説明

施錠装置及び現金自動取引装置

【課題】本発明は、錠の配置スペースを小さくしながらも、鍵の操作性を大幅に向上させる。
【解決手段】本発明は、鍵が差し込まれる鍵穴を有する錠と、所定の錠配置面に取り付けられ、錠を、鍵穴に対する鍵の鍵差込方向を錠配置面と平行にする平行姿勢と、鍵差込方向を錠配置面と交差させる交差姿勢とに切換可能に保持する錠保持部とを設けることにより、鍵の非回転操作時には錠を平行姿勢にして錠配置面からの突出量を小さくして当該錠の配置スペースを小さくすることができ、鍵の回転操作時には錠を交差姿勢にして鍵穴に鍵を抜き差しさせ易くすることができると共に、鍵穴に差し込まれた鍵を回転操作させ易くすることができ、錠の配置スペースを小さくしながらも、鍵の操作性を大幅に向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は施錠装置及び現金自動取引装置に関し、例えば、現金としての紙幣の入金及び出金の取り引きを行う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の現金自動取引装置は、カセット収納部が装填及び引出可能に設けられている。そしてカセット収納部には、出金用の紙幣を金種別に収納して補充するための複数の紙幣収納カセットが、例えば、当該カセット収納部の引出方向に沿って1列に並べられて着脱可能に収納されている。
【0003】
この場合、複数の紙幣収納カセットには、それぞれ紙幣を1枚ずつ内部に取り込み、また内部から紙幣を1枚ずつ繰り出すための、モータ及びローラ等からなる取込繰出機構が設けられている。
【0004】
また複数の紙幣収納カセットには、それぞれ側面の所定位置に内部のモータと電気的に接続されたカセット側コネクタが設けられている。
【0005】
一方、カセット収納部の側面には、現金自動取引装置内の制御部と電気的に接続された複数の装置側コネクタが設けられており、これら複数の装置側コネクタがそれぞれ対応するカセット側コネクタに電気的及び機械的に接続されている。
【0006】
そして現金自動取引装置は、紙幣の入金及び出金時、制御部により装置側コネクタ及びカセット側コネクタを順次介して紙幣収納カセットの取込繰出機構を駆動制御する。
【0007】
これにより現金自動取引装置は、紙幣の入金及び出金時、紙幣収納カセットの内部に入金用の紙幣を収納し、また紙幣収納カセットの内部から出金用の紙幣を取り出していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−198131号公報(第3頁、第4頁、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、係る構成を有する現金自動取引装置としては、例えば、図17に示すように、カセット収納部100の一側面100A及び他側面100Bに一対のスライドレール101、102が設けられ、さらに一側面100Aにおいてスライドレール101の下側に、紙幣収納カセットの動作テスト用に操作するための操作部が設けられると共に、当該操作部を保護するための箱型の保護カバー103が開閉可能に設けられたものがある。
【0010】
この場合、係る現金自動取引装置は、例えば、カセット収納部100の一側面100Aにおいてスライドレール101の下側に、さらに錠104及びロックレバー105を有し、保護カバー103を閉じた(すなわち、操作部を覆った)状態にロックするためのロック部106も設けられている。
【0011】
実際に係る現金自動取引装置では、カセット収納部100が一対のスライドレール101、102を介して引き出された場合、保護カバー103が閉じられた状態で、ロック部106において錠104の鍵穴に差し込まれた鍵が例えば、反時計回方向に回転操作されると、これに応じて保護カバー103の端面103Aの孔部にロックレバー105の先端部を差し込んで、当該保護カバー103を、その閉じた状態にロックする。
【0012】
また係る現金自動取引装置では、保護カバー103をロックしている状態で、ロック部106において錠104の鍵穴に差し込まれた鍵が例えば、時計回方向に回転操作されると、保護カバー103の端面103Aの孔部からロックレバー105の先端部を引き抜いて、そのロックを解除し、これにより保護カバー103を開かせて操作部を露出させ操作させている。
【0013】
ところが、係る現金自動取引装置では、例えば、近年の小型化の傾向に伴い、装置内面とカセット収納部100の一側面100Aとの隙間が比較的狭く選定されている。
【0014】
よって係る現金自動取引装置では、装置内面とカセット収納部100の一側面100Aとの隙間の狭さを考慮して、錠104の配置スペースを極力小さくするために、当該カセット収納部100の一側面100Aに錠104が、鍵穴を当該一側面101Aに近接させて上側に向けるように、鍵穴に対する鍵の鍵差込方向を一側面101Aと平行にして配置されている。
【0015】
このため係る現金自動取引装置では、カセット収納部100を引き出した状態で錠104の鍵穴に鍵が差し込まれた場合、鍵を保持する手がカセット収納部100の一側面100Aに接触して、当該鍵を回転操作させ難いという問題があった。
【0016】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、錠の配置スペースを小さくしながらも、鍵の操作性を大幅に向上させ得る施錠装置及び現金自動取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる課題を解決するため本発明においては、鍵が差し込まれる鍵穴を有する錠と、所定の錠配置面に取り付けられ、錠を、鍵穴に対する鍵の鍵差込方向を錠配置面と平行にする平行姿勢と、鍵差込方向を錠配置面と交差させる交差姿勢とに切換可能に保持する錠保持部とを設けるようにした。
【0018】
従って本発明では、鍵の非回転操作時には錠を平行姿勢にして錠配置面からの突出量を小さくして当該錠の配置スペースを小さくすることができ、鍵の回転操作時には錠を交差姿勢にして鍵穴に鍵を抜き差しさせ易くすることができると共に、鍵穴に差し込まれた鍵を回転操作させ易くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、鍵が差し込まれる鍵穴を有する錠と、所定の錠配置面に取り付けられ、錠を、鍵穴に対する鍵の鍵差込方向を錠配置面と平行にする平行姿勢と、鍵差込方向を錠配置面と交差させる交差姿勢とに切換可能に保持する錠保持部とを設けるようにしたことにより、鍵の非回転操作時には錠を平行姿勢にして錠配置面からの突出量を小さくして当該錠の配置スペースを小さくすることができ、鍵の回転操作時には錠を交差姿勢にして鍵穴に鍵を抜き差しさせ易くすることができると共に、鍵穴に差し込まれた鍵を回転操作させ易くすることができ、かくして錠の配置スペースを小さくしながらも、鍵の操作性を大幅に向上させ得る施錠装置及び現金自動取引装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による現金自動預払機の外観構成の一実施の形態を示す略線的斜視図である。
【図2】本発明による現金自動預払機の内部構成を示す略線的側面図である。
【図3】第1の実施の形態による預払機筐体、紙幣入出金ユニット及び紙幣収納ユニットの構成(1)を示す略線的側面図である。
【図4】第1の実施の形態による預払機筐体、紙幣入出金ユニット及び紙幣収納ユニットの構成(2)を示す略線的正面図である。
【図5】預払機筐体からの紙幣収納ユニットの引き出しの説明に供する略線的側面図である。
【図6】預払機筐体からの紙幣入出金ユニットの引き出しの説明に供する略線的側面図である。
【図7】第1の実施の形態によるロック部の構成(1)を示す略線的正面図及び略線的側面図である。
【図8】第1の実施の形態によるロック部の構成(2)を示す略線的正面図及び略線的側面図である。
【図9】保護カバーのロックの解除の説明に供する略線的正面図及び略線的側面図である。
【図10】第2の実施の形態による紙幣入出金ユニットの構成(1)を示す略線的側面図である。
【図11】第2の実施の形態による紙幣入出金ユニットの構成(2)を示す略線的正面図である。
【図12】第2の実施の形態によるロック部の構成(1)を示す略線的正面図及び略線的側面図である。
【図13】第2の実施の形態によるロック部の構成(2)を示す略線的正面図及び略線的側面図である。
【図14】ユニット個別収納部への紙幣収納ユニットの押し込みによる錠の姿勢の切り換え(1)の説明に供する略線的上面図及び略線的側面図である。
【図15】ユニット個別収納部への紙幣収納ユニットの押し込みによる錠の姿勢の切り換え(2)の説明に供する略線的正面図である。
【図16】他の実施の形態による錠保持部の構成を示す略線的正面図及び略線的側面図である。
【図17】従来のロック部の構成を示す略線的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
(1)第1の実施の形態
(2)第2の実施の形態
(3)他の実施の形態
【0022】
(1)第1の実施の形態
(1−1)現金自動預払機の外観構成
図1において、1は全体として本発明を適用した現金自動預払機の外観構成を示す。かかる現金自動預払機1は、略箱型の筐体(以下、これを預払機筐体とも呼ぶ)2を有している。
【0023】
預払機筐体2の前側上端部には、当該預払機筐体2の前面2Aよりも後面2B側に凹むように略L字状に形成されたフロントパネル3が設けられている。
【0024】
因みに、以下の説明では、預払機筐体2の前面2Aを、預払機前面2Aとも呼び、当該預払機筐体2の後面2Bを、預払機後面2Bとも呼ぶ。
【0025】
そして、以下の説明では、預払機前面2Aから預払機後面2Bへ向かう方向を、後方向とも呼び、当該預払機後面2Bから預払機前面2Aへ向かう方向を、前方向とも呼ぶ。
【0026】
また、以下の説明では、預払機筐体2の上面2Cを、預払機上面2Cとも呼び、預払機筐体2の下面から預払機上面2Cへ向かう方向を、上方向とも呼び、当該預払機上面2Cから預払機筐体2の下面へ向かう方向を、下方向とも呼ぶ。
【0027】
さらに、以下の説明では、預払機筐体2をフロントパネル3と対峙して見た場合の左の側面2Dを、預払機左側面2Dとも呼び、右の側面2Eを、預払機右側面2Eとも呼ぶ。
【0028】
そして、以下の説明では、預払機左側面2Dから預払機右側面2Eへ向かう方向を、右方向とも呼び、預払機右側面2Eから預払機左側面2Dへ向かう方向を、左方向とも呼ぶ。
【0029】
この場合、フロントパネル3において上方向に向くほぼ水平な(すなわち、預払機上面2Cとほぼ平行な)上向パネル3Aには、例えば、左寄りにタッチスクリーン4が設けられている。
【0030】
因みに、タッチスクリーン4は、種々の操作画像を表示するための液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイのような表示部の表示面上に、操作入力用の透明なタッチパネルが貼着されて形成されている。
【0031】
またフロントパネル3の上向パネル3Aには、例えば、右寄りに、現金としての長方形の紙幣を投入し、また取り出すための箱型の紙幣投入取出部5が設けられている。
【0032】
因みに、紙幣投入取出部5の開口には、取引内容に応じて当該開口を開放及び閉塞するためのシャッタが開閉自在に設けられている。
【0033】
一方、フロントパネル3において前方向に向くほぼ垂直な(すなわち、預払機前面2Aとほぼ平行な)前向パネル3Bには、例えば、左寄りに、通帳を挿入し、また当該通帳や取引明細書を排出するための通帳挿入排出口7が設けられている。
【0034】
またフロントパネル3において前向パネル3Bには、例えば、右寄りに、キャッシュカードやクレジットカード等の種々のカードを挿入及び排出するためのカード挿入排出口8も設けられている。
【0035】
因みに、預払機筐体2の内部には、通帳挿入排出口7の奥側に、通帳に記録されている口座番号のような顧客情報等を読み取り、また取引内容等を通帳や取引明細書に印刷するための読取印刷処理部(図示せず)が設けられている。
【0036】
また預払機筐体2の内部には、カード挿入排出口8の奥側に、種々のカードに記録されている顧客の口座番号や金融機関コード等の顧客情報等を読み取るためのカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0037】
現金自動預払機1は、係る構成のもと、タッチスクリーン4に操作画像を表示すると共に、顧客によるタッチスクリーン4の表面へのタッチ操作に応じて操作画像を適宜切り換えて表示する。
【0038】
これにより現金自動預払機1は、顧客に操作画面を介して、紙幣の取り引き(すなわち、紙幣の預け入れである入金や紙幣の払い出しである出金)の手順を案内する。
【0039】
そして現金自動預払機1は、顧客に、その案内に従って通帳挿入排出口7やカード挿入排出口8に通帳やカードを挿入させ、また紙幣投入取出部5内に紙幣を投入させる。
【0040】
また現金自動預払機1は、顧客に、その案内に従って通帳挿入排出口7やカード挿入排出口8から排出した通帳や取引明細書、カードを受け取らせ、また紙幣投入取出部5を介して紙幣を受け取らせる。
【0041】
このようにして現金自動預払機1は、顧客が所望する紙幣の入金や出金の取り引きを行うことができる。
【0042】
(1−2)現金自動預払機の内部構成
次いで、現金自動預払機1の内部構成について説明する。図2に示すように、現金自動預払機1において預払機筐体2の内部には、制御部10と共に、紙幣入出金ユニット11及び紙幣収納ユニット12が設けられている。
【0043】
そして制御部10は、現金自動預払機1全体(すなわち、紙幣入出金ユニット11及び紙幣収納ユニット12を含む)を統括制御する。
【0044】
これにより制御部10は、例えば、顧客によりタッチスクリーン4の表面がタッチ操作され、所望の取り引きとして紙幣の入金が選択されると、タッチスクリーン4に表示する操作画像を介して、顧客に通帳又はカードの挿入を案内する。
【0045】
その結果、制御部10は、顧客によって通帳又はカードが通帳挿入排出口7又はカード挿入排出口8に挿入されると、読取印刷処理部又はカード処理部により通帳又はカードに記録されている顧客情報等を読み取るようにして例えば、顧客の口座番号を特定する。
【0046】
そして制御部10は、紙幣入出金ユニット11において紙幣投入取出部5のシャッタを開いて、当該紙幣投入取出部5の開口を開放すると共に、タッチスクリーン4に表示する操作画像を介して、顧客に紙幣投入取出部5内への紙幣の投入を案内する。
【0047】
その結果、制御部10は、顧客によって紙幣投入取出部5内に入金用の1又は複数の紙幣が投入されると、当該紙幣投入取出部5から紙幣を1枚ずつ繰り出す。
【0048】
これにより制御部10は、紙幣投入取出部5から1枚ずつ繰り出した紙幣を、搬送路13を介して鑑別部14に搬送して、当該鑑別部14において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
【0049】
その結果、制御部10は、鑑別部14において正常であると鑑別された紙幣については、当該鑑別部14から搬送路13を介して一時保留部15に搬送して一時的に保持することにより、当該紙幣の入金を保留する。
【0050】
また制御部10は、鑑別部14において破損等により異常であると鑑別された紙幣については、当該鑑別部14から搬送路13を介して紙幣投入取出部5に搬送して顧客に返却する。
【0051】
因みに、鑑別部14により異常であると鑑別された紙幣については、現金自動預払機1では取り扱いを拒絶するものであり、以下、係る紙幣を、特にリジェクト紙幣とも呼ぶ。
【0052】
このようにして制御部10は、鑑別部14において、紙幣投入取出部5内に投入された紙幣が全て鑑別されると、正常であると鑑別された紙幣の金種から、入金を保留していた紙幣の総額を計数する。
【0053】
そして制御部10は、タッチスクリーン4に表示した操作画像を介して顧客に、その計数した総額を提示する。
【0054】
その結果、制御部10は、操作画像を介して入金の金額を確認した顧客により、タッチスクリーン4の表面がタッチ操作され、入金が指示されると、一時保留部15から一時的に保持していた紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路13を介して鑑別部14に戻す。
【0055】
そして制御部10は、鑑別部14において再び紙幣の金種を鑑別させた後、当該鑑別部14から金種が鑑別された紙幣を、搬送路13を介して紙幣収納ユニット12に搬送する。
【0056】
これにより制御部10は、紙幣収納ユニット12において紙幣を、例えば、複数の紙幣収納カセット16乃至18のうち、鑑別された金種に応じた紙幣収納カセット16乃至18に収納する。
【0057】
この際、制御部10は、読取印刷処理部において通帳又は取引明細書に入金の金額を印刷して、当該金額を印刷した通帳又は取引明細書を通帳挿入排出口7から排出することにより、顧客に通帳を返却し、又は取引明細書を受け取らせる。
【0058】
また制御部10は、カード処理部に取り込んでいたカードをカード挿入排出口8から排出して顧客に返却する。このようにして制御部10は、顧客の所望する取り引きとしての紙幣の入金を行うことができる。
【0059】
因みに、制御部10は、係る入金の際、顧客に、入金を保留している紙幣の総額を提示した結果、タッチスクリーン4の表面がタッチ操作され入金の取り消しが指示されると、一時保留部15から一時的に保持していた紙幣を1枚ずつ繰り出す。
【0060】
そして制御部10は、その一時保留部15から1枚ずつ繰り出した紙幣を、搬送路13を介して紙幣投入取出部5に搬送して顧客に返却する。
【0061】
一方、制御部10は、例えば、顧客によりタッチスクリーン4の表面がタッチ操作され、所望の取り引きとして紙幣の出金が選択されると、タッチスクリーン4に表示する操作画像を介して、顧客に通帳及びカードの挿入を案内する。
【0062】
その結果、制御部10は、顧客によって少なくともカードがカード挿入排出口8に挿入されると、カード処理部によりカードに記録されている顧客情報等を読み取るようにして例えば、顧客の口座番号を特定すると共に、預金残高を確認する。
【0063】
そのうえで制御部10は、顧客によりタッチスクリーン4の表面がタッチ操作され出金の金額が指定されると、その指定された金額(以下、これを指定金額とも呼ぶ)を預金残高と比較して、当該指定金額分の紙幣の出金が可能であるか否かを判別する。
【0064】
その結果、制御部10は、預金残高が不足しており、指定金額分の紙幣の出金ができない場合には、タッチスクリーン4に表示した操作画像を介して顧客に、預金残高を提示すると共に、指定金額分の紙幣の出金ができないことを通知する。
【0065】
これに対し制御部10は、預金残高が指定金額以上であり、指定金額分の紙幣の出金が可能な場合には、紙幣収納ユニット12の紙幣収納カセット16乃至18から、指定金額分の紙幣を1枚ずつ繰り出す。
【0066】
これにより制御部10は、紙幣収納カセット16乃至18から1枚ずつ繰り出した紙幣を、搬送路13を介して鑑別部14に搬送して、当該鑑別部14において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
【0067】
その結果、制御部10は、鑑別部14において正常であると鑑別された紙幣については、当該鑑別部14から搬送路13を介して紙幣投入取出部5に搬送する。
【0068】
ただし、制御部10は、鑑別部14により鑑別された紙幣の中にリジェクト紙幣が存在すると、当該鑑別部14からリジェクト紙幣を、搬送路13を介して一時保留部15に搬送して一時的に保持させる。
【0069】
そして制御部10は、紙幣投入取出部5に指定金額分の紙幣を搬送し終えると、当該紙幣投入取出部5のシャッタを開いて開口を開放することにより、顧客に指定金額分の紙幣引き渡す。
【0070】
また制御部10は、このとき通帳挿入排出口7に通帳が挿入されていると、読取印刷処理部において当該通帳に、出金した金額(すなわち、指定金額)、及び紙幣の出金後の預金残高を印刷する。
【0071】
これにより制御部10は、出金した金額、及び紙幣の出金後の預金残高を印刷した通帳を通帳挿入排出口7から排出して顧客に返却する。
【0072】
因みに、制御部10は、このとき通帳挿入排出口7に通帳が挿入されていないと、読取印刷処理部において取引明細書に出金した金額、及び紙幣の出金後の預金残高を印刷する。
【0073】
これにより制御部10は、出金した金額、及び紙幣の出金後の預金残高を印刷した取引明細書を通帳挿入排出口7から排出して顧客に受け取らせる。このようにして制御部10は、顧客の所望する取り引きとしての紙幣の出金を行うことができる。
【0074】
因みに、制御部10は、出金において一時保留部15にリジェクト紙幣を保持すると、出金の終了後(すなわち、紙幣を顧客に引き渡した後)、一時保留部15から一時的に保持していたリジェクト紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路13を介して鑑別部14に戻す。
【0075】
そして制御部10は、鑑別部14において再びリジェクト紙幣の金種や状態等を鑑別させた後、そのリジェクト紙幣を、搬送路13を介して紙幣収納ユニット12に搬送する。
【0076】
これにより制御部10は、紙幣収納ユニット12においてリジェクト紙幣を、例えば、リジェクト紙幣専用の紙幣収納カセット16乃至18に収納する。
【0077】
このようにして制御部10は、紙幣の出金時、紙幣収納カセット16乃至18から繰り出した紙幣の中でリジェクト紙幣を発見すると、そのリジェクト紙幣を分別して専用の紙幣収納カセット16乃至18に保管し、その後、出金には用いないようにする。
【0078】
(1−3)預払機筐体、紙幣入出金ユニット及び紙幣収納ユニットの構成
次いで、現金自動預払機1の預払機筐体2の構成と共に、当該預払機筐体2内に設けられた紙幣入出金ユニット11及び紙幣収納ユニット12の構成について説明する。
【0079】
図3及び図4に示すように、預払機筐体2は、フロントパネル3の下側に、紙幣入出金ユニット11及び紙幣収納ユニット12を一括して収納するための略直方体状の空間でなるユニット一括収納部2Fが形成されている。
【0080】
すなわち、預払機筐体2は、フロントパネル3の下側に、上向パネル3Aの裏面3AX、筐体底板2GX、筐体前板2AX、筐体後板2BX、筐体左板2DX、筐体右板2EXで囲まれた略直方体状の空間としてユニット一括収納部2Fが形成されている。
【0081】
また預払機筐体2には、例えば、筐体前板2AX全体が扉(以下、扉としての筐体前板2AXを、前扉2AXとも呼ぶ)として開閉可能に取り付けられている。
【0082】
よって預払機筐体2は、前扉2AXが開かれると、ユニット一括収納部2Fを外部に開放し、当該前扉2AXが閉じられると、ユニット一括収納部2Fを外部から閉塞する。
【0083】
さらに預払機筐体2は、筐体左板2DXの内面中央部に、ユニット一括収納部2Fの奥行よりも僅かに短い例えば、断面略コ字状の筐体左側レールガイド20が、溝部を右側に向けて後方向と平行に配置されている。
【0084】
さらに預払機筐体2は、筐体右板2EXの内面中央部に、筐体左側レールガイド20と等しい長さ及び形状を有する筐体右側レールガイド21が、溝部を左側に向けて筐体左側レールガイド20と対向させて後方向と平行に配置されている。
【0085】
一方、紙幣入出金ユニット11は、高さ、幅及び奥行が、預払機筐体2のユニット一括収納部2Fの高さ、幅及び奥行よりも僅かに短く選定された略箱型の筐体(以下、これを入出金ユニット筐体とも呼ぶ)22を有している。
【0086】
入出金ユニット筐体22は、中央よりも上側の内部に、特には図示していないが、上述した紙幣投入取出部5、搬送路13、鑑別部14及び一時保留部15が配置されている。
【0087】
また入出金ユニット筐体22は、中央よりも下側に、紙幣収納ユニット12を個別に収納するための略直方体状の空間でなるユニット個別収納部22Aが形成されている。
【0088】
すなわち、入出金ユニット筐体22の下側には、ユニット底板22BX、ユニット下側後板22CX、ユニット下側左板22DX、ユニット下側右板22EXで囲まれた略直方体状の空間としてユニット個別収納部22Aが形成されている。
【0089】
そして入出金ユニット筐体22は、ユニット個別収納部22Aの前端部(すなわち、入出金ユニット筐体22の前下端部)に開口が形成されている。
【0090】
さらに入出金ユニット筐体22は、左側面(以下、これを入出金ユニット左側面とも呼ぶ)22Dの中央部に、入出金ユニット左側可動レール23が後方向と平行に配置されている。
【0091】
さらに入出金ユニット筐体22は、右側面(以下、これを入出金ユニット右側面とも呼ぶ)22Eの中央部に、入出金ユニット右側可動レール24が後方向と平行に配置されている。
【0092】
そして預払機筐体2は、筐体左側レールガイド20の溝部に入出金ユニット左側可動レール23が挿入されると共に、筐体右側レールガイド21に入出金ユニット右側可動レール24が挿入されている。
【0093】
これにより預払機筐体2は、ユニット一括収納部2Fに筐体左側レールガイド20及び入出金ユニット左側可動レール23と、筐体右側レールガイド21及び入出金ユニット右側可動レール24とを介して紙幣入出金ユニット11(すなわち、入出金ユニット筐体22)を前方向及び後方向にスライド可能に保持している。
【0094】
また入出金ユニット筐体22は、ユニット下側左板22DXの内面上寄りに、ユニット個別収納部22Aの奥行よりも僅かに短い例えば、断面略コ字状の入出金ユニット左側レールガイド25が、溝部を右側に向けて後方向と平行に配置されている。
【0095】
さらに入出金ユニット筐体22は、ユニット下側右板22EXの内面上寄りに、入出金ユニット左側レールガイド25と等しい長さ及び形状を有する入出金ユニット右側レールガイド26が、溝部を左側に向け入出金ユニット左側レールガイド25と対向させて後方向と平行に配置されている。
【0096】
これに加えて紙幣収納ユニット12は、高さ、幅及び奥行が、紙幣入出金ユニット11のユニット個別収納部22Aの高さ、幅及び奥行よりも僅かに短く選定された略箱型の筐体(以下、これを収納ユニット筐体とも呼ぶ)27を有している。
【0097】
収納ユニット筐体27内には、例えば、上述した複数の紙幣収納カセット16乃至18が後方向に沿って1列に並べるように配置されている。
【0098】
ここで、複数の紙幣収納カセット16乃至18としては、例えば、収納ユニット筐体27に予め内蔵(すなわち、内部に固定)され、上述の入金時や出金時に特定の金種の紙幣のみを内部に取り込み、また内部から1枚ずつ繰り出すものがある。
【0099】
また複数の紙幣収納カセット16乃至18としては、例えば、収納ユニット筐体27に着脱可能に装着され、当該収納ユニット筐体27に内蔵された紙幣収納カセット16乃至18に紙幣を補充し、また当該紙幣収納カセット16乃至18から紙幣を回収するためのものもある。
【0100】
さらに複数の紙幣収納カセット16乃至18としては、収納ユニット筐体27に着脱可能に装着され、上述のように出金時に発見されたリジェクト紙幣を内部に収納するためのものもある。
【0101】
この場合、例えば、収納ユニット筐体27に内蔵された紙幣収納カセット16乃至18内や、紙幣補充回収用の紙幣収納カセット16乃至18内には、紙幣を1枚ずつ内部に取り込み、また内部から紙幣を1枚ずつ繰り出すためのモータ及びローラ等からなる取込繰出機構が設けられている。
【0102】
また収納ユニット筐体27内には、例えば、当該収納ユニット筐体27内で補充回収用の紙幣やリジェクト紙幣を搬送するためのモータやローラ等からなる搬送路(以下、これをユニット内搬送路とも呼ぶ)も設けられている。
【0103】
そして収納ユニット筐体27は、例えば、左側面(以下、これを収納ユニット左側面とも呼ぶ)27Aの下寄りに、ユニット内搬送路及び取込繰出機構に電力を供給するためのコネクタや、当該ユニット内搬送路及び取込繰出機構の動作テスト用に操作するための操作部が、後方向に沿って順に配置されている。
【0104】
また収納ユニット左側面27Aには、コネクタ及び操作部を保護するための後方向に長い箱型の保護カバー28が、これらコネクタ及び操作部を隠蔽し、また露出させるように開閉可能に設けられている。
【0105】
さらに収納ユニット左側面27Aには、保護カバー28の前に、当該保護カバー28を、コネクタ及び操作部を隠蔽した状態(すなわち、覆う状態)にロックするためのロック部29も設けられている。
【0106】
また収納ユニット筐体27は、収納ユニット左側面27Aの上寄りに、収納ユニット左側可動レール30が後方向と平行に配置されている。
【0107】
さらに収納ユニット筐体27は、右側面(以下、これを収納ユニット右側面とも呼ぶ)27Bの上寄りに、収納ユニット右側可動レール31が後方向と平行に配置されている。
【0108】
そして紙幣入出金ユニット11は、入出金ユニット左側レールガイド25の溝部に収納ユニット左側可動レール30が挿入されると共に、入出金ユニット右側レールガイド26に収納ユニット右側可動レール31が挿入されている。
【0109】
これにより紙幣入出金ユニット11は、ユニット個別収納部22Aに入出金ユニット左側レールガイド25及び収納ユニット左側可動レール30と、入出金ユニット右側レールガイド26及び収納ユニット右側可動レール31とを介して紙幣収納ユニット12(すなわち、収納ユニット筐体27)を前方向及び後方向にスライド可能に保持している。
【0110】
ところで、入出金ユニット左側可動レール23は、例えば、少なくとも2本以上のレールを伸縮可能に組み合わせて伸長時には筐体左側レールガイド20よりも長くなるように形成されている。
【0111】
また入出金ユニット右側可動レール24についても、入出金ユニット左側可動レール23と同様に、少なくとも2本以上のレールを伸縮可能に組み合わせて、当該入出金ユニット左側可動レール23と等しい長さを有するように形成されている。
【0112】
さらに収納ユニット左側可動レール30は、例えば、少なくとも2本以上のレールを伸縮可能に組み合わせて伸長時には入出金ユニット左側レールガイド25よりも長くなるように形成されている。
【0113】
さらにまた収納ユニット右側可動レール31についても、収納ユニット左側可動レール30と同様に、少なくとも2本以上のレールを伸縮可能に組み合わせて、当該収納ユニット左側可動レール30と等しい長さを有するように形成されている。
【0114】
よって図5に示すように、現金自動預払機1は、当該現金自動預払機1に対する種々の作業が許可された作業者により前扉2AXが開かれた場合、作業者に紙幣入出金ユニット11のユニット個別収納部22Aから紙幣収納ユニット12を個別に預払機筐体2の外部(すなわち、預払機筐体2の前側)に引き出させることができる。
【0115】
これにより現金自動預払機1は、作業者に預払機筐体2の外部において紙幣収納ユニット12に対し特定の紙幣収納カセット16乃至18を装着させ、また取り外させることができる。
【0116】
また現金自動預払機1は、作業者に預払機筐体2の外部において紙幣収納ユニット12に対し保護カバー28を、ロックを解除させて開かせることで、コネクタ及び操作部を露出させる。
【0117】
そして現金自動預払機1は、作業者に、コネクタの接続状態を確認させ、また操作部を操作させてユニット内搬送路や取込繰出機構の動作テストを実行させることができる。
【0118】
このようにして現金自動預払機1は、作業者に紙幣収納ユニット12のメンテナンスを行わせることができ、当該メンテナイスの終了後には預払機筐体2の前側から紙幣収納ユニット12をユニット個別収納部22Aに押し込むようにして収納させたうえで前扉2AXを閉じさせる。
【0119】
これに加えて図6に示すように、現金自動預払機1は、作業者により前扉2AXが開かれた場合、当該作業者に預払機筐体2のユニット一括収納部2F内から紙幣入出金ユニット11を紙幣収納ユニット12と共に預払機筐体2の外部(すなわち、預払機筐体2の前側)に引き出させることもできる。
【0120】
これにより現金自動預払機1は、作業者に預払機筐体2の外部において紙幣入出金ユニット11のメンテナンスを行わせることができる。
【0121】
そして現金自動預払機1は、紙幣入出金ユニット11のメンテナンスの終了後には、作業者に預払機筐体2の前側から紙幣入出金ユニット11をユニット一括収納部2F内に押し込むように収納させたうえで前扉2AXを閉じさせる。
【0122】
因みに、現金自動預払機1は、図示はしないが、預払機筐体2のユニット一括収納部2F内から紙幣入出金ユニット11が紙幣収納ユニット12と共に預払機筐体2の外部に引き出された状態で、当該紙幣入出金ユニット11のユニット個別収納部22Aから、さらに紙幣収納ユニット12を引き出させることもできる。
【0123】
これにより現金自動預払機1は、紙幣入出金ユニット11のメンテナンスと共に、紙幣収納ユニット12のメンテナンスをまとめて行わせることもできる。
【0124】
(1−4)紙幣収納ユニットのロック部の構成
次いで、紙幣収納ユニット12に設けられたロック部29の構成について説明する。図7(A)及び(B)並びに図8(A)及び(B)に示すように、ロック部29は、保護カバー28をロックし、また当該ロックを解除するために操作される円筒状の錠40と、その錠40を保持する錠保持部41とを有している。
【0125】
錠40は、例えば、シリンダ錠であり、一端部が1周に亘り張り出すようにフランジ状に形成され、他端部よりも太い直径を有している。また錠40は、一端面の中央部に鍵(図示せず)を差し込むための鍵穴40Aが穿設されている。
【0126】
さらに錠40は、他端部の周側面にねじ山が形成(すなわち、錠40の他端部が雄ねじとして成形)されている。
【0127】
この場合、錠40は、鍵穴40Aに鍵を、当該錠40の中心軸(以下、これを錠中心軸とも呼ぶ)と平行な方向に沿って差し込ませる。因みに、以下の説明では、錠40において鍵穴40Aに鍵が差し込まれる方向を、鍵差込方向とも呼ぶ。
【0128】
そして錠40は、鍵穴40Aに鍵が差し込まれた場合、当該鍵を鍵穴40Aと共に(すなわち、鍵穴40Aの穿設部分と共に)錠中心軸を中心にして例えば、90度の回転角度範囲で時計回方向、及びこれとは逆の反時計回方向に回転させ得るようになされている。
【0129】
また錠40の他端部内には、鍵穴40Aに差し込まれた鍵の回転に連動して、錠中心軸を中心にして90度の回転角度範囲で時計回方向及び反時計回方向に回転する回転機構(図示せず)が収納されている。
【0130】
そして錠40の回転機構は、棒状のアーム取付部43の一端部を、当該アーム取付部43の中心軸を錠中心軸と一致させ、かつアーム取付部43の他端部を錠40の他端面の中央から突出させて保持している。
【0131】
これにより錠40は、鍵穴40Aに差し込まれた鍵が時計回方向及び反時計回方向に回転操作されると、これに連動してアーム取付部43を、錠中心軸を中心にして時計回方向及び反時計回方向に回転させることができる。
【0132】
因みに、ここで説明したように、錠40の鍵穴40Aは、当該鍵穴40Aに差し込まれた鍵と共に90度の回転角度範囲で時計回方向及び反時計回方向に回転する。
【0133】
そして錠40において、鍵穴40Aが90度の回転角度範囲で反時計回方向に目一杯回転した状態は、例えば、鍵の非回転操作時の状態である。
【0134】
よって、以下の説明では、鍵穴40Aが90度の回転角度範囲で反時計回方向に目一杯回転した状態を、非操作時回転状態とも呼ぶ。
【0135】
一方、錠保持部41は、収納ユニット左側面27Aにおいて保護カバー28の前方向の端面(以下、これをカバー前端面とも呼ぶ)28Aの上寄りの前に、当該前方向に沿って順に配置された一対のL字状の板でなる後側ブラケット45及び前側ブラケット46を有している。
【0136】
後側ブラケット45は、一方の平板状の軸支持部45Aの先端を上方向に向け、かつ他方の平板状の回転規制部45Bの先端を前方向に向けて、収納ユニット左側面27AにL字状の側面を当接させて配置されている。
【0137】
すなわち、後側ブラケット45は、収納ユニット左側面27Aに、軸支持部45Aを上方向と平行にし、回転規制部45Bを前方向と平行にして配置されている。
【0138】
また後側ブラケット45は、軸支持部45Aの一面の左端近傍に円形の貫通孔が穿設されている。
【0139】
前側ブラケット46は、一方の平板状の軸支持部46Aの先端を上方向に向け、かつ他方の平板状の回転規制部46Bの先端を後方向に向けて後側ブラケット45の回転規制部45Bの先端と所定の間隙を介して対向させて、収納ユニット左側面27AにL字状の側面を当接させて配置されている。
【0140】
すなわち、前側ブラケット46は、収納ユニット左側面27Aに、軸支持部46Aを上方向と平行にし、回転規制部46Bを前方向と平行にして配置されている。
【0141】
また前側ブラケット46は、軸支持部46Aの一面の左端近傍に、後側ブラケット45の軸支持部45Aの貫通孔と対向させて円形の貫通孔が穿設されている。
【0142】
これに加えて錠保持部41は、コ字状の錠取付板47を有している。錠取付板47は、錠40の一端部の直径よりも僅かに広い幅を有する平板状の天板部47Aの一面の中央部に、当該錠40の他端部の直径とほぼ等しい直径を有する円形の貫通孔が穿設されている。
【0143】
そして錠40は、他端部が錠取付板47の天板部47Aの貫通孔に一面側から挿入され、当該天板部47Aの他面側で他端部の突出した部分にナット48が螺合されている。
【0144】
これにより錠40は、錠取付板47に、一端部とナット48との間に天板部47Aを挟み込むようにして取り付けられている。
【0145】
また錠取付板47は、天板部47Aの他面側に伸びる平板状の一対の脚部47B及び47Cの先端部が略V字状に形成されると共に、これら脚部47B及び47Cの先端面47BX及び47CXが天板部47Aと平行に形成されている。
【0146】
さらに錠取付板47は、一対の脚部47B及び47Cの外面において先端面47BX及び47CXの近傍に円形の貫通孔が対向させて穿設されており、これら2つの貫通孔に1本の円柱状の錠回動軸49が順次貫くように圧入されている。
【0147】
そして後側ブラケット45において軸支持部45Aの貫通孔には、錠回動軸49の一端部において錠取付板47の一方の脚部47Bの外面から後方向に突出している部分が挿入されている。
【0148】
また前側ブラケット46において軸支持部46Aの貫通孔には、錠回動軸49の他端部において錠取付板47の他方の脚部47Cの外面から前方向に突出している部分が挿入されている。
【0149】
これにより錠保持部41は、後側ブラケット45及び前側ブラケット46に錠取付板47を、前方向と平行な錠回動軸49を中心にして所定の一方向、及びこれとは逆の他方向に回動可能に支持している。
【0150】
因みに、この場合、錠取付板47を回転させる一方向は、当該錠取付板47と共に錠40を傾斜させるように回転させる方向であり、以下、これを錠傾斜方向とも呼ぶ。
【0151】
また、この場合、錠取付板47を回転させる他方向は、当該錠取付板47と共に錠40を引き起こすように回転させる方向であり、以下、これを錠引起方向とも呼ぶ。
【0152】
ところで、錠保持部41は、後側ブラケット45及び前側ブラケット46に対し錠取付板47が錠引起方向に回転した場合、天板部47Aの右側面47AXを収納ユニット左側面27Aに突き当てて、当該錠取付板47の錠引起方向への回転を停止させる。
【0153】
すなわち、錠保持部41は、収納ユニット左側面27Aを、後側ブラケット45及び前側ブラケット46に対する錠取付板47の錠引起方向への回転を規制する回転規制部として利用している。
【0154】
そして錠保持部41は、錠取付板47の天板部47Aの右側面47AXを収納ユニット左側面27Aに突き当てた場合に錠40が、鍵差込方向を当該収納ユニット左側面27A(すなわち、上方向)と平行にする姿勢となるように、後側ブラケット45、前側ブラケット46及び錠取付板47の大きさ及び形状や、錠回動軸49の取付用の各貫通孔の穿設位置等が適宜選定されている。
【0155】
因みに、以下の説明では、錠40の、鍵差込方向を収納ユニット左側面27Aと平行にする姿勢を、平行姿勢とも呼ぶ。
【0156】
このようにして錠保持部41は、錠取付板47が錠引起方向へ回転して、錠40が平行姿勢になると、これ以上は錠取付板47が錠引起方向へ回転しないように当該錠取付板47の錠引起方向への回転を規制する。
【0157】
これにより錠保持部41は、錠40の姿勢を平行姿勢にして、当該錠40の平行姿勢を維持することができる。
【0158】
また後側ブラケット45は、左側のL字状の側面において回転規制部45Bの部分45BXが所定深さに切り欠かれて、軸支持部45Aの部分よりも右側に凹んでいる。
【0159】
因みに、以下の説明では、後側ブラケット45の左側のL字状の側面において回転規制部45Bの部分45BXを、特に後側回転規制面45BXとも呼ぶ。
【0160】
さらに前側ブラケット46も、左側のL字状の側面において回転規制部46Bの部分46BXが、後側ブラケット45の後側回転規制面45BXと同様に所定深さに切り欠かれて、軸支持部46Aの部分よりも右側に凹んでいる。
【0161】
因みに、以下の説明では、前側ブラケット46の左側のL字状の側面において回転規制部46Bの部分46BXを、特に前側回転規制面46BXとも呼ぶ。
【0162】
そして錠保持部41は、後側ブラケット45及び前側ブラケット46に対し錠取付板47が、錠40を平行姿勢にした状態から錠傾斜方向に例えば、45度の回転角度まで回転した時点で、錠取付板47の一方の脚部47Bの先端面47BXを後側回転規制面45BXの上側の縁に突き当てる。
【0163】
また錠保持部41は、このとき錠取付板47の他方の脚部47Cの先端面47CXを、前側回転規制面46BXの上側の縁に付き当てる。
【0164】
これにより錠保持部41は、後側ブラケット45及び前側ブラケット46に対する錠取付板47の錠傾斜方向への回転を停止させる。
【0165】
このようにして錠保持部41は、錠取付板47が、錠40を平行姿勢にした状態から錠傾斜方向へ回転して、当該錠40が、鍵差込方向を収納ユニット左側面27A(すなわち、上方向)と45度の角度で交差させる姿勢になると、これ以上、錠取付板47が錠傾斜方向へは回転しないように錠取付板47の錠傾斜方向への回転を規制する。
【0166】
因みに、以下の説明では、錠40の、鍵差込方向を収納ユニット左側面27Aと45度の角度で交差させる(すなわち、この場合は錠40の鍵穴40Aを左斜め上に向ける)姿勢を、交差姿勢とも呼ぶ。
【0167】
これにより錠保持部41は、錠40の姿勢を平行姿勢から交差姿勢に切り換えて、当該錠40の交差姿勢を維持することができる。
【0168】
このようにして錠保持部41は、錠取付板47の錠引起方向及び錠傾斜方向の回転に応じて、錠40の姿勢を、平行姿勢と交差姿勢との何れにも自由に切り換えることができる。
【0169】
ところで、錠40においてアーム取付部43の他端部は、細長い平板状のアーム支持板50の一端部に穿設された貫通孔に、当該アーム支持板40の一面側から圧入されている。
【0170】
そしてアーム支持板50は、他端部を錠回動軸49よりも左側に位置させており、当該他端部において他面には、棒状のアーム51が植設されている。
【0171】
このようにして錠40は、アーム取付部43の他端部にアーム支持板50を介してアーム51が、錠中心軸と平行にし、錠回動軸49よりも左側に位置させて取り付けられている。
【0172】
ここで、錠保持部41では、錠40のアーム取付部43にアーム51を錠中心軸と平行にして取り付けていることにより、錠40が平行姿勢にされた場合、当該アーム51を収納ユニット左側面27Aと平行にする。
【0173】
そして錠保持部41は、錠40が平行姿勢にされた場合、アーム51の先端面51Aが例えば、後側ブラケット45及び前側ブラケット46の回転規制部45B及び46Bの下面とほぼ面一となるように、当該アーム51の長さが適宜選定されている。
【0174】
また錠保持部41では、錠40が平行姿勢にされ、かつ鍵穴40Aが非操作時回転状態にされた場合に、アーム51を錠40の真下よりも右前側で錠回動軸49の他端部に近接させるように、錠取付板47の長さ(すなわち、前方向の長さ)、アーム支持板50の長さ、及びアーム取付部43に対するアーム支持板50の取付向きが適宜選定されている。
【0175】
因みに、錠40が平行姿勢にされ、かつ鍵穴40Aが非操作時回転状態にされた場合のアーム51の位置(すなわち、アーム51を錠40の真下よりも右前側で錠回動軸49の他端部に近接させる位置)は、例えば、保護カバー28のロックを解除する前の当該アーム51を待機させておく位置である。
【0176】
よって、以下の説明では、錠40が平行姿勢にされ、かつ鍵穴40Aが非操作時回転状態にされた場合のアーム51の位置を、待機位置とも呼ぶ。
【0177】
そして錠保持部41は、例えば、錠40を平行姿勢にしたまま、非操作時回転状態の鍵穴40Aに鍵が差し込まれて時計回方向に回転操作された場合、これに応じてアーム51を収納ユニット左側面27Aと平行にしたまま、待機位置から錠中心軸を中心にした円弧に沿って錠回動軸49の一端部に近接させる位置まで移動させる。
【0178】
すなわち、錠保持部41は、錠40を平行姿勢にしたまま、非操作時回転状態の鍵穴40Aに鍵が差し込まれて時計回方向に回転操作された場合、紙幣収納ユニット12の底面からアーム51の先端面51Aまでの距離を何ら変えずに当該アーム51を移動させる。
【0179】
ただし、錠保持部41は、錠40を平行姿勢にしてアーム51を待機位置に位置させている状態から当該錠40が交差姿勢にされると、アーム51を待機位置よりも下側に変位させると共に、アーム51の先端部を収納ユニット左側面27Aに近づけることができる。因みに、以下の説明では、アーム51の先端部を、アーム先端部とも呼ぶ。
【0180】
すなわち、錠保持部41は、この際、錠取付板47と共に錠40が錠傾斜方向に回転して当該錠40が傾いたことに応じて、アーム先端部を、錠回動軸49の下側に回り込ませることができる。
【0181】
そして錠保持部41は、錠40を交差姿勢にしたまま、非操作時回転状態の鍵穴40Aに鍵が差し込まれて時計回方向に回転操作されると、待機位置よりも下側に変位させていたアーム51を後側に移動させる。
【0182】
ここで、錠保持部41は、上述のように鍵穴40Aに差し込まれた鍵が回転操作された場合、アーム51を、錠中心軸を中心にした円弧に沿って移動させる。
【0183】
よって錠保持部41は、この際、待機位置よりも下側に変位させていたアーム51を後側に移動させると、当該アーム51をさらに下げながらアーム先端部を収納ユニット左側面27Aから離すようにして、錠40の真下で最も下げてアーム先端部を収納ユニット左側面27Aから最も離す。
【0184】
また錠保持部41は、アーム51を錠40の真下よりも後側にさらに移動させると、当該アーム51を徐々に上げながらアーム先端部を収納ユニット左側面27Aに近づけるように移動させる。
【0185】
そして錠保持部41は、鍵穴40Aに差し込まれた鍵が時計回方向に目一杯回転した場合、後側に移動させていたアーム51を、紙幣収納ユニット12の底面からアーム51までの高さと、収納ユニット左側面27Aからアーム先端部までの距離との関係が、当該アーム51が待機位置よりも下側に変位したときと同様になる位置に到達させる。
【0186】
因みに、錠40の姿勢が平行姿勢から交差姿勢に切り換えられたときにアーム51が待機位置よりも下側に変位した位置(すなわち、変位後の位置)は、例えば、保護カバー28のロックの解除を開始するときの位置である。
【0187】
よって、以下の説明では、アーム51が待機位置よりも下側に変位したときの位置を、解除開始位置とも呼ぶ。
【0188】
また、交差姿勢の錠40において鍵穴40Aに差し込まれた鍵が時計回方向に目一杯回転したときにアーム51が最終的に到達する位置は、例えば、保護カバー28のロックの解除が完了したときの位置である。
【0189】
よって、以下の説明では、交差姿勢の錠40において鍵穴40Aに差し込まれた鍵が時計回方向に目一杯回転したときにアーム51が最終的に到達する位置を、解除完了位置とも呼ぶ。
【0190】
ところで、ロック部29は、収納ユニット左側面27Aにおいて、例えば、錠保持部41に保持された錠40の真下の所定位置に植設された(すなわち、左方向に突出するように設けられた)レバー回動軸53を有している。
【0191】
またロック部29は、収納ユニット左側面27Aに対し保護カバー28を、上述のコネクタ及び操作部を隠蔽した状態(すなわち、覆う状態)にロックするためのL字状のロックレバー54も有している。
【0192】
言い換えると、ロック部29は、収納ユニット左側面27Aに対し保護カバー28を閉じた状態にロックする(すなわち、収納ユニット左側面27Aに対し保護カバー28を開かないように止める)ためのロックレバー54を有している。
【0193】
ロックレバー54は、胴体部54Aの他端部(すなわち、胴体部54Aに対し腕部54Bの他端部が接合される部分)に円形の貫通孔が穿設されている。
【0194】
そしてロックレバー54は、胴体部54Aの一端部を上側に向け、腕部54Bの一端部を保護カバー28のカバー前端面28Aに向けるようにして貫通孔に他面側からレバー回動軸53の先端部が挿入されている。
【0195】
因みに、以下の説明では、ロックレバー54全体としての一端部となる胴体部54Aの一端部を、レバー末端部とも呼び、当該ロックレバー54全体としての他端部となる腕部54Bの一端部を、レバー先端部とも呼ぶ。
【0196】
これによりロック部29は、ロックレバー54の他面を収納ユニット左側面27Aと所定の間隙を介して平行にした状態で、当該ロックレバー54を、レバー回動軸53を中心にして所定の一方向、及びこれとは逆の他方向に回動可能に支持している。
【0197】
因みに、この場合、ロックレバー54を回転させる一方向は、当該ロックレバー54を、レバー先端部を持ち上げて保護カバー28をロックするように回転させる方向であり、以下、これをロック方向とも呼ぶ。
【0198】
また、この場合、ロックレバー54を回転させる他方向は、当該ロックレバー54を、レバー先端部を引き下げて保護カバー28のロックを解除するように回転させる方向であり、以下、これを解除方向とも呼ぶ。
【0199】
ここで、ロック部29では、ロックレバー54において胴体部54Aの幅が、例えば、錠40の他端部の直径と同程度に選定されている。
【0200】
またロック部29では、ロックレバー54のレバー末端部を錠保持部41に近接させるものの、錠40の平行姿勢及び交差姿勢の何れでロックレバー54が回転しても、レバー先端部を後側ブラケット45や前側ブラケット46、錠取付板47、錠回動軸49には接触させないように胴体部54Aの長さが適宜選定されている。
【0201】
そしてロックレバー54は、例えば、図示しないばねのような弾性体により、ロック方向に回転するように付勢されている。
【0202】
また保護カバー28は、カバー前端面28Aの下寄りの所定位置に、ロック用としてロックレバー54のレバー先端部を差し込むための、上方向に長い長方形状の貫通孔(以下、これをレバー差込孔とも呼ぶ)28AXが穿設されている。
【0203】
よってロック部29は、例えば、錠40を平行姿勢にした場合、弾性体の付勢によりロックレバー54をロック方向に回転させて、レバー先端部を保護カバー28のレバー差込孔28AXに差し込み、当該レバー差込孔28AXの上側の縁に突き当てる。
【0204】
これによりロック部29は、錠40が平行姿勢にされている間、ロックレバー54により収納ユニット左側面27Aに対し保護カバー28を閉じた状態にロックする。
【0205】
ところで、保護カバー28は、レバー差込孔28AXにロックレバー54のレバー先端部が差し込まれてロックされた場合、当該ロックレバー54の胴体部54Aを上方向と平行にしてレバー末端部を錠40の他端部と対向させるように、レバー差込孔28AXの穿設位置が適宜選定されている。
【0206】
よってロック部29は、ロックレバー54により保護カバー28をロックした状態で錠40が交差姿勢にされても、その際にアーム51が解除開始位置に位置していると、ロックレバー54のレバー末端部を当該アーム51には接触させずに保護カバー28のロックを維持することができる。
【0207】
ただし、ロックレバー54は、アーム51の解除開始位置からの移動開始直後から解除完了位置までの移動の間、アーム先端部がレバー末端部(すなわち、胴体部54Aにおける前方向の側面の上寄り)を押し続けられるように、収納ユニット左側面27Aから他面までの距離が適宜選定されてレバー回動軸53に支持されていると共に、一面及び他面間の厚みが適宜選定されている。
【0208】
よって、図9(A)及び(B)に示すように、ロック部29は、錠40が交差姿勢にされ非操作時回転状態の鍵穴40Aに鍵が差し込まれて時計回方向に回転操作されると、これに応じてアーム51を解除開始位置から移動させて、アーム先端部をロックレバー54のレバー末端部に押し当てさせることができる。
【0209】
そしてロック部29は、アーム51が解除完了位置まで移動している間は、ロックレバー54のレバー末端部に対するアーム先端部の押し付けに応じて、当該ロックレバー54を、レバー回動軸53を中心にして解除方向に回転させる。
【0210】
これによりロック部29は、ロックレバー54のレバー先端部を保護カバー28のレバー差込孔28AXから引き抜くようにして収納ユニット左側面27Aに対する当該保護カバー28のロックを解除する。
【0211】
またロック部29は、鍵穴40Aに差し込まれた鍵が時計回方向に目一杯回転したことで解除完了位置に到達したアーム51が当該解除完了位置に留まっている間は、ロックレバー54のレバー末端部にアーム先端部が押し付けられたままとなるため、保護カバー28のロックを解除した状態を維持することができる。
【0212】
このようにしてロック部29は、収納ユニット左側面27Aに対する保護カバー28のロックを解除すると、上述のように収納ユニット左側面27Aに対して保護カバー28を開かせて紙幣収納ユニット12のメンテナンスを行わせることができる。
【0213】
またロック部29は、収納ユニット左側面27Aに対して保護カバー28が閉じられた後、交差姿勢にされていた錠40の鍵穴40Aに差し込まれていた鍵が時計回方向に目一杯回転していた状態から反時計回方向に回転操作されると、これに応じてアーム51を解除完了位置から解除開始位置へ戻すように前側に移動させる。
【0214】
これによりロック部29は、この際、アーム51の前側への移動に応じてロックレバー54を弾性体による付勢に従いロック方向に回転させてレバー先端部を保護カバー28のレバー差込孔28AXに差し込み、収納ユニット左側面27Aに対して保護カバー28をロックすることができる。
【0215】
このようにしてロック部29は、鍵の回転操作時、例えば、錠40の一端部に指を掛けさせて当該錠40を左側に倒すように引かせることで、錠40を交差姿勢にさせることができる。
【0216】
そしてロック部29は、錠40が交差姿勢にされると、当該錠40が平行姿勢のときよりも鍵穴40Aを収納ユニット左側面27Aから引き離すことができる。
【0217】
よってロック部29は、錠40が交差姿勢にされると、収納ユニット左側面27Aに鍵を保持する手を接触させることなく、鍵穴40Aに鍵を抜き差しさせる(すなわち、抜き差しさせ易くする)ことができる。
【0218】
そしてロック部29は、錠40を交差姿勢にさせた状態で鍵穴40Aに鍵が差し込まれると、その鍵を保持している手を収納ユニット左側面27Aに接触させることなく、当該鍵を回転操作させて、収納ユニット左側面27Aに対し保護カバー28をロックさせ、またロックを解除させることができる。
【0219】
ところで、ロック部29(図7乃至図9)は、収納ユニット左側面27Aに、錠保持部41の一部とロックレバー54とを覆うように取り付けられた略箱型のロック部カバー55を有している。
【0220】
ロック部カバー55は、後方向の端面(以下、これをカバー後端面とも呼ぶ)を保護カバー28のカバー前端面28Aに当接させて配置されている。
【0221】
そしてロック部カバー55は、カバー後端面にロックレバー54のレバー先端部を通して保護カバー28のレバー差込孔に抜差可能にする孔が穿設されている。
【0222】
これによりロック部カバー55は、ロックレバー54を覆うものの、当該ロックレバー54の回動に応じて保護カバー28のレバー差込孔28AXにレバー先端部を抜き差し(すなわち、保護カバー28のロック及び解除を実行)させることができる。
【0223】
またロック部カバー55は、上方向の端面(以下、これをカバー上端面とも呼ぶ)の中央部から一面の上端部に亘り、錠取付板47の長さ(すなわち、前方向の長さ)とほぼ等しい幅の開口55Aが形成されており、当該開口55Aに錠取付板47を位置させている。
【0224】
そしてロック部29では、ロック部カバー55の開口55Aの縁の内側、及び収納ユニット左側面27Aにおいて当該開口55Aに隣接する部分と、錠取付板47の上側の縁とに亘り、例えば、1枚の目張用シート(図示せず)が当該開口55Aの縁及び収納ユニット左側面27Aと錠取付板47との隙間を塞ぐように張りめぐらされている。
【0225】
ここで、目張用シートは、例えば、比較的柔軟性があり、かつ比較的強度の強いパラ系アラミド繊維や高強度ポリエチレン繊維で生成されたものである。
【0226】
そして目張用シートは、ロック部カバー55の開口55Aの縁の内側、及び収納ユニット左側面27Aにおいて当該開口55Aに隣接する部分と、錠取付板47の上側の縁とに亘り、ある程度、撓んだ状態で張りめぐらされている。
【0227】
因みに、錠取付板47の上側の縁とは、天板部47Aの右側面47AX及び左側面と、一対の脚部47B及び47Cの外面の上端部とである。
【0228】
これによりロック部29は、ロック部カバー29の開口55Aを介して錠40の一端部(すなわち、鍵穴40A)を常に露出させた状態で、錠取付板47を錠傾斜方向及び錠引起方向に回転させて錠40を交差姿勢及び平行姿勢の何れにも切り換えさせることができる。
【0229】
またロック部29は、ロック部カバー55の開口55Aの縁及び収納ユニット左側面27Aと錠取付板47との隙間を塞ぐ目張用シートによって例えば、第三者によりロック部カバー55内に金属製の板や針金等が差し込まれて保護カバー28のロックが不正に解除されることを防止することができる。
【0230】
(1−5)第1の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、現金自動預払機1は、紙幣入出金ユニット11のユニット個別収納部22Aに紙幣収納ユニット12を収納している状態では、ロック部29において錠40を平行姿勢にしている。
【0231】
そして現金自動預払機1は、紙幣入出金ユニット11のユニット個別収納部22Aから紙幣収納ユニット12が引き出された際には、ロック部29において例えば、錠40の一端部に指が掛けられて左側に引かれると、後側ブラケット45及び前側ブラケット46に対して錠取付板47を錠傾斜方向に回転させて錠40を交差姿勢にする。
【0232】
この状態で現金自動預払機1は、錠40の非操作時回転状態の鍵穴40Aに鍵が差し込まれて時計回方向に回転操作されると、これ応じて収納ユニット左側面27Aに対する保護カバー28のロックを解除する。
【0233】
これにより現金自動預払機1は、収納ユニット左側面27Aに対して保護カバー28を開かせて紙幣収納ユニット12のメンテナンスを行わせることができる。
【0234】
この後、現金自動預払機1は、収納ユニット左側面27Aに対して保護カバー28が閉じられて、錠40の鍵穴40Aに差し込まれていた鍵(すなわち、時計回方向に目一杯回転していた鍵)が反時計回方向に回転操作されると、これに応じて収納ユニット左側面27Aに対して保護カバー28をロックする。
【0235】
そのうえで、現金自動預払機1は、ロック部29において例えば、錠40の鍵穴40Aから鍵が引き抜かれた後、当該錠40の一端部に指が掛けられて右側に押されると、後側ブラケット45及び前側ブラケット46に対して錠取付板47を錠引起方向に回転させて錠40を平行姿勢にする。
【0236】
これにより現金自動預払機1は、ロック部29において収納ユニット左側面27Aからの錠40の突出量を極力小さくして、紙幣入出金ユニット11のユニット個別収納部22Aに紙幣収納ユニット12を収納可能な状態にし、当該ユニット個別収納部22Aに紙幣収納ユニット12を押し込ませて収納させる。
【0237】
すなわち、現金自動預払機1に設けられる錠40については、比較的直径の小さいものが選ばれていたとしても、他端部に鍵の回転操作に連動して回転するアーム51等が取り付けられるため、全体の大きさを、これらアーム51等も含めて考えると、直径方向よりも鍵差込方向に大きくなる。
【0238】
このため、係る錠40は、仮に、収納ユニット左側面27Aに鍵差込方向を直交させるように配置されると、当該収納ユニット左側面27Aからの突出量が比較的大きくなる。
【0239】
しかしながら、現金自動預払機1では、基本的に収納ユニット左側面27Aに対し錠40を、鍵差込方向を平行にした平行姿勢で配置しているため、当該収納ユニット左側面27Aからの錠40の突出量が格段的に小さくなる。
【0240】
よって現金自動預払機1では、錠40を平行姿勢にした状態では、錠40の配置スペース(すなわち、錠40の配置に必要な空間)を小さくする(すなわち、収納ユニット左側面27Aと直交する方向の大きさを小さくする)ことができる。
【0241】
従って現金自動預払機1では、紙幣収納ユニット12の収納ユニット左側面27Aと、当該紙幣収納ユニット12を収納する紙幣入出金ユニット11のユニット下側左板22DXの内面との隙間が比較的狭い場合でも、収納ユニット左側面27A上に錠40の配置スペースを十分に確保することができる。
【0242】
そして現金自動預払機1では、このように基本的には収納ユニット左側面27Aに錠40を平行姿勢で配置するものの、鍵の回転操作時には、錠40の姿勢を平行姿勢から収納ユニット左側面27Aに対して鍵差込方向を交差させる交差姿勢に切り換える。
【0243】
従って現金自動預払機1では、錠40の平行姿勢では収納ユニット左側面27Aに近接していた鍵穴40Aを、当該錠40を交差姿勢にすることで収納ユニット左側面27Aから離すことができる。
【0244】
よって現金自動預払機1では、錠40の姿勢を交差姿勢から交差姿勢に切り換えた場合、鍵を保持している手を収納ユニット左側面27Aに何ら接触させることなく、当該鍵を鍵穴40Aに抜き差しさせることができると共に、鍵穴40Aに差し込まれた鍵を回転操作させることができる。
【0245】
以上の構成によれば、現金自動預払機1は、紙幣収納ユニット12の収納ユニット左側面27Aに錠保持部41を取り付け、当該錠保持部41に錠40を、鍵差込方向を収納ユニット左側面27Aと平行にする平行姿勢と、当該鍵差込方向を収納ユニット左側面27Aと交差させる交差姿勢とに切換可能に保持するようにした。
【0246】
これにより現金自動預払機1は、鍵の非回転操作時には錠40を平行姿勢にして収納ユニット左側面27Aからの突出量を小さくし、その結果、錠40の配置スペースを小さくすることができる。
【0247】
また現金自動預払機1は、鍵の回転操作時には錠40を交差姿勢にして鍵穴40Aに鍵を抜き差しさせ易くすることができると共に、鍵穴40Aに差し込まれた鍵を回転操作させ易くすることができる。
【0248】
よって現金自動預払機1は、錠40の配置スペースを小さくしながらも、鍵の操作性を大幅に向上させることができる。
【0249】
また現金自動預払機1は、預払機筐体2内で最も下側に位置する紙幣収納ユニット12において収納ユニット左側面27Aに錠保持部41を配置し、錠40を交差姿勢にした場合、鍵穴40Aを斜め上に向けるようにした。
【0250】
従って現金自動預払機1は、錠40を交差姿勢にした場合、鍵穴40Aに鍵をさらに抜き差しさせ易くすることができると共に、鍵穴40Aに差し込まれた鍵をさらに回転操作させ易くすることができる。
【0251】
さらに現金自動預払機1は、錠保持部41において錠取付板47の天板部47Aに錠40を、当該天板部47Aの一面から錠40の一端部を突出させて取り付けるようにした。
【0252】
従って現金自動預払機1では、錠保持部41において錠40の一端部に指を掛けさせて当該錠40を倒すように引かせ、また起こすように押させることができる。
【0253】
これにより現金自動預払機1は、錠40の姿勢切換の操作用に特別な部品や構造を採用することなく、簡易な構成で錠40の姿勢を容易に切り換えさせることができる。
【0254】
さらに現金自動預払機1は、収納ユニット左側面27Aに錠保持部41の一部とロックレバー54とを覆い、かつ開口54Aを介して錠取付板47を露出させるロック部カバー55を設けると共に、当該ロック部カバー55の開口55Aの縁及び収納ユニット左側面27Aと錠取付板47との隙間を塞ぐように目張用シートを張りめぐらせるようにした。
【0255】
従って現金自動預払機1は、ロック部カバー55及び目張用シートによって例えば、第三者によりロック部カバー55内に金属製の板や針金等が差し込まれて保護カバー28のロックが不正に解除されることを防止することができる。
【0256】
(2)第2の実施の形態
(2−1)現金自動預払機の構成
次いで、第2の実施の形態による現金自動預払機について説明する。係る現金自動預払機は、紙幣入出金ユニットの一部構成と、ロック部との構成を除いて上述した第1の実施の形態による現金自動預払機1(図1及び図2)と同様に構成されている。
【0257】
すなわち、第2の実施の形態による現金自動預払機は、第1の実施の形態において図1及び図2について上述した現金自動預払機1の外観構成及び内部構成と同様の外観構成及び内部構成を有している。
【0258】
よって以下には、第2の実施の形態による現金自動預払機の外観構成及び内部構成については説明を省略し、第1の実施の形態の場合とは異なる紙幣入出金ユニットの一部構成と、ロック部の構成とについて説明する。
【0259】
(2−2)紙幣入出金ユニット及びロック部の構成
図3及び図4との対応部分に同一符号を付した図10及び図11に示すように、紙幣入出金ユニット60は、第1の実施の形態による紙幣入出金ユニット11(図3及び図4)と基本的には同様に構成された入出金ユニット筐体61を有している。
【0260】
ただし、入出金ユニット筐体61は、ユニット個別収納部22Aへの紙幣収納ユニット12の押し込みに応じてロック部62の錠40の姿勢切換をガイドするために、ユニット下側左板61Aの前端部の下寄りの部分に、端面を左斜め前に向けるようにへ字状に屈曲した姿勢切換ガイド61AX(図14(A)参照)が形成されている。
【0261】
一方、図7(A)及び(B)並びに図8(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付した図12(A)及び(B)並びに図13(A)及び(B)に示すように、ロック部62において錠保持部63は、第1の実施の形態による錠取付板47(図7及び図8)と基本的には同様に構成されたコ字状の錠取付板64を有している。
【0262】
すなわち、錠取付板64は、第1の実施の形態による錠取付板47と同様に、一面の中央部に錠40が一端部を当該一面から突出させて取り付けられた天板部64Aと、当該天板部64Aの他面に設けられた一対の脚部64B及び64Cとを有している。
【0263】
ただし、錠取付板64は、天板部64Aの一面において後方向の端部(以下、これを後端部とも呼ぶ)の左寄りに、ローラ回動軸65が植設されている。
【0264】
そしてローラ軸65の先端部は、ローラ66を天板部64Aの一面から離隔させた状態で、当該ローラ66の一面の中央に穿設された貫通孔に挿入されている。
【0265】
すなわち、錠保持部63では、錠40が平行姿勢及び交差姿勢と、これらの切換途中とのどのような姿勢であっても、ローラ66がロック部カバー55及び目張用シートに接触しないように、ローラ回動軸65の先端部に対するローラ66の取付位置が適宜選定されている。
【0266】
これにより錠取付板64は、ローラ回動軸65を介してローラ66を、当該ローラ回動軸65を中心にして時計回方向及び反時計回方向に回動可能に支持している。
【0267】
また錠保持部63では、例えば、錠40が平行姿勢にされた場合、ローラ66の周側面において最も左側の部分(以下、これを周側面左側部分とも呼ぶ)を天板部64Aの左側面64AXよりも左側に突出させる。
【0268】
そして錠保持部63では、錠40が平行姿勢にされた場合、ローラ66の周側面左側部分から収納ユニット左側面27Aまでの距離が、当該収納ユニット左側面27Aからユニット下側左板61Aの内面までの距離とほぼ等しくなるように、ローラ66の直径、及び天板部64Aの一面に対するローラ回動軸65の植設位置が適宜選定されている。
【0269】
このため錠保持部63は、錠40が交差姿勢にされた場合、ローラ66の周側面左側部分を、ユニット下側左板61Aの前方向と平行な内面61AYから伸ばしたような当該前方向と平行な仮想線よりも左側に位置させることができる。
【0270】
従って図14(A)及び(B)に示すように、錠保持部63は、鍵の回転操作後に錠40が交差姿勢にされたまま、紙幣収納ユニット12がユニット個別収納部22Aへの収納のために押されて後方向に移動した場合、ローラ66を、姿勢切換ガイド61AXの左斜め前に向かって傾斜している内面の前寄りに突き当てる。
【0271】
因みに、以下の説明では、姿勢切換ガイド61AXにおいて左斜め前に向かって傾斜している内面を、傾斜内面とも呼ぶ。
【0272】
そして錠保持部63は、紙幣収納ユニット12が後方向に移動している間、姿勢切換ガイド61AXの傾斜内面からユニット下側左板61Aの内面61AYにかけてローラ66を接触させながら反時計回方向に回転させる。
【0273】
ただし、錠保持部63は、この際、姿勢切換ガイド61AXの傾斜内面、及びユニット下側左板61Aの内面61AYによってローラ66が順次右側に押されることにより、これに伴い錠取付板64を錠引起方向に回転させる。
【0274】
そして図15に示すように、錠保持部63は、紙幣収納ユニット12の後方向への移動に伴いローラ66の周側面左側部分がユニット下側左板61Aの内面61AYに接触したときには、錠取付板64の右側面64AYを収納ユニット左側面27Aに当接させて錠40を平行姿勢にする。
【0275】
このようにして錠保持部63は、錠40が交差姿勢にされたまま、紙幣収納ユニット12がユニット個別収納部22Aへの収納のために押されて後方向に移動しても、ローラ66に対する姿勢切換ガイド61AXの傾斜内面からユニット下側左板61Aの内面61AYにかけた押し付けにより、当該錠40を自動的に平行姿勢に戻すことができる。
【0276】
また錠取付板64は、上述のようにローラ66を錠40より後側で支持している。このため錠保持部63は、交差姿勢の錠40において鍵穴40Aに鍵が差し込まれたまま、紙幣収納ユニット12がユニット個別収納部22Aへの収納のために押されて後方向に移動した場合には、その鍵をユニット下側左板61Aに何ら接触させることなく、錠40を平行姿勢に戻すことができる。
【0277】
よって錠保持部63は、錠40の鍵穴40Aから鍵を抜き忘れたまま、紙幣収納ユニット12がユニット個別収納部22Aへの収納のために押されて後方向に移動しても、当該鍵がユニット下側左板61Aに突き当てられて破損することを確実に防止することができる。
【0278】
(2−3)第2の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、現金自動預払機は、紙幣収納ユニット12の収納ユニット左側面27Aに錠保持部63を取り付け、当該錠保持部63に錠40を平行姿勢と交差姿勢とに切換可能に保持する。
【0279】
そして現金自動預払機は、紙幣入出金ユニット60のユニット個別収納部22Aに紙幣収納ユニット12を収納している状態では、錠40を平行姿勢にしておき、当該ユニット個別収納部22Aから紙幣収納ユニット12が引き出された際には、例えば、錠40の一端部に指を掛けて左側に引かせて当該錠40を交差姿勢にさせた上で、鍵穴40Aに鍵を差し込ませて回転操作させる。
【0280】
これに加えて現金自動預払機では、入出金ユニット筐体61においてユニット下側左板61Aの前端部の下寄りの部分に、錠40の姿勢切換をガイドするための姿勢切換ガイド61AXを形成している。
【0281】
また現金自動預払機では、錠保持部63の錠取付板64において天板部64Aの一面の後端部にローラ回動軸65を介してローラ66を回動可能に支持している。
【0282】
そして現金自動預払機は、錠40が交差姿勢にされたまま、紙幣収納ユニット12がユニット個別収納部22Aへの収納のために押されて後方向に移動した場合、姿勢切換ガイド61AXの傾斜内面及びユニット下側左板61Aの内面61AYを順にローラ66に押し付けて当該ローラ66を右側に押すことで、錠取付板64を錠引起方向に回転させる。
【0283】
従って現金自動預払機は、錠40が平行姿勢に戻し忘れて交差姿勢にされたまま、紙幣収納ユニット12がユニット個別収納部22Aへの収納のために押されて後方向に移動しても、当該錠40を自動的に平行姿勢に戻すことができる。
【0284】
以上の構成によれば、現金自動預払機は、紙幣収納ユニット12の収納ユニット左側面27Aに錠保持部63を取り付け、当該錠保持部63に錠40を平行姿勢と交差姿勢とに切換可能に保持すると共に、入出金ユニット筐体61のユニット下側左板61Aに姿勢切換ガイド61AXを形成し、また錠保持部63の錠取付板64において天板部64Aの一面の後端部にローラ回動軸65を介してローラ66を回動可能に支持して、錠40が交差姿勢にされたまま、紙幣収納ユニット12が押されて後方向に移動したときには、姿勢切換ガイド61AXの傾斜内面及びユニット下側左板61Aの内面61AYを順にローラ66に押し付けるようにして、当該ローラ66を右側に押して錠取付板64を錠引起方向に回転させるようにした。
【0285】
これにより現金自動預払機は、上述した第1の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができると共に、これに加えて、錠40が交差姿勢にされたまま、紙幣収納ユニット12がユニット個別収納部22Aへの収納のために押されて後方向に移動しても、当該錠40を自動的に平行姿勢に戻すことができる。
【0286】
従って現金自動預払機は、ユニット個別収納部22Aから引き出されていた紙幣収納ユニット12が、錠40が交差姿勢にされたまま押し戻されても、錠取付板64や錠40がユニット下側左板61Aに突き当てられて破損することを確実に防止することができる。
【0287】
また現金自動預払機は、ユニット個別収納部22Aから引き出された紙幣収納ユニット12が、錠40が交差姿勢にされ、かつ鍵穴40Aに鍵が差し込まれたまま押し戻された場合には、鍵がユニット下側左板61Aに突き当てられて破損することも確実に防止することができる。
【0288】
(3)他の実施の形態
(3−1)他の実施の形態1
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、例えば、錠40の一端部に指を掛けさせて左側に引かせ、また右側に押させるようにして、当該錠40の姿勢を切り換えさせるようにした場合について述べた。
【0289】
しかしながら本発明は、これに限らず、図7との対応部分に同一符号を付した図16に示すように、錠保持部70の錠取付板71において天板部71Aの一面の例えば、前方向の端部の左寄りに突起状の指掛部71AXを設けるようにしても良い。
【0290】
本発明は、係る構成によれば、鍵穴40Aに直接、手を触れさせることなく、指掛部71AXに指を掛けさせて錠取付板71を左側に引かせ、また右側に押させるようにして錠40の姿勢を切り換えさせることができる。
【0291】
よって本発明は、係る構成により、例えば、錠40の内部に鍵穴40Aを介して異物が入り込み、鍵穴40Aに鍵を差し込み難くなること、また鍵穴40Aに差し込んだ鍵を回転操作し難くなることを防止することができる。
【0292】
また本発明は、錠取付板71に指掛部71AXを設ける構成に加え、又は変えて、錠取付板47、64、71に錠傾斜方向に回転するように付勢する、ばねのような弾性体を取り付けるようにしても良い。
【0293】
さらに本発明は、錠取付板71に指掛部71AXを設ける構成に加え、又は変えて、例えば、天板部47A、64A、71Aの左側面寄りに重りを取り付けて、錠取付板47、64、71を、何ら外力が加えられない状態でも錠傾斜方向に回転させるように重心位置を調整するようにしても良い。
【0294】
本発明は、係る構成によれば、紙幣入出金ユニット11、60のユニット個別収納部22Aから紙幣収納ユニット12を引き出すだけで、錠取付板47、64、71を弾性体による付勢、又は重心位置に応じて錠傾斜方向に自動的に回転させて、錠40を平行姿勢から交差姿勢に切り換えることができる。これにより本発明は、紙幣収納ユニット12のメンテナンス時の操作を簡略化することができる。
【0295】
特に本発明は、係る構成を上述の第2の実施の形態による錠保持部63の構成と組み合わせた場合、錠40の姿勢を切り換えるための操作を何ら行わせることなく、当該錠40の姿勢を平行姿勢から交差姿勢へ、また交差姿勢から平行姿勢へと容易に切り換えることができ、紙幣収納ユニット12のメンテナンス時の操作をさらに簡略化することができる。
【0296】
(3−2)他の実施の形態2
また上述した第1の実施の形態においては、例えば、錠取付板47の右側面47AXを収納ユニット左側面27Aに突き当てて錠40を平行姿勢にするようにした場合について述べた。
【0297】
しかしながら本発明は、これに限らず、例えば、収納ユニット左側面27Aに錠取付板47に対応する開口、又は凹部を形成し、当該錠取付板47の少なくとも右側の部分を、開口を介して収納ユニット筐体27内に入り込ませ、又は凹部内に入り込ませるようにして錠40を平行姿勢にするようにしても良い。
【0298】
本発明は、係る構成によれば、錠40を交差姿勢にした場合に、収納ユニット左側面27Aからの当該錠40の突出量を、上述した第1の実施の形態よりもさらに小さくすることができる。
【0299】
よって本発明は、錠40が交差姿勢にされたまま、ユニット個別収納部22Aへの収納のために紙幣収納ユニット12が後方向に押された場合、当該錠40がユニット下側左板22DXに突き当てられることを回避することができる。
【0300】
また本発明は、係る構成によれば、錠40が交差姿勢にされた場合、アーム51のアーム先端部を、上述した第1の実施の形態の場合よりも収納ユニット左側面27Aに近づけることができる。
【0301】
よって本発明は、ロックレバー54を、上述した第1の実施の形態よりも収納ユニット左側面27Aに近づけて配置することができ、当該収納ユニット左側面27Aからのロック部29自体の突出量も小さくすることができる。
【0302】
ところで、本発明は、係る構成を、他の実施の形態1で上述した錠取付板47、64、71に指掛部71AXを設ける構成や、錠取付板47、64、71を自動的に錠傾斜方向に回転させる構成と組み合わせることもできる。
【0303】
そして本発明は、これら構成を組み合わせた場合、錠取付板47、64、71の少なくとも右側の部分を収納ユニット筐体27内に入り込ませ、又は凹部内に入り込ませて錠40を平行姿勢にしても、当該錠40を平行姿勢から交差姿勢へ容易に切り換えることができる。
【0304】
(3−3)他の実施の形態3
さらに上述した第2の実施の形態においては、錠取付板64にローラ66を回動可能に支持するようにした場合について述べた。
【0305】
しかしながら本発明は、これに限らず、錠取付板64に、ローラ66に変えて、ユニット下側左板61Aの姿勢切換ガイド61AXに突き当てるための例えば、テフロン(登録商標)のような摩擦係数の比較的小さい部材で形成された円板や突起部を固設するようにしても良い。
【0306】
そして本発明は、係る構成によっても上述した第2の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0307】
ところで、本発明は、係る構成を、他の実施の形態1で上述した錠取付板64、71を自動的に錠傾斜方向に回転させる構成と組み合わせることもできる。
【0308】
そして本発明は、これら構成を組み合わせた場合も、錠40の姿勢を切り換えるための操作を何ら行わせることなく、当該錠40の姿勢を平行姿勢から交差姿勢へ、また交差姿勢から平行姿勢へと容易に切り換えることができ、紙幣収納ユニット12のメンテナンス時の操作を簡略化することができる。
【0309】
(3−4)他の実施の形態4
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、錠40の交差姿勢を、鍵差込方向を収納ユニット左側面27Aに45度の角度で交差させる姿勢とするようにした場合について述べた。
【0310】
しかしながら本発明は、これに限らず、例えば、錠40の交差姿勢を、鍵差込方向を収納ユニット左側面27Aに90度の角度で交差(すなわち、直交)させる姿勢のように、当該鍵差込方向を収納ユニット左側面27Aに0度よりも大きく180度よりも小さい、この他種々の角度で交差させる姿勢とするようにしても良い。
【0311】
また本発明は、錠40の姿勢を、平行姿勢と交差姿勢とに切換可能にするのではなく、収納ユニット左側面27Aのような錠配置面に錠40を、鍵差込方向を0度よりも大きく90度よりも小さい任意の角度や、90度よりも大きく180度よりも小さい任意の角度で交差させる交差姿勢で固定するようにしても良い。
【0312】
本発明は、係る構成によれば、錠配置面に錠40を、鍵差込方向を90度の角度で交差させる交差姿勢で固定して配置するための配置スペースを確保し難いような場合でも、当該錠40を90度以外の交差姿勢とすることで、錠配置面に錠40を、配置スペースを小さくして(すなわち、錠配置面からの突出量を小さくして)配置することができる。
【0313】
また本発明は、係る構成によれば、錠配置面に錠40を、鍵差込方向を90度の角度で交差させる交差姿勢で配置し得るとしても、このような配置では鍵穴40Aに鍵を差し込み難い、また鍵穴40Aに差し込んだ鍵を回転操作し難いような場合に、当該錠40を90度以外の交差姿勢とすることで、鍵穴40Aに鍵を差し込み易くし、また鍵穴40Aに差し込んだ鍵を回転操作させ易くして操作性を向上させることができる。
【0314】
(3−5)他の実施の形態5
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、錠40を有するロック部29、62を収納ユニット筐体27の収納ユニット左側面27Aに設けるようにした場合について述べた。
【0315】
しかしながら本発明は、これに限らず、錠40を有するロック部29、62を保護カバー28のようなロック対象の配置位置に応じて、収納ユニット筐体27の収納ユニット右側面27Bや上面、前面、また入出金ユニット筐体22、61の入出金ユニット左側面22Dや入出金ユニット右側面22E,上面、前面、さらに預払機筐体2の預払機前面2Aや預払機後面2B、預払機左側面2D、預払機右側面2E、フロントパネル3に設けるようにしても良い。
【0316】
また本発明は、預払機筐体2に、紙幣入出金ユニット11、60及び紙幣収納ユニット12を後側に引出可能なように、筐体後板2BXの少なくとも一部を後扉として開閉可能に取り付け、錠40を有するロック部29、62をロック対象の配置位置に応じて収納ユニット筐体27の後面、また入出金ユニット筐体22、61の後面に設けるようにしても良い。
【0317】
因みに、本発明は、ロック対象としては、上述の保護カバー28以外にも、他の種々のものを覆うカバーや、紙幣収納カセット16乃至18、前扉2BX、後扉、紙幣入出金ユニット11、60、紙幣収納ユニット12、アセンブリ交換可能な機械部品や電子部品等を適用することができる。
【0318】
ところで、本発明は、係る構成のうち、錠40を有するロック部29、62を収納ユニット筐体27の前面や後面、また入出金ユニット筐体22、61の前面や後面に設けるように構成する場合、係る構成を、上述した第2の実施の形態のように錠取付板64にローラ66を回動可能に支持する構成や、他の実施の形態3について上述した錠取付板64に円板や突起部を設ける構成と組み合わせることもできる。
【0319】
そして本発明は、このように構成を組み合わせる場合、前扉2AXの内面や、後扉の内面を姿勢切換ガイドとして利用して、預払機筐体2に対し前扉2AXや後扉を閉じたときに、これらの内面をローラ66や円板、突起部に押し付けるようにして、これに応じて錠40の姿勢を交差姿勢から平行姿勢に自動的に切り換えるようにしても良い。
【0320】
(3−6)他の実施の形態6
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明の施錠装置を、図1乃至図16について上述した現金自動預払機1に設けられたロック部29、62に適用するようにした場合について述べた。
【0321】
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)や両替機、飲料やタバコ等の自動販売機、電車の切符や観劇のチケット等を販売する券売機、精算機、パチンコ台やスロット台のような遊戯機等のような、この他種々の装置に設けられるロック部に広く適用することができる。
【0322】
また本発明は、施錠装置を、錠を有し、鍵穴に差し込まれた鍵の回転操作により通電をオンオフするためのキースイッチ、金庫やロッカーの扉に設けられる施錠装置等のように、錠を有するこの他種々の施錠装置にも広く適用することができる。
【0323】
(3−7)他の実施の形態7
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明の現金自動取引装置を、図1乃至図16について上述した現金自動預払機1に適用するようにした場合について述べた。
【0324】
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動支払機や両替機、飲料やタバコ等の自動販売機、電車の切符や観劇のチケット等を販売する券売機、精算機、パチンコ台やスロット台のような遊戯機等のように、この他種々の現金自動取引装置に広く適用することができる。
【0325】
(3−8)他の実施の形態8
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、鍵が差し込まれる鍵穴を有する錠として、図1乃至図16について上述した錠40を適用するようにした場合について述べた。
【0326】
しかしながら本発明は、これに限らず、他の実施の形態6で上述したキースイッチのように、この他種々の構成の錠を広く適用することができる。
【0327】
(3−9)他の実施の形態9
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、所定の錠配置面に取り付けられ、錠を、鍵穴に対する鍵の鍵差込方向を錠配置面と平行にする平行姿勢と、鍵差込方向を錠配置面と交差させる交差姿勢とに切換可能に保持する錠保持部として、図1乃至図16について上述した錠保持部41、63、70を適用するようにした場合について述べた。
【0328】
しかしながら本発明は、これに限らず、錠をスライド可能に保持し、当該錠をスライドさせながら平行姿勢と交差姿勢とに切り換える錠保持部のように、この他種々の構成の錠保持部を広く適用することができる。
【0329】
(3−10)他の実施の形態10
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、錠保持部が取り付けられる所定の錠配置面として、図1乃至図16について上述した収納ユニット左側面27Aを適用するようにした場合について述べた。
【0330】
しかしながら本発明は、これに限らず、他の実施の形態で上述した凹部の底面、他の実施の形態5で上述した収納ユニット筐体27の収納ユニット右側面27Bや上面、前面、後面、また入出金ユニット筐体22、61の入出金ユニット左側面22Dや入出金ユニット右側面22E,上面、前面、後面、さらに預払機筐体2の預払機前面2Aや預払機後面2B、預払機左側面2D、預払機右側面2E、フロントパネル3等のように、この他、錠が配置される種々の装置の種々の面を錠配置面として広く適用することができる。
【0331】
(3−11)他の実施の形態11
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、錠保持部に保持された錠を隠蔽し、また露出させる隠蔽露出部として、図1乃至図16について上述した、入出金ユニット筐体22、61のユニット下側左板22DX、61Aを適用するようにした場合について述べた。
【0332】
しかしながら本発明は、これに限らず、他の実施の形態5で上述した預払機筐体2の前扉2AXや後扉等のように、この他種々の隠蔽露出部を広く適用することができる。
【0333】
ところで、本発明は、例えば、錠を錠保持部と共に、錠配置面に設けられた凹部内に収納して、当該凹部内で錠を平行姿勢と交差姿勢とに切り換えるようにする。
【0334】
そして本発明は、凹部の開口に、板状の保護板を例えば、平行姿勢の錠の鍵差込方向及びこれとは逆の方向にスライド可能に設け、又はシャッタを例えば、平行姿勢の錠の鍵差込方向及びこれとは逆の方向に可動するように設けるようにして、これら保護板又はシャッタを隠蔽露出部として適用するようにしても良い。
【0335】
すなわち、本発明は、例えば、錠保持部に錠の交差姿勢において凹部の開口から外部に突出するローラや円板、突起部等を設け、当該凹部の開口に対して保護板やシャッタで閉じて錠を隠蔽する際、その保護板やシャッタの内面をローラや円板、突起部等に押し付けるようにして、これに応じて錠を交差姿勢から平行姿勢に切り換えるようにしても良い。
【0336】
(3−12)他の実施の形態12
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、錠保持部に保持された錠を隠蔽し、また露出させる隠蔽露出部による交差姿勢の錠の隠蔽に応じて、当該錠を交差姿勢から平行姿勢に切り換える姿勢交差平行切換部として、図1乃至図16について上述したローラ66を適用するようにした場合について述べた。
【0337】
しかしながら本発明は、これに限らず、ばねのような弾性体や重心位置を調整した錠取付板、他の実施の形態3で上述した円板や突起部等のように、この他種々の姿勢交差平行切換部を広く適用することができる。
【0338】
ところで、本発明は、他の実施の形態11で上述したように、錠を錠保持部と共に、錠配置面に設けられた凹部内に収納して、当該凹部内で錠を平行姿勢と交差姿勢とに切り換えるようにする。
【0339】
また本発明は、凹部の開口に、板状の保護板を例えば、平行姿勢の錠の鍵差込方向及びこれとは逆の方向にスライド可能に設け、又はシャッタを例えば、平行姿勢の錠の鍵差込方向及びこれとは逆の方向に可動するように設けると共に、その保護板又はシャッタに一端部を接続したワイヤの他端を例えば、錠に接続する。
【0340】
これにより本発明は、保護板を移動させ又はシャッタを可動して凹部の開口を開いたときには、当該保護板又はシャッタによりワイヤを引いて錠を平行姿勢から交差姿勢に自動的に切り換える。
【0341】
そして本発明は、保護板を移動させ又はシャッタを可動して凹部の開口を閉じたときには、それまで引いていたワイヤを撓ませることで、これに応じて弾性体や重心位置を調整した錠取付板により錠を交差姿勢から平行姿勢に自動的に切り換える。
【0342】
本発明は、例えば、このように係る構成によって、弾性体や重心位置を調整した錠取付板を、姿勢交差平行切換部として適用することができる。
【0343】
(3−13)他の実施の形態13
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、隠蔽露出部による平行姿勢の錠の露出に応じて、当該錠を平行姿勢から交差姿勢に切り換える姿勢平行交差切換部として、他の実施の形態1で上述した弾性体や、重心位置を調整した錠取付板47、64、71を適用するようにした場合について述べた。
【0344】
しかしながら本発明は、これに限らず、他の実施の形態12で上述した保護板やシャッタと、当該保護板やシャッタに接続されたワイヤ等とのように、この他種々の姿勢平行交差切換部を広く適用することができる。
【0345】
(3−14)他の実施の形態14
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、錠が、鍵穴の穿設された一端部を一面から突出させて取り付けられる錠取付部として、図1乃至図16について上述したコ字状の錠取付板47、64、71を適用するようにした場合について述べた。
【0346】
しかしながら本発明は、これに限らず、錠を、鍵穴の穿設された一端部を一面から突出させて取り付けることができれば、この他種々の形状の錠取付部を広く適用することができる。
【0347】
(3−15)他の実施の形態15
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、錠取付部を一方向及び他方向に回転可能に支持する支持部として、図1乃至図16について上述した後側ブラケット45、前側ブラケット46及び錠回動軸49を適用するようにした場合について述べた。
【0348】
しかしながら本発明は、これに限らず、錠取付部を一方向及び他方向に回転可能に支持することができれば、この他種々の構成の支持部を広く適用することができる。
【0349】
(3−16)他の実施の形態16
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、引出可能な紙幣収納ユニットとして、図1乃至図16について上述した紙幣収納ユニット12を適用するようにした場合について述べた。
【0350】
しかしながら本発明は、これに限らず、預払機筐体2のユニット一括収納部2Fから当該預払機筐体2の後側に引出可能な紙幣入出金ユニット11のユニット個別収納部22Aから預払機筐体2の後側に引出可能な紙幣収納ユニット12や、預払機筐体2に単独で当該預払機筐体2の前側又は後側に引出可能に設けられた紙幣収納ユニット12に適用することができる。
【0351】
また本発明は、係る紙幣収納ユニットを、金種別の複数の紙幣収納カセットのみが着脱可能に装着される紙幣収納ユニット12や、当該金種別の複数の紙幣収納カセットと共にリジェクト紙幣用の紙幣収納カセットが着脱可能に装着される紙幣収納ユニット等のように、この他種々の構成の紙幣収納ユニットにも広く適用することができる。
【0352】
(3−17)他の実施の形態17
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、紙幣収納ユニットの側面に配置される所定の保護対象として、図1乃至図16について上述したコネクタ及び操作部を適用するようにした場合について述べた。
【0353】
しかしながら本発明は、これに限らず、コネクタのみや操作部のみ等のように、この他種々の保護対象を広く適用することができる。
【0354】
(3−18)他の実施の形態18
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、紙幣収納ユニットの側面に保護対象を隠蔽及び露出可能に設けられ、保護対象を保護するための保護カバーとして、図1乃至図16について上述した収納ユニット左側面27Aに開閉可能に取り付けられた箱型の保護カバー28を適用するようにした場合について述べた。
【0355】
しかしながら本発明は、これに限らず、一端部に所定形状のロックレバーと係合可能な所定形状のロックプレート又はロックピンが取り付けられ、紙幣収納ユニットの側面にスライド可能に設けられたコ字状の保護カバーのように、この他種々の構成の保護カバーを広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0356】
本発明は、現金自動預払機や現金自動支払機に設けられたロック部等の施錠装置と、現金自動預払機や現金自動支払機等の現金自動取引装置とに利用することができる。
【符号の説明】
【0357】
1……現金自動預払機、11、60……紙幣入出金ユニット、12……紙幣収納ユニット、22、61……入出金ユニット筐体、22DX、61A……ユニット下側左板、27……収納ユニット筐体、27A……収納ユニット左側面、28……保護カバー、29、62……ロック部、40……錠、40A……鍵穴、41、63、70……錠保持部、45……後側ブラケット、46……前側ブラケット、47、64、71……錠取付板、49……錠回動軸、61AX……姿勢切換ガイド、66……ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵が差し込まれる鍵穴を有する錠と、
所定の錠配置面に取り付けられ、上記錠を、上記鍵穴に対する上記鍵の鍵差込方向を上記錠配置面と平行にする平行姿勢と、上記鍵差込方向を上記錠配置面と交差させる交差姿勢とに切換可能に保持する錠保持部と
を具える施錠装置。
【請求項2】
上記錠保持部に保持された上記錠を隠蔽し、また露出させる隠蔽露出部による上記交差姿勢の上記錠の隠蔽に応じて、当該錠を上記交差姿勢から上記平行姿勢に切り換える姿勢交差平行切換部
を具える請求項1に記載の施錠装置。
【請求項3】
上記隠蔽露出部による上記平行姿勢の上記錠の露出に応じて、当該錠を上記平行姿勢から上記交差姿勢に切り換える姿勢平行交差切換部
を具える請求項2に記載の施錠装置。
【請求項4】
上記錠保持部は、
上記錠が、上記鍵穴の穿設された一端部を一面から突出させて取り付けられる錠取付部と、
上記錠取付部を一方向及び他方向に回転可能に支持する支持部と
を有し、上記錠取付部を上記一方向に回動させて上記錠を上記平行姿勢から上記交差姿勢に切り換え、上記錠取付部を上記他方向に回動させて上記錠を上記交差姿勢から上記平行姿勢に切り換える
請求項1に記載の施錠装置。
【請求項5】
上記錠取付部は、
上記一面に指掛部が突設された
請求項4に記載の施錠装置。
【請求項6】
鍵が差し込まれる鍵穴を有する錠と、
本装置の所定の錠配置面に取り付けられ、上記錠を、上記鍵穴に対する上記鍵の鍵差込方向を上記錠配置面と平行にする平行姿勢と、上記鍵差込方向を上記錠配置面と交差させる交差姿勢とに切換可能に保持する錠保持部と
を具える現金自動取引装置。
【請求項7】
引出可能な紙幣収納ユニット
を具え、
上記錠保持部は、
上記錠配置面として上記紙幣収納ユニットの側面に取り付けられ、上記錠を上記平行姿勢と上記交差姿勢とに切換可能に保持する
請求項6に記載の現金自動取引装置。
【請求項8】
上記紙幣収納ユニットの上記側面に配置される所定の保護対象と、
上記紙幣収納ユニットの上記側面に上記保護対象を隠蔽及び露出可能に設けられ、上記保護対象を保護するための保護カバーと
を具え、
上記錠は、
上記鍵穴に差し込まれた上記鍵が、上記紙幣収納ユニットの上記側面に対する上記保護カバーのロック、及び当該ロックの解除のために操作される
請求項7に記載の現金自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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