説明

旅行かばん物品およびその構成方法

本発明は、旅行かばん物品およびその構成方法を提供するものであり、形状画定骨組構造物を含み、この形状画定骨組構造物は、二つの長さ画定部材を含み、各長さ画定部材の一端には、牽引ハンドルの一部が伸縮自在に組み入れられるとともに、各長さ画定部材の他端には車輪が配置されており、車輪の実質部分が形状画定骨組構造物内に収容される。好適には、車輪は、スーツケースの角部に配置され、スーツケースは更に、ケースの鋭い縁部に面取りされた形状画定部を含み、それにより、より頑丈な構造をもたらす。更に、車輪ハウジングと同一の垂直平面内に伸縮式ハンドルを配置することにより、牽引をより安定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅行者が使用するスーツケースやトロリーケース等の旅行かばんの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
このような旅行かばん物品は、所謂「ソフト型」スーツケースと、「ハード型」スーツケースとの2つの主要な種類を含むと考えることができる。
従来、「ハード型」スーツケースは、二枚以上の熱成形されたパネルから構成される。パネルは、十分な剛性を有する材料から製造され、実質的な骨組がない状態でも所望の形状を保持でき、また、日常の使用において受ける種々の衝撃に対して、頑強であり、弾性的であり、且つ高い耐久性を有する。さらに、ハード型スーツケースという用語は、その壁部、上部および下部が、刃物や針によって容易に貫通されないスーツケースに用いられる。
【0003】
「ソフト型」スーツケースという用語は、金属製または適切なプラスチック材料製の内部フレームによって支持される柔軟な外部カバーを備えるスーツケースであって、内部フレームが、スーツケースの外観を規定するように、スーツケースの基部の上部および下部の全周囲の周りに延びるスーツケースに用いられる。
【0004】
また、両種類のケースに、収容位置又は格納位置と、伸長させられた使用者用スーツケース牽引位置との間で移動可能な牽引ハンドル構造物を設けることも知られている。多くの場合、少なくとも一対の車輪が、使用者によるスーツケースの移動を容易にするために、設けられる。しかしながら、ソフト型ケースの車輪は、付加的な合板、PE板、又は樹脂板を用いて取り付けられるため、ケースの重量が増加する。
【0005】
牽引ハンドル機構を、車輪又はローラと合わせて設けることにより、使用者が、スーツケースを持ち運ぶ必要がなくなる。また、実際には、車輪又はローラの使用は、混雑した空港のような場所において、スーツケースの通常操作を著しく容易にする。
【0006】
「ハード型」又は「ソフト型」スーツケースの実質的な構造にかかわらず、従来の牽引ハンドル機構は、スーツケースの基部の骨組の実質的構造に少なくとも一対の付加的な管状部材を設け、実際の牽引ハンドルとして作用するU字形組立体のリムを管状部材に伸縮自在に係合させることによって設けられていた。
【0007】
実際には、このような付加的な管は、管をスーツケースの骨組に取り付けるためのさらなる手段を設ける必要があるため、スーツケース自体の総重量を大幅に増加させ得る。
世界的に見て、近年の旅行の多くは、航空機を利用するものであり、また、周知であるように、航空路線を経営する多くの会社は、旅行者が航空機内に持ち込み可能な荷物の総重量の上限を頻繁に引き下げていることを考慮すると、スーツケースの重量を増加させることは不都合である。実際のところ、最もよく利用されるフライトグループ、即ち、所謂旅行者グレードに関して、定期便であれ、或いはチャータ便であれ、乗員一人に対して認められる持ち込み可能な手荷物の重量は、徐々に減少している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の上記問題を解決し、或いは少なくとも軽減させる旅行かばん物品の構成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、第一実施形態において、本発明は、形状画定骨組構造物を提供し、該形状画定骨組構造物は、二つの長さ画定部材を含み、各長さ画定部材の一端において、牽引ハンドルの一部が伸縮自在に組み入れられ、且つ、各長さ画定部材の他端には車輪が配置されており、車輪の実質部分が、形状画定骨組構造物内に収容される。
【0010】
好適には、形状画定骨組構造物は、複数の長尺状部材から形成され、各長尺状部材は、端部において、前記長尺状部材のうちの他の二つと連結される。
また好適には、複数の長尺状部材は、四つの長さ画定長尺状部材と、四つの幅画定長尺状部材と、四つの深さ画定長尺状部材とを含む。
【0011】
また好適には、長尺状部材は、端部において、四組の三方向連結片によって相互に連結される。
好適には、前記三方向連結片の一組は、車輪の実質部分が形状画定骨組構造物内に収容されるように形成される。
【0012】
また好適には、本発明は、形状画定部を更に含むこと、形状画定部がスーツケースの幅に亘り、スーツケースの形状を画定すること、及び形状画定部は湾曲していることの少なくとも一つの特徴を有する。
【0013】
更に好適には、車輪は、スーツケースの角部に配置される。
本構成によれば、車輪が使用時に破損する可能性を低減し、見た目をより良くし、且つケースの安定性を向上させる。安定性の利点については、従来技術のスーツケースよりも、ケースが地面へ向かってより低く配置されていることに起因しており、これにより、スーツケースの重心が低くなって、使用時に転倒したり、回転したりする可能性が少なくなる。伸縮式ハンドルを車輪ハウジングと同じ垂直面内に配置しているため、牽引がより安定する。従来のケースでは、牽引ハンドルはより中心に近接して配置されており、これにより、一つ以上の車輪が横方向に引っ張られてしまい、バランスが失われることがある。
【0014】
第二態様において、本発明は、形状画定骨組構造物を提供するものであり、形状画定骨組構造物は、幅画定長尺状部材を含み、幅画定長尺状部材は形状画定部をさらに含む。
好適には、形状画定骨組構造物は、複数の長尺状部材から形成され、各長尺状部材は、端部において、長尺状部材のうちの他の二つに連結される。
【0015】
更に好適には、複数の長尺状部材は、四つの長さ画定長尺状部材と、四つの幅画定長尺状部材と、四つの深さ画定長尺状部材とを含む。
好適には、長尺状部材は、端部において、四組の三方向連結片によって相互に連結される。
【0016】
好適には、長尺状部材は、端部において、二つの三方向連結片によって、長尺状部材のうちの他の二つに連結される。
更に好適には、形状画定部分は湾曲している。
【0017】
好適には、本発明は、少なくとも一つの車輪を更に含むこと、及び車輪の実質部分が形状画定骨組構造物内に収容されることの少なくともいずれか一方の特徴を備える。
好適には、前記三方向連結片の一組は、一組の車輪の実質部分が形状画定骨組構造物内に収容されるように形成される。
【0018】
また好適には、牽引ハンドルは、U字形フレームを形成するために、クロスバーによって間隔があけられた第一対の平行リムを含み、この第一対の平行リムは、二つの管状の長さ画定長尺状部材に伸縮自在に係合可能である。
【0019】
更に好適には、牽引ハンドルの第一対の平行リムは、格納位置および伸長位置の間において、二つの管状の長さ画定長尺状部材から伸縮自在に移動可能である。
好適には、牽引ハンドルは、牽引ハンドルの第一対の平行リムに伸縮自在に係合可能な第二対の平行リムを含む。
【0020】
好適には、第一および第二態様に係り、形状画定骨組構造物において、ケースが直立位置にある時にケースを支持する位置に配置される二つの支持脚を含む。
効果としては、スーツケースは、その最も損傷を受け易い角部において、破損および磨耗から保護される。牽引式トロリーケースでは、通常、その短い側面が上向きになるように配向される。そのため、ケースの上縁および下縁は、使用時に多くの負荷を受け、より鋭い縁部において生じ得る破損を防止するために、上縁および下縁領域に形成された部分の保護が必要となる。
【0021】
第三態様において、本発明は、旅行かばん物品の構成方法を提供するものであり、二つの長さ画定部材を含む形状画定骨組構造物を形成する工程と、各長さ画定部材の一端に、伸縮式の牽引ハンドルの一部を組み入れるとともに、各長さ画定部材の他端に車輪を配置する工程であって、車輪の実質部分を、形状画定構造物内に収容するように車輪を配置する工程とを備える。
【0022】
好適には、複数の長尺状部材から形状画定骨組構造物を形成する工程であって、各長尺状部材が、端部において、長尺状部材のうちの他の二つに連結されるように前記形状画定骨組構造物を形成する工程をさらに備える。
【0023】
好適には、複数の長尺状部材は、四つの長さ画定長尺状部材と、四つの幅画定長尺状部材と、四つの深さ画定長尺状部材とを含む。
また好適には、長尺状部材を端部において、四組の三方向連結片によって相互連結させる工程を更に含む。
【0024】
更に好適には、車輪の実質部分が形状画定骨組構造物内に収容されるように、一組の三方向連結片を形成する工程を含む。
好適には、本発明は、形状画定部を設ける工程を更に含むこと、形状画定部がスーツケースの形状を幅方向に画定すること、及び形状画定部が湾曲していることの少なくとも一つの特徴を備える。
【0025】
また好適には、車輪をスーツケースの角部に配置する工程を含む。
第四態様において、本発明は、形状画定骨組構造物を形成する工程を含む旅行かばん物品の構成方法を提供するものであり、形状画定骨組構造物は幅画定長尺状部材を含み、幅画定長尺状部材は、形状画定部をさらに含む。
【0026】
好適には、複数の長尺状部材から形状画定骨組構造物を形成する工程を更に含み、各長尺状部材は、端部において、前記長尺状部材のうちの他の二つに連結される。
更に好適には、複数の長尺状部材は、四つの長さ画定長尺状部材と、四つの幅画定長尺状部材と、四つの深さ画定長尺状部材とを含む。
【0027】
また好適には、本発明は、長尺状部材を端部において、四組の三方向連結片によって相互に連結する工程をさらに含むこと、及び長尺状部材を端部において、二つの三方向連結片によって前記長尺状部材のうちの他の二つに連結する工程をさらに含むことの少なくとも一方の特徴を有する。
【0028】
好適には、本発明は、形状画定部は湾曲していること、及び少なくとも一つの車輪を更に含むことの少なくとも一方の特徴を有する。車輪の実質部分は、形状画定骨組構造物内に収容される。
【0029】
好適には、一組の車輪の実質部分が形状画定骨組構造物内に収容されるように、三方向連結片の一つを形成する工程を更に含む。
好適には、二つの支持脚を形状画定骨組構造物において、ケースが直立位置にある時にケースを支持する位置に設ける工程を更に含む。
【0030】
本発明の一実施形態を、一例として、図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態の「ソフト型」スーツケースにおいて、支持骨組構造物および牽引ハンドル組立体を示す概略図。
【図2】図1のソフト型スーツケースの分解状態を示す概略図。
【図3】二つの上側連結片の構成を特に詳細に示す図1のスーツケースの上側部分を示す概略図。
【図4】二つの下側連結片および車輪組立体の構成を特に詳細に示す図1のスーツケースの下側部分を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の一実施形態の概要を示すために、図1は、直立位置におけるソフト型スーツケースを、カバーを省略した状態で示している。
スーツケース骨組20は、矩形の下側及び後側フレーム部16と、対応する矩形の上側及び前側フレーム部17と、四つで一組となる長尺状スペーサ部材18とを備え、長尺状スペーサ部材18は、前側部および後側部16、17を、相互に離間した状態で連結して、スーツケースの側面、端面、ひいては深さを有効に画定する。
【0033】
下側及び後側フレーム部16は、スーツケースの長さを画定する二つの後側の長さ画定長尺状部材6と、後側の長さ画定長尺状部材6より短く、かつスーツケースの幅を画定する二つの幅画定長尺状部材21及び22とを含む(図2に、上側の幅画定長尺状部材22の全体が示されている)。
【0034】
上側及び前側フレーム部17は同様に、二つの長さ画定長尺状部材13と、相対的に短い二つのさらなる幅画定長尺状部材21及び22とを含む。
異なる四種類の連結片が、以下に説明されるように、長さ画定部材、幅画定部材および深さ画定部材を連結する。下側及び後側フレーム部16において、二つの後側の長さ画定長尺状部材6は、第一連結片4によって、上側の幅画定長尺状部材22に取り付けられる。二つの後側の長さ画定長尺状部材6は、第二連結片9によって、下側の幅画定長尺状部材21に取り付けられる。
【0035】
上側及び前側フレーム部17において、スーツケースの長さを画定する二つの前側の長さ画定長尺状部材13は、第三連結片5によって、上側の幅画定長尺状部材22に取り付けられる。二つの前側の長さ画定長尺状部材13は、第四連結片12によって、下側の幅画定長尺状部材21に取り付けられる。
【0036】
従って、全ての連結片4、5、9及び12は、異なる三種類の長尺状部材に連結しており、図3および図4を参照して、更に詳細に説明される。
スーツケースは、下側及び後側フレーム部16の構造を利用する牽引ハンドル組立体19をさらに備えており、スーツケースの上部に牽引ハンドル組立体19を形成するために、相対的に長い後側の長さ画定長尺状部材6が利用される。
【0037】
牽引ハンドル組立体19は、クロスバー7によって互いに間隔があけられた平行リム8を備えたU字形フレームを含み、U字形フレームは一つの部品として一体に形成されてもよい。リム8は、下側及び後側フレーム部16の相対的に長い管状の後側の長さ画定長尺状部材6に入れ子状に伸縮するように係合する。
【0038】
リム8の作動長さは、クロスバー7が隣接するスーツケースの上側カバーに接触して支持される状態で、ハンドル組立体19を格納又は収容できるように定められる。
スーツケースはまた、リム8が貫通して突出する樹脂製のカバー部3を備える。カバー部3は、上側の第一連結片4に部分的に取り付けられており、これは図2および図3を参照して、より詳細に示される。カバー部3は、スーツケースのこの特定領域を補強する。
【0039】
実際には、リム8は、利用者にとって快適な牽引設定位置にクロスバー7を配置可能な単一の長さを有する管又は棒を含んでよい。このような単一の長さのリムを形成することは、長さがより短いスーツケースにおいて、特に使用される。
【0040】
更に、リム8は、当該技術分野において周知の二段、或いは三段式の伸縮式構成(図示略)を備えていてもよい。
使用時に、ハンドル組立体19が後側の長さ画定長尺状部材6から離脱しないことを保証する手段(図示略)が設けられてもよい。
【0041】
スーツケースには、車輪10および支持脚14が設けられる。車輪10は、車輪ハウジング11内に配置され、車輪ハウジング11は第二連結片9に取り付けられる。車輪10は、車輪ハウジング11に連結される。支持脚14は、第四連結片12に連結される。
【0042】
湾曲した形状画定部材1、2および15が、スーツケースの上側および下側の鋭い縁部に対する面取りのために設けられる。それにより、前述したように、スーツケースは、その最も損傷を受けやすい角部において、破損および磨耗から保護される。牽引式トロリーケースでは、通常、その短い側面が上向きになるように配向される。そのため、ケースの上縁および下縁は、使用時に多くの負荷を受け、より鋭い縁部において生じ得る破損を防止するために、上縁および下縁領域に形成された部分の保護が必要となる。形状画定部材1、2および15は、PE板から形成されるが、成形樹脂、又は任意の他の適当な材料から作られてもよい。
【0043】
第一の形状画定部材15は、二つの車輪10の間に設けられ、その両端部は、それぞれ第二連結片9に連結されても良い。
二つの別の形状画定部材1及び2は、それぞれ上側の第一連結片4の間および第三連結片5の間に設けられ、各形状画定部材1及び2の両端部は、必要に応じて、それぞれ上側の連結片4および5に連結されても良い。形状画定部材1、2および15は、接着剤、熱シール、又はボルトによって、対応の連結片4、5に固定されてよいが、本実施形態では、固定されていない。当業者には明白であるが、形状画定部材1、2および15は、一つの部品として一体に成形されるとともに、対応の連結片の一部として形成されてもよい。
【0044】
図2は、図1のソフト型スーツケースの分解状態を概略的に示す。スーツケース骨組20が示されており、二つの前側の長さ画定長尺状部材13と、二つの後側の長さ画定長尺状部材6と、四つで一組となる長尺状スペーサ部材18とを備え、長尺状スペーサ部材18は、前側の長さ画定長尺状部材13および後側の長さ画定長尺状部材6を、相互に離間した状態で連結して、スーツケースの側面、端面、ひいては深さを有効に画定する。
【0045】
相対的に長い二つの画定長尺状部材6は、相対的に短い二つの幅画定長尺状部材21の一方と、相対的に短い二つの幅画定長尺状部材22の一方とに連結して、スーツケースの幅を画定する。
【0046】
前側の長さ画定長尺状部材13は、図1および図2に示すように、前記幅画定長尺状部材21の他方と、前記幅画定長尺状部材22の他方とに連結する。
異なる四種類の連結片は、以下で説明するように、長さ画定長尺状部材、幅画定長尺状部材、および深さ画定長尺状部材を連結する。二つの後側の長さ画定長尺状部材6は、第一連結片4によって、上側の幅画定長尺状部材22に取り付けられる。二つの後側の長さ画定長尺状部材6は、第二連結片9によって、下側の幅画定長尺状部材21に取り付けられる。
【0047】
二つの前側の長さ画定長尺状部材13は、第三連結片5によって、上側の幅画定長尺状部材22に取り付けられる。二つの前側の長さ画定長尺状部材13は、第四連結片12によって、下側の幅画定長尺状部材21に取り付けられる。
【0048】
全ての連結片4、5、9および12は、異なる三種類の長尺状部材に連結しており、図3および図4を参照して、更に詳細に説明される。
スーツケースは、スーツケース骨組20の構造を利用する牽引ハンドル組立体19をさらに備えており、スーツケースの上部に牽引ハンドル組立体19を形成するために、二つの後側の長さ画定長尺状部材6が利用される。
【0049】
牽引ハンドル組立体19は、クロスバー7によって互いに間隔があけられた平行リム8を備えたU字形フレームを含み、U字形フレームは一つの部品として一体に形成されてもよい。リム8は、下側及び後側フレーム部16の相対的に長い管状の後側の長さ画定長尺状部材6に、伸縮自在に係合する。リム8は、アルミニウム又は任意の他の適当な材料から作られてよい。軟質のカバー部が、クロスバー7上に設けられてもよい。
【0050】
図示されているように、樹脂製のカバー部3が設けられており、カバー部3を通ってリム8が突出する。
スーツケースには、車輪10および支持脚14が設けられる。車輪10は、車輪ハウジング11内に配置され、車輪ハウジング11は第二連結片9に取り付けられる。車輪10は、車輪ハウジング11に連結される。支持脚14は、第四連結片12に連結される。
【0051】
湾曲した形状画定部材1、2および15は、図1を参照して前述したように、スーツケースの特定領域の縁部の面取りのために設けられている。また、形状画定部材1、2および15は、PE板から形成されるが、成形樹脂又は任意の他の適当な材料から作られてもよい。
【0052】
第一の形状画定部材15は、二つの車輪10の間に設けられており、その両端部は、それぞれ第二連結片9に連結されてもよい。
二つの別の形状画定部材1及び2は、それぞれ上側の第一連結片4の間および第三連結片5の間に設けられ、必要に応じて、各形状画定部材1及び2の両端部は、それぞれ上側の連結片4および5に連結されても良い。形状画定部材1、2および15は、例えば接着剤、熱シール又はボルトによって、対応の連結片4及び5に固定されてよい。当業者には明白であるが、形状画定部材1、2および15は、一つの部品として一体に成型されるとともに、対応の連結片の一部として形成されてもよい。
【0053】
スーツケース骨組の構造を、図3および図4を参照して、以下に詳細に説明する。図3および図4は、スーツケース本体カバーが省略された状態のスーツケース骨組の上側部分および下側部分を示す。
【0054】
図3は、図1のスーツケースの上側部分を詳細に、即ち、二つの上側の連結片の構成を概略的に示す。
上述したように、骨組20は、後側の長さ画定長尺状部材6と、深さ画定長尺状部材18とを備え、これらは、二種類の連結片4及び5によって前側の長さ画定長尺状部材13に連結される。
【0055】
従って、図3に示すように、上側かつ後側の第一連結片4は、管状中央部分25と、相対的に小径の二つの管状要素23及び24とを備えており、管状中央部分25は、対応する後側の長さ画定長尺状部材6の上端領域上に堅固に締り嵌めされ、管状要素23及び24は、互いに直角に、かつスーツケース本体の軸線方向に直交するように延びている。
【0056】
上側かつ後側の連結片4は、本体25と、対応の管状要素23および24との間の角度関係を維持するように、骨組下側部の両側(図示なし)に連結する必要があるため、左側嵌合連結片および右側嵌合連結片を設ける必要がある。
【0057】
図3において、本体25は互いに平行であるが管状要素23および24は、互いに向かって配向されている。相対的に小径の各管状要素23は、長尺状スペーサ部材18の端部を嵌め込み式で受入れるよう構成されており、相対的に小径の管状要素24は、幅画定長尺状部材22の端部に嵌め込み式で連結される。
【0058】
上側かつ後側の連結片4は(図2および図3に示すように)、長尺状部材6に取り付けられた後に、牽引ハンドル組立体19のリム8を受入れるように開口している。
本体25、管状要素23および24の内径は、係合する長尺状部材との確実な嵌合の所望の堅牢性を可能にするように定められる。
【0059】
従って、上側かつ前側の連結片5は、三方向連結片であり、上側かつ後側の連結片4と同様に作用するが、上側かつ前側の連結片5は牽引ハンドル組立体19のリム8を受入れない点で連結片4と異なる。上側かつ前側の連結片5は、三つの長尺状部材22、18および13のそれぞれに確実に係合する。
【0060】
上側の連結片4及び5は、成形樹脂から作られるが、任意の適当な材料から構成されてもよい。上側かつ前側の形状画定部材1および上側かつ後側の形状画定部材2は、図3にも示されている。
【0061】
図4は、図1のスーツケースの下側部分を詳細に、即ち、二つの下側の連結片および車輪組立体の構成を概略的に示す。
下側かつ後側の連結片9は、スーツケース本体の下端において、車輪10およびスーツケースの下側の間を連結するために利用される。
【0062】
次に図4を参照すると、二つの車輪のうち、一方の車輪ハウジング11に取り付けられる一方の車輪が概略的に示されており、この車輪ハウジング11はまた、ピン又はねじ等の任意の適切な手段によって、二つの下側かつ後側の連結片9の一方に連結される。車輪ハウジング11および車輪連結片9の各々は、車輪の実質部分が、事実上、スーツケースの本体内に収容されるように、湾曲している。或いは、車輪の中心が、スーツケースの後側および下側、並びに伸縮式牽引ハンドルと一直線上に配置され得る。
【0063】
前述したとおり、本構成によれば、車輪が使用に際して破損し難く、外観がより優れており、またケースの安定性が向上する。安定性に関する効果は、従来のスーツケースよりも、ケースが地面に対してより低く配置されることにより、重心が低くなることに起因しており、それにより、使用時に転倒したり、旋回したりすることが抑制される。車輪ハウジング11と同一の垂直面内に伸縮式ハンドルが配置されるので、より安定してケースを牽引することができる。従来のケースでは、牽引ハンドルはより中心に近接して配置されており、これにより、一つ以上の車輪が横方向に引っ張られることとなり、バランスが失われることがある。
【0064】
図3のように、下側かつ後側の連結片9の各々は、三種類の開口管状部を備え、該開口管状部は、三つの長尺状部材6、18および21にそれぞれ連結し、スーツケースの骨組を形成する。形状画定部材15が、その両端部において、下側かつ後側の連結片9に連結する。
【0065】
下側かつ前側の連結片12の各々にも、三種の開口管状部が形成され、該開口管状部は、三つの長尺状部材13、18、21にそれぞれ係合する。図1および図2に示されるように、前側フレーム部17は、面取りされた、あるいは湾曲した角部領域を備えるため、長尺状部材13、18、21を相互連結させる連結片12は、左側構成および右側構成を有する。また、この下側かつ前側の連結片12は、スーツケースの支持脚14を取り付けるために使用され、下側かつ前側の連結片12は、支持脚14をさらに取り付けられるように形成される。支持脚14は、リベット又はねじを使用するなど、任意の適切な方法によって、対応の連結片12に固定される。
【0066】
骨組構造物20、牽引ハンドル組立体19、車輪組立体および支持脚14の様々な構成部品は、適切と考えられる任意の(複数の)材料、即ち、適当な強度を有し、且つ重量の軽い材料から形成されてよい。例えば、該構成部品は、ガラス繊維、炭素繊維などの複合材料、又はナイロン(商標名)などの樹脂材料から形成されてよい。
【0067】
上記では所謂「ソフト」型スーツケースに関して記載されているが、本発明の原則は、他の形態のかばんの構造に利用することもできる。
例えば、後側フレーム部に牽引ハンドル組立体および対応の車輪を連結させる提案は、「フラット折り畳み式(Fold flat)」トロリーケースの構造に適用されても良い。
【0068】
本発明の特定実施形態について詳細に説明したが、当業者によって、本発明の権利範囲から逸脱することなく、様々な変更および改良がなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状画定骨組構造物を含む旅行かばん物品であって、前記形状画定骨組構造物は二つの長さ画定部材を含み、各長さ画定部材の一端には、牽引ハンドルの一部が伸縮自在に組み入れられるとともに、各長さ画定部材の他端には車輪が配置されており、前記車輪の実質部分が前記形状画定骨組構造物内に収容される旅行かばん物品。
【請求項2】
前記形状画定骨組構造物は複数の長尺状部材から形成されており、各長尺状部材は、端部において、前記長尺状部材のうちの他の二つに連結される請求項1に記載の旅行かばん物品。
【請求項3】
前記複数の長尺状部材は、四つの長さ画定長尺状部材と、四つの幅画定長尺状部材と、四つの深さ画定長尺状部材とを含む請求項2に記載の旅行かばん物品。
【請求項4】
前記長尺状部材は、端部において、四組の三方向連結片によって相互に連結される請求項2又は3に記載の旅行かばん物品。
【請求項5】
前記三方向連結片の一組は、前記車輪の実質部分が前記形状画定骨組構造物内に収容されるように形成される請求項4に記載の旅行かばん物品。
【請求項6】
形状画定部を更に含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の旅行かばん物品。
【請求項7】
前記形状画定部は、スーツケースの幅にわたってスーツケースの形状を画定する請求項6に記載の旅行かばん物品。
【請求項8】
前記形状画定部は湾曲している請求項6又は7に記載の旅行かばん物品。
【請求項9】
前記車輪は、スーツケースの角部に配置される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の旅行かばん物品。
【請求項10】
形状画定骨組構造物を含む旅行かばん物品であって、前記形状画定骨組構造物は幅画定長尺状部材を含み、前記幅画定長尺状部材は形状画定部を更に含む旅行かばん物品。
【請求項11】
前記形状画定骨組構造物は複数の長尺状部材から形成されており、各長尺状部材は、端部において、前記長尺状部材のうちの他の二つに連結される請求項10に記載の旅行かばん物品。
【請求項12】
前記複数の長尺状部材は、四つの長さ画定長尺状部材と、四つの幅画定長尺状部材と、四つの深さ画定長尺状部材とを含む請求項11に記載の旅行かばん物品。
【請求項13】
前記長尺状部材は、端部において、四組の三方向連結片によって相互に連結される請求項11又は12に記載の旅行かばん物品。
【請求項14】
前記長尺状部材は、端部において、二つの三方向連結片によって、前記長尺状部材のうちの他の二つに連結される請求項13に記載の旅行かばん物品。
【請求項15】
前記形状画定部は湾曲している請求項10乃至14のいずれか一項に記載の旅行かばん物品。
【請求項16】
少なくとも一つの車輪を更に含む請求項10乃至15のいずれか一項に記載の旅行かばん物品。
【請求項17】
前記車輪の実質部分が、前記形状画定骨組構造物内に収容される請求項16に記載の旅行かばん物品。
【請求項18】
前記三方向連結片の一組は、一組の車輪の実質部分が前記形状画定骨組構造物内に収容されるように形成される請求項17に記載の旅行かばん物品。
【請求項19】
前記牽引ハンドルは、U字形フレームを形成するために、クロスバーによって間隔があけられた第一対の平行リムを含み、前記第一対の平行リムは、二つの管状の前記長さ画定長尺状部材に伸縮自在に係合可能である請求項1乃至9のいずれか一項、又は請求項11乃至19のいずれか一項に記載の旅行かばん物品。
【請求項20】
前記牽引ハンドルの前記第一対の平行リムは、格納位置および伸長位置の間において、二つの管状の前記長さ画定長尺状部材から伸縮自在に移動可能である請求項19に記載の旅行かばん物品。
【請求項21】
前記牽引ハンドルは、前記牽引ハンドルの前記第一対の平行リムに伸縮自在に係合可能な第二対の平行リムを含む請求項19又は20に記載の旅行かばん物品。
【請求項22】
前記形状画定骨組構造物において、ケースが直立位置にある時に前記ケースを支持する位置に配置される二つの支持脚を備える請求項1乃至21のいずれか一項に記載の旅行かばん物品。
【請求項23】
旅行かばん物品の構成方法であって、二つの長さ画定部材を含む形状画定骨組構造物を形成する工程と、各長さ画定部材の一端に、伸縮式の牽引ハンドルの一部を組み入れるとともに、各長さ画定部材の他端に車輪を配置する工程であって、前記車輪の実質部分を前記形状画定骨組構造物内に収容するように前記車輪を配置する工程とを備える方法。
【請求項24】
複数の長尺状部材から前記形状画定骨組構造物を形成する工程であって、各長尺状部材が、端部において、前記長尺状部材のうちの他の二つに連結されるように前記形状画定骨組構造物を形成する工程をさらに備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の長尺状部材は、四つの長さ画定長尺状部材と、四つの幅画定長尺状部材と、四つの深さ画定長尺状部材とを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記長尺状部材を、端部において、四組の三方向連結片によって相互に連結させる工程を更に含む請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記車輪の実質部分が、前記形状画定骨組構造物内に収容されるように、一組の三方向連結片を形成する工程を更に含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
形状画定部を設ける工程を更に含む請求項23乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記形状画定部は、スーツケースの幅にわたってスーツケースの形状を画定する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記形状画定部は湾曲している請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記車輪をスーツケースの角部に配置する工程を更に含む請求項23乃至30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
形状画定骨組構造物を形成する工程を含む旅行かばん物品の構成方法であって、前記形状画定骨組構造物は幅画定長尺状部材を含み、前記幅画定長尺状部材は形状画定部を更に含む方法。
【請求項33】
複数の長尺状部材から前記形状画定骨組構造物を形成する工程を更に含み、各長尺状部材は端部において、前記長尺状部材のうちの他の二つに連結される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記複数の長尺状部材は、四つの長さ画定長尺状部材と、四つの幅画定長尺状部材と、四つの深さ画定長尺状部材とを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記長尺状部材を、端部において、四組の三方向連結片によって相互に連結する工程を更に含む請求項32又は33に記載の方法。
【請求項36】
前記長尺状部材を、端部において、二つの三方向連結片によって前記長尺状部材のうちの他の二つに連結する工程を更に含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記形状画定部は湾曲している請求項32乃至36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも一つの車輪を更に含む請求項32乃至37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記車輪の実質部分が前記形状画定骨組構造物内に収容される請求項38に記載の方法。
【請求項40】
一組の車輪の実質部分が前記形状画定骨組構造物内に収容されるように、三方向連結片の一つを形成する工程を更に含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
二つの支持脚を前記形状画定骨組構造物において、ケースが直立位置にある時に前記ケースを支持する位置に設ける工程を更に含む請求項23乃至40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
図1乃至図4を詳細に参照して、明細書に実質的に説明される旅行かばん物品。
【請求項43】
図1乃至図4を詳細に参照して、明細書に実質的に説明される旅行かばん物品の構成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−517080(P2013−517080A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549408(P2012−549408)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050158
【国際公開番号】WO2011/089376
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512171984)アイティ ラゲージ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】IT LUGGAGE LIMITED
【Fターム(参考)】