説明

映像音声処理システム

【課題】VTR12又は他の媒体から放送の番組素材となる映像音声A1を入力し、当該映像音声を入力スイッチャー11を介して映像音声装置13に記録して送出する映像音声処理システムで、VTRの資源を有効に利用する。
【解決手段】同録指示手段2が人から受け付けられた操作に基づいて又は予め設定されたスケジュール情報に基づいて前記他の媒体から入力される映像音声のVTRによる同録を指示し、入力スイッチャーは同録が指示された場合には前記他の媒体から入力される映像音声を映像音声装置へ出力するとともにVTRへ出力し、VTRは同録が指示された場合には入力スイッチャーから入力された映像音声を記録媒体21に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像音声処理システムに関し、特に、入力スイッチャーに入力される映像音声(映像や音声)をVTR(Video Tape Recorder)により同録する映像音声処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、放送分野において、ノンリニアバンクシステムは、ビデオサーバへの素材の収録と送出をその主な用途としている。しかしながら、VTRからの素材の収録は、通常、人が操作することにより行われる業務であるため、VTRが使用されない時間帯が多く存在し、その間の使用用途が無かった。
【0003】
【特許文献1】特開2007−060240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、従来のノンリニアバンクシステムでは、VTRの資源が有効に利用されない場合があった。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、入力スイッチャーに入力される映像音声をVTRにより同録することにより、VTRの資源を有効に利用することができる映像音声処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、VTR又は他の媒体から放送の番組素材となる映像音声を入力し、当該映像音声を入力スイッチャーを介して映像音声装置に記録して送出する映像音声処理システムにおいて、次のような構成とした。
すなわち、同録指示手段が、人から受け付けられた操作に基づいて、又は、予め設定されたスケジュール情報に基づいて、前記他の媒体から入力される映像音声のVTRによる同録を指示する。前記入力スイッチャーは、前記同録指示手段により同録が指示された場合には、前記他の媒体から入力される映像音声を前記映像音声装置へ出力するとともに前記VTRへ出力する機能を有する。前記VTRは、前記同録指示手段により同録が指示された場合には、前記入力スイッチャーから入力された映像音声を記録媒体に記録する機能を有する。
【0006】
従って、人からの指示又は設定されたスケジュールに基づく指示に応じて、VTR以外の媒体から入力される映像音声が入力スイッチャーを介してVTRに入力されて記録媒体に記録されるため、入力スイッチャーに入力される映像音声をVTRにより同録することにより、VTRの資源を有効に利用することができる。
【0007】
ここで、VTRとしては、種々なものが用いられてもよい。なお、VTRの代わりに、映像音声を記録媒体に記録する機能や記録媒体から再生する(読み出す)機能を有する任意の装置が用いられる構成とすることも可能である。
また、記録媒体としては、例えば、VTRテープが用いられる。なお、VTRの代わりに、VTR以外の記録や再生の装置が用いられる場合には、その装置に適した種々な記録媒体が用いられてもよい。
【0008】
また、他の媒体(前記したVTR以外の媒体)としては、回線などの種々なものが用いられてもよく、例えば、オンエア対象の映像音声を出力する装置(例えば、配信装置)からの当該映像音声を入力する回線を用いることができ、この場合、当該映像音声をオンエア(放送)すると同時に、当該映像音声をVTRにより記録媒体に記録(同録)することができる。
【0009】
また、放送の番組素材となる映像音声としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、映像と音声が組み合わされたものが用いられるが、映像のみ或いは音声のみから構成されるときがあってもよい。
また、人から同録を指示する操作を受け付ける場合には、例えば、人により操作されるスイッチやキーやマウスなどを備えており、人から同録を指示する操作が受け付けられたとき(或いは、人によりタイミングが指示された場合にはそのタイミングのとき)に、同録が指示される。
また、スケジュール情報としては、例えば、同録を指示するタイミングの情報(例えば、時刻の情報や、番組名の情報など)を有しており、そのタイミングで同録が指示される。
【0010】
なお、VTRによる同録の指示としては、例えば、当該VTRにより記録媒体に記録された映像音声の再生(読み出し)が行われていないときに同録を行うように指示が為される。これにより、VTRが使用されていないときに、同録に使用することにより、資源の有効活用が図られる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明に係る映像音声処理システムによると、入力スイッチャーに入力される映像音声をVTRにより同録することにより、VTRの資源を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施例に係るノンリニアバンクシステム(ノンリニア番組収録送出装置)の構成例を示してある。
本例のノンリニアバンクシステムは、例えば人により操作される収録操作端末1と、収録を制御する収録制御機器2と、送出を制御する送出制御機器3と、データを記憶するデータベース4と、監視機能を有する監視端末5と、これらの各処理部1〜5が互いに通信可能に接続されたLAN(Local Area Network)6と、スイッチングを行う入力スイッチャー11と、VTRテープなどに対する収録処理や読み出し処理を行うVTR12と、映像音声を記録するビデオサーバ13と、映像音声を出力する映像音声モニタ14と、VTRテープなどからなる記録媒体21を備えている。
【0013】
ここで、本例では、例えば従来と同様な収録機能として、収録操作端末1からの操作内容により、収録制御機器2は、入力スイッチャー11、VTR12、ビデオサーバ13を制御して、VTR12により得られる記録媒体21に記録された映像音声(搬入素材の映像音声)を、入力スイッチャー11を介して、ビデオサーバ13に記録する。又は、予めデータベース4により管理された回線からの自動収録スケジュールに従って、収録制御機器2は、入力スイッチャー11、ビデオサーバ13を制御して、入力スイッチャー11に入力された回線からの映像音声をビデオサーバ13に記録する。
【0014】
また、本例では、例えば従来と同様な送出機能として、送出制御機器3は、マスター設備(図示せず)からの送出指示に従って、ビデオサーバ13を制御して、ビデオサーバ13に記録されている映像音声を再生することで、その映像音声(送出映像音声)をマスター設備へ送出する。
【0015】
次に、本例において特徴的な動作である(動作例1)〜(動作例3)について説明する。
(動作例1)について説明する。
収録操作端末1により同録(同時収録)指示操作を受け付けたことにより、又は、収録操作端末1により作成されてデータベース4で管理される同録スケジュールにより、収録制御機器2は、入力スイッチャー11を制御して、入力スイッチャー11に入力される入力映像音声A1をVTR12へ出力させ、更に、収録制御機器2は、VTR12を制御(同録制御)して、その入力映像音声A1を記録媒体(例えば、VTRテープなど)21へ記録させる。
【0016】
このように、本例では、放送する番組素材(映像や音声)を事前にビデオサーバ13などの映像音声装置に記録して送出するシステムにおいて、記録素材の収録元装置として使用するVTR12を使用して、入力スイッチャー11からの映像音声を同録することが行われる。
ここで、入力映像音声A1としては、例えば、オンエア前の映像音声を用いることや、或いは、オンエア中の映像音声を用いることができ、所定の回線を介して入力スイッチャー11に入力される。
【0017】
(動作例2)について説明する。
図2には、収録操作端末1において画面に表示される同録指示操作画面(VTR収録操作の画面)の一例を示してある。
本例の同録指示操作画面には、入力スイッチャー切り替えボタン101として、複数のボタンが設けられている。任意のボタンを選択する(例えば、押下した状態とする)ことにより、そのボタンに対応したもの(例えば、回線や記録媒体など)からの映像音声入力を選択することができる。
また、本例の同録指示操作画面には、VTR操作パネル102が設けられている。VTR操作パネル102には、VTR12を操作するための複数のボタンとして、「PLAY」、「REC」、「REV」、「STOP」、「FF」といったボタンが設けられており、また、VTR12の状態を表示する表示部111が設けられている。
また、本例の同録指示操作画面には、この画面の表示を終了させるための「終了」ボタンが設けられている。
【0018】
同録指示操作画面では、画面上の入力スイッチャー切り替えボタン101が選択されることにより、収録制御機器2は、その選択に従って、入力スイッチャー11を制御して、VTR12に入力する映像音声を即時に切り替える。
また、画面上のVTR操作パネル102が操作されることにより、収録制御機器2は、その操作内容に従って、VTR12を即時に制御する。
また、収録制御機器2は、所定の設定周期毎にVTR12の状態(ステータス)を示す情報を取得して収録操作端末1へ返すことにより、画面上のVTR操作パネル102は、例えば表示部111に、VTR12の状態を表示する。
【0019】
ここで、VTR12に対してREC(記録処理)を行う際のタイムコード(TC)としては、例えば、収録操作端末1からの指示に応じて、VTR12に直接入力されるEXTERNAL TCを基準に書き込むことや、或いは、画面上から入力したTC設定値を基準に書き込むことが行われる。
また、例えば、収録操作端末1により入力スイッチャー11を制御して、VTR12に入力されている映像音声を映像音声モニタ14へ出力させることも可能であり、この場合、当該映像音声を映像音声モニタ14で確認することが可能である。
【0020】
このように、本例では、収録操作端末1により受け付けられる同録のための操作により、入力スイッチャー11及びVTR12を制御して即時に同録が行われる。
【0021】
(動作例3)について説明する。
収録操作端末1から、例えば、同録に使用するVTR名、開始年月日、終了年月日、収録ソースの情報を入力し、それを同録スケジュールとしてデータベース4で管理する。
収録制御機器2は、データベース4で管理される同録スケジュールを監視し、同録開始時刻の一定時間前に、入力スイッチャー11、VTR12などの必要なリソースを制御して、同録開始時刻にVTR12による同録を開始する。この時、例えば、VTR電源断、VTRテープ未挿入、又は、その他の障害が発生した場合には、収録制御機器2は監視端末5へアラーム情報を送信し、これにより、監視端末5は人(運用者)に対して所定の通知(例えば、音や表示など)を行う。
また、収録制御機器2は、同録の完了又は失敗の結果を示す情報をデータベース4上の同録スケジュールへ反映する。
【0022】
このように、同録のための同録スケジュールを収録操作端末1からの操作内容により作成や保存し、保存された同録スケジュールに従って収録制御機器2から入力スイッチャー11及びVTR12を制御して自動で同録を実行することが行われる。
【0023】
以上のように、本例のノンリニアバンクシステムでは、収録ソースとしてのVTR12を使用していない時間帯を利用して、入力スイッチャー11に入力されている映像音声(例えば、オンエア映像音声など)をVTR12により同時収録することができ、これにより、資源の有効利用が可能となる。
ここで、本例のノンリニアバンクシステムは、種々なものに適用されてもよく、例えば、放送する番組素材を事前にビデオサーバ13などの映像音声装置に記録して送出するシステムに適応して好適なものである。
【0024】
なお、本例のノンリニアバンクシステム(映像音声処理システムの一例)では、入力映像音声A1を入力スイッチャー11に入力するための回線がVTR12以外の媒体(他の媒体)に相当しており、ビデオサーバ13が映像音声を記録して送出する映像音声装置に相当しており、収録操作端末1が人から同録指示の操作を受け付ける機能を有しており、データベース4が同録スケジュールの情報(スケジュール情報)を記憶する機能を有しており、収録制御機器2が人からの指示や同録スケジュールに基づく指示により同録指示を発して入力スイッチャー11やVTR12を制御する機能により同録指示手段が構成されている。
【0025】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例に係るノンリニアバンクシステムの構成例を示す図である。
【図2】同録指示操作画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・収録操作端末、 2・・収録制御機器、 3・・送出制御機器、 4・・データベース、 5・・監視端末、 6・・LAN、 11・・入力スイッチャー、 12・・VTR、 13・・ビデオサーバ、 14・・映像音声モニタ、 21・・記録媒体、 101・・入力スイッチャー切り替えボタン、 102・・VTR操作パネル、 111・・表示部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
VTR又は他の媒体から放送の番組素材となる映像音声を入力し、当該映像音声を入力スイッチャーを介して映像音声装置に記録して送出する映像音声処理システムにおいて、
人から受け付けられた操作に基づいて又は予め設定されたスケジュール情報に基づいて、前記他の媒体から入力される映像音声のVTRによる同録を指示する同録指示手段を備え、
前記入力スイッチャーは、前記同録指示手段により同録が指示された場合には、前記他の媒体から入力される映像音声を前記映像音声装置へ出力するとともに前記VTRへ出力する機能を有し、
前記VTRは、前記同録指示手段により同録が指示された場合には、前記入力スイッチャーから入力された映像音声を記録媒体に記録する機能を有する、
ことを特徴とする映像音声処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−284377(P2009−284377A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136239(P2008−136239)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】