説明

易裂き性ジッパーテープ、及び、易裂き性ジッパーテープ付き包装袋

【課題】容易に開封できる易裂き性ジッパーテープ、及び、易裂き性ジッパーテープ付き包装袋を提供する。
【解決手段】
カット部7における、第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614間に連結部613を設けた。さらに、この連結部613に一箇所に応力が集中可能な最肉薄部66を設けた。したがって、袋体の基材フィルム24を引き裂く際、連結部613はカットラインを最肉薄部66に誘導し、その最肉薄部66にカットラインを位置決めすることができるので、容易に開封することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易裂き性ジッパーテープ、及び、易裂き性ジッパーテープ付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品、医療品、雑貨等の各種物品を包装するための包装材としては、袋体の開口部に対して雄部材及び雌部材より形成されて雌雄咬合する一対の帯状のジッパーテープを配設し、かかる咬合状態を開閉自在としたジッパーテープ付き包装袋が適用されている。
このようなジッパーテープ付き包装袋は、開口部がシールされることによって密封される。ジッパーテープ付き包装袋を開封するときは、包装袋の両側に形成されたノッチなどの切込みや切欠き等から袋体の基材フィルムを引き裂くようにシール部分を除去して開封することができる。
この開封する時、ジッパーテープ近傍で基材フィルムが切れて、ジッパーテープの咬合を解除するために袋体を掴む部分を確保できず、開封作業が煩雑となる問題がある。そこで、基材フィルムを所定の位置で引き裂く技術が求められている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のジッパーテープは、雄部材及び雌部材の長手方向の一縁に第一の凸状部及び第二の凸状部間に、第一の凸状部及び第二の凸状部よりも薄肉の薄肉部を備えたカット部をそれぞれ設けている。この構成により、開封時には、薄肉部が引き裂かれることとなり、ジッパーテープの咬合解除のための十分な袋体の掴み部分が確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/035494号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の薄肉部は、所定の幅寸法を有するためカットラインが蛇行して容易に引き裂くことができない場合がある。
ここで、カットラインが蛇行しないように薄肉部の幅寸法を小さくしようとすると、ノッチなどの引裂開始部から薄肉部にカットラインを誘導しにくくなる。
そこで、例えば、図17に示すようにジッパーテープ9にカットラインが蛇行しない構成を設けることが考えられる。この図17に示すジッパーテープ9は、袋体10の内面10Aに融着された一対の雄部材91及び雌部材92を有する帯状基部91A及び92Aを備える。帯状基部92Aは、その一縁に第一の凸状部92B、薄肉部92C及び第二の凸状部92Dを備える。薄肉部92Cは、第一の凸状部92B及び第二の凸状部92Dよりも薄肉に形成されている。そして、薄肉部92Cは、補強部としてのリブ92C1をその幅方向に所定間隔を有して複数条備える。
そして、開封する際、2つのリブ92C1間で薄肉部92Cが引き裂かれることになり、カットラインCが2つのリブ92C1間で位置決めされ、カットラインが蛇行しない。
しかし、この図17に示すようなジッパーテープ9では、図18に示すように、ノッチ12から引き裂く際、リブ92C1の両側の薄肉部92Cが切れてカットラインが2本形成されてしまい、リブ92C1が紐状の破断片となる場合がある。この場合、破断片により外観が悪化したり、破断片が雄部材91及び雌部材92の咬合を阻害して十分な密封が得られないなどの不都合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、容易に開封できる易裂き性ジッパーテープ、及び、易裂き性ジッパーテープ付き包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の易裂き性ジッパーテープは、雄部材を有する雄側帯状基部と、前記雄部材に咬合可能な雌部材を有する雌側帯状基部とを備え、開口部を有する袋体の内面に前記開口部に沿って取り付けられる易裂き性ジッパーテープであって、前記雄側帯状基部及び前記雌側帯状基部のうちの少なくともいずれか一方の帯状基部は、長手方向に沿った前記開口部側の縁に、前記一方の帯状基部の厚さ寸法より肉厚で前記帯状基部に沿って長手状の一対の肉厚部とこれら肉厚部間に設けられた連結部とを有するカット部を備え、前記連結部は、一箇所に応力が集中可能な最肉薄部を有したことを特徴とする。
【0008】
(2)さらに、本発明では、前記連結部は、前記一対の肉厚部のうち一方から他方の肉厚部に向かうに従って厚さ寸法が小さくなる形状に形成されたことが好ましい。
(3)また、本発明では、前記連結部は、それぞれ前記雄側帯状基部及び前記雌側帯状基部に設けられ、前記雄側帯状基部及び前記雌側帯状基部の連結部のうちいずれか一方は、前記開口部と反対側の肉厚部から前記開口部側の肉厚部に向かうに従って厚さ寸法が小さくなる形状に形成され、前記雄側帯状基部及び前記雌側帯状基部の連結部のうちいずれか他方は、前記開口部側の肉厚部から前記開口部と反対側の肉厚部に向かうに従って厚さ寸法が小さくなる形状に形成されたことが好ましい。
(4)そして、本発明では、前記一対の肉厚部は、それぞれ前記袋体の内面に接着される接着面を有したことが好ましい。
(5)そして、本発明では、前記連結部は、前記接着面に対して前記帯状基部の厚さ方向に後退した位置に配置された傾斜面を有したことが好ましい。
(6)さらに、本発明では、前記カット部のうちの少なくとも連結部には、その幅方向の全体に亘って厚さ方向に貫通した孔が形成されたことが好ましい。
(7)ここで、上記(6)において、前記孔は、さらに前記肉厚部の一部を含んで形成されたことが好ましい。
【0009】
(8)本発明の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋は、封入物を封入可能な開口部を有した袋体と、この袋体の内面に接着された(1)から(7)までのいずれか一つに記載の易裂き性ジッパーテープと、を備えたことを特徴とする。
(9)また、本発明の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋は、封入物を封入可能な開口部を有した袋体と、この袋体の内面に接着された(6)又は(7)に記載の易裂き性ジッパーテープとを備え、前記袋体は、前記易裂き性ジッパーテープの長手方向の端部が接着されたサイドシール部を有し、前記易裂き性ジッパーテープの孔は、その長さ寸法が前記サイドシール部の幅寸法と同等、又は同等よりも大きいことを特徴とする。
(10)ここで、本発明では、(8)又は(9)に記載の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋であって、(1)から(7)までのいずれか一つに記載の易裂き性ジッパーテープの連結部が、前記袋体の内面に接着されていないことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開封する際、連結部の一箇所に設けた最肉薄部にカットラインを誘導し、その最肉薄部に引裂き位置を位置決めするため、容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第一実施形態のジッパーテープ付き包装袋を示す正面図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】第一実施形態の易裂き性ジッパーテープを示す断面図。
【図4】第一実施形態の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋のノッチ部分近傍を拡大して示す断面図。
【図5】他の第一実施形態の易裂き性ジッパーテープを示す断面図。
【図6】さらに他の第一実施形態の易裂き性ジッパーテープの連結部を拡大して示す断面図。
【図7】さらに他の第一実施形態の易裂き性ジッパーテープの連結部を拡大して示す断面図。
【図8】第一実施形態のジッパーテープ付き包装袋を切裂いた後の状態を示す正面図。
【図9】第二実施形態のジッパーテープ付き包装袋を示す正面図。
【図10】図9のX−X断面図。
【図11】図9のXI−XI断面図。
【図12】図9のXII−XII断面図。
【図13】第二実施形態のジッパーテープ付き包装袋の製造方法を示す図。
【図14】他の第二実施形態のジッパーテープ付き包装袋を示す断面図。
【図15】前記他の第二実施形態のジッパーテープ付き包装袋におけるサイドシール部を示す断面図。
【図16】さらに他の第二実施形態のジッパーテープの孔の形状を示す正面図。
【図17】従来の易裂き性ジッパーテープを示す断面図。
【図18】従来の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋のノッチ部分近傍を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
[易裂き性ジッパーテープ付き包装袋の構成]
図1は、本発明の第一実施形態に係る易裂き性ジッパーテープ付き包装袋の正面図である。図2は図1のII−II断面図である。図3は、第一実施形態の易裂き性ジッパーテープを示す断面図である。図4は、第一実施形態の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋のノッチ部分近傍を拡大して示す断面図である。
【0013】
図1、2に示すように、第一実施形態の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋1(以下、「包装袋」と略記する場合がある)は、袋体2と、易裂き性ジッパーテープ3(以下、「ジッパーテープと略記する場合がある」)とを備える。
袋体2は、包材となる基材フィルム24が重ね合わされて形成され、その周縁にサイドシール部21及びトップシール部22を備える。トップシール部22は、袋体2の封入物を投入する開口部23がシールされることにより形成される。
サイドシール部21は、トップシール部22側の端部に引裂開始部としてのV字形のノッチ25がそれぞれ形成される。
【0014】
基材フィルム24としては、単層フィルムに限らず、基材層241にシーラント層242を積層した構成の積層フィルムや、要求される性能に応じて基材層241とシーラント層242との間に、中間層としてガスバリアー層、遮光層、強度向上層などを積層した構成の積層フィルム層を使用してもよい。
基材層241には、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)のほか、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)などの二軸延伸ポリエステルフィルムや、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などの二軸延伸ポリアミドフィルムなどを好適に使用することができるが、必要に応じて各種エンジニアリングプラスチックフィルムを使用することもできる。また、これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用することもできる。
中間層をガスバリアー層とする場合、中間層には、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルムのほか、アルミニウム箔、或いは、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を使用することができる。
【0015】
また、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を使用する場合は、基材層241の内面に蒸着または塗布して形成してもよく、また、別の二軸延伸ナイロンフィルム(ONyフィルム)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などに蒸着または塗布して形成しておいて、そのフィルムを中間層に積層してもよい。
これらのうち、アルミニウム箔とアルミニウム蒸着層は、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
基材層241と中間層のフィルムの積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
【0016】
最内層のシーラント層242には、低密度ポリエチレンや、ポリプロピレン(CPP)などを使用することができる。
なお、シーラント層242の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押出ラミネーション法で積層してもよく、また、前記の樹脂を押し出しコートして積層し、基材フィルム24を得ることができる。
【0017】
図1〜3に示すように、ジッパーテープ3は、一方のサイドシール部21から他方のサイドシール部21に亘って、開口部23の内面242Aに融着されている。
ジッパーテープ3は、雄部材を有する雄側帯状基部51と、雌部材を有する雌側帯状基部61とを備える。
雄側帯状基部51は、袋体2の内面242Aに融着され、雄側帯状基部51に雄側連結部52を介した断面が略鏃(やじり)形状の雄部材としての頭部53を有する。
雌側帯状基部61は、内面242Aに融着され、雌側帯状基部61に一体的に連結された雌部材としての第一のフック部62及び第二のフック部63を有する。第一のフック部62及び第二のフック部63は、断面が円弧形状で互いに対向している。
第一のフック部62及び第二のフック部63は、頭部53に係脱可能に咬合して咬合部4を構成する。
なお、雄側帯状基部51及び雌側帯状基部61は、袋体2の内面242Aに融着された構成に限らず、例えば接着剤などにより接着された構成などとしてもよい。
【0018】
雌側帯状基部61は、第一のフック部62及び第二のフック部63が設けられた帯状の本体611と、本体611の開口部23側の基端縁に配置されたカット部7を備える。
本体611は、咬合部4から開口部23に向かう方向の略中央であって咬合部4のトップシール部22側に形成された本体肉薄部64と、本体肉薄部64のカット部7側に形成された返しリブ65とを備える。
【0019】
本体肉薄部64は、本体611の厚さ寸法よりも肉薄に形成され、袋体2の内面242Aに融着されない状態に配置されている。本体肉薄部64によれば、ジッパーテープ3が袋体2に融着された状態で袋体2が折れ曲った場合、袋体2の変形に応じてジッパーテープ3も容易に折れ曲る。
返しリブ65は、本体611の内面本体融着面611Aと反対側の面である内部側(封入物側)の平面611Bに複数条設けられている。返しリブ65は、その先端側が咬合部4側に向けて突出する状態に形成されている。返しリブ65は、本体611に対する高さ寸法が、本体611に対する第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614の高さ寸法と同程度に形成されている。
カット部7は、咬合部4から開口部23に向かう方向に一連に一対の第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614と、連結部613とを備える。
第一の肉厚部612は、咬合部4側である開口部23と反対側に配置され、第二の肉厚部614は、開口部23側に配置されている。
【0020】
第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614は、本体611の厚さ寸法よりも大きく、肉厚に形成されている。第一の肉厚部612は、内面242Aに融着される接着面としての第一の融着面612Aと、第一の融着面612Aと反対側の面である第一の内部側面612Bとを有する。また、第二の肉厚部614は、内面242Aに融着される接着面としての第二の融着面614Aと、第二の融着面614Aと反対側の面であり内面242Aに融着される第二の内部側面614Bとを有する。
【0021】
連結部613は、トップシール部22に沿って長手状に配置され、その長手方向の両端がノッチ25に対応する位置に配置されている。
また、連結部613は、内面242Aに対向する傾斜面としての袋側傾斜面613Aと、袋側傾斜面613Aと反対側の面である傾斜面としての内部側傾斜面613Bとを有する。袋側傾斜面613Aは第一の融着面612A及び第二の融着面614Aに対して厚さ方向で袋体2の内部側に後退した位置に配置されている。つまり、連結部613の袋側傾斜面613Aは、第一の融着面612A及び第二の融着面614Aに対して段差状に設けられ、内面242Aに対して所定の間隔を有しており、内面242Aに融着されていない。
また、内部側傾斜面613Bも第一の内部側面612B及び第二の内部側面614Bに対して厚さ方向で内面242A側に後退した位置に配置されている。つまり、連結部613の内部側傾斜面613Bは、第一の内部側面612B及び第二の内部側面614Bに対して段差状に設けられており、内面242Aに融着されていない。
【0022】
連結部613は、第一の肉厚部612、第二の肉厚部614及び本体611よりも厚さ寸法が肉薄に形成されている。
連結部613は、第二の肉厚部614から第一の肉厚部612に向かう方向に、厚さ寸法が次第に小さくなる形状、すなわち、テーパ形状に形成されている。
つまり、連結部613は、第一の肉厚部612側の基端縁が最も厚さ寸法が小さく、第二の肉厚部614側の基端縁が最も厚さ寸法が大きい状態に形成されている。
すなわち、連結部613の袋側傾斜面613A及び内部側傾斜面613Bは、第二の肉厚部614から第一の肉厚部612に向かうに従って互いに近接する状態に形成されている。
そして、連結部613は、最も厚さ寸法が小さい第一の肉厚部612側の基端縁に最肉薄部66を一つ有する。この最肉薄部66は、袋体2を引き裂く際に応力が集中する状態に形成されている。また、最肉薄部66は、雌側帯状基部61の長手方向に沿って形成されている。
【0023】
ここで、連結部613の第二の肉厚部614側の基端縁の厚さ寸法をAとし、第二の肉厚部614側の基端縁である最肉薄部66の厚さ寸法をBとしたとき、A/Bは、1.1以上であることが好ましく、2以上であることが好ましい。ここで、A/Bを1.1以上とすることにより、連結部613がカットラインCを最肉薄部66に誘導しやすくなる。
さらに、連結部613の幅寸法は、0.5mm以上5mm以下が好ましく、より好ましい範囲は1mm以上3mm以下である。連結部613の幅寸法が0.5mm未満の場合、連結部613をテーパ状に形成することが困難になる場合がある。一方、連結部613が5mmを超える場合、カットラインCを最肉薄部66に誘導することができない場合がある。
【0024】
雄側帯状基部51は、雌側帯状基部61と同様に、頭部53及び雄側連結部52が設けられた帯状の本体511と、本体511より厚さ寸法が肉厚に形成された第一の肉厚部512とを備える。
第一の肉厚部512は、咬合部4からの距離が、第一の肉厚部612における咬合部4からの距離より短く形成されている。このことにより、第一の肉厚部612及び第一の肉厚部512は、段差状に位置する状態に形成されている。
また、本体511は、本体611と同様、本体融着面511A、平面511B、本体薄肉部54及び返しリブ55を対応する位置に複数有する。
なお、ジッパーテープ3は、多層であってもよく、連結部613を除いた部分にシール層を設けることが好ましい。
すなわち、本体511及び第一の肉厚部512と、本体611、第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614とは、シール層を介して袋体2の内面242Aに融着されていることが好ましい。
この構成にすることで、袋体2の内面242Aに連結部613が融着され難くなる。
【0025】
ジッパーテープ3の頭部53及び雄側帯状基部51と、第一のフック部62、第二のフック部63及び雌側帯状基部61とは、再開閉可能であれば特に限定されないが、一般的に使われている低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂などにて形成することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン(RPP)、プロピレン−エチレン−ブテン1ランダム三元共重合体、ポリオレフィン系特殊軟質樹脂(TPO樹脂。例えばプライムポリマーTPO)等の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を混合した混合物を使用することができる。
【0026】
[易裂き性ジッパーテープ及び易裂き性ジッパーテープ付き包装袋の製造]
ジッパーテープ3を製造するには、共押出成形法により一体化して得ることができる。共押出法により成形すれば、製造工程を簡略化でき、製造コストを低くでき、ジッパーテープ3を連続的に安定して製造することができる。
【0027】
そして、基材フィルム24と、ジッパーテープ3を用いて、ジッパーテープ付け三方シール製袋機等を用いて包装袋1を製造する。
ジッパーテープ付け三方シール製袋機は、例えば包材送出部から送り出された一対の基材フィルム24の間に、テープ送出部から送り出されたジッパーテープ3を位置させて、ジッパーテープ3と基材フィルム24を融着させるジッパーテープ融着工程を経た後、搬送される基材フィルム24を、基材フィルム24の搬送方向に対して所定間隔で融着及び切断して包装袋1を形成する。
なお、包装袋1のサイドシール部21を形成する際、ジッパーテープ3を潰すためのポイントシール工程を実施する。
【0028】
[易裂き性ジッパーテープ付き包装袋の開封]
次に、第一実施形態の包装袋1を開封する方法を説明する。
開封するときは、ノッチ25の開口部23側の基材フィルム24と、封入物側の基材フィルム24とを把持し、ノッチ25を引裂開始部として、前後に引き裂くようにして開封する。そして、図4中の一点鎖線にて示すように、カットラインCがノッチ25の近傍では連結部613の比較的肉厚の部分に形成されたとしても、最肉薄部66に向かって誘導され、最肉薄部66ではカットラインCが直線状となるように誘導される。
すなわち、開封時の引き裂く応力が袋側傾斜面613A及び内部側傾斜面613Bでは分散され、傾斜面613A,613Bにて構成される最肉薄部66では集中する状態になる。
これにより、最肉薄部66の位置で引き裂かれ連結部613及び対向する基材フィルム24を容易に切除することができる。
その後は、ジッパーテープ3の咬合部4を解除することによって、包装袋1を開封することができる。再封する場合には、雄部材と雌部材を咬合させて、咬合部4を咬合状態とすればよい。
【0029】
[第一実施形態の作用効果]
前記したようなジッパーテープ3及び包装袋1によれば、以下に示す作用効果を奏することができる。
カット部7に、第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614間に連結部613を設け、連結部613には、一箇所に応力が集中可能な最肉薄部66を設けた。
したがって、袋体2を引き裂く際、連結部613は、カットラインCを最肉薄部66に誘導し、その最肉薄部66にカットラインCを位置決めすることができるので、容易に開封することができる。そして、連結部613上で複数箇所引裂かれることがなく、破断片が生成しないので、外観が良好で、破断片により咬合が阻害されて密封性が低下するなどの不都合も防止することができる。
また、最肉薄部66にカットラインCを位置決めできるため、カットラインCが最肉薄部66に沿って直線状となり容易に引き裂くことができる。
【0030】
また、連結部613に、最肉薄部66に向かって肉薄となる袋側傾斜面613A及び内部側傾斜面613Bを設けたため、カットラインCを最肉薄部66にさらに容易に誘導できる。
【0031】
そして、連結部613よりも肉厚に第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614を形成したため、開封時にはカットラインCが連結部613からずれない。
【0032】
さらに、雌側帯状基部61にのみ連結部613を設けたため、開封の際に連結部613と袋体2を引き裂く力のみでよく、例えば雄側帯状基部51にも同様に連結部を設けた場合より、小さい力でよく、より開封性を向上できる。
【0033】
また、ジッパーテープ3を一材料にて一連に形成しているため、例えば共押出方法にてそれぞれ一工程で製造でき、製造性の向上及び製造コストの低減を図ることが容易にできる。
【0034】
そして、返しリブ65を設けたため、本体611の製造時の屈曲による不都合も防止できる。さらには、高さ寸法が第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614の高さ寸法と同程度としたため、ジッパーテープ3と袋体2とを融着させる際、ジッパーテープ3のほぼ全面にわたって、シールバーを均等に接触させることができる。したがって、確実に安定してジッパーテープ3を基材フィルム24に融着させることができる。
【0035】
さらに、第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614は、咬合部4からの距離がそれぞれ異なる状態に配置したため、包装袋1を開封すると、対向する袋体2の異なる位置で引裂かれて、いわゆる段違いカットとなる。
したがって、再封した包装袋1を再開封するとき、開口部23の基材フィルム24を掴み易く、再開封作業が容易にできる。
【0036】
そして、雄部材5の第一の肉厚部512と雌部材6の第一の肉厚部612に加えて、第二の肉厚部614を、本体611よりも肉厚に形成したため、ジッパーテープ3のシール温度が非常に高くなって雄部材5と雌部材6が変形してしまう不都合も防止できる。
【0037】
また、連結部613の第一の肉厚部612側の基端縁に配置された最肉薄部66にて、連結部613を引き裂くことができるため、第二の肉厚部614とともに連結部613を切り取ることができる。したがって、第一の肉厚部612に連結部613が残らないため、外観が良好になる。
【0038】
さらに、第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614は、それぞれ第一の融着面612A及び第二の融着面614Aを有するため、連結部613がカットラインCを最肉薄部66に容易に誘導しやすくなる。
【0039】
また、連結部613の袋側傾斜面613Aは、第一の融着面612A及び第二の融着面614Aに対して後退した位置に配置され、内面242Aに融着されていない。
そのため、連結部613がカットラインCを最肉薄部66にさらに容易に誘導しやすくなる。
【0040】
[変形例]
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。
【0041】
図5は、他の第一実施形態の易裂き性ジッパーテープを示す断面図である。図6は、さらに他の第一実施形態の易裂き性ジッパーテープの連結部を拡大して示す断面図である。図7は、さらに他の第一実施形態の易裂き性ジッパーテープの連結部を拡大して示す断面図である。
【0042】
第一実施形態では、雌側帯状基部61のみに連結部613を形成した構成を示したが、図5に示すように、雄側帯状基部51にも連結部513を形成してもよい。すなわち、第一の肉厚部512の開口部23側には、連結部613及び第二の肉厚部614と同様に、連結部513及び第二の肉厚部514を形成してもよい。
ここで、連結部513は、第一の肉厚部512から第二の肉厚部514に向かうに従って厚さ寸法が小さくなる形状に形成される袋側傾斜面513A及び内部側誘導面513Bを有する。また、連結部513は、第二の肉厚部514側の基端縁に最肉薄部56を有する。
この構成によれば、包装袋1を開封する際、最肉薄部56及び最肉薄部66にカットラインCを形成するため、連結部513は第一の肉厚部512に残り、雌部材6の連結部613は第二の肉厚部614とともに切り取られる。これにより、段違いカットとなり、段差状に形成される。
したがって、咬合部4の咬合を解除する際、第一の肉厚部612と連結部513とを把持して開封することができるため、容易に包装袋1の中から封入物を取り出すことができる。
【0043】
また、第一実施形態では、連結部613は、第二の肉厚部614から第一の肉厚部612に向かうに従って、肉薄となる形状に形成された構成を示したが、図6に示すように、第一の肉厚部612及び第二の肉厚部614間に、厚さ寸法が略均一の連結部616を備え、この連結部616に断面略V字状の切込みにより傾斜面616Aが形成されてもよい。
この構成では、連結部616は、傾斜面616Aの先端部に最肉薄部67を備える。
【0044】
さらに、第一実施形態では、最肉薄部66は連結部613の第一の肉厚部612側の基端縁に形成された構成を示したが、図7に示すように、連結部617は、第一の肉厚部612側の基端縁及び第二の肉厚部614側の基端縁から離れるに従って次第に厚さ寸法が肉薄になる形状に形成され、第一の肉厚部612側の基端縁及び第二の肉厚部614間の略中央に最肉薄部68を有する構成でも良い。
この構成では、連結部617は、第一の肉厚部612に連続する袋側傾斜面617A及び内部側傾斜面617Bと、第二の肉厚部614に連続する袋側傾斜面617C及び内部側傾斜面617Dとを有する。
この構成によれば、最肉薄部68を連結部617の略中央に形成したため、最肉薄部68を連結部617の基端縁に形成した場合と比較して、ノッチ25から最肉薄部68にカットラインCを容易に誘導することができる。
【0045】
第一実施形態では、雌部材6に返しリブ65を設けて説明したが、これらを設けなくてもよい。
また、第一実施形態では、連結部613の袋側傾斜面613Aは、内面242Aに所定の間隔を有して配置された構成を示したが、袋側傾斜面613Aは、内面242Aにシールされていても良い。
また、第一実施形態では、ジッパーテープ3を融着する袋体を三方袋としていたが、本発明ではこれに限られず、ピロー袋やサイドガセット袋、四方シールをする袋にも適用することができる。
連結部の厚さ寸法、幅寸法、断面形状は、上述した構成に限られるものではなく、用途や原材料に応じて適宜設定できる。また、袋側傾斜面及び内部側傾斜面の表面形状は、連結部が最肉薄部にカットラインCを誘導できればその形状は問わない。例えば、袋側傾斜面及び内部側傾斜面に凹凸が形成されていてもよい。
さらに、第一実施形態では、第二の肉厚部614において、第二の融着面614Aと反対側の面である第二の内部側面614Bを内面242Aに融着させる構成としたが、これに限らず、内面242Aに融着させない構成としてもよい。なお、カット性を考慮した場合には、第一実施形態のように、第二の内部側面614Bを内面242Aに融着させる構成としたほうが好ましい。
【0046】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係るジッパーテープおよび包装袋について説明する。
図8は、第一実施形態の包装袋を切裂いた後の状態を示す正面図である。図9は、第二実施形態の包装袋を示す正面図である。図10は、図9のX−X断面図であり、図11は、図9のXI−XI断面図であり、図12は、図9のXII−XII断面図である。なお、図10、11では、説明の便宜上、基材フィルムの記載を省略している。
【0047】
第一実施形態の包装袋1のサイドシール部21では、基材フィルム24にカット部7の連結部613が挟まれた状態で溶着されている。
そのため、図1から図4までに示すように、ノッチ25から基材フィルム24を引裂く際、ノッチ25近傍の連結部613を引裂いた後、最肉薄部66を引裂き始めることとなる。その場合、図8に示すように、引裂き後のノッチ25周辺の開封開始部分では、連結部613のカット屑が残り、見た目が悪くなるおそれがある。
そこで、第二実施形態のジッパーテープ3Bでは、第一実施形態と異なるカット部7B1,7B2を備える。なお、第二実施形態では、第一実施形態とカット部のみが異なるため、その他の同様の構成については、同符号を付し、その説明を省略又は簡略する。
【0048】
第二実施形態のジッパーテープ3Bは、図9から図12までに示すように、雄側帯状基部51B及び雌側帯状基部61Bがそれぞれ雄側カット部7B1及び雌側カット部7B2を備える。
この雄側カット部7B1及び雌側カット部7B2には、サイドシール部21のノッチ25周辺に対応する位置に孔8が形成されている。
この孔8の長さ寸法(ジッパーテープ3Bの長さ方向)は、サイドシール部21の幅寸法よりも大きい。
【0049】
図10に示すように、雌側カット部7B2は、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614C間に連結部としての雌側中肉厚部613Cとを備える。雌側中肉厚部613Cの第二の肉厚部614C側の基端には、第二の肉厚部614Cに連続して雌側最肉薄部66Cが形成されている。雌側最肉薄部66Cは、雌側中肉厚部613Cよりも薄く形成され、雌側中肉厚部613Cは、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cよりも薄く形成されている。つまり、雌側最肉薄部66Cは、雌側カット部7B2のうちで最も薄いため、引張強度が小さく容易に切断できる。よって、開封する際には、雌側最肉薄部66C上でカットラインCに沿って切断できる。
【0050】
一方、雄側カット部7B1も、雌側カット部7B2と同様に、雄側最肉薄部56Cと、連結部としての雄側中肉厚部513Cとを備える。しかし、雄側中肉厚部513Cは、第二の肉厚部514Cに連続して形成され、雄側中肉厚部513Cの第一の肉厚部512C側の基端には、第一の肉厚部512Cに連続して雄側最肉薄部56Cが形成されている。
つまり、雌側最肉薄部66Cと、雄側最肉薄部56Cとは高さ位置が異なるので、包装袋1Bを切断した後は、雌側中肉厚部613Cと、第一の肉厚部512Cとが段違いに露出し、ジッパーテープ3Bの端部が段違いの構造になる。
【0051】
ここで、雌側最肉薄部66Cの厚さ寸法(C1)は120μm以下であることが好ましい。120μm以下とすることにより、雌側最肉薄部66Cの引張強度を低くすることができ、雌側最肉薄部66Cを容易に切断できる。
また、雌側中肉厚部613Cの厚さ寸法(C2)は130μm以上300μm以下であることが好ましい。130μm以上とすることにより、カットラインCが蛇行して、雌側最肉薄部66C上から外れることを防止できる。一方、300μm以下とすることにより、サイドシール部21で雌側中肉厚部613Cを容易に溶融扁平化することができるため、ピンホールが発生することを防止できる。
そして、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cの厚さ寸法(C3)は300μm以上1000μm以下であることが好ましい。300μm以上とすることにより、引張強度が高くなり、誤って第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cが切断されることを防止できる。また、1000μm以下とすることにより、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cを容易に溶融扁平化することができるため、ピンホールが発生することを防止できる。
【0052】
ここで、サイドシール部21の収納空間側では、図11に示すように、ジッパーテープ3Bの雌側カット部7B2に、雌側中肉厚部613Cの幅方向の全体に亘って貫通した孔8が形成されている。すなわち、雌側カット部7B2の一対の第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614C間に亘って孔8が形成されている。この孔8は、雌側中肉厚部613Cの厚さ方向に貫通している。
【0053】
孔8の高さ寸法をPhとし、雌側中肉厚部613Cの高さ寸法をChとした場合、比(Ph/Ch)は1以上であり、より好ましくは、1.5以上である。
比(Ph/Ch)が1以上では、雌側中肉厚部613Cの全体がない状態なので、サイドシール部21に雌側中肉厚部613Cが重なることがない。そのため、ノッチ25からサイドシール部21を引裂いた後、雌側中肉厚部613Cのカット屑が残らない。
また、比(Ph/Ch)を1.5以上とすることで、製袋時にジッパーテープ3Bを送り出す際、ジッパーテープ3Bが所定位置からずれたとしても、孔8を挟んだ状態でサイドシール部21を形成できる。
なお、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cの全てに亘って孔8を形成した場合、すなわち、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cがない状態では、ジッパーテープ3Bが製袋機にひっかかり、ジッパーテープ3Bの送り出しが困難になる場合がある。従って、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cの略半分に孔8が形成されていることが好ましい。
【0054】
サイドシール部21では、図12に示すように、雌側カット部7B2と雄側カット部7B1とが溶着している。
具体的には、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cの樹脂と、第一の肉厚部512C及び第二の肉厚部514Cの樹脂とが、サイドシール部21を形成する際、溶融して孔8に流れ込んでいる。
しかし、孔8に流れ込む樹脂の量は少量であるため、孔8に対応するサイドシール部21の厚さ寸法は、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cに対応するサイドシール部21の厚さ寸法よりも小さい。
なお、雄側カット部7B1の雄側最肉薄部56C、雄側中肉厚部513C、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cは、雌側カット部7B2の雌側最肉薄部66C、雌側中肉厚部613C、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cと同様の構成である。
【0055】
[ジッパーテープ及びジッパーテープ付き包装袋の製造方法]
次に、ジッパーテープ及びジッパーテープ付き包装袋の製造方法について説明する。図13は、第二実施形態の包装袋の製造方法を示す図である。
ジッパーテープ3Bは、共押出成形法により一体化して製造する。
次に、得られたジッパーテープ3Bを、三方シール製袋機を用いて基材フィルム24に融着する。
まず、三方シール製袋機のテープ送出部からジッパーテープ3Bを送り出す。そして、ジッパーテープ3Bの雌側カット部7B2及び雄側カット部7B1に孔8を、その長さ方向で所定間隔毎に打ち抜く。これにより、雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513Cを貫通させて孔8を形成する。ここで、孔8を、その長さ方向の端部が円弧状となるように形成する。
その後、図13に示すように、包材送出部から送り出された一対の基材フィルム24間に、ジッパーテープ3Bを配置する。
そして、ジッパーテープ3Bの雌側帯状基部61B及び雄側帯状基部51Bを基材フィルム24に融着する。
その後、基材フィルム24の送り出し方向(ジッパーテープ3Bの長手方向)と直交する方向にサイドシール部21となる区画部21Bを形成する。これにより、ジッパーテープ3Bのサイドシール部21に対応する位置の第一の肉厚部612C、第二の肉厚部614C、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cなどが溶融扁平化して、基材フィルム24にジッパーテープ3Bが融着される。ここで、区画部21Bは孔8の略中央に形成する。
その後、三方シール製袋機により、トップシール部22も形成する。最後に、基材フィルム24を、区画部21Bの中心に沿って切断することにより、包装袋1Bを得る。そして、サイドシール部21にノッチ25を形成する。
【0056】
ここで、包装袋1Bの区画部21Bを形成する際の、区画部21Bの幅寸法と孔8の長さ寸法との関係を説明する。
孔8の長さ寸法を(PL)とし、区画部21Bの幅寸法を(Sw)とした場合、比(PL/Sw)は1以上3以下であることが好ましい。比(PL/Sw)が1以上の場合、サイドシール部21に雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513Cが重なることがない。すなわち、基材フィルム24を引裂く際、雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513Cを引裂くことなく、雌側最肉薄部66C及び雄側最肉薄部56Cを切り始めることができる。
一方、比(PL/Sw)が3以下の場合、ノッチ25から雌側最肉薄部66C及び雄側最肉薄部56Cを切り始めるまでの間隔を短くすることができ、引裂抵抗なく、雌側最肉薄部66C及び雄側最肉薄部56Cを切り始めることができる。
ここで、孔8の長さ寸法(PL)と区画部21Bの幅寸法(Sw)との好ましい関係を表1に例示する。
【0057】
【表1】

【0058】
[ジッパーテープ付き包装袋の開封方法]
次に、第二実施形態の包装袋1Bを開封する方法を説明する。
図9を参照して説明すると、開封するときは、ノッチ25から基材フィルム24を引裂く。ここで、ノッチ25周辺には孔8を配置したため、雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513Cがない。そのため、ノッチ25から雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513Cを引裂くことなく、直接雌側最肉薄部66C及び雄側最肉薄部56Cを切り始めることができる。従って、開封開始部分に雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513Cのカット屑が残ることがない。
また、図10に示すように、雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513C上で、カットラインCに沿って切断されるため、段違いカットとなる。
【0059】
[第二実施形態の作用効果]
前記したようなジッパーテープ3B及び包装袋1Bによれば、以下に示す作用効果を奏することができる。
雌側カット部7B2及び雄側カット部7B1に孔8を形成したため、開封開始部分に雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513Cがない。そのため、開封後、開封開始部分に雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513Cのカット屑が残ることがない。よって、開封開始部分の見た目が悪くならず、引裂き後の外観が向上する。
【0060】
また、包装袋1Bを開封後、ジッパーテープ3Bの開口部23側の端部には、雌側中肉厚部613Cと、第一の肉厚部512Cとが段違いに露出する。つまり、段違いカットとなるため、雌側中肉厚部613Cと、第一の肉厚部612Cとを掴んで容易に開封できる。
【0061】
さらに、孔8を、その長さ方向の端部が円弧状となるように形成した。
そのため、基材フィルム24を引裂く際、円弧部分の曲面に応力が分散する。従って、応力が一箇所に集中することがないので、引裂抵抗がなく、雌側最肉薄部66C及び雄側最肉薄部56Cを容易に切り始めることができる。
【0062】
[変形例]
図14は、他の第二実施形態のジッパーテープ付き包装袋を示す断面図である。図15は、前記他の第二実施形態のジッパーテープ付き包装袋におけるサイドシール部を示す断面図である。図16は、さらに他の第二実施形態のジッパーテープの孔の形状を示す正面図である。
【0063】
第二実施形態では、雄側カット部7B1の雄側中肉厚部513C及び雌側カット部7B2の雌側中肉厚部613Cに孔8を形成する構成を説明したが、雌側中肉厚部613C及び雄側中肉厚部513Cのうちのいずれか一方にのみ孔8を形成しても良い。
【0064】
また、図14に示すように、雌側カット部7B2の孔8が雌側中肉厚部613Cに加えて、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cにも形成さていてもよい。また、雄側カット部7B1にも、第一の肉厚部512C及び第二の肉厚部514Cも含めて孔8が形成さていてもよい。
これにより、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cの樹脂量が少なくなるため、サイドシール部21を形成する際、図15に示すように、第一の肉厚部612C及び第二の肉厚部614Cの樹脂が孔8に流れ込まない。つまり、孔8に対応するサイドシール部21では、厚さ寸法が基材フィルム24の2枚分の薄さとなる。そのため、ノッチ25周辺の厚さ寸法をさらに小さくできるため、ノッチ25から軽い力で基材フィルム24を引裂くことができ、カット感をさらに軽くすることができる。
また、この場合の孔8の形状は、例えば、図16(A)に示すように、第二実施形態と同様に、円弧状でも良い。また、図16(B)、(C)に示すように、孔8が全体として横長の8角形や4角形であってもよい。
ここで、孔8が8角形の場合、長さ方向の先端81,82が雄側最肉薄部56C及び雌側最肉薄部66Cに対応していることが好ましい。このように2つの先端81,82が対応しているので、引裂く際の応力が雄側最肉薄部56C及び雌側最肉薄部66Cに集中しやすくなる。そのため、引裂抵抗なく、雄側最肉薄部56C及び雌側最肉薄部66Cを容易に切り始めることができ、軽い力で開封することができる。
【0065】
さらに、第二実施形態では、雌側カット部7B2の孔8の長さ寸法と、雄側カット部7B1の孔8の長さ寸法とが略同一である構成を説明したが、異なっていても良い。
例えば、雌側カット部7B2の孔8の長さ寸法を大きくした場合、雄側最肉薄部56Cが先に切れ始め雌側最肉薄部66Cがその後で切れ始める。
この場合、雌側最肉薄部66Cの切断開始と雄側最肉薄部56Cの切断開始とが揃わない。しかし、雄側最肉薄部56Cを切り始める際には、雌側最肉薄部66Cがないので、カット感が軽くなり、しかも雄側最肉薄部56C上でカットラインを維持できる。従って、弱い力で開封でき、直線カットも実現できる。
【0066】
また、第二実施形態では、孔8の長さ寸法は、サイドシール部21の幅寸法よりも大きい構成を説明したが、孔8の長さ寸法は、サイドシール部21の幅寸法と同等であってもよい。
その他、本発明の実施における具体的な構成及び形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
【実施例】
【0067】
以下、実施例および比較例などを挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例などの内容に何ら限定されるものではない。
【0068】
[実施例1から実施例5まで及び比較例1]
以下のようにして、実施例1から実施例5まで及び比較例1のジッパーテープ付き包装袋を作製し、カット屑の有無を評価した。
【0069】
[実施例1及び実施例2]
実施例1の包装袋としては、図3に示すような形状とし、実施例2の包装袋としては、図5に示すような形状として、肉厚部(第一の肉厚部及び第二の肉厚部)と、中肉厚部(雌側中肉厚部及び雄側中肉厚部)と、最肉薄部(雌側最肉薄部及び雄側最肉薄部)とが表2に示す厚さ寸法となるように作製した。なお、実施例1,2で用いられるジッパーテープには、孔を形成していない。
【0070】
[実施例3から実施例5まで]
実施例3から実施例5までの包装袋としては、図10に示すような形状とし、肉厚部と、中肉厚部と、最肉薄部とが表2に示す厚さ寸法となるように作製した。また、実施例4及び実施例5で用いたジッパーテープには、表2に示す長さ寸法で孔を形成し、かつ表2に示す幅寸法でサイドシールを形成した。なお、実施例3で用いられるジッパーテープには、孔を形成していない。
【0071】
[比較例1]
比較例1の包装袋としては、国際公開第2008/035494号公報に記載された図2に示すような包装袋を作製した。
【0072】
[評価]
実施例1から実施例5まで及び比較例1の包装袋を開封して、切り裂かれた部分のカット屑の有無を評価した。その結果と、評価基準を以下に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
(評価基準)
◎:カット屑が発生しなかった。
○:3mm以下のカット屑は発生したが、外観は気にならなかった。
×:3mmを超えるカット屑が発生し、外観が悪かった。
【0075】
実施例4,5では、ジッパーテープのカット部に孔を形成したため、カット屑が発生せずに、外観が優れることがわかった。また、実施例1から実施例3まででは、孔を形成しなかったが、外観は比較的良好であった。一方、比較例1では、カット屑が発生して、外観が悪くなった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、例えば、食品、薬品、医療品、雑貨等の各種物品を包装する易裂き性ジッパーテープ及び易裂き性ジッパーテープ付き包装袋に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1、1B…易裂き性ジッパーテープ付き包装袋
2…袋体
3、3B…易裂き性ジッパーテープ
4…咬合部
7…カット部
7B1…雄側カット部
7B2…雌側カット部
51,51B…雄側帯状基部
56、66,67,68…最肉薄部
56C…雄側最肉薄部
61,61B…雌側帯状基部
66C…雌側最肉薄部
512C,612,612C…第一の肉厚部
513C…雄側中肉厚部
514C,614,614C…第二の肉厚部
613…連結部
613C…雌側中肉厚部
613A…傾斜面としての袋側傾斜面
613B…傾斜面としての内部側傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄部材を有する雄側帯状基部と、前記雄部材に咬合可能な雌部材を有する雌側帯状基部とを備え、開口部を有する袋体の内面に前記開口部に沿って取り付けられる易裂き性ジッパーテープであって、
前記雄側帯状基部及び前記雌側帯状基部のうちの少なくともいずれか一方の帯状基部は、長手方向に沿った前記開口部側の縁に、前記一方の帯状基部の厚さ寸法より肉厚で前記帯状基部に沿って長手状の一対の肉厚部とこれら肉厚部間に設けられた連結部とを有するカット部を備え、
前記連結部は、一箇所に応力が集中可能な最肉薄部を有した
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項2】
請求項1に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記連結部は、前記一対の肉厚部のうち一方から他方の肉厚部に向かうに従って厚さ寸法が小さくなる形状に形成された
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記連結部は、それぞれ前記雄側帯状基部及び前記雌側帯状基部に設けられ、
前記雄側帯状基部及び前記雌側帯状基部の連結部のうちいずれか一方は、前記開口部と反対側の肉厚部から前記開口部側の肉厚部に向かうに従って厚さ寸法が小さくなる形状に形成され、
前記雄側帯状基部及び前記雌側帯状基部の連結部のうちいずれか他方は、前記開口部側の肉厚部から前記開口部と反対側の肉厚部に向かうに従って厚さ寸法が小さくなる形状に形成された
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のジッパーテープであって、
前記一対の肉厚部は、それぞれ前記袋体の内面に接着される接着面を有した
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項5】
請求項4に記載のジッパーテープであって、
前記連結部は、前記接着面に対して前記帯状基部の厚さ方向に後退した位置に配置された傾斜面を有した
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記カット部のうちの少なくとも連結部には、その幅方向の全体に亘って厚さ方向に貫通した孔が形成された
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項7】
請求項6に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記孔は、さらに前記肉厚部の一部を含んで形成された
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項8】
封入物を封入可能な開口部を有した袋体と、
この袋体の内面に接着された請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の易裂き性ジッパーテープと、を備えた
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ付き包装袋。
【請求項9】
封入物を封入可能な開口部を有した袋体と、
この袋体の内面に接着された請求項6又は請求項7に記載の易裂き性ジッパーテープとを備え、
前記袋体は、前記易裂き性ジッパーテープの長手方向の端部が接着されたサイドシール部を有し、
前記易裂き性ジッパーテープの孔は、その長さ寸法が前記サイドシール部の幅寸法と同等、又は同等よりも大きい
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ付き包装袋。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋であって、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の易裂き性ジッパーテープの連結部が、前記袋体の内面に接着されていない
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ付き包装袋

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−104334(P2011−104334A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95326(P2010−95326)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】