説明

既設鉄塔の建て替え工法

【課題】新たな用地買い増しが困難である市街地等の狭隘地において、停止期間の短縮と工事費用の削減を実現しつつ、充分な高さと堅牢性を備えた新設鉄塔を建設できる、既設鉄塔の建て替え工法を提供する。
【解決手段】既設鉄塔Tへの接続プレートの取り付け工程と、当該接続プレートを介して既設鉄塔Tの外周面に仮設部材T1、T2、T3を取り付けて、鉄塔の外周面を拡げる鉄塔の塔体外周面拡幅工程と、既設鉄塔Tから仮設部材T1、T2、T3側への架渉線(架空送電線・架空地線)の移設工程と、既設鉄塔Tの既設部材の撤去工程と、仮設部材T1、T2、T3内の塔体内空間拡幅工程と、拡幅した鉄塔の塔体内空間において、新設鉄塔Nを組み上げる新設鉄塔Nの組み上げ工程と、仮設部材T1、T2、T3から新設鉄塔への架渉線(架空送電線・架空地線)の再移設工程と、から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設鉄塔の塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(上側)の構成部材を撤去すると共に、障害となる範囲(下側)において塔体内空間を拡幅することにより、この拡幅した既設鉄塔の塔体内空間に新設鉄塔を組み上げて、新たな鉄塔用地買い増しが困難である市街地等の狭隘地において、充分な高さを備えた新設鉄塔を建設することのできる、既設鉄塔の建て替え工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既設鉄塔は、例えば、鉄塔間に架空送電線を支持するものであるが、その建設の当初においては、周辺の種々の状況に応じて、架空送電線を好ましい状態で支持できる充分な高さを備えている。
【0003】
しかし、既設鉄塔の周辺状況は、月日の経過により変化することが多い。例えば、市街地等においては、近年、高層建築物が増加している。その結果、既設鉄塔間に支持されている架空送電線の高さが不足するという問題が発生することがあり、この問題を解消するには、鉄塔を上に伸ばして充分な高さを確保する既設鉄塔の建て替え工事が必要となる。
【0004】
また、近年の電力需要の増加に応じて、架空送電線の容量を増加しなければならない場合があるが、この架空送電線の増容量化にも、既設鉄塔の建て替え工事が必要となる。
【0005】
この様な既設鉄塔の建て替え工事として、従来より実施されている工事手法として、例えば、鉄塔の撤去工法が存在する。この鉄塔の撤去工法は、既設鉄塔を撤去した後に、新設鉄塔を建設するものである。
【0006】
また、他の工事手法として、鉄塔の包込工法が存在する。この鉄塔の包込工法は、既設鉄塔の基礎の外側に、新設鉄塔の基礎を建設するものである。
【0007】
さらに、他の工事手法として、例えば、鉄塔の嵩上げ工法がある。この鉄塔の嵩上げ工法は、既設鉄塔を油圧リフトによって持ち上げ、下部に新しい部材を組み付けることにより鉄塔を嵩上げするものである。
【0008】
この他にも、特許文献1に示すように、既設鉄塔に対して、平面視で45度回転させて新設鉄塔を建設する技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2に示すように、鉄塔の下端部構造以外の新設鉄塔本体を、既設鉄塔と平面視で同方向に配置し、新設鉄塔の基礎を、既設鉄塔の基礎に対して平面視で45度回転させた位置に配置する技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−137633号公報
【特許文献2】特開平11−117575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した従来の工事手法の一つである鉄塔の撤去工法は、停止期間が長くなることから、仮送電線を支持する仮設鉄塔を設置する必要が多くなる等の弊害が生じる。
【0012】
また、鉄塔の包込工法は、既設鉄塔の基礎の外側に、新設鉄塔の基礎を建設することから、既設鉄塔の用地の外側において、新設鉄塔用に新たな用地を買い増す必要がある。
【0013】
その為、新たな鉄塔用地買い増しが困難で、仮設鉄塔を設置するスペースも確保できない市街地等の狭隘地においては、いずれの手法も採用することが困難である。
【0014】
また、特許文献1に示す、既設鉄塔に対して、平面視で45度回転させて新設鉄塔を建設する技術は、新設鉄塔用に新たな用地を買い増す必要は無いものの、新設鉄塔の基礎を既設鉄塔の基礎同士の間に設置することから、新設鉄塔の基礎同士の間隔が、既設鉄塔の基礎同士の間隔よりも狭くならざるを得ない。
【0015】
しかし、鉄塔を上に伸ばして充分な高さを確保するために実施する既設鉄塔の建て替え工事において、新設鉄塔の堅牢性を維持するためには、当然のことながら基礎同士の間隔が広くなる方が好ましい。この点において、新設鉄塔の基礎同士の間隔が狭くなってしまう特許文献1に示す技術を、市街地等の狭隘地において採用することは困難である。
【0016】
さらに、特許文献2に示す、鉄塔の下端部構造以外の新設鉄塔本体を、既設鉄塔と平面視で同方向に配置し、新設鉄塔の基礎を、既設鉄塔の基礎に対して平面視で45度回転させた位置に配置する技術も、新設鉄塔の基礎を、既設鉄塔の基礎同士の間に設置することから、新設鉄塔の基礎同士の間隔が、既設鉄塔の基礎同士の間隔よりも狭くなり、新設鉄塔の堅牢性を維持する上で好ましくない。
【0017】
また、新設鉄塔においては、その基礎の上に2本の主柱材を上開きのV字型に取り付ける等の、新設鉄塔の基礎を補強する追加の工事が必要となり、全体の工事費用が高くなり易い。
【0018】
そこで、本発明は如上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、既設鉄塔の塔体内空間に新設鉄塔を組み上げるための措置として、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(上側)の構成部材を撤去すると共に、障害となる範囲(下側)において塔体内空間を拡幅することにより、この拡幅した既設鉄塔の塔体内空間に新設鉄塔を組み上げて、新たな鉄塔用地買い増しが困難である市街地等の狭隘地において、停止期間の短縮と工事費用の削減を実現しつつ、充分な高さと堅牢性を備えた新設鉄塔を建設することのできる、既設鉄塔の建て替え工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、架空送電線を支持する既設鉄塔を建て替えるための既設鉄塔の建て替え工法であり、既設鉄塔に仮設部材用の接続プレートを取り付ける接続プレートの取り付け工程と、当該接続プレートを介して既設鉄塔の外周面に仮設部材を取り付けて、鉄塔の外周面を拡げる鉄塔の塔体外周面拡幅工程と、既設鉄塔が支持している架渉線(架空送電線・架空地線)を仮設部材側に移設する架渉線(架空送電線・架空地線)の移設工程と、仮設部材の上方に存在している既設鉄塔の構成部材を撤去する既設部材の撤去工程と、既設鉄塔の外周面に取り付けた仮設部材の内部に存在している既設鉄塔の構成部材の一部を撤去して、仮設部材内の空間を拡げる鉄塔の塔体内空間拡幅工程と、拡幅した鉄塔の塔体内空間において、新設鉄塔を組み上げる新設鉄塔の組み上げ工程と、仮設部材が支持している架渉線(架空送電線・架空地線)を新設鉄塔に移設する架渉線(架空送電線・架空地線)の再移設工程と、から成ることで、上述した課題を解決した。
【0020】
また、既設部材の撤去工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(上側)に実施することで、同じく上述した課題を解決した。
【0021】
さらに、鉄塔の塔体外周面拡幅工程と鉄塔の塔体内空間拡幅工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)に実施することで、同じく上述した課題を解決した。
【0022】
また、鉄塔の塔体外周面拡幅工程と鉄塔の塔体内空間拡幅工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)において、上段の位置、中段の位置、下段の位置に実施することで、同じく上述した課題を解決した。
【0023】
加えて、新設鉄塔を組み上げる新設鉄塔の組み上げ工程は、起重機等を使用して複数の単柱ユニットを吊り上げ、拡幅した鉄塔の塔体内空間に、単柱ユニットを順次積み重ねて行くことで、同じく上述した課題を解決した。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る既設鉄塔の建て替え工法によれば、新たな鉄塔用地買い増しが困難である市街地等の狭隘地に建設されている既設鉄塔を建て替える際に、既設鉄塔の塔体内空間を利用して、充分な高さと堅牢性を備えた新設鉄塔を組み上げることができる。
【0025】
この建て替え工法の第1の特徴は、既設鉄塔の塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(上側)に存在する既設鉄塔の構成部材を撤去することにより、既設鉄塔の塔体内空間に新設鉄塔の建設を可能にしている。
【0026】
また、建て替え工法の第2の特徴は、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)において塔体内空間を拡幅することにより、この拡幅した既設鉄塔の塔体内空間に新設鉄塔を組み上げることを可能にしている。
【0027】
この様に、新設鉄塔の建設に障害となる範囲(上側)において、既設鉄塔の構成部材の全体を撤去し、また、障害となる範囲(下側)において、塔体の全体を拡幅して内部の干渉する部材を取り除くことにより、図31に示すように、既設鉄塔の塔体内に新設鉄塔を建設するために必要な空間を確保し、この拡幅した塔体内空間に充分な高さを備えた新設鉄塔を建設することができるのである。
【0028】
具体的には、既設鉄塔に仮設部材用の接続プレートを取り付ける接続プレートの取り付け工程と、当該接続プレートを介して既設鉄塔の外周面に仮設部材を取り付けて、鉄塔の外周面を拡げる鉄塔の塔体外周面拡幅工程と、既設鉄塔が支持している架渉線(架空送電線・架空地線)を仮設部材側に移設する架渉線(架空送電線・架空地線)の移設工程と、仮設部材の上方に存在している既設鉄塔の構成部材を撤去する既設部材の撤去工程と、既設鉄塔の外周面に取り付けた仮設部材の内部に存在している既設鉄塔の構成部材の一部を撤去して、仮設部材内の空間を拡げる鉄塔の塔体内空間拡幅工程と、拡幅した鉄塔の塔体内空間において、新設鉄塔を組み上げる新設鉄塔の組み上げ工程と、仮設部材が支持している架渉線(架空送電線・架空地線)を新設鉄塔に移設する架渉線(架空送電線・架空地線)の再移設工程と、から成ることから、既設鉄塔の塔体内空間に、新設鉄塔を極めて短時間で建設することができる。
【0029】
また、既設鉄塔が支持している架渉線(架空送電線・架空地線)を仮設部材側に移設する架渉線(架空送電線・架空地線)の移設工程と、仮設部材が支持している架渉線(架空送電線・架空地線)を新設鉄塔に移設する架渉線(架空送電線・架空地線)の再移設工程を有することから、架空送電線の停止期間を短くすることができる。
【0030】
さらに、既設部材の撤去工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(上側)に実施することから、既設部材の塔体内空間を利用して、充分な高さを備えた新設鉄塔を建設することができる。
【0031】
また、鉄塔の塔体外周面拡幅工程と鉄塔の塔体内空間拡幅工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)に実施することから、鉄塔の塔体内空間を充分に拡幅でき、この拡幅した塔体内空間に充分な高さを備えた新設鉄塔を建設することができる。
【0032】
この様に、既設部材の撤去工程と、鉄塔の塔体外周面拡幅工程・鉄塔の塔体内空間拡幅工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲に限定して実施することから、全体の工事費用を大幅に削減できる。
【0033】
加えて、鉄塔の塔体外周面拡幅工程と鉄塔の塔体内空間拡幅工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)において、上段の位置、中段の位置、下段の位置に実施することから、鉄塔の塔体内空間を充分に拡幅すると共に、当該拡幅部位における既設鉄塔の堅牢性も維持している。
【0034】
また、新設鉄塔を組み上げる新設鉄塔の組み上げ工程は、起重機等を使用して複数の単柱ユニットを吊り上げ、拡幅した鉄塔の塔体内空間に、単柱ユニットを順次積み重ねて行くことから、既設鉄塔の拡幅した塔体内空間に充分な高さを備えた新設鉄塔を迅速に建設することができ、全体の工事費用も大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】既設鉄塔の塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲と、既設鉄塔の撤去部位、拡幅部位を明示した既設鉄塔の斜視図である。
【図2】既設鉄塔の構成を示すもので、(a)は正面図(背面図)、(b)は側面図である。
【図3】既設鉄塔の塔体内空間に、既設鉄塔よりも高い新設鉄塔を建設する状態を示すもので、(a)は正面図(背面図)、(b)は既設鉄塔の上方部分において、既設鉄塔の構成部材が干渉して、新設鉄塔の建設に障害となる範囲を明示した既設鉄塔の側面図である。
【図4】既設鉄塔の構成を示すもので、(a)は仮設部材を取り付ける上段の位置、中段の位置、下段の位置を明示した既設鉄塔の正面図(背面図)、(b)は新設鉄塔の建設に障害となる範囲と、既設鉄塔の撤去部位、拡幅部位を明示した既設鉄塔の側面図である。
【図5】既設鉄塔が支持している架空送電線を、上段の位置に取り付けた仮設部材側に移設する状態を示す既設鉄塔の正面図(背面図)である。
【図6】既設鉄塔の上段の位置、中段の位置、下段の位置に仮設部材を取り付けた状態を示すもので、(a)は既設鉄塔の平面図、(b)は既設鉄塔の正面図(背面図)、(c)は既設鉄塔の側面図である。
【図7】起重機を使用して、複数の単柱ユニットを個別に吊り上げ、拡幅した鉄塔の塔体内空間に、個々の単柱ユニットを順次積み重ねて行く状態を示す既設鉄塔の側面図である。
【図8】既設鉄塔の上段の位置に、接続プレートを取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図9】既設鉄塔の上段の位置に、接続プレートを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図10】既設鉄塔の上段の位置に、接続プレートを取り付けた状態を示す既設鉄塔の概略の斜視図である。
【図11】既設鉄塔の上段の位置に、接続プレートを介して2基の仮設部材を取り付ける状態を示す既設鉄塔の概略の分解斜視図である。
【図12】既設鉄塔の上段の位置に、接続プレートを介して仮設部材を取り付ける状態を示す既設鉄塔の拡大した分解斜視図である。
【図13】既設鉄塔の上段の位置に、接続プレートを介して仮設部材を取り付けた状態を示す既設鉄塔の拡大した斜視図である。
【図14】上段の位置に取り付けている仮設部材において、内部に存在している腹材を撤去する状態を示すもので、(a)は腹材の切断位置を示す斜視図、(b)は腹材を撤去した状態の斜視図である。
【図15】既設鉄塔の上段の位置に、接続プレートを介して2基の仮設部材を取り付けた状態を示す既設鉄塔の概略の斜視図である。
【図16】既設鉄塔の中段の位置に、接続プレートを取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図17】既設鉄塔の中段の位置に、接続プレートを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図18】既設鉄塔の中段の位置に、接続プレートを取り付けた状態を示す既設鉄塔の概略の斜視図である。
【図19】既設鉄塔の中段の位置に、接続プレートを介して2基の仮設部材を取り付ける状態を示す既設鉄塔の概略の分解斜視図である。
【図20】既設鉄塔の中段の位置に、接続プレートを介して仮設部材を取り付ける状態を示す既設鉄塔の拡大した分解斜視図である。
【図21】既設鉄塔の中段の位置に、接続プレートを介して仮設部材を取り付けた状態を示す既設鉄塔の拡大した斜視図である。
【図22】中段の位置に取り付けている仮設部材において、内部に存在している腹材を撤去する状態を示すもので、(a)は腹材の切断位置を示す斜視図、(b)は腹材を撤去した状態の斜視図である。
【図23】既設鉄塔の中段の位置に、接続プレートを介して2基の仮設部材を取り付けた状態を示す既設鉄塔の概略の斜視図である。
【図24】既設鉄塔の下段の位置に、接続プレートを取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図25】既設鉄塔の下段の位置に、接続プレートを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図26】既設鉄塔の下段の位置に、接続プレートを取り付けた状態を示す既設鉄塔の概略の斜視図である。
【図27】既設鉄塔の下段の位置に、接続プレートを介して2基の仮設部材を取り付ける状態を示す既設鉄塔の概略の分解斜視図である。
【図28】既設鉄塔の下段の位置に、接続プレートを介して仮設部材を取り付ける状態を示す既設鉄塔の拡大した分解斜視図である。
【図29】既設鉄塔の下段の位置に、接続プレートを介して仮設部材を取り付けた状態を示す既設鉄塔の拡大した斜視図である。
【図30】既設鉄塔の下段の位置に、接続プレートを介して2基の仮設部材を取り付けた状態を示す既設鉄塔の概略の斜視図である。
【図31】既設鉄塔の上段の位置、中段の位置、下段の位置に2基の仮設部材を取り付け、それぞれの仮設部材内において既設鉄塔の構成部材の一部を撤去して塔体内空間を拡げ、この拡幅した塔体内空間に新設鉄塔を組み上げている状態を示す既設鉄塔の概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0037】
本発明は、新たな鉄塔用地買い増しが困難である市街地等の狭隘地に建設されている既設鉄塔Tを建て替える際に、既設鉄塔Tの塔体内空間を利用して、充分な高さと堅牢性を備えた新設鉄塔Nを組み上げることのできる、既設鉄塔Tの建て替え工法である。
【0038】
この建て替え工法の特徴は、以下の2点にある。
【0039】
第1の特徴…既設鉄塔Tの塔体内空間に新設鉄塔Nを組み上げる際に、既設鉄塔Tの構成部材が干渉して障害となる範囲(上側)に存在する既設鉄塔Tの構成部材を撤去すること。
【0040】
第2の特徴…既設鉄塔Tの構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)において塔体内空間を拡幅して、この拡幅した既設鉄塔Tの塔体内空間に新設鉄塔Nを組み上げること。
【0041】
架空送電線Eを支持する既設鉄塔Tは、例えば、図1・図2(a)(b)に示すように、立設した4本の主柱材1と、各主柱材1間に取り付けた複数の斜材や水平材等の腹材2により構成されている。これらの腹材2は、所定のプレートを介して各主柱材1間に固定されている。また、既設鉄塔Tは、その上部において、例えば、架空送電線Eを支持する腕金部3を三段に備えている。
【0042】
各主柱材1の下端部は、所定の基礎を介して地盤に固定されている。これらの主柱材1は、正面(背面)側から見ると、図2(a)に示すように、2本の主柱材1が所定の間隔を保持した幅広状に配置され、互いに平行となるように立設している。
【0043】
また、主柱材1は、側方から見ると、図2(b)に示すように、2本の主柱材1が所定の間隔を保持しており、正面(背面)側よりも幅狭状に配置されている。この2本の主柱材1は、下端部から上端部にかけて次第に間隔が狭くなるように立設している。
【0044】
そして、図1・図2(a)(b)に示す既設鉄塔Tは、4本の主柱材1が平面視で矩形状に配置されている。その為、矩形状に配置されている4本の主柱材1の内部において腹材2を撤去した状態を想定すると、立設している4本の主柱材1の内部に空間が存在することになる。
【0045】
この様に、図1・図2(a)(b)に示す既設鉄塔Tにおいては、4本の主柱材1に囲まれるようにして、塔体内空間が形成されている。
【0046】
この塔体内空間は、既設鉄塔Tの側方に配置されている2本の主柱材1が、下端部から上端部にかけて次第に間隔が狭くなるように立設していることから、塔体内空間自身も、下端部側から上端部側にかけて次第に窄まるようになっている。
【0047】
そして、図3(a)に示すように、既設鉄塔Tの塔体内空間に、既設鉄塔Tよりも高い新設鉄塔Nを建設しようとすると、図3(b)に示すように、既設鉄塔Tの上方部分において、主柱材1や腕金部3をはじめとする既設鉄塔Tの構成部材が干渉して、新設鉄塔Nの建設に障害となる範囲が生じる。
【0048】
本発明に係る既設鉄塔Tの建て替え工法は、この様な新設鉄塔Nの建設に障害となる範囲を無くすために、図1・図4(b)に示すように、当該範囲の上側において、主柱材1や腕金部3をはじめとする既設鉄塔Tの構成部材の全体を撤去する措置を施す(図1・図4(b)の撤去部位)。
【0049】
また、新設鉄塔Nの建設に障害となる範囲の下側において、図1・図4(b)に示すように、鉄塔の塔体外周面を拡幅する措置・鉄塔の塔体内空間を拡幅する措置を施す(図1・図4(b)の拡幅部位)。そして、当該拡幅部位の内部において、干渉する既設鉄塔Tの構成部材の全てを取り除くのである。
【0050】
この様に、新設鉄塔Nの建設に障害となる範囲(上側)において、既設鉄塔Tの構成部材の全体を撤去し、また、障害となる範囲(下側)において、塔体の全体を拡幅して内部の干渉する部材を取り除くことにより、最終的に図31に示すように、既設鉄塔Tの塔体内に新設鉄塔Nを建設するために必要な空間を確保し、この拡幅した塔体内空間に充分な高さを備えた新設鉄塔Nを建設するのである。
【0051】
また、鉄塔の塔体外周面を拡幅してから内部の干渉する部材を取り除いて塔体内空間を拡幅する措置を、障害となる範囲(下側)において、上段の位置A、中段の位置B、下段の位置Cに実施することにより、当該拡幅部位における既設鉄塔Tの堅牢性を維持している。
【0052】
この様な特徴を有する既設鉄塔Tの建て替え工法は、具体的に下記の工程を実施する。
1.既設鉄塔Tに仮設部材用の接続プレートを取り付ける接続プレートの取り付け工程(図8乃至図10、図16乃至18、図24乃至図26参照)
2.当該接続プレートを介して既設鉄塔Tの外周面に仮設部材を取り付けて、鉄塔の外周面を拡げる鉄塔の塔体外周面拡幅工程(図4(a)(b)、図31参照)
3.既設鉄塔Tが支持している架渉線(架空送電線E・架空地線)を仮設部材側に移設する架渉線(架空送電線E・架空地線)の移設工程(図5参照)
4.仮設部材の上方に存在している既設鉄塔Tの構成部材を撤去する既設部材の撤去工程(図6(b)(c)参照)
5.既設鉄塔Tの外周面に取り付けた仮設部材の内部に存在している既設鉄塔Tの構成部材の一部を撤去して、仮設部材内の空間を拡げる鉄塔の塔体内空間拡幅工程(図6(a)、図31参照)
6.拡幅した鉄塔の塔体内空間において、新設鉄塔Nを組み上げる新設鉄塔Nの組み上げ工程(図3(a)・図7参照)
7.仮設部材が支持している架渉線(架空送電線E・架空地線)を新設鉄塔Nに移設する架渉線(架空送電線E・架空地線)の再移設工程
【0053】
以下に、これらの各工程の内容を詳細に説明する。
【0054】
(1.既設鉄塔Tに仮設部材用の接続プレートを取り付ける接続プレートの取り付け工程…上段A、中段B、下段C)
【0055】
まず、図1・図4(b)に示す拡幅部位において、既設鉄塔Tに仮設部材用の接続プレートを取り付ける。
【0056】
この接続プレートの取り付けは、後述する鉄塔の塔体外周面拡幅工程と鉄塔の塔体内空間拡幅工程の前提となる措置である。
【0057】
そして、当該塔体外周面拡幅工程と塔体内空間拡幅工程を、既設鉄塔Tの塔体内空間に新設鉄塔Nを組み上げる際に、既設鉄塔Tの構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)における上段の位置A、中段の位置B、下段の位置Cに実施することから、それぞれの接続プレートの取り付けを分けて説明する。
【0058】
[上段の位置Aにおける接続プレート4,5の取り付け(図8・図9・図10参照)]
上段の位置は、図4(a)(b)に示すように、既設鉄塔Tにおいて、最も下方に設置されている腕金部3の位置に該当する。
【0059】
腕金部3は、図1・図2(a)に示すように、2本の主柱材1の側方に突出するように設けられている。この腕金部3は、図8に示すように、主柱材1側から水平に延設された腕金支材6と、腕金支材の上方に位置し、主柱材1側から腕金支材6の先端部に向けて下向きに傾斜した腕金吊材7により構成されている。腕金支材6と腕金吊材7は、いずれも全体が三角形状に形成され、その先端部同士が接合した状態で固定されている。
【0060】
この腕金支材6の略中間位置には、ボルト用の孔H6が設けられている。また、腕金支材6と腕金吊材7の基端部が固定されている2本の主柱材1の間には、短尺な水平材2A,2Bが、上下の2段に固定されている。この水平材2A,2Bの間には、補強用の斜材2Eが固定されている。
【0061】
尚、図1に示すように、主柱材1の他方側においても、同様の腕金部3と短尺な水平材2A,2Bが設置されていることは、言うまでもない。
【0062】
さらに、図1・図8に示すように、既設鉄塔Tの正面側(背面側)に位置している2本の主柱材1の間には、長尺な水平材2C,2Dが上下の2段に固定されている。この2本の水平材2C,2Dは、腕金部3を構成する腕金支材6の基端部同士と、腕金吊材7の基端部同士を接続するように主柱材1に固定されている。
【0063】
また、図8に示すように、2本の長尺な水平材2C,2Dの両端部には、複数のボルト用の孔H2が設けられている。さらに、水平材2C,2Dの長手方向に沿うようにして、当該ボルト用の孔H2の内側にも、複数のボルト用の孔H3が設けられている。また、2本の長尺な水平材2C,2Dの間には、補強用の斜材2Eが固定されている。
【0064】
そして、図8・図9に示すように、2本の長尺な水平材2C,2Dの端部に、接続プレート4を取り付ける。接続プレート4は、全体として矩形の板状に形成され、複数のボルト用の孔H4が設けられている。この接続プレート4の孔H4を水平材2C,2Dの孔H2に合致させ、ボルト止めすることにより、水平材2C,2Dの端部に接続プレート4を固定するのである。
【0065】
また、上段に配置されている長尺な2本の水平材2Cの間と、下段に配置されている長尺な2本の水平材2Dの間に、中間接続プレート5を備えた梁材8が取り付けられる。
【0066】
この梁材8は、図8に示すように、長尺な第一水平材9を備え、この第一水平材9の中央部分に、略台形状の中間接続プレート5を固定している。第一水平材9は、両端部にボルト用の孔H9が設けられている。
【0067】
中間接続プレート5は、幅狭となっている部分が既設鉄塔Tの側方を向くようにして第一水平材9に固定されている。また、中間接続プレート5の幅広となっている部分には、複数のボルト用の孔H5が設けられている。
【0068】
さらに、中間接続プレート6の幅狭となっている部分には、略三角形状の枠部10が固定されている。この枠部10は、中間接続プレート5の幅狭となっている部分に、V字状に拡がるように取り付けた2本の斜材11と、両斜材11の端部に固定された、第一水平材9よりも短尺な第二水平材12により構成されている。
【0069】
この梁材8は、図8・図9に示すように、既設鉄塔Tの水平材2Aに第二水平材12を当接した状態で、第一水平材9の両端部を、2本の水平材2Cに取り付ける。例えば、第一水平材9の孔H9を、2本の水平材2Cに設けている内側の孔H3に合致させ、ボルト止めすることにより、梁材8を固定する。この梁材8を介して、2本の水平材2Cの間に、中間接続プレート5を配置するのである。
【0070】
同様に、既設鉄塔Tの水平材2Bに第二水平材12を当接した状態で、第一水平材9の両端部を、2本の水平材2Dに取り付ける。例えば、第一水平材9の孔H9を、2本の水平材2Dに設けている内側の孔H3に合致させ、ボルト止めすることにより、梁材8を固定する。この梁材8を介して、2本の水平材2Dの間に、中間接続プレート5を配置するのである。
【0071】
こうして、図10に示すように、既設鉄塔Tの最も下方に設置されている腕金部3の部分において、上下の2段に配置されている水平材2C,2Dの端部のそれぞれに、合計8個の接続プレート5を取り付ける。
【0072】
また、長尺な2本の水平材2C,2Dの間に、合計4個の梁材8を固定し、この梁材8を介して、合計4個の中間接続プレート5を取り付ける。
【0073】
[中段の位置Bにおける接続プレート4,5の取り付け(図16・図17・図18参照)]
中段の位置Bは、図4(a)(b)に示すように、既設鉄塔Tにおいて、最下段の腕金部3の下方の位置に該当する。
【0074】
尚、中段の位置Bにおける既設鉄塔Tの構成は、図16・図17に示すように、腕金部3が存在していない点を除いて、前述した[上段の位置A]における既設鉄塔Tの構成と同一であることから、当該同一の構成部材には同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0075】
同様に、接続プレート4と、中間接続プレート5を備えた梁材8の構成と、その取り付け位置も同様であることから、当該同一の構成部材には同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0076】
こうして、図18に示すように、中段の位置Bにおいて、上下の2段に配置されている水平材2C,2Dの端部のそれぞれに、合計8個の接続プレート4を取り付ける。
【0077】
また、長尺な2本の水平材2C,2Dの間に、合計4個の梁材8を固定し、この梁材8を介して、合計4個の中間接続プレート5を取り付ける。
【0078】
[下段の位置Cにおける接続プレート15,16の取り付け(図24・図25・図26参照)]
下段の位置Cは、図4(a)(b)に示すように、既設鉄塔Tにおいて、中段の位置Bよりも下方に位置している、所定の高さ(幅)を有している部分である。
【0079】
この下段の位置Cにおいて、図24・図25に示すように、各主柱材1に、上下方向に所定の間隔を開けて2個の接続プレート15,16を取り付ける。
【0080】
上方に配置される接続プレート15は、図24に示すように、既設鉄塔Tに固定されている接続プレートPに当接する部分15Aと、既設鉄塔Tの側方(外側)を向くように折曲して、既設鉄塔Tの接続プレートPから離れるようにして当接する部分15Aに連設している部分15Bにより形成されている。
【0081】
この既設鉄塔Tの接続プレートPに当接する部分15Aは、略矩形状に形成されている。また、既設鉄塔Tの接続プレートPから離れるようにして当接する部分15Aに連設している部分15Bは、細長の略台形状部分により形成されている。
【0082】
接続プレートPに当接する部分15Aの略矩形状部分には、複数のボルト用の孔15AHが設けられている。また、接続プレートPから離れるようにして当接する部分15Aに連設している部分15Bにも、複数のボルト用の孔15BHが設けられている。
【0083】
下方に配置される接続プレート16も、図24に示すように、既設鉄塔Tに固定されている接続プレートPに当接する部分16Aと、既設鉄塔Tの側方(外側)を向くように折曲して、既設鉄塔Tの接続プレートPから離れるようにして当接する部分16Aに連設している部分16Bにより形成されている。
【0084】
この既設鉄塔Tの接続プレートPに当接する部分16Aは、略台形状部分に三角形状部分を連設して形成されている。また、既設鉄塔Tの接続プレートPから離れるようにして当接する部分16Aに連設している部分16Bは、細長の略台形状部分により形成されている。
【0085】
既設鉄塔Tの接続プレートPに当接する部分16Aには、複数のボルト用の孔16AHが設けられている。また、接続プレートPから離れるようにして当接する部分16Aに連設している部分16Bにも、複数のボルト用の孔16BHが設けられている。
【0086】
そして、図25・図26に示すように、既設鉄塔Tの正面側と背面側において、4個づつ、合計8個の接続プレート15,16を取り付ける。これらの接続プレート15,16は、図24に示すように、対角線上に位置している接続プレート15,16が、互いに細長の略台形状部分(15B,16B)が向かい合うような角度で既設鉄塔Tの接続プレートPに固定される。
【0087】
また、主柱材1においては、図24・図25に示すように、上方に配置される接続プレート15と下方に配置される接続プレート16の間において、複数のボルト用の孔H1が設けられている。
【0088】
(2.当該接続プレートを介して既設鉄塔Tの外周面に仮設部材を取り付けて、鉄塔の外周面を拡げる鉄塔の塔体外周面拡幅工程(図4(a)(b)参照)…上段A、中段B、下段C)
【0089】
[上段の位置Aにおける仮設部材T1の取り付け(図11・図12・図13・図14・図15参照)]
この仮設部材T1は、図11に示すように、既設鉄塔Tの上段の位置Aに固定した接続プレート4に取り付けるものである。
【0090】
この仮設部材T1は、図11に示すように、平面視で略台形の枠状に形成されている。
【0091】
仮設部材T1は、図11・図12に示すように、上下に配置された一対の中央水平材21が、3本の短尺な縦材22により連結されて長方形の枠を形成している。この枠の縦材22間には、斜材23が固定されている。
【0092】
また、枠の両端に配置されている縦材22の上下の端部に、内側に向けて傾斜するように、上下一対の側部水平材24が固定されている。この側部水平材24の先端部には、ボルト用の孔H24が設けられている。
【0093】
さらに、枠の中央に配置されている縦材22の上下の端部に、上下一対の内部水平材25が固定されている。この上下一対の内部水平材25は、縦材22の上下の端部において、枠の両側に位置している側部水平材24の先端部に向かうように、傾斜状に固定されている。
【0094】
即ち、上下一対の内部水平材25は、枠の一端側に位置している側部水平材24の先端部に向かうものと、枠の他端側に位置している側部水平材24の先端部に向かうものが存在し、いずれもその先端部にボルト用の孔H25が設けられている。また、上下一対の内部水平材25は、その中央部分が短尺な縦材22により連結されている。
【0095】
さらに、上下一対の内部水平材25において、縦材22近傍の上下端に、それぞれ長尺な固定杆26と短尺な固定杆27が、内側に向けて傾斜するように固定されている。この長尺な固定杆26と短尺な固定杆27は並設しており、長尺な固定杆26が内側に配置され、短尺な固定杆27がその外側に配置されている。また、長尺な固定杆26の先端部に、ボルト用の孔H26が設けられている。同様に、短尺な固定杆27の先端部に、ボルト用の孔H27が設けられている。
【0096】
この様にして形成されている仮設部材T1を2基準備し、図11に示すように、既設鉄塔Tの上段の位置Aにおける正面側と背面側に取り付ける。この2基の仮設部材T1は、事前に地上で組み立てておく。そして、施工の際に、起重機S等を使用して2基の仮設部材T1を吊り上げ、既設鉄塔Tに取り付けるのである。
【0097】
既設鉄塔Tへの仮設部材T1の取り付けは、まず、図12・図13に示すように、仮設部材T1を構成する上下一対の側部水平材24と内部水平材25の先端部を、既設鉄塔Tにおいて上下の2段に配置されている水平材2C,2Dの端部に配置されている接続プレート4に取り付ける。
【0098】
具体的には、側部水平材24の孔H24と、内部水平材25の孔H25を、接続プレート4の孔H4に合致させ、ボルト止めするのである。
【0099】
また、仮設部材T1を構成する上下一対の短尺な固定杆27の先端部を、既設鉄塔Tにおいて上下の2段に配置されている水平材2C,2Dにおいて、接続プレート4の内側に位置しているボルト用の孔H3に取り付ける。
【0100】
具体的には、固定杆27の先端部に設けている孔H27を、水平材2C,2Dのボルト用の孔H3に合致させ、ボルト止めするのである。
【0101】
さらに、仮設部材T1を構成する上下一対の長尺な固定杆26の先端部を、既設鉄塔Tにおいて、2本の水平材2Cの間に配置している中間接続プレート5に取り付ける。
【0102】
具体的には、固定杆26の先端部に設けている孔H26を、中間接続プレート5の孔H5に合致させ、ボルト止めするのである。
【0103】
この様にして、図15に示すように、2基の仮設部材T1を、既設鉄塔Tの外周面を取り囲むように取り付けて、上段の位置Aにおける鉄塔の外周面を拡げるのである。
【0104】
このとき、2基の仮設部材T1は、図15に示すように、上下一対の中央水平材21と、中央水平材21の両端部にそれぞれ配置されている上下一対の側部水平材24により、仮設部材の外周縁を構成している。
【0105】
また、2基の仮設部材T1は、中央水平材21の中央の縦材22からV字状に拡がるように延設した上下一対の内部水平材25と、内部水平材25に固定した上下一対の長尺な固定杆26により、仮設部材T1の内周縁を構成している。
【0106】
この仮設部材T1の内周縁は、既設鉄塔Tの塔体内空間を、既設鉄塔Tの正面側方向と背面側方向に向けて略円環状に拡げている。その為、2基の仮設部材T1を既設鉄塔Tに取り付けて、後述するように、仮設部材T1の内部に存在している既設鉄塔Tの構成部材の一部を撤去することにより、鉄塔の塔体内空間を拡げるのである。
【0107】
この他、上段の位置Aにおいては、図11に示すように、既設鉄塔Tの腕金部3に、補強用梁材30が取り付けられる。補強用梁材30は、図12に示すように、2本の棒体31と、2本の棒体31の両端部に取り付けた固定板32により構成されている。それぞれの固定板32には、ボルト用の孔H32が設けられている。また、一方の固定板32には、所定の長さの補強杆33が傾斜状に取り付けられている。
【0108】
この補強用梁材30は、図13に示すように、腕金部3を構成する腕金支材6に設けているボルト用の孔H6に固定板32の孔H32を合致させ、ボルト止めして固定される。また、補強用梁材30の補強杆33は、腕金支材6の基端部側に配置されている下側の接続プレート4に固定される。
【0109】
[中段の位置Bにおける仮設部材T2の取り付け(図19・図20・図21・図22・図23参照)]
中段の位置Bにおける仮設部材T2の取り付けは、図19・図20・図21に示すように、既設鉄塔Tの腕金部3が存在していない部分に仮設部材T2を取り付け点を除いて、前述した[上段の位置A]における仮設部材T1の取り付けと同一であることから、当該同一の構成部材には同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0110】
また、中段の位置Bにおいては、既設鉄塔Tの腕金部3が存在していないことから、この腕金部3に取り付ける補強用梁材30も存在していない。
【0111】
そして、図23に示すように、2基の仮設部材T2を、既設鉄塔Tの外周面を取り囲むように取り付けて、中段の位置Bにおける鉄塔の外周面を拡げるのである。
【0112】
このとき、2基の仮設部材T2は、図23に示すように、上下一対の中央水平材21と、中央水平材21の両端部にそれぞれ配置されている上下一対の側部水平材24により、仮設部材の外周縁を構成している。
【0113】
また、2基の仮設部材T2は、中央水平材21の中央の縦材22からV字状に拡がるように延設した上下一対の内部水平材24と、内部水平材24に固定した上下一対の長尺な固定杆により、仮設部材T2の内周縁を構成している。
【0114】
この仮設部材T2の内周縁は、既設鉄塔Tの塔体内空間を、既設鉄塔Tの正面側方向と背面側方向に向けて略円環状に拡げている。その為、2基の仮設部材T2を既設鉄塔Tに取り付けて、後述するように、仮設部材T2の内部に存在している既設鉄塔Tの構成部材の一部を撤去することにより、鉄塔の塔体内空間を拡げるのである。
【0115】
[下段の位置Cにおける仮設部材T3の取り付け(図27・図28・図29・図30参照)]
仮設部材T3は、図27に示すように、既設鉄塔Tの下段の位置Cに固定した接続プレート15,16に固定するものである。
【0116】
この仮設部材T3は、図27・図28に示すように、中央支持部40に、長尺な12本の固定杆41を取り付けて形成されている。
【0117】
中央支持部40は、図27に示すように、外側固定板42と内側固定板43を、所定の接続片44を介して連設している。
【0118】
外側固定板42と内側固定板43は、いずれも矩形で、縦方向における中央部分を境にして、両端側が後方に向けて若干傾斜している。
【0119】
この外側固定板42と内側固定板43の一方側には、図28に示すように、それぞれ3本の固定杆41が、側方に向けて固定されている。これらの3本の固定杆41は、いずれもその基端部が外側固定板42と内側固定板43に固定されている。
【0120】
また、中央に位置する固定杆41は水平に延設され、上下の固定杆41は、その先端側が中央の固定杆41から離れるように傾斜状に延設されている。さらに、外側固定板42に固定されている固定杆41と、内側固定板43に固定されている固定杆41は、いずれも先端側に行くに従い、徐々に固定杆41同士の間隔が狭くなり、その先端部において両者が接合するような状態となっている。
【0121】
また、上下の固定杆41の中間部と、中央の固定杆41の先端部を接続するように、補強材45が固定されている。
【0122】
中央支持部40の他方側にも、同様に、外側固定板42と内側固定板43に、補強材45を備えた固定杆41が側方に向けて固定されている。
【0123】
さらに、仮設部材T3は、図27・図30に示すように、全体として中央支持部40が、平面視で側方に向けて突出するように形成されている。即ち、中央支持部40を構成する外側固定板42と内側固定板43は、いずれも矩形で、縦方向における中央部分を境にして、両端側が後方に向けて若干傾斜していることから、この外側固定板42に固定されている固定杆41と、内側固定板43に固定されている固定杆41は、基端部側が側方(鉄塔から離れる方向)に向けて突出し、固定杆41の先端部側が反対方向(鉄塔に近づく方向)を向くように延設されている。
【0124】
そして、中央支持部40が側方に向けて突出した頂点とする角錐の一辺を形成するように、各固定杆41が配置されている。各固定杆41には、いずれもその先端部にボルト用の孔H41が設けられている。
【0125】
この様な仮設部材T3を2基準備し、図27・図30に示すように、下段の位置Cにおける既設鉄塔Tの正面側と背面側に取り付ける。2基の仮設部材T3は、事前に地上で組み立てておく。そして、施工の際に、起重機S等を使用して2基の仮設部材T3を吊り上げ、既設鉄塔Tに取り付けるのである。
【0126】
具体的には、中央支持部40の外側固定板42に固定されている固定杆41と、内側固定板43に固定されている固定杆41において、図28・図29に示すように、中央の固定杆41の先端部を、主柱材1に設けているボルト用の孔H1を介して主柱材1に取り付ける。
【0127】
また、図28・図29に示すように、先端側が中央の固定杆41から離れるように傾斜状に延設されている上方の固定杆41の先端部を、主柱材1の上方に配置されている接続プレート15に取り付ける。
【0128】
具体的には、固定杆41の先端部に設けられている孔H41を、接続プレート15を構成する部分15Bに設けられている孔15BHに合致させ、ボルト止めするのである。
【0129】
また、先端側が中央の固定杆41から離れるように傾斜状に延設されている下方の固定杆41の先端部を、主柱材1の下方に配置されている接続プレート16に取り付ける。
【0130】
具体的には、固定杆41の先端部に設けられている孔H41を、接続プレート16を構成する部分16Bに設けられている孔16BHに合致させ、ボルト止めするのである。
【0131】
この様にして、図30に示すように、2基の仮設部材T3を、既設鉄塔Tの正面側と背面側に取り付けて、鉄塔の外周面を拡げるのである。
【0132】
このとき、2基の仮設部材T3は、図30に示すように、中央支持部40が存在する固定杆41の基端部が、側方(鉄塔から離れる方向)に向けて突出し、固定杆41の先端部側が反対方向(鉄塔に近づく方向)を向くように延設されている状態で、外側固定板42に固定されている各固定杆41により、仮設部材T3の外周縁を構成している。
【0133】
また、2基の仮設部材T3は、中央支持部40が存在する固定杆41の基端部が、側方(鉄塔から離れる方向)に向けて突出し、固定杆41の先端部側が反対方向(鉄塔に近づく方向)を向くように延設されている状態で、内側固定板43に固定されている各固定杆41により、仮設部材T3の内周縁を構成している。
【0134】
この仮設部材T3の内周縁を構成する各固定杆41は、中央支持部40の内側固定板43が側方に突出した頂点とする角錐の一辺を形成するように各固定杆41が配置されていることから、既設鉄塔Tの塔体内空間を、既設鉄塔Tの正面側方向と背面側方向に向けて略角環状に拡げている。
【0135】
その為、2基の仮設部材T3を既設鉄塔Tに取り付けて、後述するように、仮設部材T3の内部に存在している既設鉄塔Tの構成部材の一部を撤去することにより、鉄塔の塔体内空間を拡げるのである。
【0136】
上述した様に、塔体内空間に新設鉄塔Nを組み上げる際に、既設鉄塔Tの構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)において、図31に示すように、上段の位置A、中段の位置B、下段の位置Cにそれぞれ仮設部材T1、T2、T3を取り付けて、鉄塔の塔体外周面を拡幅するのである。
【0137】
(3.既設鉄塔Tが支持している架渉線(架空送電線E・架空地線)を仮設部材T1側に移設する架渉線(架空送電線E・架空地線)の移設工程(図5参照))
次に、図5に示すように、既設鉄塔Tが支持している架空送電線E・架空地線等の架渉線を取り外して、仮設部材T1側に移設する。
【0138】
この移設部分は、塔体内空間に新設鉄塔Nを組み上げる際に既設鉄塔Tの構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)における、上段の位置Aに設置している仮設部材T1である。
【0139】
具体的には、架空送電線E・架空地線等の架渉線を、図5に示すように、仮設材T1が取り付けられている主柱材1と、腕金部3に移設する。
【0140】
(4.仮設部材T1の上方に存在している既設鉄塔Tの構成部材を撤去する既設部材の撤去工程(図6(b)(c)参照))
次に、図6(b)(c)に示すように、最下段の腕金部3と、腕金部3の上部に存在する主柱材1の一部を除いて、塔頂までの主柱材1・腹材2・他の腕金部3等の既設鉄塔Tの構成部材を全て撤去する。
【0141】
即ち、図1・図4(b)に示すように、既設鉄塔Tの塔体内空間に新設鉄塔Nを組み上げる際に、既設鉄塔Tの構成部材が干渉して障害となる範囲(上側)に存在する既設鉄塔Tの構成部材を全て撤去するのである。
【0142】
(5.既設鉄塔Tの外周面に取り付けた仮設部材T1、T2、T3の内部に存在している既設鉄塔Tの構成部材の一部を撤去して、仮設部材T1、T2、T3内の空間を拡げる鉄塔の塔体内空間拡幅工程(図6(a)、図31参照))
次に、図31に示すように、塔体内空間に新設鉄塔Nを組み上げる際に既設鉄塔Tの構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)において、上段の位置A、中段の位置B、下段の位置Cに取り付けられているそれぞれの仮設部材T1、T2、T3において、仮設部材T1、T2、T3の内部に存在している腹材2等の既設鉄塔Tの構成部材の一部を撤去する。
【0143】
具体的には、上段の位置Aに取り付けられている仮設部材T1において、図14(a)に示す切断位置において、仮設部材T1の内部に存在している腹材2(水平材2C・2D、斜材2E)を鋸状の工具を用いて切断し、図14(b)に示すように、腹材2(水平材2C・2D、斜材2E)を撤去する。
【0144】
既設鉄塔Tにおいては、2本の水平材2Cの間に中間接続プレート5を配置している。また、この中間接続プレート5には、仮設部材T1を構成する上下一対の長尺な固定杆26の先端部を取り付けている。腹材2(水平材2C・2D、斜材2E)の切断位置は、水平材2C・2D、斜材2Eにおける、固定杆26との交差部分である。
【0145】
また、中段の位置Bに取り付けられている仮設部材T2において、図22(a)に示す切断位置において、仮設部材T2の内部に存在している腹材2(水平材2C・2D、斜材2E)を鋸状の工具を用いて切断し、図22(b)に示すように、腹材2(水平材2C・2D、斜材2E)を撤去する。
【0146】
この腹材2(水平材2C・2D、斜材2E)の切断位置は、水平材2C・2D、斜材2Eにおける、固定杆26との交差部分である。
【0147】
さらに、既設鉄塔Tにおいて、下段の位置Cに取り付けられている仮設部材T3の内部や下方に、障害となる腹材2(水平材2C・2D、斜材2E)が存在しているときは、これも撤去する。
【0148】
そして、図6(a)・図31に示すように、それぞれの仮設部材T1、T2、T3の内部において鉄塔の塔体内空間拡幅を拡げ、新設鉄塔Nを組み上げる際に障害となる部材が存在しないようにする。
【0149】
即ち、上段の位置A・中段の位置Bにそれぞれ取り付けられている2基の仮設部材T1、T2は、中央水平材21の中央の縦材22からV字状に拡がるように延設した上下一対の内部水平材24と、内部水平材24に固定した上下一対の長尺な固定杆26により、仮設部材T1、T2の内周縁を構成し、この仮設部材T1、T2の内周縁は、既設鉄塔Tの塔体内空間を、既設鉄塔Tの正面側方向と背面側方向に向けて略円環状に拡げている。
【0150】
また、下段の位置Cに取り付けられている2基の仮設部材T3は、2基の仮設部材T3は、中央支持部40が存在する固定杆41の基端部が、側方(鉄塔から離れる方向)に向けて突出し、固定杆41の先端部側が反対方向(鉄塔に近づく方向)を向くように延設されている状態で、内側固定板43に固定されている各固定杆41により、仮設部材T3の内周縁を構成し、この仮設部材T3の内周縁を構成する各固定杆41は、中央支持部40の内側固定板43が側方(鉄塔から離れる方向)に向けて突出して、これを頂点とする角錐の一辺を形成するように各固定杆41が配置されていることから、既設鉄塔Tの塔体内空間を、既設鉄塔Tの正面側方向と背面側方向に向けて略角環状に拡げている。
【0151】
そして、図31に示すように、鉄塔の塔体内空間を拡げた状態において、仮設部材T1、T2、T3の内部に存在している腹材2等の既設鉄塔Tの構成部材の一部を撤去して、新設鉄塔Nを組み上げる際に障害となる部材が存在しないようにするのである。
【0152】
(6.拡幅した鉄塔の塔体内空間において、新設鉄塔Nを組み上げる新設鉄塔Nの組み上げ工程(図7・3(a)参照))
次に、図7に示すように、16トンクレーンやクライミングクレーン等の起重機Sを使用して、複数の単柱ユニットUを個別に吊り上げ、拡幅した鉄塔の塔体内空間に、個々の単柱ユニットUを順次積み重ねて行く。
【0153】
そして、3(a)に示すように、拡幅した鉄塔の塔体内空間に、充分な高さを備えた新設鉄塔Nを組み上げるのである。
【0154】
(7.仮設部材T1が支持している架渉線(架空送電線E・架空地線)を新設鉄塔Nに移設する架渉線(架空送電線E・架空地線)の再移設工程)
最後に、既設鉄塔Tの仮設部材T1が支持している架空送電線E・架空地線等の架渉線を、新設鉄塔Nに移設して作業を終える。
【0155】
尚、既設鉄塔Tは、その後、仮設部材T1、T2、T3を取り外してから、構成部材の全体を撤去する。この取り外した仮設部材T1、T2、T3は、他の既設鉄塔Tを建て替える際に再利用する。また、撤去した既設鉄塔Tの構成部材は、新たな仮設部材T1、T2、T3を作成する部材として利用する。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明は、架空送電線を支持する既設鉄塔を建て替える際に採用される他に、種々の既設鉄塔を建て替えための工法として、幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0157】
T…既設鉄塔
T1…仮設部材
T2…仮設部材
T3…仮設部材

A…上段の位置
B…中段の位置
C…下段の位置

N…新設鉄塔
E…架空送電線
P…接続プレート
S…起重機
U…単柱ユニット

1…主柱材
H1…孔
2…腹材
2A…水平材
2B…水平材
2C…水平材
2D…水平材
2E…斜材
H2…孔
3…腕金部
H3…孔
4…接続プレート
H4…孔
5…中間接続プレート
H5…孔
6…腕金支材
H6…孔
7…腕金吊材
8…梁材
9…第一水平材
H9…孔
10…枠部
11…斜材
12…第二水平材
15…接続プレート
15B…連設している部分
15BH…孔
15A…接続プレートに当接する部分
15AH…孔
16…接続プレート
16B…連設している部分
16BH…孔
16A…接続プレートに当接する部分
16AH…孔
21…中央水平材
22…縦材
23…斜材
24…側部水平材
H24…孔
25…内部水平材
H25…孔
26…長尺な固定杆
H26…孔
27…短尺な固定杆
H27…孔
30…補強用梁材
31…棒体
32…固定板
H32…孔
33…補強杆
40…中央支持部
41…固定杆
H41…孔
42…外側固定板
43…内側固定板
44…接続片
45…補強材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空送電線を支持する既設鉄塔を建て替えるための既設鉄塔の建て替え工法であり、
既設鉄塔に仮設部材用の接続プレートを取り付ける接続プレートの取り付け工程と、
当該接続プレートを介して既設鉄塔の外周面に仮設部材を取り付けて、鉄塔の外周面を拡げる鉄塔の塔体外周面拡幅工程と、
既設鉄塔が支持している架渉線(架空送電線・架空地線)を仮設部材側に移設する架渉線(架空送電線・架空地線)の移設工程と、
仮設部材の上方に存在している既設鉄塔の構成部材を撤去する既設部材の撤去工程と、
既設鉄塔の外周面に取り付けた仮設部材の内部に存在している既設鉄塔の構成部材の一部を撤去して、仮設部材内の空間を拡げる鉄塔の塔体内空間拡幅工程と、
拡幅した鉄塔の塔体内空間において、新設鉄塔を組み上げる新設鉄塔の組み上げ工程と、
仮設部材が支持している架渉線(架空送電線・架空地線)を新設鉄塔に移設する架渉線(架空送電線・架空地線)の再移設工程と、から成ることを特徴とする、既設鉄塔の建て替え工法。
【請求項2】
既設部材の撤去工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(上側)に実施する請求項1に記載の既設鉄塔の建て替え工法。
【請求項3】
鉄塔の塔体外周面拡幅工程と鉄塔の塔体内空間拡幅工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に、既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)に実施する請求項1に記載の既設鉄塔の建て替え工法。
【請求項4】
鉄塔の塔体外周面拡幅工程と鉄塔の塔体内空間拡幅工程を、塔体内空間に新設鉄塔を組み上げる際に既設鉄塔の構成部材が干渉して障害となる範囲(下側)において、上段の位置、中段の位置、下段の位置に実施する請求項3に記載の既設鉄塔の建て替え工法。
【請求項5】
新設鉄塔を組み上げる新設鉄塔の組み上げ工程は、起重機等を使用して複数の単柱ユニットを吊り上げ、拡幅した鉄塔の塔体内空間に、単柱ユニットを順次積み重ねて行く請求項1に記載の既設鉄塔の建て替え工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−12892(P2012−12892A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152518(P2010−152518)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000221546)東電設計株式会社 (44)
【出願人】(510184841)株式会社システック・エンジニアリング (1)