説明

時刻情報受信装置

【課題】 標準電波の受信動作の時間を可及的に短くし、電力の消費をより抑えた時刻情報受信装置を実現する。
【解決手段】 受信した標準電波に含まれているタイムコードのデータの一部に欠落があると検知された場合(A11〜A15)、例えば、予め取得済みのタイムコードのうち、前記欠落箇所以外の他のデータに基づいて当該欠落箇所のデータを補完し(A27,A29,A37)、この補完されたデータを含むタイムコードに基づいて内部の時刻を修正する(A39)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻情報受信装置に関し、例えば、電波時計に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
現在、各国(例えば、ドイツ、イギリス、スイス、日本等)において、タイムコード入りの標準電波が送出されている。我が国(日本)では、2つの送信所(福島県及び佐賀県)より、タイムコードのフォーマットのタイムコードで振幅変調した40kHz及び60kHzの長波標準電波が送出されている。
【0003】
タイムコードは、正確な時刻の分の桁が更新される毎、即ち1分毎に、1周期60秒のフレームで送出されている。この60秒(1分間)のフレームの開始時点である正分(毎分0秒)の立ち上がりには、パルス幅0.2秒の先頭マーカMであるM信号が配され、9秒時点以降の10秒間隔、即ち9秒、19秒、29秒、39秒、49秒及び59秒の各時点には、パルス幅0.2秒のP信号P1、P2、P3、P4、P5及びP0がそれぞれ配されている。P信号フレームの前後においては、P信号P0に続けてM信号Mが現れる、即ち、パルス幅0.2秒のパルスが1秒の間隔をおいて連続して2個現れる。このことにより、フレームの境界が認識され、M信号Mで示されるパルスの立ち上がり時点が現在時刻の分の桁の正確な更新時となる。
【0004】
そして、上記フレーム内には、当該フレーム開始時点(M)の時刻の分、時、積算日(1月1日からの日数)、年(西暦下2桁)及び曜日(日曜日を0として数える0〜6の整数値)の各データが、それぞれ1秒〜8秒期間、12秒〜18秒期間、22秒〜33秒期間、41秒〜48秒期間及び50秒〜52秒期間にBCD(binary-coded decimal number :2進化10進数)で符号化されて配されている。また、ロジック1及び0はそれぞれパルス幅が0.5秒及び0.8秒のパルスで表されている。
【0005】
近年では、このようなタイムコードフォーマットでなる標準電波を受信して現在時刻データを修正する時刻情報受信装置の一種である電波時計が実用化されており、標準電波の受信に関する種々の技術が開発されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平5−142363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な電波時計は、深夜2時などの定時に標準電波を受信して、現在時刻の修正(以下、単に時刻修正と呼ぶ。)を行う。但し、受信回路の受信動作が安定するまでに一定の時間を要する為、例えばタイムコードを3回連続して、即ち、3分以上継続して受信するといったことが行われている。そしてこのような長時間の受信動作の間、受信回路に電力を供給し続けることとなり、比較的大きな電力を消費する。
【0007】
しかし、腕時計型の電波時計などにおいては、電力消費は時計としての継続動作可能時間に直接関わる問題であるため、消費電力の削減が要求されており、受信回路の動作時間をできるだけ低減して、消費電力を抑える必要がある。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、標準電波の受信動作時間を可及的に短くし、電力の消費を抑えた時刻情報受信装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図1の計時回路部80)と、
標準電波を受信する受信手段(例えば、図1の受信制御部60)と、
この受信手段に標準電波を受信させてタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA11,A13)と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれる時分データの欠落を検知する検知手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA15,A19)と、
この検知手段により欠落が検知された場合に、前記受信制御手段の制御により予め取得されているタイムコードと欠落が検知されたタイムコードとに基づいて、当該欠落部分を補完する補完制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA19,A31,A33,A35,A37)と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する補完コード基準修正手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA39)と、
を備える時刻情報受信装置(例えば、図1の電波時計1)である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、
曜日を含む時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図1の計時回路部80)と、
標準電波を受信する受信手段(例えば、図1の受信制御部60)と、
この受信手段に標準電波を受信させてタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA11,A13)と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれる曜日データの欠落を検知する検知手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA15,A21)と、
この検知手段により曜日データの欠落が検知された場合に、前記受信制御手段の制御により取得されたタイムコードの年データ及び通算日データに基づいて、当該欠落の曜日データを補完する補完制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA21,A27)と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する補完コード基準修正手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA39)と、
を備える時刻情報受信装置(例えば、図1の電波時計1)である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、
時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図1の計時回路部80)と、
標準電波を受信する受信手段(例えば、図1の受信制御部60)と、
この受信手段に標準電波を受信させてタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA11,A13)と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードのうち、標準電波の規格による所定の時間間隔で挿入されている識別データの一部欠落を検知する検知手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA15,A17)と、
この検知手段により欠落が検知された場合に、前記受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれている識別データ及び前記時間間隔に基づいて、前記欠落している識別データを補完する補完制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA29)と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードで前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する補完コード基準修正手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA39)と、
を備える時刻情報受信装置(例えば、図1の電波時計1)である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、
時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図1の計時回路部80)と、
標準電波を受信する受信手段(例えば、図1の受信制御部60)と、
この受信手段に標準電波を受信させてタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA11,A13)と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれている標準電波の規格による所定の時間間隔で挿入されている識別データのうち、当該タイムコードの先頭部分を表す先頭データに隣接する識別データの欠落を検知する検知手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA15,A17)と、
この検知手段により欠落が検知された場合に、前記受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれている前記先頭データに基づいて、当該先頭データの隣接位置に識別データを補完する補完制御手段と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードで前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する補完コード基準修正手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA39)と、
を備える時刻情報受信装置(例えば、図1の電波時計1)である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、
時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図3の計時回路部80)と、
標準電波を受信する受信手段(例えば、図3の受信制御部60)と、
前記時刻計時手段により計時されている時刻のデータ(例えば、図4の現在時刻データ81)の中から修正対象箇所を決定する対象箇所決定手段(例えば、図5の取得位置特定表43,図3のCPU10:図6のステップB13)と、
この対象箇所決定手段により決定された修正対象箇所に対応するタイムコードの部分を判定し、この判定した部分的なタイムコードを受信するための受信時刻を、前記時刻計時手段により計時されている時刻及び計時誤差に基づいて、決定する受信時刻決定手段(例えば、図3のCPU10:図6のステップB15,B17)と、
この受信時刻決定手段により決定された受信時刻に前記受信手段に標準電波を受信させて、前記判定した部分的なタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図3のCPU10:図6のステップB17,B19,B21,B23,B25,B27)と、
この受信制御手段の制御により取得された部分的なタイムコードに基づいて、前記対象箇所決定手段により決定された修正対象箇所を修正することで前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段(例えば、図3のCPU10:図6のステップB29,B31)と、
を備える時刻情報受信装置(例えば、図3の電波時計2)である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、
時分秒を含む時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図1の計時回路部80)と、
タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA11,A13)と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれる時刻データの欠落を検出する欠落検出手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA15,A19)と、
この欠落検出手段により時刻データの欠落が検出された際に、前記受信制御手段の制御により予め取得されているタイムコードのうち、前記欠落されている時刻データに対応するタイムコードの部分で前記欠落されている時刻データに対応するタイムコードの部分を補完するように制御する補完制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA19,A31,A33,A35,A37)と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードの部分を含むタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA39)と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置(例えば、図1の電波時計1)である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、
曜日を含む時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図1の計時回路部80)と、
タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA11,A13)と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれる曜日データの欠落を検出する欠落検出手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA15,A19)と、
この欠落検出手段により曜日データの欠落が検出された際に、前記受信制御手段の制御により予め取得されているタイムコードの年データと通算日データとに基づいて、前記受信制御手段の制御により取得されたタイムコードのうち、当該欠落曜日データに対応するタイムコードを補完する補完制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA21,A27)と、
この補完制御手段により補完されたタイムコードの部分を含むタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA39)と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置(例えば、図1の電波時計1)である。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、
時分秒を含む時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図1の計時回路部80)と、
タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA11,A13)と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードのうち、標準電波の規格に従って規定されている識別データの一部が欠落しているかを検出する欠落検出手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA15,A17)と、
この欠落検出手段により識別データの一部の欠落が検出された際に、当該欠落検出手段により欠落されていないと検出された他の識別データに基づいて、前記欠落している欠落識別データを補完するように制御する補完制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA29)と、
この補完制御手段の制御により補完された欠落識別データに対応するタイムコードの部分を含むタイムコードタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA39)と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置(例えば、図1の電波時計1)である。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、
時分秒を含む時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図1の計時回路部80)と、
タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA11,A13)と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードのうち、標準電波の規格に従って規定されている識別データのうち、当該タイムコードの先頭部分を表す先頭データに隣接する識別データの欠落を検出する欠落検出手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA15,A17)と、
この欠落検出手段により識別データの欠落が検出された際に、前記受信制御手段の制御により予め取得されているタイムコードに含まれている前記先頭データに対応するタイムコードの部分に基づいて、当該先頭データの隣接位置に前記欠落している欠落識別データを補完するように制御する補完制御手段と、
この補完制御手段により補完された欠落識別データに対応するタイムコードの部分を含むタイムコードタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段(例えば、図1のCPU10:図2のステップA39)と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置(例えば、図1の電波時計1)である。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、
時分秒を含む時刻を計時する時刻計時手段(例えば、図3の計時回路部80)と、
タイムコードを含む標準電波を受信する受信手段(例えば、図3の受信制御部60)と、
この時刻計時手段により計時されている時刻のデータ(例えば、図4の現在時刻データ81)の中から修正対象箇所を順次に決定する対象箇所決定手段(例えば、図5の取得位置特定表43,図3のCPU10:図6のステップB13)と、
この対象箇所決定手段により決定された各修正対象箇所に対応するタイムコードの部分をそれぞれ判定し、この判定したそれぞれの部分的なタイムコードを受信するための異なる受信時刻を、前記時刻計時手段により計時されている時刻と予め定められた計時誤差に基づいて決定する受信時刻決定手段(例えば、図3のCPU10:図6のステップB15,B17)と、
この受信時刻決定手段により決定されたそれぞれの受信時刻に前記受信手段に標準電波を受信させて、前記判定したそれぞれの部分的なタイムコードを取得する受信制御手段(例えば、図3のCPU10:図6のステップB17,B19,B21,B23,B25,B27)と、
この受信制御手段により取得された部分的なタイムコードに基づいて、前記対象箇所決定手段により決定された各修正対象箇所を修正することで前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段(例えば、図3のCPU10:図6のステップB29,B31)と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、まず、標準電波が受信されてタイムコードが取得される。そして、取得されたタイムコードに含まれる時分データに欠落が検知された場合、予め取得されているタイムコードと欠落が検知されたタイムコードとに基づいて、欠落部分が補完される。そして、この補完されたタイムコードで、時刻計時手段により計時されている時刻が修正される。
【0020】
従って、取得されたタイムコードに含まれる時分データに欠落が検知され、時刻計時手段が計時する時刻(以下、計時時刻と呼ぶ。)の修正の為に標準電波の再受信が必要となる場合にも、再受信する回数は可及的に少なく抑えられる。従って、標準電波の受信動作の時間が可及的に短く抑えられ、電力消費のより少ない時刻情報受信装置を実現できる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、まず、標準電波が受信されてタイムコードが取得される。そして、取得されたタイムコードに含まれる曜日データに欠落が検知された場合、取得されたタイムコードの年データ及び通算日データに基づいて曜日データが補完され、この補完されたタイムコードで、時刻計時手段により計時されている時刻が修正される。
【0022】
従って、取得されたタイムコードに含まれる曜日データに欠落が検知された場合にも、再受信を要することなく計時時刻を修正できる。従って、標準電波の受信動作の時間が可及的に短く抑えられ、電力消費のより少ない時刻情報受信装置を実現できる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、まず、標準電波が受信されてタイムコードが取得される。そして、取得されたタイムコードのうち、標準電波の規格による所定の時間間隔で挿入されている識別データの一部欠落が検知された場合、取得されたタイムコードに含まれている識別データと、その識別データの挿入間隔である所定の時間間隔とに基づいて、欠落している識別データが補完される。そして、この補完されたタイムコードで、時刻計時手段により計時されている時刻が修正される。
【0024】
従って、取得されたタイムコードのうち識別データの一部欠落が検知された場合にも、再受信を要することなく欠落部分の識別データを補完し、補完されたタイムコードに基づいて計時時刻を修正できる。従って、標準電波の受信動作の時間が可及的に短く抑えられ、電力消費のより少ない時刻情報受信装置を実現できる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、まず、標準電波が受信されてタイムコードが取得される。そして、取得されたタイムコードに含まれている標準電波の規格による所定の時間間隔で挿入されている識別データのうち、タイムコードの先頭部分を表す先頭データに隣接する識別データの欠落が検知された場合、取得されたタイムコードに含まれている先頭データに基づいて、その先頭データの隣接位置に識別データが補完される。そして、この補完されたタイムコードで、時刻計時手段により計時されている時刻が修正される。
【0026】
従って、取得されたタイムコードに含まれている、先頭データに隣接する識別データの欠落が検知された場合にも、再受信を要することなく欠落部分の識別データを補完し、補完されたタイムコードに基づいて計時時刻を修正できる。従って、標準電波の受信動作の時間が可及的に短く抑えられ、電力消費のより少ない時刻情報受信装置を実現できる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、まず、時刻計時手段により計時されている時刻のデータの中から修正対象箇所が決定され、この修正対象箇所に対応するタイムコードの部分が判定されて、この判定した部分的なタイムコードを受信するための受信時刻が、計時されている時刻及び計時誤差に基づいて決定される。そしてこの受信時刻に標準電波が受信されて、部分的なタイムコードが取得される。そして、この部分的なタイムコードに基づいて、修正対象箇所が修正されることで、時刻計時手段により計時されている時刻が修正される。
【0028】
従って、計時日時の修正の為の標準電波受信の時間が可及的に少なく抑えられるから、標準電波の受信動作の時間が可及的に短く抑えられ、電力消費のより少ない時刻情報受信装置を実現できる。
【0029】
また、請求項6に記載の発明によれば、タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得した後にこの取得されたタイムコードに含まれる時刻データの欠落が検出された際に、予め取得されているタイムコードのうち、前記欠落されている時刻データに対応するタイムコードの部分で前記欠落されている時刻データに対応するタイムコードの部分を補完し、この補完されたタイムコードの部分を含むタイムコードに基づいて、計時されている時刻を迅速かつ確実に修正することができる。
【0030】
また、請求項7に記載の発明によれば、タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得した後にこの取得されたタイムコードに含まれる曜日データの欠落が検出された際に、予め取得されているタイムコードの年データと通算日データとに基づいて、取得されたタイムコードのうち、当該欠落曜日データに対応するタイムコードを補完しこの補完されたタイムコードの部分を含むタイムコードに基づいて、計時されている時刻を迅速かつ確実に修正することができる。
【0031】
また、請求項8に記載の発明によれば、タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得した後にこの取得されたタイムコードのうち、標準電波の規格に従って規定されている識別データの一部が欠落しているかを検出した結果、識別データの一部の欠落が検出された際に、当該欠落検出手段により欠落されていないと検出された他の識別データに基づいて、前記欠落している欠落識別データを補完し、この補完された欠落識別データに対応するタイムコードの部分を含むタイムコードタイムコードに基づいて、計時されている時刻を迅速かつ確実に修正することができる。
【0032】
また、請求項9に記載の発明によれば、タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得した後にこの取得されたタイムコードのうち、標準電波の規格に従って規定されている識別データのうち、当該タイムコードの先頭部分を表す先頭データに隣接する識別データの欠落が検出された際に、予め取得されているタイムコードに含まれている前記先頭データに対応するタイムコードの部分に基づいて、当該先頭データの隣接位置に前記欠落している欠落識別データを補完し、この補完された欠落識別データに対応するタイムコードの部分を含むタイムコードタイムコードに基づいて、計時されている時刻を迅速かつ確実に修正することができる。
【0033】
請求項10に記載の発明によれば、まず、時刻計時手段により計時されている時刻のデータの中から修正対象箇所が順次に決定され、この各修正対象箇所に対応するタイムコードの部分が判定されて、この判定したそれぞれの部分的なタイムコードを受信するための異なる受信時刻が、計時されている時刻と予め定められた計時誤差に基づいて決定される。そして、この決定されたそれぞれの受信時刻に標準電波が受信されて、それぞれの部分的なタイムコードが取得される。そして、この部分的なタイムコードに基づいて、各修正対象箇所が修正されることで、時刻計時手段により計時されている時刻が修正される。これにより、計時日時の修正の為の標準電波受信の時間が可及的に少なく抑えられるから、標準電波の受信動作の時間が可及的に短く抑えられ、電力消費のより少ない時刻情報受信装置を実現できる。
【0034】
従って、本発明によれば、時刻修正のための標準電波受信の時間を可及的に少なく抑えることができるばかりでなく電力消費のより少ない時刻情報受信装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下においては、本発明の時刻情報受信装置を電波時計に適用した場合について説明するが、本発明を適用可能な形態がこれに限定されるものではない。
【0036】
1.第1の実施の形態
図1は、第1の実施の形態の電波時計1の内部構成を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施の形態の電波時計1は、CPU(Central Processing Unit )10、入力部20、表示部30、ROM(Read Only Memory)40a、RAM(Random Access Memory)50a、受信制御部60、タイムコード生成部70、計時回路部80及び発振回路部82を備えて構成され、発振回路部82を除く各部はバスBによって接続されている。また、計時回路部80には発振回路部82が接続されている。
【0037】
CPU10は、所定のタイミング或いは入力部20から入力された操作信号に応じて、ROM40内に格納された各種プログラムを読み出してRAM50内に展開し、当該プログラムに基づいて電波時計1内の各部への指示やデータの転送等を行う。
【0038】
特に、CPU10は、予め定められた時刻又は時間帯、たとえば、午前2時になると、後述する第1の時刻修正処理を開始し、受信制御部60を制御して標準電波の受信処理を行い、タイムコード生成部70から入力される標準タイムコードに基づいて計時回路部80で計時される現在時刻データ記憶エリア81内における現在時刻データを修正する。また、現在時刻データ81に基づく表示信号を表示部30に出力して表示時刻を更新させる等の各種制御も行う。
【0039】
入力部20は、電波時計1に各種機能を実行させるためのスイッチ等で構成される。そして、これらのスイッチが操作された時には、対応するスイッチの操作信号をCPU10に出力する。
表示部30は、小型液晶ディスプレイ等により構成され、CPU10からのデータ、例えば計時回路部80による現在時刻データ等をデジタル表示する。
【0040】
ROM40aは、各種初期設定値や初期プログラムの他、電波時計1が有する各機能を実現するためのプログラムやデータ等を格納するための領域であり、特に、後述する第1の時刻修正処理を実現するための第1の時刻修正処理プログラム記憶エリア41内に第1の時刻修正処理プログラムが格納されている。
【0041】
RAM50aは、CPU10により実行される各種プログラムや、これらのプログラムの実行に係るデータ等を保持するためのデータ格納領域であり、特に、第1の時刻修正処理における変数である、受信タイムコードデータ記憶エリア51内に受信タイムコードデータ及び保持タイムコードデータ記憶エリア52内に保持タイムコードデータが格納されている。
【0042】
RAM50aのこれらの変数(以下、タイムコード変数と呼ぶ。)は何れも、図7に示したタイムコードのフォーマットを有する変数である。後述するように、CPU10は、タイムコード生成部70から出力される標準タイムコードを受信タイムコードデータ51に格納し、必要に応じて受信タイムコードデータ51の内容を部分的に編集し、また、保持タイムコードデータ記憶エリア52内に保持タイムコードデータをコピーする。
【0043】
なお、以下の説明においては、これらのタイムコード変数におけるn秒〜(n+1)秒期間に相当する箇所をn秒目箇所と呼ぶこととする。また、先頭マーカMであるM信号に相当する箇所である0秒目箇所のことをM信号箇所と呼び、更に、9、19、29、39、49及び59秒目箇所であるP信号の箇所のことをP信号箇所と呼ぶこととする。
【0044】
受信制御部60は、標準電波の受信処理を行う。この受信制御部60は、アンテナ(図示せず。)で受信した電波信号から不要な周波数成分をカットして標準電波に該当する周波数信号を取り出し、この周波数信号を対応する電気信号に変換してタイムコード生成部70へ出力する。
【0045】
タイムコード生成部70は、受信制御部60から出力された電気信号に基づいて、図7に示したタイムコードのフォーマットを有する標準タイムコードを生成してCPU10へ出力する。
【0046】
計時回路部80は、発振回路部82から入力されるクロック信号を計数することで計時される現在時刻のデータを、現在時刻データ81として保持し、また、現在時刻データ81をCPU10へ出力する。この現在時刻データ81は、CPU10による所定の処理において修正される。
発振回路部82は、常時一定周波数のクロック信号を出力する回路である。
【0047】
次に、電波時計1における第1の時刻修正処理の処理動作について、図2に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
現在時刻データ81において計時する時刻が午前2時になると、電波時計1のCPU10は、ROM40aに格納されている第1の時刻修正処理プログラム41を読み出して実行することにより、同図に示す第1の時刻修正処理を開始する。
【0048】
本処理を開始すると、まずCPU10は、受信制御部60を制御して標準電波を受信する(ステップA11)。そしてCPU10は、タイムコード生成部70を制御して標準タイムコードを生成し、これをRAM50aの受信タイムコードデータ51に格納する(ステップA13)。
【0049】
次いでCPU10は、この受信タイムコードデータ51の欠落箇所があるか否かを検出する(ステップA15)。次に、CPU10は、欠落箇所が受信タイムコードデータ51のP信号箇所のみであるか否かを判別する(ステップA17)。
【0050】
CPU10は、ステップA17において、P信号箇所に欠落箇所がないと判別された場合、受信タイムコードデータ51のP信号箇所以外においても欠落箇所があるか否かを検出し、欠落が検出された場合(ステップA17:No)、受信タイムコードデータ51の0秒目箇所から49秒目箇所で欠落が検出されたか否かを判別する(ステップA19)。
【0051】
受信タイムコードデータ51の0秒目箇所から49秒目箇所では欠落が検出されなかった場合(ステップA19:No)、CPU10は、受信タイムコードデータ51の50秒目箇所から59秒目箇所で欠落が検出されたか否かを判別する(ステップA21)
【0052】
受信タイムコードデータ51の50秒目箇所から59秒目箇所で欠落が検出されなかった場合(ステップA21:No)、CPU10は、受信タイムコードデータ51を用いて現在時刻データ81を修正して本処理を終了する(ステップA39)。即ちこれは、ステップA11で受信した標準電波に基づいて生成した標準タイムコードに欠落箇所が無かった場合であり、CPU10は、当該生成した標準タイムコードと同内容の受信タイムコードデータ51を用いて現在時刻データ81を修正する。
【0053】
一方、ステップA21において、受信タイムコードデータ51の50秒目箇所から59秒目箇所で欠落が検出された場合(ステップA21:Yes)、CPU10は、受信タイムコードデータ51の20秒目箇所から49秒目箇所を用いて受信タイムコードデータ51の欠落箇所を補完する(ステップA27)。
【0054】
即ちCPU10は、受信タイムコードデータ51の、欠落が検出されていない20秒目箇所から49秒目箇所に記憶されている積算日及び年の値を用いて、所定の計算により曜日を計算する。かくして計算された曜日の値(0〜6)で、欠落が検出された50秒目箇所から59秒目箇所を補完するように編集する。
【0055】
そしてCPU10は、この補完された受信タイムコードデータ51を用いて現在時刻データ81を修正して本処理を終了する(ステップA39)。
かくして、標準電波から得られた標準タイムコードの50秒目箇所から59秒目箇所が欠落していても、再受信を行うことなく時刻修正を正常に完了する。
【0056】
また、ステップA17において、受信タイムコードデータ51のP信号箇所のみで欠落が検出されたと判別された場合(ステップA17:Yes)、CPU10は、欠落が検出されたP信号箇所(以下、欠落P信号箇所と呼ぶ。)のデータを、その欠落P信号箇所以外のP信号箇所に基づき補完する(ステップA29)。即ち、図7に示すように、P信号箇所は受信タイムコードデータ51の10秒目箇所毎に配されているから、欠落P信号箇所の前後のP信号箇所から欠落P信号箇所のデータを補完する。例えば、P信号P2(図7参照)に対応する19秒目箇所に欠落が検出された場合、P信号P3に対応する29秒目箇所の10秒分手前(M信号箇所側)にP信号P2のデータを補完する。
【0057】
そしてCPU10は、この補完された受信タイムコードデータ51を用いて現在時刻データ81を修正して本処理を終了する(ステップA39)。
かくして、標準電波から得られた標準タイムコードのP信号箇所が欠落していても、再受信を行うことなく時刻修正を正常に完了する。
【0058】
このように、標準電波から得られた標準タイムコードのP信号箇所が欠落している場合及び50秒目箇所から59秒目箇所が欠落している場合については、再受信を行うことなく時刻修正を正常に完了する。
【0059】
一方、ステップA19において、受信タイムコードデータ51の0秒目箇所から49秒目箇所で欠落が検出された場合(ステップA19:Yes)、CPU10はまず、今回の標準電波受信(最後に行われたステップA11)が初回であるか否かを判別する(ステップA31)。
【0060】
初回の受信である場合(ステップA31:Yes)、CPU10は、受信タイムコードデータ51を保持タイムコードデータ52へコピーすることにより、今回の受信で得られた標準タイムコードの内容を保持した後、ステップA11へ移行する(ステップA33)。
【0061】
そしてCPU10は、本処理における標準電波受信以降の処理を再び行うこととなる。即ち、再度、標準電波受信(以下、再受信と呼ぶ。)を行い(ステップA11)、生成した標準タイムコードを用いた時刻修正処理(ステップA13〜A39)を行う。
【0062】
この場合、再受信により生成された標準タイムコードに欠落箇所が無ければ、当該生成した標準タイムコードと同内容の受信タイムコードデータ51を用いて現在時刻データ81を完了する。
また、再受信により生成された標準タイムコードに欠落箇所があったとしても、P信号箇所が欠落している場合及び50秒目箇所から59秒目箇所が欠落している場合については、更なる標準電波受信を行うことなく時刻修正を正常に完了する。
【0063】
一方、再受信を行った結果、生成された標準タイムコードの0秒目箇所から49秒目箇所に欠落箇所があり、従って受信タイムコードデータ51の0秒目箇所から49秒目箇所に欠落が検出された場合(ステップA11〜A15→A17:No→A19Yes→A31:No)、CPU10は、再受信による標準タイムコードである受信タイムコードデータ51と、初回の受信による標準タイムコードである保持タイムコードデータ52との間で相互補完可能か否かを判別する(ステップA33)。
【0064】
相互補完可能か否かの判別は、例えば、2つのタイムコード変数それぞれの0秒目箇所から49秒目箇所に共通した欠落箇所が無いことで相互補完可能と判別し、共通した欠落箇所が有る場合を相互補完不可と判別する。
【0065】
受信タイムコードデータ51と保持タイムコードデータ52との間で相互補完可能な場合(ステップA33:Yes)、CPU10は、受信タイムコードデータ51と保持タイムコードデータ52との間で相互補完を行う(ステップA35)。
【0066】
具体的には、CPU10は、受信タイムコードデータ51の欠落箇所(以下、再受信欠落箇所と呼ぶ。)を特定し、保持タイムコードデータ52の再受信欠落箇所のデータを受信タイムコードデータ51の再受信欠落箇所に上書きする。
【0067】
そしてCPU10は、この補完された受信タイムコードデータ51を用いて現在時刻データ81を修正して本処理を終了する(ステップA39)。
かくして、標準電波から得られた標準タイムコードの0秒目箇所から49秒目箇所に欠落があって再受信が必要となる場合も、より少ない再受信回数で時刻修正を正常に完了する。
【0068】
このように、本実施の形態の電波時計1によれば、標準電波の受信動作の時間が可及的に短縮され、従って、電力の消費がより抑えられることとなる。
【0069】
[変形例]
なお、上述した実施の形態においては、受信タイムコードデータのP信号箇所で欠落が検出された場合、当該P信号箇所(欠落P信号箇所)のデータを欠落P信号箇所以外のP信号箇所に基づき補完するようにしたが、本発明はこれに限らず、受信タイムコードデータの先頭に配されるM信号箇所に基づいて、欠落が検出されたP信号箇所のデータを補完するようにしてよい。例えば、P信号P1(図7参照)に対応する9秒目箇所に欠落が検出された場合、M信号箇所の9秒分後方にP信号P1のデータを補完する。
【0070】
2.第2の実施の形態
図3は、第2の実施の形態の電波時計2の内部構成を示すブロック図である。
なお、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0071】
同図に示すように、本実施の形態の電波時計2は、電波時計1のROM40aに替えてROM40bを、RAM50aに替えてRAM50bを備えて構成されている。
【0072】
この電波時計2の計時回路部80は、第1の実施の形態の場合と同様に構成され、現在時刻データ81において計時を行うが、ここで、この現在時刻データ81について、より詳細に説明する。
【0073】
図4は、計時回路部80に保持される現在時刻データ81の内容を模式的に表す図である。同図に示すように、現在時刻データ81は、年(西暦下2桁)、積算日、時、分、秒及び曜日を表すそれぞれ年データ81a、積算日データ81b、時データ81c、分データ81d、秒データ81e及び曜日データ81fを備えて構成されている。
【0074】
年データ81a、積算日データ81b、時データ81c、分データ81d、秒データ81e及び曜日データ81fには、それぞれ、年、積算日、時、分、秒及び曜日(0〜6)の値が、例えばタイムコードの場合と同様にBCDで格納されている。
例えば、同図においては、時刻「2004年11月1日月曜日2時0分0秒」を表すデータが格納されている。なお、簡単のため10進表示している。
以下、2桁で構成される年データ81a、時データ81c及び分データ81dのそれぞれ第1桁(1の位)のデータを、年第1桁データ81g、時第1桁データ81h及び分第1桁データ81iとする。
【0075】
ROM40bは、ROM40aと同様にプログラムやデータ等を格納するための領域であるが、特に、後述する第2の時刻修正処理を実現するための第2の時刻修正処理プログラム42及び取得位置特定表43が格納されている。
【0076】
この取得位置特定表43は、図5に示すような、各日付の種類を表す「実行日」項目のデータに、現在時刻データ81において修正対象とするデータ種別を表す「修正対象データ」項目のデータと、標準タイムコード上において取得すべき箇所を表す「取得箇所」項目とが対応付けられたデータが格納されているデータテーブルである。
なお、「取得箇所」項目の各データは何れも、P信号箇所を含んだ範囲となるように設定されている。
【0077】
RAM50bは、RAM50aと同様に、各種プログラムや、プログラムの実行に係るデータ等を保持するための領域であり、特に、第2の時刻修正処理における変数である部分タイムコードデータ54、修正対象データ55、取得箇所データ56、受信期間データ57及び計時修正データ58が格納されている。
【0078】
部分タイムコードデータ54は、第2の時刻修正処理において標準電波を受信して生成されるタイムコードを格納する為の領域であり、受信タイムコードデータ51と同様に、この部分タイムコードデータ54もまたタイムコード変数である。
【0079】
修正対象データ55は、第2の時刻修正処理において修正すべき、現在時刻データ81上のデータ種別を表す変数であり、図5に示した「修正対象データ」項目の各データの何れかが格納される。
取得箇所データ56は、標準タイムコード上において取得すべき箇所を表す変数であり、図5に示した「取得箇所」項目の各データの何れかが格納される。
受信期間データ57には、標準電波を受信すべき期間の、受信開始時刻及び受信終了時刻が格納される。
計時修正データ58には、現在時刻データ81上のデータを上書きする際に用いられるデータが格納される。
【0080】
次に、電波時計2における時刻修正処理である第2の時刻修正処理の処理動作について、図6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
CPU10は、ROM40bに格納される第2の時刻修正処理プログラム42を実行することにより、同図に示す第2の時刻修正処理を開始する。
【0081】
CPU10は、現在時刻データ81において計時する時刻が午前2時になるまで待ち受け(ステップB11)、午前2時になると(ステップB11:Yes)、取得位置特定表43と現在時刻データ81の現在日付・曜日とに基づいて、現在時刻データ81中の修正対象データを判別し、RAM50bの修正対象データ55に記憶する(ステップB13)。
【0082】
この場合、CPU10は、まず現在時刻データ81の積算日データ81b及び曜日データ81fからそれぞれ現在日付及び曜日を算出する。そして取得位置特定表43において、この算出された現在日付及び曜日に対応する修正対象データを特定し、修正対象データ55に記憶する。例えば、図4に示した11月1日月曜日の場合、図5の実行日「毎月1日」に対応する「時第1桁データ」が修正対象データ55に記憶される。
【0083】
次いでCPU10は、修正対象データ55から取得箇所を特定し、取得箇所データ56に記憶する(ステップB15)。この場合、CPU10は、取得位置特定表43において修正対象データ55に対応する取得箇所を特定し、取得箇所データ56に記憶する。例えば、修正対象データ55が「時第1桁データ」ならば、これに対応する「15秒目〜19秒目」が取得箇所データ56に記憶される。
【0084】
次いでCPU10は、計時誤差を考慮して、取得箇所データ56に基づいて、標準電波の受信開始時刻及び受信終了時刻を決定して受信期間データ57に記憶する(ステップB17)。
【0085】
この場合、CPU10はまず、計時回路部80及び発振回路部82の仕様で定まる月差と前回の時刻修正からの経過時間とに基づいて、本処理実行時の誤差時間を計算する。例えば月差30秒(月当り±30秒の範囲で計時が前後する仕様)で、前回の時刻修正から1日が経過している場合、誤差時間は1秒と算出される。即ち、現在時刻データ81の時刻が1秒以内の範囲で進んでいるか遅れていることになる。
【0086】
そしてCPU10は、この誤差時間を考慮に入れて、取得箇所データ56に基づいて、標準電波の受信開始時刻及び受信終了時刻を決定する。例えば、取得箇所データ56が「15秒目〜19秒目」、誤差時間が1秒である場合、午前2時0分の標準電波によるタイムコード上の15秒目箇所の取得に間に合うように、受信開始時刻が2時0分14秒と決定され、19秒目箇所までを取得するように、受信終了時刻が2時0分20秒と決定される。
【0087】
次いでCPU10は、受信期間データ57の受信開始時刻となるまで待ち受け(ステップB19)、受信開始時刻になると(ステップB19:Yes)、標準電波の受信を開始する(ステップB21)。そしてCPU10は、受信期間データ57の受信終了時刻となるまで標準電波の受信を継続し(ステップB23)、受信終了時刻になると(ステップB23:Yes)、標準電波の受信を終了する(ステップB25)。
かくして、例えば2時0分14秒から2時0分20秒の6秒間に亘って標準電波の受信が行われる。
【0088】
次いでCPU10は、受信した標準電波受信から標準タイムコードを生成して部分タイムコードデータ54に記憶する(ステップB27)。かくして例えば、部分タイムコードデータ54には、標準タイムコード上の13秒目箇所から19秒目箇所が記憶される。因みに、この場合、現在時刻データ81の時刻が標準時刻より1秒進んでいたこととなる。
また、この場合CPU10は、P信号箇所である19秒目箇所によって、この部分タイムコードデータ54が13秒目箇所から19秒目箇所のデータであることを認識できる。
【0089】
次いでCPU10は、部分タイムコードデータ54のうちの取得箇所データ56に記憶される箇所のデータを抽出し、計時修正データ58に記憶する(ステップB29)。例えば、13秒目箇所から19秒目箇所が記憶される部分タイムコードデータ54のうちの、15秒目箇所から19秒目箇所が抽出され、時第1桁データである「2」が計時修正データ58に記憶される。
【0090】
次いでCPU10は、計時修正データ58に基づいて、現在時刻データ81を修正して本処理を終了する(ステップB31)。この場合、CPU10は、現在時刻データ81の修正対象データ55に記憶される修正対象を、計時修正データ58で上書きすることで修正する。例えば、現在時刻データ81の時第1桁データ81hが、計時修正データ58の「2」で上書きされる。
【0091】
このように、本処理によれば、標準電波の受信は、例えば6秒間といった、タイムコードの周期に比べてごく短い時間に亘って行われ、その受信した標準電波に基づいて時刻修正が行われる。
かくして、本実施の形態の電波時計2によれば、時刻修正に必要な標準電波受信の動作の時間がより短縮され、電力の消費がより抑えられることとなる。
【0092】
[変形例]
なお、本実施の形態の場合、一度の時刻修正処理において現在時刻データ81内の、例えば時第1桁データ81hといった1データを対象として修正するようにしたが、本発明はこれに限らず、一度の時刻修正処理において、適宜、現在時刻データ81内の複数データを対象として修正するようにして良い。
【0093】
例えば、図6に示す第2の時刻修正処理において、次のような処理とすることにより、ステップB13〜B31を適宜繰り返し行い、現在時刻データ81内の複数のデータ、例えば積算日データ81b、時データ81c及び分データ81dを順次修正する。
【0094】
まず、午前2時となったらステップB13〜B31を行うことにより、現在時刻データ81の、例えば積算日データ81bを修正する。この場合、例えば1秒の誤差時間を考慮に入れて、午前2時0分21秒から35秒に亘って電波受信を行う。
そして、ステップB31までを終えた後も処理を終了せず、午前2時1分となるのを待つ。午前2時1分となったらステップB13へ戻り、ステップB13〜B31を行うことにより、現在時刻データ81の、例えば時データ81cを修正する。この場合、誤差時間を考慮に入れて、午前2時1分9秒から20秒に亘って電波受信を行う。
同様に、午前2時2分となったら、現在時刻データ81の、例えば分データ81dを修正する。この場合、誤差時間を考慮に入れて、午前2時2分0秒から10秒に亘って電波受信を行う。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】第1の実施の形態の電波時計の回路構成を示すブロック図である。
【図2】第1の時刻修正処理の処理フローを示す図である。
【図3】第2の実施の形態の電波時計の回路構成を示すブロック図である。
【図4】現在時刻データの構成を示す図である。
【図5】取得位置特定表の構成を示す図である。
【図6】第2の時刻修正処理の処理フローを示す図である。
【図7】タイムコードのフォーマットを示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1 電波時計
10 CPU
51 受信タイムコードデータ
52 保持タイムコードデータ
60 受信制御部
80 計時回路部
81 現在時刻データ
82 発振回路部
2 電波時計
43 取得位置特定表
54 部分タイムコードデータ
55 修正対象データ
57 受信期間データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を計時する時刻計時手段と、
標準電波を受信する受信手段と、
この受信手段に標準電波を受信させてタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれる時分データの欠落を検知する検知手段と、
この検知手段により欠落が検知された場合に、前記受信制御手段の制御により予め取得されているタイムコードと欠落が検知されたタイムコードとに基づいて、当該欠落部分を補完する補完制御手段と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する補完コード基準修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【請求項2】
曜日を含む時刻を計時する時刻計時手段と、
標準電波を受信する受信手段と、
この受信手段に標準電波を受信させてタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれる曜日データの欠落を検知する検知手段と、
この検知手段により曜日データの欠落が検知された場合に、前記受信制御手段の制御により取得されたタイムコードの年データ及び通算日データに基づいて、当該欠落の曜日データを補完する補完制御手段と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する補完コード基準修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【請求項3】
時刻を計時する時刻計時手段と、
標準電波を受信する受信手段と、
この受信手段に標準電波を受信させてタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードのうち、標準電波の規格による所定の時間間隔で挿入されている識別データの一部欠落を検知する検知手段と、
この検知手段により欠落が検知された場合に、前記受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれている識別データ及び前記時間間隔に基づいて、前記欠落している識別データを補完する補完制御手段と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードで前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する補完コード基準修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【請求項4】
時刻を計時する時刻計時手段と、
標準電波を受信する受信手段と、
この受信手段に標準電波を受信させてタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれている標準電波の規格による所定の時間間隔で挿入されている識別データのうち、当該タイムコードの先頭部分を表す先頭データに隣接する識別データの欠落を検知する検知手段と、
この検知手段により欠落が検知された場合に、前記受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれている前記先頭データに基づいて、当該先頭データの隣接位置に識別データを補完する補完制御手段と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードで前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する補完コード基準修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【請求項5】
時刻を計時する時刻計時手段と、
標準電波を受信する受信手段と、
前記時刻計時手段により計時されている時刻のデータの中から修正対象箇所を決定する対象箇所決定手段と、
この対象箇所決定手段により決定された修正対象箇所に対応するタイムコードの部分を判定し、この判定した部分的なタイムコードを受信するための受信時刻を、前記時刻計時手段により計時されている時刻及び計時誤差に基づいて、決定する受信時刻決定手段と、
この受信時刻決定手段により決定された受信時刻に前記受信手段に標準電波を受信させて、前記判定した部分的なタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段の制御により取得された部分的なタイムコードに基づいて、前記対象箇所決定手段により決定された修正対象箇所を修正することで前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【請求項6】
時分秒を含む時刻を計時する時刻計時手段と、
タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれる時刻データの欠落を検出する欠落検出手段と、
この欠落検出手段により時刻データの欠落が検出された際に、前記受信制御手段の制御により予め取得されているタイムコードのうち、前記欠落されている時刻データに対応するタイムコードの部分で前記欠落されている時刻データに対応するタイムコードの部分を補完するように制御する補完制御手段と、
この補完制御手段の制御により補完されたタイムコードの部分を含むタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【請求項7】
曜日を含む時刻を計時する時刻計時手段と、
タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードに含まれる曜日データの欠落を検出する欠落検出手段と、
この欠落検出手段により曜日データの欠落が検出された際に、前記受信制御手段の制御により予め取得されているタイムコードの年データと通算日データとに基づいて、前記受信制御手段の制御により取得されたタイムコードのうち、当該欠落曜日データに対応するタイムコードを補完する補完制御手段と、
この補完制御手段により補完されたタイムコードの部分を含むタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【請求項8】
時分秒を含む時刻を計時する時刻計時手段と、
タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードのうち、標準電波の規格に従って規定されている識別データの一部が欠落しているかを検出する欠落検出手段と、
この欠落検出手段により識別データの一部の欠落が検出された際に、当該欠落検出手段により欠落されていないと検出された他の識別データに基づいて、前記欠落している欠落識別データを補完するように制御する補完制御手段と、
この補完制御手段の制御により補完された欠落識別データに対応するタイムコードの部分を含むタイムコードタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【請求項9】
時分秒を含む時刻を計時する時刻計時手段と、
タイムコードを含む標準電波を受信しタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段の制御により取得されたタイムコードのうち、標準電波の規格に従って規定されている識別データのうち、当該タイムコードの先頭部分を表す先頭データに隣接する識別データの欠落を検出する欠落検出手段と、
この欠落検出手段により識別データの欠落が検出された際に、前記受信制御手段の制御により予め取得されているタイムコードに含まれている前記先頭データに対応するタイムコードの部分に基づいて、当該先頭データの隣接位置に前記欠落している欠落識別データを補完するように制御する補完制御手段と、
この補完制御手段により補完された欠落識別データに対応するタイムコードの部分を含むタイムコードタイムコードに基づいて、前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。
【請求項10】
時分秒を含む時刻を計時する時刻計時手段と、
タイムコードを含む標準電波を受信する受信手段と、
この時刻計時手段により計時されている時刻のデータの中から修正対象箇所を順次に決定する対象箇所決定手段と、
この対象箇所決定手段により決定された各修正対象箇所に対応するタイムコードの部分をそれぞれ判定し、この判定したそれぞれの部分的なタイムコードを受信するための異なる受信時刻を、前記時刻計時手段により計時されている時刻と予め定められた計時誤差に基づいて決定する受信時刻決定手段と、
この受信時刻決定手段により決定されたそれぞれの受信時刻に前記受信手段に標準電波を受信させて、前記判定したそれぞれの部分的なタイムコードを取得する受信制御手段と、
この受信制御手段により取得された部分的なタイムコードに基づいて、前記対象箇所決定手段により決定された各修正対象箇所を修正することで前記時刻計時手段により計時されている時刻を修正する時刻修正手段と、
を備えることを特徴とする時刻情報受信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−105621(P2006−105621A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288931(P2004−288931)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】