説明

昇降式足場台

【課題】梯子幅が略一定で非常に昇降移動し易く、且つ梯子体による昇降部の耐荷重性も向上することになる昇降式足場台を提供すること。
【解決手段】昇降部4の各昇降フレーム2の対向辺部8の両側部に夫々、一対の軸受部12を上方に向けて突設してこの各一対の軸受部12の突出先端部間に梯子体9の両側縦枠部10の下端部を枢着すると共に、一対の軸受部12の基端部間を掛止用間隙部13とし、この梯子体9の両側縦枠部10の上端部に掛止部11を設けると共に、この掛止部11は、前記掛止用間隙部13に挿通して各昇降フレーム2の対向辺部8に掛止し得るフック形状に形成して、この掛止部11を掛止用間隙部13に挿通して対向辺部8に掛止すると、上下の梯子体9の両側縦枠部10が上下方向に略一直線上に並設する構成とした昇降式足場台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業用の昇降式足場台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の昇降式足場台は、接地台の上部に、複数の昇降フレームを昇降機構を介して上下多段に連結して成る昇降部が設けられると共に、この昇降部の上部に、作業床とこの作業床周囲に立設する手すり部とを有する足場フレームが設けられている。
【0003】
また、前記昇降部の前記各昇降フレームの対向辺部には、梯子体の両側縦枠部の下端部が枢着されて、この梯子体が昇降フレームに対して起伏回動自在に設けられていると共に、この梯子体の両側縦枠部の上端部に、梯子体を起動し立設状態とした際に昇降フレームの対向辺部に掛止し得る掛止部が設けられていて、この掛止部を上段の昇降フレームの対向辺部に掛止することにより梯子体を上下の対向辺部間に架設すると、立設状態の梯子体により下段の昇降フレームに対して上段の昇降フレームが上昇した状態に保持されると共に、この梯子体を利用して作業者が昇降部を昇降移動でき、掛止部を対向辺部から掛脱して梯子体を昇降フレーム上に伏動すると、下段の昇降フレームに対して上段の昇降フレームを前記昇降機構を介して下降させて昇降部を嵩張らない折り畳み状態にできる構成とされている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−36167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の昇降式足場台は、梯子体の両側縦枠部の下端部が昇降フレームの対向辺部に枢着されると共に、この梯子体の両側縦枠部上端部の掛止部も、昇降フレームの対向辺部に掛止するように構成されている。
【0006】
そのため、梯子体の枢着位置と掛止部の掛止位置とがダブらないように(梯子体の枢着位置を避けて掛止部を対向辺部に掛止できるように)、例えば、二段目の昇降フレームに枢着される梯子体はその横幅(両側縦枠部間の幅、即ち掛止部間の幅)を一段目の梯子体より狭くし、三段目の昇降フレームに枢着される梯子体はその横幅を二段目の梯子体より広くするなどのように、梯子体の幅が上下で異なるように構成されていたが、一段毎に横幅が変わる梯子は、段変わりで足を掛ける位置などに気をつけて安全を確認しながら昇降移動しなければならないため、思いのほか昇降移動がしにくかった。
【0007】
本発明は、このような従来の昇降式足場台の問題点を見い出し、これを解決しようとするもので、梯子幅が略一定で非常に昇降移動し易く、しかも梯子体による昇降部の耐荷重性も向上することになる画期的な昇降式足場台を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
接地台1の上部に、複数の昇降フレーム2を昇降機構3を介して上下多段に連結して成る昇降部4を設けると共に、この昇降部4の上部に、作業床5とこの作業床5周囲に立設する手すり部6とを有する足場フレーム7を設けた昇降式足場台であって、前記昇降部4の前記各昇降フレーム2の対向辺部8に梯子体9の両側縦枠部10の下端部を枢着して、この梯子体9を昇降フレーム2に対して起伏回動自在に設け、この梯子体9の両側縦枠部10の上端部に、梯子体9を起動し立設状態とした際に昇降フレーム2の対向辺部8に掛止し得る掛止部11を設けて、この掛止部11を上段の昇降フレーム2の対向辺部8に掛止連結することにより梯子体9を上下の対向辺部8間に架設すると、立設状態の梯子体9により下段の昇降フレーム2に対し上段の昇降フレーム2を上昇状態に保持し得、且つ掛止部11を対向辺部8から掛脱して梯子体9を昇降フレーム2上に伏動すると、下段の昇降フレーム2に対し上段の昇降フレーム2を前記昇降機構3により下降し得るように構成した昇降式足場台において、前記各昇降フレーム2の前記対向辺部8の両側部に夫々、一対の軸受部12を上方に向けて突設してこの各一対の軸受部12の突出先端部間に前記梯子体9の両側縦枠部10の下端部を枢着すると共に、一対の軸受部12の基端部間を掛止用間隙部13とし、前記掛止部11は、この掛止用間隙部13に挿通して各昇降フレーム2の対向辺部8に掛止し得るフック形状に形成して、この掛止部11を掛止用間隙部13に挿通して対向辺部8に掛止すると、上下の梯子体9の両側縦枠部10が上下方向に略一直線上に並設する構成としたことを特徴とする昇降式足場台に係るものである。
【0010】
また、前記掛止部11は、前記掛止用間隙部13の横幅寸法より小さい横幅寸法を有しこの掛止用間隙部13に挿通して前記昇降フレーム2の対向辺部8に掛止し得るフック体14と、このフック体14の開口部15を閉塞して前記各昇降フレーム2の対向辺部8を抜止状態とする閉塞体16とから成る構成としたことを特徴とする請求項1記載の昇降式足場台に係るものである。
【0011】
また、前記手すり部6に、前記梯子体9と位置を対応させて前記作業床5への出入り用開閉部17を開閉回動自在に設けると共に、この開閉部17は、開放回動して手すり部6に重合可能に構成し、この開閉部17が重合した手すり部6を前記作業床5に対し外側下方へ回動せしめて前記昇降部4に沿設状態とする手すり回動機構18を前記足場フレーム7に設けると共に、この手すり回動機構18は、手すり部6を作業床5に対し立設状態に保持する保持解除可能な立設保持機構19を備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の昇降式足場台に係るものである。
【0012】
また、前記開閉部17に、この開閉部17の閉塞状態と、開放回動して手すり部6に重合した状態とをロックするロック解除可能なロック手段24を設けたことを特徴とする請求項3記載の昇降用足場台に係るものである。
【0013】
また、前記手すり回動機構18は、前記足場フレーム7に前記手すり部6を枢着して、この枢着部20を支点に手すり部6が前記作業床5に対し外側下方へ回動して前記昇降部4に沿設状態となるように構成し、前記立設保持機構19は、前記手すり部6の下部を差込係止する被差込部21を前記足場フレーム7に設けて、この被差込部21に手すり部6の下部を差込係止することにより、手すり部6が前記作業床5に対して立設状態に保持され、且つ被差込部21から手すり部6の下部を抜脱することにより、立設保持が解除されて手すり部6が前記枢着部20を支点に回動するように構成したことを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の昇降用足場台に係るものである。
【0014】
また、前記枢着部20は、前記足場フレーム7若しくは前記手すり部6に軸部22を設け、この軸部22を回動自在に軸受する長孔形状の軸受孔部23を手すり部6若しくは足場フレーム7に設けて、この軸部22を支点に手すり部6が前記作業床5に対し外側下方へ回動して前記昇降部4に沿設状態となるように構成すると共に、前記軸受孔部23を長孔形状に形成して、この軸受孔部23での前記軸部22の位置を変更することで前記手すり部6を前記被差込部21に対して抜き差し自在に構成したことを特徴とする請求項5記載の昇降用足場台に係るものである。
【0015】
また、前記各昇降フレーム2の前記対向辺部8は、前記足場フレーム7の前記作業床5より外方へ突出状態に設けて、上下の昇降フレーム2の対向辺部8間に架設する前記梯子体9が作業床5より外方へ突出配設するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の昇降用足場台に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、梯子体の両側縦枠部上端部の掛止部を、梯子体の両側縦枠部下端部の下方の掛止用間隙部に挿通して昇降フレームの対向辺部に掛止でき、これにより上下の梯子体の両側縦枠部が上下方向に略一直線上に並設するため、足場フレーム(作業床)から梯子体の縦枠部に伝わる荷重がその略真下に存している梯子体の縦枠部で直接的に支持されて高い耐荷重性を発揮することになり、しかも、梯子体の横幅を統一できるため、上下多段の各昇降フレーム間に架設する梯子体の横幅が一定となる非常に昇降移動し易い梯子構造を実現できることになるなど、極めて実用性に秀れた画期的な昇降式足場台となる。
【0017】
また、請求項2記載の発明においては、一対の軸受部の基端部間の掛止用間隙部に確実に挿通して昇降フレームの対向辺部に掛止できる掛止部を簡易に設計実現可能となる一層実用性に秀れた構成の昇降式足場台となる。
【0018】
また、請求項3記載の発明においては、開閉部により作業床への出入りを自由にでき、しかも手すり部によって高所作業時の安全性が確保される構成でありながら、不使用時には、手すり部まで簡単に折り畳んでコンパクトな格納状態にできる一層実用性に秀れた構成の昇降式足場台となる。
【0019】
また、請求項4記載の発明においては、開閉部を閉塞状態にロックして作業時の安全を確保できると共に、格納状態とする際の手すり部の回動操作を容易に行うことができる一層実用性に秀れた構成の昇降式足場台となる。
【0020】
また、請求項5記載の発明においては、高所作業時には手すり部を確実に立設状態に保持できる構成でありながら、不使用時には手すり部を簡単に折り畳んでコンパクト化できる構成を簡易に設計実現可能となる一層実用性に秀れた構成の昇降式足場台となる。
【0021】
また、請求項6記載の発明においては、手すり部の下部を抜き差し自在にして手すり部を回動自在に軸支する枢着部を簡易に設計実現可能となる一層実用性に秀れた構成の昇降式足場台となる。
【0022】
また、請求項7記載の発明においては、梯子体,作業床間の移動に際して作業者が恐怖心を抱きにくく、昇降移動が容易に行われる一層実用性に秀れた構成の昇降式足場台となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本実施例の一部を切り欠いた部分拡大正面図である。
【図3】本実施例の梯子体の枢着構造並びに掛止部の掛止構造を示す部分拡大分解斜視図である。
【図4】本実施例の梯子体の枢着構造並びに掛止部の掛止構造を示す部分拡大側面図である。
【図5】本実施例の梯子体の枢着構造並びに掛止部の掛止構造を示す部分拡大正面図である。
【図6】本実施例の足場フレーム並びに開閉部の開放回動構造を示す部分拡大斜視図である。
【図7】本実施例の開閉部を手すり部に重合状態にロックした状態を示す部分拡大斜視図である。
【図8】本実施例の立設保持機構並びに手すり回動機構を示す部分拡大側面図である。
【図9】本実施例の手すり回動機構の作動説明図である。
【図10】本実施例の格納状態を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0025】
接地台1を接地し、昇降部4を昇降調整することで作業目的に合わせた足場フレーム7の高さ調整を行い、手すり部6に囲まれた作業床5上で作業者が高所作業を行う。また、昇降部4を構成する上下多段の昇降フレーム2の対向辺部8間に架設した梯子体9を利用して、作業者は作業床5と接地面との間を昇降移動できる。
【0026】
また、昇降部4の昇降調整は、下段の昇降フレーム2に対し昇降機構3により上段の昇降フレーム2を上昇させ、下段の昇降フレーム2から梯子体9を起動し立設状態としてこの梯子体9上端部の掛止部11を上段の昇降フレーム2の対向辺部8に掛止すると、梯子体9が上下の対向辺部8間に架設して下段の昇降フレーム2に対し下段の昇降フレーム2を上昇状態に保持でき、逆に掛止部11を対向辺部8から掛脱して梯子体9を昇降フレーム2上に伏動すると、下段の昇降フレーム2に対し上段の昇降フレーム2を昇降機構3を介して下降させることができる。
【0027】
即ち、上下多段の昇降フレーム2のうちのいくつを上昇状態に保持するかによって昇降部4の高さを異ならせることが可能であり、上昇状態に保持する昇降フレーム2数を選択することによって足場フレーム7(作業床5)の高さを昇降調整できる。
【0028】
また、本発明の梯子体9は、各昇降フレーム2の対向辺部8の両側部に夫々、一対の軸受部12を上方に向けて突設し、この一対の軸受部12の突出先端部間に両側縦枠部10の下端部を枢着することで昇降フレーム2に対し起伏回動自在に設けていて、一対の軸受部12の基端部間は、この梯子体9の両側縦枠部10の上端部に設けたフック形状の掛止部11を挿通可能な掛止用間隙部13となっている。
【0029】
従って、掛止部11を掛止用間隙部13に挿通して対向辺部8に掛止すると、上下の梯子体9の両側縦枠部10が上下方向に略一直線上に並設することになる。
【0030】
そのため、足場フレーム7の作業床5上で作業者が作業を行うと、この足場フレーム7からの荷重は梯子体9によって支えられて下段の昇降フレーム2へと伝えられるが、この際、縦枠部10に伝わる荷重がその略真下に存している縦枠部10で直接的に支持されることになるので、両側縦枠部10が上下方向に位置を異ならせて並んでいるような従来構造と比べて昇降フレーム2に変形等を生じにくく、昇降部4は高い耐荷重性を発揮することになる。
【0031】
また、両側縦枠部10の上端部の掛止部11を、両側縦枠部10の下端部の略真下(掛止用間隙部13)に挿通して掛止できる本発明の梯子体9は、従来品のように各昇降フレーム2毎に横幅(両側縦枠部10間の幅)が異なったものを設ける必要がないので、各昇降フレーム2の横幅を統一できる。
【0032】
従って、上下多段の各昇降フレーム2間に架設する梯子体9の横幅が上下で異なることなく、一定の横幅の梯子体9が上下に並んで非常に昇降移動し易い梯子構造を実現できることになる。
【0033】
不使用時には、全ての梯子体9を昇降フレーム2上に伏動し、昇降機構3を介して全ての昇降フレーム2を下降させると、各昇降フレーム2の上下間隔が狭まった嵩(高さ)のない折り畳み状態にできる。
【0034】
また、例えば、前記手すり部6に、前記梯子体9と位置を対応させて前記作業床5への出入り用開閉部17を開閉回動自在に設けると共に、この開閉部17は、開放回動して手すり部6に重合可能に構成し、この開閉部17が重合した手すり部6を前記作業床5に対し外側下方へ回動せしめて前記昇降部4に沿設状態とする手すり回動機構18を前記足場フレーム7に設けると共に、この手すり回動機構18は、手すり部6を作業床5に対し立設状態に保持する保持解除可能な立設保持機構19を備えれば、高所作業時に、手すり部6を立設保持機構19により作業床5に対し立設状態に保持して作業者の安全を確保できると共に、出入り用開閉部17を開閉操作して作業床5と梯子体9間を作業者が自由に行き来できる。更に、不使用時には、開閉部17を開放回動して手すり部6に重合させると共に、立設保持機構19を解除すると、開閉部17が重合したこの手すり部6を手すり回動機構18により前記作業床5に対し外側下方へ回動させることができるので、この開閉部17が重合した手すり部6を前記昇降部4に沿設状態としてコンパクトな格納状態にでき、この際、手すり部6も開閉部17も足場フレーム7から取り外さずにコンパクト化できるので、手すり部6,開閉部17紛失の懸念もない。
【0035】
また、例えば、前記開閉部17に、この開閉部17の閉塞状態と、開放回動して手すり部6に重合した状態とをロックするロック解除可能なロック手段24を設ければ、開閉部17を閉塞状態にロックして作業床5上での作業者の安全性を確保できると共に、手すり部6を回動操作して格納状態とする際に、開閉部17が勝手に回動して操作の障害とならないように手すり部6に重合状態にロックできるので、操作性に秀れる。
【0036】
また、例えば、前記各昇降フレーム2の前記対向辺部8は、前記足場フレーム7の前記作業床5より外方へ突出状態に設けて、上下の昇降フレーム2の対向辺部8間に架設する前記梯子体9が作業床5より外方へ突出配設するように構成すれば、作業床5より梯子体9が外方へ突出していることにより、梯子体9から作業床5へと移動する際も、作業床5から梯子体9へと移動する際も、作業者は、作業床5方面を向きながら前掲姿勢で上り降りすることができるので、この際に恐怖心を抱きにくく昇降移動が容易に行われることになる。
【実施例】
【0037】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0038】
本実施例は、接地台1の上部に昇降部4を設けると共に、この昇降部4の上部に、作業床5とこの作業床5周囲に立設する手すり部6とを有する足場フレーム7を設けている。
【0039】
具体的には、本実施例の接地台1は、平面視略長方形枠状の主フレーム25の四隅に支持脚26を垂設し、各支持脚26の下端にキャスター27を設けている。
【0040】
また、各支持脚26には、前記キャスター27を接地面より浮上させて移動不能状態とするジャッキ部28を側方へ突設すると共に、このジャッキ部28は支持脚26を支点に水平方向に旋回自在に設けている。
【0041】
本実施例の昇降部4は、平面視略長方形枠状の昇降フレーム2を昇降機構3を介して上下多段(図面では五段)に連結して成る構成としている。
【0042】
昇降機構3は、上下多段の各昇降フレーム2の一方(長手方向)の対向辺部29の上下間をX字状の支持枠体30で連結した構成としている。また、支持枠体30は、中央部分で枢着していて、支持枠体30の交差角度を変えることにより上下の昇降フレーム2間が広狭して昇降部4が昇降する構成としている。
【0043】
図中符号31は昇降機構3により上下の各昇降フレーム2間を狭くした際に上段の昇降フレーム2を載置する載置部、32は載置部31に載置した昇降フレーム2を載置状態に保持する保持具、33は保持具32を係止する係止部、34は下段の昇降フレーム2に対して上段の昇降フレーム2を上昇方向に付勢する弾性体であって、この弾性体34により昇降部4を上方へ伸ばす時は昇降フレーム2を軽い力で上昇することができると共に、昇降部4を低くする時は昇降フレーム2を安全な速度で下降することができる構成としている。
【0044】
また、各昇降フレーム2の他方(短方向)の対向辺部8に、正面視H字状の梯子体9の両側縦枠部10の下端部を枢着して、この梯子体9を昇降フレーム2に対して起伏回動自在に設け、この梯子体9の両側縦枠部10の上端部に、梯子体9を起動し立設状態とした際に昇降フレーム2の対向辺部8に掛止し得る掛止部11を設けて、この掛止部11を上段の昇降フレーム2の対向辺部8に掛止連結することにより梯子体9を上下の対向辺部8間に架設すると、立設状態の梯子体9により下段の昇降フレーム2に対し上段の昇降フレーム2を上昇状態に保持し得、且つ掛止部11を対向辺部8から掛脱して梯子体9を昇降フレーム2上に伏動すると、下段の昇降フレーム2に対し上段の昇降フレーム2を前記昇降機構3により下降し得るように構成している。即ち、梯子体9は、上段の昇降フレーム2の荷重を支持する構造材として機能すると共に、作業者が昇降部4を上るための梯子としても機能する構成としている。
【0045】
この梯子体9の両側縦枠部10下端部と昇降フレーム2の他方の対向辺部8との枢着構造は、前記各昇降フレーム2の前記対向辺部8の両側部に夫々、この対向辺部8の長さ方向に間隔を置いて一対の軸受部12を上方に向けて突設し、この各一対の軸受部12の突出先端部間に前記梯子体9の両側縦枠部10の下端部を枢着した構造としている。
【0046】
また、この一対の軸受部12は、一枚の板材をその両端板部が互いに対向する形状に折曲形成したこの板材の対向板部で構成し、この一対の軸受部12を有する板材を対向辺部8上に一体的に固定した構成としている。
【0047】
また、一対の軸受部12の基端部間に間隙を生じるようにして梯子体9の両側縦枠部10の下端部を枢着した構成とし、この一対の軸受部12の基端部間に間隙を掛止用間隙部13として、この掛止用間隙部13に前記掛止部11を挿通して各昇降フレーム2の対向辺部8に掛止し得るように構成している。
【0048】
即ち、この掛止部11を掛止用間隙部13に挿通して対向辺部8に掛止すると、上下の梯子体9の両側縦枠部10が上下方向に略一直線上に並設する構成としている。また、各昇降フレーム2に枢着される梯子体9は、全て横幅(両側縦枠部10間の幅)が同じものを採用している。
【0049】
一方、前記掛止部11は、前記掛止用間隙部13の横幅寸法より小さい横幅寸法を有し掛止用間隙部13に挿通して前記昇降フレーム2の対向辺部8に掛止し得るフック体14と、このフック体14の基端部に回動自在に設けられるレバー体35と、このレバー体35に回動自在に設けられてフック体14の開口部15を閉塞する閉塞体16とから成る構成とし、フック体14を掛止用間隙部13に挿通して対向辺部8に掛止した状態で、閉塞体16の先端部をフック体14の先端部に掛止してフック体14の開口部15を閉塞し、レバー体35をフック体14から離反する方向に回動すると、閉塞体16が開口部15を閉塞した状態が確固に維持されて対向辺部8が抜止状態となる構成としている。
【0050】
本実施例では、この昇降部4の最下段の昇降フレーム2の四隅部(角部)を前記支持脚26の上端部に固定すると共に、この最下段の昇降フレーム2を複数の接合片41を用いて前記接地台1と一体化することで、接地台1の上部に昇降部4を設けた構成としている。
【0051】
本実施例の足場フレーム7は、平面視略長方形枠状とし、この足場フレーム7内に平面視略長方形板状の作業床5を架設状態に固定している。
【0052】
また、この作業床5の一方(長手方向)の対向辺部に夫々側面視横長方形枠状の手すり部6を立設状態に対設し、作業床5の他方(短方向の)対向辺部に夫々側面視縦長方形枠状の開閉部17を立設状態に対設して、この手すり部6と開閉部17とで作業床5を囲繞する構成としている。
【0053】
また、各開閉部17は、夫々の一側枠部をこの一側枠部と隣接する各手すり部6の他側枠部に回動自在に枢着して、この開閉部17を手すり部6に対し水平方向に且つ手すり部6の内側方向に向けて開放回動自在に設けると共に、この各開閉部17を、枢着された手すり部6に重合するまで開放回動し得るように構成している。即ち、対向状態に立設する一方の手すり部6に一方の開閉部17が枢着され、他方の手すり部6に他方の開閉部17が枢着される構成としている。
【0054】
また、この各開閉部17は、前記昇降フレーム2の前記梯子体9と位置が対応するように設けられており、この各開閉部17を開放回動することで作業床5と各梯子体9との間を作業者が自由に出入りし得るように構成している。図中符号43は各開閉部17をその閉塞状態より外方へ開かないようにするためのストッパである。
【0055】
また、本実施例では、開閉部17に、この開閉部17の閉塞状態と、開放回動して手すり部6に重合した状態とをロックするロック解除可能なロック手段24を設けている。
【0056】
ロック手段24は、各開閉部17の夫々の他側枠部の中程に、下方側が開放する断面転コ字状体のロック具24Aを起伏回動自在に設け、その下縁部に、各開閉部17を閉塞状態とした際に手すり部6の中程に架設された補強桟36に上方から掛止し得る掛止凹部37を設けて、この掛止凹部37を補強桟36に掛止すると、各開閉部17が閉塞状態にロックされる構成としている。また、各開閉部17を各手すり部6に重合した際に、ロック具24Aの下部開放部38を手すり部6の補強桟36に上方から被嵌係止し得るように構成して、この下部開放部38を補強桟36に被嵌係止すると、各開閉部17が手すり部6に重合状態にロックされる構成としている。
【0057】
また、本実施例では、前記手すり部6を前記作業床5に対し外側下方へ回動させて前記昇降部4に沿設状態とする手すり回動機構18を前記足場フレーム7に設けると共に、この手すり回動機構18は、手すり部6を作業床5に対し立設状態に保持する保持解除可能な立設保持機構19を備えている。
【0058】
具体的には、前記手すり回動機構18は、前記足場フレーム7に前記手すり部6を枢着して、この枢着部20を支点に手すり部6が前記作業床5に対し外側下方へ回動して前記昇降部4に沿設状態となるように構成し、前記立設保持機構19は、前記手すり部6の下部を差込係止する被差込部21を前記足場フレーム7に設けて、この被差込部21に手すり部6の下部を差込係止することにより、手すり部6が前記作業床5に対して立設状態に保持され、且つ被差込部21から手すり部6の下部を抜脱することにより、立設保持が解除されて手すり部6が前記枢着部20を支点に回動するように構成している。
【0059】
また、前記枢着部20は、前記足場フレーム7に軸部22を設け、この軸部22を回動自在に軸受する長孔形状の軸受孔部23を手すり部6に設けて、この軸部22を支点に手すり部6が前記作業床5に対し外側下方へ回動して前記昇降部4に沿設状態となるように構成すると共に、前記軸受孔部23を長孔形状に形成して、この軸受孔部23での前記軸部22の位置を変更することで前記手すり部6を前記被差込部21に対して抜き差し自在に構成している。
【0060】
更に詳しくは、前記足場フレーム7の四隅部(角部)を上下方向に筒長を有する有底の筒形状に形成してこの四隅の筒形部を前記被差込部21とする一方、手すり部6の両側下部を下方へ延設してこの両側の延設下端部を前記被差込部21に差込係止する差込部42としている。
【0061】
また、この各被差込部21の側部には、夫々足場フレーム7の長手方向の対向辺部の対向外側方向へ向けて一対の軸受板39を突設し、この一対の軸受板39間に前記軸部22を架設状態に設けている。
【0062】
一方、前記手すり部6の両側下部の差込部42の側部には、この差込部42を被差込部21に差込む際の支障とならないようにして帯状の取付板40を下方へ垂下突設すると共に、この取付板40に上下方向に長さを有する長孔形状の前記軸受孔部23を貫通形成している。
【0063】
そして、この軸受孔部23に前記軸部22を挿通軸支することで足場フレーム7に対して手すり部6を連結した構成としているもので、この軸受孔部23に沿って軸部22(手すり部6)を下方へ移動することで手すり部6の両側下部の差込部42を被差込部21に差込でき、この差込状態(立設保持状態)から手すり部6を上方へ持ち上げると、軸部22が軸受孔部23に沿って上方へ移動して被差込部21から差込部42を抜脱でき、この際、手すり部6を、前記枢着部20を支点にこの手すり部6に重合した開閉部17と共に作業床5の外側下方へ可倒回動し昇降部4に沿わせてコンパクトな格納状態とできるようにしている。
【0064】
また、本実施例では、手すり部6を昇降部4に沿わせた際にこの手すり部6の下部(下向きとなった上部)が接地面に接触しないように、この手すり部6の高さを設定構成している。
【0065】
本実施例では、足場フレーム7を、その四隅部の被差込部21の下端部を、前記昇降部4の最上段の昇降フレーム2の四隅部(角部)付近に固定すると共に、この足場フレーム7を複数の接合片41を用いて昇降部4と一体化することで、昇降部4の上部に足場フレーム7を設けた構成としている。また、昇降部4の最上段の昇降フレーム2は、前記梯子体9を有しない構成としてその上部に足場フレーム7を設けている。
【0066】
また、本実施例では、前記各昇降フレーム2の前記対向辺部8は、前記足場フレーム7の前記作業床5より外方へ突出状態に設けて、上下の昇降フレーム2の対向辺部8間に架設する前記梯子体9が作業床5より外方へ突出配設するように構成している。
【0067】
具体的には、昇降フレーム2の長手方向の幅寸法を、足場フレーム7の長手方向の幅寸法より幅広に設定することで、各昇降フレーム2の前記対向辺部8が、足場フレーム7の前記作業床5より外方へ突出するように構成している。
【0068】
従って、作業床5より梯子体9が外方へ突出していると、梯子体9の上部から作業床5へと移動する際や、作業床5から梯子体9の上部へと移動する際に、作業者は作業床5方面を向きながら前掲姿勢をとることができ、これにより作業床5,梯子体9上部間を上り降りする際に作業者が恐怖心を抱きにくく昇降移動が容易に行われることになる構成としている。
【0069】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0070】
1 接地台
2 昇降フレーム
3 昇降機構
4 昇降部
5 作業床
6 手すり部
7 足場フレーム
8 対向辺部
9 梯子体
10 縦枠部
11 掛止部
12 軸受部
13 掛止用間隙部
14 フック体
15 開口部
16 閉塞体
17 開閉部
18 手すり回動機構
19 立設保持機構
20 枢着部
21 被差込部
22 軸部
23 軸受孔部
24 ロック手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地台の上部に、複数の昇降フレームを昇降機構を介して上下多段に連結して成る昇降部を設けると共に、この昇降部の上部に、作業床とこの作業床周囲に立設する手すり部とを有する足場フレームを設けた昇降式足場台であって、前記昇降部の前記各昇降フレームの対向辺部に梯子体の両側縦枠部の下端部を枢着して、この梯子体を昇降フレームに対して起伏回動自在に設け、この梯子体の両側縦枠部の上端部に、梯子体を起動し立設状態とした際に昇降フレームの対向辺部に掛止し得る掛止部を設けて、この掛止部を上段の昇降フレームの対向辺部に掛止連結することにより梯子体を上下の対向辺部間に架設すると、立設状態の梯子体により下段の昇降フレームに対し上段の昇降フレームを上昇状態に保持し得、且つ掛止部を対向辺部から掛脱して梯子体を昇降フレーム上に伏動すると、下段の昇降フレームに対し上段の昇降フレームを前記昇降機構により下降し得るように構成した昇降式足場台において、前記各昇降フレームの前記対向辺部の両側部に夫々、一対の軸受部を上方に向けて突設してこの各一対の軸受部の突出先端部間に前記梯子体の両側縦枠部の下端部を枢着すると共に、一対の軸受部の基端部間を掛止用間隙部とし、前記掛止部は、この掛止用間隙部に挿通して各昇降フレームの対向辺部に掛止し得るフック形状に形成して、この掛止部を掛止用間隙部に挿通して対向辺部に掛止すると、上下の梯子体の両側縦枠部が上下方向に略一直線上に並設する構成としたことを特徴とする昇降式足場台。
【請求項2】
前記掛止部は、前記掛止用間隙部の横幅寸法より小さい横幅寸法を有しこの掛止用間隙部に挿通して前記昇降フレームの対向辺部に掛止し得るフック体と、このフック体の開口部を閉塞して前記各昇降フレームの対向辺部を抜止状態とする閉塞体とから成る構成としたことを特徴とする請求項1記載の昇降式足場台。
【請求項3】
前記手すり部に、前記梯子体と位置を対応させて前記作業床への出入り用開閉部を開閉回動自在に設けると共に、この開閉部は、開放回動して手すり部に重合可能に構成し、この開閉部が重合した手すり部を前記作業床に対し外側下方へ回動せしめて前記昇降部に沿設状態とする手すり回動機構を前記足場フレームに設けると共に、この手すり回動機構は、手すり部を作業床に対し立設状態に保持する保持解除可能な立設保持機構を備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の昇降式足場台。
【請求項4】
前記開閉部に、この開閉部の閉塞状態と、開放回動して手すり部に重合した状態とをロックするロック解除可能なロック手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の昇降用足場台。
【請求項5】
前記手すり回動機構は、前記足場フレームに前記手すり部を枢着して、この枢着部を支点に手すり部が前記作業床に対し外側下方へ回動して前記昇降部に沿設状態となるように構成し、前記立設保持機構は、前記手すり部の下部を差込係止する被差込部を前記足場フレームに設けて、この被差込部に手すり部の下部を差込係止することにより、手すり部が前記作業床に対して立設状態に保持され、且つ被差込部から手すり部の下部を抜脱することにより、立設保持が解除されて手すり部が前記枢着部を支点に回動するように構成したことを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の昇降用足場台。
【請求項6】
前記枢着部は、前記足場フレーム若しくは前記手すり部に軸部を設け、この軸部を回動自在に軸受する長孔形状の軸受孔部を手すり部若しくは足場フレームに設けて、この軸部を支点に手すり部が前記作業床に対し外側下方へ回動して前記昇降部に沿設状態となるように構成すると共に、前記軸受孔部を長孔形状に形成して、この軸受孔部での前記軸部の位置を変更することで前記手すり部を前記被差込部に対して抜き差し自在に構成したことを特徴とする請求項5記載の昇降用足場台。
【請求項7】
前記各昇降フレームの前記対向辺部は、前記足場フレームの前記作業床より外方へ突出状態に設けて、上下の昇降フレームの対向辺部間に架設する前記梯子体が作業床より外方へ突出配設するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の昇降用足場台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−275816(P2010−275816A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131228(P2009−131228)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(592001816)株式会社マルサ (7)
【Fターム(参考)】