説明

昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法

【課題】昇降機故障受電時における、正確かつ迅速な現地故障状態把握、および、出動指示を行うこと。
【解決手段】監視センター3において、昇降機の異常時に顧客からの故障情報を受電する顧客受付電話機42にて顧客からの受電時に契約顧客情報を検索・表示するとともに、受電内容を登録できる受電記録端末44により、顧客受付電話機42の受電時に、顧客電話番号から自動で契約顧客情報を検索、または、受電記録端末44による顧客情報検索時に、監視端末装置14の接続有無を判断するとともに、公衆通信回線3を介して監視端末装置14に自動的に接続し、昇降機の稼動情報・故障情報を収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物に設置された昇降機の状態を常時監視する監視端末装置と通信回線を介して接続され、監視端末を管理する遠隔監視システムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
遠隔監視を行うことができる昇降機に異常が発生した場合、昇降機に接続された監視端末装置によりその異常を検出するとともに、監視センターへの異常内容を通知することができる。また、監視端末による検出以外の異常通知手段として、顧客が異常に気付くことによる監視センターへの電話連絡がある。このようにして監視センターにて現地の異常を認知した後、異常発生昇降機の最寄りの出動拠点の故障対応者に対して伝達を行い、故障対応者は現地状況に応じた適切な準備を行い故障対応を行うことができる。
【0003】
ここで、前者の監視端末装置による異常通知の場合においては、監視端末装置にて検出した異常信号により故障部位を特定可能であり、また、監視センターでの異常通知受信後に遠隔にて現地の稼働情報データを取得することによってより詳細な現地状況を把握する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
これに対して後者の顧客電話連絡による異常通知の場合においては、あくまで顧客と監視センター受電者との会話による現地状況把握である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−37603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術における顧客電話連絡による異常通知においては、あいまいさや誤認識することがあるとともにヒアリングのための時間を要する。またこれに伴い、故障対応出動者への出動指示が遅延するとともに、指示内容も不明確となることにより現地到着後に調査を開始することによっても対応時間が長くなるという問題点がある。
【0007】
また、電話受電中に前者の監視端末装置が異常を通知した場合においては、監視センター受電者がこれを認知しないままに顧客との会話を継続するため、顧客としては遠隔監視サービスを契約(利用)するメリットが感じられなくなるなどの問題点がある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みなされたもので、その目的は、顧客からの受電時においても、迅速かつ監視端末装置による異常通知と同等の現地状況把握が可能な昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、本発明による昇降機遠隔監視シ云テムの故障受電時自動故障データ収集方法は、昇降機と接続され監視を行う監視端末装置と、前記監視端末装置と公衆通信回線を介して接続され、前記昇降機および前記監視端末装置の稼動状況を管理するための監視情報を保有する監視センターと、を備えた昇降機遠隔監視システムの前記監視センターにおいて、前記昇降機の異常時に顧客からの故障情報を受電する顧客受付電話機にて顧客からの受電時に契約顧客情報を検索・表示するとともに、受電内容を登録できる受電記録端末により、前記顧客受付電話機の受電時に、顧客電話番号から自動で前記契約顧客情報を検索、または、前記受電記録端末による顧客情報検索時に、前記監視端末装置の接続有無を判断するとともに、公衆通信回線を介して前記監視端末装置に自動的に接続し、前記昇降機の稼動情報・故障情報を収集することを特徴とする。
【0010】
なお、収集完了した稼動情報・故障情報を、受電中の前記受電記録端末に表示させても良い。
【0011】
また、受電前または受電中において前記監視端末装置が前記昇降機の異常を検出し、異常通報を行った場合において、前記契約顧客情報より受電顧客と受信異常通報を結びつけることにより、受電中において前記受電記録端末に異常通報内容を自動的に表示させても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受電時に自動で昇降機の稼動情報・故障情報を収集することにより、電話でのあいまいなやりとりによる状況把握時間の長期化や誤認知を防ぐことができ、故障対応時間全体の低減を図ることができる。また、同時に監視端末装置による異常通知があった場合でも、その通知内容を把握しながら顧客との電話のやりとりが行えることにより、顧客に対して監視サービスの安心感を伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態である昇降機遠隔監視システムを示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態である故障受電時の卑動故障データ収集方法における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の−実施形態である昇降機遠隔監視システムの構成図、図2は本発明の一実施形態であり図1の昇降機遠隔監視システムで実行される故障受電時自動故障データ収集方法の処理フローチャートである。
【0016】
まず、図1を参照して本実施形態に係る昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法を実行する昇降機遠隔監視システムの構成を説明する。図1において、1は顧客建物、11は顧客、12は顧客が使用する電話、13は顧客建物内に設置された昇降機、14は昇降機に接続されその稼働状況を監視する監視端末装置、2は顧客電話と後述する遠隔監視センターとを通信可能に接続する公衆通信回線網、3は監視端末装置と後述する遠隔監視センターとを通信可能に接続する公衆通信回線網、4は昇降機遠隔監視を行う遠隔監視センター、41は遠隔監視センター内の受電担当者、42は顧客電話12と公衆通信回線網2を介して接続された顧客受付電話、43は顧客電話12と公衆通信回線網2を介して接続され受信電話番号を記録するとともに既に記録された情報と照合することができるCTI装置、(CTI:Computer Telephony Integrationの略記)、44は顧客11からの受電時に昇降機の保守契約を結んでいる顧客に関する情報すなわち契約顧客情報を検索・表示するとともに受電内容を登録できる受電記録端末、45は監視端末装置14と公衆通信回線網3を介して接続され監視端末装置14との通信処理をおこなうモデム、46はモデム45を制御し監視端末装置14からデータ収集を行う通信装置、47は昇降機保全契約情報を格納する顧客情報格納装置、48は監視端末装置14の管理を行うための情報を格納する監視情報格納装置、49は監視端末装置14からの収集データを格納する収集データ情報格納装置、50は監視端末装置14から受信した異常通知を格納する異常通知受信情報格納装置である。
【0017】
以下、図1及び図2を用いて、図1の昇降機遠隔監視システムで実行される故障受電時自動故障データ収集方法を説明する。なお、括弧内に記す「Sl」などの符号は図2中に記したステップ番号を示す。
【0018】
昇降機13に何らかの異常が発生した場合において、顧客11がそれに気づいたとする。この場合、顧客11は顧客電話12より遠隔監視センター4に故障対応依頼を行い、受電担当者41は顧客受付電話42にて受電処理を開始、現地状況のヒアリングを行う(Sl)。この際、CTI装置43にて受電した顧客電話12の番号より顧客情報47を検索する(S2)。ここで受電顧客が特定できた場合は次の処理(S4)に進む。特定できなかった場合、または、本構成のようなCTI装置43を導入していない場合においては、受電中に顧客11よりヒアリングした顧客名や顧客建物1の住所などから受電記録端末44にて顧客情報を手動で検索を行って顧客12を特定し(S3)、次の処理(S4)に進む。
【0019】
次に、自動で監視情報格納装置48に格納されている監視情報を検索し、監視端末装置14が接続されているか否か、すなわち遠隔監視の有無の確認を行い(S4)、監視端末装置14が接続されている場合すなわち遠隔監視有りの場合には、自動にて受電記録端末44より通信装置46にデータ収集指示を行うことにより、監視端末装置14に接続し、昇降機13の稼働情報・故障情報を遠隔にて収集を行う(S5,S6)。データ収集が完了すると(S6)、収集したデータを収集データ情報格納装置49に格納するとともに、受電記録端末44に通知し、受電処理が継続中であれば(S7)、即時に収集データを画面表示する(S8)。受電担当者41はこの収集データを画面確認しながら顧客12とのヒアリングを行い、受電内容は受電記録端末44に登録される(S9)。そして、収集された故障情報や受電内容に基づいて、対応可能な作業者が出動者として選択され、当該出動者へ出動の要請が伝達される(Sll)。なお、ステップS4にて、監視端末装置14が接続されていない、すなわち遠隔監視無しと確認された場合には、受電内容が受電記録端末44に登録され(S1O)、さらにステップS11に進み、受電内容に基づいて選択された出動者へ出動の要請が伝達される(S11)。また、ステップS7において受電処理が継続していないと判定された場合は、ステップS8を実行することなく、ステップS9に進み、さらにステップSllへと進む。
【0020】
このようにして、本実施形態の昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法によれば、昇降機の状態把握が容易となり、あいまいさや誤認識を低減することができるとともに、出動者への伝達を明確に行うことができる。
【0021】
なお、上記の実施形態において、顧客11からの故障受電中、または、受電前に、あわせて監視端末装置14が昇降機13の異常を検知し遠隔監視センター4に異常通知した場合、通知内容が異常通知受信情報格納装置50に格納されるようにしても良い。ここで、受電記録端末44は、受電時、または、受電中において随時、異常通知受信情報50に格納された異常通知をチェックし、更新データが存在した場合にこれを表示させる。これにより、受電時において監視端末装置からの異常通知内容をあわせて状況ヒアリングすることができ、顧客に対して正常に監視サービスが機能していることをアピールすることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 顧客建物
11 顧客
12 顧客電話
13 昇降機
14 監視端末装置
2 公衆回線網(顧客電話用)
3 公衆通信回線網(遠隔監視用)
4 遠隔監視センター
41 受電担当者
42 顧客受付電話
43 CTI装置
44 受電記録端末
45 モデム
46 通信装置
47 顧客情報格納装置
48 監視情報格納装置
49 収集データ情報格納装置
50 異常通知受信情報格納装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機に接続され監視を行う監視端末装置と、前記監視端末装置と公衆通信回線を介して接続され、前記昇降機および前記監視端末装置の稼動状況を管理するための監視情報を保有する監視センターと、を備えた昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法において、
前記監視センターにおいて、前記昇降機の異常時に顧客からの故障情報を受電する顧客受付電話機にて顧客からの受電時に契約顧客情報を検索・表示するとともに、受電内容を登録できる受電記録端末により、前記顧客受付電話機の受電時に、顧客電話番号から自動で前記契約顧客情報を検索、または、前記受電記録端末による顧客情報検索時に、前記監現端末装置の接続有無を判断するとともに、公衆通信回線を介して前記監視端末装置に自動的に接続し、前記昇降機の稼動情報・故障情報を収集することを特徴とする昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法。
【請求項2】
請求項1記載の昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法において、
前記取得した稼動情報・故障情報を、受電中の受電担当者の使用する前記受電記録端末に表示させることを特徴とする昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法。
【請求項3】
請求項1記載の昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法において、
前記監視端末装置による異常通知と顧客からの受電の双方を監視センターにて受け付けた場合において、双方の受信情報を自動で結び付けて管理し、二重でのデー夕取得を防ぐことを特徴とする昇降機遠隔監視システムの故障受電時自動故障データ収集方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−218885(P2012−218885A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86419(P2011−86419)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】