説明

方法

本発明は、粒子の安定な分散物、特に水性媒体中のサブミクロン粒子および液体媒体中の粒子の安定な分散物に関する。提供される方法は以下の工程を含む:
1)
a) 連続的な水性相;
インヒビター;
安定化剤;
を含むエマルジョンと
b) 実質的に水不溶性の物質
を混合し;そして
2) 温度を実質的に水不溶性の物質の融点付近まで上昇させる。提供されるサブミクロン分散物は、貯蔵中に低下した粒子成長を示すかまたはそれを実質的に示さず、実質的に水不溶性活性化合物の低下した結晶化速度を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の安定な分散物、特に水性媒体中のサブミクロン粒子および液体媒体中の粒子の安定な分散物に関する。より具体的に本発明は、水性媒体中に高濃度の無定形の実質的に水不溶性の薬理学的活性化合物を含む粒子の分散物の製造方法に関し、それは、実質的に水不溶性活性化合物の低下した結晶化割合を示す。さらに、本粒子は水性媒体中に貯蔵中にサイズの上昇を実質的に示さず、特に粒子の水性分散物はオストワルド熟成による粒子成長を実質的に示さない。
【背景技術】
【0002】
液体媒体中の固体物質の分散物は、ペンキ、インク、殺虫剤および他の農薬の分散物、殺生物剤の分散物および薬理学的活性化合物の分散物を含む、多くの種々の適用のために必要である。医薬分野では、多くの薬理学的活性化合物が非常に低い水溶性を有し、それは低いバイオアベイラビリティをもたらし得る。このような化合物のバイオアベイラビリティは、化合物の粒子サイズの、特にサブミクロンサイズへの減少により、これが溶解速度を、故に化合物の吸収を改善するために、改善できる。この効果は、無定形粒子を使用したときさらに明瞭であることが期待される。
【0003】
薬理学的活性化合物の水性懸濁液、特にサブミクロン粒子サイズを有する懸濁液への製剤は、化合物の静脈内投与を可能とし、それにより経口投与と比較してバイオアベイラビリティを上昇し得る他の経路での投与を提供する。
【0004】
しかしながら、媒体中に種々の粒子サイズが分散しているならば、一般に溶解速度が異なる。異なる溶解速度は熱力学的安定性に影響し、小さい粒子は、大きい粒子と比較して熱力学的に不安定である。これは、小さい粒子から大きい粒子への物質の流れを起こす。この効果は、小さい粒子が媒体に溶解するが、物質が大きな粒子上に沈着し、それにより大きな粒子サイズをもたらす影響である。粒子成長の一つのこのような機構はオストワルド熟成として既知である(Ostwald, Z Phys. Chem. (34), 1900, 495-503)。分散物中の粒子の成長は、分散物からの粒子の沈降により、貯蔵中の分散物を不安定にし得る。薬理学的活性化合物の分散物中の粒子サイズが、粒子サイズ変化がバイオアベイラビリティに、故に化合物の効果に影響する可能性があるため、一定であることが特に重要である。さらに、分散物を静脈内投与用に使用するとき、分散物中の粒子の成長は、分散物をこの目的には不適とし得る。
【0005】
理論的にオストワルド熟成由来の粒子成長は、分散物中の全粒子が同じサイズならば避け得る。しかしながら、実際には、完全に均一な粒子サイズを達成することは不可能であり、粒子サイズのわずかな差異でさえ粒子成長を起こし得る。
【0006】
固体物質の水性懸濁液は、例えば製粉による機械的破砕により製造できる。US5,145,684は、水性媒体中のやや溶けにくい化合物の懸濁液の湿式製粉を記載する。しかしながら、湿式製粉を使用する主要な欠点は、本工程中に使用するビーズからの汚染である。さらに、機械的破砕は、非晶性出発物質に適用したとき粒子サイズ減少の点であまり効果がない。
【0007】
US4,826,689は、水性沈殿液体を、制御された温度および注入速度で有機液体中の固体の溶液に注入し、それにより粒子サイズを制御することによる固体の均一なサイズの粒子の製造方法を記載する。
【0008】
US4,997,454は、沈殿液体が非水性である類似方法を記載する。しかしながら、粒子サイズが小さくても沈殿媒体に顕著にとけるならば、粒子サイズ成長は粒子が沈殿した後に観察される。これらの方法を使用して特定の粒子サイズを維持するには、粒子成長を最小にするために粒子が沈殿するとできるだけ直ぐに単離する必要がある。結果として、これらの方法で製造した粒子は分散物として液体媒体中に貯蔵できない。さらに、いくつかの物質については、オストワルド熟成の速度が速く、懸濁液から小粒子(とりわけナノ粒子)を単離することが実際的ではない。
【0009】
US5,100,591は、水不溶性物質とリン脂質を水性媒体中で共沈殿させることによる該物質とリン脂質の間の複合体を含む粒子の製造法を記載する。一般にリン脂質対物質のモル比は、複合体の形成を確実にするために1:1である。
【0010】
US6,197,349は、結晶性化合物を融解し、そして該化合物と安定化剤、例えばリン脂質を混合し、この混合物を水に高温で高圧均一化を使用して分散させ、その後温度を例えば環境温度に下げることによる、無定形粒子の製造法を記載する。
【0011】
WO03/059319は、水非混和性有機溶媒に薬剤の溶液を水中油型エマルジョンのテンプレートに添加し、その後、本水非混和性有機溶媒を留去する微小粒子の形成を記載している。次いで、例えば噴霧乾燥法を使用して水を除去して粉末を得る。
【0012】
US5,700,471は、水中に分散している結晶性物質を加熱し、融点以上での乱流混合に付し、得られる融解エマルジョンを直ぐに噴霧乾燥するかまたは冷却により懸濁液に変換する、小無定形粒子の製造法を提供する。しかしながら、このような懸濁液はオストワルド熟成が仲介する粒子成長を示す。さらに、US5,700,471によると、いくつかの物質は、粒子凝集のために付加的有機溶媒の使用なしでは、このような方法に適さない。一つのこのような化合物はフェノフィブラートである。
【0013】
WO03/013472は沈殿法を記載する。これは、無定形ナノ粒子の形成のために、水非混和性溶媒を必要としない沈殿法である。ここで製造した分散物は、沈殿後にオストワルド熟成が仲介する粒子成長を示さないかわずかしか示さない。
【0014】
我々は、驚くべきことに、無定形サブミクロン粒子の安定な分散物が、実質的に水不溶性の物質を、オストワルド熟成を阻害する成分、すなわち“インヒビター”を含む連続的な水性相と混合し、得られた混合物を、実質的に水不溶性物質が該インヒビターにより形成された油相に移動するように処置する方法により製造できることを発見した。故に、本発明の方法は、大規模で作業するときに有利である沈殿がない。
【0015】
該特性を有するインヒビターは、適当にはまた実質的に水不溶性の物質を加熱したときに形成する該物質の無定形相と、完全に混和性である。水不溶性物質対インヒビターの比率は10:1(w/w)未満である。次いで、混合物を短時間実質的に水不溶性物質の融点付近まで加熱し、その後混合物を環境温度に冷却する。得られた分散物は、高濃度の実質的に水不溶性の物質を有するサブミクロン粒子を含む。記載の方法が沈殿方法ではないため、水性系中で高濃度が得られる(Vitale et al., Langmuir 19, 4105(2003))。
【発明の開示】
【0016】
方法
本発明の方法は、粒子成長および結晶化速度を低下させるために粒子を液体媒体から素早く単離する必要なく、高濃度で製造すべき非常に小さな無定形粒子、とりわけ500nmの直径を有する粒子の安定な分散を可能にする。本方法により得られるサブミクロン粒子の分散物は、使える状態であり得る。しかしながら、所望により、本粒子を分散物から回収してよい。水性相を除去するための適当な方法は、例えば蒸発、噴霧乾燥、噴霧造粒、凍結造粒または凍結乾燥である。分散物もまた分散物から過剰の水を、例えば該分散物の真空下の加熱、逆浸透、透析、限外濾過またはクロスフロー濾過により除去することにより濃縮してもよい。
【0017】
本発明の一つの局面に従って、水性媒体中でサブミクロンサイズの無定形粒子の安定な分散物を製造する方法を提供する。本方法は以下の工程を含む:
1)
a) 連続的な水性相;
インヒビター;
安定化剤;
を含むエマルジョンと
b) 結晶状態の実質的に水不溶性の物質
を混合し;
2) 混合物の温度を実質的に水不溶性の物質の融点付近まで上昇させる。
【0018】
次いで、本混合物を、工程2)中、結晶状態の実質的に水不溶性物質が融解し、故に無定形状態に移るまでその温度を維持し得る。次いで、温度を、例えば、環境温度に冷却し、無定形サブミクロン粒子の分散物を得る。
【0019】
100℃を越える融点の物質については、本方法は、水性媒体の沸点のために、加圧下、例えば高圧リアクターを使用して行う。
【0020】
本発明の方法により得た粒子、すなわち“サブミクロン粒子”は、10μm未満、例えば5μm未満、または1μm未満または500nm未満でさえある平均粒子サイズを有する。分散物中の粒子が、10から500nm、例えば50から300nm、または100から200nmの平均粒子サイズを有するのがとりわけ好ましい。粒子の平均サイズは通常の技術を使用して、例えば動的光散乱により測定でき、強度平均粒子サイズを得る。
【0021】
無定形粒子は、水性分散物としての貯蔵により、最終的に熱力学的により安定な結晶形態に戻る。このような粒子が結晶化するのに必要な時間は、粒子の成分および薬学的活性化合物の分散に依存し、数時間から数週間まで変わり得る。一般にこのような再結晶はまた粒子成長をもたらす。より大きな結晶粒子の形成は医薬等のために不適であり、それらはまた分散物から沈降する傾向にある。結晶核生成による無定形物質から結晶性物質への変換および成長は一般に制御が困難である。しかしながら、本発明により、完全に混和性の無定形剤/インヒビター系が結晶核生成に対して影響を与える可能性だけでなく、結晶成長速度も低下させることを可能にする。これらの利点は、水不溶性の物質対インヒビターが10:1(w/w)以下、例えば4:1、または2:1(w/w)を有することにより得られる。
【0022】
本発明の方法により得られるサブミクロン分散物は安定であり、それにより、我々は、分散物中の粒子が、低下したオストワルド熟成が仲介する粒子成長を示すかまたはそれを実質的に示さないこと、ならびに粒子が貯蔵中無定形を維持することを意味する。無定形物質は低下した結晶化を示すか、またはそれを実質的に示さず、サブミクロン分散物は、相当な長時間無定形状態で残るとの意味で安定であり得て、すなわち結晶化速度が顕著に低下できる。
【0023】
用語“低下した結晶化を示すか、またはそれを実質的に示さない”は、得られた無定形分散物中の結晶化速度が、低いインヒビター/薬剤比を使用して製造した粒子と比較して、高いインヒビター/薬剤比の使用により低下することを意味する。
【0024】
用語“低下した粒子成長”は、オストワルド熟成が仲介する粒子成長速度が、インヒビターを用いずに製造した粒子と比較して低下することを意味する。用語“粒子成長を実質的に示さない”は、水性媒体中の粒子の平均サイズが、本発明の方法による形成後に、環境温度で1時間にわたる時間後、10%を越えて、例えば5%を越えて増加しないことを意味する。好ましくは本粒子は粒子成長を実質的に示さない。
【0025】
水不溶性の物質と一緒のインヒビターの存在は、上記の通り、オストワルド熟成が仲介する粒子成長を顕著に低下させるかまたは除く。
【0026】
エマルジョンと実質的に水不溶性の物質を混合し、方法の工程2)に記載の通り、温度を上げたとき、実質的に水不溶性の物質はインヒビターを含む相に移り、それは、インヒビターが実質的に水不溶性の物質の無定形相と完全に混和性であることを必要とする。
【0027】
無定形サブミクロン粒子の改善された安定性を達成するために、全結晶性物質が無定形状態に移る。これは、工程2)の温度を実質的に水不溶性の物質の融点付近、例えば適当にはその融点の±20℃、その融点の±15℃、またはその融点の±10℃、またはその融点の±5℃の温度に上昇することにより行う。全ての結晶性物質が無定形状態に移らない場合、残りの結晶性物質は結晶化のための種晶として作用し得る。
【0028】
本発明の方法は、粒子成長を防止するために液体媒体から素早く単離する必要なしに、高濃度で製造すべき非常に小さい粒子、とりわけサブミクロン粒子の安定な分散物を可能にする。ここでは、“高濃度”は、本発明の分散物中の実質的に水不溶性の物質の1から30重量%、例えば5、10、15、20または25重量%の総濃度を意味する。上記の通り、無定形粒子が結晶化を示し得て、すなわち形成された粒子中の無定形物質が無定形状態から結晶状態に移り得て、熱力学的支配の工程である。しかしながら、この熱力学的に決定される工程の速度が水不溶性の物質対インヒビターの比率を10:1(w/w)未満、例えば9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1(w/w)に減少させることにより低下できる。この比率を減少させることにより、無定形サブミクロン粒子の分散物中のバルク濃度、すなわち無定形物溶解度は低下できる。例えば、水中の無定形物溶解度は、小容量の水不溶性の物質の無定形分散物を、水を含む蛍光キュベットに所望の濃度まで添加することにより、水不溶性の物質の無定形懸濁液の希釈の関数として静的光散乱により決定できる。最適比率は、選択した水不溶性の物質およびインヒビターまたはインヒビター/コインヒビターに依存する。
【0029】
本発明はまた、同サイズの粒子を、水不溶性の物質の濃度が粒子間で異なっていてさええ得る方法も提供する。このような粒子は、本発明の粒子の形成が独立した結晶核生成であり、沈殿タイプの方法と異なるため、本発明の方法で得られる。
【0030】
水不溶性の物質
本発明の一つの態様において、エマルジョンを、最初は結晶状態である水不溶性の物質の粒子と混合する。これらの結晶粒子は、1μmまたはそれ以上、例えば1μmから500μmまたは1μmから200μmの任意のサイズで良い。
【0031】
一つの態様において、水不溶性の物質の結晶粒子を、最初に、所望により1種以上の安定化剤を含む水性相中の懸濁液として製造し、所望により該安定化剤はまた他の水混和性溶媒との混合物でもよい。
水性相は水、または1種以上の水混和性有機溶媒混合物中の水から成り得る。
【0032】
理解される通り、水混和性有機溶媒の選択は、実質的に水不溶性の物質の性質に依存する。このような水混和性溶媒の例は、水混和性アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール;ジメチルスルホキシド、水混和性エーテル、例えばテトラヒドロフラン、水混和性ニトリル、例えば、アセトニトリル;水混和性ケトン、例えばアセトンまたはメチルエチルケトン;アミド、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、または上記水混和性有機溶媒の2種以上の混合物を含む。好ましい水混和性有機溶媒はエタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドである。
【0033】
一つの態様において、水不溶性物質を無定形形態でエマルジョンに添加する。無定形形態の水不溶性の物質は、例えば、噴霧乾燥、噴霧凍結、凍結乾燥または噴霧造粒により得ることができる。この乾燥法の例は完全ではない。さらに、本発明の方法はまた、結晶状態では利用可能ではない無定形物質についても適当である。
【0034】
実質的に水不溶性の物質は、好ましくは実質的に水不溶性の有機物質である。“実質的に水不溶性”は、25℃で水に0.5mg/ml未満、好ましくは0.1mg/ml未満およびとりわけ0.05mg/ml未満の溶解度を有する物質を意味する。
【0035】
オストワルド熟成阻害に対する最大の効果が、物質が、25℃で水に0.05μg/mlを越える溶解度を有するときに観察される。好ましい態様において、本物質は0.005μg/mlから0.5mg/ml、例えば0.05μg/mlから0.05mg/mlの範囲の溶解度を有する。
【0036】
結晶状態の物質の水への溶解度は通常の技術を使用して測定できる。例えば、物質の飽和溶液を、25℃で水に過剰量の物質を添加し、該溶液を48時間平衡化することにより調製する。過剰な固体を遠心分離または濾過により除去し、水中の物質の濃度をHPLCのような適当な分析技術により決定する。
【0037】
本発明により、300℃までの融点を有する実質的に水不溶性の物質を含むサブミクロン粒子の製造方法が提供される。例えば、実質的に水不溶性物質は250℃未満、例えば200℃未満、または175℃未満、例えば150℃未満の融点を有する。
【0038】
本発明の方法は、広範な実質的に水不溶性の物質の安定な水性分散物の製造に使用できる。適当な物質は色素、農薬、除草剤、殺真菌剤、工業用殺生物剤、化粧品、薬理学的活性化合物ならびに薬学的に許容される担体および希釈剤のような薬理学的に不活性な物質を含むが、これらに限定されない。
【0039】
好ましい態様において、実質的に水不溶性の物質は実質的に水不溶性の薬理学的に活性物質である。多くのクラスの薬理学的活性化合物が本発明での使用に適当であり、実質的に水不溶性の抗癌剤(例えばビカルタミド)、ステロイド、好ましくはグルココルチコステロイド(とりわけ抗炎症性グルココルチコステロイド、例えばブデソニド)、抗高血圧剤(例えばフェロジピンまたはプラゾシン)、ベータブロッカー(例えばピンドロールまたはプロプラノロール)、脂質低下剤(例えばフェノフィブラート)、抗凝血剤、抗血栓剤、抗真菌剤(例えばグリセオフルビン)、抗ウイルス剤、抗生物質、抗細菌剤(例えばシプロフロキサシン)、抗精神病剤、抗鬱剤、鎮静剤、麻酔、抗炎症剤(消化器炎症性疾患処置用化合物、例えばWO99/55706に記載の化合物および他の抗炎症性化合物、例えばケトプロフェンを含む)、抗ヒスタミン、ホルモン(例えばテストステロン)、免疫修飾剤、または避妊剤を含むが、これらに限定されない。本物質は単一の実質的に水不溶性の物質または2種以上のこのような物質の組み合わせを含み得る。
【0040】
エマルジョン
本発明のエマルジョンは、連続的な水性相およびインヒビターにより構成される油相を含むエマルジョンであり、すなわち水を連続的な水性相として選択したとき、水中油型エマルジョンである。水、または水混和性溶媒と混合した水を本発明の方法で使用したとき、インヒビターを含むエマルジョンが形成される。本エマルジョンは水中油型エマルジョンである。本エマルジョはまた以下に定義のさらなる成分も含み得る。
【0041】
エマルジョンは、通常の方法により、例えば、インヒビター、安定化剤および水が混合物を形成し、次いでそれを均質化することにより製造する。均質化は、例えば、超音波処理または高圧均質化により行う。
【0042】
好ましくは、本発明の方法は、連続的な水性が水から成る水性ベースの方法である。しかしながら、連続的な水性相について他の選択肢、例えば、水混和性溶媒と混合した水が可能である。水混和性溶媒を上記からまたはそれらの混合物から選択できる。さらに、水性相の他の選択肢は、水および低分子量糖の混合物である。このような成分は、無定形懸濁液の例えば凍結乾燥、噴霧乾燥または噴霧造粒による乾燥状態への変換を促進するために添加する。好ましくは、水を本発明の方法に使用する。水の使用は、環境問題の見通しから重要な局面である。水ベースの方法はまた粒子中の痕跡量の有機溶媒を避けることができるためまた有利である。
【0043】
安定化剤
本エマルジョンはまた、エマルジョン液滴の凝集を防止する少なくとも1種の安定化剤も含む。同様な方法で、無定形粒子は、安定化剤が存在しない限り、分散物中で凝集する傾向にある。
【0044】
分散物中の粒子凝集を防止するために適当な安定化剤は当業者に既知である。適当な安定化剤は分散剤および界面活性剤(アニオン性、カチオンまたは非イオン性であってよい)またはこれらの組み合わせを含む。適当な分散剤は、ポリマー分散剤、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールまたはセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース。適当なアニオン性界面活性剤は、アルキルおよびアリールスルホネート、スルフェートまたはカルボキシレート、例えばアルカリ金属アルキルおよびアリールスルホネートまたはスルフェート、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムを含む。適当なカチオン性界面活性剤は4級アンモニウム化合物および脂肪アミンを含む。適当な非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン残基を含んでいても含んでいなくても良いソルビタンのモノエステル、脂肪アルコールおよびポリオキシエチレングリコールの間で形成されるエーテル、ポリオキシエチレン−ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油(例えばCremophor EL)、エトキシル化水素化ヒマシ油、エトキシル化12OH−ステアリン酸(例えばSolutol HS15)、リン脂質、例えばポリエチレングリコール(PEG)鎖により置換されたリン脂質を含む。例は、DPPE−PEG(PEG2000またはPEG5000で置換されたジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン)またはDSPE−PEG5000(PEG5000で置換されたジステアロイルホスファチジルエタノールアミン)である。水性相に存在する安定化剤は単一の安定化剤でも2種以上の安定化剤の混合物でもよい。好ましい態様において水性相はポリマー分散剤および界面活性剤(好ましくはアニオン性界面活性剤)、例えばポリビニルピロリドンおよびドデシル硫酸ナトリウムを含む。実質的に水不溶性の物質が薬理学的活性化合物であるとき、安定化剤が薬学的に許容される物質であるのが好ましい。
【0045】
一般に水性相は0.01から10重量%、例えば0.01から5重量%、好ましくは0.05から3重量%およびとりわけ0.1から2重量%の安定化剤を含む。
【0046】
インヒビター
本発明に適するために、インヒビターは以下を満たす:
− インヒビターは、水に実質的に不溶性の化合物である;
− インヒビターは実質的に水不溶性の物質よりも水に低い溶解度である;および
− インヒビターは実質的に水不溶性の物質の無定形相と完全に混和性である。
【0047】
オストワルド熟成に影響するインヒビターが、無定形薬剤と完全に混和性であることが本発明のために重要である。WO03/013472における通り、混和性はブラッグ・ウィリアムズ相互作用パラメータχにより特徴付けられ得る。2.5より低いχの値、より好ましくは2より低いχの値が、無定形薬剤とオストワルド熟成インヒビターの間の完全な混和性を特徴付け得る。
【0048】
インヒビターは、最初の溶液に存在する実質的に水不溶性の物質よりも水に低い溶解性である。好ましくは、インヒビターは疎水性有機化合物である。本発明の方法に適当なインヒビターは、WO03/013472に記載の通り、オストワルド熟成が仲介する粒子成長に影響を有する。
【0049】
適当なインヒビターは、25℃で0.1mg/l未満、より好ましくは0.01mg/l未満の水溶解度を有する。本発明の一つの態様において、25℃でのインヒビターの水への溶解度は、0.05μg/ml未満、例えば0.1ng/mlから0.05μg/mlである。
【0050】
本発明の一つの態様において、インヒビターは2000未満、例えば1000未満の分子量を有する。本発明の他の態様において、インヒビターは1000未満、例えば600未満の分子量を有する。例えば、インヒビターは200から2000の範囲の分子量、好ましくは400から1000、より好ましくは400から600の範囲の分子量を有し得る。
【0051】
特定の、適当なインヒビターは、下記の(i)から(vi)のクラスから選択されるインヒビター、またはこのようなインヒビターの2種以上の混合物を含む:
(i) 脂肪酸のモノ−、ジ−または(より好ましくは)トリ−グリセリド。適当な脂肪酸は8から12個、より好ましくは8から10個の炭素原子を含む中鎖脂肪酸または12個を越える炭素原子、例えば14から20個の炭素原子、より好ましくは14から18個の炭素原子を含む長鎖脂肪酸を含む。脂肪酸は飽和、不飽和または飽和および不飽和酸の混合物であり得る。脂肪酸は、所望により1種以上のヒドロキシル基を含む、例えばリシノール酸である。グリセリドは既知の技術、例えば、グリセロールの1種以上の長鎖または中鎖脂肪酸でのエステル化により製造できる。好ましい態様において、インヒビターは長鎖または、好ましくは、中鎖脂肪酸の混合物でのグリセロールのエステル化により得られるトリグリセリドの混合物である。脂肪酸の混合物は天然産物から、例えばヤシ油のような天然油から得ることができる。ヤシ油から抽出した脂肪酸は約50から80重量%デカン酸および20から50重量%のオクタン酸を含む。グリセロールをエステル化するための脂肪酸の混合物の使用は、異なるアシル鎖長の混合物を含むグリセリドをもたらす。長鎖および中鎖トリグリセリドは市販されている。例えば、8から12個、より好ましくは8から10個の炭素原子のアシル基を含む好ましい中鎖トリグリセリド(MCT)は、ヤシ油から抽出した脂肪酸でのグリセロールのエステル化により製造し、8から12個、より好ましくは8から10個の炭素原子のアシル基を含むトリグリセリドの混合物をもたらす。このMCTはMiglyol 812N(Sasol, Germany)として市販されている。他の市販されているMCTはMiglyol 810およびMiglyol 818(Sasol, Germany)を含む。さらに適当な中鎖トリグリセリドはトリラウリン(グリセロールトリラウレート)である。市販の長鎖トリグリセリドは大豆油、ゴマ油、ヒマワリ油、ヒマシ油または菜種油を含む。
【0052】
モノ−およびジ−グリセリドは、グリセロールの適当な脂肪酸、または脂肪酸の混合物での部分的エステル化により得ることができる。必要であれば、モノ−およびジ−グリセリドを通常の技術を使用して、例えばエステル化後の反応混合物からの抽出により分離し、精製してよい。モノ−グリセリドを使用するとき、それは好ましくは長鎖モノグリセリド、例えば18個の炭素原子を含む脂肪酸でのグリセロールのエステル化により形成したモノグリセリドである;
【0053】
(ii) C2−10ジオールの脂肪酸モノ−または(好ましくは)ジ−エステル。好ましくはジオールは、直鎖または分枝鎖ジオールであってよい飽和または不飽和、例えばC2−10−アルカンジオールであり得る脂肪族ジオールである。より好ましくはジオールは、直鎖または分枝鎖であってよいC2−6−アルカンジオール、例えばエチレングリコールまたはプロピレングリコールである。適当な脂肪酸はグリセリドに関連して上記の中鎖および長鎖脂肪酸を含む。好ましいエステルは、プロピレングリコールの8から10個の炭素原子を含む1種以上の脂肪酸とのジ−エステル、例えばMiglyol 840(Sasol, Germany)である;
【0054】
(iii) アルカノールまたはシクロアルカノールの脂肪酸エステル。適当なアルカノールはC1−10−アルカノール、より好ましくはC2−6−アルカノールを含み、それは直鎖または分枝鎖、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールまたはtert−ブタノールであってよい。適当なシクロアルカノールはC3−6−シクロアルカノール、例えばシクロヘキサノールを含む。適当な脂肪酸はグリセリドに関連して上記の中鎖および長鎖脂肪酸を含む。好ましいエステルは、C2−6−アルカノールの8から10個の炭素原子、またはより好ましくは12から29個の炭素原子を含む1種以上の脂肪酸とのエステルであり、その脂肪酸は飽和または不飽和であってよい。適当なエステルは、例えばイソプロピルミリステートまたはエチルオレエートを含む;
(iv) 蝋。適当な蝋は、長鎖脂肪酸と少なくとも12個の炭素原子を含むアルコールのエステルを含む。アルコールは、脂肪族アルコール、芳香族性アルコール、脂肪族および芳香族基を含むアルコール、またはこのようなアルコールの2種以上の混合物であり得る。アルコールが脂肪族アルコールであるとき、それは飽和または不飽和であり得る。脂肪族アルコールは直鎖、分枝鎖または環状であり得る。適当な脂肪族アルコールは12個を越える炭素原子、好ましくは14個を越える炭素原子、とりわけ18個を越える炭素原子、例えば12から40個、より好ましくは14から36個およびとりわけ18から34個の炭素原子を含むものである。適当な長鎖脂肪酸はグリセリドに関して上記の脂肪酸、好ましくは14個を越える炭素原子、とりわけ18個を越える炭素原子、例えば14から40個、より好ましくは14から36個およびとりわけ18から34個の炭素原子を有する脂肪酸である。蝋は天然蝋、例えば蜜蝋、植物物質由来の蝋、または脂肪酸および長鎖アルコールのエステル化により製造した合成蝋であり得る。他の適当な蝋はパラフィン蝋のような石油蝋を含む;
【0055】
(v) 長鎖脂肪族アルコール。適当なアルコールは6個以上の炭素原子、より好ましくは8個以上の炭素原子、例えば12個以上の炭素原子、例えば12から30個、例えば14から20個の炭素原子のアルコールを含む。長鎖脂肪族アルコールが6から20個、とりわけ6から14個の炭素原子、例えば8から12個の炭素原子を有するのがとりわけ好ましい。アルコールは直鎖、分枝鎖、飽和または不飽和であり得る。適当な長鎖アルコールの例は、1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、または1−ヘプタデカノール(より好ましくは1−デカノール)を含む;または
【0056】
(vi) 水素化植物油、例えば水素化ヒマシ油。
【0057】
本発明の一つの態様において、インヒビターは、6から12個、好ましくは10から20個の炭素原子を含む中鎖トリグリセリドおよび長鎖脂肪族アルコールから選択される。好ましい中鎖トリグリセリドおよび長鎖脂肪族アルコールは上記で定義の通りである。好ましい態様において、インヒビターは、8から12個の炭素原子のアシル基を含む中鎖トリグリセリド、またはこのようなトリグリセリドの混合物(好ましくはMiglyol 812N)および10から14個の炭素原子を含む脂肪族アルコール(好ましくは1−デカノール)またはそれらの混合物(例えばMiglyol 812Nおよび1−デカノールを含む混合物)から選択される。
【0058】
適当には、インヒビターは環境温度(25℃)で液体である。実質的に水不溶性の物質が薬理学的活性化合物であるとき、インヒビターは好ましくは薬学的に不活性な物質である。粒子中のインヒビターの量は、懸濁液中の粒子のオストワルド熟成を防止するのに十分な量である。好ましくは、インヒビターは、インヒビターおよび実質的に水不溶性の物質を含む、本方法において形成される無定形粒子における微量成分である。好ましくは、従って、インヒビターは許容されるレベルまでオストワルド熟成を防止し、および結晶化速度を低下させるのに丁度十分な量で存在する。
【0059】
適当には、インヒビターは実質的に水不溶性の物質と適合性であり、すなわち、無定形相の水不溶性の物質はインヒビターと混和性である。本発明の方法により得られる固体粒子中の水不溶性の物質およびインヒビターの混和性を定義する一つの方法は、本物質とインヒビターの混合物の相互作用パラメータχである。一般に、実質的に水不溶性の物質の無定形状態は、適当にはインヒビターと十分な混和性を有する。理論に縛られずに、これはブラッグ・ウィリアムズ理論において、2より低いパラメータχにより定義できる。
【0060】
χパラメータは既知のブラッグ・ウィリアムズまたは正則溶液理論から導かれ得る(例えばJoensson, B. Lindman, K. Holmberg, B. Kronberg, “Surfactants and ポリマー in Solution”, John Wiley & Sons, 1998およびNeau et al, Pharmaceutical Research, 14, 601 1997参照)。理想の混合物において、χは0であり、ブラッグ・ウィリアムズ理論に従って、χ<である限り、2成分混合物は相分離しない。
【0061】
WO03/013272に記載の通り、χが2.5以下であるとき、オストワルド熟成をわずかしか示さないまたは全く示さない濃縮粒子分散物を製造できる。χが約2.5より大きいこれらの系は、相分離の傾向があると考えられ、オストワルド熟成に対して低い安定性である。適当には、物質−インヒビター混合物のχ値は2以下、例えば0から2、好ましくは0.1から2、例えば0.2から1.8である。しかしながら、本発明の方法はこの理論に縛られない。
【0062】
多くの小分子有機物質(Mw<1000)が結晶形態で入手可能であるか、または慣用の技術を使用して結晶形態で製造できる(例えば適当な溶媒系からの再結晶)。このような場合、物質およびインヒビター混合物のχパラメータは、等式I:
【数1】

〔式中、
ΔSは、結晶性の実質的に水不溶性の物質の融解のエントロピーであり(DSC測定のような通常の技術を使用して測定);
は結晶性の実質的に水不溶性の物質の融点(K)であり(DSC測定のような通常の技術を使用して測定);
Tは溶解度実験時の温度であり
Rは気体定数であり;そして
は、インヒビター中の結晶性の実質的に水不溶性の物質のモル分率溶解度である(例えば上記の通りの溶解度の測定のための通常の技術を使用して測定)。〕
から容易に決定できる。上記等式において、TおよびΔSは結晶形態の物質の融点を意味する。物質が異なる多形で存在し得る場合、TおよびΔSは、溶解度実験に使用する物質の多形で測定する。理解される通り、ΔS、Tおよびxの測定は、本発明の分散物の形成前に結晶性の実質的に水不溶性の物質において行い、それによりバルク結晶性物質で単純な測定を行うことにより、実質的に水不溶性の物質のために好ましいインヒビターの選択が可能になる。
【0063】
インヒビター中の結晶性の実質的に水不溶性の物質のモル分率溶解度(x)は、インヒビター中の本物質の飽和溶液に存在するインヒビターのモル数あたりの本物質のモル数である。理解される通り、上記等式は、物質およびインヒビターの2成分系に由来する。インヒビターが1種以上の化合物を含む場合(例えばMiglyol 812Nのようなトリグリセリドの混合物を含む中鎖トリグリセリドの場合、またはインヒビターの混合物を使用する場合)、インヒビターの混合物の“見かけのモル濃度”に関してxを計算するのが十分である。
【0064】
このような混合物の見かけのモル濃度は、インヒビター成分の混合物について:
【数2】

〔式中
a、b .. nはインヒビター混合物中の各成分の重量分率であり(例えば成分aについて、これは%w/w成分a/100である);そして
Mwa .... Mwnは混合物中の各成分a..nの分子量である。〕
である。
【0065】
次いで、xを:
【数3】

【0066】
インヒビターが分散物を製造する温度で固体であるとき、モル分率溶解度、xは、インヒビターの融点を越える一連の温度でのモル分率溶解度を測定することにより概算でき、溶解度を望む温度に逆に外挿する。しかしながら、上記の通り、インヒビターが分散物を製造する温度で液体であるのが好ましい。これは、とりわけ、液体インヒビターがxの値の直接の測定を可能にするため、有利である。
【0067】
ある場合、特に無定形で有り得る大有機分子の場合、結晶形態の実質的に水不溶性の物質を得ることが不可能であるかもしれない。このような場合、好ましいインヒビターは、必要な物質:インヒビター比で混合したときに実質的に単相混合物(上記理論に従って、χ<2)を形成する、実質的に水不溶性の物質と十分に混和できるインヒビターである。実質的に水不溶性の物質におけるインヒビターの混和性は、日常的な実験を使用して決定できる。例えば、物質およびインヒビターを適当な有機溶媒に溶解し、その後溶媒を蒸発させて、物質およびインヒビターの混合物を残す。次いで、得られる混合物を、混合物が単相系であるか否かを決定するためのDSC特徴付けのような日常的な技術を使用して特徴付けできる。この経験的な方法は、特定の物質のための好ましいインヒビターの選択を可能にし、本発明に従う分散物中の実質的に単相粒子を提供する。
【0068】
コインヒビター
本発明のさらなる態様において、適当なコインヒビターが、本方法における第一溶液に存在する。これらの場合、インヒビターを擬似的一成分混合物として処理する。コインヒビターの存在は、物質とインヒビター混合物の混和性を高め、それによりχ値を低下させ、さらにオストワルド熟成を低下させるか防止する。適当なコインヒビターは、前記で定義のインヒビター、好ましくは上記の(i)から(vi)のクラスから選択されるインヒビターを含む。好ましい態様において、インヒビターが8〜12個の炭素原子のアシル基を含む中鎖トリグリセリド(またはMiglyol 812Nのようなこのようなトリグリセリドの混合物)であるとき、好ましいコインヒビターは、6個以上の炭素原子(好ましくは6から14個の炭素原子)を含む長鎖脂肪族アルコール、例えば1−ヘキサノールまたはより好ましくは1−デカノールである。他の適当なコインヒビターは、疎水性ポリマー、例えばポリプロピレングリコール2000、および疎水性ブロックコポリマー、例えばトリ−ブロックコポリマーPluronic L121である。インヒビター:コインヒビターの重量比は、物質とインヒビター(混合物)の混合物の所望のχ値が得られるように選択し、広範囲で、例えば10:1から1:10(w/w)、例えば1:2(w/w)および約1:1(w/w)で変化し得る。好ましいχ値は前記で定義の通りである。
【0069】
本発明の一つの態様において、実質的に水不溶性の薬理学的に活性物質の粒子の水性媒体中の安定な分散物を提供する。この態様で製造した分散物は、貯蔵の間にオストワルド熟成に由来する粒子サイズの成長をほとんど示さないか全く示さない。
【0070】
一つの態様において、実質的に水不溶性の物質およびインヒビターの混和性が、分散物中で実質的に単相粒子を得るのに十分であるのが好ましく、インヒビター/物質混合物が<2.5、より好ましくは2以下、例えば0から2のχ値を有するのがより好ましく、ここでχ値は上記で定義の通りである。
【0071】
一つの態様において、インヒビターは好ましくは8から12個の炭素原子、より好ましくは8から10個の炭素原子アシル基を含む中鎖トリ−グリセリド(MCT)、またはそれらの混合物、例えばMiglyol 812Nである。本インヒビターと本物質の混和性は、前記の通りのコインヒビターの使用により増加できる。例えば、この態様における適当なインヒビター/コインヒビターは、上記で定義の中鎖トリ−グリセリド(MCT)および6から12個、より好ましくは8から12個、例えば10個の炭素原子を有する長鎖脂肪族アルコール、または2種以上のこのようなインヒビターを含む混合物、例えば1−ヘキサノールまたは、より好ましくは、1−デカノールを含む。この態様に使用するためのインヒビター/コインヒビターの好ましい混合物は、Miglyol 812Nと1−デカノールの混合物である。
【0072】
必要ならば、本発明に従い製造した分散物中の粒子を水性媒体から単離してよい。本粒子は通常の技術を使用して、例えば遠心、逆浸透、膜濾過、凍結乾燥または噴霧乾燥により分離できる。本粒子の単離は、粒子の洗浄および温血動物、とりわけヒトへの投与、例えば経口または非経腸投与、例えば静脈内投与に適当な懸濁液を得るための水性媒体への再懸濁を可能にするため、有用である。
【0073】
一つの態様において、単離、例えば噴霧乾燥、噴霧造粒または凍結乾燥中の固体粒子の凝集を防止するために、粒子の単離に先立ち懸濁液に試薬を添加してよい。適当な試薬は、例えばマンニトールのような糖を含む。
【0074】
懸濁液からの粒子の単離はまた、粒子を粉末として貯蔵することが望ましいときのも有用である。次いで、本粉末を使用前に水性媒体に再懸濁し得る。実質的に水不溶性の物質が薬理学的に活性物質であるとき、これは特に有用である。本物質の単離した粒子を、次いで、粉末として、例えば、バイアルに貯蔵し、その後上記の通り患者に投与するために適当な液体媒体に再懸濁し得る。
【0075】
あるいは、単離した粒子を使用して、固体製剤を製造でき、例えば本粒子と適当な賦形剤/担体を混合し、得られる混合物を造粒または圧縮して、経口投与に適する錠剤または顆粒を形成できる。あるいは、本粒子を適当なマトリックス系、例えば生体適合性ポリマーマトリックス、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはポリラクチド−コ−グリコリドポリマーに懸濁、分散またはカプセル封入し、制御されたまたは持続した放出の製剤を得ることができる。
【0076】
本発明の他の態様において、本方法は、滅菌分散物が直接得られるような高温で行ってよく、そしてその分散物をさらなる精製または滅菌工程の必要性なしに上記の通り哺乳動物に投与できる。
【0077】
本発明のさらなる局面によって、粒子がその中に分散している連続的な水性相を含む、安定な水性分散物が提供される。これらの分散した粒子はインヒビターおよび実質的に水不溶性の物質を含み、そして該分散物は本発明の方法により得られ;そしてここで:
(i) インヒビターは水に実質的に不溶性の化合物であり;
(ii) インヒビターは実質的に水不溶性の物質よりも水に低い溶解度であり;そして
(iii) インヒビターは実質的に水不溶性の物質の無定形相と完全に混和性である。
【0078】
本発明のこの局面の分散物は、貯蔵によってオストワルド熟成が仲介する粒子成長を示さないかわずかしか示さず(すなわち本分散物は上記で定義の通り安定な分散物である)、そして無定形サブミクロン粒子の低下した結晶化速度を示す。
【0079】
本粒子は、好ましくは1μm未満およびより好ましくは500nm未満の平均直径を有する。とりわけ好ましくは分散物中の粒子が10から500nmの、よりとりわけ50から300nmおよびさらにとりわけ100から200nmの平均粒子サイズを有する。
【0080】
本粒子は、単一の実質的に水不溶性の物質、または2種以上のこのような物質を含み得る。本粒子は、上記の通り単一のインヒビターまたはインヒビターと1種以上のコインヒビターの組み合わせを含み得る。
【0081】
医学的使用
本物質が実質的に水不溶性の薬理学的に活性物質であるとき、本発明の分散物を温血動物(とりわけヒト)に、例えば経口または非経腸(例えば静脈内)投与により投与し得る。別の態様において、本分散物を、所望により最初に過剰の水性媒体の除去により分散物を濃縮した後、実質的に水不溶性の薬理学的に活性物質および1種以上の賦形剤を含む顆粒の製造のための湿式造粒工程における造粒液体として使用できる。次いで、得られる顆粒は直接、例えば本顆粒を含む単位投与量を提供するためにカプセルに充填することにより使用し得る。あるいは、本顆粒を、所望によりさらなる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑剤などと混合し、経口投与に適当な錠剤に圧縮し得る。必要であれば、錠剤を錠剤の放出特性に対する制御を提供するため、または、例えば光および/または水分への暴露による分解から保護するためにコーティングしてよい。湿式造粒技術および錠剤製剤における使用に適当な賦形剤は当分野で既知である。
【0082】
本発明のさらなる局面によって、本発明の方法により得られるインヒビターおよび実質的に水不溶性の物質を含む固体粒子が提供され、ここで、本物質および本インヒビターは上記で定義の通りである。
【0083】
好ましい粒子は、本発明に従った分散物について記載の粒子、とりわけ実質的に水不溶性の物質が、例えばここに記載の通りの実質的に水不溶性の薬理学的に活性物質である粒子である。
【0084】
本発明のさらなる局面によって、薬剤として使用するための、本発明の方法によりえら得るインヒビターおよび実質的に水不溶性の薬理学的に活性物質を含む固体粒子が提供され、ここで、本物質および本インヒビターは上記で定義の通りである。
【0085】
本発明のさらなる局面によって、本発明の方法により得られるインヒビターおよび実質的に水不溶性の薬理学的に活性物質を含む固体粒子と共に薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物が提供される。
【0086】
適当な薬学的に許容される担体または希釈剤は、医薬製剤の製造において使用される既知の賦形剤、例えば、増量剤、結合剤、滑剤、崩壊剤および/または放出制御/修飾賦形剤である。
【0087】
本発明を以下の実施例によりさらに説明し、その中で全ての部は他に記載がない限り重量部である。
【実施例】
【0088】
以下に従う光散乱法を、無定形物サブミクロン分散物中のバルク濃度の決定のために以下の実施例で使用した:
無定形物溶解度、すなわち無定形物サブミクロン分散物中のバルク濃度を、小容量の薬剤懸濁液を、所望の濃度を得るために、純粋な液体を含む蛍光キュベットに連続的に添加し、混合することにより測定した。700nmでの光散乱強度を、総薬剤濃度の関数として90°の散乱角で記録した。光散乱装備として、Perkin Elmer LS 55発光(Luminiscence)分光計を使用し、発光および励起波長の両方を700nmに設定した(Mougan, M.A. et al., Journal of Chemical Education., 72, 284(1995))。溶解度を、散乱強度における直線状の増加の開始として、光散乱強度対薬剤濃度のプロットから決定した。図1において、実施例1aおよび1bにおいて使用した異なるフェロジピン/インヒビター比(w/w)に関するフェロジピンの無定形物サブミクロン分散物におけるバルク濃度(無定形物溶解度)の測定からの結果を示す。
【0089】
実施例1a − 10%フェロジピン無定形物サブミクロン分散物(フェロジピン/Miglyol 4:1(w/w))
10%(w/w)Miglyol 812N、0.45%(w/w)ポリビニルピロリドンK30(PVP)および0.18%(w/w)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む水中油型エマルジョンを60分の超音波処理(Elma Transonic Bath T460)を使用して製造した。エマルジョン液滴サイズは、動的光散乱(Brookhaven Fiber-Optic Quasi-Elastic Light Scattering;FOQELS)を使用して195nmと測定された。
0.32%(w/w)SDSを含む水中の結晶性フェロジピンの20%(w/w)懸濁液を超音波処理および撹拌により製造し、レーザー回折(Malvern Mastersizer 2000)により測定して、13.4μmの容積平均粒子サイズを有した。0.25mLの上記エマルジョンを0.25mL 水および0.5mLの上記懸濁液と混合し、高圧バイアル(Biotage, Sweden)中で155℃に10分、300rpmの磁気撹拌下加熱した。次いで、本混合物を室温に撹拌せずに冷却し、粒子サイズは動的光散乱で250nmと測定された。
室温で3時間の貯蔵後、結晶がバイアルの底に現れ、約1日後、全懸濁液が結晶であった。
【0090】
実施例1b − 10%フェロジピン無定形物サブミクロン分散物(フェロジピン/Miglyol/L121 3:1:2(w/w/w))
20%(w/w)Miglyol 812N/Pluronic L121(1:2w/w)および0.57%(w/w)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む水中油型エマルジョンを、以下の通り製造した;20%(w/w)Miglyol 812Nおよび1.7%(w/w)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む水中油型エマルジョンを、Polytronホモゲナイザーと、続く高圧均一化(Rannie)を使用して製造した。このエマルジョンに、コインヒビターPluronic L121および水を添加し、3×5分超音波処理を間に入れた約0℃で1時間の撹拌により混合し、6.7%(w/w)Miglyol 812N、13.3%(w/w)Pluronic L121および0.57%(w/w)SDSを含む最終エマルジョンを得た。本エマルジョン液滴サイズは、動的光散乱を使用して120nmと測定された。
0.32%(w/w)SDSを含む水中の結晶性フェロジピンの20%(w/w)懸濁液を、超音波処理および撹拌により製造し、レーザー回折により測定して13.4μmの容積平均粒子サイズを有した。0.5mLの上記エマルジョンを0.5mLの上記懸濁液と加熱し、高圧バイアル中、155℃で10分加熱した。次いで、本混合物を室温に冷却し、粒子サイズは動的光散乱で135nmと測定された。
室温で2週間の貯蔵後、結晶は本ナノ懸濁液で見られず、すなわち結晶化速度が顕著に低下した。
【0091】
実施例2a − 10%フェノフィブラート無定形物サブミクロン分散物(フェノフィブラート/Miglyol 4:1(w/w))
10%(w/w)Miglyol 812N、0.4%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および10mM NaClを含む水中油型エマルジョンを、60分の超音波処理を使用して製造した。エマルジョン液滴サイズは動的光散乱を使用して160nmと測定された。
1.6%(w/w)ポリビニルピロリドンK30(PVP)および0.32%SDSを含む水中の結晶性フェノフィブラートの20%(w/w)懸濁液を超音波処理および撹拌により製造し、レーザー回折で測定して10.0μmの容積平均粒子サイズを有した。0.25mLの上記エマルジョンを0.25ml HOおよび0.5mLの上記懸濁液と混合し、通常のガラスバイアル中、100℃で10分加熱した。次いで、本混合物を室温に冷却し、粒子サイズは動的光散乱で204nmと測定された。
室温で2時間の貯蔵後、結晶がバイアルの底に現れ、約2日後、全懸濁液が結晶であった。
【0092】
実施例2b − 10%フェノフィブラート無定形物サブミクロン分散物(フェノフィブラート/Miglyol 2:1(w/w))
10%(w/w)Miglyol 812N、0.4%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および10mM NaClを含む水中油型エマルジョンを、60分の超音波処理を使用して製造した。エマルジョン液滴サイズは、動的光散乱を使用して160nmと測定された。
1.6%(w/w)ポリビニルピロリドンK30(PVP)および0.32%SDSを含む水中の結晶性フェノフィブラートの20%(w/w)懸濁液を超音波処理および撹拌により製造し、レーザー回折で測定して10.0μmの容積平均粒子サイズを有した。0.5mLの上記エマルジョンを0.5mLの上記懸濁液と混合し、通常のガラスバイアル中で100℃で10分加熱した。次いで、本混合物を室温に冷却し、粒子サイズは動的光散乱で190nmと測定された。
室温で2週間の貯蔵後、本サブミクロン分散物中に結晶は見られなかった。
【0093】
実施例3a − 10%トリクロサン無定形物サブミクロン分散物(トリクロサン/Miglyol 4:1(w/w))
5%(w/w)Miglyol 812N、0.2%(w/w)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および5mM NaClを含む水中油型エマルジョンを、60分の超音波処理を使用して製造した。エマルジョン液滴サイズは動的光散乱を使用して185nmと測定された。
0.32%(w/w)SDSを含む水中の結晶性トリクロサンの20%(w/w)懸濁液を超音波処理および撹拌により製造し、レーザー回折で測定して、92μmの容積平均粒子サイズを有した。0.5mLの上記エマルジョンを0.5mLの上記懸濁液と混合し、通常のガラスバイアルで100℃で10分加熱した。次いで、本混合物を室温に冷却し、粒子サイズは動的光散乱で200nmと測定された。
室温で2時間貯蔵後、結晶がバイアルの底に現れ、約1日後、全懸濁液が結晶であった。
【0094】
実施例3b − 10%トリクロサン無定形物サブミクロン分散物(トリクロサン/Miglyol 2:1(w/w))
10%(w/w)Miglyol 812N、0.4%(w/w)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および10mM NaClを含む水中油型エマルジョンを、60分の超音波処理を使用して製造した。エマルジョン液滴サイズは動的光散乱を使用して185nmと測定された。
0.32%(w/w)SDSを含む水中の結晶性トリクロサンの20%(w/w)懸濁液を超音波処理および撹拌により製造し、レーザー回折で測定して92μmの容積平均粒子サイズを有した。0.5mLの上記エマルジョンを0.5mLの上記懸濁液と混合し、通常のガラスバイアル中で100℃で10分加熱した。次いで、本混合物を室温に冷却し、粒子サイズは動的光散乱で185nmと測定された。
室温で2週間の貯蔵後、本サブミクロン分散物中に結晶は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】(原文に記載なし)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中で固体無定形サブミクロン粒子の安定な分散物を製造する方法であって:
1)
a) 連続的な水性相;
インヒビター;
安定化剤;
を含むエマルジョンと
b) 実質的に水不溶性の物質
を混合し;
ここで実質的に水不溶性の物質対インヒビターの比率が10:1(w/w)未満であり;そして
2) 温度を実質的に水不溶性の物質の融点付近まで上昇させる
ことを含む、方法。
【請求項2】
実質的に水不溶性の物質がその結晶状態である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
実質的に水不溶性の物質が無定形である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
その結晶状態の実質的に水不溶性の物質を懸濁液として添加する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
実質的に水不溶性の物質が実質的に水不溶性の薬理学的活性化合物である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
水不溶性物質の融点が300℃未満である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
水不溶性物質の融点が225℃以下である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
水不溶性物質の融点が200℃以下である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
水不溶性物質の融点が175℃以下である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
水性媒体が水から成る、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程2)を高圧下で行う、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
インヒビターが実質的に水不溶性の物質と十分に混和でき、本物質および本インヒビターの実質的に単相混合物を含む分散物中に固体粒子を形成する、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
インヒビターがグリセロールの中鎖脂肪酸混合物でのエステル化により得られるトリグリセリドの混合物である、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
インヒビターが脂肪酸のモノ、ジまたはトリグリセリド、C2−10ジオールの脂肪酸モノ−またはジ−エステル、アルカノールまたはシクロアルカノールの脂肪酸エステル、蝋、長鎖脂肪族アルコールおよび水素化植物油、または2種以上のインヒビターの組み合わせから成る群から選択される、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
インヒビターが8〜12個の炭素原子のアシル基を含む中鎖トリグリセリドである、請求項12記載の方法。
【請求項16】
インヒビターがMiglyol 810N、Miglyol 812N、Miglyol 818Nから選択される、請求項13記載の方法。
【請求項17】
インヒビターがMiglyol 812Nから成る、請求項1記載の方法。
【請求項18】
水不溶性物質およびインヒビターの比率が重量で2:1w/wである、請求項1記載の方法。
【請求項19】
水不溶性の物質およびインヒビターの比率が重量で1:1w/wである、請求項1記載の方法。
【請求項20】
工程1a)のエマルジョンがコインヒビターをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
コインヒビターが脂肪酸のモノ、ジまたはトリグリセリド、C2−10ジオールの脂肪酸モノ−またはジ−エステル、アルカノールまたはシクロアルカノールの脂肪酸エステル、蝋、長鎖脂肪族アルコールおよび水素化植物油から成る群から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
コインヒビターが8〜12個の炭素原子のアシル基を含む中鎖トリグリセリド、6〜14個の炭素原子を含む長鎖脂肪族アルコール、ポリプロピレングリコール2000、および疎水性ブロックコポリマーから選択される、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
コインヒビターがMiglyol 812N、1−ヘキサノールおよび1−デカノールから選択される、請求項20から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
分散物から固体粒子を単離する工程をさらに含む、請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
温度を活性物質の融点の±20℃の温度に上昇させる、請求項1記載の方法。
【請求項26】
安定化剤を懸濁液に添加する、請求項4記載の方法。
【請求項27】
安定化剤がポリマー分散剤または界面活性剤、またはそれらの混合物から選択される、請求項1から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
水性相が0.01から10重量%の量で安定化剤を含む、請求項1から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
請求項1から28のいずれかに記載の方法により得ることができる、無定形サブミクロン粒子の分散物。
【請求項30】
薬剤として使用するための、請求項29記載の分散物。
【請求項31】
請求項29に記載の分散物を薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む、医薬組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−505976(P2009−505976A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525960(P2008−525960)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000933
【国際公開番号】WO2007/021228
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】