説明

映像信号処理装置及び画像表示装置

【課題】テレビジョン映像信号のフレームレートと整合をとるようにプログレッシブ変換処理やフレームレート変換処理を施す際に、映像信号中のノイズの影響による画質の低下を改善する。
【解決手段】入力映像信号がテレシネ変換された映像信号であるか否かを検出し、テレシネ変換信号検出手段の検出結果に応じて入力映像信号をプログレッシブ変換する。そして、入力映像信号のノイズレベルを検出し、その検出結果に基づき、ノイズレベルが所定以上のレベルである場合には、テレシネ変換信号検出手段の検出処理をオフさせる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、映画フィルムをソースとするインターレース方式の映像信号等にプログレッシブ変換等の処理を施す映像信号処理装置や、そうした映像信号処理装置を搭載した画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、テレビジョン受信装置等においてインターレース方式の映像信号をプログレッシブ変換するIP変換部には、その映像信号のソースが映画フィルムであるかビデオカメラであるかを検出して、ソースに適したIP変換処理を行ない、より高画質な表示を行う機能が多く採用されている。さらに、最近では、映画フィルムをソースとする映像信号(以下、フィルム信号とも呼ぶ)の場合には、IP変換処理の後、動き補償によるフレームレート変換処理を施すことによって、画像のよりスムーズな動きが実現されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
図5及び図6は、フィルム信号を検出するための処理を示す。このうち図5は、50HzのPAL信号(576i)に変換する2:2プルダウン処理を施された2:2フィルム信号を検出するための処理を示す。2:2フィルム信号では、フィルムの1コマをOdd(奇数)フィールドとEven(偶数)フィールドとに分割することにより、同じコマから2フィールドが生成されている。そこで、入力信号と、入力信号を1フィールド遅延させた信号とのフィールド毎の差分を取ると、同じコマ同士の差分と異なるコマの差分とが交互に計算されるため、動画の場合は差分が0,1,0,1,…と交互に変化するので、2:2フィルム信号であることが検出される。
【0004】
図6は、60HzのNTSC信号(480i)に変換する3:2プルダウン処理を施された3:2フィルム信号を検出するための処理を示す。3:2フィルム信号では、3フィールドが同じフィルムのコマから生成され、次は2フィールドが同じコマから生成されるという状態が、交互に続いている。そこで、入力信号と、入力信号を2フィールド遅延させた信号とのフィールド毎の差分を取ると、5フィールド毎に、同じフィールド同士の差分が計算されて差分が0になるので、3:2フィルム信号であることが検出される。
【0005】
図7は、2:2フィルム信号を例にとって、動き補償によるフレームレート変換処理を示す。図7(a)に示すような2:2フィルム信号(50HzのPAL信号(576i))を、図7(b)に示すようなOddフィールドとEvenフィールドとを加算するIP変換処理(2:2プルダウンリバース処理)によって25Hzのプログレッシブ信号に変換した後、図7(c)に示すように、1フィールド置きに動きベクトルを検出し、動き補償によってその中間のフィールドを補間することにより、25Hzから50Hzにフレームレート変換する。このフレームレート変換により、表示される画像の動きがスムーズになる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−343333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、例えば受信アンテナからテレビジョン受信装置に送られるRF信号の電界強度が弱まることなどによってS/N比が悪くなった状態で図5や図6に示したようなフィルム信号検出処理を行なうと、差分を取った場合に、本来は同じコマから生成されているのでゼロになるべきフィールドでもランダムノイズの影響で差分を生じてしまうことにより、検出に誤動作が発生することがある。こうした誤動作が発生すると、フィルム信号の検出結果が不安定となることにより、フィルム信号であるにも拘らず、フィルム信号用のIP変換処理と通常のカメラ信号(ビデオカメラがソースである映像信号)用のIP変換処理とが頻繁に切り替えられる状態となり、画像が見苦しくなるという問題が発生する。
【0008】
また、このようにフィルム検出結果が不安定となると、図7(c)に示したようなフレームレート変換処理が頻繁にオンとオフとに切り替えられる状態となるので、画像が一層見苦しくなる。さらに、ノイズレベルが高くなると、動きベクトル検出そのものにも誤動作が生じて正確なベクトルの検出ができなくなり、画面に破綻が発生してしまうなどの問題が発生する。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、2:2フィルム信号や2:3フィルム信号等のような、元画像を所定のシーケンスに基づいて配置することによってテレビジョン映像信号のフレームレートと整合をとるように変換(本願書類では、元画像が映画,アニメーション,コンピュータグラフィックスのいずれである場合にも「テレシネ変換」と呼ぶことにする)された映像信号にプログレッシブ変換処理やフレームレート変換処理を施す際に、映像信号中のノイズの影響による画質の低下の問題を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る映像信号処理装置は、入力映像信号がテレシネ変換された映像信号であるか否かを検出するテレシネ変換信号検出手段と、このテレシネ変換信号検出手段の検出結果に応じてこの入力映像信号をプログレッシブ変換するIP変換手段と、この入力映像信号のノイズレベルを検出するノイズレベル検出手段と、このノイズレベル検出手段の検出結果に基づき、ノイズレベルが所定以上のレベルである場合には、このテレシネ変換信号検出手段の検出処理をオフさせる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この映像信号処理装置は、入力映像信号がテレシネ変換された映像信号であるか否かの検出結果に応じたプログレッシブ変換処理を入力映像信号に施すものであるが、入力映像信号のノイズレベルが検出され、このノイズレベルが大きい場合には、テレシネ変換信号検出手段の検出処理がオフされる。
【0012】
その結果、入力映像信号のノイズレベルが大きい場合、IP変換手段では、テレシネ変換された映像信号用のプログレッシブ変換処理が行われなくなる。これにより、入力映像信号のノイズレベルが大きい場合に、テレシネ変換された映像信号の検出の誤動作を原因としてテレシネ変換された映像信号用のプログレッシブ変換処理と通常のカメラ信号用のプログレッシブ変換処理とが頻繁に切り替えられることによる画質の低下が抑制される。
【0013】
また、本発明に係る画像表示装置は、入力映像信号がテレシネ変換された映像信号であるか否かを検出するテレシネ変換信号検出手段と、このテレシネ変換信号検出手段の検出結果に応じてこの入力映像信号をプログレッシブ変換するIP変換手段とを有し、このIP変換手段によってプログレッシブ変換された映像信号を表示する画像表示装置において、この入力映像信号のノイズレベルを検出するノイズレベル検出手段と、このノイズレベル検出手段の検出結果に基づき、ノイズレベルが所定以上のレベルである場合には、このテレシネ変換信号検出手段の検出処理をオフさせる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この画像表示装置は、それぞれ前述の本発明に係る映像信号処理装置を搭載して、テレシネ変換された映像信号にプログレッシブ変換処理を施して表示するものであり、入力映像信号のノイズレベルが大きい場合に、テレシネ変換された映像信号の検出の誤動作を原因としてテレシネ変換された映像信号用のプログレッシブ変換処理と通常のカメラ信号用のプログレッシブ変換処理とが頻繁に切り替えられることによる画質の低下が抑制され、あるいは、テレシネ変換された映像信号の検出の誤動作を原因としてフレームレート変換処理が頻繁にオンとオフとに切り替えられることによる画質の低下が抑制されるとともに動きベクトル検出の誤動作による画面の破綻が防止される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、入力映像信号に対してテレシネ変換された映像信号であるか否かの検出結果に応じたプログレッシブ変換処理を施し、さらに、テレシネ変換された映像信号に対してはプログレッシブ変換処理の後フレームレート変換処理を施す際に、入力映像信号のノイズレベルが大きい場合、テレシネ変換された映像信号の検出の誤動作を原因としてフレームレート変換処理が頻繁にオンとオフとに切り替えられることによる画質の低下を抑制することや、動きベクトル検出の誤動作による画面の破綻を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用したテレビジョン受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ノイズレベルの検出結果を例示する図である。
【図3】リモートコントローラで選択可能なモードを示す図である。
【図4】マイクロコンピュータによるモード切り替え処理を示す図である。
【図5】フィルム信号を検出するための処理を示す図である。
【図6】フィルム信号を検出するための処理を示す図である。
【図7】動き補償によるフレームレート変換処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をテレビジョン受信装置に適用した例について、図面を用いて具体的に説明する。図1は、本発明を適用したテレビジョン受信装置の主要部の構成を示すブロック図である。図示しない受信アンテナからフロントエンド1に送られるRF信号に基づき、フロントエンド1で選局・復調され、クロマデコーダ2でY/C分離処理やクロマデコード処理を施されたインターレース方式の映像信号(NTSC信号(480i),PAL信号(576i)またはHDTV信号(1080i))が、ノイズレベル検出回路3,IP変換回路4、フィルム信号検出回路5にそれぞれ送られる。
【0018】
フィルム信号検出回路5は、図5や図6に示した検出方法により、入力映像信号が2:2フィルム信号や2:3フィルム信号であるか否かを検出する回路である。フィルム信号検出回路5からは、検出結果を示す信号(入力映像信号が2:2フィルム信号,3:2フィルム信号,通常のカメラ信号のうちのいずれであるかを示す信号)がIP変換回路4及びフレームレート変換回路6に送られる。
【0019】
IP変換回路4は、インターレース方式の入力映像信号をプログレッシブ変換するIP変換処理を行う回路であり、フィルム信号検出回路5の検出結果が2:2フィルム信号または3:2フィルム信号であればフィルム信号用のIP変換処理(例えば2:2フィルム信号では図7(b)に示したようなプルダウンリバース処理)を行い、他方、フィルム信号検出回路5の検出結果が通常のカメラ信号であれば通常のカメラ信号用のIP変換処理を行う。IP変換回路4でプログレッシブ変換された映像信号(NTSC信号(480p),PAL信号(576p)またはHDTV信号(1080p))は、フレームレート変換回路6に送られる。
【0020】
フレームレート変換回路6は、フィルム信号検出回路5の検出結果が2:2フィルム信号または3:2フィルム信号である場合に、IP変換回路4でプログレッシブ変換された映像信号に対し、動き補償による25Hzから50Hzへのフレームレート変換処理(例えば2:2フィルム信号では図7(c)に示したような処理)を施す回路である。フィルム信号検出回路5の検出結果が通常のカメラ信号であれば、フレームレート変換回路6ではフレームレート変換を行わない。
【0021】
フレームレート変換回路6から出力された映像信号は表示駆動回路8に送られ、表示駆動回路8によってディスプレイ(例えばLCD)9が駆動されて画像が表示される。
【0022】
ノイズレベル検出回路3は、入力映像信号のノイズレベルを検出する回路である。ノイズレベル検出回路3は、例えば、入力映像信号の垂直ブランキング区間内の等価パルス区間の1水平ラインのペデスタル部分のノイズ情報(AC成分)を検出し、このAC成分にフィールド単位でカットオフ周波数約160Hzのフィルタをかけた電圧を、ノイズ値YNLVとして検出する。そして、このノイズ値YNLVによって8段階に切り替わるノイズレベルSNLV0〜SNLV7(SNLV0が最もノイズレベルの小さい段階、SNLV7が最もノイズレベルの大きい段階)を検出する。
【0023】
図2は、このノイズレベルSNLV0〜SNLV7の検出結果を例示する図であり、図2(a)は、受信アンテナからのRF信号の電界強度Level_ dBuが弱くなっていくことによってノイズ値YNLVが増大していくときの検出結果、図2(b)は、逆にこのRF信号の電界強度Level_dBuが強くなっていくことによってノイズ値YNLVが減少していくときの検出結果である。
【0024】
図2(a)に示すように、電界強度Level_dBuが弱くなっていくときには、ノイズ値YNLVが10以上(電界強度Level_dBuが70dBu以下)になるとノイズレベルSNLVを1に切り替え(それまではノイズレベルSNLVは0である)、ノイズ値YNLVが20以上(電界強度Level_dBuが65dBu以下)になるとノイズレベルSNLVを2に切り替え、ノイズ値YNLVが30以上(電界強度Level_dBuが62dBu以下)になるとノイズレベルSNLVを3に切り替え、ノイズ値YNLVが50以上(電界強度Level_dBuが58dBu以下)になるとノイズレベルSNLVを4に切り替え、ノイズ値YNLVが70以上(電界強度Level_dBuが55dBu以下)になるとノイズレベルSNLVを5に切り替え、ノイズ値YNLVが100以上(電界強度Level_dBuが50dBu以下)になるとノイズレベルSNLVを6に切り替え、ノイズ値YNLVが150以上(電界強度Level_dBuが35dBu以下)になるとノイズレベルSNLVを7に切り替える。
【0025】
これに対し、電界強度Level_dBuが強くなっていくときには、図2(b)に示すように、ノイズ値YNLVが150以下(電界強度Level_dBuが35dBu以上)になってもノイズレベルSNLVを7から6に切り替えず、ノイズ値YNLVが150よりも小さい120以下(電界強度Level_dBuが44dBu以上)になってはじめてノイズレベルSNLVを7から6に切り替える。また、ノイズ値YNLVが100以下(電界強度Level_dBuが50dBu以上)になってもノイズレベルSNLVを6から5に切り替えず、ノイズ値YNLVが100よりも小さい84以下(電界強度Level_dBuが53dBu以上)になってはじめてノイズレベルSNLVを6から5に切り替える。同様にして、ノイズレベルSNLVを4,3,2,1,0に切り替えるノイズ値YNLVも、電界強度Level_dBuが弱くなっていくときよりもそれぞれ低く設定している。
【0026】
このように、ノイズレベル検出回路3によって検出されるノイズレベルは、受信アンテナからのRF信号の電界強度が弱くなっていく(ノイズの値が増加していく)ときよりもこのRF信号の電界強度が強くなっていく(ノイズの値が減少していく)ときのほうが良好な段階に回復しにくいというヒステリシス特性を持っている。
【0027】
図1に示すように、ノイズレベル検出回路3からは、このノイズレベルの検出結果がマイクロコンピュータ7に送られる。なお、図1ではノイズレベル検出回路3はクロマデコーダ2とは別に設けられているが、クロマデコーダ2内にノイズレベル検出回路3を設けてもよい。
【0028】
図示は省略するが、このテレビジョン受信装置のリモートコントローラには、ユーザがフィルム信号検出処理やIP変換処理やフレームレート変換処理のモードを組み合わせて選択するための操作部が設けられている。図3は、リモートコントローラで選択可能なモードの組み合わせ例を示す図である。リモートコントローラでは、モード1〜モード4の4通りのモードを選択可能である。
【0029】
モード1は、フィルム信号の検出処理をオフさせるモードである。このモード1では、フィルム信号検出回路5からは、入力映像信号がカメラ信号であることを示す検出結果がIP変換回路4及びフレームレート変換回路6に送られる。したがって、IP変換回路4ではフィルム信号用のIP変換処理(プルダウンリバース処理)は行われずに常に通常のカメラ信号用のIP変換処理が行われ、フレームレート変換回路6ではフレームレート変換処理が行われない。
【0030】
モード2は、フィルム信号検出回路5の検出感度を制御するパラメータを「フィルム検出2」に設定し、IP変換回路4のフィルム信号用のIP変換処理(プルダウンリバース処理)をオンにし、フレームレート変換回路6のフレームレート変換処理をオフにするモードである。このモード2では、フィルム信号検出回路5でフィルム信号が検出されればIP変換回路4でフィルム信号用のIP変換処理が行われるが、フレームレート変換回路6ではフレームレート変換処理は行われない。
【0031】
ここで、フィルム信号検出回路5の検出感度を制御するパラメータについて説明する。フィルム信号(特に2:2フィルム信号)の検出は、動きの激しいシーンなどでは、図5に示したフィールド差分の特徴が顕著に検出されるため安定して検出可能であるが、動きが少ないシーンなどでは、フィールド差分の特徴が検出しづらくなる。したがって、全てのシーンで誤動作なくフィルム検出することは難しい。そこで、フィルム信号の検出感度を制御するパラメータが存在している。ここでは、次の「フィルム検出1」,「フィルム検出2」の2種類のパラメータのうちのいずれをフィルム信号検出回路5に設定するかを、図3のモードに応じて切り替えるようにしている。
【0032】
「フィルム検出1」:フィルム信号を検出しやすく、一旦フィルム信号を検出した後はフィルム信号ではないと検出しにくくする(検出感度を強くする)パラメータである。そのようなパラメータの具体例としては、次のようなものが挙げられる。
・図5や図6に示したようにフィールド毎の差分を取った際に差分が0か1かを判別するためのスレッショルドレベルを、図5のように0,1,0,1,…と交互に変化したり図6のように5フィールド毎に0になりやすいレベルに設定するパラメータ。
・2:2フィルム信号について0と1とを何回交互に繰り返したときに2:2フィルム信号と判定し、3:2フィルム信号について5フィールド毎に何回0になったときに3:2フィルム信号と判定するかのカウント値を小さくするパラメータ。
【0033】
「フィルム検出2」:「フィルム検出1」とは逆に、フィルム信号を検出しにくく、一旦フィルム信号を検出した後もフィルム信号ではないと検出しやすくする(検出感度を弱くする)パラメータである。
【0034】
したがって、図3において、モード2では、パラメータを「フィルム検出2」に設定するので、フィルム信号検出回路5の検出感度が弱くなり、したがってIP変換回路4ではフィルム信号用のIP変換処理が行われにくくなる。
【0035】
モード3は、フィルム信号検出回路5の検出感度を制御するパラメータを「フィルム検出2」に設定し、IP変換回路4のフィルム信号用のIP変換処理(プルダウンリバース処理)をオンにし、フレームレート変換回路6のフレームレート変換処理もオンにするモードである。このモード3では、フィルム信号検出回路5でフィルム信号が検出されれば、IP変換回路4でフィルム信号用のIP変換処理が行われるとともにフレームレート変換回路6でフレームレート変換処理が行われる。しかし、フィルム信号検出回路5の検出感度が弱くなるので、IP変換回路4ではフィルム信号用のIP変換処理が行われにくくなり、フレームレート変換回路6でもフレームレート変換処理が行われにくくなる。
【0036】
モード4は、フィルム信号検出回路5の検出感度を制御するパラメータを「フィルム検出1」に設定し、IP変換回路4のフィルム信号用のIP変換処理(プルダウンリバース処理)をオンにし、フレームレート変換回路6のフレームレート変換処理もオンにするモードである。このモード4では、フィルム信号検出回路5でフィルム信号が検出されれば、IP変換回路4でフィルム信号用のIP変換処理が行われるとともにフレームレート変換回路6でフレームレート変換処理が行われる。そして、フィルム信号検出回路5の検出感度が強くなるので、IP変換回路4ではフィルム信号用のIP変換処理が行われやすくなり、フレームレート変換回路6でもフレームレート変換処理が行われやすくなる。
【0037】
図1に示すように、マイクロコンピュータ7には、リモートコントローラからのこのモード1〜モード4の選択結果を示す信号が、図示しない赤外線受光ユニット等を介して供給される。
【0038】
マイクロコンピュータ7には、このユーザによるモード1〜モード4の選択結果と、ノイズレベル検出回路3によるノイズレベルSNLV0〜SNLV7の検出結果とに基づき、図4に示すように、ダイナミックにモードを切り替えてIP変換回路4,フィルム信号検出回路5及びフレームレート変換回路6を制御する。すなわち、ノイズレベルがSNLV0またはSNLV1である場合(RF信号の電界強度が強く、ノイズレベルが小さい段階)では、ユーザが選択したモード1〜モード4にそのまま従って、IP変換回路4の制御と、フィルム信号検出回路5の検出感度の制御(パラメータの切り替えや検出処理のオフ)と、フレームレート変換回路6のフレームレート変換処理のオン/オフ制御とを行う。なお、図では、IP変換回路4への制御信号線は図示を省略している(モード1でもモード2〜モード4と同じくIP変換回路4のプルダウンリバース処理をオンにしていても、フィルム信号が検出されないので、フィルム信号用のIP変換処理が行われることはない)。
【0039】
ノイズレベルがSNLV2,SNLV3,SNLV4またはSNLV5である場合(RF信号の電界強度が中程度であり、ノイズレベルが中程度である段階)では、ユーザがモード1またはモード2を選択した場合にはそのモードに従ってIP変換回路4の制御とフィルム信号検出回路5の検出感度の制御とフレームレート変換回路6のフレームレート変換処理のオン/オフ制御とを行うが、ユーザがモード3またはモード4を選択した場合には強制的にモード2でIP変換回路4の制御とフィルム信号検出回路5の検出感度の制御とフレームレート変換回路6のフレームレート変換処理のオン/オフ制御とを行う。したがって、この場合には、フレームレート変換回路6ではフレームレート変換処理が行われず、また、フィルム信号の検出感度が弱くなるので、IP変換回路4でもフィルム信号用のIP変換処理が行われにくくなる。
【0040】
ノイズレベルがSNLV6またはSNLV7である場合(RF信号の電界強度が弱く、ノイズレベルが大きい段階)では、ユーザがモード1〜モード4のどのモードを選択した場合にも、強制的にモード1でIP変換回路4の制御とフィルム信号検出回路5の検出感度の制御とフレームレート変換回路6のフレームレート変換処理のオン/オフ制御とを行う。したがって、この場合には、IP変換回路4ではフィルム信号用のIP変換処理は行われずに常に通常のカメラ信号用のIP変換処理が行われ、フレームレート変換回路6でもフレームレート変換処理が行われない。
【0041】
このようなダイナミックなモード切り替えを行なうことにより、以下の(1)〜(3)のような効果が得られる。
(1)RF信号の電界強度が弱い段階や中程度の段階では、フレームレート変換回路6で動き補償によるフレームレート変換処理が行われないので、フィルム信号検出の誤動作を原因としてフレームレート変換処理が頻繁にオンとオフとに切り替えられることによる画質の低下が抑制されるとともに、動きベクトル検出の誤動作による画面の破綻が防止される
【0042】
(2)RF信号の電界強度が中程度の段階では、フィルム信号が検出されにくくなるので、IP変換回路4ではフィルム信号用のIP変換処理が行われにくくなる。これにより、フィルム信号検出の誤動作を原因としてフィルム信号用のIP変換処理と通常のカメラ信号用のIP変換処理とが頻繁に切り替えられることによる画質の低下が抑制される。
【0043】
(3)RF信号の電界強度が弱い段階では、フィルム信号の検出処理が行われないので、IP変換回路4ではフィルム信号用のIP変換処理は行われずに常に通常のカメラ信号用のIP変換処理が行われる。これにより、フィルム信号検出の誤動作を原因としてフィルム信号用のIP変換処理と通常のカメラ信号用のIP変換処理とが頻繁に切り替えられることによる画質の低下が抑制される。
【0044】
なお、図2に示したように、ノイズレベルSNLV0〜SNLV7は、RF信号の電界強度が弱くなっていく(ノイズの値が増加していく)ときよりもRF信号の電界強度が強くなっていく(ノイズの値が減少していく)ときのほうが良好な段階に回復しにくいというヒステリシス特性を持っている。したがって、RF信号の電界強度が弱くなっていくことによってマイクロコンピュータ7の制御が図4の左側のモードから右側のモードに移っていく場合よりも、その後RF信号の電界強度が強くなっていくことによってマイクロコンピュータ7の制御が図4の右側のモードから左側のモードに戻っていく場合のほうが、モードの切り替えが起こりにくくなっている。これにより、一旦RF信号の電界強度が弱くなった後は、十分に電界強度が強くなるまで、画質の低下を抑制するためのモード(モード1やモード2)が維持される。
【0045】
以上の例では、フィルム信号(映画フィルムをソースとする映像信号)を検出してプログレッシブ変換処理やフレームレート変換処理を施す例について説明した。しかし、本発明が検出処理・プログレッシブ変換処理・フレームレート変換処理の対象とする映像信号は、映画やアニメーションやコンピュータグラフィックスといったような元画像を所定のシーケンスに基づいて配置することによってテレビジョン映像信号のフレームレートと整合をとるように変換(テレシネ変換)した映像信号であれば、如何なるものであっても構わない。
【0046】
また、以上の例では、テレビジョン受信装置に本発明を適用している。しかし、本発明に係る画像表示装置は、テレビジョン受信装置以外にも、例えば、テレビジョン放送の受信機能を有するパーソナルコンピュータにも適用してよい。また、本発明に係る映像処理装置は、例えば、テレビジョン放送を受信して録画・再生する記録再生装置(DVDレコーダやHDDレコーダ等)にも搭載してよい。
【符号の説明】
【0047】
1・・・フロントエンド、 2・・・クロマデコーダ、 3・・・ノイズレベル検出回路、 4・・・IP変換回路、 5・・・フィルム信号検出回路、 6・・・フレームレート変換回路、 7・・・マイクロコンピュータ、 8・・・表示駆動回路、 9・・・ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号がテレシネ変換された映像信号であるか否かを検出するテレシネ変換信号検出手段と、
前記テレシネ変換信号検出手段の検出結果に応じて前記入力映像信号をプログレッシブ変換するIP変換手段と、
前記入力映像信号のノイズレベルを検出するノイズレベル検出手段と、
前記ノイズレベル検出手段の検出結果に基づき、ノイズレベルが所定以上のレベルである場合には、前記テレシネ変換信号検出手段の検出処理をオフさせる制御手段と、
を備えたことを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像信号処理装置において、
前記ノイズレベル検出手段は、ノイズの値によって複数の段階に切り替わるノイズレベルを検出し、且つ、ノイズの値が増大していくときに前記ノイズレベルの段階を切り替えるノイズの値よりも、ノイズの値が減少していくときに前記ノイズレベルの段階を切り替えるノイズの値のほうを低く設定している
ことを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項3】
入力映像信号がテレシネ変換された映像信号であるか否かを検出するテレシネ変換信号検出手段と、
前記テレシネ変換信号検出手段の検出結果に応じて前記入力映像信号をプログレッシブ変換するIP変換手段と、を有し、
前記IP変換手段によってプログレッシブ変換された映像信号を表示する画像表示装置において、
前記入力映像信号のノイズレベルを検出するノイズレベル検出手段と、
前記ノイズレベル検出手段の検出結果に基づき、ノイズレベルが所定以上のレベルである場合には、前記テレシネ変換信号検出手段の検出処理をオフさせる制御手段と、 を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像表示装置において、
前記ノイズレベル検出手段は、ノイズの値によって複数の段階に切り替わるノイズレベルを検出し、且つ、ノイズの値が増大していくときに前記ノイズレベルの段階を切り替えるノイズの値よりも、ノイズの値が減少していくときに前記ノイズレベルの段階を切り替えるノイズの値のほうを低く設定している
ことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−66230(P2013−66230A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266480(P2012−266480)
【出願日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【分割の表示】特願2011−173861(P2011−173861)の分割
【原出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(397051508)ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (140)
【Fターム(参考)】