説明

映像表示装置及び映像表示方法

【課題】
FPD等の固定画素デバイスにおいて、インターレース映像信号を表示可能な映像表示装置及び映像表示方法を提供する。
【解決手段】
本発明の映像表示装置は、フィールド表示において1ラインおきに飛び越し表示し、飛び越されたラインは公知のフィールド内補間をしてから各画素値に固定係数(0<α<1)を乗じて動画/静止画の区別無く表示する事により、フレームディレイが無く、平均輝度(電力効率)/ちらつき/垂直解像感においてバランスのとれた効率の良い映像表示を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPD(Flat Panel Display)等の固定画素デバイスにおけるインターレース映像表示装置とその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のFPD等の固定画素デバイスにおけるインターレース映像信号表示時は、I/P変換によりインターレース映像信号をプログレッシブ映像信号に変換後、表示デバイスの画素数に合わせてスケーリングして表示していた。
【0003】
【特許文献1】特許3717917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、I/P変換は失われた情報を推定によって復元する操作であり、様々な困難を伴う。例えばI/P変換には隣接するフィールドの情報を必要とする事から、フィールド或いはフレームディレイが発生する事が多い。またI/P変換では動画と静止画とで処理方式を変える必要があり、I/P変換が破綻した場合は視覚上の弊害も大きいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、固定画素デバイスにおいてインターレース映像信号を表示可能な映像表示装置及び映像表示方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決する為に、本発明の映像表示装置は、フィールド表示において1ラインおきに飛び越し表示し、飛び越されたラインは公知のフィールド内補間をしてから各画素値に0<α<1なる固定係数αを乗じて表示する事を特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィールド表示において1ラインおきに飛び越し表示し、飛び越されたラインは公知のフィールド内補間をしてから各画素値に固定係数αを乗じて表示するので、従来のI/P変換に相当する操作を観察者である人に委ねる事になり、表示上の破綻を防止出来る。また固定係数αの値により平均輝度(電力効率)/ちらつき/垂直解像感においてバランスのとれた効率の良い映像表示が可能である。
【0008】
更にフレームディレイが無く、動画/静止画とも同一の処理方法で処理出来るので、従来のI/P変換方式に比べて回路規模が縮小出来るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明について説明する。図1は本発明を実施する際の機能ブロック図である。また、図2はこのブロック各部の入出力映像画面を表す。
【0010】
図1において、1は倍速変換回路、2はフィールド内補間回路、3は定数乗算器、4はスイッチ回路である。倍速変換回路に入力されるインターレース入力信号101は通常のインターレース映像信号であり、水平周期はtiである。倍速変換回路ではこの信号を水平周期ti/2に変換する。従って、倍速変換インターレース信号102は水平周期tiの半分で走査を終え、後の半周期はブランクとなる。
【0011】
フィールド内補間回路2では、インターレース信号の飛び越した部分を周辺の画素情報によって補間するが、このやり方については一次補間、ナイキストフィルタによる補間等、既に種々の方法が取られている。ここでは、それら従来のやり方に従う。
【0012】
乗算器3では、補間された信号に一定数(0<α<1)を掛算する。乗算はR,G,B、またはY,Pb,Pr各信号成分に対して行われる。
【0013】
スイッチ回路4はインターレース入力信号101の水平周期の内の前半、すなわち、倍速変換器出力が元の信号を走査している期間は倍速変換器出力を、また周期後半の倍速変換器出力がブランクの期間はフィールド内補間回路の出力を出力するように切り替えを行う。その結果、スイッチ回路の出力は跳び越した走査部分を補間した、順次走査出力信号105となる。
【0014】
図2において、入力信号は水平周期tiのインターレース信号で、101に示すように飛び越し表示される。102は倍速変換後のインターレース信号であり、101に比して2倍の速度で走査される。103はフィールド内補間された信号で、102の白(空白)の部分を補間する。104は103の信号に定数αを乗じたもので、輝度、コントラスト共に低減している。105は102と104の信号を交互に挿入補間したものである。
【0015】
これらの図では偶数ラインのフィールドで説明したが、次のフィールドでは奇数ラインの信号が入力され、同様の動作によって偶数ラインを補間によって作り出す。
【0016】
この様に、偶数フィールドでは偶数ラインの元信号と奇数ラインの輝度の落ちた補間信号による順次走査信号が、また奇数フィールドでは奇数ラインの元信号と偶数ラインの輝度の落ちた補間信号による順次走査信号が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の機能ブロック図である。
【図2】各機能ブロックの入出力映像画面である。
【符号の説明】
【0018】
1 倍速変換回路
2 フィールド内補間回路
3 定数乗算器
4 スイッチ回路
101 インターレース入力信号
102 倍速変換インターレース信号
103 フィールド内補間インターレース信号
104 定数を乗じたフィールド内補間インターレース信号
105 順次走査出力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定画素デバイスにおけるインターレース映像表示装置であって、
インターレース入力映像信号を倍速変換する倍速変換回路と、
前記倍速変換回路から出力される倍速変換インターレース映像信号をフィールド内補間するフィールド内補間回路と、
前記フィールド内補間回路から出力されるフィールド内補間インターレース映像信号の各画素値に0<α<1なる固定係数αを乗じる定数乗算器と、
前記定数乗算器から出力される定数を乗じたフィールド内補間インターレース映像信号と前記倍速変換インターレース映像信号とを切り替えて順次走査映像信号を出力するスイッチ回路よりなる事を特徴とするインターレース映像表示装置。
【請求項2】
前記固定係数αが約0.5である事を特徴とする請求項1に記載のインターレース映像表示装置。
【請求項3】
固定画素デバイスにおけるインターレース映像表示方法であって、
インターレース入力映像信号を倍速変換する倍速変換ステップと、
前記倍速変換ステップから出力される倍速変換インターレース映像信号をフィールド内補間するフィールド内補間ステップと、
前記フィールド内補間ステップから出力されるフィールド内補間インターレース映像信号の各画素値に0<α<1なる固定係数αを乗じる定数乗算ステップと、
前記定数乗算ステップから出力される定数を乗じたフィールド内補間インターレース映像信号と前記倍速変換インターレース映像信号とを切り替えて順次走査映像信号を出力するスイッチングステップよりなる事を特徴とするインターレース映像表示方法。
【請求項4】
前記固定係数αが約0.5である事を特徴とする請求項3に記載のインターレース映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−224913(P2008−224913A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61174(P2007−61174)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000101330)アストロデザイン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】