説明

映像処理装置、映像処理システム、テレビ会議システム、遠方監視システム、映像処理方法、及び映像装置

【課題】カメラで撮影された映像や動画に対する画像変換の高速化及び効率化を実現する。
【解決手段】撮像装置10と該撮像装置に接続された処理装置20を備える。撮像装置10は、フレーム画像を取得し、該フレーム画像を処理装置20に送る。処理装置20は、撮像装置10から送られたフレーム画像から被写体領域を探索して画像変換のための変換パラメータを算出し、該変換パラメータを撮像装置10に送る。撮像装置10は、処理装置20から送られた変換パラメータを画像処理ユニット内に設定し、該設定した変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施し、変換済みフレーム画像を処理装置20に送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで撮影した映像に画像変換を施す技術に係り、詳しくは、該画像変換処理を行う映像処理装置及び映像処理システム、映像処理装置を使用したテレビ会議システム、映像処理システムを使用した遠方監視システム、更には、映像処理方法、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ会議システムのテレビ端末等には、会議シーンを撮影するカメラ(撮像装置)が装備されているが、単に会議シーンを撮影するだけでなく、書画やホワイトボードなどを撮影して相手側と情報を共有するという使い方がある。この場合、撮影画像上の一部の領域に注目してその領域を拡大表示(デジタルズーム)したり、書画やホワイトボートを斜めから撮影した場合でも真正面から撮影しているかのように画像を補正(あおり補正)したりする画像変換処理が望まれる。これに関連して、デジタルカメラ向けのデジタルズームやあおり補正といった画像変換処理技術がすでに知られている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。
【0003】
しかしながら、今までの画像変換処理技術では、映像や動画のように連続したフレーム画像に対してリアルタイムにデジタルズームやあおり補正を行う場合には、映像装置内に、そのためのすべての機能を備えたISP(Image Signal Processor)などのハードウエアを実装させることは困難であるという問題があった。例えば、あおり補正について云えば、撮影画像から被写体である書画やホワイトボートの領域(四辺形)を自動検出する処理は画像全体を探索する必要があるため、比較的複雑な処理となり、処理時間もかかり、映像や動画を対象とする場合には、ISPでのハードウエア実装が困難あるいは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、撮像装置内のISPなどで、映像や動画のように連続したフレーム画像に対してリアルタイムに画像変換を行うことを可能して、画像変換の高速化及び効率化を実現することにある。
【0005】
具体的には、本発明は、画像変換の高速化および効率化を実現した映像処理装置、映像処理システム、テレビ会議システム、遠方監視システム、映像処理方法、及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、撮像装置と処理装置を備えて、座標変換のような比較的軽い画像処理を撮像装置側でISP等で行い、フレーム画像から被写体領域を探索して変換パラメータを算出するような複雑な処理を処理装置側でCPU等で行うことを基本とする。また、撮像装置から処理装置にフレーム画像及び変換済みフレーム画像の両方を伝送するか、変換パラメータを算出するためのフレーム画像の伝送レートを変換済みフレーム画像の伝送レートと異ならせる。
【0007】
詳しくは、本発明は、撮像装置と該撮像装置に接続された処理装置とを具備した映像処理装置であって、前記撮像装置は、フレーム画像を取得する画像取得手段と、前記フレーム画像を前記処理装置に送るフレーム画像伝送手段と、前記処理装置から送られた変換パラメータを該撮像装置内に設定する変換パラメータ設定手段と、前記設定された変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施す画像変換手段と、変換済みフレーム画像を前記処理装置に送る変換済みフレーム画像伝送手段を有し、前記処理装置は、前記撮像装置から送られたフレーム画像を用いて画像変換のための変換パラメータを算出する変換パラメータ算出手段と、前記変換パラメータを前記撮像装置に送る変換パラメータ伝送手段を有することを特徴とする。そして、前記撮像装置のフレーム画像伝送手段と変換済みフレーム画像伝送手段とで伝送レートを変える。
【0008】
また、本発明は、撮像装置と該撮像装置に接続された処理装置とがネットワークを介して接続されてなる映像処理システムであって、前記撮像装置は、フレーム画像を取得する画像取得手段と、前記フレーム画像を前記ネットワークを介して前記処理装置に送るフレーム画像伝送手段と、前記処理装置から前記ネットワークを付して送られた変換パラメータを該撮像装置内に設定する変換パラメータ設定手段と、前記設定された変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施す画像変換手段と、変換済みフレーム画像を前記ネットワークを介して前記処理装置に送る変換済みフレーム画像伝送手段を有し、前記処理装置は、前記撮像装置から前記ネットワークを介して送られたフレーム画像を用いて画像変換のための変換パラメータを算出する変換パラメータ算出手段と、前記変換パラメータを前記ネットワークを介して前記撮像装置に送る変換パラメータ伝送手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、複数のテレビ会議端末がネットワークを介して接続されてなるテレビ会議システムであって、テレビ会議端末は、上記映像処理装置を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記映像処理システムを利用した遠方監視システムであって、複数の撮像装置がネットワークを介して監視センタの処理装置に接続され、処理装置は、複数の撮像装置からネットワークを介して送られてくる映像をそれぞれ表示する表示手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、撮像装置と該撮像装置に接続された処理装置とによりフレーム画像を処理する映像処理方法であって、前記撮像装置が、フレーム画像を取得し、該フレーム画像を前記処理装置に送る過程と、前記処理装置が、前記撮像装置から送られたフレーム画像を用いて画像変換のための変換パラメータを算出し、該変換パラメータを前記撮像装置に送る過程と、前記撮像装置が、前記処理装置から送られた前記変換パラメータを当該撮像装置内に設定し、該設定した変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施し、変換済みフレーム画像を前記処理装置に送る過程とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、フレーム画像を取得する画像取得手段と、画像変換に使用する変換パラメータの算出を依頼するためにフレーム画像を伝送するフレーム画像伝送手段と、受信された変換パラメータを設定する変換パラメータ設定手段と、前記設定された変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施す画像変換手段と、前記画像変換を施された変換済みフレーム画像を伝送する変換済みフレーム画像伝送手段とを有する撮像装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、座標変換のような比較的軽い画像処理を撮像装置で行い、フレーム画像から被写体領域を探索して変換パラメータを算出するような複雑な処理を処理装置で行うようにしたので、映像や動画のように連続したフレーム画像に対する画像変換の高速化及び効率化が可能になる。また、変換パラメータを算出するためのフレームレートの伝送レートを低くすることで、メインに伝送すべき変換済みフレーム画像の伝送を高速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】あおり補正の概念図である。
【図2】あおり変換の説明図である。
【図3】あおり補正の変換パラメータ算出の説明図である。
【図4】実施例1の映像処理装置の構成図である。
【図5】実施例1の映像処理装置の機能ブロック図である。
【図6】実施例1の映像処理装置の処理フローチャートである。
【図7】デジタルズームの概念図である。
【図8】デジタルズームの逆変換の説明図である。
【図9】デジタルズームの変換パラメータ算出の説明図である。
【図10】実施例2の映像処理装置の構成図である。
【図11】実施例2の映像処理装置の機能ブロック図である。
【図12】実施例2の映像処理装置の処理フローチャートである。
【図13】ズーム表示領域と状態遷移の説明図である。
【図14】実施例3の映像処理システムの構成図である。
【図15】実施例3の映像処理システムの機能ブロック図である。
【図16】実施例4の映像処理システムの構成図である。
【図17】実施例4の映像処理システムの機能ブロック図である。
【図18】実施例5のテレビ会議システムの構成図である。
【図19】実施例6の遠方監視システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態では画像変換としてあおり補正とデジタルズームを取り上げるが、本発明は、これ以外の種々の画像変換にも適用できることは云うまでもない。
【実施例1】
【0016】
本実施例1は、撮像装置と該撮像装置に接続された処理装置とを備えて、撮像装置で撮影したフレーム画像に画像変換としてあおり補正を施して出力するに際して、撮像装置に接続された処理装置側で比較的複雑な処理を要する被写体領域の自動検出や変換パラメータの算出を行って、その変換パラメータを撮像装置側に送り、撮像装置側では、この変換パラメータを用いて比較的軽い画像変換処理であるあおり補正自体を行い、変換済みフレーム画像を処理装置側に送ることを特徴としている。さらに、撮像装置側から処理装置側へは、変換パラメータの算出のためにフレーム画像が送られるが、該フレーム画像と変換済みフレーム画像の伝送レートを異ならせることも特徴となっている。具体的にはフレーム画像の伝送レートを低くする。
【0017】
はじめに、図1乃至図3によりあおり補正について説明する。
【0018】
図1は、あおり補正の概念図であり、左側が被写体であるホワイトボードを斜めから撮影したフレーム画像、右側がフレーム画像に対してあおり補正を施した変換済みフレーム画像の一例をそれぞれ示している。あおり補正とは、被写体であるホワイトボードを斜めから撮影した場合でも、あたかも真正面から撮影したような画像を生成する処理である。
【0019】
図2は、あおり変換(あおり補正の逆変換)を説明する図である。あおり変換とは、変換済みフレーム画像上の画素(x,y)からフレーム画像上の画素(x’,y’)への座標変換であり、変換式は、
【0020】
【数1】

のように、行列を用いて表すことができる。ここで、行列の要素k,k,k,k,k,k,k,kが変換パラメータである。
【0021】
あおり補正を施した変換済みフレーム画像を生成するためには、変換済みフレーム画像上の各画素の輝度値に対応するフレーム画像上の画素の輝度値を決定する必要がある。そのためには、変換済みフレーム画像上の各画素が、元のフレーム画像上のどの画素に相当するのかを知る必要があり、その座標を算出するために上記式(1)の変換式を利用する。また、そのためには、予め変換パラメータを算出しておく必要がある。
【0022】
図3は、変換パラメータの算出の仕方を説明する図である。変換パラメータは、フレーム画像上のホワイトボードの四隅の座標および変換済みフレーム画像の四隅の座標を用いて、
【0023】
【数2】

のような行列の方程式を解くことで算出することができる。
【0024】
なお、変換済みフレーム画像の四隅の座標は変換済みフレーム画像のサイズに基づいて決まる。例えば画像の左上隅を原点とし、X座標の正を右方向、Y座標の正を下方向とした場合、変換済みフレーム画像の大きさがVGA(640画素×480画素)であれば四隅の座標は(x1’,y1’)=(0,0),(x2’,y2’)=(639,0),(x3’,y3’)=(0,479),(x4’,y4’)=(639,479)となる。
【0025】
本実施例1では、フレーム画像からホワイトボードの四隅の座標を検出して式(2)により変換パラメータを算出する比較的複雑な処理は処理装置側で行うようにし、フレーム画像に対して式(1)を利用して、あおり補正を施して変換済みフレーム画像を生成する比較的軽い処理は撮像装置側で行うようにする。さらに、撮像装置側から処理装置側へ、変換パラメータ算出のために送るフレーム画像の伝送レートと、変換済みフレーム画像を送る伝送レートとを異ならせるようにする。
【0026】
図4に、本実施例1の映像処理装置の構成例を示す。実施例1の映像処理装置は少なくとも撮像装置10と処理装置20で構成される。処理装置20は、例えばパソコンである。撮像装置10と処理装置20の間は有線(USB等)あるいは無線で接続される。
【0027】
撮像装置10はレンズ11、該レンズ11で結像された光学像を電気信号のフレーム画像に変換するCCDやCMOSなどのセンサ12、フレーム画像に対して各種画像処理を行うISPなどの画像処理ユニット13、フレーム画像や変換済みフレーム画像、その他のデータ、制御信号などを処理装置20とやり取りするI/Fユニット14などで構成される。
【0028】
処理装置20は、撮像装置10とフレーム画像や変換済みフレーム画像、その他のデータ、制御信号などをやり取りするI/Fユニット21、種々の処理を実行するCPU22、CPU22の処理に必要な各種ソフトウエアやデータ、フレーム画像や変換済みフレーム画像などを格納するメモリ23、該処理装置20に接続したモニタ(不図)などに映像信号を送る映像出力ユニット24、映像信号などネットワークに接続した別の装置に送る通信ユニット25、装置全体を制御する制御ユニット26、各ユニットを接続するバス27などで構成される。メモリ23はRAM,ROM,HDDなどの総称である。他にユーザからの操作指示受付ユニットなどもあるか、図4では省略してある。
【0029】
この実施例1の映像処理装置は、撮像装置10の画像処理ユニット13があおり補正の画像変換機能を有し、処理装置20のCPU22が変換パラメータ算出機能を有する。
【0030】
図5に、実施例1の映像処理装置の全体的機能ブロック図を示す。撮像装置10では、画像取得部121がフレーム画像を生成し、画像変換部131およびフレーム画像伝送部142に送る。フレーム画像伝送部142はフレーム画像を処理装置20に送る。処理装置20では、変換パラメータ算出部221がフレーム画像から変換パラメータを算出し、変換パラメータ伝送部211に送る。変換パラメータ伝送部211は変換パラメータを撮像装置10に送る。撮像装置10では、変換パラメータ設定部132が変換パラメータを当該画像処理ユニット13内に設定する。画像変換部121は、設定された変換パラメータをもとに、フレーム画像に対してあおり補正を施して変換済みフレーム画像を生成し、変換済みフレーム画像伝送部141に送る。変換済みフレーム画像伝送部141は変換済みフレーム画像を処理装置20に送る。処理装置20は、変換済みフレーム画像を該処理装置30に接続されたディスプレイなどの映像出力装置に表示したり、ネットワークで接続された他の装置に送信したりする。
【0031】
図6に、図5の機能ブロック図の処理フローチャートを示す。以下、図6に従って実施例1の撮像装置10と処理装置20の動作を詳しく説明する。
【0032】
撮像装置10は、画像取得部(センサ)121が光学像を電気信号に変換してフレーム画像を生成し、画像変換部131及びフレーム画像伝送部142に送る(ステップ1010)。フレーム画像伝送部142は、このフレーム画像を処理装置20に送る(ステップ1020)。このフレーム画像は、変換パラメータを算出するために使用されるもので、必ずしもリアルタイムに処理装置20へ送る必要はない。したがって、変換済みフレーム画像伝送部141からの変換済みフレーム画像の伝送レートよりも低レートの伝送で構わない。
【0033】
処理装置20は、変換パラメータ算出部(CPU)221が、フレーム画像から変換パラメータを算出する(ステップ1030)。具体的には、変換パラメータ算出部221では、フレーム画像から被写体であるホワイトボードの領域を検出し、その領域の四隅の座標及び画像サイズに基づいて予め決まる変換済みフレーム画像の四隅の座標を先の式(2)の方程式に代入して、該方程式を解くことで変換パラメータを算出する(図3参照)。
【0034】
ここで、フレーム画像からホワイトボートの四隅の座標を検出する処理は、例えば、次のようにして行う。
【0035】
Step1:フレーム画像から濃淡画像(輝度画像)を生成
Step2:濃淡画像からエッジを検出し、ホワイトボードの周囲の四辺を検出
Step3:隣接する二辺の交点を算出して、ホワイトボードの四隅の座標を算出
なお、例えば特許文献3にもホワイトボート領域の自動検出方法が開示されており、ここに開示されているような方法を用いて、フレーム画像からホワイトボードの領域を検出することでもよい。
【0036】
図6に戻り、処理装置20の変換パラメータ伝送部211は、変換パラメータを撮像装置10に送る(ステップ1040)。
【0037】
撮像装置10は、変換パラメータ設定部132にて、処理装置20から送られてきた変換パラメータを画像処理ユニット(ISP等)13内のメモリに設定する(ステップ1050)。
【0038】
画像変換部131は、画像処理ユニット13内に設定されている変換パラメータを使用して、画像取得部121から送られてきたフレーム画像に対してあおり変換を施し、変換済みフレーム画像を生成する(ステップ1060)。具体的には、次のように処理する(図2参照)。
【0039】
Step1:変換済みフレーム画像において輝度値を算出する画素を決定(その座標を(x,y)とする)
Step2:式(1)の変換式を用いて座標(x,y)に対応するフレーム画像上の画素の座標(x’,y’)を算出
Step3:座標(x’,y’)の輝度値を算出
Step4:座標(x’,y’)の輝度値を座標(x,y)の輝度値に設定
画像変換部131では、変換済みフレーム画像上の全ての画素の輝度値を決定するまで、Step1〜4の処理を繰り返すことになる。
【0040】
変換済みフレーム画像伝送部141は、処理装置20に変換済みフレーム画像を送る(ステップ1070)。実際には、画像変換部131と変換済みフレーム画像伝送部141は平行して動作する。また、変換済みフレーム画像の伝送は、先の変換パラメータ算出のために送られるフレーム画像に比べて高速に行なわれる。
【0041】
処理装置20は、撮像装置10から送られてくる変換済みフレーム画像を映像出力ユニット24や通信ユニット25などを通して、ディスプレイなどの映像出力装置に表示したり、ネットワークを介して他の装置に送信したりする。
【0042】
なお、フレーム画像上のホワイトボード領域の座標が変化しない(ホワイトボードやカメラの位置が変わらない)場合、変換パラメータをフレーム画像ごとに再計算する必要はない。従って、実際には次のような方法とすることが好ましい。これにより、処理の効率化が可能になる。
方法1:ホワイトボードやカメラの位置が変わった場合に、ユーザ指示で変換パラメータを再計算する。この場合、ユーザ指示があった場合にだけ、撮像装置10は、フレーム画像伝送部142から処理装置20にフレーム画像を送る。処理装置20は、フレーム画像が送られてくると、変換パラメータ算出部211で変換パラメータを再計算して、変換パラメータ伝送部211から撮像装置10に変換パラメータを送る。撮像装置10は、変換パラメータ設定部132で変換パラメータを再設定し、画像変換部131では設定されている変換パラメータを使用して、画像取得部121から送られてきたフレーム画像に対してあおり補正をひたすら行う。
方法2:ホワイトボードやカメラの位置が変化する/しないに関わらず一定時間ごとに変換パラメータを再計算する。この場合、撮像装置10は、一定時間ごとにフレーム画像伝送部142から処理装置20にフレーム画像を送る。処理装置20も一定時間ごとに、変換パラメータ算出部211で変換パラメータを再計算して、変換パラメータ伝送部211から撮像装置10に該変換パラメータを送る。撮像装置10は、変換パラメータ設定部132で変換パラメータを再設定し、画像変換部131では設定されている変換パラメータを使用して、画像取得部121から送られてきたフレーム画像に対してあおり補正をひたすら行う。
【0043】
実施例1の映像処理装置によれば、撮影して得られたフレーム画像からあおり補正を施した変換済みフレーム画像を高速かつ効率的に生成することができる。また、変換パラメータを算出するためのフレーム画像の伝送レートを低くすることで、メインに伝送するべき変換済みフレーム画像の伝送を高速に行うことができる。
【実施例2】
【0044】
本実施例2は、撮像装置と該撮像装置に接続された処理装置とを備えて、撮像装置で撮影したフレーム画像に画像変換としてデジタルズームを施して出力するに際して、撮像装置に接続された処理装置側でデジタルズームに必要な変換パラメータの算出を行って、その変換パラメータを撮像装置側に送り、撮像装置側では、この変換パラメータを用いてデジタルズーム処理を行い、デジタルズームの施された変換済みフレーム画像を処理装置側に送ることを特徴としている。さらに、本実施例でも、撮像装置側から処理装置側へは、変換パラメータの算出のためにフレーム画像が送られるが、該フレーム画像と変換済みフレーム画像の伝送レートを異ならせる(フレーム画像の伝送レートを低くする)ことも特徴となっている。
【0045】
はじめに、図7乃至図9によりデジタルズームについて説明する。
【0046】
図7は、デジタルズームの概念図であり、左側が被写体であるホワイトボードを撮影したフレーム画像、右側がフレーム画像に対してデジタルズーム(ズームイン)に相当する処理を施した変換済みフレーム画像の一例をそれぞれ示している。
【0047】
図8は、デジタルズームの逆変換を説明する図である。ここでいうデジタルズームの逆変換とは、変換済みフレーム画像上の画素(x,y)からフレーム画像上の画素(x’,y’)への座標変換であり、変換式は、
【0048】
【数3】

のように、行列を用いて表すことができる。式(3)は先の式(1)と同じであり、変換パラメータは行列の要素k,k,k,k,k,k,k,kである。
【0049】
デジタルズームを施した変換済みフレーム画像を生成するためには、変換済みフレーム画像上の各画素の輝度値に対応するフレーム画像上の画素の輝度値を決定する必要がある。そのためには変換済みフレーム画像上の各画素が、もとのフレーム画像上のどの画素に相当するのかを知る必要があり、その座標を算出するために上記の式(3)を利用する。また、そのためには、あらかじめ変換パラメータを算出しておく必要がある。
【0050】
図9は、変換パラメータの算出の仕方を説明する図である。これは、先の図3と基本的に同じである。すなわち、変換パラメータは、フレーム画像上のズーム表示領域の四隅の座標および変換済みフレーム画像の四隅の座標を用いて、
【0051】
【数4】

のような行列の方程式を解くことで算出することができる。フレーム画像上のズーム表示領域はズームボタンの押下状況によって決まる。一方、変換済みフレーム画像の四隅の座標は、実施例1と同様に変換済みフレーム画像のサイズに基づいて一義的に決まる。
【0052】
本実施例2では、実施例1と同様に、フレーム画像上のズーム表示領域の四隅の座標を取得して式(4)により変換パラメータを算出する比較的複雑な処理は処理装置側で行うようにし、式(3)を利用してデジタルズーム処理を行い、デジタルズームを施した変換済みフレーム画像を生成する比較的軽い処理は撮像装置側で行うようにする。さらに、ここでも撮像装置側から処理装置側へ、変換パラメータ算出のために送るフレーム画像の伝送レートと、変換済みフレーム画像を送る伝送レートを異ならせるようにする。
【0053】
図10に、実施例2の映像処理装置の構成例を示す。実施例2の映像処理装置も少なくとも撮像装置30と処理装置(パソコン等)40で構成される。撮像装置30と処理装置40の間は有線(USB等)あるいは無線で接続される。
【0054】
撮像装置30はレンズ31、該レンズ31で結像された光学像を電気信号のフレーム画像に変換するCCDやCMOSなどのセンサ32、フレーム画像に対して各種画像処理を行うISPなどの画像処理ユニット33、フレーム画像や変換済みフレーム画像、その他のデータ、制御信号などを処理装置40とやり取りするI/Fユニット34などで構成される。
【0055】
処理装置40は、撮像装置30とフレーム画像や変換済みフレーム画像、その他のデータ、制御信号などをやり取りするI/Fユニット41、種々の処理を実行するCPU42、CPU42の処理に必要な各種ソフトウエアやデータ、フレーム画像や変換済みフレーム画像などを格納するメモリ43、ユーザからズーム指示を受け付けるズーム指示受付ユニット44、該処理装置40に接続したモニタなどに映像信号を送映像出力ユニット45、映像信号などのネットワークに接続した別の装置に送る通信ユニット46、装置全体を制御する制御ユニット47、各ユニットを接続するバス48などで構成される。ここでも、メモリ43はRAM,ROM,HDDなどの総称である。
【0056】
この実施例2の映像処理装置は、撮像装置30の画像処理ユニット31がデジタルズームの画像変換機能を有し、処理装置40のCPU42が変換パラメータ算出機能を有する。
【0057】
なお、ユーザからのズーム指示を受け付ける方法としては、処理装置40の自体のズームイン/ズームアウトのボタンや、操作リモコンのズームイン/ズームアウトのボタンなどが考えられる。以下では、処理装置40自体に備えられたズームインボタンとズームアウトボタンでユーザの指示を受け付ける場合について説明する。
【0058】
図11に、実施例2の映像処理装置の全体的機能ブロック図を示す。撮像装置30では、像取得部321がフレーム画像を生成し、画像変換部331およびフレーム画像伝送部342に送る。フレーム画像伝送部342はフレーム画像を処理装置40に送る。処理装置30では、ズーム指示受付部441がユーザからのズームイン/ズームアウトの指示があった場合に制御部471に通知し、制御部471から変換パラメータ算出部421に対して変換パラメータの算出を指示する。変換パラメータ算出部421はフレーム画像およびズームボタンの押下状況から変換パラメータを算出し、変換パラメータ伝送部411に送る。変換パラメータ伝送部411は変換パラメータを撮像装置30に送る。撮像装置30では、変換パラメータ設定部322が変換パラメータを当該画像処理ユニット33内に設定する。画像変換部331は、設定された変換パラメータを用いて変換式をもとにフレーム画像に対してデジタルズーム処理を施して変換済みフレーム画像を生成し、変換済みフレーム画像伝送部341に送る。変換済みフレーム画像伝送部341は変換済みフレーム画像を処理装置40に送る。処理装置40では、変換済みフレーム画像を該処理装置40に接続されたディスプレイなどの映像出力装置に表示したり、ネットワークで接続された他の装置に送信したりする。
【0059】
なお、ユーザからズーム指示がない場合には、撮像装置30では、画像変換部331は画像取得部321からのフレーム画像をそのまま変換済みフレーム画像伝送部341に送り、変換済みフレーム画像伝送部341も、このフレーム画像をそのまま処理装置40に送ることになる。
【0060】
図12に、図11の機能ブロック図の処理フローチャートを示す。以下、図12に従って実施例2の撮像装置30と処理装置40の動作を詳しく説明する。
【0061】
撮像装置30は、画像取得部(センサ)321がレンズを通った光学像を電気信号に変換してフレーム画像を生成し、画像変換部331及びフレーム画像伝送部342に送る(ステップ2010)。図12では省略したが、通常では、画像変換部331は画像取得部321からのフレーム画像をそのまま変換済みフレーム画像伝送部341に送り、変換済みフレーム画像伝送部341は同様に、このフレーム画像をそのまま処理装置40に送る。
【0062】
一方、フレーム画像伝送部342も、フレーム画像を処理装置40に送る(ステップ2020)。本実施例2でも、このフレーム画像は変換パラメータを算出するために使用されるもので、必ずしもリアルタイムに処理装置40へ送る必要はない。したがって、変換済みフレーム画像伝送部341から送出されるフレーム画像あるいは変換済みフレーム画像の伝送レートよりも低レートの伝送で構わない。
【0063】
なお、フレーム画像伝送部342は、ユーザからズーム指示があった場合のみフレーム像を処理装置40に送ることでもよい。ユーザからズーム指示があったことは後述する処理装置40のフレーム指示受付部441あるいは制御部471が通知すればよい。
【0064】
処理装置40は、当該処理装置自体などに備えられたズームイン/ズームアウトボタンでユーザがズーム指示があった場合、ズーム指示受付部441が、このズーム指示を受け付けて制御部471に通知する(ステップ2030)。制御部471は、変換パラメータ算出部421に対して変換パラメータの算出を指示する(ステップ2040)。
【0065】
変換パラメータ算出部421では、フレーム画像上のズーム表示領域の四隅の座標および変換済みフレーム画像の四隅の座標からデジタルズームの変換パラメータを算出する(ステップ2050)。具体的には、フレーム画像上のズーム表示領域の四隅の座標を式(4)の方程式に代入して、該方程式を解くことで変換パラメータを算出する(図9参照)。ズーム表示像域については後述する。変換パラメータ伝送部411は、変換パラメータを撮像装置30に送る(ステップ2060)。
【0066】
撮像装置30は、変換パラメータ設定部332にて、処理装置40から送られてきた変換パラメータを当該画像処理ユニット33内のメモリに設定する(ステップ2070)。
【0067】
画像変換部331は、当該画像処理ユニット33内に設定されている変換パラメータを使用して、画像取得部321から送られてきたフレーム画像に対してデジタルズームを施し、変換済みフレーム画像を生成する(ステップ2080)。具体的には、次のように処理する(図8参照)。これは、あおり補正の場合と基本的に同じである。
【0068】
Step1:変換済みフレーム画像において輝度値を算出する画素を決定(その座標を(x,y)とする)。
Step2:式(3)の変換式を用いて座標(x,y)に対応するフレーム画像上の画素の座標(x’,y’)を算出
Step3:座標(x’,y’)の輝度値を算出
Step4:座標(x’,y’)の輝度値を座標(x,y)の輝度値に設定
画像変換部331では、変換済みフレーム画像上の全ての画素の輝度値を決定するまで、Step1〜4の処理を繰り返すことになる。
【0069】
変換済みフレーム画像伝送部341は、処理装置40に変換済みフレーム画像を送る(ステップ2090)。実際には、画像変換部331と変換済みフレーム画像伝送部341は平行して動作する。
【0070】
以降、ズームボタンの押下状況が変化していなければ、画像変換部331は、設定されている変換パラメータをひたすら使用して、フレーム画像に対してデジタルズーム処理を行い、変換済みフレーム画像伝送部341は順次、その変換済みフレーム画像を処理装置40に送る。
【0071】
処理装置40は、撮像装置30から送られてくる変換済みフレーム画像を映像出力ユニット24や通信ユニット25などを通して、ディスプレイなどの映像出力装置に表示したり、ネットワークを介して他の装置に送信したりする(ステップ2100)。
【0072】
図13は、フレーム画像のズーム表示領域とズームイン/ズームアウトボタン押下の関係を示したものである。ズーム表示領域とは、左図に示すようにフレーム画像と同一の中心を有する矩形領域である。複数のズーム表示領域が事前に決められており、ズームインボタン/ズームアウトボタンの押下状態でどのズーム表示領域を表示するかが決まる。その状態遷移を右図に示す。状態に関する情報は処理装置側で保持しておく必要があり、ズームインボタン/ズームアウトボタンが押下されるたびに状態を更新することになる。
【0073】
実際の状態遷移について簡単に説明する。初期状態からズームインボタンが押下されると、ズーム表示領域1を表示するようにデジタルズーム処理を行い、状態1に遷移する。状態1で更にズームインボタンが押下されれば、ズーム表示領域2を表示するようにデジタルズーム処理を行い、状態2に遷移する。また状態2でズームアウトボタンが押下されれば、ズーム表示領域1を表示するようにデジタルズーム処理を行い、状態1に戻る。
【0074】
実施例2の映像処理装置によれば、撮影して得られたフレーム画像からズームイン/ズームアウト(デジタルズーム)を施した変換済みフレーム画像を高速かつ効率的に生成することができる。また、変換パラメータを算出するためのフレーム画像の伝送レートを低くすることで、メインに伝送するべき変換済みフレーム画像の伝送を高速に行うことができる。
【0075】
なお、実施例1と実施例2を一緒にすることも可能である。その場合、大部分の構成・機能を共通化できる。
【実施例3】
【0076】
本実施例3は、実施例1をネットワーク環境に拡張し、撮像装置と処理装置がネットワークで接続された映像処理システムにおいて、処理装置であおり補正に必要な変換パラメータを算出して、その変換パラメータを撮像装置に送り、撮像装置では、この変換パラメータを使用して、撮影して得られたフレーム画像に対してあおり補正を行い、あおり補正された変換済みフレーム画像を処理装置に送ることを特徴としている。また、撮像装置から処理装置へは、変換パラメータの算出のためにフレーム画像を送るが、本実施例3でも、該フレーム画像と変換済みフレーム画像の伝送レートを異ならせる(フレーム画像の伝送レートを低くする)ことも特徴となっている。
【0077】
図14に、実施例3の映像処理システムの構成例を示す。実施例3の映像処理システムは撮像装置50、処理装置60、及びネットワーク90で構成される。処理装置60は例えば監視センタである。
【0078】
撮像装置50はレンズ51、該レンズ51で結像された光学像を電気信号のフレーム画像に変換するCCDやCMOSなどのセンサ52、フレーム画像に対して各種画像処理を行うISPなどの画像処理ユニット53、フレーム画像や変換済みフレーム画像、変換パラメータ、制御信号などをネットワーク90を介して処理装置60と送受信する通信ユニット54などで構成される。
【0079】
処理装置60は、種々の処理を実行するCPU61、CPU61の処理に必要な各種ソフトウエアやデータ、フレーム画像や変換済みフレーム画像などを格納するメモリ62、該処理装置60に接続したモニタなどに映像信号を送る映像出力ユニット63、フレーム画像や変換済みフレーム画像、変換パラメータ、制御信号などをネットワーク90を介して撮像装置50と送受信する通信ユニット64、装置全体を制御する制御ユニット65、及び、各ユニットを接続するバス66などで構成される。メモリ62はRAM,ROM,HDDなどの総称である。処理装置60は、他にユーザからの操作指示受付ユニットなどもあるか、図14では省略してある。
【0080】
先の実施例1と同様に、この実施例3においても、撮像装置50の画像処理ユニット53があおり補正の画像変換機能を有し、処理装置60のCPU61があおり補正に用いる変換パラメータの算出機能を有する。
【0081】
図15に、実施例3の映像処理システムの全体的機能ブロック図を示す。撮像装置50では、画像取得部521がフレーム画像を生成し、画像変換部531およびフレーム画像伝送部542に送る。フレーム画像伝送部542は、このフレーム画像をネットワーク90を介して処理装置60に送る。処理装置60では、変換パラメータ算出部611がフレーム画像から変換パラメータを算出し、変換パラメータ伝送部641に送る。変換パラメータ伝送部641は、この変換パラメータをネットワーク90を介して撮像装置50に送る。撮像装置50では、変換パラメータ設定部532が変換パラメータを当該処理ユニット内に設定する。画像変換部531は、設定された変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施してこの変換済みフレーム画像を生成し、変換済みフレーム画像伝送部541に送る。変換済みフレーム画像伝送部541は、この変換済みフレーム画像をネットワーク90を介して処理装置60に送る。処理装置60では、この変換済みフレーム画像を該処理装置60に接続されたディスプレイなどの映像出力装置に表示する。
【0082】
あおり補正に必要な変換パラメータの算出のやり方、フレーム画像に対するあおり補正処理のやり方などは、先の実施例1と同様であるので、説明は省略する。
【0083】
実施例3においても、撮像装置50から処理装置60に送られるフレーム画像は、変換パラメータを算出するために使用されるもので、必ずしもリアルタイムに処理装置50へ送る必要はない。したがって、フレーム画像は、変換済みフレーム画像の伝送レートより低いレートの伝送で構わない。さらに、先の実施例1で述べたように、フレーム画像は、一定時間毎あるいはユーザ指示があった場合にだけ送ることでもよい。これにより、処理の効率化が可能になると共に、ネットワーク90の有効利用が可能になる。
【実施例4】
【0084】
本実施例4は、実施例2をネットワーク環境に拡張し、撮像装置と処理装置がネットワークで接続された映像処理システムにおいて、処理装置でデジタルズームに必要な変換パラメータを算出して、その変換パラメータを撮像装置に送り、撮像装置では、この変換パラメータを使用して、撮影して得られたフレーム画像に対してデジタルズームを行い、デジタルズームされた変換済みフレーム画像を処理装置に送ることを特徴としている。また、撮像装置から処理装置へは、変換パラメータの算出のためにフレーム化画像を送るが、本実施例4でも、該フレーム画像と変換済みフレーム画像の伝送レートを異ならせる(フレーム画像の伝送レートを低くする)ことも特徴となっている。
【0085】
図16に、実施例4の映像処理システムの構成例を示す。実施例3と同様に実施例4の映像処理システムは撮像装置70、処理装置80、及びネットワーク90で構成される。ここでも処理装置60は例えば監視センタなどである。
【0086】
撮像装置70はレンズ71、該レンズ71で結像された光学像を電気信号のフレーム画像に変換するCCDやCMOSなどのセンサ72、フレーム画像に対して各種画像処理を行うISPなどの画像処理ユニット73、フレーム画像や変換済みフレーム画像、変換パラメータ、制御信号などをネットワーク90を介して処理装置80と送受信する通信ユニット74などで構成される。
【0087】
処理装置80は、種々の処理を実行するCPU81、CPU81の処理に必要な各種ソフトウエアやデータ、フレーム画像や変換済みフレーム画像などを格納するメモリ82、ユーザからズーム指示を受け付けるズーム指示受付ユニット83、該処理装置80に接続したモニタなどに映像信号を送る映像出力ユニット84、フレーム画像や変換済みフレーム画像、変換パラメータ、制御信号などをネットワーク90を介して撮像装置70と送受信する通信ユニット85、装置全体を制御する制御ユニット86、及び、各ユニットを接続するバス87などで構成される。メモリ82はRAM,ROM,HDDなどの総称である。
【0088】
先の実施例2と同様に、この実施例4においても、撮像装置70の画像処理ユニット73がデジタルズーム補正の画像変換機能を有し、処理装置80のCPU81がデジタルズーム処理に用いる変換パラメータの算出機能を有する。
【0089】
図17に、実施例4の映像処理システムの全体的機能ブロック図を示す。撮像装置70では、画像取得部721がフレーム画像を生成し、画像変換部731およびフレーム画像伝送部742に送る。フレーム画像伝送部742は、このフレーム画像をネットワーク90を介して処理装置80に送る。処理装置80では、ズーム指示受付部831がユーザからのズームイン/ズームアウトの指示があった場合に制御部861に通知し、制御部861から変換パラメータ算出部811に対して変換パラメータの算出を指示する。変換パラメータ算出部811はフレーム画像およびズームボタンの押下状況から変換パラメータを算出し、変換パラメータ伝送部851に送る。変換パラメータ伝送部851は、この変換パラメータをネットワーク90を介して撮像装置70に送る。撮像装置70では、変換パラメータ設定部732が、この変換パラメータを当該画像処理ユニット73内に設定する。画像変換部731は、設定された変換パラメータを用いてフレーム画像に対してデジタルズーム処理を施して変換済みフレーム画像を生成し、変換済みフレーム画像伝送部741に送る。変換済みフレーム画像伝送部741は、この変換済みフレーム画像をネットワーク90を介して処理装置80に送る。処理装置80では、この変換済みフレーム画像を該処理装置80に接続されたディスプレイなどの映像出力装置に表示する。
【0090】
なお、ユーザからズーム指示がない場合には、撮像装置70では、画像変換部731は画像取得部721からのフレーム画像をそのまま変換済みフレーム画像伝送部741に送り、変換済みフレーム画像伝送部741も、このフレーム画像をそのまま処理装置80に送ることになる。
【0091】
デジタルズーム処理に必要な変換パラメータの算出のやり方、フレーム画像に対するデジタルズーム処理のやり方などは、先の実施例2と同様であるので、説明は省略する。
【0092】
実施例4においても、フレーム画像伝送部742から処理装置80に送られるフレーム画像は、変換パラメータを算出するために使用されるもので、必ずしもリアルタイムに処理装置80へ送る必要はない。したがって、変換済みフレーム画像伝送部741から処理装置80に送られるフレーム画像あるいは変換済みフレーム画像の伝送レートより低いレートの伝送で構わない。さらに、先の実施例2で述べたように、フレーム画像伝送部742は、ズームイン/ズームアウト指示があった場合にだけフレーム画像を送ることでもよい。これにより、処理の効率化が可能になると共に、ネットワーク90の有効作用が可能になる。
【0093】
なお、ここでも実施例3と実施例4を一緒にすることが可能である。その場合、大部分の構成・機能を共通化できる。
【実施例5】
【0094】
本実施例5は実施例1及び/又は実施例2の映像処理装置を使用したテレビ会議システムを特徴としている。
【0095】
図18に、本実施例5のテレビ会議システムの概略構成図を示す。本テレビ会議システムは、複数のテレビ会議端末3000と、これらテレビ会議端末3000が接続されるネットワーク4000で構成される。テレビ会議端末3000は撮像装置3010と処理装置3020を具備している。該撮像装置3010と処理装置3020は、実施例1又は実施例2、あるいは両者の機能を一緒にした映像処理装置と同様の構成である。ここでは、実施例1と実施例2の機能を一緒にした装置構成とする。図18では省略したが、テレビ会議端末3000は、マイク、スピーカ、ディスプレイなども備え、撮像装置3010と同様に、処理装置3020に接続されている。
【0096】
実施例1で説明したように、あるテレビ会議端末3000の撮像装置3010で撮影された映像は、当該テレビ会議端末3000内の撮像装置3010と処理装置3020の協同によりあおり補正を施されて、当該テレビ会議端末3000内のディスプレイに表示されると同時に、このあおり補正された映像は、ネットワーク4000に接続された他のテレビ会議端末3000にも伝送されて、そのディスプレイに表示される。
【0097】
また、実施例2で説明したように、あるテレビ会議端末3000において、ユーザがズームイン/ズームアウトボタンを押下すると、当該テレビ会議端末3000内の同じく撮像装置3010と処理装置3020の協同によりデジタルズーム処理が施されて、デジタルズーム映像が、当該テレビ会議端末3000のディスプレイに表示されると同時に、ネットワーク4000に接続された他のテレビ会議端末3000にも伝送されて、そのディスプレイに表示される。
【0098】
本実施例5のテレビ会議システムによれば、ネットワークに接続された複数のテレビ会議端末で、あおり補正やデジタルズームの施された映像をリアルタイムに表示することが可能になる。
【実施例6】
【0099】
本実施例6は実施例3及び/又は実施例4の映像処理システムを使用した遠方監視システムを特徴としている。
【0100】
図19に、本実施例6の遠方監視システムの概略構成図を示す。本遠方監視システムは、複数の撮像装置5000、センタ装置6000、及び、これら撮像装置5000とセンタ装置6000を接続するネットワーク5000で構成される。ここで、撮像装置5000は、それぞれ被監視場所に設置されて使用される。センタ装置6000は監視センタなどに設置される。該センタ装置6000は、処理装置6010と、複数の撮像装置5000とそれぞれ対応する複数のディスプレイ6020からなる。なお、ディスプレイ6020は一台とし、各撮像装置5000の映像をマルチ表示することでもよい。
【0101】
本遠方監視システムは、撮像装置が複数あることを除けば、実施例3又は実施例4、あるいは両者の機能を一緒にした映像処理システムと同様の構成である。ここでは、実施例3と実施例4の機能を一緒にしたシステム構成とする。
【0102】
実施例3で説明したように、ある撮像装置5000で撮影された映像は、当該装置5000とセンタ装置6000内の処理装置6010の協同によりあおり補正処理を施されて、センタ装置6000内の該撮像装置5000に対応するディスプレイ6020上に表示される。他の撮像装置5000で撮像された映像も、同様にあおり補正処理を施されて、センタ装置6000内の該撮像装置5000に対応するディスプレイ6020上に表示される。
【0103】
また、実施例4で説明したように、ある撮影装置5000で撮影中の映像に対して監視者からズームイン/ズームアウトの指示があった場合には、当該撮像装置5000とセンタ装置6000内の処理装置6010の協同により、該撮像装置5000の映像に対してデジタルズーム処理が施されて、センタ装置6000内の該撮像装置5000に対応するディスプレイ6020上の映像がズームイン/ズームアウト表示にかわる。
【符号の説明】
【0104】
10,30,50,70 撮像装置
20,40,60,80 処理装置
90 ネットワーク
121,321,521,721 画像取得部
132,331,531,731 画像変換部
132,332,532,732 変換パラメータ設定部
141,341,541,741 変換済みフレーム画像伝送部
142,342,542,742 フレーム画像伝送部
211,411,641,851 変換パラメータ伝送部
221,421,611,811 変換パラメータ算出部
441,831 ズーム指示受付部
3000 テレビ会議端末
3010 撮像装置
3020 処理装置
4000 ネットワーク
5000 撮像装置
6000 センタ装置
6010 処理装置
6020 ディスプレイ
7000 ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2004−72181号公報
【特許文献2】特開2008−60827号公報
【特許文献3】特開2007−67847号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と該撮像装置に接続された処理装置とを具備し、
前記撮像装置は、フレーム画像を取得する画像取得手段と、前記フレーム画像を前記処理装置に送るフレーム画像伝送手段と、前記処理装置から送られた変換パラメータを該撮像装置内に設定する変換パラメータ設定手段と、前記設定された変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施す画像変換手段と、変換済みフレーム画像を前記処理装置に送る変換済みフレーム画像伝送手段を有し、
前記処理装置は、前記撮像装置から送られたフレーム画像を用いて画像変換のための変換パラメータを算出する変換パラメータ算出手段と、前記変換パラメータを前記撮像装置に送る変換パラメータ伝送手段を有する、
ことを特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
前記撮像装置のフレーム画像伝送手段と変換済みフレーム画像伝送手段とで伝送レートを変えることを特徴とする請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記撮像装置の画像変換手段は、フレーム画像に対してあおり補正を施し、
前記処理装置の変換パラメータ算出手段は、フレーム画像から被写体領域を検出して、あおり補正のための変換パラメータを算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記撮像装置のフレーム画像伝送手段は、一定時間ごとにフレーム画像を前記処理装置に送り、
前記処理装置の変換パラメータ算出手段は、前記撮像装置から一定時間ごとに送られてくるフレーム画像を用いてあおり補正のための変換パラメータを再計算する、
ことを特徴とする請求項3に記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記撮像装置のフレーム画像伝送手段は、ユーザ指示があった場合にのみフレーム画像を前記処理装置に送り、
前記処理装置の変換パラメータ算出手段は、前記撮像装置からフレーム画像が送られてくると、該フレーム画像を用いてあおり補正のための変換パラメータを再計算する、
ことを特徴とする請求項3に記載の映像処理装置。
【請求項6】
前記処理装置は、フレーム画像のズーム指示をユーザから受け付けるズーム指示受付手段を備え、前記変換パラメータ算出手段は、ユーザが指定したフレーム画像上の領域を画像全面に表示するようにデジタルズームするための変換パラメータを算出し、
前記撮像装置の画像変換手段は、フレーム画像に対してデジタルズームを行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の映像処理装置。
【請求項7】
前記撮像装置のフレーム画像伝送手段は、ユーザズーム指示があった場合にのみフレーム画像を前記処理装置に送る、
ことを特徴とする請求項6に記載の映像処理装置。
【請求項8】
撮像装置と該撮像装置に接続された処理装置とがネットワークを介して接続されてなる映像処理システムであって、
前記撮像装置は、フレーム画像を取得する画像取得手段と、前記フレーム画像を前記ネットワークを介して前記処理装置に送るフレーム画像伝送手段と、前記処理装置から前記ネットワークを付して送られた変換パラメータを該撮像装置内に設定する変換パラメータ設定手段と、前記設定された変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施す画像変換手段と、変換済みフレーム画像を前記ネットワークを介して前記処理装置に送る変換済みフレーム画像伝送手段を有し、
前記処理装置は、前記撮像装置から前記ネットワークを介して送られたフレーム画像を用いて画像変換のための変換パラメータを算出する変換パラメータ算出手段と、前記変換パラメータを前記ネットワークを介して前記撮像装置に送る変換パラメータ伝送手段を有する、
ことを特徴とする映像処理システム。
【請求項9】
前記撮像装置のフレーム画像伝送手段と変換済みフレーム画像伝送手段とで伝送レートを変えることを特徴とする請求項8に記載の映像処理システム。
【請求項10】
前記撮像装置の画像変換手段は、フレーム画像に対してあおり補正を施し、
前記処理装置の変換パラメータ算出手段は、フレーム画像から被写体領域を検出して、あおり補正のための変換パラメータを算出する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の映像処理システム。
【請求項11】
前記撮像装置のフレーム画像撮像手段は、一定時間ごとにフレーム画像を前記ネットワークを介して前記処理装置に送り、
前記処理装置の変換パラメータ算出手段は、前記撮像装置から前記ネットワークを介して一定時間ごとに送られてくるフレーム画像を用いてあおり補正のための変換パラメータを再計算する、
ことを特徴とする請求項10に記載の映像処理システム。
【請求項12】
前記撮像装置のフレーム画像伝送手段は、ユーザ指示があった場合にのみフレーム画像を前記ネットワークを介して前記処理装置に送り、
前記処理装置の変換パラメータ算出手段は、前記撮像装置からフレーム画像が送られてくると、該フレーム画像を用いてあおり補正のための変換パラメータを再計算する、
ことを特徴とする請求項10に記載の映像処理システム。
【請求項13】
前記処理装置は、フレーム画像のズーム指示をユーザから受け付けるズーム指示受付手段を備え、前記変換パラメータ算出手段は、ユーザが指定したフレーム画像上の領域を画像全面に表示するようにデジタルズームするための変換パラメータを算出し、
前記撮像装置の画像変換手段は、フレーム画像に対してデジタルズームを行う、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の映像処理システム。
【請求項14】
前記撮像装置のフレーム画像伝送手段は、ユーザズーム指示があった場合にのみフレーム画像を前記ネットワークを介して前記処理装置に送る、
ことを特徴とする請求項13に記載の映像処理システム。
【請求項15】
複数のテレビ会議端末がネットワークを介して接続されてなるテレビ会議システムであって、
前記テレビ会議端末は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の映像処理装置を備えていることを特徴とするテレビ会議システム。
【請求項16】
請求項8乃至14のいずれか1項に記載の映像処理システムを利用した遠方監視システムであって、
複数の撮像装置がネットワークを介して監視センタの処理装置に接続され、処理装置は、複数の撮像装置からネットワークを介して送られてくる映像をそれぞれ表示する表示手段を備えていることを特徴とする遠方監視システム。
【請求項17】
撮像装置と該撮像装置に接続された処理装置とによりフレーム画像を処理する映像処理方法であって、
前記撮像装置が、フレーム画像を取得し、該フレーム画像を前記処理装置に送る過程と、
前記処理装置が、前記撮像装置から送られたフレーム画像を用いて画像変換のための変換パラメータを算出し、該変換パラメータを前記撮像装置に送る過程と、
前記撮像装置が、前記処理装置から送られた前記変換パラメータを当該撮像装置内に設定し、該設定した変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施し、変換済みフレーム画像を前記処理装置に送る過程と、
を有することを特徴とする映像処理方法。
【請求項18】
前記撮像装置から前記処理装置に送られる前記フレーム画像と前記変換済みフレーム画像の伝送レートを異ならせることを特徴とする請求項17に記載の映像処理方法。
【請求項19】
フレーム画像を取得する画像取得手段と、
画像変換に使用する変換パラメータの算出を依頼するためにフレーム画像を伝送するフレーム画像伝送手段と、
受信された変換パラメータを設定する変換パラメータ設定手段と、
前記設定された変換パラメータを用いてフレーム画像に対して画像変換を施す画像変換手段と、
前記画像変換を施された変換済みフレーム画像を伝送する変換済みフレーム画像伝送手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項20】
前記フレーム画像伝送手段と前記変換済みフレーム画像伝送手段とで伝送レートを変えることを特徴とする請求項19に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−186719(P2012−186719A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49373(P2011−49373)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】