説明

旋回流路を有する燃料ノズル及び燃料ノズルの製造方法

【課題】燃料ノズルを短時間にかつ低コストにて製造する方法、並びに旋回をもたらす配置構成の選択時の高い柔軟性に特色を有しかつ柔軟に使用可能である燃料ノズルを提供する。
【解決手段】ピン(3)の外周面(5)及び/又はスリーブ(2)の内周面(6)に少なくとも1つの旋回流路(4)を形成し、ピン(3)をスリーブ(2)内に固定して、ピン(3)の外周面(5,45)をスリーブ(2)の内周面(6)に接合する燃料ノズル(1)の製造方法が提案されている。更に、外周面(5)を有するピン(3)と内周面(6)を有するスリーブ(2,22,32,42)とを含み、ピン(3)がスリーブ(2)内に配置されている燃料ノズル(1)が開示されている。ピン(3)の外周面(5)及び/又はスリーブ(2)の内周面(6)が少なくとも1つの旋回流路(4)を備える。更に、本発明による燃料ノズル(1)を備えるバーナ(107)が開示されている。更に、本発明によるバーナ(107)を備えるガスタービン(100)が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回流路を有する燃料ノズル及び燃料ノズルの製造方法に関する。更に、本発明はバーナ及びガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、特に2つの異なる燃料で作動させられる内燃機関の場合には、例えば燃料油の注入が旋回発生器を介して行なわれ、旋回発生器内で油が空気と混合される。油と空気との良好な混合のために、油が、注入のために使用されるノズル内において旋回運動をさせられる。したがって、従来、油ノズル内でのこの旋回発生は、僅かに互いにずらされた孔座標を有する多数の板から油ノズルを構成することによって行なわれている。個々の板を一緒にロウ付けすることによって、燃料の旋回発生のために利用される螺旋が生じる。もちろん、このようなノズルは構造的に高コストの構成を有する。なぜならば、孔が正確に位置決めされなければならないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の第1の課題は、燃料ノズルのための代わりの有利な製造方法を提供することにある。本発明の第2の課題は、代わりの有利な燃料ノズルを提供することにある。本発明の第3の課題は、有利なバーナを提供することにある。本発明の第4の課題は、有利なガスタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の課題は請求項1による燃料ノズルの製造方法によって解決される。第2の課題は請求項6による燃料ノズルによって解決される。第3の課題は請求項13によるバーナによって解決される。第4の課題は請求項18によるガスタービンによって解決される。従属の請求項は本発明の他の有利な構成を開示する。
【0005】
燃料ノズルの製造のための本発明による方法において、少なくとも1つの旋回流路をピンの外周面及び/又はスリーブの内周面に形成する。しかる後に、旋回流路を最終的に閉鎖することなしに、ピンの外周面とスリーブの内周面とを接合するように、ピンをスリーブ内に固定する。本発明による方法の助けにより、旋回を発生させる任意の構成を低コストでかつ柔軟に形成することができる。
【0006】
旋回流路は、例えばピンの外周面及び/又はスリーブの内周面に、フライス削り、丸削り、立削り、食刻、焼結又は押出成形により形成することができる。ピン及び/又はスリーブを鋳型で鋳造し、旋回流路を鋳型によって決めることもできる。更に、ピンをスリーブ内にロウ付け又は圧力嵌めすることができる。
【0007】
基本的には旋回を発生させる構成もしくは旋回流路は任意に成形して構成することができる。好ましくは旋回流路を螺旋状にピンの外周面及び/又はスリーブの内周面に形成するとよい。更に、少なくとも2つの旋回流路、特に3つの旋回流路を設けるならば有利である。例えば1つの旋回流路をピンの外周面に設け、他の1つの旋回流路をスリーブの内周面に設けることもできる。これらの両旋回流路を特に互いにずらして配置するとよい。
【0008】
ピンの外周面もスリーブの内周面も基本的には任意に成形することができる。これらは、例えば円筒状に、円錐状に又は偏心的に成形することができる。これらのパラメータの変更並びに旋回流路の数によってノズルからの燃料の流出を適切に調整することができる。
【0009】
本発明による燃料ノズルは外周面を有するピンと内周面を有するスリーブとを備える。ピンがスリーブ内に配置されている。ピンの外周面及び/又はスリーブの内周面が少なくとも1つの旋回流路を備える。本発明による燃料ノズルは、構造的に簡単な構成にて、ノズル内の燃料を旋回運動に変換することを可能にする。それによって燃料と空気との改善された混合が可能にされる。
【0010】
旋回流路は、例えば螺旋状に形成されているとよい。ピンの外周面及び/又はスリーブの内周面は、特に円筒状に、円錐状に又は偏心的に形成することができる。これは、旋回を与える配置構成を選択する際に高い柔軟性を可能にする。更に燃料ノズルは、少なくとも2つの旋回流路、例えば3つの旋回流路を備えることができる。
【0011】
更に、ピンが上端面を含み、スリーブが流出開口を含み、ピンがスリーブ内に次のように配置されているとよい。即ち、上端面が流出開口に対してスリーブの内部に向けて後退しているように配置されているとよい。それによって、上端面と流出開口との間においてスリーブ内に旋回室が形成される。旋回室内では、燃料の旋回運動の結果として燃料が空気と良好に混合される。
【0012】
旋回室を形成するのに、流出開口に対して上端面を後退させる代わりに、上端面および流出開口を同一レベルに存在させ、燃料ノズル自体を先端キャップ部の外周面に対して後退させることもできる。換言するならば、同一レベルにある上端面と流出開口とを有する燃料ノズルが先端キャップ部内に沈められ、さもなければ先端キャップ部外周面の高さ位置に存在する流出開口が、それよりもバーナ中心軸線に近い高さ位置に配置されている。この場合に旋回室は、燃料ノズルの中心軸から見た半径方向において、先端キャップ部によって区画される。この場合に旋回室はスリーブの外部に、即ちスリーブの下流側にある。
【0013】
勿論、ピンの上端面がスリーブの流出開口面に対して後退していて、かつスリーブの流出開口面が先端キャップ部の外周面に対して後退していてもよい。これによって、段状の旋回室が生じる。
【0014】
他の有利な実施形態では、流出開口の面積がピンの上端面の面積よりも小さい。これは、流出開口に対して上端面が後退させられている場合に、スリーブの内部に旋回室をもたらす。この旋回室の通流横断面積は、通流方向に、したがって上端面から流出開口に向かう方向に、燃料ノズルの中心軸線に沿って縮小されている。旋回室の横断面積のこのような縮小によって、燃料−空気混合物の通流速度を高めることができ、このことが混合を促進する。旋回室の横断面積のこのような先細りないし縮小を行なうやり方は、直線状であっても、凹凸状に曲がっていてもよく、或いはそれ以外に任意であってよい。しかし、この先細り形状は燃料ノズルの中心軸線に対して対称的に形成することができる。
【0015】
本発明による燃料ノズルは、基本的には任意の燃料に使用可能であるが、特に油ノズルとして構成するとよい。
【0016】
本発明によるバーナは、上述の特徴を有する本発明による燃料ノズルを備える。本発明によるバーナは、本発明による燃料ノズルと同様の利点を有する。
【0017】
更に、本発明によるバーナが先端キャップ部を含み、燃料ノズルが先端キャップ部内に配置されているとよい。先端キャップ部が、例えば先の尖った形状を有するとよい。更に先端キャップ部が中心軸線を有するとよい。加えて、燃料ノズルも中心軸線を含み、燃料ノズルが次のように先端キャップ部内に配置されているとよい。即ち燃料ノズルの中心軸線が先端キャップ部の中心軸線に対して45°から90°までの間の角度を有するように先端キャップ部内に配置されているとよい。それによって、燃焼室への燃料噴射に柔軟に影響を及ぼすことができる。
【0018】
本発明によるガスタービンは本発明によるバーナを含み、上述の本発明によるバーナと同様の利点を有する。
【0019】
ガスタービンは、典型的には、1つの圧縮機と、1つ以上のバーナと、1つの燃焼室と、1つのタービンとを備える。ガスタービンの運転中には圧縮機によって空気が圧縮される。圧縮機のタービン側の端部に供給される圧縮空気がバーナに案内され、そこで燃料と混合される。混合物がその際に作動媒体を形成して燃焼室において燃焼させられる。そこから作動媒体がタービンに向けて流れてタービンを駆動する。
【0020】
以上のとおり、本発明による燃料ノズルは、例えば本発明による方法の助けにより短時間にかつ低コストで製造することができる。本発明による燃料ノズルは、旋回を与える配置構成の選択時における高い柔軟性に特色を有し、かつ柔軟に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ガスタービンを概略的に示す部分縦断面図である。
【図2】本発明によるバーナを概略的に示す断面図である。
【図3】本発明によるバーナの頭部を概略的に示す断面図である。
【図4】スリーブの断面を概略的に示す斜視図である。
【図5】ピンを概略的に示す斜視図である。
【図6】本発明による燃料ノズルの断面を概略的に示す斜視図である。
【図7】ピンの代替構成を概略的に示す斜視図である。
【図8】代替構成されたスリーブの断面を概略的に斜視図である。
【図9】ピンを概略的に示す斜視図である。
【図10】代替構成された燃料ノズルの断面を概略的に示す斜視図である。
【図11】他の本発明による燃料ノズルを概略的に示す断面図である。
【図12】他の本発明による燃料ノズルを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下において、添付図面を参照しながら実施例に基づいて本発明の更なる利点、特徴および特性を詳細に説明する。この場合に諸実施例の特徴は個別に存在してもよいし、或いは互いに組み合わせされて存在してもよい。
【0023】
先ず、本発明の第1実施例を図1乃至7に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1はガスタービン100を部分縦断面図で例示する。
【0025】
ガスタービン100は、内部に、回転軸線102を中心に回転可能に支持された軸を備えたロータ103を有する。このロータは、タービンロータとも呼ばれる。
【0026】
吸気ケーシング104と、圧縮機105と、同軸に配置された複数のバーナ107を備えた例えばトーラス状の燃焼室110、特に環状燃焼室106と、タービン108と、排気ケーシング109とがロータ103に沿って順に配置されている。
【0027】
環状燃焼室110は、例えば環状の高温ガス通路111に連通している。そこでは、例えば4つの相前後して接続されたタービン段112がタービン108を構成している。
【0028】
各タービン段112は、例えば2つの翼輪から構成されている。高温ガス通路111内には、作動媒体113の通流方向に見て、静翼列115に続いて、動翼120からなる翼列125が存在する。
【0029】
静翼130がステータ143の内部ケーシング138に固定されているのに対して、翼列125の動翼120はタービン円板133によりロータ103に取り付けられている。
【0030】
ロータ103には、発電機または作業機械(図示せず)が連結されている。
【0031】
ガスタービン100の運転中には、圧縮機105によって吸気ケーシング104を通して空気135が吸い込まれて圧縮される。圧縮機105のタービン側の端部に供給される圧縮空気はバーナ107へ案内され、そこで燃料と混合される。混合物は燃料室110内で燃焼されて作動媒体113を形成する。そこから作動媒体113は高温ガス通路111に沿って静翼130および動翼120を通流する。動翼120で作動媒体113が膨張して衝撃を伝達し、動翼120がロータ103を駆動し、ロータ103がロータ103に連結された作業機械を駆動する。
【0032】
図2は本発明によるバーナ107の断面を部分的斜視図で概略的に示す。バーナ107は、一方では環状燃焼室106に接続して使用することができる。しかし、とりわけバーナ107は、いわゆる管状燃焼室に接続して使用される。この場合にガスタービン100は、環状燃焼室106の代わりに、環状に配置された複数の管状燃焼室を有し、これらの管状燃焼室の流出側開口は環状の高温ガス通路111のタービン入口側に連通している。この場合に、特に、これらの管状燃焼室のそれぞれにおいて、多数の、例えば6又は8個のバーナ107が、管状燃焼室の流出側開口の向かい側の端部に、1つのパイロットバーナの周りにほぼ環状に配置されている。
【0033】
バーナ107は円筒状の容器12を備える。容器12内には、バーナ107の中心軸線27に沿って燃料通路16を有する槍形部が配置されている。この槍形部は、燃焼室110に通じている側に、尖端状に形成された先端キャップ部13を含み、この先端キャップ部13は中心軸線27に対して同心配置されている。先端キャップ部13内には本発明による燃料ノズル1が配置されていて、この燃料ノズル1は燃料通路16に連通している。
【0034】
本発明によるバーナ107の容器12内には槍形部の周りに旋回流形成翼17が配置されている。旋回流形成翼17は容器12内において槍形部の周囲に沿って配置されている。旋回流形成翼17によって、圧縮機空気流15が、バーナ107における燃焼室110に通じている部分へ導かれる。その空気は旋回流形成翼17によって旋回運動させられる。その際に生じる空気流の中に、燃料、例えば油が燃料ノズル1を通して噴射される。その際に生じる燃料−空気混合物が燃焼室110へ導かれる。
【0035】
図3は先端キャップ部13の断面を斜視図で概略的に示す。先端キャップ部13の中心軸線が参照符号18によって示されている。先端キャップ部13は、燃焼室110に向かって円錐状に先の尖った形にされている。先端キャップ部13は、複数の、この実施例では4つの燃料ノズル1を有する。燃料ノズル1は先端キャップ部13の外周において燃料ノズルに対応した凹みの中に配置されている。燃料ノズル1の中心軸線が参照符号19によって示されている。燃料ノズル1の中心軸線19は、先端キャップ部13の中心軸線18に対して、45°と90°との間の角度20を有する。燃料は、燃料通路16を通して、参照符号26によって示されている通流方向に沿って先端キャップ部13内に流入する。燃料は、それから燃料ノズル1を通して矢印25の方向に、旋回流形成翼17から来る空気流の中に噴射される。
【0036】
本発明による燃料ノズル1は、スリーブ2と、スリーブ2内に配置されたピン3とを備える。図4はスリーブ2の断面を斜視図で概略的に示す。スリーブ2は、この実施例では中空円筒の形を有する。スリーブ2の内周面が参照符号6によって示されている。
【0037】
図5はピン3を斜視図で示す。ピン3はこの実施例では円筒の形を有する。円筒の外周面が参照符号5により示されている。ピン3の上端面が参照符号7により示されている。外周面5に沿って旋回流路4が溝の形で走っている。旋回流路4は、外周面5においてピン3の中心軸線28の周りに螺旋状に旋回している。
【0038】
図6は本発明による燃料ノズル1の断面を斜視図で概略的に示す。本発明による燃料ノズル1は、図4に示したスリーブ2と、図5に示したピン3とを備える。ピン3は、スリーブ2の内周面がピン3の外周面5とぴったり結合するようにスリーブ2内に配置されている。この結合ははめあい結合または圧力結合であってよい。ピン3は、スリーブ2内に例えばロウ付け又は圧力嵌めすることができる。
【0039】
スリーブ2内にピン3を配置することによって、ピン3の中心軸線28に対する半径方向において、スリーブ2の内周面6により旋回流路4が覆われるか、又は区画される。
【0040】
スリーブ2は、燃料ノズル1から出た燃料の通流方向25に流出開口8を有する。ピン3は、ピン3の上端面7がスリーブ2の流出開口8に対して後退した位置になるようにスリーブ2内に配置されている。この場合に旋回室9が形成される。旋回室9内において、燃料、本実施例では油と、空気との混合が行なわれる。更に、上記後退によって、ビーム状噴霧ではなくて膜状噴霧が可能となる。上端面7と流出開口8とが一直線に並んでいてもよい。
【0041】
ピン3の代替実施例が図7に示されている。図7はピン29を斜視図で概略的に示す。図5に示されたピン3と違って、ピン29は、ピン29の中心軸28の周りに螺旋状に外周面5に沿って配置された3つの旋回流路4を含んでいる。これらの旋回流路4は周方向において互いにずらされて配置されている。この場合にそれぞれ隣接する旋回流路4同士は、例えばピン29の周囲に沿って互いに120°の角度だけずらされて配置されているとよい。図7に示された変形に対する代替として、ピン3,29が任意の他の個数の旋回流路4を含んでいてよい。
【0042】
次に本発明の第2実施例を図8乃至10に基づいて更に詳細に説明する。第1実施例の要素に対応する要素には同一の参照符号を付し、詳細を改めて説明することはしない。
【0043】
図8はスリーブ22の断面を斜視図で概略的に示す。スリーブ22は、図4に示されたスリーブと違って、スリーブ22の内周面6に沿って旋回流路24が配置されていることによって特徴付けられている。旋回流路24は、スリーブ21の中心軸線に対して螺旋状にスリーブ22の内周面6に沿って旋回している。
【0044】
図9はピン23を斜視図で概略的に示す。この実施例において使用されるピン23は円筒の形を有し、図5に示されたピン3と違って旋回流路を持っていない。ピン23は外周面5と上端面7を有する。
【0045】
図10は本発明による燃料ノズル21の断面を斜視図で概略的に示す。燃料ノズル21は、図8に示したスリーブ22および図9に示したピン23を備える。ピン23は、ピン23の外周面5とスリーブ22の内周面6とがぴったり結合するようにスリーブ22内に配置されている。この結合は基本的にはめあい結合または圧力結合とすることができる。スリーブ22内にピン23を配置することによって、旋回流路24が中心軸線19に向かって半径方向において覆われるか、又は区画される。
【0046】
ここで使用されるスリーブ22は、互いにずらされて配置された複数の旋回流路24を勿論含んでいてもよい。3つの旋回流路24の場合に、それぞれ隣接する旋回流路24同士は、例えばピン23の周囲に沿って互いに120°の角度だけずらされているとよい。
【0047】
更にピン23はスリーブ22内に配置されていて、ピン23の上端面7はスリーブ22の流出開口8に対して後退させられている。それによってピン23の上端面7と流出開口8との間に旋回室9が生じ、この旋回室9内で燃料が空気と混合される。
【0048】
次に第3実施例を図11に基づいて更に詳細に説明する。先行する実施例の要素に対応する要素には同一の参照符号を付し、それらの要素の詳細は改めて説明しない。
【0049】
図11は本発明による燃料ノズル31を示し、この燃料ノズル31は、第2実施例のスリーブ22と第1実施例のピン3,29との組み合わせである。燃料ノズル31はスリーブ32を含み、このスリーブ32は内周面6に沿って1つの旋回流路を有する。この旋回流路24は、図8及び10と関連して説明した旋回流路24と同じ特性を持つ。
【0050】
スリーブ32内にはピン33が配置されている。ピン33は、図5に関連して説明したピン3又は図7に関連して説明したピン29と同じ特性を有する。ピン33は1つの旋回流路4を備える。ピン33はスリーブ32内に配置されていて、旋回流路4がスリーブ32の内周面6によって覆われ、かつ旋回流路24がピン33の外周面5によって覆われる。それによって、燃料ノズル31内には2つの旋回流路が生じる。スリーブ32の内部には、ピン33の上端面7とスリーブ32の流出開口8との間に旋回室9が存在する。
【0051】
次に、第4実施例を図12に基づいて詳細に説明する。先行する実施例の要素に対応する要素には同一の参照符号を付し、詳細を改めて説明することはしない。図12は本発明による燃料ノズル41の断面を概略的に示す。燃料ノズル41はスリーブ42及びピン43を備える。ピン43はスリーブ42の内部に配置されている。先行する実施例とは違ってピン43の外周面45及びスリーブ42の内周面46が円錐台の外周面の形状を有する。これは、中心軸線28に対するピン43の半径が燃料の通流方向に向かって円錐状に増大していることを意味する。同様にスリーブ42の内径も燃料の通流方向25に向かって円錐状に増大している。
【0052】
ピン43は螺旋状に外周面45に沿って走っている少なくとも1つの旋回流路4を有する。ピン43の上端面7は、スリーブ42内に、流出開口8に対して後退させられて配置されている。それによってスリーブ42内に旋回室9が形成され、この旋回室9内において燃料が空気と混合される。図12に示した実施例に対する代替として、少なくとも1つの旋回流路を、スリーブ42だけが含んでいてもよいし、又はスリーブ42と同様にピン43も含んでいてもよい。
【0053】
基本的には、本発明の全ての実施例及び代替変形例の枠内において、例えば直径、偏心度、円錐形状の変更によって、又は複数の旋回流路を通した多段の噴出によって、燃料の噴出を制御することができる。燃料は、特に油である。全ての実施例において、ピンをスリーブ内に、例えばロウ付け又は圧力嵌めすることができる。それぞれの旋回流路は種々の製造方法により製造することができる。例えば、フライス削り、丸削り、溝削り、食刻、焼結又は押出成形によって、ピン及び/又はスリーブのそれぞれの表面に旋回流路を形成することができる。更に、ピン及び/又はスリーブのそれぞれの表面は、鋳造によって発生させることができる。
【0054】
原理的には、開示した全ての構成について、上端面7と流出開口8とが同一レベルにあってもよい。この場合に旋回室を形成するためには、燃料ノズル1,21,31,41が、先端キャップ部13の外周面に対して後退させられていることだけが必要である。
【0055】
更に、図6、10及び11に示された燃料ノズル1,21,31の構成については、流出開口8の面積がピン3,23,33の上端面の面積よりも小さくてもよい。この場合にピン3,23,33はスリーブ2,22,32の上流側から挿入される。
【符号の説明】
【0056】
1 燃料ノズル
2 スリーブ
3 ピン
4 旋回流路
5 外周面
6 内周面
7 上端面
8 流出開口
9 旋回室
12 容器
13 先端キャップ部
15 圧縮機空気流
16 燃料通路
17 旋回流形成翼
18 中心軸線
19 中心軸線
20 角度
21 燃料ノズル
22 スリーブ
23 ピン
24 旋回流路
25 通流方向
26 通流方向
27 中心軸船
28 中心軸線
29 ピン
31 燃料ノズル
32 スリーブ
33 ピン
41 燃料ノズル
42 スリーブ
43 ピン
45 外周面
46 内周面
100 ガスタービン
102 回転軸線
103 ロータ
104 吸気ケーシング
105 圧縮機
106 燃焼室
107 バーナ
108 タービン
109 排気ケーシング
110 燃焼室
111 高温ガス通路
112 タービン段
113 作動媒体
115 静翼列
120 動翼
125 動翼列
130 静翼
133 タービン円板
135 空気
138 内部ケーシング
143 ステータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン(3,23,29,33,43)の外周面(5,45)及び/又はスリーブ(2,22,32,42)の内周面(6,46)に少なくとも1つの旋回流路(4,24)を形成し、前記ピン(3,23,29,33,43)の外周面(5,45)と前記スリーブ(2,22,32,42)の内周面(6,46)とを接合するように、前記スリーブ(2,22,32,42)内に前記ピン(3,23,29,33,43)を固定する燃料ノズル(1,21,31,41)の製造方法。
【請求項2】
ピン(3,23,29,33,43)の外周面(5,45)及び/又はスリーブ(2,22,32,42)の内周面(6,46)に、フライス削り、丸削り、溝削り、食刻、焼結又は押出成形により、前記旋回流路(4,24)を形成する請求項1記載の方法。
【請求項3】
ピン(3,23,29,33,43)及び/又はスリーブ(2,22,32,42)を鋳型で鋳造し、前記旋回流路(4,24)を鋳型によって決める請求項1記載の方法。
【請求項4】
ピン(3,23,29,33,43)をスリーブ(2,22,32,42)内にロウ付け又は圧力嵌めする請求項1乃至3の1つに記載の方法。
【請求項5】
ピン(3,23,29,33,43)の外周面(5,45)及び/又はスリーブ(2,22,32,42)の内周面(6,46)に、前記旋回流路(4,24)を螺旋状に形成する請求項1乃至4の1つに記載の方法。
【請求項6】
燃料ノズル(1,21,31,41)が外周面(5,45)を有するピン(3,23,29,33,43)と内周面(6,46)を有するスリーブ(2,22,32,42)とを有し、前記ピン(3,23,29,33,43)が前記スリーブ(2,22,32,42)内に配置されていて、前記ピン(3,23,29,33,43)の外周面(5,45)及び/又はスリーブ(2,22,32,42)の内周面(6,46)が少なくとも1つの旋回流路(4,24)を備える燃料ノズル(1,21,31,41)。
【請求項7】
旋回流路(4,24)が螺旋状に形成されている請求項6記載の燃料ノズル(1,21,31,41)。
【請求項8】
ピン(3,23,29,33,43)の外周面(5,45)及び/又はスリーブ(2,22,32,42)の内周面(6,46)が円筒状に、円錐状に又は偏心的に形成されている請求項6又は7記載の燃料ノズル(1,21,31,41)。
【請求項9】
燃料ノズル(1,21,31,41)が少なくとも2つの旋回流路(4,24)を備える請求項6乃至8の1つに記載の燃料ノズル(1,21,31,41)。
【請求項10】
ピン(3,23,29,33,43)が上端面(7)を有し、スリーブ(2,22,32,42)が流出開口(8)を有し、前記ピン(3,23,29,33,43)が前記スリーブ(2,22,32,42)内に配置されていて、前記上端面(7)が前記流出開口(8)に対してスリーブ(2,22,32,42)の内部に向けて後退させられている請求項6乃至9の1つに記載の燃料ノズル(1,21,31,41)。
【請求項11】
流出開口(8)の面積がピン(3,23,29,33)の上端面(7)の面積よりも小さい請求項6乃至10の1つに記載の燃料ノズル(1,21,31,41)。
【請求項12】
燃料ノズル(1,21,31,41)が油ノズルとして構成されている請求項6乃至11の1つに記載の燃料ノズル(1,21,31,41)。
【請求項13】
請求項6乃至11の1つに記載の少なくとも1つの燃料ノズル(1,21,31,41)を備えるバーナ(107)。
【請求項14】
円筒状の容器(12)を有するバーナ(107)であって、当該容器(12)が、その内部中央に配置された燃料通路(16)を有する槍形部を備え、この槍形部が、放射状に配置された旋回流形成翼(17)を介して当該容器に支持され、燃焼室に通じている側に先端キャップ部(13)が配置されており、1つ又は複数の燃料ノズル(1,21,31,41)が、好ましくは旋回流形成翼(17)の下流側において、先端キャップ部(13)内に配置されていて、かつ流体技術的に燃料通路(16)に接続されている請求項13記載のバーナ(107)。
【請求項15】
先端キャップ部が中心軸線(18)を有し、前記燃料ノズルが中心軸線(19)を有し、前記燃料ノズル(1,21,31,41)が先端キャップ部(13)内に配置されていて、前記燃料ノズルの中心軸線(19)が先端キャップ部の中心軸線(18)に対して45°から90°の間の角度を有する請求項14記載のバーナ(107)。
【請求項16】
請求項6ないし12の1つに記載の燃料ノズルを備え、前記スリーブ(2,22,32,42)が流出開口(8)を含み、前記流出開口(8)が先端キャップ部(13)の外周面に対して後退させられている請求項14乃至15の1つに記載のバーナ(107)。
【請求項17】
中央のパイロットバーナの周りに環状に配置された請求項13乃至16の1つに記載の複数のバーナ(107)を備えた燃焼装置。
【請求項18】
請求項13乃至16の1つに記載の少なくとも1つのバーナ(107)を備えるか、又は管状燃焼室ごとに請求項17記載の1つの燃焼装置を備えるガスタービン(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−511243(P2011−511243A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543398(P2010−543398)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065135
【国際公開番号】WO2009/095100
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany