手段)。詳細は後述するが、ステップJ4で光検出と判別されれば、分針3が所定位置(00分00秒位置)にあると判断でき、ステップJ6で光検出と判別されれば、時針4が所定位置(6時00分位置)にあると判断できる。
【0035】
従って、ステップJ4,J6で光検出と判別されれば、ステップJ9からの方位計測モードの処理へ移行する。一方、ステップJ4,J6の何れかで光検出されないと判別されれば、指針2〜4に位置ズレがあると判断して、先ず、位置ズレが生じていることをユーザに知らせるための表示を行い(ステップJ7)、後述する指針位置の完全補正処理を実行する(ステップJ8:修正手段)。そして、その後に、ステップJ9からの方位計測モードの処理へ移行する。
【0036】
方位計測モードの処理へ移行したら、CPU10は、磁気センサ33と方位検出部34を作動させて方位計測を実行させ(ステップJ9)、計測結果に従って分針3と時針4とを早送り駆動して、両者が一直線の配置関係のまま分針3に磁北の方向を指示させる(ステップJ10:方位表示制御手段)。ここで、CPU10は、指針2〜4の位置を位置データ記憶部37a〜37cの計数値によって認識する。そして、スイッチ部47の解除キーの操作があったか判別し(ステップJ11)、操作があるまでステップJ9,J10の処理を、例えば所定時間間隔(1秒間隔など)で繰り返し実行する。この間に、解除キーの操作があれば、ステップJ11でそれが判別されて、このキー入力処理が終了される。
【0037】
[指針位置検出機構]
次に、上記の指針2〜4の位置検出を可能とするアナログムーブメント30、第1検出部31および第2検出部32の構造について詳細に説明する。
【0038】
図4には、アナログムーブメント30の輪列機構20のうち指針2〜4に近い歯車部分を表わした断面図を示す。
【0039】
この実施形態の輪列機構20には、図4に示すように、秒針軸24aを介して秒針2が固着される秒針車24と、分針軸25aを介して分針3が固着される分針車25と、時針軸27aを介して時針4が固着される時針車27と、分針車25と連動して回転する中間車26が含まれる。秒針車24、分針車25、時針車27は、それぞれ同一の回転軸を中心に、モータ51〜53の駆動によって、それぞれ独立的に回転するようになっている。
【0040】
第1検出部31の発光部311と光センサ312は、図4に示すように、秒針車24、分針車25、中間車26、時針車27を間に挟んで、予め設定された検出位置Pで、互いに対向した状態に、電子時計1のハウジングの枠部に固定されている。
【0041】
図5には、秒針2が固定される秒針車24を示す正面図を、図6には、秒針車24に設けられた透過穴24h1〜24h7のパターンを説明する図を示す。
【0042】
秒針車24には、検出位置Pと重なる半径位置に複数の透過穴24h1〜24h7が形成されている。これら透過穴24h1〜24h7は、2ステップ分(歯車の歯の2個分)の角度区分を一単位として、何れかのステップ位置を開始点とした連続する10ステップ分にわたる区間(図6の図表下のブラケット記号に示す)の透過穴の有無のパターンが、開始点を異ならせることで全て異なるパターンになるように形成されている。さらに、透過穴の無いステップ位置の180°反対側のステップ位置には透過穴が存在するように形成されている。
【0043】
この実施形態の電子時計1においては、特に制限されるものではないが、毎時に実行される指針位置の検査処理には区間K1(00秒〜08秒の区間)の透過穴の有無のパターンが検出されて秒針2の位置ズレの有無が判断される。また、指針2〜4に位置ズレが検出された後に位置ズレを修正する処理の際には、区間K2(52秒〜00秒の区間)の透過穴の有無のパターンが検出されて秒針2の位置を確認するように設計されている。
【0044】
図7〜図9には、秒針2、分針3、時針4を回転する輪列機構20を表わした正面図をそれぞれ示す。これらの図において各歯車の形成されている歯は省略している。
【0045】
秒針車24は、図7に示すように、五番車211を間に挿んでモータ51のロータ51aと連結され、ロータ51aの1ステップ(180°)の回転ごとに6°ずつ回転するようになっている。
【0046】
分針車25は、図8に示すように、中間車26と二番車212とを介してモータ52のロータ52aと連結されている。分針車25、中間車26および二番車212が第1の輪列機構を構成する。そして、ロータ52aが1ステップ(180°)回転するごとに、中間車26が30°ずつ、分針車25が1°ずつ回転するようになっている。
【0047】
分針車25には、検出位置Pと重なる半径位置に1個の透過穴25hが形成されている。また、中間車26にも検出位置Pと重なる半径位置に1個の透過穴26hが形成されている。分針車25の透過穴25hと、中間車26の透過穴26hとは、分針車25の所定のステップ(図8のステップ)で共に検出位置Pで重なるように組み付けられている。このステップの前後のステップでは、中間車26が30°回転して、その透過穴26hが検出位置Pから大きく外れることで、検出位置Pにおける透過穴の重なりが生じないようになっている。
【0048】
分針3は、分針車25と中間車26の透過穴25h,26hが検出位置Pで重なるステップ位置で、文字板上の所定位置(00分位置)を指し示すように組み付けられている。
【0049】
時針車27は、図9に示すように、3個の中間車213,215,216と三番車214とを介してモータ53のロータ53aと連結され、ロータ53aの1ステップ(180°)の回転ごとに1°ずつ回転するようになっている。
【0050】
時針車27は、図4にも示したように、秒針車24と分針車25と同一の回転軸を中心に回転する構成であり、検出位置Pと重なる半径位置で、且つ、円周方向に等間隔に配置された12個の透過穴27hが形成されている。時針4と時針車27とが適宜な位置関係で組み付けられることで、時針4が文字板上の所定位置(毎時00分位置)を指し示すときに、透過穴27hの1個が検出位置Pに重なるようにされる。
【0051】
また、時針4の輪列機構には、時針4の位置を検出するための検出車217が連結されている。上述の中間車213,215,216、三番車214および検出車217により、第2の輪列機構が構成される。そして、検出車217と中間車213および三番車214には、それぞれ透過穴217h,213h,214hが形成されている。これらの透過穴217h,213h,214hは、時針4が所定位置(6時00分と18時00分の位置)に移動するステップで第2の検出位置P2で重なるように設定される。このステップの前後のステップでは、中間車213が大きく回転して、その透過穴213hが検出位置P2から大きく外れることで、第2の検出位置P2における透過穴の重なりが生じないようになっている。
【0052】
第2検出部32の発光部321と光センサ322は、検出車217、中間車213、および三番車214を間に挟んで、上記の第2の検出位置P2で、互いに対向した状態に、電子時計1のハウジングの枠部に固定されている。
【0053】
上記のようなアナログムーブメント30、第1検出部31および第2検出部32の構成により、指針2〜4が所定位置(6時00分00秒)にあるときに、検出位置Pで透過穴24h1,25h,26hが重なり、且つ、第2の検出位置P2で透過穴213h,214h,217hが重なって、これらが第1検出部31と第2検出部32の動作により識別可能になっている。
【0054】
[指針位置検査処理・完全補正処理]
次に、指針位置の検査処理と完全補正処理について詳細に説明する。
【0055】
図10は、指針位置の検査処理と完全補正処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0056】
図10の処理は、計時時刻が秒針2と分針3の検査時刻(毎時00分00秒)になった場合にステップS1から開始される。また、計時時刻が時針4の検査時刻(6時00分、18時00分)になった場合にはステップS7から開始される。さらに、図3のキー入力処理のステップS8の完全補正処理に移行するか、ユーザが完全補正キー操作を行った場合にはステップS6から開始される。
【0057】
図10の処理の各ステップのうち、ステップS1の毎時秒針検査処理は時刻を表示する通常運針を行いながら秒針2と分針3とが位置ズレを起こしていないか確認する処理である。また、ステップS3,S5の秒針検出処理は秒針2の位置が不明な状況で秒針2の位置を検出して位置ズレを修正する処理である。ステップS4の分針検出処理は分針3の位置が不明な状況で分針3の位置を検出して位置ズレを修正する処理である。ステップS7の時針検出処理は時針4が位置ズレを起こしていないか確認するとともに位置ズレが有る場合に時針4の位置を検出して位置ズレを修正する処理である。
【0058】
また、この針位置検出修正処理では、完全補正処理の実行中か否かを表わす完全補正フラグがRAM37の所定領域に設定され、この値によって適宜条件分岐がなされるようになっている。
【0059】
処理の流れは指針2〜4の状態により次のようになる。先ず、秒針2と分針3に位置ズレがなく毎時00分の検査時刻となった場合には、毎時秒針検査(ステップS1)において通常運針を行いながら位置ズレの検査が行われて、位置ズレなしの判定により正常に検査完了となる。
【0060】
秒針2のみに位置ズレがあって毎時00分の検査時刻となった場合には、毎時秒針検査(ステップS1)において位置ズレあり“NG”の判定がなされる。この場合、先ず、CPU10は、完全補正処理と区別するため完全補正フラグをオフにして(ステップS2)、秒針検出処理(ステップS3)を行う。秒針2のみに位置ズレがある場合には、ここで秒針2の位置検出と修正ができるので、そのまま正常に補正完了となる。
【0061】
分針3又は分針3と秒針2に位置ズレがあって毎時00分の検査時刻となった場合には、分針車25や中間車26により検出位置Pが塞がれた状態となるので、毎時秒針検査(ステップS1)で“NG”となる。この場合、CPU10は、完全補正フラグの設定(ステップS2)を行った後、1回目の秒針検出処理(ステップS3)を行い、その結果が“NG”となる。そのため、続いて、分針検出処理(ステップS4)を行って、分針3の位置検出と位置ズレの修正を行った後、2回目の秒針検出処理(ステップS5)を行って補正完了となる。なお、2回目の秒針検出処理(ステップS5)で不良(NG)となった場合には、何らかの誤りが生じているものとしてエラー終了(秒針検出エラー)する。
【0062】
時針4に特定の位置ズレ(例えば時針車27の12個の透過穴27hが何れも検出位置Pから外れるような位置ズレ)があった状態で毎時00分の検査時刻となった場合には、時針車27が検出位置Pを塞いで秒針2と分針3の位置検出ができないので、ステップS1,S2,S3と進んだ後、分針検出処理(ステップS4)でも不良(NG)の結果となる。そのため、CPU10は、続いて、完全補正フラグにより時針4の検出処理が済んでいるか確認(ステップS9)した後、完全補正処理を行うために完全補正フラグをオンして(ステップS6)、ステップS7へ進む。そして、時針検出処理(ステップS7)で時針4の位置検出と位置ズレの修正を行う。これにより時針4の特定の位置ズレは修正される。その後、1回又は2回の秒針検出処理(ステップS3,S5)ならびに分針検出処理(ステップS4)のうち必要な処理を行うことで、秒針2と分針3についても位置ズレがあれば修正されて補正完了となる。
【0063】
6時00分又は18時00分の検査時刻となった場合には、CPU10は、時針検出処理(ステップS7)を行って、時針4の位置検出と位置ズレがある場合にその修正を行う。そして、ステップS8の判別処理で“OFF”側に進んで時針検査完了となる。時針4は他の指針2,3が何れの位置にあっても独立して針位置検出と修正が可能であるので、時針検出処理(ステップS7)で不良(NG)の結果となったら、何らかの誤りが生じているものとしてエラー終了(時針検出エラー)する。
【0064】
指針位置の完全補正処理が開始された場合には、先ず、CPU10は、完全補正処理であることを区別するために完全補正フラグをオンし(ステップS6)。続いて、時針検出処理(ステップS7)を行って、時針4の針位置検出と修正を行う。次に、1回目と2回目の秒針検出処理(ステップS3,S5)および分針検出処理(ステップS4)のうち必要な処理を行って、秒針2と分針3に位置ズレがあればそれを修正する。そして、補正完了となる。
【0065】
また、ステップS7,S4,S5の処理で不良(NG)の結果となった場合には、何らかの誤りが生じているものとしてそれぞれエラー終了とする。
【0066】
続いて、上記の図10の各ステップの処理について説明する。
【0067】
図11には、図10のステップS1の毎時秒針検査処理の詳細なフローチャートを示す。
【0068】
毎時病針検査処理に移行すると、CPU10は、通常の秒針2の運針を行いながら(ステップS12)、10ステップの運針期間にわたって(ステップS11,S18,S19によるループ期間)、奇数秒の運針パルスごとに(ステップS13)、第1検出部31を動作させて光が検出されたか(検出位置Pで透過穴が重なっている状態か)否かを判別する(ステップS14)。奇数秒の運針パルスごとに検出動作させるのは、モータ51〜53は2極のステッピングモータであり、位置ズレが生じているとしても偶数ステップの位置ズレのみが生じ、奇数ステップの位置ズレは生じ得ないからである。
【0069】
2ステップごとの5回の検出に伴って、CPU10は、その検出パターン(Xi;i=0〜4)が位置ズレなしのときの検出パターン(Yi;i=0〜4)と一致するか比較し(ステップS15〜S18)、全て一致していれば位置ズレなしの結果で終了し、何れか不一致のものがあれば位置ズレを修正するために、全指針2〜4の運針を停止して(ステップS20)、位置ズレありの結果で終了する。
【0070】
上記一連の処理により、時刻を表示する通常運針を行いながら秒針2と分針3とが位置ズレを起こしていないか確認することができる。
【0071】
図12には、図10のステップS3,S5の秒針検出処理の詳細なフローチャートを示す。
【0072】
秒針検出処理に移行すると、CPU10は、秒針2を早送りで運針しながら(ステップS32)、68(=34×2)ステップの運針期間(ステップS31,S37,S39,S40によるループ期間)にわたって、奇数秒の運針パルスごとに(ステップS32)、第1検出部31を動作させて光が検出されたか(検出位置Pで透過穴が重なっている状態か)否かを判別する(ステップS34)。この判別結果は変数Xiに格納する(ステップS35,S36)。
【0073】
そして、5つ以上の検出パターンが取得できたら(ステップS37)、それから検出動作が行われるごとに、直前の5つの検出パターン“XJ;J=(i−4)〜i”が52秒〜00秒位置の透過穴の検出パターン“0,1,1,0,1”と合致するか判別する(ステップS38)。判別の結果、合致であれば秒針2が00秒位置にあると判断できるので秒針位置データ記憶部37aに“00”の値を上書きして(ステップS41)、秒針2の位置修正を正常終了する。
【0074】
一方、ステップS38で合致でなければ、68ステップの移動を完了したか(i=34になったか)判別して(ステップS39)、未だであればループ処理を続行する。ステップS39で完了と判別されたら、秒針2を一周と8ステップ回転させても、52秒〜00秒位置の検出パターン“0,1,1,0,1”が検出されずに、秒針2の位置修正不可な状態であると判断できるため、不良(NG)の結果で終了する。
【0075】
上記一連の処理により、分針3の位置ズレや時針4の特定の位置ズレがない場合に、秒針2の位置が不明な状況で秒針2の位置を検出して秒針2の位置ズレを修正することができる。
【0076】
図13には、図10のステップS4の分針検出処理の詳細なフローチャートを示す。
【0077】
分針検出処理に移行すると、CPU10は、先ず、分針3が00秒位置にあるか確認するため、第1検出部31を動作させて光が検出されたか判別する(ステップS51)。その結果、光が検出されれば分針位置データ記憶部37bに“00”の値を上書きして(ステップS61)、この分針検出処理を正常終了する。
【0078】
一方、ステップS51で検出されなければ、分針3を1ステップ運針するごとに(ステップS52)、分針3が一周する期間を限度に(ステップS54)、第1検出部31を動作させて光が検出されたか判別する(ステップS53)。そして、この期間に光が検出されれば、分針3が00分00秒位置にあると判断できるので、分針位置データ記憶部37bに“00”の値を上書きして(ステップS61)、この分針検出処理を正常終了する。
【0079】
分針3を一周させる期間を通して光が検出されない場合、秒針車24が検出位置Pを塞いでいる可能性が高いと判断できるので、秒針車24を半回転させて(ステップS55)、秒針車24の透過穴24h1〜24h7の何れかが検出位置Pの位置に来るようにする。その後、上記と同様に、必要あれば分針3を一周させて分針3が00分00秒位置にあるか検出を行う(ステップS56〜S59)。
【0080】
そして、この期間に光が検出されれば、分針位置データ記憶部37bに“00”の値を上書きして(ステップS61)、この分針検出処理を正常終了する。一方、この期間にも光が検出されなければ、ステップS59の判別処理で“YES”側へ移行して、不良(NG)の結果で分針検出処理を終了する。
【0081】
上記一連の処理により、時針4の特定の位置ズレがない場合に、分針3の位置が不明な状況で分針3の位置を検出して位置ズレを修正することができる。
【0082】
図14には、図10のステップS7の時針検出処理の詳細なフローチャートを示す。
【0083】
時針検出処理に移行すると、CPU10は、先ず、時針4が6時00分又は18時00分の位置にあるか確認するため、第2検出部32を動作させて光が検出されるか判別する(ステップS71)。その結果、光が検出されれば時針位置データ記憶部37cに“180”の値を上書きして(ステップS75)、この時針検出処理を正常終了する。
【0084】
一方、ステップS71で検出されなければ、時針4を1ステップ運針するごとに(ステップS72)、時針4が一周する期間を限度に(ステップS74)、第2検出部32を動作させて光が検出されたか判別する(ステップS73)。そして、この期間に光が検出されれば、時針4が6時00分又は18時00分位置にあると判断できるので、時針位置データ記憶部37cに“180”の値を上書きして(ステップS75)、この時針検出処理を正常終了する。
【0085】
時針4を一周させる期間を通して光が検出されない場合、ステップS74の判別処理で“YES”側へ移行して、不良(NG)の結果で時針検出処理を終了する。
【0086】
上記一連の処理により、時針4に位置ズレが生じていないか確認することができるとともに、位置ズレがある場合に時針4の位置を検出して位置ズレを修正することができる。
【0087】
以上のように、この実施形態の電子時計1によれば、方位計測モードにおいて分針3と時針4とが一直線の配置関係の保ったまま回転して磁北の向きが指し示されるとともに、分針3と時針4が一直線となる所定位置(6時00分00秒を指し示す位置)で分針3と時針4の位置検出が可能になっている。従って、方位を表示する際の分針3と時針4の配置関係と、分針3と時針4に位置ズレが生じていないか確認する際の分針3と時針4の配置関係とが、互いに関連したものとなり、方位計測モードの処理と分針3と時針4の位置検出の処理とを連続的に行っても、ユーザに不可解な印象を与えることがない。つまり、ユーザに不可解な印象を与えることなく、分針3と時針4に位置ズレが無いことを確認して、位置ズレのない分針3と時針4により正確な方位を指し示させることができる。
【0088】
また、この実施形態の電子時計1では、方位計測モードに切り替えた直後に、分針3と時針4を一直線となる所定位置(6時00分00秒位置)まで移動させて指針位置の検出を行い、正常であれば、そのまま分針3と時針4を一直線の配置関係で所定の方位を指し示す方位計測モードの処理に移行するようになっている。従って、ユーザに不可解な印象を与えることなく、方位計測モードの開始時に位置ズレが無いことを確認して、方位計測モードの始めから正確な方位を指し示させることができる。
【0089】
また、この実施形態の電子時計1では、方位計測モードに切り替えた直後に、分針3と時針4を一直線となる所定位置(6時00分00秒位置)まで移動させて指針位置の検出を行い、位置ズレがあると判別されたら、完全補正処理により分針3と時針4の位置修正を行ってから方位計測モードの処理へ移行するようになっている。従って、位置ズレが生じていた場合でも、それを修正して、位置ズレのない分針3と時針4により正確な方位を指し示させることができる。
【0090】
また、この実施形態の電子時計1では、分針3と時針4の位置検出を行う構成として、分針3と時針4が特定位置(透過穴が検出位置P,P2で重なる位置)にあるか否かを識別できる構成を採用しており、この特定位置に分針3と時針4が一直線となる所定位置(6時00分00秒位置)が含まれている構成になっている。従って、時刻表示モードにおいて所定時刻に指針位置の検査を行うための検出機構を流用して、方位表示に必要な位置ズレの有無の確認を行うことができる。
【0091】
また、この実施形態の電子時計1においては、分針3と時針4の位置検出や方位表示が行われる際の一直線の配置関係が、同一軸心を中心に回転する分針3と時針4とが互いに180°異なる向きにある配置関係になっている。従って、方位表示も見やすいものになっている。
【0092】
また、位置検出を行う構成は、歯車の透過穴が検出位置P,P2で重なっているか否かを検出する構成なので、複雑な機構を用いずに確実に且つ容易に必要な指針2〜4の位置検出を行うことができる。
【0093】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施形態では、時刻表示モード中の指針の位置検査が行われる時刻位置と、方位計測モードの際に位置ズレがないか確認する処理が行われる時刻位置とが、ともに同一の時刻位置になっているが、歯車の透過穴を増やすことで、これらの時刻位置を別々のものにすることもできる。
【0094】
また、上記実施の形態では、方位計測モードの切り替え時に分針3と時針4に位置ズレがないか確認する処理を実行しているが、例えば、方位の表示中に分針3と時針4を所定位置に移動させて位置ズレがないか確認するようにしても良い。また、方位の表示中に分針3と時針4が所定位置にきたときに位置ズレがないか確認するようにしても良い。また、方位表示の処理内容として、方位の計測と表示とを連続的に繰り返す内容とするほか、一回だけ方位の計測と表示を行う内容を採用しても良い。
【0095】
また、上記実施の形態では、方位を表示する第1の指針および第2の指針として、分針3と時針4を採用した例を示したが、別の指針を適用するようにしても良い。また、指針の位置を検出する構成も、歯車の透過穴をフォトインタラプタにより検出する構成に限られず、歯車の被検出部をフォトリフレクタで検出する構成を採用したり、指針自体をフォトリフレクタ等で直接に検出する構成を採用したりしても良い。
【0096】
その他、実施の形態で示した細部構造および細部方法は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
<請求項1>
第1のモータおよび第2のモータと、
第1の指針および第2の指針と、
前記第1および第2のモータの回転を前記第1および第2の指針にそれぞれ伝達して当該第1および第2の指針をそれぞれ回転させる第1の輪列機構および第2の輪列機構と、
前記第1および第2の指針の位置データを記憶する指針位置データ記憶手段と、
前記第1および第2の指針を移動させるために前記第1および第2のモータに駆動パルスを供給して前記位置データを更新する運針処理を実行する運針処理手段と、
前記第1および第2の指針の位置を、前記第1および第2の輪列機構の状態により検出する指針位置検出手段と、
前記位置データに基づいて、前記第1および第2の指針が一直線になる所定位置まで移動するように前記運針処理手段を制御する所定位置移動制御手段と、
この所定位置移動制御手段の制御の終了後に、前記指針位置検出手段により前記第1および第2の指針が前記所定位置にあると検出されたか否かを判断する判断手段と、
この判断手段により前記所定位置にあることが検出されてないと判断された場合に、前記第1および第2の指針の位置と前記指針位置データ記憶手段の位置データとを対応させる修正手段と、
方位データを得る方位検出手段と、
この方位検出手段により得られた方位データと前記位置データ記憶手段の位置データとに基づいて、一直線の配置関係にされた前記第1および第2の指針が前記方位データに基づく所定方向を指し示すように前記運針処理手段を制御する方位表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする方位表示機能付き電子時計。
<請求項2>
前記第1および第2の指針により時刻を表示する時刻表示モードと方位を表示する方位表示モードとを切り替えるモード切替手段を備え、
このモード切替手段により前記方位表示モードへ切り替えられた際に、順次、前記所定位置移動制御手段による前記運針処理手段の制御、前記指針位置検出手段による検出、前記判断手段による判断が実行され、前記判断手段により前記第1および第2の指針が前記所定位置にあることが検出されたと判断された場合に、前記方位表示制御手段による前記運針処理手段の制御が開始されることを特徴とする請求項1記載の方位表示機能付き電子時計。
<請求項3>
前記モード切替手段により前記方位表示モードへ切り替えられた際に、順次、前記所定位置移動制御手段による前記運針処理手段の制御、前記指針位置検出手段による検出、前記判断手段による判断が実行され、前記判断手段により前記第1および第2の指針が前記所定位置にあることが検出されないと判断された場合に、前記修正手段の処理が実行され、その後、前記方位表示制御手段による前記運針処理手段の制御が開始されることを特徴とする請求項2記載の方位表示機能付き電子時計。
<請求項4>
前記指針位置検出手段は、前記第1および第2の輪列機構の状態により前記第1および前記第2の指針が特定の位置にあるか否かを検出する構成であり、
前記特定の位置に、前記第1および第2の指針が一直線になる前記所定位置が含まれていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の方位表示機能付き電子時計。
<請求項5>
前記第1および第2の指針は、同一の回転軸を中心にそれぞれ回転するように設けられ、
前記所定位置移動制御手段の制御および前記方位表示制御手段の制御により発生される前記第1および第2の指針が一直線になる配置状態とは、前記第1の指針および前記第2の指針が互いに180°異なる向きを指し示した状態であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の方位表示機能付き電子時計。
<請求項6>
前記指針位置検出手段は、前記第1の輪列機構および前記第2の輪列機構を構成する複数の歯車にそれぞれ設けられた複数の透過穴が検出位置で重なっているか否かを検出する構成であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の方位表示機能付き電子時計。
【符号の説明】
【0098】
1 電子時計
3 分針(第1の指針)
4 時針(第2の指針)
20 輪列機構
30 アナログムーブメント
52 モータ(第1のモータ)
53 モータ(第2のモータ)
31 第1検出部(指針位置検出手段)
32 第2検出部(指針位置検出手段)
P 検出位置
P2 第2の検出位置
33 磁気センサ
34 方位検出部(方位検出手段)
36 ROM
37 RAM
37b 分針位置データ記憶部(指針位置データ記憶手段)
37c 時針位置データ記憶部(指針位置データ記憶手段)
47 スイッチ部
24 秒針車
24h1〜24h7 透過穴
25 分針車
25h 透過穴
26 中間車
26h 透過穴
27 時針車
27h 透過穴
213 中間車
213h 透過穴
214 三番車
214h 透過穴
217 検出車
217h 透過穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモータおよび第2のモータと、
第1の指針および第2の指針と、
前記第1および第2のモータの回転を前記第1および第2の指針にそれぞれ伝達して当該第1および第2の指針をそれぞれ回転させる第1の輪列機構および第2の輪列機構と、
前記第1および第2の指針の位置データを記憶する指針位置データ記憶手段と、
前記第1および第2の指針を移動させるために前記第1および第2のモータに駆動パルスを供給して前記位置データを更新する運針処理を実行する運針処理手段と、
前記第1および第2の指針の位置を、前記第1および第2の輪列機構の状態により検出する指針位置検出手段と、
前記位置データに基づいて、前記第1および第2の指針が一直線になる所定位置まで移動するように前記運針処理手段を制御する所定位置移動制御手段と、
この所定位置移動制御手段の制御の終了後に、前記指針位置検出手段により前記第1および第2の指針が前記所定位置にあると検出されたか否かを判断する判断手段と、
この判断手段により前記所定位置にあることが検出されてないと判断された場合に、前記第1および第2の指針の位置と前記指針位置データ記憶手段の位置データとを対応させる修正手段と、
方位データを得る方位検出手段と、
この方位検出手段により得られた方位データと前記位置データ記憶手段の位置データとに基づいて、一直線の配置関係にされた前記第1および第2の指針が前記方位データに基づく所定方向を指し示すように前記運針処理手段を制御する方位表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする方位表示機能付き電子時計。
【請求項2】
前記第1および第2の指針により時刻を表示する時刻表示モードと方位を表示する方位表示モードとを切り替えるモード切替手段を備え、
このモード切替手段により前記方位表示モードへ切り替えられた際に、順次、前記所定位置移動制御手段による前記運針処理手段の制御、前記指針位置検出手段による検出、前記判断手段による判断が実行され、前記判断手段により前記第1および第2の指針が前記所定位置にあることが検出されたと判断された場合に、前記方位表示制御手段による前記運針処理手段の制御が開始されることを特徴とする請求項1記載の方位表示機能付き電子時計。
【請求項3】
前記モード切替手段により前記方位表示モードへ切り替えられた際に、順次、前記所定位置移動制御手段による前記運針処理手段の制御、前記指針位置検出手段による検出、前記判断手段による判断が実行され、前記判断手段により前記第1および第2の指針が前記所定位置にあることが検出されないと判断された場合に、前記修正手段の処理が実行され、その後、前記方位表示制御手段による前記運針処理手段の制御が開始されることを特徴とする請求項2記載の方位表示機能付き電子時計。
【請求項4】
前記指針位置検出手段は、前記第1および第2の輪列機構の状態により前記第1および前記第2の指針が特定の位置にあるか否かを検出する構成であり、
前記特定の位置に、前記第1および第2の指針が一直線になる前記所定位置が含まれていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の方位表示機能付き電子時計。
【請求項5】
前記第1および第2の指針は、同一の回転軸を中心にそれぞれ回転するように設けられ、
前記所定位置移動制御手段の制御および前記方位表示制御手段の制御により発生される前記第1および第2の指針が一直線になる配置状態とは、前記第1の指針および前記第2の指針が互いに180°異なる向きを指し示した状態であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の方位表示機能付き電子時計。
【請求項6】
前記指針位置検出手段は、前記第1の輪列機構および前記第2の輪列機構を構成する複数の歯車にそれぞれ設けられた複数の透過穴が検出位置で重なっているか否かを検出する構成であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の方位表示機能付き電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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