説明

時計装置

【課題】 報時時刻検出手段を合理的に構成してなる時計装置を提供すること。
【解決手段】
分針及び時針を回転駆動する駆動機構は、ステッピングモータに連結された減速機構110と、減速機構に連結された分針パイプ120と、日の裏車140を介して分針パイプに連結された時針パイプ130とを備え、報時時刻検出手段300は、分針パイプが1回転するとそれを検出する1回転検出機構310と、時針パイプと同期回転する時打車320と、時打車に対して配置されたフォトセンサ330とを備え、時打車は、その回転軸を中心とする円上に複数の検知部321を所定の間隔で設けてなるものであり、フォトセンサは、その検出位置に検知部がもたらされると作動時のオン・オフが切換わるものであり、分針パイプが1回転する毎にフォトセンサが作動して時打車の回転位置を検出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報時時刻検出手段を備えたアナログ式の時計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、正時になると報時動作を行なう時計が知られている。時計の駆動機構は、ステッピングモータに連結された減速機構と、減速機構に連結された分針パイプと、日の裏車を介して分針パイプに連結された時針パイプとを備えている。分針及び時針は、分針パイプ及び時針パイプにそれぞれ装着される。報時時刻は、分針パイプが1回転するとそれを検出する機構を設けることにより、検知することが可能である。但し、報時時刻毎に異なる報時動作を行なう場合は、分針パイプが1回転する毎に時針パイプの位置情報を得る必要がある。特許文献1には、時針パイプの位置情報を得るために工夫された接点機構が開示されている。この接点機構は、摺動式の接点部と電極パターンとの接触・非接触状態によって時刻に対応するコード信号を生成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3609955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、時計の内部機構は、耐久性に優れ且つ小型のものが望ましいとされる。この点、前述した接点機構のように、導電体の接触・非接触状態によって時針の位置情報を得るものは、導電体の摩耗により耐久性が限られるという問題がある。また、時針の正時の位置情報は計12であり、それを接点部と電極パターンとの接触・非接触状態によって識別するためには、4組の導電体が必要である。つまり、時針パイプと同期回転する時打車に4組の導電体を同心円上に配置する構造となるため、時打車が大きいという問題もある。
【0005】
本願発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、報時時刻検出手段をより合理的に構成してなる時計装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1請求項に記載した発明は、分針及び時針を回転駆動する駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御手段と、前記駆動機構の構成要素の位置から1時間毎に報時時刻を検出する報時時刻検出手段とを備えた時計装置において、前記駆動機構は、ステッピングモータに連結された減速機構と、前記減速機構に連結された分針パイプと、日の裏車を介して前記分針パイプに連結された時針パイプとを備え、前記報時時刻検出手段は、前記分針パイプが1回転するとそれを検出する1回転検出機構と、前記時針パイプと同期回転する時打車と、前記時打車に対して配置されたフォトセンサとを備え、前記時打車は、その回転軸を中心とする円上に複数の検知部を所定の間隔で設けてなるものであり、前記フォトセンサは、その検出位置に前記検知部がもたらされると作動時のオン・オフが切換わるものであり、前記分針パイプが1回転する毎に前記フォトセンサが作動して前記時打車の回転位置を検出するようにした構成の時計装置である。
【0007】
本願第2請求項に記載した発明は、請求項1において、前記フォトセンサは、前記時打車に対して4個配置されており、前記分針パイプが1回転する毎にそれぞれ1回作動し、前記時打車の回転位置は、前記4個のフォトセンサのオン・オフパターンにて検出するようにした構成の時計装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、報時時刻検出手段をより合理的に構成してなる時計装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係り、時計装置を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例に係り、時計装置を示す正面の右斜め上から見た一部分解図である。
【図3】本発明の実施例に係り、時計装置を示す背面の上から見た一部分解図である。
【図4】本発明の実施例に係り、時計装置を示す断面説明図である。
【図5】本発明の実施例に係り、時計装置(第2ケース部材を取り外した状態)を示す背面図である。
【図6】本発明の実施例に係り、時計装置(センサ基板、第3ケース部材、及び時打車を取り外した状態)を示す正面図である。
【図7】本発明の実施例に係り、時計装置(センサ基板、及び第3ケース部材を取り外した状態)を示す正面図である。
【図8】本発明の実施例に係り、時計装置(センサ基板を取り外した状態)を示す正面図である。
【図9】本発明の実施例に係り、(a)はセンサ基板に設けられたフォトセンサ(4個)を示す説明図、(b)は時打車に設けられた検知部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の第1実施例を図1乃至9に基づいて説明する。本例の時計装置1は、分針及び時針を回転駆動する駆動機構と、駆動機構を制御する制御手段200と、駆動機構の構成要素の位置から1時間毎に報時時刻を検出する報時時刻検出手段300とを備えている。
【0011】
駆動機構は、ステッピングモータ(図示は省略)に連結された減速機構110と、減速機構110に連結された分針パイプ120と、日の裏車140を介して分針パイプ120に連結された時針パイプ130とを備えている。減速機構110は、ステッピングモータと分針パイプ120との間に設けられた所定数のギア列である。具体的には、分針を装着する分針パイプ120と時針を装着する時針パイプ130とが同心軸状に設けられている。分針パイプ120が内側、時針パイプ130が外側である。そして、ステッピングモータのロータに連結された減速機構110が分針パイプ120の基端部に設けられたギア部と連結されている。また、分針パイプ120の基端部に設けられたカナが日の裏車140と連結されており、時針パイプ130の基端部に設けられたギア部が日の裏車140のカナと連結されている。分針パイプ120及び時針パイプ130は、減速機構110を介してステッピングモータによりそれぞれ回転駆動する。分針パイプ120が1時間に1回転の速度で回転駆動し、時針パイプ130が12時間で1回転の速度で回転駆動する。
【0012】
制御手段200は、所要のプログラムが格納されたマイコンを回路基板に搭載してなるものであり、ステッピングモータに所定のパルス電流を供給する構成となっている。また、報時時刻検出手段300を制御するものであり、報時時刻検出手段300が報時時刻を検出すると、その報時時刻に対応したコード信号を発生する。制御手段200がコード信号を発生すると、不図示の報時装置が報時動作を行なう構成となっている。報時動作は特に限定はしないが、例えば、スピーカにて報時時刻毎に異なるアラーム音やメロディを発生するものとする。
【0013】
報時時刻検出手段300は、分針パイプ120が1回転するとそれを検出する1回転検出機構310と、時針パイプ130と同期回転する時打車320と、時打車320に対して配置されたフォトセンサ330とを備えている。フォトセンサ330としては、フォトリフレクタを採用している。
【0014】
図例した1回転検出機構310は、一対の金属製の板ばね311,312からなる接点を備え、一方の板ばね311が分針パイプ120に設けられたカム部121によって操作されるものである。各板ばね311,312の基端部は、制御手段200の回路基板に支持されている。カム部121に支えられた一方の板ばね311が、1時間毎に解放されてその弾性力により他方の板ばね312に接触する。一方の板ばね311が他方の板ばね312に接触すると、それを以って分針パイプ120の1回転を検出する。
【0015】
時打車320は、時針パイプ130に設けられており、その回転軸を中心とする円上に複数の反射部321を所定の間隔で設けてなるものである。図例した反射部321は、時打車320の要所に孔部を設けるとともに、時打車320の裏面に反射板を装着して設けたものである。反射部321は、時打車320の要所にスタンプを施して設けてもよい。
【0016】
フォトセンサ330は、その検出位置に検知部321がもたらされると作動時のオン・オフが切換わるものである。
【0017】
この報時時刻検出手段300は、分針パイプ120が1回転する毎にフォトセンサ330が作動して時打車320の回転位置を検出する構成となっている。本例の場合、フォトセンサ330は、時打車320に対してその回転軸を中心に90°の間隔で4個配置されており、分針パイプ120が1回転する毎に1回作動する。時打車320の回転位置は、4個のフォトセンサ330のオン・オフパターンにて検出する。
【0018】
時打車320には、1時間毎に、つまり30°づつ回転した時に、オンとなるフォトセンサ330の位置が異なるように検知部321を設ける。図例したものは、フォトセンサ330を時打車320の回転軸を中心に90°の間隔で4個配置するとともに、検知部321を時打車320の回転軸を中心に0°,30°,60°,120°,300°,330°の位置に設けてなるものである。分針パイプ120が1回転すると1回転検出機構310がこれを検出し、そこで4個のフォトセンサ330が同時に1回作動する。報時時刻検出手段300は、1回転検出機構310により報時時刻の到来を検出するとともに、時打車320の回転位置から報時時刻を識別する。
【0019】
このような構成によると、耐久性に優れた報時時刻検出手段300を得ることができる。時打車320に摺動式の接点構造を設けたものは、摩耗により耐久性が限られるという問題があるが、本例によるとそのような問題を回避することができ、検出の信頼性を確実に向上することができる。また、本例のように複数のフォトセンサ330を円形配列することによれば、時打車320を小型化することができる。ひいては、報時時刻検出手段300を小型化することができる。
【0020】
次に、各部材の配置構成について説明する。当該時計装置1は、フォトセンサ330を搭載するセンサ基板400と、扁平型のケース体500とを備えている。
【0021】
ケース体500は、正面側の第1ケース部材510及び背面側の第2ケース部材520をその厚さ方向に組付けるとともに、第1ケース部材510の正面側に第3ケース部材530を組付けてなるものである。
【0022】
第1ケース部材510と第2ケース部材520との間には、ステッピングモータ、減速機構110、分針パイプ120の基端部、日の裏車140、時針パイプ130の基端部、1回転検出機構310、制御手段200を配置している。第1ケース部材510と第3ケース部材520との間には、時打車320を配置している。センサ基板400は、第3ケース部材530の正面側に配置している。
【0023】
また、第1ケース部材510、第3ケース部材530、及びセンサ基板400には、分針パイプ120及び時針パイプ130を貫通する貫通孔511,531,401をそれぞれ設け、更に第3ケース部材530には、フォトセンサ330の光を透過するスリット532を設けている。
【0024】
時計装置1の組付けは、次の通りである。先ず、第1ケース部材510と第2ケース部材520との間に所定の部材を配置し、第1ケース部材510と第2ケース部材520とをねじ止め又はフック止めする。この状態にて、分針及び時針を回転駆動するとともに、1時間毎に報時時刻の到来を検出するユニットとなる(図6参照)。報時時刻を識別する必要がない時計については、このユニットを使用することも可能である。
【0025】
次に、報時時刻を識別するための構成として、時針パイプ130に時打車320を設け(図7参照)、第1ケース部材510に第3ケース部材530をねじ止め又はフック止めして設け(図8参照)、第3ケース部材530にフォトリフレクタ330を搭載したセンサ基板400を設ける(図1参照)。本例の分針パイプ120及び時針パイプ130は、前述したユニットに対してそれぞれ先端部分120a,130aを結合してなるものである。時打車320は、時針パイプ130の先端部分130aと一体に成形して設けられている(図4参照)。また、第3ケース部材530の貫通孔531は、正面側に突出した円筒型となっており、センサ基板400は、その貫通孔401に第3ケース部材530の貫通孔531を貫通しつつ第3ケース部材530の正面側に嵌め込んで接着又はねじ止めにて固定する。
【0026】
このような構成によると、時打車320とフォトセンサ330とを正確に位置決めすることができ、検出精度を満足に確保することができる。また、正面側に各部材を順次組付けていく構成であるため、組付け作業も容易である。更に、第3ケース部材530を用いて時打車320及びセンサ基板400を設ける構成としたので、報時時刻を識別するユニット及び識別しないユニットとして使い分けることが可能であり、汎用性にも優れているという利点がある。
【0027】
以上説明したように、本例の時計装置は、位置検出手段をより合理的に構成してなるものである。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。例えば、フォトセンサとしては、発光素子と受光素子とを一体に設けたフォトリフレクタを採用したが、発光素子と受光素子を対向配置するフォトインタラプタを採用することも可能である。フォトインタラプタを採用する場合、時打車に設ける検知部は、光を透過する透光部とする。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の時計装置は、報時動作を行なうアナログ式の壁掛け時計や目覚し時計を構成するユニットとして、極めて好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 時計装置
110 減速機構
120 分針パイプ
120a 先端部分
121 カム部
130 時針パイプ
130a 先端部分
140 日の裏車
200 制御手段
300 報時時刻検出手段
310 1回転検出機構
311 板ばね
312 板ばね
320 時打車
321 検知部
330 フォトセンサ
400 センサ基板
401 貫通孔
500 ケース体
510 第1ケース部材
511 貫通孔
520 第2ケース部材
530 第3ケース部材
531 貫通孔
532 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分針及び時針を回転駆動する駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御手段と、前記駆動機構の構成要素の位置から1時間毎に報時時刻を検出する報時時刻検出手段とを備えた時計装置において、
前記駆動機構は、ステッピングモータに連結された減速機構と、前記減速機構に連結された分針パイプと、日の裏車を介して前記分針パイプに連結された時針パイプとを備え、
前記報時時刻検出手段は、前記分針パイプが1回転するとそれを検出する1回転検出機構と、前記時針パイプと同期回転する時打車と、前記時打車に対して配置されたフォトセンサとを備え、
前記時打車は、その回転軸を中心とする円上に複数の検知部を所定の間隔で設けてなるものであり、
前記フォトセンサは、その検出位置に前記検知部がもたらされると作動時のオン・オフが切換わるものであり、
前記分針パイプが1回転する毎に前記フォトセンサが作動して前記時打車の回転位置を検出するようにしたことを特徴とする時計装置。
【請求項2】
前記フォトセンサは、前記時打車に対して4個配置されており、前記分針パイプが1回転する毎にそれぞれ1回作動し、
前記時打車の回転位置は、前記4個のフォトセンサのオン・オフパターンにて検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の時計装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−15342(P2013−15342A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146746(P2011−146746)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】