説明

日射量推定装置及び日射量推定方法

【課題】高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる日射量推定装置を提供する。
【解決手段】所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する日射量推定装置100であって、第一時刻での複数の地点のうちの第一地点における日射強度を示す値である第一日射指示値と、第二時刻での当該複数の地点のうちの第二地点における日射強度を示す値である第二日射指示値との相関を示す関数であって、雲の移動を示す速度係数と雲の変形を示す減衰係数とを有する関数を取得する関数取得部110と、取得された関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における日射強度を示す値を算出する日射量算出部120とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する日射量推定装置及び日射量推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電などの分散型電源を設置し、当該太陽光発電と商用電力系統からの電力により、電力負荷に電力を供給する需要家が増えてきている。ここで、太陽光発電が大量に導入されれば、太陽光発電の出力変動が商用電力系統に影響を与えるため、太陽光発電の出力変動を把握することが重要である。そして、太陽光発電の出力変動を把握するには、太陽光発電が設置された所定の地点において所定の時刻での日射量を把握する必要がある。
【0003】
つまり、当該日射量を把握する必要があるが、現時点では、日射量を測定できる地点数(センサ数)が少ないこと、当該地点数を追加するには、膨大な費用が必要となることから、限られた情報を用いて、所定の地点における所定の時刻での日射量を推定する手法が望まれている。
【0004】
このため、従来、短周期の日射量の変動を分析するなどして広域における日射量の総量を推定したり、衛星画像や全方向カメラを用いて撮像された画像から雲の動き等を予測して日射量を推定したりする手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−252940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の手法においては、空間分解能または時間分解能が低く、また日射量を正確に推定することができないため、推定した日射量を所望の目的に利用することができないという問題がある。
【0007】
例えば、上記従来の広域における日射量の総量を推定する手法では、空間分解能が低く、太陽光発電の導入量の分布(地域による差異、空隙率や偏在率など)を十分に考慮して日射量を推定することができない。また、衛星画像などの画像を用いて日射量を推定する手法では、時間分解能が低く、短周期変動を分析することができない。また、画像の解像度や日射量推定を行う際に必要となる各種パラメータ(アルベド等)の精度も高いとは言い切れず、精度良く日射量を推定することができない。
【0008】
このように、従来の手法では、空間分解能または時間分解能が低く、また日射量を正確に推定することができないために、推定した日射量を所望の目的に利用することができない。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる日射量推定装置及び日射量推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る日射量推定装置は、所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する日射量推定装置であって、第一時刻での複数の地点のうちの第一地点における日射強度を示す値である第一日射指示値と、第二時刻での前記複数の地点のうちの第二地点における日射強度を示す値である第二日射指示値との相関を示す関数であって、雲の移動を示す速度係数と雲の変形を示す減衰係数とを有する関数を取得する関数取得部と、取得された前記関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における日射強度を示す値を算出する日射量算出部とを備える。
【0011】
これによれば、日射量推定装置は、第一時刻での第一地点における第一日射指示値と第二時刻での第二地点における第二日射指示値との相関を示す関数であって、雲の移動を示す速度係数と雲の変形を示す減衰係数とを有する関数を取得して、当該関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における日射強度を示す値を算出する。つまり、日射量推定装置は、第一時刻での第一地点における値と第二時刻での第二地点における値とを用いて、補間法の一種である時空間クリギングを活用して、時間的及び空間的に日射量を補間することで、限られた日射量計等の情報から、所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する。また、日射量推定装置は、雲の移動成分(速度成分)及び雲の変形(減衰項)を考慮した当該関数を仮定することで、実際の雲の移動等の気象現象(進行波成分)まで考慮して、時空間クリギングを行う。このため、日射量推定装置は、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0012】
また、好ましくは、前記関数取得部は、前記複数の地点のそれぞれにおける前記第一日射指示値と、前記複数の地点のそれぞれにおける前記第二日射指示値とを取得し、前記第一日射指示値のそれぞれと前記第二日射指示値のそれぞれとの共分散をそれぞれ算出して、当該共分散の分布である共分散分布を取得することで、前記共分散分布を示す前記関数を取得する。
【0013】
これによれば、日射量推定装置は、複数の地点のそれぞれにおける第一日射指示値と第二日射指示値とを取得し、第一日射指示値と第二日射指示値との共分散をそれぞれ算出して、当該共分散の分布を示す関数を取得する。これにより、日射量推定装置は、複数の地点のそれぞれについての情報を用いて、時空間クリギングを活用することで、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0014】
また、好ましくは、前記関数取得部は、異なる時刻における前記共分散分布を取得し、当該異なる時刻における共分散分布を比較して、前記速度係数及び前記減衰係数を算出することで、前記関数を取得する。
【0015】
これによれば、日射量推定装置は、異なる時刻における共分散分布を比較して、速度係数及び減衰係数を算出することで、関数を取得する。つまり、日射量推定装置は、時空間相関分析結果から、当該関数(時空間共分散関数)のパラメータである速度係数及び減衰係数を決定する。これにより、日射量推定装置は、当該速度係数及び減衰係数を有する関数を用いることで、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0016】
また、好ましくは、前記関数取得部は、前記第一時刻及び前記第一地点の緯度のうちの少なくとも1つの値に応じて補正された前記第一日射指示値と、前記第二時刻及び前記第二地点の緯度のうちの少なくとも1つの値に応じて補正された前記第二日射指示値との相関を示す前記関数を取得する。
【0017】
これによれば、日射量推定装置は、測定時刻及び観測地点の緯度のうちの少なくとも1つの値に応じて補正された第一日射指示値と第二日射指示値との相関を示す関数を取得する。つまり、第一日射指示値及び第二日射指示値は、測定時刻や観測地点の緯度によって変化するため、測定時刻や観測地点の緯度に応じて補正する必要がある。このため、日射量推定装置は、この補正された第一日射指示値と第二日射指示値とを用いることで、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0018】
また、好ましくは、前記関数取得部は、大気上端における理論日射強度に対する観測地点における日射強度の割合を晴天指数とし、前記第一時刻での前記第一地点における当該晴天指数である前記第一日射指示値と、前記第二時刻での前記第二地点における当該晴天指数である前記第二日射指示値との相関を示す前記関数を取得する。
【0019】
これによれば、日射量推定装置は、大気上端における理論日射強度に対する観測地点における日射強度の割合を晴天指数とした場合に、第一時刻での第一地点における晴天指数を第一日射指示値とし、第二時刻での第二地点における晴天指数を第二日射指示値として、第一日射指示値と第二日射指示値との相関を示す関数を取得する。つまり、日射量推定装置は、観測地点における日射強度を大気上端における理論日射強度で規格化する。これにより、日射量推定装置は、測定時刻や観測地点の緯度による影響を受けることなく、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0020】
また、好ましくは、前記関数取得部は、観測地点の経度に応じて晴天指数を補正することで、前記第一地点の経度に応じてさらに補正された前記第一日射指示値と、前記第二地点の経度に応じてさらに補正された前記第二日射指示値との相関を示す前記関数を取得する。
【0021】
これによれば、日射量推定装置は、観測地点の経度に応じて晴天指数を補正することで、観測地点の経度に応じてさらに補正された第一日射指示値と第二日射指示値との相関を示す関数を取得する。つまり、日射量推定装置は、観測地点の経度に応じて第一日射指示値と第二日射指示値とを補正することで、観測地点の経度による影響を受けることなく、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0022】
また、好ましくは、前記関数取得部は、前記第一時刻での前記第一地点における日射強度である第一日射強度と前記第二時刻での前記第二地点における日射強度である第二日射強度とを取得し、前記第一日射強度から前記第一日射指示値を算出するとともに前記第二日射強度から前記第二日射指示値を算出することで、前記関数を取得し、前記日射量算出部は、取得された前記関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における晴天指数を算出することで、前記所定の時刻での前記所定の地点における日射強度を算出する。
【0023】
これによれば、日射量推定装置は、観測地点における日射強度から晴天指数を算出することで関数を取得し、当該関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における晴天指数を算出することで、所定の時刻での所定の地点における日射強度を算出する。つまり、日射量推定装置は、観測地点における日射強度を晴天指数に変換し、変換した晴天指数から得られた関数を用いて所定の時刻での所定の地点における晴天指数を算出し、算出した晴天指数を日射強度に変換する。これにより、日射量推定装置は、晴天指数を用いて計算を行うことで、測定時刻や観測地点の緯度などによる影響を受けることなく、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0024】
また、好ましくは、前記関数取得部は、地点の位置と時刻とを変数とし、所定の時刻において楕円または円形状の分布を示す前記関数を取得する。
【0025】
これによれば、日射量推定装置は、観測地点の位置と時刻とを変数とし、所定の時刻において楕円または円形状の分布を示す関数を取得する。つまり、日射量推定装置は、当該関数を用いて、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0026】
また、好ましくは、前記関数取得部は、x軸方向の速度係数をvとし、y軸方向の速度係数をvとし、パラメータをa及びbとし、原点における分散をσとし、減衰係数をcとし、地点の位置(x、y)及び時刻tを変数とする時空間共分散関数をC(x、y、t)として、
【数1】

を前記関数として取得し、前記日射量算出部は、前記時空間共分散関数からバリオグラムを算出し、算出したバリオグラムを用いた時空間クリギングによって、前記所定の時刻tでの前記所定の地点(x、y)における日射強度を示す値を算出する。
【0027】
これによれば、日射量推定装置は、時空間共分散関数C(x、y、t)を取得し、当該時空間共分散関数からバリオグラムを算出し、算出したバリオグラムを用いた時空間クリギングによって、所定の時刻tでの所定の地点(x、y)における日射強度を示す値を算出する。つまり、日射量推定装置は、当該時空間共分散関数C(x、y、t)を用いることで、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0028】
また、好ましくは、前記関数取得部は、前記第一地点において前記第一時刻を含む所定の期間内での日射強度を示す値の平均値を前記第一日射指示値とし、前記第二地点において前記第二時刻を含む所定の期間内での日射強度を示す値の平均値を前記第二日射指示値として、前記関数を取得する。
【0029】
これによれば、日射量推定装置は、所定の平均化時間内で平均化された日射強度を示す値を用いて得られる当該関数を取得する。つまり、日射量推定装置は、日射量の推定にあたり、観測地点の配置や気象条件に合わせて、適切な平均化時間を選択することにより、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0030】
なお、本発明は、このような日射量推定装置として実現することができるだけでなく、当該日射量推定装置と、第一地点に設置され、第一時刻に日射強度を測定し、測定した当該日射強度を日射量推定装置に出力する第一日射量計と、第二地点に設置され、第二時刻に日射強度を測定し、測定した当該日射強度を日射量推定装置に出力する第二日射量計とを備える日射量推定システムとしても実現することができる。
【0031】
また、本発明は、当該日射量推定装置に含まれる処理部が行う特徴的な処理をステップとする日射量推定方法としても実現することができる。また、当該日射量推定方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラムや集積回路として実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる日射量推定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置を備える日射量推定システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3A】本発明の実施の形態1に係る入力データの一例を示す図である。
【図3B】本発明の実施の形態1に係る出力データの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1に係る関数取得部が日射強度を取得する処理を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る関数取得部が取得する共分散分布を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る関数取得部が取得する共分散分布を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る関数取得部が取得する共分散分布を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る関数取得部が取得する関数を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る関数取得部が取得する関数を説明するための図である。
【図11A】空間クリギングの手法を説明するための図である。
【図11B】本発明の実施の形態1に係る日射量算出部が行う時空間クリギングの手法を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置による日射量の推定結果を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置による日射量の推定結果を示す図である。
【図14】観測地点の緯度や測定時刻によって日射強度が異なることを説明するための図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係る日射量推定装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る日射量推定装置及び日射量推定システムについて、説明する。
【0035】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置100を備える日射量推定システム10の構成を示す図である。
【0037】
同図に示すように、日射量推定システム10は、日射量推定装置100及び日射量計200を備えている。
【0038】
日射量推定装置100は、所定の時刻での所定の地点における日射量を推定するコンピュータである。ここで、推定するとは、現在または過去の状態を補間したり、将来の状態を予測したりすることをいう。なお、この日射量推定装置100は、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータシステムがプログラムを実行することによって実現されてもよいし、専用のコンピュータシステムによって実現されてもよい。日射量推定装置100の詳細な構成については、後述する。
【0039】
日射量計200は、複数の日射量計(日射量計201、202、203等)を備えており、それぞれの日射量計は、異なる地点に配置され、一定時間間隔で、日射強度を測定し、測定した当該日射強度を日射量推定装置100に出力する。
【0040】
例えば、日射量計201は、第一地点に設置され、第一時刻に日射強度を測定し、測定した当該日射強度を日射量推定装置100に出力する。また、日射量計202は、第二地点に設置され、第二時刻に日射強度を測定し、測定した当該日射強度を日射量推定装置100に出力する。
【0041】
次に、日射量推定装置100の詳細な機能構成について、説明する。
【0042】
図2は、本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置100の機能的な構成を示すブロック図である。
【0043】
日射量推定装置100は、所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する装置であり、関数取得部110と日射量算出部120と記憶部130とを備えている。
【0044】
関数取得部110は、第一時刻での複数の地点のうちの第一地点における日射強度を示す値である第一日射指示値と、第二時刻での当該複数の地点のうちの第二地点における日射強度を示す値である第二日射指示値との相関を示す関数であって、雲の移動を示す速度係数と雲の変形を示す減衰係数とを有する関数を取得する。
【0045】
なお、ここでは、第一日射指示値は、第一時刻での瞬時値ではなく、第一地点において第一時刻を含む所定の期間内での日射強度を示す値の平均値であることとし、第二日射指示値は、同様に、第二地点において第二時刻を含む所定の期間内での日射強度を示す値の平均値であることとする。なお、第一日射指示値は、第一時刻での瞬時値でもよく、第二日射指示値は、第二時刻での瞬時値でもかまわない。
【0046】
具体的には、関数取得部110は、複数の地点のそれぞれにおける第一日射指示値と、複数の地点のそれぞれにおける第二日射指示値とを取得し、第一日射指示値のそれぞれと第二日射指示値のそれぞれとの共分散をそれぞれ算出して、当該共分散の分布である共分散分布を取得することで、共分散分布を示す当該関数を取得する。つまり、当該関数は、任意の2地点における日射強度の共分散を示す関数であり、当該2地点間の距離ベクトルおよび時間差を変数とする関数である。
【0047】
さらに具体的には、関数取得部110は、異なる時刻における共分散分布を取得し、当該異なる時刻における共分散分布を比較して、速度係数及び減衰係数を算出することで、当該関数を取得する。
【0048】
ここで、第一日射指示値及び第二日射指示値は、日射強度を示す値であればよいが、本実施の形態1では、第一日射指示値は、第一時刻での第一地点における日射強度であり、第二日射指示値は、第二時刻での第二地点における日射強度であることとする。
【0049】
つまり、関数取得部110は、日射量計200に含まれるそれぞれの日射量計が出力した日射強度を取得し、取得した日射強度それぞれについての共分散を算出して得られる共分散分布を用いて、速度係数及び減衰係数を算出して、当該関数を導出する。
【0050】
日射量算出部120は、関数取得部110が取得した関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における日射強度を示す値を算出する。具体的には、日射量算出部120は、関数取得部110が取得した関数からバリオグラムを算出し、算出したバリオグラムを用いた時空間クリギングによって、所定の時刻での所定の地点における日射強度を示す値を算出する。
【0051】
なお、本実施の形態1では、日射量算出部120は、所定の時刻での所定の地点における日射強度を算出する。この日射量算出部120が当該関数を用いて時空間クリギングによって日射強度を算出する詳細な説明については、後述する。
【0052】
記憶部130は、日射量を推定するためのデータなどを記憶しているメモリである。具体的には、記憶部130は、日射量計200から入力されるデータを含む入力データ131と、日射量算出部120が算出した日射量の推定結果を含む出力データ132を記憶している。
【0053】
なお、図示していないが、日射量推定装置100は、キーボードやマウスなどの入力部や液晶ディスプレイなどの表示部を備えていてもよい。
【0054】
次に、記憶部130が記憶している入力データ131と出力データ132の詳細について、説明する。
【0055】
図3Aは、本発明の実施の形態1に係る入力データ131の一例を示す図である。
【0056】
同図に示すように、入力データ131は、日射量計設置点座標データ131aと日射量計データ131bと結果出力条件データ131cとを含む。
【0057】
日射量計設置点座標データ131aは、日射量計200に含まれるそれぞれの日射量計が設置されている地点の座標を示すデータの集まりである。具体的には、日射量計設置点座標データ131aは、当該日射量計の設置地点の緯度と経度の情報からなる。同図では、No.1〜No.3の3つの日射量計の設置地点の緯度と経度の情報が示されている。
【0058】
日射量計データ131bは、日射量計200に含まれるそれぞれの日射量計について、当該日射量計が測定した日射強度と測定時刻とが対応付けられたデータの集まりである。つまり、日射量推定装置100が日射量計200から取得した日射強度が、測定時刻に対応付けられて記憶されている。
【0059】
結果出力条件データ131cは、日射量推定装置100が出力すべきデータの出力条件を示すデータの集まりである。つまり、結果出力条件データ131cは、日射量を推定する時刻、地点の緯度及び経度の情報からなる。
【0060】
なお、日射量計設置点座標データ131aは、ユーザによって予め記憶部130に記憶されており、日射量計データ131bは、日射強度が測定されるたびに更新され、結果出力条件データ131cは、ユーザによって随時変更される。
【0061】
図3Bは、本発明の実施の形態1に係る出力データ132の一例を示す図である。
【0062】
出力データ132は、日射量推定装置100が出力すべきデータを示す情報の集まりである。つまり、同図に示すように、出力データ132は、日射量を推定した時刻と、地点の緯度及び経度と、当該時刻及び地点における日射強度とを示す情報からなる。
【0063】
なお、出力データ132は、出力される日射強度が算出されるたびに、更新される。
【0064】
次に、日射量推定装置100が行う処理について、説明する。
【0065】
図4は、本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置100が行う処理(日射量推定方法)の一例を示すフローチャートである。
【0066】
同図に示すように、関数取得部110は、任意の時刻及び地点における日射強度を取得する(S102)。つまり、関数取得部110は、日射量計200に含まれるそれぞれの日射量計が、任意の時刻に出力した日射強度を取得する。
【0067】
図5は、本発明の実施の形態1に係る関数取得部110が日射強度を取得する処理を説明する図である。
【0068】
同図の(a)は、時刻t1において、地点A及びBに設置された日射量計が測定した日射強度が、それぞれa1及びb1であったことを示している。また、同図の(b)は、時刻t1より後の時刻t2において、地点A及びBに設置された日射量計が測定した日射強度が、それぞれa2及びb2であったことを示している。
【0069】
関数取得部110は、例えば、時刻t1での地点Aにおける日射強度a1を第一日射指示値として取得し、時刻t2での地点Bにおける日射強度b2を第二日射指示値として取得する。
【0070】
具体的には、関数取得部110は、地点Aにおいて時刻t1を含む所定の期間内(例えば5分間)での日射強度a1の平均値を第一日射指示値として取得し、地点Bにおいて時刻t2を含む所定の期間内(例えば5分間)での日射強度b2の平均値を第二日射指示値として取得する。
【0071】
このようにして、関数取得部110は、時刻t1でのそれぞれの地点における日射強度を第一日射指示値として取得し、時刻t2でのそれぞれの地点における日射強度を第二日射指示値として取得する。
【0072】
なお、関数取得部110は、取得した日射強度を時刻に対応付けて記憶部130に記憶させることで、入力データ131を更新する。
【0073】
図4に戻り、次に、関数取得部110は、取得した日射強度を用いて、時空間相関分析を実施する(S104)。つまり、関数取得部110は、記憶部130に記憶されている入力データ131を参照し、入力データ131から日射強度を取得して、時空間相関分析を実施する。
【0074】
具体的には、関数取得部110は、第一日射指示値のそれぞれと第二日射指示値のそれぞれとの共分散をそれぞれ算出して、当該共分散の分布である共分散分布を取得する。
【0075】
例えば、図5に示すように、関数取得部110は、時刻t1での地点Aにおける日射強度a1と、時刻t2での地点Bにおける日射強度b2との共分散を算出したり、時刻t1での地点Bにおける日射強度b1と、時刻t2での地点Bにおける日射強度b2との共分散を算出したりする。ここで、同図の点線矢印は、共分散を算出する対象の一例を示している。
【0076】
なお、時刻t1と時刻t2とは、同じ時刻であってもよい。つまり、関数取得部110は、同時刻での地点Aにおける日射強度と地点Bにおける日射強度との共分散を算出したり、同時刻での地点Aにおける日射強度と地点Aにおける日射強度との共分散を算出したりもする。
【0077】
そして、関数取得部110は、算出したそれぞれの共分散を用いて、共分散分布を生成し、取得する。
【0078】
図6〜図8は、本発明の実施の形態1に係る関数取得部110が取得する共分散分布を示す図である。
【0079】
具体的には、これらの図の横軸(x軸)は、共分散を算出する2つの地点間の東西距離を示しており、縦軸(y軸)は、当該2つの地点間の南北距離を示している。また、当該共分散の値は、5分間のうちに測定された複数のデータの平均値であり、これらの図においては、当該共分散の値の大きさを円の大きさで表している。また、これらの図における実線の円は、当該共分散の値が正の値であることを示し、点線の円は、当該共分散の値が負の値であることを示している。
【0080】
また、図6は、共分散を算出するための2つの日射強度を測定した時刻が、同時刻である場合の共分散分布を示すグラフであり、図7は、当該2つの日射強度を測定した時刻が、5分違いである場合の共分散分布を示すグラフであり、図8は、当該2つの日射強度を測定した時刻が、10分違いである場合の共分散分布を示すグラフである。
【0081】
つまり、図6は、例えば、図5に示された時刻t1での地点Aにおける日射強度a1同士の共分散を算出したり、時刻t1での地点Aにおける日射強度a1と時刻t1での地点Bにおける日射強度b1との共分散を算出したりすることで得られる共分散分布を示している。なお、同図では、時刻t1より5分前から時刻t1までの5分間のデータ平均値を用いて算出された共分散を、時刻t1での共分散として算出している。
【0082】
このため、図6では、共分散を算出するための2つの日射強度を測定した時刻が同時刻であるため、グラフの原点に近いほど当該2つの日射強度の相関が高くなり、当該2つの日射強度の共分散を示す円として、実線の大きな円が描かれている。また、当該グラフの原点から遠ざかるほど、当該円の大きさは、小さくなる。
【0083】
また、図7は、例えば、時刻t2を時刻t1の5分後の時刻とした場合に、図5に示された時刻t1での地点Aにおける日射強度a1と時刻t2での地点Aにおける日射強度a2との共分散を算出したり、当該日射強度a1と時刻t2での地点Bにおける日射強度b2との共分散を算出したりすることで得られる共分散分布を示している。なお、同図では、時刻t1から時刻t2までの5分間のデータ平均値を用いて算出された共分散を、時刻t2での共分散として算出している。
【0084】
このため、図7では、図6で原点に描かれていた実線の大きな円が、右方向に少し移動したように描かれている。
【0085】
また、図8は、例えば、時刻t2を時刻t1の10分後の時刻とした場合に、図5に示された時刻t1での地点Aにおける日射強度a1と時刻t2での地点Aにおける日射強度a2との共分散を算出したり、当該日射強度a1と時刻t2での地点Bにおける日射強度b2との共分散を算出したりすることで得られる共分散分布を示している。なお、同図では、時刻t2より5分前から時刻t2までの5分間のデータ平均値を用いて算出された共分散を、時刻t2での共分散として算出している。
【0086】
このため、図8では、図7で描かれていた実線の大きな円が、さらに右方向に移動したように描かれている。
【0087】
このように、関数取得部110は、時刻t2を時刻t1の15分後、20分後としていった場合の共分散分布を、順次取得していく。なお、時刻t2の設定は、5分間隔でなくともよく、ユーザによって任意に定められることにしてもかまわない。
【0088】
また、これらの図の共分散の値は、5分間のうちに測定された複数のデータの平均値を示しているが、5分間という時間は一例であり、ユーザによって任意に時間の設定が可能である。なお、当該時間は、上記の時刻t2の設定間隔と同じ時間でなくともよく、任意に設定可能である。
【0089】
図4に戻り、次に、関数取得部110は、速度係数及び減衰係数などのパラメータを算出することで、時空間共分散関数を導出する(S106)。ここで、当該時空間共分散関数は、第一日射指示値と第二日射指示値との相関を示す関数であって、雲の移動を示す速度係数と雲の変形を示す減衰係数とを有する関数である。
【0090】
つまり、関数取得部110は、異なる時刻における共分散分布を比較して、速度係数及び減衰係数を算出することで、共分散分布を示す当該関数を取得する。
【0091】
図9及び図10は、本発明の実施の形態1に係る関数取得部110が取得する関数を説明するための図である。
【0092】
具体的には、図9の(a)、(b)及び(c)のそれぞれは、図6、図7及び図8の共分散分布における実線の円の大きさの分布をグラフ化したものである。なお、図6〜図8の共分散分布における点線の円については、負の相関を考慮する必要はないことから、図9の(a)〜(c)には反映していない。また、図10の(a)〜(c)は、図9の(c)以降の分布の動きを示している。
【0093】
なお、これらの図の横軸(x軸)は、図6〜図8のグラフと同様に、対象となる2つの地点間の東西距離を示しており、縦軸(y軸)は、当該2つの地点間の南北距離を示している。
【0094】
これらの図に示すように、図9の(a)から図10の(c)に至るまで、時間経過とともに、楕円または円形状のグラフが右上方向に移動していくとともに、減衰していくのが分かる。
【0095】
関数取得部110は、これらの図に示したグラフを表す関数を取得する。つまり、関数取得部110は、地点の位置と時刻とを変数とし、所定の時刻において楕円または円形状の分布を示す関数を取得する。
【0096】
具体的には、関数取得部110は、当該関数として、以下の式1に示す時空間共分散関数を作成し、取得する。なお、x軸方向の速度係数をvとし、y軸方向の速度係数をvとし、パラメータ(非等方性パラメータ)をa及びbとし、原点における分散をσとし、減衰係数をcとし、地点の位置(x、y)及び時刻tを変数とする時空間共分散関数をC(x、y、t)とする。
【0097】
【数2】

【0098】
ここで、関数取得部110は、図9の(a)〜図10の(c)に示すグラフから、パラメータa=0.12、b=0.06、減衰係数c=0.05、雲の移動速度v=17(m/sec)、θ=30°(南南西と南西との中間)と算出する。ここで、速度係数v=vcosθ、速度係数v=vsinθであり、σの値については、各時刻において個別に算出される。なお、関数取得部110は、これらの値を時間帯ごとに変化させてもよい。
【0099】
そして、図4に戻り、日射量算出部120は、関数取得部110が取得した関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における日射強度を算出する(S108)。ここで、日射量算出部120は、記憶部130に記憶されている結果出力条件データ131cを参照し、結果出力条件データ131cに含まれる時刻tでの緯度x及び経度yの地点における日射強度を算出する。
【0100】
具体的には、日射量算出部120は、関数取得部110が取得した関数からバリオグラムを算出し、算出したバリオグラムを用いた時空間クリギングによって、所定の時刻tでの所定の地点(x、y)における日射強度を算出する。
【0101】
この日射量算出部120が時空間クリギングによって日射強度を算出する処理について、以下に、詳細に説明する。
【0102】
まず、空間クリギングの手法(例えば、非特許文献1:「地球統計学」、Hans Wackernagel原著、地球統計学研究委員会訳編/青木謙治監訳、森北出版、2003年 参照)について、説明する。
【0103】
空間クリギングの手法においては、計算の前提として、以下の式2に示すように、日射強度の増分の期待値は、位置によらず領域内で0になる。ここで、Z(X)は、観測地点Xにおける日射強度の確率変数であり、hは、2地点間のベクトル量である。
【0104】
E[Z(X+h)−Z(X)]=0 (式2)
【0105】
また、以下の式3に示すように、日射強度の増分の分散は、ベクトルhの大きさと方向とに依存する有限の値である2γ(h)を持ち、観測地点Xとは無関係である。つまり、同じベクトル(方向、距離)だけ離れた2地点間の日射強度の類似度に関する傾向が、位置によらず同じになる。なお、γ(h)は、既知のバリオグラムである。
【0106】
var[Z(X+h)−Z(X)]=2γ(h) (式3)
【0107】
そして、推定分散E[(Z(X)−Z(X))]が最小となるように重みwを設定し、以下の式4〜6を用いて、観測地点Xにおける日射強度の実測値z(X)から、任意の地点Xにおける日射強度の推定値Z(X)を算出する。なお、以下の式4〜6におけるnは、観測地点の数を示している。また、μは、ラグランジュ乗数であり、上記の推定値Z(X)の算出には、ラグランジュの未定乗数法を用いる。
【0108】
具体的には、まず、E[(Z(X)−Z(X))]が最小となり、かつ、重みwの総和が1となる(以下の式5を満たす)ように、ラグランジュの未定乗数法を用いて、以下の式4を導出する。そして、当該式4と以下の式5とから重みwを算出し、さらに重みwと以下の式6とを用いて、任意の地点Xにおける日射強度の推定値Z(X)を算出する。
【0109】
【数3】

【0110】
【数4】

【0111】
【数5】

【0112】
このように、所定の地点Xにおける日射強度Z(X)を、日射強度の実測値zの重み付き平均により算出することができる。つまり、図11Aに示すように、例えば、地点A、B及びCにおける日射強度の実測値を用いて、地点Xにおける日射強度を算出することができる。図11Aは、空間クリギングの手法を説明するための図である。
【0113】
そして、日射量算出部120は、この空間クリギングの手法に時間の要素を加えることで、時空間クリギングによって日射強度を算出する。
【0114】
具体的には、まず、日射量算出部120は、関数取得部110が取得した時空間共分散関数C(x、y、t)を、2地点間のベクトルhと時間差τのみの関数である時空間共分散関数C(h、τ)に変換し、バリオグラムγ(h、τ)を以下の式7を用いて算出する。
【0115】
γ(h、τ)=C(0、0)−C(h、τ) (式7)
【0116】
そして、日射量算出部120は、バリオグラムγ(h、τ)を用いた時空間クリギングによって、所定の時刻での所定の地点における日射強度を算出する。具体的には、日射量算出部120は、以下の式8〜10を用いて、観測地点X、時刻tにおける日射強度の推定値Z(X、t)を算出する。
【0117】
なお、wは、重みを示す値であり、Xは、観測地点の座標(x、y)を示しており、z(X、t)は、観測地点X、時刻tにおける日射強度の実測値を示しており、Z(X、t)は、観測地点X、時刻tにおける日射強度の推定値を示している。また、以下の式8〜10におけるnは、観測地点の数×測定時刻の数によって算出される。また、μは、ラグランジュ乗数であり、上記の推定値Z(X、t)の算出には、ラグランジュの未定乗数法を用いる。
【0118】
具体的には、まず、E[(Z(X、t)−Z(X、t))]が最小となり、かつ、重みwの総和が1となる(以下の式9を満たす)ように、ラグランジュの未定乗数法を用いて、以下の式8を導出する。そして、当該式8と以下の式9とから重みwを算出し、さらに重みwと以下の式10とを用いて、観測地点X、時刻tにおける日射強度の推定値Z(X、t)を算出する。
【0119】
【数6】

【0120】
【数7】

【0121】
【数8】

【0122】
このように、日射量算出部120は、所定の時刻tでの所定の地点X(x、y)における日射強度Z(X、t)を、日射強度の実測値zの重み付き平均により算出する。つまり、図11Bに示すように、日射量算出部120は、例えば、時刻t1及びt2での、地点A、B及びCにおける日射強度の実測値を用いて、時刻tでの地点Xにおける日射強度を算出することができる。図11Bは、本発明の実施の形態1に係る日射量算出部120が行う時空間クリギングの手法を説明するための図である。
【0123】
そして、図4に戻り、日射量算出部120は、算出した所定の時刻での所定の地点における日射強度を出力する(S110)。つまり、日射量算出部120は、当該日射強度を、測定時刻及び観測地点に対応付けて記憶部130に記憶させることで、出力データ132を更新する。
【0124】
以上により、日射量推定装置100が所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する処理は、終了する。
【0125】
次に、日射量推定装置100による日射量の推定結果について、説明する。
【0126】
図12及び図13は、本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置100による日射量の推定結果を示す図である。
【0127】
具体的には、これらの図は、ある地域での晴天指数の分布を示している。なお、晴天指数とは、大気上端における理論日射強度に対する観測地点における日射強度の割合である。また、図12の(a)及び図13の(a)は、日射量推定装置100が時空間クリギングによって推定した晴天指数の分布を示し、図12の(b)及び図13の(b)は、空間クリギングによって推定された晴天指数の分布を示している。
【0128】
まず、図12に示すように、時空間クリギングによって推定された分布は、空間クリギングによって推定された分布に比べ、風による晴天域の移動が自然に表現できている。
【0129】
また、図13に示すように、時空間クリギングによって推定された分布は、空間クリギングによって推定された分布に比べ、大規模な晴天域の発生と移動を自然に表現できている。
【0130】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る日射量推定装置100によれば、第一時刻での第一地点における第一日射指示値と第二時刻での第二地点における第二日射指示値との相関を示す関数であって、雲の移動を示す速度係数と雲の変形を示す減衰係数とを有する関数を取得して、当該関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における日射強度を示す値を算出する。つまり、日射量推定装置100は、第一時刻での第一地点における値と第二時刻での第二地点における値とを用いて、補間法の一種である時空間クリギングを活用して、時間的及び空間的に日射量を補間することで、限られた日射量計等の情報から、所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する。また、日射量推定装置100は、雲の移動成分(速度成分)及び雲の変形(減衰項)を考慮した当該関数を仮定することで、実際の雲の移動等の気象現象(進行波成分)まで考慮して、時空間クリギングを行う。このため、日射量推定装置100は、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0131】
また、日射量推定装置100は、複数の地点のそれぞれにおける第一日射指示値と第二日射指示値とを取得し、第一日射指示値と第二日射指示値との共分散をそれぞれ算出して、当該共分散の分布を示す関数を取得する。これにより、日射量推定装置100は、複数の地点のそれぞれについての情報を用いて、時空間クリギングを活用することで、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0132】
また、日射量推定装置100は、異なる時刻における共分散分布を比較して、速度係数及び減衰係数を算出することで、関数を取得する。つまり、日射量推定装置100は、時空間相関分析結果から、当該関数(時空間共分散関数)のパラメータである速度係数及び減衰係数を決定する。これにより、日射量推定装置100は、当該速度係数及び減衰係数を有する関数を用いることで、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0133】
また、日射量推定装置100は、観測地点の位置と時刻とを変数とし、所定の時刻において楕円または円形状の分布を示す関数を取得する。つまり、日射量推定装置100は、当該関数を用いて、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0134】
また、日射量推定装置100は、時空間共分散関数C(x、y、t)を取得し、当該時空間共分散関数からバリオグラムを算出し、算出したバリオグラムを用いた時空間クリギングによって、所定の時刻tでの所定の地点(x、y)における日射強度を示す値を算出する。つまり、日射量推定装置100は、当該時空間共分散関数C(x、y、t)を用いることで、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0135】
また、日射量推定装置100は、例えば5分間などの所定の平均化時間内で平均化された日射強度を用いて得られる関数を取得する。つまり、日射量推定装置100は、日射量の推定にあたり、観測地点の配置や気象条件に合わせて、適切な平均化時間を選択することにより、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0136】
このように、日射量推定装置100は、時空間クリギングを用いることで、現在の日射量を推定することができるだけではなく、短時間先の日射量を推定することもできる。
【0137】
また、日射量推定装置100は、推定した日射量を用いて、太陽光発電の導入量の分布(太陽光発電の設置場所の空隙率や偏在率)を考慮した太陽光発電の発電量を算出することができる。
【0138】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る日射量推定装置100について、説明する。上記実施の形態1では、日射量推定装置100は、日射量計が測定した日射強度を用いて、時空間クリギングで日射強度を算出することとした。
【0139】
しかし、図14に示すように、観測地点の緯度や測定時刻によって日射強度が異なるため、算出する日射強度に、観測地点の緯度や測定時刻に起因する誤差が発生するおそれがある。図14は、観測地点の緯度や測定時刻によって日射強度が異なることを説明するための図である。
【0140】
具体的には、同図は、1日の日射強度の変化を示している。同図に示すように、時刻が異なると日射強度は異なる。また、低緯度地点と高緯度地点とでは、同時刻でも日射強度が異なる。
【0141】
そして、時空間クリギングでは、多地点、かつ、多断面(異なる時間断面)の情報を等価的に利用する必要があるが、観測地点の緯度や測定時刻が異なると日射強度は異なるため、日射強度では多地点、多断面の情報を等価的に利用できない。
【0142】
このため、本実施の形態2では、日射量推定装置100は、観測地点の緯度や測定時刻に依存しないように日射強度を規格化してから、時空間クリギングを適用する。
【0143】
つまり、関数取得部110は、第一時刻及び第一地点の緯度のうちの少なくとも1つの値に応じて補正された第一日射指示値と、第二時刻及び第二地点の緯度のうちの少なくとも1つの値に応じて補正された第二日射指示値との相関を示す関数を取得する。
【0144】
具体的には、関数取得部110は、大気上端における理論日射強度に対する観測地点における日射強度の割合を晴天指数とし、第一時刻での第一地点における当該晴天指数である第一日射指示値と、第二時刻での第二地点における当該晴天指数である第二日射指示値との相関を示す関数を取得する。
【0145】
図15は、本発明の実施の形態2に係る日射量推定装置100が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0146】
同図に示すように、関数取得部110は、任意の時刻及び地点における日射強度を取得する(S202)。例えば、関数取得部110は、第一時刻での第一地点における日射強度である第一日射強度と第二時刻での第二地点における日射強度である第二日射強度とを取得する。
【0147】
なお、この関数取得部110が日射強度を取得する処理は、実施の形態1における関数取得部110が日射強度を取得する処理(図4のS102)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0148】
そして、関数取得部110は、取得した日射強度を晴天指数に変換する(S203)。具体的には、関数取得部110は、記憶部130に記憶されている入力データ131を参照し、入力データ131から日射強度を取得して、晴天指数に変換する。つまり、関数取得部110は、第一日射強度及び第二日射強度を晴天指数に変換することで、第一日射指示値及び第二日射指示値を算出する。
【0149】
具体的には、関数取得部110は、以下の式11を用いて、取得した日射強度Sを晴天指数CIに変換する。なお、観測地点における日射強度をSとし、大気上端における理論日射強度をSとする。
【0150】
CI=S/S (式11)
【0151】
ここで、理論日射強度Sは、以下の式12を用いて算出される(例えば、非特許文献2:「水環境の気象学」、近藤純正編著、朝倉書店、1994年 参照)。なお、I00は太陽定数(=1365W/m)を示し、θは天頂角を示し、φは緯度を示し、δは太陽の赤緯を示し、hは太陽の南中からの時角を示し、Mは月を示し、DAYは日を示し、HOURは時間を示し、Hは南中時刻を示している。
【0152】
【数9】

【0153】
次に、関数取得部110は、晴天指数を用いて、時空間相関分析を実施する(S204)。具体的には、関数取得部110は、第一日射指示値のそれぞれと第二日射指示値のそれぞれとの共分散をそれぞれ算出して、当該共分散の分布である共分散分布を取得する。
【0154】
なお、この関数取得部110が時空間相関分析を実施する処理は、実施の形態1における関数取得部110が時空間相関分析を実施する処理(図4のS104)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0155】
そして、関数取得部110は、速度係数及び減衰係数などのパラメータを算出することで、時空間共分散関数を導出する(S206)。
【0156】
なお、この関数取得部110が時空間共分散関数を導出する処理は、実施の形態1における関数取得部110が時空間共分散関数を導出する処理(図4のS106)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0157】
そして、日射量算出部120は、関数取得部110が取得した関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における晴天指数を算出する(S208)。
【0158】
なお、この関数取得部110が晴天指数を算出する処理は、実施の形態1における関数取得部110が日射強度を算出する処理(図4のS108)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0159】
つまり、実施の形態1では、日射量算出部120は、日射強度を入力として時空間クリギングを行い、日射強度を算出しているのに対し、本実施の形態2では、日射量算出部120は、晴天指数を入力として時空間クリギングを行い、晴天指数を算出しているため、基本的な算出の手法は実施の形態1と同様である。
【0160】
そして、日射量算出部120は、算出した晴天指数を日射強度に変換する(S209)。つまり、日射量算出部120は、上記の式11に示した晴天指数と日射強度との関係を用いて、所定の時刻での所定の地点における日射強度を算出する。
【0161】
そして、日射量算出部120は、算出した所定の時刻での所定の地点における日射強度を出力する(S210)。つまり、日射量算出部120は、当該日射強度を、測定時刻及び観測地点に対応付けて記憶部130に記憶させることで、出力データ132を更新する。
【0162】
以上により、本発明の実施の形態2に係る日射量推定装置100が所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する処理は、終了する。
【0163】
なお、日射量推定装置100は、観測地点の緯度及び測定時刻の双方に依存しないように日射強度を規格化してから、時空間クリギングを適用することとしたが、観測地点の緯度及び測定時刻のいずれか一方に依存しないように日射強度を規格化してから、時空間クリギングを適用することにしてもよい。
【0164】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る日射量推定装置100によれば、測定時刻及び観測地点の緯度のうちの少なくとも1つの値に応じて補正された第一日射指示値と第二日射指示値との相関を示す関数を取得する。つまり、第一日射指示値及び第二日射指示値は、測定時刻や観測地点の緯度によって変化するため、測定時刻や観測地点の緯度に応じて補正する必要がある。このため、日射量推定装置100は、この補正された第一日射指示値と第二日射指示値とを用いることで、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0165】
また、日射量推定装置100は、大気上端における理論日射強度に対する観測地点における日射強度の割合を晴天指数とした場合に、第一時刻での第一地点における晴天指数を第一日射指示値とし、第二時刻での第二地点における晴天指数を第二日射指示値として、第一日射指示値と第二日射指示値との相関を示す関数を取得する。つまり、日射量推定装置100は、観測地点における日射強度を大気上端における理論日射強度で規格化する。これにより、日射量推定装置100は、測定時刻や観測地点の緯度による影響を受けることなく、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0166】
また、日射量推定装置100は、観測地点における日射強度から晴天指数を算出することで関数を取得し、当該関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における晴天指数を算出することで、所定の時刻での所定の地点における日射強度を算出する。つまり、日射量推定装置100は、観測地点における日射強度を晴天指数に変換し、変換した晴天指数から得られた関数を用いて所定の時刻での所定の地点における晴天指数を算出し、算出した晴天指数を日射強度に変換する。これにより、日射量推定装置100は、晴天指数を用いて計算を行うことで、測定時刻や観測地点の緯度などによる影響を受けることなく、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0167】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る日射量推定装置100について、説明する。上記実施の形態2では、日射量推定装置100は、観測地点の緯度や測定時刻に依存しないように日射強度を規格化してから、時空間クリギングを適用することとした。
【0168】
しかし、観測地点の緯度や測定時刻のみならず、観測地点の経度によっても日射強度が異なる。このため、本実施の形態3では、日射量推定装置100は、観測地点の経度に依存しないように日射強度を規格化してから、時空間クリギングを適用する。
【0169】
つまり、関数取得部110は、観測地点の経度に応じて晴天指数を補正することで、第一地点の経度に応じてさらに補正された第一日射指示値と、第二地点の経度に応じてさらに補正された第二日射指示値との相関を示す関数を取得する。
【0170】
具体的には、関数取得部110は、上記の式12の南中時刻Hを以下の式13を用いて算出することにより、晴天指数を補正する。なお、Hnbは、基準地点の南中時刻を示し、lonは、基準地点の経度を示し、lonは、観測地点の経度を示している。ここで、基準地点とは、基準となる地点であり、南中時刻が正確に分かる地点であれば、どこに設定してもかまわない。
【0171】
【数10】

【0172】
以上のように、本発明の実施の形態3に係る日射量推定装置100によれば、観測地点の経度に応じて晴天指数を補正することで、観測地点の経度に応じてさらに補正された第一日射指示値と第二日射指示値との相関を示す関数を取得する。つまり、日射量推定装置100は、観測地点の経度に応じて第一日射指示値と第二日射指示値とを補正することで、観測地点の経度による影響を受けることなく、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる。
【0173】
なお、本発明は、このような日射量推定装置100として実現することができるだけでなく、日射量推定装置100と、第一地点に設置され、第一時刻に日射強度を測定し、測定した当該日射強度を日射量推定装置100に出力する第一日射量計と、第二地点に設置され、第二時刻に日射強度を測定し、測定した当該日射強度を日射量推定装置100に出力する第二日射量計とを備える日射量推定システム10としても実現することができる。
【0174】
また、本発明は、日射量推定装置100に含まれる処理部が行う特徴的な処理をステップとする日射量推定方法としても実現することができる。また、当該日射量推定方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラムや集積回路として実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0175】
以上、本発明の実施の形態に係る日射量推定装置100及び日射量推定システム10について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0176】
つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、高い空間分解能及び時間分解能で、所定の時刻での所定の地点における日射量を精度良く推定することができる日射量推定装置等に適用できる。また、現在の日射量を推定することができるだけではなく、短時間先の日射量を推定することもでき、推定した日射量を用いて、太陽光発電の導入量の分布(太陽光発電の設置場所の空隙率や偏在率)を考慮した太陽光発電の発電量を算出することができる日射量推定装置等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0178】
10 日射量推定システム
100 日射量推定装置
110 関数取得部
120 日射量算出部
130 記憶部
131 入力データ
131a 日射量計設置点座標データ
131b 日射量計データ
131c 結果出力条件データ
132 出力データ
200、201、202、203 日射量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する日射量推定装置であって、
第一時刻での複数の地点のうちの第一地点における日射強度を示す値である第一日射指示値と、第二時刻での前記複数の地点のうちの第二地点における日射強度を示す値である第二日射指示値との相関を示す関数であって、雲の移動を示す速度係数と雲の変形を示す減衰係数とを有する関数を取得する関数取得部と、
取得された前記関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における日射強度を示す値を算出する日射量算出部と
を備える日射量推定装置。
【請求項2】
前記関数取得部は、前記複数の地点のそれぞれにおける前記第一日射指示値と、前記複数の地点のそれぞれにおける前記第二日射指示値とを取得し、前記第一日射指示値のそれぞれと前記第二日射指示値のそれぞれとの共分散をそれぞれ算出して、当該共分散の分布である共分散分布を取得することで、前記共分散分布を示す前記関数を取得する
請求項1に記載の日射量推定装置。
【請求項3】
前記関数取得部は、異なる時刻における前記共分散分布を取得し、当該異なる時刻における共分散分布を比較して、前記速度係数及び前記減衰係数を算出することで、前記関数を取得する
請求項2に記載の日射量推定装置。
【請求項4】
前記関数取得部は、前記第一時刻及び前記第一地点の緯度のうちの少なくとも1つの値に応じて補正された前記第一日射指示値と、前記第二時刻及び前記第二地点の緯度のうちの少なくとも1つの値に応じて補正された前記第二日射指示値との相関を示す前記関数を取得する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の日射量推定装置。
【請求項5】
前記関数取得部は、大気上端における理論日射強度に対する観測地点における日射強度の割合を晴天指数とし、前記第一時刻での前記第一地点における当該晴天指数である前記第一日射指示値と、前記第二時刻での前記第二地点における当該晴天指数である前記第二日射指示値との相関を示す前記関数を取得する
請求項4に記載の日射量推定装置。
【請求項6】
前記関数取得部は、観測地点の経度に応じて晴天指数を補正することで、前記第一地点の経度に応じてさらに補正された前記第一日射指示値と、前記第二地点の経度に応じてさらに補正された前記第二日射指示値との相関を示す前記関数を取得する
請求項5に記載の日射量推定装置。
【請求項7】
前記関数取得部は、前記第一時刻での前記第一地点における日射強度である第一日射強度と前記第二時刻での前記第二地点における日射強度である第二日射強度とを取得し、前記第一日射強度から前記第一日射指示値を算出するとともに前記第二日射強度から前記第二日射指示値を算出することで、前記関数を取得し、
前記日射量算出部は、取得された前記関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における晴天指数を算出することで、前記所定の時刻での前記所定の地点における日射強度を算出する
請求項5または6に記載の日射量推定装置。
【請求項8】
前記関数取得部は、地点の位置と時刻とを変数とし、所定の時刻において楕円または円形状の分布を示す前記関数を取得する
請求項1〜7のいずれか1項に記載の日射量推定装置。
【請求項9】
前記関数取得部は、x軸方向の速度係数をvとし、y軸方向の速度係数をvとし、パラメータをa及びbとし、原点における分散をσとし、減衰係数をcとし、地点の位置(x、y)及び時刻tを変数とする時空間共分散関数をC(x、y、t)として、
【数1】

を前記関数として取得し、
前記日射量算出部は、前記時空間共分散関数からバリオグラムを算出し、算出したバリオグラムを用いた時空間クリギングによって、前記所定の時刻tでの前記所定の地点(x、y)における日射強度を示す値を算出する
請求項8に記載の日射量推定装置。
【請求項10】
前記関数取得部は、前記第一地点において前記第一時刻を含む所定の期間内での日射強度を示す値の平均値を前記第一日射指示値とし、前記第二地点において前記第二時刻を含む所定の期間内での日射強度を示す値の平均値を前記第二日射指示値として、前記関数を取得する
請求項1〜9のいずれか1項に記載の日射量推定装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の日射量推定装置と、
前記第一地点に設置され、前記第一時刻に日射強度を測定し、測定した当該日射強度を前記日射量推定装置に出力する第一日射量計と、
前記第二地点に設置され、前記第二時刻に日射強度を測定し、測定した当該日射強度を前記日射量推定装置に出力する第二日射量計と
を備える日射量推定システム。
【請求項12】
日射量推定装置が、所定の時刻での所定の地点における日射量を推定する日射量推定方法であって、
第一時刻での複数の地点のうちの第一地点における日射強度を示す値である第一日射指示値と、第二時刻での前記複数の地点のうちの第二地点における日射強度を示す値である第二日射指示値との相関を示す関数であって、雲の移動を示す速度係数と雲の変形を示す減衰係数とを有する関数を取得する関数取得ステップと、
取得された前記関数を用いて、時空間クリギングによって所定の時刻での所定の地点における日射強度を示す値を算出する日射量算出ステップと
を含む日射量推定方法。
【請求項13】
請求項12に記載の日射量推定方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−44572(P2013−44572A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180909(P2011−180909)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(591115475)株式会社三菱総合研究所 (12)