説明

既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム

【課題】無駄なコスト、時間、労力をかけることなく、経験、知識、熟練度を必要とすることなく、簡単に正確かつ効率良く既設管の再整備計画を立てることが可能な既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを提供する。
【解決手段】既設管内部の調査画像情報を観察しながら、所定の不良判断基準に基づいて、既設管の継手部、本管部及び取付管部ごとに、不良種類を選択し不良の度合いを点数化するとともに点数に応じてランク付けして画面入力させる段階と、画面入力された不良状態を用いて所定項目ごとにランク別に該当する既設管の本数を集計して既設管内の状態を評価する段階と、その結果を用いて所定の判定基準に基づいて、既設管の再整備方針に関し、該既設管をそのまま利用するか、更生活用するか、布設替するかを判定し、その判定結果を出力して既設管の再整備方針データを作成する段階とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設下水管(以下、「既設管」という)内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設管のメンテナンスは、不具合が発生したときに、その都度その不具合箇所を個別に補修するという方法で行っている。しかし、現在、耐用年数を経過し老朽化した既設管の管渠が相当な範囲に及ぶものと想定される。このため、従来の既設管のメンテナンスのような個別対処の方法では、老朽した管による道路陥没や臭気問題、浸水被害等が同時に多発した場合に迅速な補修が困難になるという問題がある。
そして、既設管の耐用年数の経過や、人口の変動に伴う下水の流出量(「ある区域から流れ出て管内に入ってくる量」をいう)の変動を鑑みれば、既設管のメンテナンスは、所定路線区域において、同時に多数の下水管の修繕(「対象施設の一部の取り替え等を行うこと」をいう)や改築(「排水区域の拡張等に起因しない対象施設の全部または一部(修繕に該当するものを除く)の再建設あるいは取り替えを行うこと」をいう)を行うことが必要であるものと考えられている。
【0003】
ところで、所定路線区域において一部の既設管の修繕や改築を行うと、修繕や改築を行った下水管を流れる下水の流速や流量(単に「流れる量」をいう)が変化することで、他の既設管を流れる下水の流速,流量にも変化を及ぼすことになる。そして、それらの流速,流量の変化が、かえって、所定路線区域全体の下水の流れを劣化させる、或いは他の既設管の寿命を短くさせるなどの悪影響を与えてしまうことにもなりかねない場合もある。
また、所定路線区域における既設管の耐用年数の経過如何によっては、当該所定路線区域で行う道路の舗装工事等の際に既設管を取り替えることが可能であれば、一部の既設管を取り替えるよりも全ての既設管を取り替えた方がより経済的メリットが大きくなる場合もある。
このため、所定の期間を経過した既設管に関しては、所定路線区域全体にわたり再整備(「改築のうち標準的耐用年数に達した対象施設の再建設あるいは取り替えを行うこと」をいう。自治体によっては「更新」或いは「再構築」という場合もある。)の可否及び内容を検討して再整備計画を立てる必要がある。
従来、下水管の再整備の計画手順を系統立てて示したものとしては、例えば、非特許文献1に記載のものがある。
【0004】
【非特許文献1】横山博一編著「下水道管路の再構築」理工図書株式会社、平成11年6月15日発行、44−45頁
【0005】
非特許文献1に記載の再整備計画では、既設管の設計緒元を確認するとともに、既設管の測量調査、管内調査を行い、さらに既設管の流下能力の検証等を踏まえて、再整備の手法を確認する手順で計画を立てるようになっている。
【0006】
既設管の再整備計画を立てるための方法としては、所定路線区域における全ての既設管を、新しい下水管に取り替えることを前提とする方法が考えられる。
しかし、所定路線区域に布設されている既設管は、当初に設計された管の緒元や、管の内部を流れる下水の流速,流量、管の勾配等の条件が同じではないため、個々の管の痛み具合や流下能力等がそれぞれ異なり、修繕・改築の要否、必要とされる修繕・改築の程度が異なるものが混在する。
したがって、所定路線区域における全ての既設管を、新しい下水管に取り替えることを前提とした再整備計画では、修繕・改築の必要がない既設管も取り替えてしまうことになり、資源、労力及び費用の無駄が莫大なものとなってしまう。
【0007】
そこで、既設管の再整備計画を立てるにあたっては、設計した既設管の緒元より個々の既設管の能力(既設管を流れる下水の流速や流量など)を算出し、算出結果に基づいて、例えば、既設管をそのまま利用する(以下、「既設管利用」という)、既設管に例えば管内表面の摩擦抵抗を減らすために塩化ビニールなどのプラスチック樹脂をライニングするなどの更生処理を施して利用する(以下、「更生活用」という)、新しい下水管に取り替える(以下、「付設替」という)など、幾つかの異なる再整備の方法から最適な方法を選択する方法を用いることが考えられる。
【0008】
しかし、この方法は、あくまで既設管の設計値や測定値に基づいて算出するものであり、実際の既設管の状態(例えば、経時的変化に伴う管の劣化状態)を反映しているわけではない。このため、この方法では、実際には修繕や改築が不必要な既設管に対して修繕又は改築を施してしまったり、修繕や改築が必要な既設管に対して何ら修繕も改築も施さなかったりする場合が生じ、所定路線区域における既設管の実状に沿った最適な方法で再整備をすることができない。
【0009】
既設管の再整備計画を立てるためのその他の方法としては、個々の既設管の状態を実際に調査して、再整備の内容を決める方法が考えられる。
この方法は、TVカメラなどの撮像装置を用いて、それぞれの既設管の内部を撮像し、撮像された既設管の画像を調査者が観察しながら、管の不具合を診断してカルテを作成し、カルテに記載された診断結果よりそれぞれの既設管ごとに再整備の内容を決めるというものである。
この方法によれば、設計値に基づく方法に比べて、より既設管の実状に即した再整備を行うことが可能である。
【0010】
しかし、既設管の不具合は、管の破損の有無、破損の規模、破損の程度、管の腐食、管のずれ、たるみ、浸水状態など、原因や症状が多岐にわたるため、そのような多岐にわたる状態を画像観察より総合的に判断して、管の再整備の内容を決定するには、調査者の長年の経験と勘が必要となる。そして、そのような経験や勘を習得するには、相当の熟練度や知識が必要となるが、莫大な数の既設管に対する熟練者の絶対数は圧倒的に少ない。
このため、この方法では、個々の下水管を熟練者が個別に判断して、所定路線区域の下水管の再整備計画を立てるのに莫大な時間を必要とし、作業負担及びコストも却って莫大なものとなってしまう。
しかも、この方法では、カルテ等に記載される既設管の不具合状態及び再整備内容が調査者の主観に左右されてバラツキが生じ易い。
更には、ある管を再整備することにより他の管へ流れる流量等の条件が変動するため、管の現状の診断だけでは、現時点において再整備が不要な管を含めての全体的な再整備の予測を立てることが難しい。
【0011】
また、個々の管の能力を設計値より算出する方法や、実際の管の状況を画像に撮像し、熟練者により個別に判断する方法においては、いずれも、算出項目やチェック項目をより多く増やせば、より適切な再整備の方法を用いた計画を立てることができる。しかし、算出項目やチェック項目が多くなればなるほど、より作業負担が増大する。
【0012】
しかも、従来、これらの個々の管の能力を設計値より算出する方法や、実際の管の状況を画像に撮像し、熟練者により個別に判断する方法においては、個々のデータを手作業で紙媒体に記録していた。
しかるに、下水管の本数は膨大であるため、管の能力、状況を紙媒体に記載する方法では、再整備計画以降の下水管の追跡調査を行う必要が生じた際に紙媒体から必要なデータを探し出す作業が煩雑化する。また、一旦、再整備計画を立てた後に、経済状況(例えば予算)、環境状況(人口の変動に伴う平均流量の変化)その他の変化により再整備計画基準の変更が必要となる場合も考えられる。その都度、紙媒体への記載内容を書き改めるのでは莫大な労力がかかり、算出項目やチェック項目を細分化した場合には、作業負担の度合いが更に大きくなり、その後の管理や迅速な追跡調査を行うことが非常に困難になる。
【0013】
このように、既設管の再整備計画を立てるためには、非常に多くの情報の整理、分析が必要であり、しかも、担当者の技術、知識により再整備の方法の判定にバラツキが生じ易い。
また、上記非特許文献1に記載の再整備計画方法は、処理手順を系統立てはいるが、系統立てた個々の処理について人的な作業負担を軽減し、効率化を実現するための具体的手段についてまでは提案されたものではない。
このため、従来は、無駄なコストをかけることなく、熟練度や経験とは無関係に簡単で正確かつ効率良く既設管の再整備計画を立てることができなかった。
しかし、今後、耐用年数を超える既設管が順次大量に出てくることは必然であるため、既設管の再整備は不可避であり、効率的かつ適切な既設管の再整備計画を立てることが早急に望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、無駄なコスト、時間、労力をかけることなく、経験、知識、熟練度を必要とすることなく、簡単に正確かつ効率良く既設管の再整備計画を立てることが可能な管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明による管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムは、撮像手段を用いて撮像された既設管内部の調査画像情報を観察しながら、既設管の不良種類ごとに不良の度合いが点数化されるとともに点数に応じてランク付けされた所定の不良判断基準に基づいて、既設管の継手部、本管部及び取付管部ごとに、不良種類を選択し不良の度合いを点数化するとともに点数に応じてランク付けして画面入力させる段階と、画面入力された継手部、本管部及び取付管部における不良状態を用いて所定項目ごとにランク別に該当する既設管の本数を集計して既設管内の状態を評価する段階と、その評価結果を用いて所定の判定基準に基づいて、前記既設管の再整備方針に関し、該既設管をそのまま利用するか、更生活用するか、布設替するかを判定し、その判定結果を出力して管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針データを作成する段階とを備えたことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムにおいては、前記調査画像情報を観察しながら画面入力するための前記所定の不良判断基準は、既設管の管の破損,クラック,管の腐食,継手ズレ,侵入水,接合状態,閉塞状態,取付管突出し,たるみ蛇行を任意に組み合わせてなる既設管の不良種類ごとに、不良の度合いが点数化されているとともに点数に応じてランク付けされているのが好ましい。
【0017】
また、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムにおいては、前記既設管内の状態の評価は、前記画面入力された値を用いて、前記既設管の不良種類ごとに、ランク別に該当する既設管の本数を集計するとともに、その集計値を用いて、本管における不良種類全体,たるみ蛇行,侵入水,取付管に関する不良ごとに、ランク別の不良本数を集計し、不良率を算出して行うのが好ましい。
【0018】
また、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムにおいては、前記既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針の判定基準は、前記既設管内の状態の評価に際し本管における不良種類全体,たるみ蛇行,侵入水,取付管に関する不良ごとに集計及び算出されたランク別の不良本数、及び不良率の結果を用いて、本管における不良種類全体,たるみ蛇行,侵入水,取付管に関する不良ごとに、所定ランクへの該当の有無と不良率の範囲とを組み合わせた条件に応じて、布設替するか、更生活用するか、既設管をそのまま利用するかが決まるように定められているのが好ましい。
【0019】
また、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムにおいては、前記既設管の再整備方針データが作成されているデータベースの当該既設管の再整備方針データに対し、当該既設管の再整備方針データの路線区間における前記撮像手段による調査画像情報がリンクして出力表示されるようにするのが好ましい。
【0020】
また、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムにおいては、前記管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針データに基づいて、所定路線区域における既設管利用区間、更生活用区間、布設替区間などの少なくとも一部の再整備方針データを地図及び画像形式で印字又はモニター表示するようにするのが好ましい。
【0021】
また、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムにおいては、前記再整備方針データの判定基準を画面入力で変更できるようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムによれば、作業者は知識及び経験や勘に基づく主観的な判断をすることなく、客観的な事項を入力するだけで、精度の高い再整備方針を設計することができる。
このため、無駄なコスト、時間、労力をかけることなく、経験、知識、熟練度を必要とすることなく、簡単に正確かつ効率良く既設管の再整備計画を立てることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムは、既設管内部の調査画像情報を観察しながら、既設管の状態を評価し、その評価結果を用いて前記既設管の再整備方針に関し、該既設管をそのまま利用するか、更生活用するか、布設替するかを判定するように構成されている。
以下、その具体的な構成及びプロセスの例を本発明の一実施形態として図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを示すシステム概略構成図、図2は図1に示す既設管の再整備設計システムのデータ入力相関図、図3は図1に示す既設管の再整備設計システムのデータ処理フローの概略図である。
本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムは、図1に示すように、既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100と、本実施形態にかかる管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200と、総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300とを有して構成されている。
各データベースシステム100,200,300は、夫々コンピュータの内部に夫々データベース作成ソフトウェア及びデータベースファイル101,201,301を備えて構成されている。また、データベースシステム300はデータベースシステム100,200と回線で接続されている。なお、データベースシステム200とデータベースシステム300との間のデータの受け渡しをフレキシブルディスクやCD,MD等を介して行うようにしてもよい。
以下、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを、既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100、本実施形態にかかる管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200、総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300の順で説明することとする。
【0024】
まず、既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100について説明する。
データベースシステム100のデータベースファイル101は、図2に示すように、既設管の緒元データ部110と、既設管状況、既設管流下能力等評価データ部120と、既設管流下能力等評価結果に基づく再整備方針データ部130とを備えている。
【0025】
既設管の緒元データ部110は、上流人孔番号,下流人孔番号,地区番号,号線番号,排水区域等よりなる路線区間及び既設管を特定するための既設管インデックス項目と、(当初の布設に際し設計された)下水道台帳図ファイル140より抽出する管径,管種,地盤高(上流),地盤高(下流),管底高(上流),管底高(下流),勾配,延長、及び道路管理者が作成した路線毎の舗装情報ファイル150より抽出した舗装構成などのデータ項目を有して構成されている。
ここで、延長とは、当該既設管の長さである。また、管種は、例えば、鉄筋コンクリート製ヒューム管などの剛性管、塩化ビニール管、強化プラスチック管、剛性管の一部に摩擦抵抗を減らすために塩化ビニールなどのプラスチック樹脂をライニングした更生管、等の夫々について、アルファベット文字などの記号で区別してある。
【0026】
既設管状況、既設管流下能力等評価データ部120は、当該路線区間の既設管内を流れる下水の流速・流下量の算出値、それらの算出値が基準値又は計画値を満足するか否かの判定情報、下水道台帳図ファイル140より抽出する既設管の土被(上流),土被(下流)、及びその土被が前記舗装構成と前記既設管の管径とに応じて規定される最低必要土被を満足するか否かを示す土被不足の判定情報などのデータ項目を有して構成されている。
【0027】
流速は、マニング公式に基づき、粗度係数(「水路壁の粗さの程度によって決まる常数」をいう)を所定値(例えば、剛性管の粗度係数:0.013)で算出するようになっている。なお、マニング公式は、次の式(1)で表わされる。
v=(1/n)R2/3・i1/2 …(1)
但し、nは粗度係数、Rは径深、iは勾配である。また、R=A/p(但し、Aは流積(「流管あるいは水路の横断面において、流体の占める面積」をいう)、pは潤辺(ぬれぶち:「流管あるいは水路の横断面において、流体と固体の接している部分の長さ」をいう)である。)で示される。
流下量(「満管における管内を流れることができる量」をいう)は、マニング公式に基づき、粗度係数を所定値(例えば、剛性管の粗度係数:0.013)で算出するようになっている。
土被には、下水道台帳図ファイル140に記録された土被をセットするようになっている。
【0028】
そして、流速、流量、土被の判定情報には、次の表1に示すような評価基準に基づく評価結果をセットするようになっている。

表1
既設管流下能力等の評価基準

【0029】
流速の判定情報には、算出した流速が所定値(例えば、0.8m/S)以上のときは、流速を満たすことを示す記号(例えば、"○"印)を付けるようになっている。また、算出した流速が該所定値(0.8m/S)を下回るときは、流速を満たさないことを示す記号(例えば、"×"印)を付けるとともに、既設管の管径及び粗度係数について数値を変えて(例えば、既設管の管径マイナス10mm、粗度係数0.010)で再度流速を算出し、算出した流速が上記所定値(0.8m/S)以上のときは流速を満たすことを示す記号("○"印)を、所定値(0.8m/S)を下回るときは流速を満たさないことを示す記号("×"印)を付けるようになっている。
【0030】
流下量の判定情報には、算出した流下量が流量情報ファイル160に記録されている流出量以上のときは計画流出量を満たすことを示す記号(例えば、"○"印)を、算出した流下量が流量情報ファイル160に記録されている流出量を下回るときは計画流出量を満たさないことを示す記号(例えば、"×"印)を付けるようになっている。
また、算出した流下量が流量情報ファイル160に記録されている流出量を下回るときは、既設管の管径及び粗度係数について数値を変えて(例えば、既設管の管径マイナス10mm、粗度係数0.010)で流下量を算出し、算出した流下量が流量情報ファイル160に記録されている流出量以上のときは計画流出量を満たすことを示す記号(例えば、"○"印)を、算出した流下量が流量情報ファイル160に記録されている流出量を下回るときは計画流出量を満たさないことを示す記号(例えば、"×"印)を付けるようになっている。
なお、流速、流下量及びこれらの判定情報は、最初の判定時のデータ項目と、再計算時のデータ項目とで別々に設けられている。
また、流下量の判定に際しては、流量情報ファイルの計画流出量から例えば2割程度の余裕を見込んだ量での判定を加えても良い。
【0031】
土被不足の判定情報には、所定値(例えば、1.5m以上)を満たさないか、舗装構成と既設管の管径との値に応じて規定される最低必要土被の値を上記土被の値が満たさないときに、例えば、次に述べるような値をセットするようになっている。
舗装構成(L交通・歩道)で管径250・300mmのときの最低必要土被を0.8mとし、これを超えないときの土被不足の値を"F−1"とする。また、舗装構成(A・B交通)で管径250・300mmのときの最低必要土被を0.9mとし、これを超えないときの土被不足の値を"F−2"とする。また、舗装構成(C交通)で管径250・300mmのときの最低必要土被を1.1mとし、これを超えないときの土被不足の値を"F−3"とする。また、舗装構成(D交通)で管径250・300mmのときの最低必要土被を1.2mとし、これを超えないときの土被不足の値を"F−4"とする。また、各舗装構成につき管径350〜450mmのときの最低必要土被を1.3mとし、これを超えないときの土被不足の値を"F−5"とする。また、各舗装構成につき管径500mm以上のときの最低必要土被を1.5mとし、これを超えないときの土被不足の値を"F−6"とする。
【0032】
なお、当該路線区間の既設管内を流れる下水の流下量・流速の算出、それらの算出値が基準値又は計画値を満足するか否かの判定、及び土被が所定の基準値を満足するか否かの判定は、データベース作成ソフトウェア101にプログラミング化されており、自動的に行われるようになっている。
【0033】
既設管流下能力等評価結果に基づく再整備方針データ部130は、既設管の再整備の要否,再整備の方法,再整備の原因を示すデータ項目を含んで構成されている。
既設管の再整備の要否,再整備の方法を示すデータ項目は、既設管利用,更生活用,布設替に分かれている。また、再整備の原因を示すデータ項目として、更生活用では流量流速不足が該当し、布設替は、能力不足、土被不足区間、逆勾配に分かれている。
そして、既設管流下能力等評価結果に基づく再整備方針データ部130には、次の表2に示すような判定基準に基づいて判定結果をセットするようになっている。

表2
既設管流下能力等の評価結果に基づく再整備方針判定基準

【0034】
流量流速不足は、上記算出した流下量、流速の少なくともいずれかが最初の評価において不合格となったが(最初の当該判定情報項目が"×"印)、上記のように粗度係数あるいは管径などの変数を変えて再計算することにより、その不合格状態を解消して合格した場合(再計算時の当該判定情報項目が"○"印)に該当する。
より具体的には、例えば、
(1)流下量が流量情報ファイル160の計画流出量以上である(最初の流下量判定情報項目が"○"印)が、流速が0.8m/sを下回る場合(最初の流速判定情報項目が"×"印)において、粗度係数を変えて(0.013から0.010)再計算したときの流速が0.8m/s以上となったとき(再計算時の流速判定情報項目が"○"印)や、
(2)流速が0.8m/s以上である(最初の流速判定情報項目が"○"印)が、流下量が流量情報ファイルの計画流量を下回る場合(最初の流下量判定情報項目が"×"印)において、既設管の管径及び粗度係数について数値を変えて(例えば、既設管の管径マイナス10mm、粗度係数0.010)再計算したときの流下量が流量情報ファイル160の計画流出量以上となったとき(最計算時の流下量判定情報項目が"○"印)が該当する。
【0035】
そして、流量流速不足に該当した場合は、更生活用が再整備方針として判定される。更生活用は、既設管に管内表面の摩擦抵抗を減らすために塩化ビニールなどのプラスチック樹脂をライニングするなどの更生処理を施して利用するという再整備の一方法である。なお、更生活用には、再整備の原因に応じて細分化された複数種類の記号が出力されるようになっている。
例えば、流下量不足が解消するものには"B"、流下量不足は解消するが、2割の流下量の余裕がないものには"△B"、流速不足が解消するものには"C"を付ける。
【0036】
能力不足は、上記算出した流下量、流速の少なくともいずれかが最初の評価において不合格となり、(最初の当該判定情報項目が"×"印)、上記のように粗度係数あるいは管径などの変数を変えて再計算しても、その不合格状態を解消できない場合(再計算時の当該判定情報項目が"×"印)に該当する。
土被不足区間は、上記土被の判定において不合格となったとき(土被不足の判定情報項目が、例えば上記"F−1"〜"F−5"のいずれかであるとき)に該当する。
逆勾配は、前記勾配がマイナスのときに該当する。
【0037】
そして、これら能力不足、土被不足区間、逆勾配に該当した場合には、布設替が再整備方針として判定される。
布設替は、既設管を新しい下水管に取り替えるという再整備の一方法である。なお、布設替には、再整備の原因に応じて細分化された複数種類の記号が出力されるようになっている。
例えば、能力不足のデータ項目には、更生活用しても流下能力不足であることを原因とするものには"D"、更生活用しても最小流速が0.8m/s以下であることを原因とするものには"E"を付ける。
また、土被不足区間のデータ項目には、管径が250又は300mmである場合において土被不足記号が"F−1"〜"F−4"のもの、管径が350から450mmである場合において土被不足記号が"F−5"のもの、及び管径が500mm以上である場合において土被不足記号が"F−5"のものには"F"、土被不足を解消することにより影響を受ける区間には"G"を付ける。
また、逆勾配のデータ項目には、逆勾配を解消する区間には"H"、逆勾配を解消することで影響を受ける区間には"I"を付ける。
【0038】
既設管利用は、流速、流下量、土被の判定情報項目がすべて合格で、かつ、再整備方針として、更生活用、布設替のいずれにも該当しないときに該当する。
既設管利用は、既設管をそのまま利用する再整備の一方法である。なお、既設管利用には、再整備の原因に応じて、細分化された複数種類の記号が出力されるようになっている。
例えば、流下能力、最小流速、逆勾配、土被を満足する区間に"○"、管径が600mm以上で2割の余裕見込み流量の無い区間に"○△"、管径が1000mm以上でインバートで勾配を修正する区間に"○A"、管径が600mm以上で土被が1.5m未満であるが、管径250,300mmにおける舗装構成に対応する最低必要土被を満足している区間に"○F"を付ける。
【0039】
なお、既設管流下能力等評価結果に基づく再整備方針データ部130の各再整備方針の判定は、データベース作成ソフトウェア101にプログラミング化されており、自動的に行われるようになっている。
【0040】
そして、このように構成された既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100を起動すると、次のようにデータが作成される。図4は既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100のデータ作成手順を示すフローチャートである。
【0041】
まず、下水道台帳図ファイル140と舗装情報ファイル150を入力して、下水道台帳図ファイル140より当該路線区間の管径,管種,地盤高(上流),地盤高(下流),管底高(上流),管底高(下流),勾配,延長を、舗装情報ファイル150より当該路線区間の舗装構成を、既設管の緒元データ部110に格納する(ステップS11)。
次いで、当該路線区間の既設管内を流れる下水の流速、流下量を算出するとともに、下水道台帳図ファイル140より当該路線区間の土被を取得する。そして、流量情報ファイル160を入力して該当路線区間の流出量を参照しながら、表1を用いて説明した評価基準に基づいて、これらの算出した流速、流下量が上述した基準値又は計画値を満足するか否かを判定するとともに、前記取得した土被が、前記舗装構成と前記既設管の管径とに応じて規定される最低必要土被を満足するか否かを判定する。そして、これらのデータを、既設管状況データ、既設管流下能力等評価データ部120に格納する(ステップS12)。
次いで、既設管の流下能力等評価データより、表2を用いて説明した判定基準に基づいて、既設管をそのまま利用するか、更生活用するか、布設替するかの再整備方針を判定し、その判定結果を既設管流下能力等評価結果に基づく再整備方針データ部130に格納する(ステップS13)。これにより、既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100による一路線区間における既設管の再整備方針データの作成が完了する。
【0042】
次に、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200について説明する。データベースシステム200のデータベースファイル201のデータ項目を表3に示す。





【0043】
本実施形態のデータベースシステム200のデータベースファイル201は、図2に示すように、TVカメラ管内調査画像に基づく不良状態の点数化データ部210と、入力データの集計値からなる既設管内の状態の評価データ部220と、管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針データ部230とを備えている。
【0044】
TVカメラ管内調査画像に基づく不良状態の点数化データ部210は、表3に示すように、スパン情報部と、調査記録部と、取付管部とで構成されている。
スパン情報部は、表3に示すように、管内の調査年月日,調査場所,号線番号,処理区名,上流人孔番号,下流人孔番号,本管本数,人孔間距離,管種,管径,排除方式等で構成されており、これらのデータ項目は画面入力されるようになっている。
調査記録部は、継手部と、本管部と、取付管部とに分類され、さらにそれぞれ不良種類,判定ランク,点数で構成されており、これらのデータ項目は調査画像を観察しながら後述する不良箇所の判断基準に基づき画面入力されるようになっている。
取付管部は、1本の管渠に接続する取付管の本数である取付管個数で構成されており、このデータ項目は画面入力されるようになっている。
【0045】
表4に本実施形態で用いる不良箇所の判断基準表の一例を示す。また、表4における具体的な判断基準の内容を図5〜図9に示す。なお、図5〜図9中、n1〜n22は任意の整数である。

【0046】
不良箇所の判断基準は、補修対策項目として、不良原因ごとに項目分けを行うとともに、所定の不良原因によっては更に異常内容ごとに項目分けを行ない、細分化された夫々の項目をチェック項目とする。そして、夫々のチェック項目ごとに、画像で示される管内の状態を、破損やクラックの大きさなど、客観的に判定可能な管内の状態に応じて最大で10ランクの判定基準にランク分けする。ランク分けされた項目における基準となる管内の状態は、症状を数値限定するなど極力客観化された内容になっている。また、各ランクの程度に応じて数値が割り当てられている。
【0047】
具体的には、不良箇所の判断基準は、不良原因として、陥没,陥没・処理水の増大,陥没・処理水の増大及び流下不良,流下不良・悪臭などに項目分けされている。
そして、不良原因が陥没の場合は、更に異常内容として、管の破損,クラック,管の腐食,管の隙間又は管のずれ、に項目分けされている。そして、管の破損では10段階、クラックでは6段階、管の腐食では4段階、管の透き間又は管のずれでは3段階に評価点数が分けられ、さらに、評価点数に応じて3段階にランク分けされている。そして、本実施形態では1〜3点をCランク、4〜6点をBランク、7〜10点をAランクとしている。
【0048】
また、不良原因が陥没・処理水の増大の場合は、更に異常内容として、浸入水,接合不良又は仕上不良,閉塞不良、に項目分けされている。そして、浸入水では5段階、接合不良又は仕上不良では3段階、閉塞不良では3段階に評価点数が分けられ、さらに、評価点数に応じて3段階にランク分けされている。
また、不良原因が陥没・処理水の増大又は流下不良の場合は、異常内容として、取付管突出しの項目が設けられており、取付管突出しでは3段階に評価点数が分けられ、さらに、評価点数に応じて3段階にランク分けされている。
また、不良原因が流下不良・悪臭の場合は、異常内容として、たるみ、蛇行の項目が設けられており、たるみ、蛇行では3段階に評価点数が分けられ、さらに、評価点数に応じて3段階にランク分けされている。なお、たるみ、蛇行については、例えば、図10(a),(b)に示すように、管径が230,250,300,400,450,500,550,600mmの管について、管の外周面から管径Dの1/3の長さH1分内側に位置する2点を結ぶ長さL1,管の外周面から管径Dの1/5の長さH2分内側に位置する2点を結ぶ長さL2の範囲を超えているか否かで判定するようにしている。
【0049】
既設管内の状態の評価データ部220は、破損、クラック、腐食、継手ズレ、侵入水、接合不良、閉塞不良、取付管突出し、たるみ等の不良種類における不良状態ランク別の該当する既設管の本数についての集計項目と、本管総合、たるみ蛇行、浸入水、取付管不良における各不良状態ランク毎の該当する既設管の本数についての集計項目、各不良状態ランク毎の不良率算出項目とで構成されている。
これら画面入力された調査記録部の不良種類、判定ランク及び点数を用いた、ランク別に該当する既設管の本数の集計、及びそれら集計値の既設管内の状態の評価データ部220へのセットは、データベース作成ソフトウェア201にプログラミング化されており、自動的に行われるようになっている。
【0050】
管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針データ部230は、既設管の再整備の要否,再整備の方法,再整備の原因を示すデータ項目を含んで構成されている。
既設管の再整備の要否,再整備の方法を示すデータ項目は、既設管利用,更生活用,布設替に分かれている。また、布設替では、再整備の原因を示すデータ項目として、本管の総合的な不良状態評価に基づくもの、たるみ蛇行評価に基づくもの、浸入水評価に基づくものに分かれている。また、更生活用は、再整備の方法を示すデータ項目として、更正自立、更生複合に分かれている。さらに、更生複合は、再整備の原因を示すデータ項目として、本管の総合的な不良状態評価に基づくもの、浸入水評価に基づくものに分かれている。
そして、管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針データ部230は、次の表5に示すような判定基準に基づいて判定結果をセットするようになっている。
【0051】

◎:当該ランクに該当することが必須。
○:当該ランクに該当した場合、判定条件に加算される。
△:当該ランクに該当しても判定条件に加算されない。
×:当該ランクに非該当であることが必須。
【0052】
本実施形態では、ソフトウェアを介して既設管内調査データとして記録された管の不良ランク及び不良本数から所定不良ランク別の不良率を算出し、ランクごとの不良率の上限及び下限の範囲に応じて再整備の方法を判定するようにしている。
【0053】
例えば、表5に示す本管総合判定基準は、(1)不良ランクAが30%以上,(2)不良ランクAが20〜30%,(3)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが50%以上,(4)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが30〜50%,(5)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが30%未満,(6)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが50%以上,(7)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが40〜50%,(8)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが40%未満,(9)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%以上,(10)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%未満のそれぞれに応じて、布設替,更生活用,既設管利用というように再整備の方法を異ならせている。なお、表5において、本管の不良率は本管の本数に対する不良本数を百分率で示したものである。
【0054】
そして、表5の本管総合判定基準では、(1)不良ランクAが30%以上のときは再整備の方法を布設替(I)とする。(2)不良ランクAが20〜30%のときは布設替(II)とする。(3)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが50%以上のときは布設替(II)とする。(4)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが30〜50%のときは布設替(III)とする。(5)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが30%未満のときは更生活用(自立)とする。(6)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが50%以上のときは更生活用(自立)とする。(7)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが40〜50%のときは更生活用(複合)とする。(8)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが40%未満のときは既設管利用とする。(9)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%以上のときは更生活用(複合)とする。(10)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%未満のときは既設管利用とする。
なお、更生活用(自立)は、既設管の強度を期待しない構造、更生活用(複合)は、既設管と更生材が一体となる構造とする更生活用である。
【0055】
また、表5に示すたるみ蛇行判定基準は、(1)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが30%以上,(2)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが15〜30%,(3)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが15%未満,(4)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが50%以上,(5)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが30〜50%,(6)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが30%未満,(7)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%以上,(8)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%未満のそれぞれに応じて、布設替,既設管利用というように再整備の方法を異ならせている。なお、表5において、本管の不良率は本管の本数に対する不良本数を百分率で示したものである。なお、本管のたるみ状況は、図10を用いて説明した判定基準に従うものであり、管径Dに対する水深で水際線で判断する。そして、ランクAがD/3以上、ランクBがD/5以上D/3未満,ランクCがD/5未満に該当する。
【0056】
そして、表5のたるみ蛇行判定基準では、(1)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが30%以上のときは布設替1とする。(2)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが15〜30%のときは布設替2とする。(3)不良ランクAを含み不良ランクA〜Cが15%未満のときは布設替3とする。(4)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが50%以上のときは布設替2とする。(5)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが30〜50%のときは布設替3とする。(6)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが30%未満のときは既設管利用とする。(7)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%以上のときは布設替3とする。(8)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%未満のときは既設管利用とする。
【0057】
また、表5に示す浸入水判定基準は、(1)不良ランクAが存在する場合,(2)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが10%以上,(3)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが10%未満,(4)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%以上,(5)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%未満のそれぞれに応じて、更生活用(複合),既設管利用というように再整備の方法を異ならせている。なお、表5において、本管の不良率は本管の本数に対する不良本数を百分率で示したものである。また、表5には示していないが、本判定基準の例外として、海水が混入する場合、不良ランクAおよびBの存在する区域の管は布設替としている。
【0058】
そして、表5の浸入水判定基準では、(1)不良ランクAが存在する場合は、更生活用(複合)とする。(2)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが10%以上のときは更生活用(複合)とする。(3)不良ランクAが0%で不良ランクB,Cが10%未満のときは既設管利用とする。(4)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%以上のときは更生活用(複合)とする。(5)不良ランクA,Bが0%で不良ランクCが50%未満のときは既設管利用とする。
【0059】
また、表5に示す取付管判定基準は、(1)不良ランクA,B,Cの不良取付管の箇所数に応じて、布設替,既設管利用というように再整備の方法を異ならせている。なお、表5の取付管判定においては、標準スパンをL=30mとした場合の取付管不要箇所数を参考としている。
【0060】
そして、表5の取付管判定基準では、(1)不良ランクA,B,Cの不良取付管が8箇所以上存在する場合は、布設替(IV)とする。(2)不良ランクA,B,Cの不良取付管が8箇所未満の場合は、既設管利用とする。
なお、本実施形態では、布設替(I),(II),(III),(IV),1,2,3というように、布設替における工法の内容、程度に応じて分類してある。
【0061】
さらに、これらの判定基準により導かれた判定結果から、表5(a)の判定順位に示す優先順に総合的な既設管の再整備の要否,再整備の方法を判定し、その結果をセットするようになっている。
【0062】
なお、データベースシステム200で用いる管内調査画像は、TVカメラ等の撮像手段を介して撮像する。TVカメラは所定路線区間内の管内を撮像することができるように構成されたものを用いる。なお、TVカメラは、有線,無線,光ファイバなどの伝送手段を介して、データベースシステム200が設けられているコンピュータに接続され、撮像した動画、静止画などの画像データを該コンピュータに送信するようにするのが好ましい。送信された画像データ及び移動可能な記録媒体を介して入力された画像データはコンピュータのモニター画面に表示される。コンピュータは、送信された画像データあるいは移動可能な磁気媒体を介して入力された画像データを画像データベースファイル240として記録することができるようになっている。なお、TVカメラをコンピュータからの遠隔操作により撮影方向を360度変えることができるように制御すると好ましい。
【0063】
そして、このように構成された本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200を起動すると、次のようにデータが作成される。図11は本実施形態における管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200のデータ作成手順を示すフローチャートである。
【0064】
まず、データベースシステム200が起動されたコンピュータに接続された端末の表示画面において、オペレータが、上述したスパン情報部の各データ項目に所定情報を入力すると共に、表示画面に表示されたTVカメラによる該当路線区間の各既設管の管内調査画像を観察しながら、表4及び図5〜図9に示した不良箇所の判段基準に基づいて、調査記録部における継手部、本管部、取付管部のそれぞれにおける不良状態について不良種類,判定ランク,点数を入力する(ステップS21)。
これにより、TV管内調査画像を客観的に数値化及び記号化したTVカメラ管内調査画像に基づく不良状態の点数化データ部210が作成される。
TVカメラ管内調査画像に基づく不良状態の点数化データ部210が作成されると、データベースシステムのソフトウェアが、画面入力された値を用いて、前記既設管の不良種類ごとに、ランク別に該当する既設管の本数を集計するとともに、その集計値を用いて、本管における不良種類全体,たるみ蛇行,侵入水,取付管に関する不良ごとに、ランク別の不良本数を集計し、不良率を算出して既設管内の状態の評価データ部220に格納する(ステップS22)。
次いで、作成された既設管内の状態の評価データ220を用い、表5を用いて説明した判定基準に基づいて、既設管をそのまま利用するか、更生活用するか、布設替するかの再整備方針を判定し、その判定結果を管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針データ部230へ格納する(ステップS23)。これにより、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200による一路線区間における既設管の再整備方針データの作成が完了する。
【0065】
次に、総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300について説明する。
データベースシステム300のデータベースファイル301は、図2に示すように、総合的な再整備方針データ部310を備えている。
【0066】
総合的な再整備方針データ部310は、既設管の再整備の要否,再整備の方法,再整備の原因を示すデータ項目を含んで構成されている。
既設管の再整備の要否,再整備の方法を示すデータ項目は、既設管利用,更生活用,布設替,勾配修正に分かれている。さらに、更生活用は、更生自立と更生複合に分かれている。また、再整備の原因を示すデータ項目として、更生複合は、既設管流下能力等評価結果に基づくものと、管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づくものとに分かれている。布設替は、既設管流下能力等評価結果に基づくものと、管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づくものと、土被不足区間又は土被不足解消影響区間のいずれかを原因とするものとに分かれている。
そして、総合的な再整備方針データ部310は、既設管流下能力等評価結果に基づく再整備方針データ部130に記録された再整備方針と管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針データ部230に記録された再整備方針とを用いて、次の表6に示すような判定基準に基づいて判定結果をセットするようになっている。
【0067】


【0068】
例えば、既設管利用には、再整備方針データ部130における既設管利用と、再整備方針データ部230における既設管利用のいずれの項目にも"既設管利用"を示す値(例えば"○"印)がある場合に、"既設管利用"に該当することを示す値(例えば、"○"印)を付ける。
既設管流下能力等評価結果に基づく布設替には、再整備方針データ部130における布設替の能力不足、逆勾配のいずれかの項目に値がある場合に、"布設替"に該当することを示す値(例えば、"○"印)を付ける。
管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく布設替には、再整備方針データ部230における布設替の本管、たるみ、取付管のいずれかの項目に値がある場合に、その値を付ける。
土被不足区間又は土被不足解消影響区間のいずれかを原因とする布設替には、再整備方針データ部130における布設替の土被不足区間の項目に"土被不足"を示す値(例えば、"F")、"土被不足解消影響区間"を示す値(例えば、"G")のいずれかの値であり、かつ、再整備方針データ部230における再整備方針が"既設管利用"の場合に、"布設替"に該当することを示す値(例えば"○"印)を付ける。
【0069】
勾配修正には、再整備方針データ部130における既設管利用と、再整備方針データ部230における既設管利用のいずれの項目にも"既設管利用"を示す値があり、かつ、その値に勾配を修正する区間を示す値(例えば、"○A")がある場合に、"勾配修正"を示す値(例えば、"A")を付ける。
更生活用(自立)には、再整備方針データ部130における布設替、再整備方針データ部230における布設替のいずれの項目にも値がなく、かつ、再整備方針データ部230における更生自立の項目に値がある場合に、"更生自立"に該当することを示す値(例えば、"○"印)を付ける。
既設管流下能力等評価結果に基づく更生活用(複合)には、再整備方針データ部130における布設替、再整備方針データ部230における布設替のいずれの項目にも値がなく、かつ、再整備方針データ部130における更生複合の項目に値がある場合に、"更生複合"に該当することを示す値(例えば、"○"印)を付ける。
管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく更生活用(複合)には、再整備方針データ部130における布設替、再整備方針データ部230における布設替のいずれの項目にも値がなく、かつ、再整備方針データ部230における更生複合の項目に値がある場合に、"更生複合"に該当することを示す値(例えば、"○"印)を付ける。
【0070】
なお、総合的な再整備方針データ部310の各再整備方針の判定は、データベース作成ソフトウェア301にプログラミング化されており、自動的に行われるようになっている。
【0071】
そして、このように構成された総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300を起動すると、次のようにデータが作成される。図12は総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300のデータ作成手順を示すフローチャートである。
【0072】
まず、既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100で作成された所定路線区間におけるデータを読み込む(ステップS31)。
次いで、本実施形態の管内調査による既設管内の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200で作成された当該路線区間におけるデータを読み込む(ステップS32)。
次いで、入力したデータベースシステム100,200における夫々の既設管の再整備方針データを付け合わせ、表6を用いて説明した判定基準に基づいて、既設管をそのまま利用するか、更生活用するか、布設替するかの再整備方針を判定し、その判定結果を総合的な再整備方針データ部310へ格納する(ステップS33)。これにより、総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300による一路線区間における既設管の再整備方針データの作成が完了し、既設管の最終的な再整備方針が確定する。
【0073】
なお、既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300では、総合的な再整備方針データ部310を出力する他に、既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100で作成された所定路線区間におけるデータや本実施形態の管内調査による既設管内の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200で作成された当該路線区間におけるデータのうちの所定のデータ(例えば、既設管の緒元データ部110と、既設管状況、既設管流下能力等評価データ部120と、既設管流下能力等評価結果に基づく再整備方針データ部130、既設管内の状態の評価データ部220と、管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針データ部230等)を格納するようにしてもよい。
【0074】
このように、図1の既設管の再整備設計システムによれば、既存の下水道台帳図データ等から自動的に既設管の能力を算出及び評価し、その評価結果に基づき自動的に既設管の再整備方針を判定する。ここで、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムによれば、撮像手段より得られた管内の調査画像を観察しながら管内の不良状態をオペレータが不良箇所の判断基準に基づいて客観的に入力でき、入力後は、自動的に管内の不良状態を評価し、その評価結果に基づき自動的に既設管の再整備方針を判定する。このため、作業者は知識及び経験や勘に基づく主観的な判断をすることなく、客観的な事項を入力するだけで、精度の高い再整備方針を設計することができる。さらに、これら既設管の能力に基づく再整備方針と調査に基づく再整備方針を用いて自動的に総合的な既設管の再整備方針を判定する。
従って、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた図1の既設管の再整備設計システムによれば、作業負担が減り、効率的で無駄がなく、判断にバラツキのない安定した整備計画を立てることができる。
【実施例】
【0075】
本件出願人である横浜市において、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた場合と、用いない場合とで、シミュレーションを行い諸観点からの比較を行った。
横浜市において、管渠更新事業を行えるコンサルタントは、実績では7社となっている。これは、管渠更新事業の難易度が高いためである。また、この7社においても管渠更新事業に対応できる技師長は、各社あたり1人程度である。
そこで、まず、1人の技師長が1年間に従事できる管渠更新事業の業務数等を従来の設計方法と本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法とで比較した。
なお、シミュレーションに際しては、各社の技師長が社の要職にありいろいろな業務を行っていることを鑑み、管渠更新事業に従事できる日数は、総勤務日数の10%程度とした。
管渠更新延長1.5km(再整備面積6ha)を1業務としたとき、技師長1人あたりを1年間(土日・休祭日除き実働日数245日)の消化可能業務数等を計算した。その結果を次の表7に示す。
なお、表7中、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムにより直接の影響を受ける項目は、「管渠更新一次判定」、「管渠更新二次判定」である。また、これにより派生的に影響を受ける項目は、「技師長の1業務拘束日数」、「1年間(245日)の消化可能業務数」、「横浜市が契約を行っているコンサルタントが1年間に行える業務数」、「面積換算(6ha/1業務)ha」、「管渠延長計算(1.5km/1業務)km」である。
また、「管渠更新一次判定」とは、図1を用いて説明した本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムでいうところの既設管能力評価結果に基づく再整備方針判定〜管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針判定〜総合的な再整備方針判定に相当する設計処理をいう。なお、「管渠更新二次判定」があるのは、実際には「管渠更新一次判定」後に、再度既設管の更新設計条件を変えて再整備方針の見直しを行うからである。
【0076】

【0077】
表7に示すように、従来の設計方法では、年間に行える業務量は、面積121.8ha、管渠延長30.5kmである。これに対し、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法では,面積189.0ha、管渠延長47.3kmである。従って、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法によれば、従来の設計方法に比べて1.5倍の業務を行うことができる。
例えば、横浜市では、今後、管渠更新事業を1年間に面積約200ha、管渠更新延長約50km実施することが必要とされている。従来の設計方法では、管渠更新事業を予定どおりに行うことが殆ど不可能であるが、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計方法によれば、ほぼ予定どおりに行うことができる。
【0078】
また、管渠更新事業における従来の設計方法と本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法とを設計必要日数で比較した。その結果を表8に示す。なお、1件あたりの業務規模は、面積6.0ha、管渠更新延長1.5kmとしている。また、表8中、「一次判定」、「二次判定」は、表7の「管渠更新一次判定」、「管渠更新二次判定」にそれぞれ対応する。

表8に示すように、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法によれば、管渠更新事業1件あたり必要日数が従来の設計方法の約74%(102.0÷103.5≒0.742)となり従来の設計方法と比較して約26%工期を短縮することが可能である。
【0079】
なお、本実施例のシミュレーションにおける設計業務に従事する技術者の職種区分は、次の表9のとおりである。

【0080】
また、実務経験年数の目安は、次の表10のとおりである。経験年数は、土木部門の高等教育学校卒業後の年数としてある。

【0081】
下水道管渠更新事業における再整備方針決定までの日数・費用について従来の設計方法と本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法との比較を図13、図14に示す。なお、再整備延長1.5km、再整備面積6haとしてある。
再整備方針決定までについて比較すると、図13、図14に示すように、従来の設計方法では、所要日数が63.5日、総人工数が71.5人、総人件費が113.0であるのに対し、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法では、所要日数が28.0日、総人工数が32.6人、総人件費が52.4となった。このように、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムによれば、所要日数が従来の約44%(28÷63.5≒0.441)、総人工数が従来の約46%(32.6÷71.5≒0.456)、総人件費が従来の約46%(52.4÷113.0≒0.463)というように、日数及び費用を大幅に削減することができる。
【0082】
このように、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムは、高度な経験及び知識を必要とする作業者の数を減らすことが可能である。さらに、本発明において設計補助員の割合を多くしても設計できることをシミュレーションで確認した。
それに先立ち、技術者職種の業務能力について説明する。
下水管の設計業務では,業務能力が職種ごとに求められている。技師(B)以下に求められる能力と技師(A)以上に求められる能力を次の表11に示す。技師(A)以上は、技師(B)以下の能力は既に身に付けている。

【0083】
技師(B)以下であっても、その必要な設計能力を得ることは、それほど簡単なことではない。表10に示したように、業務経験は、技術員が1年以上、技師(C)が5年以上、技師(B)が8年以上必要である。管渠更新設計を従来の設計方法で行う場合、パソコンの表計算、図面を書く能力、その表現能力、計算の能力が、必要不可欠である。また、管渠更新設計に際し、相当の知識及び経験等の熟練度が必要となる。このため、技術員以下の補助者が業務を行える範囲は、たとえば、電話線,ガス管,水道管等他企業の地下埋設物を調査する等ごく限られた部分になる。
しかるに、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いて更新設計を行う場合、表11の右端欄に"×","△"で表したとおり熟練した能力は、さほど必要とならない。というのは、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムでは、流量等の計算,既設管の現状を表した図面,管渠更新の判定等,従来の設計方法では熟練の技術者が作成しなければならないデータの大半は、システム内で自動的に与えられるからである。このため、技術員以下の能力しか持たない設計補助員であっても設計の相当部分を行うことができる。
【0084】
そこで、さらに本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いて設計する場合において、設計補助者によって節約できる費用をシミュレートした。
本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法において,技師(B)以下の技術員は,その2/3を設計補助者に任せることができるものと考えられる。そこで、技師(B)以下の技術者の業務の2/3相当を設計補助者に任せた場合、設計料がいくら節約できるかをシミュレートした結果を図15に示す。なお、シミュレートに際し設計補助者は,技術員の人件費の50%とした。
図15は、図14に示した下水道管渠更新事業における再整備方針決定までの費用について従来の設計方法と本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法との比較に、更に、設計補助者の割合を増やした場合(「本発明の設計方法2」として示してある)を加えた比較結果を示す表である。
【0085】
図15に示すように、従来の設計方法の総人件費を100%とした場合、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法(「本発明の設計方法1」として示してある)では総人件費は46%、更に技師(B)以下の作業を設計補助者に分担させた場合(「本発明の設計方法2」として示してある)では総人件費は28%となった。
このように、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムによる設計方法によれば、設計補助員に任せられる部分を含めると、従来の設計方法に比べて人件費を72%も節約できることが判った。
【0086】
なお、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムにおける既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針データに基づく所定路線区域における既設管利用区間、更生活用区間、布設替区間、土被不足区間及び土被不足影響区間や、管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針データに基づく所定路線区域における既設管利用区間、更生活用区間、布設替区間、既設管の破壊状況、たるみ状況及び浸入水状況、更には、総合的な再整備方針データに基づく所定路線区域における既設管利用区間、更生活用区間、布設替区間、土被不足区間及び土被不足影響区間等は、データベースの数値又は記号としてコンピュータのモニター上やプリンタを介して紙面上に示すことができることに加えて、実際の地図形式にしてモニター上やプリンタを介して紙面上に示すことができるようにすると、より作業者及び近隣住民への再整備の説明及び理解の補助のために好ましい。
そこで、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムでは、各データベースシステム100,200,300において、地図(区画割平面図)上に再整備の方針ごとに色分け或いは線種を変えて既設管を印字又はモニター表示するソフトウェアを備えている。
【0087】
図16〜図18は本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムにおける所定管渠路線部における再整備方針を地図形式にして示した判定図であり、図16は既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100において出力される既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針判定図、図17は本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200において出力される既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針判定図、図18は総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300において出力される既設管の再整備方針総合判定図である。これらの判定図においては、布設替区間、更生活用区間、既設管利用区間、土被不足区間、土被不足影響区間・布設替影響区間ごとに線種を変えて表示してある。なお、これらの線種は、夫々のデータベースシステムによって得られた再整備方針データ部の判定情報に対応して定められている。
このようにすれば、再整備の方針が一目瞭然となり、理解しやすくなる。
なお、図16〜図18の例では再整備の方針を線種を異ならせて出力したが色分けして出力、表示するようにしてもよい。
【0088】
また、図17に示すように、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200においては、TVカメラ等の撮像手段を介して撮像され画像データベースファイルに記録された当該路線区間における管内調査画像を合わせて出力表示するようにすると、さらに既設管内の状態を具体的に視覚で認識し易くなるので好ましい。
なお、このような画像データは、例えば、総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300による既設管の再整備方針総合判定図においても、本実施形態の既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200と連動させることによって出力、表示させるようにすると、より一層好ましい。
また、既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100による既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針判定図において、このような画像データを出力、表示させるようにしてもよい。
【0089】
また、図1に示した本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムでは、以下のような付加機能を備えている。
既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100のデータベースファイル101では、図2に示すように、現地測量を行った「地盤高」、「管底高」、「勾配」等の測量情報を現況値として画面入力することもできるようになっている。そして、測量情報が入力された場合には、その入力値に基づいて、既設管の能力を示す「流速」、「流下量」の算出値を更新するようになっている。
このため、地盤沈下等の影響により既設管の状況が下水管の建設時に記録された下水道台帳図ファイル140の設計内容から大きく変化している場合においても、測量情報を現況値として画面入力することで、現況に即した精度の高い既設管の能力評価を行うことができる。
【0090】
また、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200における再整備方針データの判定基準は表5を用いて説明したように、ランクA,B,Cの該当の有無と該当ランクの不良率の上限及び下限の範囲に応じて再整備の方法を判定するようにしているが、この判定基準におけるランクの該当条件や不良率の上限及び下限の範囲を表示画面から入力することで変更できるようになっている(図示は省略する)。
このため、再整備方針の判定基準の見直しを行う場合においても、データベースファイル201に蓄積されたデータにおける再整備方針の再判定を一括して処理することができ、従来に比べて、コスト、労力、時間を大幅に削減することができる。
【0091】
すなわち、上述したように、本発明では、管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200において、表5に示したような再整備方針データの判定基準にしたがって再整備方針が自動的に選択されるようになっている。このため、この判定基準に変更がある場合も、瞬時にその判定基準にしたがって再整備の方針を示すことができる。
この点に関し、表7〜表11、図13〜図15を用いて説明した上記実施例における従来の設計方法との比較について説明する。
【0092】
例えば、上記実施例において、下水道管渠更新事業における再整備方針決定までの一次判定、二次判定までの作業を終了した時点で、表5に示した本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200における再整備方針データの判定基準に変更があったものとし、再度一次判定、二次判定をやり直したときの下水道管渠更新事業における再整備方針決定までの日数・費用をシミュレートする。そのときの人工の増員数及び人件費の増加分について従来の設計方法と本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法との比較を図19、図20に示す。
なお、1件あたりの業務規模は、面積6.0ha、管渠更新延長1.5kmとしている。また、図19、図20中、「一次判定」、「二次判定」は、表7の「管渠更新一次判定」、「管渠更新二次判定」にそれぞれ対応する。
【0093】
図19、図20に示すように、従来の設計方法では、増加所要日数が4.5日、増加総人工数が8.2人、増加総人件費が15.2であるのに対し、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法では、増加所要日数が1.8日、増加総人工数が3.3人、増加総人件費が6.9となった。このように、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムによれば、増加所要日数が従来の40%(1.8÷4.5=0.4)、増加総人工数が従来の約40%(3.3÷8.2≒0.402)、増加総人件費が従来の約45%(6.9÷15.2≒0.454)というように、増加する日数、人工数及び費用を大幅に削減することができる。
【0094】
なお、上記実施例は、面積6.0haでシミュレートしたものである。上述したように、実際の年間に行える業務量は本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法では、面積189.0ha、管渠延長47.3kmである。また、横浜市では、今後、管渠更新事業を1年間に面積約200ha、管渠更新延長約50km実施することが必要とされている。
そこで、再度一次判定、二次判定をやり直したときの下水道管渠更新事業における再整備方針決定までの増加日数・費用に関し、従来の設計方法と本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法との差を1年間に行う業務量で換算する。すると、例えば、増加日数については、図19に示した増加日数の差(4.5−1.8=2.7)を約30倍{(189ha又は200ha)÷6ha}した値が約80日となる。従って、本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法によれば、再度一次判定、二次判定をやり直した場合には、例えば作業日数に関してみても、従来の設計方法に比べて、1年間で80日も大幅に短縮できることがわかる。
【0095】
その他、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムにおいて、既設管渠の縦断情報を表示する縦断図に、再整備として検討された設計に基づく縦断情報を追加した再整備検討用縦断図を作成するようにすると良い。
【0096】
また、事業年度単位の計画範囲の設定により、区域内に含まれる路線について、布設替、更生、工法、施設情報から工事概算費用の算定を行うことができるようにすると良い。そのようにすれば、例えば、50mメッシュ、250mメッシュ等の単位の概算工事費用を算出し、メッシュ評価による工事優先度を検討することができる。
【0097】
また、工事台帳及び工事履歴管理の機能を付加すると良い。このようにすれば、再整備完了による工事情報整理として再整備工事台帳の記録を円滑に行える。そして、単年度工事やシールド工事による多年工事に対応した記録表を作成できる。
例えば、図面上の工事記録として、簡便な操作により、スパン単位に工事情報を入力可能とする。また、計画から実施時の路線が変更されたスパンについては、簡便な操作により、管渠図形の編集が行えるようにする。
管径、延長、工法については、工事台帳とスパン単位で工事記録の比較確認が行え、更生後に布設替になる場合などの工事の履歴が管理可能となる。
【0098】
また、再整備完了情報として、改良更新面積、改良更新延長、年度別進捗状況(整備面積、整備延長、金額)等について、行政区別、処理区別、地区別の集計が行えるようにするとなお良い。
【0099】
また、再整備地域について、地図情報システムでの閲覧、検索機能により簡便に現況の把握を行えるようにするとなお良い。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムは、既設管の再整備計画を立てることが求められる分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態にかかる管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを示すシステム概略構成図である。
【図2】図1に示す既設管の再整備設計システムのデータ入力相関図である。
【図3】図1に示す既設管の再整備設計システムのデータ処理フローの概略図である。
【図4】既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100のデータ作成手順を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態で用いる不良箇所の判断基準における一部分の具体的内容を示す説明図である。
【図6】本実施形態で用いる不良箇所の判断基準における他の部分の具体的内容を示す説明図である。
【図7】本実施形態で用いる不良箇所の判断基準におけるさらに他の部分の具体的内容を示す説明図である。
【図8】本実施形態で用いる不良箇所の判断基準におけるさらに他の部分の具体的内容を示す説明図である。
【図9】本実施形態で用いる不良箇所の判断基準におけるさらに他の部分の具体的内容を示す説明図である。
【図10】本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200におけるTVカメラ管内調査画像に基づく不良状態の点数化に際し、たるみ、蛇行の点数化の具体的な判断基準を示す説明図であり、(a)は、管の測定箇所を示す説明図、(b)は管径に対するたるみ、蛇行となる管の測定箇所の長さを示す表である。
【図11】本実施形態における管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200のデータ作成手順を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態における総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300のデータ作成手順を示すフローチャートである。
【図13】従来の設計方法と、本発明の実施例にかかる管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法とに関し、下水道管渠更新事業における再整備方針決定までの日数・費用をシミュレートし比較した結果を示した表である。
【図14】図13に示す表中の要部データを抽出した表である。
【図15】本実施例の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法において、技師B以下の技術者の業務の2/3相当を設計補助者に任せた場合の人件費がいくら節約できるかをシミュレートした結果を上記図13,14中のデータに加えて示した表である。
【図16】既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム100において出力される既設管能力評価結果に基づく既設管の再整備方針判定図である。
【図17】本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム200において出力される既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針判定図である。
【図18】総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム300において出力される既設管の再整備方針総合判定図である。
【図19】従来の設計方法と、本発明の実施例にかかる管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムを備えた既設管の再整備設計システムを用いた設計方法とに関し、本実施形態の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステムにおける再整備方針データの判定基準に変更があったものとし、再度一次判定、二次判定をやり直したときの下水道管渠更新事業における再整備方針決定までの作業の増加所要日数、人工数及び人件費をシミュレートし比較した結果を示した表である。
【図20】図19に示した人工数の内訳を示す表である。
【符号の説明】
【0102】
100 既設管の再整備方針自動判定データベースシステム
101,201,301 データベース作成ソフトウェア及びデータベースファイル
110 既設管の緒元データ部
120 既設管状況、既設管流下能力等評価データ部
130 既設管流下能力等評価結果に基づく再整備方針データ部
140 下水道台帳図ファイル
150 舗装情報ファイル
160 流量情報ファイル
200 管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム
210 TVカメラ管内調査画像に基づく不良状態の点数化データ部
220 既設管内の状態の評価データ部
230 管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく再整備方針データ部
240 画像データベースファイル
300 総合的な既設管の再整備方針自動判定データベースシステム
310 総合的な再整備方針データ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段を用いて撮像された既設管内部の調査画像情報を観察しながら、既設管の不良種類ごとに不良の度合いが点数化されるとともに点数に応じてランク付けされた所定の不良判断基準に基づいて、既設管の継手部、本管部及び取付管部ごとに、不良種類を選択し不良の度合いを点数化するとともに点数に応じてランク付けして画面入力させる段階と、
画面入力された継手部、本管部及び取付管部における不良状態を用いて所定項目ごとにランク別に該当する既設管の本数を集計して既設管内の状態を評価する段階と、
その評価結果を用いて所定の判定基準に基づいて、前記既設管の再整備方針に関し、該既設管をそのまま利用するか、更生活用するか、布設替するかを判定し、その判定結果を出力して管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針データを作成する段階とを備えたことを特徴とする管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム。
【請求項2】
前記調査画像情報を観察しながら画面入力するための前記所定の不良判断基準は、既設管の管の破損,クラック,管の腐食,継手ズレ,侵入水,接合状態,閉塞状態,取付管突出し,たるみ蛇行を任意に組み合わせてなる既設管の不良種類ごとに、不良の度合いが点数化されているとともに点数に応じてランク付けされていることを特徴とする請求項1に記載の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム。
【請求項3】
前記既設管内の状態の評価は、前記画面入力された値を用いて、前記既設管の不良種類ごとに、ランク別に該当する既設管の本数を集計するとともに、その集計値を用いて、本管における不良種類全体,たるみ蛇行,侵入水,取付管に関する不良ごとに、ランク別の不良本数を集計し、不良率を算出して行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム。
【請求項4】
前記既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針の判定基準は、前記既設管内の状態の評価に際し本管における不良種類全体,たるみ蛇行,侵入水,取付管に関する不良ごとに集計及び算出されたランク別の不良本数、及び不良率の結果を用いて、本管における不良種類全体,たるみ蛇行,侵入水,取付管に関する不良ごとに、所定ランクへの該当の有無と不良率の範囲とを組み合わせた条件に応じて、布設替するか、更生活用するか、既設管をそのまま利用するかが決まるように定められていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム。
【請求項5】
前記既設管の再整備方針データが作成されているデータベースの当該既設管の再整備方針データに対し、当該既設管の再整備方針データの路線区間における前記撮像手段による調査画像情報がリンクして出力表示されるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム。
【請求項6】
前記管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針データに基づいて、所定路線区域における既設管利用区間、更生活用区間、布設替区間などの少なくとも一部の再整備方針データを地図及び画像形式で印字又はモニター表示するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム。
【請求項7】
前記再整備方針データの判定基準を画面入力で変更できるようにしたことを特徴とする請求項1〜4,6のいずれかに記載の管内調査による既設管内の状態の評価結果に基づく既設管の再整備方針自動判定データベースシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−25342(P2008−25342A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267052(P2007−267052)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【分割の表示】特願2003−156931(P2003−156931)の分割
【原出願日】平成15年6月2日(2003.6.2)
【出願人】(590002208)横浜市 (13)
【Fターム(参考)】