説明

明色の木質材料板

漂白されておりかつ少なくとも1つの顔料と電磁スペクトルの可視領域で吸収する染料とを含有する液状の着色剤配合物で着色されている木材繊維から製造されている明色の木質材料板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漂白されておりかつ少なくとも1つの顔料と電磁スペクトルの可視領域で吸収する少なくとも1つの染料とを含有する液状の着色剤配合物で着色されている木材繊維から製造されている明色の木質材料板に関する。
【0002】
さらに本発明は、調度品(Einrichtungsgegenstaende)を製造するためのこれらの木質材料板の使用、ならびにこれらの木質材料板を含有する調度品に関する。
【0003】
木質材料の領域では、いわゆる中密度繊維板(ミディアムデンシティファイバーボード(medium density fibreboard)、MDF板)および高密度繊維板(ハイデンシティファイバーボード(high density fibreboard)、HDF板)における市場が大いに増加しつつある。製造量は過去10年間のあいだで3倍を上回った。
【0004】
MDF板およびHDF板は、従来のパーティクルボードと同じように処理されうる。その規則正しい構造によって、それらはしかし溝をつけた部材の製造にも適しており、従って家具建築においていっそう多く用いられる。そうして、例えば空間のためのおよび装飾目的のための(例えば見本市建築における)調度品、しかしまたすでに比較的高価な家具もこれらの板から作り上げられ、引き続き木質の構造を目に見える形で得るためにただ単に無色のラッカーが塗られるかまたはオーバーレイで被覆される。
【0005】
当然これらの板は使用される木材の種類に応じて多かれ少なかれ特色のある褐色の色合いを有し、それは家具領域での適用のために僅かな美的価値しか持たない。
【0006】
WO−A−04/35276から公知の顔料および染料を含有する着色剤配合物による材料の着色によって、木材繊維の固有の色合いが暗い色調の範囲においてかつ高い色濃度で補正されうる。このようにして色つきの、完全にしっかりと着色された、退色しない、それにより美的に価値の高いMDF板が得られ、それらは長期耐用の製品、例えば居住領域における家具の製造に適している。
【0007】
高い色濃度でも光沢のある明るい色調(L*≧75)を有する、例えば黄色またはオレンジ色に着色されている、または小さい色濃度において着色されている、すなわち明るくされたパステル色調、例えば中性の灰色を有する木質材料板、殊にMDF板は、しかしながらこれまで公知ではなかった。家具および室内装飾物の製造のために、例えば台所および浴室のために、これらの板はしかしとりわけ興味をひく。
【0008】
JP−A−55−164142には、まず亜塩素酸ソーダ (Natriumchlorit)で酸化漂白され、次いで直接染料で着色された木材チップから製造されているパーティクルボードが記載されている。この場合、木材チップの十分な着色を改善するために漂白が行われ、かつ濃い色が生み出される。
【0009】
最後に、本明細書の優先日に未公開のDE−A−102004050278には、漂白された木材繊維から製造されているおよび/または白色顔料で材料が着色されている明るい〜白色の木質材料板が記載される。
【0010】
それゆえ本発明の基礎をなしているのは、明色の木質材料板を提供することであった。
【0011】
それに従って、漂白されておりかつ顔料を含有するおよび染料を含有する液状の着色剤配合物で着色されている木材繊維から製造されている明色の木質材料板が見つかった。
【0012】
本発明による木質材料板は、その澄んだ明るい色調を特徴とする。それは、着色することによって≦1/9の、殊に≦1/25の標準色濃度(Standardfarbtiefe)において取得されうる、白と混合された"柔らかい"パステル色調、または明度値L*≧75を有する濃い色調であってよい。
【0013】
本発明による木質材料板は、例えばMDF板またはHDF板またはパーティクルボードである。とりわけ有利なのはMDF板である。
【0014】
通常、MDF板およびHDF板は連続的なプロセスにおいて製造される。その際、洗浄された、水で湿った、小さく細砕された木材片(細砕片)がまず約80℃に前もって熱され、次いで煮沸器において2〜5barの圧力および100〜150℃の温度下で軟化される。次いで、接続される精粋機中で細砕片が繊維状にほぐされる。精砕機は、ラジアルリリーフ(radiales Relief)を備え付けた2枚の金属平板からなり、それらは互いに密接して反対の向きで回転する。繊維はいわゆるブローラインを介して精砕機を抜け出る。この場合、たいてい接着剤(Leim)が施与される。バインダーとして通常、一部にメラミンで強化された尿素−ホルムアルデヒド−樹脂、または耐湿性の板のために、尿素−メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂が使用される。イソシアネートもバインダーとして用いられている。たいていバインダーは所望された添加剤(例えば硬化剤、パラフィン分散液、着色剤)と一緒に繊維上に施与される。接着剤が施与された繊維は、引き続き乾燥器を通過し、該乾燥器中でそれらは8〜15質量%の湿度に乾燥される。乾燥された繊維は個々にまた、連続的に作動する特別な混合機中で後になって初めて接着剤が施与される。
【0015】
パーティクルボード製造に際して、あらかじめ乾燥された木屑の接着剤の施与は連続的な混合機中で行われる。
【0016】
引き続き、接着剤が施与された繊維もしくは木屑は流し込まれマットを形成し、場合により冷間前圧縮されかつ加熱されたプレスにおいて170〜240℃の温度でプレスされ板が得られる。
【0017】
ベース材料として、本発明による木質材料板のために原則的に植物から取得することができる全ての繊維性の材料を用いてよい。そうして例えば、通常使用される木材繊維の他にヤシから取得することができる繊維が適している。有利なベース材料は、明るい木材種、殊にトウヒまたはマツであり、しかしながら比較的暗い木材種、例えばブナノキも使用されうる。
【0018】
以下において、概念である"木材繊維"と"木屑"とは区別されず、むしろ概念である"木材繊維"は"木屑"も包含するべきである。
【0019】
本発明による木質材料板において使用される木材繊維は漂白されている。
【0020】
木材繊維の化学漂白に際して、木材の着色する随伴物質は酸化化学物質または/および還元化学物質によって破壊されるかまたは効果が失われる。酸化漂白のために、例えば過酸化水素、オゾン、酸素、ハロゲン酸素酸の塩、例えば亜塩素酸塩、および有機過酸および無機過酸の塩、例えば過酢酸塩、過炭酸塩および過ホウ酸塩、特にそのアルカリ金属塩、殊にナトリウム塩が適しており、その際、過炭酸塩および過酸化水素は有利である。還元漂白のために、例えば還元硫黄化合物、亜二チオン酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸塩もしくは二酸化硫黄、スルフィン酸およびその塩、殊にアルカリ金属塩および特にナトリウム塩、およびヒドロキシカルボン酸、例えばクエン酸およびリンゴ酸が適している。有利な還元剤は、二亜硫酸塩および亜硫酸塩、殊に亜硫酸水素ナトリウム、ならびにリンゴ酸およびクエン酸である。
【0021】
本発明による木質材料板のために、まず酸化漂白され、次いで還元漂白された木材繊維がとりわけ有利である。
【0022】
極めて有利には、その際、酸化漂白は過炭酸塩または過酸化水素を用いて実施され、かつ還元漂白は亜硫酸塩またはリンゴ酸またはクエン酸を用いて実施される。
【0023】
処理技術的に、漂白に際して、有利には水性の5〜40質量%の木材繊維分散液を連続的に向流塔内において90〜150℃の温度および3barまでの圧力で漂白剤の水性の溶液または分散液で処理するようにして行われる。通常、遷移金属イオンによる漂白剤の分解を回避するために、錯化剤、例えばEDTAの存在において作業される。
【0024】
殊に本発明によるMDF/HDF板の製造に際して、繊維の漂白は有利には板製造中に行ってよい。その際、漂白剤は前加温器においてまたは煮沸器において細砕片に添加してよい。有利には錯化剤も添加される。
【0025】
本発明による木質材料板において使用される木材繊維は、漂白後に、少なくとも1つの顔料と電磁スペクトルの可視領域で吸収する少なくとも1つの染料とを含有する液状の着色剤配合物で着色される。
【0026】
一般にこれらの着色剤配合物は、顔料に対して染料を0.01〜10質量%、有利には0.5〜10質量%含有する。
【0027】
とりわけ有利にはこれらの着色剤配合物は
(A)少なくとも1つの顔料10〜70質量%、
(B)電磁スペクトルの可視領域で吸収する少なくとも1つの染料0.05〜7質量%、
(C)少なくとも1つの分散剤1〜50質量%、
(D)水または、水と少なくとも1つの水保持剤(Wasserrueckhaltemittel)との混合物10〜88.95質量%および
(E)着色剤配合物のための通常のさらに他の成分0〜5質量%
を含有する。
【0028】
成分(A)として、着色剤配合物中には有機顔料または無機顔料が含有されていてよい。当然のことながら着色剤配合物は、種々の有機顔料または種々の無機顔料の混合物または有機顔料および無機顔料の混合物も含有してよい。
【0029】
有利には顔料は微細な形で存在しかつ、それに従って通常、0.1〜5μm、殊に0.1〜3μmおよび特に0.1〜1μmの平均粒度を有する。
【0030】
通常、有機顔料は有機有色顔料および有機黒色顔料である。無機顔料も同様に着色顔料(有色顔料、黒色顔料および白色顔料)ならびに光沢顔料であってよい。
【0031】
以下で、適切な有機着色顔料のための例として挙げられるのは:
−モノアゾ顔料: C.I.Pigment Brown 25;
C.I.Pigment Orange 5,13,36,38,64および67;
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,8,9,12,17,22,23,31,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,51:1,52:1,52:2,53,53:1,53:3,57:1,58:2,58:4,63,112,146,148,170,175,184,185,187,191:1,208,210,245,247および251;
C.I.Pigment Yellow 1,3,62,65,73,74,97,120,151,154,168,181,183および191;
C.I.Pigment Violet 32;
−ジスアゾ顔料: C.I.Pigment Orange 16,34,44および72;
C.I.Pigment Yellow 12,13,14,16,17,81,83,106,113,126,127,155,174,176,180および188;
−ジスアゾ縮合顔料:
C.I.Pigment Yellow 93,95および128;
C.I.Pigment Red 144,166,214,220,242および262;
C.I.Pigment Brown 23および41;
−アンサンスロン顔料:
C.I.Pigment Red 168;
−アントラキノン顔料:
C.I.Pigment Yellow 147,177および199;
C.I.Pigment Violet 31;
−アントラピリミジン顔料:
C.I.Pigment Yellow 108;
−キナクリドン顔料:
C.I.Pigment Orange 48および49;
C.I.Pigment Red 122,202,206および209;
C.I.Pigment Violet 19;
−キノフタロン顔料:
C.I.Pigment Yellow 138;
−ジケトピロロピロール顔料:
C.I.Pigment Orange 71,73および81;
C.I.Pigment Red 254,255,264,270および272;
−ジオキサジン顔料:
C.I.Pigment Violet 23および37;
C.I.Pigment Blue 80;
−フラバンスロン顔料:
C.I.Pigment Yellow 24;
−インダンスロン顔料
C.I.Pigment Blue 60および64;
−イソインドリン顔料:
C.I.Pigment Orange 61および69;
C.I.Pigment Red 260;
C.I.Pigment Yellow 139および185;
−イソインドリノン顔料:
C.I.Pigment Yellow 109,110および173;
−イソビオランスロン顔料:
C.I.Pigment Violet 31;
−金属錯体顔料: C.I.Pigment Red 257;
C.I.Pigment Yellow 117,129,150,153および177;
C.I.Pigment Green 8;
−ペリノン顔料: C.I.Pigment Orange 43;
C.I.Pigment Red 194;
−ペリレン顔料: C.I.Pigment Black 31および32;
C.I.Pigment Red 123,149,178,179,190および224;
C.I.Pigment Violet 29;
−フタロシアニン顔料:
C.I.Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6および16;
C.I.Pigment Green 7および36;
−ピランスロン顔料:
C.I.Pigment Orange 51;
C.I.Pigment Red 216;
−ピラゾロキナゾロン顔料:
C.I.Pigment Orange 67;
C.I.Pigment Red 251;
−チオインジゴ顔料:
C.I.Pigment Red 88および181;
C.I.Pigment Violet 38;
−トリアリールカルボニウム顔料:
C.I.Pigment Blue 1,61および62;
C.I.Pigment Green 1;
C.I.Pigment Red 81,81:1および169;
C.I.Pigment Violet 1,2,3および27;
−C.I.Pigment Black 1(アニリンブラック);
−C.I.Pigment Yellow 101(アルダジンイエロー);
−Pigment Brown 22である。
【0032】
例えば適切な無機着色顔料は:
−白色顔料: 二酸化チタン(C.I.Pigment White 6)、亜鉛白、着色酸化亜鉛;硫化亜鉛、リトポン;
−黒色顔料: 酸化鉄ブラック(C.I.Pigment Black 11)、鉄−マンガン−ブラック、スピネルブラック(C.I.Pigment Black 27);カーボンブラック(C.I.Pigment Black 7);
−有色顔料: 酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン;クロムグリーン(C.I.Pigment Green 48);コバルトグリーン(C.I.Pigment Green 50);ウルトラマリングリーン;
コバルトブルー(C.I.Pigment Blue 28および36;C.I.Pigment Blue 72);ウルトラマリンブルー;マンガンブルー;
ウルトラマリンバイオレット;コバルトバイオレットおよびマンガンバイオレット;
酸化鉄レッド(C.I.Pigment Red 101);カドミウムスルホセレニド(C.I.Pigment Red 108);硫化セリウム(C.I.Pigment Red 265);モリブデートレッド(C.I.Pigment Red 104);ウルトラマリンレッド;
酸化鉄ブラウン(C.I.Pigment Brown 6および7)、ミックスブラウン、スピネル相およびコランダム相(C.I.Pigment Brown 29,31,33,34,35,37,39および40)、クロムチタンイエロー(C.I.Pigment Brown 24)、クロムオレンジ;
硫化セリウム(C.I.Pigment Orange 75);
酸化鉄イエロー(C.I.Pigment Yellow 42);ニッケルチタンイエロー(C.I.Pigment Yellow 53;C.I.Pigment Yellow 157,158,159,160,161,162,163,164および189);クロムチタンイエロー;スピネル相(C.I.Pigment Yellow 119);硫化カドミウムおよび硫化カドミウム亜鉛(C.I.Pigment Yellow 37および35);クロムイエロー(C.I.Pigment Yellow 34);バナジン酸ビスマス(C.I.Pigment Yellow 184)である。
【0033】
光沢顔料は単相または多相に構成された薄板状顔料(plaettchenfoermige Pigmente)であり、その色彩変化は、干渉現象、反射現象および吸収現象の相互作用によって作り出される。例としてアルミニウム薄板および、殊に金属酸化物で1回または繰り返し被覆されたアルミニウム薄板、酸化鉄薄板および雲母薄板が挙げられる。
【0034】
一般に着色剤配合物は、顔料(A)10〜70質量%、有利には10〜60質量%を含有する。
【0035】
成分(B)として着色剤配合物は、カチオン染料、アニオン染料および分散染料の群からの電磁スペクトルの可視領域で吸収する少なくとも1つの染料を含有する。殊にその際に適しているのは、水中にまたは水と混合可能なまたは水溶性の有機溶剤に溶ける染料である。有利には、使用される染料(B)は顔料(A)にそのつど匹敵する色調を有する。それというのもこのようにして木質材料板のとりわけ集中的な着色が明るい色調の場合でも達成することができるからである。しかしながら色調が異なる染料(B)も使用されえ、それによって色にニュアンスを付けることが可能となる。
【0036】
殊に適しているのは、カチオン染料、アニオン染料および分散染料である。極めて適しているのは、直接染料および分散染料である。
【0037】
適切なカチオン染料(B)は、ジアリールメタン−およびトリアリールメタン−、キサンテン−、アゾ−、シアニン−、アザシアニン−、メチン−、アクリジン−、サフラニン−、オキサジン−、インジュリン−、ニグロシン−およびフェナジン系に由来し、その際、アゾ−、トリアリールメタン−およびキサンテン系からの染料が有利である。
【0038】
個別的に以下のものが例として記載される:C.I.Basic Yellow 1,2および37;C.I.Basic Orange 2;C.I.Basic Red 1および108;C.I.Basic Blue 1,7および26;C.I.Basic Violet 1,3,4,10,11および49;C.I.Basic Green 1および4;C.I.Basic Brown 1および4。
【0039】
カチオン染料(B)は、外部塩基性基を含有する染料であってもよい。適切な例は、この場合、C.I.Basic Blue 15および161である。
【0040】
カチオン染料(B)として相応するカラーベースも、可溶性にする酸性の作用物質の存在において使用されうる。以下のものが例として挙げられる:C.I.Solvent Yellow 34;C.I.Solvent Orange 3;C.I.Solvent Red 49;C.I.Solvent Violet 8および9;C.I.Solvent Blue 2および4;C.I.Solvent Black 7。
【0041】
殊に適切なアニオン染料は、アゾ−、アントラキノン−、金属錯体−、トリアリールメタン−、キサンテン−およびスチルベンの系からのスルホン酸基含有化合物であり、その際、トリアリールメタン−、アゾ−および金属錯体−(特に銅−、クロム−およびコバルト錯体−)系からの染料が有利である。
【0042】
個別的に以下のものが例えば記載される:C.I.Acid Yellow 3,19,36,59,119および204;C.I.Acid Orange 7,8,44,74,92および142;C.I.Acid Red 52,88,159,351および357;C.I.Acid Violet 17,46,56,58,65および90;C.I.Acid Blue 9,193および199;C.I.Acid Brown 355;C.I.Acid Black 52および194;C.I.Direct Yellow 4および11;C.I.Direct Red 80,81および254;C.I.Direct Violet 35および51;C.I.Direct Blue 47,67,199,267および279。
【0043】
殊にこれらの染料は、それらがアルカリ金属塩、特にリチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩として、または置換されなかったまたは置換されたアンモニウム塩、特にアルカノールアンモニウム塩として存在する場合に水溶性である。
【0044】
有利には分散染料は、商業的に得られる水性の分散液の形で使用されかつ、その着色作用を木質材料板の製造プロセスにおいて拡散によって高い温度で発揮する。
【0045】
とりわけ適しているのは、例えばキノフタロンおよびアントラキノンの系からの分散染料である。
【0046】
着色剤配合物は、一般的にそのつど顔料(A)に対して0.5〜10質量%、有利には1〜8質量%の量で染料(B)を含有する。配合物の全質量に対してこれは一般に0.05〜7質量%、特に0.1〜5.6質量%の量に相当する。
【0047】
明るい色調のための有利な顔料/染料の組み合わせは、例えば:C.I.Pigment Orange 34およびC.I.Direct Yellow 11;C.I.Pigment Yellow 74およびC.I.Dierect Yellow 4である。
【0048】
明るいパステル色調の系は殊に、白色顔料、殊にC.I.Pigment White 6と、ニュアンスが付けられた着色顔料、例えばC.I.Pigment Black 7およびC.I.Basic Violet 3との混合によって得ることができる。有利には明るい灰色の色調は、白色顔料を相応する染料、例えばC.I.Direct Blue 47,67,267および279のような青色の染料、および/またはC.I.Direct Violet 35および51のような紫色の染料、および場合によりC.I.Direct Yellow 4のような黄色の染料でニュアンスを付けることによっても達成することができる。その際、白色顔料の割合は着色剤の全体量に対してそのつど通常80〜99質量%である。
【0049】
成分(C)として、着色剤配合物中に少なくとも1つの分散剤が含有されている。
【0050】
とりわけ適切な分散剤(C)は、非イオン性のおよびアニオン性の水溶性表面活性添加剤である。
【0051】
とりわけ適切な非イオン性の添加剤(C)は、ポリエーテル(添加剤(C1))をベースとする。
【0052】
混合されなかったポリアルキレンオキシド、有利にはC〜C−アルキレンオキシドおよびフェニル置換C〜C−アルキレンオキシド、殊にポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリ(フェニルエチレンオキシド)の他に、この場合、特にブロックコポリマー、殊にポリプロピレンオキシド−およびポリエチレンオキシドブロックまたはポリ(フェニルエチレンオキシド)−およびポリエチレンオキシドブロックを有するポリマー、およびこれらのアルキレンオキシドのランダムコポリマーが適している。
【0053】
これらのポリアルキレンオキシドは、スターター分子への、例えば飽和または不飽和の脂肪族のおよび芳香族のアルコール、フェノールまたはナフトール(それはそのつどアルキル、殊にC〜C12−アルキル、有利にはC〜C12−もしくはC〜C−アルキルによって置換されていてよい)への、飽和または不飽和の脂肪族のおよび芳香族のアミン、飽和または不飽和の脂肪族のカルボン酸およびカルボン酸アミドへのアルキレンオキシドの重付加によって製造されうる。通常、スターター分子1モル当たりアルキレンオキシド1〜300モル、有利には3〜150モルが使用される。
【0054】
その際、適切な脂肪族アルコールは、一般にC原子6〜26個、有利にはC原子8〜18個を含有しかつ、非分岐、分岐または環状に構成されていてよい。例として、オクタノール、ノナノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、2−ブチルオクタノール、トリデカノール、イソトリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、2−ヘキシルデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール)、2−ヘプチルウンデカノール、2−オクチルデカノール、2−ノニルトリデカノール、2−デシルテトラデカノール、オレイルアルコールおよび9−オクタデカノールならびにまたこれらのアルコールの混合物、例えばC/C10−、C13/C15−およびC16/C18−アルコール、およびシクロペンタノールおよびシクロヘキサノールが挙げられる。とりわけ重要なのは、天然原料からの脂肪分解および還元によって得られる飽和のおよび不飽和の脂肪アルコール、およびオキソ合成からの合成脂肪アルコールである。これらのアルコールへのアルキレンオキシドの付加物は、通常200〜5000の平均分子量Mを有する。
【0055】
上記の芳香族アルコールのための例として、置換されなかったフェノールおよびα−およびβ−ナフトールの他に、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、イソノニルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、ジ−およびトリブチルフェノールおよびジノニルフェノールが挙げられる。
【0056】
適切な脂肪族アミンは、上に記載された脂肪族アルコールに相当する。この場合も、有利にはC原子14〜20個を有する飽和のおよび不飽和の脂肪アミンが特別な意味をもつ。芳香族アミンとして、例えばアニリンおよびその誘導体が挙げられる。
【0057】
殊に脂肪族カルボン酸として、有利にはC原子14〜20個を含有する飽和のおよび不飽和の脂肪酸、および水素化された、部分水素化されたおよび部分水素化されなかった樹脂酸ならびに多価カルボン酸、例えばマレイン酸のようなジカルボン酸が適している。
【0058】
適切なカルボン酸アミドは、これらのカルボン酸から誘導される。
【0059】
1価のアミンおよびアルコールへのアルキレンオキシドの付加の他に、少なくとも2官能性のアミンおよびアルコールへのアルキレンオキシドの付加が極めて重要である。
【0060】
少なくとも2官能性のアミンとして、殊に式HN−(R−NR−H(R:C〜C−アルキレン;R:水素またはC〜C−アルキル;n:1〜5)に相当する2〜5官能性のアミンが有利である。個別的に以下のものが例として挙げられる:エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン−1,3、ジプロピレントリアミン、3−アミノ−1−エチレンアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、ジヘキメチレントリアミン、1,6−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)ヘキサンおよびN−メチルジプロピレントリアミン、その際、ヘキサメチレンジアミンおよびジエチレントリアミンがとわけ有利でありかつ、エチレンジアミンが極めて有利である。
【0061】
有利には、これらのアミンはまずプロピレンオキシドと、引き続きエチレンオキシドと反応させられる。通常、エチレンオキシドのブロックコポリマーの含量は約10〜90質量%である。
【0062】
一般に多価アミンをベースとするブロックコポリマーは、1000〜40000、有利には1500〜30000の平均分子量を有する。
【0063】
少なくとも2官能性のアルコールとして2〜5価のアルコールが有利である。例えば、C〜C−アルキレングリコールおよび相応するジ−およびポリアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール−1,2および−1,3、ブチレングリコール−1,2および−1,4、ヘキシレングリコール−1,6、ジプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、グリセロールおよびペンタエリトリトールが挙げられ、その際、エチレングリコールおよびポリエチレングリコールがとりわけ有利であり、かつプロピレングリコールおよびジプロピレングリコールが極めて有利である。
【0064】
少なくとも2官能性のアルコールへのとりわけ有利なアルキレンオキシドの付加物は、中心のポリプロピレンオキシドブロックを有し、すなわちプロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールから出発し、それはまず、さらに他のプロピレンオキシドと、次いでエチレンオキシドと反応させられる。通常、エチレンオキシドのブロックコポリマーの含量は10〜90質量%である。
【0065】
一般的に多価アルコールをベースとするブロックコポリマーは、1000〜20000の、有利には1000〜15000の平均分子量を有する。
【0066】
このようなアルキレンオキシドブロックコポリマーは公知でありかつ、商業的に例えばTetronic(R)およびPluronic(R)(BASF)の名称で得られる。
【0067】
成分(C)としてとりわけ適切な水溶性のアニオン表面活性剤のための例として、エチレン性不飽和カルボン酸(C2)のポリマーをベースとする添加剤、ポリウレタン(C3)をベースとする添加剤および上記のポリエーテル(C4)の酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよび/またはスルホン酸エステルをベースとする添加剤が挙げられる。
【0068】
当然のことながら、複数の添加剤(C)の混合物、すなわち種々の非イオン性添加剤の混合物と同様また種々のアニオン性添加剤の混合物ならびに非イオン性添加剤とアニオン性添加剤の混合物も使用されうる。
【0069】
不飽和カルボン酸(C2)のポリマーをベースとするアニオン性の水溶性表面活性添加剤として殊に、エチレン性不飽和モノカルボン酸および/またはエチレン性不飽和ジカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマー(それらは酸官能基を含有しないビニルモノマーを付加的に重合して含有してよい)、これらのホモポリマーおよびコポリマーのアルコキシル化生成物およびこれらのホモポリマーおよびコポリマーの塩およびそれらのアルコキシル化生成物の群からの添加剤が適している。
【0070】
カルボキシル基含有モノマーおよびビニルモノマーのための例として以下のものが挙げられる:
−アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸;
−マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸モノアミド、マレイン酸とアミンオキシド基含有誘導体へと酸化されていてよいジアミンとの反応生成物、およびフマル酸、その際、マレイン酸、無水マレイン酸およびマレイン酸モノアミドが有利である;
−ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、メチルスチレンおよびビニルトルエン;エチレン、プロピレン、イソブテン、ジイソブテンおよびブタジエン;ビニルエーテル、例えばポリエチレングリコールモノビニルエーテル;線状または分岐したモノカルボン酸のビニルエステル、例えばビニルアセテートおよびビニルプロピオネート;エチレン性不飽和モノカルボン酸のアルキルエステルおよびアリールエステル、殊にアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、例えばメチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、ブチル−、ペンチル−、ヘキシル−、2−エチルヘキシル−、ノニル−、ラウリル−およびヒドロキシエチル−(メタ)アクリレートならびにフェニル−、ナフチル−およびベンジル(メタ)アクリレート;エチレン性不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル、例えばジメチル−、ジエチル−、ジプロピル−、ジイソプロピル−、ジブチル−、ジペンチル−、ジヘキシル−、ジ−2−エチルヘキシル−、ジノニル−、ジラウリル−およびジ−2−ヒドロキシエチルマレイネートおよび−フマレート;ビニルピロリドン;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、その際、スチレン、イソブテン、ジイソブテン、アクリル酸エステルおよびポリエチレングリコールモノビニルエーテルが有利である。
【0071】
これらのモノマーの有利なホモポリマーのための例として、殊にポリアクリル酸が記載されるべきである。
【0072】
記載されたモノマーのコポリマーは、2つ以上の、殊に3つの異なるモノマーから構成されていてよい。ランダムコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーが存在してよい。有利なコポリマーとして、スチレン/アクリル酸−、アクリル酸/マレイン酸−、アクリル酸/メタクリル酸−、ブタジエン/アクリル酸−、イソブテン/マレイン酸−、ジイソブテン/マレイン酸−およびスチレン/マレイン酸−コポリマー(それらはそのつど、付加的なモノマー成分としてアクリル酸エステルおよび/またはマレイン酸エステルを含有してよい)が挙げられる。
【0073】
有利には、アルコキシル化されなかったホモポリマーおよびコポリマーのカルボキシル基は、水溶性を保証するために少なくとも部分的に塩の形で存在する。適しているのは、例えばアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩およびカリウム塩、およびアンモニウム塩である。
【0074】
通常、アルコキシル化されなかったポリマーの添加剤(C2)は、900〜250000の平均分子量Mを有する。個々のポリマーに関してとりわけ適切な分子量範囲は、当然のことながらその組成に依存する。以下で種々のポリマーに関して、例として分子量データが記載される:ポリアクリル酸:900〜250000のM;スチレン/アクリル酸−コポリマー:1000〜50000のM;アクリル酸/メタクリル酸−コポリマー:1000〜250000のM;アクリル酸/マレイン酸−コポリマー:2000〜70000のM
【0075】
これらのホモポリマーおよびコポリマー自体の他に、それらのアルコキシル化生成物も添加剤(C2)としてとりわけ重要である。
【0076】
これは本発明に従って、特に部分的に〜(可能である限りにおいて)完全にポリエーテルアルコールでエステル化されたポリマーと理解されるべきである。一般にこれらのポリマーのエステル化度は30〜80モル%である。
【0077】
エステル化のために適しているのは、殊にポリエーテルアルコール自体、有利にはポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、ならびにその片末端封鎖された誘導体、特に相応するモノエーテル、例えばモノアリールエーテル、例えばモノフェニルエーテル、および殊にモノ−C〜C26−アルキルエーテル、例えば脂肪アルコールでエーテル化されたエチレン−およびプロピレングリコール、および例えば相応するポリエーテルアルコールの末端OH基の変換または、有利には第1級脂肪族アミンへのアルキレンオキシドの重付加によって製造可能なポリエーテルアミンである。その際、有利なのはポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテルおよびポリエーテルアミンである。通常、使用されるポリエーテルアルコールおよびその誘導体の平均分子量Mは200〜10000である。
【0078】
極性基対非極性基の比の制御によって、添加剤(C2)の表面活性の特性は目的に合わせて設定されうる。
【0079】
このようなアニオン性表面活性添加剤(C2)も同様に公知でありかつ、例えばSokalan(R)(BASF)、Joncryl(R)(Johnson Polymer)、Alcosperse(R)(Alco)、Geropon(R)(Rhodia)、Good−Rite(R)(Goodrich)、Neoresin(R)(Avecia)、Orotan(R)およびMorez(R)(Rohm & Haas)、Disperbyk(R)(Byk)ならびにTegospers(R)(Goldschmidt)の名称で商業的に得られる。
【0080】
アニオン性表面活性添加剤として、本発明による顔料配合物はさらにポリウレタンベース(C3)の添加剤を含有してよい。
【0081】
その際、本発明に従ってポリウレタンという概念は、多価イソシアネート(C3a)と、イソシアネート反応性ヒドロキシ基を含有する有機化合物(C3b)との純粋な反応生成物のみならず、またさらに他のイソシアネート反応性化合物、例えば第1級アミノ基または第2級アミノ基を有するカルボン酸の添加によって付加的に官能基化されている反応生成物とも理解されるべきである。
【0082】
これらの添加剤は、他の表面活性添加剤と比べてその低いイオン伝導率およびその中性のpH値によって特徴づけられる。
【0083】
添加剤(C3)の製造のための多価イソシアネート(C3a)として、殊にジイソシアネートが適しているが、しかし3つまたは4つのイソシアネート基を有する化合物も使用されうる。芳香族イソシアネートと同様また脂肪族イソシアネートも使用されうる。
【0084】
有利なジ−およびトリイソシアネートのための例として以下のものが記載される:2,4−トルイレンジイソシアネート(2,4−TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'−MDI)、p−キシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4'−MDI)およびトリイソシアナトトルエンならびにイソホロンジイソシアネート(IPDI)、2−ブチル−2−エチルペンタメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、トリメチルヘキサンジイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4,4−および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4'−メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、cis−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネートおよび4−メチルシクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート(H−TDI)。
【0085】
当然のことながら、イソシアネート(C3a)の混合物も使用されうる。例えばここで以下のものが挙げられる:2,4−トルイレンジイソシアネートおよびトリイソシアナトトルエンの構造異性体の混合物、例えば2,4−トルイレンジイソシアネート80モル%と2.6−トルイレンジイソシアネート20モル%からの混合物;cis−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネートとtrans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネートからの混合物;2,4−トルイレンジイソシアネートまたは2,6−トルイレンジイソシアネートと脂肪族ジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートとの混合物。
【0086】
有利にはイソシアネート反応性有機化合物(C3b)として、1分子当たり少なくとも2つのイソシアネート反応性ヒドロキシ基を有する化合物が適している。しかしながら化合物(C3b)として、1分子当たり1つだけのイソシアネート反応性ヒドロキシ基を有する化合物も適している。これらの単官能基化された化合物は、1分子当たり少なくとも2つのイソシアネート反応性ヒドロキシ基を含有する化合物をポリイソシアネート(C3a)との反応に際して部分的にまたはさらに全体的に置換してよい。
【0087】
以下において1分子当たり少なくとも2つのイソシアネート反応性ヒドロキシ基を有するとりわけ有利なイソシアネート反応性化合物(C3b)のための例が記載される。
【0088】
それはポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ラクトンベースのポリエステルジオール、C原子12個を有するジオールおよびトリオール、ジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシスルホン酸、ジヒドロキシホスホン酸、ポリカーボネートジオール、ポリヒドロキシオレフィンおよび1分子当たり平均して少なくとも2つのヒドロキシ基を有するポリシロキサンである。
【0089】
例えば適切なポリエーテルジオール(C3b)は、C〜C−アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンのホモポリマーおよびコポリマーであり、それらは適切な触媒、例えば三フッ化ホウ素の存在において得られる。さらに適切なポリエーテルジオールは、これらの化合物を少なくとも2つの酸性の水素原子を有するスターター、例えば水、エチレングリコール、チオグリコール、メルカプトエタノール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオール、エチレンジアミン、アニリンまたは1,2−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの存在下で(共)重合することによって得ることができる。
【0090】
とりわけ適切なポリエーテルジオール(C3b)のための例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびポリテトラヒドロフランならびにそれらのコポリマーである。
【0091】
ポリエーテルジオールの分子量Mは、有利には250〜5000、とりわけ有利には500〜2500である。
【0092】
イソシアネート反応性化合物(C3b)として適切なポリエステルジオール(ヒドロキシポリエステル)は一般的に公知である。
【0093】
有利なポリエステルジオール(C3b)は、ジオールとジカルボン酸またはそれらの反応性誘導体、例えば無水物またはジメチルエステルとの反応生成物である。
【0094】
ジカルボン酸として、飽和および不飽和の脂肪族ならびに芳香族のジカルボン酸が適しており、それらは付加的な置換基、例えばハロゲンを有してよい。有利な脂肪族ジカルボン酸は、C原子3〜22個、特に4〜12個を含有する飽和非分岐α,ω−ジカルボン酸である。
【0095】
とりわけ適切なジカルボン酸のための例は以下のものである:コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチルエステルおよびイソフタル酸ジメチルエステル。
【0096】
ジオールとして、殊に飽和および不飽和の脂肪族および脂環式のジオールが適している。とりわけ有利な脂肪族α,ω−ジオールは非分岐でありかつ、C原子2〜12個、殊に2〜8個、特に2〜4個を有する。有利な脂環式ジオールはシクロヘキサンから誘導される。
【0097】
とりわけ適切なジオールのための例は以下のものである:エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、cis−およびtrans−ブタ−2−エン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオールおよびcis−およびtrans−1,4−ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン。
【0098】
ポリエステルジオールの分子量Mは、有利には300〜5000である。
【0099】
イソシアネート反応性化合物(C3b)として適切なラクトンベースのポリエステルジオールは、殊にC原子4〜22個、有利には4〜8個を有する脂肪族の飽和非分岐ω−ヒドロキシカルボン酸をベースとする。アルキレン鎖中で1つ以上の−CH−基が−CH(C〜C−アルキル)−によって置換されている分岐したω−ヒドロキシカルボン酸も適している。
【0100】
有利なω−ヒドロキシカルボン酸のための例は、γ−ヒドロキシ酪酸およびδ−ヒドロキシバレリアン酸である。
【0101】
当然のことながら、上記ジオールもイソシアネート反応性化合物(C3b)として適しており、その際、上と同じ利点が当てはまる。
【0102】
イソシアネート反応性化合物(C3b)として同様に適しているのは、殊にC原子3〜12個、特に3〜8個を有するトリオールである。とりわけ適切なトリオールのための例はトリメチロールプロパンである。
【0103】
イソシアネート反応性化合物(C3b)として適切なジヒドロキシカルボン酸として、殊に、有利にはC原子4〜14個を含有する脂肪族飽和ジヒドロキシカルボン酸がとりわけ適している。極めて適しているのは、式
【化1】

[式中、AおよびAは同じまたは異なるC〜C−アルキレン基を意味しかつ、Rは水素またはC〜C−アルキルである]のジヒドロキシカルボン酸である。
【0104】
これらのジヒドロキシカルボン酸のためのとりわけ有利な例はジメチロールプロピオン酸(DMPA)である。
【0105】
さらに、イソシアネート反応性化合物(C3b)として相応するジヒドロキシスルホン酸およびジヒドロキシホスホン酸、例えば2,3−ジヒドロキシプロパンホスホン酸が適している。
【0106】
その際、ジヒドロキシカルボン酸という概念は、1つ以上のカルボキシル官能基(もしくは無水物官能基またはエステル官能基)を含有する化合物も包含する。そのような化合物は、ジヒドロキシ化合物とテトラカルボン酸二無水物、例えばピロメリット酸二無水物またはシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物との反応によって、モル比2:1〜1.05:1で重付加反応において得られかつ、有利には500〜10000の平均分子量Mを有する。
【0107】
適切なポリカーボネートジオール(C3b)のための例として、ホスゲンと過剰のジオール、殊に、C原子2〜12個、殊に2〜8個、特に2〜4個を有する非分岐の飽和脂肪族α,ω−ジオールとの反応生成物が挙げられるべきである。
【0108】
イソシアネート反応性化合物(C3b)として適切なポリヒドロキシオレフィンは、特にα,ω−ジヒドロキシオレフィンであり、その際、α,ω−ジヒドロキシブタジエンが有利である。
【0109】
さらにイソシアネート反応性化合物(C3b)として適切なポリシロキサンは、1分子当たり平均して少なくとも2つのヒドロキシ基を含有する。とりわけ適切なポリシロキサンは平均してSi原子5〜200個(数平均)を有しかつ、特にC〜C12−アルキル基、殊にメチル基により置換されている。
【0110】
イソシアネート反応性ヒドロキシ基を1つだけ有するイソシアネート反応性化合物(C3b)のための例として、殊に脂肪族の、脂環式の、芳香脂肪族のまたは芳香族のモノヒドロキシカルボン酸および−スルホン酸が挙げられる。
【0111】
ポリウレタンベース(C3)の付加物は、化合物(C3a)と(C3b)の反応によって製造され、その際、(C3a)対(C3b)のモル比は一般に2:1〜1:1、有利には1.2〜1〜1:1.2である。
【0112】
その際、可能であるのは、前記のイソシアネート反応性化合物(C3b)の他に、イソシアネート反応性基を有するさらに他の化合物、例えばジチオール、チオアルコール、例えばチオエタノール、アミノアルコール、例えばエタノールアミンおよびN−メチルエタノールアミン、またはジアミン、例えばエチレンジアミンを添加すること、およびそれによってウレタン基の他にさらにイソシアヌレート基、アロファネート基、尿素基、ビウレット基、ウレトジオン基またはカルボジイミド基を有するポリウレタンを製造することである。そのようなイソシアネート反応性化合物のためのさらに他の例は、少なくとも2つの第1級アミノ基および/または第2級アミノ基を有する脂肪族の、脂環式の、芳香脂肪族のまたは芳香族のカルボン酸およびスルホン酸である。
【0113】
当然のことながらまた、イソシアネート反応性基を1つだけ有する相応する化合物、例えばモノアルコール、第1級モノアミンおよび第2級モノアミン、モノアミノカルボン酸およびモノアミノスルホン酸およびメルカプタンも添加してよい。通常の使用量は、(C3a)に対して10モル%までである。
【0114】
有利には、反応生成物(C3)のカルボキシル基は、水溶性を保証するために少なくとも部分的に塩の形で存在する。適しているのは、例えばナトリウム塩およびカリウム塩、およびアンモニウム塩のようなアルカリ金属塩である。
【0115】
通常、付加物(C3)は500〜250000の平均分子量Mを有する。
【0116】
極性基対非極性基の比の制御によって、付加物(C3)の表面活性特性が目的に合わせ設定されうる。
【0117】
このようなアニオン性表面活性付加物(C3)は公知でありかつ、商業的に例えばBorchi(R)GEN SN 95(Borchers)の名称で得られる。
【0118】
ポリエーテル(C4)の酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよび/またはスルホン酸エステルをベースとする水溶性のアニオン性表面活性付加物は、殊に上記のポリエーテル(C1)とリン酸、五酸化リンおよびホスホン酸もしくは硫酸およびスルホン酸との反応生成物をベースとする。この際、ポリエーテルは相応するリン酸モノエステルまたはリン酸ジエステルおよびホスホン酸エステルもしくは硫酸モノエステルおよびスルホン酸エステルに変換される。これらの酸性のエステルは、有利には水溶性の塩の形で、殊にアルカリ金属塩、特にナトリウム塩、およびアルミニウム塩として存在し、しかしながらそれらは遊離酸の形でも使用されうる。
【0119】
有利なホスフェートおよびホスホネートは、特に、アルコキシル化された、殊にエトキシル化された、脂肪アルコールおよびオキソアルコール、アルキルフェノール、脂肪アミン、脂肪酸および樹脂酸から誘導され、有利なスルフェートおよびスルホネートは、殊に、アルコキシル化された、特にエトキシル化された、脂肪アルコール、アルキルフェノールおよびアミン、また多価アミン、例えばヘキサメチレンジアミンをベースとする。
【0120】
このようなアニオン性表面活性付加物は公知でありかつ、例えばNekal(R)(BASF)、Tamol(R)(BASF)、Crodafos(R)(Croda)、Rhodafac(R)(Rhodia)、Maphos(R)(BASF)、Texapon(R)(Cognis)、Empicol(R)(Albright & Wilson)、Matexil(R)(ICI)、Soprophor(R)(Rhodia)およびLutensit(R)(BASF)の名称で商業的に得られる。
【0121】
通常、着色剤配合物は1〜50質量%の、殊に1〜40質量%の分散剤(C)の含量を有する。
【0122】
水は着色剤配合物の液状の担体材料を形成する。
【0123】
有利には、着色剤配合物は水と水保持剤との混合物を液相として含有する。殊に水保持剤として、気化しにくい(すなわち、一般に沸点>100℃を有する)、それゆえ水保持作用があり、水中に可溶性でありまたは水と混合可能である有機溶媒が使用される。
【0124】
適切な水保持剤のための例は、多価アルコール、有利にはC原子2〜8個、殊に3〜6個を有する非分岐のおよび分岐した多価アルコール、例えばエチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、グリセロール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ペンチトール、例えばアラビトール、アドニトールおよびキシリトール、およびヘキシトール、例えばソルビトール、マンニトールおよびズルシトールである。さらに、例えばジ−、トリ−およびテトラアルキレングリコールおよびそれらのモノ−(特にC〜C−、殊にC〜C−)アルキルエーテルも適している。例えばジ−、トリ−およびテトラエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチル−、−エチル−、−プロピル−および−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル−、−エチル−、−プロピル−および−ブチルエーテル、ジ−、トリ−およびテトラ−1,2−および−1,3−プロピレングリコールおよびジ−、トリ−およびテトラ−1,2−および−1,3−プロピレングリコールモノメチル−、−エチル−、−プロピル−およびブチルエーテルが挙げられる。
【0125】
一般に着色剤配合物は液相(D)10〜88.95質量%、有利には10〜80質量%を含有する。水が、水を保持する有機溶媒との混合物中で存在する場合、この溶媒は一般的に相(D)の1〜80質量%、有利には1〜60質量となる。
【0126】
さらに着色剤配合物は、成分(E)としてその割合が一般的に5質量%までであってよいさらに通常の添加剤、例えば殺虫剤、消泡剤、沈殿防止剤およびレオロジー変性剤を含有してよい。
【0127】
着色剤配合物は様々な方法で得ることができる。有利にはまず顔料分散液が製造され、それは次いで染料に固体としてまたは、殊に溶解したまたは液状の、殊に水性の、分散した形の相において添加される。
【0128】
着色剤配合物は、本発明による木質材料板のために用いられる、木材繊維もしくは木屑およびバインダーからの混合物のためのベースとして様々の方法でかつ製造プロセスの様々の箇所で添加されうる。有利なMDF/HDF板の場合、それらは有利にはブローラインを介して接着剤と別個にまたは接着剤と一緒にシート製造プロセスに直接導入される。
【0129】

本発明によるMDF板の製造
例1
a)漂白
馬蹄形攪拌機およびサーモスタットで調整される加熱装置を有する5l容器において、木材繊維(トウヒ)70gおよびエチレンジアミンテトラ酢酸(Trilon(R)B、BASF)1gを水3l中で攪拌しながら70℃に加熱した。過炭酸ナトリウム7gの添加後1時間、70〜75℃で攪拌した、次いで亜ジチオン酸ナトリウム7gを添加し、引き続きさらに30分、70〜75℃で攪拌した。
【0130】
パルプスラリー (Holzstoffmaisch)を、冷却後に室温でメッシュ幅1mmのふるいを介して液状成分から分離しかつ、水を流しながら短時間で洗浄しかつ完全に圧延した。延展されたろ過材料を、次いで60℃で循環空気乾燥庫(Umlufttrockenschrank)において3日間乾燥した。
【0131】
b着色
漂白された木材繊維をブレードミキサーにおいて十分に混合しかつ以下の表中に記載された接着剤バッチ(Leimansatz)で噴霧し、該バッチはそこで同様に示される組成の灰色の顔料配合物を含有していた。
【0132】
【表1】

【0133】
引き続き、接着剤が施与された繊維を流し込みマットを形成し、低温で前圧縮しかつ190℃でプレスにかけ板を形成した。
【0134】
比較のために、別様に変えられなかった処理方法でMDF板を未漂白の木材繊維から製造した。
【0135】
両方のケースにおいて、明るい灰色のMDF板が得られた。しかしながら、比較のために製造されたMDF板は黄色がかった−褐色がかった灰色の色合いを有しており、その一方で漂白された木材繊維からの本発明によるMDF板は、混じりけのない明るい灰色の色合い(比較に対する明度差ΔL*:2)を示した。
【0136】
例2
MDFパイロットプラントにトウヒ材(Fichtenholz)からの木材チップを装填し、かつMDF製造プロセスを21kg/hの流量で開始した。精砕機にかける直前に、亜ジチオン酸ナトリウム5%/atro繊維に相当する20質量%の亜ジチオン酸ナトリウム水溶液をプロセスにポンプ供給した。
【0137】
結果生じる漂白された木材繊維をブローラインによって連続的に表2に記載された接着剤バッチで噴霧し、該バッチはそこで同様に示される組成の顔料配合物を含有していた。
【0138】
【表2】

【0139】
接着剤が施与された木材繊維を、接続されている連続的な乾燥機中で約9%の残留湿分に乾燥し、次いで不連続的に流し込みしマットを形成し、低温で前圧縮しかつ190℃にて15s/mmのプレス時間係数でプレスし16mmの厚さの板を形成した。
【0140】
漂白なしの、しかし別様に変えられなかった処理方法で製造されたMDF板の場合、3単位の明度差ΔL*が明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漂白されておりかつ少なくとも1つの顔料と電磁スペクトルの可視領域で吸収する染料とを含有する液状の着色剤配合物で着色されている木材繊維から製造されている明色の木質材料板。
【請求項2】
木材繊維がまず酸化漂白され、次いで還元漂白されている、請求項1記載の木質材料板。
【請求項3】
木材繊維が、顔料に対して染料0.01〜10質量%を含有する着色剤配合物で着色されている、請求項1または2記載の木質材料板。
【請求項4】
木材繊維が、
(A)少なくとも1つの顔料10〜70質量%、
(B)電磁スペクトルの可視領域で吸収する少なくとも1つの染料0.05〜7質量%、
(C)少なくとも1つの分散剤1〜50質量%、
(D)水または、水と少なくとも1つの水保持剤との混合物10〜88.95質量%および
(E)着色剤配合物のために通常のさらに他の成分0〜5質量%
を含有する着色剤配合物で着色されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の木質材料板。
【請求項5】
木材繊維が≦1/9の標準色濃度で着色剤配合物により着色されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の木質材料板。
【請求項6】
木材繊維がCIELAB明度値L*≧75を有する着色剤配合物で着色されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の木質材料板。
【請求項7】
木質材料板がMDF板、HDF板またはパーティクルボードであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の木質材料板。
【請求項8】
調度品を製造するための、請求項1から7までのいずれか1項記載の木質材料の使用。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項記載の木質材料板を含有する調度品。

【公表番号】特表2009−500189(P2009−500189A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518798(P2008−518798)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063499
【国際公開番号】WO2007/000418
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】