説明

映像表示装置及びその制御方法、映像表示システム

【課題】画面分割された表示領域の境界部に生じる、色再現性が低下した領域をユーザが判別できるように画面上に表示すること。
【解決手段】映像表示装置100は、分割された表示領域毎に異なるバックライト設定が可能である。バックライト設定比較部206は、表示領域毎に異なるバックライト設定が行われているか否かをバックライト設定値(輝度、色温度)から判定する。境界領域幅判定部207は、表示領域毎に異なるバックライト設定が行われている場合に、各表示領域の境界部で色再現性が低下する領域を、該境界部の判定テーブル及び該境界部に隣接する表示領域のバックライト設定値から決定する。表示制御部205は、決定された色再現性が低下する領域を表示部208画面上に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面分割した表示領域毎に異なるバックライト設定が可能な映像表示装置及びその制御方法、映像表示システムに関する。本発明は特に、バックライト設定の異なる表示領域の境界部に発生する色再現性の低下領域を表示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザがモニタの用途に応じて色域を予め用意されたプリセット(sRGBやAdobe(登録商標)RGB等)から選択できるカラーマネジメントモニタが知られている。近年、大画面のカラーマネジメントモニタでは、分割表示画面の表示領域毎に異なる色域や色温度の設定が可能な機種も登場している。また液晶モニタではRGBのLED(発光ダイオード)を使ったバックライトを採用し、色域毎にバックライトのRGB比を変えることにより画像処理LSIでの補正量を減らし、階調表示精度を向上させることができる。特許文献1に開示の技術では、映像入力信号に応じて表示画面を複数に分割し、分割された表示領域に対応して配置された光源ブロック毎にRGBのLEDバックライトの輝度比を個別に制御する。これにより色純度を高めて高画質化を図ることができる。
画面を分割して表示領域毎に異なる色域を設定可能なモニタの利用方法としては、例えばユーザが目的に応じて分割された表示領域で色域の設定を変えることが考えられる。ユーザは左画面ではWeb用の画像編集を行う為に第1の色域(sRGB)を設定して表示させ、右画面では印刷用の画像編集を行う為に第2の色域(Adobe(登録商標)RGB)を設定して表示させることができる。
特許文献2に開示の技術では、テレビ映像とコンピュータからの画像をピクチャーインピクチャで表示する場合に、表示領域毎に異なる色域で表示する。テレビ映像の表示領域ではNTSC方式の色域とし、コンピュータからの画像表示領域ではsRGBの色域とすることで、表示領域毎に最適な表示を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−322944号公報
【特許文献2】特開2006−086728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで画面上の各表示領域に対して、異なるRGBバックライトの発光設定を行って分割画面表示した場合、発光設定の異なる表示領域の境界部には色再現性の低下する領域が発生する。図10は画面を左右方向に2分割した表示領域Aと表示領域Bを示し、各表示領域で輝度及び色温度の設定が異なる例を示す。バックライトの発光設定によっては、表示領域AとBとの境界部に色再現性の低下した領域が生じる場合がある。その為、ユーザがこの領域に気付かずにその領域内で画像編集を行った場合、編集結果はユーザの意図とは違った色になってしまう。
また、従来の技術では、表示領域毎にRGBバックライトの輝度比を制御して色純度を高めることや、表示領域毎に異なる色空間での表示が可能である。しかし、図10に示すような色再現性が低下する境界領域の存在を提示して、ユーザが画像編集を行わないように防ぐ手立ては講じられていなかった。
そこで本発明は、画面分割された表示領域の境界部に生じる、色再現性が低下した領域をユーザが判別できるように画面上に表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る装置は、画面上で分割された表示領域毎にバックライト設定が行える映像表示装置であって、前記表示領域毎にバックライト設定値を設定する設定手段と、前記表示領域毎に異なるバックライト設定が行われているか否かを前記バックライト設定値から判定する判定手段と、前記判定手段によって前記表示領域毎に異なるバックライト設定が行われていると判定された場合に、各表示領域の境界部で色再現性が低下する領域を、該境界部の判定テーブル及び該境界部に隣接する表示領域のバックライト設定値から決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された前記色再現性が低下する領域を画面上に表示させる表示制御手段を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画面分割された表示領域の境界部に生じる、色再現性が低下した領域を画面上に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成例を示す図である。
【図2】図1の映像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の接続機器(PC)の構成例を示すブロック図である。
【図4】色再現性が低下する領域幅の判定テーブルを例示した図である。
【図5】本発明の第1実施形態における動作例を説明するフローチャートである。
【図6】左右2分割の画面表示例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る映像表示装置の動作例を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る映像出力装置の動作例を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態における再配置後の画像ウィンドウの表示例を示す図である。
【図10】異なるバックライト設定で画面分割表示した場合に色再現性の低下する領域が発生する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の各実施形態について説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態では、異なるバックライト設定(輝度と色温度の設定)が行われている複数の表示領域に、映像出力装置から入力される映像信号に従って複数の映像を分割表示画面に表示させる例を説明する。本実施形態に係る映像表示装置は、バックライトの発光設定が異なる表示領域の境界部において色再現性が他の領域よりも低下する領域(以下、色再現性低下領域という)を判定する。映像表示装置は判定した色再現性低下領域を、ユーザが判別できるように画面上に表示する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る映像表示システムの概略図である。映像表示装置100には、映像出力装置としてのコンピュータ(以下、PCと略記する)が接続されている。本例ではPC101とPC102が映像ケーブル107、108によってそれぞれ映像表示装置100に接続されている。PC101にはキーボード103とマウス104が接続され、同様にPC102にはキーボード105とマウス106が接続されている。映像表示装置100と各PCを接続する映像ケーブル107と108においては、映像信号とデータの通信が可能である。例えば、映像ケーブルとして、DVI(商標)またはDisplayPort(商標)がある。
【0010】
図2は、映像表示装置100の構成例を示すブロック図である。
映像表示装置100に接続されているPC101、102からの映像信号は、映像入力部201、202にそれぞれ入力され、各映像入力部から表示制御部205に送られる。本実施形態では、接続機器が2台である為、映像入力部の数を2つとして説明するが、接続機器に応じた数の映像入力部が設けられる。
UI(ユーザインタフェース)部203は、ユーザからの各種モニタ設定操作の指示を受け付け、各設定値をモニタ設定記憶部204へ通知する。各種モニタ設定操作とは、2画面表示の有無や各表示領域へ映像出力する接続機器の設定操作、表示領域毎のバックライトの輝度や色温度の設定操作、画質パラメータの設定操作等である。
モニタ設定記憶部204はUI部203とともに設定手段を構成し、UI部203から通知された各設定値の情報を不揮発メモリ等の記憶媒体に記憶する。モニタ設定記憶部204の記憶情報は、少なくとも下表1に示す各表示領域の色域、輝度、色温度を含む。
【表1】

【0011】
表示制御部205は、現在のモニタ設定値をモニタ設定記憶部204から取得する。モニタ設定値には、2画面表示の有無、画質調整パラメータの設定値、表示領域毎のバックライト設定値等がある。表示制御部205は、各モニタ設定値に基づき、映像入力部201、202からの入力映像信号に対し、スケーリング処理、合成処理、画質調整等を施し、処理後の映像信号を表示部208に出力する。更に表示制御部205は、後述する境界領域幅判定部207からの情報に基づき、色再現性低下領域を帯状で表示させるための信号を、入力映像信号に合成して表示部208に出力する。表示制御部205は、各表示領域のバックライト設定値をバックライト制御部209へ通知する。また、ユーザがUI部203で各種モニタ設定操作を行った場合、表示制御部205は各種設定画面の表示信号を生成して表示部208へ出力する。各種設定画面とは、例えば、画質調整やバックライトの設定、2画面表示設定等の画面である。
バックライト設定比較部206は、表示領域毎に異なるバックライト設定が行われているか否か、すなわち各表示領域(本例では表1の表示領域A及びB)のバックライト設定値に差異があるか否かを判定する。隣接する表示領域の間でバックライト設定値に差異がある場合、バックライト設定比較部206は境界領域幅判定部207に対して各表示領域のバックライト設定値を通知し、色再現性低下領域の幅の判定を要求する。
【0012】
境界領域幅判定部207は、図4に示す境界部の判定テーブルと、該境界部に隣接する表示領域のバックライト設定値から、色再現性低下領域の幅を決定する。つまり、バックライト設定比較部206から通知された各表示領域のバックライト設定値と、図4に示す色再現性低下領域の幅を決定するための判定テーブルを用いて、色再現性低下領域の幅が決定される。図4に示す判定テーブルでは、各表示領域の輝度及び色温度についてそれぞれ2種類の値を例示し、色再現性低下領域の幅が表示領域A側やB側に何ピクセル分であるかを示す。表示領域AとBとで輝度値が同じ場合の幅に比べて輝度値が異なる場合の方が、幅は大きいことが分かる。判定テーブルの幅情報は工場出荷時等に作成され、不図示のメモリや記憶媒体に保持されている。
表示部208は、表示制御部205が出力した映像信号に従って映像を画面上に表示し、また各種設定画面を表示する。バックライト制御部209は、表示制御部205から通知された表示領域毎のバックライト設定値に基づき、各表示領域のバックライトの発光制御を行う。なお、境界領域情報出力部801及び802については第2実施形態にて説明する。
【0013】
図3はPC101の構成例を示すブロック図である。尚、PC102の構成もPC101と同様であるため、その説明を省略する。
キーボードドライバ部301は、ユーザによるキーボード操作の指示を受け付け、キーボード操作情報を操作検出部303へ通知する。マウスドライバ部302は、ユーザによるマウス操作の指示を受け付け、マウス操作情報を操作検出部303へ通知する。操作検出部303は、キーボードドライバ部301およびマウスドライバ部302からの各操作情報を受け取り、映像出力制御部304へユーザ操作情報を通知する。映像出力制御部304は、操作検出部303から通知されたユーザ操作情報に基づき、アプリケーション等を実行して、描画情報を映像出力部305へ出力する。映像出力部305は、映像出力制御部304から受信した映像情報を映像表示装置100へ出力する。なお、境界領域情報入力部901については第2実施形態にて説明する。
【0014】
次に図4に示す境界領域幅の判定テーブルを説明する。この判定テーブルは予め工場出荷時等に実測して作成される。基本的な作成方法としては、各表示領域に設定可能なバックライト設定値の組み合わせに係る全パターンについて作成装置は、次の手順で判定テーブルを作成する。
(1)映像表示装置100にて各分割表示領域に、異なるバックライト設定(輝度、色温度)を行い、分割表示させる。
(2)基準色(各バックライト設定で正常に表現された色)との色差ΔEが閾値以下になるまで、分割表示領域の境界からの表示位置を順に調べる。
(3)分割表示領域の境界から、色差ΔEが閾値以下になった位置までの幅を色再現性低下領域の幅とする。
しかし、これらの全パターンを実測するには手間がかかる為、ある特定のパターンのみ実測して判定テーブルを作成しておき、近似するパターンや補間計算などによって色再現性低下領域の幅を求めてもよい。例えば、実際のパターンがバックライト設定された場合に境界領域幅判定部207は一番近いパターンを判定テーブルから選択して色再現性低下領域の幅を決定する。
【0015】
図5は、バックライトの発光設定が異なる表示領域の境界部において、色再現性低下領域を画面上に表示する際の処理例を示したフローチャートである。
S601で表示制御部205は、PC101およびPC102からの入力映像を2画面表示する為に、モニタ設定値(2画面表示の有無、表示領域毎のバックライト設定値)をモニタ設定記憶部204から取得する。表示制御部205は、スケーリング処理、合成処理、画質調整処理を行い、またバックライト設定比較部206に対して各表示領域のバックライト設定値の比較処理を要求する。
【0016】
S602でバックライト設定比較部206は、表示領域毎のバックライト設定値(輝度、色温度)を比較する。S603でバックライト設定比較部206は、各表示領域のバックライト設定値(輝度、色温度)に差異があると判定した場合にS604へ処理を進め、各表示領域のバックライト設定に差異がないと判定した場合にはS606へ処理を進める。S604でバックライト設定比較部206は、境界領域幅判定部207へ各表示領域のバックライト設定値を通知する。境界領域幅判定部207は、バックライト設定比較部206から通知された各表示領域のバックライト設定値を受け取り、記憶媒体に予め保持している判定テーブルを参照する。これらの情報に基づき、境界領域幅判定部207は、色再現性低下領域の幅を決定し、決定した幅情報を表示制御部205へ通知する。例えば、上表1で示す各表示領域のバックライト設定の場合、表示領域Aの設定値が輝度120cd/m2、色温度9300Kであり、表示領域Bの設定値が輝度80cd/m2、色温度6500Kである。この場合、境界領域幅判定部207は、図4に示す判定テーブルから該当する個所を特定する。境界領域から表示領域A側に5pixel、表示領域B側に20pixelが、色再現性低下領域の幅として決定される。
【0017】
S605で表示制御部205は、境界領域幅判定部207から色再現性低下領域の幅情報を受信する。表示制御部205は、2画面表示の表示境界から表示領域A側に5pixel、表示領域B側に20pixelを帯状に塗りつぶすための画像データを生成し、入力映像に合成して表示部208に出力する。S606で表示制御部205は、前記S601で取得した各表示領域のバックライト設定値(輝度、色温度)を、バックライト制御部209へ通知する。バックライト制御部209は通知された各表示領域のバックライト設定値に従いバックライトの発光を制御する。
【0018】
図6は色再現性低下領域を画面上で帯状に表示した例を示す。左画面領域701は表示領域Aを示し、右画面領域702は表示領域Bを示しており、各表示領域のバックライト設定は異なっている。PC101の映像を左側の表示領域Aに表示し、PC102の映像を右側の表示領域Bに表示した場合に、前述したように表示境界部から表示領域A側に5pixel、表示領域B側に20pixelの範囲に亘って色再現性低下領域が発生する。この色再現性低下領域703は帯状に塗りつぶして画面表示される。尚、塗りつぶしによる表示以外にも、背景の映像が見えるように半透明で色再現性低下領域703を表示してもよく、ユーザが領域幅を容易に判別できれば如何なる表示形態でも構わない。
【0019】
第1実施形態によれば、表示領域毎に異なるバックライト設定がなされて分割画面表示された場合、分割表示領域毎のバックライト設定値(輝度及び色温度)に基づき、色再現性低下領域が決定されて該領域がユーザに判別可能な状態で画面上に表示される。これにより、ユーザは境界領域の場所と幅が分かるので、間違ってその領域内で編集作業しないように防止できる。尚、本実施形態では、2分割表示領域の例を説明したが、表示領域の数が2以上の場合でも判定テーブルの変更により同様の処理を実現できる。
【0020】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、異なるバックライト設定(輝度と色温度設定)が行われている表示領域A及びBを画面表示した場合に、バックライト設定が異なる表示領域の境界部において色再現性低下領域を映像表示装置が決定する。映像表示装置は接続機器に対して色再現性低下領域の情報を通知する。接続機器は画像ウィンドウが、色再現性低下領域にかかって表示されないように画像ウィンドウの再配置を行う。尚、システム構成は第1実施形態の場合と同様であるため、以下では相違点を説明する。
【0021】
第2実施形態に係る映像表示装置と第1実施形態と相違点は、図2で境界領域情報出力部801、802が追加されていることである。よって、以下では、相違点のみ説明し、第1実施形態の場合と同様の構成要素については既に使用した符号を用いることでそれらの詳細な説明を省略する。
境界領域情報出力部801は、境界領域幅判定部207が決定した色再現性低下領域の幅情報を表示制御部205から取得して、PC101に出力する。同様に、境界領域情報出力部802は、境界領域幅判定部207が決定した色再現性低下領域の幅情報を表示制御部205から取得して、PC102に出力する。映像ケーブル107、108がDVIの場合、DDC/CI(Display Data Channel/Command Interface)に基づいたデータ通信により情報をPCに送ることが可能である。
【0022】
第2実施形態に係るPC101及び102の構成と、第1実施形態の構成との相違点は、図3に示す境界領域情報入力部901の存在と、映像出力制御部304が画像ウィンドウの表示位置又は表示サイズを調整する機能を有することである。以下、これらについて説明する。
境界領域情報入力部901は、映像表示装置100から映像ケーブル107を介して、色再現性低下領域の情報を受信し、映像出力制御部304へ受信した情報を通知する。映像出力制御部304は、境界領域情報入力部901から色再現性低下領域の情報を受信し、現在表示しているアプリケーションの画像ウィンドウが色再現性低下領域にかかった状態で表示されているか否かを判断する。その際、映像出力制御部304は、画像ウィンドウの表示位置、表示サイズと、色再現性低下領域の幅情報をもとに判断する。色再現性低下領域に画像ウィンドウが表示されている場合、映像出力制御部304は画像ウィンドウを移動させるか、または画像ウィンドウの表示サイズを縮小し、その描画情報を映像出力部305に出力する。
【0023】
図7は色再現性低下領域の幅を決定して接続機器側へ通知する映像表示装置の処理例を示すフローチャートである。図7のS1001乃至1004では図5のS601乃至604と同様の処理を行う為、簡略的に説明する。
S1001で表示制御部205は各入力映像に対して2画面表示する為に、モニタ設定値(2画面表示の有無、表示領域毎のバックライト設定値)をモニタ設定記憶部204から取得して映像処理を行う。また表示制御部205はバックライト設定比較部206に対して各表示領域のバックライト設定値の比較処理を要求する。S1002でバックライト設定比較部206は、各表示領域のバックライト設定値を比較する。S1003でバックライト設定比較部206は、各表示領域のバックライト設定値(輝度、色温度)に差異がある場合にS1004へ処理を進め、差異がない場合にはS1007へ処理を進める。
【0024】
S1004でバックライト設定比較部206は、境界領域幅判定部207へ各表示領域のバックライト設定値を通知する。境界領域幅判定部207は、各表示領域のバックライト設定値と前記判定テーブルを用いて、色再現性低下領域の幅を決定し、表示制御部205へ通知する。S1005で表示制御部205は、モニタ設定値(各表示領域に映像出力する接続機器の設定値)をモニタ設定記憶部204から取得する。表示制御部205は、PC101、102へ情報通知を行う境界領域情報出力部801、802を特定し、各境界領域情報出力部へ色再現性低下領域の幅情報を通知する。図6の例ではPC101の映像を表示領域Aに表示し、PC102の映像を表示領域Bに表示した時、表示領域の境界部から表示領域A側に5pixel、表示領域B側に20pixelの幅で、色再現性低下領域が存在する。表示制御部205は、PC101と接続された境界領域情報出力部801には5pixelを通知し、PC102と接続された境界領域情報出力部802には20pixelを通知する。
S1006で境界領域情報出力部801、802は、通知された色再現性低下領域の情報を、それぞれに対応するPC101、102へ通知する。PC101、102における画像ウィンドウの再配置処理については図8を用いて後述する。PC101、102により再配置された画像ウィンドウの映像信号は、映像表示装置100の映像入力部201、202に再度入力され、表示制御部205での映像処理後に表示部208で表示される。
S1007で表示制御部205は、S1001で取得した各表示領域のバックライト設定値をバックライト制御部209へ通知する。バックライト制御部209は各表示領域のバックライト設定値に従いバックライトの発光を制御する。
【0025】
図8は、映像表示装置100から色再現性低下領域の情報を受信し、画像ウィンドウを再配置するPC101の処理例を示すフローチャートである。尚、PC102の動作はPC101の動作と同じである為、説明を省略する。
S1101で境界領域情報入力部901は、映像表示装置100の境界領域情報出力部801から色再現性低下領域の情報を受信し、映像出力制御部304に通知する。S1102で映像出力制御部304は、現在の画像ウィンドウの表示位置と表示サイズをもとに、通知された色再現性低下領域に画像ウィンドウが表示されているか否かを判断する。S1103で映像出力制御部304は、色再現性低下領域に画像ウィンドウが表示されていると判断した場合、画像ウィンドウの再配置処理を行う為にS1104へ処理を進める。また映像出力制御部304は、色再現性低下領域に画像ウィンドウが表示されていないと判断した場合、再配置処理を行わずにS1107へ処理を進める。
S1104で映像出力制御部304は、画像ウィンドウの表示位置の移動が可能か否かを判断する。画像ウィンドウが移動可能な状態であればS1105へ進み、移動不可能な状態であればS1106へ進む。移動可能な状態とは、画像ウィンドウのうちで、色再現性低下領域内に表示している画素分だけ、色再現性が正確な領域側に画像ウィンドウ全体を移動可能な状態を意味する。S1105で映像出力制御部304は、画像ウィンドウが色再現性低下領域に表示されないように、画像ウィンドウの表示位置を、正確に色再現できる領域側に移動させ、その画像情報を映像出力部305に出力する。そしてS1107に処理を進める。
S1106で映像出力制御部304は、画像ウィンドウが色再現性低下領域に表示されないように、画像ウィンドウの表示サイズを縮小し、その画像情報を映像出力部305に出力する。S1107で映像出力部305は映像信号を映像表示装置100に出力する。
【0026】
図9は、画像ウィンドウが色再現性低下領域に配置されないように画像ウィンドウを再配置した場合の画面表示例である。上段に再配置前の表示例を示し、下段に再配置後の表示例を示す。画像ウィンドウ1201、1202はそれらの一部が色再現性低下領域にかかって表示されている。
画像ウィンドウ1203は、画像ウィンドウ1201が色再現性低下領域に表示されないように表示サイズを縮小した場合の表示例である。また画像ウィンドウ1204は、画像ウィンドウ1202が色再現性低下領域に表示されないように表示位置を移動した場合の表示例である。
【0027】
第2実施形態によれば、映像表示装置は色再現性低下領域の情報を接続機器に通知し、接続機器は色再現性低下領域に画像ウィンドウが配置されないように再配置を行う。これにより、ユーザが間違って色再現性低下領域内で画像編集することが無くなる。
尚、他の実施形態においては、接続機器(映像出力装置)側で色再現性低下領域を帯状に塗りつぶした画像信号を生成し、映像表示装置に出力して表示させることも可能である。また上記実施形態では色再現性低下領域の情報を、各接続機器へ通知する例を説明した。これに限らず、各表示領域のサイズと色再現性低下領域の幅に基づいて、正確な色再現性で表示できる表示領域を画面に表示し、ユーザがマウス等を用いて画像ウィンドウの表示位置や表示サイズを指定できる実施形態も容易に実現可能である。
【符号の説明】
【0028】
100 映像表示装置
101,102 PC(映像出力装置)
203 UI部
204 モニタ設定記憶部
205 表示制御部
206 バックライト設定比較部
207 境界領域幅判定部
801,802 境界領域情報出力部
901 境界領域情報入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上で分割された表示領域毎にバックライト設定が行える映像表示装置であって、
前記表示領域毎にバックライト設定値を設定する設定手段と、
前記表示領域毎に異なるバックライト設定が行われているか否かを前記バックライト設定値から判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記表示領域毎に異なるバックライト設定が行われていると判定された場合に、各表示領域の境界部で色再現性が低下する領域を、該境界部の判定テーブル及び該境界部に隣接する表示領域のバックライト設定値から決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記色再現性が低下する領域を画面上に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記判定テーブルは前記バックライト設定値に係る輝度及び色温度に対応した前記色再現性が低下する領域の幅情報を保持しており、
前記決定手段は前記境界部に隣接する表示領域のバックライト設定値に係る輝度及び色温度の情報から前記判定テーブルを用いて、前記色再現性が低下する領域の幅を決定することを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記決定手段により決定された前記色再現性が低下する領域の情報を、前記映像表示装置に接続された映像出力装置に通知する出力手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像表示装置と、
前記映像表示装置から前記色再現性が低下する領域の情報を受信し、画像ウィンドウの表示位置又は表示サイズを調整する調整手段を備える映像出力装置と、を備えた映像表示システムであって、
前記調整手段は、前記映像表示装置から通知された前記色再現性が低下する領域に前記画像ウィンドウが表示されない表示位置又は表示サイズに変更した映像信号を前記映像表示装置に出力することを特徴とする映像表示システム。
【請求項5】
画面上で分割された表示領域毎にバックライト設定が行える映像表示装置の制御方法であって、
前記表示領域毎にバックライト設定値を設定する設定ステップと、
前記表示領域毎に異なるバックライト設定が行われているか否かを前記バックライト設定値から判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて前記表示領域毎に異なるバックライト設定が行われていると判定された場合に、各表示領域の境界部で色再現性が低下する領域を、該境界部の判定テーブル及び該境界部に隣接する表示領域のバックライト設定値から決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された前記色再現性が低下する領域を画面上に表示させるステップを有することを特徴とする映像表示装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−83664(P2012−83664A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231839(P2010−231839)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】