説明

映像配信システム及びIP(InternetProtocol)ネットワーク機器及び映像配信プログラム

【課題】 マルチキャスト配信要求の受付が拒否された場合、破棄されたことを通知または代替映像コンテンツを配信することで、ユーザ端末に通知する。
【解決手段】 本発明は、IPネットワーク中継機器が、ユーザ端末から送信されたマルチキャスト配信要求の受付可否の判定を行い、受付を拒否すると判定された場合には、映像配信サーバから受付拒否通知用の通知を取得し、ユーザ端末に送信する。また、受付を拒否する場合に、映像配信サーバからマルチキャスト映像データを取得し、該マルチキャスト映像データの情報量を一定量削減し、情報量が削減されたマルチキャスト映像データを前記ユーザ端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像配信システム及びIP(Internet Protocol)ネットワーク機器及び映像配信プログラムに係り、特に、IPなどで接続された映像配信サーバと、帯域管理サーバと、ルータによりユーザ端末及び事業者間を接続し、地上波デジタル放送配信、ストリーミング配信などの映像配信サービスとして提供するネットワークにおいて、マルチキャスト配信データを配信する際、マルチキャスト受付制御の実施によりマルチキャスト配信データが配信されない場合に、その旨をユーザ端末に通知するための映像配信システム及びIPネットワーク機器及び映像配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IPTVサービスで用いられているマルチキャスト配信技術は、高帯域を要しパケット損失を生じないことを特徴とする。しかし、ネットワーク帯域幅、特にユーザリンクの帯域幅は、非常に限られている。IPネットワークで品質の保証された多様なマルチキャストサービス実現のために、利用状況と配信要求の到着頻度を考慮したマルチキャスト用帯域の確保が必要となる。したがって、IPTVサービスの効率的な実装を確実にし、サービス品質を保証するためには、マルチキャスト受付制御機能がネットワーク内に配備される必要がある。
【0003】
IPマルチキャストは、マルチキャストデータを送信するサーバが、番組を特定するマルチキャストグループアドレス(G)を指定したマルチキャストパケットを送信し、それらの番組の配信要求を発出した受信端末にのみ転送される技術である。受信端末にのみ転送するために、送信元サーバのマルチキャストソースアドレス(S)を起点とし、その番組の受信を希望する端末を収容しているルータまでのツリー構造のトポロジを構築する経路制御技術が必要となる。配信要求において、送信元サーバ、およびマルチキャストグループアドレスの両方を指定する際、(S,G)と表記する。
【0004】
マルチキャスト受付制御は、IPネットワークの利用状況に応じて、マルチキャスト配信要求の受付可否を判断し、帯域利用効率の向上を実現する技術である。図7に示すように、マルチキャスト受付制御では、(S,G)毎に事前設定された重みの和や帯域設定の和、ユーザ毎に事前設定された最大マルチキャスト配信要求受付数の和を考慮の上、配信要求の受付可否を判断する。
【0005】
また、IPネットワーク中継機器には、収容されているユーザ毎に、配信を許可されているマルチキャストサービスのソースアドレスと、マルチキャストグループアドレスと、利用可能帯域に関する情報が予め設定されており、この設定情報を基にマルチキャスト受付制御を実施する方法も対象とする。IPネットワーク中継機器は、受信したマルチキャスト配信要求に含まれるマルチキャストソースアドレス、マルチキャストグループアドレス、ユーザ端末のIPアドレス情報を参照し、当該配信要求に対して許可されている利用帯域を参照する。IPネットワーク中継機器は、サービスクラス、及びサービス毎に帯域を管理し、サービスクラスの優先度に応じた閾値を用いた帯域管理を実施している。まず、IPネットワーク中継機器では、当該配信要求が該当するサービスクラスを判断し、当該サービスクラスに割り当てられる帯域の中で、受付優先度を考慮した帯域割り当てを実施する。なお、受付優先度はIPネットワーク中継機器に予め設定されているものとする。(S,G)毎に事前設定された重みの和、(S,G)毎に事前設定された帯域設定の和、ユーザ毎に事前設定された最大マルチキャスト配信要求受付数の和を考慮の上、配信要求の受付可否を判断する。
【0006】
映像サーバは端末からのマルチキャスト参加要求を受信し、マルチキャスト受付制御によって、対地ごとのリンク残余帯域に応じて、参加要求の受付可否を判断しており、マルチキャスト参加要求を受け付けることができない場合、IPネットワーク中継機器にてマルチキャスト参加要求を廃棄するものである。なお、マルチキャスト参加要求の受付が拒否されたことは端末には通知されない。
【0007】
従来技術のシーケンスを以下に示す。
【0008】
図8は、従来のマルチキャスト受付制御のシーケンスを示す。同図に示す処理は、ユーザ端末10、IPネットワーク中継機器20、映像配信サーバ30、帯域管理サーバ40間で行われる。
【0009】
ユーザ端末10からIPネットワーク中継機器20にマルチキャスト配信要求を送信する(ステップ1)。当該マルチキャスト配信要求には、マルチキャストソースアドレス、マルチキャストグループアドレス、ユーザ端末のIPアドレスが含まれる。
【0010】
当該マルチキャスト配信要求を受信したIPネットワーク中継機器20は、帯域管理サーバ40に対して残余帯域情報取得要求を送信する(ステップ2)。当該残余帯域情報取得要求には、ソースアドレス、マルチキャストグループアドレス、ユーザ端末のIPアドレス、ユーザ端末が収容される物理回線番号、ユーザ端末が収容されるVLAN(Virtual Local Area Network)番号が含まれる。
【0011】
IPネットワーク中継機器20から残余帯域情報取得要求を受信した帯域管理サーバ40は、残余帯域情報をIPネットワーク中継機器20に返信する(ステップ3)。当該残余帯域情報にはソースアドレス、マルチキャストグループアドレス、平均使用帯域、残余帯域が含まれる。
【0012】
IPネットワーク中継機器20は、ユーザ端末のIPアドレス、ユーザ端末が収容される物理回線番号、ユーザが収容されるVLAN番号、許可するマルチキャストサービスのソースアドレス、許可するマルチキャストサービスのマルチキャストグループアドレス、利用可能帯域を保持しており、帯域管理サーバ40から取得した残余帯域情報を参照して、ユーザ端末10からの要求を受け付けるか否かを判定する(ステップ4)。このとき、受付を拒否する場合には、当該ユーザ端末10からの配信要求を廃棄する(ステップ5)。
【0013】
なお、帯域管理サーバ40がない場合も想定され、この場合は、IPネットワーク中継機器20においてユーザ毎にマルチキャスト関連情報を保持し、当該マルチキャスト関連アドレスを参照してマルチキャストサービスの受付制御を行う(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】NGNにおける帯域管理制御技術http://www.ntt.co.jp/journal/0908/files/jn200908050.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図8に示す処理シーケンスでは、IPネットワーク中継機器が拒否されたマルチキャスト配信要求を廃棄してしまうため、ユーザ端末には参加要求受付の拒否が通知されない。そのため、ユーザ端末は、要求したマルチキャスト視聴不可の原因が、参加要求受付が拒否されたことが原因とは通知されず、ユーザは原因を切り分けることができない。これにより、そのため、不要なチャンネル切替によるマルチキャスト視聴要求の送信が増加し、IPネットワーク中継機器への負荷が増加する(文献「IPマルチキャスト放送の転送技術と技術課題http://www.ntt.co.jp/journal/0610/files/jn200610008.pdf」参照)。
【0016】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、マルチキャスト配信要求の受付が拒否された場合、破棄されたことを通知または代替映像コンテンツを配信することで、ユーザが送信したマルチキャスト受付要求が受け付けられなかった旨を送信元端末に通知することが可能な映像配信システム及びIPネットワーク機器及び映像配信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明は、 一般のインターネットプロトコル(IP)やATM、STM、電話網で接続されるネットワークにおいて、映像データが保存されている映像配信サーバと、IPネットワーク中継機器と、ユーザ端末とで映像配信サーバから映像データをダウンロードして閲覧する映像配信システムであって、
前記ユーザ端末は、
前記IPネットワーク中継機器に対してマルチキャスト配信要求を送信する要求送信手段と、
前記IPネットワーク中継機器からの情報を取得する通知取得手段と、
を有し、
前記IPネットワーク中継機器は、
前記マルチキャスト配信要求に対する受付可否の判定を行う受付可否判定手段と、
前記受付可否判定手段において受付を拒否すると判定された場合には、前記映像配信サーバに対して、受付拒否通知用の配信要求を送信する配信要求手段と、
前記映像配信サーバから前記配信要求に対する受付拒否通知用の通知を取得すると、該受付拒否通知用の情報を前記ユーザ端末に送信する要求受付結果通知手段と、
を有し、
前記映像配信サーバは、
前記IPネットワーク中継機器から前記受付拒否通知用の配信要求を受信し、該配信要求に対応する前記受付拒否通知用の情報を該IPネットワーク中継機器に送信する通知配信手段を有する。
【発明の効果】
【0018】
上述のように、本発明によれば、マルチキャスト受付判定の結果、マルチキャスト参加要求受付が拒否された場合、参加要求は中継ノードにて廃棄されたことを要求ユーザに通知することができ、ユーザのQoEの向上、ユーザからの個別問合せ対応稼動の低減、およびネットワーク負荷増大の抑止が期待できる。
【0019】
このように、マルチキャスト配信要求の受付が拒否された場合、マルチキャスト視聴要求を送出する端末の処理に手を加えることなく、IPネットワーク中継機器の対応のみで受付拒否通知を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態におけるネットワーク構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態における各装置の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における拒否通知用マルチキャスト配信のシーケンスチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態における情報量を削減して配信するシーケンスチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態における受付待ち情報を配信する処理のシーケンスチャートである。
【図6】本発明の第4の実施の形態におけるユーザ端末の選択受信のシーケンスチャートである。
【図7】マルチキャスト受付制御を説明するための図である。
【図8】従来のマルチキャスト受付制御のシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態におけるネットワーク構成を示す。
【0023】
同図に示すネットワークは、ユーザ端末10、IPネットワーク中継機器20、映像配信サーバ30、帯域管理サーバ40から構成され、IPネットワーク中継機器20と映像配信サーバ30、帯域管理サーバ40は、IPネットワークを介して接続されている。
【0024】
なお、同図に示すシステムでは、帯域管理サーバ40も含む例を示しているが、以下の実施の形態では、帯域サーバ40を用いない場合も想定する。
【0025】
図2は、本発明の一実施の形態における各装置の構成を示す。
【0026】
ユーザ端末10は、マルチキャスト配信要求をIPネットワーク中継機器20に送信する要求送信部11、IPネットワーク中継機器20を介して映像配信サーバ30から送信されたマルチキャスト映像データを受信する映像データ受信部12、受信した映像情報を選択する受信情報選択部13から構成される。
【0027】
IPネットワーク中継機器20は、ユーザ毎のマルチキャスト関連情報を保持する関連情報記憶部21、ユーザ端末10からのマルチキャスト配信要求の受け付けの可否を判断する受付制御部22、マルチキャスト帯域の管理を行う帯域管理部23、ユーザ端末10、映像配信サーバ30、帯域管理サーバ40とのセッション確立を制御するセッション確立部24、映像配信サーバ30から受信したマルチキャスト映像データを中継する映像データ中継部25、マルチキャスト映像情報を削減する映像情報削減部26から構成される。
【0028】
上記の関連情報記憶部21には、マルチキャスト関連情報として、
・ユーザのVLAN番号
・IPアドレス
・物理回線番号
・許可するマルチキャストサービスのソースアドレス
・許可するマルチキャストサービスのマルチキャストグループアドレス
・利用可能帯域
が予め格納されているものとする。
【0029】
受付制御部22では、図7に示すように、関連情報記憶部21を参照して番組のマルチキャストソースアドレス(S)、マルチキャストグループアドレス(G),(S,G)毎に予め設定された帯域設定の和、ユーザ毎に予め設定された最大マルチキャスト配信要求受付数の和を考慮して、配信要求の受付可否を判定する。この他に、後述するように帯域管理部23に格納されている情報や、帯域管理サーバ40がある場合には、帯域管理サーバ40に問い合わせて得られる帯域情報に基づいて判定する方法もある。
【0030】
映像配信サーバ30は、マルチキャスト映像データを配信する映像データ配信部31及びIPネットワーク中継機器20から要求された通知を送信する通知配信部32を有する。
【0031】
帯域管理サーバ40は、マルチキャスト帯域の管理を行うマルチキャスト帯域管理部41、VoIP,VoD等の他のサービスの帯域を管理する他サービス帯域管理部41を有し、IPネットワーク中継機器20からの問い合わせに応じて帯域情報を提供する。
【0032】
以下の各実施の形態を説明する。
【0033】
[第1の実施の形態]
本実施の形態では、マルチキャスト受付拒否通知用のマルチキャストを配信する場合について説明する。本実施の形態の各装置構成は、図2の映像情報削減部26を具備しない構成である。また、帯域管理サーバ40を有する、または、有していない場合の双方について説明する。
【0034】
図3は、本発明の第1の実施の形態における拒否通知用マルチキャスト配信のシーケンスを示す。
【0035】
ユーザ端末10の要求送信部11からIPネットワーク中継機器20に対してマルチキャスト配信要求を送信する(ステップ101)と、IPネットワーク中継機器20は、当該配信要求のマルチキャスト受付制御を実施する(ステップ102)。ここでは、
(1)IPネットワーク構成として、管理サーバ40とIPネットワーク中継機器20が連携してマルチキャスト帯域管理を実施する方法:
(2)帯域管理サーバ40と連携することなく、IPネットワーク中継機器20の帯域管理部23に予め設定された当該ユーザに配信を許可されているマルチキャストサービスのソースアドレスと、マルチキャストグループアドレスと、利用可能帯域に関する情報を用いてマルチキャスト帯域管理を実施する方法:
の2種類を想定する。
【0036】
上記の(1)においては、受付制御部22は、帯域管理サーバ40に対して、ユーザリンクの残余帯域情報取得要求を送信する。帯域管理サーバ40は、IPネットワーク中継機器20に対して、残余帯域情報を送信し、受付制御部22は、ユーザ端末10から取得したマルチキャスト配信要求に必要な使用帯域を算出し、残余帯域情報と比較することにより、マルチキャスト受付制御によるマルチキャスト配信要求の受付可否判定を実施する(ステップ103)。受付判定の結果、マルチキャスト配信要求を廃棄することが決定した場合、IPネットワーク中継機器20は、当該マルチキャスト配信要求を廃棄する(ステップ104)。この際、ユーザ端末10にはマルチキャスト配信要求の受付がマルチキャスト受付制御によって拒否されたことは通知されない。
【0037】
上記の(2)においては、ユーザ端末10から送信されたマルチキャスト配信要求に含まれるマルチキャストソースアドレスと、マルチキャストグループアドレスと、ユーザ端末10のIPアドレスに関する情報に基づいて、受付制御部22において、帯域管理部23で管理されている情報を参照してマルチキャスト受付制御を実施する。
【0038】
上記のマルチキャスト受付制御を行うために、帯域管理部23では、以下のいずれかのぜ管理を行う。
【0039】
a)帯域管理部23では、映像配信サーバ30から配信されるデータを測定または監視し、当該IPネットワーク中継機器20で転送できる最大の転送帯域、または、pps(Packet per Second)、または、映像配信数を管理する。
【0040】
b)転送される映像データのセッション毎の帯域、または、ppsをカウンタでカウントし管理する。
【0041】
c)転送される映像データのセッション毎に重みを設定し、その重みの合計値を計算する。
【0042】
当該(2)の方法では、受付制御部22は、関連情報記憶部21に格納されているユーザ毎に配信を許可されているマルチキャストサービスのソースアドレスと、マルチキャストグループアドレスと、利用可能帯域に関する情報に基づいて、帯域管理部23を参照し、上記のa),b),c)のいずれかの数値が予め設定された値を超過する場合には、マルチキャスト配信要求を拒否する。
【0043】
以上により、IPネットワーク中継機器20の受付制御部22は、マルチキャスト受付制御を実施し、当該配信要求の受付可否を判断する(ステップ103)。
【0044】
マルチキャスト受付判定の結果、マルチキャスト配信要求を廃棄することが決定された場合、受付制御部22は、当該マルチキャスト配信要求を廃棄する(ステップ104)。この時点ではユーザ端末10にはマルチキャスト配信要求の受付が受付制御部22によって拒否されたことは通知されない。
【0045】
上記の2種類のいずれかの方法によるマルチキャスト受付制御による受付可否判断結果を受け、受付制御部22は、映像配信サーバ30に対して、受付拒否通知用のマルチキャスト配信要求を送信する(ステップ105)。このときのマルチキャスト配信要求に含まれる情報は、
・受付拒否通知用トラフィックのソースアドレス
・受付拒否通知用トラヒックのマルチキャストグループアドレス
・ユーザ端末のIPアドレス
である。
【0046】
これを受け、映像配信サーバ30は、IPネットワーク中継機器20に対して、映像データとは別トラフィックで受付拒否通知用のマルチキャストを配信する(ステップ106)。
【0047】
但し、IPネットワーク中継機器20が既に、映像配信サーバ30より受付拒否通知用のマルチキャストを受信している場合には、IPネットワーク中継機器20は、映像配信サーバ30に対して、新規配信要求を実施せず、既に受信している受付拒否通知用のマルチキャストのマルチキャストコピーを実施する。
【0048】
IPネットワーク中継機器20は、受付制御部22において、拒否判定されたユーザ端末10に対して受付拒否通知用のマルチキャスト映像データを配信する(ステップ107)。ここで、受付拒否通知用のマルチキャスト映像データとは、例えば、受付ができない旨が表示される等のデータを指す。
【0049】
これにより、マルチキャスト参加要求受付が拒否された場合、ユーザ端末10はIPネットワーク中継機器20で廃棄されたことが要求ユーザに通知される。
【0050】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、IPネットワーク中継機器20において、マルチキャスト受付拒否対象の配信要求に対して低情報量の映像データを配信する場合を説明する。本実施の形態における装置は図2に示す構成であり、IPネットワーク中継機器20の関連情報記憶部21に格納される情報も第1の実施の形態と同様であるとする。
【0051】
図4は、本発明の第2の実施の形態における情報量を削減して配信するシーケンスチャートである。
【0052】
ユーザ端末10からIPネットワーク中継機器20に対して、マルチキャスト配信要求を送信する(ステップ201)。IPネットワーク中継機器20では、第1の実施の形態と同様の方法でマルチキャスト受付制御を実施する。
【0053】
IPネットワーク中継機器20の受付制御部22での受付判定の結果、マルチキャスト配信要求を廃棄することが決定した場合(ステップ203)、IPネットワーク中継機器20は当該マルチキャスト配信要求を廃棄する(ステップ204)。この時点ではユーザ端10にはマルチキャスト配信要求の受付がマルチキャスト受付制御によって拒否されたことは通知されない。
【0054】
上記を受け、IPネットワーク中継機器20は、映像配信サーバ30に対して、ユーザ端末10から受信したマルチキャスト配信要求に相当するマルチキャスト配信要求を映像配信サーバ30に送信する(ステップ205)。
【0055】
なお、映像配信サーバ30からIPネットワーク中継機器20に対して、既に当該マルチキャストソースアドレス、およびマルチキャストグループアドレスの映像データが配信されている場合は、新規にマルチキャスト配信要求は送信しないものとし、IPネットワーク中継機器20においてマルチキャストパケットを複製することでユーザリンク向けに配信するものとする。
【0056】
映像配信サーバ30は、マルチキャスト配信要求に対応するマルチキャスト映像データをIPネットワーク中継機器20に送信する(ステップ206)。IPネットワーク中継機器20の映像情報削減部26は、受信したマルチキャスト映像データの情報量を削減し(ステップ207)、ユーザ端末10に対して、情報量を低減した映像データを配信する(ステップ208)。ここで、情報量を削減する方法としては、例えば、受信したマルチキャスト映像データから音声データのみを抽出して送信する方法や、低品質の映像データを伝送する低帯域のユーザリンクを使用して配信する等の方法がある。
【0057】
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、マルチキャスト受付判定順をユーザ端末10に配信し、拒否された順に配信要求を処理する場合について説明する。
【0058】
本実施の形態における装置構成は図2に示す通りであり、IPネットワーク中継機器20の関連情報記憶部21に格納される情報も第1の実施の形態と同様であるとする。また、本実施の形態では、受付制御部22内にメモリ等の記憶部を用意し、受付拒否リストを生成し、格納するものとする。受付拒否リストとして格納される情報は、マルチキャスト配信要求を拒否したユーザ端末の情報であり、ユーザ端末のIPアドレス、当該ユーザ端末が収容されているVLAN番号、及び物理回線番号等である。
【0059】
また、本実施の形態では、帯域管理部23において、第1の実施の形態で示した情報以外に、受付優先度も管理する。
【0060】
図5は、本発明の第3の実施の形態における受付待ち情報を配信する処理のフローチャートである。
【0061】
ユーザ端末10からIPネットワーク中継機器20に対してマルチキャスト配信要求を送信する(ステップ301)。IPネットワーク中継機器20では、第1の実施の形態と同様の方法でマルチキャスト受付制御を実施する(ステップ302)。
【0062】
IPネットワーク中継機器20の受付制御部22において、受付判定の結果、マルチキャスト配信要求を廃棄することが決定した場合(ステップ303)、IPネットワーク中継機器20は当該マルチキャスト配信要求を廃棄する(ステップ304)。この時点では、ユーザ端末10にはマルチキャスト配信要求の受付がマルチキャスト受付制御によって拒否されたことは通知されない。
【0063】
上記を受け、IPネットワーク中継機器20は、受付制御部22のメモリ(図示せず)内の配信要求されているサービスクラス毎の受付拒否リストを更新し(ステップ305)、マルチキャスト受付判定順に当該ユーザ端末10の送信元情報(ユーザ端末のIPアドレスや、マルチキャストソースアドレスや、マルチキャストグループアドレスなど)を新規登録する。IPネットワーク中継機器20はユーザ端末10に対して、受付拒否リスト情報を配信する(ステップ306)。ここで、受付拒否リストとして送信されるのは、サービスクラス、当該サービスクラス内の優先度、輻輳情報等であり、当該サービスクラス内の優先度及び輻輳情報は、帯域管理部23や帯域管理サーバ40から取得するものとする。
【0064】
IPネットワーク中継機器20は、下記のいずれかの方法で、マルチキャスト配信要求の受付が許可できるタイミングを監視する。
【0065】
(方法1)IPネットワーク中継機器20は帯域管理サーバ40に対して、定期的に残余帯域情報取得要求を送信し(ステップ307)、帯域管理サーバ40はIPネットワーク中継機器20に対して残余帯域情報を送信する(ステップ308)。これにより、当該マルチキャスト配信要求の受付を許可できるユーザリンク状況を定期監視することで、定期的にマルチキャスト受付制御を実施し、当該マルチキャスト配信要求の受付を許可できるタイミングを監視する。
【0066】
(方法2)IPネットワーク中継機器20は、当該マルチキャスト配信要求の対象となるサービスクラスにおいて、当該配信要求の受付優先度を関連情報記憶部21内に保持する。最上位の受付優先度の配信要求について、定期的にマルチキャスト受付判定を実施し(ステップ309)、当該マルチキャスト配信要求の受付を許可できるタイミングを監視する。
【0067】
上記のいずれかの方法による定期監視状況を受け、IPネットワーク中継機器20の受付制御部22におけるマルチキャスト受付制御による要求受付判定の結果、許可された場合は、優先度に基づいて、映像配信サーバ30に対してマルチキャスト配信要求を送信し(ステップ310)、映像配信サーバ30はIPネットワーク中継機器20に対してマルチキャスト映像データを配信する(ステップ311)。
【0068】
IPネットワーク中継機器20はユーザ端末10に対して、マルチキャスト映像データを配信する(ステップ312)。
【0069】
なお、上記の実施の形態では、優先度に基づいて映像配信サーバ30に配信要求を行う例を示しているが、優先度を用いずに、ユーザ端末のマルチキャスト配信要求を受け付けた順に映像配信サーバに配信要求を送信するようにしてもよい。
【0070】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、ユーザ端末10において上記の第1〜第3の実施の形態におけるいずれかによる選択受信を行う方法について説明する。
【0071】
本実施の形態では、ユーザ端末10は、受信情報選択部13を利用する。
【0072】
図6は、本発明の第4の実施の形態におけるユーザ端末の選択受信のシーケンスチャートである。
【0073】
ユーザ端末10からIPネットワーク中継機器20に対してマルチキャスト配信要求を送信する(ステップ401)IPネットワーク中継機器20では、第1の実施の形態と同様の方法でマルチキャスト受付制御を実施する(ステップ402)。
受付判定の結果、マルチキャスト配信要求を廃棄することが決定した場合(ステップ403)、IPネットワーク中継機器20は当該マルチキャスト配信要求を廃棄する(ステップ404)。この時点ではユーザ端末20にはマルチキャスト配信要求の受付がマルチキャスト受付制御によって拒否されたことは通知されない。
【0074】
上記を受け、IPネットワーク中継機器20はユーザ端末10に対して、受信情報の選択要求を送信する(ステップ405)。ユーザ端末10はIPネットワーク中継機器20に対して、受信情報の選択結果を送信する(ステップ406)。IPネットワーク中継機器20はユーザ端末10から受信した受信情報の選択結果を受けて、前述の第1〜第3の実施の形態のいずれかを実施する(ステップ407)。
【0075】
例えば、第1の実施の形態による方法が選択された場合には、IPネットワーク機器20は、図3に示すステップ105以降の処理を実施する。第2の実施の形態による方法が選択された場合には、図4に示すステップ205以降の処理を実施する。第3の実施の形態による方法が選択された場合には、図5に示すステップ305以降の処理を実施する。
【0076】
なお、上記の各実施の形態におけるユーザ端末10、IPネットワーク中継機器20、映像配信サーバ30、帯域サーバ40の動作をプログラムとして構築し、これらの装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0077】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 ユーザ端末
11 要求送信部
12 映像データ受信部
13 受信情報選択部
20 IPネットワーク中継機器
21 関連情報記憶部
22 受付制御部
23 帯域管理部
24 セッション確立部
25 映像データ中継部
26 映像情報削減部
30 映像配信サーバ
31 映像データ配信部
32 通知配信部
40 帯域管理サーバ
41 マルチキャスト帯域管理部
42 他サービス帯域管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般のインターネットプロトコル(IP)やATM、STM、電話網で接続されるネットワークにおいて、映像データが保存されている映像配信サーバと、IPネットワーク中継機器と、ユーザ端末とで映像配信サーバから映像データをダウンロードして閲覧する映像配信システムであって、
前記ユーザ端末は、
前記IPネットワーク中継機器に対してマルチキャスト配信要求を送信する要求送信手段と、
前記IPネットワーク中継機器からの情報を取得する通知取得手段と、
を有し、
前記IPネットワーク中継機器は、
前記マルチキャスト配信要求に対する受付可否の判定を行う受付可否判定手段と、
前記受付可否判定手段において受付を拒否すると判定された場合には、前記映像配信サーバに対して、受付拒否通知用の配信要求を送信する配信要求手段と、
前記映像配信サーバから前記配信要求に対する受付拒否通知用の通知を取得すると、該受付拒否通知用の情報を前記ユーザ端末に送信する要求受付結果通知手段と、
を有し、
前記映像配信サーバは、
前記IPネットワーク中継機器から前記受付拒否通知用の配信要求を受信し、該配信要求に対応する前記受付拒否通知用の情報を該IPネットワーク中継機器に送信する通知配信手段を有する
ことを特徴とする映像配信システム。
【請求項2】
前記IPネットワーク中継機器は、
ユーザ毎に、配信を許可されているマルチキャストサービスのソースアドレス、マルチキャストグループアドレス、利用可能帯域情報を格納した関連情報記憶手段を有し、
前記受付可否判定手段は、
前記マルチキャスト配信要求に含まれるマルチキャストソースアドレス、マルチキャストグループアドレス、ユーザ端末のIPアドレスに関する情報に基づいて、前記関連情報記憶手段を参照して、該マルチキャスト配信要求の受付可否を判定する手段を含む
請求項1記載の映像配信システム。
【請求項3】
ユーザリンクの残余帯域情報を管理する帯域管理サーバを更に有し、
前記IPネットワーク中継機器の前記受付可否判定手段は、
前記帯域管理サーバに対してユーザリンクの残余帯域情報取得要求を送信することにより取得した該要求に対する残余帯域情報に基づいて、前記マルチキャスト配信要求の受付可否を判定する手段を含む
請求項1記載の映像配信システム。
【請求項4】
前記IPネットワーク中継機器の前記配信要求手段は、
前記映像配信サーバに対して、マルチキャスト映像配信要求を送信する手段を含み、
前記要求受付結果通知手段は、
前記受付可否判定手段において受付を拒否すると判定された場合には、前記映像配信サーバから前記マルチキャスト映像配信要求に対するマルチキャスト映像データを取得し、該マルチキャスト映像データの情報量を一定量削減し、情報量が削減されたマルチキャスト映像データを前記ユーザ端末に送信する手段を含む
請求項1記載の映像配信システム。
【請求項5】
前記受付可否判定手段において受付を拒否すると判定された場合には、記憶手段に格納されている受付拒否リストを更新し、更新された受付拒否リストを前記ユーザ端末に送信する手段と、
ユーザ毎に、配信を許可されているマルチキャストサービスのソースアドレス、マルチキャストグループアドレス、利用可能帯域情報、及び配信要求の受付優先度を格納した関連情報記憶手段を任意のタイミングで参照し、前記マルチキャスト配信要求の受付を許可できる場合には、前記映像配信サーバに対してマルチキャスト映像配信を要求し、取得したマルチキャスト映像データを前記ユーザ端末に配信する手段と、
を含む請求項2記載の映像配信システム。
【請求項6】
前記受付可否判定手段において受付を拒否すると判定された場合には、記憶手段に格納されている受付拒否リストを更新し、更新された受付拒否リストを前記ユーザ端末に送信する手段と、
前記帯域管理サーバに対して任意のタイミングで残余帯域情報を問い合わせ、前記マルチキャスト配信要求に対する残余帯域量に基づいて許可できる場合に、前記映像配信サーバに対してマルチキャスト映像配信を要求し、取得したマルチキャスト映像データを前記ユーザ端末に配信する手段と、
を含む請求項3記載の映像配信システム。
【請求項7】
前記ユーザ端末は、
前記IPネットワーク中継機器から、前記受信拒否通知、前記情報量が削減されたマルチキャスト映像データ、前記受付拒否リストいずれかが選択要求として送信されると、その中からユーザにより指定された選択結果を該IPネットワーク中継機器に送信する手段を含む
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の映像配信システム。
【請求項8】
一般のインターネットプロトコル(IP)やATM、STM、電話網で接続されるネットワークにおいて、映像データが保存されている映像配信サーバと、IPネットワーク中継機器と、ユーザ端末とで映像配信サーバから映像データをダウンロードして閲覧する映像配信システムにおけるIPネットワーク中継機器であって、
前記ユーザ端末からマルチキャスト配信要求を取得し、該マルチキャスト配信要求に対する受付可否の判定を行う受付可否判定手段と、
前記受付可否判定手段において受付を拒否すると判定された場合には、前記映像配信サーバに対して、受付拒否通知用の配信要求を送信する配信要求手段と、
前記映像配信サーバから前記配信要求に対する受付拒否通知用の通知を取得すると、該受付拒否通知用の情報を前記ユーザ端末に送信する要求受付結果通知手段と、
を有することを特徴とするIPネットワーク中継機器。
【請求項9】
前記配信要求手段は、
前記映像配信サーバに対して、マルチキャスト映像配信要求を送信する手段を含み、
前記要求受付結果通知手段は、
前記受付可否判定手段において受付を拒否すると判定された場合には、前記映像配信サーバから前記マルチキャスト映像配信要求に対するマルチキャスト映像データを取得し、該マルチキャスト映像データの情報量を一定量削減し、情報量が削減されたマルチキャスト映像データを前記ユーザ端末に送信する手段、
または、
前記受付可否判定手段において受付を拒否すると判定された場合には、記憶手段内の受付拒否リストを更新し、更新された受付拒否リストを前記ユーザ端末に送信し、配信要求の受付優先度を格納した関連情報記憶手段を任意のタイミングで参照し、前記マルチキャスト配信要求の受付を許可できる場合には、前記映像配信サーバに対してマルチキャスト映像配信を要求し、取得したマルチキャスト映像データを前記ユーザ端末に配信する手段、
または、
前記受付可否判定手段において受付を拒否すると判定された場合には、記憶手段内の受付拒否リストを更新し、更新された受付拒否リストを前記ユーザ端末に送信し、外部の帯域管理サーバに対して任意のタイミングで残余帯域情報を問い合わせ、前記マルチキャスト配信要求に対する残余帯域量に基づいて許可できる場合に、前記映像配信サーバに対してマルチキャスト映像配信を要求し、取得したマルチキャスト映像データを前記ユーザ端末に配信する手段
のいずれかを含む請求項8記載のIPネットワーク中継機器。
【請求項10】
請求項8または9に記載のIPネットワーク中継機器を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための映像配信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−169940(P2012−169940A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30263(P2011−30263)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】