説明

景品払出装置および景品管理システム

【課題】収納部に収納された景品の計数精度の向上を図ることができる景品払出装置、および、それを含む景品管理システムを提供すること。
【解決手段】景品払出装置2において、キャビネット6に内蔵された払出ユニット8は、ケーシング20と、ケーシング20に内蔵されるカセット7と、カセット7を保持するキャリア22と、カセット7内の景品5を計数する計数センサ60とを含んでいる。カセット7は、複数の景品5を積み重ねた積層状態で収納する。キャリア22は、カセット7内の景品5の払い出しが可能となる払出位置までケーシング20内で移動可能である。計数センサ60は、キャリア22に設けられている。この場合、キャリア22が移動しても、カセット7内の景品5と計数センサ60とが一体で移動可能となるので、カセット7内の景品5と計数センサ60との相対位置が精度良く安定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ玉等の遊技媒体と交換される景品を払い出すための景品払出装置、および、それを含む景品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技施設では、遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の個数に応じて遊技客に景品を払い出すための景品払出装置が設置されている。下記特許文献1では、遊技施設のフロアに直接据え置かれる景品払出装置が提案されている。この景品払出装置により、カード状の景品が払い出される。
特許文献1の景品払出装置では、複数枚の景品を積層状態で収納するカセットが内蔵されており、必要な枚数の景品がカセットから繰り出されて遊技客に払い出される。
【0003】
また、この景品払出装置には、カセットに収納された景品を計数する計数装置が含まれているので、景品払出装置に何枚の景品が収納されているのかを把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−297402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の景品払出装置では、内部に複数の引出しユニットが収納されている。各引出しユニットは、複数のカセットと、これらのカセットを保持するキャリアと、カセットおよびキャリアを収容するケーシングと、計数装置とを備えている。
カセットが所定の繰出位置に位置すると、このカセット内の景品の繰り出しが可能となる。そこで、複数のカセットを保持しているキャリアは、各カセットが繰出位置に順番に位置できるように、ケーシング内で移動可能である。
【0006】
このように、キャリア、および、キャリアに保持されたカセットがケーシング内で移動可能であるのに対して、計数装置は、ケーシングの内壁面に固定されている。この場合、カセット内の景品と計数装置との相対位置を安定させるのに限界があるので、計数装置によるカセット内の景品の計数精度の向上を図ることは困難である。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、収納部に収納された景品の計数精度の向上を図ることができる景品払出装置、および、それを含む景品管理システムを提供することを主たる目的とする。
【0007】
また、この発明は、収納部に収納された景品の計数時間の短縮を図ることができる景品払出装置、および、それを含む景品管理システムを提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、装置本体および前記装置本体に内蔵された景品払出ユニットを備え、景品を払い出すための景品払出装置であって、前記景品払出ユニットは、筐体と、前記筐体に内蔵され、複数の景品を積み重ねた積層状態で収納するための収納部と、前記収納部を保持し、前記収納部内の景品の払い出しが可能となる払出位置まで前記筐体内で移動可能な保持手段と、前記保持手段に設けられ、前記収納部内の景品を計数する計数手段と、を含むことを特徴とする、景品払出装置である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記保持手段は、複数の前記収納部を、前記収納部内における景品の積層方向に対する交差方向に並ぶように保持し、前記計数手段は、前記積層方向に移動することによって前記収納部内の景品を計数するものであり、複数の前記計数手段を前記交差方向に並んだ状態で支持し、前記積層方向に移動する支持部材を含むことを特徴とする、請求項1記載の景品払出装置である。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記支持部材は、複数あり、複数の前記支持部材のそれぞれを移動させる駆動手段を含むことを特徴とする、請求項2記載の景品払出装置である。
請求項4記載の発明は、前記支持部材に支持された前記計数手段の位置を調整する位置調整手段を含むことを特徴とする、請求項2または3記載の景品払出装置である。
請求項5記載の発明は、景品が1つずつ繰り出される繰出位置まで、前記収納部内の景品を、前記収納部内における景品の積層方向に搬送する搬送手段と、前記収納部内の景品の数に応じて、前記搬送手段による景品の搬送速度を調整する搬送速度調整手段と、を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の景品払出装置である。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の景品払出装置と、前記景品払出装置と通信可能であり、前記収納部内の景品を管理する景品管理装置と、を含むことを特徴とする、景品管理システムである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および6記載の発明によれば、景品払出装置では、装置本体に景品払出ユニットが内蔵されている。景品払出ユニットは、筐体と、筐体に内蔵される収納部と、収納部を保持する保持手段と、収納部内の景品を計数する計数手段とを含んでいる。
収納部は、複数の景品を積み重ねた積層状態で収納するためのものである。保持手段は、収納部内の景品の払い出しが可能となる払出位置まで筐体内で移動可能である。そして、計数手段は、保持手段に設けられている。
【0013】
この場合、保持手段が移動しても、収納部内の景品と計数手段とが一体で移動可能となるので、収納部内の景品と計数手段との相対位置が精度良く安定する。
その結果、収納部に収納された景品の、計数手段による計数精度の向上を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、保持手段は、複数の収納部を、収納部内における景品の積層方向に対する交差方向に並ぶように保持する。そして、計数手段は、前記積層方向に移動することによって収納部内の景品を計数する。
【0014】
ここで、支持部材が、複数の計数手段を前記交差方向に並んだ状態で支持して、前記積層方向に移動する。
この場合、支持部材を前記積層方向に移動させると、この支持部材に支持された複数の計数手段によって、前記交差方向に並んだ複数の収納部内の景品を一度に計数することができる。これにより、収納部に収納された景品の計数時間の短縮を図ることができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、支持部材が複数あって、駆動手段が、複数の支持部材のそれぞれを移動させることができる。
複数の計数手段を支持している1つの支持部材が移動することで複数の収納部内の景品を一度に計数できることから、駆動手段によって複数の支持部材を移動させることによって、さらに多くの収納部内の景品を一度に計数できる。これにより、収納部に収納された景品の計数時間の更なる短縮を図ることができる。また、支持部材毎に駆動手段を設けずに済むので、部品点数の低減を図ることができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、位置調整手段によって、支持部材に支持された計数手段の位置を調整することができる。これにより、位置が調整された計数手段は、計数に適した位置において、収納部内の景品を精度良く計数することができる。そのため、収納部に収納された景品の、計数手段による計数精度の更なる向上を図ることができる。
請求項5記載の発明によれば、搬送手段は、景品が1つずつ繰り出される繰出位置まで、収納部内の景品を、収納部内における景品の積層方向に搬送する。そして、搬送速度調整手段が、収納部内の景品の数に応じて、搬送手段による景品の搬送速度を調整する。
【0017】
これにより、搬送手段による搬送前の時点における収納部内の景品と繰出位置との間隔が、収納部内の景品の数に応じて異なっていても、搬送手段は、ほぼ同じ時間で、収納部内の景品を繰出位置まで搬送することができる。つまり、収納部内の景品の数にかかわらず、搬送手段による、収納部内の景品の繰出位置までの搬送時間をほぼ一定に保つことができる。これにより、収納部内の景品の数にかかわらず、収納部内の景品をほぼ同じタイミングで繰り出して払い出すことができるので、安定した景品の払い出しが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、景品管理システム1を示す図である。
【図2】図2は、景品払出装置2の斜視図である。
【図3】図3は、払出ユニット8の斜視図であって、引出部21が開位置にある状態を示している。
【図4】図4は、図3において、ケーシング20の内部を露出させた状態を示している。
【図5】図5(a)および図5(b)は、それぞれ別の角度から見たカセット7の斜視図である。
【図6】図6は、景品5の斜視図である。
【図7】図7は、景品払出装置2の縦断面を模式的に示した図である。
【図8】図8(a)は、繰出機構14の正面図であり、図8(b)は、繰出機構14の平面図であり、図8(c)は、繰出機構14の側面図である。
【図9】図9は、図4の状態における払出ユニット8の側面図である。
【図10】図10(a)は、計数ユニット61の正面図であり、図10(b)は、計数ユニット61の側面図である。
【図11】図11は、払出ユニット8の平断面図である。
【図12】図12は、図11のA−A矢視断面図である。
【図13】図13は、計数ユニット61および駆動機構70を説明するための模式図である。
【図14】図14は、景品払出装置2の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図15】図15は、景品払出装置2の平断面の模式図である。
【図16】図16は、図9の要部に変形例を適用した図である。
【図17】図17は、図16の受け部材100を説明するための、キャリア22の要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
<景品管理システム>
図1は、景品管理システム1を示す図である。
図1を参照して、本発明の景品管理システム1は、パチンコ店等の遊技施設に設けられる。景品管理システム1は、景品を払い出すための景品払出装置2と、景品払出装置2を管理する景品管理装置3と、景品管理装置3に対する上位装置となるターミナルコンピュータ(略して「T/C」)4とで構成されている。
【0020】
景品払出装置2は、多数の景品を収納していて、遊技客が遊技台での遊技によって獲得した遊技媒体(パチンコ玉やメダル)の数に応じた種類および個数の景品を、この遊技客に払い出す。なお、景品払出装置2の詳細については、以降で説明する。
景品管理装置3は、「POS」とも呼ばれ、遊技施設における景品交換カウンター等に配置される。景品管理装置3に対して、1台または複数台の景品払出装置2が通信可能に接続されている。遊技客が遊技媒体を獲得すると、その獲得数が記録された記録媒体(レシート、持玉カード等)が発行される。景品管理装置3は、この記録媒体に記録された遊技媒体の獲得数を読み取り、獲得数に応じた種類・個数の景品を特定し、当該種類・個数の景品を払い出すように、景品払出装置2に指示する。また、景品管理装置3は、景品払出装置2に収納された景品の個数を種類毎に管理している。なお、図1では、複数の景品管理装置3が図示されているが、そのうちの1台の景品管理装置3が親機となり、残りの景品管理装置3が子機となることで、親機が子機を管理するように構成されても構わない。
【0021】
T/C4は、遊技施設における事務所等に設置される。T/C4には、景品管理装置3が通信可能に接続されている。T/C4は、景品を管理するだけでなく、遊技台での遊技媒体の出入りや遊技施設全体における金銭の流れ等も管理する。
<景品払出装置>
図2は、景品払出装置2の斜視図である。なお、以下では、図2における景品払出装置2の姿勢を基準として、景品払出装置2の上下前後左右の方向を規定する。すなわち、図2において、景品払出装置2の長手方向(図2の左上と右下とを結ぶ方向)を左右方向(幅方向)とし、図2の紙面手前側を景品払出装置2の前側とし、図2の紙面奥側を景品払出装置2の後側とする。
【0022】
景品払出装置2は、遊技施設のフロアに直接据え置かれて使用される。景品の払い出しを受ける客は、景品払出装置2の後側に位置し、従業員は、景品払出装置2の前側に位置して接客を行う。
景品払出装置2で取り扱われる景品5は、遊技施設において遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の数に応じて交換される有価カード体で特殊景品とも呼ばれる(後述する図6参照)。
【0023】
景品払出装置2は、その外郭をなす幅広で中空の略直方体形状のキャビネット6(装置本体)と、景品5をカセット7(収納部)に積み重ねた状態で収納することができる複数(たとえば7つ)の払出ユニット8(景品払出ユニット)とを備えている(後述する図5および図7も参照)。
キャビネット6の前側面は、開放されており、キャビネット6には、前側面の開放部分を開閉する扉18が設けられている。
【0024】
複数の払出ユニット8は、幅方向に並んだ状態でキャビネット6に内蔵されている(図2では、説明の便宜上、右端の払出ユニット8だけが手前に引き出されている)。
キャビネット6の上面には、表示部9が設けられている。表示部9は、客側から視認できる第1表示部9Aと、従業員側からのみ視認できる第2表示部9Bとを含んでおり、それぞれの表示部には、必要な情報が表示される。また、たとえば、第2表示部9Bの横には、景品払出装置2の動作を制御するために係員によって操作される操作部10が設けられている。
【0025】
キャビネット6の上面において、各払出ユニット8の上方位置には、出口11が形成されている。出口11は、払出ユニット8の数に応じて複数(ここでは、7つ)形成されている。各出口11は、キャビネット6の内部に連通している。また、各出口11には、シャッタ12が設けられている。シャッタ12は、前後に個別にスライドすることによって、出口11を開閉する。
【0026】
また、景品払出装置2には、収納された景品5を払い出すための機構として、カセット7(図5参照)に収納された景品5を上方ヘ持ち上げるためのリフト機構13(搬送手段)と、景品5を出口11側へ繰り出すための繰出機構14と、繰り出された景品5を出口11の下方で保留するための一時保留部15と、保留された景品5を出口11へ向けて持ち上げるためのエレベータ機構16と、出口11まで持ち上げられた景品5をキャビネット6の上面に押し出すための送出機構17とが備えられている(図7参照)。上述したシャッタ12と、シャッタ12をスライドさせる構成とが、上述した送出機構17に含まれる。これらの機構は、以下で払出ユニット8を説明する際に、個別に説明する。
<払出ユニット>
図3は、払出ユニット8の斜視図であって、引出部21が開位置にある状態を示している。
【0027】
図3に示すように、各払出ユニット8は、左右方向においてやや薄い中空のボックス形状である。払出ユニット8は、その外郭をなすケーシング20(筐体)と、ケーシング20から引き出し可能な引出部21と、複数(ここでは4つ)のカセット7と、これらのカセット7を保持するキャリア22(保持手段)とを備えている。引出部21、カセット7およびキャリア22は、常態では、ケーシング20内に収納されている(図2参照)。キャリア22は、4つのカセット7を前後方向に並んだ状態で一体的に保持する。前後方向に並んだ4つのカセット7を、前から順に、カセット7A、カセット7B、カセット7C、カセット7Dと区別することがある(図7参照)。なお、図3では、前から4つ目のカセット7Dだけが図示されている。
【0028】
ケーシング20の前壁には、上下方向に長手の開口23が形成されている。開口23は、ケーシング20内に連通している。
引出部21は、前板24と、側板25と、底板26とを一体的に備えている。前板24は、前側から見て上下方向に長手であり、ケーシング20の開口23をちょうど塞ぎ得る大きさを有している。側板25は、幅方向に薄く、前板24の左端縁から連続して後側へ延びている。底板26は、前板24の下端と側板25の下端とを繋いでいる。
【0029】
そして、側板25は、ケーシング20において内部を左側から区画する内壁面20Aに設けられたレール27によって、前後方向へスライド自在に支持されている。これにより、引出部21は、前後方向へスライド自在である。詳しくは、引出部21は、閉位置(図2参照)と開位置(図3参照)との間でスライドすることができる。図2に示すように引出部21が閉位置にある場合には、前板24がケーシング20の開口23を前側から塞いでいる(右端の払出ユニット8を参照)。この状態にある引出部21を前側へ所定量だけ引き出すと、引出部21は、図3に示す開位置に配置される。引出部21が開位置にある場合には、前板24が開口23の前方に位置して開口23を開き、かつ、側板25および底板26のほぼ全てが前側へ引き出されている。
【0030】
キャリア22は、複数の仕切り28とフレーム29とを一体的に備えている。これらの仕切り28は、前後に薄く上下方向に延びる板状であり、所定の間隔を隔てて、前後方向に沿って並んでいる。フレーム29は、側板25より一回り小さい大きさを有する略矩形板状であり、フレーム29に対して各仕切り28の左端部が接続されている。各カセット7は、前後に間隔を隔てて隣り合う2つの仕切り28に挟持されることによって、キャリア22に保持される。
【0031】
キャリア22は、フレーム29において、引出部21の側板25によって、前後方向へスライド自在に支持されている。ここで、側板25に対するキャリア22の相対位置に関し、最も前側に位置するときのキャリア22の位置を前位置といい(図7(b)参照)、最も後側に位置するときのキャリア22の位置を後位置という(図7(a)参照)。つまり、キャリア22は、前位置と後位置との間で移動可能である。なお、図3では、前位置にあるキャリア22が示されている。
【0032】
また、キャリア22の下方には、キャリア22を前後にスライドさせるスライド機構30が設けられている。スライド機構30は、例えばモータ駆動のラックアンドピニオン機構等によって構成されており、引出部21の底板26に固定されている。
図4は、図3において、ケーシング20の内部を露出させた状態を示している。
図4に示すように、ケーシング20内には、カセット7の並び方向(前後方向)に間隔を隔てて並ぶ2つのリフト31が設けられている。各リフト31は、前後左右方向に平坦な板状であって、ケーシング20に支持されており、ケーシング20内で上下方向に沿って昇降することができる。リフト31の待機位置は、図4に示されたリフト31の位置であり、ケーシング20の底壁の近くである。リフト31と、リフト31を昇降させる構成とが、上述したリフト機構13に含まれる。
【0033】
図5(a)および図5(b)は、それぞれ別の角度から見たカセット7の斜視図である。
図5に示すように、カセット7は、上下方向に長手であり、その平断面は、略コ字形状をなしている。カセット7の上面および底面は、開放されている。カセット7の一方側面(キャリア22に保持された状態における右側面)は、上述した略コ字形状をなすべく、上下方向における全ての範囲に亘って開放されており、このように開放された部分を開放部32という。開放部32は、カセット7において開放された上面および底面のいずれに対しても連続している。また、図5(b)を参照して、カセット7において前記一方側面の反対側の他方側面の水平方向における両端(前後の端部)には、上下方向におけるほぼ全ての範囲に亘って切欠かれており、このように切欠かれた部分を、切欠き部33という。各切欠き部33は、上下に長手の帯状に区画されており、カセット7の内部を露出させている。
【0034】
カセット7は、所定の種類の複数枚の景品5を、上下方向に沿って積み重ねた積層状態で最大でたとえば100枚収納することができる。なお、カセット7の下端には、カセット7内で最下位にある景品5に対して下側から係合する爪34が設けられており、カセット7において開放された底面から景品5が抜け落ちることが防止されている。また、カセット7に景品5が充填された状態において、全ての景品5の端面が、開放部32および各切欠き部33からカセット7の外部に露出される(図5(a)および図5(b)参照)。
【0035】
また、カセット7の上端部には、略U字状のハンドル19が、略U字をなす2つの遊端部によってカセット7を挟むように取り付けられている。ハンドル19は、2つの遊端部を中心に回動可能である。
ここで、キャリア22に保持された4つのカセット7の並び方向は、前述したように前後方向であって、カセット7内における景品5の積層方向(上下方向)に対する交差方向(厳密には、直交方向)である(後述する図7参照)。なお、カセット7の並び方向は、景品5の積層方向に対して交差していれば、必ずしも直交していなくても構わない。
【0036】
図6は、景品5の斜視図である。
図6に示すように、景品5は、一般的に、1mm〜数mm程度の厚みを有する樹脂製のカードである。景品5は、たとえば、平面視で略長方形状をなしており、その四隅は丸められている。景品5には、所定の金銭価値を有する物体が内蔵されており、たとえば、200円、1000円、5000円といった金銭価値に応じた3つの種類が存在する。また、景品5は、その種類を識別するためのRFIDタグ等が内蔵されていたり、偽造等の不正を防止するための処理が施されていたりすることもある。
【0037】
カセット7に収納された景品5では、景品5の長辺部分の端面が、カセット7の開放部32から露出されるが(図5(a)参照)、この端面には、シルク印刷等によって、景品5の種類を示すマーク35が付されていることがある。図6では、たとえば、1000円の景品5の端面には、2本の太いラインで構成されたマーク35が付されている。一方、たとえば、200円の景品5の場合には、マーク35は、1本の太いラインであり、5000円の景品5の場合には、マーク35は、3本の太いラインである(図示せず)。
【0038】
このように景品5の端面にマーク35を施すのは、景品5がカセット7や通い箱(景品払出装置2外で景品5を収容する箱)に積層状態で収納された場合、カセット7の開放部32や通い箱の開口から露出された各景品5の端面のマーク35によって、どの種類の景品5が収納されているか、または、違う種類の景品5が混入していないか等を判断するためである。なお、印刷の都合上、景品5の長辺部分の端面において、カセット7の開放部32から露出される長手方向中央領域(図5(a)参照)には、マーク35を付けることができるが、長手方向両端部(たとえば、景品5の四隅近傍の湾曲した領域)には、マーク35を付けることができない。
【0039】
一方、カセット7に収納された各景品5では、マーク35が付された側とは反対側の端面の両端部(前端部および後端部)が、カセット7の切欠き部33から露出される(図5(b)参照)。
図7は、景品払出装置2の縦断面を模式的に示した図である。
図7を参照して、各払出ユニット8のケーシング20内において、各リフト31の上方には、上述した繰出機構14が配置されている。つまり、繰出機構14は、リフト31の数に応じて2つ設けられている。繰出機構14は、ケーシング20の上壁に隣接するように配置され、ケーシング20に支持されている。
【0040】
各繰出機構14は、回転自在に支持された1つの繰出ローラ40と、景品検知センサ41と、上下に隙間X(後述する図8(a)参照)を隔てて対向配置された1対のゲート42と、回転自在に支持された1対のフィードローラ43とを含んでいる。
前側(図7では左側)の繰出機構14では、繰出ローラ40、景品検知センサ41、1対のゲート42および1対のフィードローラ43が、前側からこの順番で並んで配置されている。後側(図7では右側)の繰出機構14では、繰出ローラ40、景品検知センサ41、1対のゲート42および1対のフィードローラ43が、後側からこの順番で並んで配置されている。
【0041】
図8(a)は、繰出機構14の正面図であり、図8(b)は、繰出機構14の平面図であり、図8(c)は、繰出機構14の側面図である。
図8を参照して、繰出機構14について更に詳しく説明する。なお、図8(a)では、フィードローラ43の図示が省略されていて、図8(b)では、景品検知センサ41およびゲート42の図示が省略されている。
【0042】
図8(a)を参照して、各繰出機構14において、繰出ローラ40および景品検知センサ41のそれぞれは、幅方向に間隔を隔てて1対設けられている。1対の繰出ローラ40では、それぞれの円中心部分が、幅方向に延びる連結軸44によって連結されており、これらの繰出ローラ40は、一体化されている。1対の景品検知センサ41の間隔は、1対の繰出ローラ40の間隔より広く、景品検知センサ41は、繰出ローラ40の幅方向外側に位置している。また、上下1対のゲート42は、正面視において、1対の繰出ローラ40の間に位置している。ここで、1対のゲート42の上下の隙間Xは、景品5の1枚の厚みより若干大きいものの、景品5の2枚の厚みより小さい。
【0043】
図8(b)を参照して、フィードローラ43は、上下1対設けられているだけでなく(図7参照)、幅方向に間隔を隔てて1対設けられている。つまり、各繰出機構14において、フィードローラ43は、4つ設けられている。上下に並ぶ1対のフィードローラ43は、互いに圧接されている。
図8(c)を参照して、各繰出機構14は、景品5の長手方向における一端部(後述する繰出空間51側の端部)側に偏って配置されている。上下1対のフィードローラ43の圧接部分と、上下1対のゲート42の隙間Xと、景品検知センサ41の下端部と、フィードローラ43の外周面の下端部とは、上下方向において、ほぼ同じ位置にある。
【0044】
図7を参照して、ケーシング20の上壁において、2つの繰出機構14の間に位置する部分には、繰出空間51が形成されている。払出ユニット8がキャビネット6に納められている状態では、ケーシング20の繰出空間51は、キャビネット6において対応する出口11に対して、下から連通している。
各繰出機構14では、前後方向において、フィードローラ43が、繰出空間51に最も近い位置に配置されている。
【0045】
そして、ケーシング20内において、繰出空間51の下方には、繰出空間51に対して下から連通する一時保留部15が区画され、一時保留部15には、上述したエレベータ機構16が設けられている。エレベータ機構16は、エレベータ53を含んでいる。エレベータ53は、前後左右方向に平坦な板状であって、ケーシング20に支持されており、ケーシング20内で上下方向に沿って昇降することができる。エレベータ53が待機位置にあるとき、エレベータ53の上面は、各繰出機構14のフィードローラ43よりも低い位置にある。エレベータ53を昇降させる機構は、エレベータ機構16に含まれる。
【0046】
次に、この景品払出装置2による景品5の払い出し動作について、1つの払出ユニット8に着目して説明する。
まず、キャビネット6の扉18が開かれて(図2参照)、図3に示すように、払出ユニット8において引出部21が開位置まで引き出される。そして、この状態で、同じ種類の景品5を収納したカセット7(図5参照)がキャリア22に対して上側から差し込まれ、キャリア22に保持される。なお、カセット7内の景品5の種類は同じであるが、カセット7毎に、収容される景品5の種類が異なっていてもよい。
【0047】
カセット7がキャリア22に保持された後、引出部21は、閉位置へ押し込まれ(図2参照)、カセット7およびキャリア22とともに、ケーシング20内に収納(内蔵)される。このとき、キャリア22は後位置へ移動されるものとする(図7(a)参照)。そして、扉18(図2参照)が閉じられると、景品払出装置2による景品5の払い出しが可能となる。
【0048】
このように引出部21が閉位置にあり、キャリア22が後位置にある場合、図7(a)に示すように、上述した2つのリフト31は、待機位置にある(図7(a)において点線で示したリフト31を参照)。詳しくは、これらのリフト31のうち、前側のリフト31の上方には、前から1番目のカセット7Aの底面が位置し、後側のリフト31の上方には、前から3番目のカセット7Cの底面が位置している。
【0049】
この状態からキャリア22が前位置へ移動すると、図7(b)に示すように、4つのカセット7がリフト31に対して前側へ相対移動する。この場合、前側のリフト31の上方には、前から2番目のカセット7Bの底面が位置し、後側のリフト31の上方には、前から4番目のカセット7Dの底面が位置することになる(図7(b)において点線で示したリフト31を参照)。
【0050】
キャリア22が後位置にある場合には、カセット7Aおよびカセット7Cのいずれか、または、両方から景品5が払い出すことができる(図7(a)参照)。キャリア22が前位置にある場合には、カセット7Bおよびカセット7Dのいずれか、または、両方から景品5が払い出すことができる(図7(b)参照)。どのカセット7から景品5を払い出すかは、任意に設定可能である。ここで、キャリア22は、カセット7Bおよびカセット7D内の景品5の払い出しが可能となる払出位置(前位置)までケーシング20内で移動可能であり、カセット7Aおよびカセット7C内の景品5の払い出しが可能となる払出位置(後位置)までケーシング20内で移動可能であるといえる。
【0051】
次に、カセット7Aを例にとって、カセット7から景品5を払い出す手順について具体的に説明する。
まず、図7(a)に示すように、カセット7Aの下方に位置していた待機位置のリフト31(点線で示したリフト31を参照)が、実線で示すように、カセット7Aの開放された底面からカセット7A内を通って上昇する。これにより、カセット7A内の全ての景品5が、このリフト31によって押し上げられる。
【0052】
最上位にある景品5が繰出機構14まで押し上げられて繰出ローラ40の下側外周面および景品検知センサ41に接触すると、景品検知センサ41は、カセット7Aの景品5が繰り出し可能な繰出位置に到達したことを検知する。繰出位置とは、景品検知センサ41に接触したときの景品5の位置である。
ここで、景品検知センサ41は、その下端部(図8(a)において点線で示した部分)に対して景品5が下から接触することによって、若干上昇し、これによって、景品5が繰出位置に到達したことを検知する。また、景品検知センサ41は、幅方向に間隔を隔てて1対設けられているので、景品5が幅方向(水平面)に対して傾いていたり、反っていたりしても、どちらかの景品検知センサ41が、景品5が繰出位置に到達したことを確実に検知できる(図8(a)参照)。また、最上位にある景品5が繰出ローラ40の下側外周面に接触すると、繰出ローラ40において下側外周面に相当する部分(図8(a)において点線で示した部分)が若干圧縮される。
【0053】
そして、景品検知センサ41による検知に応じて、リフト31の上昇が停止し、繰出機構14が、最上位の景品5を繰り出す。具体的には、繰出ローラ40が、その下側周面が繰出空間51側へ接近する方向へ回転する。カセット7Aの場合、前側の繰出ローラ40が、図7(a)における反時計回りの方向に回転する。このとき、繰出ローラ40の下側周面に最上位の景品5が接触しているので、繰出ローラ40は、回転に伴って、最上位の景品5を繰出空間51側へスライドさせ、1対のゲート42の隙間Xおよび1対のフィードローラ43の間を順に通過させる。ここで、繰出ローラ40において下側外周面に相当する部分が、景品5に接触されることで若干圧縮されていることから(図8(a)参照)、繰出ローラ40は、景品5に対して十分にグリップしている。そのため、景品5が反っていたとしても、繰出ローラ40は、回転に伴って、最上位の景品を、空振りすることなく繰出空間51側へスライドさせ、1対のゲート42の隙間Xおよび1対のフィードローラ43の間を順に通過させることができる。
【0054】
ここで、景品検知センサ41(繰出機構14)は、前述したように、景品5の長手方向における一端部(繰出空間51側の端部)側に偏って配置されている。詳しくは、景品検知センサ41は、1対のゲート42の隙間Xの近傍に配置されている。そのため、景品検知センサ41が、景品5が繰出位置に到達したことを検知した際、景品5の前記一端部は、隙間Xの近傍に位置している。そのため、繰出ローラ40の回転に伴って、景品5は、前記一端部側から、1対のゲート42にぶつかることなく、隙間Xを通過できる。この場合、景品5は、その長手方向他端側へ向けて水平面Sに対して傾いていたり(図8(c)参照)、前記他端側において反っていたりしても、景品5の傾き具合や反り具合とは無関係に、景品検知センサ41によって検知されたのに応じて、速やかに前記一端部から隙間Xを通過できる。なお、隙間Xは、前述したように、景品5の1枚の厚みより若干大きいものの、景品5の2枚の厚みより小さいので(図8(a)参照)、最上位の景品5だけでなく、その下の景品5までもが一度に搬送されること(重送されること)が防止されている。
【0055】
この景品5は、隙間Xを通過した後に、回転する1対のフィードローラ43によって繰出空間51側へ放出され、一時保留部15において、待機位置にあるエレベータ53の上面に載置される。
そして、リフト31の上昇と繰出機構14による景品5の繰り出しとが、景品5毎に繰り返され、カセット7A内の景品5が、上から順に、エレベータ53に積み重ねられて、一時保留部15に一時保留される。ここで、リフト31を有するリフト機構13が、繰出機構14によって景品5が1枚ずつ繰り出される繰出位置まで、カセット7A内の景品5を、上下方向に沿って上方に搬送していることが分かる。
【0056】
なお、繰出機構14によって景品5が繰り出される際、景品5がエレベータ53に良好に積み重ねられるように、エレベータ53は、待機位置から適宜下降する。具体的には、エレベータ53に景品5が1枚載置される毎に、エレベータ53が下降してもよいし、エレベータ53に所定枚数の景品5が積み重ねられてからエレベータ53が下降してもよい。
【0057】
また、カセット7Aの景品5だけでなく、カセット7Cの景品5も、カセット7Aの場合と同様の手順で、エレベータ53に積み重ねられてもよい。カセット7Aおよびカセット7Cに景品5が無い場合には、キャリア22が後位置から前位置へ移動し(図7(b)参照)、カセット7Bおよびカセット7Dの景品5が、カセット7Aの場合と同様の手順で、エレベータ53に積み重ねられる。
【0058】
図7(a)に示すように、払い出しに必要な枚数の景品5がエレベータ53に積み重ねられると、キャビネット6の上面において、対応するシャッタ12が、前側へ移動し(点線で示したシャッタ12を参照)、このエレベータ53の上方にある出口11を開く。これに伴い、エレベータ53が、払出ユニット8の繰出空間51を介して、出口11まで上昇する。そして、エレベータ53の上面がキャビネット6の上面と面一になるまでエレベータ53が上昇すると、シャッタ12が、出口11を閉じようと後側へ移動し、そのときに、エレベータ53の上面に積み重ねられた景品5を、キャビネット6の上面に押し出す。これにより、景品5が客側(後側)へ払い出される。
<計数センサ>
図9は、図4の状態における払出ユニット8の側面図である。
【0059】
払出ユニット8には、カセット7に積層状態で収納された景品5の枚数をカセット7毎に数えるための計数センサ60(計数手段)が備えられている。
図9に示すように、各払出ユニット8において、2つの計数センサ60が前後に隣接して1つの組をなしており、この組が前後方向に間隔を隔てて2組設けられている。つまり、各払出ユニット8には、4つの計数センサ60が前後に並んで設けられている。なお、図9では、最も後側(図9では右側)の計数センサ60がカセット7Dに隠れて見えなくなっている。
【0060】
図10(a)は、計数ユニット61の正面図であり、図10(b)は、計数ユニット61の側面図である。
図10を参照して、前述した1組をなす2つの計数センサ60は、1つの計数ユニット61を構成している。図10(a)に示すように、計数ユニット61は、2つの計数センサ60と、略矩形状の薄板状(図10(b)参照)をなすホルダ62(支持部材)とを含んでいる。ホルダ62の正面(払出ユニット8に組み込まれた状態では右側から見た側面)の上端部の水平方向両端部に、計数センサ60が取り付けられている。つまり、1つの計数ユニット61には、2つの計数センサ60がある。そして、計数ユニット61が払出ユニット8に組み込まれた状態において、2つの計数センサ60は、前後方向に並んでいて、この状態でホルダ62によって支持されている(図3参照)。また、ホルダ62の表面において2つの計数センサ60に挟まれた部分には、ガイド部材63が設けられている。ガイド部材63は、平断面が略コ字状をなして、後述するガイドレール64と連結可能な形状になっている(後述する図11参照)。
【0061】
図11は、払出ユニット8の平断面図である。図12は、図11のA−A矢視断面図である。
図11を参照して、各払出ユニット8では、2つの計数ユニット61が、前後方向に間隔を隔てて、キャリア22のフレーム29(図3参照)に取り付けられている。つまり、各計数ユニット61の計数センサ60は、キャリア22に設けられている。
【0062】
詳しくは、図12を参照して、フレーム29において、カセット7A〜7Dがキャリア22に保持された場合(図7参照)における、カセット7Aとカセット7Bとの間の位置、および、カセット7Cとカセット7Dとの間の位置には、上下に延びるガイドレール64が設けられている。つまり、2本のガイドレール64が、前後方向(図12では左右方向)に所定の間隔を隔てた状態で、フレーム29に設けられている。
【0063】
そして、前側のガイドレール64には、前側の計数ユニット61におけるホルダ62のガイド部材63(図10(a)参照)が連結されており、後側のガイドレール64には、後側の計数ユニット61におけるホルダ62のガイド部材63が連結されている。この状態で、各計数ユニット61全体は、対応するガイドレール64によって、上下方向にスライド可能に支持されている。そして、各計数ユニット61では、2つの計数センサ60が、右側(図12では手前側であり、カセット7に臨む側)を臨んでいる。ここで、ガイドレール64の下端部に位置しているときの計数ユニット61(計数センサ60)の位置を、待機位置とする。
【0064】
図13は、計数ユニット61および駆動機構70を説明するための模式図である。なお、図13では、左側が、景品払出装置2の前側である。
計数ユニット61を上下にスライドさせるための構成として、各払出ユニット8のたとえばキャリア22には、駆動機構70(駆動手段)が設けられている。駆動機構70は、駆動モータ71と、伝達ギア72と、連結ギア73,74と、駆動ギア75と、ベルト76とを含んでいる。
【0065】
駆動モータ71は、たとえば、ステッピングモータであり、2本のガイドレール64のうちの一方(ここでは、前側のガイドレール64)の下端部に配置されている。駆動モータ71には、出力軸(図示せず)があり、この出力軸には、外周面にギア歯が形成された駆動ギア75が取り付けられている。
伝達ギア72は、2本のガイドレール64における前記一方でなく、他方(ここでは、後側のガイドレール64)の下端部に配置されている。伝達ギア72の外周面には、ギア歯が形成されている。
【0066】
連結ギア73は、前記一方(前側)のガイドレール64の下端部に配置されており、このガイドレール64に支持された計数ユニット61に対して、図示しない駆動伝達部材によって連結されている。連結ギア73の外周面には、ギア歯が形成されており、連結ギア73は、駆動ギア75と噛み合っている。
連結ギア74は、前記他方(後側)のガイドレール64の下端部に配置されており、このガイドレール64に支持された計数ユニット61に対して、図示しない駆動伝達部材によって連結されている。連結ギア74の外周面には、ギア歯が形成されており、連結ギア74は、伝達ギア72と噛み合っている。
【0067】
ベルト76は、内周面にギア歯が形成されたエンドレスベルトであり、駆動ギア75と伝達ギア72との間に掛け回されている。
このような駆動機構70において、駆動モータ71が駆動されると、駆動ギア75が所定方向に回転する。これにより、駆動ギア75に噛み合っている連結ギア73が回転し、駆動モータ71の駆動力が、前述した駆動伝達部材によって前側の計数ユニット61に伝達され、前側の計数ユニット61は、上下方向のどちらかにスライドする。また、この駆動力は、ベルト76および伝達ギア72を介して連結ギア74にも伝達される。これによって、連結ギア74が回転し、駆動モータ71の駆動力が、前述した駆動伝達部材によって後側の計数ユニット61に伝達され、後側の計数ユニット61は、前側の計数ユニット61と同じ方向にスライドする。
【0068】
逆に、駆動ギア75が前記所定方向とは逆方向に回転するように駆動モータ71が駆動されると、前後の計数ユニット61は、ともに、先程とは逆向きにスライドする。
つまり、駆動機構70は、2つの計数ユニット61のそれぞれを上下方向に移動させる。
なお、計数ユニット61とリフト31とは水平方向に互いにずれた位置にあるので(図11参照)、計数ユニット61とリフト31とが動作中に互いに干渉することはない。
【0069】
そして、計数センサ60は、ケーシング20に収容されたカセット7に対して左側から隣接配置される。詳しくは、計数センサ60は、対応するカセット7の切欠き部33(図5参照)に対して左側から対向することができる。前述したように、各払出ユニット8には、2つの計数ユニット61があって、各計数ユニット61には、2つの計数センサ60がある。そのため、前側(図13では左側)の計数ユニット61において、前側の計数センサ60は、最も前側のカセット7Aにおける後側の切欠き部33に対して左側(図13の紙面奥側)から対向可能であり、後側の計数センサ60は、前から2番目のカセット7Bにおける前側の切欠き部33に対して左側から対向可能である。そして、後側の計数ユニット61において、前側の計数センサ60は、前から3番目のカセット7Cにおける後側の切欠き部33に対して左側から対向可能であり、後側の計数センサ60は、前から4番目のカセット7Dにおける前側の切欠き部33に対して左側から対向可能である。
【0070】
ここで、各計数ユニット61のホルダ62には、調整用つまみ77(位置調整手段)が設けられている。そして、各計数ユニット61において、ホルダ62は、一方(ここでは、前側)の計数センサ60を支持する前部分62Aと、他方(ここでは、後側)の計数センサ60を支持する後部分62Bとを含んでいる。前部分62Aと後部分62Bとは分離されている。前部分62Aには、後側へ延びつつ、下端面にラックギアが形成されたラック部65(位置調整手段)が一体的に設けられ、後部分62Bには、前側へ延びつつ、上端面にラックギアが形成されたラック部66(位置調整手段)が一体的に設けられている。そして、調整用つまみ77は、外周面にギア歯が形成されたピニオンギアであり、ラック部65,66のラックギアに噛み合っている。つまり、調整用つまみ77およびラック部65,66によって、ラックアンドピニオン機構が構成されている。
【0071】
そのため、各計数ユニット61において、調整用つまみ77をつまんで操作すると(捻ると)、このラックアンドピニオン機構の動作によって、2つの計数センサ60が、互いに接近する方向または離間する方向へ前後に移動するので、これらの計数センサ60の前後の間隔を調整することができる。そのため、各計数センサ60が、対応する切欠き部33において景品5の端面のマーク35(図6参照)に対向していれば、調整用つまみ77を操作することで、計数センサ60の位置を調整し、計数センサ60が景品5の端面のマーク35を避けた位置に対向するようにすればよい。これにより、位置が調整された計数センサ60は、景品5の形状や種類にかかわらず、計数に適した位置において、カセット7内の景品5を精度良く計数することができる。
【0072】
なお、2つの計数センサ60の前後の間隔を調整する機構としては、このようなラックアンドピニオン機構以外の公知の機構を用いることができる。また、2つの計数センサ60のそれぞれの移動を同期させる必要はなく、2つの計数センサ60を個別に移動させてもよい。
そして、所定のタイミングにおいて、駆動モータ71が駆動され、各計数センサ60は、対応するカセット7の切欠き部33(図5参照)に対して左側から対向しつつ、上下にスライドする。この際、計数センサ60は、カセット7内において切欠き部33から露出されている景品5の枚数を数える。つまり、計数センサ60は、上下方向(カセット7内における景品5の積層方向)に移動することによってカセット7内の景品5を計数する。
【0073】
当該所定のタイミングとして、上述した操作部10(図2参照)が操作されて計数動作の実行が指示されたタイミングや、景品払出装置2の電源が入ったタイミングや、景品5を補充したカセット7を払出ユニット8にセットして扉18(図2参照)を閉じたタイミングや、景品管理装置3やT/C4(図1参照)から計数動作の実行命令が送信されたタイミングや、係員交代時が挙げられる。また、所定のインターバル毎に計数センサ60による計数が自動的に実施されてもよい。
【0074】
計数センサ60による計数を具体的に説明すると、計数センサ60は、いわゆる光学式の反射型センサであり、発光素子(図示せず)と、発光素子(図示せず)に発光された光(たとえば、青色光)のうち、検知物に当たって反射した光を受ける受光素子(図示せず)とを備えている。
このような計数センサ60がカセット7の景品5の枚数を数える場合、図10(b)を参照して、計数センサ60が、カセット7に積層状態で収納された景品5の左側面5Aの前端部または後端部(カセット7の切欠き部33から露出された部分)に左側から対向した状態で、待機位置から上方へスライドする。ここで、カセット7に積層状態で収納された全ての景品5の左側面5Aをまとめて積層側面5Bという。また、景品5の積層側面5Bにおいてカセット7の切欠き部33から露出された部分(各景品5における前端部または後端部)は、前述したマーク35(図6参照)が付いていない部分である。
【0075】
なお、図示しない揃え部材によって、カセット7において上下に隣り合う景品5の左側縁が上下方向に沿って直線状に並ぶように揃えられていると、景品5が計数しやすくなる。
そして、計数センサ60の上方へのスライドに伴い、計数センサ60が、上述した景品5の積層側面5Bに対して所定の間隔を隔てて左側から対向した状態で上昇する。計数センサ60が上昇している最中において、計数センサ60では、発光素子(図示せず)が、下側の景品5から順に、景品5の左側面5Aに向けて投光し、この景品5の左側面5Aで反射される反射光が受光素子(図示せず)に受光される。ここで、上下に隣り合う景品5の左側面5Aの境界Yに発光素子(図示せず)からの光が当てられた場合、景品5の左側面5Aに光が当てられる場合と比べて、受光素子(図示せず)が受光する反射光の量(受光量)が変化する。そのため、計数センサ60において、受光素子(図示せず)での受光量が変化する毎に、計数センサ60は、景品5が1枚あるとカウントする。そして、同様の手順により、計数センサ60は、下側の景品5から順に1枚ずつ景品5をカウントして景品5の枚数を数え、ガイドレール64(図12参照)の上端に到達したときには、全ての景品5の計数を完了する。その後、計数センサ60は、待機位置に戻る。
【0076】
なお、計数センサ60は、ガイドレール64の上端に到達してから待機位置まで下降するときに景品5の計数を行ってもよい。
以上のように、計数センサ60は、受光素子(図示せず)の受光信号(受光量)の変化に応じて、非接触で景品5の枚数を数える。
ここで、図7を参照して、計数センサ60は、キャリア22に設けられているので(図3参照)、キャリア22が前位置(図7(b)参照)と後位置(図7(a)参照)との間で移動しても、カセット7内の景品5と計数センサ60とが一体で移動可能となる。そのため、カセット7内の景品5と計数センサ60との相対位置(換言すれば、図10(b)における計数センサ60と景品5の左側面5Aとの間隔)が精度良く安定する。特に、計数センサ60は、光学式であることから、景品5と計数センサ60との相対位置が計数センサ60の精度に大きく影響する。この相対位置を精度良く安定させることができるので、カセット7に収納された景品5の、計数センサ60による計数精度の向上を図ることができる。
【0077】
また、この場合には、計数センサ60をキャリア22以外(ケーシング20の内壁面等)に設ける場合に比べて、計数センサ60が景品5を計数できる位置までカセット7(つまり、キャリア22全体)を余分にスライドさせずに済み、その分、キャリア22のスライド方向(前後方向)における払出ユニット8の小型化を図れる。さらに、計数センサ60をキャリア22に設ければ、計数センサ60を配置するスペースをケーシング20内で改めて確保せずに済むので、特に幅方向における払出ユニット8の小型化を図ることができる(図11参照)。つまり、計数センサ60をキャリア22に設けることで、払出ユニット8内の各部材の効率的なレイアウトを実現できる(図11参照)。さらに、このレイアウトであれば、互いに上下に移動する計数センサ60(計数ユニット61)およびリフト31を、分離して、別々の駆動機構(駆動機構70、および、リフト機構13においてリフト31を昇降させる構成)によって個別に移動させることができる。
【0078】
また、各計数ユニット61を景品5の積層方向(上下方向)に移動させると、計数ユニット61のホルダ62に支持された複数(2つ)の計数センサ60によって、前後方向に並んだ複数(カセット7Aおよびカセット7Bの2つ、または、カセット7Cおよびカセット7Dの2つ)のカセット7内の景品5を一度に計数することができる。これにより、カセット7に収納された景品5の計数時間の短縮を図ることができる。
【0079】
さらに、駆動機構70(図13参照)によって複数のホルダ62(つまり、複数の計数ユニット61)を移動させることによって、さらに多く(ここでは、4つ)のカセット7内の景品5を一度に計数できる。これにより、カセット7に収納された景品5の計数時間の更なる短縮を図ることができる。また、計数ユニット61毎に駆動機構70(駆動モータ71)を設けずに済むので、部品点数の低減を図ることができる。
【0080】
なお、計数センサ60の発光素子(図示せず)が投光した光の先に、前述したマーク35(図6参照)が位置していれば、正常な反射光が受光素子(図示せず)に受光されず、これにより、計数センサ60の計数精度が低下する虞がある。しかし、前述したように調整用つまみ77(図13参照)を操作することによって、マーク35に発光素子の光が当たらないように計数センサ60の位置を調整できるので、このような計数精度の低下を防ぐことができる。
【0081】
そして、計数センサ60が数えた各カセット7の景品5の枚数のデータ(計数データ)は、上述した第2表示部9B(図2参照)や、景品払出装置2に接続された景品管理装置3(図1参照)の表示画面80に表示され、これにより、景品払出装置2の各カセット7内に収納された景品5の枚数が一括管理される。もちろん、このデータが、印刷機器(図示せず)に出力されて紙に印字されてもよいし、T/C4(図1参照)に保存されてもよい。
【0082】
また、計数センサ60が故障した場合には、当該計数センサ60の計数対象となるカセット7以外のカセット7から景品5を払い出すことができるが、係員による操作部10(図2参照)の所定の確認操作によって、当該計数センサ60の計数対象となるカセット7から景品5を払い出してもよい。この場合、当該計数センサ60が故障している旨、当該計数センサ60の計数対象となるカセット7から景品5を払い出している旨、および、このカセット7の景品5は管理対象外である旨が、第2表示部9B(図2参照)に表示されて係員に報知される。
【0083】
図14は、景品払出装置2の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図14を参照して、景品払出装置2は、制御部85(搬送速度調整手段)を備えている。制御部85は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。
制御部85には、各払出ユニット8における前述したリフト機構13、繰出機構14、エレベータ機構16、送出機構17およびスライド機構30が接続され、さらに、前述した計数センサ60および駆動機構70で構成された景品カウント部86が接続されている。
【0084】
また、制御部85には、前述した操作部10および表示部9(第1表示部9Aおよび第2表示部9B)が接続され、さらに、通信部87、扉開閉検知部88および記憶部89等が接続されている。
制御部85は、通信部87を介して、景品管理装置3(図1参照)と通信する。扉開閉検知部88は、扉18(図2参照)の開閉を検知する。記憶部89には、計数センサ60によって計数された景品払出装置50内の景品5の数(在庫数)等が記憶される。
【0085】
ここで、制御部85は、リフト機構13のリフト31による前述した繰出位置への景品5の搬送速度を、カセット7内の景品5の数に応じて調整することができる。
図7を参照して、たとえば、今までは、搬送速度を、カセット7内の景品5の数(景品数)にかかわらず、約82mm/秒としていたとする。一方、今回は、計数センサ60によって景品数が分かるので、搬送速度を、景品数が1〜25枚の場合には約246mm/秒とし、景品数が26〜50枚の場合には約205mm/秒とし、景品数が51〜75枚の場合には約164mm/秒とし、景品数が76〜100枚の場合には約123mm/秒とし、景品数が少なくなるほど搬送速度を高くしている。この場合、カセット7内の最上位の景品5が搬送され始めてから(リフト31が待機位置から上昇を開始してから)繰出位置に到達するまでの時間は、景品数にかかわらず、たとえば、1.7〜2.1秒程度と一定となり、迅速な搬送が可能になる。
【0086】
つまり、リフト機構13による搬送前の時点におけるカセット7内の景品5と繰出位置との間隔が、カセット7内の景品5の数に応じて異なっていても、リフト機構13は、ほぼ同じ時間で、カセット7内の景品5を繰出位置まで搬送することができる。つまり、カセット7内の景品5の数にかかわらず、リフト機構13による、カセット7内の景品5の繰出位置までの搬送時間をほぼ一定に保つことができる。
【0087】
これにより、景品5の払い出しを行うカセット7を切り替えたり、当初から景品5の少ないカセット7を払出ユニット8にセットしたりすることによって、カセット7内の景品5の数がカセット7毎や同一カセット7内で異なっていても、カセット7内の景品5をほぼ同じタイミングで繰り出して払い出すことができるので、安定した景品5の払い出しが可能になる。
【0088】
カセット7を払出ユニット8にセットしてからカセット7内の最上位の景品5が繰出位置に到達すると、景品払出装置2では払出準備が完了するようになっている。そのため、前述したように、カセット7内の景品5の数にかかわらず、カセット7内の最上位の景品5が繰出位置に到達するまでの時間が迅速(従来より4秒程度早い)で安定していれば、景品払出装置2の払出準備が安定して実行されるので、係員にとって使い勝手がよい。
【0089】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
図15は、景品払出装置2の平断面の模式図である。
たとえば、景品5を客側に払い出すタイプ(客側投出タイプ)の景品払出装置2について説明したが、本発明は、景品5を店員側に払い出すタイプ(店側投出タイプ)の景品払出装置2にも適用可能である。店側投出タイプの景品払出装置2では、店員側に払出された景品5を、店員が手にとって客に手渡す。
【0090】
ここで、図2に示す景品払出装置2において、キャビネット6の天壁6A、および、天壁6Aに備え付けられた部材(表示部9や操作部10やシャッタ12等)は、トップユニット95としてまとまった状態で動かすことができる。詳しくは、図2に示すように客側投出タイプになっている景品払出装置2において、第1表示部9Aが前側を向いて第2表示部9Bが後側を向くように、トップユニット95を水平面内で180°回転させる。すると、景品払出装置2は、店側投出タイプになる。
【0091】
このようにトップユニット95を回転させることで、客側投出タイプおよび店側投出タイプのいずれにもなる景品払出装置2では、図15を参照して、キャビネット6の内部が、幅方向中心で上下に延びる基準面Wを中心として左右対称になっている必要がある。
この景品払出装置2では、キャビネット6内部の左端部に、制御基板や電源基板等を内蔵した電源ボックス96が配置されるのだが、前述したようにキャビネット6の内部が基準面Wを中心として左右対称になっている必要があるため、キャビネット6内部の右端部に、電源ボックス96を配置できる空間Zを確保する必要がある。この空間Zは、デッドスペースとなるので、この空間Zに、予備のカセット7を収容することができる。
【0092】
つまり、予備のカセット7を複数(ここでは、4つ)収納できるボックス状のカセットホルダ97を設け、このカセットホルダ97に、景品5が充填された4つのカセット7をセットする(引き出された状態にあるカセットホルダ97は点線で示されている)。そして、このカセットホルダ97を、空間Zに収容する。これにより、景品払出装置2自体が、予備の景品5の金庫を兼ねることができる。そのため、従来において事務所に設置されていた景品5の金庫が不要となる。
【0093】
また、カセットホルダ97等に前述した計数センサ60およびガイドレール64や駆動機構70(図13参照)を設けて、カセットホルダ97内の予備のカセット7内の景品5を計数できるように構成してもよい。そうすれば、遊技施設内の景品5を景品払出装置2によって管理することができる。
また、図7を参照して、カセット7内の景品5を一時保留部15まで搬送する構成として、繰出機構14の代わりに、カセット7内の景品5を所定枚数分すくったり、挟んだりすることでまとめて取り出して一時保留部15まで搬送する構成を用いてもよい。また、カセット7内の払出枚数分の景品5をまとめて押し出して一時保留部15まで搬送してもよい。
【0094】
前述した実施形態の計数センサ60(図10参照)は、青色光を用いた光学式のセンサであるが、他の色の可視光や赤外線等を用いた光学式のセンサであってもよい。更には、景品5に直接接触することで景品5を計数するタイプ(接触式)のセンサ等、他の方式で景品5を計数できるセンサであってもよい。
図16は、図9の要部に変形例を適用した図である。図17は、図16の受け部材100を説明するための、キャリア22の要部の斜視図である。
【0095】
景品5を収納したカセット7(図5参照)は、キャリア22において前後に間隔を隔てて隣り合う2つの仕切り28の間に上側から差し込まれることで、キャリア22に保持される(図3および図9参照)。この際、係員の取り扱いが雑なこと等によって、カセット7が2つの仕切り28の間に勢いよく上側から差し込まれると、カセット7が下限に到達したときに、反動で、カセット7内の景品5が跳ね上がり、立ち上がって縦長の姿勢になってしまうことが想定される。立ち上がった景品5がカセット7内に存在すると、カセット7内では景品5が正しく積層されていないので、そのカセット7では景品5の払い出しや計数にエラーが生じる虞がある。
【0096】
そこで、図16に示す受け部材100がキャリア22に設けられている。受け部材100は、前側2つのカセット7の間に配置されることとなる2つの仕切り28(「第1基準仕切り28A」という)と、後側2つのカセット7の間に配置されることとなる2つの仕切り28(「第2基準仕切り28B」という)とのそれぞれに2つずつ設けられている。
ここで、前側の第1基準仕切り28Aと、これに対して間隔を隔てて前側に配置される仕切り28との間は、最も前側のカセット7A(図7参照)が収容される収容空間Aとされ、後側の第1基準仕切り28Aと、これに対して間隔を隔てて後側に配置される仕切り28との間は、前から2番目のカセット7B(図7参照)が収容される収容空間Bとされる。そして、前側の第2基準仕切り28Bと、これに対して間隔を隔てて前側に配置される仕切り28との間は、前から3番目のカセット7C(図7参照)が収容される収容空間Cとされ、後側の第2基準仕切り28Bと、これに対して間隔を隔てて後側に配置される仕切り28との間は、最も後側のカセット7D(図7参照)が収容される収容空間Dとされる。
【0097】
なお、2つの第1基準仕切り28Aの間隔、および、2つの第2基準仕切り28Bの間隔は狭いので、これらの間隔にカセット7は入らない。
受け部材100は、前側の第1基準仕切り28A、後側の第1基準仕切り28A、前側の第2基準仕切り28Bおよび後側の第2基準仕切り28Bのそれぞれに設けられている。
【0098】
図17に示すように、各受け部材100は、ホルダ100Aと、レバー100Bとを含んでいる。
ホルダ100Aは、前後に薄く上下に長手の板状であり、第1基準仕切り28Aまたは第2基準仕切り28B(図16参照)に沿って延びている。この状態で、ホルダ100A(つまり、受け部材100全体)は、上下にスライド可能となるように、第1基準仕切り28Aまたは第2基準仕切り28Bによって支持されている。
【0099】
レバー100Bは、幅方向に薄く、略水平方向に沿って長手の板状であり、ホルダ100Aの下端に取り付けられている。そのため、受け部材100全体は、略L字状をなしている。
前側の第1基準仕切り28Aの受け部材100では、レバー100Bは、前側へ延びて収容空間A内へ突き出ている(図16参照)。後側の第1基準仕切り28Aの受け部材100では、レバー100Bは、後側へ延びて収容空間B内へ突き出ている(図16参照)。前側の第2基準仕切り28Bの受け部材100では、レバー100Bは、前側へ延びて収容空間C内へ突き出ている(図16参照)。後側の第2基準仕切り28Bの受け部材100では、レバー100Bは、後側へ延びて収容空間D内へ突き出ている(図16参照)。
【0100】
第1基準仕切り28Aおよび第2基準仕切り28Bには、上下に延びる引張ばね101の上端101Aが固定されていて、引張ばね101の下端101Bは、レバー100Bに取り付けられている。これにより、各受け部材100は、引張ばね101によって上向きに付勢されている。
そのため、図16の第1基準仕切り28Aの受け部材100で示すように、キャリア22にカセット7が装着されていない状態では、受け部材100は、レバー100Bが所定量だけ宙に浮く待機位置に配置されている。ここでの所定量とは、装着完了後のカセット7(図16ではカセット7Dを参照)の底面から上側へたとえば50mm程度である。
【0101】
そして、図16の後側の第2基準仕切り28Bの受け部材100で示すように、カセット7(ここではカセット7D)を収容空間Dに上から挿入すると、カセット7は、勢いよく挿入されたとしても、ある程度挿入されたところで、底部において、待機位置の受け部材100のレバー100Bに対して上から当接する。すると、引張ばね101(図17参照)が伸びることによって、受け部材100は、カセット7の挿入時の勢いを緩和しつつ、カセット7とともにゆっくり下降する。そのため、このように板状でコンパクトな構成の受け部材100によって、前述したカセット7内での景品5の立ち上がりを防止できる。
【0102】
その後、受け部材100が下限位置まで下降すると、カセット7の挿入が完了して、キャリア22へのカセット7の装着が完了する。このとき、下限位置の受け部材100は、計数ユニット61の上下のスライドや、リフト31によるカセット7内の景品5の押し上げを邪魔しない位置にある(図7および図11参照)。
一方、カセット7を上方へ抜き出すと、受け部材100は、引張ばね101の付勢力によって上昇して、再び待機位置に配置される(第1基準仕切り28Aの受け部材100を参照)。
【符号の説明】
【0103】
1 景品払出システム
2 景品払出装置
3 景品管理装置
5 景品
6 キャビネット
7 カセット
8 払出ユニット
13 リフト機構
20 ケーシング
22 キャリア
60 計数センサ
62 ホルダ
65 ラック部
66 ラック部
70 駆動機構
77 調整用つまみ
85 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体および前記装置本体に内蔵された景品払出ユニットを備え、景品を払い出すための景品払出装置であって、
前記景品払出ユニットは、
筐体と、
前記筐体に内蔵され、複数の景品を積み重ねた積層状態で収納するための収納部と、
前記収納部を保持し、前記収納部内の景品の払い出しが可能となる払出位置まで前記筐体内で移動可能な保持手段と、
前記保持手段に設けられ、前記収納部内の景品を計数する計数手段と、
を含むことを特徴とする、景品払出装置。
【請求項2】
前記保持手段は、複数の前記収納部を、前記収納部内における景品の積層方向に対する交差方向に並ぶように保持し、
前記計数手段は、前記積層方向に移動することによって前記収納部内の景品を計数するものであり、
複数の前記計数手段を前記交差方向に並んだ状態で支持し、前記積層方向に移動する支持部材を含むことを特徴とする、請求項1記載の景品払出装置。
【請求項3】
前記支持部材は、複数あり、
複数の前記支持部材のそれぞれを移動させる駆動手段を含むことを特徴とする、請求項2記載の景品払出装置。
【請求項4】
前記支持部材に支持された前記計数手段の位置を調整する位置調整手段を含むことを特徴とする、請求項2または3記載の景品払出装置。
【請求項5】
景品が1つずつ繰り出される繰出位置まで、前記収納部内の景品を、前記収納部内における景品の積層方向に搬送する搬送手段と、
前記収納部内の景品の数に応じて、前記搬送手段による景品の搬送速度を調整する搬送速度調整手段と、
を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の景品払出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の景品払出装置と、
前記景品払出装置と通信可能であり、前記収納部内の景品を管理する景品管理装置と、を含むことを特徴とする、景品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−45354(P2012−45354A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207038(P2010−207038)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】