説明

時限拍動性薬物送達システム

【課題】経口投与で即時放出パルスの有無がある、経口投与後数時間単一目標パルスを提供すること。
【解決手段】時限拍動性放出性質、即ち、経口投与で即時放出パルスの有無のある、経口投与後数時間発生する良好な時間制御された一連のパルスを有する製薬上優れた多粒子状(multi-particulate)剤形を製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時限拍動性薬物送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
経口剤形は、薬物を単位時間当たりの実質的に定常な放出速度で放出する、ゼロ次又は一次放出を提供するものとして知られる。これらの剤形は、多くの薬物の医薬剤形の投与を満足させる。しかしながら、薬物の一定の血液レベルを維持することは望ましくない場合がある。このような場合(例えば化学療法の最適化、虚血性心疾患、喘息、関節炎、硝酸塩に対する耐性の発達の回避、抗生物質及びステロイド性避妊薬のような慢性疾患の夜間又は早朝システムの減少、又は吸収ウインドウが存在する)では、「時間制御」拍動性薬物送達システムがより有利であろう。また、「位置制御」薬物送達システム(例えば、大腸疾患の治療又は製品に基づくペプチド及び蛋白質の吸収部位としての大腸の使用)が、より効果的であるとわかる場合がある。
拍動性送達システムは、制御された遅延時間後予定した時点で又は特定の部位で、1以上の即時放出パルスを提供することができる。しかしながら、大きさの潜在的限界又は剤形に使用する材料のために、幾つかのこのような経口的に適用可能な拍動性放出システムがあるだけである。Ishinoらは、Chemical Pharm. Bull. Vol. 40(11), p3036-3041(1992)で乾燥コートタブレット形態を開示する。P.R.Magruderらの1989年7月25日に公表された米国特許第4,851,229号明細書、K.Fujiokaらの1991年4月30日に公表された第5,011,692号明細書、Maruyama及びR.Crteseの1991年5月21日に公表された第5,017,381号明細書、F.Philipponらの1993年7月20日に公表された第5,229,135号明細書、及びJ.P.-F.Baoの1998年11月24日に公表された第5,840,329号明細書は、拍動性放出システムの調製を開示する。Y.Uedaらの1989年10月3日に公表された米国特許第4,871,549号明細書、C.M.Chenの1993年11月9日に公表された第5,260,068及び5,260,069号明細書及びC.M.Chenの1996年4月16日に公表された第5,508,040号明細書に、幾つかの他のデバイスが開示されている。C.M.Chenの1993年7月20日に公表された米国特許第5,229,135号明細書及び1996年10月22日に公表された第5,567,441号明細書は、膜を浸透性に変質する疎水性水不溶性剤薬剤又は腸溶性ポリマーを組み込んだ、遅延放出又は水不溶性ポリマー膜でコートしたペレットから成る拍動性放出システムを開示する。A.M.Mehtaらの1998年11月17日に公表された米国特許第5,837,284明細書は、経口投与でメチルフェニデートの即時放出投与量を提供し、その後に1以上の追加の投与量が数時間に渡って分散する剤形を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,851,229号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chemical Pharm. Bull. Vol.40(11),p3036-3041(1992)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、最大限の患者の薬物服用尊守及び最小限の副作用で、疾患を効果的に治療するパルスの時間制御シリーズと同様に、単一の薬物物質又は組み合わせの同時送達を提供することを意図する、拍動性薬物送達システムの必要がある。経口投与で即時放出パルスの有無がある、経口投与後数時間単一目標パルスを提供することは、本発明の時限拍動性放出薬物送達システムの望まれる現れである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、時限拍動性放出性質、即ち、経口投与で即時放出パルスの有無のある、経口投与後数時間発生する良好な時間制御された一連のパルスを有する製薬上優れた多粒子状(multi-particulate)剤形を製造する方法を提供する。また、本発明は、活性コア及び腸溶性ポリマーの第一膜及び水不溶性及び腸溶性ポリマーの混合物の第二膜を有する新規の多重コート粒子状剤形を提供する。膜を含む有機酸を、前に述べた第一及び第二膜層の間に提供でき、時間分離パルスを提供する。膜は、どんな順でも適用でき、腸溶性ポリマー膜は、通常、最も内側の膜として適用される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の新規な剤形の活性コアは、市販で入手可能なノンパレイル(non-pareil)シュガー球のような不活性な粒子からなる。芯の薬物量は、所望の薬物及び投与量に依存する。一般的に、コアは、芯の全質量に基づいて、約5〜60質量%の薬物を含む。当業者は、所望の剤形を達成するための、芯にコート又は組み込む薬物の適切な量を選択することができる。水性又は製薬上許容できる溶剤を、コア粒子を調製するのに使用することができる。水溶性薬物を不活性粒子に結合するのに使用される不活性結合剤のタイプは、決定的ではないが、通常、可溶性又はアルコール可溶性結合剤が使用される。ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、デキストランのようなポリサッカライド、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロースのような結合剤を、約0.5〜5質量%の濃度で水に分散することによって使用することができる。薬物物質は、溶液形態でこのコート処方に存在させるか、懸濁させることができる。コート処方の粘性によって、薬物濃度を約10〜30質量%に変えられる。
【0008】
1つの態様において、活性コアを、顆粒化又は押し出し成型及び球状化(spheronization)によって調製できる。薬物物質、PVPのような結合剤、高粘性HPMCのような任意の溶解速度制御ポリマー、及び任意に他の製薬上許容できる賦形剤を、フィールダー(Fielder)造粒機のような高せん断造粒機、又はグラット(Glatt)GPCG造粒機のような流動床造粒機で一緒にブレンドし、水又はアルコールのような造粒液体を添加/噴霧することによって、造粒して塊を形成し、乾燥させる。湿った塊を、押し出し成形機/マルメライザーを使用して、押し出し成型及び球状化して、球状粒子(ビーズ)を製造できる。これらの態様において、薬物装填量は、押し出し又は造粒コアの全質量に基づいて90質量%と同じ高さで可能であった。
粒子含有水溶性/分散性薬物にコートする膜の層の1つは、可塑化腸溶性ポリマーから成り、他の層は、水不溶性ポリマー及び可塑性水分散性/腸溶性ポリマーの混合物からなり、水不溶性ポリマーは及び水分散性ポリマーは、質量比10:1〜1:1、典型的には約4:1〜1:1で存在し、コーティングの全質量は、多粒子剤形の全質量に基づいて約15〜80質量%、より典型的には約20〜60質量%である。
【0009】
中間の膜を含む酸は、もし存在するとしたら、フマル酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸及びマレイン酸のような有機酸及びPVPのような結合剤から成る。結合剤の性質は、決定的ではないが、水又はアルコール可溶性ポリマーが通常使用される。この酸コーティングの質量は、コートされたビーズの全質量に基づいて約5〜20質量%である。この膜の酸は、コートされたビーズから活性成分の放出の速度の減少と同様に、遅延時間を増加させることによって、内側層の腸溶性ポリマーの溶解を遅らせる。ポリマー膜の外側層の組成及び内側中間及び外側層の個々の質量は、生体内/生体外相関に基づいて予想される、一種類の与えられた治療薬剤又は複数の薬剤における拍動性放出プロフィールを達成するように最適化される。
本発明に有用な腸溶性ポリマーの代表的な例として、セルロース及びその誘導体のエステル(セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート)、ポリビニルアセテートフタレート、pH感受性メタクリル酸−メタメタクリレートコポリマー及びセラックが挙げられる。これらのポリマーは、乾燥パウダー又は分散水溶液として使用することができる。使用可能な幾つかの市販の材料は、ロームファーマ(Rhom Pharma)で製造された商標ユードラジット(Eudragit)(L100、S100、L30D)で販売されるメタクリル酸コポリマー、イーストマンケミカル(Eastman Chemical)社のセルアセファート(Cellacefate)(セルロースアセテートフタレート)、FMC社のアクアテリック(Aquateric)(セルロースアセテートフタレート分散水溶液)及び信越K.K.のアクオート(Aqoat)(コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート分散水溶液)である。
【0010】
本発明の有用な水不溶性ポリマーの代表的な例には、セルロース誘導体(例えばエチルセルロース)、ポリビニルアセテート(BASFのコリコート(Kollicoat)SR30D)、エチルアクリレート及びメチルメタクリレートに基づく中性コポリマー、ユードラジットNE、RS又はRS30D、RL又はRL30D等のような第四アンモニウム基を有するアクリル及びメタクリル酸エステルのコポリマーが挙げられる。
膜を形成するのに使用される腸溶性及び水不溶性ポリマーは、通常、可塑性である。膜を可塑化するのに使用可能な可塑剤の代表的な例には、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル、ジエチルフタレート、ひまし油、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド等又はこれらの混合物が挙げられる。可塑剤は、ポリマーに基づいて約3〜30質量%、より典型的には約10〜25質量%を含む。可塑剤のタイプ及びその内容は、ポリマー又は複数のポリマー、コーティングシステムの性質(例えば、水性又は溶媒ベースの、溶液又は分散液ベースの、及び全固体)に依存する。
一般的に、拍動性放出膜コーティングを適用する前に粒子の表面を準備すること又は薄いヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(オパドリークリア(Opadry Clear))フィルムを適用することによって異なる膜の層を分けることが望ましい。HPMCは典型的に使用され、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のような他のプライマーも使用できる。
膜コーティングは、製薬工業で一般的に使用されるコーティング技術を使用してコアに適用され得るが、流動床コーティングが特に有用である。
【0011】
また、本発明は、以下を含む時限拍動性放出剤形を製造する方法を提供する。
ノンパレイルシード(シュガー球)のような不活性粒子を薬物及びポリマー結合剤でコートする工程、又は造粒又は/及び押し出し成型/球状化により、粒子を含む薬物を調製して活性薬物粒子を形成する工程、
可塑化腸溶性のコート薬物粒子を形成する可塑化腸溶性コーティングで前記活性薬物粒子をコートする工程、及び
水不溶性ポリマー及び腸溶性ポリマーの混合物で前記可塑化腸溶性コート薬物粒子をコートする工程。
第二及び第三の操作は入れ替えることができ、この特色は、前記薬物粒子からの放出プロフィールの調節に、柔軟性を供給し付加する。本発明の他の付加された柔軟性は、第二と第三のコーティング操作の間の、膜を含む有機酸(例えばフマル又はコハク酸)の任意の適用であり、更に遅延時間及び薬物粒子からの放出プロフィールを調節する。
本発明による粒子含有多重コート薬物を組み込む剤形は、様々な形態をとることができる。1つの態様において、処方は、粒子の単一形を使用でき、経口投与後数時間薬物の時間制御拍動性放出を提供し、又は特定の吸収部位、例えば十二指腸/空腸又は大腸に又は近くを目標にする。別の態様において、処方は、異なる放出性質を有する2つ以上の薬物粒子を含むことができ、即ち、明瞭な異なる遅延時間を有する1つ以上の改善された放出ビーズと、時限拍動性放出薬物送達システムを形成する即時放出ビーズの有無の放出速度との組み合わせである。また、2つ以上の薬物の多重コート粒子は、相互依存的な効力及び患者の薬剤服用遵守を得ることに結びつく。
【0012】
これらの時間制御又は位置制御拍動性放出システムに組み込むのに適した治療薬剤には、酸性、塩基性、両性又は中性の有機/無機生物活性分子又はこれらの塩が挙げられる。薬物物質は、ヒトにおける証明された薬理学的活性を有する、製薬上許容される有機又は無機化学薬品から成る群から選択される。代表的な活性化合物には、鎮痛薬、抗痙攣薬、麻酔薬、抗糖尿病性薬、抗感染薬、抗悪性腫瘍薬、抗パーキンソン薬、抗リウマチ薬、心血管性薬、中枢神経系(CNS)興奮剤、ドーパミン受容体作動薬、胃腸薬、精神治療薬及び尿路薬が挙げられる。本発明に使用するのに適した特定の治療薬剤又は薬物の代表的な例には、硫酸アルブテロール、アモキシシリン、塩酸ビュープロピオン、カルビドパ、セファクロル、ジクロフェナクナトリウム、エリスロマイシン、フェロジピン、ロラチジン(loratidine)、炭酸リチウム、メチルフェニデート、酒石酸メタプロロール(metaprolol tartrate)、ニフェジピン、オメプラゾール、塩酸ソタロール、塩酸ベラパミル又は治療上適切なこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。薬物の前記リストは、網羅的なものである意図ではない。多くの他の薬物は、単独で又は他の薬物との組み合わせのどちらでも本発明に使用するのに適している。薬物の水溶解度は、約0.01〜1000mg/mlで変化できる。
以下の非制限の例によって、本発明による調剤処方を説明する。
【実施例1】
【0013】
例1
ソタロールHCl(194.7g)をポリビニルピロリドン(9.8gポビドン(Povidone)K-30)の水溶液にゆっくりと添加し、よく混合する。シュガー球(750g、20-25メッシュ)をベルサグラット(Versa Glatt)流動床造粒機で薬物溶液でコートする。粒子を含む薬物を乾燥し、オパドリークリア(Opadry Clear(2%質量/質量))のシールコートをそれらに塗布する。ユードラジッド(Eudragit)L30D(480.8g)、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル(14.4g)、微粉化タルク(28.8g)及び精製水(462.8g)の懸濁液に、スプレーすることによって、第一コーティングを活性粒子に適用する。第二又は外側コーティングを2つの分れた分散水溶液を混合することによって調製する。第一分散液を、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル(26.7g)及びユードラジットL30D(891.5g)を精製水(995.9g)に添加することによって調製する。第二分散液を、セバシン酸ジブチル(59.5g)をアクアコート(Aquacoat)、即ちFMCの30質量%エチルセルロース分散液に添加することによって調製する。2つの分散液を連続的な攪拌で一緒にブレンド(1:1比)する。次に、化合したコーティング処方を、第一コーティングでコートした活性粒子にゆっくりとスプレーする。多重コート粒子をポリマーが癒着するまで45〜70℃で硬化させる。例1の多重コート粒子の完成組成を表1に示した。
45及び55%質量/質量の外側コーティングを有する、同一の薬物内容及び内側コーティングの2ロットの完成粒子をUSP溶解装置2で37℃、0.1N HClで50rpmのパドルスピードで2時間、次にpH6.8で更に4時間、生体外溶解特性をテストした。得られた結果を表2に示す。溶解の結果は、適用した第二/外側コーティングのレベルに依存する3〜4時間の遅延時間及び90分以内の殆ど完全な薬物放出の発生があることを示す。同様の結果が例1の組成及び手順を使用して塩酸メチルフェニデートで達成された。
【0014】
【表1】

【0015】
【表2】

【0016】
操作のどんな理論によっても本発明を結び付けることは望んでいないが、放出のメカニズムは、以下のように信じられる。マトリックスコーティングである第二コーティングは、エチルセルロースポリマーによって適切に保持される。0.1N塩酸での溶解テストの最初の2時間の間、薬物は、内側及び外側の両方の膜の腸溶性ポリマーが0.1N HClに不浸透性であるため、放出されない。溶解溶剤をpH6.8に代えると、腸溶性ポリマーは、外側膜から溶解し始め、孔及び溝が形成される。その放出の活性及び引き金を溶解するのにコアに入る溶解溶剤における時間がかかり、その故に追加の遅延時間が生じる。
【実施例2】
【0017】
例2
この例は、有機溶媒の腸溶性ポリマー及びエチルセルロース溶液の使用に基づく。粒子を含む塩酸ソタロールを例1の手順に従って製造する。これらの粒子を、98部のアセトン及び2部の水から成る、腸溶性ポリマー(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)溶液をスプレーすることによって20%質量増加するようにコートする。第2コーティングを、98部のアセトン及び2部の水からなる溶媒に、エチルセルロース10cps及び同量のヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶液を使用して塗布する。例2の多重コート粒子の最終組成を表3に示す。完成したコート粒子は、例1に述べたように生体外溶解のテストをし、得られた結果を表4に示す。
【0018】
【表3】

【0019】
【表4】

【0020】
コーティングを適用した溶媒の使用によって、高いレベルの水性コーティングで達成した遅延時間と同様の遅延時間を生じたことは、表4から明らかである。
例えば、35質量%の溶媒コーティングは、55質量%水性コーティングの遅延時間と同様の遅延時間を有する。
【実施例3】
【0021】
例3
内側及び外側コーティングを交換した以外は、例1の(45%質量/質量の質量増加における等量で)第二コーティングの処方の多重コートビーズを製造する。
表5に示した、得られた溶解データは、本発明が、内側及び外側コーティングを置き換える柔軟性を有することを示す。
【0022】
【表5】

【実施例4】
【0023】
例4
薬物層状化ノンパレイルシードを、例1の手順に従ってユードラジットL30D分散液で20%質量増加になるようにコートする。フマル酸/PVP組成を、24%質量/質量の質量増加になるようにこれらのコートビーズに塗布する。塗布した外側膜は、1:1の比で腸溶性ポリマー及びエチルセルロースから成る。例4の多重コート粒子の最終組成を、表6に示す。完成したコート粒子を、例1に述べた生体外溶解のテストをし、得られた結果を表7に示す。表2及び7から、4時間のより長い遅延時間が、45%質量/質量の外側レベルで達成されることが明白である。
更に、薬物は、パルスのように放出されないが、6〜7時間に渡って分散される。
【0024】
【表6】

【0025】
【表7】

【0026】
本発明を詳細にその特定の態様に関して説明したが、前記クレームによって定義された発明の範囲からはずれることなく、多数の変更及びバリエーションが可能であることは明らかであろう。
【0027】
本発明は、以下に関する。
1. 薬物含有コア粒子を含む医薬剤形であって、前記粒子が、腸溶性ポリマーの第一膜と、水不溶性ポリマー及び腸溶性ポリマーの組み合わせの第二膜とでコートされ、前記水不溶性及び前記腸溶性ポリマーが、約10:1〜1:1の質量比で前記第二膜に存在し、かつ第一及び第二コーティングの全質量が、コートされた粒子の全質量に基づいて約15〜80質量%であり、前記第一及び第二膜が、いずれかの順でコア粒子の上にコートされ得ることを特徴とする、医薬剤形。
2. 更に、前記第一及び第二膜の間に、有機酸含有中間膜を含む、前記1記載の医薬剤形。
3. 選択される前記薬物が、酸性、塩基性、中性又は両性イオン又は製薬上許容される塩の形態である、前記1記載の医薬剤形。
4. 前記薬物の水溶解度が、約0.1〜1000mg/mlである、前記1記載の医薬剤形。
5. 前記薬物物質が、鎮痛薬、抗痙攣薬、麻酔薬、抗糖尿病性薬、抗感染薬、抗悪性腫瘍薬、抗パーキンソン薬、抗リウマチ薬、心血管性薬、中枢神経系(CNS)興奮剤、ドーパミン受容体作動薬、胃腸薬、精神治療薬及び尿路薬から成る群から選択される、前記1記載の医薬剤形。
6. 前記薬物物質が、硫酸アルブテロール、アモキシシリン、塩酸ビュープロピオン、カルビドパ、セファクロル、ジクロフェナクナトリウム、エリスロマイシン、フェロジピン、ロラチジン、炭酸リチウム、メチルフェニデート、酒石酸メタプロロール、ニフェジピン、オメプラゾール、塩酸ソタロール、塩酸ベラパミル及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、前記1記載の医薬剤形。
7. 前記コア粒子が、薬物及びポリマー結合剤でコートされたノンパレイルシュガーシードであるか、又は前記コア粒子が、造粒及び製粉によって又は押し出し成型/粒状化によって調製されて活性薬物粒子を形成する、前記1記載の医薬剤形。
8. 前記腸溶性ポリマーが、セルロースのエステル、ポリビニルアセテートフタレート、pH感受性メタクリルメチルメタクリレートコポリマー及びセラックから成る群から選択される、前記1記載の医薬剤形。
9. 前記第二コーティングの前記不溶性ポリマーが、エチルセルロース、ポリビニルアセテート、エチルアクリレート及びメチルメタクリレートに基づく中性コポリマー及び第四アンモニウム基を有するアクリル及びメタクリル酸エステルのコポリマーから成る群から選択される、前記1記載の医薬剤形。
10. 前記膜の少なくとも1つが、更に可塑剤を含む、前記1記載の医薬剤形。
11. 前記可塑剤が、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル、ジエチルフタレート、ひまし油、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド又はこれらの混合物から成る群から選択される、前記10記載の医薬剤形。
12. 前記膜コーティングが、製薬上許容される溶媒の溶液から、又は腸溶性ポリマー、水不溶性ポリマー又はこれらの混合物の分散水溶液から塗工される、前記1記載の医薬剤形。
13. 前記水不溶性及び腸溶性ポリマーの混合物の第二コーティングが、経口投与で3〜6時間の間、前記薬物の実質的な放出を防ぐのに十分な厚さに塗工される、前記1記載の医薬剤形。
14. 前記第一及び第二膜の間に適用される中間膜の有機酸が、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びマレイン酸から成る群から選択される、前記2記載の医薬剤形。
15. 前記医薬剤形が、硬ゼラチンカプセルの形態である、前記1記載の医薬剤形。
16. 前記カプセルが、経口投与で3〜6時間の前記薬物の時間制御拍動性放出を提供する前記粒子の単一形から成る、前記15記載の医薬剤形。
17. 前記カプセルが、特定の吸収部位で又は近くで、前記薬物の時間制御拍動性放出を提供する前記粒子の単一形から成る、前記15記載の医薬剤形。
18. 前記カプセルが、異なる放出性質を有する2つ以上の多重コート薬物粒子から成る、前記15記載の医薬剤形。
19. 前記カプセルが、2つ以上の薬物の多重コート粒子を含む、前記15記載の医薬剤形。
20. 薬物送達システムを製造する方法であって、
a)薬物及びポリマー結合剤含有コア粒子を調製する工程、
b)前記コア粒子含有薬物を、可塑化腸溶性ポリマー膜でコートする工程、
c)前記可塑化腸溶性コート薬物粒子を、水不溶性ポリマー及び腸溶性ポリマーの混合物でコートする工程であって、前記水不溶性ポリマー及び前記腸溶性ポリマーは、約10:1〜1:1の質量比で存在する工程、
を含み、前記コーティングの全質量が、前記コートされた粒子の全質量に基づいて15〜80質量%であることを特徴とする、方法。
21. 薬物送達システムを製造する方法であって、
a)フィルム形成性組成物含有薬物を含むコア粒子を調製する工程、
b)前記コア粒子含有前記薬物を可塑化腸溶性ポリマー膜でコートする工程、 c)前記可塑性腸溶性コート薬物粒子を、有機酸含有中間膜でコートする工程、
d)前記中間膜を、水不溶性ポリマー及び腸溶性ポリマーの混合物を含む膜でコートする工程であって、前記水不溶性ポリマー及び前記腸溶性ポリマーが、約10:1〜1:1の質量比で存在する工程、
を含み、前記コーティングの全質量が、前記コートされた粒子の全質量に基づいて約15〜80質量%であることを特徴とする、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物含有コア粒子を含む医薬剤形であって、前記粒子が、腸溶性ポリマーの第一膜と、水不溶性ポリマー及び腸溶性ポリマーの組み合わせの第二膜とでコートされ、前記水不溶性及び前記腸溶性ポリマーが、約10:1〜1:1の質量比で前記第二膜に存在し、かつ第一及び第二コーティングの全質量が、コートされた粒子の全質量に基づいて約15〜80質量%であり、前記第一及び第二膜が、いずれかの順でコア粒子の上にコートされ得ることを特徴とする、医薬剤形。

【公開番号】特開2012−107048(P2012−107048A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−36624(P2012−36624)
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【分割の表示】特願2001−557544(P2001−557544)の分割
【原出願日】平成13年2月8日(2001.2.8)
【出願人】(506295780)アプタリス ファーマテック インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】