説明

旋回カメラ装置

【課題】待機状態での消費電力の低減化を図った旋回カメラ装置を提供する。
【解決手段】制御部(COM)21aは、省電力有効コマンドを受信すると、リレー33に省電力モード制御信号(PSC)を出力して、リレー33のリレースイッチ33aをスイッチオフ状態にし、メイン電源ユニット31への交流電源の供給路を断ち、メイン電源ユニット31の作動を停止させ、装置を「通常待機状態」から「待機電力削減状態」に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCTV(closed-circuit Television)システムに適用して好適な旋回カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCTVシステムに適用される監視用の旋回カメラ装置は、カメラ本体を所定の旋回角を単位に上下左右に駆動制御する複数のモーターを備えた旋回駆動機構と、ワイパー、ヒーター、デフロスタ等の周辺ユニットとを有して構成される。具体例を挙げると、カメラ本体を収容するカメラ部筐体と、装置電源部を収容する台座部筐体と、台座部筐体に支承されてカメラ本体を水平および垂直方向に旋回駆動する旋回機構を備えた旋回部筐体とを具備し、上記各筐体のそれぞれに、筐体内における機器の周囲温度(筐体内温度)を制御するヒーターを有し、旋回機構に水平旋回モーターおよび垂直旋回モーターを有し、カメラ本体に撮像窓の曇りを除去するデフロスタガラスを有して構成される。このような寒冷対策を施した旋回カメラ装置は、上記各旋回モーターと、上記ヒーターやデフロスタガラス等の各周辺機器類と、カメラ本体のレンズ駆動部および回路部とを含めた消費電力が必要とされ、旋回カメラ装置全体の電力消費量が問題となっていた。この電力消費量を削減するため、従来では消費電力の少ない部品の選定や回路設計により装置の低消費電力化を図っていた。しかしながら、この低消費電力化対策は削減できる電力量に限界があり、より省電力化を図る技術が要求されていた。
【0003】
この種、旋回カメラ装置の省電力化技術として、従来では、季節による期間を定めて雲台の電力供給タイムおよび加熱手段のオン、オフ温度を設定したテーブルを備え、このテーブルをもとに雲台および加熱手段の動作時間を制御するカメラ装置(特許文献1参照)や、設定した温度範囲について供給電力を定めたメモリテーブルを記憶する記憶装置を備えて、このメモリテーブルに基づき、温度検出部の検出温度に応じて電源を制御するカメラ装置(特許文献2参照)が存在した。
【0004】
この種のテーブルを用いた電力制御は、プログラム制御による依存度が高く、制御の度に大きなトラフィックが発生することから、煩雑かつ頻度の高い遠隔操作による回線制御を必要とし、これに伴いソフトウェアを含む装置全体の構成が著しく煩雑になることから保守並びに信頼性の面で問題があるとともに、旋回駆動の機動性を維持した常時通電による、運用形態であることから、待機状態を含めた電力消費において省電力化の面で問題があった。特に、旋回カメラ装置を複数台接続可能にしたCCTVシステムにおいては、システムを構成する複数台の旋回カメラ装置個々に対する信頼性を確保した省電力化が課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−094401号公報
【特許文献2】特開2005−094545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の旋回カメラ装置においては信頼性を確保した省電力化が課題となっていた。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、簡素な制御並びに構成で信頼性を損なうことなく消費電力の低減化が図れる旋回カメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置は、装置の一般的な運用形態において、カメラ本体の旋回駆動期間が旋回駆動停止期間に比してごく僅かであり、殆どが旋回駆動を停止した待機状態にあること、この待機状態では装置の駆動電源を賄う電源装置の消費電力が大きいことに着目し、装置の電源系統を大容量の駆動系と小容量の制御系とに区分することで、待機状態での消費電力の低減化を図り、以て装置並びにシステム全体の省電力化を実現している。
【0009】
本発明の実施形態は、撮像カメラを構成するカメラ本体と、前記カメラ本体を旋回駆動する旋回駆動モーターと、前記カメラ本体のレンズ機構を駆動制御するカメラ制御部ユニットと、
前記旋回駆動モーターおよび前記カメラ制御部ユニットを動作制御する旋回制御ユニットと、前記カメラ本体を操作する外部操作機と前記旋回制御ユニットとの間のデータ伝送制御を行う伝送ユニットと、外部から供給された交流電源をもとに前記旋回駆動モーターおよび前記レンズ機構を駆動する駆動用直流電源を生成し出力するメイン電源ユニットと、外部から供給された交流電源をもとに前記カメラ本体と前記伝送ユニットおよび前記旋回制御ユニットを動作させる回路動作用直流電源を生成し出力するサブ電源ユニットと、前記旋回制御ユニットに設けられ、前記伝送ユニットを介して前記外部操作機から受信したコマンドを解釈し、省電力モードを指定する特定のコマンドに従い前記メイン電源ユニットへの前記交流電源の供給を遮断制御する制御信号を出力するコマンド処理手段を有する制御部と、前記メイン電源ユニットに前記交流電源を供給する電源供給路に介在され、前記制御信号に従い、前記メイン電源ユニットへの前記交流電源の供給を遮断制御するスイッチと、を具備した旋回カメラ装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、待機状態における消費電力の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置の構成を示すブロック図
【図2】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の外観構成を示す正面図
【図3】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の外観構成を示す側面図
【図4】上記実施形態に係る旋回カメラ装置のメイン電源制御系の構成を示すブロック図
【図5】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の省電力制御処理手順を示すフローチャート
【図6】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の省電力モードへの移行を可能にする処理手順を示すフローチャート
【図7】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の省電力モードへの移行を可能にする処理手順を示すフローチャート
【図8】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の省電力モードへ移行する状態遷移を示す状態遷移図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置は、上述したように、装置の一般的な運用形態において、カメラ本体の旋回駆動期間が旋回駆動停止期間に比してごく僅かであり、殆どが旋回駆動を停止した待機状態にあること、この待機状態では装置の駆動電源を賄う電源装置の消費電力が大きいことに着目し、装置の電源系統を大容量(電流容量の大きい)の駆動系と小容量(電流容量の小さい)の制御系とに区分することで、待機状態での消費電力の低減化を図り、以て装置並びにシステム全体の省電力化を実現している。すなわち、旋回カメラ装置の水平旋回モーターおよび垂直旋回モーターを駆動するためには、電源容量(電流容量)の大きい電源ユニットが必要であり、電源容量が大きくなると電源容量の増加に伴い電源ユニット自体が消費する電力も増加する。一方、旋回カメラ装置は上記したように旋回駆動を停止している期間が長く、この旋回駆動を停止している待機状態時においては、制御系の回路動作(旋回制御ユニット、カメラユニット、伝送ユニット等の動作)電源を維持しておけばよく、モーターを駆動する大きな電源容量を必要としない。そこで本発明の実施形態においては、装置の電源系統を大容量の駆動系と小容量の制御系とに区分することで、待機状態での消費電力の低減化を図り、以て装置並びにシステム全体の省電力化を実現している。
【0013】
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置の構成並びに機能の概要を図1乃至図4に示している。本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置の構成を図1に示し、同旋回カメラ装置の外観構成を図2および図3に示し、同旋回カメラ装置のメイン電源制御系の構成を図4に示している。
【0014】
この実施形態では、水平旋回および垂直旋回を可能にした、3筐体(カメラ部筐体、旋回部筐体、台座部筐体)構造の旋回カメラ装置を例に示している。また旋回カメラ装置の周辺機器として、旋回カメラ装置を制御対象とする外部の操作機40と、旋回カメラ装置で撮影した画像を表示出力するモニタ50を示している。
【0015】
本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置は、図1乃至図3に示すように、筐体を別にする、カメラ部10と、カメラ部10を支承し水平・垂直方向に旋回駆動する旋回部20と、旋回部20を支承する台座部30とを具備して構成される。
【0016】
カメラ部10と旋回部20と台座部30は、それぞれ独自の筐体10A,20A,30Aにより構成されている。ここでは筐体10Aをカメラ部筐体、筐体20Aを旋回部筐体、筐体30Aを台座部筐体と称す。
【0017】
カメラ部10は旋回部20に垂直旋回駆動部DVを介して垂直方向に所定角の回動範囲で旋回可能に支承され、旋回部20は台座部30に水平旋回駆動部DHを介して水平方向に旋回可能に支承されている。
【0018】
カメラ部10は、カメラ部筐体10Aに、撮像レンズおよび撮像窓を有するカメラ本体(カメラユニットと称す)11と、このカメラユニット11を制御するカメラ制御部ユニット12と、複数のカメラ部周辺ユニットとを具備して構成されている。
【0019】
カメラユニット11は、撮像レンズを構成するレンズ機構と、このレンズ機構を駆動するレンズ駆動機構11aを具備し、撮像レンズ前部の撮像窓部に、デフロスタガラス14およびワイパー15を上記カメラ部周辺ユニットとして具備して構成されている。このカメラユニット11には、カメラ本体内部の光軸上にCMOSセンサまたはCCDセンサ等のエリア・イメージ・センサが内蔵されている。このカメラユニット11の撮像機構についてはその詳細な構成を割愛する。
【0020】
カメラ制御部ユニット12は、旋回制御ユニット21から受けた制御信号をもとにカメラ部筐体10A内のカメラユニット11を含む各構成要素を制御する。このカメラ制御部ユニット12には、カメラユニット11のレンズ駆動機構10aに設けられたモーターの駆動用電源を生成し出力するDC−DCコンバータを用いたカメラユニット用電源部(PCV)12aが設けられ、上記制御信号をもとにレンズ駆動機構10aを駆動制御する。上記カメラ部周辺ユニットとして設けられたヒーターは予め温度設定されたサーモスイッチを有し、カメラ制御部ユニット12から受けた制御信号をもとに、カメラ部筐体10A内の温度(カメラユニット11の周囲温度)を設定された温度範囲内に保つ。例えば筐体10A内温度(周囲温度)がセ氏−10°以下になるとサーモスイッチがスイッチオンしてヒーター13を通電状態にし(加熱動作させ)、筐体10A内温度がセ氏10°を超えるとサーモスイッチがスイッチオフしてヒーターを非通電状態にして加熱動作を停止させる。
【0021】
旋回部20は、旋回部筐体20Aに、旋回制御ユニット21と、旋回駆動モーターを構成する水平旋回モーター22を備えた水平旋回駆動部DHと、同じく旋回駆動モーターを構成する垂直旋回モーター23を備えた垂直旋回駆動部DVと、複数の旋回部周辺ユニットとを具備して構成されている。ここでは、旋回部周辺ユニットとして、旋回部筐体20A内の温度を制御するヒーター、照明用リレー、各種センサ類等を具備する。
【0022】
旋回制御ユニット21は、後述する伝送ユニットを介して外部の操作機40と通信を行う通信手段を備え、外部の操作機40から受けた制御信号をもとに旋回部筐体20A内の水平旋回モーター22および垂直旋回モーター23を含む各構成要素を制御する。
【0023】
この旋回制御ユニット21は、マイクロプロセッサを用いて構成される制御部(COM)21aを具備して、制御部21aのプログラム処理により、図5乃至図7に示す待機状態時における省電力化のためのコマンド処理を実行する。この処理については図5乃至図7に示すフローチャートを参照して後述する。
【0024】
水平旋回モーター22は水平旋回駆動部DHの駆動源となるもので旋回制御ユニット21により駆動制御され、旋回部20を台座部30に対して水平方向に旋回駆動する。垂直旋回モーター23は垂直旋回駆動部DVの駆動源となるもので旋回制御ユニット21により駆動制御され、カメラ部10を旋回部20に対して垂直方向に旋回駆動する。上記カメラ部周辺ユニットとして設けられたヒーターは上記カメラ部筐体10A内に設けたヒーターと同様に予め温度設定されたサーモスイッチを有し、旋回部筐体20A内の温度(駆動部の周囲温度)を設定された温度範囲内に保つ。
【0025】
台座部30は、台座部筐体30A内に、メイン電源ユニット31およびサブ電源ユニット32と、リレー33と、伝送ユニット34と、複数の電源部周辺ユニットとを具備して構成されている。ここでは、電源部周辺ユニットとして、台座部筐体30A内の温度を制御する上記各ヒーターと同様のヒーターを具備する。
【0026】
メイン電源ユニット31は、外部から供給された交流電源(例えばAC100Vの商用交流電源)をもとに、旋回駆動機構に設けられる水平旋回モーター22および垂直旋回モーター23を含む各部駆動系の駆動用直流電源(PM;例えばDC24V)を生成し出力する。
【0027】
サブ電源ユニット32は、外部から供給された交流電源(例えば上記商用交流電源)をもとに、制御系の回路動作用直流電源(PS;例えばDC12V)を生成し出力する。
【0028】
メイン電源ユニット31はサブ電源ユニット32より電流容量が大きい大電流出力電源であり、サブ電源ユニット32はメイン電源ユニット31より電流容量が小さい電流出力電源である。
【0029】
サブ電源ユニット32は、外部から供給された交流電源(例えば上記商用交流電源)をもとに、常時、回路動作用直流電源(PS)を出力し、メイン電源ユニット31は、サブ電源ユニット32を動作電源とする旋回制御ユニット21から出力された省電力モード制御信号(PSC)に従い、一次(入力)電源となる交流電源の給電が供給/遮断制御される。
【0030】
メイン電源ユニット31から出力された駆動用直流電源(PM)は、カメラ部筐体10Aに設けられた、カメラ制御部ユニット12、および複数のカメラ部周辺ユニット、旋回部筐体20Aに設けられた、旋回制御ユニット21、水平旋回モーター22および垂直旋回モーター23、および複数の旋回部周辺ユニット、台座部筐体30Aに設けられた電源部周辺ユニット等にそれぞれ駆動用電源として供給される。カメラ制御部ユニット12に設けられたカメラユニット用電源部(PCV)は上記駆動用直流電源(PM)をもとにカメラユニット11のレンズ駆動機構10aに設けられたモーターを駆動する低電圧のモーター駆動用電源を生成し出力する。
【0031】
サブ電源ユニット32から出力された回路動作用直流電源(PS)は、カメラ部筐体10Aに設けられた、カメラユニット11と旋回部筐体20Aに設けられた旋回制御ユニット21と台座部筐体30Aに設けられた伝送ユニット34にそれぞれ回路動作用電源として供給される。
【0032】
リレー33は旋回制御ユニット21により励磁駆動されて、メイン電源ユニット31の交流電源供給路に介在したスイッチ33a(図4参照)をオン/オフ制御する。ここでは、旋回制御ユニット21から、省電力モードが有効であることを示す、例えば高レベルの省電力モード制御信号(PSC)が出力されると、リレーコイルの励磁を解除してスイッチ33aをスイッチオフにし、上記省電力モード制御信号(PSC)の出力が解除されると、リレーコイルを励磁してスイッチ33aをスイッチオンにする。従って省電力モード制御信号(PSC)が出力されているときはリレー33に励磁電流が流れず、リレースイッチ33aがスイッチオフしてメイン電源ユニット31が作動しない。なお、ここでは上記省電力モード制御信号(PSC)が出力される信号線が高レベルの論理値にあるとき、当該レベルを有意レベルとして、省電力モード制御信号(PSC)が出力されたと表現し、低レベルの論理値にあるとき省電力モード制御信号(PSC)が出力されないと表現する。
【0033】
伝送ユニット34は、外部の操作機40と旋回制御ユニット21との間のデータ伝送制御を司るもので、外部の操作機40との間でシリアル通信を行う送受信機能を具備する。この伝送ユニット34は、旋回駆動に関わるコマンドの送受以外に、カメラユニット11に対する制御、指示コマンド、並びにカメラユニット11から出力された映像信号を伝送データとして扱うが、ここではその説明を割愛する。
【0034】
上記した省電力モード制御信号(PSC)を用いたメイン電源制御系の回路構成を図4に示している。
【0035】
ここでは、外部の操作機40から省電力モード有効コマンドが発行されると、当該コマンドがシリアル伝送路を介して伝送ユニット34に受信され、内部のシリアル伝送路を介して旋回制御ユニット21の制御部(COM)21aに受け渡される。制御部(COM)21aは上記省電力モード有効コマンドを受け付けると、図6および図7に示すコマンド処理を実行し、省電力モード制御信号(PSC)を出力して、リレー33のリレースイッチ33aをスイッチオフし、メイン電源ユニット31に供給される交流電源を遮断して、メイン電源ユニット31の作動を停止し、装置の状態を省電力モードでの待機状態(図8に示す待機電力削減状態)にする。また、外部の操作機40から省電力モード無効コマンドが発行されると、省電力モード制御信号(PSC)を出力せず、リレー33のリレースイッチ33aをスイッチオンにして、メイン電源ユニット31に交流電源を供給し、メイン電源ユニット31を作動する。メイン電源ユニット31が作動すると、メイン電源ユニット31から出力された駆動用直流電源(PM)をもとに、旋回駆動が可能な通常状態(図8に示す通常動作状態)となり、ヒーター、ワイパー等の周辺ユニットも動作可能な状態となる。
【0036】
ここで、図5乃至図7に示すフローチャートと図8に示す状態遷移図を参照して待機状態における省電力化のためのコマンド処理動作について説明する。なお、ここでは、メイン電源制御を伴わない(メイン電源ユニット31が作動している)旋回駆動が可能な状態を「通常動作状態」と称し、旋回動作が停止している待機状態を「通常待機状態」と称し、省電力モードが有効な待機状態を「待機電力削減状態」と称している。また、図6および図7に示すコマンド処理において用いられる、省電力モードフラグ、省電力モードタイマー、省電力モード待機中フラグ等はすべて制御部(COM)21aの図示しない内部記憶部に置かれるものとする。
【0037】
制御部(COM)21aは、水平旋回モーター22および垂直旋回モーター23の回転駆動が終了し、水平旋回駆動部DHおよび垂直旋回駆動部DVがともに旋回停止状態になると、一定期間タイマカウントを実行して停止確認を行い(図5ステップS1)、タイマカウントが終了すると、水平旋回モーター22および垂直旋回モーター23の各電磁ブレーキの通電を断ち、各電磁ブレーキを作動して(図5ステップS2)、水平旋回モーター22および垂直旋回モーター23の励磁を解除する(図5ステップS3)。これにより、装置は、旋回駆動停止後、一定時間を経て「通常動作状態」から「通常待機状態」に移行する。
【0038】
その後、図6および図7に示すコマンド処理が実行され、このコマンド処理において、外部の操作機40からコマンドを受信する都度、受信したコマンドの内容を解釈し(図6ステップS11,S12)、当該コマンドが省電力有効コマンドであるとき(図6ステップS13 Yes)、省電力モード有効フラグをセットし(図6ステップS131)、省電力モードタイマーをスタートする(図6ステップS132)。このタイマカウントは旋回駆動の再起動における機械的なチャタリングを回避するためのタイマカウントである。
【0039】
省電力モードタイマーのタイマカウントが終了すると(図7ステップS21 Yes)、リレー33に省電力モード制御信号(PSC)を出力して、リレー33のリレースイッチ33aをスイッチオフ状態にする(図7ステップS23)。これにより、メイン電源ユニット31への交流電源の供給が断たれ、メイン電源ユニット31が作動を停止し、装置が「通常待機状態」から「待機電力削減状態」に移行する。この「待機電力削減状態」を図8に斜線を付して示している。この「待機電力削減状態」においては、大電流出力電源であるメイン電源ユニット31が見掛け上存在しない状態であり、当該状態時において消費電力量は小電流出力電源であるサブ電源ユニット32のみの極僅かな消費電力量となる。「通常待機状態」から「待機電力削減状態」に移行後においてもカメラユニット11と、旋回制御ユニット21と、伝送ユニット34には、常時、動作電源が供給されており、コマンド処理が継続可能な状態にある。
【0040】
上記省電力モード制御信号(PSC)の出力後、メイン電源ユニット31の電源停止状態を確認して(図7ステップS23)、省電力モード待機中フラグをセットする(図7ステップS24)。
【0041】
上記「待機電力削減状態」に移行後、外部の操作機40から省電力無効コマンドを受信すると(図6ステップS14 Yes)、省電力モード有効フラグをリセットし(図6ステップS141)、省電力モードタイマーをクリアする(図6ステップS142)。さらにリレー33のリレースイッチ33aをスイッチオンにして(図6ステップS143)、メイン電源ユニット31に交流電源を供給し、メイン電源ユニット31の起動に要する待時間を経て(図6ステップS144)受信コマンドの処理を終了する。
【0042】
また、外部の操作機40から省電力モード制御コマンド(省電力有効コマンド/省電力無効コマンド)を除いた他のコマンドを受信すると、省電力モード有効フラグがリセット状態にあるか否かを判断し(図6ステップS15)、リセット状態にあるとき(図6ステップS15 Yes)、当該受信したコマンドの処理を実行する(図6ステップS166)。
【0043】
また、上記した省電力モード有効フラグがリセット状態にあるか否かの判断(図6ステップS15)において、省電力モード有効フラグがセット状態にあるとき(図6ステップS15 No)は、省電力モード待機中フラグがセットされているか否かを判断し(図6ステップS16)、セットされているとき(図6ステップS16 Yes)、リレー33のリレースイッチ33aをスイッチオンにして(図6ステップS161)、メイン電源ユニット31に交流電源を供給し、メイン電源ユニット31の起動に要する待時間を経て(図6ステップS162)省電力モード待機中フラグをリセットし(図6ステップS163)、さらに、省電力モードタイマーをクリアし(図6ステップS164)、省電力モードタイマーをスタートして(図6ステップS165)、受信したコマンドの処理を実行する(図6ステップS166)。この処理により「待機電力削減状態」において、省電力モード制御コマンドを除く他のコマンドを受信すると「待機電力削減状態」から「通常待機状態」を経て「通常動作状態」に移行する。
【0044】
上記したように、本発明の実施形態によれば、装置の電源系統を大容量の駆動系と小容量の制御系とに区分し、大容量の駆動系電源ユニットを小容量の制御系電源ユニットで生成した制御信号により制御する構成としたことにより、待機状態での消費電力の低減化が図れ、装置並びにシステム全体をより省電力化できる。
【0045】
上記した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、上記実施形態では、「待機電力削減状態」において、省電力モード制御コマンドを除く他のコマンドを受信すると「待機電力削減状態」から「通常待機状態」を経て「通常動作状態」に一意に移行したが、これに限らず、例えば「待機電力削減状態」において、省電力無効コマンドを受けたとき、または旋回駆動の実行コマンドを受けたときに、「待機電力削減状態」から「通常待機状態」を経て「通常動作状態」に、または「待機電力削減状態」から「通常動作状態」に移行する状態遷移制御であってもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせ(例えばワイパー15とデフロスタガラス12を同時駆動する構成)、または、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除した構成であっても、本発明に係る電力制御が可能な旋回カメラ構造であれば本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10…カメラ部、10A…カメラ部筐体、11…撮像カメラ本体(カメラユニット)、11a…レンズ駆動機構、12…カメラ制御部ユニット、12a…カメラユニット用電源部(PCV)、14…デフロスタガラス、15…ワイパー、20…旋回部、20A…旋回部筐体、21…旋回制御ユニット、21a…制御部(COM)、22…水平旋回モーター、23…垂直旋回モーター、30…台座部、30A…台座部筐体、31…メイン電源ユニット、32…サブ電源ユニット、33…リレー、33a…リレースイッチ、34…伝送ユニット、40…操作機、50…表示モニタ、DH…水平旋回駆動部、DV…垂直旋回駆動部、PSC…省電力モード制御信号、PM…駆動用直流電源、PS…回路動作用直流電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像カメラを構成するカメラ本体と、
前記カメラ本体を旋回駆動する旋回駆動モーターと、
前記カメラ本体のレンズ機構を駆動制御するカメラ制御部ユニットと、
前記旋回駆動モーターおよび前記カメラ制御部ユニットを動作制御する旋回制御ユニットと、
前記カメラ本体を操作する外部操作機と前記旋回制御ユニットとの間のデータ伝送制御を行う伝送ユニットと、
外部から供給された交流電源をもとに前記旋回駆動モーターおよび前記レンズ機構を駆動する駆動用直流電源を生成し出力するメイン電源ユニットと、
外部から供給された交流電源をもとに前記カメラ本体と前記伝送ユニットおよび前記旋回制御ユニットを動作させる回路動作用直流電源を生成し出力するサブ電源ユニットと、
前記旋回制御ユニットに設けられ、前記伝送ユニットを介して前記外部操作機から受信したコマンドを解釈し、省電力モードを指定する特定のコマンドに従い前記メイン電源ユニットへの前記交流電源の供給を遮断制御する制御信号を出力するコマンド処理手段を有する制御部と、
前記メイン電源ユニットに前記交流電源を供給する電源供給路に介在され、前記制御信号に従い、前記メイン電源ユニットへの前記交流電源の供給を遮断制御するスイッチと、
を具備したことを特徴とする旋回カメラ装置。
【請求項2】
筐体を別にする、カメラ部と、前記カメラ部を旋回駆動する旋回部と、前記旋回部を支承する台座部とを具備し、
前記カメラ部の筐体を構成するカメラ部筐体に、前記カメラ本体と、前記カメラ制御部ユニットとを設け、
前記旋回部の筐体を構成する旋回部筐体に、前記旋回駆動モーターを構成する水平旋回モーターおよび垂直旋回モーターを備えた旋回駆動部と、前記旋回制御ユニットとを設け、
前記台座部の筐体を構成する台座部筐体に、前記メイン電源ユニットと、前記サブ電源ユニットと、前記スイッチと、前記伝送ユニットとを設け、
前記カメラ部と前記旋回部と前記台座部に、それぞれ前記メイン電源ユニットから出力された駆動用直流電源により動作する周辺ユニットを設けたことを特徴とする請求項1に記載の旋回カメラ装置。
【請求項3】
前記旋回駆動モーターは、無励磁作動形の電磁ブレーキを備えたステッピングモーターにより構成され、
前記制御部が有するコマンド処理手段は、前記ステッピングモーターの駆動による旋回駆動が停止したことを確認して、前記電磁ブレーキを作動させ、前記ステッピングモーターの励磁を解除して、装置の状態を通常動作状態から待機電力を低減した通常待機状態に移行させた後、前記通常待機状態から、前記メイン電源ユニットへの前記交流電源の供給を断ち、待機電力をさらに低減した待機電力削減状態への移行を可能にする制御手段を具備したことを特徴とする請求項1に記載の旋回カメラ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記通常待機状態から前記待機電力削減状態へ移行する際、前記通常動作状態から前記通常待機状態に移行後、設定期間を経て前記通常待機状態から前記待機電力削減状態へ移行する状態移行制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の旋回カメラ装置。
【請求項5】
前記コマンド処理手段は、前記待機電力削減状態において前記外部操作機からコマンドを受信したとき、前記待機電力削減状態から前記通常待機状態に移行する処理を実行する請求項3に記載の旋回カメラ装置。
【請求項6】
前記コマンド処理手段は、前記待機電力削減状態において前記外部操作機から省電力モードの指定を解除するコマンドを受信したとき、若しくは旋回駆動を指示するコマンドを受信したとき、前記待機電力削減状態から前記通常待機状態に移行する処理を実行する請求項3に記載の旋回カメラ装置。
【請求項7】
前記カメラ本体は、同カメラ本体の撮像窓部に、前記メイン電源ユニットから出力された駆動用直流電源により動作するデフロスタガラスおよびワイパーを有し、前記カメラ制御部ユニットは、前記旋回制御ユニットに設けられた制御部からのコマンド処理に伴う指示に従い前記デフロスタガラスおよび前記ワイパーを動作停止および停止解除することを特徴とする請求項1または2に記載の旋回カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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