説明

時計

【課題】小型化、薄型化が図れる時計を提供すること。
【解決手段】時計1は、ムーブメント3と、ムーブメント3上に重ねて設置され、光を受光することにより電力を生成し、電力をムーブメント3に供給する太陽電池5と、太陽電池5の表側に重ねて設置され、光透過性を有する文字板6と、ムーブメント3に対し固定され、太陽電池5および文字板6を一括して支持するリング状の枠体7とを備えている。太陽電池5は、その外周部に突出形成された太陽電池側突部51a〜51fを有している。文字板6は、その外周部に突出形成された文字板側突部61a〜61dを有している。枠体7は、その内周部に突出形成され、ムーブメント3との間で太陽電池側突部51a〜51fを挟持する挟持部72a〜72dと、表側の面74に凹没し、文字板側突部61a〜61dが入り込む凹部73a〜73dとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ムーブメント、太陽電池および文字板を有し、これらがこの順に重ねて配置された時計が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の時計は、太陽電池が光を受光することにより、太陽電池で電力が生成され、その電力をムーブメントに供給して、指針が文字板上を回転駆動するよう構成されている。
【0003】
特許文献1に記載の時計には、太陽電池をムーブメントに対し固定するリング状の固定部材が配置されている。この固定部材は、その内周部に突出形成され、太陽電池の縁部をムーブメントに押し付ける押し付け部を有している。そして、この押し付け部上に文字板が載置されている。このような構成では、太陽電池と文字板との間には、押し付け部が介挿されることとなり、その結果、太陽電池の受光面と文字板の裏面との間には間隙が生じてしまう。間隙が生じると、その分だけ、時計全体としての厚さが厚くなると言う問題があった。また、時計全体としての厚さが厚くなった場合には、時計厚みを薄く見せるために、カバーガラスと文字板の上面との距離を近接させると、文字板の上面に付与する加飾要素(時刻目盛やマークなど)が限定されてしまい、デザイン制約が生じてしまうことがあった。または、時計厚みを薄く見せるために、時針と分針とで時刻表示する2針式で構成することにより、デザイン制約が生じてしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−13268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、小型化、薄型化が図れる時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の時計は、少なくとも1本の指針を有し、該指針を回転駆動するムーブメントと、
前記ムーブメント上に重ねて設置され、光を受光することにより電力を生成し、該電力を前記ムーブメントに供給する太陽電池と、
前記太陽電池の表側に重ねて設置され、光透過性を有する文字板と、
前記ムーブメントに対し固定され、前記太陽電池および前記文字板を一括して支持するリング状の枠体とを備え、
前記太陽電池は、その外周部に突出形成された複数の太陽電池側突部を有し、
前記文字板は、その外周部に突出形成された複数の文字板側突部を有し、
前記枠体は、その内周部に突出形成され、前記ムーブメントとの間で前記各太陽電池側突部を挟持する挟持部と、表側の面に凹没し、前記各文字板側突部が入り込む凹部とを有することを特徴とする。
これにより、小型化、薄型化が図れる。
【0007】
本発明の時計では、前記挟持部の裏側の面と、前記凹部の底面とは、同一平面上に位置することが好ましい。
これにより、小型化、薄型化が確実に図れる。
本発明の時計では、前記各太陽電池側突部は、前記太陽電池の周方向に沿って間隔をおいて配置され、
前記挟持部は、前記枠体の周方向に沿って複数配置され、該複数の挟持部には、1つの前記太陽電池側突部を挟持するものと、2つ以上の前記太陽電池側突部を挟持するものとが含まれていることが好ましい。
これにより、ムーブメントに対し、太陽電池をその周方向に沿って均一に確実に押さえ付けることができ、よって、例えば振動等によって太陽電池がムーブメントから不本意に浮き上がるのをより確実に防止することができる。
【0008】
本発明の時計では、前記各文字板側突部は、前記文字板の周方向に沿って間隔をおいて配置され、
前記凹部は、前記枠体の周方向に沿って複数配置され、該各凹部に、それぞれ、1つの前記文字板側突部が入り込むものであることが好ましい。
これにより、文字板の厚さ分を各凹部で相殺することができ、よって、時計の小型化、薄型化が図れる。
【0009】
本発明の時計では、前記各凹部は、それぞれ、その前記枠体の周方向の長さが、当該凹部に入り込む文字板側突部の前記文字板の周方向の長さよりも十分に長いものであることが好ましい。
これにより、枠体に文字板を重ねて組み立てる際、各凹部にそれぞれ文字板側突部が容易に入り込むことができ、よって、その組立作業を容易に行なうことができる。
本発明の時計では、前記各凹部は、それぞれ、その深さが、当該凹部に入り込む文字板側突部の厚さと同じかまたはそれよりも大きいものであることが好ましい。
これにより、文字板の表側の面が枠体の表側の面よりも突出するのが防止され、よって、時計の小型化、薄型化が図れる。
【0010】
本発明の時計では、前記各文字板側突部には、それぞれ、その一部が欠損した欠損部が形成され、
前記各凹部には、それぞれ、その底部から突出し、前記欠損部に挿入されるピンが形成されており、
前記ピンには、前記枠体に対し前記文字板の面方向の位置決めをする位置決め用のものと、その位置決め状態を維持して固定する固定用のものとが含まれることが好ましい。
これにより、枠体に対する文字板の位置決めと固定とをほぼ同時に行うことができる。
本発明の時計では、前記ムーブメントに対し前記太陽電池の面方向の位置決めをする太陽電池用位置決め手段を備えることが好ましい。
これにより、時計を使用している最中に、例えば振動等によって太陽電池がその面方向に位置ズレするのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型化、薄型化が図れる時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の時計を腕時計に適用した場合の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す腕時計に内蔵されている主な部品の分解斜視図である。
【図3】図2中の矢印A方向から見た図(平面図)である。
【図4】図2中の矢印B方向から見た図(平面図)である。
【図5】図2中の矢印C方向から見た図(平面図)である。
【図6】図1に示す腕時計の部分断面図である。
【図7】図1に示す腕時計の部分断面図である。
【図8】本発明の時計を腕時計に適用した場合(第2実施形態)の当該腕時計に内蔵されている主な部品の分解斜視図である。
【図9】図8中の矢印D方向から見た図(平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の時計を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の時計を腕時計に適用した場合の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す腕時計に内蔵されている主な部品の分解斜視図、図3は、図2中の矢印A方向から見た図(平面図)、図4は、図2中の矢印B方向から見た図(平面図)、図5は、図2中の矢印C方向から見た図(平面図)、図6および図7は、それぞれ、図1に示す腕時計の部分断面図(図6と図7とは互いに断面の位置が異なる)である。なお、以下では、説明の都合上、図1、図2、図6および図7中(図8についても同様)の上側を「上」、「上方」または「表側」、下側を「下」、「下方」または「裏側」と言う。
【0014】
図1に示す腕時計(以下、単に「時計」という)1は、外装部(ケース)2と、外装部2の内部に収納され、時針、分針および秒針をそれぞれ構成する3本の時計用針(指針)31を有するムーブメント3と、時計1を腕に装着する際に用いられるバンド4とを備えている。
図6、図7に示すように、外装部2は、胴部23と、ガラス板(カバーガラス)21と、ガラス板21を保持するベゼル22と、胴部23の裏側に設置される裏蓋25とを有している。なお、図6、図7では、それぞれ、時計用針31が省略されている。
【0015】
胴部23には、巻真パイプ(図示せず)が嵌入され、この巻真パイプに、りゅうず24が回転可能に設けられている。りゅうず24を回転させることにより、そのトルクがムーブメント3に伝わる。これにより、各時計用針31が回転駆動し、よって、表示する時刻を調整することができる。
図2、図6、図7に示すように、ムーブメント3は、扁平な形状をなし、平面視で全体として丸みを帯びた(丸型)ものである。ムーブメント3は、外装部2に対し固定されている。この固定方法としては、特に限定されないが、例えば、係合、嵌合、接着等による方法を用いることができる。
【0016】
このムーブメント3は、上方に向かって突出した軸部33を有している。この軸部33は、各時計用針31を回転可能に支持するものである。また、ムーブメント3には、軸部33を介して、各時計用針31を回転駆動するための、歯車等で構成された駆動機構(図示せず)が内蔵されている。そして、この駆動機構は、後述する太陽電池5で得られた電力によって作動することができる。これにより、各時計用針31がそれぞれ回転して、当該時計用針31で現在の時刻を確認することができる。
また、図6、図7に示すように、外装部2には、ムーブメント3の他に、太陽電池5、文字板6、枠体7も収納されている。ムーブメント3、太陽電池5、文字板6、枠体7を組み立てるには、これらをムーブメント3、太陽電池5、枠体7、文字板6の順に重ねていけばよい(図2参照)。そして、この組立状態のものが外装部2に収納される。
【0017】
図2に示すように、ムーブメント3の上面32には、当該ムーブメント3に対し太陽電池5の位置決めをする太陽電池用位置決め手段としての一対のピン34a、34bが設置されている。ピン34a、34bは、軸部33を介して対向配置されている。また、ピン34a、34bは、それぞれ、上方に向かって突出した円柱状をなす部材で構成され、その根元部341が太くなっている、すなわち、根元部341の外径が拡径している。
【0018】
ムーブメント3上には、円盤状(板状)をなす太陽電池5が重ねて設置されている。太陽電池5は、ムーブメント3と電気的に接続されており、光を受光することにより電力を生成し、電力をムーブメント3に供給することができる。太陽電池5としては、例えば、p型半導体とn型半導体とを重ね合わせて接合したものを用いることができる。p型半導体とは、高純度のシリコン半導体にホウ素等のような3価の元素を極微量混入させたものであり、n型半導体とは、高純度のシリコン半導体にヒ素等のような5価の元素を極微量混入させたものである。このような構成の太陽電池5に光が照射されると、光電効果によりシリコン内部に電子および正孔が発生する。また、p型半導体とn型半導体との境界部にあたるpn接合部では、発生した電子および正孔のうち、プラスの電荷をもった正孔はp型半導体側へ、マイナスの電荷をもった電子はn型半導体側へ分離・誘導される。これにより、各半導体がそれぞれプラスとマイナスとに帯電して、電位差が生じ、よって、電力をムーブメント3に供給することができる。なお、pn接合部付近は、空乏層となる。
なお、太陽電池5は、可撓性を有するフィルム状をなすものが好ましい。これにより、太陽電池5と文字板6とが当接した状態(図6、図7参照)であっても、これらに干渉縞が生じるのを防止することができる。
【0019】
図2、図3に示すように、太陽電池5の中心部には、ムーブメント3の軸部33が挿通する挿通孔52が形成されている。
また、太陽電池5の外周部には、その周方向に沿った長尺状をなす複数(図示の構成では6つ)の太陽電池側突部51a、51b、51c、51d、51e、51fが突出形成されている。太陽電池側突部51a〜51fは、太陽電池5の周方向に沿って間隔をおいて配置され、太陽電池側突部51aと太陽電池側突部51dとが挿通孔52を介して対向しており、太陽電池側突部51bと太陽電池側突部51eとが挿通孔52を介して対向しており、太陽電池側突部51cと太陽電池側突部51fとが挿通孔52を介して対向している。このように配置された太陽電池側突部51a〜51fにより、枠体7で太陽電池5を押さえ付けた際に、当該太陽電池5をその周方向に沿って、均一に押さえ付けることができる。これにより、時計1を使用している最中に、例えば振動等によって太陽電池5がムーブメント3から不本意に浮き上がるのを確実に防止することができる。
【0020】
太陽電池側突部51a、51dには、それぞれ、その長手方向の中央部付近が欠損した欠損部511が形成されている。各欠損部511は、それぞれ、太陽電池5の挿通孔52側に向かって凹没するように、すなわち、平面視で「U」字状をなすように形成されている。また、各欠損部511の太陽電池5の周方向に沿った長さは、ピン34a(ピン34b)の根元部341の外径とほぼ同じかまたは若干大きい。そして、ムーブメント3に太陽電池5を載置した際、太陽電池側突部51aの欠損部511には、ムーブメント3のピン34aが挿入され、太陽電池側突部51dの欠損部511には、ムーブメント3のピン34bが挿入される。これにより、時計1を使用している最中に、例えば振動等によって太陽電池5がその面方向に位置ズレするのを確実に防止することができる。このように、太陽電池5の各欠損部511と、ムーブメント3のピン34a、34bとは、ムーブメント3に対し太陽電池5の面方向の位置決めをする太陽電池用位置決め手段として機能する。
【0021】
なお、太陽電池側突部51a〜51fの長さは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、太陽電池側突部51a〜51fは、太陽電池5の中心軸回りに等角度間隔に配置されていてもよいし、そのような配置からズレた図2、図3に示すような配置となっていてもよい。
太陽電池5の上側(表側)には、円盤状をなす文字板6が重ねて設置されている。文字板6には、例えば1から12までの数字が付されており、各数字が時計用針31で指される。これにより、時刻を確実に確認することできる。
【0022】
また、文字板6のほとんどの部分は、光透過性を有して、すなわち、透明となっており、その構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種ガラス材料、各種プラスチック材料が挙げられる。軽量、加工の容易性等の観点からプラスチック材料が好ましく、中でも、ポリカーボネートが好ましい。時計1では、文字板6を透過した光が太陽電池5に到達して、これにより、前述したように電力が生じる。
【0023】
文字板6は、光を拡散する機能を有するのが好ましい。これにより、文字板6の裏側にある太陽電池5が文字板6を介して視認されるのを防止または抑制することができる。一般的に腕時計では、太陽電池を外部からできる限り視認されないようにするのが好ましいため、時計1のように太陽電池5に対する視認性が抑制された場合、時計1の審美性が向上する。なお、文字板6に光拡散機能を担持させる方法としては、特に限定されず、例えば、文字板6の表側の面63および裏側の面64のうちの少なくとも一方に、拡散剤を含む拡散層を形成する方法、偏光フィルムを設置する方法、プリズムとして機能する微小な凹凸を多数形成する方法等が挙げられる。
【0024】
図2、図5に示すように、文字板6の中心部には、ムーブメント3の軸部33が挿通する挿通孔62が形成されている。
また、文字板6の外周部には、その周方向に沿った長尺状をなす複数(図示の構成では4つ)の文字板側突部61a、61b、61c、61dが突出形成されている。文字板側突部61a〜61dは、文字板6の周方向に沿って間隔をおいて配置され、文字板側突部61aと文字板側突部61cとが挿通孔62を介して対向しており、文字板側突部61bと文字板側突部61dとが挿通孔62を介して対向している。
【0025】
文字板側突部61a、61cには、それぞれ、その長手方向の中央部付近が欠損した欠損部611が形成され、文字板側突部61b、61dには、それぞれ、その長手方向の中央部付近が欠損した欠損部612が形成されている。各欠損部611、612は、それぞれ、文字板6の挿通孔62側に向かって凹没するように、すなわち、平面視で「U」字状をなすように形成されている。また、文字板側突部61a、61cに形成れている。各欠損部611同士は、互いに大きさが同じであり、各欠損部612同士も、互いに大きさが同じであるが、欠損部611と欠損部612とは、互いに大きさが異なっている(図5参照)。このような欠損部611や欠損部612には、後述する枠体7のピン732または733が挿入され、文字板6の固定や位置決めがなされる。
なお、文字板側突部61a〜61dの長さは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、文字板側突部61a〜61dは、文字板6の中心軸回りに等角度間隔に配置されていてもよいし、そのような配置からズレた図2、図5に示すような配置となっていてもよい。
【0026】
図2に示すように、時計1では、太陽電池5および文字板6が枠体7によって一括して支持されている。この枠体7は、円環状(リング状)の部材で構成されている。
枠体7は、ムーブメント3に固定される固定部71a、71bと、太陽電池5の太陽電池側突部51a〜51fを挟持する挟持部72a、72b、72c、72dと、文字板6の文字板側突部61a〜61dが入り込む凹部73a、73b、73c、73dとを有している。
固定部71a、71bは、枠体7の中心軸を介して対向して配置されている。また、固定部71a、71bは、それぞれ、下方に向かって突出形成されている。さらに、固定部71a、71bには、それぞれ、枠体7の中心軸側に向かって突出した爪711が形成されている。
【0027】
一方、ムーブメント3には、その外周部に固定部71a、71bの爪711がそれぞれ係合する一対の係合部35が外側に向かって突出形成されている。これらの係合部35は、ムーブメント3の中心軸を介して対向して配置されている。また、これらの係合部35は、ムーブメント3の周方向で、ピン34a、34bと異なる位置に配置されている。
図2に示すように、ムーブメント3上に太陽電池5を載置した状態で、その上方から枠体7を重ねると、当該枠体7の固定部71aの爪711が一方の係合部35に係合し、固定部71bの爪711が他方の係合部35に係合する。これにより、枠体7がムーブメント3に対し固定された状態となる。
【0028】
挟持部72a〜72dは、それぞれ、ムーブメント3の上面32との間で太陽電池5の太陽電池側突部51a〜51fを挟持する部分である(図6参照)。図2、図4、図6に示すように、挟持部72a〜72dは、それぞれ、枠体7の内周部に突出形成されている。また、挟持部72a〜72dは、それぞれ、枠体7の周方向に沿って間隔をおいて配置されている。
【0029】
図2に示すように、挟持部72aは、太陽電池5の太陽電池側突部51a、51bを一括して挟持することができる。挟持部72bは、太陽電池側突部51cを挟持することができる。挟持部72cは、太陽電池側突部51d、51eを一括して挟持することができる。挟持部72dは、太陽電池側突部51fを挟持することができる。このように、時計1では、2つ(3つ以上としてもよい)の太陽電池側突部を挟持する挟持部と、1つの太陽電池側突部を挟持する挟持部とがあり、これらが枠体7の周方向に沿って交互に配置されている。これにより、ムーブメント3に対し、太陽電池5をその周方向に沿って均一に確実に押さえ付けることができ、よって、例えば振動等によって太陽電池5がムーブメント3から不本意に浮き上がるのをより確実に防止することができる。
【0030】
図2、図5、図7に示すように、凹部73a〜73dは、それぞれ、枠体7の表側の面74に凹没し、その周方向に沿って間隔をおいて配置されている。凹部73aに文字板6の文字板側突部61aが入り込むことができ、凹部73bに文字板6の文字板側突部61bが入り込むことができ、凹部73cに文字板6の文字板側突部61cが入り込むことができ、凹部73dに文字板6の文字板側突部61dが入り込むことができる。そして、凹部73a〜73dの深さは、それぞれ、文字板6の厚さ、すなわち、対応する凹部に入り込む文字板側突部の厚さと同じかまたはそれよりも大きい(図7に示す構成では同じ)。これにより、図7に示すように、文字板6の表側の面63と枠体7の表側の面74とが同一平面上に位置する、すなわち、時計1の厚さ方向で同じ位置に位置することとなり、よって、文字板6の表側の面63とベゼル22の裏面とが接触することでこれらの面に隙間が生じてしまうことを防止することができる。その結果、外観を向上させることができる。これにより、時計1の小型化、薄型化が図れる。
【0031】
また、図5に示すように、凹部73aの枠体7の周方向の長さは、文字板側突部61aの文字板6の周方向の長さよりも十分に長く、凹部73bの枠体7の周方向の長さは、文字板側突部61bの文字板6の周方向の長さよりも十分に長く、凹部73cの枠体7の周方向の長さは、文字板側突部61cの文字板6の周方向の長さよりも十分に長く、凹部73dの枠体7の周方向の長さは、文字板側突部61dの文字板6の周方向の長さよりも十分に長い。ここで、「十分に長い」とは、凹部の枠体7の周方向の長さが、それに対応する文字板側突部の文字板6の周方向の長さよりもの5〜20%長いことを言う。
【0032】
このような長さの大小関係があることにより、図2に示すように、枠体7に文字板6を重ねて組み立てる際、凹部73a〜73dにそれぞれ文字板側突部61a〜61dが容易に入り込むことができ、よって、その組立作業を容易に行なうことができる。
図2、図4、図5に示すように、凹部73a〜73dと、挟持部72a〜72dとは、枠体の周方向に沿って交互に配置されている。このため、図6、図7に示すように、凹部73a〜73dの底面731と、挟持部72a〜72dの裏側の面721とは、同一平面上に位置する、すなわち、時計1の厚さ方向で同じ位置に位置することができる。このような位置関係により、太陽電池5の表側の面53と、その上側に配置された文字板6の裏側の面64とが互いに当接することができる(図6、図7参照)。
【0033】
従来の腕時計では、その構造上、太陽電池と文字板との間に間隙が形成されていたが、時計1では、太陽電池5と文字板6とが当接して、前記間隙が生じるのが防止される。このように前記間隙を省略することができるため、その分、時計1の小型化、薄型化が図れる。
また、従来の腕時計では、前記間隙分、時計全体としての厚さが厚くなってしまい、そのため、ガラス板21と文字板の上面との距離を近接させた場合には、文字板の上面に付与する加飾装要素が限定されてしまい、デザイン制約が生じてしまう場合があった。これに対し、時計1は、薄型化となっているため、従来の時計厚みで構成する場合には、前記加飾要素のデザイン制約が生じるのを防止または抑制することができる。また、従来の腕時計では、時計厚みを薄く見せるために、時針と分針とで時刻表示する2針式で構成することにより、デザイン制約が生じてしまう場合があった。これに対し、時計1は、薄型化となっているため、従来の時計厚みで3針式の時計を構成することができる。
【0034】
図2、図4、図5に示すように、凹部73a、73cの底面731には、ピン732が突出して形成され、凹部73b、73dの底面731には、ピン733が突出して形成されている。各ピン732同士は、互いに大きさ、形状が同じであり、各ピン733同士も、互いに大きさ、形状が同じであるが、ピン732とピン733とは、互いに大きさも形状も異なっている。なお、図示の構成では、ピン732とピン733とは、枠体7の周方向に沿って交互に配置されたものとなっている。
【0035】
各ピン732は、それぞれ、円柱状をなし、その外径が欠損部611の幅と同じかまたは若干小さいものである。そして、凹部73aのピン732は、文字板側突部61aの欠損部611に挿入され、凹部73cのピン732は、文字板側突部61cの欠損部611に挿入される(図2、図5参照)。これにより、枠体7に対し文字板6の面方向の位置決めが行なわれる。このように、各ピン732は、それぞれ、位置決め用ピンとして機能する。
【0036】
また、各ピン733は、それぞれ、ほぼ四角柱をなし、その最大幅が欠損部612の幅と同じかまたは若干小さいものである。そして、凹部73bのピン733は、文字板側突部61bの欠損部612に挿入され、凹部73dのピン733は、文字板側突部61dの欠損部612に挿入される(図2、図5参照)。これにより、文字板6の前記位置決め状態を維持して固定することができる。このように、各ピン733は、それぞれ、固定用ピンとして機能する。
【0037】
このようなピン732、733が形成されていることにより、枠体7に文字板6を載置した際、枠体7に対する文字板6の位置決めと固定とをほぼ同時に行うことができる。
なお、枠体7の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等のような各種金属材料、ポリエチレン、ポリプロピレン等のような各種プラスチック材料が挙げられる。
【0038】
<第2実施形態>
図8は、本発明の時計を腕時計に適用した場合(第2実施形態)の当該腕時計に内蔵されている主な部品の分解斜視図、図9は、図8中の矢印D方向から見た図(平面図)である。
以下、これらの図を参照して本発明の時計の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0039】
本実施形態は、文字板および枠体のそれぞれの平面視での形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図8、図9に示すように、文字板6Aは、その平面での形状が四角型のものである。
また、枠体7Aも、文字板6Aと同様に、その平面での形状が四角型のものである。枠体7Aでは、各ピン732の位置関係および中心軸からの距離が、前記第1実施形態の枠体7での各ピン732の位置関係および中心軸からの距離と同じ、すなわち、共通となっている。これにより、ピン732同士をつないだ線上の長さが一定の外装部2として、多種多様のバリエーションのものを用意することができる。
【0040】
以上、本発明の時計を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、時計を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の時計は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、文字板および枠体のそれぞれの平面視での形状は、丸型、四角型の他、オーバル型であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1……腕時計(時計) 2……外装部(ケース) 21……カバーガラス 22……ベゼル 23……胴部 24……りゅうず 25……裏蓋 3……ムーブメント 31……時計用針(指針) 32……上面 33……軸部 34a、34b……ピン 341……根元部 35……係合部 4……バンド 5……太陽電池 51a、51b、51c、51d、51e、51f……太陽電池側突部 511……欠損部 52……挿通孔 53……表側の面 6、6A……文字板 61a、61b、61c、61d……文字板側突部 611、612……欠損部 62……挿通孔 63……表側の面 64……裏側の面 7、7A……枠体 71a、71b……固定部 711……爪 72a、72b、72c、72d……挟持部 721……裏側の面 73a、73b、73c、73d……凹部 731……底面 732、733……ピン 74……表側の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の指針を有し、該指針を回転駆動するムーブメントと、
前記ムーブメント上に重ねて設置され、光を受光することにより電力を生成し、該電力を前記ムーブメントに供給する太陽電池と、
前記太陽電池の表側に重ねて設置され、光透過性を有する文字板と、
前記ムーブメントに対し固定され、前記太陽電池および前記文字板を一括して支持するリング状の枠体とを備え、
前記太陽電池は、その外周部に突出形成された複数の太陽電池側突部を有し、
前記文字板は、その外周部に突出形成された複数の文字板側突部を有し、
前記枠体は、その内周部に突出形成され、前記ムーブメントとの間で前記各太陽電池側突部を挟持する挟持部と、表側の面に凹没し、前記各文字板側突部が入り込む凹部とを有することを特徴とする時計。
【請求項2】
前記挟持部の裏側の面と、前記凹部の底面とは、同一平面上に位置する請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記各太陽電池側突部は、前記太陽電池の周方向に沿って間隔をおいて配置され、
前記挟持部は、前記枠体の周方向に沿って複数配置され、該複数の挟持部には、1つの前記太陽電池側突部を挟持するものと、2つ以上の前記太陽電池側突部を挟持するものとが含まれている請求項1または2に記載の時計。
【請求項4】
前記各文字板側突部は、前記文字板の周方向に沿って間隔をおいて配置され、
前記凹部は、前記枠体の周方向に沿って複数配置され、該各凹部に、それぞれ、1つの前記文字板側突部が入り込むものである請求項1ないし3のいずれかに記載の時計。
【請求項5】
前記各凹部は、それぞれ、その前記枠体の周方向の長さが、当該凹部に入り込む文字板側突部の前記文字板の周方向の長さよりも十分に長いものである請求項4に記載の時計。
【請求項6】
前記各凹部は、それぞれ、その深さが、当該凹部に入り込む文字板側突部の厚さと同じかまたはそれよりも大きいものである請求項4または5に記載の時計。
【請求項7】
前記各文字板側突部には、それぞれ、その一部が欠損した欠損部が形成され、
前記各凹部には、それぞれ、その底部から突出し、前記欠損部に挿入されるピンが形成されており、
前記ピンには、前記枠体に対し前記文字板の面方向の位置決めをする位置決め用のものと、その位置決め状態を維持して固定する固定用のものとが含まれる請求項1ないし6のいずれかに記載の時計。
【請求項8】
前記ムーブメントに対し前記太陽電池の面方向の位置決めをする太陽電池用位置決め手段を備える請求項1ないし7のいずれかに記載の時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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