説明

施術器具

【課題】使い易く掃除が容易な、解毒法の施術器具を提供する。
【解決手段】複数の通気孔を周面に有する筒状部30と、筒状部30の一端に回転可能に係合され、棒状体90を結合するための挿通孔を有する第一の端部40と、筒状部30の他端に取り外しできるように結合され、温灸体を筒状部30の内部に臨むように保持する第二の端部20と、筒状部30の内部に配置され、第二の端部20を筒状部30から取り外して取り出すことができる円筒状の網60とを備えている。第二の端部20が保持する温灸体に点火し、第1の端部40に結合された棒状体90を把持して、筒状部30を皮膚上で回転移動させ、患部のウオームケアを行うことができる。ウオームケアの終了後は、第二の端部20を筒状部30から取り外し、円筒状の網60を取り出して洗浄し、また、筒状部30の内側を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内の老廃物を排出するデトックス(解毒)の施術に使用される施術器具に関し、特に、施術時の使い易さや、掃除の容易さなどを求めたものである。
【背景技術】
【0002】
人間の体は、日々、体内で生成される老廃物を体外に排出して健康を保っているが、ストレス・運動不足などで五臓六腑の機能が低下すると、こうした老廃物が排出されずに体内に「毒素」として蓄積される。
デトックス(解毒)は、体の部分を刺激して、体内に蓄積した老廃物の排出を促す療法であり、足つぼ健康法などが知られている。
【0003】
この解毒法に分類される療法の一つに、中国で民間療法として伝承されている「打法」が存在する。この解毒法では、
(1)毒素排出の流れを作る「トリートメント」、
(2)老廃物を引き出す「パッティング」、
(3)毒素が現れた部分を中心に温める「ウオームケア」
の順番で施術が行われる。
「トリートメント」では、例えば、患者の肩の部分を経絡に沿って擦ったり、つぼを押したりして毒素排出の流れが作られる。「パッティング」では、「トリートメント」を施した箇所を叩いて老廃物が引き出される。図11は、「パッティング」によって肩の部分に現れた老廃物を示している。
「ウオームケア」は、毒素が現れた箇所を温灸の熱で温める処理であり、この処理により肌の肌理が整えられる。皮膚上に現れた老廃物は、施術の後、3日から1週間程度できれいに消え、肌は以前より艶やかになる。
これらの施術は、手技や簡単な器具を用いて行われているが、この解毒法が日本で未だ普及していないこともあって、施術器具の改良は進んでいない。
【0004】
一方、“もぐさ”の燃焼熱を利用して体質を改善する温灸療法は、古くから日本に広まり、温灸器具の改良や工夫が数多く行われている。例えば、下記特許文献1には、温灸効果を高めるため、温熱の作用と共に、ビワの葉のエキスをもぐさの燃焼熱で揮発させて皮膚から体内に浸透させる温灸器が開示されている。
この温灸器は、図12に示すように、温灸器本体14の先端に螺合されるキャップ4を備えており、このキャップ4内にビワエキスを吸収した脱脂綿などが収納される。もぐさ2は、外側が紙で被覆された直径25mmの棒状のものを使用する。施療時には、このもぐさ2を温灸器本体14に差込み、もぐさ2の先端に点火した後、温灸器本体14にキャップ4を螺合固着し、温灸器本体14を握って、キャップ4の先を患部に押し付ける。こうすると、もぐさ2の熱と煙がキャップ4中央の孔を通って皮膚に達し、また、その熱でキャップ4内のビワエキスが揮発して皮膚に浸透する。
【特許文献1】実公平7−22267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この温灸器は、その先端を皮膚に一定時間押し付けて使用するが、前記解毒法の「ウオームケア」では、点火した“もぐさ”等の温灸体を施術器具内に収容し、この施術器具を皮膚の表面に沿って動かしながら、毒素が現れた患部を温める。このように、施術器具の使い方は、療法によって異なるため、各施術器具は、その使い方に適した構造に改良する必要がある。
【0006】
ただ、もぐさ等の温灸体を使用する施術器具では、共通して次のことが言える。
火が点いた状態の温灸体を扱うため、火傷の発生や火の飛散を防ぐための安全性が要求される。
また、点火した温灸体は燃え続けることが必要であり、燃焼の安定性が求められる。
また、器具内部は、温灸体の燃焼で汚れることが避けられないため、器具内部の掃除がし易い構造に設計するなどして、器具を清潔に保つことが必要である。
また、もぐさ等の燃焼時には、独特のにおいや煙が発生する。このにおいや煙を苦痛に感じる人達が少なくない。
【0007】
本発明は、こうした点を考慮して創案したものであり、解毒法の施術に用いる器具であって、使い易く、安全で、掃除が容易であり、また、匂いの好き嫌いなどにも対応することができる施術器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解毒法に使用する施術器具は、複数の通気孔を周面に有する筒状部と、筒状部の一端に回転可能に係合され、棒状体を結合するための挿通孔を有する第一の端部と、筒状部の他端に取り外しできるように結合され、温灸体を筒状部の内部に臨むように保持する第二の端部と、筒状部の内部に配置され、第二の端部を筒状部から取り外して取り出すことができる円筒状の網とを備えている。
この施術器具は、アタッチメントを取り付けて各種の施術を行うことが可能であり、例えば、パッティング面を持つ棒状体を第1の端部に結合し、筒状部を把持してパッティング処理を行うことができる。また、第二の端部が保持する温灸体に点火し、第1の端部に結合された棒状体を把持して、筒状部を皮膚上で回転移動させ、患部のウオームケアを行うことができる。ウオームケアの終了後は、第二の端部を筒状部から取り外し、円筒状の網を取り出して洗浄し、また、筒状部の内側を洗浄する。
【0009】
また、本発明の施術器具では、棒状体が、その一端に、温灸体の熱で揮発する液体が含浸された物質を保持し、この物質が筒状部の内部に臨むように棒状体は第一の端部の挿通孔に結合される。
そのため、ウオームケア処理の間、香油などの揮発成分が、熱と共に筒状部の外部に発散する。
【0010】
また、本発明の施術器具では、温灸体の熱で揮発する液体が、筒状部の内部に配置される網の網目で保持される。
この施術器具では、揮発用液体の保持手段を別に設ける必要がない。
【0011】
また、本発明の施術器具では、第二の端部の、筒状部に結合される側の反対側に板状の施術具が取り付け可能である。
この施術器具では、筒状部を把持し、板状施術具を患者の患部に当ててトリートメントの施術を行うことができる。
【0012】
また、本発明の施術器具では、板状施術具と第二の端部、及び、第二の端部と筒状部が、それぞれ、板状施術具の施術時における回転により、ネジが締まるように螺子結合されている。
この施術器具では、トリートメント処理の際に、筒状部と板状施術具との結合が緩んでしまうことが防止できる。
【0013】
また、本発明の施術器具では、第二の端部が、温灸体を保持する手段として、鞘部の移動に伴って集合または離散する複数の指状弾性片を備えている。
この施術器具では、鞘部を動かして複数の指状弾性片を離散させると、その中心に温灸体を受け入れる口が大きく開く。鞘部を元に戻すと、複数の指状弾性片は集合して口をすぼめ、そのため、温灸体が安定的に保持される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の施術器具を用いることにより、解毒法の施術を効率的に行うことができる。また、本発明の施術器具は、掃除が容易であり、常に清潔な状態に保つことができる。
また、温灸体の燃焼時に香油の芳香成分や体に有益な成分を拡散させることができるため、患者は、豊かな気分で、効果的な施療を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1及び図3は、本発明の実施形態における施術器具の使用時の形態を示す斜視図、図2は、図1の施術器具を構成する各部品の断面図、図4は、図3の施術器具を構成する一部部品の断面図、また、図5は、図3の施術器具を構成する各部品の断面図である。
この施術器具は、基本構成部品として、温灸体の燃焼室を構成する筒状部30と、筒状部30の内部に配置される円筒状の網60と、筒状部30の一端に回転可能に嵌合された第一端部40と、筒状部30の他端に螺合される第二端部20とを備えており、また、施術に応じて、板状のトリートメント具50が第二端部20に結合され(図1)、あるいは、棒状のパッティング具90が第一端部40に結合される(図3)。
【0016】
筒状部30は、周壁に長円形の複数の通気孔31を有している。また、図2に示すように、筒状部30の一端には、ボールベアリング41を介して、第一端部40が回転可能に嵌合されており、第一端部40は、筒状部30から抜け出さないように筒状部30に係合されている。また、筒状部30の他端の内周には、通常と逆向き(反時計方向)に雌ネジ32が切ってあり、これに第二端部20の逆向きの雄ネジ24が螺合される。
第二端部20は、棒状の温灸体70(図5)が挿入される挿入孔21を有している。挿入孔21の内部には、コイルバネ23が挿入孔21の内周を一周して円環状に配置されている。このコイルバネ23の円環の中心に温灸体70の先端を挿入すると、コイルバネ23は弾性変形して温灸体70を通し、貫通した温灸体70の周囲を弾圧するため、温灸体70がコイルバネ23の円環の中心位置に保持される。
【0017】
また、第二端部20は、筒状部30と結合する側の反対側に、通常と逆向き(反時計方向)に雌ネジが切られた螺合孔26(図2)を有しており、トリートメント処理を行う際に、この螺合孔26に、トリートメント具50から垂直に起立した螺子突起51が螺合される。
トリートメント具50の螺子突起51は逆向きの雄ネジを有している。また、板状のトリートメント具50は、図1に示すように、その周縁に、つぼを押すための突起52や、体の凹凸に合わせた曲線53を有している。
【0018】
第一端部40は、パッティング具90の一端が挿通される挿通孔42を有し、挿通孔の一部に雌ネジが設けられている。パッティング処理及びウオームケア処理を行う際は、パッティング具90の一端が第一端部40の挿通孔42に挿入され、パッティング具90の雄ネジ92(図4)が、挿通孔42の雌ネジに螺合される。
パッティング具90は、図4に示すように、第一端部40に挿入される側の先端に、香油を含浸した繊維束80を収容する繊維束収容部93を有し、他端には、両方の面に、それぞれ高さの異なる多数の突起が形成されたパッティング部91を有している。
【0019】
筒状部30の内部に配置される円筒状網60は、筒状部30の内径より僅かに小径の円筒形状を有し、温灸体70の灰を通さない程度の目の細かい網で構成されている。この円筒状網60を筒状部30に装着したとき、図5に示すように、その両端が、第一端部40と第二端部20との間に位置決めされる。そのため、円筒状網60は、筒状部30から第二端部20を外せば、筒状部30から取り出すことができる。
第一端部40、筒状部30、第二端部20及びトリートメント具50は、熱伝導性が良好な銅やその合金などで形成されている。図1の状態に組合せた施術器具の長さは20cmであり、太さの直径は2cm強である。
円筒状網60は、銅やその合金、あるいは耐熱性の合成樹脂などで形成されている。
パッティング具90は、合成樹脂などで形成されており、筒状部30から突出する長さは約20cmである。また、筒状部30に挿入される長さは、繊維束収容部93に収容された繊維束80が筒状部30の通気孔31の位置に届くように、その長さが設定されている。
【0020】
温灸体70は、棒状に成形された、煙や臭いが少ないものを使用する。なお、実開平7−31050号公報には、臭気や煙が少ない棒状の灸治療剤について記載されている。
繊維束80は、タバコのフィルタと同様にアセテート繊維などの樹脂繊維を結合して圧縮したものや、ガラス繊維などを結合して圧縮したものを使用する。
また、繊維束80には、アロマオイルを含浸させる。アロマオイルは、ラベンダー、ジャスミンなど各種の植物から精製された芳香油であり、香りの成分が濃縮されている。
【0021】
次に、この施術器具の使用法について説明する。
先ず、施術者は、円筒状網60を筒状部30に挿入し、温灸体70を装着せずに第二端部20の雄ネジ24を筒状部30の雌ネジ32に螺合して、第二端部20を筒状部30に結合する。更に、トリートメント具50の螺子突起51を第二端部20の螺合孔26に螺合してトリートメント具50を第二端部20に結合し、図1の状態に組み立てる。
施術者は、この施術器具の筒状部30を掴み、トリートメント具50の周縁部分を患者の施術箇所の経絡にあてがい、筒状部30を押したり引いたりしてトリートメント処理を施す。このとき、施術者は、トリートメント具50の周縁から、体の凹凸に合った曲線53部分を選んで患者にあてがう。
【0022】
また、筒状部30を操作して、トリートメント具50の突起52を患者の“つぼ”に押し付ける。この操作の際に、トリートメント具50に対して、筒状部30の回りを回転させる力が働き、トリートメント具50と筒状部30との結合が緩むことが懸念される。しかし、このトリートメント具50の緩みは、トリートメント具50の回転により雄ネジ24と雌ネジ32との螺合、及び、螺子突起51と螺合孔26との螺合が締まる方向にネジを切っておけば、防止できる。トリートメント具50が図1の形状を有している場合は、雄ネジ24と雌ネジ32との螺合、及び、螺子突起51と螺合孔26との螺合を通常の逆方向(反時計回りの回転でネジが締まる方向)にネジを切ることで、トリートメント具50の緩みが防止できる。
【0023】
トリートメント処理が終了すると、図1の状態の施術器具からトリートメント具50を取り外し、第一端部40の側にパッティング具90を取り付ける。このとき、パッティング具90の繊維束収容部93には繊維束80を収容せずに、繊維束収容部93の側を第一端部40の挿通孔42に挿入し、パッティング具90の雄ネジ92を挿通孔42の雌ネジに螺合して、図3の状態に組み立てる。
施術者は、この施術器具の筒状部30を掴み、パッティング具90のパッティング部91で患者の患部を軽く叩き、パッティング処理を行う。
【0024】
パッティング処理が終了すると、施術者は、図5に示すように、第一端部40からパッティング具90を取り外し、アロマオイルの含浸した繊維束80を繊維束収容部93に収容して、パッティング具90を再び第一端部40に結合する。さらに、筒状部30から第二端部20を取り外し、棒状の温灸体70を第二端部20の挿入孔21に配置されているコイルバネ23の円環の中心に挿入し、コイルバネ23で保持された温灸体70に点火する。そして、この温灸体70を保持する第二端部20を、再び筒状部30に結合し、図3の状態に組み立てる。
【0025】
施術者は、この施術器具のパッティング具90の棒状部分を掴み、筒状部30を患者の皮膚上で動かし、老廃物が現れた患部のウオームケアを行う。
筒状部30は、ボールベアリング41を介して、第一端部40に回転可能に結合されているため、この操作の間、患者の皮膚に触れた筒状部30は、第二端部20とともに回転しながら皮膚上を移動する。この回転移動により、筒状部30の通気孔31及び円筒状網60を通じて、外部から筒状部30の内部に新鮮な空気が絶えず取り込まれる。そのため温灸体70は、消えること無く燃焼を続ける。
【0026】
温灸体70の燃焼熱は、筒状部30内の気体を温め、筒状部30自体を温めるため、筒状部30に触れた皮膚が温められる。また、繊維束80に含浸されているアロマオイルは、この熱で揮発し、芳香成分が円筒状網60及び通気孔31を通じて筒状部30の外部に拡散する。
そのため、患者は、癒される香りの中でウオームケアを受けることができる。
ウオームケアの終了後、施術者は、筒状部30から第二端部20を取り外し、円筒状網60を筒状部30から取り出して洗浄し、また、筒状部30の内側を洗浄する。
【0027】
このように、この施術器具は、筒状部30から第二端部20を取り外して、円筒状網60を取り出すことができるため、円筒状網60や筒状部30内側の掃除が容易である。
また、温灸体70の燃焼時にアロマオイルの芳香成分が拡散するため、患者は、豊かな気分で施療を受けることができる。アロマオイルの種類は、患者の好みに応じて選択することが可能である。
【0028】
なお、ここでは、パッティング具90の棒状部分を利用してウオームケアを行う場合について説明したが、図6に示すように、繊維束収容部93を備えた専用の取手94を用意して、第一端部40からパッティング具90を取り外した後に、この取手94を第一端部40に結合し、取手94を掴んでウオームケア処理を行うようにしても良い。
【0029】
また、第一端部40への取手94(あるいはパッティング具90)の結合は、図7に示すように、取手94に円周溝を形成して、そこに金属のCリング(または弾性体のOリング)95を嵌め、第一端部40の内周には、円周溝43を設け、この取手94を第一端部40に嵌合するようにしても良い。
この構造では、第一端部40に取手94を嵌めるとき、Cリング95は第一端部40の内面に押されて、取手94の円周溝の中に押し込まれ、その状態で取手94とともに第一端部40内を移動する。取手94がさらに進み、Cリング95が第一端部40の円周溝43の位置に達すると、Cリング95は弾性復帰して、その一部分が円周溝43に嵌まり、第一端部40に対する取手94の挿入方向の位置が保持される。
また、第一端部40から取手94を取り外すときは、筒状部30を握って取手94を手前に引くと、Cリング95は、円周溝43から外れ、第一端部40の内面に押されて取手94の円周溝の中に押し込まれる。その状態で取手94を引き出せば、取手94は第一端部40から外れる。
【0030】
また、繊維束80に代えて、アロマオイルの含浸が可能な、脱脂綿、海綿等の綿類や、ウレタンフォーム等の発泡体等を用いることもできる。
また、繊維束80を用いずに、円筒状網60にアロマオイルを滴下して、円筒状網60の編み目でアロマオイルを保持するようにしても良い。この場合、図8に示すように、パッティング具90や取手94には、繊維束収容部93を設ける必要が無くなる。
また、円筒状網60を耐熱性の合成樹脂で形成し、使い捨てにすることもできる。
また、アロマオイルに代えて、温灸体の熱により揮発して体内に浸透する、体に有益な薬剤などを使用することもできる。
また、温灸体70は、煙の少ないものを使用することが好ましいが、匂いに関しては、患者の好む香りを発生するように、もぐさ成分に香料成分を加えた温灸体などを使用しても良い。
【0031】
また、ここで説明した施術器具は、第一端部40が筒状部30から分離できない構造であるが、図9に示すように、円筒状の中継部44を設け、中継部44に結合した第一端部40が、筒状部30から分離できるように構成することもできる。
この第一端部40は、中継部44に対し、ボールベアリング41を介して回転可能であり、且つ、分離できないように嵌合されている。一方、中継部44は、筒状部30の円周溝33に嵌るCリング(または弾性体のOリング)45を具備し、図7の取手94と同様に、筒状部30に対して嵌め外しできるように結合される。この場合、円筒部30の両端が取り外しできるため、円筒部30内の掃除が更に容易になる。
【0032】
また、第二端部20での温灸体70の保持は、図10に示す構造により行うこともできる。
この第二端部20は、図10(a)に示すように、挿通孔206を有しており、温灸体保持具200が挿通孔206の途中まで挿入され、栓ネジ204によって固定される。温灸体保持具200は、温灸体70を掴む複数の指状弾性片201と、この指状弾性片201を束ねる円筒状の鞘部205と、鞘部205を押し上げるスプリング202と、挿通孔206の段差に当接する鍔部203とを有している。
図10(b)に示すように、鞘部205を指状弾性片201に嵌め、スプリング202に対抗する力を鞘部205に加えて鍔部203の方向に動かすと、複数の指状弾性片201は、蓮の花が開くように、口を大きく広げる。一方、鞘部205に加えていた力を抜くと、鞘部205はスプリング202によって押し上げられ、そのため、指状弾性片201の各々は、外側に折れ曲がった部分が鞘部205の内壁で押されて口をすぼめる。
従って、スプリング202に抗して鞘部205を鍔部203の方向に動かし、指状弾性片201の口を広げて温灸体70を挿し込み、次いで、鞘部205から手を離せば、温灸体70は、口をすぼめた指状弾性片201によって保持される(図10(b)の状態)。
【0033】
図10(c)に示すように、温灸体70を保持した温灸体保持具200は、第二端部20の挿通孔206に挿入する。温灸体保持具200の鍔部203が挿通孔206の段差に当接するまで温灸体保持具200を挿通孔206に押し込むと、温灸体保持具200に保持された温灸体70は、挿通孔206を通り抜けて、第二端部20から露出する。この状態で栓ネジ204を挿通孔206の後端に螺合し、鍔部203を挿通孔206の段差に押し付けて、温灸体保持具200を挿通孔206内に固定する。
この温灸体保持具200は、温灸体70を安定的に保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の施術器具は、トリートメントやウオームケアの処理を効率的に、また、清潔で安全に行うことが可能であり、この施術器具は、これらの処理を伴う解毒法の施術に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態における施術器具の使用形態を示す斜視図
【図2】図1の施術器具の各部品断面図
【図3】本発明の実施形態における施術器具の他の使用形態を示す斜視図
【図4】図3のパッティング具の断面図
【図5】図3の施術器具の各部品断面図
【図6】本発明の実施形態における施術器具の取手を示す図
【図7】本発明の実施形態における取手の結合構造を示す図
【図8】本発明の実施形態における施術器具の円筒状網で香油を保持する場合の構造を示す図
【図9】本発明の実施形態における施術器具の第一端部を嵌め外し可能にした構造を示す図
【図10】本発明の実施形態における施術器具の温灸体保持具を示す図
【図11】パッティングによって肩の部分に現れた老廃物を示す図
【図12】従来の温灸器を示す図
【符号の説明】
【0036】
2 もぐさ
4 キャップ
14 温灸器本体
20 第二端部
21 挿入孔
23 コイルバネ
24 雄ネジ
26 螺合孔
30 筒状部
31 通気孔
32 雌ネジ
33 円周溝
40 第一端部
41 ボールベアリング
42 挿通孔
43 円周溝
44 中継部
45 Cリング
50 トリートメント具
51 螺子突起
52 突起
53 曲線
60 円筒状網
70 温灸体
80 繊維束
90 パッティング具
91 パッティング部
92 雄ネジ
93 繊維束収容部
94 取手
95 Cリング
200 温灸体保持具
201 指状弾性片2
202 スプリング
203 鍔部
204 栓ネジ
205 鞘部
206 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通気孔を周面に有する筒状部と、
前記筒状部の一端に回転可能に係合され、棒状体を結合するための挿通孔を有する第一の端部と、
前記筒状部の他端に取り外しできるように結合され、温灸体を前記筒状部の内部に臨むように保持する第二の端部と、
前記筒状部の内部に配置され、前記第二の端部を前記筒状部から取り外して取り出すことができる円筒状の網と
を備えることを特徴とする解毒法に使用する施術器具。
【請求項2】
請求項1に記載の施術器具であって、前記棒状体は、その一端に、前記温灸体の熱で揮発する液体が含浸された物質を保持し、前記物質が前記筒状部の内部に臨むように前記棒状体が前記第一の端部の前記挿通孔に結合されることを特徴とする施術器具。
【請求項3】
請求項1に記載の施術器具であって、前記温灸体の熱で揮発する液体が前記網の網目で保持されていることを特徴とする施術器具。
【請求項4】
請求項1に記載の施術器具であって、前記第二の端部の、前記筒状部に結合される側の反対側に板状の施術具が取り付け可能であることを特徴とする施術器具。
【請求項5】
請求項4に記載の施術器具であって、前記板状の施術具と前記第二の端部、及び、前記第二の端部と前記筒状部が、それぞれ、前記板状の施術具の施術時における回転により、ネジが締まるように螺子結合されていることを特徴とする施術器具。
【請求項6】
請求項1に記載の施術器具であって、前記第二の端部が、前記温灸体を保持する手段として、鞘部の移動に伴って集合または離散する複数の指状弾性片を備えていることを特徴とする施術器具。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図1】
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【図3】
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【図11】
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