説明

日射遮蔽装置

【課題】耐風性及び通風性の双方を備える日射遮蔽装置を提供すること。
【解決手段】日射遮蔽装置1は、窓の間口方向に伸びるとともに窓の奥行方向に順次離間して配される第一横部材2及び第二横部材3と、第一横部材2及び第二横部材3に移動自在に接続された複数のフレーム部材5,6,7と、を備え、フレーム部材5,6,7が、第一横部材2に移動自在に懸架された第一縦部材11と、第二横部材3に移動自在に懸架された第二縦部材12と、間口方向が長手方向及び奥行方向が幅方向となるよう形成され、第一縦部材11及び第二縦部材12に沿って各フレーム部材間で互いに異なる位置に、長手方向及び幅方向の一端側にて第一縦部材11と、及び他端側にて第二縦部材12と、互いに離間して接続された複数のスラット(板状部材)13と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の日射遮蔽装置は、水平ブラインドに代表されるように、スラットを窓等の上部に収納する形式が主流となっている(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−056594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の日射遮蔽装置は、収納スペースの制約や上下動のための重量制限から、スラットを薄くせざるを得ない。そのため、耐風性能が不十分で、通風を採りながら日射遮蔽を行うことが困難であり、通風と日射遮蔽との双方が求められる夏季の使用の大きな支障となっている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、耐風性及び通風性の双方を備える日射遮蔽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る日射遮蔽装置は、窓に配される日射遮蔽装置であって、前記窓の間口方向に伸びるとともに前記窓の奥行方向に順次離間して配される第一横部材及び第二横部材と、前記第一横部材及び前記第二横部材に移動自在に接続された複数のフレーム部材と、を備え、前記フレーム部材が、前記第一横部材に移動自在に懸架された第一縦部材と、前記第二横部材に移動自在に懸架された第二縦部材と、前記間口方向が長手方向となるよう、及び前記奥行方向が幅方向となるように形成され、前記第一縦部材及び前記第二縦部材に沿って各前記フレーム部材間で互いに異なる位置に、前記長手方向及び前記幅方向の一端側にて前記第一縦部材と、及び他端側にて前記第二縦部材と、互いに離間して接続された複数の板状部材と、を備え、少なくとも一組の一の前記フレーム部材における前記板状部材、及び前記一のフレーム部材に隣接する他のフレーム部材における前記板状部材間に、両者を前記第一横部材及び前記第二横部材に沿う方向にのみ相対移動可能に規制するガイド部と、前記一組の前記第一板状部材及び前記第二板状部材が前記第一横部材及び前記第二横部材に沿う方向に離間するのを規制する規制部と、が配されていることを特徴とする。
【0007】
この発明は、板状部材の形状及び大きさや第一縦部材及び第二縦部材に対する配置間隔を調整することによって、日光が窓から室内に入射するのを好適に抑えることができる。また、第一横部材及び第二横部材に沿って各フレーム部材を重なり合う方向に移動することにより、第一縦部材同士及び第二縦部材同士が接触するまで両者を重ね合わせることができる。そして、第一縦部材同士及び第二縦部材同士が接触した状態で両者をともに移動することができる。一方、各フレーム部材を展開する際、フレーム部材を個別に移動しても規制部によって両者の離間を抑えることができるだけでなく、その状態で第一横部材及び第二横部材に沿って各フレーム部材をともに移動することができる。
【0008】
また、本発明に係る日射遮蔽装置は、前記日射遮蔽装置であって、前記板状部材と前記第一縦部材及び前記第二縦部材との接続位置が、各前記フレーム部材間において、前記間口方向に沿って前記第一縦部材及び前記第二縦部材の幅分ずつ順にずれていることを特徴とする。
【0009】
この発明は、第一縦部材同士及び第二縦部材同士が接触するまで両者を重ね合わせたとき、板状部材が一枚に重なり合うようにすることができる。
【0010】
また、本発明に係る日射遮蔽装置は、前記日射遮蔽装置であって、前記第一横部材まわりに前記第二横部材が回動自在に接続されていることを特徴とする。
【0011】
この発明は、第一横部材まわりに第二横部材を回動させることによって、板状部材の傾斜角度を変更することができ、日射角度に好適に対応することができる。
【0012】
また、本発明に係る日射遮蔽装置は、前記日射遮蔽装置であって、前記板状部材の上面の反射率が、前記板状部材の室内側の側面の反射率よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
この発明は、日光が上面に照射された際の室内への反射量を抑えることができる一方、側面での反射量を増やすことができ、板状部材の表面における明暗の強さを均一にすることができる。
【0014】
また、本発明に係る日射遮蔽装置は、前記日射遮蔽装置であって、前記第一縦部材及び前記第二縦部材を挟んで前記第一横部材及び前記第二横部材の反対側から、前記第一横部材及び前記第二横部材とともに前記第一縦部材及び前記第二縦部材を移動自在に支える支持部材を備えていることを特徴とする。
【0015】
この発明は、第一縦部材及び第二縦部材を上下方向から支持することができ、フレーム部材の耐風性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、十分な耐風性能を確保した状態で通風を採りながら室内への日射を遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る日射遮蔽装置のフレーム部材を(a)展開した状態、(b)展開中、(c)収納した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る日射遮蔽装置を示す一部拡大構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る日射遮蔽装置の(a)展開時、(b)収納時におけるスラットを示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る日射遮蔽装置における(a)展開時、(b)収納時におけるガイド部及び規制部の関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る一実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
本実施形態に係る日射遮蔽装置1は、不図示の窓に配される日射遮蔽装置1であって、 図1(a)に示すように、不図示の窓に対して間口方向に伸びるとともに奥行方向に順次離間して配される第一横部材2及び第二横部材3と、第一横部材2及び第二横部材3に移動自在に接続されたフレーム部材5,6,7,8と、フレーム部材5,6,7,8の下端側から第一横部材2及び第二横部材3とともにフレーム部材5,6,7,8を移動自在に支える支持部材10と、を備えている。
【0019】
第一横部材2は、不図示の窓の外面から、窓の奥行方向に離間して配されている。そして、第二横部材3は、第一横部材2に対してさらに窓の外側に向かって水平に一定距離に離間して配されている。すなわち、第一横部材2及び第二横部材3は、略平行に並んで窓の外側に配されている。なお、第一横部材2及び第二横部材3は、不図示の窓に対してともに固定されていてもよく、第一横部材2まわりに第二横部材3が回動自在に接続されていてもよい。
【0020】
各フレーム部材5,6,7,8は、略同一の構成となっている。そのため、構成については、以下、図2に示すフレーム部材5,6を中心に説明する。
フレーム部材5,6は、上端が第一横部材2に移動自在に懸架され、下端が支持部材10に移動自在に係合された第一縦部材11と、上端が第二横部材3に移動自在に懸架され、下端が支持部材10に移動自在に係合された第二縦部材12と、間口方向が長手方向及び奥行方向が幅方向となるよう形成され、設定された厚みを有する略矩形状の複数のスラット(板状部材)13と、をそれぞれ備えている。
【0021】
スラット13は、第一縦部材11及び第二縦部材12に沿って各フレーム部材5,6,7,8間で高さ方向の互いに異なる位置に、長手方向及び幅方向の一端側の側面13Aにて第一縦部材11と、及び他端側の側面13Bにて第二縦部材12と、互いに離間して接続されている。
【0022】
各スラット13と第一縦部材11及び第二縦部材12との接続位置は、図3(a)に示すように、各フレーム部材5,6,7,8間において、間口方向に沿って第一縦部材11及び第二縦部材12の幅分ずつ順にずれた位置にて接続されている。そのため、各フレーム部材5,6,7,8を重ね合わせたときには、図3(b)に示すように、各スラット13が1枚に重なり合う状態となる。
【0023】
ここで、フレーム部材5,6における少なくとも一組のスラット13間には、図2に示すように、両者を第一横部材2及び第二横部材3に沿う方向のみ相対移動できるように規制するガイド部15と、スラット13が第一横部材2及び第二横部材3に沿う方向に離間するのを規制する規制部16と、が配されている。
【0024】
ガイド部15は、フレーム部材5におけるスラット13の下面17に突出して設けられた凸部15Aと、フレーム部材6におけるスラット13の上面18に設けられた溝部15Bと、を備えている。溝部15Bは、フレーム部材6におけるスラット13の長手方向に沿って配されており、フレーム部材5におけるスラット13の凸部15Aが係合されている。凸部15Aは、各フレーム部材5,6,7,8を収納する方向に対して先端側となる位置に配されている。一方、規制部16は、これと反対方向となる各フレーム部材5,6,7,8を展開する方向に対して溝部15Bの先端側となる位置に配されている。
【0025】
ここで、図4(a)に示すように、凸部15Aは、フレーム部材6におけるスラット13の下面20、フレーム部材7におけるスラット13の下面21にも配されている。一方、溝部15B及び規制部16は、フレーム部材7におけるスラット13の上面22、フレーム部材8におけるスラット13の上面23にも配されている。
【0026】
各スラット13は、フレーム部材5の上面を含む各上面18,22,23が略水平状態となるように配されており、この上面の反射率は、スラット13の室内側の側面13Bの反射率よりも小さくなるように形成されている。なお、スラット13は上面が水平方向に対して傾斜していても構わない。
【0027】
次に、本実施形態に係る日射遮蔽装置1の作用について説明する。
収納状態とされた各フレーム部材を日光遮蔽のために展開する際には、図1(b)に示すように、間口方向先端側となるフレーム部材5を把持して間口方向に引き出す。
【0028】
このとき、フレーム部材5におけるスラット13の凸部15Aがフレーム部材6におけるスラット13の溝部15Bに沿って移動し、やがて凸部15Aが溝部15Bの先端の規制部16に当接する。これにより、フレーム部材6がフレーム部材5とともに第一横部材2及び第二横部材3に対して移動するようになる。フレーム部材6及びフレーム部材7間、及びフレーム部材7及びフレーム部材8間でも順次同様の作用が生じ、やがて図1(a)及び図4(a)に示すように展開状態となる。
【0029】
日射遮蔽装置1を収納する際には、フレーム部材5を把持して展開時と反対方向に移動する。このとき、フレーム部材5におけるスラット13の凸部15Aがフレーム部材6におけるスラット13の規制部16から離間して、溝部15Bに沿って移動する。そして、フレーム部材5におけるスラット13とフレーム部材6におけるスラット13とが重なり始める。やがて、フレーム部材5の第一縦部材11とフレーム部材6の第一縦部材11と、及び、フレーム部材5の第二縦部材12とフレーム部材6の第二縦部材12とが当接して、スラット13同士が重なり合う。これにより、フレーム部材6がフレーム部材5とともに第一横部材2及び第二横部材3に対して移動するようになる。フレーム部材6及びフレーム部材7間、及びフレーム部材7及びフレーム部材8間でも順次同様の作用が生じ、やがて図1(c)及び図4(b)に示すように収納状態となる。
【0030】
この日射遮蔽装置1によれば、スラット13の形状及び大きさや第一縦部材11及び第二縦部材12に対する配置間隔を調整することによって、日光が窓から室内に入射するのを好適に抑えることができる。また、第一横部材2及び第二横部材3に沿って各フレーム部材5,6,7,8を重なり合う方向に移動することにより、第一縦部材11同士及び第二縦部材12同士が接触するまで両者を重ね合わせることができる。そして、第一縦部材11同士及び第二縦部材12同士が接触した状態で両者をともに移動することができる。一方、各フレーム部材5,6,7,8を展開する際、先端のフレーム部材5を個別に移動しても規制部16によって隣接するフレーム部材6の離間を抑えることができるだけでなく、その状態で第一横部材及び第二横部材に沿ってフレーム部材6,7,8をともに移動することができる。
【0031】
特に、スラット13と第一縦部材11及び第二縦部材12との接続位置が、各フレーム部材5,6,7,8間において、間口方向に沿って第一縦部材11及び第二縦部材12の幅分ずつ順にずれている。そのため、第一縦部材11同士及び第二縦部材12同士が接触するまで両者を重ね合わせたとき、スラット13が一枚に重なり合うようにすることができ、コンパクトに収納することができる。
【0032】
また、第一横部材2に対して第二横部材3が回動自在に接続されている場合には、第一横部材2まわりに第二横部材3を回動させることによって、スラット13の傾斜角度を変更することができ、日射角度に好適に対応することができる。
【0033】
さらに、フレーム部材5のスラット13の上面を含むスラット13の各上面18,22,23の反射率が、室内側の側面13Bの反射率よりも小さいので、日光がスラット13の上面に照射された際の室内への反射量を抑えることができる一方、側面13Bでの反射量を増やすことができ、スラット13における明暗の強さを均一にすることができる。
【0034】
そして、支持部材10によって第一縦部材及び第二縦部材を上下方向から支持することができ、フレーム部材5,6,7,8の耐風性をより高めることができる。
【0035】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、窓への取り付け方によっては、第一横部材2及び第二横部材3や支持部材10も含めてフレーム部材としてもよい。また、凸部15Aは、スラット13の下面でなく、スラット13の上面に突出して設けられていてもよい。この場合、溝部15B及び規制部16は、スラット13の下面に設けられる。さらに、各フレーム部材を手動で開閉するだけでなく、駆動機構を介して開閉移動させても構わない。
【符号の説明】
【0036】
1 日射遮蔽装置
2 第一横部材
3 第二横部材
5,6,7,8 フレーム部材
10 支持部材
11 第一縦部材
12 第二縦部材
13 スラット(板状部材)
15 ガイド部
15A 凸部
15B 溝部
16 規制部
18,22,23 上面
17,20,21 下面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓に配される日射遮蔽装置であって、
前記窓の間口方向に伸びるとともに前記窓の奥行方向に順次離間して配される第一横部材及び第二横部材と、
前記第一横部材及び前記第二横部材に移動自在に接続された複数のフレーム部材と、
を備え、
前記フレーム部材が、前記第一横部材に移動自在に懸架された第一縦部材と、
前記第二横部材に移動自在に懸架された第二縦部材と、
前記間口方向が長手方向となるよう、及び前記奥行方向が幅方向となるように形成され、前記第一縦部材及び前記第二縦部材に沿って各前記フレーム部材間で互いに異なる位置に、前記長手方向及び前記幅方向の一端側にて前記第一縦部材と、及び他端側にて前記第二縦部材と、互いに離間して接続された複数の板状部材と、
を備え、
少なくとも一組の一の前記フレーム部材における前記板状部材、及び前記一のフレーム部材に隣接する他のフレーム部材における前記板状部材間に、両者を前記第一横部材及び前記第二横部材に沿う方向にのみ相対移動可能に規制するガイド部と、
前記一組の前記第一板状部材及び前記第二板状部材が前記第一横部材及び前記第二横部材に沿う方向に離間するのを規制する規制部と、
が配されていることを特徴とする日射遮蔽装置。
【請求項2】
前記板状部材と前記第一縦部材及び前記第二縦部材との接続位置が、各前記フレーム部材間において、前記間口方向に沿って前記第一縦部材及び前記第二縦部材の幅分ずつ順にずれていることを特徴とする請求項1に記載の日射遮蔽装置。
【請求項3】
前記第一横部材まわりに前記第二横部材が回動自在に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の日射遮蔽装置。
【請求項4】
前記板状部材の上面の反射率が、前記板状部材の室内側の側面の反射率よりも小さいことを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の日射遮蔽装置。
【請求項5】
前記第一縦部材及び前記第二縦部材を挟んで前記第一横部材及び前記第二横部材の反対側から、前記第一横部材及び前記第二横部材とともに前記第一縦部材及び前記第二縦部材を移動自在に支える支持部材を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の日射遮蔽装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate