説明

昆虫防除組成物

本明細書では、粉末成分を含ませることによって改善された皮膚の感触が提供される噴霧可能な昆虫防除組成物が開示される。この粉末は、増粘剤(例えば、カルボマー増粘剤)によって、組成物中に本質的に永続的に懸濁しているため、皮膚に塗布する直前に沈殿した粉末を再懸濁するために振る必要がない。このことは、エアロゾル又はスプリッツスプレー配合物中で達成され、一方で、詰まりの問題が回避される。一つの組成物に於いては、エタノール、DEET又はピカリジン、カルボマー増粘剤、中和剤、トウモロコシデンプン粉末、水、及びガス噴射剤が含有されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫防除組成物に関し、特に、ヒトの皮膚に塗布することができる昆虫忌避剤組成物に関する。特に、本発明は、皮膚の感触を改善するための粉末を含有する噴霧可能な昆虫忌避剤に関する。更に、本発明は、このような粉末を、主に水性の配合物中に、所望により他の液体又は水に溶けない物質と共に、この混合物が容易に相分離を起こすことがなく、使用者が送出の直前に再混合をする必要なしに、配合物のすべての成分をその適切な濃度で送出することが可能となるように懸濁させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に塗布するように設計された種々の昆虫忌避剤組成物は、以前に提案されている。例えば、米国特許第4,774,082号は、N,N−ジエチル−m−トルアミド(「DEET」)を、炭化水素噴射剤を用いることにより、エアロゾルスプレーの形態等のスプレー形態で送出することのできる、好ましい忌避剤として使用することを開示している。米国特許第6,719,959号は、ピカリジン(picaridin)(またはDEET)等の忌避剤は、炭化水素噴射剤、水、エタノール、イソドデカン、及び増粘剤等の物質を送出配合剤中に用いることにより、エアロゾルスプレー又はスプリッツ(spritz)を介して送出することができることを開示している。
【0003】
昆虫忌避剤がゲルの形態で、又はそれとは別の粘度の高い液体の形態で送出されることが可能であることも公知であり、増粘剤がカルボマーである場合を含む。米国特許第6,441,034号、及び6,646,011号参照。
【0004】
カルボマーは一般に酸性であるため、好ましくはトリエタノールアミン等の中和剤と共に用いられる。Carbopol(登録商標)というブランドの増粘剤についてAMP−95を中和剤として使用することが記載されたBF Goodrichのウェブサイトも参照されたい。
【0005】
シリカ粉末及びトウモロコシデンプン粉末等の粉末は、種々の理由から、エアロゾル組成物中に含有させることが提案されてきた。例えば、このようなスプレー中に粉末を含有させることにより、この組成物が皮膚上に噴霧された際の皮膚の感触が改善される。このような粉末を昆虫忌避組成物と混合させるための提案もなされてきた。一般的には、米国特許第6,581,807号を参照されたい。
【0006】
しかし、噴霧可能な配合物に含有される粉末は沈殿する傾向があるため、使用者が噴霧するごとに、その前に容器を振る必要がある(又は、製品を使い切るにつれて、粉末量が異なる配合物となるおそれがある)。使用前に消費者が忘れずに容器を振るかどうかにかかわらず、このように容器を振る必要があるということにより、消費者によっては、しばしば不満がもたらされる結果にもなる。問題を複雑にしているのは、このような粉末がスプレーに含まれている場合、もし、よく分散していない粉末がノズルを通るよう向けられると、全体としての配合物がスプレーノズルの詰まりをもたらすということである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、使用直前に配合物を振る必要が回避される一方、重大な詰まりの問題も回避され、所望により、水に溶解しない他の有益な成分が安定に分布している、改善された、粉末を含有した昆虫防除配合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、乾燥していて、ベタベタしない/油っぽくない皮膚の感触といった、改善された皮膚の感触を提供する昆虫忌避剤組成物を提供する。組成物を皮膚に塗布する直前に沈殿した粉末を再懸濁するために振る必要がないように、粉末が本質的に永続的に組成物中に懸濁されている粉末成分が提供される。
【0009】
ある形態に於いては、本発明は噴霧可能な昆虫防除組成物を提供する。ここには、液体キャリアー、昆虫防除成分、粉末、及び増粘剤が存在する。増粘剤は、粉末をキャリアー中に懸濁させるために十分な量で存在するが、組成物が噴霧されることが妨げられる程多量には存在しない。
【0010】
非常に好ましい液体キャリアーとしては、水、及びエタノール等の短鎖一価アルコールが挙げられる。昆虫防除成分は好ましくは忌避剤であるが、組成物がどのように用いられるかに依存して、殺虫剤及び/又は昆虫成長制御剤であってもよい。
【0011】
好ましい増粘剤は、例えば、スプレーノズルを介して送出される場合にずり減粘が可能な、ゲル増粘剤である。好ましくは、増粘剤は揺変性ゲルを形成可能である。最も好ましくは、増粘剤はカルボマー増粘剤である。
【0012】
潜在的に有用な種々の増粘剤は、「会合性増粘剤」と称されるクラス由来である。その多くは、ポリマー主鎖に沿って疎水性鎖で置換された親水性ポリマー化合物を有している。従って、このポリマーは水に溶解するが、疎水基はポリマー主鎖に沿って自己会合し、溶液中でネットワーク構造を形成する。これにより、疎水性会合は容易に分解されるため、ずり減粘可能なゲルが形成される。従って、この特質を備えた他の増粘剤は、本発明で用いられる増粘剤の候補である。
【0013】
中和の存在しない提案された使用法にとって増粘剤の酸性が強すぎる場合、中和剤でpHを調節することが望ましい。
【0014】
特に好ましい成分の範囲は:
【0015】
(a)5重量%〜60重量%の水;
【0016】
(b)0重量%〜50重量%のアルコール;
【0017】
(c)0重量%〜65重量%の炭化水素;
【0018】
(d)1重量%〜20重量%の昆虫防除成分;
【0019】
(e)0.5重量%〜25重量%の粉末;及び
【0020】
(f)0.05重量%〜1重量%の増粘剤である。
【0021】
組成物が、エアロゾルスプレーの形態である場合、噴射剤ガスも含まれる。特に好ましい噴射剤ガスは、炭化水素ガス、ハイドロフルオロカーボンガス、及びクロロフルオロカーボンガスよりなる群から選択される。例えば、これらのガスは、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、又はこれらの部分集合、の混合物であってよい。
【0022】
組成物は、香料及び/又は他の関連するスキンケア成分をも含んでいてよい。例えば、日焼け止め、防水剤、皮膚軟化剤、又は他の皮膚の処置をするための関連する化学物質が、中心的な成分との相溶性を有している場合に、含まれていてもよい。
【0023】
別の形態に於いては、本発明は、昆虫忌避剤のエアロゾル化されたスプレーを送出可能な容器を提供する。この容器は、昆虫忌避剤組成物を含有した内部空洞を備えたハウジング、及び選択された部位に該空洞から忌避剤を送出するための調節弁を有している。この組成物には、液体キャリアー、昆虫防除成分、ガス噴射剤、粉末、及び増粘剤が含まれる。この増粘剤は、キャリアー中に粉末を懸濁させるのに十分な量で存在するが、組成物が調節弁を通して噴霧されることが妨げられる程に多量には存在しない。
【0024】
更に別の形態に於いては、本発明はヒトの皮膚から昆虫を忌避するための方法を提供する。このような組成物は皮膚に噴霧される。
【0025】
本願発明者らは、水が増粘剤と共に働き、ゲル構造を形成し、粉末を懸濁させることを見出した。更に、他の提案された成分によりゲル構造が破壊されないことがわかった。
【0026】
本発明が、良好な皮膚の感触を備え、スプレーディスペンサーを詰まらせる恐れがほとんどない昆虫忌避剤組成物を提供することは、よく理解されるであろう。本発明のこれら及び更なる他の利点は、以下の記述により明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
水、有機溶媒(好ましくは、エタノール、所望によりイソドデカン又は他の皮膚の感触に影響する有機溶媒と共に)、昆虫防除成分(好ましくは、忌避剤の活性を有し、より好ましくはDEET又はピカリジン)、粉末(好ましくは、トウモロコシデンプン)、増粘剤(好ましくは、カルボマー)、所望により中和剤(好ましくは、トリエタノールアミン、又は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)及び、配合物がエアロゾルスプレーの場合、ガス噴射剤(好ましくは、炭化水素ガス)を含有する昆虫防除組成物が提供される。
【0028】
組成物には、香料、着色剤、他の懸濁された固体又は、水及び有機溶媒中に完全には溶解しない物質、並びに他の相溶性の物質が更に含まれていてよい。粉末成分は、改善された皮膚の感触を提供し、増粘剤成分は、組成物を皮膚に塗布する直前に沈殿した粉末を再懸濁するために振る必要がないようにゲル構造を介して組成物中に粉末を本質的に永続的に懸濁させる機能を果たす。好ましくは、ゲルは揺変性である。驚くべきことに、ゲル構造は、標準的なスプリッツポンプ又はエアロゾルスプレーのバルブを詰まらせない。
【0029】
本発明の目的に於いては、「昆虫」は飛ぶ昆虫のみならず、這う昆虫も意味する。クモ、ヤスデ類、及び、本質的に同様の方法で、又は害虫を駆除するために通常用いられる薬剤と同様の薬剤を用いて通常駆除される他の節足動物も包含される。
【0030】
「昆虫忌避剤」は、昆虫が、処理された部位(例えば、有効量の忌避剤で処理されたヒトの皮膚)に接触すること、又は処理された部位に接近したままでいることを防ぐか、又は邪魔をする、あらゆる化学物質を意味する。本発明の組成物により忌避される特定の昆虫は、昆虫忌避の活性のある選択された物質に依存するであろう。特定の昆虫の種に特異的であり得る昆虫忌避の活性のある物質がある一方、種々の昆虫を広く忌避し得る活性物質もある。
【0031】
用いることのできる忌避剤として、N,Nジエチル−m−トルアミド(「DEET」)、ヒドロキシ−エチルイソブチルピペリジンカルボキシレート(1−ピペリジンカルボン酸、又はピカリジン、Bayer KBR 3023)、エチルブチルアセチルアミノプロピオネート(Merck Co.によるIR3535)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シトロネラ油、大豆油、レモングラス油、ゼラニウム/ゲラニオール油、p−メンタン−3,8−ジオール、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明に於いて用いることのできる他の活性剤は、米国特許第5,130,136号、及び第5,698,209号に開示されている。いくつかの好ましい態様に於いては、1種又は2種以上の昆虫忌避活性剤の量は、組成物の総重量に対して、約1%〜約20%、好ましくは、約2%〜約17%、及びより好ましくは、約2%〜約15重量%である。
【0032】
本発明で用いられる水は、例えば、精製水、脱イオン水等でよい。本発明の組成物に含まれる水の量は、組成物の総重量に対して、約5%〜約60%、好ましくは、約10%〜約55%、及びより好ましくは、約10%〜約50重量%である。
【0033】
いかなる適切な有機溶媒も本発明の組成物中に用いることができるが、アルコール類が好ましい。好ましいアルコール類は、Rが炭素数1〜8、最も好ましくは1〜6の炭化水素鎖である、化学式R−OHで表わされる。炭化水素鎖は、飽和していてもよく、不飽和でもよく、直鎖状、分岐鎖状、環状、又は多環式であってもよく、ヘテロ原子(炭素及び水素以外の原子)を有しているものを含む置換基を有していてもよい。
【0034】
素早く蒸発するアルコール又は他の溶媒が用いられる場合、イソドデカンは、本発明の組成物中の別の好ましい成分である。イソドデカンは、組成物が例えば局所的な昆虫忌避剤である場合、改善された皮膚の感触を提供する。この文脈に於いて、イソドデカンとは、上記の鎖長のアルコールと比較して揮発性の低い溶媒である。同様な、代替の溶媒又は有機液体は、局所的な塗布に適している場合、用いることができる。例として、モノメチル分枝を有した炭素数10〜20の飽和炭化水素若しくはモノメチル分枝を有していない炭素数10〜20の飽和炭化水素、炭素数10〜20のアルキル化されたベンゾエート、及び主鎖上で置換を有した若しくは置換を有していない低分子量シリコーン液が挙げられる。
【0035】
本発明の組成物中に含まれる全有機溶媒の量(噴射剤ガスは除く)は、組成物の総重量に対して、好ましくは、約15%〜約65%、より好ましくは、約20%〜約60%、そして、最も好ましくは、約25%〜約57重量%である。
【0036】
本発明の組成物中に用いられる粉末は、皮膚に塗布する際に乾燥した感触を提供するといった、皮膚の感触を改善するためのものであってよい。例えば、デンプン、シリカ、タルク、マイカ、クレー、及び皮膚に乾燥した感触を与えるために伝統的に用いられる他の無機物質を本発明に於いて用いることができる。これに加えて、又はこれの代替として、粉末は、忌避剤活性剤を皮膚に保ちその効果を維持すること、又は活性剤として働くことといった別の機能を提供してもよい。本発明と共に用いることのできる粉末の他の例として、クロロヒドロキシアルミニウム、トルナフテート(tolnaphthate)、リドカイン(ridocain)、クロロヘキシジングルコネート、カオリン、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ゼオライト、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、セラミック粉末、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、ポリアミド樹脂粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、セルロース粉末、シリコーン樹脂粉末、二酸化チタン、酸化鉄、黄鉄鉱、酸化チタン、カーボンブラック、ウルトラマリン、アルミニウム粉末、銅粉末、及び活性成分粉末が挙げられるがこれらに限定されない。一般的には、米国特許第6,581,807号を参照されたい。
【0037】
一つの態様に於いては、トウモロコシ、オオムギ、タピオカ、又は、コムギ粉末等の、1種又は、2種以上のデンプン粉末が、本発明に用いられる。「デンプン」という用語は、α(1−4)結合により結合し直鎖となり、その直鎖はα(1−6)結合により結合しポリマー中に分枝鎖を与える、グルコースのポリマーを意味する。通常のデンプンには、高度に分岐した分子であるアミロペクチンが約75%含有され、主に直鎖の分子であるアミロースが25%含有されている。これらのポリマーは、穀物種子中に於ける不溶性の粒子へと構築される。デンプン粒は高度に組織化されており、結晶領域及びアモルファス領域が交互に一連の同心円状となっている。これらは、化学修飾されたデンプンであってもよい。
【0038】
トウモロコシデンプン粉末は、本発明の目的のために好ましい粉末である。本発明の組成物中に含まれていてよい、1種又は、2種以上の粉末の総量は、この組成物の総重量に対して、好ましくは、約0.5%〜約25%、より好ましくは約1%〜約20%、そして、最も好ましくは約1%〜約15重量%である。
【0039】
この粉末を永続的に組成物中に懸濁させ続ける程十分に粘性が高く、それにもかかわらず、ずり粘減可能な増粘剤を本発明に用いることができるが、好ましい増粘剤はカルボマー類である。「カルボマー類」という用語は、架橋された、アクリル酸、メタクリル酸、又はその塩の増粘剤ポリマー類を指す。この架橋は、糖類又は、多価アルコール類のポリアルケニルエーテル(例えば、ショ糖のアリルエーテル、ペンタエリストールのアリルエーテル、又は、プロピレンのアリルエーテル)等の多官能化合物と共にあってもよい。例えば、スプレーする場合に、噴霧器がスプレー中に詰まらない程度にずり応力下で十分に低粘性になるため、カルボマー類は本発明のスプレー組成物に於いて特に有用である。一つの態様に於いて、ペンタエリスリトールのアリルエーテル、ショ糖のアリルエーテル、又は、プロピレンのアリルエーテルと架橋した、アクリル酸、又はその塩の、ホモポリマー、又はコポリマーが本発明に於いて用いられる。本発明の組成物に於いて有用な典型的なカルボマーは、ショ糖のアリルエーテル又はペンタエリストールのアリルエーテルで架橋された、炭素数10〜30のアルキルのアクリレートとアクリル酸、メタクリル酸、又は、これらの単純エステルの1つの内の1つ又は、2つ以上のモノマーとのコポリマーである。
【0040】
本発明に於いて有用なカルボマー類の具体例としては、Carbopol 934、Carbopol 940、Carbopol 941、Carbopol 971、Carbopol 974、Carbopol EZ2、Carbopol ETD 2001、Carbopol ETD 2020、Carbopol ETD 2050、Carbopol ultrez 10、Carbopol ultrez 20、又はCarbopol ultrez 21等のCarbopol(登録商標)(米国、オハイオ州、BF Goodrich)の名称で販売されている製品が挙げられる。本発明の組成物中に含まれていてもよい、このような1種又は、2種以上の増粘剤の総量は、好ましくは、組成物の総重量に対して、約0.05%〜約1%、より好ましくは、約0.1%〜約0.5%、そして、最も好ましくは約0.15%〜約0.4重量%である。
【0041】
所望の塗布(例えば、ヒトの皮膚上)にとって増粘剤の酸性が強すぎる(又は、塩基性が強すぎる)場合、中性のpH7.0前後の所望のpH範囲へと増粘剤を中和することができる。例えば、組成物は約5.0〜約9.0、好ましくは、約6.0〜約8.0、そして、より好ましくは約6.5〜約7.5の範囲のpHを有していてよい。
【0042】
カルボマー類は酸性であり、有機塩基又は、無機塩基のいずれかで中和することができる。典型的な有機塩基及び、無機塩基として、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール95%(AMP−95)、トリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トロメタミン)、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、PEG−15コカミン(cocamine)、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルギニン、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが挙げられる。本発明の組成物中に含まれていてもよい、1種又は2種以上の、ゲル増粘剤の中和剤の総量は、好ましくは、組成物の総重量に対して、約0.05%〜約1%、より好ましくは約0.1%〜約0.5%、そして、最も好ましくは約0.15%〜約0.4重量%である。
【0043】
本発明の組成物は、例えば、エアロゾルスプレー状又はポンプスプリッツスプレー状にスプレーされるように設計される。エアロゾルスプレーとして用いられる場合、スプレー組成物中にはガス噴射剤(例えば、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、又は、これらの混合物)が備えられるであろう。本発明の典型的な昆虫忌避剤エアロゾルスプレーは、組成物の総重量に対して約10%〜約50重量%の範囲の量の水、組成物の総重量に対して約25%〜約57重量%の範囲の量の1種又は、2種以上の有機溶媒、組成物の総重量に対して約1%〜約20重量%の範囲の量の1種又は、2種以上の忌避剤活性剤、組成物の総重量に対して約1%〜約15重量%の範囲の量の1種又は、2種以上の粉末、組成物の総重量に対して約0.1%〜約0.5重量%の範囲の量の1種又は、2種以上のゲル増粘剤、組成物の総重量に対して約0.1%〜約0.5重量%の範囲の量の1種又は、2種以上のゲル増粘剤中和剤、及び組成物の総重量に対して約5%〜約15重量%の範囲の量の噴射剤ガスを含有する。
【0044】
このスプレーはポンプスプリッツスプレーであってもよい。本発明の典型的な昆虫忌避剤ポンプスプリッツスプレーは、組成物の総重量に対して約25%〜約55重量%の範囲の量の水、組成物の総重量に対して約20%〜約60重量%の範囲の量の1種又は、2種以上の有機溶媒、組成物の総重量に対して約1%〜約20重量%の範囲の量の1種又は、2種以上の忌避剤活性剤、組成物の総重量に対して約1%〜約20重量%の範囲の量の1種又は、2種以上の粉末、組成物の総重量に対して約0.1%〜約0.4重量%の範囲の量の1種又は、2種以上のゲル増粘剤、及び所望により組成物の総重量に対して約0.1%〜約0.4重量%の範囲の量の1種又は、2種以上のゲル増粘剤中和剤を含有する。
【0045】
塊の形成を最小限とするように粉末を混入させなければならないが、スプレー成分の混合順序は重要ではない。噴射剤ガスは従来の方法で加えることができる。
【実施例】
【0046】
限定されない例として、以下の8組の実施例中に本発明の実施例が提供される。
【0047】
実施例1−本発明の昆虫忌避剤エアロゾルスプレー組成物の9つの例(1〜9)が以下に提供される:
【表1】

【0048】
実施例2−中和剤が異なること以外成分が同じである更に9つのエアロゾルの例:
【表2】

【0049】
実施例3−活性剤が異なること以外実施例1と成分が同じであるさらに3つのエアロゾルの例:
【表3】

【0050】
実施例4−更に3つのエアロゾルの例:
【表4】

【0051】
実施例5−ポンプスプリッツの3つの例:
【表5】

【0052】
実施例6−活性剤の異なる更に2つのポンプスプリッツの例:
【表6】

【0053】
実施例7−更に2つのポンプスプリッツの例:
【表7】

【0054】
実施例8−更に2つのポンプスプリッツの例:
【表8】

【0055】
ディスペンサーの種類は重要ではない。粉末化されたスプレーを送出するために設計されたエアロゾルディスペンサーの1つは、その開示が参照によって本明細書に完全に組み込まれた米国特許第6,581,807号に開示されている。本発明の基本的な配合物及び噴射剤ガスは、従来の方法でこれらのディスペンサーに装填されるであろう。
【0056】
スプリッツスプレーの場合、配合物は従来のポンプスプリッツボトルに注入される。ポンプスプリッツボトルの種類は重要でははく、DEET又は、他の殺虫剤配合物を送出するために現在用いられている従来の多種多様なスプリッツボトルを用いることができるであろう。
【0057】
最も好ましい様式に於いては、噴霧器はヒトの皮膚から約6インチ離して持ち、次いで、そのスプレーが皮膚に塗布されるであろう。これにより、例えば、防蚊性が与えられる。
【0058】
本発明の好ましい態様が記載されており、そうでない場合が本明細書に開示されているが、代替の態様もまた特許請求の範囲内にあることが意図される。従って、本発明は、好ましい態様によってのみ判断されるものではない。むしろ、特許請求の範囲は、本発明のすべての範囲を判断するために見るべきである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、皮膚が有益な感触を得られる組成物中の粉末が存在するにもかかわらず、吐出する直前に振る必要がない、スプレー可能な昆虫防除組成物を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体キャリアー;昆虫防除成分;粉末;及び増粘剤を含む噴霧可能な昆虫防除組成物であって、前記増粘剤は、前記キャリアー中に前記粉末を懸濁させるのに十分な量であるが、前記組成物が噴霧されることが妨げられる程に多量ではない量で存在する、昆虫防除組成物。
【請求項2】
前記キャリアーは水及び有機溶媒を含み、前記昆虫防除成分は昆虫忌避剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記粉末はデンプン粉末である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記増粘剤はカルボマー増粘剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエタノールアミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、トロメタミン、PEG−15コカミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルギニン、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムよりなる群から選択される中和剤を更に含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、
(a)5重量%〜60重量%の水;
(b)0重量%〜50重量%のアルコール;
(c)0重量%〜65重量%炭化水素;
(d)1重量%〜20重量%の昆虫防除成分;
(e)0.5重量%〜25重量%の粉末;及び
(f)0.05重量%〜1重量%の増粘剤
を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、エアロゾルスプレーの形態であり、前記組成物は更に噴射剤ガスを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記噴射剤ガスは、炭化水素ガス、ハイドロフルオロカーボンガス、及びクロロフルオロカーボンガスよりなる群から選択される、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物はポンプ可能なスプリッツスプレーの形態である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記キャリアーは水及び2〜4個の炭素原子を有する一価アルコールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記昆虫防除成分は、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ピカリジン、p−メンタン−3,8−ジオール、及びエチルブチルアセチルアミノプロピオネートよりなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
香料を更に含む、請求項1記載の昆虫忌避剤組成物。
【請求項13】
前記増粘剤は揺変性ゲルを形成する、請求項1記載の昆虫忌避剤組成物。
【請求項14】
エアロゾル化された昆虫忌避剤の噴霧液を送出可能な容器であって、前記容器は、昆虫忌避剤組成物を含有する内部空洞を有するハウジング;及び選択された部位に前記空洞から前記忌避剤を送出するための調整弁を含み、前記組成物は:液体キャリアー;昆虫防除成分;ガス噴射剤;粉末;及び増粘剤を含み、そして、前記増粘剤は、前記キャリアー中に前記粉末を懸濁させるのに十分な量であるが、前記調整弁を介して前記組成物が噴霧されることが妨げられる程に多量ではない量で存在する、容器。
【請求項15】
以下を含む組成物をヒトの皮膚に噴霧するステップを含む、ヒトの皮膚から昆虫を忌避する方法:
液体キャリアー;
昆虫防除成分;
粉末;及び、
前記キャリアー中に前記粉末を懸濁させるのに十分であるが、前記組成物が噴霧されることが妨げられる程に多量ではない量で存在する増粘剤。

【公表番号】特表2009−536658(P2009−536658A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509859(P2009−509859)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/011311
【国際公開番号】WO2007/133638
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】