説明

映像表示装置及び映像表示方法

【課題】特殊再生であるか否かにかかわらず、次の再生時点以降のシーンのサムネイルを次の再生時点において表示することが可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】再生状態取得部117は、映像コンテンツ再生部151で再生されている映像コンテンツの現在の再生時点及び再生速度を取得する。サムネイル管理部106は、現在の再生時点及び再生速度に基づいて、映像コンテンツの、現在の再生時点の次に再生されるべき次の再生時点以降のシーンについてのサムネイルを選択する。サムネイル取得部152は、サムネイル管理部106で選択されたサムネイルを、映像コンテンツの次の再生時点の映像に対応させて表示可能にすべく、ネットワークを介して映像コンテンツ供給装置115から当該サムネイルを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークなどを介して、映像コンテンツとサムネイルとを外部装置から取得し、これらに基づいて映像を表示する映像表示装置及び映像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像の記録及び再生を行う映像記録再生装置において、映像コンテンツがどのような映像から構成されているかを視覚的に把握することができるように、当該映像コンテンツの各シーンを代表する静止画(以下「サムネイル」)を表示する手段が知られている。
【0003】
こうしたサムネイル表示手段は、DLNA(Digital Living Network Alliance)などのホームネットワーク規格によって映像記録装置と再生装置とが接続された映像表示システム、または、VOD(Video On Demand)と呼ばれるインターネットを介した映像配信サービスを用いる映像表示システムにおいても望まれている。具体的には、ネットワークを介して映像コンテンツを外部装置から取得し、当該映像コンテンツに基づいて映像を表示する映像表示装置においても、サムネイルを表示することが望まれている。
【0004】
このような映像表示装置の中には、映像コンテンツだけでなく、再生している映像コンテンツに対応するサムネイルも、外部装置からネットワークを介して取得するものがある。
【0005】
しかしながら、ネットワークの帯域が狭い場合、サムネイルの取得に時間がかかり、当該サムネイルを表示するまでに時間がかかったり、表示が間に合わなかったりすることがある。また、近年、サムネイルの高画質化が行われ、サムネイルのデータサイズが大きくなってきており、サムネイルの取得時間がさらに長くなってきているという問題がある。
【0006】
そこで、サムネイルの表示を迅速にするための技術が様々に提案されている。例えば、特許文献1には、映像の再生中にシーンの区切りを検出し、その区切りにおける画像をサムネイルとして記憶装置に保持する技術が開示されている。この技術によれば、再生処理が終了したシーンのサムネイルを自身に保持していることから、ユーザーによりサムネイルの表示要求がなされた場合に、当該サムネイルについては迅速に表示することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−148731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献に1に記載の映像表示装置においては、初めて再生する映像コンテンツについて、現在の再生時点より後のシーンのサムネイルは未取得である。したがって、サムネイルの表示要求がなされてから、現在の再生時点より後のシーンのサムネイルの取得が行われることから、当該サムネイルについては迅速に表示できないという問題がある。
【0009】
また、一般的に、サムネイルの表示要求があった場合には、再生時点のシーンと他のシーンとの繋がりを分かり易くするため、現在の再生時点のシーン及びその前後のシーンについてのサムネイルを表示することが一般的である。つまり、現在の再生時点より後のシーンに対応するサムネイルについても、数枚分は表示できるようにすることが求められている。
【0010】
しかしながら、従来の映像表示装置においては、早送りなどの特殊再生を行っているときに、このような複数のサムネイルの表示をしようとしても、サムネイルの取得が間に合わないことがあり、現在の再生時点より後のサムネイルのみならず、現在の再生時点でのサムネイルを表示することができないことがあった。
【0011】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、特殊再生であるか否かにかかわらず、次の再生時点以降のシーンのサムネイルを次の再生時点において表示することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る映像表示装置は、映像コンテンツ、及び、当該映像コンテンツの各シーンに対応するサムネイルに基づいて表示装置に映像を表示する映像表示装置であって、ネットワークを介して外部装置から前記映像コンテンツを取得する映像コンテンツ取得部と、前記映像コンテンツ取得部で取得された前記映像コンテンツを再生する映像コンテンツ再生部とを備える。また、前記映像表示装置は、前記映像コンテンツ再生部で再生されている前記映像コンテンツの現在の再生時点及び再生速度を取得する再生状態取得部と、前記現在の再生時点及び前記再生速度に基づいて、前記映像コンテンツの、前記現在の再生時点の次に再生されるべき次の再生時点以降の前記シーンについての前記サムネイルを選択するサムネイル管理部とを備える。また、前記映像表示装置は、前記サムネイル管理部で選択された前記サムネイルを、前記映像コンテンツの前記次の再生時点の映像に対応させて表示可能にすべく、ネットワークを介して外部装置から当該サムネイルを取得するサムネイル取得部を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現在の再生時点及び再生速度に基づいて、現在の再生時点の次に再生されるべき次の再生時点以降のシーンについてのサムネイルを選択し、当該選択したサムネイルを、映像コンテンツの次の再生時点の映像と表示可能に取得する。したがって、特殊再生であっても、次の再生時点以降のシーンのサムネイルの取得を、次の再生時点までに間に合わせることができることから、次の再生時点以降のシーンのサムネイルを次の再生時点において表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1に係る映像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】サムネイルリストの一例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る映像表示装置の表示を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る映像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る映像表示装置の動作を示す図である。
【図6】実施の形態1に係る映像表示装置の動作を示す図である。
【図7】実施の形態1に係る映像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2に係る映像表示装置の動作を示す図である。
【図9】実施の形態2に係る映像表示装置の動作を示す図である。
【図10】実施の形態2に係る映像表示装置の動作を示す図である。
【図11】実施の形態2に係る映像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置101の構成例を示すブロック図である。この映像表示装置101は、ネットワークを介して接続された映像コンテンツ供給装置115(外部装置)から、映像コンテンツと、当該映像コンテンツの各シーンに対応するサムネイルとを取得し、当該映像コンテンツ及び当該サムネイルに基づいてモニター116(表示装置)に映像を表示する。しかも、本実施の形態の映像表示装置101によれば、早送りなどの特殊再生にかかわらず、サムネイルを適切に表示することが可能となっている。
【0016】
以下、このような映像表示装置101の構成要素について詳細に説明する。なお、上述したように、この映像表示装置101によれば、映像コンテンツ及びサムネイルが表示されるが、ここでは、まず、映像コンテンツに関する構成要素について説明し、その後、サムネイルに関する構成要素について後述する。
【0017】
映像表示装置101には、ユーザーがリモコン118を用いて映像表示装置101を遠隔操作できるようにするためのリモコンコード受信部114が設けられている。リモコンコード受信部114は、リモコン118から赤外線等により送信された、ユーザーからの要求内容及び指定内容を示すリモコンコードを受信し、当該リモコンコードをシステム制御部102に出力する。
【0018】
システム制御部102は、映像表示装置101の状態を把握し、その状態遷移を制御する。また、システム制御部102は、リモコンコード(制御信号)をリモコンコード受信部114から受け、ユーザーからの要求が映像コンテンツの再生であれば、再生アプリ103を起動する。再生アプリ103は、ユーザーにより指定された映像コンテンツを再生すべく、再生制御部104を制御する。
【0019】
再生制御部104は、再生アプリ103の制御に応じて、ユーザーから指定された映像コンテンツを再生すべく、入力ストリーム制御部105を制御する。入力ストリーム制御部105は、再生制御部104の制御に応じて、ネットワークマネージャ113に、ユーザーから指定された映像コンテンツを映像コンテンツ供給装置115から取得するように要求する。
【0020】
ここで、映像表示装置101の通信先である映像コンテンツ供給装置115は、ネットワークマネージャ115aと、映像コンテンツ・サムネイル記録部115bとを備えている。映像コンテンツ・サムネイル記録部115bには、複数の映像コンテンツ、複数のサムネイル、及び、後述するサムネイルリスト等が蓄積されている。ネットワークマネージャ115aは、ネットワークを介してネットワークマネージャ113と通信可能となっており、ネットワークマネージャ113(映像表示装置101)からの要求に応じて、映像コンテンツ・サムネイル記録部115bに蓄積されている上述の情報や、HTML等のドキュメントによる制御信号等をネットワークマネージャ113に配信可能となっている。つまり、ネットワークマネージャ113は、必要に応じて、映像コンテンツ供給装置115から様々な情報を取得することが可能となっている。
【0021】
さて、映像コンテンツ取得部であるネットワークマネージャ113は、ユーザーから指定された映像コンテンツについて取得要求を入力ストリーム制御部105から受けると、ネットワークを介して映像コンテンツ供給装置115から、当該指定された映像コンテンツを取得する。入力ストリーム制御部105は、ネットワークマネージャ113で取得された映像コンテンツを、AVストリーム記録部119に格納する。AVデコーダ108は、AVストリーム記録部119に格納された映像コンテンツをデコードする。AV表示部109は、AVデコーダ108によりデコードされた映像コンテンツの映像をモニター116にて表示する。
【0022】
以上のような再生制御部104、入力ストリーム制御部105、AVストリーム記録部119、AVデコーダ108及びAV表示部109は、本実施の形態において映像コンテンツ再生部151を構成している。このように構成された映像コンテンツ再生部151は、ネットワークマネージャ113で取得された映像コンテンツを再生するものとなっている。なお、以下の説明においては、映像コンテンツ再生部151で再生されている映像コンテンツを、「再生中の映像コンテンツ」と呼ぶこともある。
【0023】
AV表示部109は、上述したようにAVデコーダ108によりデコードされた映像コンテンツの映像をモニター116にて表示する。したがって、映像コンテンツ再生部151で再生された映像コンテンツの映像がモニター116にて表示される。
【0024】
なお、映像コンテンツ再生部151により映像コンテンツが再生されると、再生制御部104は、再生中の映像コンテンツの現在の再生時点及び再生速度を監視する。ここで、現在の再生時点とは、再生中の映像コンテンツにおいて現在再生している時点を指す。再生速度とは、再生中の映像コンテンツが、通常再生か、または、早送り、早戻しなどを何倍速で行っているかなどといった、再生中の映像コンテンツの映像を切り替えていく速さと方向とを指す。なお、再生速度は、例えば、ユーザーによるリモコン118の操作により変更可能である。
【0025】
以上で説明した構成要素を備える本実施の形態に係る映像表示装置101が、映像コンテンツを再生する処理について以下説明する。
【0026】
まず、ユーザーにより所望の映像コンテンツがリモコン118において指定されると、再生アプリ103は、システム制御部102の制御に応じて再生制御部104に所望の映像コンテンツの再生を指示する。再生制御部104は、再生アプリ103からの指示に応じて、入力ストリーム制御部105に所望の映像コンテンツの取得及び再生を指示する。ネットワークマネージャ113は、入力ストリーム制御部105からの指示に応じて、映像コンテンツ供給装置115から所望の映像コンテンツを取得する。入力ストリーム制御部105は、ネットワークマネージャ113で取得された所望の映像コンテンツをAVストリーム記録部119に格納し、AVデコーダ108は、AVストリーム記録部119に格納された所望の映像コンテンツをデコードする。AV表示部109は、デコードされた所望の映像コンテンツの映像をモニター116に表示する。
【0027】
次に、サムネイルに関する構成要素について説明する。なお、本実施の形態において、サムネイルに関する動作としては、映像コンテンツ供給装置115からのサムネイルの選択・取得と、サムネイルの表示とがある。前者のサムネイルの選択・取得はユーザーからのサムネイル表示要求によらずに行われ、後者のサムネイルの表示はユーザーからのサムネイル表示要求がなされてから行われる。ここでは、まず、サムネイルの選択・取得に関する構成要素について説明し、その後、サムネイルの表示に関する構成要素について説明する。
【0028】
サムネイル管理部106(映像表示装置101)は、映像コンテンツ供給装置115に蓄積されている映像コンテンツ、当該映像コンテンツの各シーンに対応するサムネイルのファイル名、及び、当該各シーンの開始時点を示すリスト(以下「サムネイルリスト」と呼ぶ)を、ネットワークマネージャ113等を介して映像コンテンツ供給装置115から取得する。
【0029】
図2は、サムネイルリストの一例を示す図である。この図に示されるサムネイルリスト301は、映像コンテンツタイトルリスト302と、サムネイルファイル名リスト303と、開始時点情報304とから構成されている。映像コンテンツタイトルリスト302は、映像コンテンツ・サムネイル記録部115b内に蓄積されている映像コンテンツの一覧を示している。映像コンテンツタイトルリスト302の1つの映像コンテンツに含まれる複数のシーンに対して、複数枚のサムネイルがそれぞれ対応付けられており、そのファイル名が、サムネイルファイル名リスト303において示されている。また、各サムネイルが対応するシーンの、映像コンテンツの時間軸上での開始時点が、開始時点情報304において示されている。
【0030】
例えば、TitleBというタイトルの映像コンテンツが、ユーザーによって指定された場合、サムネイル管理部106は、サムネイルリスト301からTitleBに対応するサムネイルファイル名リスト303と、開始時点情報304とを取得する。そして、サムネイル管理部106は、取得したサムネイルファイル名リスト303から、TitleBが、TitleB001.jpg、TitleB002.jpg、TitleB003.jpg、TitleB004.jpg、…というファイル名のサムネイルを持つ、という情報を取得する。また、サムネイル管理部106は、開始時点情報304から、それぞれのサムネイルに対応するシーンの開始する時点が、TitleB001.jpgは10秒、TitleB002.jpgは1分、TitleB003.jpgは1分20秒、TitleB004.jpgは1分27秒、…という情報を取得する。
【0031】
サムネイル管理部106は、以上のようなサムネイルリスト301から、映像コンテンツ供給装置115に蓄積されている映像コンテンツと、当該映像コンテンツの各シーンに対応するサムネイルのファイル名と、当該各シーンの開示時点とを取得することができる。本実施の形態では、サムネイル管理部106は、このようなサムネイルリスト301を参照することにより、後述するように、映像コンテンツ供給装置115から取得すべきサムネイルの選択、及び、サムネイル表示要求がなされたときに表示すべきサムネイルの決定を適切に行うことが可能となる。なお、本実施の形態では、このサムネイルリスト301を取得するタイミングが、映像コンテンツの取得前に行われるものとして説明するが、これに限ったものではなく、映像コンテンツ供給装置115から取得すべきサムネイルを選択する前であればよい。
【0032】
さて、映像コンテンツ再生部151により映像コンテンツが再生されると、再生状態取得部117は、再生制御部104から、再生中の映像コンテンツについて現在の再生時点及び再生速度を取得し、これらをサムネイル管理部106に渡す。なお、図1においては、再生状態取得部117は独立したブロックとして図示されているが、システム制御部102内、または、再生制御部104内に設けられてもよい。
【0033】
サムネイル管理部106は、サムネイルリスト301を参照しながら、再生状態取得部117により取得された上述の現在の再生時点及び再生速度に基づいて、映像コンテンツ供給装置115から取得すべきサムネイルを選択する。このサムネイル管理部106での選択については後で詳細に説明する。サムネイル管理部106は、選択したサムネイルを取得するようにサムネイル取得制御部107に指示する。
【0034】
サムネイル取得制御部107は、当該指示に応じて、当該サムネイルを取得するようにネットワークマネージャ113に要求する。ネットワークマネージャ113は、サムネイル取得制御部107からの要求に応じて、映像コンテンツ供給装置115からネットワークを介して、当該サムネイルを取得する。
【0035】
以上のようなサムネイル取得制御部107及びネットワークマネージャ113は、本実施の形態においてサムネイル取得部152を構成している。このように構成されたサムネイル取得部152は、サムネイル管理部106で選択されたサムネイルを、ネットワークを介して映像コンテンツ供給装置115から取得するものとなっている。
【0036】
サムネイル取得部152で取得されたサムネイルは、サムネイル管理部106を介して、グラフィックデコーダ110に渡される。グラフィックデコーダ110は当該サムネイルをデコードし、デコードしたサムネイルをサムネイル記録部120に格納する。ただし、デコードするタイミングはこれに限ったものではなく、デコード前のサムネイルをサムネイル記録部120に一時的に格納しておいて、ユーザーからのサムネイル表示要求がなされてから、グラフィックデコーダ110が、サムネイル記録部120に格納されているサムネイルをデコードするものであってもよい。しかし、サムネイル表示要求から少しでも迅速にサムネイルを表示することができるように、サムネイルのデコードのタイミングは、ユーザーからのサムネイル表示要求がなされる前、例えば、サムネイル取得部152が、サムネイル管理部106を介してサムネイルをグラフィックデコーダ110に渡した直後であるほうがよい。
【0037】
以上の構成要素を備える本実施の形態に係る映像表示装置101は、ユーザーからのサムネイル表示要求によらずに、映像コンテンツが再生された時点からサムネイルの選択・取得を行う。
【0038】
次に、サムネイルの表示に関する構成要素について説明する。
【0039】
上述したように、サムネイルの表示は、サムネイル表示要求がなされてから行われる。本実施の形態では、リモコン118に「サムネイル表示」という専用ボタンが設けられており、この「サムネイル表示」ボタンが押下げされることにより、サムネイル表示要求がなされる。
【0040】
システム制御部102は、リモコン118等を介して、サムネイル表示要求を受けた場合に、サムネイル管理部106を制御する。サムネイル管理部106は、システム制御部102の制御に応じて、再生制御部104から、再生中の映像コンテンツのタイトルと現在の再生時点とを取得する。そして、サムネイル管理部106は、サムネイルリスト301を参照しつつ、当該タイトルと当該現在の再生時点とに基づいて、サムネイル記録部120に格納されている複数のサムネイルから表示すべき複数のサムネイルを決定し、当該複数のサムネイルをサムネイル表示部111に渡す。サムネイル表示部111は、当該サムネイルを画像化する。グラフィックス重畳部112は、再生中の映像コンテンツの映像上に、サムネイル表示部111により画像化されたサムネイルを重ねる。そして、当該サムネイルが重ねられた映像がモニター116にて表示される。
【0041】
以上のような構成要素を備える映像表示装置101は、映像コンテンツの映像のみがモニター116に表示されている際に、ユーザーによりサムネイル表示要求がリモコン118においてなさると、サムネイル管理部106により決定されたサムネイルを、当該映像に重畳させて表示する。
【0042】
図3は、映像コンテンツの映像とサムネイルとが重畳されてモニター116に表示されている様子を示す図である。図3には、AV表示部109からの再生中の映像コンテンツであってAVストリームのデコード映像である再生映像200に、画像化されたサムネイルであるグラフィックス画像210が重畳された映像が示されている。つまり、グラフィックス画像210は、サムネイル記録部120に格納されたサムネイルのうち、サムネイル管理部106で決定されたサムネイルが画像化されたものである。
【0043】
サムネイルを選択・取得する動作については後で詳細に説明するものとし、ここでは、サムネイルを表示する操作について簡単に説明する。なお、前提として、すでにサムネイル管理部106により選択されたサムネイルがサムネイル記録部120に格納されているものとする。
【0044】
まず、ユーザーによりサムネイル表示要求がリモコン118においてなされると、当該サムネイル表示要求を受けたシステム制御部102等の制御に応じて、再生制御部104が、再生中の映像コンテンツのタイトルと現在の再生時点とをサムネイル管理部106に伝える。サムネイル管理部106は、サムネイルリスト301を参照しつつ、当該タイトル及び当該現在の再生時点に基づいて、サムネイル記録部120から、現在の再生時点のシーンのサムネイルと、それに前後するサムネイルとを含む複数のサムネイル(ここでは5枚のサムネイル)を決定し、当該複数のサムネイルをサムネイル表示部111に渡す。サムネイル表示部111が、サムネイル管理部106から渡された各サムネイルをグラフィックス画像210として展開し、グラフィックス重畳部112が、再生映像200上に各グラフィックス画像210を重ね、モニター116が、それによって得られた映像を表示する。
【0045】
図3においては、現在の再生時点のシーンとして、シーンSC17が表示されている状態を示している。ここでは、現在の再生時点のシーンSC17のサムネイル(グラフィックス画像210)が中央に、シーンSC17より前の2つのシーンSC15,SC16のサムネイルが左側に、シーンSC17より後の2つのシーンSC18,SC19のサムネイルが右側に配置されており、合計5つのサムネイルが表示されている。なお、現在の再生時点のシーンのサムネイルは、他のシーンのサムネイルと区別可能となっており、例えば、図3に示すように、現在の再生時点のシーンのサムネイルの四角形の外枠は、他のサムネイルの四角形の外枠よりも太くなっている。
【0046】
現在の再生時点がシーンSC18に移った場合には、シーンSC18を中心とし、それに前後する合計5枚のサムネイル、つまり、シーンSC16〜SC20のサムネイルが表示される。
【0047】
このような表示によれば、ユーザーは、現在のシーンと前後のシーンとをサムネイルによって視認できる。したがって、表示されているサムネイルをシーン検索用のサムネイルとして使用すれば、視聴したいシーンを容易に検索することができる。
【0048】
図4は、本実施の形態に係る映像表示装置101の動作を説明するためのフローチャートである。以下、映像表示装置101の動作について説明する。
【0049】
まず、ステップS1にて、システム制御部102は、表示すべき映像コンテンツがユーザーのリモコン118操作によって指定されたかを判断する。指定されていない場合には待機し、指定された場合にはステップS2に進む。
【0050】
ステップS2にて、サムネイル管理部106は、サムネイル取得制御部107に指示するなどして、指定された映像コンテンツに属するサムネイルリスト301(図2)をネットワークから取得する。取得されたサムネイルリスト301は、映像表示装置101内の記憶部(図示せず)に保持される。サムネイル管理部106は、取得したサムネイルリスト301を参照することにより、後のステップで行う、取得すべきサムネイルの選択や、表示すべきサムネイルの決定が可能となる。
【0051】
ステップS3にて、ネットワークマネージャ113は、映像コンテンツ供給装置115からネットワークを介して、指定された映像コンテンツを取得する。続いて、ステップS4にて、映像コンテンツ再生部151は、ステップS3で取得した映像コンテンツの再生を開始する。
【0052】
ステップS5にて、ステップS4で開始された映像コンテンツの再生が終了しているかを判断する。再生が終了していると判断した場合には、映像コンテンツの再生、及び、サムネイルの表示は終了となる。一方、再生中であると判断した場合には、ステップS6に進む。
【0053】
ステップS6にて、サムネイル管理部106は取得すべきサムネイルを選択し、サムネイル取得部152は、当該選択されたサムネイルを取得する。取得されたサムネイルは、サムネイル記録部120に保持される。
【0054】
ステップS7にて、ユーザーからのサムネイル表示要求がすでになされているかを判断する。サムネイル表示要求がなされていると判断した場合にはステップS8に進む。ステップS8にて、ステップS6でサムネイル記録部120に保持されているサムネイルのうち、サムネイル管理部106により表示すべきサムネイルを決定し、当該サムネイルを再生映像200に重畳してモニター116にて表示する。
【0055】
一方、ステップS7にて、サムネイル表示要求がなされていないと判断した場合には、サムネイルは再生映像200に重畳させずに、ステップS5に戻る。このようにステップS5〜S7を繰り返すことで、映像コンテンツの再生を行いつつ、ユーザーに気づかれないようにバックグラウンドでサムネイルを次々に取得することが可能となっている。
【0056】
さて、以上のような本実施の形態に係る映像表示装置101によれば、ステップS8において、図3に示すような現在の再生時点のサムネイルを中心とした複数のサムネイルを表示することが可能となっている。しかも、映像コンテンツにおいて早送りや早戻しなどの特殊再生が行われている場合においても、このようなサムネイル表示を実現することが可能となっている。具体的には、例えば、早送りの場合には、再生中の映像コンテンツの再生時点は高速に正方向に移っていき、早戻しの場合には、当該再生時点は高速に逆方向に移っていくが、これらの場合であっても、通常再生と同様に、現在の再生時点を中心としたサムネイルを表示することが可能となっている。
【0057】
ただし、このようなサムネイルの表示をステップS8で行うためには、それより前のステップS6にて、映像表示装置101が映像コンテンツ供給装置115から表示すべきサムネイルを選択・取得しておく必要がある。しかし、ネットワークの帯域が狭い場合など、取得可能なサムネイルの枚数が制限される場合に、サムネイルの選択・取得が適切でなければ、図3に示すような現在の再生時点以降のシーンのサムネイルを表示することができない。
【0058】
例えば、20倍速、60倍速などの高速での早送りを行っているときにサムネイルを表示しようとする場合に、映像コンテンツ供給装置115からサムネイルを前から順に取得していくようにすると、次の再生時点以降のサムネイルの取得が間に合わずに、再生時点が進んでしまうことがある。この場合には、図3に示したような再生時点に対応したサムネイルを表示することができない。また、仮に、全てのサムネイルを取得できたとしても、全てのサムネイルを順に変更していくと、サムネイルがめまぐるしく移り変わっていくため、ユーザーにとって視認しづらい。
【0059】
そこで、本実施の形態に係る映像表示装置101では、ステップS6(図4)に係るサムネイルの選択・取得が以下のように行われることにより、このような問題を解決することが可能となっている。
【0060】
図5は、ステップS6での動作を説明するための図である。この図では、映像コンテンツのシーンと、シーンと1対1で対応するサムネイルとを、映像コンテンツ上の時間(以下「映像時間」と呼ぶこともある)の順に並べることによって得られる時系列が示されている。本実施の形態では、サムネイル管理部106が、サムネイルリスト301に基づいて、図5に示すような時系列を形成する。
【0061】
サムネイル管理部106は、この時系列を参照しつつ、現在の再生時点及び再生速度に基づいて、映像コンテンツの、現在の再生時点の次に再生されるべき次の再生時点以降のシーンについて、取得すべきサムネイルを選択する。
【0062】
本実施の形態では、サムネイル管理部106は、現在の再生時点を基準とし、それ以降の映像時間を、再生速度に基づく時間帯ごとに区切る。そして、サムネイル管理部106は、1つの時間帯に属するサムネイルの中から、取得すべきサムネイルを1つ選択する。以下、時間帯を、「サムネイル選択時間帯T」と呼び、その長さをtとする。次に、本実施の形態において、サムネイル選択時間帯Tの長さtをどのように規定しているかについて説明する。
【0063】
まず、1枚のサムネイルを映像コンテンツ供給装置115から取得開始してから表示可能とするまでにかかる時間をx秒、一度に表示するサムネイルの枚数をn枚、映像コンテンツの再生速度をα倍(α=1は通常の再生速度)とすると、n枚のサムネイルを取得開始してから表示可能とするまでに、現実の時間においてn・x秒かかる。このときには、現在の再生時点は、映像時間上において取得開始時に再生時点であった時点から、n・x・α秒後の時点(次の再生時点)に移動している。
【0064】
ここで、図3に示したようなサムネイルの表示を行うことができない例について説明する。例えば、図5に示すように、現在の再生時点がシーンSC17にあるときに、上述の時間xを1秒、上述の枚数nを5枚、上述の再生速度αを60倍とすると、映像時間上において、現在の再生時点から300(=n・x・α)秒進んだ時点が、次の再生時点となる。この場合に、サムネイルを現在の再生時点から順に取得すると、n・x秒後(現実の時間)には、5つのサムネイルP18、P19、P20、P21、P22までしか取得されず、次の再生時点より後のサムネイルP23等は取得されない。したがって、この場合には、次の再生時点より後のサムネイルの取得が間に合わないことから、図3に示したような再生時点を中心としたサムネイルの表示を行うことができない。この傾向は、現在の再生時点から次の再生時点までの間に存在するサムネイルが多くなればなるほど顕著となる。
【0065】
そこで、次の再生時点を中心に概ねn・x・α秒だけ前後する範囲内にある複数のシーンのサムネイルから、合計n枚のサムネイルを事前に取得開始しておけば、当該次の再生時点において、それらサムネイルを表示することができる。つまり、現在の再生時点のシーンと、そこから2・n・x・α秒だけ離れた時点のシーンとの間にあるサムネイルを、合計n枚となるように適切に間引いて、次の再生時点までに取得しておけば、当該次の再生時点において、再生時点を中心としたサムネイルの表示を行うことができる。
【0066】
そこで、本実施の形態では、2・n・x・αをnで割った値(2・x・α)を、サムネイル選択時間帯Tの長さtとする。つまり、本実施の形態では、サムネイル管理部106は、映像コンテンツの再生速度αに基づいて、サムネイルを選択すべきサムネイル選択時間帯Tの長さtを変更するとともに、サムネイルのデコードにかかる時間xを加味してサムネイル選択時間帯Tの長さtを変更する。
【0067】
図6は、本実施の形態において、サムネイル管理部106がサムネイルの選択を示す図である。ここで、上述の例と同じように時間xを1秒、枚数nを5枚、再生速度αを60倍とすると、サムネイル選択時間帯Tの長さtは120秒となる。このサムネイル選択時間帯Tから1枚ずつサムネイルを取得することにより、図6に示すように、現在の再生時点から300(=n・x・α)秒後の時点である次の再生時点を中心とした5枚のサムネイルを取得することができる。
【0068】
本実施の形態では、シーンSC17を早送りで再生中の場合、サムネイル管理部106は、現在の再生時点からt秒までを1番目のサムネイル選択時間帯Tとして、それに属するサムネイルを1つ取得する。なお、サムネイル管理部106は、複数のサムネイルが1つのサムネイル選択時間帯Tに属する場合には、当該複数のサムネイルの中から最も早い時点のシーンのサムネイルを選択する。そうすると、サムネイル管理部106は、1番目のサムネイル選択時間帯TからシーンSC18のサムネイルP18を選択する。なお、ここでの説明では、サムネイル選択時間帯T内に完全に含まれるシーンを、サムネイル選択時間帯Tに属するシーンとしているが、これに限ったものではなく、サムネイル選択時間帯Tに一部が含まれるシーンを、サムネイル選択時間帯Tに属するシーンとしてもよい。
【0069】
次に、現在の再生時点を基準にt秒から2t秒までを2番目のサムネイル選択時間帯Tとして、それに属する最も早いシーンSC20のサムネイルP20を選択する。さらに、同様にして、現在の再生時点を基準に2t秒から3t秒までを3番目のサムネイル選択時間帯TとしてシーンSC21のサムネイルP21を選択し、現在の再生時点を基準に3t秒から4t秒までを4番目のサムネイル選択時間帯TとしてシーンSC23のサムネイルP23を選択し、現在の再生時点を基準に4t秒から5t秒までを5番目のサムネイル選択時間帯TとしてシーンSC25のサムネイルP25を選択する。
【0070】
このように、取得すべきサムネイルを選択(制限)することにより、例えばネットワークの帯域が狭くても、次の再生時点以降のシーンのサムネイルを、次の再生時点までに取得することが可能となる。
【0071】
図7は、以上で説明したステップS6の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS11にて、再生状態取得部117によって現在の再生時点及び再生速度が取得され、サムネイル管理部106に渡される。ステップS12にて、サムネイル管理部106は、再生速度が通常再生である場合にはステップS14に進み、再生速度が特殊再生である場合にはステップS13に進む。ステップS13にて、サムネイル管理部106は、再生速度等に基づいて2・x・αを求めて、それをサムネイル選択時間帯Tの長さtとして決定する。
【0072】
ステップS14にて、各サムネイル選択時間帯Tから、取得すべきサムネイルを1つ選択する。なお、ステップS12からステップS14に直接進んだ場合には、再生速度αの値を1とする長さt(=2・x)を有するサムネイル選択時間帯Tから、取得すべきサムネイルを1つ選択する。なお、本実施の形態では、上述したように、複数のサムネイルが1つのサムネイル選択時間帯Tに属する場合には、当該複数のサムネイルの中から最も早い時点のシーンのサムネイルが選択される。
【0073】
ステップS14により選択されたサムネイルを、後続のステップS8(図4)にて映像コンテンツの次の再生時点の映像に対応させて表示可能にすべく、ステップS15にて、サムネイル取得部152が当該サムネイルを映像コンテンツ供給装置115から取得する。そして、図7に示される処理(図4に示されるステップS6)の処理が終了する。
【0074】
以上のような本実施の形態に係る映像表示装置101及び映像表示方法によれば、現在の再生時点及び再生速度に基づいて、現在の再生時点の次に再生されるべき次の再生時点以降のシーンについてのサムネイルを選択し、当該選択したサムネイルを、映像コンテンツの次の再生時点の映像と表示可能に取得する。したがって、20倍速、60倍速などの特殊再生であっても、次の再生時点以降のシーンのサムネイルの取得を、次の再生時点までに間に合わせることができることから、再生時点以降のシーンのサムネイルを次の再生時点において表示することができる。つまり、図3に示すような、再生時点を中心としたサムネイルの表示を行うことができる。また、本実施の形態によれば、サムネイルを表示する場合に、時間間隔をあけて表示することも可能となる。したがって、モニター116に表示されているサムネイルの表示時間を長くすることができることから、特殊再生であっても、ユーザーが視認しやすい速度でサムネイルを表示することも可能である。
【0075】
また、本実施の形態では、再生速度に基づいて、サムネイル選択時間帯Tの長さtを変更する。したがって、サムネイル選択時間帯Tの長さtを適切な長さにすることができ、現在の再生時点の次の再生時点以降のシーンについてのサムネイルを適切に選択・取得することができる。
【0076】
また本実施の形態では、サムネイルのデコードにかかる時間xを加味してサムネイル選択時間帯Tの長さtを変更する。したがって、サムネイル選択時間帯Tの長さtを適切な長さにすることができ、現在の再生時点の次の再生時点以降のシーンについてのサムネイルを適切に選択・取得することができる。
【0077】
なお、サムネイルのデコードにかかる時間xは、ネットワークの転送速度や、映像表示装置101においてデコード処理するのにかかる時間(デコード時間)によって決まる。そこで、映像表示装置101が、ネットワークに接続した際に転送速度を測定するようにしておく。一方、デコード時間はサムネイルのサイズによって決まる。そこで、映像表示装置101が、映像コンテンツの持つサムネイルのサイズの最大値を映像コンテンツ供給装置115から取得し、当該最大値に基づいてデコード時間を求めるようにしておく。以上により、映像表示装置101は、サムネイルのデコードにかかる時間xを取得することができる。なお、ここでは、時間xは変数としたが、これに限ったものではなく、転送速度及びサムネイルのサイズの最大値に基づいて求められる値を定数として用いてもよい。
【0078】
また、本実施の形態では、複数のサムネイルが1つのサムネイル選択時間帯Tに属する場合には、当該複数のサムネイルの中から最も早い時点のシーンのサムネイルを選択する。したがって、サムネイルを選択する際の計算量が少なく済む。よって、組み込み機器に適した映像表示装置及び映像表示方法を実現することができる。
【0079】
なお、以上においては、特殊再生が早送りである場合の動作について説明したが、早戻し、スキップ再生などその他特殊再生を行っている場合も、再生速度や再生方向を適宜変更すれば、早送りの場合の動作と同様に行うことができる。例えば、特殊再生が早戻しである場合には、再生速度に基づいてサムネイル選択時間帯Tの長さtを決定し、現在の再生時点以前の映像時間を当該サムネイル選択時間帯T単位で区切って、1つのサムネイル選択時間帯Tに属するサムネイルの中から、取得すべきサムネイルを1つ選択するようにすればよい。
【0080】
また、サムネイルリストと、取得済みのサムネイルとの照合結果に基づいて、サムネイル管理部106により選択されたサムネイルのうち、まだ取得されていないサムネイルのみを、サムネイル取得部152に取得させるようにすることが好ましい。この場合には、ネットワークでの無駄な通信を抑制することができる。
【0081】
<実施の形態2>
実施の形態1に係る映像表示装置101においては、図6を用いて説明したように、複数のサムネイルが1つのサムネイル選択時間帯Tに属する場合には、当該複数のサムネイルの中から最も早い時点のシーンのサムネイルを選択した。その結果、図6に示すように、選択されるサムネイル同士の映像時間上での間隔A1、A2、A3、A4が不均一となることがある。この場合に、選択(取得)したサムネイルを早送りで表示すると、後のサムネイルとの間隔A1が広いサムネイルP18は長く表示されるのに対し、後のサムネイルとの間隔A2が狭いサムネイルP20はすぐ表示が切り替わる。つまり、映像コンテンツの映像が早送りなどの一定の速度で再生されているにもかかわらず、サムネイルが不規則な速度で移り変わっていくため、ユーザーは不自然な印象を受けることがある。また、映像コンテンツに含まれる映像を視覚的に把握するのに、サムネイル同士の時間間隔が不均一だと、多少分かりにくい。
【0082】
そこで、本発明の実施の形態2に係る映像表示装置101では、選択すべきサムネイルの映像時間上での間隔を、一定間隔、つまり等間隔に近づけることが可能となっている。なお、以下、本実施の形態に係る映像表示装置101についての説明において、実施の形態1で説明した構成要素と類似するものについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0083】
図8及び図9は、本実施の形態に係るサムネイル管理部106の動作を示す図である。図8では、前のサムネイル選択時間帯Tにおいて選択されたサムネイルからt秒後の時点が、選択対象とするサムネイル選択時間帯Tの中点よりも「前」となる場合について示されている。一方、図9では、前のサムネイル選択時間帯Tで選択されたサムネイルからt秒後の時点が、選択対象とするサムネイル選択時間帯Tの中点よりも「後」となる場合について示されている。
【0084】
まず、図8に示される状態に対する、本実施の形態に係るサムネイルの選択について説明する。サムネイル管理部106は、1番目のサムネイル選択時間帯Tの中点に最も近いサムネイルP1を、1番目のサムネイルとして選択する。
【0085】
それから、現在の再生時点を基準にt秒から2t秒までを2番目のサムネイル選択時間帯Tとする。そして、2番目のサムネイル選択時間帯Tの中点と、前に選択されたサムネイルP1からt秒後の時点との間の範囲を「ゾーンZ1」とし、そのゾーンZ1内に存在するサムネイルを、最初に選択すべき第1候補とする。ゾーンZ1にサムネイルが存在しない場合には、サムネイル選択時間帯Tの中点からゾーンZ1と反対側(ここでは後側)に、ゾーンZ1と同じ長さを有する範囲を「ゾーンZ2」とし、そのゾーンZ2内に存在するサムネイルを、第1候補の次に選択すべき第2候補とする。
【0086】
ゾーンZ2にサムネイルが存在しない場合には、2番目のサムネイル選択時間帯TのゾーンZ1側の境界上の時点(ここでは先頭時点t)と、ゾーンZ1との間の範囲を「ゾーンZ3」とし、そのゾーンZ3内に存在するサムネイルを、第2候補の次に選択すべき第3候補とする。ゾーンZ3にサムネイルが存在しない場合には、2番目のサムネイル選択時間帯TのゾーンZ2側の境界上の時点(ここでは後尾時点2t)と、ゾーンZ2との間の範囲を「ゾーンZ4」とし、そのゾーンZ4内に存在するサムネイルを、第3候補の次に選択すべき第4候補とする。
【0087】
図9に示される状態に対しても、図8に示した場合と同様にしてサムネイルを選択する。まず、図9において、サムネイル管理部106は、1番目のサムネイル選択時間帯Tの中点に最も近いサムネイルP1を、1番目のサムネイルとして選択する。
【0088】
それから、現在の再生時点を基準にt秒から2t秒までを2番目のサムネイル選択時間帯Tとする。そして、2番目のサムネイル選択時間帯Tの中点と、前に選択されたサムネイルP1からt秒後の時点との間の範囲を「ゾーンZ1」とし、そのゾーンZ1内に存在するサムネイルを、最初に選択すべき第1候補とする。ゾーンZ1にサムネイルが存在しない場合には、サムネイル選択時間帯Tの中点からゾーンZ1と反対側(ここでは前側)に、ゾーンZ1と同じ長さを有する範囲を「ゾーンZ2」とし、そのゾーンZ2内に存在するサムネイルを、第1候補の次に選択すべき第2候補とする。
【0089】
ゾーンZ2にサムネイルが存在しない場合には、2番目のサムネイル選択時間帯TのゾーンZ1側の境界上の時点(ここでは後尾時点2t)と、ゾーンZ1との間の範囲を「ゾーンZ3」とし、そのゾーンZ3内に存在するサムネイルを、第2候補の次に選択すべき第3候補とする。ゾーンZ3にサムネイルが存在しない場合には、2番目のサムネイル選択時間帯TのゾーンZ2側の境界上の時点(ここでは先頭時点t)と、ゾーンZ2との間の範囲を「ゾーンZ4」とし、そのゾーンZ4内に存在するサムネイルを、第3候補の次に選択すべき第4候補とする。
【0090】
サムネイル管理部106は、3番目、4番目、…のサムネイル選択時間帯Tについても、以上と同じ動作を行う。つまり、各サムネイル選択時間帯Tを4つのゾーンに区切り、サムネイル選択時間帯Tの中点と、前に選択されたサムネイルからt秒後の時点との相対関係に基づいて、サムネイルを選択すべき各ゾーンの位置関係を決定する。そして、サムネイル管理部106は、各ゾーンの候補順位に従って、1つのサムネイル選択時間帯Tから1つのサムネイルを選択する。
【0091】
なお、以上の動作において、1つのゾーンに複数のサムネイルが存在する場合には、選択対象とするサムネイル選択時間帯Tの中点に最も近いサムネイルを選択する。また、サムネイル選択時間帯Tにサムネイルが全く存在しない場合には、前のサムネイル選択時間帯Tで選択されたサムネイルからt秒後の時点に最も近いサムネイルを選択する。
【0092】
図10は、以上のようなサムネイルの選択を、図5に示した時系列に対して適用したときの図である。この図から明らかなように、本実施の形態において選択されるサムネイル同士の間隔B1、B2、B3、B4、B5は、実施の形態1で選択されるサムネイル同士の間隔A1、A2、A3、A4、A5よりも一定間隔、つまり等間隔に近づく。
【0093】
このように、本実施の形態では、サムネイル管理部106は、1番目のサムネイル選択時間帯Tの中から選択すべきサムネイルの時点と、2番目のサムネイル選択時間帯Tの中から選択すべきサムネイルの時点との間隔を、一定間隔に近づける。同様に、サムネイル管理部106は、2番目のサムネイル選択時間帯Tの中から選択すべきサムネイルの時点と、3番目のサムネイル選択時間帯Tの中から選択すべきサムネイルの時点との間隔を、当該一定間隔に近づける。他のサムネイル選択時間帯Tにおいても同様である。
【0094】
つまり、本実施の形態に係るサムネイル管理部106は、第1のサムネイル選択時間帯Tの中から選択すべき第1のサムネイルの時点と、第1のサムネイル選択時間帯Tと隣接する第2のサムネイル選択時間帯Tの中から選択すべき第2のサムネイルの時点との間隔を、一定間隔に近づける。
【0095】
さて、本実施の形態に係る映像表示装置101の動作は、実施の形態1に係る映像表示装置101の動作を示す図7のフローチャートにおいて、ステップS14だけ異なる。そこで、以下、本実施の形態に係る映像表示装置101のステップS14の動作について説明する。
【0096】
図11は、本実施の形態に係るステップS14の動作を示すフローチャートである。
【0097】
まず、ステップS21にて、サムネイル管理部106は、取得すべき1枚目のサムネイルを決定する。ここでは、1番目のサムネイル選択時間帯Tの中点に最も近いサムネイルを、1枚目のサムネイルとして選択する。それから、ステップS22にてm=2とする。
【0098】
ステップS23にて、サムネイル管理部106は、m番目のサムネイル選択時間帯Tのうち、上述のゾーンZ1にサムネイルが存在するかを判断する。存在すると判断した場合には、ステップS24にて、サムネイル管理部106は、当該サムネイルをm番目のサムネイルとして選択し、その後ステップS32に進む。存在しないと判断した場合には、ステップS25に進む。
【0099】
ステップS25にて、サムネイル管理部106は、m番目のサムネイル選択時間帯Tのうち、上述のゾーンZ2にサムネイルが存在するかを判断する。存在すると判断した場合には、ステップS26にて、サムネイル管理部106は、当該サムネイルをm番目のサムネイルとして選択し、その後ステップS32に進む。存在しないと判断した場合には、ステップS27に進む。
【0100】
ステップS27にて、サムネイル管理部106は、m番目のサムネイル選択時間帯Tのうち、上述のゾーンZ3にサムネイルが存在するかを判断する。存在すると判断した場合には、ステップS28にて、サムネイル管理部106は、当該サムネイルをm番目のサムネイルとして選択し、その後ステップS32に進む。存在しないと判断した場合には、ステップS29に進む。
【0101】
ステップS29にて、サムネイル管理部106は、m番目のサムネイル選択時間帯Tのうち、上述のゾーンZ4にサムネイルが存在するかを判断する。存在すると判断した場合には、ステップS30にて、サムネイル管理部106は、当該サムネイルをm番目のサムネイルとして選択し、その後ステップS32に進む。
【0102】
ゾーンZ4においてもサムネイルが存在しなかった場合には、ステップS31にて、サムネイル管理部106は、前に選択されたサムネイルからt秒後に最も近いサムネイルをm番目のサムネイルとして選択し、その後ステップS32に進む。
【0103】
ステップS32にて、mの値が、サムネイルを取得すべき合計枚数nと等しいかを判断する。等しいと判断した場合には、図11に示される処理(図7に示されるステップS14)の処理が終了する。なお、合計枚数nは、図10に示される例ではn=5であるが、それ以外の値、例えばn=3やn=7であってもよい。
【0104】
ステップS32にて等しくないと判断された場合には、ステップS33にてmの値に1を加えた後、ステップS23に戻る。
【0105】
以上のような本実施の形態に係る映像表示装置101及び映像表示方法によれば、選択された隣り合うサムネイル同士の間隔が一定間隔に近づく。したがって、表示されるサムネイルがほぼ一定速度で移り変わっていくので、ユーザーに自然な印象を与えることができる。また、映像コンテンツがどのような映像で構成されているかを視覚的に把握しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0106】
101 映像表示装置、106 サムネイル管理部、113 ネットワークマネージャ、115 映像コンテンツ供給装置、116 モニター、117 再生状態取得部、151 映像コンテンツ再生部、152 サムネイル取得部、T サムネイル選択時間帯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像コンテンツ、及び、当該映像コンテンツの各シーンに対応するサムネイルに基づいて表示装置に映像を表示する映像表示装置であって、
ネットワークを介して外部装置から前記映像コンテンツを取得する映像コンテンツ取得部と、
前記映像コンテンツ取得部で取得された前記映像コンテンツを再生する映像コンテンツ再生部と、
前記映像コンテンツ再生部で再生されている前記映像コンテンツの現在の再生時点及び再生速度を取得する再生状態取得部と、
前記現在の再生時点及び前記再生速度に基づいて、前記映像コンテンツの、前記現在の再生時点の次に再生されるべき次の再生時点以降の前記シーンについての前記サムネイルを選択するサムネイル管理部と、
前記サムネイル管理部で選択された前記サムネイルを、前記映像コンテンツの前記次の再生時点の映像に対応させて表示可能にすべく、ネットワークを介して外部装置から当該サムネイルを取得するサムネイル取得部と
を備える映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置であって、
前記サムネイル管理部は、
前記再生速度に基づいて、前記サムネイルを選択すべき、前記映像コンテンツ上での時間帯の長さを変更する、映像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示装置であって、
前記サムネイル管理部は、
複数の前記サムネイルが1つの前記時間帯に属する場合に、当該複数のサムネイルの中から早い時点のサムネイルを選択する、映像表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の映像表示装置であって、
前記サムネイル管理部は、
第1の前記時間帯の中から選択すべき第1の前記サムネイルの時点と、前記第1の時間帯と隣接する第2の前記時間帯の中から選択すべき第2の前記サムネイルの時点との間隔を、一定間隔に近づける、映像表示装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の映像表示装置であって、
前記サムネイル管理部は、
前記サムネイルのデコードにかかる時間を加味して前記時間帯の長さを変更する、映像表示装置。
【請求項6】
映像コンテンツ、及び、当該映像コンテンツの各シーンに対応するサムネイルに基づいて表示装置に映像を表示する映像表示方法であって、
(a)ネットワークを介して外部装置から前記映像コンテンツを取得する工程と、
(b)前記工程(a)で取得された前記映像コンテンツを再生する工程と、
(c)前記工程(b)で再生されている前記映像コンテンツの現在の再生時点及び再生速度を取得する工程と、
(d)前記工程(c)で取得された前記現在の再生時点及び前記再生速度に基づいて、前記映像コンテンツの、前記現在の再生時点の次に再生されるべき次の再生時点以降の前記シーンについての前記サムネイルを選択する工程と、
(e)ネットワークを介して外部装置から、前記工程(d)で選択された前記サムネイルを取得する工程と、
(f)ユーザーからの前記サムネイルの表示要求があった場合に、前記工程(e)で取得された前記サムネイルを、前記映像コンテンツの前記次の再生時点の映像に対応させて前記表示装置に表示する工程と
を備える映像表示方法。
【請求項7】
請求項6に記載の映像表示方法であって、
前記工程(d)において、
前記再生速度に基づいて、前記サムネイルを選択すべき、前記映像コンテンツ上での時間帯の長さを変更する、映像表示方法。
【請求項8】
請求項7に記載の映像表示方法であって、
前記工程(d)において、
複数の前記サムネイルが前記時間帯に属する場合に、当該複数のサムネイルの中から早い時点のサムネイルを選択する、映像表示方法。
【請求項9】
請求項7に記載の映像表示方法であって、
前記工程(d)において、
第1の前記時間帯の中から選択すべき第1の前記サムネイルの時点と、前記第1の時間帯と隣接する第2の前記時間帯の中から選択すべき第2の前記サムネイルの時点との間隔を、一定間隔に近づける、映像表示方法。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の映像表示方法であって、
前記工程(d)において、
前記サムネイルのデコードにかかる時間を加味して前記時間帯の長さを変更する、映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−16946(P2013−16946A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146977(P2011−146977)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】