説明

昇降圧回路および電力変換装置

【課題】損失を軽減しつつ小型化および低コスト化を図ることが可能な昇降圧回路および電力変換装置を提供する。
【解決手段】昇降圧回路52は、共通のコアに巻回された巻線L1と1または複数の巻線L1とを含み、前記入力電圧が印加される巻線部11と、前記入力電圧が第1の極性であるときに、前記第1の巻線に印加される電圧をオンオフする電圧制御部12と、前記入力電圧が第2の極性であるときに、前記第2の巻線に印加される電圧をオンオフする電圧制御部13と、前記入力電圧が前記第1の極性である状態において巻線L1への前記電圧の印加がオフされるときに巻線部11から出力される電圧、および前記入力電圧が前記第2の極性である状態において巻線L2への前記電圧の印加がオフされるときに巻線部11から出力される電圧を平滑化して前記負荷へ出力する電圧平滑部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降圧回路および電力変換装置に関し、特に力率改善機能を有する昇降圧回路および電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭の交流電力を用いて電気自動車(EV:Electric Vehicle)およびプラグイン方式のハイブリッドカー(HV:Hybrid Vehicle)等の駆動用の主電池を充電するための電力変換装置が開発されている。
【0003】
すなわち、電気自動車およびプラグイン方式のハイブリッドカーの特長の1つは、家庭用コンセント等の外部電源を用いて車載バッテリを充電できることである。そして、AC100VまたはAC200Vの家庭用コンセントを用いて車載バッテリを充電するには、交流電圧(AC)をバッテリ用の直流電圧(DC)に変換するためのAC/DCコンバータが必要となる。
【0004】
下記特許文献1には、スイッチングによりデューティ比を替えることで、出力する直流電圧の昇圧または降圧が可能なAC/DCコンバータが開示されている。当該AC/DCコンバータによれば、昇降圧回路において、AC入力に対して全波整流を行った後、スイッチングによるチョッパ制御によってリアクトルに蓄積されたエネルギーの放出をオンオフすることで、昇圧または降圧が可能なDC出力を得る。また、このオンオフの制御により、リアクトルに流れる電流の波形を入力電圧の波形と相似形となるように制御すれば、当該AC/DCコンバータの電力変換時における力率の改善を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−304670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気自動車の電源に使用される電圧は家庭用の電圧と比べ高く、構成部品に求められる電力容量も大きいものとなる。上記特許文献1に記載のAC/DCコンバータなどの電力変換装置に用いられる昇降圧回路において、ダイオードブリッジはAC入力に対して全波整流を行い、スイッチ素子は、ダイオードブリッジによって全波整流された電圧がリアクトルに印加されるか否かを切り替える。
【0007】
しかしながら、昇降圧回路の前段に全波整流回路を設けた場合、入力側から電力を供給する経路にダイオードが二つ存在するため、導通損失の増加による効率の低下が問題となる。また、昇降圧回路のスイッチ素子に大きな負荷がかかるため、電力容量の大きなスイッチ素子を使用するか、あるいは複数のスイッチ素子を並列に接続して使用する必要があるので、装置の大型化および製造コストの増大を招いていた。
【0008】
さらに、電気自動車の電源に用いられる電力変換装置は、自動車に搭載されるため、装置のサイズを小さくすることが強く望まれている。このような装置サイズの小型化、低コスト化は、車載用途に限らず一般的な電気機器に対する要望でもある。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みて成されたものであり、損失を軽減しつつ小型化および低コスト化が可能な昇降圧回路および電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係る昇降圧回路は、入力電圧を昇圧または降圧して負荷に供給するための昇降圧回路であって、共通のコアに巻回された第1の巻線と1または複数の第2の巻線とを含み、前記入力電圧が印加される巻線部と、前記入力電圧が第1の極性であるときに、前記第1の巻線に印加される前記入力電圧をオンオフする第1の電圧制御部と、前記入力電圧が第2の極性であるときに、前記第2の巻線に印加される前記入力電圧をオンオフする第2の電圧制御部と、前記入力電圧が前記第1の極性である状態において前記第1の巻線への前記入力電圧の印加がオフされるときに前記巻線部から出力される電圧、および前記入力電圧が前記第2の極性である状態において前記第2の巻線への前記入力電圧の印加がオフされるときに前記巻線部から出力される電圧を平滑化して前記負荷へ出力する平滑部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
第1の態様に係る昇降圧回路によれば、第1の電圧制御部は、入力電圧が第1の極性であるときに、第1の巻線に印加される入力電圧をオンオフする。第2の電圧制御部は、入力電圧が第2の極性であるときに、第2の巻線に印加される入力電圧をオンオフする。この入力電圧の印加により、入力電圧が第1の極性である状態において第1の巻線への電圧の印加がオフされるとき、および入力電圧が第2の極性である状態において第2の巻線への電圧の印加がオフされるときに、巻線部は電圧を出力する。平滑部は巻線部から出力された電圧を平滑化する。よって、第1の電圧制御部と第2の電圧制御部とが行う電圧制御により、入力電流の波形と入力電圧の波形とが相似形となるように制御することで、力率の改善を行いつつ、昇圧または降圧された直流電圧を出力することができる。したがって、全波整流回路を用いずとも入力電圧の昇圧または降圧を行うことができるので、損失を軽減しつつ回路の小型化および低コスト化を図ることができ、かつ力率改善機能を持つ昇降圧回路を得ることが可能となる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る昇降圧回路は、第1の態様に係る昇降圧回路において特に、前記巻線部から出力される前記電圧とは、前記第2の巻線に誘起される電圧であることを特徴とする。
【0013】
第2の態様に係る昇降圧回路によれば、第1の巻線と第2の巻線とは共通のコアに巻回されているので、第1の巻線に電圧が印加された場合にも、第2の巻線に電圧が誘起される。よって、第2の巻線に誘起される電圧を出力することで、入力電圧の極性に関わらず、力率の改善を行いつつ、昇圧または降圧された直流電圧を出力することが可能となる。
【0014】
本発明の第3の態様に係る昇降圧回路は、第1または第2の態様に係る昇降圧回路において特に、前記第1の電圧制御部は、前記第1の巻線に印加される前記入力電圧をスイッチングによりオンオフする第1のスイッチ素子を含み、前記第2の電圧制御部は、前記第2の巻線に印加される前記入力電圧をスイッチングによりオンオフする第2のスイッチ素子を含み、前記第1のスイッチ素子は、前記入力電圧が前記第2の極性であるときにオフとなり、前記第2のスイッチ素子は、前記入力電圧が前記第1の極性であるときにオフとなることを特徴とする。
【0015】
第3の態様に係る昇降圧回路によれば、第1の電圧制御部は、第1のスイッチ素子によるスイッチングにより第1の巻線に印加される入力電圧をオンオフする。第2の電圧制御部は、第2のスイッチ素子によるスイッチングにより第2の巻線に印加される入力電圧をオンオフする。そして、入力電圧が第2の極性であるとき、第1のスイッチ素子はオフとなり第1の巻線に入力電圧が印加されないため、第2のスイッチ素子によるスイッチングにより巻線部が出力する電圧をオンオフすることができる。入力電圧が第1の極性であるとき、第2のスイッチ素子はオフとなり第2の巻線に入力電圧が印加されないため、第2のスイッチ素子によるスイッチングにより巻線部が出力する電圧をオンオフすることができる。したがって、第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子が行うスイッチングにより、巻線部が出力する直流電圧を任意のレベルに変更することが可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様に係る昇降圧回路は、第3の態様に係る昇降圧回路において特に、前記第1の巻線は、前記第1のスイッチ素子の第1端に接続される第1端、および前記第2のスイッチ素子の第2端に接続される第2端を有し、前記第2の巻線は、前記第2のスイッチ素子の第1端に接続される第1端、および前記第1のスイッチ素子の第2端に接続される第2端を有することを特徴とする。
【0017】
第4の態様に係る昇降圧回路によれば、第1のスイッチ素子は、第1の巻線の第1端と第2の巻線の第2端との間に接続される。第2のスイッチ素子は、第1の巻線の第2端と第2の巻線の第1端との間に接続される。したがって、第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子のスイッチングにより、入力電圧が印加される電路が、第1の巻線への電路か第2の巻線への電路かを切り替えることができる。
【0018】
本発明の第5の態様に係る昇降圧回路は、第4の態様に係る昇降圧回路において特に、前記第1の巻線の第2端と前記第2のスイッチ素子の第2端との第1の接続ノード、および前記第2の巻線の第2端と前記第1のスイッチ素子の第2端との第2の接続ノードの間に前記入力電圧が印加されることで、前記入力電圧が前記第1の極性であるときに前記第1の接続ノードを介して前記第1の巻線に電流が供給され、前記入力電圧が前記第2の極性であるときに前記第2の接続ノードを介して前記第2の巻線に電流が供給されることを特徴とする。
【0019】
第5の態様に係る昇降圧回路によれば、入力電圧が第1の極性であるときに、第1の巻線の第2端と第2のスイッチ素子との第1の接続ノードに電流が供給される。入力電圧が第2の極性であるときに、前記第2の巻線の第2端と前記第1のスイッチ素子との第2の接続ノードに電流が供給される。よって、第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子のスイッチングを制御するだけで、入力電圧の極性ごとに別の巻線に電流を供給することができ、簡易に全波整流回路が不要な昇降圧回路を得ることが可能となる。
【0020】
本発明の第6の態様に係る昇降圧回路は、第1から第5のいずれか一つの態様に係る昇降圧回路において特に、前記第1の電圧制御部は、前記入力電圧が前記第2の極性であるときに、前記第1の電圧制御部を介して前記第1の巻線に供給される電流を遮断する第1の遮断回路を含み、前記第2の電圧制御部は、前記入力電圧が前記第1の極性であるときに、前記第2の電圧制御部を介して前記第2の巻線に供給される電流を遮断する第2の遮断回路を含むことを特徴とする。
【0021】
第6の態様に係る昇降圧回路によれば、第1の遮断回路は、入力電圧が第2の極性であるときに、第1の電圧制御部を介して第1の巻線に供給される電流を遮断する。第2の遮断回路は、入力電圧が第2の極性であるときに、第2の電圧制御部を介して第2の巻線に供給される電流を遮断する。よって、入力電圧が第1の極性であるときには、第2の巻線には入力電圧が印加されず、入力電圧が第2の極性であるときには第1の巻線には入力電圧が印加されない。したがって、入力電圧が第1の極性であるときには、第1の電圧制御部による第1の巻線に印加される入力電圧のオンオフ制御により、巻線部が出力する直流電圧を任意のレベルに変更することが可能となる。また、入力電圧が第2の極性であるときには第2の電圧制御部による第2の巻線に印加される入力電圧のオンオフ制御により、巻線部が出力する直流電圧を任意のレベルに変更することが可能となる。
【0022】
さらに、第1の遮断回路は入力電圧が第2の極性であるときに、第1の電圧制御部を介して流れる電流を遮断するので、第2の極性の入力電圧によって第1の電圧制御部に含まれる素子に過電流が流れることを防止することが可能である。また入力電圧が第1の極性であるときに、第2の電圧制御部を介して流れる電流を遮断するので、第1の極性の入力電圧によって第2の電圧制御部に含まれる素子に過電流が流れることを防止することが可能である。
【0023】
本発明の第7の態様に係る昇降圧回路は、第1から第6のいずれか一つの態様に係る昇降圧回路において特に、前記負荷から前記第2の巻線に印加される直流電圧をオンオフする負荷電流切替スイッチ素子をさらに備えることを特徴とする。
【0024】
第7の態様に係る昇降圧回路によれば、負荷電流切替スイッチ素子は、負荷から第2の巻線に印加される直流電圧をオンオフする。よって、負荷が電池などの直流電圧源であれば、負荷電流切替スイッチ素子を制御することにより、第2の巻線に流れる電流のオンオフを制御することができる。したがって、負荷からの直流電力を受けた巻線部から出力される電圧を第1の電圧制御部により制御すれば、外部に直流電力または交流電力を出力することが可能となる。
【0025】
本発明の第8の態様に係る昇降圧回路は、第7の態様に係る昇降圧回路において特に、前記負荷電流切替スイッチ素子がオンの期間に、前記直流電圧に基づいた相互誘導により前記第1の巻線には前記第1の極性の誘導電圧が発生し、前記負荷電流切替スイッチ素子がオンからオフに切り替えられた時に、前記第1の巻線の自己誘導により前記第1の巻線には前記第2の極性の誘導電圧が発生することを特徴とする。
【0026】
第8の態様に係る昇降圧回路によれば、負荷電流切替スイッチ素子がオンの期間では、第2の巻線に直流電圧が印加されることにより、相互誘導によって第1の巻線に第1の極性の誘導電圧が発生する。負荷電流切替スイッチ素子がオンからオフに切り替えられた時には、第1の巻線の自己誘導により第2の極性の誘導電圧が発生する。したがって、負荷電流切替スイッチ素子のスイッチングを制御することで第1の巻線に第1の極性の電圧または第2の極性の電圧を発生させることが可能である。
【0027】
本発明の第9の態様に係る昇降圧回路は、第7または第8の態様に係る昇降圧回路において特に、前記第1の電圧制御部は、前記第1の巻線の第1端と前記第2の巻線の第2端との間に接続される第1のスイッチ素子と、前記第1の巻線の第1端と前記第2の巻線の第2端との間に、前記第1のスイッチ素子と並列に接続される第1の整流回路と、前記第1の巻線の第1端と前記第2の巻線の第2端との間に、前記第1のスイッチ素子および前記第1の整流回路と直列に接続される誘導電流切替スイッチ素子と、前記第1の巻線の第1端と前記第2の巻線の第2端との間に、前記誘導電流切替スイッチ素子と並列に接続される第2の整流回路と、を含み、前記第2の電圧制御部は、前記第1の巻線の第2端と前記第2の巻線の第1端との間に接続される電流遮断回路を含むことを特徴とする。
【0028】
第9の態様に係る昇降圧回路によれば、これらの回路構成により、第1の巻線に発生した誘導電圧によって流れる電流が、第2の電圧制御部に供給されることを防ぐことができる。また、第1の電圧制御部は、第1のスイッチ素子と誘導電流切替スイッチ素子とを制御することにより、第1の電圧制御部を介して流れる電流をオンオフすることが可能となる。
【0029】
本発明の第10の態様に係る昇降圧回路は、第9の態様に係る昇降圧回路において特に、前記負荷電流切替スイッチ素子がオンかつ前記第1のスイッチ素子がオンである状態と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオフかつ前記第1のスイッチ素子がオフである状態とを切り替えることで、前記第1の巻線の第2端と前記第2の電圧制御部との接続ノードから前記第2の巻線の第2端と前記第1の電圧制御部との接続ノードへの方向の前記誘導電圧の昇圧または降圧を行うことを特徴とする。
【0030】
第10の態様に係る昇降圧回路によれば、負荷電流切替スイッチ素子と第1のスイッチ素子とを制御することにより、前記第1の巻線の第2端と前記第2の電圧制御部との接続ノードから前記第2の巻線の第2端と前記第1の電圧制御部との接続ノードへの方向の直流電圧を、任意のレベルに変更することが可能となる。
【0031】
本発明の第11の態様に係る昇降圧回路は、第9の態様に係る昇降圧回路において特に、前記負荷電流切替スイッチ素子がオンかつ前記誘導電流切替スイッチ素子がオフである状態と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオフかつ前記誘導電流切替スイッチ素子がオンである状態とを切り替えることで、前記第2の巻線の第2端と前記第1の電圧制御部との接続ノードから前記第1の巻線の第2端と前記第2の電圧制御部との接続ノードへの方向の前記誘導電圧の昇圧または降圧を行うことを特徴とする。
【0032】
第11の態様に係る昇降圧回路によれば、負荷電流切替スイッチ素子と誘導電流切替スイッチ素子とを制御することにより、前記第2の巻線の第2端と前記第1の電圧制御部との接続ノードから前記第1の巻線の第2端と前記第2の電圧制御部との接続ノードへの方向の直流電圧を、任意のレベルに変更することが可能となる。
【0033】
本発明の第12の態様に係る昇降圧回路は、第9の態様に係る昇降圧回路において特に、前記負荷電流切替スイッチ素子がオンかつ前記第1のスイッチ素子がオンである状態と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオフかつ前記第1のスイッチ素子がオフである状態とを切り替える第1極性電圧出力動作と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオンかつ前記誘導電流切替スイッチ素子がオフである状態と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオフかつ前記誘導電流切替スイッチ素子がオンである状態とを切り替える第2極性電圧出力動作とを切り替えることで、前記第1の巻線の第2端と前記第2の電圧制御部との接続ノードおよび前記第2の巻線の第2端と前記第1の電圧制御部との接続ノードから外部へ交流電圧を出力することを特徴とする。
【0034】
第12の態様に係る昇降圧回路によれば、第1極性電圧出力動作と第2極性電圧出力動作とを切り替えることで、負荷から印加された直流電圧を電力変換し、外部へ交流電圧として出力することが可能となる。
【0035】
本発明の第13の態様に係る昇降圧回路は、第3,第4,第5,第9,第10,第11,第12のいずれか一つの態様に係る昇降圧回路において特に、前記第1の電圧制御部および前記第2の電圧制御部における前記スイッチ素子によって発生するサージを抑制するサージ抑制回路をさらに備えることを特徴とする。
【0036】
第13の態様に係る昇降圧回路によれば、サージ抑制回路は、第1の電圧制御部および第2の電圧制御部におけるスイッチ素子から発生するスイッチングサージを抑制することで、スイッチングサージに起因する回路の誤作動および回路素子の故障を防止することが可能である。
【0037】
本発明の第14の態様に係る電力変換装置は、入力電圧が入力される入力端と、出力端と、前記入力端へ入力される前記入力電圧を昇圧または降圧し、前記出力端から負荷へ前記昇圧または降圧した電圧を出力する昇降圧回路と、を備え、前記昇降圧回路は、共通のコアに巻回された第1の巻線と1または複数の第2の巻線とを含み、前記入力電圧が印加される巻線部と、前記入力電圧が第1の極性であるときに、前記第1の巻線に印加される前記入力電圧をオンオフする第1の電圧制御部と、前記入力電圧が第2の極性であるときに、前記第2の巻線に印加される前記入力電圧をオンオフする第2の電圧制御部と、前記入力電圧が第1の極性である状態において前記第1の巻線への前記入力電圧の印加がオフされるときに前記巻線部から出力される電圧、および前記入力電圧が第2の極性である状態において前記第2の巻線への前記入力電圧の印加がオフされるときに前記巻線部から出力される電圧を平滑化する平滑部と、を含むことを特徴とする。
【0038】
第14の態様に係る電力変換装置によれば、入力端から入力された入力電圧を、昇降圧回路に入力する。昇降圧回路においては、第1の電圧制御部は、入力電圧が第1の極性であるとき、第1の巻線に印加される入力電圧をオンオフする。第2の電圧制御部は、入力電圧が第2の極性であるとき、第2の巻線に印加される入力電圧をオンオフする。この入力電圧の印加により、入力電圧が第1の極性である状態において第1の巻線への電圧の印加がオフされるとき、および入力電圧が第2の極性である状態において第2の巻線への電圧の印加がオフされるときに、巻線部は電圧を出力する。平滑部は巻線部から出力された電圧を平滑化し、この平滑化された電圧を出力端が出力電圧として出力する。よって、第1の電圧制御部と第2の電圧制御部とが行う入力電圧のオンオフ制御により、入力電流の波形と入力電圧の波形とが相似形となるように制御すれば、力率の改善を行いつつ、入力電圧を昇圧または降圧された直流電圧に電力変換することができる。したがって、入力電圧の極性によって入力電圧を印加する巻線を切り替えることにより、全波整流回路が必要なく、損失を軽減しつつ回路の小型化および低コスト化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、損失を軽減しつつ小型化および低コスト化が可能な昇降圧回路および電力変換装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【図2】入力電圧が第1の極性であるときに電流の流れる電路を示す図である。
【図3】入力電圧が第1の極性であるときの昇降圧回路における電流と電圧との関係を示した図である。
【図4】入力電圧が第2の極性であるときに電流の流れる電路を示す図である。
【図5】入力電圧が第2の極性であるときの昇降圧回路における電流と電圧との関係を示した図である。
【図6】複数出力の電力変換装置の構成を示した図である。
【図7】第2の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【図8】第1極性電圧出力動作おける電流の流れる電路を示す図である。
【図9】第1極性電圧出力動作におけるスイッチングのタイミングと電流および電圧との関係を示す図である。
【図10】第2極性電圧出力動作おける電流の流れる電路を示す図である。
【図11】第2極性電圧出力動作におけるスイッチングのタイミングと電流および電圧との関係を示す図である。
【図12】電力変換装置が負荷に出力する交流電圧の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0042】
〈第1の実施形態〉
図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【0043】
図1を参照して、電力変換装置101は、ノイズフィルタ51と、昇降圧回路52と、電力伝達用絶縁回路53とを備える。昇降圧回路52は、巻線部11と、電圧制御回路12,13と、電圧平滑回路14と、制御部15と、コンデンサC4と、ダイオードD5とを含む。電圧制御部12は、スイッチ素子Q1と、ダイオードD1,D3と、コンデンサC1と、抵抗素子R1とを含む。電圧制御部13は、スイッチ素子Q2と、ダイオードD2,D4と、コンデンサC2と、抵抗素子R2とを含む。電圧平滑回路14は、コンデンサC3を含む。巻線部11は、共通のコアを有する巻線L1と巻線L2とを含む。巻線部11は、たとえば二巻線リアクトルである。スイッチ素子Q1,Q2は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
【0044】
スイッチ素子Q1は、制御部15からの制御信号を受けるゲートと、巻線L1の第1端に接続されたコレクタと、ダイオードD1のアノードに接続されたエミッタとを有する。スイッチ素子Q2は、制御部15からの制御信号を受けるゲートと、巻線L2の第1端に接続されたコレクタと、ダイオードD2のアノードに接続されたエミッタとを有する。
【0045】
ダイオードD2のカソードと巻線L1の第2端との接続ノードであるノードP1には、ノイズフィルタ51の一方端側が接続される。ダイオードD1のカソードと巻線L2の第2端との接続ノードであるノードP2には、ダイオードD5のカソードとノイズフィルタ51の他方端側とが接続される。
【0046】
電力変換装置101は、交流電源201から供給された交流電力を直流電力に変換して負荷202に供給する。負荷202は、たとえば、EVおよびプラグイン方式のHV等の駆動用の主電源(バッテリ)である。
【0047】
ノイズフィルタ51は、交流電源201から受けた交流電力のノイズを除去して昇降圧回路52へ出力する。
【0048】
昇降圧回路52は、ノイズフィルタ51から受けた交流電力を直流電力に変換し、電力伝達用絶縁回路53へ出力する。電力伝達用絶縁回路53は、昇降圧回路52と負荷202との間の絶縁を行いながら電力を伝達する。昇降圧回路52は、この電力変換において、出力する直流電圧のレベルを調整する。
【0049】
より詳細には、昇降圧回路52において、スイッチ素子Q1およびスイッチ素子Q2は、制御部15によるスイッチングの制御によって、昇降圧回路52への入力電圧が巻線L1に印加される状態、当該入力電圧が巻線L2に印加される状態、および巻線L1と巻線L2とに当該入力電圧が印加されない状態の切り替えを行う。
【0050】
交流電源201からの入力電圧が第1の極性であるとき、制御部15は、スイッチ素子Q2がオフとなるように制御を行う。そして、制御部15は、スイッチ素子Q1をスイッチングすることにより、巻線L1に印加される入力電圧のオンオフを制御する。図2は、入力電圧が第1の極性であるときに電流の流れる電路を示す図である。
【0051】
なお、第1の極性とは、ノードP1とノードP2との電位を比べ、ノードP1の方が電位が高い状態にある電圧の極性である。また、ノードP1とノードP2との電位を比べ、ノードP2の方が電位が高い状態にある電圧の極性を第2の極性とする。
【0052】
図2において、電流Iinは昇降圧回路52の入力電流である。電圧Vinは昇降圧回路52の入力電圧である。電圧Voutは昇降圧回路52の出力電圧である。電流ICはコンデンサC3および負荷202と、ダイオードD5と、巻線L2とを含む電路に流れる電流である。
【0053】
入力電圧が第1の極性である状態でスイッチ素子Q1がオンしたとき、入力電圧による電位差により図2の電流Iinの矢印で示す向きに電流が流れる。すなわち、ノイズフィルタ51の一方端側から巻線L1、スイッチ素子Q1およびダイオードD1を通してノイズフィルタ51の他方端側へ電流Iinが流れる。このとき、巻線L1に流れた電流により巻線L1内には磁束Φが発生する。
【0054】
巻線L1と巻線L2とは共通のコアを有するので、巻線L1にて発生した磁束Φは、共通のコアを介して巻線L2内を鎖交する。つまり、磁束Φは、巻線L1と巻線L2とが共有する磁束である。巻線L1と巻線L2とには、磁束Φの大きさに応じた磁気エネルギーが蓄積される。
【0055】
そして、スイッチ素子Q1がオフしたとき、電流Iinは遮断されるので、巻線L2には自己誘導により誘導電圧が発生する。このとき、図2で示す矢印の向きに電流ICが流れる。すなわち、巻線L2に蓄えられた磁気エネルギーによって、コンデンサC3の一方端側からダイオードD5の導通方向の向きに、巻線L2を通してコンデンサC3の他方端側へ電流ICが流れる。この電流ICによりコンデンサC3の蓄電と負荷202への電力供給とを行い、昇降圧回路52の出力電圧を平滑化する。
【0056】
図3は、入力電圧が第1の極性であるときの昇降圧回路52における電流と電圧との関係を示した図である。なお、図3においては、スイッチ素子Q1がオンである期間を期間Ton、スイッチ素子Q1がオフである期間を期間Toffとしている。
【0057】
図3を参照して、電流Iinは、スイッチ素子Q1がオンしたときに、交流電圧である電圧Vinに応じて流れる。電流Iinは巻線L1を流れるため、その立ち上がりの遅れは巻線L1のインダクタンスに応じた時定数によって決まる。つまり、電流Iinは電圧Vinに追随するような波形となり、周波数を調整したスイッチングを行うことにより電流Iinは、電圧Vinの波形と相似形の波形となる。このときのスイッチングの周波数は、例えば数kHzから数十kHzである。
【0058】
電流ICは、スイッチ素子Q1がオフの間に巻線L2の誘導電圧に応じて流れる。よって、誘導電圧が減少するのに応じて電流ICも減少する。磁束Φは、巻線L1と巻線L2とで共有の磁束であるため、スイッチ素子Q1のスイッチングによってオンオフされず、電流Iinと電流ICとに応じて連続的に変化する。出力電圧Voutは、コンデンサ3によって平滑化され、直流電圧として出力される。
【0059】
このとき、入力電圧Vinの実効電圧Veinと磁束Φとの関係は、巻線L1の巻数n1を用いて表すと、
【数1】

と表される。
【0060】
また、入力電圧Voutの実効電圧Veoutと磁束Φとの関係は、巻線L2の巻数n2を用いて表すと、
【数2】

と表される。
【0061】
すなわち、入力電圧の実効電圧Veinと出力電圧の実効電圧Veoutとの関係は、
【数3】

となる。
【0062】
巻数n1と巻数n2とは、巻線L1および巻線L2それぞれの諸元に基づいて決まる定数であるので、昇降圧回路52の入出力電圧比Veout/Veinは、スイッチ素子Q1のスイッチングにおけるオン時間とオフ時間との比によって設定される。スイッチ素子Q1のスイッチングにより出力レベルが設定された直流電圧である電圧Veoutは、電力伝達用絶縁回路53を介して負荷202に出力される。
【0063】
また、昇降圧回路52において、交流電源201からの入力電圧が第1の極性である状態でスイッチ素子Q1をオフしたとき、電圧制御部13の両端には出力電圧Voutから入力電圧Vinを差し引いた電圧が印加される。そこで、ダイオードD2は、交流電源201からの入力電圧が第1の極性であるときに、交流電源201から電圧制御部13を介して流れる電流を遮断することで、スイッチ素子Q2に逆方向電圧が印加されることを防ぎ、スイッチ素子Q2を保護する。
【0064】
一方、交流電源201からの入力電圧が第2の極性であるとき、制御部15は、スイッチ素子Q1がオフとなるように制御を行う。そして、制御部15は、スイッチ素子Q2をスイッチングすることにより、巻線L2に印加される入力電圧のオンオフを制御する。図4は、入力電圧が第2の極性であるときに電流の流れる電路を示す図である。
【0065】
図4において、電流Iinは昇降圧回路52の入力電流である。電圧Vinは昇降圧回路52の入力電圧である。電圧Voutは昇降圧回路52の出力電圧である。電流ICはコンデンサC3および負荷202と、ダイオードD5と、巻線L2とを含む電路に流れる電流である。
【0066】
入力電圧が第2の極性である状態でスイッチ素子Q2がオンしたとき、入力電圧による電位差により図4の電流Iinの矢印で示す向きに電流が流れる。すなわち、ノイズフィルタ51の一方端側から巻線L2、スイッチ素子Q2、およびダイオードD2を通してノイズフィルタ51の他方端側へ電流Iinが流れる。巻線L2には、巻線L2に流れる電流Iinに応じた磁束Φが発生し、磁気エネルギーが蓄積される。
【0067】
そして、スイッチ素子Q2がオフしたとき、電流Iinは遮断されるので、巻線L2には自己誘導により誘導電圧が発生する。このとき、図4で示す矢印の向きに電流ICが流れる。すなわち、巻線L2に蓄えられた磁気エネルギーによって、コンデンサC3の一方端側からダイオードD5の導通方向の向きに、巻線L2を通してコンデンサC3の他方端側へ電流ICが流れる。この電流ICによりコンデンサC3の蓄電と負荷202への電力供給とを行い、昇降圧回路52の出力電圧を平滑化する。
【0068】
図5は、入力電圧が第2の極性であるときの昇降圧回路52における電流と電圧との関係を示した図である。なお、図5においては、スイッチ素子Q2がオンである期間を期間Ton、スイッチ素子Q2がオフである期間を期間Toffとしている。
【0069】
図5を参照して、電流Iinは、スイッチ素子Q2がオンしたときに、交流電圧である入力電圧Vinに応じて流れる。電流Iinは巻線L2を流れるため、その立ち上がりの遅れは巻線L2のインダクタンスに応じた時定数によって決まる。つまり、電流Iinは電圧Vinに追随するような波形となり、周波数を調整したスイッチングを行うことにより電流Iinは、電圧Vinの波形と相似形の波形となる。このときのスイッチングの周波数は、例えば数kHzから数十kHzである。
【0070】
電流ICは、スイッチ素子Q2がオフの間に巻線L2の誘導電圧に応じて流れる。よって、誘導電圧が減少するのに応じて電流ICも減少する。巻線L2に発生する磁束Φは、スイッチ素子Q2のスイッチングによってオンオフされず、電流Iinと電流ICとに応じて連続的に変化する。出力電圧Voutは、コンデンサ3によって平滑化され、直流電圧として出力される。
【0071】
このとき、入力電圧Vinの実効電圧Veinと磁束Φとの関係は、巻線L2の巻数n2を用いて表すと、
【数4】

と表される。
【0072】
また、入力電圧Voutの実効電圧Veoutと磁束Φとの関係は、巻線L2の巻数n2を用いて表すと、
【数5】

と表される。
【0073】
すなわち、入力電圧の実効電圧Veinと出力電圧の実効電圧Veoutとの関係は、
【数6】

となる。
【0074】
よって、昇降圧回路52の入出力電圧比Veout/Veinは、スイッチ素子Q2のスイッチングにおけるオン時間とオフ時間との比によって設定される。スイッチ素子Q2のスイッチングにより出力レベルが設定された直流電圧である電圧Veoutは、電力伝達用絶縁回路53を介して負荷202に出力される。
【0075】
また、昇降圧回路52において、交流電源201からの入力電圧が第2の極性である状態でスイッチ素子Q2をオフしたとき、電圧制御部12の両端には出力電圧Voutから入力電圧Vinを差し引いた電圧が印加される。そこで、ダイオードD1は、交流電源201からの入力電圧が第2の極性であるときに、交流電源201から電圧制御部12を介して流れる電流を遮断することで、スイッチ素子Q1に逆方向電圧が印加されることを防ぎ、スイッチ素子Q1を保護する。
【0076】
また、交流電源201からの入力電圧の極性に関わらず、ダイオードD3はスイッチ素子Q1のスイッチングにより発生した逆流電流からスイッチ素子Q1を保護している。ダイオードD4はスイッチ素子Q2のスイッチングにより発生した逆流電流からスイッチ素子Q2を保護している。
【0077】
さらに、交流電源201からの入力電圧の極性に関わらず、コンデンサC1および抵抗素子R1は、スイッチ素子Q1で発生したスイッチングサージのサージ電流を抑制する。コンデンサC2および抵抗素子R2は、スイッチ素子Q2で発生したスイッチングサージのサージ電流を抑制する。
【0078】
以上のように、電力変換装置101は、昇降圧回路52によって交流電源201からの入力電圧の極性が、第1の極性であっても第2の極性であっても、制御部15によりスイッチ素子Q1とスイッチ素子Q2とのスイッチングを制御することで、出力する直流電圧の昇圧または降圧が可能となり、入力された交流電力を直流電力に変換することができる。したがって、本発明の実施の形態にかかる電力変換装置101は、入力電圧の昇降圧を行う際、全波整流回路を用いる必要がないため、全波整流回路を用いる場合と比べ損失の軽減を行うことが可能である。
【0079】
なお、電力変換装置101に入力される電力は交流電力に限らず、直流電力が入力されてもよい。この場合、本実施の形態で説明した、交流電源201の極性が第1の極性の動作または第2の極性動作のいずれかを行い、出力する直流電圧の昇圧または降圧が可能となり、出力する直流電圧を任意のレベルに設定することができる。
【0080】
そして、昇降圧回路52が交流電力を直流電力に変換する際に、スイッチ素子Q1とスイッチ素子Q2とが行うスイッチングにより、入力電流Iinの波形と入力電圧Vinの波形とが相似形となるように制御すれば、当該電力変換における力率を改善することができる。
【0081】
さらに、昇降圧回路52においては、入力電圧の極性によって入力電圧を印加する巻線を切り替えることにより、全波整流回路が必要ない。また、二巻線リアクトルである巻線部11は、一つのコアに複数の巻線が巻回されているので、一巻線リアクトルと比べてもさほど変わらない大きさとなる。よって、昇降圧回路52は、巻線部11を含んでも大型化することはない。
【0082】
また、昇降圧回路52は、ダイオードD1,D2によって、交流電源201からの入力電圧の極性に応じて使用しないスイッチ素子に流れる電流を遮断し、逆方向電圧が印加されることを防いでいる。よって、スイッチ素子Q1,Q2に比較的電力容量の小さいスイッチ素子を用いることができるので、昇降圧回路52の小型化および低コスト化を図ることが可能となる。
【0083】
また、昇降圧回路52は、スイッチ素子Q1,Q2で発生するスイッチングサージを抑制する回路を含んでいるので、スイッチングサージによる回路の誤作動とスイッチ素子およびダイオードの故障を防止することが可能である。
【0084】
本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置101では、さらに、図6のような構成を採用してもよい。図6は、複数出力の電力変換装置101の構成を示した図である。
【0085】
図6を参照して、電力変換装置101は、ノイズフィルタ51と、昇降圧回路52と、電力伝達用絶縁回路53,54とを備える。昇降圧回路52は、巻線部11と、電圧制御回路12,13と、電圧平滑回路14,16と、制御部15と、コンデンサC4と、ダイオードD5,D6とを含む。電圧制御部12は、スイッチ素子Q1と、ダイオードD1とを含む。電圧制御部13は、スイッチ素子Q2と、ダイオードD2とを含む。電圧平滑回路14は、コンデンサC3を含む。電圧平滑回路16は、コンデンサC4を含む。巻線部11は、共通のコアを有する巻線L1と巻線L2と巻線L3とを含む。
【0086】
電力変換装置101は、図1にて示した電力変換装置101と同様の動作を行い、交流電源201から供給された交流電力を直流電力に変換して負荷202と負荷203とに供給する。このとき、巻線L2と巻線L3とに巻数の異なる巻線を使用することで負荷202への出力電圧と負荷203への出力電圧とを異なるレベルの電圧に設定することもできる。
【0087】
〈第2の実施形態〉
電気自動車の電源に用いられる電力変換装置においては、車載バッテリへの充電を行う電力変換だけでなく、車載バッテリを電源として交流電圧を出力することで電気機器を使用したり、車載バッテリから直流電圧を出力することで別のバッテリへの充電を行ったりする電力変換へのニーズが高まっている。そこで、本発明に係る電力変換装置において、バッテリを電源として外部にACまたはDCを出力する。
【0088】
図7は、第2の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【0089】
図7を参照して、電力変換装置101は、ノイズフィルタ51と、昇降圧回路52と、電力伝達用絶縁回路53とを備える。昇降圧回路52は、巻線部11と、電圧制御回路12,13と、電圧平滑回路14と、制御部15と、コンデンサC4と、ダイオードD5と、スイッチ素子Q4とを含む。電圧制御部12は、スイッチ素子Q1,Q3と、ダイオードD1,D3とを含む。電圧制御部13は、スイッチ素子Q2と、ダイオードD2,D4とを含む。電圧平滑回路14は、コンデンサC3を含む。巻線部11は、共通のコアを有する巻線L1と巻線L2とを含む。巻線部11は、たとえば二巻線リアクトルである。スイッチ素子Q1〜Q4は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
【0090】
スイッチ素子Q1は、制御部15からの制御信号を受けるゲートと、巻線L1の第1端に接続されたコレクタと、スイッチ素子Q3のエミッタに接続されたエミッタとを有する。ダイオードD3は、巻線L1の第1端に接続されたカソードと、スイッチ素子Q3のエミッタに接続されたアノードとを有し、スイッチ素子Q1と並列に接続される。
【0091】
スイッチ素子Q2は、制御部15からの制御信号を受けるゲートと、巻線L2の第1端に接続されたコレクタと、ダイオードD2のアノードに接続されたエミッタとを有する。ダイオードD4は、巻線L2の第1端に接続されたカソードと、ダイオードD2のアノードに接続されたアノードとを有し、スイッチ素子Q2と並列に接続される。
【0092】
スイッチ素子Q3は、制御部15からの制御信号を受けるゲートと、巻線L2の第2端に接続されたコレクタと、スイッチ素子Q1のエミッタに接続されたエミッタとを有する。ダイオードD1は、巻線L2の第2端に接続されたカソードと、スイッチ素子Q1のエミッタに接続されたアノードとを有し、スイッチ素子Q3と並列に接続される。
【0093】
ダイオードD2は、スイッチ素子Q2のエミッタおよびダイオードD4に接続されたアノードと、巻線L1の第2端とノイズフィルタの一方端側との接続ノードであるノードP1とに接続されたカソードを有する。
【0094】
スイッチ素子Q4は、コンデンサC3の第1端および電力伝達用絶縁回路53の一方端側に接続されたエミッタと、ダイオードD1のカソードと巻線L2の第2端との接続ノードであるノードP2に接続されたコレクタとを有する。ダイオードD5は、コンデンサC3の第1端および電力伝達用絶縁回路53の一方端側に接続されたアノードと、ノードP2に接続されたカソードとを有し、スイッチ素子Q4と並列に接続される。
【0095】
ノードP1には、ノイズフィルタ51の一方端側が接続される。ノードP2には、ノイズフィルタ51の他方端側が接続される。巻線L2の第1端とスイッチ素子Q2のコレクタとの接続ノードには、コンデンサC3の他方端側と、電力伝達用絶縁回路53の他方端側とが接続される。
【0096】
電力変換装置101は、交流電源201から供給された交流電力を直流電力に変換して負荷202に供給する。負荷202は、たとえば、EVおよびプラグイン方式のHV等の駆動用の主電源(バッテリ)である。
【0097】
ノイズフィルタ51は、交流電源201から受けた交流電力のノイズを除去して昇降圧回路52へ出力する。
【0098】
電力伝達用絶縁回路53は、昇降圧回路52と負荷202との間の絶縁を行いながら、昇降圧回路52および負荷202の間の電力伝達を行う。
【0099】
昇降圧回路52は、スイッチ素子Q3,Q4をオフにすることで、第1の実施形態の昇降圧回路52と同様に、交流電源201から入力された交流電力を直流電力に変換して負荷202に出力する。
【0100】
また、電力変換装置101は、負荷202から直流電圧が入力される場合に、負荷202から入力される直流電圧の昇圧または降圧を行う第1極性電圧出力動作および第2極性電圧出力動作を行う。図8は、第1極性電圧出力動作おける電流の流れる電路を示す図である。昇降圧回路52によってバッテリなどである負荷202から供給された直流電力の昇圧または降圧を行うことで、第1極性電圧出力動作において電力変換装置101は第1の極性の直流電圧を負荷204に供給する。
【0101】
図8において、電流Iin2は、負荷202から供給され、巻線L2に流れる電流である。電圧Vin2は、負荷202によって昇降圧回路52に印加される電圧である。電流Iout2は、昇降圧回路52の出力電流である。電圧Vout2は、昇降圧回路52の出力電圧である。
【0102】
より詳細には、昇降圧回路52において、スイッチ素子Q1およびスイッチ素子Q4がオンとなるように、制御部15はスイッチング制御を行う。スイッチ素子Q4がオンである期間では、負荷202から入力された直流電圧により、巻線L2に電流Iin2が流れる。このとき巻線L2と共通のコアを有する巻線L1は、相互誘導によりノードP1からノードP2への方向の誘導電圧が生じる。そして、スイッチ素子Q1がオンであるので、電流Iout2が流れる。つまり、このとき巻線部11は変圧器として機能し、電圧Vout2が負荷204に出力される。
【0103】
図9は、第1極性電圧出力動作におけるスイッチングのタイミングと電流および電圧との関係を示す図である。図9において、期間Tonは、スイッチ素子Q4がオンかつスイッチ素子Q1がオンである期間である。期間Toffは、スイッチ素子Q4がオフかつスイッチ素子Q1がオフである期間である。また、第1極性電圧出力動作を行っているとき、スイッチ素子Q2,Q3はオフである。
【0104】
このとき、スイッチ素子Q4がオンである期間における入力電圧Vin2の実効電圧Vein2と出力電圧Vout2の実効電圧Veout2との関係は、巻線L1の巻数n1と巻線L2の巻数n2とを用いて表すと、
【数7】

と表される。
【0105】
また、スイッチ素子Q1およびスイッチ素子Q4がオフである期間においては、電路が遮断されるため、電流Iin2、および電流Iout2は流れない。したがって、出力電圧Vout2の実効電圧Veout2は、スイッチ素子Q1がオンかつスイッチ素子Q4がオンである期間Tonとスイッチ素子Q1がオフかつスイッチ素子Q4がオフである期間Toffとを切り替えることで、チョッパ制御により昇圧または降圧される。このチョッパ制御におけるスイッチングの周波数は、たとえば数kHzから数十kHzである。このようにして、昇降圧回路52は第1極性電圧出力動作を行う。
【0106】
図10は、第2極性電圧出力動作おける電流の流れる電路を示す図である。電力変換装置101は、第2極性電圧出力動作において、バッテリなどである負荷202から供給された直流電力を、昇降圧回路52によって昇圧または降圧を行い、第2の極性の電圧として負荷204に供給する。
【0107】
図10において、電流Iin2は、負荷202から供給され巻線L2に流れる電流である。電圧Vin2は、負荷202によって昇降圧回路52に印加される電圧である。電流Iout2は、昇降圧回路52の出力電流である。電圧Vout2は、昇降圧回路52の出力電圧である。
【0108】
より詳細には、昇降圧回路52において、スイッチ素子Q4がオンかつスイッチ素子Q3がオフである状態となるように、制御部15はスイッチ素子Q4およびスイッチ素子Q3を制御する。スイッチ素子Q4がオンである期間では、負荷202から入力された直流電圧により、巻線L2に電流Iin2が流れる。このとき、巻線L2には、電流Iin2に起因する磁束Φが発生している。この磁束Φは共通のコアを介して巻線L1内を鎖交する。
【0109】
次に、スイッチ素子Q4がオフかつスイッチ素子Q3がオンである状態になるように、制御部15は、スイッチ素子Q4およびスイッチ素子Q3を制御する。このスイッチ素子の状態の切り替えが行われた時、巻線L2に流れていた電流Iin2が遮断されるので、巻線L1には自己誘導により巻線L2と巻線L1との共通のコアに発生していた磁束Φを維持する方向に誘導電圧が発生する。このとき、スイッチ素子Q3はオンであるため、巻線L1にて発生した誘導電圧によって、電流Iout2が流れ、負荷204に電力が供給される。
【0110】
図11は、第2極性電圧出力動作におけるスイッチングのタイミングと電流および電圧との関係を示す図である。期間Tonは、スイッチ素子Q4がオフかつスイッチ素子Q3がオンである期間である。期間Toffは、スイッチ素子Q4がオンかつスイッチ素子Q3がオフである期間である。また、第2極性出力動作を行っているとき、スイッチ素子Q1,Q2はオフである。
【0111】
図11を参照して、電流Iin2は、スイッチ素子Q4がオンしたときに、負荷202から印加される直流電圧に応じて流れる。電流Iin2は巻線L2を流れるため、その立ち上がりの遅れは巻線L2のインダクタンスに応じた時定数によって決まる。
【0112】
電流Iout2は、スイッチ素子Q3がオンの間に巻線L2の誘導電圧に応じて流れる。よって、誘導電圧が減少するのに応じて電流Iout2も減少する。巻線L2に発生する磁束Φは、スイッチ素子Q3のスイッチングによってオンオフされず、電流Iin2と電流Iout2とに応じて連続的に変化する。
【0113】
このとき、入力電圧Vin2の実効電圧Vein2と磁束Φとの関係は、巻線L2の巻数n2、およびスイッチ素子Q4がオンかつスイッチ素子Q3がオフである期間Toffを用いて表すと、
【数8】

と表される。
【0114】
また、入力電圧Vout2の実効電圧Veout2と磁束Φとの関係は、巻線L1の巻数n1、およびスイッチ素子Q4がオフかつスイッチ素子Q3がオンである期間Tonを用いて表すと、
【数9】

と表される。
【0115】
巻線L1と巻線L2とは共通のコアを有するので、入力電圧の実効電圧Vein2と出力電圧の実効電圧Veout2との関係は、
【数10】

となる。
【0116】
巻数n1と巻数n2とは、巻線L1、巻線L2それぞれの諸元に基づいて決まる定数であるので、負荷202から負荷204への入出力電圧比Veout2/Vein2は、スイッチ素子Q4とスイッチ素子Q3とのスイッチングにおけるオン時間とオフ時間との比によって設定することができる。このときのスイッチングの周波数は、たとえば数kHzから数十kHzである。
【0117】
よって、昇降圧回路52は、負荷202から直流電圧が印加されるとき、制御部15によるスイッチ制御によりデューティ比を変えることによって、出力直流電圧の昇圧または降圧が可能となり、出力電圧を任意のレベルに設定することができる。
【0118】
このように、昇降圧回路52は、第1極性電圧出力動作または第2極性電圧出力動作を行うことで、負荷202から印加された直流電圧を昇圧または降圧して負荷204に出力することができる。また、第1極性電圧出力動作と第2極性電圧出力動作とで、負荷204に出力する電圧の方向が逆方向であるので、第1極性電圧出力動作と第2極性電圧出力動作とを切り替えることで、昇降圧回路52は負荷204に交流電圧の出力を行う。
【0119】
図12は、電力変換装置101が負荷204に出力する交流電圧の例を示した図である。ただし、図12におけるVout2は、第1極性の電圧を正、第2極性の電圧を負として表示している。昇降圧回路52は、制御部15によって、スイッチ素子Q1〜Q4のスイッチングを制御することで、例えば正弦波と相似形となるように第1の極性の昇圧または降圧を行った電圧と第1の極性の昇圧または降圧を行った電圧を出力する。スイッチ素子Q1〜Q4のスイッチングは、例えば数kHzから数十kHzの周波数で行われるため、商用電源の周波数と比べるとスイッチ素子のスイッチングは十分に短い。よって、昇降圧回路52が出力する電圧は外部の負荷204において交流電圧として用いることができる。
【0120】
以上のように、電力変換装置101は、交流電源201から供給された交流電力を直流電力に変換して負荷202に供給することが可能である。また、昇降圧回路52によって負荷202から印加された直流電圧を昇圧または降圧することによって、第1の極性の直流電圧、第2の極性の直流電圧、または交流電圧に電力変換することが可能となる。
【0121】
また、電力変換装置101は、外部の交流電源から印加された交流電圧を直流電圧に変換する際に、入力電圧の極性によって入力電圧を印加する巻線を切り替えるので、全波整流回路が必要なく、損失を軽減しつつ回路の小型化および低コスト化を図ることが可能である。
【0122】
なお、本発明の第2の実施形態において、第1の実施形態にて示したように、スイッチ素子Q1〜Q4と並列にコンデンサおよび抵抗素子を接続することで、各スイッチ素子におけるスイッチングサージの抑制を行ってもよい。
【0123】
なお、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態において、巻線部11が二巻線リアクトルの場合を例示したが、本発明において、巻線部11はトランスなどであってもよく、共通のコアを持つ複数の巻線を含めばよい。
【0124】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0125】
11 巻線部
12,13 電圧制御部
14,16 電圧平滑部
15 制御部
51 ノイズフィルタ
52 昇降圧回路
53,54 電力伝達用絶縁回路
101 電力変換装置
201 交流電源
202,203,204 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を昇圧または降圧して負荷に供給するための昇降圧回路であって、
共通のコアに巻回された第1の巻線と1または複数の第2の巻線とを含み、前記入力電圧が印加される巻線部と、
前記入力電圧が第1の極性であるときに、前記第1の巻線に印加される前記入力電圧をオンオフする第1の電圧制御部と、
前記入力電圧が第2の極性であるときに、前記第2の巻線に印加される前記入力電圧をオンオフする第2の電圧制御部と、
前記入力電圧が前記第1の極性である状態において前記第1の巻線への前記入力電圧の印加がオフされるときに前記巻線部から出力される電圧、および前記入力電圧が前記第2の極性である状態において前記第2の巻線への前記入力電圧の印加がオフされるときに前記巻線部から出力される電圧を平滑化して前記負荷へ出力する平滑部と、
を備える、昇降圧回路。
【請求項2】
前記巻線部から出力される前記電圧とは、前記第2の巻線に誘起される電圧である、請求項1に記載の昇降圧回路。
【請求項3】
前記第1の電圧制御部は、前記第1の巻線に印加される前記入力電圧をスイッチングによりオンオフする第1のスイッチ素子を含み、
前記第2の電圧制御部は、前記第2の巻線に印加される前記入力電圧をスイッチングによりオンオフする第2のスイッチ素子を含み、
前記第1のスイッチ素子は、前記入力電圧が前記第2の極性であるときにオフとなり、
前記第2のスイッチ素子は、前記入力電圧が前記第1の極性であるときにオフとなる、請求項1または2に記載の昇降圧回路。
【請求項4】
前記第1の巻線は、前記第1のスイッチ素子の第1端に接続される第1端、および前記第2のスイッチ素子の第2端に接続される第2端を有し、
前記第2の巻線は、前記第2のスイッチ素子の第1端に接続される第1端、および前記第1のスイッチ素子の第2端に接続される第2端を有する、請求項3に記載の昇降圧回路。
【請求項5】
前記第1の巻線の第2端と前記第2のスイッチ素子の第2端との第1の接続ノード、および前記第2の巻線の第2端と前記第1のスイッチ素子の第2端との第2の接続ノードの間に前記入力電圧が印加されることで、前記入力電圧が前記第1の極性であるときに前記第1の接続ノードを介して前記第1の巻線に電流が供給され、前記入力電圧が前記第2の極性であるときに前記第2の接続ノードを介して前記第2の巻線に電流が供給される、請求項4に記載の昇降圧回路。
【請求項6】
前記第1の電圧制御部は、前記入力電圧が前記第2の極性であるときに、前記第1の電圧制御部を介して前記第1の巻線に供給される電流を遮断する第1の遮断回路を含み、
前記第2の電圧制御部は、前記入力電圧が前記第1の極性であるときに、前記第2の電圧制御部を介して前記第2の巻線に供給される電流を遮断する第2の遮断回路を含む、請求項1から5のいずれか一つに記載の昇降圧回路。
【請求項7】
前記昇降圧回路は、前記負荷から前記第2の巻線に印加される直流電圧をオンオフする負荷電流切替スイッチ素子をさらに備える、請求項1から6のいずれか一つに記載の昇降圧回路。
【請求項8】
前記負荷電流切替スイッチ素子がオンの期間に、前記直流電圧に基づいた相互誘導により前記第1の巻線には前記第1の極性の誘導電圧が発生し、
前記負荷電流切替スイッチ素子がオンからオフに切り替えられた時に、前記第1の巻線の自己誘導により前記第1の巻線には前記第2の極性の誘導電圧が発生する、請求項7に記載の昇降圧回路。
【請求項9】
前記第1の電圧制御部は、
前記第1の巻線の第1端と前記第2の巻線の第2端との間に接続される第1のスイッチ素子と、
前記第1の巻線の第1端と前記第2の巻線の第2端との間に、前記第1のスイッチ素子と並列に接続される第1の整流回路と、
前記第1の巻線の第1端と前記第2の巻線の第2端との間に、前記第1のスイッチ素子および前記第1の整流回路と直列に接続される誘導電流切替スイッチ素子と、
前記第1の巻線の第1端と前記第2の巻線の第2端との間に、前記誘導電流切替スイッチ素子と並列に接続される第2の整流回路と、
を含み、
前記第2の電圧制御部は、前記第1の巻線の第2端と前記第2の巻線の第1端との間に接続される電流遮断回路を含む、請求項7または8に記載の昇降圧回路。
【請求項10】
前記負荷電流切替スイッチ素子がオンかつ前記第1のスイッチ素子がオンである状態と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオフかつ前記第1のスイッチ素子がオフである状態とを切り替えることで、前記第1の巻線の第2端と前記第2の電圧制御部との接続ノードから前記第2の巻線の第2端と前記第1の電圧制御部との接続ノードへの方向の前記誘導電圧の昇圧または降圧を行う、請求項9に記載の昇降圧回路。
【請求項11】
前記負荷電流切替スイッチ素子がオンかつ前記誘導電流切替スイッチ素子がオフである状態と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオフかつ前記誘導電流切替スイッチ素子がオンである状態とを切り替えることで、前記第2の巻線の第2端と前記第1の電圧制御部との接続ノードから前記第1の巻線の第2端と前記第2の電圧制御部との接続ノードへの方向の前記誘導電圧の昇圧または降圧を行う、請求項9に記載の昇降圧回路。
【請求項12】
前記負荷電流切替スイッチ素子がオンかつ前記第1のスイッチ素子がオンである状態と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオフかつ前記第1のスイッチ素子がオフである状態とを切り替える第1極性電圧出力動作と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオンかつ前記誘導電流切替スイッチ素子がオフである状態と、前記負荷電流切替スイッチ素子がオフかつ前記誘導電流切替スイッチ素子がオンである状態とを切り替える第2極性電圧出力動作とを切り替えることで、前記第1の巻線の第2端と前記第2の電圧制御部との接続ノードおよび前記第2の巻線の第2端と前記第1の電圧制御部との接続ノードから外部へ交流電圧を出力する、請求項9に記載の昇降圧回路。
【請求項13】
前記昇降圧回路は、前記第1の電圧制御部および前記第2の電圧制御部における前記スイッチ素子によって発生するサージを抑制するサージ抑制回路をさらに備える、請求項3,4,5,9,10,11,12のいずれか一つに記載の昇降圧回路。
【請求項14】
入力電圧が入力される入力端と、
出力端と、
前記入力端へ入力される前記入力電圧を昇圧または降圧し、前記出力端から負荷へ前記昇圧または降圧した電圧を出力する昇降圧回路と、
を備え、
前記昇降圧回路は、
共通のコアに巻回された第1の巻線と1または複数の第2の巻線とを含み、前記入力電圧が印加される巻線部と、
前記入力電圧が第1の極性であるときに、前記第1の巻線に印加される前記入力電圧をオンオフする第1の電圧制御部と、
前記入力電圧が第2の極性であるときに、前記第2の巻線に印加される前記入力電圧をオンオフする第2の電圧制御部と、
前記入力電圧が第1の極性である状態において前記第1の巻線への前記入力電圧の印加がオフされるときに前記巻線部から出力される電圧、および前記入力電圧が第2の極性である状態において前記第2の巻線への前記入力電圧の印加がオフされるときに前記巻線部から出力される電圧を平滑化する平滑部と、
を含む電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図9】
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