映像伝送システム
【課題】従来の映像伝送システムは、画像/制御信号の接続にLANケーブルと、トリガ信号の接続にトリガ信号ケーブルとの、2本のケーブルを接続する必要があり、テレビジョンカメラが動くシステム等では動きに制限が出る。
【解決手段】本映像伝送システムは、テレビジョンカメラ1と映像装置2との間を1本のLANケーブル3で接続し、画像データ及び制御データをLANケーブル3で送受信する映像伝送システム10において、映像装置2は、LANケーブル3の画像データ及び制御データにトリガ信号を重畳させる重畳回路25を備え、テレビジョンカメラ1は、重畳回路25によりLANケーブル3に重畳されたトリガ信号を分離する分離回路17を備えたことを特徴とする。
【解決手段】本映像伝送システムは、テレビジョンカメラ1と映像装置2との間を1本のLANケーブル3で接続し、画像データ及び制御データをLANケーブル3で送受信する映像伝送システム10において、映像装置2は、LANケーブル3の画像データ及び制御データにトリガ信号を重畳させる重畳回路25を備え、テレビジョンカメラ1は、重畳回路25によりLANケーブル3に重畳されたトリガ信号を分離する分離回路17を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像伝送システムに係り、特にマシンビジョンに用いられるテレビジョンカメラと映像装置における、画像データ(映像信号)、制御データ、及びトリガ信号のやり取りを、1本の信号ケーブルで可能にした映像伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マシンビジョンシステムでは、製造ライン上の製造物検査などのタスクを実行するため、システムの所定のタイミングでベルトコンベア上の製造物を撮像するテレビジョンカメラが使用されている。
【0003】
テレビジョンカメラ(撮像装置)と映像装置間は信号ケーブルで接続されており、この信号ケーブルを介し、テレビジョンカメラで撮像した画像データ(映像信号)が時分割多重方式により映像装置に送られ、映像装置は送られた画像データを基に各種検査のための処理を行い、またモニタに画像を表示していた。これらテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送に関する従来技術として特許文献1に挙げた特開2007−28588号公報がある。この従来技術ではIEEE 1394b規格の信号ケーブルを用いて映像伝送システムを構成している。
【0004】
近年、画像、制御データに電源を重畳し、画像データの伝送、制御データの伝送、電源供給を一本の信号ケーブルで行う場合が多くなってきた。例えば、特開2007−88714号公報に開示されたカメラシステムがある。この場合、テレビジョンカメラと映像装置間の信号ケーブルにIEEE 802.3ab / af規格のケーブルが用いられる。IEEE 802.3ab / af規格は、例えば図6に示すように、テレビジョンカメラ5から映像装置6に伝送する画像データと、映像装置6からテレビジョンカメラ5に伝送する制御データ(以下画像データと制御データをまとめて記載するときは画像・制御データという)を、1番ピンのTRD+(0)と2番ピンのTRD−(0)、3番ピンのTRD+(1)と6番ピンのTRD−(1)、4番ピンのTRD+(2)と5番ピンのTRD−(2)、7番ピンのTRD+(3)と8番ピンのTRD−(3)で構成する4対8本の信号線によりシリアル信号を差動で双方向に1Gbpsで伝送し、更に、映像装置6からテレビジョンカメラ5に電源を供給するため、重畳回路64でTRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)の画像・制御データに電源を重畳し、LANケーブル1本で画像・制御・電源を伝送する規格である。
【0005】
ところで、マシンビジョンシステムでは、テレビジョンカメラ5と映像装置6の同期を取ったり、システムの所定のタイミングでテレビジョンカメラ5の露光を制御したりするためのトリガ信号が必要となるため、トリガ信号をLANケーブル7とは別のトリガ信号ケーブル8で接続している。テレビジョンカメラ5を制御している映像装置6は、上記所定のタイミングで製造物を撮像するために、テレビジョンカメラ5にトリガ信号を送り、テレビジョンカメラ5はこのトリガ信号をもとに露光を制御する。更にテレビジョンカメラ5の電源もこのLANケーブル7を介して映像装置6から供給される。
【0006】
図6を参照して、従来技術の映像伝送システムについて更に説明する。
図6に示した従来技術の映像伝送システム50は、テレビジョンカメラ5と映像装置6が、LANケーブル7及びトリガ信号ケーブル8とにより接続されている。
【0007】
テレビジョンカメラ5は、画像・制御データを処理する制御部51、テレビジョンカメラ5に電源を供給する電源回路52、映像装置6から入力されたトリガ信号を受信するトリガ信号受信回路53、LANケーブル7から電源を分離する分離回路54、55を含んで構成されている。
【0008】
映像装置6は、映像信号や制御信号を処理する制御部61、映像装置6及びテレビジョンカメラ5に電源を供給する電源回路62、テレビジョンカメラ5の撮像タイミングをコントロールするトリガ信号を発生するトリガ信号発生回路63、LANケーブル7に電源を重畳する重畳回路64を含んで構成されている。
【0009】
LANケーブル7は、テレビジョンカメラ5の接栓56と映像装置6の接栓65により、テレビジョンカメラ5と映像装置6間を接続する。LANケーブル7信号配列は、図6の接栓56と接栓65に示してあるように、1番ピンがTRD+(0)、2番ピンがTRD−(0)、3番ピンがTRD+(1)、4番ピンがTRD+(2)、5番ピンがTRD−(2)、6番ピンがTRD−(1)、7番ピンがTRD+(3)、8番ピンがTRD−(3)となっている。
【0010】
LANケーブル7は、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)が、図7に示されるように、それぞれツイストペア線で構成され、4対8本の信号線を有する信号ケーブルとなっている。このLANケーブル7はIEEE802.3ab/af規格に適合し、シリアル信号を差動で双方向に1Gbpsで伝送する能力を有し、更に、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線に電源を重畳して映像装置6からテレビジョンカメラ5に電力を供給することが可能である。なお、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線に電源を重畳する方式とすることもできる。
【0011】
また、トリガ信号発生回路63とトリガ信号受信回路53はトリガ信号ケーブル8で接続されている。57、66はトリガ信号ケーブル8を接続する接栓である。
【0012】
即ち、トリガ信号を伝送するトリガ信号ケーブル8は画像・制御データを伝送するLANケーブル7とは別に設けられ、テレビジョンカメラ5と映像装置6は2本の信号ケーブルで接続されている。
【0013】
トリガ信号発生回路63で生成されるトリガ信号は、例えば図8のような0Vから5Vのパルス信号である。このトリガ信号はトリガ信号ケーブル8を経由して、テレビジョンカメラ5のトリガ信号受信回路53に伝送される。トリガ信号を受信したテレビジョンカメラ5のトリガ信号受信回路53はこのトリガ信号によりテレビジョンカメラ5の撮像タイミングをコントロールし、画像データを取得する。テレビジョンカメラ5は、撮像した画像データをLANケーブル7で映像装置6の制御部61に画像伝送する。
【0014】
映像装置6からテレビジョンカメラ5に電源を供給するには、LANケーブル7の画像・制御データ信号(図9、図10参照)に電源回路62からの電源(図11参照;図11は48Vの例を示す)を重畳させる。図9に画像・制御データ(TRD+)の信号を示す。また、図10に画像・制御データ(TRD−)の信号を示す。重畳回路64はTRD(0)(TRD+(0)とTRD−(0)のペア線)の画像・制御データに電源回路62からの電源電圧(図11参照;例えば直流電圧48V)を重畳する部位であり、このときGND電位(図12参照;直流電圧0V)は、TRD(1)(TRD+(1)とTRD−(1)のペア線)の画像・制御データ信号に重畳される。図13は電源と画像・制御データ信号(TRD+)の重畳された波形を示している。図14は電源と画像・制御データ信号(TRD−)の重畳された波形を示している。画像・制御データ(TRD+)と画像・制御データ(TRD−)は図9、図10に示されるように差動信号となっている(図9の画像・制御データ信号(TRD+)信号に対し図10の画像・制御データ信号(TRD−)信号は極性が反転したものとなっている)。図13、図14は画像・制御データ重畳に電源が重畳された結果の波形を示しており、電源の直流電圧48Vに画像・制御データの信号波形が重畳されている様子がみてとれる。電源に重畳された図14の画像・制御データ信号波形は、電源に重畳された図13の画像・制御データ信号波形に対し、図9、図10の画像・制御データと同様に極性が反転した差動信号となっている。テレビジョンカメラ5の分離回路54、55は、LANケーブル7に重畳された電源と画像・制御データを分離し、電源回路52に電源を供給する。
【特許文献1】特開2007−28588号公報
【特許文献2】特開2007−88714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記図6に示した従来技術では、画像/制御信号の接続にLANケーブル7と、トリガ信号の接続にトリガ信号ケーブル8との、2本のケーブルを接続する必要があり、テレビジョンカメラ5が動くシステム等では動きに制限が出る。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ケーブル本数を減らして、1本にし、更に、2ペア信号のどちらがトリガ信号になってもシステム構築を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る発明の要旨は、テレビジョンカメラと映像装置との間を1本の信号ケーブルで接続し、画像データ及び制御データを前記信号ケーブルで送受信する映像伝送システムにおいて、前記映像装置は、前記信号ケーブルの画像データ及び制御データにトリガ信号を重畳させる重畳回路を備え、前記テレビジョンカメラは、前記重畳回路により前記信号ケーブルに重畳されたトリガ信号を分離する分離回路を備えたことを特徴とする映像伝送システムに存する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ケーブルの接続本数を減らすことができ、それによってケーブル1本で接続が可能になるため、マシンビジョンに用いられるテレビジョンカメラが取り付けられることの多い可動部分と、映像装置が設置される非可動部分との間が開いたり狭まったりしても、問題なく撮像することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明による実施の形態の映像伝送システム100の概要を示すものである。
映像伝送システム100は映像装置102とテレビジョンカメラ(撮像装置)101が、LANケーブル103により接続されて構成されている。映像装置102は、制御部109、トリガ信号発生回路106、電源回路107、電源・トリガ信号重畳部108を含んで構成されている。ここで、制御部109は映像信号や制御信号を処理する制御部位である。また、トリガ信号発生回路106はテレビジョンカメラ101の撮像タイミングをコントロールするトリガ信号を発生する部位である。また、電源回路107は映像装置102に電源を供給すると共にLANケーブル103を通してテレビジョンカメラ101に電源を供給する部位である。電源・トリガ信号重畳部108は、電源とトリガ信号をテレビジョンカメラ101に伝送するために、LANケーブル103の画像・制御データに電源とトリガ信号を重畳させる部位である。104は映像部101とLANケーブル103を接続する接栓、105は映像装置102とLANケーブル103を接続する接栓である。
【0019】
本発明は、従来の電源重畳に使用していない2対、例えばTRD0(TRD+(0)とTRD−(0)のペア線)とTRD1(TRD+(1)とTRD−(1)のペア線)に電源重畳している場合はTRD2(TRD+(2)とTRD−(2)のペア線)とTRD3(TRD+(3)とTRD−(3)のペア線)にトリガ信号を重畳し、TRD2とTRD3に電源重畳している場合はTRD0とTRD1にトリガ信号を重畳し、画像・制御データと電源およびトリガ信号を1本のLANケーブル103で伝送することを特徴とする。
【0020】
(実施の形態)
以下、図2を参照して、本発明の実施の形態の映像伝送システム10について更に詳細に説明する。
テレビジョンカメラ1は、映像装置2と、LANケーブル3により接続されている。
【0021】
テレビジョンカメラ1は、画像・制御データを処理する制御部11、映像装置2から受電しテレビジョンカメラ1に電源を供給する電源回路12、映像装置2から入力されたトリガ信号を受信するトリガ信号受信回路13、電源またはトリガ信号が重畳された画像・制御データ信号から、電源またはトリガ信号を分離する分離回路16、17を含んで構成されている。
【0022】
映像装置2は、映像信号や制御信号を処理する制御部21、電源を供給する電源回路22、テレビジョンカメラ1の撮像タイミングをコントロールするトリガ信号を発生するトリガ信号発生回路23、画像・制御データ信号に電源を重畳する重畳回路24、画像・制御データ信号にトリガ信号を重畳する重畳回路25を含んで構成されている。
【0023】
LANケーブル3は、テレビジョンカメラ1の接栓18と映像装置2の接栓26により、テレビジョンカメラ1と映像装置2間を接続する。
【0024】
LANケーブル3は、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)が、図7に示されるように、それぞれツイストペア線で構成され、4対8本の信号線を有する信号ケーブルとなっている。このLANケーブル3はIEEE802.3ab/af規格に適合し、シリアル信号を差動で双方向に1Gbpsで伝送する能力を有し、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線に電源を重畳して映像装置2からテレビジョンカメラ1に電力を供給し、更に、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線にトリガ信号を重畳することが可能である。なお、後述するようにTRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線に電源を重畳し、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線にトリガ信号を重畳する方式とすることもできる。
【0025】
テレビジョンカメラ1から映像装置2に伝送する画像データと、映像装置2からテレビジョンカメラ1に伝送する制御データを、1番ピンのTRD+(0)と2番ピンのTRD−(0)、3番ピンのTRD+(1)と6番ピンのTRD−(1)、4番ピンのTRD+(2)と5番ピンのTRD−(2)、7番ピンのTRD+(3)と8番ピンのTRD−(3)で構成する4対8本の信号線によりシリアル信号を差動で双方向に1Gbpsで伝送する。
【0026】
図2のように、映像装置2からテレビジョンカメラ1に電源を供給するために重畳回路24でTRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)の画像・制御データに電源を重畳するシステムの場合は、電源供給に使用していない4番ピンのTRD+(2)と5番ピンのTRD−(2)、7番ピンのTRD+(3)と8番ピンのTRD−(3)を使用して、重畳回路25で画像・制御データにトリガ信号発生回路23からのトリガ信号を重畳する。
【0027】
重畳回路24はTRD(0)(TRD+(0)とTRD−(0)のペア線)の画像・制御データに電源回路22からの電源(図11参照;例えば直流電圧48V)を重畳する部位であり、このときGND電位(図12参照;直流電圧0V)は、TRD(1)(TRD+(1)とTRD−(1)のペア線)の画像・制御データ信号に重畳される。
【0028】
重畳回路25はTRD(2)(TRD+(2)とTRD−(2)のペア線)の画像・制御データ(図9、図10参照)にトリガ信号発生回路23からのトリガ信号を重畳する部位である。トリガ信号発生回路23で生成されるトリガ信号は、例えば図8のような0Vか5Vのパルス信号である。このトリガ信号は重畳回路25で画像・制御データに重畳され、図3、図4に示したような信号波形となる。図3はトリガ信号と画像・制御データ(TRD+)を重畳した後の信号波形を示している。また、図4はトリガ信号と画像・制御データ(TRD−)を重畳した後の信号波形を示している。図3、図4からトリガ信号に画像・制御データの信号波形が重畳されている様子がみてとれる。電源に重畳された図4の画像・制御データ信号波形は、電源に重畳された図3の画像・制御データ信号波形に対し、図9、図10の画像・制御データと同様に極性が反転した差動信号となっている。
【0029】
テレビジョンカメラ1の分離回路16は、LANケーブル3に重畳された電源と画像・制御データを分離し、選択回路14を介して電源回路12に電源を供給する。また、テレビジョンカメラ1の分離回路17は、LANケーブル3に重畳されたトリガ信号と画像・制御データを分離し、減算回路15を介してトリガ信号受信回路13にトリガ信号を供給する。
【0030】
図2ではTRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線に電源を重畳し、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線にトリガ信号を重畳する方式としたが、図5に示した映像伝送システム20のように、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線に電源を重畳し、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線にトリガ信号を重畳する方式とすることもできる。この場合は、重畳回路45でTRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)の画像・制御データに電源を重畳し、電源供給に使用していない1番ピンのTRD+(0)と2番ピンのTRD+(0)、3番ピンのTRD+(1)と6番ピンのTRD−(1)を使用して、重畳回路44で画像・制御データにトリガ信号発生回路42からのトリガ信号を重畳する。
【0031】
テレビジョンカメラ1側では、図2、図5どちらの電源供給方式であっても、分離回路16で1番ピンのTRD+(0)と2番ピンのTRD−(0)、3番ピンのTRD+(1)と6番ピンのTRD−(1)から画像・制御データと電源もしくはトリガ信号を分離し、分離回路17で4番ピンのTRD+(2)と5番ピンのTRD−(2)、7番ピンのTRD+(3)と8番ピンのTRD−(3)から画像・制御データと電源もしくはトリガ信号を分離した後、選択回路14でTRD+(0)、TRD−(0)、TRD+(1)、TRD−(1)とTRD+(2)、TRD−(2)、TRD+(3)、TRD−(3)からの分離信号を比較し電圧の高いほうを出力する。電源は48V、トリガ信号は0Vか5Vの為、選択回路14の出力は48Vと電圧の高い電源が選択され電源回路12に供給される。
【0032】
一方、減算回路15では、TRD+(0)、TRD−(0)、TRD+(1)、TRD−(1)の分離信号とTRD+(2)、TRD−(2)、TRD+(3)、TRD−(3)の分離信号とを比較し、両信号の差をトリガ信号としてトリガ信号受信回路13に出力する。このためトリガ信号は、トリガ信号が0Vであれば電源48Vとの差である48Vを、トリガ信号が5Vであれば電源48Vとの差である43Vを出力し、ハイレベル48V、ローレベル43Vでトリガ信号の判定が可能となる。
【0033】
以上のようにテレビジョンカメラ1と映像装置2の画像・制御データに電源とトリガ信号を重畳することにより、映像信号、制御信号、電源、トリガ信号がLANケーブル1本で接続が可能になる。
【0034】
以上、上記実施の形態からその特徴を下に纏める。
(1)上記実施の形態の映像伝送システムは、テレビジョンカメラと映像装置との間を1本の信号ケーブルで接続し、画像データ及び制御データを前記信号ケーブルで送受信する映像伝送システムにおいて、前記映像装置は、前記信号ケーブルの画像データ及び制御データにトリガ信号を重畳させる第1の重畳回路を備え、前記テレビジョンカメラは、前記重畳回路により前記信号ケーブルに重畳されたトリガ信号を分離する第1の分離回路を備えたことを特徴とする。
(2)上記実施の形態の映像伝送システムは、上記(1)において、前記映像装置が前記信号ケーブルの画像データ及び制御データに電源を重畳させる第2の重畳回路を備え、前記テレビジョンカメラが前記重畳回路により前記信号ケーブルに重畳された電源を分離する第2の分離回路を備えたことを特徴とする。
(3)上記実施の形態の映像伝送システムは、上記(2)において、前記トリガ信号が前記電源が重畳されない前記信号ケーブルの信号線に重畳されることを特徴とする。
(4)上記実施の形態の映像伝送システムは、上記(2)または上記(3)のいずれかにおいて、前記トリガ信号の電圧と前記電源の電圧を異ならしめ、前記第1の分離回路と前記第2の分離回路の出力を比較して前記電源の電圧を判定し、前記電源の電圧を出力していると判定された分離回路からの出力を電源回路に出力することを特徴とする。
(5)上記実施の形態の映像伝送システムは、上記(2)から上記(4)のいずれかにおいて、前記トリガ信号の電圧と前記電源の電圧を異ならしめ、前記第1の分離回路と前記第2の分離回路の出力を減算してトリガ信号を検出し、該検出されたトリガ信号をトリガ信号受信回路に出力することを特徴とする。
【0035】
以上、実施の形態により具体的に説明したが、上記実施の形態は例示であり、本発明がこれらに限定されないことは勿論である。例えば、上記実施の形態ではテレビジョンカメラ1と映像装置2の間で画像・制御データを送受信するためにIEEE 802.3ab / af規格に適合したLANケーブルを使用したが、画像・制御データに電源やトリガ信号を重畳することが可能なものであれば、IEEE 802.3ab / af規格に適合したLANケーブルには限定されない。また、信号ケーブルの信号本数は、画像・制御データに電源やトリガ信号を重畳することが可能なものであれば4対8本に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、マシンビジョンシステム以外の映像伝送システムにも広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の映像伝送システムの概要を説明する図である。
【図2】本発明による実施の形態の、映像伝送システムの一構成を示す図である。
【図3】本発明による実施の形態の、トリガ信号と画像・制御データ(TRD+)が重畳された信号を示す図である。
【図4】本発明による実施の形態の、トリガ信号と画像・制御データ(TRD-)が重畳された信号を示す図である。
【図5】本発明による実施の形態の、映像伝送システムの他の構成を示す図である。
【図6】従来技術による映像伝送システムの構成を示す図である。
【図7】LANケーブルの配線構造を説明する図である。
【図8】トリガ信号を説明する図である。
【図9】画像・制御データ(TRD+)を説明する図である。
【図10】画像・制御データ(TRD-)を説明する図である。
【図11】電源の信号を説明する図である。
【図12】電源のGND信号を説明する図である。
【図13】電源と画像・制御データ(TRD+)が重畳された信号を示す図である。
【図14】電源信号と画像・制御データ(TRD-)が重畳された信号を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1、5、101・・・テレビジョンカメラ(撮像装置)
2、4、6、102・・・映像装置
3、4、7、103・・・LANケーブル
8・・・トリガ信号ケーブル
10、20、50、100・・・映像伝送システム
11、21、41、51、61、109・・・制御部
12、22、43、52、62、107・・・電源回路
13,53・・・トリガ信号受信回路
14・・・選択回路
15・・・減算回路
16、17、54、55・・・分離回路
18、26、46、56、57、65、66、104、105・・・接栓
23、42、63、106・・・トリガ信号発生回路
24、25、44、45、64・・・重畳回路
108・・・電源・トリガ信号重畳部
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像伝送システムに係り、特にマシンビジョンに用いられるテレビジョンカメラと映像装置における、画像データ(映像信号)、制御データ、及びトリガ信号のやり取りを、1本の信号ケーブルで可能にした映像伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マシンビジョンシステムでは、製造ライン上の製造物検査などのタスクを実行するため、システムの所定のタイミングでベルトコンベア上の製造物を撮像するテレビジョンカメラが使用されている。
【0003】
テレビジョンカメラ(撮像装置)と映像装置間は信号ケーブルで接続されており、この信号ケーブルを介し、テレビジョンカメラで撮像した画像データ(映像信号)が時分割多重方式により映像装置に送られ、映像装置は送られた画像データを基に各種検査のための処理を行い、またモニタに画像を表示していた。これらテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送に関する従来技術として特許文献1に挙げた特開2007−28588号公報がある。この従来技術ではIEEE 1394b規格の信号ケーブルを用いて映像伝送システムを構成している。
【0004】
近年、画像、制御データに電源を重畳し、画像データの伝送、制御データの伝送、電源供給を一本の信号ケーブルで行う場合が多くなってきた。例えば、特開2007−88714号公報に開示されたカメラシステムがある。この場合、テレビジョンカメラと映像装置間の信号ケーブルにIEEE 802.3ab / af規格のケーブルが用いられる。IEEE 802.3ab / af規格は、例えば図6に示すように、テレビジョンカメラ5から映像装置6に伝送する画像データと、映像装置6からテレビジョンカメラ5に伝送する制御データ(以下画像データと制御データをまとめて記載するときは画像・制御データという)を、1番ピンのTRD+(0)と2番ピンのTRD−(0)、3番ピンのTRD+(1)と6番ピンのTRD−(1)、4番ピンのTRD+(2)と5番ピンのTRD−(2)、7番ピンのTRD+(3)と8番ピンのTRD−(3)で構成する4対8本の信号線によりシリアル信号を差動で双方向に1Gbpsで伝送し、更に、映像装置6からテレビジョンカメラ5に電源を供給するため、重畳回路64でTRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)の画像・制御データに電源を重畳し、LANケーブル1本で画像・制御・電源を伝送する規格である。
【0005】
ところで、マシンビジョンシステムでは、テレビジョンカメラ5と映像装置6の同期を取ったり、システムの所定のタイミングでテレビジョンカメラ5の露光を制御したりするためのトリガ信号が必要となるため、トリガ信号をLANケーブル7とは別のトリガ信号ケーブル8で接続している。テレビジョンカメラ5を制御している映像装置6は、上記所定のタイミングで製造物を撮像するために、テレビジョンカメラ5にトリガ信号を送り、テレビジョンカメラ5はこのトリガ信号をもとに露光を制御する。更にテレビジョンカメラ5の電源もこのLANケーブル7を介して映像装置6から供給される。
【0006】
図6を参照して、従来技術の映像伝送システムについて更に説明する。
図6に示した従来技術の映像伝送システム50は、テレビジョンカメラ5と映像装置6が、LANケーブル7及びトリガ信号ケーブル8とにより接続されている。
【0007】
テレビジョンカメラ5は、画像・制御データを処理する制御部51、テレビジョンカメラ5に電源を供給する電源回路52、映像装置6から入力されたトリガ信号を受信するトリガ信号受信回路53、LANケーブル7から電源を分離する分離回路54、55を含んで構成されている。
【0008】
映像装置6は、映像信号や制御信号を処理する制御部61、映像装置6及びテレビジョンカメラ5に電源を供給する電源回路62、テレビジョンカメラ5の撮像タイミングをコントロールするトリガ信号を発生するトリガ信号発生回路63、LANケーブル7に電源を重畳する重畳回路64を含んで構成されている。
【0009】
LANケーブル7は、テレビジョンカメラ5の接栓56と映像装置6の接栓65により、テレビジョンカメラ5と映像装置6間を接続する。LANケーブル7信号配列は、図6の接栓56と接栓65に示してあるように、1番ピンがTRD+(0)、2番ピンがTRD−(0)、3番ピンがTRD+(1)、4番ピンがTRD+(2)、5番ピンがTRD−(2)、6番ピンがTRD−(1)、7番ピンがTRD+(3)、8番ピンがTRD−(3)となっている。
【0010】
LANケーブル7は、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)が、図7に示されるように、それぞれツイストペア線で構成され、4対8本の信号線を有する信号ケーブルとなっている。このLANケーブル7はIEEE802.3ab/af規格に適合し、シリアル信号を差動で双方向に1Gbpsで伝送する能力を有し、更に、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線に電源を重畳して映像装置6からテレビジョンカメラ5に電力を供給することが可能である。なお、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線に電源を重畳する方式とすることもできる。
【0011】
また、トリガ信号発生回路63とトリガ信号受信回路53はトリガ信号ケーブル8で接続されている。57、66はトリガ信号ケーブル8を接続する接栓である。
【0012】
即ち、トリガ信号を伝送するトリガ信号ケーブル8は画像・制御データを伝送するLANケーブル7とは別に設けられ、テレビジョンカメラ5と映像装置6は2本の信号ケーブルで接続されている。
【0013】
トリガ信号発生回路63で生成されるトリガ信号は、例えば図8のような0Vから5Vのパルス信号である。このトリガ信号はトリガ信号ケーブル8を経由して、テレビジョンカメラ5のトリガ信号受信回路53に伝送される。トリガ信号を受信したテレビジョンカメラ5のトリガ信号受信回路53はこのトリガ信号によりテレビジョンカメラ5の撮像タイミングをコントロールし、画像データを取得する。テレビジョンカメラ5は、撮像した画像データをLANケーブル7で映像装置6の制御部61に画像伝送する。
【0014】
映像装置6からテレビジョンカメラ5に電源を供給するには、LANケーブル7の画像・制御データ信号(図9、図10参照)に電源回路62からの電源(図11参照;図11は48Vの例を示す)を重畳させる。図9に画像・制御データ(TRD+)の信号を示す。また、図10に画像・制御データ(TRD−)の信号を示す。重畳回路64はTRD(0)(TRD+(0)とTRD−(0)のペア線)の画像・制御データに電源回路62からの電源電圧(図11参照;例えば直流電圧48V)を重畳する部位であり、このときGND電位(図12参照;直流電圧0V)は、TRD(1)(TRD+(1)とTRD−(1)のペア線)の画像・制御データ信号に重畳される。図13は電源と画像・制御データ信号(TRD+)の重畳された波形を示している。図14は電源と画像・制御データ信号(TRD−)の重畳された波形を示している。画像・制御データ(TRD+)と画像・制御データ(TRD−)は図9、図10に示されるように差動信号となっている(図9の画像・制御データ信号(TRD+)信号に対し図10の画像・制御データ信号(TRD−)信号は極性が反転したものとなっている)。図13、図14は画像・制御データ重畳に電源が重畳された結果の波形を示しており、電源の直流電圧48Vに画像・制御データの信号波形が重畳されている様子がみてとれる。電源に重畳された図14の画像・制御データ信号波形は、電源に重畳された図13の画像・制御データ信号波形に対し、図9、図10の画像・制御データと同様に極性が反転した差動信号となっている。テレビジョンカメラ5の分離回路54、55は、LANケーブル7に重畳された電源と画像・制御データを分離し、電源回路52に電源を供給する。
【特許文献1】特開2007−28588号公報
【特許文献2】特開2007−88714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記図6に示した従来技術では、画像/制御信号の接続にLANケーブル7と、トリガ信号の接続にトリガ信号ケーブル8との、2本のケーブルを接続する必要があり、テレビジョンカメラ5が動くシステム等では動きに制限が出る。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ケーブル本数を減らして、1本にし、更に、2ペア信号のどちらがトリガ信号になってもシステム構築を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る発明の要旨は、テレビジョンカメラと映像装置との間を1本の信号ケーブルで接続し、画像データ及び制御データを前記信号ケーブルで送受信する映像伝送システムにおいて、前記映像装置は、前記信号ケーブルの画像データ及び制御データにトリガ信号を重畳させる重畳回路を備え、前記テレビジョンカメラは、前記重畳回路により前記信号ケーブルに重畳されたトリガ信号を分離する分離回路を備えたことを特徴とする映像伝送システムに存する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ケーブルの接続本数を減らすことができ、それによってケーブル1本で接続が可能になるため、マシンビジョンに用いられるテレビジョンカメラが取り付けられることの多い可動部分と、映像装置が設置される非可動部分との間が開いたり狭まったりしても、問題なく撮像することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明による実施の形態の映像伝送システム100の概要を示すものである。
映像伝送システム100は映像装置102とテレビジョンカメラ(撮像装置)101が、LANケーブル103により接続されて構成されている。映像装置102は、制御部109、トリガ信号発生回路106、電源回路107、電源・トリガ信号重畳部108を含んで構成されている。ここで、制御部109は映像信号や制御信号を処理する制御部位である。また、トリガ信号発生回路106はテレビジョンカメラ101の撮像タイミングをコントロールするトリガ信号を発生する部位である。また、電源回路107は映像装置102に電源を供給すると共にLANケーブル103を通してテレビジョンカメラ101に電源を供給する部位である。電源・トリガ信号重畳部108は、電源とトリガ信号をテレビジョンカメラ101に伝送するために、LANケーブル103の画像・制御データに電源とトリガ信号を重畳させる部位である。104は映像部101とLANケーブル103を接続する接栓、105は映像装置102とLANケーブル103を接続する接栓である。
【0019】
本発明は、従来の電源重畳に使用していない2対、例えばTRD0(TRD+(0)とTRD−(0)のペア線)とTRD1(TRD+(1)とTRD−(1)のペア線)に電源重畳している場合はTRD2(TRD+(2)とTRD−(2)のペア線)とTRD3(TRD+(3)とTRD−(3)のペア線)にトリガ信号を重畳し、TRD2とTRD3に電源重畳している場合はTRD0とTRD1にトリガ信号を重畳し、画像・制御データと電源およびトリガ信号を1本のLANケーブル103で伝送することを特徴とする。
【0020】
(実施の形態)
以下、図2を参照して、本発明の実施の形態の映像伝送システム10について更に詳細に説明する。
テレビジョンカメラ1は、映像装置2と、LANケーブル3により接続されている。
【0021】
テレビジョンカメラ1は、画像・制御データを処理する制御部11、映像装置2から受電しテレビジョンカメラ1に電源を供給する電源回路12、映像装置2から入力されたトリガ信号を受信するトリガ信号受信回路13、電源またはトリガ信号が重畳された画像・制御データ信号から、電源またはトリガ信号を分離する分離回路16、17を含んで構成されている。
【0022】
映像装置2は、映像信号や制御信号を処理する制御部21、電源を供給する電源回路22、テレビジョンカメラ1の撮像タイミングをコントロールするトリガ信号を発生するトリガ信号発生回路23、画像・制御データ信号に電源を重畳する重畳回路24、画像・制御データ信号にトリガ信号を重畳する重畳回路25を含んで構成されている。
【0023】
LANケーブル3は、テレビジョンカメラ1の接栓18と映像装置2の接栓26により、テレビジョンカメラ1と映像装置2間を接続する。
【0024】
LANケーブル3は、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)が、図7に示されるように、それぞれツイストペア線で構成され、4対8本の信号線を有する信号ケーブルとなっている。このLANケーブル3はIEEE802.3ab/af規格に適合し、シリアル信号を差動で双方向に1Gbpsで伝送する能力を有し、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線に電源を重畳して映像装置2からテレビジョンカメラ1に電力を供給し、更に、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線にトリガ信号を重畳することが可能である。なお、後述するようにTRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線に電源を重畳し、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線にトリガ信号を重畳する方式とすることもできる。
【0025】
テレビジョンカメラ1から映像装置2に伝送する画像データと、映像装置2からテレビジョンカメラ1に伝送する制御データを、1番ピンのTRD+(0)と2番ピンのTRD−(0)、3番ピンのTRD+(1)と6番ピンのTRD−(1)、4番ピンのTRD+(2)と5番ピンのTRD−(2)、7番ピンのTRD+(3)と8番ピンのTRD−(3)で構成する4対8本の信号線によりシリアル信号を差動で双方向に1Gbpsで伝送する。
【0026】
図2のように、映像装置2からテレビジョンカメラ1に電源を供給するために重畳回路24でTRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)の画像・制御データに電源を重畳するシステムの場合は、電源供給に使用していない4番ピンのTRD+(2)と5番ピンのTRD−(2)、7番ピンのTRD+(3)と8番ピンのTRD−(3)を使用して、重畳回路25で画像・制御データにトリガ信号発生回路23からのトリガ信号を重畳する。
【0027】
重畳回路24はTRD(0)(TRD+(0)とTRD−(0)のペア線)の画像・制御データに電源回路22からの電源(図11参照;例えば直流電圧48V)を重畳する部位であり、このときGND電位(図12参照;直流電圧0V)は、TRD(1)(TRD+(1)とTRD−(1)のペア線)の画像・制御データ信号に重畳される。
【0028】
重畳回路25はTRD(2)(TRD+(2)とTRD−(2)のペア線)の画像・制御データ(図9、図10参照)にトリガ信号発生回路23からのトリガ信号を重畳する部位である。トリガ信号発生回路23で生成されるトリガ信号は、例えば図8のような0Vか5Vのパルス信号である。このトリガ信号は重畳回路25で画像・制御データに重畳され、図3、図4に示したような信号波形となる。図3はトリガ信号と画像・制御データ(TRD+)を重畳した後の信号波形を示している。また、図4はトリガ信号と画像・制御データ(TRD−)を重畳した後の信号波形を示している。図3、図4からトリガ信号に画像・制御データの信号波形が重畳されている様子がみてとれる。電源に重畳された図4の画像・制御データ信号波形は、電源に重畳された図3の画像・制御データ信号波形に対し、図9、図10の画像・制御データと同様に極性が反転した差動信号となっている。
【0029】
テレビジョンカメラ1の分離回路16は、LANケーブル3に重畳された電源と画像・制御データを分離し、選択回路14を介して電源回路12に電源を供給する。また、テレビジョンカメラ1の分離回路17は、LANケーブル3に重畳されたトリガ信号と画像・制御データを分離し、減算回路15を介してトリガ信号受信回路13にトリガ信号を供給する。
【0030】
図2ではTRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線に電源を重畳し、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線にトリガ信号を重畳する方式としたが、図5に示した映像伝送システム20のように、TRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)のペア線に電源を重畳し、TRD+(0)とTRD−(0)、TRD+(1)とTRD−(1)のペア線にトリガ信号を重畳する方式とすることもできる。この場合は、重畳回路45でTRD+(2)とTRD−(2)、TRD+(3)とTRD−(3)の画像・制御データに電源を重畳し、電源供給に使用していない1番ピンのTRD+(0)と2番ピンのTRD+(0)、3番ピンのTRD+(1)と6番ピンのTRD−(1)を使用して、重畳回路44で画像・制御データにトリガ信号発生回路42からのトリガ信号を重畳する。
【0031】
テレビジョンカメラ1側では、図2、図5どちらの電源供給方式であっても、分離回路16で1番ピンのTRD+(0)と2番ピンのTRD−(0)、3番ピンのTRD+(1)と6番ピンのTRD−(1)から画像・制御データと電源もしくはトリガ信号を分離し、分離回路17で4番ピンのTRD+(2)と5番ピンのTRD−(2)、7番ピンのTRD+(3)と8番ピンのTRD−(3)から画像・制御データと電源もしくはトリガ信号を分離した後、選択回路14でTRD+(0)、TRD−(0)、TRD+(1)、TRD−(1)とTRD+(2)、TRD−(2)、TRD+(3)、TRD−(3)からの分離信号を比較し電圧の高いほうを出力する。電源は48V、トリガ信号は0Vか5Vの為、選択回路14の出力は48Vと電圧の高い電源が選択され電源回路12に供給される。
【0032】
一方、減算回路15では、TRD+(0)、TRD−(0)、TRD+(1)、TRD−(1)の分離信号とTRD+(2)、TRD−(2)、TRD+(3)、TRD−(3)の分離信号とを比較し、両信号の差をトリガ信号としてトリガ信号受信回路13に出力する。このためトリガ信号は、トリガ信号が0Vであれば電源48Vとの差である48Vを、トリガ信号が5Vであれば電源48Vとの差である43Vを出力し、ハイレベル48V、ローレベル43Vでトリガ信号の判定が可能となる。
【0033】
以上のようにテレビジョンカメラ1と映像装置2の画像・制御データに電源とトリガ信号を重畳することにより、映像信号、制御信号、電源、トリガ信号がLANケーブル1本で接続が可能になる。
【0034】
以上、上記実施の形態からその特徴を下に纏める。
(1)上記実施の形態の映像伝送システムは、テレビジョンカメラと映像装置との間を1本の信号ケーブルで接続し、画像データ及び制御データを前記信号ケーブルで送受信する映像伝送システムにおいて、前記映像装置は、前記信号ケーブルの画像データ及び制御データにトリガ信号を重畳させる第1の重畳回路を備え、前記テレビジョンカメラは、前記重畳回路により前記信号ケーブルに重畳されたトリガ信号を分離する第1の分離回路を備えたことを特徴とする。
(2)上記実施の形態の映像伝送システムは、上記(1)において、前記映像装置が前記信号ケーブルの画像データ及び制御データに電源を重畳させる第2の重畳回路を備え、前記テレビジョンカメラが前記重畳回路により前記信号ケーブルに重畳された電源を分離する第2の分離回路を備えたことを特徴とする。
(3)上記実施の形態の映像伝送システムは、上記(2)において、前記トリガ信号が前記電源が重畳されない前記信号ケーブルの信号線に重畳されることを特徴とする。
(4)上記実施の形態の映像伝送システムは、上記(2)または上記(3)のいずれかにおいて、前記トリガ信号の電圧と前記電源の電圧を異ならしめ、前記第1の分離回路と前記第2の分離回路の出力を比較して前記電源の電圧を判定し、前記電源の電圧を出力していると判定された分離回路からの出力を電源回路に出力することを特徴とする。
(5)上記実施の形態の映像伝送システムは、上記(2)から上記(4)のいずれかにおいて、前記トリガ信号の電圧と前記電源の電圧を異ならしめ、前記第1の分離回路と前記第2の分離回路の出力を減算してトリガ信号を検出し、該検出されたトリガ信号をトリガ信号受信回路に出力することを特徴とする。
【0035】
以上、実施の形態により具体的に説明したが、上記実施の形態は例示であり、本発明がこれらに限定されないことは勿論である。例えば、上記実施の形態ではテレビジョンカメラ1と映像装置2の間で画像・制御データを送受信するためにIEEE 802.3ab / af規格に適合したLANケーブルを使用したが、画像・制御データに電源やトリガ信号を重畳することが可能なものであれば、IEEE 802.3ab / af規格に適合したLANケーブルには限定されない。また、信号ケーブルの信号本数は、画像・制御データに電源やトリガ信号を重畳することが可能なものであれば4対8本に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、マシンビジョンシステム以外の映像伝送システムにも広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の映像伝送システムの概要を説明する図である。
【図2】本発明による実施の形態の、映像伝送システムの一構成を示す図である。
【図3】本発明による実施の形態の、トリガ信号と画像・制御データ(TRD+)が重畳された信号を示す図である。
【図4】本発明による実施の形態の、トリガ信号と画像・制御データ(TRD-)が重畳された信号を示す図である。
【図5】本発明による実施の形態の、映像伝送システムの他の構成を示す図である。
【図6】従来技術による映像伝送システムの構成を示す図である。
【図7】LANケーブルの配線構造を説明する図である。
【図8】トリガ信号を説明する図である。
【図9】画像・制御データ(TRD+)を説明する図である。
【図10】画像・制御データ(TRD-)を説明する図である。
【図11】電源の信号を説明する図である。
【図12】電源のGND信号を説明する図である。
【図13】電源と画像・制御データ(TRD+)が重畳された信号を示す図である。
【図14】電源信号と画像・制御データ(TRD-)が重畳された信号を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1、5、101・・・テレビジョンカメラ(撮像装置)
2、4、6、102・・・映像装置
3、4、7、103・・・LANケーブル
8・・・トリガ信号ケーブル
10、20、50、100・・・映像伝送システム
11、21、41、51、61、109・・・制御部
12、22、43、52、62、107・・・電源回路
13,53・・・トリガ信号受信回路
14・・・選択回路
15・・・減算回路
16、17、54、55・・・分離回路
18、26、46、56、57、65、66、104、105・・・接栓
23、42、63、106・・・トリガ信号発生回路
24、25、44、45、64・・・重畳回路
108・・・電源・トリガ信号重畳部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョンカメラと映像装置との間を1本の信号ケーブルで接続し、画像データ及び制御データを前記信号ケーブルで送受信する映像伝送システムにおいて、
前記映像装置は、前記信号ケーブルの画像データ及び制御データにトリガ信号を重畳させる重畳回路を備え、
前記テレビジョンカメラは、前記重畳回路により前記信号ケーブルに重畳されたトリガ信号を分離する分離回路を備えたことを特徴とする映像伝送システム。
【請求項1】
テレビジョンカメラと映像装置との間を1本の信号ケーブルで接続し、画像データ及び制御データを前記信号ケーブルで送受信する映像伝送システムにおいて、
前記映像装置は、前記信号ケーブルの画像データ及び制御データにトリガ信号を重畳させる重畳回路を備え、
前記テレビジョンカメラは、前記重畳回路により前記信号ケーブルに重畳されたトリガ信号を分離する分離回路を備えたことを特徴とする映像伝送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−62650(P2010−62650A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223703(P2008−223703)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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