説明

時刻同期式血中グルコースシステム

【課題】インスリンペンと、適量投与器の注入時点の検出ならびにこれらの注入時点と血中グルコース測定器の血糖測定時点との統合が実現される、血中グルコースシステムを提供する。
【解決手段】相対時間値を生成するための内蔵式計時装置とメモリユニットとを備えた適量投与器3と、内蔵式時間基準とメモリユニットとを備えた血中グルコース測定器2と、前記適量投与器3および前記血中グルコース測定器2のデータセットを処理するためのデータ処理装置4とを含んでなるグルコース代謝障害治療用血中グルコースシステム1に関する。前記データ処理装置4は前記適量投与器3の前記データセットと前記血中グルコース測定器2の前記データセットとを時間基準の時間値によって相互に対応付けて結合することにより同期化することを目的として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコース代謝障害治療用の医用作用物質を身体に投与するための適量投与器と、身体の血中グルコース量を測定するための血中グルコース測定器と、前記適量投与器および前記血中グルコース測定器に記憶されたデータセットを処理するためのデータ処理装置とを有するグルコース代謝障害治療用血中グルコースシステムに関する。したがって、本発明は糖尿病等のグルコース代謝障害の診断または治療のための器具に向けられている。
【背景技術】
【0002】
グルコース代謝障害治療用の医用作用物質を身体に投与するための適量投与器は好ましくは注入器具または吸入器具であり、好ましくはインスリンを投与もしくは注入するための器具である。この種の器具はたとえば(たとえばNovonordisc and J&J)インスリンペン、(たとえばRoche)インスリンポンプまたはインスリン吸入器として知られている。インスリンペンは、針と複数のインスリン個別容器を供給するためのインリスリンカートリッジとを有した太めのペンであり、その都度新しい穿刺が行なわれる。穿刺時に投与されるべきインスリン単位数は調節輪によって調節される。米国特許第5925021号および独国特許第69534225号の各明細書から時間基準の内蔵されたインスリンペン型注入器具が知られている。
【0003】
インスリンポンプは連続的または間欠的なインスリン皮下注入を行うための医用器具である。これは、身体に装着されて、カテーテルと皮下の針とを経て身体に連続的または間欠的にインスリンを供給する小型の注入器具である。この場合、インスリン投与は一定の日内リズムまたは一定の事象たとえば食事の摂取に適合させることも可能である。
【0004】
本発明の範囲の血中グルコース測定器は、血中グルコース値を測定または記録するための分析測定器(いわゆる“電子日誌”)である。この種の器具は、血中グルコース計、血糖測定器または血中グルコース記録器とも称される。血中グルコース記録器は、たとえば糖尿病患者用に適切なインスリン投与方式を決定し得るように、所定の時間にわたって血中グルコース濃度を記録する器具である。
【0005】
血中グルコース測定器は、それを用いて血糖含有量を測定することができる器具である。通例は、そのために、身体に刺入創がつくられて、血滴が採取され、血糖測定器を用いて血滴中の血中グルコース含有量が測定される。ただし、たとえば体内に導入されたセンサを用いた永続的測定によるか、または皮膚を通して血中グルコースを測定することも思料可能である。
【0006】
本発明の範囲において、特に好ましくは、自立的に−つまり、接続された他の要素ないし器具とは独立に−機能・作動可能な適量投与器ならびに血中グルコース測定器が使用される。これはたとえば、測定器は−他の器具に接続されることなく−測定値を供給し、またはインスリンポンプを作動させるということを意味している。測定器はこの場合、専用の内部給電装置も備えており、配電網とは独立に作動可能である。
【0007】
本発明の範囲のデータ処理装置は、たとえば、PDA、データマネージャ、通信用アダプタ(欧州特許出願公開第1762955号明細書参照)または、適量投与器および血中グルコース測定器に記憶されたデータの読み出し、記憶または表示のために使用されるPCであってよい。
【0008】
本発明による適量投与器は、相対時間値を生成するための内蔵式計時装置と、投与量と当該時間値とからなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置に伝送するための装置とを含んでいる。身体の血中グルコース含有量を測定するための血中グルコース測定器は、内蔵式時間基準と、血中グルコース測定値ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置に伝送するための装置とを含んでいる。この場合、データセットを伝送するための装置は血中グルコース測定器に組み込まれているか、別個のモジュールとして血中グルコース測定器に接続されるかまたはデータ処理装置に組み込まれていてよい。
【0009】
適量投与器の投与データおよび血中グルコース測定器の分析結果は、適量投与器の計時装置の時間値および血中グルコース測定器の計時装置の時間値と共に、データ処理装置に伝送されて、同所で処理されるが、その際、時間値は時間基準との比較によって、補正された時間値に換算される。
【0010】
従来の技術において、多数の、ほとんどの場合に携帯式の血糖量測定器が知られており、これらの測定器にあっては、血液試料がテストエレメントに被着され、該テストエレメントが続いて血中グルコース測定器で評価される。この種の血中グルコース測定器は通例、分析結果ならびに当該分析が行われた時点がファイルされた記憶装置を備えている。従来の技術において、さらに、血中グルコース測定器の分析結果が評価ユニットに転送される方式のシステムが存在している。特に糖尿病患者のケアおよび訓練にあたって、この種の器具はますます重要性を増してきている。糖尿病患者は、個別測定を基礎として、インスリンの注入が行われなければならないか否かを決定するだけでよい。他方、糖尿病患者は、当日および複数日または複数週にわたる血糖測定値の検出により、同人の血糖量が栄養摂取、スポーツ活動およびその他の要因によってどのように影響されるかに関する情報を得ることができる。さらに糖尿病患者は、血糖量の推移チェックによって、同人の特別な生体機構がインスリン投与に対して個々にどのように応答するかに関する重要な情報を得ることができる。
【0011】
Roche Diagnostics GmbHから糖尿病データ管理システムを商業的に入手することができる。このシステムにおいて、手で把持できる血糖測定器で得られたデータはPCに伝送され、該PCは時間と相関させて血糖量の推移を表示すると共に、前述した影響要因の強度に関する手掛かりが患者に提供されるようにする評価も可能にする。血糖量の推移チェックを行うためのシステムは、ユーザが先ず多数の測定を実施し、次いで、それらの測定結果をその後の時点に評価ユニットに伝送するように設計されている。したがって、分析結果と共に、当該分析が実施された時点も血中グルコース測定器に記憶することが必要である。
【0012】
適量投与器も血中グルコース測定器もいずれも複数月または複数年の期間にわたって高い信頼度で作動しなければならないために、非常に刻時精度の高い時計を器具に取り付けるかまたは時計を調節し得る手段を設けることが必要である。一方で、周囲温度が変動する際にも高い刻時精度を保つ時計はまだ相対的に高価である。他方、時計の調節を行わなければならないことは、ユーザにとって煩瑣である。さらに、時計の調節には、器具に組み込まれなければならないと共に器具のコストを高めることとなる付加的な操作手段が必要である。またその他に、糖尿病患者が時計を調節するということも多くの場合に好ましくない。つまり、推移チェックは、糖尿病患者が医師によって指示された行動準則を遵守しているか否かをチェックするために頻繁に実施される。問題となる他の側面は、たとえば夏時間と冬時間との間ならびに時間帯の変更に際する時間切り替えである。その時々の実時間への時計の調節によって、爾後の、絶対時間に対する測定値の一義的な対応付けがもはや不可能となることもある。
【0013】
したがって、こうした場合のために、器具の時計または計時装置の調節手段をロックするのが有利なことがある。
【0014】
糖尿病治療のさらに精密かつ高信頼度の推移チェックおよび正確な診断を基礎とした治療の最適化を行うには、血中グルコース測定器の推移データを顧慮するだけでなく、適量投与器によって投与されたインスリン投与を正確に検出して測定値と比較し、これらをベースとした分析に基づいて治療法を最適化し得るようにすることが必要である。こうした理由から、相応したシステムで使用される適量投与器は推移データを記憶するための記憶装置も有している。
【0015】
これにより一方で、適量投与器および血中グルコース測定器のデータを評価するために、適量投与器ならびに血中グルコース測定器の推移データの時間検出を可能にすると共に、適量投与器および血中グルコース測定器によって検出されたデータを時間的に互いに対応付け、つまり時間的に同期化し、こうして時間検出の誤差とずれを補正して、データを同一の時間尺度で評価するようにする必要性が生ずる。この場合、そのために要されるコストはできるだけ低く抑えられなければならない。
【0016】
適量投与器と、血中グルコース測定器と、推移データを表示するためのコンピュータと、適量投与器および血中グルコース測定器をコンピュータに接続する通信用アダプタとからなるシステムは欧州特許出願公開第1762955号明細書から公知である。適量投与器ならびに血中グルコース測定器はいずれも時間基準、したがって時計を有し、器具のデータセットメモリはそれぞれ当該時刻を含んでいる。これは一方で高いコストを必要とし、加えてさらに、不可避的に生ずる双方の器具の時計のずれの発生に対する推移データの時間的同期化ならびに対応付けの問題は未解決である。推移データは器具から不変のままかつ時間的調整なしでコンピュータないし通信用アダプタに引き継がれる。
【0017】
欧州特許第1115435号明細書から、推移データを読み出すためにコンピュータに接続可能な注入ポンプが知られている。この場合、注入ポンプならびにコンピュータの絶対時刻が比較され、ずれがあればユーザは時刻を新たに調節するように促される([0039]参照)。この場合、注入ポンプの時計は、器具製造時点にスタートして、絶対時間に合わされるカウンタによって実現される([0110]参照)。したがって、インスリンポンプの実時刻は、スタート時間とそれから経過したカウントパルスの数とから生ずる。携帯式心電図レコーダの場合の内蔵式時間基準の当該実現については米国特許第4653022号明細書に開示されている。
【0018】
独国特許出願公開第19733445号および対応する米国特許第6216096号明細書から、相対時間値を生成するための内蔵式計時装置と、血中グルコース測定値ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置に伝送するための装置とを含んでなる、身体試料の血中グルコース含有量を測定するための、携帯式の、自立した移動体として作動可能な血中グルコース測定器が知られている。
【0019】
国際公開第2005/043306号パンフレットには、緊急監視用の装置における時間同期システムが記載されていて、システムを構成するすべての要素が内蔵された時間機関基準、すなわち時計を備えている。この文献には、生理学的な監視および除細動法(心室筋の細動を停止させ正常な拍動を回復するための方法)などの救命医学において用いられた異なる装置の同期について教示されていて、当該異なる装置は、別々に内蔵された時間基準を備えている。救命医学に用いられる当該異なる装置は、典型的には大きく、コストがかかるものであり、正確な時計または快適な動作ユニットの内臓は、著しくコストがかかるものである。救命医学に用いられるものに対して、グルコース代謝異常を処置する血糖システムにおいては、コストも大きさも重要な役割を果たすのである。さらに、加えて、本発明が向けられたグルコースシステムは、救命医学に用いられるもののような経験を積んだ高い技量をもつ人によって操作されるものではなく、糖尿病の患者自らの手動によって操作されるのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、適量投与器とくにインスリンペンと、投与時点たとえば適量投与器の注入時点の検出ならびにこれらの注入時点と血中グルコース測定器の血糖測定時点との統合が実現される、適量投与器と連携する血中グルコース測定器とからなるコンビネーションを含んだ血中グルコースシステムの時間管理コンセプトに向けられている。
【0021】
本発明の目的は、得られた血中グルコース測定結果を分析時点と当該投与時点とにできるだけ正確に対応させることができると共に、高価な精密時計も時計を調節するための操作手段も基本的に回避することのできる類の血中グルコースシステムを提案することであった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば前記課題は、下記の特徴つまり
−相対時間値を生成するための内蔵式計時装置と、投与量ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置に伝送するための装置とを含んでなる、グルコース代謝障害治療用の医用作用物質を身体に投与するための、携帯式の、自立した移動体として作動可能な適量投与器と、
−内蔵式時間基準と、血中グルコース測定値ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置に伝送するための装置とを含んでなる、身体の血中グルコース含有量を測定するための、携帯式の、自立した移動体として作動可能な血中グルコース測定器と、
−前記適量投与器および前記血中グルコース測定器の前記データセットを受信するための受信装置ならびに、前記適量投与器の前記データセットの時間値を前記適量投与器の前記計時装置の時間値と時間基準の時間値との比較をベースとして絶対時間値に変換するための演算ユニットを備えた、前記適量投与器および前記血中グルコース測定器のデータセットを処理するためのデータ処理装置とを含んでなり、
前記データ処理装置は前記適量投与器の前記データセットと前記血中グルコース測定器の前記データセットとを前記時間基準の時間値によって相互に対応付けて結合することにより同期化することを目的として形成されているように構成したグルコース代謝障害治療用血中グルコースシステムによって解決される。
【0023】
本発明によれば、刻時精度に関して僅かな要件が満たされるだけでよい計時装置を含んだ適量投与器が使用される。さらに前記適量投与器は、投与量ならびに時間値からなるデータセットが記憶されるように装備されている。前記血中グルコースシステムはデータ処理装置ならびに時間基準も含み、前記時間基準は前記データ処理装置または前記血中グルコース測定器に設けられていてよい。前記適量投与器の前記計時装置の相対時間値と前記時間基準の時間との比較によって、前記計時装置の前記時間値を絶対時間に換算することができ、こうして、前記記憶された投与推移データを絶対時間値に対応させることができる。このようにして、前記適量投与器に格安の計時装置を使用することができ、それにもかかわらず、前記適量投与器の前記記憶された推移データを相対的に正確な時間に対応させることが可能である。さらに、誤差は計時装置の調節によって回避されると共に、適量投与器に操作手段を設けることは不要である。
【0024】
相対的時間値は、基準となる瞬間に対して登録された時間データであり、当該基準となる瞬間は、相対的な瞬間または絶対的な瞬間であり得る。これに対し、時間的基準は相対的な時間を与える時計ではなく、絶対的な時間を与える時計である。内蔵された時間基準は、特定の装置の構成要素としてインストールされる時計である。
【0025】
本発明では、適量投与器が用いられており、その操作の正確性にのみだけに依存しなければならないという低い要求により、該適量投与器は時間カウンターを含んでいる。さらに、投与排出および時間値の複数のデータセットの格納用の装置が設けられている。当該血中グルコースシステムはデータ処理装置と、当該データ処理装置または血中グルコース装置に設けられる時間基準とを含んでいる。時間基準の時間と適量投与器の時間カウンターの時間値とを比較することによって、時間カウンターの時間値が絶対的時間に変換され、格納された投与データの来歴が割り当てられた絶対的時間値になり得る。このようにして、コストエフェクティブな時間カウンターが適量投与器に使用され正確な現時点に対する適量投与器の格納された来歴データの割り当てが可能になる。そのうえさらに、時間カウンターの割り当て不良に起因する誤差を回避することができ、適量投与器の動作要素が省略される。
【0026】
前記適量投与器の計時装置として、たとえば従来のクオーツ刻時機構または電子シフトレジスタを使用することができる。本発明にとって、前記計時装置が時刻を供給するかまたは単にシフトレジスタのカウント表示を供給するだけであるかは些細なことであるが、ただし、前記計時装置が過大な刻時誤差を有していてはならないということは重要である。前記計時装置の刻時速度はできるかぎり不変でかつ前もって知られており、こうして、異なったカウント表示の差が時間差または絶対時間に換算可能でなければならない。これは次の式、tA=tD−(nD−nA)/v、で行うことができる。ここで、tAは投与Aが実施された絶対時間である。前記の式によるその計算には、
−tD:前記データ伝送時間、つまり、前記計時装置の時間値と前記時間基準の時刻とを比較することができる時間と、
−nD:(通例、データ伝送時の)前記時間基準との比較時の前記計時装置のカウント表示と、
−nA:投与時点に記憶された前記計時装置のカウント表示と、
−v:たとえば分当たりの刻時単位(刻時パルス、カウントパルス、カウント工程)による計時装置の刻時速度と
が必要である。
【0027】
前記刻時速度(単位時間当たりカウント数)は好ましくは既知であり、前記データ処理装置はこの刻時速度を顧慮するようにプログラミングされているか、または前記刻時速度は前記適量投与器によって前記データ処理装置に伝送される。
【0028】
ただし、前記刻時速度は前記データ処理装置によって算定されることもできる。そのため、2またはそれ以上の時間的に離間したデータ伝送が使用される:v=(n2−n1)/(t2−t1)。
【0029】
2つのカウント表示から形成される差(n2−n1)は、前記時間基準の当該時間差によって除される。当該ということは、t1とn1ならびにt2とn2がそれぞれ同一実際時点に求められたことを意味している。時間t1とt2の離間幅が長ければ長いほど、それだけいっそう正確に前記刻時速度vを算定することができる。刻時速度算定は、先行する1または複数のデータ伝送の対をなすt、n値が記憶されて、刻時速度計算が新たなデータ伝送時に前記記憶された値ならびに対をなす実際のt、n値の顧慮下で行われれば、付加的なコストを要することなく行うことができる。本発明により、適量投与の絶対時間値の算定において前記計時装置のオフセット(つまり、狂い)からの独立性がつくり出される。前記計時装置は好ましくは使用電圧の印加または接触と共に進行を開始する。前記適量投与器のユーザが前記計時装置を調節するようにすることも可能である。ただし、ユーザは前記計時装置の時間値になんらの影響も及ぼすことができないのが好ましい。
【0030】
好ましい実施形態において、バッテリーへの接続時に進行を開始する計時装置を使用することができる。前記計時装置のカウントは、その値からディスプレイに表示される時刻を算定する変換ユニットに転送される。ユーザは操作ボタンを介して、前記変換ユニットの再プログラミングを行うかまたは、換言すれば、時計を調節することができる。ただし、ユーザの操作によっても前記計時装置の値は不変であるため、時計の調節によって適量投与絶対時点の計算に誤差が招来されることはない。ユーザがたとえば冬季に測定を実施し、その後、時計を夏時間に切り替えても、これは前記計時装置になんらの影響も及ぼさず、前記推移データと絶対時間との一義的な対応付けは引き続き可能である。
【0031】
有利には、前記適量投与器は前記計時装置の時間値を時刻に変換する変換ユニットを有し、前記変換ユニットはユーザおよび/または前記データ処理装置によって再プログラミングされて、時刻を補正することができるようになされていてよい。
【0032】
血中グルコースデータの推移チェックに際しては、投与量ないし血中グルコース値および当該時間値を含んだ多数のデータセットを記録するのが有利である。したがって、本発明による適量投与器と、同じく、前記血中グルコース測定器には1または複数のデータセットを記憶するためのメモリユニットが必要である。一般市販の器具は通例すでにこの種の記憶装置を備えている。さらに前記器具は、記憶されたデータセットを前記データ処理装置に伝送するための装置も有している。流通しているシステムの場合、データ伝送は差込みコネクタとケーブルを介して実現される。さらに、たとえばオプトカプラ(IR)または電波(ブルートゥース、RF)を介して無線伝送を実現することも可能である。
【0033】
前記器具が、機械的結合が行われる必要なしに、前記データ処理装置に前記データを伝送する送信器を含んでいれば、非常に容易かつユーザにとって便利なデータ伝送が可能である。これによって、測定器とデータ処理装置との電気的分離も達成される。これは、たとえば、テレビ用のリモコンから知られているように、器具中の赤外線ダイオードと前記データ処理装置中の当該赤外線検出器とによって実現することができる。この種の実施形態において、データ伝送は変調された光を介して行われる。データ伝送が器具からデータ処理装置へと1方向にのみ行なわれるのではなく、前記データ処理装置自体が前記器具にデータを送信するためのユニットも含み、こうして、ユニット間の双方向通信が可能であれば有利である。これは好適には、前記データ処理装置が先ず前記器具に応答し、こうしてデータを要求するために使用することができる。データ伝送が行われた後、前記データ処理装置はデータ受信の確認信号を送信することができ、こうして、データ交換が完全に行われることが保証される。
【0034】
推移データを処理するためのデータ処理装置は、たとえば、相応したソフトウェアを実行するパーソナルコンピュータによって実現することができる。ただし、前記データ処理装置は、ノートブック、メモ帳、パームトップ機などに相当するハンディーなユニットであってもよい。前記データ処理装置は、演算ユニット(CPU)、メモリユニットならびに好ましくは評価結果を表示するためのディスプレイを含んでいる。
【0035】
前記データ処理装置による前記推移データの処理は、投与量または分析結果をたとえば別の単位に換算する演算を含むことができる。前記推移データの処理の重要な狙いの1つは、そのグラフ表示、トレンドの算定ならびに、影響要因と分析結果の変化との相関性解明の点にあってもよい。分析結果の処理は、たとえば、糖尿病患者に同人の行動の仕方および、血糖値をできるだけ一様かつ標準範囲内に保つようにするにはいかなる量のインスリンが注入されなければならないかに関する情報を与えるようにして行うことができる。前記データ処理装置は前記適量投与器および前記血中グルコース測定器のそれぞれのデータセットを受信するための装置を有している。すでに前記適量投与器と共に説明したように、この種の装置は電線を介して実現するか、または電波受信器または受光器を介して実現することも可能である。
【0036】
前記データ処理装置は、前記適量投与器および前記血中グルコース測定器からのデータの対応付けに際し、前記適量投与器の時間値を絶対時間値に換算するための標準として使用される時間基準を顧慮する。前記時間基準は前記血中グルコース測定器においてかまたは前記データ処理装置においてかまたはこれら双方のコンビネーションによって実現可能である。したがって、第1の有利な発展態様において、前記適量投与器および前記血中グルコース測定器の前記データセットを結合するための時間値として、前記血中グルコース測定器の前記時間基準の時間値を使用することができる。同じく有利な第2の発展態様において、前記データ処理装置は内蔵式時間基準を含み、前記適量投与器および前記血中グルコース測定器の前記データセットを結合するための時間値として、前記血中グルコース測定器の前記時間基準の時間値または前記データ処理装置の前記時間基準の時間値が使用されるかまたは前記双方の時間基準の時間値のコンビネーションが使用される。
【0037】
本発明の趣旨の絶対時間値は絶対的に正しいものである必要はない。この概念はむしろ、カウント数または完全に間違った時刻であってよい前記計時装置の時間値とは異なり、オフセットおよび場合により刻時誤差の分だけ補正された時刻(および日付)に換算されたものとして理解されなければならない。時間基準として適しているのは、たとえば、刻時精度の高いクオーツ時計および電波時計である。コンピュータに標準的に装備されているクオーツ時計は特に高度な刻時精度を有しているわけではないが、ユーザによって容易に調節可能である。ただし、前記時間基準は電波によるか、または(たとえばインターネットによる)データリンクを介してタイムサーバから得ることも可能である。
【0038】
前記時間基準の調節はいくつかの理由から、前記適量投与器に含まれている時間検出装置の調節ほど不利ではない。一方で、前記時間基準の調節は容易かつ便利な方法でキーボードを介して行うことができる。必要な場合には、前記データ処理装置は通例治療担当医またはアドバイザの管理下で調節されることができるため、誤操作は防止されている。さらに、実際にあっても、分析器のユーザがすべて専用のデータ処理装置を有しているわけではなく、分析器のユーザは前記データ処理装置を有する同人治療担当医またはアドバイザのところに赴いている。したがって、データ処理装置は数多くの異なった血中グルコースシステムのデータを処理するために使用することが可能であり、したがって、これら多数の血中グルコースシステムのために、管理が必要な単一の時間基準が必要とされるにすぎない。
【0039】
本発明はさらに、
−相対時間値を生成するための内蔵式計時装置と、投与量ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置に伝送するための装置とを含んでなる、グルコース代謝障害治療用の医用作用物質を身体に投与するための、携帯式の、自立した移動体として作動可能な適量投与器と、
−内蔵式時間基準と、血中グルコース測定値ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置に伝送するための装置とを含んでなる、身体の血中グルコース含有量を測定するための、携帯式の、自立した移動体として作動可能な血中グルコース測定器と、
−前記適量投与器および前記血中グルコース測定器の前記データセットを受信するための受信装置ならびに前記適量投与器の前記データセットの時間値を前記適量投与器の前記計時装置の時間値と時間基準の時間値との比較をベースとして絶対時間値に変換するための演算ユニットを備えた、前記適量投与器および前記血中グルコース測定器のデータセットを処理するためのデータ処理装置とを含んでなり、
前記データ処理装置は前記適量投与器の前記データセットと前記血中グルコース測定器の前記データセットとを前記時間基準の時間値によって相互に対応付けて結合することにより同期化することを目的として形成されているように構成したグルコース代謝障害治療用血中グルコースシステムによって分析結果を処理するための方法であって、
下記工程つまり
−前記適量投与器によって実施されたグルコース代謝障害治療用の医用作用物質の投与に関する、投与量ならびに前記内蔵式計時装置によってそれぞれの投与時点に得られる時間値を内容とした1または複数のデータセットを前記適量投与器に記憶させる工程と、
−前記血中グルコース測定器によって実施された血中グルコース測定に関する、分析結果ならびに前記内蔵式時間基準によってそれぞれの測定時点に得られる時間値を内容とした1または複数のデータセットを前記血中グルコース測定器に記憶させる工程と、
−前記血中グルコース測定器および前記適量投与器の1または複数のデータセットを前記データ処理装置に伝送すると共に、前記適量投与器の前記計時装置の実時間値を前記データ処理装置に引渡す工程と、
−前記データ処理装置により前記適量投与器の前記データセットの時間値から、前記適量投与器の前記計時装置の実時間値と時間基準の正確な時間値との比較によって、前記適量投与器によって前記作用物質が投与された絶対時間値が演算されて、前記適量投与器の前記データセットと前記血中グルコース測定器の前記データセットとが前記時間基準の時間値によって相互に対応付けて結合されることにより同期化される工程と、
−演算された時点をベースとして前記投与量と分析結果とが処理される工程と
を含んでなる方法に関する。
【0040】
適量投与の処理および分析結果の工程は、広義には、データ処理装置への格納、伝送または適量投与器と血中グルコース測定装置の同期されたデータセットと解することができる。本発明による方法の動作方法は、以下の例に基づき説明する。
【0041】
前記計時装置は前記計時装置と使用電圧との接触時に不変かつ前もって知られた刻時速度で進行を開始する。ユーザにより前記適量投与器によって時点T1に第1回の投与が行われて、投与量と当該計時装置カウント値とを含んだ当該データセットが記憶される。しばらく後にユーザは同人担当医のところに赴き、同所で時点T2に前記データ処理装置への前記データセットの伝送が行われる。投与値および時間値と共に前記計時装置の実時間値も前記適量投与器から前記データ処理装置に一緒に伝送される。加えてさらに、前記データ処理装置により、前記血中グルコース測定器のデータセットも読み出される。
【0042】
前記データ処理装置は前記適量投与器の前記計時装置の実時間値と前記時間基準の当該相対時間値との間の差を形成する。前記適量投与器の前記推移データの爾後の評価に際して、前記データセットの前記相対時間値は前記時間差の減算によって絶対時間値に換算される。前記の差を計算するために用いられる計時装置と時間基準との時間値は同一の実際時点を表していなければならないことは明白である。したがって、前記の差を形成するため、好ましくは前記計時装置の実時間値が伝送されて、前記伝送時点に存在する前記時間基準の時間値が用いられる。一定時点における前記時間基準の時間値と同一時点における前記計時装置の時間値とから時間差が算定されて、前記データセットの前記時間値は前記時間差の加算によって絶対時間値に換算される。
【0043】
本発明のもう一つの有利な態様は、データ伝送によって、前記血中グルコース測定器からダウンロードされたデータセットとの同期化を行うことができること、つまり、これらのデータも前記適量投与器のデータと共に共通の統一的な正確な絶対時間に換算されて、互いに対応付けられることである。さらに、前記適量投与器の前記計時装置を調節するかまたは前記計時装置のカウントおよび前記時間基準の当該時間を記憶することが可能であり、こうして、このデータ対を時間値を絶対時間に変換するための新たな演算ベースとして使用することができる。これにより、前記計時装置のオフセットならびに同期化前に生じた刻時誤差は同期化後に行われる時間演算にもはや影響を与えることはない。
【0044】
本発明によるシステムの利点は以下の表によって特に明確に認めることが可能である。
【0045】
【表1】

【0046】
上記の表には約10秒/日だけ遅れる適量投与器計時装置が基礎とされた。前記の表の第2行は、前記計時装置の調節から2ヵ月後の投与時にすでに、正しい絶対時間を表す(前記血中グルコース測定器または前記データ処理装置中の)時間基準に比して5分の刻時差が現れることを示している。患者が2日後に同人担当医のところに赴き、前記血中グルコース測定器のデータセットと関連して前記データセットの伝送を行わせれば、本発明によるシステムは時間基準に対する計時装置の5分20秒の時間差を認識する。投与Iの時間値にこの差を単に加算するだけで、5分の刻時差は20秒の刻時差に減少する。ただし、本システムを血糖値の推移チェックに適用する場合には、5分の刻時差はほとんどの評価に際して副次的な意義しか有していない。そこで、表1では、前記計時装置の調節から5年後の測定に関して同様な観察が実施された。表1の第4行は、2007年01月15日の投与時にすでに前記適量投与器の前記データセットの時間値と前記血中グルコース測定器の前記データセットの時間値との間に4時間の刻時差が存在することを示している。もしも投与値および分析結果が2007年に補正なしで評価されるとすれば、前記血糖値の推移チェックは、昼の血糖値が朝の血糖値として解されることになるから、誤ったものになる。
【0047】
表1の第5行の投与は−前記データセットの伝送時、つまり前記適量投与器から前記データ処理装置への前記記憶されたデータセットの次回の伝送時に、前記適量投与器の前記計時装置と前記時間基準との間の時間差が算定されて、前記算定された時間差が直ちにまたは爾後の時点に前記適量投与器の前記データセットの時間値の補正に使用されれば−時間値に関して容易な方法で補正が可能である。たとえば、第1のデータ伝送時に、時間基準と計時装置との間の第1の時間差が算定され、それに続く第2のデータ伝送時に、相応した第2の時間差が算定され、前記データ伝送間の時間値は第1と第2の時間差間の補間と、前記補間によって求められた時間差を前記投与の時間値に加算することによって算定することができる。たとえば2007年01月22日に伝送が行われれば、前記時間差は5時間31分10秒と算定される。この差を2007年01月16日の前記計時装置の値(第5段、参照)に加算すれば、誤差を1分に減少させることができ、これは通常の推移チェックにとって充分甘受し得るものである。
【0048】
有利には、一定時点における評価のために、測定前と測定後の伝送時に見出された刻時誤差の補間によって、計時装置から求められた時間値の補正を算定することが可能である。たとえば、第4、6行に表されたデータから、7日以内に70秒の刻時誤差が生じたことを算定することができる。したがって、2007年01月15日に差形成によって求められた刻時誤差には、評価日(第5行)までに、さらに10秒の刻時差が加わったと推論することができる。ただし、実際には刻時差は物質定数ではなく、温度差とその他の影響要因によって種々異なった程度で惹起されることから、補間によって達成可能な精度は限定されている。
【0049】
前記適量投与器は相対時間を有し、前記血中グルコース測定器は絶対時間を有している。前記データ処理装置は時間接続を有していないかまたは時間基準も有しているかのいずれかである。前記データ処理装置が時間接続を有していない場合には、それは前記血中グルコース測定器から時間を読み出し、それによって前記適量投与器のデータを換算し、こうして、表示のために前記適量投与器および前記血中グルコース測定器のデータから共通のデータセットをつくり出す。前記データ処理装置が時間接続または時間基準を有していれば、その場合、別法としてまたはさらに加えて、前記データ処理装置の前記時間基準も使用することが可能である。
【0050】
前記適量投与器によるインスリン投与はユーザによって任意の時点に開始されるか、またはまた定まった頻度たとえば1回/分で行われるかすることができる。投与量はこの定まった順序で前記適量投与器の記憶装置にファイルされ、メモリポインタが1だけ引上げられる。前記データ処理装置によるデータの読み出しに際しては、実際のメモリポインタ、当該測定値およびその前の測定値のみが−ただしその前の測定値はポインタなしで−伝送される。前記データ処理装置は推移を再構成するために、前記血中グルコース測定器の時間基準、前記データ処理装置の時間基準または双方のコンビネーションを基礎として、実際の測定値に絶対時点つまりデータ伝送時点を対応させ、投与値を絶対時間と共に前記データ処理装置の記憶装置にファイルする。先行する投与値は時間なしで前記適量投与器に記憶される。前記データ処理装置への前記データ伝送時点の時間基準はまたも時間規則とメモリポインタを介して前記適量投与器につくり出される。これによって記憶場所が節約される。一定のデータセットに絶対時間を対応させることができるための前提は、前記データ処理装置が相応した時間間隔で少なくとも1回、前記適量投与器にアクセスして、データが伝送されることである。
【0051】
前記適量投与器は相対時間ベースの時間マーキングによる自動データ調査およびデータ記憶装置を有している。これは一方で所定の時間間隔の個々の投与点または測定点で行われるか、またはユーザにより同人の主観的状態に基づいて開始されることができる。
【0052】
たとえばクオーツはマイクロコンピュータがそれから正確な時間間隔を導出する時間信号を発生することができる。こうして実現された計時装置において、たとえば毎分、データセットが生成されて、連続的に記憶装置にファイルされる。この場合、システムの規約により、記憶アドレスの知識を介して、前記データ処理装置で行われる時間的対応付けが可能とされる。血中グルコース記録器つまり推移測定を行う、時間制御装置も有する血中グルコース測定器との相違は、所定の時間間隔で測定を行うこの種の血中グルコース記録器において血中グルコース測定の時点は計時装置によって開始されるという点にある。つまり、計時装置は測定を開始するトリガであり、記憶場所アドレスを介して測定の時間的対応付けが可能とされる。他方、本発明による適量投与器では、ユーザがいずれかの時点にインスリン投与を実施し、かくて、この投与にカウント表示が対応させられる。したがって、開始つまりトリガはユーザによって行われ、計時装置は前記投与と時間との時間的対応付けを可能とする。
【0053】
したがって、血中グルコース記録器では定まった測定周波数たとえば1Hzで測定が行われ、測定値は定まった順序で記憶装置にファイルされる。読み出しに際しては、推移を再構成し得るように、記憶場所インデックスと測定値が伝送されさえすればよい。それゆえ、本発明の趣旨の計時装置は血中グルコース測定器には不要である。他方、本発明による適量投与器にあっては、投与の時点と頻度は不明である。したがって、爾後に履歴の入力順による推移対応付けを可能にするため、少なくとも前記投与の相対的な時間的対応付けがデータセットに一緒に記憶されなければならない。そのため、時間基準かまたは、装置コストを省くため、本発明による計時装置を使用することができる。
【0054】
前記計時装置は、前記適量投与器および前記血中グルコース測定器のデータが前記データ処理装置または前記データ処理装置に接続された装置で一緒に1つのグラフまたは並置された複数のグラフに表示される場合に、前記適量投与器に記憶されたデータ(ボーラス)と前記血中グルコース測定器の血中グルコース測定値との時間的対応付けに使用されるが、その際、前記適量投与器からのデータと前記血中グルコース測定器からのデータとの相対的な時間的対応付けが算定されて、顧慮されなければならない。本発明によれば、前記適量投与器には時間基準は組み込まれておらず、計時装置が組み込まれている。このため、前記適量投与器には、定まった刻時でカウントアップまたはカウントダウンを行うタイマないしカウンタが内蔵されている。投与された各々のボーラスにつき、前記計時装置の当該カウント表示が記憶される。前記適量投与器および前記血中グルコース測定器によって記憶された推移データの読み取りに際して、前記使用された時間基準つまり血中グルコース測定器または前記データ処理装置の実時間値または前記両者のコンビネーションがスタート時間とされて、実際のカウント表示に対応させられる。こうして、このカウント表示から出発して、時間的に過去の、記憶されたボーラスに絶対時間が対応させられる。
【0055】
この処理方法の利点は、前記適量投与器と前記データ処理装置との間の時間的同期化が不要であり、前記適量投与器に時間が設定される必要がないということである。
【0056】
前記適量投与器の前記推移データは前記データ処理装置によって相対時間軸でのみグラフ形式で表示されることも可能である。さもない場合は、時間標準点がユーザまたは前記時間基準により、したがって前記血中グルコース測定器または前記データ処理装置によって指定される。
【0057】
前記適量投与器には、直近のボーラス(単数ないし複数)から経過した相対時間が表示可能である。この種の相対時間表示はほとんどのユーザにとって充分であるかまたは直近のボーラスの絶対時間表示よりも望ましいとさえ言えよう。というのも絶対時間表示が行われる場合にはユーザは最初になお前記絶対時刻を用いて前記経過した時間を計算しなければならないからである。
【0058】
さらにもう一つの利点は、前記適量投与器の時間が不正確であっても、少なくとも前記血中グルコース測定器に時間調節−これはそれがマーキングされない場合には気付かれないままである−が行なわれない限り、前記適量投与器のデータと前記血中グルコース測定器のデータとの相対的な対応付けは正しいままであり、コンビネーションされた前記データの誤った解釈は行われないということである。
【0059】
インスリンペンに定められた2年という耐用期間の制限は前記計時装置によって同じく監視、検出されることができ、そのために絶対時計が必要とされることはない。
【0060】
さらに、前記適量投与器の前記計時装置は前記適量投与器における実時刻の生成と表示に使用することができる。そのため、前記適量投与器の製造時に、前記計時装置の一定のカウント表示に際して、たとえばカウント表示ゼロ時に、実際の絶対時間がファイルされる。かくて、このカウント表示からその他の爾後の時点の絶対時間を算定することができる。これはたとえば以下に挙げるようなさまざまな利用にとって好適である。1)前記適量投与器の表示画面に実時刻を表示すること。2)前記適量投与器から前記データ処理装置への前記データセットの伝送に際し、(前記血糖測定器または前記データ処理装置の)時間基準を使用することなく、少なくとも準拠規準として正しい時間軸を定めることができること。3)前記適量投与器および前記血中グルコース測定器の前記データを同期化することができ、双方の機器の実時間が一致しているか否かをチェックし得ること。4)データ処理装置とのそれぞれの通信時たとえば前記データ処理装置への前記データの伝送時に、前記適量投与器は前記データ処理装置に絶対時間(たとえばPC時間)を照会し、こうして、前記適量投与器の前記計時装置のカウント表示との時間的対応付けを再び補正し得ること。5)国際的な時間的同期化を行うこと。この場合、前記計時装置は前記適量投与器への組込みに際して国際的に同期化された標準時に合わされ、読み出しに際して前記時間値は再び国際的に同期化された標準時に換算され、それから地方絶対時間に換算される。
【0061】
前記適量投与器に組み込まれた時間検出の基本的利点は以下の通りである。
【0062】
− 注入持続時間を検出することができる。前記適量投与器の前記データセットによるこの検出は、たとえば、当該時間値の前記データセットにそれぞれ投与の開始と終了とが記録されることによって行われる。こうして、前記適量投与器による表示のための前記適量投与器の前記データセットの読み出し時またはデータ処理装置による前記適量投与器の読み出しに際し、それぞれの注入時点が評価のために得られるのみならず、当該注入持続時間も得ることができる。前記適量投与器の設計に応じ、前記注入持続時間は注入速度および/または投与量に関する情報を含むことができる。さらに、前記適量投与器の表示画面には、投与がどの程度ゆっくりと行われなければならないかを表示することが可能であり、または、データ評価に際し、インスリンが刺入箇所で噴き出してしまうかまたは再び流出してしまうような過度に速い注入は考えられ得るエラー源として認識することが可能である。
【0063】
− インスリン量と注入時間から、注入速度いわゆる流量を決定することができる。この情報により、量に応じた好ましい注入速度をたとえばカウントダウンによって表示画面に表示することが可能であり、または、データ評価に際し、過度に速く実施された注入は考えられ得るエラー源として認識することが可能である。
【0064】
− 針が体内にあるか否かを検出することのできる付加的な針センサたとえば機械式センサまたは針の導電率測定装置が組みつけられている場合には、前記適量投与器の表示画面に、注入後に針はどれくらいの間体内にとどめられなければならないかを表示することができる。これには約10秒間の持続時間が好ましい。または、データ評価に際して前記持続時間からのずれを考えられ得るエラー源として認識すべく、針が実際にどれだけの時間にわたって体内に残留していたかを記憶することが可能である。この種の針センサはプライミングセンサとして使用することも可能であろう。つまり、前記針が身体に注入されずにボーラスが投与される場合には、前記ボーラスはプライミングとして評価され、前記適量投与器の表示画面においてまたは前記データ処理装置によるグラフ表示に際して直近のボーラスとして表示されることはない。こうして格納されたデータセットが表示される。
【0065】
プライミングとは、注入前にインスリンのペンを用意して、インスリンの流れをチェックすることをいう、新しいインスリンを初めて使用する前に取り付けられた針の先端を有する開放したインスリンのカートリッジの場合、カートリッジおよび/または針先端に気泡が存在し、このためインスリンのペン上にセットされたインスリンの適量投与量が完全には注入されないのである。プライミングのあいだ、インスリンのペンが注入針の上方に保持される。インスリンカートリッジは、指を使って何度も注意深く開栓されるので、存在している可能性がある気泡が上昇する。この投与の表示は、たとえば新しいカートリッジ用に4つのユニットがセットされ、開放したカートリッジ用には1つのユニットがセットされる。このようにセットされた投与が空気中に垂直に放出される。インスリンの液滴は針先端から出され、空気が完全に除去される。そうでない場合、投与の排出が繰り返されて、針先端からインスリンの液滴が出される。
【0066】
− さらに、カートリッジ交換が解釈され、こうして、カートリッジ使用持続時間たとえば平均持続時間、前記持続時間からのずれ等を表示、記憶および評価することが可能である。
【0067】
分析結果を評価するための本発明による方法は、伝送された前記データセットと共に、データ伝送がエラーなく行われたか否かのチェックを可能にする1または複数のチェックサムが前記データ処理装置に伝達されることにより、改善されることができる。さらに、前記適量投与器および前記血中グルコース測定器のそれぞれの器具固有の標識が一緒に伝送され、こうして、前記データ処理装置が異なった分析装置を区別することができるのが有利である。多くのユーザが同人専用の適量投与器と血中グルコース測定器を持って同人担当医またはアドバイザのところに赴き、同所でデータ処理装置による評価を行ってもらう場合が実際にしばしばそうであることはすでに述べたところである。それぞれの器具の標識を使用する場合には、混同を回避することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】インスリンポンプ(または別法としてたとえばインスリンペンまたはインスリン吸入器)の形の適量投与器2、血中グルコース測定器ないし血中グルコース計3ならびにデータ処理装置4を含んでなる本発明による血中グルコースシステム1の要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、図面に示した実施例を参照して、本発明を詳細に説明する。下記説明中に述べられた特徴は、本発明の好ましい態様を創作するために、個々にまたは互いに組合わせて使用することが可能である。
【0070】
図1は、インスリンポンプ(または別法としてたとえばインスリンペンまたはインスリン吸入器)の形の適量投与器2、血中グルコース測定器ないし血中グルコース計3ならびにデータ処理装置4を含んでなる本発明による血中グルコースシステム1の要素を示している。付加的な器具として、適量投与器2と血中グルコース測定器3とが接続される通信用アダプタ5が設けられている。オプショナルな通信用アダプタ5の機能方式は欧州特許出願公開第1762955号明細書に記載されている。適量投与器2と血中グルコース測定器3とは、ユーザによって互いに組合わせて使用される、携帯式の、配電網から独立した、移動体として作動可能な医用器具である。これら双方の器具は、データの送信および/または受信のための、たとえば赤外線インタフェースとして形成されたインタフェースを有している。
【0071】
血中グルコース測定器2は、器具開口中に挿し込まれるテストエレメントによって動作する。血中グルコース測定器2は、さらに、操作手段ならびに分析結果表示用ディスプレイを有している。本発明にとって特に重要なのは、血中グルコース測定器2に組み込まれた、分析結果と当該時間値とを内容とするデータセットの記憶に使用されるメモリユニットである。血中グルコース測定器2はさらに、分析時点に属する時間値をメモリユニットに転送する時間基準を有している。データ処理装置4との通信のために、血中グルコース測定器2はさらに有線または無線インタフェースを有している。
【0072】
適量投与器3は適量のインスリンを身体に投与することができる。適量投与器はさらに操作手段ならびに機能パラメータ表示用画面を有している。本発明にとって特に重要なのは、適量投与器3に組み込まれた、投与量と当該時間値とを内容とするデータセットの記憶に使用されるメモリユニットである。血中グルコース測定器2はさらに、投与時点に属する時間値をメモリユニットに転送する計時装置を有している。データ処理装置4との通信のために、適量投与器3はさらに有線または無線インタフェースを有している。
【0073】
通信用アダプタ5は有線によるデータ伝送6のため、伝送ケーブル7によってデータ処理装置4に接続されている。データ処理装置4はコンピュータであり、たとえばパソコン、ラップトップ、携帯用コンピュータまたは、システム1のユーザが同人器具2、3のみを持ってまたは同人器具2、3と通信用アダプタ5を持って赴くインターネットカフェ、医院、自宅または薬局のコンピュータであってよい。データ処理装置4は演算ユニットの他にオプショナルに時間基準を含んでいる。
【0074】
データ伝送8、9による器具2、3のデータの読み出しおよびコンピュータ4のモニタ10によるデータの表示のため、通信用アダプタ5は先ずケーブル7でコンピュータ4に接続される。ただし、通信用アダプタ5がコンピュータに内蔵されて、データ伝送は器具2、3から直接にコンピュータ4に行なわれてもよい。
【0075】
適量投与器3は時計による絶対時間を有しておらず、計時装置を有しているだけである。計時装置は表の形の記憶装置を備えた刻時機構、したがって時間差基準である。表中に記憶されたデータセットはそれぞれ、直近のインスリン投与から経過した計時装置の刻時(クロッキング)の数と投与されたインスリン量とを含んでいるが、ただし、インスリン投与の行われた時点を含んでいない。
【0076】
これらのデータは適量投与器3からデータ処理装置4にダウンロードされる。このデータ処理装置4は時間基準(時計)−しかも、内蔵された時間基準かまたは血中グルコース測定器2の時間基準−を有し、したがって、絶対時間を有している。適量投与器2からのデータのダウンロードに際し、データマネージャに絶対時間として知られているダウンロード時点が使用されて、記憶された刻時(カウント)数からインスリン投与の行われた絶対時点が逆算される。ただし、ダウンロード時点がたとえば通信用アダプタ7に記憶され、投与時点の逆算がデータ処理装置4で初めて行われても充分である。
【0077】
データ処理に際して万一、データマネージャの時計が実時間とずれていることがたとえば、多くの場合にインターネットを経て時間的に同期化されるPC4の時間との比較によって判明する場合には、データマネージャの時計のこの系統的なずれは相応した補正変位によって顧慮することができる。
【0078】
本発明による適量投与器3の計時装置の利点は、従来の技術とは異なって、適量投与器3の時計とデータマネージャの時計との間の同期が行われる必要がなく、ずれがある場合にこれら2つの時計のいずれが優先されるかまたはずれがどのように処理されるかが定められていない点にある。さらに、たとえばPC4を介した世界標準時との爾後のオプショナルな調整によって、容易に絶対補正も行うことが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 血中グルコースシステム
2 血中グルコース測定器
3 インスリンポンプ
4 データ処理装置
5 通信用アダプタ
6 データ伝送
7 伝送ケーブル
8 データ伝送
9 データ伝送
10 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対時間値を生成するための内蔵式計時装置と、投与量ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置(4)に伝送するための装置とを含んでなる、グルコース代謝障害治療用の医用作用物質を身体に投与するための、携帯式の、自立した移動体として作動可能な適量投与器(3)と、
内蔵式時間基準と、血中グルコース測定値ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置(4)に伝送するための装置とを含んでなる、身体の血中グルコース含有量を測定するための、携帯式の、自立した移動体として作動可能な血中グルコース測定器(2)と、
前記適量投与器(3)および前記血中グルコース測定器(2)の前記データセットを受信するための受信装置ならびに、前記適量投与器(3)の前記データセットの時間値を前記適量投与器(3)の前記計時装置の時間値と時間基準の時間値との比較をベースとして絶対時間値に変換するための演算ユニットを備えた、前記適量投与器(3)および前記血中グルコース測定器(2)のデータセットを処理するためのデータ処理装置(4)とを含んでなり、
前記データ処理装置(4)は前記適量投与器(3)の前記データセットと前記血中グルコース測定器(2)の前記データセットとを前記時間基準の時間値によって相互に対応付けて結合することにより同期化することを目的として形成されているように構成したグルコース代謝障害治療用血中グルコースシステム(1)。
【請求項2】
前記適量投与器(3)が、時間基準を内蔵していないことを特徴とする請求項1記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記適量投与器(3)および前記血中グルコース測定器(2)の前記データセットを結合するための時間値として、前記血中グルコース測定器(3)の前記時間基準の時間値が使用されることを特徴とする請求項1または2記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記データ処理装置(4)は内蔵式時間基準を含み、前記適量投与器(3)および前記血中グルコース測定器(2)の前記データセットを結合するための時間値として、前記血中グルコース測定器(2)の前記時間基準の時間値または前記データ処理装置(4)の前記時間基準の時間値が使用されるかまたは前記双方の時間基準の時間値のコンビネーションが使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記適量投与器(3)は注入器または吸入器、好ましくはインスリンを注入または吸入するための器具であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記血中グルコース測定器(2)から前記データ処理装置(4)への前記データセットの伝送および/または前記適量投与器(3)から前記データ処理装置(4)への前記データセットの伝送は有線または無線で行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記データ処理装置(4)は、前記適量投与器(3)の前記計時装置の時間値を時刻に変換する変換ユニットを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項8】
相対時間値を生成するための内蔵式計時装置と、投与量ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置(4)に伝送するための装置とを含んでなる、グルコース代謝障害治療用の医用作用物質を身体に投与するための、携帯式の、自立した移動体として作動可能な適量投与器(3)と、
内蔵式時間基準と、血中グルコース測定値ならびに当該時間値からなるデータセットが記憶されるメモリユニットと、記憶されたデータセットをデータ処理装置(4)に伝送するための装置とを含んでなる、身体の血中グルコース含有量を測定するための、携帯式の、自立した移動体として作動可能な血中グルコース測定器(2)と、
前記適量投与器(3)および前記血中グルコース測定器(2)の前記データセットを受信するための受信装置ならびに、前記適量投与器(3)の前記データセットの時間値を前記適量投与器(3)の前記計時装置の時間値と時間基準の時間値との比較をベースとして絶対時間値に変換するための演算ユニットを備えた、前記適量投与器(3)および前記血中グルコース測定器(2)のデータセットを処理するためのデータ処理装置(4)とを含んでなり、
前記データ処理装置(4)は前記適量投与器(3)の前記データセットと前記血中グルコース測定器(2)の前記データセットとを前記時間基準の時間値によって相互に対応付けて結合することにより同期化することを目的として形成されているように構成したグルコース代謝障害治療用血中グルコースシステムによって分析結果を処理するための方法であって、
下記工程つまり
前記適量投与器(3)によって実施されたグルコース代謝障害治療用の医用作用物質の投与に関する、投与量ならびに前記内蔵式計時装置によってそれぞれの投与時点に得られる時間値を内容とした1または複数のデータセットを前記適量投与器(3)に記憶させる工程と、
前記血中グルコース測定器(2)によって実施された血中グルコース測定に関する、分析結果ならびに前記内蔵式時間基準によってそれぞれの測定時点に得られる時間値を内容とした1または複数のデータセットを前記血中グルコース測定器(2)に記憶させる工程と、
前記血中グルコース測定器(2)および前記適量投与器(3)の1または複数のデータセットを前記データ処理装置(4)に伝送すると共に、前記適量投与器(3)の前記計時装置の実時間値を前記データ処理装置(4)に引渡す工程と、
前記データ処理装置(4)により前記適量投与器(3)の前記データセットの時間値から、前記適量投与器(3)の前記計時装置の実時間値と時間基準の正確な時間値との比較によって、前記適量投与器(3)によって前記作用物質が投与された絶対時間値が演算されて、前記適量投与器(3)の前記データセットと前記血中グルコース測定器(2)の前記データセットとが前記時間基準の時間値によって相互に対応付けて結合されることにより同期化される工程と、
演算された時点をベースとして前記投与量と分析結果とが処理される工程とを含んでなる方法。
【請求項9】
前記適量投与器(3)および前記血中グルコース測定器(2)の前記データセットを結合するための時間値として、前記血中グルコース測定器(2)の前記時間基準の時間値が使用されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記データ処理装置(4)は内蔵式時間基準を含み、前記適量投与器(3)によって前記作用物質が投与された時点の演算下で前記適量投与器(3)および前記血中グルコース測定器(2)の前記データセットの同期化ならびに結合を行うために、時間基準として、前記血中グルコース測定器(2)の前記時間基準の時間値または前記データ処理装置(4)の前記時間基準の時間値が使用されるかまたは前記双方の時間基準の時間値のコンビネーションが使用されることを特徴とする請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
一定の時点における前記時間基準の時間値と同一時点における前記計時装置の時間値とから時間差が算定されて、前記データセットの時間値は前記時間差の加算によって絶対時間値に換算されることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記適量投与器(3)によって記憶されたデータセットを前記データ処理装置(4)に伝送する際に、前記適量投与器(3)の前記計時装置と前記時間基準との間の時間差が算定されて、算定された前記時間差は直ちにまたは爾後の時点に前記適量投与器(3)の前記データセットの時間値の補正に使用されることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
最初のデータ伝送時に時間基準と計時装置との間の第1の時間差が算定され、それに続く第2のデータ伝送時に相応した第2の時間差が算定されて、前記データ伝送間の時間値は第1と第2の時間差間の補間と、前記補間によって求められた時間差を前記投与の時間値に加算することによって算定されることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
投与量と分析結果との処理工程は、前記適量投与器(3)および前記血中グルコース測定器(2)の前記同期化されたデータセットの記憶、伝送または表示を含むことを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記計時装置は所定の刻時速度(v)で計時し、投与時点(tA)の計算は次の式
tA=tD−(nD−nA)/v
(式中、tDは前記データ伝送時点に時間基準に見出される前記時間基準の時間であり、nDは前記データ伝送時点に計時装置に見出される数であり、nAは適量投与Aの時点に記憶された前記計時装置の数であり、vは前記計時装置の前記刻時速度である)によって行われることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
好ましくは当該時間値の前記適量投与器(3)の前記データセットにそれぞれ適量投与の開始と終了とが記録されることにより、前記適量投与器(3)によって記憶された前記データセットにより適量投与持続時間が検出されることを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記適量投与器(3)は作用物質を身体に投与するために使用された針が体内に存するか否かを検出することのできる針センサを有し、前記適量投与器(3)によって記憶された前記データセットにより、前記針が実際にどれだけの時間にわたって体内に残留していたかが検出されることを特徴とする請求項8〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記適量投与器(3)は作用物質を身体に投与するために使用された針が体内に存するか否かを検出することのできる針センサを有し、前記針センサは、前記針が身体に注入されずにボーラスが投与される場合に、プライミングセンサとしても使用され、その際、前記ボーラスはプライミングとして評価されることを特徴とする請求項8〜17のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−183692(P2009−183692A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−322544(P2008−322544)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】