説明

映像再生装置

【課題】光ディスクを取り出し忘れて電源を落とし、次の電源投入時に強制的になされる光ディスクの読み込み動作を回避すると共に、より省電力化を図った映像再生装置を提供する。
【解決手段】映像再生装置1は、ディスクトレイ上に載置された光ディスク5の重さで機械的な上下動をして電気回路をオン/オフするスイッチ部2と、スイッチ部2のオン/オフ状態に基づいて、光ディスク5の読み込み動作を行うか否かを制御するメインマイコン3と、を備える。スイッチ部2のオフ状態とは、光ディスク5がディスクドライブに挿入後に回転用モータに固定された状態、若しくは光ディスク5がディスクドライブに挿入されていない状態のいずれかである。メインマイコン3は、電源投入時に、スイッチ部2がオフ状態である場合、光ディスク5の読み込み動作を開始しない制御を行うことで、不必要な光ディスク5の読み込み動作を回避して省電力化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを用いて映像等の再生を行う映像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、映像再生装置において、ユーザの不注意によりディスクをディスクドライブから取り出し忘れて電源を落としてしまう場合がある。この場合、次の電源投入時(装置の起動時)においては、再生装置のディスク検知部がディスクドライブにディスクが有ると検知して強制的に取り出し忘れたディスクの読み込み動作が開始される。このため、電源投入時においてユーザは煩わしさを感じることとなる。
【0003】
このような問題を回避するために、ディスクを機器内にセットしたまま電源スイッチを切ってしまった場合に、一定時間だけアラーム音を鳴らして取り出し忘れを防止する光ディスクプレーヤが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、トレイにディスクが載置されずにオープン状態に放置されているとき、所定時間を経て警告を発したり、電源パワーを自動遮断させたり、自動再生を開始させたりすることができるディスクトレイ制御装置も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平6−24040号公報
【特許文献2】特開2008−146778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の発明では、ユーザがアラーム音に気付かないで光ディスクをディスクドライブから取り出し忘れた場合、次の電源投入時には必ず強制的にユーザが意図しないディスクの読み込み動作が開始され、ユーザは煩わしさを感じるという問題がある。
【0007】
また、電源投入時に行われるディスク検出部の動作は、光ピックアップのレーザ光の反射を用いるため、消費電力の無駄も発生するという問題もある。
【0008】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、映像再生装置において、ディスクを取り出し忘れて電源を落とし、次の電源投入時に強制的になされるユーザの意図しないディスクの読み込み動作を回避すると共に、より省電力化を図った映像再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光源から光ディスクに射出した光ビームの反射光を受光して電気信号に変換することで光ディスクに記録された映像を再生する映像再生装置において、装置の起動後に、装置本体への光ディスクの取り込みが行われたか否かを検知するディスク取込検知手段と、前記ディスク取込検知手段による検知結果に基づいて、光ディスクの読み込み動作を行うか否かを制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この映像再生装置において、前記ディスク取込検知手段は、ディスクトレイ上に載置された光ディスクの重さで機械的な上下動をして電気回路をオン/オフするスイッチ部であり、前記制御手段は、前記スイッチ部のオン/オフ状態に基づいて、光ディスクの読み込み動作を行うか否かを制御することが好ましい。
【0011】
この映像再生装置において、前記スイッチ部のオフ状態とは、光ディスクがディスクドライブに挿入後に回転用モータに固定された状態、若しくは光ディスクがディスクドライブに挿入されていない状態のいずれかであり、前記制御手段は、装置の起動時に、前記スイッチ部がオフ状態である場合、光ディスクの読み込み動作を開始する制御を行わないことが好ましい。
【0012】
この映像再生装置において、前記スイッチ部のオン状態とは、光ディスクがディスクトレイ上に載置された状態であり、前記制御手段は、装置の起動後に、前記スイッチ部がオン状態からオフ状態に変更した場合、光ディスクの読み込み動作を開始する制御を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る映像再生装置においては、装置の起動後に装置本体への光ディスクの取り込みが行われた否かの検出結果に基づいて、ディスク読み込み動作を制御する制御部を備えるため、電源投入時に強制的になされるディスク再生動作を回避することができる。
【0014】
また、請求項2の発明によれば、機械的なスイッチ部の検出を用いるため、電源投入時のディスク検出において光ピックアップを用いる必要がなく、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る映像再生装置のディスクトレイ部分の斜視図。
【図2】(a)同映像再生装置において光ディスクをディスクトレイ上に載置したときの断面図、(b)同映像再生装置のモータ部において光ディスクをチャッキングしたときの断面図。
【図3】同映像再生装置の機能ブロック図。
【図4】同映像再生装置の動作手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る映像再生装置ついて図1乃至図4を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る映像再生装置1の外観図を示す。映像再生装置1は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc)といった光ディスク5に記録された映像を再生するための装置である。この映像再生装置1は、スイッチ部2(ディスク取込検知手段)と光ピックアップ4とモータ部10とディスクトレイ11とを備えている。なお、この映像再生装置1は再生機能のみでなく録画機能を有する場合がある。
【0018】
スイッチ部2は、ディスクトレイ11に形成され、光ディスク5の有無を判断するため、光ディスク5の重さで機械的な上下動をすることで電気回路を開閉する機能を有するリミットスイッチ等である。
【0019】
光ピックアップ4は、光を収束させて光ディスク5の表面に当て、その反射光を受光素子へと導くことにより光ディスク5に記録されたデータを読み出すために用いる部品である。光ディスク5は、ディスクドライブのディスクトレイ11上に載置され、映像再生装置1の外部から内部にローディングされ、又はエジェクトボタンを用いて内部から外部に取り出される。モータ部10は、光ディスク5を回転するためスピンドルモータに接続される。
【0020】
次に、本実施形態に係る映像再生装置1に備わるスイッチ部2の動作を説明する。図2(a)に示すように、ディスクドライブのオープン時に光ディスク5がディスクトレイ11上に載置されると、スイッチ部2は光ディスク5の重みで押下されON状態となる。スイッチ部2は、ディスクトレイ11の裏面に沿って配設される電線2aを介して映像再生装置1のメインマイコンに接続される。
【0021】
一方、図2(b)に示すように、光ディスク5がディスクドライブ内にローディングされた後には、ディスクトレイ11上に載置された光ディスク5は、モータ部10にチャッキング(固定)されてディスクトレイ11上に浮いた状態となる。このときスイッチ部2はOFF状態となる。なお、光ディスク5がディスクドライブにローディングされていないときもスイッチ部2はOFF状態である。
【0022】
次に、本実施形態の映像再生装置1の機能構成に関して説明する。図3に示すように、映像再生装置1は、スイッチ部2、メインマイコン(制御手段)3、光ピックアップ4、ローディングモータ6、スレッドモータ7、サーボ回路13、LD(Laser Diode)ドライバ14、RF(Radio Frequency)アンプ15、及びモータドライバ16を備える。
【0023】
スイッチ部2は、ディスクトレイ11上に光ディスク5が載置されているかを判定するための機械的なスイッチであり、スイッチ部2のON/OFF状態をメインマイコン3が検知する。
【0024】
メインマイコン3は、上記各処理部を制御するためのCPU、メモリやI/O部を有し、上記各処理部との間で制御信号を送受信する。また、メインマイコン3は、スイッチ部2から受信したON/OFF信号に基づいて、電源投入時に光ディスク5の読み込み動作を開始するか否かを制御する。
【0025】
光ピックアップ4は、LD4a、受光部4b、及び対物レンズ4cを有する。LD4aはレーザ光を作り光ディスク5に出射する。対物レンズ4cはLD4aが出射したレーザ光を光ディスク5に集光させて焦点を作り出す。受光部4bは、光ディスク5で反射され対物レンズ4cを通過したレーザ光を受光して、光電変換部品であるフォトディレクタ(PD)を用いて電気信号に変換する。
【0026】
ローディングモータ6は、駆動することにより、光ディスク5が載置されるディスクトレイ11を開閉するローディング動作を行う。スレッドモータ7は、駆動することにより光ピックアップ4を光ディスク半径方向に移動させる。
【0027】
サーボ回路13は、RFアンプ15が生成するフォーカスサーボエラー信号やトラッキングエラー信号に基づき光ピックアップ4が有するアクチュエータに駆動信号を送出し、対物レンズ4cを光ディスク面垂直方向および光ディスク半径方向に駆動させる。また、サーボ回路13は、スレッドモータ7に駆動信号を送出して駆動させる。
【0028】
LDドライバ14は、LD4aに駆動信号を送出して駆動させる。RFアンプ15は、受光部4bからの電流信号に基づきフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、反射光量信号を生成する。モータドライバ16は、ローディングモータ6に駆動信号を送出して駆動させる。
【0029】
以下、本実施形態に係る映像再生装置1の動作について説明する。図4に示すように、最初に、映像再生装置1の電源が投入されると(S41でYes)、メインマイコン3はスイッチ部2のON/OFF状態を判定する(S42)。
【0030】
次に、メインマイコン3は、スイッチ部2がOFF状態であると検知する場合には(S42でYes)、光ディスク5はディスクトレイ11から浮いているチャッキング状態(若しくは光ディスク5が挿入されていない状態)であると判定して(S42でYes)、レーザ出力を行うことなく、光ディスク5の読み込み作業に移行しない(S43)。
【0031】
一方、メインマイコン3は、映像再生装置1に電源が投入され(S41でYes)、スイッチ部2がON状態(S42でNo)であり、且つスイッチ部2がON状態からOFF状態に移行する場合(S44でYes)、光ディスク5が再生装置1内に挿入されてモータ部10にチャッキングされたと判定する。従って、この場合、メインマイコン3は光ディスク5の読み込み動作を開始する(S45)。なお、スイッチ部2がON状態のままでは(S44でNo)、メインマイコン3は光ディスク5の読み込み動作を開始しない。
【0032】
光ディスク5の読み込み動作において、以下の処理を行う。すなわち、光源であるLD4aからレーザ光が発射され、発射されたレーザ光は、コリメータレンズで平行な光にされ、対物レンズ4cによって焦点を絞り込まれて光ディスク5に照射される。次に、光ディスク5において反射したレーザ光は、対物レンズ4cで平行光にされてビームスプリッタ等を用いて反射光を屈折させて集光レンズで集光され、受光部4bに備わるフォトディレクタ(PD)で光の強弱信号が電気信号に変換される。
【0033】
以上の説明のように、本実施形態に係る映像再生装置1は、スイッチ部2のオン/オフ状態に基づいて光ディスク5の有無を判定して、電源投入時において、この光ディスク5の有無からディスク読み込み動作を開始するか否かを制御するメインマイコン3を備える。この構成により、映像再生装置1では、光ディスク5の取り出し忘れた後の電源投入時に行われる強制的な光ディスク5の読み込み動作を回避できる。
【0034】
また、従来の再生装置では、起動時に光反射式のディスク検出センサを用いてディスクの有無を判断してディスクが有るときには強制的に読み込み動作を行うが、本実施形態に係る映像再生装置1では、ディスク検出センサの光検出動作を介さずにスイッチ部2及びメインマイコン3を用いて光ディスク5の有無を判断できるため、消費電力の無駄も省くことが可能となる。
【0035】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、光ディスク5を垂直方向に挿入する映像再生装置では、機械的なスイッチ部2とする以外に、受光素子を有して光ディスクによる反射光の有無によりディスクの有無を検出する光反射式のスイッチ部とすることも考えられる。また、光ディスク5には、読み込み専用メディアのみでなく書き込みも可能なBD−REやDVD−RW等も含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 映像再生装置
2 スイッチ部(ディスク取込検知手段)
3 メインマイコン(制御手段)
4 光ピックアップ
4a レーザダイオード
4b 受光部
4c 対物レンズ
5 光ディスク
6 ローディングモータ
7 スレッドモータ
13 サーボ回路
14 LDドライバ
15 RFアンプ
16 モータドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から光ディスクに射出した光ビームの反射光を受光して電気信号に変換することで光ディスクに記録された映像を再生する映像再生装置において、
装置の起動後に、装置本体への光ディスクの取り込みが行われたか否かを検知するディスク取込検知手段と、
前記ディスク取込検知手段による検知結果に基づいて、光ディスクの読み込み動作を行うか否かを制御する制御手段と、を備えることを特徴とする映像再生装置。
【請求項2】
前記ディスク取込検知手段は、ディスクトレイ上に載置された光ディスクの重さで機械的な上下動をして電気回路をオン/オフするスイッチ部であり、
前記制御手段は、前記スイッチ部のオン/オフ状態に基づいて、光ディスクの読み込み動作を行うか否かを制御することを特徴とする請求項1記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記スイッチ部のオフ状態とは、光ディスクがディスクドライブに挿入後に回転用モータに固定された状態、若しくは光ディスクがディスクドライブに挿入されていない状態のいずれかであり、
前記制御手段は、装置の起動時に、前記スイッチ部がオフ状態である場合、光ディスクの読み込み動作を開始する制御を行わないことを特徴とする請求項2記載の映像再生装置。
【請求項4】
前記スイッチ部のオン状態とは、光ディスクがディスクトレイ上に載置された状態であり、
前記制御手段は、装置の起動後に、前記スイッチ部がオン状態からオフ状態に変更した場合、光ディスクの読み込み動作を開始する制御を行うことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の映像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−14752(P2012−14752A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147263(P2010−147263)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)