説明

時系列データを表示するユーザインタフェースプログラム、システム及び方法

【課題】行為項目に対して時間幅及び数値の変化を視覚的に俯瞰できると共に、計算資源が低い端末であっても少ない情報量での表示処理を可能とするユーザインタフェースプログラム、システム及び方法を提供する。
【解決手段】ユーザ操作に応じて、時間軸のタイムスケールを任意に変更可能なスケール変更手段と、時間軸のタイムスケールに応じて、隣り合う少なくとも2つのブロックオブジェクトの間の距離が、所定閾値以下か否かを判定する距離判定手段と、距離判定手段によって真と判定された際に、これらブロックオブジェクトの数値の変化に基づく他のブロックオブジェクトを、ブロックオブジェクト記憶手段から検索するブロックオブジェクト検索手段とを有し、ブロックオブジェクト検索手段によって検索されたブロックオブジェクトを、時間軸上の位置に表示するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列データを表示するユーザインタフェース画面の技術に関する。例えば医療従事者が閲覧する電子カルテ情報を表示する画面に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクト管理用の時系列データを、ユーザが理解しやすいように様々な観点から表示する「ユーザインタフェースアプリケーション」がある。特に、医療用の電子カルテ情報については、医療従事者が、患者毎に、次の治療計画を検討するために、過去の治療行為を時間軸に沿って迅速に閲覧できることが望まれる。このようなユーザインタフェースアプリケーションとして、スケジュール表によって医療行為を閲覧することができる、例えば「クリニカルパス」と称される技術がある。
【0003】
電子カルテ情報を表示するユーザインタフェースとして、横軸に、例えば年単位・月単位・日単位のような多段階の時間軸を表示し、縦軸に医療行為(病名・投薬・診断・検査等)を表示する技術がある(例えば特許文献1〜3参照)。この技術によれば、実際に行われた医療行為が、時間軸に沿ったマークとして表示されている。閲覧者は、時間軸のタイムスケール(時間尺度)を、任意の段階に変更することができ、過去の医療行為の経緯について俯瞰することができる。この情報の俯瞰性の高さは、医療従事者の思考に対して、行為項目同士の因果関係の推定等を容易にするようサポートする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−192002号公報
【特許文献2】特開2009−134713号公報
【特許文献3】特開2009−282557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表示する時間軸のタイムスケールが大きくなる(表示する時間幅が長い)ほど、1画面に表示されるイベントの数が多くなりすぎ、それらのイベントの表示処理に多くのメモリを必要とする。閲覧者にとっては、イベントの数が多くなるほど、全体的に外観することしかできない。一方で、それら情報を表示する端末にとっては、計算資源(メモリ量やプロセッサの処理速度)が少ない小型端末ほど、表示処理に負担がかかり、ユーザインタフェースに重要なユーザ応答性が鈍くなる。
【0006】
また、前述した特許文献1〜3に記載された技術によれば、電子カルテ情報は、時間軸に沿ってイベントをテキスト入力するのみであり、医療行為に対する概ねの時間幅や、検査値や投薬量の数値の変化を、視覚的に俯瞰するものではない。
【0007】
そこで、本発明は、行為項目に対して時間幅及び数値の変化を視覚的に俯瞰できると共に、計算資源が低い端末であっても少ない情報量での表示処理を可能とするユーザインタフェースプログラム、システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、時系列データをディスプレイに表示するべく、端末に搭載されたコンピュータを機能させるユーザインタフェースプログラムであって、
行為項目と、当該行為項目に関連する開始時刻及び終了時刻の時間幅と、当該行為項目に関連する数値とを対応付けたイベントを記憶するイベント記憶手段と、
数値の変化に応じて異なる形状の複数のブロックオブジェクトを記憶したブロックオブジェクト記憶手段と、
行為項目に対して時間軸を規定し、イベントを、時間軸上で該当する時間幅に、ブロックオブジェクトとして表示する表示制御手段と、
表示制御手段によって表示されるブロックオブジェクトを記憶するオブジェクトメモリ手段と、
ユーザ操作に応じて、時間軸のタイムスケールを任意に変更可能なスケール変更手段と、
時間軸のタイムスケールに応じて、隣り合う少なくとも2つのブロックオブジェクトの間の距離が、所定閾値以下か否かを判定する距離判定手段と、
距離判定手段によって真と判定された際に、これらブロックオブジェクトを統合した場合の数値の変化に基づく他のブロックオブジェクトを、ブロックオブジェクト記憶手段から検索するブロックオブジェクト検索手段と
してコンピュータを機能させ、表示制御手段が、ブロックオブジェクト検索手段によって検索されたブロックオブジェクトを、時間軸上で該当する時間幅に表示するように制御することを特徴とする。
【0009】
本発明のユーザインタフェースプログラムにおける他の実施形態によれば、
表示制御手段は、異なるタイムスケールの時間軸を複数のラインによって表示し、
スケール変更手段は、ユーザ操作によって、複数のラインのいずれか1つを選択させるようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0010】
本発明のユーザインタフェースプログラムにおける他の実施形態によれば、距離判定手段は、第1のイベントの終了時刻と、それに隣り合う第2のイベントの開始時刻との差を、時間軸のタイムスケール(長さ/時間)で除算した値が、所定閾値以下か否かを判定するようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0011】
本発明のユーザインタフェースプログラムにおける他の実施形態によれば、所定閾値は、第1のイベントの時間幅と、それに隣り合う第2のイベントの時間幅との差に基づいて可変設定されるようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0012】
本発明のユーザインタフェースプログラムにおける他の実施形態によれば、
イベントブロック記憶手段は、
数値の大きさに基づいて高さが異なる長方形からなる1次オブジェクトと、
複数の数値の変化に基づく単調増加及び単調減少の四角形からなる2次オブジェクトと、
複数の数値の変化に基づく形状の多角形からなる3次オブジェクトと
してコンピュータを機能させることも好ましい。
【0013】
本発明のユーザインタフェースプログラムにおける他の実施形態によれば、
表示制御手段は、
時間軸に対する垂直方向に、複数の行為項目を列挙した行為項目軸を有し、
スケール変更手段は、ユーザ操作に応じて、行為項目軸のスケールを任意に変更可能であり、
行為項目軸のスケールが拡大された際に、1次オブジェクトから、2次オブジェクト又は3次オブジェクトが検索され、行為項目軸のスケールが縮小された際に、3次オブジェクトから、1次オブジェクト又は2次オブジェクトが検索される
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0014】
本発明のユーザインタフェースプログラムにおける他の実施形態によれば、表示制御手段は、ブロックオブジェクトが統合した態様として表された場合に、当該ブロックオブジェクトに、イベントの個数を表示するようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0015】
本発明のユーザインタフェースプログラムにおける他の実施形態によれば、表示制御手段は、ブロックオブジェクトが統合した態様として表された場合に、当該ブロックオブジェクトに、イベント毎の時間幅の区分線を時間軸方向に引くようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0016】
本発明のユーザインタフェースプログラムにおける他の実施形態によれば、
ユーザインタフェースプログラムは、医療従事者によって閲覧される電子カルテ情報を表示するものであり、
行為項目は、医療行為を意味し、
イベントは、医療行為の時間幅及び数値を表すことも好ましい。
【0017】
本発明によれば、ディスプレイを有する端末と、時系列データを蓄積した管理サーバとがネットワークを介して接続された時系列データ管理システムにおいて、
管理サーバは、
行為項目と、当該行為項目に関連する開始時刻及び終了時刻の時間幅と、当該行為項目に関連する数値とを対応付けたイベントを記憶するイベント記憶手段と、
数値の変化に応じて異なる形状の複数のブロックオブジェクトを記憶したブロックオブジェクト記憶手段と、
端末から、ユーザ操作に応じた時間軸のタイムスケールを受信するタイムスケール受信手段と、
時間軸のタイムスケールに応じて、隣り合う少なくとも2つのブロックオブジェクトの間の距離が、所定閾値以下か否かを判定する距離判定手段と、
距離判定手段によって真と判定された際に、これらブロックオブジェクトを統合した場合の数値の変化に基づく他のブロックオブジェクトを、ブロックオブジェクト記憶手段から検索するブロックオブジェクト検索手段と
検索されたブロックオブジェクトを、端末へ送信するブロックオブジェクト送信手段と
を有し、
端末は、
行為項目に対して時間軸を規定し、管理サーバから受信したブロックオブジェクトを、時間軸上で該当する時間幅に表示する表示制御手段と、
表示制御手段によって表示されるブロックオブジェクトを記憶するオブジェクトメモリ手段と
を有することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、端末のディスプレイに、時系列データを表示するユーザインタフェース表示方法であって、
行為項目と、当該行為項目に関連する開始時刻及び終了時刻の時間幅と、当該行為項目に関連する数値とを対応付けたイベントを記憶するイベント記憶部と、
数値の変化に応じて異なる形状の複数のブロックオブジェクトを記憶したブロックオブジェクト記憶部と
を有し、
ユーザインタフェースの画面には、行為項目に対して時間軸が規定されており、
表示すべきブロックオブジェクトをメモリに記憶すると共に、時間軸上で該当する時間幅に表示する第1のステップと、
ユーザ操作に応じて、時間軸のタイムスケールを任意に変更する第2のステップと、
時間軸のタイムスケールに応じて、隣り合う少なくとも2つのブロックオブジェクトの間の距離が、所定閾値以下か否かを判定する第3のステップと、
第3のステップによって真と判定された際に、これらブロックオブジェクトを統合した場合の数値の変化に基づく他のブロックオブジェクトを、ブロックオブジェクト記憶手段から検索する第4のステップと、
第4のステップによって検索されたブロックオブジェクトを、時間軸上で該当する時間幅に表示する第5のステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のユーザインタフェースプログラム、システム及び方法によれば、行為項目に対して時間幅及び数値の変化を視覚的に俯瞰できると共に、計算資源が低い端末であっても少ない情報量での表示処理を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明におけるユーザインタフェース画面である。
【図2】本発明における端末に搭載されたコンピュータを機能させる、時系列データ用のユーザインタフェースプログラムの機能構成図である。
【図3】イベントの情報単位を表すコードである。
【図4】2つの1次オブジェクトから選択された2次オブジェクトを表す説明図である。
【図5】2つの2次オブジェクトから選択された3次オブジェクトを表す説明図である。
【図6】タイムスケールを変更したユーザインタフェース画面である。
【図7】行為項目の方向にタイムスケールを変更したユーザインタフェース画面である。
【図8】複数のブロックオブジェクトによって表示したユーザインタフェース画面である。
【図9】ブロックオブジェクトにおける他の表示形態を表すユーザインタフェース画面である。
【図10】本発明におけるシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明におけるユーザインタフェース画面である。
【0023】
図1のユーザインタフェース画面には、医療従事者によって閲覧される電子カルテ情報が表示されている。図1によれば、縦軸に複数の行為項目(医療行為)が表示され、横軸に時間軸が表示されている。時間軸の上部には、多段階の時間尺度(タイムスケール)を持つ複数の「ライン」が表示されている。例えば、以下のような3つのラインが表示される。
・年単位のライン(タイムスケールが大きい)
・月単位のライン
・日単位のライン(タイムスケールが小さい)
医療従事者は、その患者の過去の診療経緯に基づいて、多段階のタイムスケールのラインのいずれか1つを選択する。選択されたラインに応じて、所望の時点(例えば現日時)から過去の診療経緯を表示する。
【0024】
図1によれば、行為項目毎に、その行為が実行された旨のイベントが、時間軸上の該当位置に表示されている。イベントは、簡単な長方形のマークとして表示されてもよいが、本発明によれば、簡単な様々な形状のブロックオブジェクトとして表示される。ブロックオブジェクトは、複数の形状の中から、イベントの数値の変化に応じた形状のものが選択される。
【0025】
図2は、本発明における端末に搭載されたコンピュータを機能させる、時系列データ用のユーザインタフェースプログラムの機能構成図である。
【0026】
図2によれば、端末1は、ユーザに閲覧させるディスプレイ101と、ユーザの操作を受け付ける入力インタフェース102とを有する。入力インタフェース102は、タイムスケールの変更操作をユーザから受け付けるものである。例えばこれら2つの機能を搭載した、タッチパネル用ディスプレイであってもよい。
【0027】
図2によれば、端末1に搭載されたコンピュータを、イベント記憶部111と、ブロックオブジェクト記憶部112と、スケール変更部113と、距離判定部114と、ブロックオブジェクト検索部115と、表示制御部116と、オブジェクトメモリ部117として機能させる。
【0028】
[イベント記憶部111]
イベント記憶部111は、その行為に基づく情報単位であるイベントを記憶する。イベントは、「行為項目」と、当該行為項目に関連する開始時刻及び終了時刻の「時間幅」と、当該行為項目に関連する「数値」とを対応付けたものである。
【0029】
図3は、イベントの情報単位を表すコードである。図3によれば、<timeRange>によって時間幅(開始時刻及び終了時刻)が表され、<values>によって数値が表されている。
【0030】
電子カルテ情報に関する「行為項目」としては、例えば「処方投薬」「検査」「注射」等となる。「時間幅」としては、例えば投薬された期間となる。「数値」としては、例えば投薬された量となる。
【0031】
電子カルテ情報におけるイベントは、一方の行為項目によって、他方の行為項目の時刻(時間幅)及び数値(量)を対応付けて記憶するものであってもよい。例えば、行為項目「注射」の行為の後、所定の時間経過後に他の行為項目「検査」との関係が対応付けられていてもよい。
【0032】
[ブロックオブジェクト記憶部112]
ブロックオブジェクト記憶部112は、数値の変化に応じて異なる形状の複数のブロックオブジェクトを記憶する。ブロックオブジェクト記憶部112は、例えば以下のような3つのオブジェクトを記憶することが好ましい。
(1次オブジェクト)数値の大きさに基づいて高さが異なる長方形
(2次オブジェクト)複数の数値の変化に基づいて単調増加及び単調減少に近似した四角形
(3次オブジェクト)複数の数値の変化に基づいて近似した多角形
【0033】
図4は、2つの1次オブジェクトから選択された2次オブジェクトを表す説明図である。
図5は、2つの2次オブジェクトから選択された3次オブジェクトを表す説明図である。
【0034】
1次オブジェクトは、例えば、数値の大きさに応じて、3段階の高さの長方形によって表される。これは、イベントの数値について分散を計算し、分散が一定値以下である場合、移動平均して平滑化し、その平均値に応じた高さの長方形が選択される(図4(a)参照)。
【0035】
2次オブジェクトは、例えば、複数のイベントの数値の変化に基づいて単調増加及び単調減少に近似した四角形によって表される。これは、イベントの数値について分散を計算し、分散が一定値以上であって、数値が単調増加又は単調減少している場合に線形近似し、その形状に類似する四角形が選択される(図4(b)参照)。
【0036】
3次オブジェクトは、例えば、複数のイベントの数値の変化に基づいて近似した多角形を選択する。これは、イベントの数値について平均及び分散を計算し、分散が一定値以上であって、且つ、最初のイベントの数値と最後のイベントの数値との差が一定値以下である場合に正規近似し、その形状に類似する多角形が選択される(図5参照)。例えば、山形、谷形、段々形等の多角形がある。
【0037】
[スケール変更部113]
スケール変更部113は、ユーザ操作に応じて、時間軸のタイムスケールを任意に変更可能とする。例えば、ユーザインタフェース画面に表示された多段階のタイムスケールのラインのいずれか1つを、ユーザ操作に応じて選択することによって、タイムスケールを変更することができる。
【0038】
図6は、タイムスケールを変更したユーザインタフェース画面である。
【0039】
ユーザインタフェース画面には、時間軸上に複数のブロックオブジェクトが表示される。これらブロックオブジェクト同士の間の距離は、選択されたラインにおけるタイムスケールによって変化する。即ち、タイムスケールが大きいほど、ブロックオブジェクト同士の間の距離は短くなり、タイムスケールが小さいほど、その距離は長くなる。
【0040】
例えば、隣り合う2つのブロックオブジェクトの時間差がわずか1日分しかない場合、日単位のラインでは、2つのブロックオブジェクトの間の差は閲覧者にとって明確に認識されるが、年単位のラインでは、その間の差はほとんど認識できない。
【0041】
図6(a)によれば、年単位のラインが選択されている。図6(b)によれば、月単位のラインが選択されている。図6(c)によれば、日単位のラインが選択されている。例えば、基準日を「2010年9月27日」とすると、その基準日からの過去の経緯が相対的に表示される。医療従事者は、その患者に対する年単位・月単位・日単位で過去の医療行為について俯瞰することができる。
【0042】
[距離判定部114]
距離判定部114は、時間軸のタイムスケールに応じて、隣り合う少なくとも2つのイベント(既に統合されている場合は2つのブロックオブジェクト)の間の距離が、所定閾値以下か否かを判定する。所定閾値は、第1のイベントの時間幅と、それに隣り合う第2のイベントの時間幅との差に基づいて可変設定されるものであってもよい。
【0043】
例えば、第1のイベントの終了時刻と、それに隣り合う第2のイベントの開始時刻との差を、その時点の時間軸のタイムスケールで除算した値が、所定閾値以下か否かを判定する。
(第2のイベントの開始時刻−第1のイベントの終了時刻)/現在のタイムスケール
< 所定閾値
所定閾値=(第1のイベントの時間幅−第2のイベントの時間幅)・α+c
α:係数
c:オブジェクトブロックの種類毎の係数
【0044】
また、距離判定部114は、例えば以下のようなルールベースに基づいて、複数のイベントをブロックオブジェクトに統合する。例えば、一定のタイムギャップ(イベント間の差)が現れるまで、隣り合うブロックオブジェクトを統合する。但し、統合されたブロックオブジェクトに含まれるイベント数は、所定閾値N個以下となるように分割される。統合すべき複数のイベントは、ブロックオブジェクト検索部115へ出力する。
【0045】
尚、他のルールベースとして、第1のブロックオブジェクトにおけるイベント間の平均タイムギャップtと、第2のブロックオブジェクトとのタイムギャップとの差が、所定閾値以上である場合、ブロックオブジェクトを統合しないようにすることも好ましい。その他、2個のブロックオブジェクトでは統合しないが、3個以上の場合には統合するようなルールベースを設定することもできる。
【0046】
[ブロックオブジェクト検索部115]
ブロックオブジェクト検索部115は、距離判定部114によって真と判定された際に、これらブロックオブジェクトの数値の変化に基づく他のブロックオブジェクトを、ブロックオブジェクト記憶部112から検索する。
【0047】
ブロックオブジェクト検索部115は、時間軸のタイムスケールが拡大された際に、隣り合うブロックオブジェクトの間の距離に基づいて、複数のブロックオブジェクトを統合する。逆に、時間軸のタイムスケールが縮小された際に、統合されたブロックオブジェクトに基づくイベントの間の距離に基づいて、複数のブロックオブジェクトに分解する。
【0048】
また、ブロックオブジェクト検索部115は、行為項目軸のスケールが拡大された際に、1次オブジェクトから、2次オブジェクト又は3次オブジェクトに統合する。逆に、行為項目軸のスケールが縮小された際に、3次オブジェクトから、1次オブジェクト又は2次オブジェクトに分解される。尚、行為項目軸のスケールは、行為項目数によって変化するものであってもよい。行為項目数が少なければできる限り3次オブジェクトで表示することが好ましい。
【0049】
[表示制御部116]
表示制御部116は、行為項目に対して時間軸を規定し、イベント(ブロックオブジェクト検索部115によって検索されたブロックオブジェクト)を、時間軸上の位置にブロックオブジェクトとして表示する。
【0050】
[オブジェクトメモリ部117]
オブジェクトメモリ部117は、表示制御部116によって表示されるブロックオブジェクトを記憶する。本発明によれば、表示する時間軸のタイムスケールが大きく(表示する時間幅が長い)なっても、当該メモリに記憶されるべき1画面に表示されるブロックオブジェクトの数を少なく維持することができる。
【0051】
図7は、行為項目の方向にタイムスケールを変更したユーザインタフェース画面である。
【0052】
図7(a)の行為項目軸のスケールが拡大された際に、図7(b)のようになる。図7(b)によれば、行為項目に対する各イベントのブロックオブジェクトについて高さ方向の幅を広くすることができる。この場合、イベントの数値に応じて、高さの異なるブロックオブジェクトを表示することができる。図7(b)によれば、図7(a)の各イベントに対して、1次オブジェクトによって表されている。
【0053】
尚、図7(a)であっても、本発明によれば、1つの1次ブロックオブジェクトを、その時間幅に応じて伸長して表示することも好ましい。図7(a)によれば、18日〜27日を1つの1次オブジェクトを伸長して表示することも好ましい。
【0054】
図8は、複数のブロックオブジェクトによって表示したユーザインタフェース画面である。
【0055】
図8(a)によれば、図7(b)に対して2次オブジェクトで表している。また、図8(b)によれば、図8(a)に対して更に3次オブジェクトで表している。このようにブロックオブジェクトで表すことによって、イベント毎の数値を表すよりも、時間軸に対してその数値を俯瞰することができる。
【0056】
このように、行為項目数が多数である場合、イベントの数値を高さで表現するよりも、できる限り行為項目全体を表現するのが好ましい。この場合、最初から、イベントの数値を高さで表現する必要はない。一方で、行為項目数が少ない場合、数値の違いを表現するべく、最初から、イベントの数値を高さで表現することが好ましい。
【0057】
尚、ユーザ操作によって、縦方向の行為項目数のm個の状態と、横方向のタイムスケールのn個の状態とを行列によって表すことも好ましい。例えばm×n個の種類の状態を保持することになり、m×n個の種類毎に、ブロックオブジェクトを予め記憶しておくことも好ましい。
【0058】
図9は、ブロックオブジェクトにおける他の表示形態を表すユーザインタフェース画面である。
【0059】
図9(a)によれば、ブロックオブジェクトが統合した態様として表された場合に、当該ブロックオブジェクトに、イベントの個数が表示されている。これは、時間幅を持たない行為項目に対して有効である。例えば、医療行為「注射」の場合、一定の時間幅について回数で表されることによって、閲覧者にとっては容易に認識することができる。
【0060】
図9(b)によれば、ブロックオブジェクトが統合した態様として表された場合に、当該ブロックオブジェクトに、イベント毎の時間幅の区分線を時間軸方向に引くように表す。時間幅が異なるイベントを統合している場合、ブロックオブジェクト内に引かれた区分線によって概ねの時間幅を、閲覧者に認識させることができる。尚、時間幅がほぼ同一のイベント(ブロックオブジェクト)を統合する場合、縞々模様のブロックオブジェクトによって表現することによって更にその区分線を閲覧者に認識させることができる。
【0061】
図10は、本発明におけるシステム構成図である。
【0062】
図10のシステムによれば、医療従事者が閲覧する端末1と、その端末にネットワークを介して接続された電子カルテ管理サーバ2とを有する。端末1は、ユーザ操作によって選択されたタイムスケールの情報を電子カルテ管理サーバ2へ送信する。これに対し、電子カルテサーバ2は、表示すべきブロックオブジェクトの情報を、端末1へ返信する。端末1は、電子カルテ管理サーバ2から受信したブロックオブジェクトを時間軸に沿ってディスプレイに表示する。
【0063】
図10によれば、端末1は、前述した表示制御部116及びオブジェクトメモリ部117のみを有する。一方で、管理サーバ2は、イベント記憶部111と、ブロックオブジェクト記憶部112と、スケール変更部113と、距離判定部114と、ブロックオブジェクト検索部115とのみを有する。
【0064】
このように、管理サーバ2がブロックオブジェクトの検索処理を担うことによって、端末1の処理負荷を更に軽減させることができる。また、ネットワーク間で通信されるデータは、多数のイベントの情報ではなく、表示のために統合されたブロックオブジェクトのコードのみであるので、ネットワークの負荷も軽減でき、ユーザ応答性の良好なシステムを提供することができる。
【0065】
尚、図10の端末1が、図2と同様の機能構成を備えていることも好ましい。端末1が、スケールを変更した際に、管理サーバ2から既に受信したイベント(ブロックオブジェクト)については自ら最適なブロックオブジェクトを検索し且つ表示し、未だ受信していないイベント(ブロックオブジェクト)についてのみ、管理サーバ2から受信する。例えば、端末1が自ら検索したブロックオブジェクトを表示している処理中に、バックグラウンドで管理サーバ2からその他のイベント(ブロックオブジェクト)受信することによって、更にユーザ応答性の高いシステムを提供することができる。
【0066】
以上、詳細に説明したように、本発明のユーザインタフェースプログラム、システム及び方法によれば、行為項目に対して時間幅及び数値の変化を視覚的に俯瞰できると共に、計算資源が低い端末であっても少ない情報量での表示処理を可能とする。
【0067】
特に、本発明よれば、表示する時間軸のタイムスケールが大きく(表示する時間幅が長く)なっても、1画面に表示されるオブジェクトの数が多くならず、それらのオブジェクトの表示処理に多くのメモリを必要としない。閲覧者にとっては、タイムスケールに応じたイベントを、全体的に俯瞰することができる。一方で、それら情報を表示する端末にとっては、計算資源(メモリ量やプロセッサの処理速度)が少ない小型端末であっても、表示処理の負担が少なく、ユーザインタフェースに重要なユーザ応答性が鈍くならない。
【0068】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0069】
1 端末
101 ディスプレイ
102 入力インタフェース
103 通信インタフェース
111 イベント記憶部
112 ブロックオブジェクト記憶部
113 スケール変更部
114 距離判定部
115 ブロックオブジェクト検索部
116 表示制御部
117 オブジェクトメモリ部
2 時系列データ管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列データをディスプレイに表示するべく、端末に搭載されたコンピュータを機能させるユーザインタフェースプログラムであって、
行為項目と、当該行為項目に関連する開始時刻及び終了時刻の時間幅と、当該行為項目に関連する数値とを対応付けたイベントを記憶するイベント記憶手段と、
数値の変化に応じて異なる形状の複数のブロックオブジェクトを記憶したブロックオブジェクト記憶手段と、
前記行為項目に対して時間軸を規定し、前記イベントを、前記時間軸上で該当する時間幅に、前記ブロックオブジェクトとして表示する表示制御手段と、
前記表示制御手段によって表示されるブロックオブジェクトを記憶するオブジェクトメモリ手段と、
ユーザ操作に応じて、前記時間軸のタイムスケールを任意に変更可能なスケール変更手段と、
前記時間軸のタイムスケールに応じて、隣り合う少なくとも2つのブロックオブジェクトの間の距離が、所定閾値以下か否かを判定する距離判定手段と、
前記距離判定手段によって真と判定された際に、これらブロックオブジェクトを統合した場合の前記数値の変化に基づく他のブロックオブジェクトを、前記ブロックオブジェクト記憶手段から検索するブロックオブジェクト検索手段と
してコンピュータを機能させ、前記表示制御手段が、前記ブロックオブジェクト検索手段によって検索された前記ブロックオブジェクトを、前記時間軸上で該当する時間幅に表示するように制御することを特徴とするユーザインタフェースプログラム。
【請求項2】
前記表示制御手段は、異なるタイムスケールの時間軸を複数のラインによって表示し、
前記スケール変更手段は、ユーザ操作によって、前記複数のラインのいずれか1つを選択させる
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェースプログラム。
【請求項3】
前記距離判定手段は、第1のイベントの終了時刻と、それに隣り合う第2のイベントの開始時刻との差を、前記時間軸のタイムスケール(長さ/時間)で除算した値が、前記所定閾値以下か否かを判定するようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1又は2に記載のユーザインタフェースプログラム。
【請求項4】
前記所定閾値は、第1のイベントの時間幅と、それに隣り合う第2のイベントの時間幅との差に基づいて可変設定されるようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のユーザインタフェースプログラム。
【請求項5】
前記イベントブロック記憶手段は、
数値の大きさに基づいて高さが異なる長方形からなる1次オブジェクトと、
複数の数値の変化に基づく単調増加及び単調減少の四角形からなる2次オブジェクトと、
複数の数値の変化に基づく形状の多角形からなる3次オブジェクトと
してコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のユーザインタフェースプログラム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
時間軸に対する垂直方向に、複数の行為項目を列挙した行為項目軸を有し、
前記スケール変更手段は、ユーザ操作に応じて、前記行為項目軸のスケールを任意に変更可能であり、
前記行為項目軸のスケールが拡大された際に、1次オブジェクトから、2次オブジェクト又は3次オブジェクトが検索され、前記行為項目軸のスケールが縮小された際に、3次オブジェクトから、1次オブジェクト又は2次オブジェクトが検索される
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項5又は6に記載のユーザインタフェースプログラム。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記ブロックオブジェクトが統合した態様として表された場合に、当該ブロックオブジェクトに、イベントの個数を表示するようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のユーザインタフェースプログラム。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記ブロックオブジェクトが統合した態様として表された場合に、当該ブロックオブジェクトに、イベント毎の時間幅の区分線を時間軸方向に引くようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のユーザインタフェースプログラム。
【請求項9】
前記ユーザインタフェースプログラムは、医療従事者によって閲覧される電子カルテ情報を表示するものであり、
前記行為項目は、医療行為を意味し、
前記イベントは、医療行為の時間幅及び数値を表す
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のユーザインタフェースプログラム。
【請求項10】
ディスプレイを有する端末と、時系列データを蓄積した管理サーバとがネットワークを介して接続された時系列データ管理システムにおいて、
前記管理サーバは、
行為項目と、当該行為項目に関連する開始時刻及び終了時刻の時間幅と、当該行為項目に関連する数値とを対応付けたイベントを記憶するイベント記憶手段と、
数値の変化に応じて異なる形状の複数のブロックオブジェクトを記憶したブロックオブジェクト記憶手段と、
前記端末から、ユーザ操作に応じた前記時間軸のタイムスケールを受信するタイムスケール受信手段と、
前記時間軸のタイムスケールに応じて、隣り合う少なくとも2つのブロックオブジェクトの間の距離が、所定閾値以下か否かを判定する距離判定手段と、
前記距離判定手段によって真と判定された際に、これらブロックオブジェクトを統合した場合の前記数値の変化に基づく他のブロックオブジェクトを、前記ブロックオブジェクト記憶手段から検索するブロックオブジェクト検索手段と
検索された前記ブロックオブジェクトを、前記端末へ送信するブロックオブジェクト送信手段と
を有し、
前記端末は、
前記行為項目に対して時間軸を規定し、前記管理サーバから受信したブロックオブジェクトを、前記時間軸上で該当する時間幅に表示する表示制御手段と、
前記表示制御手段によって表示されるブロックオブジェクトを記憶するオブジェクトメモリ手段と
を有することを特徴とする時系列データ管理システム。
【請求項11】
端末のディスプレイに、時系列データを表示するユーザインタフェース表示方法であって、
行為項目と、当該行為項目に関連する開始時刻及び終了時刻の時間幅と、当該行為項目に関連する数値とを対応付けたイベントを記憶するイベント記憶部と、
数値の変化に応じて異なる形状の複数のブロックオブジェクトを記憶したブロックオブジェクト記憶部と
を有し、
ユーザインタフェースの画面には、前記行為項目に対して時間軸が規定されており、
表示すべき前記ブロックオブジェクトをメモリに記憶すると共に、前記時間軸上で該当する時間幅に表示する第1のステップと、
ユーザ操作に応じて、前記時間軸のタイムスケールを任意に変更する第2のステップと、
前記時間軸のタイムスケールに応じて、隣り合う少なくとも2つのブロックオブジェクトの間の距離が、所定閾値以下か否かを判定する第3のステップと、
第3のステップによって真と判定された際に、これらブロックオブジェクトを統合した場合の前記数値の変化に基づく他のブロックオブジェクトを、前記ブロックオブジェクト記憶手段から検索する第4のステップと、
第4のステップによって検索された前記ブロックオブジェクトを、前記時間軸上で該当する時間幅に表示する第5のステップと
を有することを特徴とするユーザインタフェース表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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