説明

易分別性の複合キャップ

【課題】口頸部101 外周に装着筒10を抜け出しを防止して嵌合させて容器体100 に装着した中栓Aと、装着筒上方へ立設した中栓の嵌合筒13外周に周壁30を着脱可能に嵌合係止し、周壁下端縁より装着筒外周にリングCを垂設したキャップBとを備え、キャップ周壁下端縁の一部とリング上端縁の一部とが連結部40を介して一体に連結され、連結部以外の非連結部分に於いて、キャップ周壁下端縁とリング上端縁とが周方向複数の易切断性連結片41で連結されている複合キャップの改良に係る。
【解決手段】易切断性連結片を切断してリングを回動させた状態でキャップを中栓に螺着し、リングを引き上げることにより容易に中栓を容器体から取り外すことかできるが、この際、リングの連結部40両側位置に、連結部両側縁をそれぞれ延長する一対のスリット42を設けて連結部の湾曲を容易とすることで離脱操作を容易とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中栓とキャップとからなる複合キャップに関し、詳しくは、廃棄の際に装着した容器体からの取り外しが容易な易分別性の複合キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄の際に容器体から簡単に分離できて、分別処理が容易な易分別性の複合キャップに関して、本出願に既に提案している。(例えば特許文献1参照)
【0003】
上記特許文献1の複合キャップは、外周に装着筒を嵌合させて容器体に装着するとともに、装着筒と口頚部外周とに抜け出しを防止して係合させた抜け出し防止手段を備え、且つ、装着筒上方へ嵌合筒を立設した中栓と、嵌合筒外周に周壁を嵌合係止して中栓に着脱可能に装着するとともに、周壁下端縁より装着筒外周にリングを垂設したキャップとを備え、キャップ周壁下端縁の一部とリング上端縁の一部とが連結部を介して一体に連結されているとともに、連結部以外の非連結部分に於いて、キャップ周壁下端縁とリング上端縁とが周方向複数の易切断性連結片で連結されている。
【0004】
そして、廃棄の際にはキャップをリング共々螺脱した後、キャップをもってリングを引っ張る等して各易切断性連結片を切断するとともに、連結部を中心にキャップに対してリングを回動させ、再びキャップを中栓に螺着できる位置まで回動させる。しかる後、その状態でキャップを中栓に螺着させ、次いでその状態からリングを上方に引き上げると、キャップと中栓は螺合しているため外れず、中栓が持ち上げられて容器体から外れる如く構成している。
【特許文献1】特願2008−047792号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記複合キャップは、容器使用後の廃棄の際に容器体から簡単に取り外すことができ、取り外す際には治具を用いずに行うことができ、また、容器体装着時には確実に固定されて嵌合弛み等の虞れがなく、取り外す際には効率よく力が伝達して取り外し易い等の効果を発揮する優れたものである。
【0006】
本発明は上記複合キャップを更に改良したものであり、リングとキャップとの充分な連結強度を備えつつ、リングのキャップに対する回動がより行い易く、中栓の取り外し操作をより簡便且つ確実に行える易分別性の複合キャップを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、口頸部101 外周に装着筒10を嵌合させて容器体100 に装着するとともに、装着筒10と口頸部101 外周とに抜け出しを防止して係合させた抜け出し防止手段を備え、且つ、装着筒10上方へ嵌合筒13を立設した中栓Aと、嵌合筒13外周に周壁30を嵌合係止して中栓Aに着脱可能に装着するとともに、周壁30下端縁より装着筒10外周にリングCを垂設したキャップBとを備え、キャップ周壁30下端縁の一部とリングC上端縁の一部とが連結部40を介して一体に連結されているとともに、連結部40以外の非連結部分に於いて、キャップ周壁30下端縁とリングC上端縁とが周方向複数の易切断性連結片41で連結されている易分別性の複合キャップに於いて、リングCの連結部40両側位置に一対のスリット42を設けた。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、嵌合筒13外周に周壁30を嵌合した際の係止手段を螺合とした。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかの手段に於いて、前記中栓Aを、装着筒10の上端縁より口頸部101 上に延設したフランジ12を介して嵌合筒13を立設して構成し、前記キャップ周壁30の外周下端部と、嵌合筒13外周に位置するリングCの上端部とを、前記連結部40及び易切断性連結片41で連結した。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの手段に於いて、中栓Aを軟質プラスチックで形成した。
【発明の効果】
【0011】
本発明の複合容器は、リングCの連結部40両側位置に一対のスリット42を形成しているので、キャップBとリングCの間の連結部40の連結幅が小さくても、連結部40を容易に屈曲或いは湾曲させることができ、中栓A取り外しの際に取り扱い易く円滑な取り外しを行える。また、連結部40の充分な強度を得る為に連結部40の横幅を大きいものとした場合でも、スリット42の切込み幅を長めに調整する等により連結部40を容易に屈曲或いは湾曲させることができる。また、嵌合筒13周囲に着脱可能に嵌合係止させたキャップBを介して取り外すための力が伝達されるため、力が中栓Aの装着筒10の全体に亘って及ぼされる傾向があり、容器使用後の廃棄の際に容易に取り外すことができ、その操作も極めて簡単に行うことができ、分別廃棄を容易に行える。また、取り外しに当たり治具等を必要とせずに行える利点もある。また、リングCは周壁30を延設した状態のキャップBの一部として構成されているため、使用時に邪魔となることはなく取り扱いも極めて便利である。
【0012】
嵌合筒13外周に周壁30を嵌合した際の係止手段を螺合とした場合は、キャップBを簡単に着脱することができ、しかも容器使用後の廃棄の際にリングCからの周壁30を上方へ引き上げる大きな力がかかっても嵌合筒13と周壁30とが外れる虞れは全くなく、より確実に装着筒10を口頸部101 から離脱することができる。
【0013】
中栓Aを、装着筒10の上端縁と嵌合筒13の下端縁とを、口頸部101 上に延設したフランジ12により連結して構成し、前記キャップ周壁30の外周下端部と、嵌合筒13外周に位置するリングCの上端部とを、前記連結部40及び易切断性連結片41で連結した場合は、リングCとキャップBとの径差の存在がスリット42の存在と相俟って、更に無理のないリングCの回動を行える利点がある。また、キャップ周壁30の螺着終点を確実に特定でき、装着筒10の嵌合がしっかりとした強固な嵌合となる。
【0014】
中栓Aを軟質プラスチックで形成した場合には、係合部分である装着筒10等が変形し易く、より取り外し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1乃至図5は易分別性の複合キャップ1の一例を示すもので、複合キャップ1は、中栓Aと、キャップBと、リングCとを備えている。
【0017】
複合キャップ1は、容器体100 の口頸部101 に装着して使用する。容器体100 の口頸部101 外周には装着する中栓Aを係止するための係止突条102 を突周設している。
【0018】
中栓Aは、口頸部101 外周に装着筒10を嵌合させて容器体100 に装着している。装着筒10の内周下端部には係合突条11を突周設し、この係合突条11を口頸部101 外周の係止突条102 に乗り越え係合させて上方への抜け出し防止を図っている。また、装着筒10の上端より内方へフランジ12を延設し、フランジ12の内周縁より上方に、外周に螺条を周設した嵌合筒13を立設している。また、フランジ12の内周縁より下方へ垂設したシール筒14を口頸部101 内周上端に液密に嵌合させてこの部分に液密性を付与する如く構成している。
【0019】
また、周壁30の上端縁より内方へ延設したフランジ状頂板15の内周縁に、外面上部を一体に連結して、嵌合筒13の内側に二重筒状に注出筒16を垂設している。注出筒16の上端部は嵌合筒13の上方に於いてラッパ状に広げられ、また、下端部に横設した閉塞壁17により容器体100 内外を遮断している。閉塞壁17には線状の薄肉部18により囲成された除去壁部17a を画成し、除去壁部17a の上部より支柱19を介してプルリング20を立設している。中栓Aは、熱可塑性合成樹脂等の一般的な合成樹脂で形成することができるが、例えばASTMで定義される如き軟質プラスチックを使用すれば、より取り外しが容易となる。
【0020】
キャップBは、内周に螺条を周設した周壁30上端縁より頂壁31を延設した下端開口の有頂筒状をなし、周壁下端縁よりリングCを一体に垂設している。そして、周壁30を嵌合筒13外周に螺着して中栓Aに着脱可能に装着している。その際、周壁30下面が螺着終点位置でフランジ12上面に当接する如く構成している。また、頂壁31の裏面からは、注出筒16の内周上端部に液密に嵌合するシール筒部32を垂設しており、キャップB装着時にその部分のシール性を付与する如く構成している。尚、キャップBの嵌合筒13への係止手段としては、本例の如き螺合に限らず、例えば、嵌合筒13外周に設けたL字状の係合溝にキャップ周壁30内面に突設した係合突起を係合溝の垂直部分を下降させた後水平部分へ回動させることで係止させる、所謂ツイストロック方式を採用でき、その他上方への抜け出しを防止して係止できる公知手段を採用できる。
【0021】
リングCは、キャップBと合成樹脂により一体に形成されたもので、その上端縁の一部とキャップ周壁30下端縁の一部とを連結部40を介して連結するとともに、連結部40以外の非連結部分に於いて、両者を周方向複数の易切断性連結片41で連結している。また、リングCの連結部40両側位置に、連結部40両側辺をそれぞれ延長する一対のスリット42を設けている。連結部40は廃棄の際当該部分を中心にリングCを回動させることが可能で、しかも、回動させた後にキャップBを中栓Aに嵌合させて強く引き上げても切断しない必要がある。従って、これらの要件を満たすべく所定の肉厚、横幅、スリット42の切込み幅等を設定する。
【0022】
リングCを回動させる都合上、キャップ周壁30下端縁とリングC上端縁との間には隙間を設けると良く、それに伴って連結部40の連結幅も大きくなり、回動の容易さを引き出すことができる。図示例では、リングCをキャップ周壁30の外周より大径に形成してその上端部とキャップ周壁30の外周面下端とを上記連結部40及び易切断性連結片41で連結している。易切断性連結片41は、図4に示す如く、連結部40以外の非連結部分に於いて、キャップ周壁30下端縁とリングC上端縁との間に周方向略等間隔に複数設けている。
【0023】
上記の如く構成した易分別性の複合キャップ1を使用する場合について説明する。まず、図1の状態から周壁30を回動させてキャップBを螺脱し、キャップB及びリングCを中栓Aから取り外すことができる。次いで、プルリング20を掴んで引き上げれば線状の薄肉部18が破断して閉塞壁17に注出口が開口する。この状態で容器体100 内液を注出口を介して注出筒16より注出して使用することができる。液注出後にはキャップBを螺着すれば、シール筒部32が注出筒16に嵌合して液漏れを防止してキャップBを装着しておくことができる。この際、リングCは装着筒10外周に嵌合されている。
【0024】
内溶液を使用し終えた場合に、容器体100 と複合キャップ1とを分別廃棄する場合には、まず、キャップBをリングCと共々螺脱した後、キャップBをもってリングCを引っ張る等して各易切断性連結片41を切断するとともに、リングCを連結部40を中心にキャップBに対して回動させ、再びキャップBを中栓Aに螺着できる位置まで回動させる。この際各スリット42の存在で、強度を得るために充分大きな横幅を備えた連結部40であっても容易に湾曲させることができる。しかる後、図5に示す如く、その状態でキャップBを中栓Aに螺着させる。ついで、その状態からリングCを上方へ引き上げると、キャップBと中栓Aは螺合しているため外れず、中栓Aが持ち上げられて容器体100 から外れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】複合キャップの半断面図である。(実施例1)
【図2】複合キャップの連結部の要部縦断面図である。(実施例1)
【図3】複合キャップの背面図である。(実施例1)
【図4】複合キャップの平面図である。(実施例1)
【図5】複合キャップの取り外しの際の斜視図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0026】
1…複合キャップ
A…中栓
10…装着筒,11…係合突条,12…フランジ,13…嵌合筒,14…シール筒,
15…頂板,16…注出筒,17…閉塞壁,17a …除去壁部,18…薄肉部,19…支柱,
20…プルリング B…キャップ
30…周壁,31…頂壁,32…シール筒部
C…リング
40…連結部,41…易切断性連結片,42…スリット
100 …容器体
101 …口頸部,102 …係止突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部101 外周に装着筒10を嵌合させて容器体100 に装着するとともに、装着筒10と口頸部101 外周とに抜け出しを防止して係合させた抜け出し防止手段を備え、且つ、装着筒10上方へ嵌合筒13を立設した中栓Aと、嵌合筒13外周に周壁30を嵌合係止して中栓Aに着脱可能に装着するとともに、周壁30下端縁より装着筒10外周にリングCを垂設したキャップBとを備え、キャップ周壁30下端縁の一部とリングC上端縁の一部とが連結部40を介して一体に連結されているとともに、連結部40以外の非連結部分に於いて、キャップ周壁30下端縁とリングC上端縁とが周方向複数の易切断性連結片41で連結されている易分別性の複合キャップに於いて、リングCの連結部40両側位置に一対のスリット42を設けたことを特徴とする易分別性の複合キャップ。
【請求項2】
嵌合筒13外周に周壁30を嵌合した際の係止手段を螺合とした請求項1記載の複合キャップ。
【請求項3】
前記中栓Aを、装着筒10の上端縁より口頸部101 上に延設したフランジ12を介して嵌合筒13を立設して構成し、前記キャップ周壁30の外周下端部と、嵌合筒13外周に位置するリングCの上端部とを、前記連結部40及び易切断性連結片41で連結した請求項1又は請求項2のいずれかに記載の複合キャップ。
【請求項4】
中栓Aを軟質プラスチックで形成した請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の複合キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−262986(P2009−262986A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118028(P2008−118028)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】