説明

映像送信装置

【課題】
映像受信機の処理構成に合わせて使い勝手のよい形で映像データを送信する映像送信装置を提供する
【解決手段】
圧縮前の第一のデータサイズPのデータを圧縮した圧縮後の第一のデータサイズZが、
最悪圧縮率によって定められるデータサイズB以下であることが保障されるとき、
前記Zのデータサイズを持つデータUを格納するメモリ部と、前記メモリから前記Uを読出し出力を行うデータ送信部とを備え、
前記データ送信部は前記データサイズBを送信した後に前記データUを出力する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像を送信する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば、特開2010−171609号公報(特許文献1)がある。該公報は「[課題]ユーザの使い勝手を考慮しながら、高画質化と低消費電力化との間のトレードオフを解消すること[解決手段]データ圧縮部(Encode)13では、送信されたデータに対し、例えば、DCT処理、量子化処理、Wavelet変換など、所謂、画像符号化理論で用いられる符号化圧縮を用いることにより、データ圧縮を行う。この時、ホストプロセッサ20からは、上記の符号化圧縮を行う際、その圧縮効率が低下した場合の圧縮率(圧縮後データ量/圧縮前データ量)を、圧縮率の上限値(最悪値:Worst Ratio)として指定する。そして、この上限値を参照しながら、上記データ圧縮部13では、その圧縮率が上記上限値(最悪値)以下の圧縮率(≦Worst Ratio)になるように、圧縮が行なわれ」、「外部メモリ(SDRAM)16にデータを格納する際、画像データの領域では、上記データ圧縮(Encode)部13に指示された最悪圧縮率(Worst Ratio)×nバースト(nは整数)で区切られた領域毎に、圧縮前にnバースト分のデータであったデータ量を格納する。」
としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−171609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある機器に格納された画像もしくは映像を、他の機器に送信し、表示する構成がある。機器間の接続には例えばHDMI(HIGH DEFINITION MULTIMEDIA INTERFACE)(登録商標)を用いて、デジタルサンプリングされた画素値からなる映像データ、いわゆるベースバンド信号を送信する。近年の画像、映像の高解像化、高精細化に伴い、取り扱う信号は水平4096画素、垂直2048画素からなる、いわゆる4K2Kの映像信号を30フレーム/秒で送信する可能性がある。このときの映像のビットレートは1画素を8bitでサンプリングしている場合、4096×2048×8×30=2,013,265,920bpsに達する。これはHD(High definition)画質である水平1920画素、垂直1080画素、30フレーム/秒で発生するビットレート497,664,000bpsの約4倍となる。
【0005】
映像を受信する装置では4K2Kの映像信号を受信後、メモリに格納し表示パネルにあわせた解像度にスケーリングを行う。水平方向、垂直方向それぞれに例えばFIR(Finite Impulse Response)フィルタを行う場合、垂直FIRフィルタのタップ数だけラインメモリを持ち、処理を行うことが一般的である。例えば5タップの垂直FIRフィルタを行う場合、4096×4×8=131,072Bitのメモリを必要とする。
【0006】
映像を受信する装置の中にはいわゆる組み込み機器と呼ばれる、電池で長時間駆動するために低消費電力を求められるものや、コスト削減のためメモリの使用量が制限されたものがある。例えばデジタルフォトフレームではバッテリーで駆動するものなどがある。4K2Kの映像信号をベースバンド信号を受信し、メモリへ格納する場合上記のビットレートを処理する必要がありHDの処理と比べても電力消費が増大する。また、表示するパネルが例えば水平800画素、垂直600画素である場合、4K2Kの映像信号を受信し、スケーリングする場合でも上記のラインメモリを必要とする。さらに映像を回転して表示する場合や、切り出して表示する場合はベースバンド信号をメモリに格納した上で処理を行う必要があり、消費電力が増大する。
【0007】
また、伝送中にランダムに発生するノイズにより、データの欠落が起きた場合、次のラインで復帰できる可能性があるが、1ラインが長くなることにより影響を受ける画素数が多くなる課題がある。
【0008】
特許文献1の技術は、映像データを圧縮すること、切り出してアクセスする技術が開示されているが、圧縮されたデータを映像受信機の処理構成に合わせて送信する技術、伝送路のエラーに対し、耐性を高める技術は開示されていない。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑み、映像受信装置にとって使い勝手のよい形で圧縮映像データを送信する映像送信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば次のとおりである。
圧縮前の第一のデータサイズPのデータを圧縮した圧縮後の第一のデータサイズZが、
最悪圧縮率によって定められるデータサイズB以下であることが保障されるとき、
前記Zのデータサイズを持つデータUを格納するメモリ部と、前記メモリから前記Uを読出し出力を行うデータ送信部とを備え、
前記データ送信部は前記データサイズBを送信した後に前記データUを出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、映像受信機にとって使い勝手のよい形で圧縮映像データを送信する映像送信装置を構成できる。
【0012】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第一の実施例における映像送信装置、映像受信装置の構成を示す図である。
【図2】第一の実施例においてデータ圧縮部による映像データの圧縮を示す図である。
【図3】第一の実施例において外部メモリ内の映像データの配置を示す図である。
【図4】第二の実施例においてラインメモリ内の映像データの配置を示す図である。
【図5】第二の実施例における映像送信装置、映像受信装置の構成を示す図である。
【図6】第一の実施例において映像送信装置から出力される圧縮映像データを示す図である。
【図7】第一の実施例において外部メモリ内の映像データの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は映像送信装置の一例を示す概略図である。映像送信装置100は、デコーダ110、データ圧縮部120、メモリI/F部130、データ送受信部140、制御部150を適宜用いて構成され、外部メモリ160と接続した構成を持つ。
制御部150は映像送信装置100全体の制御を行い、制御信号を出力する。
デコーダ110は、MPEG−2などの圧縮が行われたストリームを映像送信装置100外部から受け取り、デコード処理を行い映像データを出力する。
データ圧縮部120はデコーダ110から映像データを受け取り、あらかじめ定めたデータ長毎に制御部150から受け取る最悪圧縮率の制御信号に従いデータ圧縮を行い、圧縮映像データを出力する。
メモリI/F部130はデータ圧縮部120の書き込み要求、およびデータ送受信部140の読み出し要求を調停し、外部メモリ160の読み書きを行う。
データ送受信部140は制御部150から最悪圧縮率の制御信号を受け取り、最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号出力し、その後にあらかじめ定めたデータ長との計算により求められるデータ長を送信単位とした圧縮映像データを映像送信装置100の出力とする。
【0016】
図2を用いてデータ圧縮部120のデータ圧縮を詳細に説明する。本実施例ではデータ圧縮のデータサイズQを64bit(8画素)とする。データ圧縮部120はデコーダ110より映像データを受け取り、順にデータブロック310、データブロック320、・・・データブロック330のように複数のデータブロックに分割する。次にデータ圧縮部120は最悪圧縮率の制御信号を用いてDCT+量子化、もしくはADPCM+ビットシフトなどの手法でデータ圧縮を行う。最悪圧縮率とは、データ圧縮を行う際、最も圧縮効率が低下した場合の圧縮率(圧縮後のデータサイズ/圧縮前のデータサイズ)である。
データ圧縮部120は出力ビット量からフィードバック制御を行い量子化精度を制御し、出力される圧縮映像データのビット量がデータ圧縮のデータサイズQ×最悪圧縮率以下となるようにする。本実施例では最悪圧縮率を75%としてデータ圧縮部120がデータ圧縮を行う場合、圧縮後のデータサイズは48bit(=64bit×75%)となる。図2においてはデータブロック310は32bitのサイズを持つデータブロック340に、データブロック320は40bitのサイズを持つデータブロック350に、データブロック330は42bitのサイズを持つデータブロック360にそれぞれ圧縮される。
【0017】
次に図3を用いてデータブロック340〜360の外部メモリ160への格納方法を示す。図3は外部メモリ160のメモリ領域を示す。外部メモリ160がSDRAMにより構成される場合、アドレスはrowとcolumnの組み合わせで表す。図中のrow=000、column=00で示す領域は1回の書き込み長であるバースト長(64bit)を示す。データ圧縮部120は圧縮後のデータブロックUをM=8個単位で束ね、領域のXに格納する。領域410は64bit×8×75%=384bitの領域を持ち、8つのデータブロック全てが最悪圧縮率である75%の圧縮率である場合のサイズC×M(48bit×8=384bit)でも格納できる大きさを持つ。本実施例では領域をC×Mと等しい384bitとしたが、外部メモリ160の構成により384bit以上の領域をとり、格納を行ってもよい。データ圧縮部120は最初の8データブロックを領域410に格納し、8データブロックの長さが領域410に満たない場合はスタッフィングデータ(例えば0xFF)で埋め、次の8データブロックを圧縮して領域420に格納する。映像データの1ラインのデータ圧縮が完了し、次のラインのデータブロックを圧縮したときはrowアドレスを1つ加算し、領域450に格納する。
【0018】
次に図1における映像受信装置200の動作を説明する。映像受信装置200は、データ送受信部210、データ伸張部220、ラインメモリ230、スケーラ部240、メモリI/F部250、表示部260、制御部270を適宜用いて構成され、外部メモリ280と接続した構成を持つ。
データ送受信部210は映像送信装置100が出力する最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号および圧縮映像データを受信し、最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号を制御部270に出力し、圧縮映像データを制御部270が出力する外部メモリ280のアドレス制御信号に基づいてデータ伸張部220に出力する。
制御部270は映像受信装置200全体の制御を行い、制御信号を出力する。
データ伸張部220は外部メモリ280に格納された圧縮映像データをメモリI/F部250を経由して読み出し、最悪圧縮率の制御信号に従い伸張処理を行い、映像データをラインメモリ230に出力する。
ラインメモリ230は映像データを格納するメモリである。
スケーラ部240はラインメモリ230から映像データを読み出し、制御部270から受け取るスケーリング倍率の制御信号に従いスケーリング処理を行い、スケール処理後の映像データを出力する。
メモリI/F部250はデータ送受信部210と、スケーラ部240の書き込み要求、および表示部260の読み出し要求を調停し、外部メモリ280を読み書きする。
表示部260は外部メモリ280に格納されたスケール後の映像データをメモリI/F部250を通じて読み出し、表示を行う。
また、映像送信装置の圧縮映像データ格納を示す図3は、外部メモリ280でも同様に格納を行うため、参照しながら説明を行う。制御部270は最悪圧縮率から、ヘッダに後続する圧縮映像データの最悪圧縮時のデータサイズCを計算する。データ送受信部210は映像送信装置100と通信を行い、あらかじめ定めた送信単位のデータブロック数Mを用いて、C×M以上のデータサイズを持つ領域410に圧縮映像データを格納する。データ送受信部210はM個の圧縮映像データを格納した後に受信する圧縮映像データはcolumnアドレスをC×M進めて領域420に格納する。1ライン分の圧縮映像データを格納した場合、データ送受信部210はrowアドレスを1つ加算し、領域450に格納する。
【0019】
上記の例では、制御部270はデータ送受信部210が外部メモリ280に書き込むアドレスを計算する際、最低圧縮率から求められる圧縮映像データのサイズCと送信単位のデータブロック数Mからrow、columnアドレスを計算した。本発明は上記にとどまらず、圧縮映像データをヘッダに含まれる座標情報を用いてrow、columnアドレスを計算し、メモリI/F部250を経由して外部メモリ280に出力してもよい。
【0020】
図3に示す例では送信単位を圧縮後のデータブロック8個単位で束ねるとしたが、図7に示すようにデータブロック1個単位としても本発明の効果を得ることができる。図2において圧縮前のデータサイズをPとし、圧縮後のデータサイズをZとする。圧縮データサイズZは最悪圧縮率によって定められるデーダサイズBを超えないものとする。図7において送信単位をB以上のデータサイズWとすると、データ圧縮部120はZを領域411のメモリ領域に格納する。
【0021】
本実施例により、圧縮せずに映像データを送信した場合に比べ、圧縮に伴いデータ量が削減されるため、バス駆動に伴う消費電力を少なくすることができる。
本実施例の映像送信装置、映像受信装置を用いたシステムは、単位時間に伝送路に流れる圧縮映像データの最大サイズを送信する前に決めることができるため、伝送路のシステム設計が容易になる。
【0022】
本実施例における映像送信装置100のデータ送受信部140は最悪圧縮率を事前に送信することで、映像受信装置200は圧縮映像データを外部メモリ280に格納する際のバッファ量を最悪圧縮率からあらかじめ計算することができる。本実施例により映像受信装置200のバッファ量を一定のサイズ、かつ送信する圧縮映像データに応じた適切な容量とする映像送信装置を提供できる。
【0023】
本実施例の映像受信装置200における制御部270は最悪圧縮率から計算する圧縮映像信号を格納するバッファ量を最悪圧縮率からあらかじめ計算することができる。本実施例により映像受信装置200のバッファ量を一定のサイズ、かつ送信する圧縮映像データに応じた適切な容量とする映像受信装置を提供できる。
【0024】
本実施例の映像受信装置200は映像送信装置100から送信された最悪圧縮率から計算されるデータ量に応じた一定サイズのバッファを用意することができる。本実施例により、映像送信装置100が送信する圧縮映像データに合わせた適切なバッファ確保が可能とする映像受信装置を提供できる。
【0025】
本実施例の映像受信装置200は最悪圧縮率時のデータサイズCと送信単位のデータブロック数Mから求められる固定サイズのメモリ領域単位で圧縮映像データを格納する。映像データの任意の位置を切り出して表示する場合、切り出し開始座標に近いメモリ領域を計算して圧縮映像データを読み出すことができる。本実施例により、映像受信装置200のメモリアクセス量が減り、メモリアクセスに伴う電力消費の少ない映像受信装置を提供することができる。
【0026】
本実施例における映像送信装置100のデータ圧縮部120は最悪圧縮率の制御信号に従いデータ圧縮を行うことで、最悪圧縮率に応じた圧縮映像データを出力する。データ圧縮部120により、あらかじめ外部メモリ160に格納された圧縮映像データを出力するだけでなく、圧縮されていない映像を映像送信装置100に入力した場合でも圧縮映像データを外部メモリ160に書き込む映像送信装置を提供できる。
【0027】
本実施例の映像送信装置100におけるデータ送受信部140は圧縮映像データを送信する前に最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号を出力するとしたが、あらかじめ定めた間隔ごとに最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号を出力してもよい。例えば映像の1画面分を示すフレームの送出単位毎に最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号を出力することにより、圧縮映像データの送信途中で最悪圧縮率を変えた場合に、映像受信装置200が外部メモリ280に確保するバッファ量を変更することができ、外部メモリ280のバッファ使用量を少なく抑えることができる。
また、映像送信装置100は圧縮映像データの送信途中で最悪圧縮率を変更することが可能になり、入力映像によって適した圧縮率を選択でき、通信路のビット量を減らすことにより低消費電力化が可能とする映像送信装置を提供できる。
【0028】
本実施例の映像送信装置100におけるデータ送受信部140は圧縮後のデータブロックY毎にヘッダに座標を示す情報を付加して送信を行うようにしてもよい。図6に例を示す。データ圧縮部120が最悪圧縮率を75%としてデータ圧縮を行った結果、データブロック310はデータブロック340に、データブロック320はデータブロック350に、データブロック330はデータブロック370にそれぞれ圧縮されるとする。データ送受信部140はデータブロック340にヘッダ610を、データブロック350にヘッダ620をそれぞれ付加して出力する。
ヘッダに座標を示す情報を付加することにより、送信単位を映像の座標と対応付けることができるため、データ送受信部210は圧縮後のデータブロック毎に座標位置を含めて映像の受信を正常復帰できるようになり、伝送中にエラーが発生した場合でもフレーム内でエラーから復帰できる映像送信装置を提供できる。
【0029】
本実施例の映像送信装置100におけるデータ送受信部140は圧縮映像データを送信単位で送信する際、送信する圧縮映像データのデータサイズYと最悪圧縮率から求められるデータサイズCの差分がヘッダのデータ長より小さい場合は、ヘッダを付加せず送信してもよい。図6を用いて説明を行う。データブロック370のデータ長は48bitであり最悪圧縮率の75%である48bitと等しい。ヘッダを付加して送信を行うとデータサイズは48bit以上になる。この場合、ヘッダ630はデータブロック370に付加せず送信する。
圧縮映像データの長さによりヘッダの有無を変えることで、ヘッダを付加する構成とした場合でも入力映像によらず送信する圧縮映像データは最悪圧縮率以下になることが保証される。このため、ヘッダを付加しない場合に比べ消費電力が増えることはない映像送信装置を提供できる。
【0030】
データ圧縮部120はデータブロックを外部メモリ160に格納する際、各送信単位に書き込んだ映像圧縮データのデータ量を外部メモリ160に格納し、データ送受信部140は各送信単位の圧縮映像データ量を基に圧縮映像データの読出しを行ってもよい。各送信単位の圧縮映像データ量を外部メモリ160に格納することにより、データ送受信部140は映像圧縮データの部分のみ外部メモリ160から読み出すことができる。データ送受信部140はスタッフィングデータを読み出さないことにより、メモリアクセス量が減るため、送信に関わる消費電力を抑えた映像送信装置を提供できる。
【0031】
データ圧縮部120は入力された映像データを例えばADPCMのようにデータ間の相関を用いてデータ圧縮を行う際、そのデータが属する送信単位以外のデータとの相関を用いないように圧縮を行ってもよい。データの相関を送信単位で閉じることにより、映像受信装置200は圧縮映像データの送信単位で映像をデコードできるので、エラーが複数の送信単位に影響せずエラーに伴う映像破綻の影響を小さくできる映像送信装置を提供できる。
【0032】
本実施例の映像受信装置200におけるデータ送受信部210は圧縮映像ストリームに含まれるヘッダを検出し、ヘッダに含まれる座標データにより外部メモリ280のアドレスを計算する。データ送受信部210が座標データを用いてアドレス計算を行うことにより、圧縮映像データの送信時にエラーが発生しても、次のヘッダを検出したところで正常にエラーから復帰できる映像受信装置を提供することができる。
【0033】
映像受信機200は圧縮映像データを受け取り、最低圧縮率で定義されるデータサイズCのM倍のサイズ以上となる領域Wごとにメモリに格納することにより、映像送信機で定めたデータサイズCではなく、受信機側でメモリ格納に適した格納単位のデータサイズWを選択でき、外部メモリ280の書き込みバースト長に応じたメモリ使用効率のよい書き込みを行うことができる。
【実施例2】
【0034】
本発明の第二の実施例では、映像受信装置200が受信した圧縮映像データの表示方法について述べる。構成を図5に示す。図5において、図1に示した映像送信装置100、映像受信装置200の構成要素と同一の動作を行うものについては同一番号を付し、説明を省略する。
【0035】
データ送受信部211は映像送信装置100が出力する最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号およびヘッダ、圧縮映像データを受信し、最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号を制御部270に出力し、圧縮映像データを制御部270が出力する外部メモリ280のアドレス制御信号に基づいてデータ伸張部220に出力する。
データ伸張部221は外部メモリ280に格納された圧縮映像データをメモリI/F部250を経由して読み出し、制御部270から受け取る座標、および最悪圧縮率の制御信号に従い伸張処理を行い、映像データをラインメモリ230に出力する。
表示部261はスケーラ部240が出力する映像データを受け取り、表示を行う。
【0036】
制御部150がデータ圧縮部120に設定する映像データのデータ圧縮のデータサイズQは、データ圧縮部120に入力される映像データの水平方向のサイズより小さくなるようにする。
【0037】
制御部270はデータ伸張部221が読み出しを行う際、ラインメモリ230の容量に合わせて外部メモリ280のアドレスを指定する。図4にラインメモリ230のメモリ領域を示し説明する。図4においてラインメモリ230は水平方向640画素、垂直方向4ラインから構成される。データ伸張部221は圧縮映像データを外部メモリ280からメモリI/F部250の読み出し単位で受け取り、伸張を行うとラインメモリ領域500に書き込みを行う。制御部270は続いて水平方向に圧縮映像データを読み出すようデータ伸張部221に外部メモリ280のアドレスを指定する制御信号を送信し、データ伸張部221は伸張を行った結果の映像データをラインメモリ領域510に書き込む。以後、同様にデータ伸張部221は水平方向に圧縮映像データを読み出す。データ伸張部221がラインメモリ領域520に書き込みを行ったところで、制御部270はラインメモリ領域500の1ライン下にあたる圧縮映像データを読み出すようデータ伸張部221に外部メモリ280のアドレスを指定する制御信号を送信し、データ伸張部221は伸張を行った結果の映像データをラインメモリ領域550に書き込む。
【0038】
本実施例ではヘッダに含まれる座標情報に基づき圧縮映像データを外部メモリ280に格納し、ラインメモリ230の容量に合わせて制御部270が圧縮映像データを短冊状に読み出しを行うことで、スケーラ部241は640画素、4ラインを処理単位としてスケーリング処理を行うことができる。外部メモリ280に格納された圧縮映像データが640画素、4ラインを超える解像度を持っている場合でも本実施例に記載の圧縮映像データの読み出し制御を行うことでスケーリング処理を行うことが可能になる。また、送信単位が映像の座標と対応付けることができるため、圧縮した映像データでありながら任意の位置で切り出し送信することが可能とする映像受信装置を提供できる。
【0039】
また、映像送信装置100においても、制御部150はデータ送受信部210、データ送受信部140を通じて制御部270が送信するラインメモリ容量の情報からラインメモリ230の容量を知り、データ送受信部140に読み出す領域を個々に指定してもよい。例えばラインメモリ230が1ラインあたり512bit(64画素)しかない場合、制御部150はデータ送受信部140に領域410を送信する制御信号を出力した後に、領域410の1ライン下の画素にあたる領域450を送信する制御信号を出力する。制御部150は映像データの最下部に当たる領域490を出力する制御信号を出力すると、次に領域420を出力する制御信号をデータ送受信部140に出力する。
【0040】
このようにデータ送受信部140が64画素を1ラインとする短冊状のデータ出力を行うことにより、映像受信装置200はスケーラ部240が1ラインあたり512bit(64画素)しかない場合でも、水平方向に64画素を超える大きさを持つ映像の垂直方向のスケーリング処理を行うことができる。本構成により、映像受信装置200が持つラインメモリの1ラインあたりの画素数が映像送信装置100が出力する映像データよりも小さい場合でも、スケーリング処理が可能になる。
【0041】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変形例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0042】
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
100 映像送信装置
110 デコーダ
120 データ圧縮部
130 メモリI/F部
140 データ送受信部
150 制御部
160 外部メモリ
200 映像受信装置
210 データ送受信部
220 データ伸張部
230 ラインメモリ
240 スケーラ部
250 メモリI/F部
260 表示部
270 制御部
280 外部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを送信する映像送信装置であって、
第一のデータサイズのデータを予め設定された最悪圧縮率によって定められるデータサイズ以下の第二のデータサイズに圧縮したデータをメモリ部から読み出して出力するデータ送信部を備え、
前記データ送信部は、前記最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号を送信した後に、前記第二のデータサイズのデータを出力することを特徴とする映像送信装置。
【請求項2】
請求項1記載の映像送信装置であって、
さらに、外部から入力される映像データを前記第一のデータサイズ毎に、前記予め設定された最悪圧縮率によって定められるデータサイズ以下の第二のデータサイズに圧縮するデータ圧縮部を備えることを特徴とする映像送信装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の映像送信装置であって、
前記データ送信部は、外部から入力される映像データの表示単位であるフレーム毎に前記最悪圧縮率によって定められるデータサイズの信号を出力することを特徴とする映像送信信号装置。
【請求項4】
請求項1記載の映像送信装置であって、
前記データ送信部は、前記第二のデータサイズに圧縮したデータを出力する毎に、前記第二のデータサイズに圧縮したデータの水平位置及び垂直位置を示す座標情報を出力することを特徴とする映像送信装置。
【請求項5】
請求項4記載の映像送信装置であって、
前記データ送信部は、前記第二のデータサイズと前記座標情報のビット量の和が前記最悪圧縮率によって定められるデータサイズより小さいときに前記座要情報を出力することを特徴とする映像送信装置。
【請求項6】
請求項4記載の映像送信装置であって、
外部から入力される映像データの座標位置を指定する制御信号を出力する制御部を備え、
前記データ送信部は、前記制御部の前記制御信号に従って、前記メモリ部から該当する座標の前記第二のデータサイズのデータを読み出して出力することを特徴とする映像送信装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載の映像送信装置であって、
前記予め設定された最悪圧縮率によって定められるデータサイズ以下の第二のデータサイズ毎に前記メモリ部に記録されたデータを、前記第二のデータサイズ毎に読み出して出力することを特徴とする映像送信装置。
【請求項8】
請求項2記載の映像送信装置であって、
前記データ圧縮部は、前記第一のデータサイズのデータ内のデータ間の相関を用いて圧縮を行うことを特徴とする映像送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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