説明

易開封食品包装袋用積層フィルムおよび易開封食品包装用袋

【課題】異物の侵入が防止でき、しかも、易開封性があり、結束具等により何度も包装袋の開閉できるという利便性を損なうことがない、食品包装方法と、易開封食品包装袋用積層フィルムと、易開封食品包装用袋を提供すること。
【解決手段】プロピレン系樹脂の表面層(A)と1−ブテン系共重合体含有のヒートシール層(B)とを有する積層フィルム(I)を用い、接着強度が7.5〜30N/15mmとなる条件で、溶融接着して製袋された開口部を有する食品包装用袋に食品を充填した後、もしくは、溶融接着しながら食品を内包させて開口部を有する食品内包包装用袋とした後、袋の開口部を強度が0.1〜5N/15mmとなる条件でヒートシールして易開封包装とする食品包装方法、上記層(A)と(B)とを有する易開封食品包装袋用積層フィルム、および、該積層フィルムを溶融接着してなる易開封食品包装用袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食パン、菓子パン等の食品の包装に好適で、異物の侵入を防止することが可能な易開封シールを設けた食品包装方法と、それに用いる易開封食品包装袋用積層フィルムと、この積層フィルムからなる易開封食品包装用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の食パン包装、菓子パン包装等の食品包装袋は開口部を、ひねって固定する結束具、即ちスリットを有する約2cm四方のプラスチック板、テープ、ひも等により結束した状態で販売されている。内容物が複数個であったり、単数個であっても大きなものは、再封が可能な結束具により何度も開閉できるため利便性が高く、多く使用されている。
【0003】
しかしながら、このような結束具による包装は簡易であるため、包装袋の結束部に隙間があり、異物の侵入を防止できないという欠点がある。そのため異物の侵入が防止できる包装方法、フィルムおよび包装用袋が強く望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、異物の侵入が防止でき、しかも、易開封性があり、結束具等により何度も包装袋の開閉できるという利便性を損なうことがない食品包装方法と、これに用いることのできる易開封食品包装袋用積層フィルムと、この積層フィルムからなる易開封食品包装用袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者等は、上記実状に鑑みて鋭意検討した結果、プロピレン系樹脂(a)を含有してなる表面層(A)と、1−ブテンとその他のα−オレフィンとからなる1−ブテン系共重合体(b1)を含有してなるヒートシール層(B)とを有する積層フィルム(I)は、ヒートシール層(B)を内側として、このヒートシール層(B)が溶融する温度以上で溶融接着、例えばヒートシールや溶断シールを行って製袋すると、強固に接着し、従来と同様の開口部を有する食品包装用袋が得られるうえに、得られた袋に食品を充填し、より低い温度、例えば100℃以下で、開口部、例えば該食品包装用袋の開口部上端と充填された食品の間の部分をヒートシールすることにより、ヒートシール温度が多少バラついてもシール強度の安定した易開封シールとなり、容易に易開封食品包装袋とすることができるこ
と、更に袋上部を結束具で結束することにより従来のパン包装と同様の結束包装とすることができること、得られた易開封食品包装袋は、易開封シールがなされているため異物の侵入を防止でき、しかも、易開封シール部分で容易に開封でき、開封しても袋が破損しないため、プラスチック板、テープ、ひも等の結束具による再封が可能であること、等を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、
1.プロピレン系樹脂を含有してなる表面層(A)と、プロピレン系樹脂を含有してなる中間層(C)と、1−ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1−ブテン系共重合体(b1)およびプロピレンとエチレンとを必須成分としてなる共重合体(b2)を含有してなるヒートシール層(B)と、を有することを特徴とする、易開封食品包装袋用積層フィルム、
2.前記共重合体(b1)と(b2)との重量比(b1)/(b2)が25/75〜75/25となる割合で含有してなる樹脂層であり、かつ、1−ブテン系共重合体(b1)中における1−ブテン由来成分の含有率が50〜99モル%である、請求項1記載の易開封食品包装袋用積層フィルム、
3.厚さが20〜50μmの積層フィルムであり、かつ、ヒートシール層(B)の厚さが1〜8μmである、請求項1または2記載の易開封食品包装袋用積層フィルム、
4.プロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を75重量%以上含有してなる表面層(A1)と、プロピレン単独重合体を70重量%以上含有してなる中間層(C1)と、1−ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1ブテン系共重合体(b1)を25〜75重量%およびプロピレンとエチレンとを必須成分としてなる共重合体(b2)を75〜25重量%含有してなるヒートシール層(B1)とを、(A1)/(C1)/(B1)の順に積層してなる3層フィルム(I−1)、または、プロピレン単独重合体を90重量%以上含有してなる表面層(A2)と、プロピレン単独重合体および/またはプロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を90重量%以上含有してなる中間層(C2)と、該ヒートシール層(B1)とを、(A2)/(C2)/(B1)の順に積層してなる3層フィルム(I−2)である、請求項1〜3のいずれか1項記載の易開封食品包装袋用積層フィルム、
5.パンの包装用である請求項1〜4のいずれか1項記載の易開封食品包装袋用積層フィルム、
【0007】
6.請求項1〜5のいずれか1項記載の易開封食品包装袋用積層フィルムからなり、そのヒートシール層(B)を内側として接着強度が7.5〜30N/15mmとなる条件で溶融接着して製袋されたことを特徴とする、開口部を有する易開封食品包装用袋、
7.開口部を、65〜100℃、0.1〜2秒間のヒートシール条件でヒートシール強度が0.1〜5N/15mmとなるヒートシールが可能な袋である、請求項6記載の易開封食品包装用袋、
8.底部にガゼットが入るように製袋された袋である、請求項6または7記載の易開封食品包装用袋、
9.パンの包装用である請求項6〜8のいずれか1項記載の易開封食品包装用袋、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の食品包装方法は、1−ブテン系共重合体を含有してなるヒートシール層を有する積層フィルムのヒートシール樹脂層を内側として、このヒートシール層が溶融する温度以上でヒートシールや溶断シールすると、強固に接着し、従来と同様の食品包装用袋が得られるうえに、得られた袋に食品を充填し、より低い温度、例えば100℃以下で開口部をヒートシールすることにより、ヒートシール温度が多少バラついてもシール強度の安定した易開封シールとなり、容易に食品が密封された易開封包装袋とすることができる。得られた易開封食品包装袋が、易開封シールがなされているため異物の侵入を防止でき、しかも、易開封シール部分で容易に開封でき、開封しても袋が破損しないため、プラスチック板、テープ、ひも等の結束具による再封が可能であり、更に袋上部を結束具で結束することにより従来のパン包装と同様の結束包装とすることができる。
【0009】
本発明の食品包装方法、易開封食品包装袋用フィルムおよび易開封食品包装用袋は、パン、スナック、青果物等のツイストバッグ包装や横ピロー包装用としてその実用的価値は多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いる積層フィルム(I)は、プロピレン系樹脂を含有してなる表面層(A)と、1−ブテンとその他のα−オレフィンとからなる1−ブテン系共重合体を含有してなるヒートシール層(B)とを有しておればよい。
【0011】
表面層(A)としては、例えば、プロピレンの単独重合体;プロピレンとエチレンとからなるランダム共重合体、プロピレンとエチレンとからなるブロック共重合体、プロピレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体等のプロピレン系共重合体;などのようなプロピレン系樹脂の1種以上を主成分として、好ましくは75重量%以上含有してなり、必要に応じて、エチレン−1−ブテン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン等のような他の熱可塑性樹脂や各種の添加剤を混合してなる樹脂層が挙げられる。
【0012】
ヒートシール層(B)としては、1−ブテンとその他のα−オレフィンとからなる1−ブテン系共重合体を含有してなる樹脂層であれば良いが、1−ブテン系共重合体として1−ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1−ブテン系共重合体(b1)を用いることが好ましく、なかでも、低温での易開封シール時のヒートシール温度や強度の調整が容易で、ヒートシール温度幅が広く、易開封シールとして適度なヒートシール強度が容易に得られることから、該1−ブテン共重合体(b1)とプロピレンとエチレンとを必須成分としてなるなる共重合体(b2)とを、その重量比(b1)/(b2)が25/75〜75/25となる割合で併用してなる樹脂層であることが好ましく、しかも、ここで用いる1−ブテン系共重合体(b1)としては、1−ブテン由来成分の含有率が50〜99モル%であるものが特に好ましい。
【0013】
また、上記ヒートシール層(B)は、JIS K−1713に定めるヒートシール開始温度試験に準拠して測定したヒートシール開始温度が、表面層(A)のヒートシール開始温度よりも低いことが、食品包装袋の作成と易開封性シールが容易なことから好ましい。このため、本発明に係る積層フィルム(I)としては、表面層(A)とヒートシール層(B)の間のヒートシール開始温度差を30℃以上とすることが好ましく、なかでも35〜90℃とすることが特に好ましい。
【0014】
本発明に係る積層フィルム(I)は、表面層(A)とヒートシール層(B)とを(A)/(B)の順に積層してなる2層フィルムであって良いが、フィルムの剛性、耐寒性等を考慮し、表面層(A)とプロピレン系樹脂を含有してなる中間層(C)とヒートシール層(B)とを(A)/(C)/(B)の順に積層してなる3層フィルムとしてもよい。この場合、中間層(C)としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンとからなるランダム共重合体、プロピレンとエチレンとからなるブロック共重合体、プロピレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体等のようなプロピレン系樹脂の1種以上を主成分として、好ましくは70重量%以上含有してなり、必要に応じて、エチレン
−1−ブテン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン等のような他の熱可塑性樹脂や本積層フィルム製造に際して発生した回収物等を混合してなる樹脂層が挙げられる。また、中間層(C)は、上記表面層(A)と同様の組成からなる樹脂層であっても良い。
【0015】
更に、上記中間層(C)は2層以上に分割することも可能で、全体の層構成が3層以上となっても何ら問題無い。
【0016】
本発明に係る積層フィルム(I)の厚みは、通常20〜50μmであるが、なかでも25〜40μmが好ましい。また、ヒートシール層(B)の厚みは、通常0.1〜10μmであるが、なかでも1〜8μmが好ましい。
【0017】
本発明に係る積層フィルム(I)が(A)/(C)/(B)の順に積層してなる3層フィルムである場合、表面層(A)と中間層(C)の全厚に対する厚み比率は、各層の樹脂組成により異なり特に限定されないが、表面層(A)が通常10〜50%、好ましくは15〜45%であり、中間層(C)が通常30〜80%、好ましくは40〜70%である。
【0018】
本発明に係る積層フィルム(I)の具体例としては、例えば、
(i)プロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を75重量%以上含有してなる表面層(A1)と、プロピレン単独重合体を70重量%以上含有してなる中間層(C1)と、1−ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1ブテン系共重合体を25〜75重量%含有してなるヒートシール層(B1)とを、(A1)/(C1)/(B1)の順に、その平均厚さの比が3:6:1となるように積層してなる、厚さが25μmもしくは30μmで、底部にガゼットが入った袋(以下、底部ガゼット袋という。)用として好適な3層フィルム(I−1)、
(ii)プロピレン単独重合体を90重量%以上含有してなる表面層(A2)と、プロピレン単独重合体および/またはプロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレ
ン系共重合体を90重量%以上含有してなる中間層(C2)と、該ヒートシール層(B1)とを、(A2)/(C2)/(B1)の順に、その平均厚さの比が2:7:1となるように積層してなる、厚さが25μmもしくは30μmで、ピロー包装袋用として好適な3層フィルム(I−2)、
(iii)プロピレン単独重合体および/またはプロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を80重量%以上含有してなる表面層(A3)と、直鎖状低密度ポリエチレンとプロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を合計で70重量%以上含有してなる中間層(C3)と、該ヒートシール層(B1)とを、(A3)/(C3)/(B1)の順に、その平均厚さの比が3:6:1となるように積層してなる、厚さが25μmもしくは30μmで、底部ガゼット袋用として好適な3層フィルム(I−3)、などが挙げられる。
【0019】
本発明に係る積層フィルム(I)は、そのまま用いてもよいが、印刷による商品訴求力向上のために表面層(A)にコロナ放電処理をしてもよい。また、積層フィルム(I)各層の中には、必要に応じて酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、着色剤、シリカなどの添加剤等を、本発明の範囲内で適宜添加しうる。
【0020】
本発明に係る積層フィルム(I)の製造方法は、特に限定されないが、なかでも共押出成形法や押出ラミネート法が好ましく、特に共押出成形法が好ましい。
【0021】
以下に、積層フィルム(I)を用いた本発明の易開封食品包装用袋および食品包装方法を、(1)3層フィルム(I−1)または(I−3)を用いた食パン包装方法と(2)3層フィルム(I−2)を用いた各種パンの集積包装方法を例示することにより、説明する。尚、積層フィルム(I)は、第三者により予め大量に製造されたものを用意しておき、これを必要に応じて使用してもよい。
【0022】
(1)食パン包装方法
食パン包装方法用には、通常3層フィルム(I−1)または(I−3)を使用することが好ましい。3層フィルム(I−1)または(I−3)は、印刷された後、ヒートシール層が袋の内側になるようにして製袋機、例えばトタニ技研工業(株)製HK−40等により底部ガゼット袋に加工する。この際、底部ガゼット袋のサイド部と底部ガゼット部(底部の折り込み部)の溶断シール強度が7.5〜30N/15mm、好ましくは12〜30N/15mmになるよう溶断シール温度や製袋速度を調整する。次いで、得られた底部ガゼット袋は、食パン自動充填機に供給され、食パン充填後、易開封性でかつヒートシール強度が0.1〜5N/15mm、好ましくは0.2〜3.5N/15mmとなる条件でヒートシールして、易開封性食パン包装袋とし、更に必要に応じて、袋の上部、好ましくは食パンの上部で易開封性シール部分またはその上もしくは下付近をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用い結束する。尚、本発明においては、易開封食品包装用袋を製袋して、すぐに食品の包装を行ってもよいし、第三者により予め製袋された易開封食品包装用袋を用意しておき、これを使用して食品の包装を行ってもよい。
【0023】
(2)複数の菓子パンの包装方法
バターロール等のような各種のパンの集積包装には、通常3層フィルム(I−2)を使用することが好ましい。3層フィルム(I−2)は、印刷された後、横ピロー型自動包装機、例えばフジキカイ(株)製FW−3400αV型等に、ヒートシール層が袋の内側になるようにしてロール状形態で供給する。横ピロー型自動包装機では、フィルムのヒートシール面を重ね合わせてヒートシールして袋を作成しながらパンを内包させる。この際、該包装機によるピロー包装袋の底部と背貼り部のシール強度が7.5〜30N/15mm、好ましくは8〜20N/15mmになるようヒ−トシール温度や包装速度を調節する。次いで、易開封性でかつヒートシール強度が0.1〜5N/15mm、好ましくは0.2〜3.5N/15mmとなる条件でヒートシールして易開封性ピロー包装袋とし、更に必要に応じて、袋の上部、好ましくはパンの上部で、易開封性シール部分またはその上もしくは下付近をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用い結束する。
【0024】
尚、本発明で言う易開封性シールとは、袋のヒートシール部分から切り出した幅15mmの試験片のヒートシール強度を、引張試験機〔(株)エー・アンド・デー製テンシロン〕を用いて、温度23℃、引張速度300mm/分の条件で測定した場合のヒートシール強度が0.1〜5N/15mmで、かつ、試験片の8割以上がフィルムの破断なしにシール面より剥離するヒートシールをいう。
【0025】
上記(1)や(2)の食品包装方法で、パン充填後のヒートシールを、易開封性でかつヒートシール強度が0.1〜5N/15mmとなるようにするシール温度やシール時間としては、シールパターンやシール圧力によりことなり特に限定されないが、好ましくは65〜95℃で0.1〜2秒間、特に好ましくは70〜90℃で0.3〜1.5秒間である。
【実施例】
【0026】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。尚、例中の部および%は、特に断りのない限りすべて重量基準である。
【0027】
実施例1
表面層(A)としてプロピレン−エチレン共重合体〔エチレン含量:5.8%、密度:0.90g/cm3 、メルトインデックス(以下、MIという。):6g/10分間〕90部と結晶性エチレン−1−ブテン共重合体(密度:0.88g/cm3 、MI:4g/10分)10部とからなる混合物を、また、中間層(C)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm3 、MI:9g/10分間)を、更に、ヒートシール層(B)として、プロピレン−1−ブテン共重合体(密度:0.90g/cm3 、MI:4g/10分間)50部と表面層(A)で使用のプロピレン−エチレン共重合体50部とからなる混合物を、それぞれ3台の押出機に供給し、表面層(A)と中間層(C)とヒートシール層(B)の平均厚さの比が3:6:1となるように共押出して、厚さ30μmの3層フィルムを成形した。
【0028】
次いで、表面層(A)の表面エネルギーが330μN/cmになるようにコロナ放電処理を施し、底部ガゼット袋用ポリプロピレン系樹脂積層フィルムを製造した。得られた積層フィルムを35℃で48時間エージングした後、ヒートシール層(B)を内側にしてフィルムを半折後、底部にガゼットを入れ、第1表に示すシール温度(製袋温度)で溶断シールして製袋(製袋機:トタニ技研工業(株)製HK−40、製袋速度:120枚/分)して底部ガゼット袋〔縦:345mm(サイド部:245mm、ガゼット部:60mm)、横235mm〕を得、次いで、得られた底部ガゼット袋に食パンを充填した後、開口部上端と食パンの間(開口部上端から下に50mmの部分)を開口部と平行にヒートシーラー〔テスター産業(株)製:圧力:0.2MPa、時間:1秒間、シール温度:上部シールバーの温度を第1表に示す温度で、下部シールバーは50℃に固定、シールバー形状:300mm×10mmの平面〕でヒートシールして、易開封性食パン包装底部ガゼット袋を得た。この易開封性食パン包装底部ガゼット袋用い、以下のように溶断シール強度とヒートシール強度を測定すると共に、ヒートシール強度測定時のフィルム破断の有無を観察した。この結果を第1表に示す。
【0029】
*溶断シール強度:得られた底部ガゼット袋5枚の両側のガゼット部の中央と、このガゼット部上部の両側のサイド部の中央とから、それぞれ15mm幅の試験片を1枚づつ(1つの袋でそれぞれ2枚)合計でそれぞれ10枚を切り出し、23℃、引張速度300mm/分の条件でテンシロン引張試験機〔(株)エー・アンド・デー製〕で引き剥がす時の最大荷重を測定し、溶断シール強度とした。
【0030】
*ヒートシール強度:得られた底部ガゼット袋5枚のヒートシール部分から、それぞれ15mm幅の試験片を2枚づつ(ヒートシール部分を2等分し、その中央部分からそれぞれ1枚)、合計で10枚を切り出し、23℃、引張速度300mm/分の条件でテンシロン引張試験機〔(株)エー・アンド・デー製〕で引き剥がす時の最大荷重を測定し、ヒートシール強度とした。
【0031】
比較例1
ヒートシール層(B)としてプロピレン−エチレン共重合体(エチレン含量:3.7%、密度:0.90g/cm3 、MI:8g/10分)を用い、表面層(A)、中間層(C)、ヒートシール層(B)の平均厚さの比を3:4:3に変更した以外は実施例1と全く同様にして、積層フィルムを製造し、同様にシール強度を測定し、フィルム破断の有無を観察した。この結果を第1表に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
第1表の結果からわかる様に、本発明の積層フィルム(I)を用いて得た底部ガゼット袋は従来の積層フィルムで得られた袋と同様のサイド部のシール強度および底部ガゼット部シール強度が得られ、しかも袋の開口部を80℃でヒートシールするとフィルムの破断無くして、シール面より剥離できる易開封性が得られる。
【0034】
実施例2
表面層(A)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm3 、MI:9g/10分)を、また、中間層(C)として、表面層(A)と同じプロピレン単独重合体80部とプロピレン−エチレン共重合体(エチレン含量:3.7%、密度:0.90g/cm3 、MI:8g/10分)20部とからなる混合物を、更に、ヒートシール層(B)として、実施例1と全く同じ混合物を用いて、、それぞれ3台の押出機に供給し、表面層(A)と中間層(C)とヒートシール層(B)の重量比が2:7:1となるように共押出して、厚さ30μmの3層フィルムを成形した。
【0035】
次いで、表面層(A)の表面エネルギーが390μN/cmになるようにコロナ放電処理を施し、横ピロー袋用ポリプロピレン系樹脂積層フィルムを製造した。得られた積層フィルムを35℃で48時間エージングした後、ヒートシール層(B)が内側になるようにして横ピロー包装機〔フジキカイ(株)製FW−3410αV)にセットし、底部の上シールバー温度135℃、下シールバー温度130℃、背貼り部シール温度(片側加熱)155℃、製袋速度38個/分の条件で、上部に開口部を有するピロー包装袋〔縦:410mm、横215mm〕を作成しながら、バターロールパンを内包させた後、開口部上端とパンの間(開口部上端部から下に80mmの部分)を開口部と平行にヒートシーラー〔テスター産業(株)製:圧力:0.2MPa、時間:1秒間、シール温度:上部シールバーの温度を第1表に示す温度で、下部シールバーは50℃に固定、シールバー形状:300mm×10mmの平面〕でヒートシールして、易開封性パン包装袋を得た。この易開封性パン包装袋を用い、以下のようにピロー包装袋のシール強度を測定し、さらに、開口部上端とパンの間のヒートシール部のヒートシール強度とその測定時のフィルム破断の有無を観察した。この結果を第2表に示す。
【0036】
*ピロー包装袋のシール強度:得られたピロー包装袋5枚の底部と背貼り部とから、それぞれ15mm幅の試験片を2枚づつ(底部と背貼り部をそれぞれ2等分し、その中央部分からそれぞれ1枚)合計でそれぞれ10枚を切り出し、23℃、引張速度300mm/分の条件でテンシロン引張試験機〔(株)エー・アンド・デー製〕で引き剥がす時の最大荷重を測定し、ピロー包装袋のシール強度とした。
【0037】
*ヒートシール強度:得られたピロー包装袋5枚のヒートシール部分から、それぞれ15mm幅の試験片を2枚づつ(ヒートシール部分を2等分し、その中央部分からそれぞれ1枚)、合計で10枚を切り出し、23℃、引張速度300mm/分の条件でテンシロン引張試験機〔(株)エー・アンド・デー製〕で引き剥がす時の最大荷重を測定し、ヒートシール強度とした。
【0038】
比較例2
ヒートシール層(B)としてプロピレン−エチレン共重合体樹脂(エチレン含量:5.8%、密度:0.90g/cm3 、MI:6g/10分)を用いた以外は実施例2と全く同様にして積層フィルムを製造し、同様にシール強度を測定し、易開封性ヒートシール部分のフィルム破断の有無を観察した。この結果を第2表に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
第2表の結果からわかる様に、本発明の積層フィルム(I)を用いて得たピロー包装袋は従来の積層フィルムで得られた袋と同様の底部シール強度および背貼り部シール強度が得られ、しかも袋の開口部を80℃でヒートシールするとフィルムの破断無くして、シール面より剥離できる易開封性が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン系樹脂を含有してなる表面層(A)と、プロピレン系樹脂を含有してなる中間層(C)と、1−ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1−ブテン系共重合体(b1)およびプロピレンとエチレンとを必須成分としてなる共重合体(b2)を含有してなるヒートシール層(B)と、を有することを特徴とする、易開封食品包装袋用積層フィルム。
【請求項2】
前記共重合体(b1)と(b2)との重量比(b1)/(b2)が25/75〜75/25となる割合で含有してなる樹脂層であり、かつ、1−ブテン系共重合体(b1)中における1−ブテン由来成分の含有率が50〜99モル%である、請求項1記載の易開封食品包装袋用積層フィルム。
【請求項3】
厚さが20〜50μmの積層フィルムであり、かつ、ヒートシール層(B)の厚さが1〜8μmである、請求項1または2記載の易開封食品包装袋用積層フィルム。
【請求項4】
プロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を75重量%以上含有してなる表面層(A1)と、プロピレン単独重合体を70重量%以上含有してなる中間層(C1)と、1−ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1ブテン系共重合体(b1)を25〜75重量%およびプロピレンとエチレンとを必須成分としてなる共重合体(b2)を75〜25重量%含有してなるヒートシール層(B1)とを、(A1)/(C1)/(B1)の順に積層してなる3層フィルム(I−1)、または、プロピレン単独重合体を90重量%以上含有してなる表面層(A2)と、プロピレン単独重合体および/またはプロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を90重量%以上含有してなる中間層(C2)と、該ヒートシール層(B1)とを、(A2)/(C2)/(B1)の順に積層してなる3層フィルム(I−2)である、請求項1〜3のいずれか1項記載の易開封食品包装袋用積層フィルム。
【請求項5】
パンの包装用である請求項1〜4のいずれか1項記載の易開封食品包装袋用積層フィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の易開封食品包装袋用積層フィルムからなり、そのヒートシール層(B)を内側として接着強度が7.5〜30N/15mmとなる条件で溶融接着して製袋されたことを特徴とする、開口部を有する易開封食品包装用袋。
【請求項7】
開口部を、65〜100℃、0.1〜2秒間のヒートシール条件でヒートシール強度が0.1〜5N/15mmとなるヒートシールが可能な袋である、請求項6記載の易開封食品包装用袋。
【請求項8】
底部にガゼットが入るように製袋された袋である、請求項6または7記載の易開封食品包装用袋。
【請求項9】
パンの包装用である請求項6〜8のいずれか1項記載の易開封食品包装用袋。


【公開番号】特開2006−213065(P2006−213065A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113549(P2006−113549)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【分割の表示】特願2001−21751(P2001−21751)の分割
【原出願日】平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【出願人】(000178594)山崎製パン株式会社 (42)
【Fターム(参考)】