時計および時計の操作部材の状態表示方法
【課題】操作部材が有効に操作されたことを使用者に確実に知らせる時計および時計の操作部材の状態表示方法を提供すること。
【解決手段】時計1は、押しボタン31〜34にそれぞれ対応する状態表示部21〜24を備え、これらの状態表示部21〜24にそれぞれ、押しボタン31〜34の操作状態が表示される。使用者は、状態表示部21〜24に表示された操作状態に基づいて、押しボタン31〜34が有効に操作されたか否かを確実に知ることが可能となるので、押しボタン31〜34を何度も操作したり、いつまでも操作し続けたりすることがなく、また、押しボタン31〜34が押されたか否かを時計1の動作等に基づいて確認することを不要にできるので、利便性を大きく向上できる。
【解決手段】時計1は、押しボタン31〜34にそれぞれ対応する状態表示部21〜24を備え、これらの状態表示部21〜24にそれぞれ、押しボタン31〜34の操作状態が表示される。使用者は、状態表示部21〜24に表示された操作状態に基づいて、押しボタン31〜34が有効に操作されたか否かを確実に知ることが可能となるので、押しボタン31〜34を何度も操作したり、いつまでも操作し続けたりすることがなく、また、押しボタン31〜34が押されたか否かを時計1の動作等に基づいて確認することを不要にできるので、利便性を大きく向上できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計および時計の操作部材の状態表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ストップウォッチ、タイマーなど、種々のモードで使用される複数の操作ボタンを有する時計が知られている。このような時計では、必要な操作を行うために、1つの操作ボタンが複数の機能に兼用されており、操作方法が複雑で分かりにくい場合がある。このため、それぞれのボタンで現在可能な操作内容を液晶表示部に表示することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−325168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、ボタンの操作内容を液晶表示部に表示することにより、操作方法は分かりやすくなる。しかしながら、肝心の「操作が有効に行われたかどうか」は、時計の動作等を確認しない限り、分からない。例えば、時刻修正等で、ボタンを長時間押す操作が必要となる場合があるが、押す力などの問題で押している最中にボタンが僅かに戻り、ボタンがOFF状態となってしまうことが考えられる。このようにボタンがOFFとなったことに使用者は気づかず、行ったと考えている操作と時計の動作とが一致しないことから、操作ミスや故障といった間違った判断を使用者がしてしまうおそれがあった。
また、ボタンの長押し操作の場合に限らず、いわゆる沈頭ボタンのように、誤操作を防止するため押しにくい構造となっているものは、通常のボタンよりも押し誤りが多く、使用者が押していると認識していても実際には押されていない場合が考えられる。
このように、ボタンなどの操作に関して、使用者の意に反して有効に操作されていない場合が生じ得るのであって、このような場合に、操作ミスや故障と誤って判断したり、あるいは、所望の動作状態となるまでいつまでも押し続けたり、何度も繰り返し押すなどの不都合が生じていた。
【0005】
本発明の目的は、操作部材が有効に操作されたことを使用者に確実に知らせる時計および時計の操作部材の状態表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の時計は、外部から操作可能な操作部材と、前記操作部材の操作状態を表示する状態表示部と、を備え、前記操作状態には、少なくとも、前記操作部材が有効に操作されたか否かが含まれることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、操作部材を操作した際に、有効に操作されたことを示す操作状態が状態表示部に表示されるので、この表示された操作状態に基づいて、操作されたことを直ちにかつ確実に知ることが可能となる。これにより、操作部材を何度も操作したり、いつまでも操作し続けたりすることがなく、また、有効に操作されたことを時計の動作等に基づいて確認することが不要となるので、利便性を大きく向上できる。
【0008】
本発明の時計では、前記状態表示部の表示態様は、前記操作部材が連続して操作された際の時間経過によって変更されることが好ましい。
【0009】
この発明によれば、状態表示部における表示態様に基づいて、操作に必要な所定時間に対して操作時間が足りないことや、所定時間に到達するまで操作されたかどうかなど、所定時間に対してどの程度操作されたかに係る操作状態を知ることが可能となる。これにより、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。
【0010】
本発明の時計では、前記操作部材が連続して操作された連続操作時間を検出する操作時間検出部を備え、前記状態表示部の表示態様が変更されることにより、前記操作状態としての前記連続操作時間が表示されることが好ましい。
すなわち、前記操作状態には、前記連続操作時間が含まれる。
【0011】
この発明によれば、連続操作時間に応じた表示態様とされる状態表示部を見ながら、所定時間、操作を続けることが可能となるので、所定時間が経過する前に操作を止めてしまったり、逆に、余分に長く押したりすることがなく、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。
すなわち、状態表示部において、連続操作している時間が一目瞭然であるため、連続操作時間を使用者自身がカウントすることが不要となる。
なお、連続表示時間は、数字や、マーク等で表示することができる。
【0012】
本発明の時計では、前記操作部材は、複数設けられ、前記状態表示部は、前記各操作部材の近傍にそれぞれ配置され、その近傍の前記操作部材に係る前記操作状態を表示することが好ましい。
【0013】
この発明によれば、複数設けられた操作部材のそれぞれの近傍に操作状態が表示されるので、表示された操作状態と操作部材との対応関係を容易に理解できる。
【0014】
本発明の時計では、表示パネルを備え、前記状態表示部は、前記表示パネルに設けられることが好ましい。
【0015】
ここで、表示パネルの種類は特に限定されず、例えば、液晶パネル、電気泳動パネル、有機ELパネル等であってよい。
この発明によれば、表示パネルにおいて、操作状態を示すマークや文字・数字等を見易く表示可能となるため、操作状態の把握が一層容易となる。
また、状態表示部に表示パネルを用いることにより、低コスト化および省スペース化を図ることができ、他の表示機構を組み込む場合と比べて、安価かつ小型な時計を提供できる。
【0016】
本発明の時計では、文字板を備え、前記状態表示部は、前記文字板に形成される窓部と、前記操作部材の操作に連動する指示部材と、を有して構成され、前記操作状態は、前記操作部材の操作によって前記指示部材における前記窓部から視認される部分の表示状態が切り替わることにより、表示されることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、文字板の窓部と指示部材とにより、操作部材の操作に応じて機械的に動作する表示機構を構成することが可能となる。本発明は、指針および文字板により時刻表示を行うアナログ時計に好適となる。
【0018】
本発明の時計では、前記操作部材は、押し込み操作されるボタン本体と、このボタン本体の外周部の少なくとも一部を覆う覆い部と、を有する沈頭ボタンであることが好ましい。
【0019】
この発明によれば、通常の押しボタンよりも沈頭ボタンは押しにくいため、押している筈なのに押せていないという状況が十分に考えられるが、前述のように、有効に押されているか否かを状態表示部において確認できるので、押し込み操作を確実に行うことが可能となる。すなわち、沈頭ボタンに係る本発明によれば、押し間違いを防止しつつ、押したいときは確実に操作できる。
【0020】
本発明の時計の操作部材の状態表示方法は、時計が備える操作部材が有効に操作されたか否かを含む操作状態を検出する状態検出工程と、前記操作状態を表示する状態表示工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、操作部材を操作した際に、有効に操作されたことを示す操作状態が表示されるので、この表示された操作状態に基づいて、操作されたことを直ちにかつ確実に知ることが可能となる。これにより、利便性を大きく向上できる。
【0022】
本発明の時計の操作部材の状態表示方法では、前記状態表示工程は、前記操作部材が連続して操作された際の時間経過によって前記操作状態の表示態様を変更することが好ましい。
【0023】
この発明によれば、操作状態の表示態様に基づいて、操作に必要な所定時間に対して操作時間が足りないことや、所定時間に到達するまで操作されたかどうかなど、所定時間に対してどの程度操作されたかに係る操作状態を知ることが可能となる。これにより、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。
【0024】
本発明の時計の操作部材の状態表示方法では、前記状態検出工程は、前記操作部材が連続して操作された連続操作時間を検出し、前記状態表示工程は、前記連続操作時間に応じた表示態様で、前記操作状態としての前記連続操作時間を表示することが好ましい。
【0025】
この発明によれば、連続操作時間に応じた表示態様とされた表示を見ながら、所定時間、操作を続けることが可能となるので、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。
【発明の効果】
【0026】
以上の本発明によれば、操作部材が有効に操作されたことを使用者に確実に知らせる時計を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
なお、第2実施形態以降の説明において、以下に説明する第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
【0028】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る時計1の外観を示す。時計1は、図示しない計時部と、時刻等を表示する表示パネル2と、外装ケース3とを備えている。
外装ケース3には、複数の押しボタン(操作部材)31〜34が設けられている。これらの押しボタン31〜34の操作により、ストップウォッチ、タイマー、アラーム、時刻修正等の各種操作が可能となっている。
【0029】
表示パネル2は、液晶パネル、電気泳動パネル、有機ELパネル等とされ、モードに応じて時刻表示やストップウォッチ表示などに切り替わるメイン表示部20と、各押しボタン31〜34の操作状態をそれぞれ表示する状態表示部21〜24とを有している。
状態表示部21〜24はそれぞれ、図1に二点鎖線で示すように、各押しボタン31〜34の近傍に配置され、その近傍の押しボタン31〜34の操作状態を表示する。
【0030】
図2は、各押しボタンのスイッチ操作に係る回路を示す。この回路は、外装ケース3内の回路基板に実装されている。例えば、押しボタン31が押されスイッチ41がONになると、制御部42は、電圧信号に基いて押しボタン31が押されたことを検出し(状態検出工程)、表示パネル2のドライバ43に駆動信号を出力する。この駆動信号に基いて、ドライバ43は、状態表示部21に、押しボタン31が有効に押されたことを示す操作状態を描画する(状態表示工程)。
一方、スイッチ41がOFFになると、制御部42は、押しボタン31が押されていないことを検出し(状態検出工程)、ドライバ43に駆動信号を出力する。この駆動信号に基いて、ドライバ43は、状態表示部21の表示を書き換え、操作状態の表示を消去する(状態表示工程)。
【0031】
図3は、押しボタン31に対応する状態表示部21の表示態様を示す。本実施形態では、押しボタン31が有効に押されたタイミングで、有効操作状態を示す黒色の矩形マークが状態表示部21に表示される。一方、押しボタン31の押し込みが解除されると、状態表示部21の表示は、画面の背景色と同じ白色で描画される。これによって、押しボタン31が非操作状態であることが示される。
【0032】
なお、押しボタン31〜34の押し込み操作は、押しボタン31〜34毎に検出され、押されたボタンに応じて、状態表示部21〜24のそれぞれの表示がドライバ43を介して変更される。本実施形態では、各状態表示部21〜24における表示は図3と同様であるが、状態表示部21〜24における操作状態の表示は、他の色、他の形状のマークや文字などであってもよい。
【0033】
以上の第1実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)時計1は押しボタン31〜34にそれぞれ対応する状態表示部21〜24を備えており、これらの状態表示部21〜24にそれぞれ表示された操作状態に基づいて、押しボタン31〜34が有効に操作されたか否かを確実に知ることが可能となる。このように、押しボタン31〜34の操作状態を知ることができるので、押しボタン31〜34を何度も操作したり、いつまでも操作し続けたりすることがなく、また、押しボタン31〜34が押されたか否かを時計1の動作等に基づいて確認することを不要にできるので、利便性を大きく向上できる。
【0034】
(2)状態表示部21〜24は表示パネル2に設けられているため、操作状態を示すマークが見易く、各押しボタン31〜34に係る操作状態の把握が一層容易となる。
また、表示パネル2に状態表示部21〜24が形成されていることにより、低コスト化および省スペース化を図ることができ、安価かつ小型な時計1を提供できる。
【0035】
(3)各押しボタン31〜34の近傍に操作状態が表示されるので、表示された操作状態と押しボタン31〜34との対応関係を容易に理解できる。
【0036】
なお、表示パネル2の駆動方式は特に限定されない。セグメント駆動方式でもよいし、ドットマトリクス駆動方式でもよい。また、モノクロ表示でもカラー表示でもよい。
【0037】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図4〜図7を参照して説明する。
図4は、本実施形態の時計5を示す。この時計5は、押しボタン31〜34がそれぞれ連続して押された連続操作時間を表示する状態表示部51〜54を有している。
【0038】
図5は、各押しボタンのスイッチ操作に係る回路を示す。この回路は、図2の回路とは異なり、タイマー44を有している。タイマー44は制御部42に接続され、これら制御部42およびタイマー44によって、操作時間検出部が構成されている。
タイマー44は、ボタンが押されたことを制御部42が検出したタイミングで、所定時間の計測を開始する。この際、制御部42からの駆動信号により、前掲の図3のように、ボタンが有効に押されたことを示す黒い矩形が状態表示部に描画される。そして、制御部42は、タイマー44による計測によってボタンの連続操作時間を検出し(状態検出工程)、ドライバ43に駆動信号を出力する。
ボタンを押している最中に、ボタンから指が離れると、スイッチ41がOFFとなり、制御部42はボタンが押されていないことを検出してタイマー44の計測を終了するとともに、ドライバ43に駆動信号を出力する。
【0039】
ここで、図4の時刻表示を行うモードから、ストップウォッチのモードに切り替えるモード変更を例にとって説明する。このモード変更は、押しボタン31を2秒間連続して押した際に行われる。
図6に示すように、本実施形態では、押しボタン31を押して1秒が経過したタイミングで、状態表示部51に「1」が描画され、2秒が経過したタイミングで、状態表示部51に「2」が描画される。この間、メイン表示部20には、時刻が表示されている。
本実施形態の状態表示部51〜54(図4)はそれぞれ、対応する押しボタン31〜34が押されたことを示す有効表示部500と、1秒押されたことを示す1秒押下表示部501と、2秒押されたことを示す2秒押下表示部502とを有する。
ここで、1秒押下表示部501と2秒押下表示部502とにそれぞれ、1秒間押されたことと、2秒間押されたことを別々に表示する構成に限らず、勿論、これらの表示部を1つにまとめることも可能である。例えば、図6で1秒押下表示部501と2秒押下表示部502とが表示されている領域を一体の表示領域として構成し、当該表示領域に描画される数字を変化させることにより、1秒間押されたことと、2秒間押されたこととを表示してもよい。
【0040】
図6のように表示された後、制御部42により、時計5のモードはストップウォッチモードに切り替わり、図7に示すように、メイン表示部20の表示が変更される。そして、押しボタン31から手を離したタイミングで、制御部42はドライバ43に駆動信号を出力し、これによって、状態表示部51(図5)における操作状態(有効操作、1秒押下、2秒押下)の各表示は全て消去される。
【0041】
以上の第2実施形態によれば、第1実施形態で述べた効果に加えて、次のような効果が得られる。
(4)状態表示部51〜54は、各押しボタン31〜34が有効に押されたか否かを示す有効表示部500に加えて、各押しボタン31〜34が連続して押された時間を表示する1秒押下表示部501および2秒押下表示部502を有するので、これらの表示部500〜502により現在の連続操作時間を確認しながら、所定時間、押しボタン31〜34を押し続けることが可能となる。これにより、使用者はカウントを誤ることなく、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。また、押しボタン31〜34を離してしまったときも確認が容易となる。
【0042】
なお、状態表示部51〜54における操作状態を示す各表示部500〜502の相対位置、形状、数等は本実施形態に限らない。また、連続操作時間の表示間隔は、1秒に限らず、適宜設定できる。
【0043】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について図8〜図10を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係る時計6の外観を示す。時計6は、指針61〜63および文字板64により時刻表示を行う。時計6の外装ケース60には、操作部材としての沈頭ボタン65が設けられている。
【0044】
図9は、時計6の部分拡大図である。沈頭ボタン65は、押し込み操作されるボタン本体651と、ボタン本体651の外装ケース60から突出する外周部を覆う覆い部652と、ボタン本体651を外装ケース60の外側に付勢するコイルバネ653とを有して構成されている。
本実施形態では、ボタン本体651の外周部全体に覆い部652が設けられているが、ボタン本体651の外周部の一部に覆い部が設けられていてもよい(半沈頭ボタン)。
また、本実施形態の覆い部652は、外装ケース60から円筒状に起立しているが、ボタン本体651が外装ケース60の開口部601に埋設され、この開口部601の周縁が覆い部を構成していてもよい。
【0045】
図9に示すように、外装ケース60内にはムーブメント70が収容され、ムーブメント70の地板71には、沈頭ボタン65が押された際に回路基板72の接点に当接されるスイッチバネ710が取り付けられている。なお、721はスイッチバネ710との接点部を有するパターンである。
スイッチバネ710は、文字板64の裏側で文字板64と略平行に延出する板状の指示部材711を有している。
【0046】
指示部材711には、沈頭ボタン65が押された状態を示す有効表示部711Aがパターン形成等によって設けられている。この有効表示部711Aの色は、指示部材711における他の部分の色とは異なっている。
文字板64には、窓部641(図8参照)が形成されており、本実施形態では、この窓部641と指示部材711とにより、状態表示部が構成されている。
【0047】
図10は、ペン先などで沈頭ボタン65が押された状態を示す。沈頭ボタン65の押し込みに連動して指示部材711が文字板64の裏側で移動し、窓部641から指示部材711の有効表示部711Aが視認可能となる。すなわち、沈頭ボタン65の操作状態は、窓部641の表示色が切り替わることによって表示される。
【0048】
以上の第3実施形態によれば、、第1実施形態で述べた効果に加えて、次のような効果が得られる。
(5)文字板64の窓部641と指示部材711の有効表示部711Aとにより、沈頭ボタン65の操作に応じて機械的に動作する表示機構が構成されるので、アナログ表示の時計6に好適となる。
【0049】
(6)沈頭ボタン65と、窓部641および指示部材711を含んで構成される状態表示部との相乗効果によって、押し間違いを防止しつつ、押したいときは確実に操作できる。
【0050】
なお、本実施形態では、操作部材として沈頭ボタン65を例示したが、覆い部がない通常の押しボタンを採用することもでき、この場合も、前記(5)と同様の効果が得られる。
また、本実施形態ではスイッチバネ710の一部として指示部材711が設けられていたが、ボタン操作に連動する指示部材の構成はこれに限らない。例えば、ボタンの押し込み操作によって回動するレバー等が指示部材とされていてもよい。このようなレバー機構により、押しボタンの変位量が拡大されるので、文字板の窓部のサイズおよび有効表示部のサイズを大きくしたり、押しボタンのストロークを小さくすることが可能となる。
【0051】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について図11〜図13を参照して説明する。本実施形態では、前記第2実施形態と同様のスイッチ回路(図5)が設けられ、押しボタンの連続操作時間に応じて状態表示部における表示態様が変更されるが、その表示態様が前記第2実施形態とは相違する。
図11は、本実施形態に係る時計8を示す。本実施形態の表示パネル2は、印加電圧や単位時間毎の電圧印加時間に応じて、またドットマトリクス駆動方式の場合は面積比に応じて、複数の階調を表示可能とされている。
【0052】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、時刻表示のモードからストップウォッチモードに切り替える操作を例にとり、説明する。
押しボタン31を押すと、図11に示すように、状態表示部81における表示色は薄いグレー色に変わり、これによって押しボタン31が有効に押されたことが表示される。
このまま押しボタン31を1秒間押し続けると、図12に示すように、状態表示部81における表示色は濃いグレー色に変わり、これによって押しボタン31が1秒間押されたことが表示される。さらに、押しボタン31を押し続け、2秒が経過すると、図13に示すように、状態表示部81における表示色は黒色に変わり、これによって押しボタン31が2秒間押されたことが表示される。この後、メイン表示部20の表示は、図7のようにストップウォッチ画面に切り替わる。
なお、図11〜図13には押しボタン31に対応する状態表示部81のみを示したが、他の押しボタン32〜34にそれぞれ対応する図示しない状態表示部がそれぞれ、表示パネル2において対応する押しボタン32〜34の近傍に設けられている。
本実施形態では、状態表示部81における表示色(表示態様)の変更により、操作に必要な所定時間(2秒間)に対してどの程度操作されたか、具体的には何秒間押されたかがわかる。本実施形態では、表示パネル2がセグメント駆動方式の場合、状態表示部81を1つのセグメントで構成することができる。
【0053】
このような本実施形態によっても、使用者は状態表示部81の表示態様に基づいて、押しボタン31が有効に押されたか否か、および連続操作時間を知ることが可能となる。本実施形態は、前記第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
〔第4実施形態の変形例〕
前記第4実施形態では、連続操作時間を検出し、状態表示部の表示態様を薄いグレー、濃いグレー、黒と段階的に変更していたが、このような表示態様の変更は、一度の表示書き換え処理の過程において行われていてもよい。これによって、前記第4実施形態と同様の効果を奏する。例えば、一度の書き換え処理に1秒〜数秒を要する表示パネルでは、この書き換え処理に要する時間を所定の操作に必要な所定時間として、この所定時間に対してどの程度操作されたかを、薄いグレー、濃いグレー、黒などの表示色の階調で表すことが可能である。ここで、電気泳動パネルは、一般に、一度の書き換え処理に1秒〜数秒を要するから、好適である。
なお、一度の書き換え処理における表示態様の変化は、連続操作時間に比例していなくてもよく、表示態様の変化により、操作に必要な所定時間に対する進捗が示されればよい。
本例のように、一度の書き換え処理の過程における表示態様の変化を利用する場合などは、連続操作時間の検出を必ずしも行わなくてよい。これにより、回路構成を簡略にできる。
【0055】
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係る時計の外観図。
【図2】押しボタンのスイッチ操作に係る回路図。
【図3】前記実施形態における状態表示部を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る時計の外観図。
【図5】押しボタンのスイッチ操作に係る回路図。
【図6】前記実施形態における状態表示部を示す図。
【図7】モード変更後の画面を示す図。
【図8】本発明の第3実施形態に係る時計の外観図。
【図9】前記時計の部分拡大図。
【図10】前記時計の一部破断図(沈頭ボタンを押した状態)。
【図11】本発明の第4実施形態に係り、状態表示部を示す図。
【図12】前記実施形態に係り、状態表示部を示す図。
【図13】前記実施形態に係り、状態表示部を示す図。
【符号の説明】
【0057】
1,5,6・・・時計、2・・・表示パネル、20・・・メイン表示部、21〜24・・・状態表示部、31〜34・・・押しボタン(操作部材)、42・・・制御部(操作時間検出部を構成)、44・・・タイマー(操作時間検出部を構成)、51〜54・・・状態表示部、64・・・文字板、65・・・沈頭ボタン(操作部材)、500・・・有効表示部、501・・・1秒押下表示部、502・・・2秒押下表示部、641・・・窓部(状態表示部を構成)、651・・・ボタン本体、652・・・覆い部、711・・・指示部材(状態表示部を構成)、711A・・・有効表示部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計および時計の操作部材の状態表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ストップウォッチ、タイマーなど、種々のモードで使用される複数の操作ボタンを有する時計が知られている。このような時計では、必要な操作を行うために、1つの操作ボタンが複数の機能に兼用されており、操作方法が複雑で分かりにくい場合がある。このため、それぞれのボタンで現在可能な操作内容を液晶表示部に表示することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−325168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、ボタンの操作内容を液晶表示部に表示することにより、操作方法は分かりやすくなる。しかしながら、肝心の「操作が有効に行われたかどうか」は、時計の動作等を確認しない限り、分からない。例えば、時刻修正等で、ボタンを長時間押す操作が必要となる場合があるが、押す力などの問題で押している最中にボタンが僅かに戻り、ボタンがOFF状態となってしまうことが考えられる。このようにボタンがOFFとなったことに使用者は気づかず、行ったと考えている操作と時計の動作とが一致しないことから、操作ミスや故障といった間違った判断を使用者がしてしまうおそれがあった。
また、ボタンの長押し操作の場合に限らず、いわゆる沈頭ボタンのように、誤操作を防止するため押しにくい構造となっているものは、通常のボタンよりも押し誤りが多く、使用者が押していると認識していても実際には押されていない場合が考えられる。
このように、ボタンなどの操作に関して、使用者の意に反して有効に操作されていない場合が生じ得るのであって、このような場合に、操作ミスや故障と誤って判断したり、あるいは、所望の動作状態となるまでいつまでも押し続けたり、何度も繰り返し押すなどの不都合が生じていた。
【0005】
本発明の目的は、操作部材が有効に操作されたことを使用者に確実に知らせる時計および時計の操作部材の状態表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の時計は、外部から操作可能な操作部材と、前記操作部材の操作状態を表示する状態表示部と、を備え、前記操作状態には、少なくとも、前記操作部材が有効に操作されたか否かが含まれることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、操作部材を操作した際に、有効に操作されたことを示す操作状態が状態表示部に表示されるので、この表示された操作状態に基づいて、操作されたことを直ちにかつ確実に知ることが可能となる。これにより、操作部材を何度も操作したり、いつまでも操作し続けたりすることがなく、また、有効に操作されたことを時計の動作等に基づいて確認することが不要となるので、利便性を大きく向上できる。
【0008】
本発明の時計では、前記状態表示部の表示態様は、前記操作部材が連続して操作された際の時間経過によって変更されることが好ましい。
【0009】
この発明によれば、状態表示部における表示態様に基づいて、操作に必要な所定時間に対して操作時間が足りないことや、所定時間に到達するまで操作されたかどうかなど、所定時間に対してどの程度操作されたかに係る操作状態を知ることが可能となる。これにより、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。
【0010】
本発明の時計では、前記操作部材が連続して操作された連続操作時間を検出する操作時間検出部を備え、前記状態表示部の表示態様が変更されることにより、前記操作状態としての前記連続操作時間が表示されることが好ましい。
すなわち、前記操作状態には、前記連続操作時間が含まれる。
【0011】
この発明によれば、連続操作時間に応じた表示態様とされる状態表示部を見ながら、所定時間、操作を続けることが可能となるので、所定時間が経過する前に操作を止めてしまったり、逆に、余分に長く押したりすることがなく、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。
すなわち、状態表示部において、連続操作している時間が一目瞭然であるため、連続操作時間を使用者自身がカウントすることが不要となる。
なお、連続表示時間は、数字や、マーク等で表示することができる。
【0012】
本発明の時計では、前記操作部材は、複数設けられ、前記状態表示部は、前記各操作部材の近傍にそれぞれ配置され、その近傍の前記操作部材に係る前記操作状態を表示することが好ましい。
【0013】
この発明によれば、複数設けられた操作部材のそれぞれの近傍に操作状態が表示されるので、表示された操作状態と操作部材との対応関係を容易に理解できる。
【0014】
本発明の時計では、表示パネルを備え、前記状態表示部は、前記表示パネルに設けられることが好ましい。
【0015】
ここで、表示パネルの種類は特に限定されず、例えば、液晶パネル、電気泳動パネル、有機ELパネル等であってよい。
この発明によれば、表示パネルにおいて、操作状態を示すマークや文字・数字等を見易く表示可能となるため、操作状態の把握が一層容易となる。
また、状態表示部に表示パネルを用いることにより、低コスト化および省スペース化を図ることができ、他の表示機構を組み込む場合と比べて、安価かつ小型な時計を提供できる。
【0016】
本発明の時計では、文字板を備え、前記状態表示部は、前記文字板に形成される窓部と、前記操作部材の操作に連動する指示部材と、を有して構成され、前記操作状態は、前記操作部材の操作によって前記指示部材における前記窓部から視認される部分の表示状態が切り替わることにより、表示されることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、文字板の窓部と指示部材とにより、操作部材の操作に応じて機械的に動作する表示機構を構成することが可能となる。本発明は、指針および文字板により時刻表示を行うアナログ時計に好適となる。
【0018】
本発明の時計では、前記操作部材は、押し込み操作されるボタン本体と、このボタン本体の外周部の少なくとも一部を覆う覆い部と、を有する沈頭ボタンであることが好ましい。
【0019】
この発明によれば、通常の押しボタンよりも沈頭ボタンは押しにくいため、押している筈なのに押せていないという状況が十分に考えられるが、前述のように、有効に押されているか否かを状態表示部において確認できるので、押し込み操作を確実に行うことが可能となる。すなわち、沈頭ボタンに係る本発明によれば、押し間違いを防止しつつ、押したいときは確実に操作できる。
【0020】
本発明の時計の操作部材の状態表示方法は、時計が備える操作部材が有効に操作されたか否かを含む操作状態を検出する状態検出工程と、前記操作状態を表示する状態表示工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、操作部材を操作した際に、有効に操作されたことを示す操作状態が表示されるので、この表示された操作状態に基づいて、操作されたことを直ちにかつ確実に知ることが可能となる。これにより、利便性を大きく向上できる。
【0022】
本発明の時計の操作部材の状態表示方法では、前記状態表示工程は、前記操作部材が連続して操作された際の時間経過によって前記操作状態の表示態様を変更することが好ましい。
【0023】
この発明によれば、操作状態の表示態様に基づいて、操作に必要な所定時間に対して操作時間が足りないことや、所定時間に到達するまで操作されたかどうかなど、所定時間に対してどの程度操作されたかに係る操作状態を知ることが可能となる。これにより、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。
【0024】
本発明の時計の操作部材の状態表示方法では、前記状態検出工程は、前記操作部材が連続して操作された連続操作時間を検出し、前記状態表示工程は、前記連続操作時間に応じた表示態様で、前記操作状態としての前記連続操作時間を表示することが好ましい。
【0025】
この発明によれば、連続操作時間に応じた表示態様とされた表示を見ながら、所定時間、操作を続けることが可能となるので、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。
【発明の効果】
【0026】
以上の本発明によれば、操作部材が有効に操作されたことを使用者に確実に知らせる時計を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
なお、第2実施形態以降の説明において、以下に説明する第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
【0028】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る時計1の外観を示す。時計1は、図示しない計時部と、時刻等を表示する表示パネル2と、外装ケース3とを備えている。
外装ケース3には、複数の押しボタン(操作部材)31〜34が設けられている。これらの押しボタン31〜34の操作により、ストップウォッチ、タイマー、アラーム、時刻修正等の各種操作が可能となっている。
【0029】
表示パネル2は、液晶パネル、電気泳動パネル、有機ELパネル等とされ、モードに応じて時刻表示やストップウォッチ表示などに切り替わるメイン表示部20と、各押しボタン31〜34の操作状態をそれぞれ表示する状態表示部21〜24とを有している。
状態表示部21〜24はそれぞれ、図1に二点鎖線で示すように、各押しボタン31〜34の近傍に配置され、その近傍の押しボタン31〜34の操作状態を表示する。
【0030】
図2は、各押しボタンのスイッチ操作に係る回路を示す。この回路は、外装ケース3内の回路基板に実装されている。例えば、押しボタン31が押されスイッチ41がONになると、制御部42は、電圧信号に基いて押しボタン31が押されたことを検出し(状態検出工程)、表示パネル2のドライバ43に駆動信号を出力する。この駆動信号に基いて、ドライバ43は、状態表示部21に、押しボタン31が有効に押されたことを示す操作状態を描画する(状態表示工程)。
一方、スイッチ41がOFFになると、制御部42は、押しボタン31が押されていないことを検出し(状態検出工程)、ドライバ43に駆動信号を出力する。この駆動信号に基いて、ドライバ43は、状態表示部21の表示を書き換え、操作状態の表示を消去する(状態表示工程)。
【0031】
図3は、押しボタン31に対応する状態表示部21の表示態様を示す。本実施形態では、押しボタン31が有効に押されたタイミングで、有効操作状態を示す黒色の矩形マークが状態表示部21に表示される。一方、押しボタン31の押し込みが解除されると、状態表示部21の表示は、画面の背景色と同じ白色で描画される。これによって、押しボタン31が非操作状態であることが示される。
【0032】
なお、押しボタン31〜34の押し込み操作は、押しボタン31〜34毎に検出され、押されたボタンに応じて、状態表示部21〜24のそれぞれの表示がドライバ43を介して変更される。本実施形態では、各状態表示部21〜24における表示は図3と同様であるが、状態表示部21〜24における操作状態の表示は、他の色、他の形状のマークや文字などであってもよい。
【0033】
以上の第1実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)時計1は押しボタン31〜34にそれぞれ対応する状態表示部21〜24を備えており、これらの状態表示部21〜24にそれぞれ表示された操作状態に基づいて、押しボタン31〜34が有効に操作されたか否かを確実に知ることが可能となる。このように、押しボタン31〜34の操作状態を知ることができるので、押しボタン31〜34を何度も操作したり、いつまでも操作し続けたりすることがなく、また、押しボタン31〜34が押されたか否かを時計1の動作等に基づいて確認することを不要にできるので、利便性を大きく向上できる。
【0034】
(2)状態表示部21〜24は表示パネル2に設けられているため、操作状態を示すマークが見易く、各押しボタン31〜34に係る操作状態の把握が一層容易となる。
また、表示パネル2に状態表示部21〜24が形成されていることにより、低コスト化および省スペース化を図ることができ、安価かつ小型な時計1を提供できる。
【0035】
(3)各押しボタン31〜34の近傍に操作状態が表示されるので、表示された操作状態と押しボタン31〜34との対応関係を容易に理解できる。
【0036】
なお、表示パネル2の駆動方式は特に限定されない。セグメント駆動方式でもよいし、ドットマトリクス駆動方式でもよい。また、モノクロ表示でもカラー表示でもよい。
【0037】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図4〜図7を参照して説明する。
図4は、本実施形態の時計5を示す。この時計5は、押しボタン31〜34がそれぞれ連続して押された連続操作時間を表示する状態表示部51〜54を有している。
【0038】
図5は、各押しボタンのスイッチ操作に係る回路を示す。この回路は、図2の回路とは異なり、タイマー44を有している。タイマー44は制御部42に接続され、これら制御部42およびタイマー44によって、操作時間検出部が構成されている。
タイマー44は、ボタンが押されたことを制御部42が検出したタイミングで、所定時間の計測を開始する。この際、制御部42からの駆動信号により、前掲の図3のように、ボタンが有効に押されたことを示す黒い矩形が状態表示部に描画される。そして、制御部42は、タイマー44による計測によってボタンの連続操作時間を検出し(状態検出工程)、ドライバ43に駆動信号を出力する。
ボタンを押している最中に、ボタンから指が離れると、スイッチ41がOFFとなり、制御部42はボタンが押されていないことを検出してタイマー44の計測を終了するとともに、ドライバ43に駆動信号を出力する。
【0039】
ここで、図4の時刻表示を行うモードから、ストップウォッチのモードに切り替えるモード変更を例にとって説明する。このモード変更は、押しボタン31を2秒間連続して押した際に行われる。
図6に示すように、本実施形態では、押しボタン31を押して1秒が経過したタイミングで、状態表示部51に「1」が描画され、2秒が経過したタイミングで、状態表示部51に「2」が描画される。この間、メイン表示部20には、時刻が表示されている。
本実施形態の状態表示部51〜54(図4)はそれぞれ、対応する押しボタン31〜34が押されたことを示す有効表示部500と、1秒押されたことを示す1秒押下表示部501と、2秒押されたことを示す2秒押下表示部502とを有する。
ここで、1秒押下表示部501と2秒押下表示部502とにそれぞれ、1秒間押されたことと、2秒間押されたことを別々に表示する構成に限らず、勿論、これらの表示部を1つにまとめることも可能である。例えば、図6で1秒押下表示部501と2秒押下表示部502とが表示されている領域を一体の表示領域として構成し、当該表示領域に描画される数字を変化させることにより、1秒間押されたことと、2秒間押されたこととを表示してもよい。
【0040】
図6のように表示された後、制御部42により、時計5のモードはストップウォッチモードに切り替わり、図7に示すように、メイン表示部20の表示が変更される。そして、押しボタン31から手を離したタイミングで、制御部42はドライバ43に駆動信号を出力し、これによって、状態表示部51(図5)における操作状態(有効操作、1秒押下、2秒押下)の各表示は全て消去される。
【0041】
以上の第2実施形態によれば、第1実施形態で述べた効果に加えて、次のような効果が得られる。
(4)状態表示部51〜54は、各押しボタン31〜34が有効に押されたか否かを示す有効表示部500に加えて、各押しボタン31〜34が連続して押された時間を表示する1秒押下表示部501および2秒押下表示部502を有するので、これらの表示部500〜502により現在の連続操作時間を確認しながら、所定時間、押しボタン31〜34を押し続けることが可能となる。これにより、使用者はカウントを誤ることなく、所定時間連続して行うことが必要な操作を簡単にかつ確実に行えるようになる。また、押しボタン31〜34を離してしまったときも確認が容易となる。
【0042】
なお、状態表示部51〜54における操作状態を示す各表示部500〜502の相対位置、形状、数等は本実施形態に限らない。また、連続操作時間の表示間隔は、1秒に限らず、適宜設定できる。
【0043】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について図8〜図10を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係る時計6の外観を示す。時計6は、指針61〜63および文字板64により時刻表示を行う。時計6の外装ケース60には、操作部材としての沈頭ボタン65が設けられている。
【0044】
図9は、時計6の部分拡大図である。沈頭ボタン65は、押し込み操作されるボタン本体651と、ボタン本体651の外装ケース60から突出する外周部を覆う覆い部652と、ボタン本体651を外装ケース60の外側に付勢するコイルバネ653とを有して構成されている。
本実施形態では、ボタン本体651の外周部全体に覆い部652が設けられているが、ボタン本体651の外周部の一部に覆い部が設けられていてもよい(半沈頭ボタン)。
また、本実施形態の覆い部652は、外装ケース60から円筒状に起立しているが、ボタン本体651が外装ケース60の開口部601に埋設され、この開口部601の周縁が覆い部を構成していてもよい。
【0045】
図9に示すように、外装ケース60内にはムーブメント70が収容され、ムーブメント70の地板71には、沈頭ボタン65が押された際に回路基板72の接点に当接されるスイッチバネ710が取り付けられている。なお、721はスイッチバネ710との接点部を有するパターンである。
スイッチバネ710は、文字板64の裏側で文字板64と略平行に延出する板状の指示部材711を有している。
【0046】
指示部材711には、沈頭ボタン65が押された状態を示す有効表示部711Aがパターン形成等によって設けられている。この有効表示部711Aの色は、指示部材711における他の部分の色とは異なっている。
文字板64には、窓部641(図8参照)が形成されており、本実施形態では、この窓部641と指示部材711とにより、状態表示部が構成されている。
【0047】
図10は、ペン先などで沈頭ボタン65が押された状態を示す。沈頭ボタン65の押し込みに連動して指示部材711が文字板64の裏側で移動し、窓部641から指示部材711の有効表示部711Aが視認可能となる。すなわち、沈頭ボタン65の操作状態は、窓部641の表示色が切り替わることによって表示される。
【0048】
以上の第3実施形態によれば、、第1実施形態で述べた効果に加えて、次のような効果が得られる。
(5)文字板64の窓部641と指示部材711の有効表示部711Aとにより、沈頭ボタン65の操作に応じて機械的に動作する表示機構が構成されるので、アナログ表示の時計6に好適となる。
【0049】
(6)沈頭ボタン65と、窓部641および指示部材711を含んで構成される状態表示部との相乗効果によって、押し間違いを防止しつつ、押したいときは確実に操作できる。
【0050】
なお、本実施形態では、操作部材として沈頭ボタン65を例示したが、覆い部がない通常の押しボタンを採用することもでき、この場合も、前記(5)と同様の効果が得られる。
また、本実施形態ではスイッチバネ710の一部として指示部材711が設けられていたが、ボタン操作に連動する指示部材の構成はこれに限らない。例えば、ボタンの押し込み操作によって回動するレバー等が指示部材とされていてもよい。このようなレバー機構により、押しボタンの変位量が拡大されるので、文字板の窓部のサイズおよび有効表示部のサイズを大きくしたり、押しボタンのストロークを小さくすることが可能となる。
【0051】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について図11〜図13を参照して説明する。本実施形態では、前記第2実施形態と同様のスイッチ回路(図5)が設けられ、押しボタンの連続操作時間に応じて状態表示部における表示態様が変更されるが、その表示態様が前記第2実施形態とは相違する。
図11は、本実施形態に係る時計8を示す。本実施形態の表示パネル2は、印加電圧や単位時間毎の電圧印加時間に応じて、またドットマトリクス駆動方式の場合は面積比に応じて、複数の階調を表示可能とされている。
【0052】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、時刻表示のモードからストップウォッチモードに切り替える操作を例にとり、説明する。
押しボタン31を押すと、図11に示すように、状態表示部81における表示色は薄いグレー色に変わり、これによって押しボタン31が有効に押されたことが表示される。
このまま押しボタン31を1秒間押し続けると、図12に示すように、状態表示部81における表示色は濃いグレー色に変わり、これによって押しボタン31が1秒間押されたことが表示される。さらに、押しボタン31を押し続け、2秒が経過すると、図13に示すように、状態表示部81における表示色は黒色に変わり、これによって押しボタン31が2秒間押されたことが表示される。この後、メイン表示部20の表示は、図7のようにストップウォッチ画面に切り替わる。
なお、図11〜図13には押しボタン31に対応する状態表示部81のみを示したが、他の押しボタン32〜34にそれぞれ対応する図示しない状態表示部がそれぞれ、表示パネル2において対応する押しボタン32〜34の近傍に設けられている。
本実施形態では、状態表示部81における表示色(表示態様)の変更により、操作に必要な所定時間(2秒間)に対してどの程度操作されたか、具体的には何秒間押されたかがわかる。本実施形態では、表示パネル2がセグメント駆動方式の場合、状態表示部81を1つのセグメントで構成することができる。
【0053】
このような本実施形態によっても、使用者は状態表示部81の表示態様に基づいて、押しボタン31が有効に押されたか否か、および連続操作時間を知ることが可能となる。本実施形態は、前記第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
〔第4実施形態の変形例〕
前記第4実施形態では、連続操作時間を検出し、状態表示部の表示態様を薄いグレー、濃いグレー、黒と段階的に変更していたが、このような表示態様の変更は、一度の表示書き換え処理の過程において行われていてもよい。これによって、前記第4実施形態と同様の効果を奏する。例えば、一度の書き換え処理に1秒〜数秒を要する表示パネルでは、この書き換え処理に要する時間を所定の操作に必要な所定時間として、この所定時間に対してどの程度操作されたかを、薄いグレー、濃いグレー、黒などの表示色の階調で表すことが可能である。ここで、電気泳動パネルは、一般に、一度の書き換え処理に1秒〜数秒を要するから、好適である。
なお、一度の書き換え処理における表示態様の変化は、連続操作時間に比例していなくてもよく、表示態様の変化により、操作に必要な所定時間に対する進捗が示されればよい。
本例のように、一度の書き換え処理の過程における表示態様の変化を利用する場合などは、連続操作時間の検出を必ずしも行わなくてよい。これにより、回路構成を簡略にできる。
【0055】
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係る時計の外観図。
【図2】押しボタンのスイッチ操作に係る回路図。
【図3】前記実施形態における状態表示部を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る時計の外観図。
【図5】押しボタンのスイッチ操作に係る回路図。
【図6】前記実施形態における状態表示部を示す図。
【図7】モード変更後の画面を示す図。
【図8】本発明の第3実施形態に係る時計の外観図。
【図9】前記時計の部分拡大図。
【図10】前記時計の一部破断図(沈頭ボタンを押した状態)。
【図11】本発明の第4実施形態に係り、状態表示部を示す図。
【図12】前記実施形態に係り、状態表示部を示す図。
【図13】前記実施形態に係り、状態表示部を示す図。
【符号の説明】
【0057】
1,5,6・・・時計、2・・・表示パネル、20・・・メイン表示部、21〜24・・・状態表示部、31〜34・・・押しボタン(操作部材)、42・・・制御部(操作時間検出部を構成)、44・・・タイマー(操作時間検出部を構成)、51〜54・・・状態表示部、64・・・文字板、65・・・沈頭ボタン(操作部材)、500・・・有効表示部、501・・・1秒押下表示部、502・・・2秒押下表示部、641・・・窓部(状態表示部を構成)、651・・・ボタン本体、652・・・覆い部、711・・・指示部材(状態表示部を構成)、711A・・・有効表示部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から操作可能な操作部材と、
前記操作部材の操作状態を表示する状態表示部と、を備え、
前記操作状態には、少なくとも、前記操作部材が有効に操作されたか否かが含まれる
ことを特徴とする時計。
【請求項2】
請求項1に記載の時計において、
前記状態表示部の表示態様は、前記操作部材が連続して操作された際の時間経過によって変更される
ことを特徴とする時計。
【請求項3】
請求項2に記載の時計において、
前記操作部材が連続して操作された連続操作時間を検出する操作時間検出部を備え、
前記状態表示部の表示態様が変更されることにより、前記操作状態としての前記連続操作時間が表示される
ことを特徴とする時計。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の時計において、
前記操作部材は、複数設けられ、
前記状態表示部は、前記各操作部材の近傍にそれぞれ配置され、その近傍の前記操作部材に係る前記操作状態を表示する
ことを特徴とする時計。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の時計において、
表示パネルを備え、
前記状態表示部は、前記表示パネルに設けられる
ことを特徴とする時計。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の時計において、
文字板を備え、
前記状態表示部は、前記文字板に形成される窓部と、前記操作部材の操作に連動する指示部材と、を有して構成され、
前記操作状態は、前記操作部材の操作によって前記指示部材における前記窓部から視認される部分の表示状態が切り替わることにより、表示される
ことを特徴とする時計。
【請求項7】
請求項6に記載の時計において、
前記操作部材は、押し込み操作されるボタン本体と、このボタン本体の外周部の少なくとも一部を覆う覆い部と、を有する沈頭ボタンである
ことを特徴とする時計。
【請求項8】
時計が備える操作部材が有効に操作されたか否かを含む操作状態を検出する状態検出工程と、
前記操作状態を表示する状態表示工程と、を備える
ことを特徴とする時計の操作部材の状態表示方法。
【請求項9】
請求項8に記載の時計の操作部材の状態表示方法において、
前記状態表示工程は、前記操作部材が連続して操作された際の時間経過によって前記操作状態の表示態様を変更する
ことを特徴とする時計の操作部材の状態表示方法。
【請求項10】
請求項9に記載の時計の操作部材の状態表示方法において、
前記状態検出工程は、前記操作部材が連続して操作された連続操作時間を検出し、
前記状態表示工程は、前記連続操作時間に応じた表示態様で、前記操作状態としての前記連続操作時間を表示する
ことを特徴とする時計の操作部材の状態表示方法。
【請求項1】
外部から操作可能な操作部材と、
前記操作部材の操作状態を表示する状態表示部と、を備え、
前記操作状態には、少なくとも、前記操作部材が有効に操作されたか否かが含まれる
ことを特徴とする時計。
【請求項2】
請求項1に記載の時計において、
前記状態表示部の表示態様は、前記操作部材が連続して操作された際の時間経過によって変更される
ことを特徴とする時計。
【請求項3】
請求項2に記載の時計において、
前記操作部材が連続して操作された連続操作時間を検出する操作時間検出部を備え、
前記状態表示部の表示態様が変更されることにより、前記操作状態としての前記連続操作時間が表示される
ことを特徴とする時計。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の時計において、
前記操作部材は、複数設けられ、
前記状態表示部は、前記各操作部材の近傍にそれぞれ配置され、その近傍の前記操作部材に係る前記操作状態を表示する
ことを特徴とする時計。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の時計において、
表示パネルを備え、
前記状態表示部は、前記表示パネルに設けられる
ことを特徴とする時計。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の時計において、
文字板を備え、
前記状態表示部は、前記文字板に形成される窓部と、前記操作部材の操作に連動する指示部材と、を有して構成され、
前記操作状態は、前記操作部材の操作によって前記指示部材における前記窓部から視認される部分の表示状態が切り替わることにより、表示される
ことを特徴とする時計。
【請求項7】
請求項6に記載の時計において、
前記操作部材は、押し込み操作されるボタン本体と、このボタン本体の外周部の少なくとも一部を覆う覆い部と、を有する沈頭ボタンである
ことを特徴とする時計。
【請求項8】
時計が備える操作部材が有効に操作されたか否かを含む操作状態を検出する状態検出工程と、
前記操作状態を表示する状態表示工程と、を備える
ことを特徴とする時計の操作部材の状態表示方法。
【請求項9】
請求項8に記載の時計の操作部材の状態表示方法において、
前記状態表示工程は、前記操作部材が連続して操作された際の時間経過によって前記操作状態の表示態様を変更する
ことを特徴とする時計の操作部材の状態表示方法。
【請求項10】
請求項9に記載の時計の操作部材の状態表示方法において、
前記状態検出工程は、前記操作部材が連続して操作された連続操作時間を検出し、
前記状態表示工程は、前記連続操作時間に応じた表示態様で、前記操作状態としての前記連続操作時間を表示する
ことを特徴とする時計の操作部材の状態表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−304364(P2008−304364A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152710(P2007−152710)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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