暖房便座装置付便器
【課題】清潔な状態をより容易に維持することが可能な暖房便座装置付便器を得る。
【解決手段】ボウル６を有し、暖房便座装置１５が取り付けられた暖房便座装置付便器であって、前記便器１の上端面１ａをその全域に亘って平滑面状に形成するとともに、便器１内の上部であって当該便器１の上部開口６ａに対して着座時に臀部側の外方となる位置に暖房便座装置１５を配設した。
【解決手段】ボウル６を有し、暖房便座装置１５が取り付けられた暖房便座装置付便器であって、前記便器１の上端面１ａをその全域に亘って平滑面状に形成するとともに、便器１内の上部であって当該便器１の上部開口６ａに対して着座時に臀部側の外方となる位置に暖房便座装置１５を配設した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、暖房便座装置付便器に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来知られている局部洗浄装置付便器は、例えば特許文献１に示すように、局部洗浄装置を便器のボウルよりも後方の後端部上に載設している。そして局部洗浄装置の前端部はボウルの上開口の後縁よりも前方に突出してあり、この突出部分に設けられてボウル内に臨むノズルから水を吐出して局部を洗浄する。
【０００３】
また、従来、便座に内蔵させたヒータと制御部とをコードを介して接続して便座表面を暖める暖房便座装置付便器も知られているが、特許文献１のように局部洗浄装置を備える場合には、この暖房便座装置を上記局部洗浄装置と一体化させてユニット化し、このユニットを便器上面上に載設する例がある。
【特許文献１】特開２００５−３０７４７２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記従来例にあっては、便器の上面から暖房便座装置（上記ユニット）が突出して便器の上面が凹凸形状を有しているため、汚れが付着した場合に掃除が面倒であり、汚れが残存しやすいという問題があった。
【０００５】
そこで、本発明は、清潔な状態をより容易に維持することが可能な暖房便座装置付便器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
請求項１の発明にあっては、ボウルを有し、暖房便座装置が取り付けられた暖房便座装置付便器であって、前記便器の上端面をその全域に亘って平滑面状に形成するとともに、便器内の上部であって当該便器の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に暖房便座装置を配設したことを特徴としている。
【０００７】
請求項２の発明にあっては、請求項１に記載の暖房便座装置付便器において、前記便器に、前記暖房便座装置を便器外部から便器内部に挿入可能とする開口部を形成したことを特徴としている。
【０００８】
請求項３の発明にあっては、請求項１に記載の暖房便座装置付便器において、前記便器を、少なくともボウルを有する第一の分割体と、暖房便座装置を装備する第二の分割体と、を含む複数の分割体の集合体として構成し、当該便器を分割した状態で、前記第二の分割体の内部に、他の分割体との接続開口を介して暖房便座装置を取り付け可能となるように構成したことを特徴としている。
【０００９】
請求項４の発明にあっては、請求項１〜請求項３のいずれか一項に記載の暖房便座装置付便器において、前記上端面を、ボウルを配設した側が下となり暖房便座装置を配設した側が上となる傾斜面として形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、便器を、その上端面が全域に亘って平滑面状となるように形成しているため、便器上端面の汚れが拭き取りやすくなり、清潔な状態をより容易に維持することが可能となる。また、暖房便座装置を便器内に配設することで、従来の便器で生じていたような便器と暖房便座装置との隙間自体がなくなって汚れが溜まらなくなる分、便器の上部をより清潔な状態に維持することができる上、便器の上端面の掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１２】
（第１実施形態）図１は、本実施形態にかかる暖房便座装置付便器の分解斜視図、図２は、暖房便座装置付便器を後方から見た斜視図、図３は、暖房便座装置の斜視図、図４は、図５のＡ−Ａ断面図、図５は、便座および便蓋を起立させた状態における暖房便座装置付便器の平面図、図６は、便座および便蓋を起立させた状態における暖房便座装置付便器の側面図、図７は、図６のＢ−Ｂ断面図である。なお、以下では、便宜上、使用者が便座に着座した時の背面側を後方、正面側を前方と称することにする。
【００１３】
本実施形態における暖房便座装置付便器は、図１に示すように、トイレの床面上に設置される樹脂製の便器本体（便器）１と、便器本体１内部に収容された補機ユニット（暖房便座装置）１５と、便器本体１に回動可能に取り付けられた便座２および便蓋４とを備えている。
【００１４】
便器本体１は、上方に開口したボウル部７と、ボウル部７の上端部に設けられ、便器本体１の上端部をなすリム部８と、外周壁をなすスカート部９とを備えている。これらボウル部７，リム部８，スカート部９は別体の成型品であり、溶着等することで一体化される。そして、これらが一体化されてなる便器本体１の内部には空洞が形成される。
【００１５】
ボウル部７はリム部８の下側に装着され、これにより用を足すためのボウル６が形成されている。また、ボウル部７の下端部には、図２に示すように、後方に向けて排水管部１９が突設されており、この排水管部１９から図外のターントラップ装置を介してボウル６内の溜水が排水される。
【００１６】
また、ボウル部７の内周面には、図１に示すように、洗浄水の吐水孔１３と、ボウル部７の内面全体に洗浄水を供給する溝状の洗浄水流路１４とが形成されている。
【００１７】
スカート部９は、後方に開口する平面視Ｕ字状に形成されており、その上端縁は、リム部８の下端縁に接続されている。
【００１８】
補機ユニット１５は、略箱状をしており、その内部には便座表面の温度が適温となるように制御するための電源回路や制御回路（ヒータを除く回路構成）を含む暖房便座制御装置が設けられている。さらに、本実施形態では、補機ユニット１５は、局部洗浄を行うためのノズル１７や、当該ノズル１７を駆動させるための各種装置、制御回路等も内蔵している。このノズル１７は、伸縮可能となるように構成されており、補機ユニット１５が便器本体１の所定位置に取り付けられた状態で、ノズル孔１８を介してボウル６内に進出し、その先端部から水もしくは温水を吐出することで、使用者の局部を洗浄できるようになっている。
【００１９】
なお、補機ユニット１５の前壁部の中央上部には、ノズル孔１８を開閉可能なシャッター部材１６が設けられており、使用時にのみ、伸長したノズル１７に押されてノズル孔１８を開放するようになっている。
【００２０】
本実施形態では、この補機ユニット１５が便器本体１内部の後部かつ上部（すなわち、便器本体１内部の上部であって当該便器本体１のボウル６の開口部６ａに対して着座時臀部側の外方となる位置）に取り付けられている。
【００２１】
便器本体１の後端面には、開口部１ｂが形成されており、便器本体１の外部からこの開口部１ｂを通じて補機ユニット１５が内部に挿入され、所定位置に取り付けられるようになっている。
【００２２】
具体的には、便器本体１の天壁部１ｃの下面には、図２に示すように、断面視で略Ｌ字状の一対の取付リブ１２，１２が前後方向に平行に取り付けられている。そして、これら取付リブ１２，１２に補機ユニット１５の両側壁部を例えばボルト（図示せず）等で固定することで、補機ユニット１５が便器本体１内部の上部かつ後部に配設される。
【００２３】
なお、補機ユニット１５を便器本体１の内部に取り付けた後には、開口部１ｂをカバーによって塞ぐのが好適である。
【００２４】
このように、補機ユニット１５を便器本体１内に収容することで、便器本体１の上端面１ａ上に補機ユニット１５を突出させる必要がなくなるため、上端面１ａを全域に亘って段差が無く滑らかでありかつほぼ平坦な平滑面状に形成することが可能となる。
【００２５】
さらに、本実施形態では、図１および図６に示すように、便器本体１の前方側、すなわちボウル６が形成される側では、上端面１ａを略水平となるように形成するとともに、便器本体１の後部側、すなわち補機ユニット１５を装着した側では、上端面１ａを後側程上方に位置するように傾斜させ、全体としては段差のない滑らかな緩斜面となるようにしている。
【００２６】
さらにまた、ボウル６の開口部６ａの周囲では、上端面１ａを、開口部６ａ側が下、周縁側が上となるようにわずかに傾斜させてもよい。
【００２７】
また、本実施形態では、便座２および便蓋４の両側端部には、それぞれ便器本体１に取り付けるための取付部３，３および取付部５，５が形成されており、これら取付部３，５は、図１および図６に示すように、各本体部の後端部から側面視で略Ｌ字状となるように突出するアーム状に形成されている。そして、便座２の取付部３の外側部にはピン３ａが形成され、内側部には挿通孔３ｃを有する円筒状突部３ｂが便座２内部と連通するように形成されている。また、便蓋４の取付部５，５には貫通穴５ａ，５ａが内側に向けて突設されている。
【００２８】
また、便器本体１の両側壁部の上側かつ後側には、外側に向けて円筒状突部１１，１１が突設されており、当該円筒状突部１１，１１の筒内空間としての挿通孔１１ａによって便器本体１の外部と内部とを連通させている。そして、図７に示すように、各取付部３に形成された円筒状突部３ｂを円筒状突部１１の挿通孔１１ａに内嵌し、ピン３ａを貫通穴５ａに嵌め込むことで便器本体１に便座２および便蓋４が回動可能に取り付けられる。すなわち、便座２および便蓋４は、便器本体１に同軸上で回動支持されている。なお、この場合、円筒状突部３ｂと円筒状突部１１とによって、便座２の内部空間と便器本体１の内部空間とが連通することになる。
【００２９】
さらに本実施形態では、便座２の内部には、便座２の表面を暖めるためのヒータ（図示せず）がリード線２５に接続された状態で内蔵されている。そして、図１および図７に示すように、リード線２５の端部は、挿通孔３ｃに嵌合されたシール部材２７を貫通して外部に露出しており、そのリード線２５の先端部には、コネクタ２６が設けられている。また、便器本体１内の補機ユニット１５には端子（図示せず）が設けられており、リード線２５の端部およびコネクタ２６を挿通孔１１ａ内に挿通させ、コネクタ２６をその端子に接続することで、ヒータ（図示せず）と補機ユニット１５内の暖房便座制御回路の制御部（図示せず）とが接続されるようになっている。
【００３０】
さらに本実施形態では、図５および図６に示すように、便座２および便蓋４を起立させた状態で、平面視で便座２および便蓋４の本体部が便器本体１の後方に位置するようにして、上端面１ａ全体を露出させている。
【００３１】
以上の本実施形態によれば、便器本体１を、その上端面１ａが全域に亘って段差のない平滑面状となるように形成しているため、従来のように段差に汚れが溜まることがなくなるとともに、段差がない分、便器本体１の上端面１ａの汚れが拭き取りやすくなり、清潔な状態をより容易に維持することが可能となる。
【００３２】
また、本実施形態によれば、暖房便座装置（補機ユニット１５）を便器本体１内に配設することで、従来の便器で生じていたような便器と暖房便座装置との隙間自体がなくなって汚れが溜まらなくなる分、便器本体１の上部をより清潔な状態に維持することができる上、便器本体１の上端面１ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。また、本実施形態では、便器本体１に、暖房便座装置を便器本体１の外部から内部に挿入可能とする開口部１ｂを設けたため、床に便器本体１を設置した後でも当該開口部１ｂから暖房便座装置を容易に便器本体１内部に挿入して取り付けることができる。なお、この開口部１ｂは、着脱可能なカバーによって閉蓋することで、美観の向上を図ることができる。
【００３３】
また、本実施形態によれば、上端面１ａを、ボウル６を配設した側が下となり暖房便座装置を配設した側が上となる傾斜面として形成しているため、小便等の汚水が上端面１ａの後部側にかかったとしても、汚水が後方に飛び散ることを抑制することができるとともに、滑らかな緩斜面を伝ってボウル内に汚水を落下させることができ、便器本体１の上端面１ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３４】
また、本実施形態によれば、便座２および便蓋４を起立させた状態で、便座２および便蓋４の本体部が便器本体１の後方に位置するようにすることで、平面視で上端面１ａ全体を露出させたため、便器本体１の上端面１ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３５】
また、便座２および便蓋４を、同軸上で便器本体１に取り付けることで、便器本体１への取付部が複数ある場合に比べて構造が簡素化される上、便器本体１による直接的な回動支持部を１か所とすることができるため、汚れが溜まる箇所を減らすことができるという利点もある。
【００３６】
（第２実施形態）図８は、本実施形態にかかる暖房便座装置の取付状態を示す分解斜視図である。なお、本実施形態にかかる暖房便座装置付便器は、上記第１実施形態にかかる暖房便座装置付便器と同様の構成要素を備える。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【００３７】
本実施形態にかかる暖房便座装置付便器では、図８に示すように、略矩形板状の仕切板２２を便器本体１Ａの内部に略水平となるように取り付け、この仕切板２２と天壁部１ｃとの間の空間を補機ユニット１５の収納部２０として用いている。
【００３８】
そして、便器本体１Ａの後端面に形成された開口部１ｂＡを通じて補機ユニット１５を収納部２０の内部に挿入することで、補機ユニット１５を便器本体１Ａの所定位置に取り付けることができるようになっている。
【００３９】
以上の本実施形態によれば、便器本体１Ａの内部に収納部２０を設けることで、暖房便座装置（補機ユニット１５）の取付作業がより容易になるとともに、暖房便座装置の取付位置がずれてしまうことを抑制することができる。
【００４０】
（第３実施形態）図９は、本実施形態にかかる暖房便座装置の分割状態を示す分解斜視図である。なお、本実施形態にかかる暖房便座装置付便器は、上記第１実施形態にかかる暖房便座装置付便器と同様の構成要素を備える。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【００４１】
本実施形態にかかる暖房便座装置付便器では、便器本体１Ｂは、ボウル６を有する前側分割体（第一の分割体）２３と、補機ユニット１５を装備する後側分割体（第二の分割体）２４との集合体として構成されている。
【００４２】
この便器本体１Ｂは、前側分割体２３と後側分割体２４とに分割可能であり、図９に示すように、分割させた状態で、補機ユニット１５を前側分割体２３との接続開口２１を介して後側分割体２４の内部に取り付けることができるように形成されている。
【００４３】
本実施形態では、後側分割体２４には、仕切板２２Ｂを取り付け、この仕切板２２Ｂと天壁部１ｃＢとの間の空間を補機ユニット１５の収納部２０Ｂとして設けており、この収納部２０Ｂに補機ユニット１５を取り付けている。なお、仕切板２２Ｂの後部に補機ユニット１５の位置決め用のストッパを設けてもよいし、仕切板２２Ｂを用いずに取付リブを用いて補機ユニット１５を取り付けるようにしてもよい。
【００４４】
そして、便器本体１Ｂを組み立てた際に、前側分割体２３の上端面と後側分割体２４の上端面とが滑らかにつながって便器本体１Ｂの一連の上端面１ａＢが形成され、当該上端面１ａＢが全域に亘って段差のない平滑面状となるようにしている。
【００４５】
以上の本実施形態によっても、上記第１実施形態および第２実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【００４６】
以上、本発明にかかる暖房便座装置付便器の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限ることなく要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。
【００４７】
例えば、便器の上端面を傾斜のない水平面としてもよいし、湾曲等のないほぼ完全な平坦面としてもよい。
【００４８】
また、上記第１〜第３実施形態においては、暖房便座装置付便器および暖房便座装置の材質として樹脂を用いているが、例えばそれらの一部又は全部を陶器等の他の材質を用いて形成してもよい。
【００４９】
さらに、上記第１〜第３実施形態において使用される暖房便座装置付便器および暖房便座装置の形状は、種々の形状を取り得る。
【００５０】
また、上記第１〜第３実施形態においては、ターントラップ式便器について例示したが、サイフォン式便器としても本発明を実施することができる。その場合、逆Ｕ字状配管の上側に形成される空間に、暖房便座装置を配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【００５１】
【図１】本発明の第１実施形態にかかる暖房便座装置付便器の分解斜視図。
【図２】本発明の第１実施形態にかかる暖房便座装置付便器を後方から見た斜視図。
【図３】本発明の第１実施形態にかかる暖房便座装置の斜視図。
【図４】図５のＡ−Ａ断面図。
【図５】本発明の第１実施形態にかかる便座および便蓋を起立させた状態における暖房便座装置付便器の平面図。
【図６】本発明の第１実施形態にかかる便座および便蓋を起立させた状態における暖房便座装置付便器の側面図。
【図７】図６のＢ−Ｂ断面図。
【図８】本発明の第２実施形態にかかる暖房便座装置の取付状態を示す分解斜視図。
【図９】本発明の第３実施形態にかかる暖房便座装置の分割状態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【００５２】
１ 便器本体（便器）
１ａ 上端面
１ｂ 開口部
６ ボウル
６ａ 開口部（上部開口）
１５ 補機ユニット（暖房便座装置）
２１ 接続開口
２３ 前側分割体（第一の分割体）
２４ 後側分割体（第二の分割体）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、暖房便座装置付便器に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来知られている局部洗浄装置付便器は、例えば特許文献１に示すように、局部洗浄装置を便器のボウルよりも後方の後端部上に載設している。そして局部洗浄装置の前端部はボウルの上開口の後縁よりも前方に突出してあり、この突出部分に設けられてボウル内に臨むノズルから水を吐出して局部を洗浄する。
【０００３】
また、従来、便座に内蔵させたヒータと制御部とをコードを介して接続して便座表面を暖める暖房便座装置付便器も知られているが、特許文献１のように局部洗浄装置を備える場合には、この暖房便座装置を上記局部洗浄装置と一体化させてユニット化し、このユニットを便器上面上に載設する例がある。
【特許文献１】特開２００５−３０７４７２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記従来例にあっては、便器の上面から暖房便座装置（上記ユニット）が突出して便器の上面が凹凸形状を有しているため、汚れが付着した場合に掃除が面倒であり、汚れが残存しやすいという問題があった。
【０００５】
そこで、本発明は、清潔な状態をより容易に維持することが可能な暖房便座装置付便器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
請求項１の発明にあっては、ボウルを有し、暖房便座装置が取り付けられた暖房便座装置付便器であって、前記便器の上端面をその全域に亘って平滑面状に形成するとともに、便器内の上部であって当該便器の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に暖房便座装置を配設したことを特徴としている。
【０００７】
請求項２の発明にあっては、請求項１に記載の暖房便座装置付便器において、前記便器に、前記暖房便座装置を便器外部から便器内部に挿入可能とする開口部を形成したことを特徴としている。
【０００８】
請求項３の発明にあっては、請求項１に記載の暖房便座装置付便器において、前記便器を、少なくともボウルを有する第一の分割体と、暖房便座装置を装備する第二の分割体と、を含む複数の分割体の集合体として構成し、当該便器を分割した状態で、前記第二の分割体の内部に、他の分割体との接続開口を介して暖房便座装置を取り付け可能となるように構成したことを特徴としている。
【０００９】
請求項４の発明にあっては、請求項１〜請求項３のいずれか一項に記載の暖房便座装置付便器において、前記上端面を、ボウルを配設した側が下となり暖房便座装置を配設した側が上となる傾斜面として形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、便器を、その上端面が全域に亘って平滑面状となるように形成しているため、便器上端面の汚れが拭き取りやすくなり、清潔な状態をより容易に維持することが可能となる。また、暖房便座装置を便器内に配設することで、従来の便器で生じていたような便器と暖房便座装置との隙間自体がなくなって汚れが溜まらなくなる分、便器の上部をより清潔な状態に維持することができる上、便器の上端面の掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１２】
（第１実施形態）図１は、本実施形態にかかる暖房便座装置付便器の分解斜視図、図２は、暖房便座装置付便器を後方から見た斜視図、図３は、暖房便座装置の斜視図、図４は、図５のＡ−Ａ断面図、図５は、便座および便蓋を起立させた状態における暖房便座装置付便器の平面図、図６は、便座および便蓋を起立させた状態における暖房便座装置付便器の側面図、図７は、図６のＢ−Ｂ断面図である。なお、以下では、便宜上、使用者が便座に着座した時の背面側を後方、正面側を前方と称することにする。
【００１３】
本実施形態における暖房便座装置付便器は、図１に示すように、トイレの床面上に設置される樹脂製の便器本体（便器）１と、便器本体１内部に収容された補機ユニット（暖房便座装置）１５と、便器本体１に回動可能に取り付けられた便座２および便蓋４とを備えている。
【００１４】
便器本体１は、上方に開口したボウル部７と、ボウル部７の上端部に設けられ、便器本体１の上端部をなすリム部８と、外周壁をなすスカート部９とを備えている。これらボウル部７，リム部８，スカート部９は別体の成型品であり、溶着等することで一体化される。そして、これらが一体化されてなる便器本体１の内部には空洞が形成される。
【００１５】
ボウル部７はリム部８の下側に装着され、これにより用を足すためのボウル６が形成されている。また、ボウル部７の下端部には、図２に示すように、後方に向けて排水管部１９が突設されており、この排水管部１９から図外のターントラップ装置を介してボウル６内の溜水が排水される。
【００１６】
また、ボウル部７の内周面には、図１に示すように、洗浄水の吐水孔１３と、ボウル部７の内面全体に洗浄水を供給する溝状の洗浄水流路１４とが形成されている。
【００１７】
スカート部９は、後方に開口する平面視Ｕ字状に形成されており、その上端縁は、リム部８の下端縁に接続されている。
【００１８】
補機ユニット１５は、略箱状をしており、その内部には便座表面の温度が適温となるように制御するための電源回路や制御回路（ヒータを除く回路構成）を含む暖房便座制御装置が設けられている。さらに、本実施形態では、補機ユニット１５は、局部洗浄を行うためのノズル１７や、当該ノズル１７を駆動させるための各種装置、制御回路等も内蔵している。このノズル１７は、伸縮可能となるように構成されており、補機ユニット１５が便器本体１の所定位置に取り付けられた状態で、ノズル孔１８を介してボウル６内に進出し、その先端部から水もしくは温水を吐出することで、使用者の局部を洗浄できるようになっている。
【００１９】
なお、補機ユニット１５の前壁部の中央上部には、ノズル孔１８を開閉可能なシャッター部材１６が設けられており、使用時にのみ、伸長したノズル１７に押されてノズル孔１８を開放するようになっている。
【００２０】
本実施形態では、この補機ユニット１５が便器本体１内部の後部かつ上部（すなわち、便器本体１内部の上部であって当該便器本体１のボウル６の開口部６ａに対して着座時臀部側の外方となる位置）に取り付けられている。
【００２１】
便器本体１の後端面には、開口部１ｂが形成されており、便器本体１の外部からこの開口部１ｂを通じて補機ユニット１５が内部に挿入され、所定位置に取り付けられるようになっている。
【００２２】
具体的には、便器本体１の天壁部１ｃの下面には、図２に示すように、断面視で略Ｌ字状の一対の取付リブ１２，１２が前後方向に平行に取り付けられている。そして、これら取付リブ１２，１２に補機ユニット１５の両側壁部を例えばボルト（図示せず）等で固定することで、補機ユニット１５が便器本体１内部の上部かつ後部に配設される。
【００２３】
なお、補機ユニット１５を便器本体１の内部に取り付けた後には、開口部１ｂをカバーによって塞ぐのが好適である。
【００２４】
このように、補機ユニット１５を便器本体１内に収容することで、便器本体１の上端面１ａ上に補機ユニット１５を突出させる必要がなくなるため、上端面１ａを全域に亘って段差が無く滑らかでありかつほぼ平坦な平滑面状に形成することが可能となる。
【００２５】
さらに、本実施形態では、図１および図６に示すように、便器本体１の前方側、すなわちボウル６が形成される側では、上端面１ａを略水平となるように形成するとともに、便器本体１の後部側、すなわち補機ユニット１５を装着した側では、上端面１ａを後側程上方に位置するように傾斜させ、全体としては段差のない滑らかな緩斜面となるようにしている。
【００２６】
さらにまた、ボウル６の開口部６ａの周囲では、上端面１ａを、開口部６ａ側が下、周縁側が上となるようにわずかに傾斜させてもよい。
【００２７】
また、本実施形態では、便座２および便蓋４の両側端部には、それぞれ便器本体１に取り付けるための取付部３，３および取付部５，５が形成されており、これら取付部３，５は、図１および図６に示すように、各本体部の後端部から側面視で略Ｌ字状となるように突出するアーム状に形成されている。そして、便座２の取付部３の外側部にはピン３ａが形成され、内側部には挿通孔３ｃを有する円筒状突部３ｂが便座２内部と連通するように形成されている。また、便蓋４の取付部５，５には貫通穴５ａ，５ａが内側に向けて突設されている。
【００２８】
また、便器本体１の両側壁部の上側かつ後側には、外側に向けて円筒状突部１１，１１が突設されており、当該円筒状突部１１，１１の筒内空間としての挿通孔１１ａによって便器本体１の外部と内部とを連通させている。そして、図７に示すように、各取付部３に形成された円筒状突部３ｂを円筒状突部１１の挿通孔１１ａに内嵌し、ピン３ａを貫通穴５ａに嵌め込むことで便器本体１に便座２および便蓋４が回動可能に取り付けられる。すなわち、便座２および便蓋４は、便器本体１に同軸上で回動支持されている。なお、この場合、円筒状突部３ｂと円筒状突部１１とによって、便座２の内部空間と便器本体１の内部空間とが連通することになる。
【００２９】
さらに本実施形態では、便座２の内部には、便座２の表面を暖めるためのヒータ（図示せず）がリード線２５に接続された状態で内蔵されている。そして、図１および図７に示すように、リード線２５の端部は、挿通孔３ｃに嵌合されたシール部材２７を貫通して外部に露出しており、そのリード線２５の先端部には、コネクタ２６が設けられている。また、便器本体１内の補機ユニット１５には端子（図示せず）が設けられており、リード線２５の端部およびコネクタ２６を挿通孔１１ａ内に挿通させ、コネクタ２６をその端子に接続することで、ヒータ（図示せず）と補機ユニット１５内の暖房便座制御回路の制御部（図示せず）とが接続されるようになっている。
【００３０】
さらに本実施形態では、図５および図６に示すように、便座２および便蓋４を起立させた状態で、平面視で便座２および便蓋４の本体部が便器本体１の後方に位置するようにして、上端面１ａ全体を露出させている。
【００３１】
以上の本実施形態によれば、便器本体１を、その上端面１ａが全域に亘って段差のない平滑面状となるように形成しているため、従来のように段差に汚れが溜まることがなくなるとともに、段差がない分、便器本体１の上端面１ａの汚れが拭き取りやすくなり、清潔な状態をより容易に維持することが可能となる。
【００３２】
また、本実施形態によれば、暖房便座装置（補機ユニット１５）を便器本体１内に配設することで、従来の便器で生じていたような便器と暖房便座装置との隙間自体がなくなって汚れが溜まらなくなる分、便器本体１の上部をより清潔な状態に維持することができる上、便器本体１の上端面１ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。また、本実施形態では、便器本体１に、暖房便座装置を便器本体１の外部から内部に挿入可能とする開口部１ｂを設けたため、床に便器本体１を設置した後でも当該開口部１ｂから暖房便座装置を容易に便器本体１内部に挿入して取り付けることができる。なお、この開口部１ｂは、着脱可能なカバーによって閉蓋することで、美観の向上を図ることができる。
【００３３】
また、本実施形態によれば、上端面１ａを、ボウル６を配設した側が下となり暖房便座装置を配設した側が上となる傾斜面として形成しているため、小便等の汚水が上端面１ａの後部側にかかったとしても、汚水が後方に飛び散ることを抑制することができるとともに、滑らかな緩斜面を伝ってボウル内に汚水を落下させることができ、便器本体１の上端面１ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３４】
また、本実施形態によれば、便座２および便蓋４を起立させた状態で、便座２および便蓋４の本体部が便器本体１の後方に位置するようにすることで、平面視で上端面１ａ全体を露出させたため、便器本体１の上端面１ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３５】
また、便座２および便蓋４を、同軸上で便器本体１に取り付けることで、便器本体１への取付部が複数ある場合に比べて構造が簡素化される上、便器本体１による直接的な回動支持部を１か所とすることができるため、汚れが溜まる箇所を減らすことができるという利点もある。
【００３６】
（第２実施形態）図８は、本実施形態にかかる暖房便座装置の取付状態を示す分解斜視図である。なお、本実施形態にかかる暖房便座装置付便器は、上記第１実施形態にかかる暖房便座装置付便器と同様の構成要素を備える。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【００３７】
本実施形態にかかる暖房便座装置付便器では、図８に示すように、略矩形板状の仕切板２２を便器本体１Ａの内部に略水平となるように取り付け、この仕切板２２と天壁部１ｃとの間の空間を補機ユニット１５の収納部２０として用いている。
【００３８】
そして、便器本体１Ａの後端面に形成された開口部１ｂＡを通じて補機ユニット１５を収納部２０の内部に挿入することで、補機ユニット１５を便器本体１Ａの所定位置に取り付けることができるようになっている。
【００３９】
以上の本実施形態によれば、便器本体１Ａの内部に収納部２０を設けることで、暖房便座装置（補機ユニット１５）の取付作業がより容易になるとともに、暖房便座装置の取付位置がずれてしまうことを抑制することができる。
【００４０】
（第３実施形態）図９は、本実施形態にかかる暖房便座装置の分割状態を示す分解斜視図である。なお、本実施形態にかかる暖房便座装置付便器は、上記第１実施形態にかかる暖房便座装置付便器と同様の構成要素を備える。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【００４１】
本実施形態にかかる暖房便座装置付便器では、便器本体１Ｂは、ボウル６を有する前側分割体（第一の分割体）２３と、補機ユニット１５を装備する後側分割体（第二の分割体）２４との集合体として構成されている。
【００４２】
この便器本体１Ｂは、前側分割体２３と後側分割体２４とに分割可能であり、図９に示すように、分割させた状態で、補機ユニット１５を前側分割体２３との接続開口２１を介して後側分割体２４の内部に取り付けることができるように形成されている。
【００４３】
本実施形態では、後側分割体２４には、仕切板２２Ｂを取り付け、この仕切板２２Ｂと天壁部１ｃＢとの間の空間を補機ユニット１５の収納部２０Ｂとして設けており、この収納部２０Ｂに補機ユニット１５を取り付けている。なお、仕切板２２Ｂの後部に補機ユニット１５の位置決め用のストッパを設けてもよいし、仕切板２２Ｂを用いずに取付リブを用いて補機ユニット１５を取り付けるようにしてもよい。
【００４４】
そして、便器本体１Ｂを組み立てた際に、前側分割体２３の上端面と後側分割体２４の上端面とが滑らかにつながって便器本体１Ｂの一連の上端面１ａＢが形成され、当該上端面１ａＢが全域に亘って段差のない平滑面状となるようにしている。
【００４５】
以上の本実施形態によっても、上記第１実施形態および第２実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【００４６】
以上、本発明にかかる暖房便座装置付便器の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限ることなく要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。
【００４７】
例えば、便器の上端面を傾斜のない水平面としてもよいし、湾曲等のないほぼ完全な平坦面としてもよい。
【００４８】
また、上記第１〜第３実施形態においては、暖房便座装置付便器および暖房便座装置の材質として樹脂を用いているが、例えばそれらの一部又は全部を陶器等の他の材質を用いて形成してもよい。
【００４９】
さらに、上記第１〜第３実施形態において使用される暖房便座装置付便器および暖房便座装置の形状は、種々の形状を取り得る。
【００５０】
また、上記第１〜第３実施形態においては、ターントラップ式便器について例示したが、サイフォン式便器としても本発明を実施することができる。その場合、逆Ｕ字状配管の上側に形成される空間に、暖房便座装置を配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【００５１】
【図１】本発明の第１実施形態にかかる暖房便座装置付便器の分解斜視図。
【図２】本発明の第１実施形態にかかる暖房便座装置付便器を後方から見た斜視図。
【図３】本発明の第１実施形態にかかる暖房便座装置の斜視図。
【図４】図５のＡ−Ａ断面図。
【図５】本発明の第１実施形態にかかる便座および便蓋を起立させた状態における暖房便座装置付便器の平面図。
【図６】本発明の第１実施形態にかかる便座および便蓋を起立させた状態における暖房便座装置付便器の側面図。
【図７】図６のＢ−Ｂ断面図。
【図８】本発明の第２実施形態にかかる暖房便座装置の取付状態を示す分解斜視図。
【図９】本発明の第３実施形態にかかる暖房便座装置の分割状態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【００５２】
１ 便器本体（便器）
１ａ 上端面
１ｂ 開口部
６ ボウル
６ａ 開口部（上部開口）
１５ 補機ユニット（暖房便座装置）
２１ 接続開口
２３ 前側分割体（第一の分割体）
２４ 後側分割体（第二の分割体）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ボウルを有し、暖房便座装置が取り付けられた暖房便座装置付便器であって、
前記便器の上端面をその全域に亘って平滑面状に形成するとともに、便器内の上部であって当該便器の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に暖房便座装置を配設したことを特徴とする暖房便座装置付便器。
【請求項２】
前記便器に、前記暖房便座装置を便器外部から便器内部に挿入可能とする開口部を形成したことを特徴とする請求項１に記載の暖房便座装置付便器。
【請求項３】
前記便器を、少なくともボウルを有する第一の分割体と、暖房便座装置を装備する第二の分割体と、を含む複数の分割体の集合体として構成し、
当該便器を分割した状態で、前記第二の分割体の内部に、他の分割体との接続開口を介して暖房便座装置を取り付け可能となるように構成したことを特徴とする請求項１に記載の暖房便座装置付便器。
【請求項４】
前記上端面を、ボウルを配設した側が下となり暖房便座装置を配設した側が上となる傾斜面として形成したことを特徴とする請求項１〜請求項３のいずれか一項に記載の暖房便座装置付便器。
【請求項１】
ボウルを有し、暖房便座装置が取り付けられた暖房便座装置付便器であって、
前記便器の上端面をその全域に亘って平滑面状に形成するとともに、便器内の上部であって当該便器の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に暖房便座装置を配設したことを特徴とする暖房便座装置付便器。
【請求項２】
前記便器に、前記暖房便座装置を便器外部から便器内部に挿入可能とする開口部を形成したことを特徴とする請求項１に記載の暖房便座装置付便器。
【請求項３】
前記便器を、少なくともボウルを有する第一の分割体と、暖房便座装置を装備する第二の分割体と、を含む複数の分割体の集合体として構成し、
当該便器を分割した状態で、前記第二の分割体の内部に、他の分割体との接続開口を介して暖房便座装置を取り付け可能となるように構成したことを特徴とする請求項１に記載の暖房便座装置付便器。
【請求項４】
前記上端面を、ボウルを配設した側が下となり暖房便座装置を配設した側が上となる傾斜面として形成したことを特徴とする請求項１〜請求項３のいずれか一項に記載の暖房便座装置付便器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２００７−２９１６４４（Ｐ２００７−２９１６４４Ａ）
【公開日】平成１９年１１月８日（２００７．１１．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１１８２２２（Ｐ２００６−１１８２２２）
【出願日】平成１８年４月２１日（２００６．４．２１）
【出願人】（０００００５８３２）松下電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１１月８日（２００７．１１．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年４月２１日（２００６．４．２１）
【出願人】（０００００５８３２）松下電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]