説明

時計用文字板および時計

【課題】光透過量を確保しつつ、美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、前記時計用文字板を備え、太陽電池による十分な発電量を確保することができるとともに、美的外観に優れた時計を提供すること。
【解決手段】時計用文字板20は、電気泳動分散液含有層40と、電気泳動分散液含有層40の光が入射する側(図1中上側)に、開口部82を有する反射膜8とを備えている。このような電気泳動分散液含有層40は、電気泳動粒子5が液相分散媒6中に分散した電気泳動分散液10を含むものであり、電気泳動分散液含有層40中で電気泳動粒子5が電気泳動することにより、時計用文字板20を透過する光量を調整可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用文字板および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラー時計(太陽電池を備えた時計)用の文字板には、太陽電池が十分な起電力を発生するのに十分な光量の光(光)を透過させる機能(光透過性)が求められる。このため、従来から、ソーラー時計用文字板としては、透明性の高いプラスチック性の部材が用いられてきた。ところが、プラスチックは、一般に、Au、Ag等の金属材料等に比べて、高級感に欠け、美的外観に劣っている。このため、プラスチック性の基板上に、接着剤を介して、金属材料で構成され開口部が設けられた金属膜を貼着して得られる文字板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような時計では、開口部を介して太陽電池に光を採り入れており、その開口部が、例えば日中の屋外や比較的照明が明るい部屋内で時計(文字板)を見たときに目立ち、時計の美的外観を低下させていた。また、時計の美的外観を保つため、開口部の面積を小さくすると、太陽電池に十分な光量の光を照射させることが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−326549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光透過量を確保しつつ、美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、太陽電池による十分な発電量を確保することができるとともに、美的外観に優れた時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の時計用文字板は、透過する光量を調整可能に構成されていることを特徴とする。
これにより、光透過量を確保しつつ、美的外観に優れた時計用文字板を提供することができる。
【0007】
本発明の時計用文字板では、電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を含有する電気泳動分散液含有層を備えており、
前記電気泳動分散液含有層中の前記電気泳動粒子が、電界の作用によって電気泳動することにより、透過する光量を調整可能に構成されていることが好ましい。
これにより、外部の光量に応じて、光透過量の調整を速く、かつ、容易に行うことができる時計用文字板を得ることができる。
【0008】
本発明の時計用文字板では、電界の作用によって、平面視したときの前記電気泳動分散液含有層中の前記電気泳動粒子の密集度が変化するように構成されていることが好ましい。
これにより、外部の光量に応じて、光透過量の調整をより速く、かつ、より容易に行うことができ、光透過量を十分に確保しつつ、美的外観により優れた時計用文字板を得ることができる。
【0009】
本発明の時計用文字板では、電界の作用によって、平面視したときの前記電気泳動分散液含有層の前記電気泳動粒子で覆われた領域の面積が変化するように構成されていることが好ましい。
これにより、外部の光量に応じて、光透過量の調整をより速く、かつ、より容易に行うことができ、光透過量を十分に確保しつつ、美的外観により優れた時計用文字板を得ることができる。
【0010】
本発明の時計用文字板では、前記電気泳動分散液含有層に加えて、前記電気泳動分散液含有層の少なくとも一方の面上に設けられた開口部を有する遮光膜を備え、
平面視したときに、前記電気泳動分散液含有層中の前記電気泳動粒子が、前記遮光膜の実部と重なり合うように配された状態と、前記遮光膜の開口部と重なり合うように配された状態とをとりうる構成を有することが好ましい。
これにより、外部の光量に応じて、光透過量の調整をより速く、かつ、より容易に行うことができ、光透過量を十分に確保しつつ、美的外観により優れた時計用文字板を得ることができる。
【0011】
本発明の時計用文字板では、前記遮光膜は、光を反射する機能を有する反射膜であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観をより優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、光透過性を有する導電性材料で構成された透明電極を備えていることが好ましい。
これにより、外部の光量が少ないときに、より効率よく外光を透過させることが可能な時計用文字板を得ることができる。
【0012】
本発明の時計は、受光して発電する太陽電池と、
前記太陽電池の光が入射する側に、当該太陽電池に対向するように設けられた本発明の時計用文字板と、
前記太陽電池の発電量、前記太陽電池の起電力により、蓄電手段に蓄えられている蓄電量のうちの少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果にもとづいて、前記時計用文字板を透過する光量を調整する制御手段とを備えていることを特徴とする。
これにより、太陽電池による十分な発電量を確保することができるとともに、美的外観に優れた時計を提供することができる。
【0013】
本発明の時計は、受光して発電する太陽電池と、
前記太陽電池の光が入射する側に、当該太陽電池に対向するように設けられた時計用文字板と、
前記太陽電池の発電量、前記太陽電池の起電力により、蓄電手段に蓄えられている蓄電量のうちの少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果にもとづいて、前記時計用文字板を透過する光量を調整する制御手段とを備えていることを特徴とする。
これにより、太陽電池による十分な発電量を確保することができるとともに、美的外観に優れた時計を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光透過量を確保しつつ、美的外観に優れた時計用文字板を提供することができる。また、前記時計用文字板を備え、太陽電池による十分な発電量を確保することができるとともに、美的外観に優れた時計を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の時計用文字板の第1実施形態について説明する。
図1、図2は、本発明の時計用文字板の第1実施形態を示す図であり、図1は、本実施形態の時計用文字板の光透過効率が高い状態を示す模式的な断面図であり、図2は、本実施形態の時計用文字板の光透過効率を抑制した状態を示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図2中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0016】
図1、図2に示す時計用文字板20は、電気泳動分散液含有層40と、電気泳動分散液含有層40の光が入射する側(図1、図2中上側)に、反射膜(遮光膜)8とを備えている。また、電気泳動分散液含有層40の光を出射する側(図1、図2中下側)には、第1の電極3を備える第1の基板1が設けられ、第1の基板1と対向し、電気泳動分散液含有層40と反射膜8との間に第2の電極4を備えた第2の基板2が設けられている。また、時計用文字板20の側部近傍であって、第1の基板1と第2の基板2との間には、第1の電極3と第2の電極4との間隔を規定するスペーサ7が設けられている。なお、このような時計用文字板20は、後述するような時計に適用される場合等において、反射膜8が設けられた面側が観察者側となるようにして用いられるものである。
【0017】
反射膜8は、時計用文字板20に入射する光を反射する機能を有する実部81と、入射する光を第1の基板1側に透過させる開口部82とを有している。
電気泳動分散液含有層40は、電気泳動粒子5が液相分散媒6中に分散した電気泳動分散液10を含むものであり、第1の基板1、第2の基板2、およびスペーサ7で囲まれた領域に設けられている。このような電気泳動粒子5は、正または負の電荷を有するものであり、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧が印加されると、液相分散媒6中を移動(電気泳動)し、第1の電極3あるいは第2の電極4のいずれかの近傍に集合する性質を有する。
【0018】
第1の基板1と第2の基板2は、それぞれ光透過性を有する材料で構成されている。
また、第1の電極3と第2の電極4とは、時計用文字板20を平面視したときに、互いに重ならないように第1の基板1、第2の基板2にそれぞれ設けられている。いいかえると、時計用文字板20を平面視したときに、第1の電極3は、反射膜8の実部81と重なるように設けられており、第2の電極4は、反射膜8の開口部82と重なるように設けられている。
【0019】
このような構成を有する時計用文字板20では、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加することによって、電気泳動粒子5の配置を調整することができ、これにより、時計用文字板20の光透過量を調整することができる。すなわち、図1に示すように、電気泳動分散液含有層40内の電気泳動粒子5が、第1の電極3近傍に引き寄せられた状態では、時計用文字板20は、反射膜8の開口部82を介して、外光を効率よく第1の基板1側(図1中下側)に透過させる(第1の状態)。一方、図2に示すように、電気泳動分散液含有層40内の電気泳動粒子5が第2の電極4近傍に引き寄せられた状態では、時計用文字板20は、開口部82を介して入射した外光が、第1の基板1側に透過するのを抑制する(第2の状態)。
【0020】
したがって、例えば、時計用文字板20を、光が出射される側に太陽電池を備えたソーラー時計用文字板として用いた場合には、以下に述べるように、状況に応じて、時計用文字板20を第1の状態または第2の状態とすることにより、太陽電池への光透過性を十分に確保しつつ、美的外観に優れたソーラー時計用文字板とすることができる。
具体的には、時計用文字板20の周囲の光量が少ないときには、観察者側から時計用文字板20を見た際に、反射膜8の開口部82が目立ちにくいため、開口部82の存在により時計用文字板20の審美性(美的外観)が損なわれることはないが、時計用文字板20に入射する光量が少ないため、外光を効率よく透過させる必要がある。したがって、このような場合には、時計用文字板20を第1の状態とすることにより、時計用文字板20に入射する外光を効率よく第1の基板1側(太陽電池側)に透過することができるとともに、時計用文字板20の美的外観を優れたものとすることができる。一方、時計用文字板20の周囲の光量が多いときには、観察者側から時計用文字板20を観察した際に、反射膜8の開口部82が目立ち易くなるため、開口部82が目立たないようにする必要がある。このような場合では、時計用文字板20を第2の状態とすることにより、開口部82を介して入射した外光が、第1の基板1側に透過するのを抑制し、開口部82が目立つのを防止することができる。なお、太陽電池の起電力により、二次電池等の蓄電手段が十分に蓄電されている場合には、時計用文字板20を第2の状態とすることで、周囲の光量によらず、時計用文字板20の美的外観を確実に優れたものとすることができる。
【0021】
このように、時計用文字板20は、光透過量を調整することができるものである。結果として、周囲の光量(明るさ)によらず、反射膜8の開口部82が目立つのを防止することができ、美的外観に優れたものとなる。また、時計用文字板20は、光透過性を十分に確保するものであるため、上述したように、ソーラー時計用文字板として好適に用いることができるものとなる。
【0022】
以下、各部の構成について順次説明する。
第1の基板1および第2の基板2は、平板上の部材で構成され、これらの間に配される各部材を支持および保護する機能を有する。また、本発明では、第1の基板1、第2の基板2が光透過性を有する材料で構成されている。本発明では、光透過性を有する第1の基板1および第2の基板2を用いることにより、外表面側から入射した光を好適に透過させることができる時計用文字板を提供することができる。
【0023】
第1の基板1、第2の基板2を構成する材料としては、上述したような特徴を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の各種プラスチック材料や、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
このような第1の基板1、第2の基板2の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、20〜500μm程度であるのが好ましく、25〜250μm程度であるのがより好ましく、50〜150μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、時計用文字板20の光透過性と強度との調和を図りつつ、時計用文字板20の小型化(特に、薄型化)を図ることができる。
【0025】
第2の基板2の電気泳動分散液含有層40側の面とは反対側の面に、反射膜8が設けられている。このような反射膜8は、外光を反射する機能を有する実部81と、開口部82とを有している。このような開口部82は、時計用文字板20を平面視したときに、後述する第2の電極4と重なるようにパターニングされている。時計用文字板20は、開口部82を介して、図1上側から入射する外光を透過させるものである。
【0026】
反射膜8を構成する材料としては、各種金属材料、各種金属の酸化物、硫化物等の金属化合物材料、プラスチック材料、もしくは、これらの材料の複合物等が挙げられるが、これらの材料の中でも、反射膜8を構成する材料としては、金属材料が好ましい。金属材料は、一般に、金属光沢を有しており、光(可視光)を反射する機能を有している。したがって、反射膜8が金属材料で構成されたものであると、光(可視光)を反射する反射膜として機能する。
【0027】
反射膜8を構成する金属材料としては、例えば、各種金属(合金を含む)を用いることができ、好ましくは、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag、Co、In、W、Ti、Rhや、これらのうち少なくとも1種を含む合金が挙げられる。反射膜8は、上記のような材料の中でも特に、Ag、Cr、Au、Al、Ti、Sn、Inから選択される少なくとも1種を含む材料(合金を含む)で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板20の美的外観を特に優れたものとすることができる。なお、反射膜8が上記金属材料で構成されたものである場合、反射膜8は、金属材料以外の成分を含むものであってもよい。
【0028】
このような反射膜8を平面視したときにおける開口部82の占める面積の割合(開口部82の占有面積の割合)は、15〜45%であるのが好ましく、20〜42%であるのがより好ましく、25〜38%であるのがさらに好ましい。これにより、時計用文字板20の光透過性を十分に確保することができるとともに、開口部82が目立つのをより確実に防止することができる。
【0029】
反射膜8の平均厚さは、特に限定されないが、0.005〜2.5μmであるのが好ましく、0.01〜2.0μmであるのがより好ましく、0.05〜1.0μmであるのがさらに好ましい。反射膜8の平均厚さが前記範囲内の値であると、反射膜8と第2の基板2とを粘接着剤等を用いて接合(接着)するときに、反射膜8に内部応力が過度に蓄積されるのが防止され、時計用文字板20の耐久性、美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0030】
また、反射膜8の開口部82の形状は、特に限定されず、例えば、平面視した際の形状が略円形状、略楕円形状、略多角形状、スリット状、格子状等、いかなる形状であってもよい。中でも、開口部82の形状としては、平面視した際に略円形状を示すものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板20の外観において、開口部82の存在をより目立ち難いものとすることができる。また、このような形状の開口部82は、その形成を容易に行うことができ、また、その大きさをより確実に制御することができる。
【0031】
また、第1の基板1、第2の基板2の電気泳動分散液含有層40側の面、すなわち、第1の基板1の上面(表面)および第2の基板2の下面(裏面)には、それぞれ、層状(膜状)をなす第1の電極3および第2の電極4が設けられている。
第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界が電気泳動粒子5に作用する。
【0032】
本実施形態では、図1、図2に示すように、第1の電極3と第2の電極4とが、時計用文字板20を平面視したときに、互いに重ならないように第1の基板1、第2の基板2に設けられている。
第1の電極3、第2の電極4の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、モリブデン、タンタルまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンオキシド、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、酢酸ビニル等のマトリックス樹脂中に、NaCl、LiClO、KCl、HO、LiCl、LiBr、LiI、LiNO、LiSCN、LiCFSO、NaBr、NaI、NaSCN、NaClO、NaCFSO、KI、KSCN、KClO、KCFSO、NHI、NHSCN、NHClO、NHCFSO、MgCl、MgBr、MgI、Mg(NO、MgSCN、Mg(CFSO、ZnCl、ZnI、ZnSCN、Zn(ClO、Zn(CFSO、CuCl、CuI、CuSCN、Cu(ClO、Cu(CFSO等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープした錫酸化物(FTO)、錫酸化物(SnO)、インジウム酸化物(IO)等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
上述したような材料の中でも、第1の電極3、第2の電極4の構成材料としては、導電性を有するとともに、光透過性を有する材料であるのが好ましい。これにより、外部の光量が少ないときでも、反射膜8の開口部82から、より効率よく外光を透過することが可能な時計用文字板20となる。このような材料としては、例えば、ITOを好適に用いることができる。
【0034】
その他、第1の電極3、第2の電極4の構成材料としては、それぞれ、例えば、ガラス材料、ゴム材料、高分子材料等の導電性を有さない材料中に、金、銀、ニッケル、カーボン等の導電性材料(導電性粒子)を混合して、導電性を付加したような各種複合材料も使用することができる。
このような複合材料の具体例としては、例えば、ゴム材料中に導電性材料を混合した導電性ゴム、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系等の接着剤組成物中に導電性材料を混合した導電性接着剤または導電性ペースト、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ナイロン(ポリアミド)、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等のマトリックス樹脂中に導電性材料を混合した導電性樹脂等が挙げられる。
【0035】
このような第1の電極3、第2の電極4の厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
なお、第1の電極3、第2の電極4は、前述したような材料の単体からなる単層構造のものの他、例えば、複数の材料を順次積層したような多層積層構造のものであってもよい。すなわち、第1の電極3、第2の電極4は、それぞれ、例えば、ITOで構成される単層構造であってもよく、ITO層とポリアニリン層との2層積層構造とすることもできる。
【0036】
また、時計用文字板20の側部近傍であって、第1の基板1と第2の基板2との間には、第1の電極3と第2の電極4との間隔を規定する機能を有するスペーサ7が設けられている。
本実施形態では、このスペーサ7は、時計用文字板20の外周を囲むようにして設けられており、第1の基板1と第2の基板2との間に、後述する電気泳動分散液含有層40を画成(形成)するシール部材としての機能も有している。
【0037】
スペーサ7の構成材料としては、例えばエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等の各種樹脂材料や、シリカ、アルミナ、チタニア等の各種セラミックス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、スペーサ7は、時計用文字板20の外周を囲むようにして設けられる構成に限定されず、例えば、複数のスペーサ7を所定間隔おいて、時計用文字板の側部近傍に配設し、これらの間隔を他の封止材(シール材)により封止するような構成としてもよい。
【0038】
このスペーサ7と、第1の基板1と、第2の基板2とで画成される空間には、電気泳動分散液10が収納(充填)され、これにより電気泳動分散液含有層40が構成されている。すなわち、この電気泳動分散液含有層40は、第1の電極3の第1の基板1と反対側に設けられ、図1、図2に示すように、第1の電極3と第2の電極4との間に介挿される部分を有する構成となっている。
【0039】
電気泳動分散液10は、少なくとも1種の電気泳動粒子5を液相分散媒6に分散(懸濁)させてなるものである。
このような電気泳動粒子5は、光を吸収、および/または反射する機能を有するものである。
電気泳動粒子5の構成材料としては、種々のものを用いることができ、特に限定はされないが、顔料、樹脂、セラミックス、金属、金属酸化物またはこれらを含む混合物のうちの少なくとも1種を主とするものが好適に使用される。これらの材料を主材料とする電気泳動粒子5は、製造が容易である。
また、電気泳動粒子5には、前記材料のうちの任意の2種以上を用いて構成した複合粒子を用いることもできる。
【0040】
顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、亜鉛華、二酸化珪素等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
また、樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの等が挙げられる。
【0042】
電気泳動粒子5の平均粒径は、0.1〜10μm程度であるのが好ましく、0.1〜7.5μm程度であるのがより好ましい。粒子の平均粒径が小さ過ぎると、電気泳動粒子5同士の間で凝集が生じやすくなり、一方、粒子の平均粒径が大き過ぎると、その種類等によっては、電気泳動させることが困難となるおそれがある。
このような電気泳動粒子5の液相分散媒6への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、攪拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
【0043】
液相分散媒6としては、比較的高い絶縁性を有する液体が好適に使用される。かかる液相分散媒6としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、パラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等の石油系炭化水素類、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類(アルキルベンゼン誘導体)等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、カルボン酸塩またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
【0044】
また、液相分散媒6(電気泳動分散液10)中には、必要に応じて、例えば、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
【0045】
さらに、液相分散媒6には、必要に応じて、アントラキノン系染料、アゾ系染料、インジゴイド系染料、トリフェニルメタン系染料、ピラゾロン系染料、スチルベン系染料、ジフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アリザリン系染料、アクリジン系染料、キノンイミン系染料、チアゾール系染料、メチン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料等の各種染料を溶解するようにしてもよい。このような染料を液相分散媒6中に溶解させることにより、光透過性を確保しながらも、時計用文字板20の外観の色調をより細かく調整することが可能となる。特に、電気泳動粒子5が有色の粒子である場合(例えば、顔料を主材料として構成されたもの)、電気泳動粒子5の色と、液相分散媒6の色との組み合わせにより、時計用文字板20の外観に、様々なバリエーションの色調を持たせることができる。
【0046】
また、このような液相分散媒6の粘度粘度(25℃において、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される粘度)は、前述した電気泳動粒子5と液相分散媒6との比重差により異なるが、0.8mPa・s以上であるのが好ましい。これにより、第1の電極3と第2の電極4との間に印加された電圧を除去しても、電気泳動粒子5は、電圧が印加されていた状態(位置)に安定的に留まることができ、時計用文字板20の光透過量を所望の状態でより長期間維持することができる。
【0047】
ここで、各電気泳動分散液含有層40内での電気泳動粒子5が電気泳動する原理について詳細に説明する。
図3は、電気泳動粒子5が電気泳動する原理を説明するための模式図である。なお、説明の都合上、図3の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
電気泳動粒子5は、荷電を有し、電界が作用することにより、液相分散媒6中を電気泳動し得る粒子である。
【0048】
このような時計用文字板20では、第1の電極3および第2の電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に生じる電界にしたがって、電気泳動粒子5は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
例えば、電気泳動粒子5が負電荷を有する場合、第1の電極3を正電位とすると、図3(A)に示すように、電気泳動粒子5は、第1の電極3側に移動して、第1の電極3に集まる。これとは逆に、第2の電極4を正電位とすると、図3(B)に示すように、電気泳動粒子5は、第2の電極4側に移動して、第2の電極4に集まる。
【0049】
したがって、電気泳動粒子5の物性(例えば、正負、帯電量(電荷量)等)や、第1の電極3または第2の電極4の極性、第1の電極3と第2の電極4との間の電位差等を適宜設定することにより、時計用文字板20は、周囲の光量等に応じて、外光の透過量を調整可能なものとなる。
上述した原理に基づいて、時計用文字板20は、電気泳動粒子5の配置を調整することができ、これにより、時計用文字板20の光透過量を調整することができる。より具体的には、時計用文字板20を透過する光量を増やすためには、図1に示すように、電気泳動粒子5が、第1の基板1に備えられた第1の電極3近傍に集合するように第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加することにより、反射膜8の開口部82を介して、時計用文字板20の上側から入射する外光を効率よく第1の基板1側に透過させることができる(第1の状態)。一方、時計用文字板20を透過する光量を減らし、開口部82を目立たなくさせるためには、図2に示すように、電気泳動粒子5が、第2の基板2に備えられた第2の電極4近傍に集合するように第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加することにより、開口部82を介して時計用文字板20に入射した外光は、光を吸収、および/または反射する機能を有する電気泳動粒子5によって、第1の基板1側への透過量が抑制されたものとなる(第2の状態)。
【0050】
また、このような電気泳動粒子5は、第1の電極3と第2の電極4との間に印加された電圧を除去すると、電気泳動分散液含有層40中で、電圧印加を除去する直前の位置に安定して留まる。したがって、例えば、周囲の光量が少ないときに、第1の状態にある時計用文字板20は、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加し続けなくても、電気泳動粒子5は、安定的に第1の電極3の近傍に集合した状態となり、効率よく外光を透過させ続けることができる。なお、電気泳動粒子5が、第1の電極3、あるいは第2の電極4近傍での集合状態を解き、時計用文字板20の光透過量が所望の状態から変化したときには、再び、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加すればよい。
【0051】
なお、液相分散媒6の粘度によって異なるが、電気泳動粒子5の比重と液相分散媒6の比重との差の絶対値が、0.5g/cm以下であるのが好ましい。これにより、第1の電極3と第2の電極4との間に印加された電圧を除去しても、電気泳動粒子5は、電圧が印加されていた状態(位置)に安定的に留まることができ、時計用文字板20の光透過量を所望の状態でより長期間維持することができる。
【0052】
また、本実施形態では、電気泳動粒子5が、第1の電極3または第2の電極4のいずれかの近傍に集合することにより、時計用文字板20の光透過性を調整するものとして説明したが、時計用文字板20が取り得る状態は、上述した第1の状態、第2の状態に限られない。例えば、第1の電極3と第2の電極4との間に印加する電圧の大きさ、印加する時間を調整し、電気泳動分散液含有層40中で、電気泳動粒子5を第1の電極3側、あるいは第2の電極4側のいずれかにより多く配置するかで、時計用文字板20の光透過性をより細かく調整することができる。
【0053】
<第2実施形態>
次に、本発明の時計用文字板の第2実施形態について説明する。
図4、図5は、本発明の時計用文字板の第2実施形態を示す図であり、図4は、本実施形態の時計用文字板の光透過効率が高い状態を示す模式的な断面図であり、図5は、本実施形態の時計用文字板の光透過効率を抑制した状態を示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図4および図5中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0054】
以下、時計用文字板の第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態にかかる時計用文字板との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図4、図5に示す時計用文字板20は、電気泳動分散液含有層の構成が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態の時計用文字板20は、電気泳動分散液含有層として、電気泳動粒子5が液相分散媒6中に分散した電気泳動粒子分散液10をカプセル本体(殻体)401内に封入した複数のマイクロカプセル40を備え、マイクロカプセル40が、第1の基板1、第2の基板2、およびスペーサ7で囲まれた領域に、バインダ材41によって固定されている。また、各マイクロカプセル40は、時計用文字板20を平面視したときに、互いに重ならないように設けられた一対の第1の電極3および第2の電極4との間に、それぞれ1つずつ配置されている。
【0055】
このような構成により、時計用文字板20では、電気泳動粒子5の移動が所定領域内(各マイクロカプセル40内)に限られるため、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加した際に、所定の電極近傍に集合する電気泳動粒子5の密集度(密度)が、各電極間(各第1の電極3間、または各第2の電極4間)で不本意にばらつくのを確実に防止することができる。これにより、時計用文字板20は、外光をより多く透過させる状態(第1の状態)と、それとは逆に、外光の透過量を抑制する状態(第2の状態)とをより確実に作り出すことができる。また、各電極近傍に集合する電気泳動粒子5の密集度を、各電極間で均一にすることができるため、例えば、第2の状態では、反射膜8の開口部82の一部が目立ってしまうのをより確実に防止することができる。
【0056】
また、図4、図5に示すように、本実施形態の時計用文字板20は、1つのマイクロカプセル40に対して一対の第1の電極3および第2の電極4が対応して設けられているが、例えば、1つのマイクロカプセル40に対して複数の第1の電極3および第2の電極4が対応して設けられていてもよい。
マイクロカプセル40は、上述したように、電気泳動粒子5が液相分散媒6中に分散した電気泳動粒子分散液10をカプセル本体(殻体)401内に封入したものである。
このようなマイクロカプセル40は、スペーサ7と、第1の基板1と、第2の基板2とで画成(形成)される空間に設けられ、バインダ材41で固定(保持)されている。
マイクロカプセル40は、第1の基板1と第2の基板2との間に、縦横に並列するように単層で(厚さ方向に重なることなく1個ずつ)配設されている。
【0057】
本実施形態では、第1の電極3と第2の電極4とで挟持されることにより、マイクロカプセル40は、上下方向に圧縮され、水平方向に拡がって扁平形状となっている。換言すると、マイクロカプセル40は、平面視において石垣構造を形成している。
このような構成により、時計用文字板20は、外光をより多く透過させる状態と、それとは逆に、外光の透過量を抑制する状態とをより確実に作り出すことができる。さらに、電気泳動粒子5が、所定領域内(各マイクロカプセル40内)での移動に限られるため、電気泳動粒子5を短時間に所定の電極近傍に移動、集合させることができ、応答速度の向上を図ることができる。
【0058】
カプセル本体(殻体)401の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、アラビアゴムとゼラチンとの複合材料、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド、ポリエーテルのような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、マイクロカプセル40の作製手法(マイクロカプセル40への電気泳動分散液10の封入方法)としては、特に限定されないが、例えば、界面重合法、in−situ重合法、相分離法(または、コアセルベーション法)、界面沈殿法、スプレードライング法等の各種マイクロカプセル化手法を用いることができる。なお、前記のマイクロカプセル化手法は、マイクロカプセル40の構成材料等に応じて、適宜選択するようにすればよい。
【0059】
このようなマイクロカプセル40は、その大きさがほぼ均一であることが好ましい。これにより、時計用文字板20は、光透過量がより確実に調整可能なものとなる。また、不本意な美的外観の低下をより確実に防止することができる。より具体的には、反射膜8の開口部82が目立つのをより確実に防止することができる。なお、均一な大きさのマイクロカプセル40は、例えば、濾過法、比重差分級法等を用いることにより得ることができる。
マイクロカプセル40の大きさ(平均粒径)は、特に限定されないが、通常、10〜150μm程度であるのが好ましく、20〜100μm程度であるのがより好ましい。
【0060】
バインダ材41は、第1の基板1、第2の基板2同士を接合する目的、第1の基板1、第2の基板2間にマイクロカプセル40を固定する目的、第1の電極3、第2の電極4間の絶縁性を確保する目的等により供給される。これにより、時計用文字板20の耐久性および信頼性をより向上させることができる。
このバインダ材41には、光透過性を有するとともに、第1の電極3、第2の電極4およびマイクロカプセル40との親和性(密着性)に優れ、かつ、絶縁性に優れる樹脂材料が好適に使用される。
【0061】
このようなバインダ材41としては、特に限定はされないが、例えば、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリプロピレン、ABS樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール−塩化ビニル共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアリレート、グラフト化ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリビニルピロリドン等の高分子、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレン、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン、フッ素ゴム等のフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーンゴム等の珪素樹脂、その他として、メタクリル酸−スチレン共重合体、ポリブチレン、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、バインダ材41は、その誘電率が前記液相分散媒6の誘電率とほぼ等しくなるよう設定されているのが好ましい。このため、バインダ材41中には、例えば、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールのようなアルコール類、ケトン類、カルボン酸塩等の誘電率調節剤を添加するのが好ましい。
【0062】
<第3実施形態>
次に、本発明の時計用文字板の第3実施形態について説明する。
図6、図7は、本発明の時計用文字板の第3実施形態を示す図であり、図6は、本実施形態の時計用文字板の光透過効率が高い状態を示す模式的な断面図であり、図7は、本実施形態の時計用文字板の光透過効率を抑制した状態を示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図6および図7中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0063】
以下、時計用文字板の第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態および前記第2実施形態にかかる時計用文字板との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図6、7に示す時計用文字板20は、光を反射する機能を備え、開口部92を有する基板9と、電気泳動分散液10が各開口部92に充填されて構成された電気泳動分散液含有層40が備えられている。また、電気泳動分散液含有層40(基板9の開口部92)の光を出射する側(図6、図7中下側)には、第1の電極3を備える第1のフィルム11が設けられ、基板9および電気泳動分散液含有層40の光を入射する側(図6、図7中上側)には、第1のフィルム11と対向するように第2の電極4を備えた第2のフィルム12が設けられている。なお、本実施形態の第1の電極3、第2の電極4は、それぞれ、第1のフィルム11の基板9とは反対側(図6、7中下側)の面、第2のフィルム12の基板9とは反対側(図6、7中上側)の面の全面を被覆するように設けられている。
【0064】
基板9は、前述した反射膜8と同様に、時計用文字板20に入射する光を反射する機能を有する実部91と、入射する光を第1のフィルム11側に透過させる開口部92とを有している。このような開口部92は、基板9の厚さ方向において、第1のフィルム11から第2のフィルム12に向かって開口部92の断面積が増大するように設けられている。すなわち、開口部92は、第1のフィルム11と接し、断面積が最小となる断面積最小部923と、第2のフィルム12と接し、断面積が最大となる断面積最大部924とを有している。
【0065】
また、基板9の各開口部92(基板9の実部91、第1のフィルム11、および第2のフィルム12で囲まれた領域)には、前述したような電気泳動分散液10が充填され、電気泳動分散液含有層40を画成(形成)している。
このような構成を有する時計用文字板20では、前述した時計用文字板20および時計用文字板20と同様に、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加することによって、電気泳動粒子5の配置を調整することができ、これにより、時計用文字板20の光透過量を調整することができる。すなわち、図6に示すように、電気泳動分散液含有層40内の電気泳動粒子5が、第2の電極4側に電気泳動し、基板9の開口部92の断面積最大部924近傍に引き寄せられた状態では、断面積最大部924近傍に集合した電気泳動粒子5の密集度(密度)は十分に低いものとなり、外光を開口部92を介して効率よく第1のフィルム11側(図6中下側)に透過させる(第1の状態)。一方、図7に示すように、電気泳動分散液含有層40内の電気泳動粒子5が、第1の電極3側に電気泳動し、基板9の開口部92の断面積最小部923近傍に引き寄せられた状態では、断面積最小部923近傍に集合した電気泳動粒子5の密集度(密度)は十分に高いものとなり、開口部92を介して時計用文字板20に入射した外光が第1のフィルム11側に透過するのを抑制する(第2の状態)。時計用文字板20は、上述したような第1の状態および第2の状態を取り得ることにより、外光の透過量を調整可能に構成されたものである。このような時計用文字板20は、光透過性を十分に確保しつつ、美的外観に優れたものとなる。
【0066】
また、本実施形態の時計用文字板20は、前述した第1実施形態または第2実施形態の時計用文字板とは異なり、第1の電極3、第2の電極4をパターニングすることなく、それぞれ第1のフィルム11、第2のフィルム12の基板9とは反対側の面の全面に被覆したものである。このように、本実施形態の時計用文字板20では、第1の電極3および第2の電極4のパターニングをする必要がないため、時計用文字板20の製造工程の簡素化を図ることができる。また、第1の電極3および第2の電極4を成膜する際に、厚みムラなどの成膜不良が起こった場合でも、再度、パターニングの必要ない成膜処理を施すことにより、第1の電極3および第2の電極4を成膜することができるため、時計用文字板20の不良率を減少させ、生産性の向上を図ることができる。また、このような時計用文字板20を長期間使用し続けた結果、電気泳動分散液10、または第1のフィルム11、第2のフィルム12が劣化した場合でも、時計用文字板20を構成する各部材を容易に交換することができるため、再利用性に優れている。なお、本実施形態において、断面積とは、基板9の主面方向についての断面積(基板9を平面視したときの断面積)のことを指す。
【0067】
第1のフィルム11、第2のフィルム12は、それぞれ、光透過性を有する材料で構成されている。
また、第1のフィルム11、第2のフィルム12は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよい。
このような第1のフィルム11および第2のフィルム12を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、前述した第1の基板1、第2の基板2を構成する材料を好適に用いることができる。
【0068】
基板9は、上述したように、外光を反射する機能を有する実部91と、開口部92とを有している。
基板9を構成する材料としては、前述した反射膜8と同様の材料を好適に用いることができる。
基板9の開口部92は、第1のフィルム11と接し、断面積が最小となる断面積最小部923と、基板9の主面に垂直な方向に対して所定角度だけ傾斜した傾斜面921によって、基板9の上方向(第2のフィルム12の方向)に向かって、断面積が増大する断面積増大部922と、第2のフィルム12と接し、断面積が最大となる断面積最大部924とを有するものとして形成されている。
【0069】
このような断面積増大部922(傾斜面921)を有することにより、時計用文字板20に入射した外光をより効率よく第1のフィルム11側に透過させることができる。また、傾斜面921に入射した光を、光の入射側に反射(乱反射)させることができる。これにより、外部から入射した外光(図6、図7中上側からの外光)の透過率を十分に高いものとしつつ、開口部92の存在を目立ち難いものとすることができ、結果として、時計用文字板20全体としての美的外観を優れたものとすることができる。
【0070】
また、開口部9が断面積増大部922(傾斜面921)を有するものであることにより、開口部9の存在を目立ち難いものとすることができるため、開口部9の開口面積を比較的大きいものとした場合であっても、時計用文字板20の外観を十分に優れたものとすることができる。したがって、時計用文字板20の外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板20の光の透過率を特に優れたものとすることができる。
なお、このような断面積増大部922を有する開口部92は、例えば、基板9上に形成する開口部92を平面視したときに、開口部92の中心に対応する位置に孔(開口部)を有するマスクを介して、エッチングを施すことにより容易に得ることができる。
【0071】
また、基板9の開口部92(基板9の実部91、第1のフィルム11、および第2のフィルム12で囲まれた領域)には、前述した電気泳動分散液10が充填されており、電気泳動分散液含有層40を構成している。
このような電気泳動分散液含有層40は、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加することにより、含まれる電気泳動粒子5が第1のフィルム11または第2のフィルム12に向かって電気泳動する。
【0072】
以下、時計用文字板20が第1の状態(外光を効率よく透過させる状態)と第2の状態(外光の透過を抑制する状態)とを取り得るメカニズムについて詳述する。
時計用文字板20は、図6に示すように、電気泳動分散液含有層40内の電気泳動粒子5が第2のフィルム12側に電気泳動し、第2のフィルム12と開口部92とが接する面(断面積最大部924)近傍に引き寄せられた状態では、電気泳動粒子5の密集度(密度)が低くなり、各電気泳動粒子5間に外光が透過するのに十分な間隔(隙間)を有している。その結果、時計用文字板20に入射した外光を開口部92を介して効率よく第1のフィルム11側に透過させることができる。一方、図7に示すように、電気泳動分散液含有層40内の電気泳動粒子5が第1のフィルム11側に電気泳動し、第1のフィルム11と開口部92とが接する面(断面積最小部923)近傍に引き寄せられた状態では、電気泳動粒子5の密集度(密度)が高く、各電気泳動粒子5間の隙間(間隔)が狭くなっており、開口部92を介して第1のフィルム11側に透過する外光の透過量が抑制される。したがって、時計用文字板20は、以上のような構成を適宜取り得ることにより、光透過性を十分に確保しつつ、美的外観に優れたものとなる。
【0073】
開口部92(断面積増大部922)において、断面積が最小となる断面積最小部923での断面積は、40〜10000μmであるのが好ましく、70〜8000μmであるのがより好ましく、70〜6000μmであるのがさらに好ましい。これにより、時計用文字板20の外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板20の光の透過率を特に優れたものとすることができる。
【0074】
基板9を平面視したときの基板9の開口部92が設けられている領域の面積をS[μm]、各開口部92についての断面積最小部923の面積の総和をΣ(S)[μm]としたとき、0.15≦Σ(S)/S≦0.45の関係を満足するのが好ましく、0.20≦Σ(S)/S≦0.42の関係を満足するのがより好ましく、0.25≦Σ(S)/S≦0.40の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、時計用文字板20の外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板20の光の透過率を特に優れたものとすることができる。
【0075】
また、開口部92(断面積増大部922)において、断面積が最小となる断面積最小部923での断面積をS[μm]、断面積が最大となる断面積最大部924での断面積をS[μm]としたとき、0.15≦S/S<1.00の関係を満足するのが好ましく、0.30≦S/S<1.00の関係を満足するのがより好ましく、0.50≦S/S<1.00の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、時計用文字板20の外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板20の光の透過率を特に優れたものとすることができる。
【0076】
また、断面積増大部922の厚さは、特に限定されないが、0.005〜2.5μmであるのが好ましく、0.005〜1.5μmであるのがより好ましく、0.007〜0.9μmであるのがさらに好ましく、0.01〜0.5μmであるのがもっとも好ましい。これにより、時計用文字板20の外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板20の光の透過率を特に優れたものとすることができる。
【0077】
また、図示の構成では、断面積増大部922は、開口部92の厚さ方向のほぼ全体にわたって形成されている。すなわち、反射膜としての基板9の厚さと、断面積増大部922の厚さとが同一である。このような構成により、時計用文字板20の美的外観は、特に優れたものとなる。
また、断面積増大部922は、基板9の主面に垂直な方向についての断面において、傾斜面921が放物線を描くように形成されたものである。断面積増大部922(傾斜面921)がこのような形状を有するものであると、上述したような断面積増大部922(傾斜面921)を有することによる効果が、より顕著なものとして発揮される。
【0078】
開口部92(断面積最小部923)の形状は、特に限定されず、例えば、平面視した際の形状が略円形状、略楕円形状、略多角形状、スリット状、格子状等、いかなる形状であってもよい。中でも、開口部92の形状としては、平面視した際に略円形状を示すものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板20の外観において、開口部92の存在をより目立ち難いものとすることができる。また、このような形状の開口部92は、その形成を容易に行うことができ、また、その大きさをより確実に制御することができる。
なお、上述した本実施形態の時計用文字板20は、基板9が外光を反射する機能を有するものとして説明したが、基板9全体が外光を反射する機能を有している必要はなく、例えば、傾斜面921を構成する材料のみが外光を反射する材料で構成されたものであってもよい。
【0079】
次に、本発明の時計の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の時計は、上述したような時計用文字板20を有するものである。上述したように、時計用文字板20は、光透過性(光透過性)および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板20を備えた本実施形態の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。
【0080】
図8は、本実施形態の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す断面図である。
図8に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)72と、裏蓋73と、ベゼル(縁)74と、ガラス板(カバーガラス)75とを備えている。また、ケース72内には、前述したような本発明の時計用文字板としての文字板(時計用文字板)20と、太陽電池88と、ムーブメント71とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。
【0081】
ガラス板75は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板としての文字板20の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池88に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント71は、太陽電池88の起電力を利用して、指針を駆動する。
【0082】
図8中では省略しているが、ムーブメント71内には、例えば、太陽電池88の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて輪列機構を1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント71は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
【0083】
太陽電池88は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池88で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動、時計用文字板20が備える電気泳動分散液含有層40内の電気泳動粒子5を電気泳動させるためのエネルギー(第1の電極3と第2の電極4との間に印加する電圧)等に利用される。
太陽電池88は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
【0084】
胴72には巻真パイプ76が嵌入・固定され、この巻真パイプ76内にはりゅうず77の軸部771が回転可能に挿入されている。
胴72とベゼル74とは、プラスチックパッキン78により固定され、ベゼル74とガラス板75とはプラスチックパッキン79により固定されている。
また、胴72に対し裏蓋73が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)85には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)84が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部85が液密に封止され、防水機能が得られる。
【0085】
りゅうず77の軸部771の途中の外周には溝772が形成され、この溝772内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)83が嵌合されている。ゴムパッキン83は巻真パイプ76の内周面に密着し、該内周面と溝772の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず77と巻真パイプ76との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず77を回転操作したとき、ゴムパッキン83は軸部771と共に回転し、巻真パイプ76の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
なお、上記の説明では、時計の一例として、腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。
【0086】
次に、図8に示す時計100が有する時計用文字板20を透過する光量を調整する方法について説明する。
図9は、図8に示す時計100の要部を示すブロック図である。
図9に示すように、時計100は、時計用文字板20を透過した外光を受光し、発電する太陽電池88の発電量、および/または太陽電池88の起電力を蓄電する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池等の蓄電手段97に蓄えられている蓄電量を検出する検出手段95と、検出手段95の検出結果に基づいて、時計用文字板20を透過する光量を調整する制御手段96とを有している。このような構成を有する時計100は、時計100がおかれる周囲の明るさ、蓄電手段97に蓄えられている蓄電量に応じて、時計用文字板20の光透過量を調整するものである。結果として、時計100は、太陽電池による十分な発電量を確保することができるとともに、美的外観に優れたものとなる。
【0087】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
上述した実施形態では、時計として太陽電池を備えたソーラー時計について説明したが、本発明の時計はこれに限定されない。例えば、本発明の時計用文字板と、時計内部から時計外部に発光する機能を有する発光素子とを備えたものであってもよい。
【0088】
また、本発明の時計用文字板は、各実施形態の任意の構成を組み合わせたものであってもよい。
また、上述した各実施形態の時計用文字板では、時計用文字板が備える電気泳動分散液含有層中の電気泳動粒子を電気泳動させることによって、時計用文字板を透過する光量を調整するものとして説明したが、本発明の時計用文字板はこれに限定されない。例えば、時計用文字板は、電気泳動分散液含有層の代わりに、偏光板と、配向膜と、一対の電極と、一対の電極間に設けられた液晶層とを有するものであり、電極間に電圧を印加し、液晶の配向状態を変更させることにより、光透過量を調整可能なものであってもよい。また、時計用文字板は、このように電界の作用によって光透過量を調整するものに限られず、例えば、機械的に時計用文字板の少なくとも一部を変位させることにより、時計用文字板を透過する光量を調整するような構成を有するものであってもよい。
【0089】
また、前述した各実施形態では、反射膜8および基板9は、外光を反射する機能を有するものとして説明したが、これに限られず、例えば、外光を吸収するような黒色の遮光材料で構成されていてもよい。より具体的には、カーボンブラックなどを主材料としたものであってもよい。すなわち、反射膜8、基板9の代わりに、光吸収性を有する材料で構成された光吸収膜としてもよい。
【0090】
また、前述した実施形態では、時計用文字板は、透過する光量を調整可能に構成されているものとして説明したが、本発明の時計が有する時計用文字板は、このような機能を有するものでなくてもよい。例えば、時計として、太陽電池と、太陽電池の光が入射する側に設けられた時計用文字板と、時計用文字板とは別部材として、時計用文字板を透過する光量を調整する部材とを有するようなものであってもよい。
また、時計用文字板、時計を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、上述した実施形態にかかる時計は、時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品として、公知のものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の時計用文字板の第1実施形態を説明するための模式的な断面図である。
【図2】本発明の時計用文字板の第1実施形態を説明するための模式的な断面図である。
【図3】図1、図2に示す電気泳動分散液含有層内の電気泳動粒子が電気泳動する原理を示す模式図である。
【図4】本発明の時計用文字板の第2実施形態を説明するための模式的な断面図である。
【図5】本発明の時計用文字板の第2実施形態を説明するための模式的な断面図である。
【図6】本発明の時計用文字板の第3実施形態を説明するための模式的な断面図である。
【図7】本発明の時計用文字板の第3実施形態を説明するための模式的な断面図である。
【図8】本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
【図9】図8に示す時計の要部を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
1‥‥第1の基板 2‥‥第2の基板 3‥‥第1の電極 4‥‥第2の電極 5‥‥電気泳動粒子 6‥‥液相分散媒 7‥‥スペーサ 8…反射膜 81…実部 82…開口部 9…基板 91…実部 92…開口部 921…傾斜面 922…断面積増大部 923…断面積最小部 924…断面積最大部 10‥‥電気泳動分散液 11…第1のフィルム 12…第2のフィルム 20‥‥時計用文字板 40‥‥電気泳動分散液含有層(マイクロカプセル) 401…カプセル本体(殻体) 41‥‥バインダ材 71…ムーブメント 72…胴(ケース) 73…裏蓋 74…ベゼル(縁) 75…ガラス板(カバーガラス) 76…巻真パイプ 77…りゅうず 771…軸部 772…溝 78…プラスチックパッキン 79…プラスチックパッキン 83…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 84…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 85…接合部(シール部) 88…太陽電池 95…検出手段 96…制御手段 97…蓄電手段 100…腕時計(携帯時計)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過する光量を調整可能に構成されていることを特徴とする時計用文字板。
【請求項2】
電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を含有する電気泳動分散液含有層を備えており、
前記電気泳動分散液含有層中の前記電気泳動粒子が、電界の作用によって電気泳動することにより、透過する光量を調整可能に構成されている請求項1に記載の時計用文字板。
【請求項3】
電界の作用によって、平面視したときの前記電気泳動分散液含有層中の前記電気泳動粒子の密集度が変化するように構成されている請求項2に記載の時計用文字板。
【請求項4】
電界の作用によって、平面視したときの前記電気泳動分散液含有層の前記電気泳動粒子で覆われた領域の面積が変化するように構成されている請求項2または3に記載の時計用文字板。
【請求項5】
前記電気泳動分散液含有層に加えて、前記電気泳動分散液含有層の少なくとも一方の面上に設けられた開口部を有する遮光膜を備え、
平面視したときに、前記電気泳動分散液含有層中の前記電気泳動粒子が、前記遮光膜の実部と重なり合うように配された状態と、前記遮光膜の開口部と重なり合うように配された状態とをとりうる構成を有する請求項2ないし4のいずれかに記載の時計用文字板。
【請求項6】
前記遮光膜は、光を反射する機能を有する反射膜である請求項5に記載の時計用文字板。
【請求項7】
光透過性を有する導電性材料で構成された透明電極を備えている請求項2ないし6のいずれかに記載の時計用文字板。
【請求項8】
受光して発電する太陽電池と、
前記太陽電池の光が入射する側に、当該太陽電池に対向するように設けられた請求項1ないし7のいずれかに記載の時計用文字板と、
前記太陽電池の発電量、前記太陽電池の起電力により、蓄電手段に蓄えられている蓄電量のうちの少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果にもとづいて、前記時計用文字板を透過する光量を調整する制御手段とを備えていることを特徴とする時計。
【請求項9】
受光して発電する太陽電池と、
前記太陽電池の光が入射する側に、当該太陽電池に対向するように設けられた時計用文字板と、
前記太陽電池の発電量、前記太陽電池の起電力により、蓄電手段に蓄えられている蓄電量のうちの少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果にもとづいて、前記時計用文字板を透過する光量を調整する制御手段とを備えていることを特徴とする時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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